説明

着脱シート型タイマ

【課題】 一定時間が経過した後に採るべき作業や操作などを知らせることができるタイマを提供する。
【解決手段】 スチールボードなどの被着体に着脱可能で、メモを書き消し可能なマグネットシート2に、入力された時間の経過を計り、当該時間が経過したことをアラーム音によって知らせるタイマ本体3が設けられている。マグネットシート2の表面2aにメモを書いて、タイマを起動させる。待ち時間が経過してアラーム音が鳴った際に、メモを確認することで採るべき作業や操作などを知ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された時間の経過を計り、その時間が経過したことを知らせるタイマに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、火力発電所において、復水系統の水質に異常が確認された場合には、水質を正常に戻すための作業や操作などを行う必要がある。このような作業、操作には、例えば、所定の弁を一定時間開け、一定時間経過後に水質が正常に戻ったことを確認して弁を閉じる、というように、一定の時間待たなければならないものがある。そして、このような待ち時間を正確に計るとともに、待ち時間が経過したことをアラーム音などで知らせるタイマが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平11−6886号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記のように一定時間待って次の作業、操作を行う場合、次の作業、操作を忘れてしまう場合があった。つまり、一定時間が経過してタイマによるアラーム音が発せられたとしても、次の作業、操作が何であるかを覚えていないために、迅速かつ適正な作業、操作を行えない場合があった。このような問題は、待ち時間が長い場合にはなお更であった。また、タイマを設定した作業者などがタイマの近くにいなければ、他の作業者などは、タイマが何のために設定されているかを理解することが困難であり、アラーム音が発せられても、次の作業、操作をスムーズに行うことが困難であった。
【0004】
そこで本発明は、一定時間が経過した後に採るべき作業や操作などを知らせることができるタイマを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、被着体に着脱可能で、メモを書き消し可能な着脱シートに、入力された時間の経過を計り、当該時間が経過したことを知らせるタイマ本体が設けられていることを特徴とする着脱シート型タイマである。
(作用)
本着脱シート型タイマを被着体に貼り付け、待ち時間(タイマ設定時間)が経過した後に採るべき作業や操作などをメモとして着脱シートに書き、タイマ本体に待ち時間を入力して起動させる。そして、入力された時間が経過すると、タイマ本体によって時間の経過が知らされ、採るべき作業や操作などが、着脱シートに書かれたメモによって知らされる。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の着脱シート型タイマにおいて、前記タイマ本体は、複数のアラーム音を備え、前記時間の経過を知らせるアラーム音を前記複数のアラーム音から選択可能であることを特徴としている。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2のいずれか1項に記載の着脱シート型タイマにおいて、前記着脱シートが、磁力によって前記被着体に着脱可能なマグネットシートであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、待ち時間が経過した際に、着脱シートに書かれたメモを見ることで、採るべき作業や操作などを知ることができる。すなわち、着脱シートに書かれたメモを見ることで、タイマ本体を起動させた作業者が採るべき作業や操作などを忘れたとしても、あるいは、タイマ本体を起動させた作業者以外であっても、タイマの起動目的や時間経過後の作業や操作などを確実に知ることができる。このため、待ち時間が長時間であっても、時間経過後の作業や操作などをスムーズに行うことができる。
【0009】
また、着脱シートが被着体に着脱可能であるため、作業現場などで必要に応じて本着脱シート型タイマを着脱でき、利便性が高い。しかも、シート状であるため、被着体から突出せず、作業性などを損なうことがない。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、待ち時間の経過を知らせるアラーム音を複数のアラーム音から選択可能であるため、利便性が高まる。すなわち、例えば、作業内容ごとに異なるアラーム音を選択することで、同一の作業現場などにおいても、アラーム音の種類によって作業内容を瞬時に識別する(聞き分ける)ことが可能となる。また、待ち時間経過後に採るべき作業や操作などの重要性、緊急性に応じてアラーム音を選択することで、アラーム音によって重要性などを認識して、よりスムーズに対応することが可能となる。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、着脱シートがマグネットシートであるため、悪環境下においても、スチールボードなどの被着体により確実に着脱させることができ、取り扱い性などが損なわれることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0013】
図1は、この発明の実施の形態に係る着脱シート型タイマ1を示す平面図である。この着脱シート型タイマ1は、マグネットシート(着脱シート)2にタイマ本体3が一体的に設けられたものである。
【0014】
マグネットシート2は、スチールボードなどの被着体に対して、磁力によって着脱可能で、その表面(磁着面と反対側の面)2aにメモ(メッセージ)を書き消しできるようになっている。すなわち、フェライト磁石粉末と樹脂とを混合して、圧延成型したシート状のマグネットであり、片面、つめり裏面(磁着面)だけ着磁する片面多極着磁タイプである。そして、その表面2aにポリプロピレンがラミネート加工され、マーカーなどによってメモを書き消しできるものである。また、このマグネットシート2は、可撓性に富み、折り曲げたり、丸めたりできるようになっている。
【0015】
このようなマグネットシート2の角部に、タイマ本体3が、両表面2a、3aがほぼ平面上に位置するように配設されている。このタイマ本体3は、入力された時間の経過を計り、当該時間が経過したことをアラーム音によって知らせるものであり、図2に示すように、表示部31と、入力部32と、計時部33と、アラーム音記憶部34と、メモリ35と、スピーカ36と、これらを制御などするCPU(Central Processing Unit)37とを備えている。
【0016】
表示部31は、入力された待ち時間(タイマ設定時間)や現在時刻などを表示するためのLCD(Liquid Crystal Display)であり、タイマが起動していない場合には、計時部33によって計時された現在時刻を表示するようになっている。
【0017】
入力部32は、待ち時間を入力したり、タイマを起動、停止させたりするためのキー(釦)であり、時間キー32aと、分キー32bと、リセットキー32cと、アラームキー32dと、スタート/ストップキー32eとを備えている。時間キー32aの「▲」、「▼」を押下すると、待ち時間などの時間欄(枠)の数字が上下し、分キー32bの「▲」、「▼」を押下すると、待ち時間などの分欄の数字が上下する。また、リセットキー32cを押下すると、入力中の待ち時間などがリセットされ、アラームキー32dを押下することで、待ち時間の経過を知らせるアラーム音の種類を選択でき、スタート/ストップキー32eを押下することで、タイマを起動させたり、停止させたりできるものである。
【0018】
計時部33は、発振ユニットを備え、現在時刻や待ち時間の経過を計り、計時した現在時刻や経過時間をCPU37に伝達することで、現在時刻や経過時間(残り待ち時間)が表示部31に表示されるようになっている。
【0019】
アラーム音記憶部34は、複数のアラーム音(音源)を記憶したROM(Read Only Memory)であり、この実施の形態では、3種の電子アラーム音(電子音アラーム)が記憶されている。そして、待ち時間が経過すると、選択されたアラーム音がアラーム音記憶部34からスピーカ36に送られ、アラーム音が発せられる。また、メモリ35は、入力部32で入力された待ち時間や選択されたアラーム音の種類などを記憶するRAM(Random Access Memory)である。
【0020】
次に、このような構成の着脱シート型タイマ1の作動などについて説明する。ここで、この実施の形態では、火力発電所の復水系統の水質に異常が確認され、水質を正常に戻す(水質改善する)場合を例にして、図3、4に基づいて説明する。
【0021】
通常時における復水系統の水は、復水器11から復水ポンプ12によって、給水止め弁13を介してボイラ14に流入し、または、復水再循環弁(自動調節弁)15を介して復水器11に戻る。これに対し、復水系統の水質に異常が確認された場合には、次のような水質改善作業(操作)を行う必要がある。
【0022】
まず、第1の操作として、復水系外ブロー弁(手動操作弁)16を開けて、復水器11からの水を復水系外にブローする(流出させる)。この際、着脱シート型タイマ1を復水系外ブロー弁16の周辺のスチールボードなどの被着体に貼り付け(装着し)、タイマ本体3を起動させる。すなわち、入力部32から待ち時間を入力する(ステップS1)とともに、待ち時間の経過を知らせるアラーム音を選択する(ステップS2)。次に、マグネットシート2の表面2aに、「水質上昇のため系外ブロー中」などのメモを書き(ステップS3)、スタート/ストップキー32eを押下してタイマを起動させる(ステップS4)。
【0023】
この第1の操作により、復水器11内の水レベルが低下するため、復水器レベル調節弁(自動調節弁)17が開き、補給水が復水器11に流入する。そして、復水器11内の水が入れ替わることで、復水器11内の水が水質改善される。続いて、待ち時間が経過すると(ステップS5)、着脱シート型タイマ1からアラーム音が発せられる(ステップS6)。これにより、作業者などが着脱シート型タイマ1に向かい、スタート/ストップキー32eを押下してアラーム音を停止させる(ステップS7)。続いて、マグネットシート2の表面2aに書かれたメモを確認し(ステップS8)、このメモの内容に基づいて、必要な作業、操作を行う(ステップS9)。すなわち、「水質上昇のため系外ブロー中」などというメモが書いてあるため、アラーム音が鳴ればブローを終了すべきであることが容易にわかり、第2の操作として、復水系外ブロー弁16を閉じて、水のブロー(入れ替え)を停止させる。そして、水質が規定以上に改善されていることが確認されれば、着脱シート型タイマ1を被着体から取り外して、水質改善作業を完了するものである。
【0024】
以上のように、この着脱シート型タイマ1によれば、待ち時間が経過した際に、マグネットシート2に書かれたメモを見ることで、採るべき作業や操作などを知ることができる。すなわち、マグネットシート2に書かれたメモを見ることで、タイマ本体3を起動させた作業者が採るべき作業や操作などを忘れたとしても、あるいは、タイマ本体3を起動させた作業者以外であっても、タイマの起動目的や時間経過後の作業や操作などを確実に知ることができる。このため、待ち時間が長時間であっても、時間経過後の作業や操作などをスムーズに行うことができる。
【0025】
しかも、待ち時間の経過を知らせるアラーム音を複数のアラーム音から選択可能であるため、利便性が高まる。例えば、作業内容や系統ごとに異なるアラーム音を選択することで、多くの設備を有する火力発電所内などにおいても、アラーム音の種類によって作業内容や系統を瞬時に識別することが可能となる。また、待ち時間経過後に採るべき作業や操作などの重要性、緊急性に応じてアラーム音を選択することで、アラーム音の種類によって重要性などを認識して、よりスムーズに対応することが可能となる。
【0026】
また、マグネットシート2がスチールボードなどの被着体に着脱可能であるため、必要な場合にのみ本着脱シート型タイマ1を被着体に装着し、必要がなくなれば取り外せばよいため、利便性が高く、使いまわしがよい。しかも、シート状であるため、被着体から突出せず、作業性などを損なうことがない。さらに、着脱シートがマグネットシート2であるため、悪環境下においても、スチールボードなどに対してより確実に着脱させることができ、取り扱い性などが損なわれることがない。
【0027】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、この実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、この実施の形態では、着脱シートがマグネットシートであり、磁力によって被着体に着脱可能なものであるが、吸着力によって被着体に着脱可能な着脱シートであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明の実施の形態に係る着脱シート型タイマの平面図である。
【図2】図1の着脱シート型タイマにおけるタイマ本体の概略構成ブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態における火力発電所の復水系統の系統図である。
【図4】図1の着脱シート型タイマの操作手順などを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0029】
1 着脱シート型タイマ
2 マグネットシート(着脱シート)
2a 表面
3 タイマ本体
3a 表面
31 表示部
32 入力部
33 計時部
34 アラーム音記憶部
35 メモリ
36 スピーカ
37 CPU
11 復水器
12 復水ポンプ
13 給水止め弁
14 ボイラ
15 復水再循環弁
16 復水系外ブロー弁
17 復水器レベル調節弁


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被着体に着脱可能で、メモを書き消し可能な着脱シートに、
入力された時間の経過を計り、当該時間が経過したことを知らせるタイマ本体が設けられていることを特徴とする着脱シート型タイマ。
【請求項2】
前記タイマ本体は、複数のアラーム音を備え、前記時間の経過を知らせるアラーム音を前記複数のアラーム音から選択可能であることを特徴とする請求項1に記載の着脱シート型タイマ。
【請求項3】
前記着脱シートが、磁力によって前記被着体に着脱可能なマグネットシートであることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の着脱シート型タイマ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−25121(P2009−25121A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−188009(P2007−188009)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】