説明

着脱可能な靴底及びつま皮を具備した靴

【課題】本発明の目的は、靴底とつま皮とが着脱可能な靴を提供することである。
【解決手段】靴底(1)は上面部(2)を有し、該上面部(2)には複数の筒状部材(4)が互いに所定間隔をおいて設けられ、つま皮(7)は下面部(6)を有し、該下面部(6)には複数の筒状部材(8)が互いに所定間隔をおいて設けられ、該靴底(1)の筒状部材(4)の間に該つま皮(7)の筒状部材(8)を挿入した状態で、該つま皮(7)の下面部(6)を該靴底(1)の上面部(2)に配置することによって該つま皮(7)を該靴底(1)の上に配置することができ、該靴底の上につま皮を配置した後、該靴底の筒状部材と該つま皮の筒状部材にワイヤ(9)を挿通することによって、該つま皮(7)は該靴底(1)に着脱可能に固定される着脱可能な靴底及びつま皮を具備した靴。該靴底(1)の筒状部材は開口環状径路にしたがって配置され、かつ2つの筒状部材(40,41)が該開口環状径路のそれぞれの端部に位置するとともに該靴底(1)の外側に連通している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着脱可能な靴底及びつま皮を具備した靴に関するものである。
【0002】
具体的には、本発明による靴は、組み立て及び使用時、また必要であれば双方を分離する時に、互いが強固に結合できるように係合したデバイスによって反転可能に互いに結合した靴底とつま皮を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の主な目的は、靴底とつま皮との間の強固な係合を失わせることなく製造及び使用が著しく簡易である着脱可能な靴底及びつま皮を具備した靴を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この成果は、請求項1に記載の特徴を有する靴の本発明により得られた。本発明のさらなる特徴は従属請求項において対象とされている。
【0005】
すなわち、本発明の請求項1に係る着脱可能な靴底及びつま皮を具備した靴は、
−該靴底(1)は上面部(2)を有し、該上面部(2)には多数の筒状部材(4)が互いに所定間隔をおいて設けられ、
−該つま皮(7)は下面部(6)を有し、該下面部(6)には多数の筒状部材(8)が互いに所定間隔をおいて設けられ、
−該靴底(1)の筒状部材(4)の間に該つま皮(7)の筒状部材(8)を挿入した状態で、該つま皮(7)の下面部(6)を該靴底(1)の上面部(2)に配置することによって該つま皮(7)を該靴底(1)の上に配置することができ、そして
−該靴底の上につま皮を配置した後、該靴底の筒状部材と該つま皮の筒状部材にワイヤ(9)を挿通することによって、該つま皮(7)は該靴底(1)に着脱可能に固定され、
該靴底(1)の筒状部材は開口環状径路にしたがって配置され、かつ2つの筒状部材(40,41)が該開口環状径路のそれぞれの端部に位置するとともに該靴底(1)の外側に連通していることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る着脱可能な靴底及びつま皮を具備した靴は、前記靴(1)の筒状部材(4,40,41)が、該靴底(1)の上面部(2)の溝部(10)内に位置し、該溝部(10)は、靴底の隆起したエッジ部(3)の内側に近接して設けられているとともに環状開口断面形状を有していることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係る着脱可能な靴底及びつま皮を具備した靴は、前記靴底(1)の端部に位置する筒状部材(40,41)のそれぞれが、前記上面部(2)の内側に側面部を有しかつ該靴底の(1)の外側に側面部を有することを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に係る着脱可能な靴底及びつま皮を具備した靴は、前記靴底(1)の端部に位置する筒状部材(40,41)のそれぞれが、前記上面部(2)の内側に側面部を有しかつ該靴底(1)の外側に側面部を有し、かつそれらの側面部が該靴底の内部を外部と連通させる窓部(5)の内部にあることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5に係る着脱可能な靴底及びつま皮を具備した靴は、前記靴底(1)の端部に位置する筒状部材(40,41)のそれぞれが、曲線状の長手方向軸を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、上記のような靴を製造することが可能であり、組み立て及び分解作業、すなわち、靴底をつま皮へ結合させる作業及びつま皮から靴底をそれぞれ分離する作業を著しく簡略にし、したがって靴の製造及び使用の双方の点においてこの型の靴の利点を高めている。さらに、すべての使用条件における靴底とつま皮間の非常に強力な結合を提供することが可能である。同時に、靴の製造も簡略化されるので総製造費用を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明による靴のための靴底の上面斜視図である。
【図2】本発明による靴のためのつま皮の側面斜視図である。
【図3】図1及び図2の靴底及びつま皮を結合するワイヤを示している。
【図4】本発明による靴のための靴底を示す平面図である。
【図5】つま皮の断面図である。
【図6】図5の拡大した細部を示している。
【図7】関連する筒状部材によって規定される環状開口サーキットの端部における靴底の概略断面図である。
【図8】関連する筒状部材によって規定される環状開口サーキットの中間部における靴底の概略断面図である。
【図9】前述の環状サーキットの中間部分における靴底とつま皮の係合を示す概略部分断面図である。
【図10】靴底とつま皮をともに結合するための図3のワイヤの挿通に関連する様相を示している。
【図11】靴底とつま皮をともに結合するための図3のワイヤの挿通に関連する様相を示している。
【図12】靴底とつま皮の結合完了時の靴を示している。
【図13】筒状部材を通過するワイヤ(9)が加わった、靴底とつま皮の筒状部材によって形成される筒状部材の構造を概略的に示している。
【図14】靴底の複数の筒状部材の長手軸方向を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の上記且つさらなる利点及び特徴は、本発明の実施例として付与されているが限定的な意味に考慮されない添付図面とあわせて以下の説明を読むことで、当業者の誰もが最適に理解するであろう。
【0013】
添付の図面を参照すると、本発明による靴は上面部(2)を特徴とする靴底(1)を有し、その外郭は隆起したエッジ部(3)によって画定されている。前記上面部(2)は溝部(10)を有し、そこには多数の靴底筒状部材又は部分(4,40,41)が環状に配置され、実質的に前記エッジ部(3)によって画定された領域内に靴底の外郭を再形成している。前記靴底筒状部材は所定間隔をおかれているので、二つの近接した靴底筒状部材の間には空間が存在する。
【0014】
言い換えれば、前記靴底筒状部材は実質的に開口環状径路にしたがって靴底(1)の該エッジ部(3)の内側に近接し、靴底の上面部(2)の溝部(10)に対応して配置され、且つ該靴底筒状部材は開口環状の断面にしたがって配置された一種のかみ合わせを形成し、該靴底の外部と連通する開放環を形成するような2つの端部筒状部材(40,41)を有する。
【0015】
実際には、図示される実施形態によると前記開口環状径路の端部に位置する2つの靴底端部筒状部材(40,41)は、前記溝部(10)の内側に側面部を有し且つ窓部(5)の内側に側面部を有し、該窓部(5)の内側の側面部は該靴底(1)の外側に形成され且つ前記溝部(10)と連通している。
【0016】
前記の方法により、靴底の内部に配置され、他方で靴底の外部に連通する筒状部材の開口環状の連続体が得られる。
【0017】
添付図面に示されるように、連続体の端部に位置する前記端部靴底筒状部材(40)及び(41)は曲線(x)状の形状を有し、それに反して、靴底筒状部材(4)は直線(y)状の形状を有する。
【0018】
該窓部(5)は該靴底(1)の内側、概ねヒールの領域内に形成されることが有益であり、外から見えにくくなるという効果をもたらす。
【0019】
該つま皮(7)の下面部(6)はその境界又は外側のエッジ部と対応する、つま皮筒状部材(8)の連続体を有し、該つま皮筒状部材(8)の連続体は、筒状の噛合部材で一種の噛合状態を形成するように所定間隔をおいて環状に配置されている。該つま皮筒状部材(8)の連続体は閉じており、すなわち、靴底の筒状部材(4)の連続体とは異なり、該つま皮筒状部材(8)は全閉状の環状径路を形成するように配置されている。
【0020】
該つま皮(7)の該筒状部材(8)によって規定される該環状断面形状は、該靴底(1)の筒状部材(4)によって規定される環状断面形状に対応する。
【0021】
該靴底(1)を該つま皮(7)へ結合するために、ワイヤ(9)−たとえば、PVC等のプラスチック材料製のワイヤ−が用いられ、靴底(1)及びつま皮(7)のそれぞれの筒状部材(4,40,41,8)を通過するようになされている。
【0022】
より具体的には、つま皮の筒状部材(8)のそれぞれが、靴底(1)の上面部の溝部(10)にある靴底の2つの筒状部材(4)の間に配置されることにより、該つま皮(7)は靴底(1)に置かれる。この方法で、開口環状形状を有する(なぜなら端部靴底筒状部材40及び41は靴底の外部と連通しているので)、実質的に連続した筒状構造体が形成される。該構造体は前記溝部(10)の内部にあり、靴底(1)の隆起したエッジ部(3)によって隠れ、外からは見えない。
【0023】
続いて、図10及び11に示されるように、靴底(1)の側面部に設置された前記窓部(5)を介してワイヤ(9)の一方の端部が該筒状部材(40)を挿通し、他方の端部は筒状部材(41)を挿通する。ワイヤを押すことで靴底(1)及びつま皮(7)の筒状部材(4)及び(8)の中を挿通させる。該ワイヤを完全に押しきると、該ワイヤ(9)の長さは前記筒状部材(4)及び(8)によって規定される実質的に連続した筒状構造体の長さと同じであるので、図12で示されるようにワイヤの一部分(90)のみが該靴底(1)の窓部(5)に留まる。該ワイヤ(9)によって得られる部材(4)と部材(8)間の固定は、取り外しが可能であるにもかかわらず非常に強固であるので、結果として該靴底(1)と該つま皮(7)間の結合も同様に強固になる。
【0024】
分解したい場合、ワイヤ(9)の一部分(90)を、たとえばワイヤと窓部(5)の間の前記部分(90)の間に挿入しやすいように尖端が設けられた道具を使用して引き抜くことで靴底(1)をつま皮(7)から分離することも可能である。ワイヤ(9)が完全に引き抜かれると靴底はつま皮から離れる。
【0025】
該靴底(1)の筒状部材(4,40,41)は靴底筒状部取付軌道(42)によって互いに結合され、靴底(1)の製造時に該ベース軌道は前記溝部(10)の下部に接着される。
【0026】
同様に、つま皮(7)の筒状部材(8)もつま皮筒状部材取付軌道(80)によって互いに結合され、該つま皮(7)の製造時に該ベース軌道は前記下面部(6)の境界に縫いつけられる。
【0027】
該靴底(1)の該筒状部材(4,40,41)、つま皮(7)の筒状部材(8)及びそれぞれの取付軌道(42,80)は公知の型の成形方法でプラスチック材料によって得ることができる。
【0028】
しかしながら、該筒状部材(4,40,41,8)が靴底及びつま皮に適切に取り付けられるようにすることは明らかである。
【0029】
実際には、その実施詳細は形状、大きさ、部材の配置、使用される材料の種類の点で変更してもよいが、それらは本特許によって採択される解決法の範囲内であり、本特許によって提供される保護の範囲内である。
【符号の説明】
【0030】
(1) 靴底
(2) 上面部
(3) エッジ部
(4) 靴底筒状部材
(5) 窓部
(6) 下面部
(7) つま皮
(8) つま皮筒状部材
(9) ワイヤ
(10) 溝部
(40) 靴底端部筒状部材
(41) 靴底端部筒状部材
(42) 靴底筒状部取付軌道
(80) つま皮筒状部材取付軌道
(90) ワイヤの一部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱可能な靴底及びつま皮を具備した靴であって、
−該靴底(1)は上面部(2)を有し、該上面部(2)には多数の筒状部材(4)が互いに所定間隔をおいて設けられ、
−該つま皮(7)は下面部(6)を有し、該下面部(6)には多数の筒状部材(8)が互いに所定間隔をおいて設けられ、
−該靴底(1)の筒状部材(4)の間に該つま皮(7)の筒状部材(8)を挿入した状態で、該つま皮(7)の下面部(6)を該靴底(1)の上面部(2)に配置することによって該つま皮(7)を該靴底(1)の上に配置することができ、そして
−該靴底の上につま皮を配置した後、該靴底の筒状部材と該つま皮の筒状部材にワイヤ(9)を挿通することによって、該つま皮(7)は該靴底(1)に着脱可能に固定され、
該靴底(1)の筒状部材は開口環状径路にしたがって配置され、かつ2つの筒状部材(40,41)が該開口環状径路のそれぞれの端部に位置するとともに該靴底(1)の外側に連通していることを特徴とする着脱可能な靴底及びつま皮を具備した靴。
【請求項2】
前記靴(1)の筒状部材(4,40,41)が、該靴底(1)の上面部(2)の溝部(10)内に位置し、該溝部(10)は、靴底の隆起したエッジ部(3)の内側に近接して設けられているとともに環状開口断面形状を有していることを特徴とする請求項1に記載の靴。
【請求項3】
前記靴底(1)の端部に位置する筒状部材(40,41)のそれぞれが、前記上面部(2)の内側に側面部を有しかつ該靴底の(1)の外側に側面部を有することを特徴とする請求項1に記載の靴。
【請求項4】
前記靴底(1)の端部に位置する筒状部材(40,41)のそれぞれが、前記上面部(2)の内側に側面部を有しかつ該靴底(1)の外側に側面部を有し、かつそれらの側面部が該靴底の内部を外部と連通させる窓部(5)の内部にあることを特徴とする請求項1に記載の靴。
【請求項5】
前記靴底(1)の端部に位置する筒状部材(40,41)のそれぞれが、曲線状の長手方向軸を有することを特徴とする請求項1に記載の靴。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2009−542404(P2009−542404A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519061(P2009−519061)
【出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【国際出願番号】PCT/IT2006/000745
【国際公開番号】WO2008/007403
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(509011053)
【Fターム(参考)】