着脱自在歯牙具およびその製造方法
【課題】 相手に与える印象を瞬時に変えて驚かすことができる、着脱自在歯牙具およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 この着脱自在歯牙具10は、生活歯の前面、頂部および裏面を被覆しながら口蓋へと連続する被覆部3と、被覆部3における、歯牙の前面を被覆する前面部fに固定された、1つまたは2つ以上の変身歯15とを備え、被覆部3が、一体成形加工された樹脂からなることを特徴とする。
【解決手段】 この着脱自在歯牙具10は、生活歯の前面、頂部および裏面を被覆しながら口蓋へと連続する被覆部3と、被覆部3における、歯牙の前面を被覆する前面部fに固定された、1つまたは2つ以上の変身歯15とを備え、被覆部3が、一体成形加工された樹脂からなることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イベント時の変身、歯牙関連のおしゃれ等に用いることができる、着脱自在歯牙具およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
若者を中心に我が国に定着したコスプレの例に見られるように、ヒトには自分以外の者になりたい、または自分以外の者になって他人を驚かせたい等の、遊び心が普遍的にある。たとえば、イベント等において、プレイヤが変装、変身などによって聴衆の遊び心を刺激して喝采をあびることはよく目にすることである。このような変身、変装などには小道具を伴うことが多い。たとえば、瞬間的に変身するための瞬間変身シャツ(特許文献1)や、ヒーロー瞬間変身法(特許文献2)が提案されている。瞬間的にこれら衣服という小道具を部分的に裏返すなどすることで、参加者の意表をついて拍手喝采を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−308856号公報
【特許文献2】特開2006−200103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の変身の小道具は衣服であり、顔の印象等は大きく変えることはできない。顔の印象を大きく変えるものに、歯牙がある。白い清潔な歯は、健康で快活な印象を与えるため、多くの歯科医院では、美容を目的として付け歯を用いることがある。付け歯は、歯の1本分の表面に貼り付けられるセラミック製シェル(薄片)である。すなわち、付け歯の取り付けは、たとえばよく目立つ前歯の前面に、当該白いセラミック製シェルを貼り付けることで行われる。このため、付け歯は、着脱を簡単に行うことはできず、したがいイベントでの参加者を相手に瞬間に変身することなどに応用することはできない。
本発明は、相手に与える印象を瞬時に変えて驚かすことができる、着脱自在歯牙具およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の着脱自在歯牙具は、着脱自在に歯牙に取り付けられる。この着脱自在歯牙具は、生活歯の前面、頂部および裏面を被覆しながら口蓋へと連続する被覆部と、被覆部に固定された、1つまたは2つ以上の変身歯とを備え、被覆部は、一体成形加工された樹脂からなることを特徴とする。
【0006】
この構成によって、使用者は、被覆部で自分の歯牙を被覆することで、瞬時にこの歯牙具を装着し、その特異な変身歯を相手に印象づけることができる。変身歯は、被覆部における、歯牙(とくに前歯)の前面を被覆する前面部に固定するのが普通である。これによって、各種のパーティ等において、意外性を印象づけて喝采等を博すことができる。そして、被覆部は樹脂でできているので、弾性変形能が大きいため、自分の歯牙から簡単に外すことができる。すなわち、装着と離脱とを自分の手の動作により、簡単に、かつ瞬時に行うことができる。ここで、変身歯は、形、色および模様のうちの少なくとも一つにおいて、通常の前歯と相違しており、相手(聴衆)の受けを狙った奇抜な歯をいう。なお、この着脱自在歯牙具は、上顎でも下顎でもよいが、上顎の歯は、下顎よりも前面に出るので、相手への印象という点で、上顎を対象にする場合が多い。
【0007】
上記の被覆部は、左1番〜4番、および右1番〜4番の前歯、または、該前歯のうちの数本、を被覆しているものとできる。これによって、相手の視野に入りやすい、前歯の位置について変身歯を固定することができる。
【0008】
上記の被覆部を、透明な樹脂で形成することができる。これによって、被覆部は相手からほとんど見えず、本当に変身歯が、使用者の歯列の中に生えていると思わせることができる。
【0009】
上記の被覆部において、いずれかの前歯を被覆する部分を除くことができる。これによって、自分の歯牙への被覆を最小にして、長時間装着しても不快感を生じにくくできる。また、相手(聴衆)に対して、使用者の実際の歯を見せるので、相手が受ける迫真感、本当らしさを高めることができる。
【0010】
除かれた部分を、左1番および右1番の被覆部分とすることができる。これによって、一番の前歯2本への被覆をすることなくこの歯牙具を装着することになる。このため、前歯2本が自然な状態(透明樹脂または樹脂で被覆されていない状態)であることを相手に強く印象づけることができる。すなわち使用者の自然な状態の歯を見せることで、変身歯も使用者の歯であることを、相手に対して錯覚させやすい。また、使用者にしても、装着した状態で拘束感、圧迫感等を少なくできる。
【0011】
本発明の着脱自在歯牙具の製造方法は、着脱自在に歯牙に取り付けられる着脱自在歯牙具を製造する。この製造方法は、使用者の歯牙の石膏模型を作製する工程と、熱可塑性樹脂の薄板を準備する工程と、石膏模型に熱可塑性樹脂の薄板を載せて、加熱しながら、気圧をかけて、または吸引して、熱可塑性樹脂の薄板を変形させて石膏模型に密着させて、被覆部を形成する工程と、被覆部を石膏模型から外して、整形する工程と、被覆部に変身歯を固定する工程とを備えることを特徴とする。
【0012】
上記の製造方法によって、熱可塑性樹脂によって、被覆部を一体成形加工により作製して、これに変身歯を固定することができる。固定位置は、アイドルの八重歯の位置、またはドラキュラの牙の位置などを参考にして、その変身対象に応じて変えることができる。上記の方法によれば、被覆部は、マウスピース等を作製する装置を用いて簡単に製造できる。この被覆部に、手作りを含めた適当な方法で作製した変身歯を、手仕事で固定することができる。固定には、歯科用材料として実績のある、常温重合レジン等を用いることができる。
【0013】
使用者の歯牙の石膏模型を作製する工程では、供給者のウエブサイトへの申し込みに応じて、供給者から使用者へと郵送された印象剤を、該使用者が調整してトレーに入れて、当該使用者が自身の歯牙に押し当てて、歯形の印象採取を行い、供給者に送り返してきた採取された印象に基づいて、該供給者が石膏模型を作製するという手順をとることができる。この場合、印象剤を用いて印象採取を行う際の要領をウエブサイトで丁寧に説明することが望ましい。その他、供給者は、所定のチェーン店と取引関係を結び、予め印象採取に必要なセットをそのチェーン店に配布しておき、使用者からのウエブサイトへの申し込みに対して、そのチェーン店を指定して印象採取のセットを購入するように指示する方式をとってもよい。この場合も、使用者は自分で自身の印象採取を行って、供給者に採取した印象を送ることになる。この後の工程は、同じである。これによって、各地にいる依頼者の依頼に応じて、依頼者の歯形等に適合した被覆部を作製することができる。変身歯はウエブサイトに多くの種類の変身歯を陳列することで、依頼者の指示によって選択することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、相手に与える印象を瞬時に変えて驚かすことができる、着脱自在歯牙具およびその製造方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1における着脱自在歯牙具を示し、(a)は前面側から見た斜視図、(b)は(a)におけるIB−IB線に沿う断面図、(c)は(a)におけるIC−IC線に沿う断面図、である。
【図2】図1の着脱自在歯牙具を後ろ側から見た斜視図である。
【図3】図1の着脱自在歯牙具を装着した使用者を正面から見た図である。
【図4】本実施の形態の着脱自在歯牙具の製造方法を説明するための図である。
【図5】石膏模型に、熱可塑性樹脂を密着させた状態を示す図である。
【図6】石膏模型に密着して外した状態の熱可塑性樹脂を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態2における、抜き部のある着脱自在歯牙具を示す図である。
【図8】図7の着脱自在歯牙具を後ろ側から見た斜視図である。
【図9】図7の着脱自在歯牙具を装着した使用者を正面から見た図である。
【図10】本発明の実施の形態3における着脱自在歯牙具を示す斜視図である。
【図11】本発明の実施の形態4における着脱自在歯牙具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における着脱自在歯牙具10を正面側から見た斜視図である。以後、着脱自在歯牙具を単に歯牙具と記す。図1(a)は、歯牙具10を正面側から見た斜視図であり、図1(b)はIB−IB線に沿う断面図であり、また図1(c)はIC−IC線に沿う断面図である。この歯牙具10は、上顎用である。図1(a)において、口蓋被覆部3は口蓋の前側部分に当接する部分であり、歯牙を被覆する歯牙被覆部4と連続している。歯牙具10において、口蓋被覆部3以外の残りの部分は、歯牙被覆部4である。歯牙被覆部4は、右1番〜右4番、および左1番〜左4番を被覆するように形成されている。変身歯15以外の部分は、すべて一体成形加工された透明樹脂で形成されている。変身歯15は、右3番R3の前面部fと、左3番L3の前面部fと、にそれぞれ1つずつ固定されている。歯牙被覆部4において、歯牙前面に当たって被覆する部分は前面部fの記号、歯牙裏面に当たって被覆する部分は裏面部bの記号、歯牙頂部に当たって被覆する部分は頂部tの記号を用いる。これに、各歯牙の番号、R2(右2番歯)やL2(左2番歯)などの歯牙番号を付ける。
変身歯15は、通常の前歯の約2倍の長さをもつ。変身歯15の色は何でもよいが、たとえば黄色、白色、乳白色等としてもよい。蛍光を発するものであってもよい。また、小さい、ガラス玉、紅玉などの小粒の宝石類がちりばめられた変身歯であってもよい。幅は通常の前歯よりやや大きい程度であるが、厚みは2倍〜3倍程度とされている。
【0017】
図1(b)は、右2番の歯牙被覆部の断面図である。図1(b)によれば、右2番歯R2(図1(b)では空隙)は、前面部fと、頂部tと、裏面部bとで被覆され(又は、囲まれ)ている。左右1番〜2番は平板状であり、図1(b)の歯牙被覆部と同じような形態で、左右1番〜2番は被覆される。
図1(c)は、右3番R3の前面部fに固定された変身歯15の部分の縦断面図である。右左に関係なく、3番の歯は、犬歯と呼ばれ、平板状ではなく、三角錐状になる。このため、図1(c)に示すように、右3番R3の、前面部fと、頂部tと、裏面部bとが囲む空隙の形状は、上方に広がったものとなる。変身歯15は、前面部fの表面に常温重合レジン等を接着剤にして固定される。
【0018】
図2は、図1に示した歯牙具10を後ろから見た斜視図である。後ろから見ると、4番R4,L4の裏面部bおよび頂部tと、3番R3,L3の犬歯の裏面部bおよび頂部tとについて、これらの歯牙に特有の形状を写し取った被覆部を見ることができる。3番歯R3,L3の裏面部bは3角錐状を呈するが、4番歯R4,L4の裏面部bおよび頂部tは臼状を呈している。これらの歯牙被覆部4が弾性変形しながら歯牙を被覆することで、この歯牙被覆部単独で、または口蓋被覆部3と協働して、装着した状態の安定維持を得ることができる。
【0019】
図3は、使用者が、図1〜図2に示す歯牙具10を装着した状態を示す図である。使用者は、舞台等で注目を浴びているとき、一瞬後ろを向いて歯牙具10を装着して、再び前を見たとき人工牙(歯牙具)を装着した変身顔を公衆に見せることができる。本実施の形態では、変身歯はドラキュラ伯爵の牙を付けた歯牙具であるが、牙のほかに、鮫、虎、オオカミ男、出っ歯、鬼、八重歯等とすることも可能である。また、特定の、アニメのキャラクタや、タレントの歯の特徴を強調するものであってもよい。家庭で、父親が悪者などに扮することで、小さな子供たちはやんやの喝采を送るようになる。
【0020】
次に、上記の歯牙具10の製造方法を説明する。
(1)石膏模型Mの作製
まず、図4に示すように、使用者の石膏模型Mを作製する。石膏模型Mの作製には、印象剤を調整してトレーに入れ、使用者の歯牙に押し当て、印象剤内に歯牙を埋没させる。ある程度の時間をおくと、印象剤が少し収縮して固まり出すので、歯牙から引き抜くのが容易になる。この操作が、印象採取である。印象剤は、凝固して、使用者の口腔内の歯牙の状態を忠実に反映する。これに石膏を流し込んで、固まらせると、使用者の石膏模型Mができあがる。
(2)熱可塑性樹脂板
厚み0.5mmから2mm程度の透明な熱可塑性樹脂の薄板30を用意する。たとえば、山八歯材工業株式会社製のスプリント用ジスクという樹脂板(厚み1.0mmまたは1.5mm)を用いるのがよい。
(3)成形
次に、成形加工について説明する。成形に用いる装置は、山八歯材工業株式会社製のバキュームアダプターI型を用いるのがよい。成型は、このバキュームアダプターI型内で行われる。まず石膏模型Mに、上記の熱可塑性樹脂の薄板(以下、樹脂板と記す)30を載せて、加熱しながら、樹脂板30を石膏模型Mに押し付けるように気圧をかける。加熱は、60℃〜100℃の範囲内に加熱することが望ましい。これによって樹脂板30は、図5に示すように、変形して石膏模型Mに密着する。または、石膏模型Mの側から樹脂板30を吸引して変形させることで、石膏模型Mに樹脂板30を密着させることもできる。樹脂板30が、石膏模型Mに密着したことを確認したら、冷却する。数分〜数十分程度で、室温にまで冷却するのがよい。上記の手順で、石膏模型Mから、樹脂板30を外すと、口蓋被覆部3と、歯牙被覆部4と、余剰部とからなる成形されたものを得る。図5および図6では、繰り返し製造して、余剰部をほとんど出さない樹脂板30の必要最小限のサイズを用いて、石膏模型Mに密着させた場合を示す。
(4)余剰部などの整形
図6の状態の成形加工された樹脂の、余剰部は、ナイフ等で切り落とすことで、整形する。歯牙被覆部4の各歯に合わせて、前面部の端を山形(波形)に整形してもよい。
(5)変身歯の固定
変身歯15は前もって準備しておく。変身歯の材質は、樹脂、セラミックス、ガラス、金属、木工品、漆器など、どのようなものでもよい。模様、色彩、形状を工夫して、相手に与える印象を考慮して決める。このような変身歯15を、歯牙被覆部4の中の、いずれかの歯牙の前面部に接着剤、たとえば即時重合レジン等で固定する。
【0021】
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2における着脱自在歯牙具すなわち歯牙具10を正面側から見た斜視図である。本実施の形態では、歯牙被覆部4は、右2番〜右4番、および左2番〜左4番を被覆するように形成されている点に特徴がある。右1番および左1番に対応する部分は、除かれて、抜き部(除去部)Kとされている。その他の部分は、実施の形態1における歯牙具10と同じである。変身歯15の形状、位置、取付方法なども、実施の形態1におけるものと同じである。
実施の形態1では歯牙非腹部4は、全部で8本の歯牙(R1〜R4、L1〜L4)を被覆していたが、本実施の形態では、歯牙被覆部4は、全部で6本の歯牙(R2〜R4、L2〜L4)を被覆する。上記6本の歯牙(R2〜R4、L2〜L4)は、形状が複雑であり、印象採取してぴったり適合する歯牙被覆部4を作製するので、装着安定性については全く問題ない。
【0022】
図8は、図7に示した歯牙具10を後ろから見た斜視図である。また、図9は、使用者が、図7〜図8に示す歯牙具10を装着した状態を示す図である。実施の形態1の歯牙具に比べて、前歯2本(R1およびL1)の部分が抜き部Kとされているので、自前の歯(R1およびL1)が露出する。このため、使用者は舌先の運動に、実施の形態1の歯牙具10ほど障害を感じずに、話をすることができる。また、自身の前歯2本(R1およびL1)で物を噛んだり、または噛み切ったりすることができる。このため、余興の演技の幅を広げることができる。さらに、使用者自身の前歯(R1およびL1)が公衆の目に直接さらされるので、本当らしさ(迫真性)が高まり、変身歯15が与える印象の強烈性を高めることができる。また、抜き部Kがあるので、長時間の装着にも窮屈感を感じる程度を小さくすることができる。
【0023】
(実施の形態3)
図10は、本発明の実施の形態3における歯牙具10を正面側から見た斜視図である。本実施の形態では、歯牙被覆部4は、右1番〜右4番、および左1番〜左4番を被覆するように形成されていて、変身歯15が、全部で6本、右1番〜右3番、および左1番〜左3番に、設けられている点に特徴がある。歯牙被覆部4の形態は、実施の形態1と同じである。変身歯15を6本、右1番〜右3番、および左1番〜左3番に、配置することで、相手に与える印象をより強くすることができる。
【0024】
(実施の形態4)
図11は、本発明の実施の形態4における歯牙具10を正面側から見た斜視図である。本実施の形態では、歯牙被覆部4は、右1番〜右4番、および左1番〜左4番を被覆するように形成されていて、下広のごつい変身歯15が、2本、右1番および左1番に、設けられている点に特徴がある。歯牙被覆部4の形態は、実施の形態1と同じである。上記の2本の変身歯15によって、極度の出っ歯という印象を与えることができる。本実施の形態のように、変身歯15の形状、大きさを少し変えるだけで、使用者の印象を大きく変えることができる。
【0025】
(インターネットの利用)
この着脱自在歯牙具10は、インターネットを利用して販売することができる。インターネットによって購入希望の申し込みを受けたとき、印象剤、印象剤の調整方法の説明書、トレー等を郵送する。使用者は、自ら、印象剤を調整してトレーに入れて、自分の口腔内の歯牙に印象剤を押し当て、歯牙を印象剤内に埋没させる。歯牙部分を凹部とする固まった印象剤、すなわち採取された印象を、郵送により、販売者に送り返す。販売者サイドでは、この採取された印象をもとにして石膏模型Mを作製することができる。このあとの製造工程は、上述のとおりである。これによって、オーダーメードの着脱自在歯牙具10を得ることができる。
インターネットを用いずに販売することは、言うまでもなく、可能である。要するに、販売形態はどのようなものであってもよい。
【0026】
(その他の実施の形態)
変身歯については、4例のみを示したが、変身歯はほんのわずか形状、色彩等を変えるだけで、使用者の印象を大きく変えることができる。変身歯であるかぎり、表情を千変万化に変えた変身歯であっても、本発明の実施例における歯牙具の変身歯ということができる。
【0027】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明によれば、相手に与える印象を瞬時に変えて驚かすことができる、着脱自在歯牙具、およびその製造方法を得ることができる。また、インターネット等を利用して使用者の口腔内の歯牙状態に合わせたオーダーメードの歯牙被覆部および口蓋被覆部とすることができる。
【符号の説明】
【0029】
3 口蓋被覆部、4 歯牙被覆部、10 着脱自在歯牙具、15 変身歯、30 樹脂板、b 裏面部、f 前面部、t 頂部、R2f 右2番被覆の前面部、R2b 右2番被覆の裏面部、K 抜き部(除外部)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、イベント時の変身、歯牙関連のおしゃれ等に用いることができる、着脱自在歯牙具およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
若者を中心に我が国に定着したコスプレの例に見られるように、ヒトには自分以外の者になりたい、または自分以外の者になって他人を驚かせたい等の、遊び心が普遍的にある。たとえば、イベント等において、プレイヤが変装、変身などによって聴衆の遊び心を刺激して喝采をあびることはよく目にすることである。このような変身、変装などには小道具を伴うことが多い。たとえば、瞬間的に変身するための瞬間変身シャツ(特許文献1)や、ヒーロー瞬間変身法(特許文献2)が提案されている。瞬間的にこれら衣服という小道具を部分的に裏返すなどすることで、参加者の意表をついて拍手喝采を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−308856号公報
【特許文献2】特開2006−200103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の変身の小道具は衣服であり、顔の印象等は大きく変えることはできない。顔の印象を大きく変えるものに、歯牙がある。白い清潔な歯は、健康で快活な印象を与えるため、多くの歯科医院では、美容を目的として付け歯を用いることがある。付け歯は、歯の1本分の表面に貼り付けられるセラミック製シェル(薄片)である。すなわち、付け歯の取り付けは、たとえばよく目立つ前歯の前面に、当該白いセラミック製シェルを貼り付けることで行われる。このため、付け歯は、着脱を簡単に行うことはできず、したがいイベントでの参加者を相手に瞬間に変身することなどに応用することはできない。
本発明は、相手に与える印象を瞬時に変えて驚かすことができる、着脱自在歯牙具およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の着脱自在歯牙具は、着脱自在に歯牙に取り付けられる。この着脱自在歯牙具は、生活歯の前面、頂部および裏面を被覆しながら口蓋へと連続する被覆部と、被覆部に固定された、1つまたは2つ以上の変身歯とを備え、被覆部は、一体成形加工された樹脂からなることを特徴とする。
【0006】
この構成によって、使用者は、被覆部で自分の歯牙を被覆することで、瞬時にこの歯牙具を装着し、その特異な変身歯を相手に印象づけることができる。変身歯は、被覆部における、歯牙(とくに前歯)の前面を被覆する前面部に固定するのが普通である。これによって、各種のパーティ等において、意外性を印象づけて喝采等を博すことができる。そして、被覆部は樹脂でできているので、弾性変形能が大きいため、自分の歯牙から簡単に外すことができる。すなわち、装着と離脱とを自分の手の動作により、簡単に、かつ瞬時に行うことができる。ここで、変身歯は、形、色および模様のうちの少なくとも一つにおいて、通常の前歯と相違しており、相手(聴衆)の受けを狙った奇抜な歯をいう。なお、この着脱自在歯牙具は、上顎でも下顎でもよいが、上顎の歯は、下顎よりも前面に出るので、相手への印象という点で、上顎を対象にする場合が多い。
【0007】
上記の被覆部は、左1番〜4番、および右1番〜4番の前歯、または、該前歯のうちの数本、を被覆しているものとできる。これによって、相手の視野に入りやすい、前歯の位置について変身歯を固定することができる。
【0008】
上記の被覆部を、透明な樹脂で形成することができる。これによって、被覆部は相手からほとんど見えず、本当に変身歯が、使用者の歯列の中に生えていると思わせることができる。
【0009】
上記の被覆部において、いずれかの前歯を被覆する部分を除くことができる。これによって、自分の歯牙への被覆を最小にして、長時間装着しても不快感を生じにくくできる。また、相手(聴衆)に対して、使用者の実際の歯を見せるので、相手が受ける迫真感、本当らしさを高めることができる。
【0010】
除かれた部分を、左1番および右1番の被覆部分とすることができる。これによって、一番の前歯2本への被覆をすることなくこの歯牙具を装着することになる。このため、前歯2本が自然な状態(透明樹脂または樹脂で被覆されていない状態)であることを相手に強く印象づけることができる。すなわち使用者の自然な状態の歯を見せることで、変身歯も使用者の歯であることを、相手に対して錯覚させやすい。また、使用者にしても、装着した状態で拘束感、圧迫感等を少なくできる。
【0011】
本発明の着脱自在歯牙具の製造方法は、着脱自在に歯牙に取り付けられる着脱自在歯牙具を製造する。この製造方法は、使用者の歯牙の石膏模型を作製する工程と、熱可塑性樹脂の薄板を準備する工程と、石膏模型に熱可塑性樹脂の薄板を載せて、加熱しながら、気圧をかけて、または吸引して、熱可塑性樹脂の薄板を変形させて石膏模型に密着させて、被覆部を形成する工程と、被覆部を石膏模型から外して、整形する工程と、被覆部に変身歯を固定する工程とを備えることを特徴とする。
【0012】
上記の製造方法によって、熱可塑性樹脂によって、被覆部を一体成形加工により作製して、これに変身歯を固定することができる。固定位置は、アイドルの八重歯の位置、またはドラキュラの牙の位置などを参考にして、その変身対象に応じて変えることができる。上記の方法によれば、被覆部は、マウスピース等を作製する装置を用いて簡単に製造できる。この被覆部に、手作りを含めた適当な方法で作製した変身歯を、手仕事で固定することができる。固定には、歯科用材料として実績のある、常温重合レジン等を用いることができる。
【0013】
使用者の歯牙の石膏模型を作製する工程では、供給者のウエブサイトへの申し込みに応じて、供給者から使用者へと郵送された印象剤を、該使用者が調整してトレーに入れて、当該使用者が自身の歯牙に押し当てて、歯形の印象採取を行い、供給者に送り返してきた採取された印象に基づいて、該供給者が石膏模型を作製するという手順をとることができる。この場合、印象剤を用いて印象採取を行う際の要領をウエブサイトで丁寧に説明することが望ましい。その他、供給者は、所定のチェーン店と取引関係を結び、予め印象採取に必要なセットをそのチェーン店に配布しておき、使用者からのウエブサイトへの申し込みに対して、そのチェーン店を指定して印象採取のセットを購入するように指示する方式をとってもよい。この場合も、使用者は自分で自身の印象採取を行って、供給者に採取した印象を送ることになる。この後の工程は、同じである。これによって、各地にいる依頼者の依頼に応じて、依頼者の歯形等に適合した被覆部を作製することができる。変身歯はウエブサイトに多くの種類の変身歯を陳列することで、依頼者の指示によって選択することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、相手に与える印象を瞬時に変えて驚かすことができる、着脱自在歯牙具およびその製造方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1における着脱自在歯牙具を示し、(a)は前面側から見た斜視図、(b)は(a)におけるIB−IB線に沿う断面図、(c)は(a)におけるIC−IC線に沿う断面図、である。
【図2】図1の着脱自在歯牙具を後ろ側から見た斜視図である。
【図3】図1の着脱自在歯牙具を装着した使用者を正面から見た図である。
【図4】本実施の形態の着脱自在歯牙具の製造方法を説明するための図である。
【図5】石膏模型に、熱可塑性樹脂を密着させた状態を示す図である。
【図6】石膏模型に密着して外した状態の熱可塑性樹脂を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態2における、抜き部のある着脱自在歯牙具を示す図である。
【図8】図7の着脱自在歯牙具を後ろ側から見た斜視図である。
【図9】図7の着脱自在歯牙具を装着した使用者を正面から見た図である。
【図10】本発明の実施の形態3における着脱自在歯牙具を示す斜視図である。
【図11】本発明の実施の形態4における着脱自在歯牙具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における着脱自在歯牙具10を正面側から見た斜視図である。以後、着脱自在歯牙具を単に歯牙具と記す。図1(a)は、歯牙具10を正面側から見た斜視図であり、図1(b)はIB−IB線に沿う断面図であり、また図1(c)はIC−IC線に沿う断面図である。この歯牙具10は、上顎用である。図1(a)において、口蓋被覆部3は口蓋の前側部分に当接する部分であり、歯牙を被覆する歯牙被覆部4と連続している。歯牙具10において、口蓋被覆部3以外の残りの部分は、歯牙被覆部4である。歯牙被覆部4は、右1番〜右4番、および左1番〜左4番を被覆するように形成されている。変身歯15以外の部分は、すべて一体成形加工された透明樹脂で形成されている。変身歯15は、右3番R3の前面部fと、左3番L3の前面部fと、にそれぞれ1つずつ固定されている。歯牙被覆部4において、歯牙前面に当たって被覆する部分は前面部fの記号、歯牙裏面に当たって被覆する部分は裏面部bの記号、歯牙頂部に当たって被覆する部分は頂部tの記号を用いる。これに、各歯牙の番号、R2(右2番歯)やL2(左2番歯)などの歯牙番号を付ける。
変身歯15は、通常の前歯の約2倍の長さをもつ。変身歯15の色は何でもよいが、たとえば黄色、白色、乳白色等としてもよい。蛍光を発するものであってもよい。また、小さい、ガラス玉、紅玉などの小粒の宝石類がちりばめられた変身歯であってもよい。幅は通常の前歯よりやや大きい程度であるが、厚みは2倍〜3倍程度とされている。
【0017】
図1(b)は、右2番の歯牙被覆部の断面図である。図1(b)によれば、右2番歯R2(図1(b)では空隙)は、前面部fと、頂部tと、裏面部bとで被覆され(又は、囲まれ)ている。左右1番〜2番は平板状であり、図1(b)の歯牙被覆部と同じような形態で、左右1番〜2番は被覆される。
図1(c)は、右3番R3の前面部fに固定された変身歯15の部分の縦断面図である。右左に関係なく、3番の歯は、犬歯と呼ばれ、平板状ではなく、三角錐状になる。このため、図1(c)に示すように、右3番R3の、前面部fと、頂部tと、裏面部bとが囲む空隙の形状は、上方に広がったものとなる。変身歯15は、前面部fの表面に常温重合レジン等を接着剤にして固定される。
【0018】
図2は、図1に示した歯牙具10を後ろから見た斜視図である。後ろから見ると、4番R4,L4の裏面部bおよび頂部tと、3番R3,L3の犬歯の裏面部bおよび頂部tとについて、これらの歯牙に特有の形状を写し取った被覆部を見ることができる。3番歯R3,L3の裏面部bは3角錐状を呈するが、4番歯R4,L4の裏面部bおよび頂部tは臼状を呈している。これらの歯牙被覆部4が弾性変形しながら歯牙を被覆することで、この歯牙被覆部単独で、または口蓋被覆部3と協働して、装着した状態の安定維持を得ることができる。
【0019】
図3は、使用者が、図1〜図2に示す歯牙具10を装着した状態を示す図である。使用者は、舞台等で注目を浴びているとき、一瞬後ろを向いて歯牙具10を装着して、再び前を見たとき人工牙(歯牙具)を装着した変身顔を公衆に見せることができる。本実施の形態では、変身歯はドラキュラ伯爵の牙を付けた歯牙具であるが、牙のほかに、鮫、虎、オオカミ男、出っ歯、鬼、八重歯等とすることも可能である。また、特定の、アニメのキャラクタや、タレントの歯の特徴を強調するものであってもよい。家庭で、父親が悪者などに扮することで、小さな子供たちはやんやの喝采を送るようになる。
【0020】
次に、上記の歯牙具10の製造方法を説明する。
(1)石膏模型Mの作製
まず、図4に示すように、使用者の石膏模型Mを作製する。石膏模型Mの作製には、印象剤を調整してトレーに入れ、使用者の歯牙に押し当て、印象剤内に歯牙を埋没させる。ある程度の時間をおくと、印象剤が少し収縮して固まり出すので、歯牙から引き抜くのが容易になる。この操作が、印象採取である。印象剤は、凝固して、使用者の口腔内の歯牙の状態を忠実に反映する。これに石膏を流し込んで、固まらせると、使用者の石膏模型Mができあがる。
(2)熱可塑性樹脂板
厚み0.5mmから2mm程度の透明な熱可塑性樹脂の薄板30を用意する。たとえば、山八歯材工業株式会社製のスプリント用ジスクという樹脂板(厚み1.0mmまたは1.5mm)を用いるのがよい。
(3)成形
次に、成形加工について説明する。成形に用いる装置は、山八歯材工業株式会社製のバキュームアダプターI型を用いるのがよい。成型は、このバキュームアダプターI型内で行われる。まず石膏模型Mに、上記の熱可塑性樹脂の薄板(以下、樹脂板と記す)30を載せて、加熱しながら、樹脂板30を石膏模型Mに押し付けるように気圧をかける。加熱は、60℃〜100℃の範囲内に加熱することが望ましい。これによって樹脂板30は、図5に示すように、変形して石膏模型Mに密着する。または、石膏模型Mの側から樹脂板30を吸引して変形させることで、石膏模型Mに樹脂板30を密着させることもできる。樹脂板30が、石膏模型Mに密着したことを確認したら、冷却する。数分〜数十分程度で、室温にまで冷却するのがよい。上記の手順で、石膏模型Mから、樹脂板30を外すと、口蓋被覆部3と、歯牙被覆部4と、余剰部とからなる成形されたものを得る。図5および図6では、繰り返し製造して、余剰部をほとんど出さない樹脂板30の必要最小限のサイズを用いて、石膏模型Mに密着させた場合を示す。
(4)余剰部などの整形
図6の状態の成形加工された樹脂の、余剰部は、ナイフ等で切り落とすことで、整形する。歯牙被覆部4の各歯に合わせて、前面部の端を山形(波形)に整形してもよい。
(5)変身歯の固定
変身歯15は前もって準備しておく。変身歯の材質は、樹脂、セラミックス、ガラス、金属、木工品、漆器など、どのようなものでもよい。模様、色彩、形状を工夫して、相手に与える印象を考慮して決める。このような変身歯15を、歯牙被覆部4の中の、いずれかの歯牙の前面部に接着剤、たとえば即時重合レジン等で固定する。
【0021】
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2における着脱自在歯牙具すなわち歯牙具10を正面側から見た斜視図である。本実施の形態では、歯牙被覆部4は、右2番〜右4番、および左2番〜左4番を被覆するように形成されている点に特徴がある。右1番および左1番に対応する部分は、除かれて、抜き部(除去部)Kとされている。その他の部分は、実施の形態1における歯牙具10と同じである。変身歯15の形状、位置、取付方法なども、実施の形態1におけるものと同じである。
実施の形態1では歯牙非腹部4は、全部で8本の歯牙(R1〜R4、L1〜L4)を被覆していたが、本実施の形態では、歯牙被覆部4は、全部で6本の歯牙(R2〜R4、L2〜L4)を被覆する。上記6本の歯牙(R2〜R4、L2〜L4)は、形状が複雑であり、印象採取してぴったり適合する歯牙被覆部4を作製するので、装着安定性については全く問題ない。
【0022】
図8は、図7に示した歯牙具10を後ろから見た斜視図である。また、図9は、使用者が、図7〜図8に示す歯牙具10を装着した状態を示す図である。実施の形態1の歯牙具に比べて、前歯2本(R1およびL1)の部分が抜き部Kとされているので、自前の歯(R1およびL1)が露出する。このため、使用者は舌先の運動に、実施の形態1の歯牙具10ほど障害を感じずに、話をすることができる。また、自身の前歯2本(R1およびL1)で物を噛んだり、または噛み切ったりすることができる。このため、余興の演技の幅を広げることができる。さらに、使用者自身の前歯(R1およびL1)が公衆の目に直接さらされるので、本当らしさ(迫真性)が高まり、変身歯15が与える印象の強烈性を高めることができる。また、抜き部Kがあるので、長時間の装着にも窮屈感を感じる程度を小さくすることができる。
【0023】
(実施の形態3)
図10は、本発明の実施の形態3における歯牙具10を正面側から見た斜視図である。本実施の形態では、歯牙被覆部4は、右1番〜右4番、および左1番〜左4番を被覆するように形成されていて、変身歯15が、全部で6本、右1番〜右3番、および左1番〜左3番に、設けられている点に特徴がある。歯牙被覆部4の形態は、実施の形態1と同じである。変身歯15を6本、右1番〜右3番、および左1番〜左3番に、配置することで、相手に与える印象をより強くすることができる。
【0024】
(実施の形態4)
図11は、本発明の実施の形態4における歯牙具10を正面側から見た斜視図である。本実施の形態では、歯牙被覆部4は、右1番〜右4番、および左1番〜左4番を被覆するように形成されていて、下広のごつい変身歯15が、2本、右1番および左1番に、設けられている点に特徴がある。歯牙被覆部4の形態は、実施の形態1と同じである。上記の2本の変身歯15によって、極度の出っ歯という印象を与えることができる。本実施の形態のように、変身歯15の形状、大きさを少し変えるだけで、使用者の印象を大きく変えることができる。
【0025】
(インターネットの利用)
この着脱自在歯牙具10は、インターネットを利用して販売することができる。インターネットによって購入希望の申し込みを受けたとき、印象剤、印象剤の調整方法の説明書、トレー等を郵送する。使用者は、自ら、印象剤を調整してトレーに入れて、自分の口腔内の歯牙に印象剤を押し当て、歯牙を印象剤内に埋没させる。歯牙部分を凹部とする固まった印象剤、すなわち採取された印象を、郵送により、販売者に送り返す。販売者サイドでは、この採取された印象をもとにして石膏模型Mを作製することができる。このあとの製造工程は、上述のとおりである。これによって、オーダーメードの着脱自在歯牙具10を得ることができる。
インターネットを用いずに販売することは、言うまでもなく、可能である。要するに、販売形態はどのようなものであってもよい。
【0026】
(その他の実施の形態)
変身歯については、4例のみを示したが、変身歯はほんのわずか形状、色彩等を変えるだけで、使用者の印象を大きく変えることができる。変身歯であるかぎり、表情を千変万化に変えた変身歯であっても、本発明の実施例における歯牙具の変身歯ということができる。
【0027】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明によれば、相手に与える印象を瞬時に変えて驚かすことができる、着脱自在歯牙具、およびその製造方法を得ることができる。また、インターネット等を利用して使用者の口腔内の歯牙状態に合わせたオーダーメードの歯牙被覆部および口蓋被覆部とすることができる。
【符号の説明】
【0029】
3 口蓋被覆部、4 歯牙被覆部、10 着脱自在歯牙具、15 変身歯、30 樹脂板、b 裏面部、f 前面部、t 頂部、R2f 右2番被覆の前面部、R2b 右2番被覆の裏面部、K 抜き部(除外部)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱自在に歯牙に取り付けられる着脱自在歯牙具であって、
生活歯の前面、頂部および裏面を被覆しながら口蓋へと連続する被覆部と、
前記被覆部に固定された、1つまたは2つ以上の変身歯とを備え、
前記被覆部は、一体成形加工された樹脂からなり、前記生活歯を被覆することで装着されることを特徴とする、着脱自在歯牙具。
【請求項2】
前記被覆部は、左1番〜4番、および右1番〜4番の前歯、または、該前歯のうちの数本、を被覆していることを特徴とする、請求項1に記載の着脱自在歯牙具。
【請求項3】
前記被覆部が、透明な樹脂で形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の着脱自在歯牙具。
【請求項4】
前記被覆部において、前記いずれかの前歯を被覆する部分が除かれていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の着脱自在歯牙具。
【請求項5】
前記除かれた部分は、左1番および右1番の被覆部分であることを特徴とする、請求項4に記載の着脱自在歯牙具。
【請求項6】
着脱自在に歯牙に取り付けられる着脱自在歯牙具の製造方法であって、
使用者の歯牙の石膏模型を作製する工程と、
熱可塑性樹脂の薄板を準備する工程と、
前記石膏模型に前記熱可塑性樹脂の薄板を載せて、加熱しながら、気圧をかけて、または吸引して、前記熱可塑性樹脂の薄板を変形させて前記石膏模型に密着させて、被覆部を形成する工程と、
前記被覆部を前記石膏模型から外して、整形する工程と、
前記被覆部に変身歯を固定する工程とを備えることを特徴とする、着脱自在歯牙具の製造方法。
【請求項1】
着脱自在に歯牙に取り付けられる着脱自在歯牙具であって、
生活歯の前面、頂部および裏面を被覆しながら口蓋へと連続する被覆部と、
前記被覆部に固定された、1つまたは2つ以上の変身歯とを備え、
前記被覆部は、一体成形加工された樹脂からなり、前記生活歯を被覆することで装着されることを特徴とする、着脱自在歯牙具。
【請求項2】
前記被覆部は、左1番〜4番、および右1番〜4番の前歯、または、該前歯のうちの数本、を被覆していることを特徴とする、請求項1に記載の着脱自在歯牙具。
【請求項3】
前記被覆部が、透明な樹脂で形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の着脱自在歯牙具。
【請求項4】
前記被覆部において、前記いずれかの前歯を被覆する部分が除かれていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の着脱自在歯牙具。
【請求項5】
前記除かれた部分は、左1番および右1番の被覆部分であることを特徴とする、請求項4に記載の着脱自在歯牙具。
【請求項6】
着脱自在に歯牙に取り付けられる着脱自在歯牙具の製造方法であって、
使用者の歯牙の石膏模型を作製する工程と、
熱可塑性樹脂の薄板を準備する工程と、
前記石膏模型に前記熱可塑性樹脂の薄板を載せて、加熱しながら、気圧をかけて、または吸引して、前記熱可塑性樹脂の薄板を変形させて前記石膏模型に密着させて、被覆部を形成する工程と、
前記被覆部を前記石膏模型から外して、整形する工程と、
前記被覆部に変身歯を固定する工程とを備えることを特徴とする、着脱自在歯牙具の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−264080(P2010−264080A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−118195(P2009−118195)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(509136530)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(509136530)
【Fターム(参考)】
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