着臭剤の頭内神経への神経興奮性および/または神経抑制性作用を用いてBBBおよび脳循環の特性を加減する方法および装置
患者の脳の特性を加減するための方法が、患者の気道に着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、患者の全身血液循環から脳の血液脳関門(BBB)を通じて患者の脳組織への分子の伝導性を増大させるためであるという理由で気道に与えるために選択されている。分子は、薬物、治療薬、内因性物質、および診断手順を促進するための薬剤より成る群から選択される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の説明)
本出願は、本特許出願の譲受人に譲渡され、本明細書中で参考によって援用されている、2002年4月25日に出願された「頭内神経の着臭剤の神経興奮性および/または神経抑制性作用を用いてBBBおよび脳循環の特性を加減する方法および装置」と称する、シャレフ(Shalev)に対する米国仮特許出願第60/376,048号からの優先権を請求する。
【0002】
本出願は、本特許出願の譲受人に譲渡され、本明細書中で参考によって援用されている、「血液−脳関門および頭部血流の特性を加減することによる心身の異常な状態の治療」と称する、2003年4月8日に出願された、グロス(Gross)らに対する米国仮特許出願からの優先権をも請求する。
【0003】
本発明は、一般に医療処置および電子デバイスに関する。より具体的には、本発明は、頭部、例えば鼻腔における移植のための電子デバイスの使用に関する。本発明は、臨床症状の治療のために神経作用を誘発し、または抑制する着臭剤を使用するための方法にも関する。本発明は、薬剤を投与し、偏頭痛および群発性頭痛などの発作および頭痛を治療し、かつ脳血流を改善するための装置および方法にも関する。
【背景技術】
【0004】
血液−脳関門(BBB)は、脳を全身血液循環から分離する中枢神経系(CNS)の固有の特徴である。CNSの恒常性を維持するために、BBBは血液中を循環する多くの物質の脳へのアクセスを阻止する。
【0005】
BBBは、内皮細胞、大グリア、血管周囲細胞、脈管周囲マクロファージ、および基底膜の複雑な細胞系によって形成されている。他の組織と比べ、脳の内皮は最も親密な細胞間接続を有する。すなわち、内皮細胞は互いに強く接着し、「密着結合」または閉鎖帯と呼ばれるCNSに対して特異的な構造を形成する。それらは2つの対向する血漿膜を有し、これらはどちらか一方での細胞質密度による膜融合を形成する。これら密着結合は、内皮細胞間の細胞移動または細胞運動を妨げる。連続的に均一の基底膜が脳の毛細血管を包囲する。この基底膜は、間欠的な層を形成し、おそらく食細胞活動、およびBBBが侵害された場合には、防御における何らかの役割を果たす、血管周囲細胞と呼ばれる収縮性細胞を取り囲む。脳の毛細血管を覆う星状細胞末端足は、連続的なスリーブを構成し、それらのBBB特性を発展させるために内皮細胞にとって重要な可溶性成長因子(例えば、ガンマ−グルタミルトランスペプチダーゼ)の合成および分泌によってBBBの完全性を維持する。
【0006】
BBBのため、血流を通じた化合物の全身導入に基づく脳の一部の非外科的治療は、無効であり、または効果が低かった。例えば、化学療法は、全身性癌(例えば、乳癌、小細胞肺癌、リンパ腫、および胚細胞腫瘍)のCNS転移の治療において比較的無効であったが、ただし、非CNS全身部位におけるこれらの腫瘍の臨床的後退および完全寛解は認められた。血液からCNSへの薬物送達を決定する最も重要な因子は、液体溶解度、分子量、および電荷である。オクタノール/水分配係数で表される薬物の液体溶解度と、BBBを通じた薬物の浸透または拡散能との優れた相関が存在する。これは特に600ダルトン(Da)より小さい分子量の薬物にとって重要である。正常なBBBは、180Daより大きい分子量のイオン化水可溶性薬物の通貨を阻止する。しかし、大部分の現在入手可能で有効な化学療法剤は、分子量が200〜1200Daである。したがって、それらの液体溶解度および分子量に基づき、多くの薬剤の通過がBBBによって妨げられている。
【0007】
脂肪親和性薬剤の経細胞拡散に加えて、脳の内皮細胞を通じて特定の分子を運ぶ特殊な輸送機構がいくつか存在する。特殊な輸送タンパク質が、糖やアミノ酸など必須分子のために存在する。また、吸収性エンドサイトーシスおよびトランスサイトーシスが、陽イオン血漿タンパク質のために生じる。トランスフェリンおよびインスリンなど特定のタンパク質の特異的受容体が、細胞を通じてエンドサイトーシスおよび輸送を仲介する。
【0008】
神経疾患の非外科的治療は一般に、神経関連活動および疾患を治療し、緩和しうる神経薬および他の神経活性剤など化合物の全身導入に限定されている。しかし、かかる治療は、BBBを通過する比較的少数の周知の化合物によって制約されている。BBBを横断することがないものであっても、しばしば体の他の部分または脳の非標的部位における有害な反応をひき起こす。
【0009】
具体的には、脳への薬物のアクセスの制約を克服するBBBを横断する努力に関する多くの異なる研究が行われている。かかる努力としては、例えば、化学的修飾、より疎水性類似体の開発、または活性化合物の特定の担体への結合が挙げられる。ヒトにけるBBBの一次的な開放は、高張性マニトール溶液またはブラジキニン類似体の手根内注入によって達成されている。また、その基質が脳細胞から毛細血管腔へ活発に押出されるP−糖タンパクの調節も、薬物の脳への送達を促進することがわかっている。しかし、上記の処置のそれぞれの固有の制約により、依然として、BBBを横断するより一般的で有効な、かつ予測可能な方法が必要とされている。
【0010】
脳血流を調節するための制御可能手段を開発することも望ましいであろう。発作、偏頭痛、およびアルツハイマー病などの多くの病的状態は、異常な脳血流によって著しく影響され、または増悪されるのである。
【0011】
特許文献1は、本明細書中で参考によって援用されるが、血液脳関門の浸透を強化する治療薬のエーロゾルを経鼻投与するための方法を記載している。同特許は、経鼻適用のために設計された定量スプレーであって、少なくとも1つの性ホルモンまたは性ホルモンの少なくとも1つの代謝前駆体または性ホルモンの少なくとも1つの誘導体またはこれらの組合せを、テストステロンの前駆体を例外として、またはカテコールアミンを除く、少なくとも1つの生体アミンを含有するスプレーを記載している。
【0012】
特許文献2は、本明細書中で参考によって援用されるが、血液脳関門を通じた化合物のイメージガイド超音波送達のための装置を記載している。超音波は、脳内の部位に適用され、その位置における組織および/または体液中で画像によって検出可能な変更を達成する。選択位置の近くの脳の少なくとも一部分が、例えば磁気共鳴画像法によって撮像され、その変更の位置を確認する。患者の血流中の化合物、例えば神経薬が、超音波を適用することによって確認された位置に送達され、その位置での血液脳関門の開放を達成し、それによって、そこでの化合物の取込みを誘導する。
【0013】
以下の非特許文献が、本明細書中で参考によって援用されるが、これらは有用と思われる。
【特許文献1】米国特許第5,756,071号
【特許文献2】米国特許第5,752,515号
【非特許文献1】デレピン(Delepine)L、オービニュウ(Aubineau)P、「副交感神経翼口蓋神経節の刺激によるラット硬膜において誘発される血漿タンパク質浸出(Plasma protein extravasation induced in the rat dura mater by stimulation of the parasympathetic sphenopalatine ganglion)」、Experimental Neurology、1997年(147)、pp,389−400
【非特許文献2】ハラ(Hara)H、ザング(Zhang)QJ、クロヤナギ(Kuroyanagi)T、コバヤシ(Kobayashi)S、「副交感神経脳血管刺激:ラトにおける翼口蓋神経節からの前方トレース(Parasympathetic cerebrovascular innervation: An anterograde tracing from the sphenopalatine ganglion in the rat)Neurologgy,1993(32)、pp.822−827
【非特許文献3】ジョリエット・リアント(Jolliet−Riant)P、チレメント(Tillement)JP、「血液脳関門を通じた薬物輸送および脳送達の改善(Drug transfer across the blood−brain barrie and improvement of brain delivery)」、Fundam.Clin. Pharmacol.、1999年(13)、pp.16−25
【非特許文献4】クロル(Kroll)RA、ノイウェルト(Neuwelt)EA、「治療目的の血液脳関門の対処:浸透開放および他の手段(Outwitting the blood brain barrier for therapeutic purposes: Osmotic opening and other means)」、Neurosurgery、1998年(42)、pp.1083−1100
【非特許文献5】サンダース(Sanders)M、ズルモンド(Zuurmond)WW、「群発性頭痛に罹患した患者66例における翼口蓋神経節遮断の効果:12〜70か月フォローアップ評価(Efficacy of sphenopalatine ganglion blockade in 66 patients suffering from cluster headache:A 12−70 month follow−up evaluation)」、Journal of Neurosurgery、1997年(87)、pp.876−880
【非特許文献6】シエラツ(Syelaz)J、ハラ(Hara)H、ピナルド(Pinard)E、ムラボビッチ(Mraovitch)S、マクケンジー(MacKenzie)ET、エビンソン(Edvinsson)L、「ラットにおける皮質血流に対する翼口蓋神経節の刺激の効果(Effects of stimulation of the sphenopalatine ganglion on cortical blood flow in the rat)」、Journal of Cerebral Blood1988年(8)、pp.875−878
【非特許文献7】ヴァンデウォータービームド(Van de Waterbeemd)H、カメニッシュ(Camenisch)G、フォルカース(Folkers)G、クレチエン(Chretien)JR、ラブスキー(Raevsky)OA、「分子サイズおよび形状およびh結合記述子を用いた薬物の血液脳関門横断の評価(Estimation of blood brai barrier crossing of drugs using molecular size and shape and h bonding descriptors)」、Journal of Drug Targeting、1998年(6)、pp.151−165
【非特許文献8】スズキ(Suzuki)N、ハルデボ(Hardebo)JE、カフルストローム(Kahrstrom)J、オーマン(Owman)C、「翼口蓋神経節を起点とする節後大脳血管副交感神経線維の選択的電気的刺激はラットにおける皮質血流を強化する(Selective electrical stimulation of postganglionic cerebrovascular parasympathetic nerve fibers originating from the sphenopalatine ganglion enhances cortical blood flow in the rat)」、Journal of Cerebral Blood Flow and Metabolism、1990年(10)、pp.383−391
【非特許文献9】スズキ(Suzuki)N、ハルデボ(Hardebo)JE、カフルストローム(Kahrstrom)J、オーマン(Owman)C、「ラットにおける三叉神経脳血管神経細胞の電気的刺激の皮質血流に対する効果(Effect on cortical blood flow of electrical stimulation of trigeminal cerebrovascular nerve fibres in therat)」、ActaPhysiol. Scand.、1990年(138)、pp.307−315
【非特許文献10】メジャー(Major)A、シルバー(Silver)W、「ラット鼻腔へ投与された着臭剤は皮質血流を増大させる(Odorants presented to the rat nasal cavity increase cortical blood flow)」、Chem. Senses、1999年(24)、pp.665−669
【非特許文献11】フスコ(Fusco)BM、フィオレ(Fiore)G、ガロ(Gallo)F、マルテレッティ(Martelletti)P、ジアコバッゾ(Giacovazzo)M、「群発性頭痛におけるカプサイシン感受性感覚ニュローン:病態生理学的側面および治療的指標(Capsaicin−sensitive’sensory neurons in cluster headache: pathophysiological aspects and therapeutic indications)」、Headache、1994年(34)、pp.132−137
【非特許文献12】ラムベルト(Lambert)GA、ボグダック(Bogduk)N、ゴーズビー(Goadsby)PJ、ダックワース(Duckworth)JW、ランス(Lance)JW、「三叉神経刺激に対するネコにおける頸動脈耐性の減少(Decreased carotid arterial resistance in cats in response to trigeminal stimulation)」、Journal of Neurosurgery、1984年(61)、pp.307−315
【非特許文献13】シルバー(Silver)WL、「鼻刺激のための神経および薬学的基礎(Neural and pharmacological basis for nasal irritation」、タッカー(Tucker)WG、リーデラー(Leaderer)BP、モルハブ(Molhave)L、ケイン(Cain)WS (編)、Sources of Indoor Air Contaminants,Ann.NY Acad.Sci、1992年(641)、pp.152−163
【非特許文献14】シルバー(Silver)W、ケメステーシス(Chemesthesis):緊急課題(the burning questions)、ChemoSense、1999年、第2巻、第1号、pp.1−2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の一部の態様の目的は、特にBBBを通じて、脳へ化合物を送達するための改善された方法および装置を提供することである。
【0015】
かかる化合物をBBBを通じて最小侵襲的な方法で送達するために使用されうる方法および装置を提供することが、本発明の一部の態様の目的でもある。
【0016】
さらに、BBBを通じて大分子量化合物の送達を促進しうる方法および装置を提供することが、本発明の一部の態様の別の目的でもある。
【0017】
さらに、血液脳関門を通じて化合物を送達するための費用対効果の高い方法および装置を提供することが、本発明の一部の態様の別の目的でもある。
【0018】
さらに、血液脳関門を通じた化合物の送達によって神経活動および疾患を治療し、または修正するための改善された方法および装置を提供することが、本発明の一部の態様の別の目的でもある。
【0019】
また、脳血流を調節することが、本発明の一部の態様の別の目的でもある。
【0020】
発作を治療するための改善された方法および装置を提供することが、本発明の一部の態様の追加の目的である。
【0021】
さらに、偏頭痛、群発性および他の種類の頭痛を治療するための改善された方法および装置を提供することが、本発明の一部の態様の追加の目的である。
【0022】
さらに、その予後および病的症状の評価が脳血流によって影響される神経疾患(例えば、アルツハイマー病)を治療するための改善された方法および装置を提供することが、本発明の一部の態様の追加の目的である。
【0023】
実際に脳内に移植されることなく、脳の特性に影響を及ぼす移植可能な装置を提供することが、本発明の一部の態様の目的でもある。特に、この装置は鼻腔に移植されうる。
【0024】
さらに、移植可能な装置を使用せずに脳の特性に影響を及ぼす方法を提供することが、本発明の一部の態様の別の目的である。特に、この方法は、鼻腔または咽喉など、患者の気道に着臭剤を与えるステップを含んで成る。
【0025】
さらに、頭内の神経に対する着臭剤の神経興奮性および/または神経抑制性作用を使用することによって脳の特性に影響を及ぼすことが、本発明の一部の態様の別の目的である。
【0026】
本発明のこれらおよび他の目的は、以下に示されるその好ましい実施形態の説明からより明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明の好ましい実施形態においては、電気的刺激器が、電流を翼口蓋神経節(SPG)へ駆動し、もしくはSPG由来し、またはこれに達する神経路へ駆動する。通常、この刺激器は、SPG関連行動を制御および/または加減するために、例えば、脳血流の変更を誘発し、かつ/または血液脳関門(BBB)の浸透性を調節するために電流を駆動する。これらの実施形態は、例示として、ただし限定としてではなく、(a)発作などの脳血管性疾患の治療、(b)偏頭痛、群発性および他の種類の頭痛の治療、または(c)BBBを通じた薬物輸送の促進など多くの医療用途において使用されうる。
【0028】
本発明の好ましい実施形態は、SPGまたはそれに直接関連した神経構造物への電流の駆動に関して記載されているが、本発明の範囲が、所定の用途の必要に応じて、刺激と同時に脳血流を調節し、またはBBBの浸透特性を調節する脳内の他の部位への電流の駆動を含むことが理解されるべきである。
【0029】
本発明の好ましい実施形態によって提供される、電気的「刺激」は、電流が神経の活動を遮断または抑制するように構成されている場合でも、指定された組織への実質的に任意の形の電流の適用を包含することが意図されているも理解されるべきである。
【0030】
さらに、移植および刺激部位、移植の方法、および刺激のパラメータは、本明細書では例示として、ただし限定としてではなく記載されていること、かつ本発明の範囲が、本特許出願を読んだ当業者には自明であろう他の可能性を含むことが理解されるべきである。
【0031】
さらに、本発明の好ましい実施形態は、本明細書中では力の電気的伝達および組織の電気的刺激に関して一般に記載されちるが、エネルギー輸送の他のモードも使用されることが理解されるべきである。かかるエネルギーとしては、直接または誘導電磁エネルギー、RF伝達、超音波伝達、光パワー、および低出力レーザエネルギー(例えば、光ファイバーケーブルによる)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
さらに、本発明の好ましい実施形態は、組織への電流の適用に関して記載されているが、これは、例えば、2つの電極間で電圧降下を生成することによって、電界を適用するのと実質的に同等である、本特許出願および請求項に照らして理解されることが理解されるべきである。
【0033】
SPGは、鼻の後方の脳内に位置した神経中枢である。これは、中大脳および前大脳管腔、顔面皮膚血管、および涙腺を刺激する副交感神経ニューロンで構成される。この神経節の活性化は、これらの血管の拡張をひき起こすと考えられている。かかる刺激の第2の作用は、血管壁の孔の開放であり、血漿タンパク浸出(PPE)をひき起こす。この作用により血管内から周囲組織への分子の良好な輸送を可能にする。
【0034】
中大脳および前大脳動脈は、その全体の前頭葉および頭頂葉、島および辺縁系、および以下の構造物、すなわち側頭葉、内包、脳幹神経節、および視床の重要部分を含む大脳半球への血液供給の大部分を提供する。これらの構造物は、脳の神経疾患および精神疾患の多くにおいて関与しており、本発明の好ましい実施形態は、これらの構造物への改善された血液供給および薬物送達を提供することを対象としている。
【0035】
後大脳動脈および脳底動脈におけるSPG由来副交感神経刺激の存在の一部の動物による証拠もある。これはヒトにおいても該当するという仮説と一致して、ヒト脳の多くの部位が、以下で述べられるように、本発明の好ましい実施形態によって提供される治療の到達範囲である。
【0036】
現在、SPGは、臨床医学、主に、群発性頭痛など重篤な頭痛の試行的治療における操作の標的である。この神経節は、リドカインを適用することによって短期に、または無線周波数プローブによるアブレーションによって永続的に遮断される。両方の場合に、方法は外鼻孔を通じて行われる。一部の本発明の好ましい実施形態においては、SPGに接近するための同様の方法が利用され、その電気的刺激または電気的遮断を可能にする。
【0037】
本発明の好ましい実施形態によれば、SPGおよび/またはその出ていく副交感神経路および/または別の副交感神経中枢の刺激によってBBBを通じて治療分子の送達を強化する方法および装置が提供される。この装置は通常、SPGの副交感神経繊維を刺激し、それによって中大脳および前大脳動脈の拡張を誘発し、これらの大脳動脈の壁を大分子に対してより浸透性になるようにもする。このようにして、血管内から大脳組織への大きな薬剤分子の移動は実質的に増大する。したがって、この方法は、先行技術の技法によって必要とされる分子量の犠牲なしに、神経薬送達促進因子として使用されうることが好ましい。一般に、神経および精神疾患の大脳細胞を対象とした実質的にすべての薬理学的治療は、これら本発明の実施形態による使用に適用できると考えられている。特に、これらの実施形態は、脳腫瘍、てんかん、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、統合失調症、うつ病、ストレス、肥満、疼痛、不安、および脳血流の変化またはBBBの浸透性の変化によって直接的または間接的に影響される他のCNS疾患などの疾患の治療における使用に適合されうる。
【0038】
有利に(かつBBB浸透性の変化の非存在下でも)、これらおよび他の疾患を有する患者は、一般にSPGの刺激後の血管拡張、および結果として生じる神経および他の組織への酸素供給の改善によって助けられる。一部の応用例では、この治療は、長期に、例えば、アルツハイマー病の長期治療において与えられる。他の応用例では、この治療は、短期に実行され、例えば、急性発作事象後のダメージを最小限に抑え、ニューロンおよびしたがって機能的リハビリテーションを開始する。
【0039】
SPGまたは関連神経路における神経伝達の遮断が、本発明の一部の好ましい実施形態に従って使用され、偏頭痛を治療または予防する。
【0040】
代わりとして、または追加として、上述された電気的刺激によって誘発される変化は、鼻腔または咽喉など、患者の気道に着臭剤を与えることによって達成される。プロピオン酸、シクロヘキサノン、および酢酸アミルなど一部の着臭剤は、鼻腔へ投与されると皮質血流を著しく増大させる動物による証拠がある。これは、一部の研究者によって、これらの着臭剤(例えば、環境汚染物質)が、脳血流の増大によって種々の頭痛の形成に関与しうるという証拠として解釈されている。かかる着臭剤刺激の時間的プロファイルおよび他の量的特徴は、本発明者によって、SPGの電気的刺激のものと重複する神経解剖学的基礎を有する作用機序を有すると考えられている。さらに、発明者によって収集され、かつ2002年3月28日に出願され、本発明の譲受人に譲渡され、本明細書中で参考によって援用される「SPG刺激」と称するシャレフ(Shalev)およびグロス(Gross)に対する米国仮特許出願第60/368,657号に記載された実験動物による証拠は、脳血流の増大と脳血管浸透性の増大の機序間の相関を示している。着臭剤によってひき起こされるかかる脳血流の増大は、副交感神経および/または三叉神経線維の刺激の結果であると仮定されている。これらの繊維は、SPGと連絡することによって、または一部の他の機序によって脳血流の変化を直接仲介しうる。また、これらの着臭剤は、反射弓によって、SPG、または脳血管系を刺激する他の自律神経構造物を刺激することも仮定されている。したがって、発明者は、着臭剤「刺激」は、一般に脳血流を、特に皮質血流を、上述された電気刺激と同じ機序の一部または全部によって、増大させうると仮定している。代わりとして、着臭剤は、脳の血流に入り、罹患血管に達すること、または臭覚神経による副交感神経刺激など他の機序によって皮質血流の増大を引き起こしうる。脳血流に対する作用に加えて、気道への着臭剤の導入は、脳血管系の前方3分の2の種々のサイズの循環剤への浸透性の増大を誘発すること、すなわち、BBBの浸透性を増大させることも予想される。同様に、気道への一部の他の着臭剤の投与は、脳血流を減少させ、BBBの浸透性を低下させる。
【0041】
脳血流および/またはBBBの浸透性を増大または減少させうる着臭剤としては、プロピオン酸、シクロヘキサノン、酢酸アミル、酢酸、クエン酸、二酸化炭素、塩化ナトリウム、アンモニア、メントール、アルコール、ニコチン、ピペリン、ジンジェロール、ジンゲロン、アリルイソチオシアネート、桂皮アルデヒド、クミンアルデヒド、2−プロペニル/2−フェニルエチルイソチオシアネート、チモール、およびユーカリプトールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
一部の応用例では、薬物のBBBを通じた送達が、鼻腔または咽喉など、患者の気道へ着臭剤を与えることによって強化される。本特許出願および請求項に照らして、薬物は、薬理学的手順を用いて製造されている、患者に投与するための薬剤である。したがって、薬物としては、例示として、ただし限定としてではなく、診断手順を促進するための治療薬および薬剤が挙げられうる。
【0043】
本発明の好ましい実施形態によれば、鼻腔または咽喉など患者の気道に着臭剤を与えることによってBBBを通じて治療分子の送達を強化する方法が提供される。好ましい応用例においては、この方法は神経薬送達促進因子として使用される。着臭剤は、水性スプレー鼻吸入器、定量鼻吸入器、または空気希釈嗅覚計など当技術分野で周知の装置を用いて投与されることが好ましい。代わりとして、または追加として、着臭剤は、唾液との接触と同時に活性着臭剤を放出する経口溶解性カプセルによって投与される。着臭剤は適切な神経構造物に達し、血管拡張、血管収縮および/または脳血管浸透性の変化を誘発する。薬物の送達は、薬物を着臭剤と混合することによって、薬物の静脈内、腹腔内、または筋内投与によって、または当技術分野で周知の他の送達方法によって達成されうる。一部の応用例では、頭内の神経に対する着臭剤の作用に直接または間接的に(例えば、反射弓によって)付随しうる疼痛または不快の感覚を軽減するために着臭剤と局所鎮痛薬を組み合せることが望ましい。例えば、隣接する疼痛線維における神経伝達の予防は、着臭剤刺激の使用前に数日間、局所鎮痛薬とともにカプサイシンを局所投与することによって、「前着臭剤」治療として実行されうる。このようにして、着臭剤は通常、SPG関連反応を誘発し、疼痛または不快の感覚が軽減または除去される。
【0044】
一般に、神経および精神疾患に対する脳細胞を対象とした実質的にすべての薬理学的治療が、本発明の実施形態とともに使用可能であると考えられている。特に、この実施形態は、脳腫瘍てんかん、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、統合失調症、うつ病、ストレス、不安、肥満、疼痛、種々の成長因子の投与を必要とする障害、および脳血流の変化またはBBBの浸透性の変化によって直接または間接的に影響される他のCNS疾患の治療の使用に適合されうる。
【0045】
代わりとして、または追加として、症状の治療のために、鼻腔または咽喉など患者の気道に着臭剤を与えることによって、皮質血流の増大または減少および/または血管拡張(BBB浸透性の変化の非存在下でも)の誘発または抑制の方法が提供される。上記の疾患および他の疾患を有する患者は一般に、血管拡張および結果として生じるニューロンおよび他の組織への酸素供給の改善によって助けられる。一部の応用例では、この治療は、長期に。例えば、アルツハイマー患者の長期治療において提供される。他の応用例では、この治療は短期に、例えば、急性発作事象の後のダメージを最小限に抑え、ニューロンおよびしたがって機能的リハビリテーションを開始するために実行される。代わりとして、または追加として、上記の方法は、診断目的のために、または当技術分野で周知の他の診断方法および/または装置といっしょに、診断結果を強化し、処置リスクを削減し、処置時間を削減し、または別の方法でかかる診断処置および/または診断結果を改善するために使用されうる。例えば、本明細書中で述べられる方法および装置は、CTスキャンを容易にするために、放射性不透過性物質の脳への取込みを増大させるために使用されうる。
【0046】
特定の着臭剤を与えることによって脳血流を減少させることは、特に、偏頭痛および群発性頭痛などの自律神経系(ANS)病因による各種の頭痛を治療し、または予防する本発明の好ましい実施形態により使用される。
【0047】
通常、本明細書中で述べられる着臭剤投与応用例のいずれかでは、着臭剤の適切な投与量が所望の用途(例えば、BBB浸透性の増大または減少、または脳血流の増大または減少)のために決定される。適切な投与量を決定するための手順は、当技術分野で周知の標準の投薬量決定法、例えば、安全性および有効性のためにきわめて少量の範囲を試験し、その後に安全性が許容可能であり、かつ有効性が継続的に増大する用量の規模を増大させる方法に従って実行される。
【0048】
したがって、本発明の好ましい実施形態によれば、患者の脳の特性を加減するための装置が提供されるが、これは、
患者の翼口蓋神経節(SPG)、およびSPGにおいて開始し、またはこれに至る神経路より成る部位の群から選択される部位に適用されるようになっている1つもしくはそれ以上の電極と、
患者の血液脳関門(BBB)の浸透性の増大を誘発する能力がある部位へ電流を適用する1つもしくはそれ以上の電極を駆動するようになっている制御ユニットと
を含む。
【0049】
また、本発明の好ましい実施形態によれば、患者の脳の特性を加減するための装置も提供されるが、これは、
患者の翼口蓋神経節(SPG)、およびSPGにおいて開始し、またはこれに至る神経路より成る部位の群から選択される部位に適用されるようになっている1つもしくはそれ以上の電極と、
患者の脳血流の増大を誘発する能力がある部位へ電流を適用する1つもしくはそれ以上の電極を駆動するようになっている制御ユニットと
を含む。
【0050】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、患者の脳の特性を加減するための装置も提供されるが、これは、
患者の翼口蓋神経節(SPG)、およびSPGにおいて開始し、またはこれに至る神経路より成る部位の群から選択される部位に適用されるようになっている1つもしくはそれ以上の電極と、
患者の脳血流の減少を誘発する能力がある部位へ電流を適用する1つもしくはそれ以上の電極を駆動するようになっている制御ユニットと
を含む。
【0051】
またさらに、本発明の好ましい実施形態によれば、患者の脳の特性を加減するための装置も提供されるが、これは、
患者の翼口蓋神経節(SPG)、およびSPGにおいて開始し、またはこれに至る神経路より成る部位の群から選択される部位に適用されるようになっている1つもしくはそれ以上の電極と、
SPGの副交感神経活動を抑制する能力がある部位へ電流を適用する1つもしくはそれ以上の電極を駆動するようになっている制御ユニットと
を含む。
【0052】
好ましくは、1つもしくはそれ以上の電極は、約1か月以上、患者の移植期間にわたり適合される。
【0053】
好ましい実施形態においては、この装置は、制御ユニットを1つもしくはそれ以上の電極に接続するワイヤを含み、ここで制御ユニットは1つもしくはそれ以上の電極を外部の位置から患者に駆動するように適合されている。
【0054】
代わりとして、または追加として、制御ユニットは、1つもしくはそれ以上の電極をワイヤレス連絡によって外部の位置から患者に駆動するように適合されている。好ましい実施形態においては、この装置は、制御ユニットと1つもしくはそれ以上の電極を結合するようになっている電磁カップリングを含む。代わりとして、または追加として、制御ユニットは、1つもしくはそれ以上の電極と電気光学連絡するようになっている。さらに、代わりとして、または追加として、制御ユニットは、1つもしくはそれ以上の電極と電気音響連絡するようになっている。またさらに、代わりとして、または追加として、制御ユニットは患者の鼻腔に移植されるようになっている。
【0055】
好ましくは、1つもしくはそれ以上の電極は、患者の鼻腔に移植されるようになっている。一部の応用例では、1つもしくはそれ以上の電極の少なくとも1つは、患者の外鼻孔を通じて挿入し、そこから現場に延在するようになっている可撓性の電極を含む。
【0056】
この装置は好ましくは、患者の生理的パラメータを測定し、それに対する反応性の信号を発生するようになっている少なくとも1つのバイオセンサを含む。そしてまた、制御ユニットは、 好ましくは、その信号に対して反応性の印加電流のパラメータを加減するようになっている。必要に応じて、バイオセンサは、以下のセンサの1つもしくはそれ以上を含みうる。
・血流センサ。
・温度センサ。
・化学センサ。
・超音波センサ。
・経頭蓋ドップラー(TCD)装置。
・レーザードップラー装置
・全身血圧センサ
・頭蓋内血圧センサ
・脳血管に固定されるようになっている検出要素であり、ここで制御ユニットは、信号を分析し、凝血塊を示す血圧の変化の指標を検出するようになっている。
・動態センサ(この場合、制御ユニットは通常、信号を分析し、患者の体内動態の変化の指標を検出するようになっている)。
・脳波検査(EEG)センサ
・血管凝血塊検出器。
【0057】
好ましい実施形態においては、制御ユニットは、BBBの浸透性が増大している場合にBBBを通じて薬物の取込みを促進するために電流を構成すようになっている。
【0058】
代わりとして、または追加として、制御ユニットは、血管の直径を増大させ、血管の部位に位置する塞栓を血管部位から移動させるように電流を構成するようになっている。
【0059】
さらに、代わりとして、または追加として、制御ユニットは、発作の指標に対して反応性の電流を適用するように1つもしくはそれ以上の電極を駆動するようになっている。
【0060】
またさらに、代わりとして、または追加として、制御ユニットは、患者の偏頭痛の指標に対して反応性の電流を適用するように1つもしくはそれ以上の電極を駆動するようになっている。
【0061】
本発明の好ましい実施形態によれば、患者の脳の特性を加減するための方法も提供されるが、これは、
患者の翼口蓋神経節(SPG)、およびSPGにおいて開始し、またはこれに至る神経路より成る部位の群から部位を選択するステップと、
患者の血液脳関門(BBB)の浸透性の増大を誘発する能力がある部位に電流を適用ステップと
を含む。
【0062】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、患者の脳の特性を加減するための方法も提供されるが、これは、
患者の翼口蓋神経節(SPG)、およびSPGにおいて開始し、またはこれに至る神経路より成る部位の群から部位を選択するステップと、
患者の脳血流の増大を誘発する能力がある部位に電流を適用ステップと
を含む。
【0063】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、患者の脳の特性を加減するための方法も提供されるが、これは、
患者の翼口蓋神経節(SPG)、およびSPGにおいて開始し、またはこれに至る神経路より成る部位の群から部位を選択するステップと、
患者の脳血流の減少を誘発する能力がある部位に電流を適用ステップと
を含む。
【0064】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、患者の脳の特性を加減するための方法も提供されるが、これは、
患者の翼口蓋神経節(SPG)、およびSPGにおいて開始し、またはこれに至る神経路より成る部位の群から部位を選択するステップと、
SPGの副交感神経活動を抑制する能力がある部位へ電流を適用するステップと
を含む。
【0065】
一部の応用例では、1つもしくはそれ以上の電極が、約1週間以上、患者の移植期間にわたり適合される。
【0066】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、血管装置が提供されるが、これは、
患者の血管に固定され、血管から出るエネルギーに対して反応性の信号を発生するようになっている検出要素と、
血管中の塞栓の指標を検出するために信号を分析するようになっている制御ユニットとを含む。
【0067】
好ましくは、検出要素は、エネルギートランスミッタおよびエネルギーレシーバを含む。例えば、エネルギートランスミッタは、超音波トランスミッタまたは電磁エネルギーのトランスミッタを含みうる。
【0068】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、検出するための方法が提供されるが、これは、
患者の血管に検出要素を固定するステップと、
血管から出るエネルギーに対して反応性の信号を発生するステップと、
血管中の塞栓の指標を測定するための信号を分析するステップと
を含む。
【0069】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、患者の脳の特性を加減するための方法が提供され、これは患者の気道に着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、患者の全身血液循環から脳の血液脳関門(BBB)を通じて患者の脳組織への分子の伝導性を増大させるためであるという理由で気道に与えるために選択されている。
【0070】
一部の応用例では、方法は、患者のパラメータを検出するステップと、それに対して反応性の着臭剤を与えるステップとを含む。パラメータとしては、患者の行動の指標を含みうるが、その場合、パラメータは患者の行動の指標の検出するステップを含む。代わりとして、パラメータは、患者の生化学的値および患者の生理学的値より成るリストから選択されうるが、この場合、パラメータを検出するステップは、リストから選択されるパラメータを検出するステップを含む。一部の応用例では、リストから選択されるパラメータを検出するステップは、CT、MRI、PET、SPECT、血管造影、検眼鏡検査、透視検査、光学顕微鏡検査、および酵素測定より成るリストから選択される様式を用いてパラメータ検出するステップを含む。代わりとして、または追加として、リストから選択されるパラメータを検出するステップは、患者における分子のレベルを測定するステップを含む。一部の応用例では、分子のレベルを測定するステップは、血液、血漿、血清、腹水、および尿より成るリストから選択される患者の体液をサンプリングするステップを含む。
【0071】
本発明の実施形態においては、患者の気道に着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、患者の全身血液循環から脳の血液脳関門(BBB)を 通じて患者の脳組織への分子の伝導性を増大させるためであるという理由で気道に与えるために選択されている。分子は、薬物、治療薬、内因性物質、および診断手順を促進するための薬剤より成る群から選択される。
【0072】
ある実施形態においては、 着臭剤を与えるステップは、分子の伝導性を増大させるように決定された投与量で着臭剤を与えるステップを含む。ある実施形態においては、方法は、患者による吸入のための分子を投与するステップを含む。
【0073】
ある実施形態においては、方法は、ボーラスで患者に分子を投与するステップを含む。ある実施形態においては、方法は、略連続的なやり方で患者に分子を投与するステップを含む。
【0074】
ある実施形態においては、方法は、脳組織の標的部位から分子を輸送することからP−糖タンパク輸送体を遮断する能力がある薬剤を投与するステップを含む。
【0075】
ある実施形態においては、方法は、全身血液循環に分子を投与するステップを含む。一部の応用例では、分子を投与するステップは、着臭剤と混合された分子を投与するステップを含む。代わりとして、または追加として、分子を投与するステップは、経口投与静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、および筋内投与より成るリストから選択される技法を用いて全身血液循環に分子を投与するステップを含む。
【0076】
ある実施形態においては、分子は、診断手順を促進するための薬剤を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、診断手順を促進するための薬剤の伝導性を増大させるためにある。一部の応用例では、 診断手順を促進するための薬剤は、造影剤を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、造影剤の伝導性を増大させるためにある。代わりとして、または追加として、診断手順を促進するための薬剤は、放射線不透過性物質を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、放射線不透過性物質の伝導性を増大させるためにある。さらに代わりとして、または追加として、診断手順を促進するための薬剤は、抗体を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、抗体の伝導性を増大させるためにある。
【0077】
ある実施形態においては、着臭剤を与えるステップは、分子を選択するステップを含み、分子は、患者の中枢神経系(CNS)の疾患を治療するために適切である。ある実施形態においては、CNS疾患は、脳腫瘍、てんかん、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、統合失調症、うつ病、ストレス、肥満、疼痛、および不安より成るリストから選択され、かつ分子を選択するステップは、分子を選択するステップを含み、分子は、選択されたCNS疾患を治療するために適切である。
【0078】
ある実施形態においては、方法は、着臭剤の浸透性のパラメータを調節するステップを含む。一部の応用例では、パラメータを調節するステップは、着臭剤の2つもしくはそれ以上の成分の相対濃度、投与される着臭剤の量、着臭剤の投与速度、投与時の着臭剤の圧力、および着臭剤の少なくとも一部分の温度より成るリストから選択されるパラメータを調節するステップを含む。ある実施形態においては、方法は、着臭剤投与のパラメータの調節の後である治療セッションの間に患者に分子を投与するステップを含む。ある実施形態においては、方法は、治療セッションの間に患者に分子を投与するステップと、同じ治療セッションの間に着臭剤投与のパラメータを調節するステップとを含む。一部の応用例では、 着臭剤投与のパラメータを調節するステップは、着臭剤投与のパラメータの所定のセットからパラメータを選択するステップを含む。
【0079】
一部の応用例では、方法は、患者のパラメータを検出ステップと、それに反応性の着臭剤投与のパラメータを調節するステップとを含む。患者のパラメータは、患者の行動の指標を含みうるが、その場合、患者のパラメータを検出するステップは、患者の行動の指標を検出するステップを含む。代わりとして、患者のパラメータは、患者の生化学的値および患者の生理学的値より成るリストから選択され、その場合、患者のパラメータを検出ステップは、リストから選択される患者のパラメータを検出するステップを含む。
【0080】
ある実施形態においては、 分子は治療薬を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、治療薬の伝導性を増大させるためにある。一部の応用例では、治療薬は神経薬を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、神経薬の伝導性を増大させるためにある。一部の応用例では、治療薬はタンパク質を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤はタンパク質の伝導性を増大させるためにある。一部の応用例では、治療薬はポリマーを含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、ポリマーの伝導性を増大させるためにある。一部の応用例では、治療薬はウイルスベクターを含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、ウイルスベクターの伝導性を増大させるためにある。
【0081】
一部の応用例では、治療薬は抗癌薬を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、抗癌薬の伝導性を増大させるためにある。一部の応用例では、治療薬は、酢酸グラチラマーおよびインターフェロンベータ−1bより成る群からの薬剤を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、リストから選択される薬剤の伝導性を増大させるためにある。一部の応用例では、治療薬は、DNA療法用の薬剤およびRNA療法用の薬剤より成る群からの薬剤を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、リストから選択された薬剤の伝導性を増大させるためにある。一部の応用例では、治療は、(a)1型インスリン様成長因子受容体に対するアンチセンス分子、および(b)ADV−HSV−tkより成るリストからの薬剤を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、リストから選択された薬剤の伝導性を増大させるためにある。
【0082】
ある実施形態においては、方法は、着臭剤を与えるステップとともに分子を投与するステップを含む。ある実施形態においては、着臭剤を与えるステップとともに分子を投与するステップは、着臭剤を与える時間に関して決定された時間で分子を投与するステップを含む。一部の応用例では、分子を投与するステップは、少なくとも着臭剤を与える前の所定時間で分子を投与するステップを含む。代わりとして、 分子を投与するステップは、着臭剤を与えるステップと略同時に分子を投与するステップを含む。さらに代わりとして、分子を投与するステップは、少なくとも着臭剤を与えるステップの後の所定の時間で分子を投与するステップを含む。
【0083】
ある実施形態においては、分子は薬物を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、薬物の伝導性を増大させるためにある。一部の応用例では、薬物はウイルスベクターを含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、ウイルスベクターの伝導性を増大させるためにある。一部の応用例では、薬物は抗体を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、抗体の伝導性を増大させるためにある。一部の応用例では、抗体は、毒素抗体複合体、放射標識抗体、および抗−HER2 mAbより成るリストから選択され、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、選択された抗体の伝導性を増大させるためにある。代わりとして、抗体は、抗−b−アミロイド抗体および抗−アミロイド−前駆体−タンパク質抗体より成るリストから選択され、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、選択された抗体の伝導性を増大させるためにある。
【0084】
ある実施形態においては、分子は内因性物質を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、内因性物質の伝導性を増大させるためにある。一部の応用例では、内因性物質は、人工的手段によって実質的に修飾されていない内因性物質を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、人工的手段によって実質的に修飾されていない内因性物質の伝導性を増大させるためにある。代わりとして、内因性物質は、その様相が人工的手段によって修飾されている内因性物質を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、 その様相が人工的手段によって修飾されている内因性物質の伝導性を増大させるためにある。さらに代わりとして、内因性物質は酵素を含み、かつ着臭剤を与えるステップが着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、酵素の伝導性を増大させるためにある。一部の応用例では、酵素はヘキソサミニダーゼを含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、ヘキソサミニダーゼの伝導性を増大させるためにある。
【0085】
ある実施形態においては、方法は、分子を患者の粘膜に投与するステップを含む。一部の応用例では、分子を投与するステップは、患者の口腔粘膜に分子を投与するステップを含む。代わりとして、分子を投与するステップは、患者の鼻粘膜に分子を投与するステップを含む。
【0086】
一部の応用例では、分子を投与するステップは、着臭剤と組み合せて分子を投与するステップを含む。代わりとして、分子を投与するステップは、着臭剤とは別に分子を投与するステップを含む。
【0087】
本発明のある実施形態においては、患者の気道に着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、患者の脳組織から血液脳関門(BBB)を通じて全身血液循環への分子の伝導性を増大させるためにという理由で気道に与えるために選択されている。
【0088】
ある実施形態においては、方法は、着臭剤の投与の開始後に、患者の脳の外側の部位から分子の量を検出するステップを含む。一部の応用例では、分子の量を検出するステップは、CT、MRI、PET、SPECT、血管造影、検眼鏡検査、透視検査、光学顕微鏡検査、および酵素測定より成るリストから選択される様式を用いて検出するステップを含む。一部の応用例では、分子の量を検出するステップは、血液、 血漿、 血清、 腹水、および尿より成るリストから選択される患者の体液をサンプリングするステップを含む。
【0089】
ある実施形態においては、方法は、分子の量を検出するステップに対して反応性の診断的に重要なパラメータを測定するステップを含む。
【0090】
ある実施形態においては、方法は、患者の疾患に対して反応性の着臭剤の投与量を選択するステップを含む。一部の応用例では、着臭剤の投与量を選択するステップは、少なくとも部分的に疾患を治療するのに十分な程度まで、着臭剤の投与に対して反応性の分子の伝導性を増大させる着臭剤の投与量を測定するステップを含む。一部の応用例では、投与量を選択するステップは、患者の疾患に対して反応性の投与量を選択するステップを含み、疾患は、脳腫瘍、てんかん、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、統合失調症、うつ病、ストレス、肥満、疼痛、および不安より成るリストから選択される。
【0091】
ある実施形態においては、方法は、着臭剤の投与によってひき起こされる分子の伝導性の増大を増強するのに十分な投与量で高浸透圧誘発剤を患者に投与するステップを含む。
【0092】
ある実施形態においては、方法は、着臭剤の投与によってひき起こされる分子の伝導性の増大を増強するのに十分な程度の、患者の脱水状態を誘発するステップを含む。
【0093】
ある実施形態においては、方法は、着臭剤の投与によってひき起こされる分子の伝導性の増大を増強するのに十分な投与量で、脳の血管の一酸化窒素(NO)の合成または代謝を調節する薬剤を患者に投与するステップを含む。
【0094】
追加として、本発明の好ましい実施形態によれば、発作事象の間またはその後における患者の脳の特性を加減するための方法が提供され、この方法は、患者の気道に着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、発作事象と関連した病状を軽減するために患者の脳血流の増大を誘発する能力があるという理由で気道に与えるために選択されている。
【0095】
ある実施形態においては、着臭剤を与えるステップは、脳血流を増大させるように決定された投与量で着臭剤を与えるステップを含む。
【0096】
本発明の好ましい実施形態によれば、頭痛発作に罹患する患者の脳の特性を加減するための方法も提供され、この方法は、患者の気道に着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、患者の頭痛発作の重症度を軽減するために、患者の脳血流を加減する能力があるという理由で気道に与えるために選択されている。
【0097】
ある実施形態においては、着臭剤を与えるステップは、脳血流を加減するように決定された投与量で着臭剤を与えるステップを含む。
【0098】
ある実施形態においては、着臭剤を与えるステップは、着臭剤を選択するステップを含み、着臭剤は、頭痛発作の重症度を軽減するために、脳血流を減少させる能力がある。
【0099】
ある実施形態においては、頭痛発作は患者の偏頭痛発作を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、偏頭痛の重症度を軽減するために、脳血流を軽減する能力がある着臭剤を気道に与えるステップを含む。ある実施形態においては、頭痛発作は患者の群発性頭痛を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、群発性頭痛発作の重症度を軽減するために、脳血流を軽減する能力がある着臭剤を気道に与えるステップを含む。
【0100】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、中枢神経系(CNS)の疾患に罹患する患者の脳の特性を加減するための方法が提供され、この方法は、患者の気道に着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、CNS疾患を治療するために、患者の脳血流を加減する能力があるという理由で気道に与えるために選択されている。
【0101】
ある実施形態においては、着臭剤を与えるステップは、脳血流を加減するように決定された投与量で着臭剤を与えるステップを含む。
【0102】
ある実施形態においては、CNS疾患は、脳腫瘍、てんかん、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、統合失調症、うつ病、ストレス、肥満、疼痛、および不安より成るリストから選択され、かつ着臭剤を与えるステップは、選択されたCNS疾患を治療するために、脳血流を加減することが可能である着臭剤を与えるステップを含む。
【0103】
ある実施形態においては、着臭剤を与えるステップは、着臭剤を選択するステップを含み、着臭剤は、脳血流を減少させる能力がある。ある実施形態においては、着臭剤を与えるステップは、着臭剤を選択するステップを含み、着臭剤は、患者の脳血流を増大させる能力がある。ある実施形態においては、着臭剤を与えるステップは、着臭剤を選択するステップを含み、着臭剤は、患者の皮質血流を増大させる能力がある。
【0104】
またさらに、本発明の好ましい実施形態によれば、患者の脳の特性を加減するための方法が提供され、この方法は、患者の気道に着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、患者の全身血液循環から脳の血液脳関門(BBB)を通じて患者の脳組織への分子の伝導性を増大させるためであるという理由で気道に与えるために選択されている。
【0105】
ある実施形態においては、着臭剤を与えるステップは、分子の伝導性を減少させるように決定された投与量で着臭剤を与えるステップを含む。
【0106】
ある実施形態においては、方法は、着臭剤の投与と共同して感覚を軽減するように構成された投与量で鎮痛薬を着臭剤と共同して与えるステップを含む。ある実施形態においては、鎮痛薬を与えるステップは、患者の鼻腔の1つもしくはそれ以上の神経の近く、患者の口腔の1つもしくはそれ以上の神経の近く、および患者の顔面を刺激する1つもしくはそれ以上の神経の近くより成るリストから選択される部位で鎮痛薬を局所に与えるステップを含む。ある実施形態においては、鎮痛薬を与えるステップは、患者の翼口蓋神経節(SPG)の近くに鎮痛薬を局所に与えるステップを含む。ある実施形態においては、鎮痛薬を与えるステップは、着臭剤の投与と略同時に吸入のための鎮痛薬を投与するステップを含む。
【0107】
ある実施形態においては、気道は患者の鼻腔を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、鼻腔に着臭剤を与えるステップを含む。
【0108】
ある実施形態においては、気道は患者の咽喉を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、咽喉に着臭剤を与えるステップを含む。
【0109】
ある実施形態においては、着臭剤は、プロピオン酸、シクロヘキサノン、および酢酸アミルより成るリストから選択され、かつ着臭剤を与えるステップは、選択された着臭剤を与えるステップを含む。代わりとして、着臭剤は、酢酸、クエン酸、二酸化炭素、塩化ナトリウム、およびアンモニアより成るリストから選択され、かつ着臭剤を与えるステップは、選択された着臭剤を与えるステップを含む。さらに代わりとして、着臭剤は、メントール、アルコール、ニコチン、ピペリン、ジンジェロール、ジンゲロン、アリルイソチオシアネート、桂皮アルデヒド、クミンアルデヒド、2−プロペニル/2−イソチオチアン酸フェニルエチル、チモール、およびオイカリプトールより成るリストから選択され、かつ着臭剤を与えるステップは、選択された着臭剤を与えるステップを含む。
【0110】
ある実施形態においては、着臭剤を与えるステップは、患者の口内に配置するためのカプセルを与えるステップを含み、カプセルは、患者の唾液と接触するとともに溶解し、それと同時に着臭剤が気道に投与される。
【0111】
ある実施形態においては、方法は、着臭剤投与のパラメータを調節するステップを含む。一部の応用例では、パラメータを調節するステップは、着臭剤の2つもしくはそれ以上の成分の相対濃度、投与される着臭剤の量、着臭剤の投与速度、投与時の着臭剤の圧力、および着臭剤の少なくとも一部分の温度より成るリストから選択されるパラメータを調節するステップを含む。代わりとして、または追加として、着臭剤投与のパラメータを調節するステップは、着臭剤投与のパラメータの所定セットからパラメータを選択するステップを含む。
【0112】
ある実施形態においては、方法は、患者のパラメータを検出するステップと、それに対して反応性である着臭剤投与のパラメータを調節するステップとを含む。一部の応用例では、患者のパラメータは患者の行動の指標を含み、かつ患者のパラメータを検出するステップが患者の行動の指標を検出するステップを含む。
【0113】
ある実施形態においては、患者のパラメータは、患者の生化学的値および患者の生理学的値より成るリストから選択され、かつ患者のパラメータを検出するステップは、リストから選択される患者のパラメータを検出するステップを含む。
【0114】
ある実施形態においては、方法は、患者のパラメータを検出するステップと、それに対して反応性の着臭剤を与えるステップとを含む。一部の応用例では、パラメータは患者の行動の指標を含み、かつパラメータを検出するステップは、患者の行動の指標を検出するステップを含む。代わりとして、パラメータは、患者の生化学的値および患者の生理学的値より成るリストから選択され、かつパラメータを検出するステップは、リストから選択されるパラメータを検出するステップを含む。一部の応用例では、リストから選択されるパラメータを検出するステップは、CT、MRI、PET、SPECT、血管造影、検眼鏡検査、透視検査、光学顕微鏡検査、および酵素測定より成るリストから選択される様式を用いてパラメータを検出するステップを含む。代わりとして、リストから選択されるパラメータを検出するステップは、血液、血漿、血清、腹水、および尿より成るリストから選択される体液をサンプリングするステップを含む。
【0115】
追加として、本発明の好ましい実施形態によれば、患者の脳の特性を加減するための装置が提供され、この装置は、
着臭剤貯蔵容器と、
着臭剤貯蔵容器内の貯蔵用の着臭剤であって、着臭剤は、患者の全身血液循環から脳の血液脳関門(BBB)を通じて患者の脳組織への分子の伝導性を増大させる能力があり、分子は、薬物、治療薬、および診断手順を促進するための薬剤より成る群から選択される着臭剤と、
患者の気道に着臭剤を与えるようになっている着臭剤送達要素と
を含む。
【0116】
ある実施形態においては、着臭剤貯蔵容器は、分子と混合された着臭剤を保存するようになっている。
【0117】
ある実施形態においては、分子は治療薬を含み、かつ着臭剤は治療薬の伝導性を増大させるためである。
【0118】
ある実施形態においては、治療薬は神経薬を含み、かつ着臭剤が神経薬の伝導性を増大させるためである。
【0119】
ある実施形態においては、分子は診断手順を促進するための薬剤を含み、かつ着臭剤は、診断手順を促進するための薬剤の伝導性を増大させるためである。一部の応用例では、診断手順を促進するための薬剤は放射線不透過性物質を含み、かつ着臭剤が放射線不透過性物質の伝導性を増大させるためである。
【0120】
ある実施形態においては、着臭剤は、患者の中枢神経系(CNS)の疾患の治療を促進するための薬剤を含む。一部の応用例では、CNS疾患は、脳腫瘍、てんかん、パーキンソン病、 アルツハイマー病、多発性硬化症、統合失調症、うつ病、ストレス、肥満、疼痛、および不安より成るリストから選択され、かつ着臭剤は、選択されたCNS疾患の治療を促進するための薬剤を含む。
【0121】
さらに追加として、本発明の好ましい実施形態によれば、発作事象の間またはその後における患者の脳の特性を加減するための装置が提供され、この装置は、
着臭剤貯蔵容器と、
着臭剤貯蔵容器内の貯蔵用の着臭剤であって、患者の脳血流の増大を誘発する能力がある着臭剤と、
着臭剤送達要素であって、発作事象と関連した病状を軽減するために、患者の気道に着臭剤を与えるようになっている着臭剤送達要素と
を含む。
【0122】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、頭痛発作に罹患する患者の脳の特性を加減するための装置が提供され、この装置は、
着臭剤貯蔵容器と、
着臭剤貯蔵容器内の貯蔵用の着臭剤であって、患者の脳血流を加減する能力がある着臭剤と、
患者の頭痛発作の重症度を軽減するために、患者の気道に着臭剤を与えるように構成されている着臭剤送達装置と
を含む。
【0123】
ある実施形態においては、着臭剤は脳血流を減少させる能力がある。
【0124】
ある実施形態においては、頭痛発作は患者の偏頭痛発作を含み、かつ着臭剤は偏頭痛発作の重症度を軽減する能力がある。ある実施形態においては、頭痛発作は患者の群発性頭痛発作を含み、かつ着臭剤は群発性頭痛発作の重症度を軽減する能力がある。
【0125】
さらに追加として、本発明の好ましい実施形態によれば、中枢神経系(CNS)の疾患に罹患している患者の脳の特性を加減する装置が提供され、この装置は、
着臭剤貯蔵容器と、
着臭剤貯蔵容器内の貯蔵用の着臭剤であって、患者の脳血流を加減する能力がある着臭剤と、
CNS疾患を治療するために、患者の気道に着臭剤を与えるように構成されている、着臭剤送達装置と
を含む。
【0126】
ある実施形態においては、CNS疾患は、脳腫瘍、てんかん、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、統合失調症、うつ病、ストレス、肥満、疼痛、および不安より成るリストから選択され、かつ着臭剤は、選択されたCNS疾患の治療を促進するための薬剤を含む。
【0127】
ある実施形態においては、着臭剤は脳血流を減少させる増大させる能力がある。代わりとして、着臭剤が脳血流を増大させる能力がある。一部の応用例では、着臭剤は患者の脳血流を増大させる能力がある。
【0128】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、患者の脳の特性を加減するための装置が提供され、この装置は、
着臭剤貯蔵容器と、
着臭剤貯蔵容器内の貯蔵用の着臭剤であって、患者の全身血管循環から脳の血液脳関門(BBB)を通じて患者の脳組織への分子の伝導性を減少させる能力がある着臭剤と、
患者の気道に着臭剤を与えるようになっている着臭剤送達装置と
を含む。
【0129】
ある実施形態においては、装置は、着臭剤の投与と関連した感覚を軽減するように構成された投与量で着臭剤貯蔵容器内の貯蔵用の鎮痛薬を含み、かつ着臭剤送達要素が着臭剤と関連した気道に鎮痛薬を投与すようになっている。
【0130】
ある実施形態においては、着臭剤貯蔵容器は着臭剤送達要素とともに水性スプレー鼻吸入器を含む。代わりとして、着臭剤貯蔵容器は着臭剤送達要素とともに定量鼻吸入器を含む。さらに代わりとして、着臭剤貯蔵容器は着臭剤送達要素とともに空気希釈嗅覚計を含む。
【0131】
ある実施形態においては、気道は、患者の鼻腔を含み、かつ着臭剤送達要素は、鼻腔に着臭剤を与えるようになっている。
【0132】
ある実施形態においては、 気道は、患者の咽喉を含み、かつ着臭剤送達要素は、咽喉に着臭剤を与えるようになっている。
【0133】
ある実施形態においては、着臭剤は、プロピオン酸、シクロヘキサノン、および酢酸アミルより成るリストから選択される薬剤を含む。代わりとして、着臭剤は、酢酸、クエン酸、二酸化炭素、塩化ナトリウム、およびアンモニアより成るリストから選択される薬剤を含む。さらに代わりとして、着臭剤は、メントール、アルコール、ニコチン、ピペリン、ジンジェロール、ジンゲロン、アリルイソチオシアネート、桂皮アルデヒド、クミンアルデヒド、2−プロペニル/2−フェニルエチルイソチオシアネート、チモール、およびユーカリプトールより成るリストから選択される薬剤を含む。
【0134】
ある実施形態においては、着臭剤貯蔵容器は、患者の口内に配置するためのカプセルを含み、かつ着臭剤送達要素は、患者の唾液と接触するとともに溶解し、それと同時に着臭剤が気道に投与されるようになっているカプセルの一部分を含む。
【0135】
本発明は、図面とともに、その好ましい実施形態の以下の詳細な説明からより完全に理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0136】
図1は、本発明の好ましい実施形態による、患者の翼口蓋神経節(SPG)6または副交感神経部位の刺激のための完全移植可能な刺激器4の概略透視図である。
図1においては、ヒト鼻腔2が示されており、かつ刺激器4がSPG6に隣接して移植されている。SPG6から出る副交感神経の分枝は、中脳および前脳動脈(図示せず)まで延在する。好ましくは、1つもしくはそれ以上の比較的短い電極7が刺激器4から延在し、SPG6と接触し、またはこれの近く、またはSPG6を刺激する神経(例えば、その節後副交感神経幹)の近くにある。
【0137】
一部の応用例では、刺激器4は、骨口蓋の上部、または鼻腔の下部に移植される。代わりとして、または追加として、刺激器は、骨口蓋の下方、口腔の上部に移植される。この場合、刺激器に起点がある1つもしくはそれ以上の可撓性に電極7は、口蓋骨または軟口蓋の後方を通過し、SPGまたはその副交感神経路を刺激する位置に進む。さらに代わりとして、または追加として、刺激器がSPGおよび/またはその節後副交感神経幹に直接付着されうる。
【0138】
一部の応用例では、刺激器4は、剛性またはわずかに可撓性に導入器ロッド(図示せず)の遠位端に刺激器4を着脱式に付着させ、刺激器が適切に配置されるまで患者の鼻通路の一方にロッドを挿入することによって鼻腔2内の所望の位置に送達される。必要に応じて、配置工程は、透視検査、X線誘導、微細内視鏡手術(FES)法、または当技術分野で周知の他の有効な誘導法によって、または上記の組合せによって促進されうる。好ましくは、周囲温度および/または脳血流は、挿入と同時に測定される。脳血流は、例えば、患者の前頭に配置されたレーザードップラーユニット、または経頭蓋ドップラー測定によって測定されうる。適切な神経構造物への電極の適切移植の検証は、デバイスを作動させ、略同時に脳血流をモニタリングすることによって実行されうる。
【0139】
脳血管から脳への特定分子の通過は、BBBによって妨害される。毛細血管の内皮、血管の血漿膜、および星状細胞の足突起はすべて分子の脳による取込みを妨げる。BBBは一般に小分子(例えば、約200Da未満の分子量の親水性分子、および約500Da未満の脂肪親和性分子)のみ循環から脳への通過を可能にする。
【0140】
本発明の好ましい実施形態によれば、刺激器4からの電流によって誘発される副交感神経活動は、脳の毛細血管および血漿膜の内皮によって発生される経BBB分子移動に対する抵抗を克服する。したがって、一部の応用例では、刺激器4を用いて、血液から脳への薬物の通過に対する実質的な障害を一時的に除去する。例えば、刺激器は、約2分間電流を周期的に印加しうるとともに、実質的に約1〜20分の静止期間を有する。
【0141】
2つの神経伝達物質、すなわち血管活性腸管ポリペプチド(VIP)および一酸化窒素(NO)がBBBの特性におけるこの変化において重要な役割を果たすことが仮定されている。(アセチルコリンも関与していると思われる。)VIPは短いペプチドであり、NOは気体の分子である。VIPは、血漿タンパク質浸出(PPE)の促進における主要な因子であると考えられているが、NOは血管拡張に関与する。一部の応用例では、刺激器4は、必要に応じて、これら神経伝達物質の1つまたは両方の活性に選択的に影響を与えるために、SPGへ印加される電流のパラメータを変動させるようになっている。例えば、異なる周波数での副交感神経の刺激は、差動分泌を誘発しうるが、低周波数はNOの分泌を誘発するのに対し、高周波数(例えば、約10Hz以上)は、ペプチド(VIP)の分泌を誘発する。
【0142】
他の応用例では、罹患組織における副交感神経活動を遮断するために、一定レベルのDC信号、または緩徐に変動する電圧ランプが印加される。代わりとして、同様の結果は、これは神経伝達物質を使い果たす傾向があるため、約10Hzより高いレートで刺激することによって得ることができる。したがって、刺激器4は、SPGに対する化学的遮断の全体的な効果を模倣することによって血管収縮を誘発するために、副交感神経の電気的遮断を誘発するように構成されうる。この血管収縮効果は、例えば、偏頭痛の形成を制御可能に予防し、または逆転させるために使用されうる。偏頭痛の電気的治療のこの技法は、リドカインなどの薬物がSPG遮断を誘発するために適用されている従来技術の方法に対立している。
【0143】
図2は、本発明の好ましい実施形態による、患者の体の外部に位置した刺激器制御ユニットの概略図である。少なくとも1つの可撓性の電極10が好ましくは、患者の外鼻孔12を通じて制御ユニット8から、SPG6の隣接している鼻腔14内の位置に延在する。
【0144】
電極7(図1)および10はそれぞれ、1つもしくはそれ以上の電極、例えば、2つの電極、または微小電極のアレイを含んで成りうる。刺激器4が、電極として機能しうる金属筐体を含んで成る応用例では、通常、1つの電極7が使用され、単極性モードで作動する。使用中の電極の総数に関係なく、通常、単一または2つの電極がSPG6に延在する。他の電極7もしくは10または刺激器4の金属筐体は、好ましくは、鼻腔2の他の部分と接触して一時的または永続的に移植される。
【0145】
電極7および/または10のそれぞれは、好ましくは、適切な伝導性材料、例えば、銀、イリジウム、白金、白金イリジウム合金、チタン、ニチノール、またはニッケルクロム合金など生理学的に許容可能な材料を含んで成る。一部の応用例では、1つもしくはそれ以上の電極は、約1〜5mmの長さを有し、約50〜100ミクロンの直径を有する。各電極は、好ましくは、ポリエチレン、ポリウレタン、またはこれらのいずれかのコポリマーなど生理学的に許容可能材料で絶縁されている。電極は、好ましくは、良好な接触のために形状がらせん状であり、SPGの中へ、または近くに固定するために遠位端がフック状を有しうる。代わりとして、または追加として、電極は、単一のワイヤ電極、バネ荷重「クロコダイル」電極、または必要に応じて、粘着性プローブを含んで成りうる。
【0146】
本発明の好ましい実施形態においては、電極7および/または10の各1つは、かかる各電極の遠位端が大きな表面積を有するに構成または処理されていることを除き、実質的に平滑な表面を含んで成る。例えば、遠位先端は多孔性白金めっきされていてもよい。代わりとして、または追加として、電極7または10、および/または刺激器4の金属筐体の少なくとも先端は、ベクロメタゾン、リン酸ナトリウム、またはリン酸ベクロメタゾンなどの抗炎症薬を含んで成るコーティングを含む。代わりとして、かかる抗炎症薬は、注射され、または他の方法で適用される。
【0147】
図3は、本発明の好ましい実施形態による、刺激器4(図1)とともに使用される移植ユニット20および外部ユニット30を含んで成る回路を示す概略ブロック図である。移植ユニット20は、好ましくは、フィードバックブロック22および1つもしくはそれ以上の検出または信号印加電極24を含んで成る。移植ユニット20は通常、好ましくは、出力を受け取り、かつ/または外部ユニット30の電磁カップラー28へ、またはこれからデータ信号を送受信する電磁カップラー26をも含んで成る。
【0148】
外部ユニット30は、好ましくは、外部制御信号34を(例えば、医師から、または患者から)、およびフィードバックブロック22からフィードバック信号36を受け取るマイクロプロセッサ32を含んで成る。制御信号34は、例えば、操作のスケジュール、患者の体重などの患者パラメータ、またはSPGに印加される信号の所望の周波数または振幅など信号パラメータなど、作動パラメータを含みうる。必要に応じて、制御信号34は、患者または医療提供者によって入力され、刺激を終了し、または所定のプログラムに従ってこれを加減する緊急オーバーライド信号を含んで成りうる。そしてまた、マイクロプロセッサ32は、好ましくは、電極24を通じて印加される電流の1つもしくはそれ以上のパラメータを決定するために、制御信号134およびフィードバック信号36を処理する。この決定に応じて、マイクロプロセッサ32は通常、電磁カップラー28によって電磁カップラー26に搬送される電磁制御信号42を発生する。制御信号42は、好ましくは、電極24によってSPG6に印加される所望の電流または電圧に対応し、かつ、好ましい実施形態においては、電極を誘導的に駆動する。ユニット20または30におけるカップラー26および28および/または他の回路の構成は、指定組織に印加される信号(例えば、一連のパルス)の強度、周波数、形状、単相または二相モード、DCオフセットを決定しうる。
【0149】
マイクロプロセッサ32用の電源は通常、電池44、または、必要に応じて、別のDC電源によって供給される。アースは、電池44によって、または別個のアース端子46によって提供される。必要に応じて、マイクロプロセッサ32は、外部ユニット30のディスプレイブロック40を駆動するディスプレイ信号38を発生する。通常、ただし必然的ではなく、ディスプレイはフィードバックブロック22によって得られるフィードバックデータを示し、または外部ユニット用のユーザーインターフェイスを提供するために作動される。
【0150】
移植ユニット20は、好ましくは、チタン、白金、もしくはエポキシ、または適切な生体適合性材料で製造されたケースに包装されている。ケースが金属で製造されている場合は、ケースはアース端子電極として使用されうるが、したがって、刺激は通常、単相モードで実行される。代わりとして、ケースが生体適合性プラスチック材料で製造されている場合は、2つの電極24は通常、SPGに電流を印加するように駆動される。
【0151】
一部の応用例では、1つもしくはそれ以上の電極24によって指定組織(例えば、SPG)に適用される波形は、指数関数的減衰、ランプの上下、方形波、正弦波、のこ歯、DC成分、または組織への適用に適切である当技術分野で周知の他の形状を有する波形を含んで成る。代わりとして、または追加として、波形は、1つもしくはそれ以上の短い形状または平方パルスを含んで成り、各パルスは、好ましくは、持続時間が約1ms未満である。一般に、適切な波形およびそのパラメータは、外部ユニット30および移植ユニット20の最初の試験期間中に決定される。一部の応用例では、波形は、ユニット20がSPGを刺激している期間および/または非活性化(すなわち、スタンバイ)期間中に測定される測定された生理学的パラメータに従って動的に更新される。
【0152】
偏頭痛治療の場合、波形は、なだらかなのこ歯、または一定のDCレベルなど、出ていく副交感神経メッセージを遮断することを意図した、緩徐に変動する形状の形を取りうる。
【0153】
図4は、本発明の好ましい実施形態による、例えば、制御ユニット8(図2)とともに使用するための回路の概略ブロック図である。外部ユニット50が、電池54または別のDC電源によって供給されるマイクロプロセッサ52を含んで成る。アースは、電池54または別個のアース端子56によって提供されうる。マイクロプロセッサ52は、好ましくは、制御およびフィードバック信号58および68(上述された信号34および36と類似)を受け取り、それに応じて、1つもしくはそれ以上の電極66によってSPGまたは他の組織に搬送される刺激信号64を発生する。通常、ただし必然的ではなく、フィードバック信号68は、1つもしくはそれ以上の電極66および/または他のセンサから患者の脳または患者の体に結合されているほかの場所へのフィードバックによって測定される電気的フィードバックを含んで成る。必要に応じて、マイクロプロセッサ52は、関連データを患者または患者の医師に出力するディスプレイブロック62を駆動するディスプレイ信号60を発生する。通常、電極68の一部または全部は、患者に一時的に移植され(例えば、発作後)、外部ユニットを移植ユニットに接続するワイヤによって直接駆動される。
【0154】
図5Aは、本発明の好ましい実施形態による、図1〜4に示されているデバイスの1つもしくはそれ以上の操作モードを概略的に示すグラフである。 好ましくは、印加刺激の効果は、SPGまたは頭部のほかの場所、例えば鼻腔における温度トランスデューサによってモニタリングされる。刺激のステップ(ON/OFF)モードについて図5Aに示されているように、SPGまたは関連組織の刺激は時間T1で開始され、これは温度の測定可能な上昇(血流の増大による)によって反映される。温度が所定の、または動的に変動する閾値(例えば、37℃)に上昇すると、刺激は終了し(時間T2)、それに応じて温度は低下する。必要に応じて、温度が指定の、または動的に決定された点に下がると、刺激は再開する(時間T3)。好ましくは、適切な温度または他の生理学的パラメータは、最適な治療を提供するために各患者について決定される。必要に応じて、制御指示が患者から受け取られ、例えば、偏頭痛の開始と同時に刺激を開始する。
【0155】
図5Bは、本発明の好ましい実施形態による、図1〜4に示されているデバイスの1つもしくはそれ以上の操作モードを概略的に示すグラフである。この実施形態においては、SPGに印加される波形の振幅は、所望の性能を達成するために、測定温度に応じて、連続的セットの値(S1)、または不連続セットの値(S2)の間で変動する。移植装置の略最適性能を達成するために、頭部で測定された他のフィードバックパラメータ(例えば、頭蓋内圧および/または脳血流)のほか、測定された全身のパラメータ(例えば、心拍数)、主観的な患者の入力(例えば、偏頭痛=3/5)を温度測定値とともに、またはこれとは別に使用されうる。
【0156】
図6は、本発明の好ましい実施形態による、図1〜4に示されているデバイスの1つもしくはそれ以上の操作モードを概略的に示すグラフである。この実施形態においては、一定の割合で、例えば、時間T1でSPGの刺激開始前に、患者に薬物が静脈内投与される。有利には、血液中の薬物の高い濃度のこの事前の発生は、BBBを通じて脳への薬物の比較的迅速な移動を提供する傾向があるが、BBBの増強された浸透性を必ずしも延長することなく、同時に薬物の血中濃度が適切なレベルに達するのを待つ。代わりとして、一部の応用例では、SPGの刺激の開始直前または直後に薬物の1回ボーラス注射を与えることが望ましい。通常、併用投与および刺激スケジュールは、脳に対する各薬物の生化学的特性に基づく患者の医師によって決定される。
【0157】
図7は、本発明の好ましい実施形態による、 図1に示されている実施形態と組み合せて特に有用である副交感神経刺激の回路を示す概略ブロック図である。外部ユニット80が、好ましくは、電池84および/またはAC電源によって電力が供給されるマイクロプロセッサ82を含んで成る。マイクロプロセッサ82は、電池84、または任意のアース端子86によりアースされている。
【0158】
操作の標準のモードにおいては、外部制御ユニット88が、通常、移植ユニット100の近く、または患者の体のほかの場所に配置されている、1つもしくはそれ以上のバイオセンサ106からのフィードバック信号108とともに、マイクロプロセッサ82にインプットされる。信号88および108に応じて、マイクロプロセッサ82は、好ましくは、上述されているように、ディスプレイ90を駆動するディスプレイ信号89を発生する。また、マイクロプロセッサ82は、好ましくは、外部制御信号88およびフィードバック108を処理し、変調器94によって調節される出力信号92のパラメータを決定する。それによる出力は、好ましくは、移植ユニット100の電磁カップラー98を誘導的に駆動する電磁カップラー96を通じて電流を駆動する。そしてまた、電磁カップラー98に結合された復調器102は、必要に応じて、少なくとも1つの電極104を駆動してSPGまたは他の組織に電流を印加する信号103を発生する。
【0159】
好ましくは、バイオセンサ106は、例えば、以下の1つもしくはそれ以上を含む移植可能な、または外部の医用装置を含んで成る。
・血流センサ、
・温度センサ、
・化学センナ、
・超音波センサ。
・経頭蓋ドップラー(TCD)装置、
・レーザードップラー装置、
・全身血圧センサ(例えば、主要な脳血管に固定された圧電結晶を含んで成り、凝血塊を示す突然の血圧上昇を検出する能力がある。)
・動態センサ(例えば、体の姿勢の突然の変化(崩壊における)など体内動態を示すための、加速度、速度、またはレベルセンサ(例えば、水銀スイッチ)を含んで成る。)
・脳波検査(EEG)センサ(発作または偏頭痛の症状など、神経パターンの変化を示すための、患者の頭部に付着され、または移植されるEEG電極を含んで成る。)
・血管凝血塊検出器(例えば、図13を参考にして以下で述べられる。)、または
・本発明のこのまたは他の実施形態の目的を行うために適した生理学的な量の他のモニター。
【0160】
図8は、本発明の好ましい実施形態による、変調器94および/または復調器102の操作モードを示す概略図である。図7における信号92の振幅および周波数は、左のグラフに示されているように、特定の値を有しうるが、しかし、振幅および周波数は調節され、信号103は異なる特性を有する。
【0161】
図9は、本発明の好ましい実施形態による、SPGの刺激のための別の装置の概略図である。この実施形態においては、処理および信号発生の実質的に全部が、患者の移植ユニット110における回路によって実行され、かつ、好ましくは、外部ユニット111における制御器122との連絡が間欠的にのみ実行される。移植ユニット110は、好ましくは、電池114に結合されたマイクロプロセッサ112を含んで成る。マイクロプロセッサ112は、少なくとも1つの電極118に沿って移動し、SPGを刺激する。バイオセンサ(図示せず)および/または電極118からのフィードバック信号120が、それに応じて刺激パラメータを加減するようになっているマイクロプロセッサ112によって受け取られる。好ましくは、マイクロプロセッサ112および制御器122が、データを交換し、またはパラメータを変更するために、電磁カップラー126および124によって連絡するように作動する。さらに好ましくは、電池114は、電磁カップリングによって誘導的に再充電可能である。
【0162】
図10Aは、本発明の好ましい実施形態による、刺激器150の概略図である。好ましくは、電気的要素の実質的に全部(再充電可能なエネルギー源を有する電気回路158を含む)が、生体適合性金属ケース154にカプセル化されている。誘導コイル156および少なくとも1つの電極162は、好ましくは、フィードスルーカップリング160によって回路158に結合されている。この誘導コイルは、好ましくは、電磁カップリングの高い効率を可能にする、エポキシコーティング152によって分離される。
【0163】
図10Bは、本発明の好ましい実施形態による、移植可能な刺激器の別の構成の概略図である。好ましくは、電気的要素の実質的に全部(誘導コイル176、および再充電可能なエネルギー源を有する電気回路178を含む)が、生体適合性金属ケース174にカプセル化されている。1つもしくはそれ以上のフィードスルーは、好ましくは、少なくとも1つの電極182と電気回路のほか、それと連絡している誘導コイル176と別の誘導コイル(図示せず)との間のカップリングを可能にするように提供されている。
【0164】
図10Aおよび図10Bを参考にすると、電気回路158および178のエネルギー源は、例えば、一次電池、再充電可能電池、またはスーパーキャパシタを含んで成りうる。再充電可能な電池またはスーパーキャパシタが使用される応用例では、あらゆる種類の励起手段を用いて、例えば(ただし図示せず)誘導帯電のための標準手段、または患者の動きの動態を電荷に変換する小型電気機械的エネルギー変換器などのエネルギー源を荷電するために使用されうる。代わりとして、外部の光源(例えば、単一LED,レーザーダイオード、または他の光源)が、電子回路内の光電池に向けられうる。さらに代わりとして、超音波エネルギーが、移植ユニットに向けられ、電池充電手段を駆動するように変換される。
【0165】
図11および12は、本発明の好ましい実施形態により実施されたラット実験中に得られた実験結果を示す棒グラフである。システムにおける物質のバイオ分布のモニタリングにおける一般の技法としては、放射性標識化トレーサの存在およびレベルのモニタリングが挙げられる。これらのトレーサは、標的物質に共役した一般元素(例えば、Tc、In、Cr、Ga、およびGd)の不安定な同位体である。トレーサの化学的特性は、同様の物理化学的特性を有する他の物質の性質の予測因子として使用され、評価されている特定の生物学的機序に基づき選択される。通常、患者または実験動物は、ガンマカメラ上に配置され、または標的組織サンプルを得て、個別にウェルカウンタに配置されうる。実施された本セットの実験の目的のために、その高い感度および空間分解能によりウェルカウンタ法が選択された。99Tc−DTPA(99−テクネチウムアイソトープ)を用いる一連の実験が実施された。99Tc−DTPAの分子量は458Daであり、その脂肪親和性は陰性であり、その電荷は+1である。これらのパラメータは、タモキシフェン、エトポシド、およびイリノテカンなどの標準の化学療法において使用される薬物ときわめて類似している。
【0166】
図11および図12は、通常の脳サンプリング法(図11)および剥離(peeled)脳法(図12)を用いた99Tc−DTPA浸透アッセイを用いて得られた結果を示す。各グラフのX軸は、異なる実験の実行を表し、各グラフのY軸は以下のように規定される: [(半球放射能)/(半球重量)]/[(総注入放射能)/(総動物重量)]。得られた結果は、ラット脳への99Tc−DTPAの浸透の平均2.5倍の増大を示す。これらの結果は、SPGの反側性刺激によって得られたことが注目される。発明者は、両側SPG刺激が、片側SPG刺激に対して、薬物浸透を約2倍にすると考えている。
図11および図12の両方においては、一部の動物は対照動物として指定され、他の動物は試験動物として指定された。各群において、左右の半球が別個に試験され、各棒の高さは、所定の動物および所定の半球について、上記規定されているように放射能の標準化レベル表している。したがって、図11は、4個の試験半球および4個の対照半球の全部の結果を示す。図12は、6個の試験半球および14個の対照半球の結果を示す。棒グラフにおける対照および試験の棒の並置は、対照および試験半球のペアリングが意味されていない。
【0167】
図13は、本発明の好ましい実施形態による、例えば、上記のマイクロプロセッサまたは回路のいずれかにフィードバックを提供することにおいて使用するための音響または光学凝血塊検出装置の概略図である。検出は、好ましくは、主要な血管200(例えば、内頸動脈または大動脈)に音響または光学トランスミッタ/レシーバ206、および光学反射表面204を含んで成る検出要素を結合することによって実行される。天然の生理液体が、デバイスと血管との間の仲介液体として使用されうる。好ましくは、トランスミッタ/レシーバは、反射し戻される超音波信号または電磁信号を発生し、プロセッサが戻った信号に変化を評価し、新たに存在する凝血塊の指標を検出する。代わりとして、トランスミッタは血管の一方の側面に配置され、レシーバは血管の他の側面に配置される。いずれかの場合に、一部の応用例では、かかる装置202の1つ以上が血管に配置され、血管内に運動の凝血塊の検出の可能な推定のために有効な凝血塊検出の確率を改善し、誤った警告(すなわち、誤った検出)を低下させる。
【0168】
図14は、本発明の好ましい実施形態による、対象に着臭剤を与えることにおいて使用するための鼻吸入器300の概略断面図である。鼻吸入器300は、好ましくは、水性鼻吸入器、定量鼻吸入器、または空気希釈嗅覚計などの当技術分野で周知の装置を含んで成る。着臭剤は、着臭剤貯蔵容器302に保存され、鼻ピースなど着臭剤送達要素304を用いて鼻通路に送達される。代わりとして、または追加として、着臭剤は、唾液と接触と同時活性着臭剤を放出する傾向溶解性カプセルによって投与される。着臭剤は神経構造物の近くに達し、血管拡張、血管収縮および/または脳血管浸透性の変化を誘発する。
【0169】
本発明の実施形態は多くの医療用途を有する。例えば、化学療法薬は、脳腫瘍を治療するために脳組織に入る必要がある。化学療法薬の大部分は分子量が200〜1200Daであり、したがって、その血液脳関門(BBB)を通じた輸送はきわめて制限されている。BBBの障害を克服するために、高浸透ロードの手根内注入が、その間に投薬が行われている、きわめて短時間(例えば、25分)、BBBの接着結合を開放するために従来技術で使用されている。この処置は簡単ではない、すなわち、侵襲的であり、全身麻酔を必要とし、その後の集中治療を必要とし、いずれにせよ比較的費用がかかる。これらの理由で、一部の報告ではこのようにして化学療法を受けた患者の生命寿命の実質的な改善が主張されているが、かかる手根注入は、きわめてわずかな医療施設でのみ使用されている。
【0170】
好ましくは、経BBB薬物送達の増大、かつより有効な化学療法を促進する本発明の実施形態は、 放射線療法の必要を削減または除去することもできる。脳のかかる照射は、長期の認知および他の欠損の重要な原因であることが文献で示されていることが注目される。
【0171】
本発明の好ましい実施形態により提供される良好な薬物送達は、パーキンソン病、 アルツハイマー病、および他の神経疾患など、他の疾患の治療における要素でもある。一部の応用例では、種々の成長因子の経BBB送達が、本明細書中で述べられた技法を用いて促進される。成長因子は通常、ニューロンの成長を刺激し、パーキンソン病、 アルツハイマー病、および運動ニューロン病(例えば、ルー・ゲーリング病)など変性疾患を治療するために使用されうる。
【0172】
本発明の別の好ましい応用例としては、例えば、免疫無防備状態患者における脳の感染症のケースで、脳内の炎症を治療するためにBBBを通じて薬物送達を促進するステップが挙げられる。同様に、AIDSを治療する薬物は、必要に応じて、本明細書中で述べられた方法および装置の使用により、BBBを通じて脳の部位により有効に投与されうる。本発明の一部の実施形態の別の応用例としては、遺伝子療法の薬剤である(例えば、パーキンソン病の治療用)ウイルスのBBBを通じた送達が挙げられる。同様に、本明細書中で述べられた方法および装置は、GM2ガングリオシドーシスなどの脳の代謝疾患に対して使用されうる。
【0173】
本発明の一部の好ましい実施形態の別の態様は、脳血流の調節に関する。約750,000人のアメリカ人が毎年脳卒中に罹っている。脳卒中は米国の主要な死亡原因であり、毎年約160,000人のアメリカ人を死亡に至らしている。米国の3百万人以上が脳卒中を切り抜け、そのうち2百万人以上が、肢体不自由、失語、および記憶喪失に罹っている。脳卒中の約85%は、虚血性、すなわち、血管が閉塞し、その領域の酸素供給が奪われている。完全に血液供給が奪われている脳部位は、供給の部分的欠乏の第2部位によって包囲されており、その生命力は危険な状態にある。この第2部位が、本発明の一部の実施形態の主要な標的の1つであり、すなわち、SPGの刺激その血管を拡張し、その部位の生存の可能性を大幅に改善することになる。介入が事象の十分に早期である場合(例えば、発作後数時間)は、血栓はまだ組織化されず、血管の拡張が組織への血液供給を再開しうるため、脳卒中の中核部位も助けられうる。代わりとして、SPG刺激は、大血管から小血管への凝血塊の移動を可能にし、血液供給を奪うのは、脳のはるかに小さな体積からということなる(いずれにせよ、凝血塊が所定の位置に依然としてあったため血液供給が奪われている)。
【0174】
集団ベースの研究では、男性の5%および女性の16%が偏頭痛発作に罹ることが示されている。これらのち80%以上が、ある程度の頭痛関連身体障害に罹る。副交感神経遮断(刺激と対照的に)は、血管収縮を誘発することが知られている。本発明のある実施形態では、電気的手段を用いて、血管拡張作用を誘発し、偏頭痛を治療する。例えば、ゆっくり変動させる電圧、または場合より、一定レベルのDC電圧を加えるなど、神経メッセージングを遮断する技法が使用されうる。
【0175】
アルツハイマー病は、生命寿命の増大とともに、身体障害および経済的負担の主な原因となっている。近年、血管因子がこの疾患の病態生理学における重要因子とみなされている。現行の療法は一般に1つのライン、すなわち、コリン作用性薬物療法に沿って集中して行われているが、これはせいぜい患者の認知機能の悪化を遅らせることしかできない。本発明の好ましい実施形態によって提供されるSPG刺激は、脳への血流および酸素供給を増大させ、したがってこれらの患者を助けると考えられている。この用途で、長期の間欠的な刺激のために、永久的な刺激器を鼻腔に移植することができる。
【0176】
本発明の一部の実施形態は、患者の全身循環から脳組織への分子の通過を促進するためにBBBの浸透性を強化することに関して本明細書中では述べられているが、これは例示としてであって、限定としてではない。他の実施形態においては、脳組織から全身循環への分子のクリアランスの強化を促進するたねに類似の技法が用いられている。一部の応用例では、このクリアランスの強化は、例えば、撮像様式またはBBB浸透性の増大中または増大後に取られた血液サンプルによって、診断手順を促進するために利用されている。他の応用例では、分子のクリアランスの強化は、例えば、脳からの毒素のクリアランスを促進するために、それ自体が目標となる。
【0177】
本出願中で述べられた技法は、本特許出願の譲受人に譲渡され、本明細書中で参考によって援用されている以下の特許出願の1つもしくはそれ以上に記載されている方法および装置と組み合せて実行されうる。
【0178】
・国際公開公報(PCT)第WO01/85094号、2001年5月7日出願、名称「翼口蓋神経節を刺激し、BBBおよび野血流の特性を加減するための方法および装置」
・米国仮特許出願第60/364,451号、2002年3月15日出願、名称「翼口蓋神経節(SPG)を刺激する使用」
・米国仮特許出願第60/368,657号、2002年3月28日出願、名称「SPG刺激」
・米国仮特許出願第60/376,048号、2002年4月25日出願、名称「頭内の神経に対する着臭剤の神経興奮性および/または神経抑制性作用を用いてBBBおよび脳循環の特性を加減するための方法および装置」
・米国仮特許出願第60/388,931号、2002年6月14日出願、「アルツハイマー病の治療の方法およびシステム」
・米国仮特許出願第60/400,167号、2002年7月31日出願、名称「BBBおよび脳循環の特性を加減することによる脳への化合物の送達」
・米国仮特許出願、2002年11月14日出願、名称「翼口蓋神経節刺激のための外科用器具および技法」
・米国仮特許出願、2002年11月14日出願、名称「電子医用システムの刺激回路および制御」
・米国特許出願、2002年11月14日出願、名称「眼病の治療のためのSPG刺激」
・米国特許出願、2002年11月14日出願、名称「CNSへの抗炎症薬の投与」
・米国仮特許出願、2002年11月14日出願、名称「眼病を治療するための刺激」
・米国仮特許出願、2003年2月20日出願、名称「CNSの自己免疫疾患の治療のための刺激」
・米国仮特許出願、グロス(Gross)ら、2003年4月8日出願、名称「血液脳関門および頭部血流の特性を加減することによる心身の異常状態の治療」
【0179】
特に、特許出願の上記リストに記載された電気的信号応用例の技法は、着臭剤投与とともに、またはこれの代わりに使用することができる。したがって、着臭剤を利用する本明細書中で述べられた応用例は、その代わりに、電気的信号応用例を用いて、着臭剤投与により達成されるものと略同様の結果を達成することができる。
【0180】
「血液脳関門(BBB)」なる用語は、全身循環と脳との間のバリア、および全身循環と脳における腫瘍との間のバリア(しばしば「血液腫瘍バリア」と呼ばれる)に適用される、本特許出願および請求項との関連で用いられていることが理解されるべきである。
【0181】
当業者には、本発明が上記で詳しく示され、記載されたものに限定されないことが理解されたい。それどころか、本発明の範囲は、上記の種々の特徴の組合せと副組合せの両方のほか、上記の説明を読むと同時に当業者には思いつくであろう、従来技術にはないその変形および修正を包含する。
例えば、1つの一体ユニット内に収容される図面に示されている要素は、一部の応用例では、複数の別個のユニットに配置されうる。同様に、ワイヤレス方法で結合されることが示されている連絡および出力伝達のための装置は、代わりとして、有線方法で結合されうる。また、本発明の範囲は、本明細書中で述べられ、かつ/または請求された方法を行うための装置を含み、かつ本明細書中で述べられ、かつ/または請求された装置に対応した方法をも含むことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0182】
【図1】本発明の好ましい実施形態による、SPGの刺激のための完全に移植可能な刺激器の概略透視図である。
【図2】本発明の好ましい実施形態による、SPGの刺激のための別の刺激器の概略透視図である。
【図3】本発明の好ましい実施形態による、図1に示されている刺激器とともに使用するための回路を示す概略ブロック図である。
【図4】本発明の好ましい実施形態による、図2に示されている刺激器とともに使用するための回路を示す概略ブロック図である。
【図5A】本発明の好ましい実施形態による、図1および図2に示されているような刺激器の操作の異なるモードを示す概略である。
【図5B】本発明の好ましい実施形態による、図1および図2に示されているような刺激器の操作の異なるモードを示す概略である。
【図6】本発明の好ましい実施形態による、薬物送達システムと同期した図1および図2に示されている刺激器の操作のモードの概略図である。
【図7】本発明の好ましい実施形態による、刺激器が、変調器および復調器を用いる外部制御器およびエネルギー源によって駆動される、図1示されている刺激器とともに使用するための回路を示す概略ブロック図である。
【図8】本発明の好ましい実施形態による、図7の回路ととに使用するためのサンプルの変調器および復調器の機能を示す図である。
【図9】本発明の好ましい実施形態による、移植可能な刺激器とともに使用するための別の回路を示す概略図である。
【図10A】本発明の好ましい実施形態による、移植可能な刺激器とともに使用するための別の回路を示す概略図である。
【図10B】本発明の好ましい実施形態による、移植可能な刺激器とともに使用するための別の回路を示す概略である。
【図11】本発明の好ましい実施形態による、収集された実験データを示す棒グラフである。
【図12】本発明の好ましい実施形態による、収集された実験データを示す棒グラフである。
【図13】本発明の好ましい実施形態による、血管へ適用するためのセンサの概略図である。
【図14】本発明の好ましい実施形態による、着臭剤の投与において使用するための鼻吸入器を示す概略断面図である。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の説明)
本出願は、本特許出願の譲受人に譲渡され、本明細書中で参考によって援用されている、2002年4月25日に出願された「頭内神経の着臭剤の神経興奮性および/または神経抑制性作用を用いてBBBおよび脳循環の特性を加減する方法および装置」と称する、シャレフ(Shalev)に対する米国仮特許出願第60/376,048号からの優先権を請求する。
【0002】
本出願は、本特許出願の譲受人に譲渡され、本明細書中で参考によって援用されている、「血液−脳関門および頭部血流の特性を加減することによる心身の異常な状態の治療」と称する、2003年4月8日に出願された、グロス(Gross)らに対する米国仮特許出願からの優先権をも請求する。
【0003】
本発明は、一般に医療処置および電子デバイスに関する。より具体的には、本発明は、頭部、例えば鼻腔における移植のための電子デバイスの使用に関する。本発明は、臨床症状の治療のために神経作用を誘発し、または抑制する着臭剤を使用するための方法にも関する。本発明は、薬剤を投与し、偏頭痛および群発性頭痛などの発作および頭痛を治療し、かつ脳血流を改善するための装置および方法にも関する。
【背景技術】
【0004】
血液−脳関門(BBB)は、脳を全身血液循環から分離する中枢神経系(CNS)の固有の特徴である。CNSの恒常性を維持するために、BBBは血液中を循環する多くの物質の脳へのアクセスを阻止する。
【0005】
BBBは、内皮細胞、大グリア、血管周囲細胞、脈管周囲マクロファージ、および基底膜の複雑な細胞系によって形成されている。他の組織と比べ、脳の内皮は最も親密な細胞間接続を有する。すなわち、内皮細胞は互いに強く接着し、「密着結合」または閉鎖帯と呼ばれるCNSに対して特異的な構造を形成する。それらは2つの対向する血漿膜を有し、これらはどちらか一方での細胞質密度による膜融合を形成する。これら密着結合は、内皮細胞間の細胞移動または細胞運動を妨げる。連続的に均一の基底膜が脳の毛細血管を包囲する。この基底膜は、間欠的な層を形成し、おそらく食細胞活動、およびBBBが侵害された場合には、防御における何らかの役割を果たす、血管周囲細胞と呼ばれる収縮性細胞を取り囲む。脳の毛細血管を覆う星状細胞末端足は、連続的なスリーブを構成し、それらのBBB特性を発展させるために内皮細胞にとって重要な可溶性成長因子(例えば、ガンマ−グルタミルトランスペプチダーゼ)の合成および分泌によってBBBの完全性を維持する。
【0006】
BBBのため、血流を通じた化合物の全身導入に基づく脳の一部の非外科的治療は、無効であり、または効果が低かった。例えば、化学療法は、全身性癌(例えば、乳癌、小細胞肺癌、リンパ腫、および胚細胞腫瘍)のCNS転移の治療において比較的無効であったが、ただし、非CNS全身部位におけるこれらの腫瘍の臨床的後退および完全寛解は認められた。血液からCNSへの薬物送達を決定する最も重要な因子は、液体溶解度、分子量、および電荷である。オクタノール/水分配係数で表される薬物の液体溶解度と、BBBを通じた薬物の浸透または拡散能との優れた相関が存在する。これは特に600ダルトン(Da)より小さい分子量の薬物にとって重要である。正常なBBBは、180Daより大きい分子量のイオン化水可溶性薬物の通貨を阻止する。しかし、大部分の現在入手可能で有効な化学療法剤は、分子量が200〜1200Daである。したがって、それらの液体溶解度および分子量に基づき、多くの薬剤の通過がBBBによって妨げられている。
【0007】
脂肪親和性薬剤の経細胞拡散に加えて、脳の内皮細胞を通じて特定の分子を運ぶ特殊な輸送機構がいくつか存在する。特殊な輸送タンパク質が、糖やアミノ酸など必須分子のために存在する。また、吸収性エンドサイトーシスおよびトランスサイトーシスが、陽イオン血漿タンパク質のために生じる。トランスフェリンおよびインスリンなど特定のタンパク質の特異的受容体が、細胞を通じてエンドサイトーシスおよび輸送を仲介する。
【0008】
神経疾患の非外科的治療は一般に、神経関連活動および疾患を治療し、緩和しうる神経薬および他の神経活性剤など化合物の全身導入に限定されている。しかし、かかる治療は、BBBを通過する比較的少数の周知の化合物によって制約されている。BBBを横断することがないものであっても、しばしば体の他の部分または脳の非標的部位における有害な反応をひき起こす。
【0009】
具体的には、脳への薬物のアクセスの制約を克服するBBBを横断する努力に関する多くの異なる研究が行われている。かかる努力としては、例えば、化学的修飾、より疎水性類似体の開発、または活性化合物の特定の担体への結合が挙げられる。ヒトにけるBBBの一次的な開放は、高張性マニトール溶液またはブラジキニン類似体の手根内注入によって達成されている。また、その基質が脳細胞から毛細血管腔へ活発に押出されるP−糖タンパクの調節も、薬物の脳への送達を促進することがわかっている。しかし、上記の処置のそれぞれの固有の制約により、依然として、BBBを横断するより一般的で有効な、かつ予測可能な方法が必要とされている。
【0010】
脳血流を調節するための制御可能手段を開発することも望ましいであろう。発作、偏頭痛、およびアルツハイマー病などの多くの病的状態は、異常な脳血流によって著しく影響され、または増悪されるのである。
【0011】
特許文献1は、本明細書中で参考によって援用されるが、血液脳関門の浸透を強化する治療薬のエーロゾルを経鼻投与するための方法を記載している。同特許は、経鼻適用のために設計された定量スプレーであって、少なくとも1つの性ホルモンまたは性ホルモンの少なくとも1つの代謝前駆体または性ホルモンの少なくとも1つの誘導体またはこれらの組合せを、テストステロンの前駆体を例外として、またはカテコールアミンを除く、少なくとも1つの生体アミンを含有するスプレーを記載している。
【0012】
特許文献2は、本明細書中で参考によって援用されるが、血液脳関門を通じた化合物のイメージガイド超音波送達のための装置を記載している。超音波は、脳内の部位に適用され、その位置における組織および/または体液中で画像によって検出可能な変更を達成する。選択位置の近くの脳の少なくとも一部分が、例えば磁気共鳴画像法によって撮像され、その変更の位置を確認する。患者の血流中の化合物、例えば神経薬が、超音波を適用することによって確認された位置に送達され、その位置での血液脳関門の開放を達成し、それによって、そこでの化合物の取込みを誘導する。
【0013】
以下の非特許文献が、本明細書中で参考によって援用されるが、これらは有用と思われる。
【特許文献1】米国特許第5,756,071号
【特許文献2】米国特許第5,752,515号
【非特許文献1】デレピン(Delepine)L、オービニュウ(Aubineau)P、「副交感神経翼口蓋神経節の刺激によるラット硬膜において誘発される血漿タンパク質浸出(Plasma protein extravasation induced in the rat dura mater by stimulation of the parasympathetic sphenopalatine ganglion)」、Experimental Neurology、1997年(147)、pp,389−400
【非特許文献2】ハラ(Hara)H、ザング(Zhang)QJ、クロヤナギ(Kuroyanagi)T、コバヤシ(Kobayashi)S、「副交感神経脳血管刺激:ラトにおける翼口蓋神経節からの前方トレース(Parasympathetic cerebrovascular innervation: An anterograde tracing from the sphenopalatine ganglion in the rat)Neurologgy,1993(32)、pp.822−827
【非特許文献3】ジョリエット・リアント(Jolliet−Riant)P、チレメント(Tillement)JP、「血液脳関門を通じた薬物輸送および脳送達の改善(Drug transfer across the blood−brain barrie and improvement of brain delivery)」、Fundam.Clin. Pharmacol.、1999年(13)、pp.16−25
【非特許文献4】クロル(Kroll)RA、ノイウェルト(Neuwelt)EA、「治療目的の血液脳関門の対処:浸透開放および他の手段(Outwitting the blood brain barrier for therapeutic purposes: Osmotic opening and other means)」、Neurosurgery、1998年(42)、pp.1083−1100
【非特許文献5】サンダース(Sanders)M、ズルモンド(Zuurmond)WW、「群発性頭痛に罹患した患者66例における翼口蓋神経節遮断の効果:12〜70か月フォローアップ評価(Efficacy of sphenopalatine ganglion blockade in 66 patients suffering from cluster headache:A 12−70 month follow−up evaluation)」、Journal of Neurosurgery、1997年(87)、pp.876−880
【非特許文献6】シエラツ(Syelaz)J、ハラ(Hara)H、ピナルド(Pinard)E、ムラボビッチ(Mraovitch)S、マクケンジー(MacKenzie)ET、エビンソン(Edvinsson)L、「ラットにおける皮質血流に対する翼口蓋神経節の刺激の効果(Effects of stimulation of the sphenopalatine ganglion on cortical blood flow in the rat)」、Journal of Cerebral Blood1988年(8)、pp.875−878
【非特許文献7】ヴァンデウォータービームド(Van de Waterbeemd)H、カメニッシュ(Camenisch)G、フォルカース(Folkers)G、クレチエン(Chretien)JR、ラブスキー(Raevsky)OA、「分子サイズおよび形状およびh結合記述子を用いた薬物の血液脳関門横断の評価(Estimation of blood brai barrier crossing of drugs using molecular size and shape and h bonding descriptors)」、Journal of Drug Targeting、1998年(6)、pp.151−165
【非特許文献8】スズキ(Suzuki)N、ハルデボ(Hardebo)JE、カフルストローム(Kahrstrom)J、オーマン(Owman)C、「翼口蓋神経節を起点とする節後大脳血管副交感神経線維の選択的電気的刺激はラットにおける皮質血流を強化する(Selective electrical stimulation of postganglionic cerebrovascular parasympathetic nerve fibers originating from the sphenopalatine ganglion enhances cortical blood flow in the rat)」、Journal of Cerebral Blood Flow and Metabolism、1990年(10)、pp.383−391
【非特許文献9】スズキ(Suzuki)N、ハルデボ(Hardebo)JE、カフルストローム(Kahrstrom)J、オーマン(Owman)C、「ラットにおける三叉神経脳血管神経細胞の電気的刺激の皮質血流に対する効果(Effect on cortical blood flow of electrical stimulation of trigeminal cerebrovascular nerve fibres in therat)」、ActaPhysiol. Scand.、1990年(138)、pp.307−315
【非特許文献10】メジャー(Major)A、シルバー(Silver)W、「ラット鼻腔へ投与された着臭剤は皮質血流を増大させる(Odorants presented to the rat nasal cavity increase cortical blood flow)」、Chem. Senses、1999年(24)、pp.665−669
【非特許文献11】フスコ(Fusco)BM、フィオレ(Fiore)G、ガロ(Gallo)F、マルテレッティ(Martelletti)P、ジアコバッゾ(Giacovazzo)M、「群発性頭痛におけるカプサイシン感受性感覚ニュローン:病態生理学的側面および治療的指標(Capsaicin−sensitive’sensory neurons in cluster headache: pathophysiological aspects and therapeutic indications)」、Headache、1994年(34)、pp.132−137
【非特許文献12】ラムベルト(Lambert)GA、ボグダック(Bogduk)N、ゴーズビー(Goadsby)PJ、ダックワース(Duckworth)JW、ランス(Lance)JW、「三叉神経刺激に対するネコにおける頸動脈耐性の減少(Decreased carotid arterial resistance in cats in response to trigeminal stimulation)」、Journal of Neurosurgery、1984年(61)、pp.307−315
【非特許文献13】シルバー(Silver)WL、「鼻刺激のための神経および薬学的基礎(Neural and pharmacological basis for nasal irritation」、タッカー(Tucker)WG、リーデラー(Leaderer)BP、モルハブ(Molhave)L、ケイン(Cain)WS (編)、Sources of Indoor Air Contaminants,Ann.NY Acad.Sci、1992年(641)、pp.152−163
【非特許文献14】シルバー(Silver)W、ケメステーシス(Chemesthesis):緊急課題(the burning questions)、ChemoSense、1999年、第2巻、第1号、pp.1−2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の一部の態様の目的は、特にBBBを通じて、脳へ化合物を送達するための改善された方法および装置を提供することである。
【0015】
かかる化合物をBBBを通じて最小侵襲的な方法で送達するために使用されうる方法および装置を提供することが、本発明の一部の態様の目的でもある。
【0016】
さらに、BBBを通じて大分子量化合物の送達を促進しうる方法および装置を提供することが、本発明の一部の態様の別の目的でもある。
【0017】
さらに、血液脳関門を通じて化合物を送達するための費用対効果の高い方法および装置を提供することが、本発明の一部の態様の別の目的でもある。
【0018】
さらに、血液脳関門を通じた化合物の送達によって神経活動および疾患を治療し、または修正するための改善された方法および装置を提供することが、本発明の一部の態様の別の目的でもある。
【0019】
また、脳血流を調節することが、本発明の一部の態様の別の目的でもある。
【0020】
発作を治療するための改善された方法および装置を提供することが、本発明の一部の態様の追加の目的である。
【0021】
さらに、偏頭痛、群発性および他の種類の頭痛を治療するための改善された方法および装置を提供することが、本発明の一部の態様の追加の目的である。
【0022】
さらに、その予後および病的症状の評価が脳血流によって影響される神経疾患(例えば、アルツハイマー病)を治療するための改善された方法および装置を提供することが、本発明の一部の態様の追加の目的である。
【0023】
実際に脳内に移植されることなく、脳の特性に影響を及ぼす移植可能な装置を提供することが、本発明の一部の態様の目的でもある。特に、この装置は鼻腔に移植されうる。
【0024】
さらに、移植可能な装置を使用せずに脳の特性に影響を及ぼす方法を提供することが、本発明の一部の態様の別の目的である。特に、この方法は、鼻腔または咽喉など、患者の気道に着臭剤を与えるステップを含んで成る。
【0025】
さらに、頭内の神経に対する着臭剤の神経興奮性および/または神経抑制性作用を使用することによって脳の特性に影響を及ぼすことが、本発明の一部の態様の別の目的である。
【0026】
本発明のこれらおよび他の目的は、以下に示されるその好ましい実施形態の説明からより明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明の好ましい実施形態においては、電気的刺激器が、電流を翼口蓋神経節(SPG)へ駆動し、もしくはSPG由来し、またはこれに達する神経路へ駆動する。通常、この刺激器は、SPG関連行動を制御および/または加減するために、例えば、脳血流の変更を誘発し、かつ/または血液脳関門(BBB)の浸透性を調節するために電流を駆動する。これらの実施形態は、例示として、ただし限定としてではなく、(a)発作などの脳血管性疾患の治療、(b)偏頭痛、群発性および他の種類の頭痛の治療、または(c)BBBを通じた薬物輸送の促進など多くの医療用途において使用されうる。
【0028】
本発明の好ましい実施形態は、SPGまたはそれに直接関連した神経構造物への電流の駆動に関して記載されているが、本発明の範囲が、所定の用途の必要に応じて、刺激と同時に脳血流を調節し、またはBBBの浸透特性を調節する脳内の他の部位への電流の駆動を含むことが理解されるべきである。
【0029】
本発明の好ましい実施形態によって提供される、電気的「刺激」は、電流が神経の活動を遮断または抑制するように構成されている場合でも、指定された組織への実質的に任意の形の電流の適用を包含することが意図されているも理解されるべきである。
【0030】
さらに、移植および刺激部位、移植の方法、および刺激のパラメータは、本明細書では例示として、ただし限定としてではなく記載されていること、かつ本発明の範囲が、本特許出願を読んだ当業者には自明であろう他の可能性を含むことが理解されるべきである。
【0031】
さらに、本発明の好ましい実施形態は、本明細書中では力の電気的伝達および組織の電気的刺激に関して一般に記載されちるが、エネルギー輸送の他のモードも使用されることが理解されるべきである。かかるエネルギーとしては、直接または誘導電磁エネルギー、RF伝達、超音波伝達、光パワー、および低出力レーザエネルギー(例えば、光ファイバーケーブルによる)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
さらに、本発明の好ましい実施形態は、組織への電流の適用に関して記載されているが、これは、例えば、2つの電極間で電圧降下を生成することによって、電界を適用するのと実質的に同等である、本特許出願および請求項に照らして理解されることが理解されるべきである。
【0033】
SPGは、鼻の後方の脳内に位置した神経中枢である。これは、中大脳および前大脳管腔、顔面皮膚血管、および涙腺を刺激する副交感神経ニューロンで構成される。この神経節の活性化は、これらの血管の拡張をひき起こすと考えられている。かかる刺激の第2の作用は、血管壁の孔の開放であり、血漿タンパク浸出(PPE)をひき起こす。この作用により血管内から周囲組織への分子の良好な輸送を可能にする。
【0034】
中大脳および前大脳動脈は、その全体の前頭葉および頭頂葉、島および辺縁系、および以下の構造物、すなわち側頭葉、内包、脳幹神経節、および視床の重要部分を含む大脳半球への血液供給の大部分を提供する。これらの構造物は、脳の神経疾患および精神疾患の多くにおいて関与しており、本発明の好ましい実施形態は、これらの構造物への改善された血液供給および薬物送達を提供することを対象としている。
【0035】
後大脳動脈および脳底動脈におけるSPG由来副交感神経刺激の存在の一部の動物による証拠もある。これはヒトにおいても該当するという仮説と一致して、ヒト脳の多くの部位が、以下で述べられるように、本発明の好ましい実施形態によって提供される治療の到達範囲である。
【0036】
現在、SPGは、臨床医学、主に、群発性頭痛など重篤な頭痛の試行的治療における操作の標的である。この神経節は、リドカインを適用することによって短期に、または無線周波数プローブによるアブレーションによって永続的に遮断される。両方の場合に、方法は外鼻孔を通じて行われる。一部の本発明の好ましい実施形態においては、SPGに接近するための同様の方法が利用され、その電気的刺激または電気的遮断を可能にする。
【0037】
本発明の好ましい実施形態によれば、SPGおよび/またはその出ていく副交感神経路および/または別の副交感神経中枢の刺激によってBBBを通じて治療分子の送達を強化する方法および装置が提供される。この装置は通常、SPGの副交感神経繊維を刺激し、それによって中大脳および前大脳動脈の拡張を誘発し、これらの大脳動脈の壁を大分子に対してより浸透性になるようにもする。このようにして、血管内から大脳組織への大きな薬剤分子の移動は実質的に増大する。したがって、この方法は、先行技術の技法によって必要とされる分子量の犠牲なしに、神経薬送達促進因子として使用されうることが好ましい。一般に、神経および精神疾患の大脳細胞を対象とした実質的にすべての薬理学的治療は、これら本発明の実施形態による使用に適用できると考えられている。特に、これらの実施形態は、脳腫瘍、てんかん、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、統合失調症、うつ病、ストレス、肥満、疼痛、不安、および脳血流の変化またはBBBの浸透性の変化によって直接的または間接的に影響される他のCNS疾患などの疾患の治療における使用に適合されうる。
【0038】
有利に(かつBBB浸透性の変化の非存在下でも)、これらおよび他の疾患を有する患者は、一般にSPGの刺激後の血管拡張、および結果として生じる神経および他の組織への酸素供給の改善によって助けられる。一部の応用例では、この治療は、長期に、例えば、アルツハイマー病の長期治療において与えられる。他の応用例では、この治療は、短期に実行され、例えば、急性発作事象後のダメージを最小限に抑え、ニューロンおよびしたがって機能的リハビリテーションを開始する。
【0039】
SPGまたは関連神経路における神経伝達の遮断が、本発明の一部の好ましい実施形態に従って使用され、偏頭痛を治療または予防する。
【0040】
代わりとして、または追加として、上述された電気的刺激によって誘発される変化は、鼻腔または咽喉など、患者の気道に着臭剤を与えることによって達成される。プロピオン酸、シクロヘキサノン、および酢酸アミルなど一部の着臭剤は、鼻腔へ投与されると皮質血流を著しく増大させる動物による証拠がある。これは、一部の研究者によって、これらの着臭剤(例えば、環境汚染物質)が、脳血流の増大によって種々の頭痛の形成に関与しうるという証拠として解釈されている。かかる着臭剤刺激の時間的プロファイルおよび他の量的特徴は、本発明者によって、SPGの電気的刺激のものと重複する神経解剖学的基礎を有する作用機序を有すると考えられている。さらに、発明者によって収集され、かつ2002年3月28日に出願され、本発明の譲受人に譲渡され、本明細書中で参考によって援用される「SPG刺激」と称するシャレフ(Shalev)およびグロス(Gross)に対する米国仮特許出願第60/368,657号に記載された実験動物による証拠は、脳血流の増大と脳血管浸透性の増大の機序間の相関を示している。着臭剤によってひき起こされるかかる脳血流の増大は、副交感神経および/または三叉神経線維の刺激の結果であると仮定されている。これらの繊維は、SPGと連絡することによって、または一部の他の機序によって脳血流の変化を直接仲介しうる。また、これらの着臭剤は、反射弓によって、SPG、または脳血管系を刺激する他の自律神経構造物を刺激することも仮定されている。したがって、発明者は、着臭剤「刺激」は、一般に脳血流を、特に皮質血流を、上述された電気刺激と同じ機序の一部または全部によって、増大させうると仮定している。代わりとして、着臭剤は、脳の血流に入り、罹患血管に達すること、または臭覚神経による副交感神経刺激など他の機序によって皮質血流の増大を引き起こしうる。脳血流に対する作用に加えて、気道への着臭剤の導入は、脳血管系の前方3分の2の種々のサイズの循環剤への浸透性の増大を誘発すること、すなわち、BBBの浸透性を増大させることも予想される。同様に、気道への一部の他の着臭剤の投与は、脳血流を減少させ、BBBの浸透性を低下させる。
【0041】
脳血流および/またはBBBの浸透性を増大または減少させうる着臭剤としては、プロピオン酸、シクロヘキサノン、酢酸アミル、酢酸、クエン酸、二酸化炭素、塩化ナトリウム、アンモニア、メントール、アルコール、ニコチン、ピペリン、ジンジェロール、ジンゲロン、アリルイソチオシアネート、桂皮アルデヒド、クミンアルデヒド、2−プロペニル/2−フェニルエチルイソチオシアネート、チモール、およびユーカリプトールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
一部の応用例では、薬物のBBBを通じた送達が、鼻腔または咽喉など、患者の気道へ着臭剤を与えることによって強化される。本特許出願および請求項に照らして、薬物は、薬理学的手順を用いて製造されている、患者に投与するための薬剤である。したがって、薬物としては、例示として、ただし限定としてではなく、診断手順を促進するための治療薬および薬剤が挙げられうる。
【0043】
本発明の好ましい実施形態によれば、鼻腔または咽喉など患者の気道に着臭剤を与えることによってBBBを通じて治療分子の送達を強化する方法が提供される。好ましい応用例においては、この方法は神経薬送達促進因子として使用される。着臭剤は、水性スプレー鼻吸入器、定量鼻吸入器、または空気希釈嗅覚計など当技術分野で周知の装置を用いて投与されることが好ましい。代わりとして、または追加として、着臭剤は、唾液との接触と同時に活性着臭剤を放出する経口溶解性カプセルによって投与される。着臭剤は適切な神経構造物に達し、血管拡張、血管収縮および/または脳血管浸透性の変化を誘発する。薬物の送達は、薬物を着臭剤と混合することによって、薬物の静脈内、腹腔内、または筋内投与によって、または当技術分野で周知の他の送達方法によって達成されうる。一部の応用例では、頭内の神経に対する着臭剤の作用に直接または間接的に(例えば、反射弓によって)付随しうる疼痛または不快の感覚を軽減するために着臭剤と局所鎮痛薬を組み合せることが望ましい。例えば、隣接する疼痛線維における神経伝達の予防は、着臭剤刺激の使用前に数日間、局所鎮痛薬とともにカプサイシンを局所投与することによって、「前着臭剤」治療として実行されうる。このようにして、着臭剤は通常、SPG関連反応を誘発し、疼痛または不快の感覚が軽減または除去される。
【0044】
一般に、神経および精神疾患に対する脳細胞を対象とした実質的にすべての薬理学的治療が、本発明の実施形態とともに使用可能であると考えられている。特に、この実施形態は、脳腫瘍てんかん、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、統合失調症、うつ病、ストレス、不安、肥満、疼痛、種々の成長因子の投与を必要とする障害、および脳血流の変化またはBBBの浸透性の変化によって直接または間接的に影響される他のCNS疾患の治療の使用に適合されうる。
【0045】
代わりとして、または追加として、症状の治療のために、鼻腔または咽喉など患者の気道に着臭剤を与えることによって、皮質血流の増大または減少および/または血管拡張(BBB浸透性の変化の非存在下でも)の誘発または抑制の方法が提供される。上記の疾患および他の疾患を有する患者は一般に、血管拡張および結果として生じるニューロンおよび他の組織への酸素供給の改善によって助けられる。一部の応用例では、この治療は、長期に。例えば、アルツハイマー患者の長期治療において提供される。他の応用例では、この治療は短期に、例えば、急性発作事象の後のダメージを最小限に抑え、ニューロンおよびしたがって機能的リハビリテーションを開始するために実行される。代わりとして、または追加として、上記の方法は、診断目的のために、または当技術分野で周知の他の診断方法および/または装置といっしょに、診断結果を強化し、処置リスクを削減し、処置時間を削減し、または別の方法でかかる診断処置および/または診断結果を改善するために使用されうる。例えば、本明細書中で述べられる方法および装置は、CTスキャンを容易にするために、放射性不透過性物質の脳への取込みを増大させるために使用されうる。
【0046】
特定の着臭剤を与えることによって脳血流を減少させることは、特に、偏頭痛および群発性頭痛などの自律神経系(ANS)病因による各種の頭痛を治療し、または予防する本発明の好ましい実施形態により使用される。
【0047】
通常、本明細書中で述べられる着臭剤投与応用例のいずれかでは、着臭剤の適切な投与量が所望の用途(例えば、BBB浸透性の増大または減少、または脳血流の増大または減少)のために決定される。適切な投与量を決定するための手順は、当技術分野で周知の標準の投薬量決定法、例えば、安全性および有効性のためにきわめて少量の範囲を試験し、その後に安全性が許容可能であり、かつ有効性が継続的に増大する用量の規模を増大させる方法に従って実行される。
【0048】
したがって、本発明の好ましい実施形態によれば、患者の脳の特性を加減するための装置が提供されるが、これは、
患者の翼口蓋神経節(SPG)、およびSPGにおいて開始し、またはこれに至る神経路より成る部位の群から選択される部位に適用されるようになっている1つもしくはそれ以上の電極と、
患者の血液脳関門(BBB)の浸透性の増大を誘発する能力がある部位へ電流を適用する1つもしくはそれ以上の電極を駆動するようになっている制御ユニットと
を含む。
【0049】
また、本発明の好ましい実施形態によれば、患者の脳の特性を加減するための装置も提供されるが、これは、
患者の翼口蓋神経節(SPG)、およびSPGにおいて開始し、またはこれに至る神経路より成る部位の群から選択される部位に適用されるようになっている1つもしくはそれ以上の電極と、
患者の脳血流の増大を誘発する能力がある部位へ電流を適用する1つもしくはそれ以上の電極を駆動するようになっている制御ユニットと
を含む。
【0050】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、患者の脳の特性を加減するための装置も提供されるが、これは、
患者の翼口蓋神経節(SPG)、およびSPGにおいて開始し、またはこれに至る神経路より成る部位の群から選択される部位に適用されるようになっている1つもしくはそれ以上の電極と、
患者の脳血流の減少を誘発する能力がある部位へ電流を適用する1つもしくはそれ以上の電極を駆動するようになっている制御ユニットと
を含む。
【0051】
またさらに、本発明の好ましい実施形態によれば、患者の脳の特性を加減するための装置も提供されるが、これは、
患者の翼口蓋神経節(SPG)、およびSPGにおいて開始し、またはこれに至る神経路より成る部位の群から選択される部位に適用されるようになっている1つもしくはそれ以上の電極と、
SPGの副交感神経活動を抑制する能力がある部位へ電流を適用する1つもしくはそれ以上の電極を駆動するようになっている制御ユニットと
を含む。
【0052】
好ましくは、1つもしくはそれ以上の電極は、約1か月以上、患者の移植期間にわたり適合される。
【0053】
好ましい実施形態においては、この装置は、制御ユニットを1つもしくはそれ以上の電極に接続するワイヤを含み、ここで制御ユニットは1つもしくはそれ以上の電極を外部の位置から患者に駆動するように適合されている。
【0054】
代わりとして、または追加として、制御ユニットは、1つもしくはそれ以上の電極をワイヤレス連絡によって外部の位置から患者に駆動するように適合されている。好ましい実施形態においては、この装置は、制御ユニットと1つもしくはそれ以上の電極を結合するようになっている電磁カップリングを含む。代わりとして、または追加として、制御ユニットは、1つもしくはそれ以上の電極と電気光学連絡するようになっている。さらに、代わりとして、または追加として、制御ユニットは、1つもしくはそれ以上の電極と電気音響連絡するようになっている。またさらに、代わりとして、または追加として、制御ユニットは患者の鼻腔に移植されるようになっている。
【0055】
好ましくは、1つもしくはそれ以上の電極は、患者の鼻腔に移植されるようになっている。一部の応用例では、1つもしくはそれ以上の電極の少なくとも1つは、患者の外鼻孔を通じて挿入し、そこから現場に延在するようになっている可撓性の電極を含む。
【0056】
この装置は好ましくは、患者の生理的パラメータを測定し、それに対する反応性の信号を発生するようになっている少なくとも1つのバイオセンサを含む。そしてまた、制御ユニットは、 好ましくは、その信号に対して反応性の印加電流のパラメータを加減するようになっている。必要に応じて、バイオセンサは、以下のセンサの1つもしくはそれ以上を含みうる。
・血流センサ。
・温度センサ。
・化学センサ。
・超音波センサ。
・経頭蓋ドップラー(TCD)装置。
・レーザードップラー装置
・全身血圧センサ
・頭蓋内血圧センサ
・脳血管に固定されるようになっている検出要素であり、ここで制御ユニットは、信号を分析し、凝血塊を示す血圧の変化の指標を検出するようになっている。
・動態センサ(この場合、制御ユニットは通常、信号を分析し、患者の体内動態の変化の指標を検出するようになっている)。
・脳波検査(EEG)センサ
・血管凝血塊検出器。
【0057】
好ましい実施形態においては、制御ユニットは、BBBの浸透性が増大している場合にBBBを通じて薬物の取込みを促進するために電流を構成すようになっている。
【0058】
代わりとして、または追加として、制御ユニットは、血管の直径を増大させ、血管の部位に位置する塞栓を血管部位から移動させるように電流を構成するようになっている。
【0059】
さらに、代わりとして、または追加として、制御ユニットは、発作の指標に対して反応性の電流を適用するように1つもしくはそれ以上の電極を駆動するようになっている。
【0060】
またさらに、代わりとして、または追加として、制御ユニットは、患者の偏頭痛の指標に対して反応性の電流を適用するように1つもしくはそれ以上の電極を駆動するようになっている。
【0061】
本発明の好ましい実施形態によれば、患者の脳の特性を加減するための方法も提供されるが、これは、
患者の翼口蓋神経節(SPG)、およびSPGにおいて開始し、またはこれに至る神経路より成る部位の群から部位を選択するステップと、
患者の血液脳関門(BBB)の浸透性の増大を誘発する能力がある部位に電流を適用ステップと
を含む。
【0062】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、患者の脳の特性を加減するための方法も提供されるが、これは、
患者の翼口蓋神経節(SPG)、およびSPGにおいて開始し、またはこれに至る神経路より成る部位の群から部位を選択するステップと、
患者の脳血流の増大を誘発する能力がある部位に電流を適用ステップと
を含む。
【0063】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、患者の脳の特性を加減するための方法も提供されるが、これは、
患者の翼口蓋神経節(SPG)、およびSPGにおいて開始し、またはこれに至る神経路より成る部位の群から部位を選択するステップと、
患者の脳血流の減少を誘発する能力がある部位に電流を適用ステップと
を含む。
【0064】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、患者の脳の特性を加減するための方法も提供されるが、これは、
患者の翼口蓋神経節(SPG)、およびSPGにおいて開始し、またはこれに至る神経路より成る部位の群から部位を選択するステップと、
SPGの副交感神経活動を抑制する能力がある部位へ電流を適用するステップと
を含む。
【0065】
一部の応用例では、1つもしくはそれ以上の電極が、約1週間以上、患者の移植期間にわたり適合される。
【0066】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、血管装置が提供されるが、これは、
患者の血管に固定され、血管から出るエネルギーに対して反応性の信号を発生するようになっている検出要素と、
血管中の塞栓の指標を検出するために信号を分析するようになっている制御ユニットとを含む。
【0067】
好ましくは、検出要素は、エネルギートランスミッタおよびエネルギーレシーバを含む。例えば、エネルギートランスミッタは、超音波トランスミッタまたは電磁エネルギーのトランスミッタを含みうる。
【0068】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、検出するための方法が提供されるが、これは、
患者の血管に検出要素を固定するステップと、
血管から出るエネルギーに対して反応性の信号を発生するステップと、
血管中の塞栓の指標を測定するための信号を分析するステップと
を含む。
【0069】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、患者の脳の特性を加減するための方法が提供され、これは患者の気道に着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、患者の全身血液循環から脳の血液脳関門(BBB)を通じて患者の脳組織への分子の伝導性を増大させるためであるという理由で気道に与えるために選択されている。
【0070】
一部の応用例では、方法は、患者のパラメータを検出するステップと、それに対して反応性の着臭剤を与えるステップとを含む。パラメータとしては、患者の行動の指標を含みうるが、その場合、パラメータは患者の行動の指標の検出するステップを含む。代わりとして、パラメータは、患者の生化学的値および患者の生理学的値より成るリストから選択されうるが、この場合、パラメータを検出するステップは、リストから選択されるパラメータを検出するステップを含む。一部の応用例では、リストから選択されるパラメータを検出するステップは、CT、MRI、PET、SPECT、血管造影、検眼鏡検査、透視検査、光学顕微鏡検査、および酵素測定より成るリストから選択される様式を用いてパラメータ検出するステップを含む。代わりとして、または追加として、リストから選択されるパラメータを検出するステップは、患者における分子のレベルを測定するステップを含む。一部の応用例では、分子のレベルを測定するステップは、血液、血漿、血清、腹水、および尿より成るリストから選択される患者の体液をサンプリングするステップを含む。
【0071】
本発明の実施形態においては、患者の気道に着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、患者の全身血液循環から脳の血液脳関門(BBB)を 通じて患者の脳組織への分子の伝導性を増大させるためであるという理由で気道に与えるために選択されている。分子は、薬物、治療薬、内因性物質、および診断手順を促進するための薬剤より成る群から選択される。
【0072】
ある実施形態においては、 着臭剤を与えるステップは、分子の伝導性を増大させるように決定された投与量で着臭剤を与えるステップを含む。ある実施形態においては、方法は、患者による吸入のための分子を投与するステップを含む。
【0073】
ある実施形態においては、方法は、ボーラスで患者に分子を投与するステップを含む。ある実施形態においては、方法は、略連続的なやり方で患者に分子を投与するステップを含む。
【0074】
ある実施形態においては、方法は、脳組織の標的部位から分子を輸送することからP−糖タンパク輸送体を遮断する能力がある薬剤を投与するステップを含む。
【0075】
ある実施形態においては、方法は、全身血液循環に分子を投与するステップを含む。一部の応用例では、分子を投与するステップは、着臭剤と混合された分子を投与するステップを含む。代わりとして、または追加として、分子を投与するステップは、経口投与静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、および筋内投与より成るリストから選択される技法を用いて全身血液循環に分子を投与するステップを含む。
【0076】
ある実施形態においては、分子は、診断手順を促進するための薬剤を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、診断手順を促進するための薬剤の伝導性を増大させるためにある。一部の応用例では、 診断手順を促進するための薬剤は、造影剤を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、造影剤の伝導性を増大させるためにある。代わりとして、または追加として、診断手順を促進するための薬剤は、放射線不透過性物質を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、放射線不透過性物質の伝導性を増大させるためにある。さらに代わりとして、または追加として、診断手順を促進するための薬剤は、抗体を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、抗体の伝導性を増大させるためにある。
【0077】
ある実施形態においては、着臭剤を与えるステップは、分子を選択するステップを含み、分子は、患者の中枢神経系(CNS)の疾患を治療するために適切である。ある実施形態においては、CNS疾患は、脳腫瘍、てんかん、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、統合失調症、うつ病、ストレス、肥満、疼痛、および不安より成るリストから選択され、かつ分子を選択するステップは、分子を選択するステップを含み、分子は、選択されたCNS疾患を治療するために適切である。
【0078】
ある実施形態においては、方法は、着臭剤の浸透性のパラメータを調節するステップを含む。一部の応用例では、パラメータを調節するステップは、着臭剤の2つもしくはそれ以上の成分の相対濃度、投与される着臭剤の量、着臭剤の投与速度、投与時の着臭剤の圧力、および着臭剤の少なくとも一部分の温度より成るリストから選択されるパラメータを調節するステップを含む。ある実施形態においては、方法は、着臭剤投与のパラメータの調節の後である治療セッションの間に患者に分子を投与するステップを含む。ある実施形態においては、方法は、治療セッションの間に患者に分子を投与するステップと、同じ治療セッションの間に着臭剤投与のパラメータを調節するステップとを含む。一部の応用例では、 着臭剤投与のパラメータを調節するステップは、着臭剤投与のパラメータの所定のセットからパラメータを選択するステップを含む。
【0079】
一部の応用例では、方法は、患者のパラメータを検出ステップと、それに反応性の着臭剤投与のパラメータを調節するステップとを含む。患者のパラメータは、患者の行動の指標を含みうるが、その場合、患者のパラメータを検出するステップは、患者の行動の指標を検出するステップを含む。代わりとして、患者のパラメータは、患者の生化学的値および患者の生理学的値より成るリストから選択され、その場合、患者のパラメータを検出ステップは、リストから選択される患者のパラメータを検出するステップを含む。
【0080】
ある実施形態においては、 分子は治療薬を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、治療薬の伝導性を増大させるためにある。一部の応用例では、治療薬は神経薬を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、神経薬の伝導性を増大させるためにある。一部の応用例では、治療薬はタンパク質を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤はタンパク質の伝導性を増大させるためにある。一部の応用例では、治療薬はポリマーを含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、ポリマーの伝導性を増大させるためにある。一部の応用例では、治療薬はウイルスベクターを含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、ウイルスベクターの伝導性を増大させるためにある。
【0081】
一部の応用例では、治療薬は抗癌薬を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、抗癌薬の伝導性を増大させるためにある。一部の応用例では、治療薬は、酢酸グラチラマーおよびインターフェロンベータ−1bより成る群からの薬剤を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、リストから選択される薬剤の伝導性を増大させるためにある。一部の応用例では、治療薬は、DNA療法用の薬剤およびRNA療法用の薬剤より成る群からの薬剤を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、リストから選択された薬剤の伝導性を増大させるためにある。一部の応用例では、治療は、(a)1型インスリン様成長因子受容体に対するアンチセンス分子、および(b)ADV−HSV−tkより成るリストからの薬剤を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、リストから選択された薬剤の伝導性を増大させるためにある。
【0082】
ある実施形態においては、方法は、着臭剤を与えるステップとともに分子を投与するステップを含む。ある実施形態においては、着臭剤を与えるステップとともに分子を投与するステップは、着臭剤を与える時間に関して決定された時間で分子を投与するステップを含む。一部の応用例では、分子を投与するステップは、少なくとも着臭剤を与える前の所定時間で分子を投与するステップを含む。代わりとして、 分子を投与するステップは、着臭剤を与えるステップと略同時に分子を投与するステップを含む。さらに代わりとして、分子を投与するステップは、少なくとも着臭剤を与えるステップの後の所定の時間で分子を投与するステップを含む。
【0083】
ある実施形態においては、分子は薬物を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、薬物の伝導性を増大させるためにある。一部の応用例では、薬物はウイルスベクターを含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、ウイルスベクターの伝導性を増大させるためにある。一部の応用例では、薬物は抗体を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、抗体の伝導性を増大させるためにある。一部の応用例では、抗体は、毒素抗体複合体、放射標識抗体、および抗−HER2 mAbより成るリストから選択され、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、選択された抗体の伝導性を増大させるためにある。代わりとして、抗体は、抗−b−アミロイド抗体および抗−アミロイド−前駆体−タンパク質抗体より成るリストから選択され、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、選択された抗体の伝導性を増大させるためにある。
【0084】
ある実施形態においては、分子は内因性物質を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、内因性物質の伝導性を増大させるためにある。一部の応用例では、内因性物質は、人工的手段によって実質的に修飾されていない内因性物質を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、人工的手段によって実質的に修飾されていない内因性物質の伝導性を増大させるためにある。代わりとして、内因性物質は、その様相が人工的手段によって修飾されている内因性物質を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、 その様相が人工的手段によって修飾されている内因性物質の伝導性を増大させるためにある。さらに代わりとして、内因性物質は酵素を含み、かつ着臭剤を与えるステップが着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、酵素の伝導性を増大させるためにある。一部の応用例では、酵素はヘキソサミニダーゼを含み、かつ着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、ヘキソサミニダーゼの伝導性を増大させるためにある。
【0085】
ある実施形態においては、方法は、分子を患者の粘膜に投与するステップを含む。一部の応用例では、分子を投与するステップは、患者の口腔粘膜に分子を投与するステップを含む。代わりとして、分子を投与するステップは、患者の鼻粘膜に分子を投与するステップを含む。
【0086】
一部の応用例では、分子を投与するステップは、着臭剤と組み合せて分子を投与するステップを含む。代わりとして、分子を投与するステップは、着臭剤とは別に分子を投与するステップを含む。
【0087】
本発明のある実施形態においては、患者の気道に着臭剤を与えるステップは、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、患者の脳組織から血液脳関門(BBB)を通じて全身血液循環への分子の伝導性を増大させるためにという理由で気道に与えるために選択されている。
【0088】
ある実施形態においては、方法は、着臭剤の投与の開始後に、患者の脳の外側の部位から分子の量を検出するステップを含む。一部の応用例では、分子の量を検出するステップは、CT、MRI、PET、SPECT、血管造影、検眼鏡検査、透視検査、光学顕微鏡検査、および酵素測定より成るリストから選択される様式を用いて検出するステップを含む。一部の応用例では、分子の量を検出するステップは、血液、 血漿、 血清、 腹水、および尿より成るリストから選択される患者の体液をサンプリングするステップを含む。
【0089】
ある実施形態においては、方法は、分子の量を検出するステップに対して反応性の診断的に重要なパラメータを測定するステップを含む。
【0090】
ある実施形態においては、方法は、患者の疾患に対して反応性の着臭剤の投与量を選択するステップを含む。一部の応用例では、着臭剤の投与量を選択するステップは、少なくとも部分的に疾患を治療するのに十分な程度まで、着臭剤の投与に対して反応性の分子の伝導性を増大させる着臭剤の投与量を測定するステップを含む。一部の応用例では、投与量を選択するステップは、患者の疾患に対して反応性の投与量を選択するステップを含み、疾患は、脳腫瘍、てんかん、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、統合失調症、うつ病、ストレス、肥満、疼痛、および不安より成るリストから選択される。
【0091】
ある実施形態においては、方法は、着臭剤の投与によってひき起こされる分子の伝導性の増大を増強するのに十分な投与量で高浸透圧誘発剤を患者に投与するステップを含む。
【0092】
ある実施形態においては、方法は、着臭剤の投与によってひき起こされる分子の伝導性の増大を増強するのに十分な程度の、患者の脱水状態を誘発するステップを含む。
【0093】
ある実施形態においては、方法は、着臭剤の投与によってひき起こされる分子の伝導性の増大を増強するのに十分な投与量で、脳の血管の一酸化窒素(NO)の合成または代謝を調節する薬剤を患者に投与するステップを含む。
【0094】
追加として、本発明の好ましい実施形態によれば、発作事象の間またはその後における患者の脳の特性を加減するための方法が提供され、この方法は、患者の気道に着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、発作事象と関連した病状を軽減するために患者の脳血流の増大を誘発する能力があるという理由で気道に与えるために選択されている。
【0095】
ある実施形態においては、着臭剤を与えるステップは、脳血流を増大させるように決定された投与量で着臭剤を与えるステップを含む。
【0096】
本発明の好ましい実施形態によれば、頭痛発作に罹患する患者の脳の特性を加減するための方法も提供され、この方法は、患者の気道に着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、患者の頭痛発作の重症度を軽減するために、患者の脳血流を加減する能力があるという理由で気道に与えるために選択されている。
【0097】
ある実施形態においては、着臭剤を与えるステップは、脳血流を加減するように決定された投与量で着臭剤を与えるステップを含む。
【0098】
ある実施形態においては、着臭剤を与えるステップは、着臭剤を選択するステップを含み、着臭剤は、頭痛発作の重症度を軽減するために、脳血流を減少させる能力がある。
【0099】
ある実施形態においては、頭痛発作は患者の偏頭痛発作を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、偏頭痛の重症度を軽減するために、脳血流を軽減する能力がある着臭剤を気道に与えるステップを含む。ある実施形態においては、頭痛発作は患者の群発性頭痛を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、群発性頭痛発作の重症度を軽減するために、脳血流を軽減する能力がある着臭剤を気道に与えるステップを含む。
【0100】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、中枢神経系(CNS)の疾患に罹患する患者の脳の特性を加減するための方法が提供され、この方法は、患者の気道に着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、CNS疾患を治療するために、患者の脳血流を加減する能力があるという理由で気道に与えるために選択されている。
【0101】
ある実施形態においては、着臭剤を与えるステップは、脳血流を加減するように決定された投与量で着臭剤を与えるステップを含む。
【0102】
ある実施形態においては、CNS疾患は、脳腫瘍、てんかん、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、統合失調症、うつ病、ストレス、肥満、疼痛、および不安より成るリストから選択され、かつ着臭剤を与えるステップは、選択されたCNS疾患を治療するために、脳血流を加減することが可能である着臭剤を与えるステップを含む。
【0103】
ある実施形態においては、着臭剤を与えるステップは、着臭剤を選択するステップを含み、着臭剤は、脳血流を減少させる能力がある。ある実施形態においては、着臭剤を与えるステップは、着臭剤を選択するステップを含み、着臭剤は、患者の脳血流を増大させる能力がある。ある実施形態においては、着臭剤を与えるステップは、着臭剤を選択するステップを含み、着臭剤は、患者の皮質血流を増大させる能力がある。
【0104】
またさらに、本発明の好ましい実施形態によれば、患者の脳の特性を加減するための方法が提供され、この方法は、患者の気道に着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、患者の全身血液循環から脳の血液脳関門(BBB)を通じて患者の脳組織への分子の伝導性を増大させるためであるという理由で気道に与えるために選択されている。
【0105】
ある実施形態においては、着臭剤を与えるステップは、分子の伝導性を減少させるように決定された投与量で着臭剤を与えるステップを含む。
【0106】
ある実施形態においては、方法は、着臭剤の投与と共同して感覚を軽減するように構成された投与量で鎮痛薬を着臭剤と共同して与えるステップを含む。ある実施形態においては、鎮痛薬を与えるステップは、患者の鼻腔の1つもしくはそれ以上の神経の近く、患者の口腔の1つもしくはそれ以上の神経の近く、および患者の顔面を刺激する1つもしくはそれ以上の神経の近くより成るリストから選択される部位で鎮痛薬を局所に与えるステップを含む。ある実施形態においては、鎮痛薬を与えるステップは、患者の翼口蓋神経節(SPG)の近くに鎮痛薬を局所に与えるステップを含む。ある実施形態においては、鎮痛薬を与えるステップは、着臭剤の投与と略同時に吸入のための鎮痛薬を投与するステップを含む。
【0107】
ある実施形態においては、気道は患者の鼻腔を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、鼻腔に着臭剤を与えるステップを含む。
【0108】
ある実施形態においては、気道は患者の咽喉を含み、かつ着臭剤を与えるステップは、咽喉に着臭剤を与えるステップを含む。
【0109】
ある実施形態においては、着臭剤は、プロピオン酸、シクロヘキサノン、および酢酸アミルより成るリストから選択され、かつ着臭剤を与えるステップは、選択された着臭剤を与えるステップを含む。代わりとして、着臭剤は、酢酸、クエン酸、二酸化炭素、塩化ナトリウム、およびアンモニアより成るリストから選択され、かつ着臭剤を与えるステップは、選択された着臭剤を与えるステップを含む。さらに代わりとして、着臭剤は、メントール、アルコール、ニコチン、ピペリン、ジンジェロール、ジンゲロン、アリルイソチオシアネート、桂皮アルデヒド、クミンアルデヒド、2−プロペニル/2−イソチオチアン酸フェニルエチル、チモール、およびオイカリプトールより成るリストから選択され、かつ着臭剤を与えるステップは、選択された着臭剤を与えるステップを含む。
【0110】
ある実施形態においては、着臭剤を与えるステップは、患者の口内に配置するためのカプセルを与えるステップを含み、カプセルは、患者の唾液と接触するとともに溶解し、それと同時に着臭剤が気道に投与される。
【0111】
ある実施形態においては、方法は、着臭剤投与のパラメータを調節するステップを含む。一部の応用例では、パラメータを調節するステップは、着臭剤の2つもしくはそれ以上の成分の相対濃度、投与される着臭剤の量、着臭剤の投与速度、投与時の着臭剤の圧力、および着臭剤の少なくとも一部分の温度より成るリストから選択されるパラメータを調節するステップを含む。代わりとして、または追加として、着臭剤投与のパラメータを調節するステップは、着臭剤投与のパラメータの所定セットからパラメータを選択するステップを含む。
【0112】
ある実施形態においては、方法は、患者のパラメータを検出するステップと、それに対して反応性である着臭剤投与のパラメータを調節するステップとを含む。一部の応用例では、患者のパラメータは患者の行動の指標を含み、かつ患者のパラメータを検出するステップが患者の行動の指標を検出するステップを含む。
【0113】
ある実施形態においては、患者のパラメータは、患者の生化学的値および患者の生理学的値より成るリストから選択され、かつ患者のパラメータを検出するステップは、リストから選択される患者のパラメータを検出するステップを含む。
【0114】
ある実施形態においては、方法は、患者のパラメータを検出するステップと、それに対して反応性の着臭剤を与えるステップとを含む。一部の応用例では、パラメータは患者の行動の指標を含み、かつパラメータを検出するステップは、患者の行動の指標を検出するステップを含む。代わりとして、パラメータは、患者の生化学的値および患者の生理学的値より成るリストから選択され、かつパラメータを検出するステップは、リストから選択されるパラメータを検出するステップを含む。一部の応用例では、リストから選択されるパラメータを検出するステップは、CT、MRI、PET、SPECT、血管造影、検眼鏡検査、透視検査、光学顕微鏡検査、および酵素測定より成るリストから選択される様式を用いてパラメータを検出するステップを含む。代わりとして、リストから選択されるパラメータを検出するステップは、血液、血漿、血清、腹水、および尿より成るリストから選択される体液をサンプリングするステップを含む。
【0115】
追加として、本発明の好ましい実施形態によれば、患者の脳の特性を加減するための装置が提供され、この装置は、
着臭剤貯蔵容器と、
着臭剤貯蔵容器内の貯蔵用の着臭剤であって、着臭剤は、患者の全身血液循環から脳の血液脳関門(BBB)を通じて患者の脳組織への分子の伝導性を増大させる能力があり、分子は、薬物、治療薬、および診断手順を促進するための薬剤より成る群から選択される着臭剤と、
患者の気道に着臭剤を与えるようになっている着臭剤送達要素と
を含む。
【0116】
ある実施形態においては、着臭剤貯蔵容器は、分子と混合された着臭剤を保存するようになっている。
【0117】
ある実施形態においては、分子は治療薬を含み、かつ着臭剤は治療薬の伝導性を増大させるためである。
【0118】
ある実施形態においては、治療薬は神経薬を含み、かつ着臭剤が神経薬の伝導性を増大させるためである。
【0119】
ある実施形態においては、分子は診断手順を促進するための薬剤を含み、かつ着臭剤は、診断手順を促進するための薬剤の伝導性を増大させるためである。一部の応用例では、診断手順を促進するための薬剤は放射線不透過性物質を含み、かつ着臭剤が放射線不透過性物質の伝導性を増大させるためである。
【0120】
ある実施形態においては、着臭剤は、患者の中枢神経系(CNS)の疾患の治療を促進するための薬剤を含む。一部の応用例では、CNS疾患は、脳腫瘍、てんかん、パーキンソン病、 アルツハイマー病、多発性硬化症、統合失調症、うつ病、ストレス、肥満、疼痛、および不安より成るリストから選択され、かつ着臭剤は、選択されたCNS疾患の治療を促進するための薬剤を含む。
【0121】
さらに追加として、本発明の好ましい実施形態によれば、発作事象の間またはその後における患者の脳の特性を加減するための装置が提供され、この装置は、
着臭剤貯蔵容器と、
着臭剤貯蔵容器内の貯蔵用の着臭剤であって、患者の脳血流の増大を誘発する能力がある着臭剤と、
着臭剤送達要素であって、発作事象と関連した病状を軽減するために、患者の気道に着臭剤を与えるようになっている着臭剤送達要素と
を含む。
【0122】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、頭痛発作に罹患する患者の脳の特性を加減するための装置が提供され、この装置は、
着臭剤貯蔵容器と、
着臭剤貯蔵容器内の貯蔵用の着臭剤であって、患者の脳血流を加減する能力がある着臭剤と、
患者の頭痛発作の重症度を軽減するために、患者の気道に着臭剤を与えるように構成されている着臭剤送達装置と
を含む。
【0123】
ある実施形態においては、着臭剤は脳血流を減少させる能力がある。
【0124】
ある実施形態においては、頭痛発作は患者の偏頭痛発作を含み、かつ着臭剤は偏頭痛発作の重症度を軽減する能力がある。ある実施形態においては、頭痛発作は患者の群発性頭痛発作を含み、かつ着臭剤は群発性頭痛発作の重症度を軽減する能力がある。
【0125】
さらに追加として、本発明の好ましい実施形態によれば、中枢神経系(CNS)の疾患に罹患している患者の脳の特性を加減する装置が提供され、この装置は、
着臭剤貯蔵容器と、
着臭剤貯蔵容器内の貯蔵用の着臭剤であって、患者の脳血流を加減する能力がある着臭剤と、
CNS疾患を治療するために、患者の気道に着臭剤を与えるように構成されている、着臭剤送達装置と
を含む。
【0126】
ある実施形態においては、CNS疾患は、脳腫瘍、てんかん、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、統合失調症、うつ病、ストレス、肥満、疼痛、および不安より成るリストから選択され、かつ着臭剤は、選択されたCNS疾患の治療を促進するための薬剤を含む。
【0127】
ある実施形態においては、着臭剤は脳血流を減少させる増大させる能力がある。代わりとして、着臭剤が脳血流を増大させる能力がある。一部の応用例では、着臭剤は患者の脳血流を増大させる能力がある。
【0128】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、患者の脳の特性を加減するための装置が提供され、この装置は、
着臭剤貯蔵容器と、
着臭剤貯蔵容器内の貯蔵用の着臭剤であって、患者の全身血管循環から脳の血液脳関門(BBB)を通じて患者の脳組織への分子の伝導性を減少させる能力がある着臭剤と、
患者の気道に着臭剤を与えるようになっている着臭剤送達装置と
を含む。
【0129】
ある実施形態においては、装置は、着臭剤の投与と関連した感覚を軽減するように構成された投与量で着臭剤貯蔵容器内の貯蔵用の鎮痛薬を含み、かつ着臭剤送達要素が着臭剤と関連した気道に鎮痛薬を投与すようになっている。
【0130】
ある実施形態においては、着臭剤貯蔵容器は着臭剤送達要素とともに水性スプレー鼻吸入器を含む。代わりとして、着臭剤貯蔵容器は着臭剤送達要素とともに定量鼻吸入器を含む。さらに代わりとして、着臭剤貯蔵容器は着臭剤送達要素とともに空気希釈嗅覚計を含む。
【0131】
ある実施形態においては、気道は、患者の鼻腔を含み、かつ着臭剤送達要素は、鼻腔に着臭剤を与えるようになっている。
【0132】
ある実施形態においては、 気道は、患者の咽喉を含み、かつ着臭剤送達要素は、咽喉に着臭剤を与えるようになっている。
【0133】
ある実施形態においては、着臭剤は、プロピオン酸、シクロヘキサノン、および酢酸アミルより成るリストから選択される薬剤を含む。代わりとして、着臭剤は、酢酸、クエン酸、二酸化炭素、塩化ナトリウム、およびアンモニアより成るリストから選択される薬剤を含む。さらに代わりとして、着臭剤は、メントール、アルコール、ニコチン、ピペリン、ジンジェロール、ジンゲロン、アリルイソチオシアネート、桂皮アルデヒド、クミンアルデヒド、2−プロペニル/2−フェニルエチルイソチオシアネート、チモール、およびユーカリプトールより成るリストから選択される薬剤を含む。
【0134】
ある実施形態においては、着臭剤貯蔵容器は、患者の口内に配置するためのカプセルを含み、かつ着臭剤送達要素は、患者の唾液と接触するとともに溶解し、それと同時に着臭剤が気道に投与されるようになっているカプセルの一部分を含む。
【0135】
本発明は、図面とともに、その好ましい実施形態の以下の詳細な説明からより完全に理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0136】
図1は、本発明の好ましい実施形態による、患者の翼口蓋神経節(SPG)6または副交感神経部位の刺激のための完全移植可能な刺激器4の概略透視図である。
図1においては、ヒト鼻腔2が示されており、かつ刺激器4がSPG6に隣接して移植されている。SPG6から出る副交感神経の分枝は、中脳および前脳動脈(図示せず)まで延在する。好ましくは、1つもしくはそれ以上の比較的短い電極7が刺激器4から延在し、SPG6と接触し、またはこれの近く、またはSPG6を刺激する神経(例えば、その節後副交感神経幹)の近くにある。
【0137】
一部の応用例では、刺激器4は、骨口蓋の上部、または鼻腔の下部に移植される。代わりとして、または追加として、刺激器は、骨口蓋の下方、口腔の上部に移植される。この場合、刺激器に起点がある1つもしくはそれ以上の可撓性に電極7は、口蓋骨または軟口蓋の後方を通過し、SPGまたはその副交感神経路を刺激する位置に進む。さらに代わりとして、または追加として、刺激器がSPGおよび/またはその節後副交感神経幹に直接付着されうる。
【0138】
一部の応用例では、刺激器4は、剛性またはわずかに可撓性に導入器ロッド(図示せず)の遠位端に刺激器4を着脱式に付着させ、刺激器が適切に配置されるまで患者の鼻通路の一方にロッドを挿入することによって鼻腔2内の所望の位置に送達される。必要に応じて、配置工程は、透視検査、X線誘導、微細内視鏡手術(FES)法、または当技術分野で周知の他の有効な誘導法によって、または上記の組合せによって促進されうる。好ましくは、周囲温度および/または脳血流は、挿入と同時に測定される。脳血流は、例えば、患者の前頭に配置されたレーザードップラーユニット、または経頭蓋ドップラー測定によって測定されうる。適切な神経構造物への電極の適切移植の検証は、デバイスを作動させ、略同時に脳血流をモニタリングすることによって実行されうる。
【0139】
脳血管から脳への特定分子の通過は、BBBによって妨害される。毛細血管の内皮、血管の血漿膜、および星状細胞の足突起はすべて分子の脳による取込みを妨げる。BBBは一般に小分子(例えば、約200Da未満の分子量の親水性分子、および約500Da未満の脂肪親和性分子)のみ循環から脳への通過を可能にする。
【0140】
本発明の好ましい実施形態によれば、刺激器4からの電流によって誘発される副交感神経活動は、脳の毛細血管および血漿膜の内皮によって発生される経BBB分子移動に対する抵抗を克服する。したがって、一部の応用例では、刺激器4を用いて、血液から脳への薬物の通過に対する実質的な障害を一時的に除去する。例えば、刺激器は、約2分間電流を周期的に印加しうるとともに、実質的に約1〜20分の静止期間を有する。
【0141】
2つの神経伝達物質、すなわち血管活性腸管ポリペプチド(VIP)および一酸化窒素(NO)がBBBの特性におけるこの変化において重要な役割を果たすことが仮定されている。(アセチルコリンも関与していると思われる。)VIPは短いペプチドであり、NOは気体の分子である。VIPは、血漿タンパク質浸出(PPE)の促進における主要な因子であると考えられているが、NOは血管拡張に関与する。一部の応用例では、刺激器4は、必要に応じて、これら神経伝達物質の1つまたは両方の活性に選択的に影響を与えるために、SPGへ印加される電流のパラメータを変動させるようになっている。例えば、異なる周波数での副交感神経の刺激は、差動分泌を誘発しうるが、低周波数はNOの分泌を誘発するのに対し、高周波数(例えば、約10Hz以上)は、ペプチド(VIP)の分泌を誘発する。
【0142】
他の応用例では、罹患組織における副交感神経活動を遮断するために、一定レベルのDC信号、または緩徐に変動する電圧ランプが印加される。代わりとして、同様の結果は、これは神経伝達物質を使い果たす傾向があるため、約10Hzより高いレートで刺激することによって得ることができる。したがって、刺激器4は、SPGに対する化学的遮断の全体的な効果を模倣することによって血管収縮を誘発するために、副交感神経の電気的遮断を誘発するように構成されうる。この血管収縮効果は、例えば、偏頭痛の形成を制御可能に予防し、または逆転させるために使用されうる。偏頭痛の電気的治療のこの技法は、リドカインなどの薬物がSPG遮断を誘発するために適用されている従来技術の方法に対立している。
【0143】
図2は、本発明の好ましい実施形態による、患者の体の外部に位置した刺激器制御ユニットの概略図である。少なくとも1つの可撓性の電極10が好ましくは、患者の外鼻孔12を通じて制御ユニット8から、SPG6の隣接している鼻腔14内の位置に延在する。
【0144】
電極7(図1)および10はそれぞれ、1つもしくはそれ以上の電極、例えば、2つの電極、または微小電極のアレイを含んで成りうる。刺激器4が、電極として機能しうる金属筐体を含んで成る応用例では、通常、1つの電極7が使用され、単極性モードで作動する。使用中の電極の総数に関係なく、通常、単一または2つの電極がSPG6に延在する。他の電極7もしくは10または刺激器4の金属筐体は、好ましくは、鼻腔2の他の部分と接触して一時的または永続的に移植される。
【0145】
電極7および/または10のそれぞれは、好ましくは、適切な伝導性材料、例えば、銀、イリジウム、白金、白金イリジウム合金、チタン、ニチノール、またはニッケルクロム合金など生理学的に許容可能な材料を含んで成る。一部の応用例では、1つもしくはそれ以上の電極は、約1〜5mmの長さを有し、約50〜100ミクロンの直径を有する。各電極は、好ましくは、ポリエチレン、ポリウレタン、またはこれらのいずれかのコポリマーなど生理学的に許容可能材料で絶縁されている。電極は、好ましくは、良好な接触のために形状がらせん状であり、SPGの中へ、または近くに固定するために遠位端がフック状を有しうる。代わりとして、または追加として、電極は、単一のワイヤ電極、バネ荷重「クロコダイル」電極、または必要に応じて、粘着性プローブを含んで成りうる。
【0146】
本発明の好ましい実施形態においては、電極7および/または10の各1つは、かかる各電極の遠位端が大きな表面積を有するに構成または処理されていることを除き、実質的に平滑な表面を含んで成る。例えば、遠位先端は多孔性白金めっきされていてもよい。代わりとして、または追加として、電極7または10、および/または刺激器4の金属筐体の少なくとも先端は、ベクロメタゾン、リン酸ナトリウム、またはリン酸ベクロメタゾンなどの抗炎症薬を含んで成るコーティングを含む。代わりとして、かかる抗炎症薬は、注射され、または他の方法で適用される。
【0147】
図3は、本発明の好ましい実施形態による、刺激器4(図1)とともに使用される移植ユニット20および外部ユニット30を含んで成る回路を示す概略ブロック図である。移植ユニット20は、好ましくは、フィードバックブロック22および1つもしくはそれ以上の検出または信号印加電極24を含んで成る。移植ユニット20は通常、好ましくは、出力を受け取り、かつ/または外部ユニット30の電磁カップラー28へ、またはこれからデータ信号を送受信する電磁カップラー26をも含んで成る。
【0148】
外部ユニット30は、好ましくは、外部制御信号34を(例えば、医師から、または患者から)、およびフィードバックブロック22からフィードバック信号36を受け取るマイクロプロセッサ32を含んで成る。制御信号34は、例えば、操作のスケジュール、患者の体重などの患者パラメータ、またはSPGに印加される信号の所望の周波数または振幅など信号パラメータなど、作動パラメータを含みうる。必要に応じて、制御信号34は、患者または医療提供者によって入力され、刺激を終了し、または所定のプログラムに従ってこれを加減する緊急オーバーライド信号を含んで成りうる。そしてまた、マイクロプロセッサ32は、好ましくは、電極24を通じて印加される電流の1つもしくはそれ以上のパラメータを決定するために、制御信号134およびフィードバック信号36を処理する。この決定に応じて、マイクロプロセッサ32は通常、電磁カップラー28によって電磁カップラー26に搬送される電磁制御信号42を発生する。制御信号42は、好ましくは、電極24によってSPG6に印加される所望の電流または電圧に対応し、かつ、好ましい実施形態においては、電極を誘導的に駆動する。ユニット20または30におけるカップラー26および28および/または他の回路の構成は、指定組織に印加される信号(例えば、一連のパルス)の強度、周波数、形状、単相または二相モード、DCオフセットを決定しうる。
【0149】
マイクロプロセッサ32用の電源は通常、電池44、または、必要に応じて、別のDC電源によって供給される。アースは、電池44によって、または別個のアース端子46によって提供される。必要に応じて、マイクロプロセッサ32は、外部ユニット30のディスプレイブロック40を駆動するディスプレイ信号38を発生する。通常、ただし必然的ではなく、ディスプレイはフィードバックブロック22によって得られるフィードバックデータを示し、または外部ユニット用のユーザーインターフェイスを提供するために作動される。
【0150】
移植ユニット20は、好ましくは、チタン、白金、もしくはエポキシ、または適切な生体適合性材料で製造されたケースに包装されている。ケースが金属で製造されている場合は、ケースはアース端子電極として使用されうるが、したがって、刺激は通常、単相モードで実行される。代わりとして、ケースが生体適合性プラスチック材料で製造されている場合は、2つの電極24は通常、SPGに電流を印加するように駆動される。
【0151】
一部の応用例では、1つもしくはそれ以上の電極24によって指定組織(例えば、SPG)に適用される波形は、指数関数的減衰、ランプの上下、方形波、正弦波、のこ歯、DC成分、または組織への適用に適切である当技術分野で周知の他の形状を有する波形を含んで成る。代わりとして、または追加として、波形は、1つもしくはそれ以上の短い形状または平方パルスを含んで成り、各パルスは、好ましくは、持続時間が約1ms未満である。一般に、適切な波形およびそのパラメータは、外部ユニット30および移植ユニット20の最初の試験期間中に決定される。一部の応用例では、波形は、ユニット20がSPGを刺激している期間および/または非活性化(すなわち、スタンバイ)期間中に測定される測定された生理学的パラメータに従って動的に更新される。
【0152】
偏頭痛治療の場合、波形は、なだらかなのこ歯、または一定のDCレベルなど、出ていく副交感神経メッセージを遮断することを意図した、緩徐に変動する形状の形を取りうる。
【0153】
図4は、本発明の好ましい実施形態による、例えば、制御ユニット8(図2)とともに使用するための回路の概略ブロック図である。外部ユニット50が、電池54または別のDC電源によって供給されるマイクロプロセッサ52を含んで成る。アースは、電池54または別個のアース端子56によって提供されうる。マイクロプロセッサ52は、好ましくは、制御およびフィードバック信号58および68(上述された信号34および36と類似)を受け取り、それに応じて、1つもしくはそれ以上の電極66によってSPGまたは他の組織に搬送される刺激信号64を発生する。通常、ただし必然的ではなく、フィードバック信号68は、1つもしくはそれ以上の電極66および/または他のセンサから患者の脳または患者の体に結合されているほかの場所へのフィードバックによって測定される電気的フィードバックを含んで成る。必要に応じて、マイクロプロセッサ52は、関連データを患者または患者の医師に出力するディスプレイブロック62を駆動するディスプレイ信号60を発生する。通常、電極68の一部または全部は、患者に一時的に移植され(例えば、発作後)、外部ユニットを移植ユニットに接続するワイヤによって直接駆動される。
【0154】
図5Aは、本発明の好ましい実施形態による、図1〜4に示されているデバイスの1つもしくはそれ以上の操作モードを概略的に示すグラフである。 好ましくは、印加刺激の効果は、SPGまたは頭部のほかの場所、例えば鼻腔における温度トランスデューサによってモニタリングされる。刺激のステップ(ON/OFF)モードについて図5Aに示されているように、SPGまたは関連組織の刺激は時間T1で開始され、これは温度の測定可能な上昇(血流の増大による)によって反映される。温度が所定の、または動的に変動する閾値(例えば、37℃)に上昇すると、刺激は終了し(時間T2)、それに応じて温度は低下する。必要に応じて、温度が指定の、または動的に決定された点に下がると、刺激は再開する(時間T3)。好ましくは、適切な温度または他の生理学的パラメータは、最適な治療を提供するために各患者について決定される。必要に応じて、制御指示が患者から受け取られ、例えば、偏頭痛の開始と同時に刺激を開始する。
【0155】
図5Bは、本発明の好ましい実施形態による、図1〜4に示されているデバイスの1つもしくはそれ以上の操作モードを概略的に示すグラフである。この実施形態においては、SPGに印加される波形の振幅は、所望の性能を達成するために、測定温度に応じて、連続的セットの値(S1)、または不連続セットの値(S2)の間で変動する。移植装置の略最適性能を達成するために、頭部で測定された他のフィードバックパラメータ(例えば、頭蓋内圧および/または脳血流)のほか、測定された全身のパラメータ(例えば、心拍数)、主観的な患者の入力(例えば、偏頭痛=3/5)を温度測定値とともに、またはこれとは別に使用されうる。
【0156】
図6は、本発明の好ましい実施形態による、図1〜4に示されているデバイスの1つもしくはそれ以上の操作モードを概略的に示すグラフである。この実施形態においては、一定の割合で、例えば、時間T1でSPGの刺激開始前に、患者に薬物が静脈内投与される。有利には、血液中の薬物の高い濃度のこの事前の発生は、BBBを通じて脳への薬物の比較的迅速な移動を提供する傾向があるが、BBBの増強された浸透性を必ずしも延長することなく、同時に薬物の血中濃度が適切なレベルに達するのを待つ。代わりとして、一部の応用例では、SPGの刺激の開始直前または直後に薬物の1回ボーラス注射を与えることが望ましい。通常、併用投与および刺激スケジュールは、脳に対する各薬物の生化学的特性に基づく患者の医師によって決定される。
【0157】
図7は、本発明の好ましい実施形態による、 図1に示されている実施形態と組み合せて特に有用である副交感神経刺激の回路を示す概略ブロック図である。外部ユニット80が、好ましくは、電池84および/またはAC電源によって電力が供給されるマイクロプロセッサ82を含んで成る。マイクロプロセッサ82は、電池84、または任意のアース端子86によりアースされている。
【0158】
操作の標準のモードにおいては、外部制御ユニット88が、通常、移植ユニット100の近く、または患者の体のほかの場所に配置されている、1つもしくはそれ以上のバイオセンサ106からのフィードバック信号108とともに、マイクロプロセッサ82にインプットされる。信号88および108に応じて、マイクロプロセッサ82は、好ましくは、上述されているように、ディスプレイ90を駆動するディスプレイ信号89を発生する。また、マイクロプロセッサ82は、好ましくは、外部制御信号88およびフィードバック108を処理し、変調器94によって調節される出力信号92のパラメータを決定する。それによる出力は、好ましくは、移植ユニット100の電磁カップラー98を誘導的に駆動する電磁カップラー96を通じて電流を駆動する。そしてまた、電磁カップラー98に結合された復調器102は、必要に応じて、少なくとも1つの電極104を駆動してSPGまたは他の組織に電流を印加する信号103を発生する。
【0159】
好ましくは、バイオセンサ106は、例えば、以下の1つもしくはそれ以上を含む移植可能な、または外部の医用装置を含んで成る。
・血流センサ、
・温度センサ、
・化学センナ、
・超音波センサ。
・経頭蓋ドップラー(TCD)装置、
・レーザードップラー装置、
・全身血圧センサ(例えば、主要な脳血管に固定された圧電結晶を含んで成り、凝血塊を示す突然の血圧上昇を検出する能力がある。)
・動態センサ(例えば、体の姿勢の突然の変化(崩壊における)など体内動態を示すための、加速度、速度、またはレベルセンサ(例えば、水銀スイッチ)を含んで成る。)
・脳波検査(EEG)センサ(発作または偏頭痛の症状など、神経パターンの変化を示すための、患者の頭部に付着され、または移植されるEEG電極を含んで成る。)
・血管凝血塊検出器(例えば、図13を参考にして以下で述べられる。)、または
・本発明のこのまたは他の実施形態の目的を行うために適した生理学的な量の他のモニター。
【0160】
図8は、本発明の好ましい実施形態による、変調器94および/または復調器102の操作モードを示す概略図である。図7における信号92の振幅および周波数は、左のグラフに示されているように、特定の値を有しうるが、しかし、振幅および周波数は調節され、信号103は異なる特性を有する。
【0161】
図9は、本発明の好ましい実施形態による、SPGの刺激のための別の装置の概略図である。この実施形態においては、処理および信号発生の実質的に全部が、患者の移植ユニット110における回路によって実行され、かつ、好ましくは、外部ユニット111における制御器122との連絡が間欠的にのみ実行される。移植ユニット110は、好ましくは、電池114に結合されたマイクロプロセッサ112を含んで成る。マイクロプロセッサ112は、少なくとも1つの電極118に沿って移動し、SPGを刺激する。バイオセンサ(図示せず)および/または電極118からのフィードバック信号120が、それに応じて刺激パラメータを加減するようになっているマイクロプロセッサ112によって受け取られる。好ましくは、マイクロプロセッサ112および制御器122が、データを交換し、またはパラメータを変更するために、電磁カップラー126および124によって連絡するように作動する。さらに好ましくは、電池114は、電磁カップリングによって誘導的に再充電可能である。
【0162】
図10Aは、本発明の好ましい実施形態による、刺激器150の概略図である。好ましくは、電気的要素の実質的に全部(再充電可能なエネルギー源を有する電気回路158を含む)が、生体適合性金属ケース154にカプセル化されている。誘導コイル156および少なくとも1つの電極162は、好ましくは、フィードスルーカップリング160によって回路158に結合されている。この誘導コイルは、好ましくは、電磁カップリングの高い効率を可能にする、エポキシコーティング152によって分離される。
【0163】
図10Bは、本発明の好ましい実施形態による、移植可能な刺激器の別の構成の概略図である。好ましくは、電気的要素の実質的に全部(誘導コイル176、および再充電可能なエネルギー源を有する電気回路178を含む)が、生体適合性金属ケース174にカプセル化されている。1つもしくはそれ以上のフィードスルーは、好ましくは、少なくとも1つの電極182と電気回路のほか、それと連絡している誘導コイル176と別の誘導コイル(図示せず)との間のカップリングを可能にするように提供されている。
【0164】
図10Aおよび図10Bを参考にすると、電気回路158および178のエネルギー源は、例えば、一次電池、再充電可能電池、またはスーパーキャパシタを含んで成りうる。再充電可能な電池またはスーパーキャパシタが使用される応用例では、あらゆる種類の励起手段を用いて、例えば(ただし図示せず)誘導帯電のための標準手段、または患者の動きの動態を電荷に変換する小型電気機械的エネルギー変換器などのエネルギー源を荷電するために使用されうる。代わりとして、外部の光源(例えば、単一LED,レーザーダイオード、または他の光源)が、電子回路内の光電池に向けられうる。さらに代わりとして、超音波エネルギーが、移植ユニットに向けられ、電池充電手段を駆動するように変換される。
【0165】
図11および12は、本発明の好ましい実施形態により実施されたラット実験中に得られた実験結果を示す棒グラフである。システムにおける物質のバイオ分布のモニタリングにおける一般の技法としては、放射性標識化トレーサの存在およびレベルのモニタリングが挙げられる。これらのトレーサは、標的物質に共役した一般元素(例えば、Tc、In、Cr、Ga、およびGd)の不安定な同位体である。トレーサの化学的特性は、同様の物理化学的特性を有する他の物質の性質の予測因子として使用され、評価されている特定の生物学的機序に基づき選択される。通常、患者または実験動物は、ガンマカメラ上に配置され、または標的組織サンプルを得て、個別にウェルカウンタに配置されうる。実施された本セットの実験の目的のために、その高い感度および空間分解能によりウェルカウンタ法が選択された。99Tc−DTPA(99−テクネチウムアイソトープ)を用いる一連の実験が実施された。99Tc−DTPAの分子量は458Daであり、その脂肪親和性は陰性であり、その電荷は+1である。これらのパラメータは、タモキシフェン、エトポシド、およびイリノテカンなどの標準の化学療法において使用される薬物ときわめて類似している。
【0166】
図11および図12は、通常の脳サンプリング法(図11)および剥離(peeled)脳法(図12)を用いた99Tc−DTPA浸透アッセイを用いて得られた結果を示す。各グラフのX軸は、異なる実験の実行を表し、各グラフのY軸は以下のように規定される: [(半球放射能)/(半球重量)]/[(総注入放射能)/(総動物重量)]。得られた結果は、ラット脳への99Tc−DTPAの浸透の平均2.5倍の増大を示す。これらの結果は、SPGの反側性刺激によって得られたことが注目される。発明者は、両側SPG刺激が、片側SPG刺激に対して、薬物浸透を約2倍にすると考えている。
図11および図12の両方においては、一部の動物は対照動物として指定され、他の動物は試験動物として指定された。各群において、左右の半球が別個に試験され、各棒の高さは、所定の動物および所定の半球について、上記規定されているように放射能の標準化レベル表している。したがって、図11は、4個の試験半球および4個の対照半球の全部の結果を示す。図12は、6個の試験半球および14個の対照半球の結果を示す。棒グラフにおける対照および試験の棒の並置は、対照および試験半球のペアリングが意味されていない。
【0167】
図13は、本発明の好ましい実施形態による、例えば、上記のマイクロプロセッサまたは回路のいずれかにフィードバックを提供することにおいて使用するための音響または光学凝血塊検出装置の概略図である。検出は、好ましくは、主要な血管200(例えば、内頸動脈または大動脈)に音響または光学トランスミッタ/レシーバ206、および光学反射表面204を含んで成る検出要素を結合することによって実行される。天然の生理液体が、デバイスと血管との間の仲介液体として使用されうる。好ましくは、トランスミッタ/レシーバは、反射し戻される超音波信号または電磁信号を発生し、プロセッサが戻った信号に変化を評価し、新たに存在する凝血塊の指標を検出する。代わりとして、トランスミッタは血管の一方の側面に配置され、レシーバは血管の他の側面に配置される。いずれかの場合に、一部の応用例では、かかる装置202の1つ以上が血管に配置され、血管内に運動の凝血塊の検出の可能な推定のために有効な凝血塊検出の確率を改善し、誤った警告(すなわち、誤った検出)を低下させる。
【0168】
図14は、本発明の好ましい実施形態による、対象に着臭剤を与えることにおいて使用するための鼻吸入器300の概略断面図である。鼻吸入器300は、好ましくは、水性鼻吸入器、定量鼻吸入器、または空気希釈嗅覚計などの当技術分野で周知の装置を含んで成る。着臭剤は、着臭剤貯蔵容器302に保存され、鼻ピースなど着臭剤送達要素304を用いて鼻通路に送達される。代わりとして、または追加として、着臭剤は、唾液と接触と同時活性着臭剤を放出する傾向溶解性カプセルによって投与される。着臭剤は神経構造物の近くに達し、血管拡張、血管収縮および/または脳血管浸透性の変化を誘発する。
【0169】
本発明の実施形態は多くの医療用途を有する。例えば、化学療法薬は、脳腫瘍を治療するために脳組織に入る必要がある。化学療法薬の大部分は分子量が200〜1200Daであり、したがって、その血液脳関門(BBB)を通じた輸送はきわめて制限されている。BBBの障害を克服するために、高浸透ロードの手根内注入が、その間に投薬が行われている、きわめて短時間(例えば、25分)、BBBの接着結合を開放するために従来技術で使用されている。この処置は簡単ではない、すなわち、侵襲的であり、全身麻酔を必要とし、その後の集中治療を必要とし、いずれにせよ比較的費用がかかる。これらの理由で、一部の報告ではこのようにして化学療法を受けた患者の生命寿命の実質的な改善が主張されているが、かかる手根注入は、きわめてわずかな医療施設でのみ使用されている。
【0170】
好ましくは、経BBB薬物送達の増大、かつより有効な化学療法を促進する本発明の実施形態は、 放射線療法の必要を削減または除去することもできる。脳のかかる照射は、長期の認知および他の欠損の重要な原因であることが文献で示されていることが注目される。
【0171】
本発明の好ましい実施形態により提供される良好な薬物送達は、パーキンソン病、 アルツハイマー病、および他の神経疾患など、他の疾患の治療における要素でもある。一部の応用例では、種々の成長因子の経BBB送達が、本明細書中で述べられた技法を用いて促進される。成長因子は通常、ニューロンの成長を刺激し、パーキンソン病、 アルツハイマー病、および運動ニューロン病(例えば、ルー・ゲーリング病)など変性疾患を治療するために使用されうる。
【0172】
本発明の別の好ましい応用例としては、例えば、免疫無防備状態患者における脳の感染症のケースで、脳内の炎症を治療するためにBBBを通じて薬物送達を促進するステップが挙げられる。同様に、AIDSを治療する薬物は、必要に応じて、本明細書中で述べられた方法および装置の使用により、BBBを通じて脳の部位により有効に投与されうる。本発明の一部の実施形態の別の応用例としては、遺伝子療法の薬剤である(例えば、パーキンソン病の治療用)ウイルスのBBBを通じた送達が挙げられる。同様に、本明細書中で述べられた方法および装置は、GM2ガングリオシドーシスなどの脳の代謝疾患に対して使用されうる。
【0173】
本発明の一部の好ましい実施形態の別の態様は、脳血流の調節に関する。約750,000人のアメリカ人が毎年脳卒中に罹っている。脳卒中は米国の主要な死亡原因であり、毎年約160,000人のアメリカ人を死亡に至らしている。米国の3百万人以上が脳卒中を切り抜け、そのうち2百万人以上が、肢体不自由、失語、および記憶喪失に罹っている。脳卒中の約85%は、虚血性、すなわち、血管が閉塞し、その領域の酸素供給が奪われている。完全に血液供給が奪われている脳部位は、供給の部分的欠乏の第2部位によって包囲されており、その生命力は危険な状態にある。この第2部位が、本発明の一部の実施形態の主要な標的の1つであり、すなわち、SPGの刺激その血管を拡張し、その部位の生存の可能性を大幅に改善することになる。介入が事象の十分に早期である場合(例えば、発作後数時間)は、血栓はまだ組織化されず、血管の拡張が組織への血液供給を再開しうるため、脳卒中の中核部位も助けられうる。代わりとして、SPG刺激は、大血管から小血管への凝血塊の移動を可能にし、血液供給を奪うのは、脳のはるかに小さな体積からということなる(いずれにせよ、凝血塊が所定の位置に依然としてあったため血液供給が奪われている)。
【0174】
集団ベースの研究では、男性の5%および女性の16%が偏頭痛発作に罹ることが示されている。これらのち80%以上が、ある程度の頭痛関連身体障害に罹る。副交感神経遮断(刺激と対照的に)は、血管収縮を誘発することが知られている。本発明のある実施形態では、電気的手段を用いて、血管拡張作用を誘発し、偏頭痛を治療する。例えば、ゆっくり変動させる電圧、または場合より、一定レベルのDC電圧を加えるなど、神経メッセージングを遮断する技法が使用されうる。
【0175】
アルツハイマー病は、生命寿命の増大とともに、身体障害および経済的負担の主な原因となっている。近年、血管因子がこの疾患の病態生理学における重要因子とみなされている。現行の療法は一般に1つのライン、すなわち、コリン作用性薬物療法に沿って集中して行われているが、これはせいぜい患者の認知機能の悪化を遅らせることしかできない。本発明の好ましい実施形態によって提供されるSPG刺激は、脳への血流および酸素供給を増大させ、したがってこれらの患者を助けると考えられている。この用途で、長期の間欠的な刺激のために、永久的な刺激器を鼻腔に移植することができる。
【0176】
本発明の一部の実施形態は、患者の全身循環から脳組織への分子の通過を促進するためにBBBの浸透性を強化することに関して本明細書中では述べられているが、これは例示としてであって、限定としてではない。他の実施形態においては、脳組織から全身循環への分子のクリアランスの強化を促進するたねに類似の技法が用いられている。一部の応用例では、このクリアランスの強化は、例えば、撮像様式またはBBB浸透性の増大中または増大後に取られた血液サンプルによって、診断手順を促進するために利用されている。他の応用例では、分子のクリアランスの強化は、例えば、脳からの毒素のクリアランスを促進するために、それ自体が目標となる。
【0177】
本出願中で述べられた技法は、本特許出願の譲受人に譲渡され、本明細書中で参考によって援用されている以下の特許出願の1つもしくはそれ以上に記載されている方法および装置と組み合せて実行されうる。
【0178】
・国際公開公報(PCT)第WO01/85094号、2001年5月7日出願、名称「翼口蓋神経節を刺激し、BBBおよび野血流の特性を加減するための方法および装置」
・米国仮特許出願第60/364,451号、2002年3月15日出願、名称「翼口蓋神経節(SPG)を刺激する使用」
・米国仮特許出願第60/368,657号、2002年3月28日出願、名称「SPG刺激」
・米国仮特許出願第60/376,048号、2002年4月25日出願、名称「頭内の神経に対する着臭剤の神経興奮性および/または神経抑制性作用を用いてBBBおよび脳循環の特性を加減するための方法および装置」
・米国仮特許出願第60/388,931号、2002年6月14日出願、「アルツハイマー病の治療の方法およびシステム」
・米国仮特許出願第60/400,167号、2002年7月31日出願、名称「BBBおよび脳循環の特性を加減することによる脳への化合物の送達」
・米国仮特許出願、2002年11月14日出願、名称「翼口蓋神経節刺激のための外科用器具および技法」
・米国仮特許出願、2002年11月14日出願、名称「電子医用システムの刺激回路および制御」
・米国特許出願、2002年11月14日出願、名称「眼病の治療のためのSPG刺激」
・米国特許出願、2002年11月14日出願、名称「CNSへの抗炎症薬の投与」
・米国仮特許出願、2002年11月14日出願、名称「眼病を治療するための刺激」
・米国仮特許出願、2003年2月20日出願、名称「CNSの自己免疫疾患の治療のための刺激」
・米国仮特許出願、グロス(Gross)ら、2003年4月8日出願、名称「血液脳関門および頭部血流の特性を加減することによる心身の異常状態の治療」
【0179】
特に、特許出願の上記リストに記載された電気的信号応用例の技法は、着臭剤投与とともに、またはこれの代わりに使用することができる。したがって、着臭剤を利用する本明細書中で述べられた応用例は、その代わりに、電気的信号応用例を用いて、着臭剤投与により達成されるものと略同様の結果を達成することができる。
【0180】
「血液脳関門(BBB)」なる用語は、全身循環と脳との間のバリア、および全身循環と脳における腫瘍との間のバリア(しばしば「血液腫瘍バリア」と呼ばれる)に適用される、本特許出願および請求項との関連で用いられていることが理解されるべきである。
【0181】
当業者には、本発明が上記で詳しく示され、記載されたものに限定されないことが理解されたい。それどころか、本発明の範囲は、上記の種々の特徴の組合せと副組合せの両方のほか、上記の説明を読むと同時に当業者には思いつくであろう、従来技術にはないその変形および修正を包含する。
例えば、1つの一体ユニット内に収容される図面に示されている要素は、一部の応用例では、複数の別個のユニットに配置されうる。同様に、ワイヤレス方法で結合されることが示されている連絡および出力伝達のための装置は、代わりとして、有線方法で結合されうる。また、本発明の範囲は、本明細書中で述べられ、かつ/または請求された方法を行うための装置を含み、かつ本明細書中で述べられ、かつ/または請求された装置に対応した方法をも含むことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0182】
【図1】本発明の好ましい実施形態による、SPGの刺激のための完全に移植可能な刺激器の概略透視図である。
【図2】本発明の好ましい実施形態による、SPGの刺激のための別の刺激器の概略透視図である。
【図3】本発明の好ましい実施形態による、図1に示されている刺激器とともに使用するための回路を示す概略ブロック図である。
【図4】本発明の好ましい実施形態による、図2に示されている刺激器とともに使用するための回路を示す概略ブロック図である。
【図5A】本発明の好ましい実施形態による、図1および図2に示されているような刺激器の操作の異なるモードを示す概略である。
【図5B】本発明の好ましい実施形態による、図1および図2に示されているような刺激器の操作の異なるモードを示す概略である。
【図6】本発明の好ましい実施形態による、薬物送達システムと同期した図1および図2に示されている刺激器の操作のモードの概略図である。
【図7】本発明の好ましい実施形態による、刺激器が、変調器および復調器を用いる外部制御器およびエネルギー源によって駆動される、図1示されている刺激器とともに使用するための回路を示す概略ブロック図である。
【図8】本発明の好ましい実施形態による、図7の回路ととに使用するためのサンプルの変調器および復調器の機能を示す図である。
【図9】本発明の好ましい実施形態による、移植可能な刺激器とともに使用するための別の回路を示す概略図である。
【図10A】本発明の好ましい実施形態による、移植可能な刺激器とともに使用するための別の回路を示す概略図である。
【図10B】本発明の好ましい実施形態による、移植可能な刺激器とともに使用するための別の回路を示す概略である。
【図11】本発明の好ましい実施形態による、収集された実験データを示す棒グラフである。
【図12】本発明の好ましい実施形態による、収集された実験データを示す棒グラフである。
【図13】本発明の好ましい実施形態による、血管へ適用するためのセンサの概略図である。
【図14】本発明の好ましい実施形態による、着臭剤の投与において使用するための鼻吸入器を示す概略断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の気道に着臭剤を与えるステップを含んで成る、患者の脳の特性を加減するための方法であって、着臭剤は、脳の血液脳関門(BBB)を経由して、患者の全身血液循環と患者の脳組織との間の分子の伝導性を増大させるためという理由で、気道に与えるように選択されている方法。
【請求項2】
患者のパラメータを検出し、それに反応する着臭剤を与えるステップを含んで成る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
パラメータが患者の行動の指標を含み、かつパラメータを検出するステップが患者の行動の指標を検出するステップを含んで成る、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
パラメータが、患者の生化学的値および患者の生理学的値より成るリストから選択され、かつパラメータを検出するステップが、リストから選択されるパラメータを検出するステップを含んで成る、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
リストから選択されるパラメータを検出するステップが、CT、MRI、PET、SPECT、血管造影、検眼鏡検査、透視検査、光学顕微鏡検査、および酵素測定より成るリストから選択される様式を用いてパラメータを検出するステップを含んで成る、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
リストから選択されるパラメータを検出するステップが、患者における分子のレベルを測定するステップを含んで成る、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
分子のレベルを測定するステップが、血液、血漿、血清、腹水、および尿より成るリストから選択される体液をサンプリングするステップを含んで成る、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
患者の気道に着臭剤を与えるステップが、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、患者の全身血液循環から脳の血液脳関門(BBB)を通じて患者の脳組織への分子の伝導性を増大させるためであるという理由で気道に与えるように選択されており、分子は、薬物、治療薬、内因性物質、および診断手順を促進するための薬剤より成る群から選択されている、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
着臭剤を与えるステップが、分子の伝導性を増大させるように決定された投与量で着臭剤を与えるステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
患者による吸入のための分子を投与するステップを含んで成る、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
ボーラスで患者に分子を投与するステップを含んで成る、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
略連続的なやり方で分子を投与するステップを含んで成る、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
脳組織の標的部位からの分子の輸送からP−糖タンパク輸送体を遮断する能力がある薬剤を投与するステップを含んで成る、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
全身血液循環に分子を投与するステップを含んで成る、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
分子を投与するステップが着臭剤と混合された分子を投与するステップを含んで成る、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
分子を投与するステップが、経口投与、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、および筋内投より成るリストから選択される技法を用いて全身血液循環に分子を投与するステップを含んで成る、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
分子が診断手順を促進するための薬剤を含み、かつ着臭剤を与えるステップが、診断手順を促進するための薬剤の伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項18】
診断手順を促進するための薬剤が造影剤を含み、かつ着臭剤を与えるステップが、造影剤の伝導性を増大させるためにある着臭剤を与えるステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
診断手順を促進するための薬剤が放射線不透過性物質を含み、かつ着臭剤を与えるステップが着臭剤を与えるステップを含んで成り、着臭剤は、放射線不透過性物質の伝導性を増大させるためにある、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
診断手順を促進するための薬剤が抗体を含み、かつ着臭剤を与えるステップが、抗体の伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
着臭剤を与えるステップが、分子を選択するステップを含んで成り、分子は、患者の中枢神経系(CNS)の疾患を治療するために適切である、請求項8に記載の方法。
【請求項22】
CNS疾患が、脳腫瘍、てんかん、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、統合失調症、うつ病、ストレス、肥満、疼痛、および不安より成るリストから選択され、かつ分子を選択するステップが分子を選択するステップを含んで成り、分子は、選択されたCNS疾患を治療するために適切である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
着臭剤投与のパラメータを調節するステップを含んで成る、請求項8に記載の方法。
【請求項24】
パラメータを調節するステップが、着臭剤の2つもしくはそれ以上の成分の相対濃度、投与される着臭剤の量、着臭剤の投与速度、投与時の着臭剤の圧力、および着臭剤の少なくとも一部分の温度より成るリストから選択されるパラメータを調節するステップを含んで成る、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
着臭剤投与のパラメータの調節の後である治療セッションの間に患者に分子を投与するステップを含んで成る、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
治療セッションの間に患者に分子を投与するステップと、同じ治療セッションの間に着臭剤投与のパラメータを調節するステップとを含んで成る、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
着臭剤投与のパラメータを調節するステップが、着臭剤投与のパラメータの所定セットからパラメータを選択するステップを含んで成る、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
患者のパラメータを検出するステップと、それに対して反応性である着臭剤投与のパラメータを調節するステップとを含んで成る、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
患者のパラメータが患者の行動の指標を含み、かつ患者のパラメータを検出するステップが患者の行動の指標を検出するステップを含んで成る、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
患者のパラメータが、患者の生化学的値および患者の生理学的値より成るリストから選択され、かつ患者のパラメータを検出するステップがリストから選択される患者のパラメータを検出するステップを含んで成る、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
分子が治療薬を含み、かつ着臭剤を与えるステップが、治療薬の伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項32】
治療薬が神経薬を含み、かつ着臭剤を与えるステップが着臭剤を与えるステップを含んで成り、着臭剤は、神経薬の伝導性を増大させるためにある、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
治療薬がタンパク質を含み、かつ着臭剤を与えるステップが、タンパク質の伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
治療薬がポリマーを含み、かつ着臭剤を与えるステップが、ポリマーの伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
治療薬がウイルスベクターを含み、かつ着臭剤を与えるステップが、ウイルスベクターの伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
治療薬が抗癌薬を含み、かつ着臭剤を与えるステップが、抗癌薬の伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
治療薬が、酢酸グラチラマーおよびインターフェロンベータ−1bより成るリストから選択される薬剤を含み、着臭剤を与えるステップが、リストから選択される伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
治療薬が、DNA療法用の薬剤およびRNA療法用の薬剤より成るリストからの薬剤を含み、かつ着臭剤を与えるステップが、リストから選択される薬剤の伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項39】
治療薬が、(a)1型インスリン様成長因子受容体に対するアンチセンス分子、および(b)ADV−HSV−tkより成るリストからの薬剤を含み、かつ着臭剤を与えるステップが、リストから選択される薬剤の伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
着臭剤を与えるステップとともに分子を投与するステップを含んで成る、請求項8に記載の方法。
【請求項41】
着臭剤を与えるステップとともに分子を投与するステップが、着臭剤を与えるステップに関して決定された時間で分子を投与するステップを含んで成る、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
分子を投与するステップが、少なくとも着臭剤を与えるステップ前の所定時間に分子を投与するステップを含んで成る、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
分子を投与するステップが、着臭剤を与えるステップと略同時に分子を投与するステップを含んで成る、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
分子を投与するステップが、少なくとも着臭剤を与えるステップ後の所定時間に分子を投与するステップを含んで成る、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
分子が薬物を含み、かつ着臭剤を与えるステップが、薬物の伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項46】
薬物がウイルスベクターを含み、かつ着臭剤を与えるステップが、ウイルスベクターの伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
薬物が抗体を含み、かつ着臭剤を与えるステップが、抗体の伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
抗体が、毒素抗体複合体、毒素抗体複合体、放射標識抗体、および抗−HER2 mAbより成るリストから選択され、かつ着臭剤を与えるステップが、選択された抗体の伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
抗体が、抗−b−アミロイド抗体および抗−アミロイド−前駆タンパク質抗体より成るリストから選択され、かつ着臭剤を与えるステップが、選択された抗体の伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
分子が内因性物質を含み、かつ着臭剤を与えるステップが、内因性物質の伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項51】
内因性物質が、人工的手段によって実質的に修飾されていない内因性物質を含み、かつ着臭剤を与えるステップが、人工的手段によって実質的に修飾されていない内因性物質の伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
内因性物質が、その様相が人工的手段によって修飾されている内因性物質を含み、かつ着臭剤を与えるステップが、 その様相が人工的手段によって修飾されている内因性物質の伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
内因性物質が酵素を含み、かつ着臭剤を与えるステップが、酵素の伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
酵素がヘキソサミニダーゼを含み、かつ着臭剤を与えるステップが、ヘキソサミニダーゼの伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
分子を患者の粘膜に投与するステップを含んで成る、請求項8に記載の方法。
【請求項56】
分子を投与するステップが、患者の口腔粘膜に分子を投与するステップを含んで成る、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
分子を投与するステップが、患者の鼻粘膜に分子を投与するステップを含んで成る、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
分子を投与するステップが、着臭剤と組み合せて分子を投与するステップを含んで成る、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
分子を投与するステップが、着臭剤とは別に分子を投与するステップを含んで成る、請求項55に記載の方法。
【請求項60】
患者の気道に着臭剤を与えるステップが、患者の脳組織から血液脳関門(BBB)を通じて全身血液循環への分子の伝導性を増大させるためにという理由で気道に与えるために選択されている着臭剤を与えるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項61】
着臭剤の投与の開始後に、患者の脳の外側の部位から分子の量を検出するステップを含んで成る、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
分子の量を検出するステップが、CT、MRI、PET、SPECT、血管造影、検眼鏡検査、透視検査、光学顕微鏡検査、および酵素測定より成るリストから選択される様式を用いて検出するステップを含んで成る、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
分子の量を検出するステップが、血液、 血漿、 血清、 腹水、および尿より成るリストから選択される患者の体液をサンプリングするステップを含んで成る、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
分子の量を検出するステップに対して反応性の診断的に重要なパラメータを測定するステップを含んで成る、請求項61に記載の方法。
【請求項65】
患者の疾患に対して反応性の着臭剤の投与量を選択するステップを含んで成る、請求項60に記載の方法。
【請求項66】
着臭剤の投与量を選択するステップが、少なくとも部分的に疾患を治療するのに十分な程度まで、着臭剤の投与に対して反応性の分子の伝導性を増大させる着臭剤の投与量を測定するステップを含んで成る、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
投与量を選択するステップが、患者の疾患に対して反応性の投与量を選択するステップを含んで成り、疾患は、脳腫瘍、てんかん、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、統合失調症、うつ病、ストレス、肥満、疼痛、および不安より成るリストから選択される、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
着臭剤の投与によってひき起こされる分子の伝導性の増大を増強するのに十分な投与量で高浸透圧誘発剤を患者に投与するステップを含んで成る、請求項1、8、または60のいずれか1つに記載の方法。
【請求項69】
着臭剤を与えることによってひき起こされる分子の伝導性の増大を増強するのに十分な程度の、患者の脱水状態を誘発するステップを含んで成る、請求項1、8、または60のいずれか1つに記載の方法。
【請求項70】
着臭剤を与えることによってひき起こされる分子の伝導性の増大を増強するのに十分な投与量で、脳の血管の一酸化窒素(NO)の合成または代謝を調節する薬剤を患者に投与するステップを含んで成る、請求項1、8、または60のいずれか1つに記載の方法。
【請求項71】
患者の気道に着臭剤を与えるステップを含んで成る、発作事象の間またはその後における患者の脳の特性を加減するための方法であって、着臭剤は、発作事象と関連した病状を軽減するために患者の脳血流の増大を誘発する能力があるという理由で気道に与えるために選択されている方法。
【請求項72】
着臭剤を与えるステップが、脳血流を増大させるように決定された投与量で着臭剤を与えるステップを含んで成る、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
患者の気道に着臭剤を与えるステップを含んで成る、頭痛発作に罹患する患者の脳の特性を加減するための方法であって、着臭剤は、患者の頭痛発作の重症度を軽減するために、患者の脳血流を加減する能力があるという理由で気道に与えるように選択されている、方法。
【請求項74】
着臭剤を与えるステップが、脳血流を加減するように決定された投与量で着臭剤を与えるステップを含んで成る、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
着臭剤を与えるステップが、頭痛発作の重症度を軽減するために、脳血流を減少させる能力がある着臭剤を選択するステップを含んで成る、請求項73に記載の方法。
【請求項76】
頭痛発作が患者の偏頭痛発作を含み、かつ着臭剤を与えるステップが、偏頭痛の重症度を軽減するために、脳血流を軽減する能力がある着臭剤を気道に与えるステップを含んで成る、請求項73に記載の方法。
【請求項77】
頭痛発作が患者の群発性頭痛を含み、かつ着臭剤を与えるステップが、群発性頭痛発作の重症度を軽減するために、脳血流を軽減する能力がある着臭剤を気道に与えるステップを含んで成る、請求項73に記載の方法。
【請求項78】
患者の気道に着臭剤を与えるステップを含んで成る、中枢神経系(CNS)の疾患に罹患する患者の脳の特性を加減するための方法であって、着臭剤は、CNS疾患を治療するために、患者の脳血流を加減する能力があるという理由で気道に与えるために選択されている方法。
【請求項79】
着臭剤を与えるステップが、脳血流を加減するように決定された投与量で着臭剤を与えるステップを含んで成る、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
CNS疾患が、脳腫瘍、てんかん、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、統合失調症、うつ病、ストレス、肥満、疼痛、および不安より成るリストから選択され、かつ着臭剤を与えるステップが、選択されたCNS疾患を治療するために、脳血流を加減することが可能である着臭剤を与えるステップを含んで成る、請求項78に記載の方法。
【請求項81】
着臭剤を与えるステップが、脳血流を減少させる能力がある着臭剤を選択するステップを含んで成る、請求項78に記載の方法。
【請求項82】
着臭剤を与えるステップが、患者の脳血流を増大させる能力がある着臭剤を選択するステップを含んで成る、請求項78に記載の方法。
【請求項83】
着臭剤を与えるステップが、患者の皮質血流を増大させる能力がある着臭剤を選択するステップを含んで成る、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
患者の気道に着臭剤を与えるステップを含んで成る患者の脳の特性を加減するための方法であって、着臭剤は、患者の全身血液循環から脳の血液脳関門(BBB)を通じて患者の脳組織への分子の伝導性を減少させるためであるという理由で気道に与えるように選択されている方法。
【請求項85】
着臭剤を与えるステップが、分子の伝導性を減少させるように決定された投与量で着臭剤を与えるステップを含んで成る、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
請求項1、8、60、71、73、78、または84のいずれか1つに記載の方法であり、かつ感覚を軽減するように構成された投与量で鎮痛薬を着臭剤と共同して与えるステップを含んで成る方法。
【請求項87】
鎮痛薬を与えるステップが、患者の鼻腔の1つもしくはそれ以上の神経の近く、患者の口腔の1つもしくはそれ以上の神経の近く、および患者の顔面を刺激する1つもしくはそれ以上の神経の近くより成るリストから選択される部位で鎮痛薬を局所に与えるステップを含んで成る、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
鎮痛薬を与えるステップが、患者の翼口蓋神経節(SPG)の近くに鎮痛薬を局所に与えるステップを含んで成る、請求項86に記載の方法。
【請求項89】
鎮痛薬を与えるステップが、着臭剤の投与と略同時に吸入のための鎮痛薬を投与するステップを含んで成る、請求項86に記載の方法。
【請求項90】
気道が患者の鼻腔を含み、かつ着臭剤を与えるステップが、鼻腔に着臭剤を与えるステップを含んで成る、請求項1、8、60、71、73、78、または84のいずれか1つに記載の方法、
【請求項91】
気道が患者の咽喉を含み、かつ着臭剤を与えるステップが、咽喉に着臭剤を与えるステップを含んで成る、請求項1、8、60、71、73、78、または84のいずれか1つに記載の方法。
【請求項92】
着臭剤が、プロピオン酸、シクロヘキサノン、および酢酸アミルより成るリストから選択され、かつ着臭剤を与えるステップが、選択された着臭剤を与えるステップを含んで成る、請求項1、8、60、71、73、78、または84のいずれか1つに記載の方法。
【請求項93】
着臭剤が、酢酸、クエン酸、二酸化炭素、塩化ナトリウム、およびアンモニアより成るリストから選択され、かつ着臭剤を与えるステップが、選択された着臭剤を与えるステップを含んで成る、請求項1、8、60、71、73、78、または84のいずれか1つに記載の方法。
【請求項94】
着臭剤が、メントール、アルコール、ニコチン、ピペリン、ジンジェロール、ジンゲロン、アリルイソチオシアネート、桂皮アルデヒド、クミンアルデヒド、2−プロペニル/2−イソチオチアン酸フェニルエチル、チモール、およびオイカリプトールより成るリストから選択され、かつ着臭剤を与えるステップが、選択された着臭剤を与えるステップを含んで成る、請求項1、8、60、71、73、78、または84のいずれか1つに記載の方法。
【請求項95】
着臭剤を与えるステップが、患者の口内に配置するためのカプセルを与えるステップを含んで成り、カプセルは、患者の唾液と接触するとともに溶解し、それと同時に着臭剤が気道に与えられ、請求項1、8、60、71、73、78、または84のいずれか1つに記載の方法。
【請求項96】
着臭剤を与えるためのパラメータを調節するステップを含んで成る、請求項1、60、71、73、78、または84のいずれか1つに記載の方法。
【請求項97】
パラメータを調節するステップが、着臭剤の2つもしくはそれ以上の成分の相対濃度、与えられる着臭剤の量、着臭剤の投与速度、投与時の着臭剤の圧力、および着臭剤の少なくとも一部分の温度より成るリストから選択されるパラメータを調節するステップを含んで成る、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
着臭剤投与のパラメータを調節するステップが、着臭剤投与のパラメータの所定セットからパラメータを選択するステップを含んで成る、請求項96に記載の方法。
【請求項99】
患者のパラメータを検出するステップと、それに対して反応性である着臭剤投与のパラメータを調節するステップとを含んで成る、請求項96に記載の方法。
【請求項100】
患者のパラメータが患者の行動の指標を含み、かつ患者のパラメータを検出するステップが患者の行動の指標を検出するステップを含んで成る、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
患者のパラメータが、患者の生化学的値および患者の生理学的値より成るリストから選択され、かつ患者のパラメータを検出するステップがリストから選択される患者のパラメータを検出するステップを含んで成る、請求項99に記載の方法。
【請求項102】
患者のパラメータを検出するステップと、それに対して反応性の着臭剤を与えるステップとを含んで成る、請求項 71、73、78、または84のいずれか1つに記載の方法。
【請求項103】
パラメータが患者の行動の指標を含み、かつパラメータを検出するステップが、患者の行動の指標を検出するステップを含んで成る、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
パラメータが、患者の生化学的値および患者の生理学的値より成るリストから選択され、かつパラメータを検出するステップが、リストから選択されるパラメータを検出するステップを含んで成る、請求項102に記載の方法。
【請求項105】
リストから選択されるパラメータを検出するステップが、CT、MRI、PET、SPECT、血管造影、検眼鏡検査、透視検査、光学顕微鏡検査、および酵素測定より成るリストから選択される様式を用いてパラメータを検出するステップを含んで成る、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
リストから選択されるパラメータを検出するステップが、血液、血漿、血清、腹水、および尿より成るリストから選択される体液をサンプリングするステップを含んで成る、請求項104に記載の方法。
【請求項107】
患者の脳の特性を加減するための装置であって、
着臭剤貯蔵容器と、
着臭剤貯蔵容器内の貯蔵用の着臭剤であって、着臭剤は、患者の全身血液循環から脳の血液脳関門(BBB)を通じて患者の脳組織への分子の伝導性を増大させる能力があり、分子は、薬物、治療薬、および診断手順を促進するための薬剤より成る群から選択される着臭剤と、
患者の気道に着臭剤を与えるようになっている着臭剤送達要素と
を含んで成る装置。
【請求項108】
着臭剤貯蔵容器が、分子と混合された着臭剤を保存するようになっている、請求項107に記載の装置。
【請求項109】
分子が治療薬を含み、かつ着臭剤が治療薬の伝導性を増大させるためである、請求項107に記載の装置。
【請求項110】
治療薬が神経薬を含み、かつ着臭剤が神経薬の伝導性を増大させるためである、請求項109に記載の装置。
【請求項111】
分子が診断手順を促進するための薬剤を含み、かつ着臭剤が診断手順を促進するための薬剤の伝導性を増大させるためである、請求項107に記載の装置。
【請求項112】
診断手順を促進するための薬剤が放射線不透過性物質を含み、かつ着臭剤が放射線不透過性物質の伝導性を増大させるためである、請求項111に記載の装置。
【請求項113】
着臭剤が、患者の中枢神経系(CNS)の疾患の治療を促進するための薬剤である、請求項107に記載の装置。
【請求項114】
CNS疾患が、脳腫瘍、てんかん、パーキンソン病、 アルツハイマー病、多発性硬化症、統合失調症、うつ病、ストレス、肥満、疼痛、および不安より成るリストから選択され、かつ着臭剤が、選択されたCNS疾患の治療を促進するための薬剤を含んで成る、請求項113に記載の装置。
【請求項115】
発作事象の間またはその後における患者の脳の特性を加減するための装置であって、
着臭剤貯蔵容器と、
着臭剤貯蔵容器内の貯蔵用の着臭剤であって、患者の脳血流の増大を誘発する能力がある着臭剤と、
着臭剤送達要素であって、発作事象と関連した病状を軽減するために、患者の気道に着臭剤を与えるようになっている着臭剤送達要素と
を含んで成る装置。
【請求項116】
頭痛発作に罹患する患者の脳の特性を加減するための装置であって、
着臭剤貯蔵容器と、
着臭剤貯蔵容器内の貯蔵用の着臭剤であって、患者の脳血流を加減する能力がある着臭剤と、
患者の頭痛発作の重症度を軽減するために、患者の気道に着臭剤を与えるように構成されている着臭剤送達装置と
を含んで成る装置
【請求項117】
着臭剤が脳血流を減少させる能力がある、請求項116に記載の装置。
【請求項118】
頭痛発作が患者の偏頭痛発作を含み、かつ着臭剤が偏頭痛発作の重症度を軽減する能力がある、請求項116に記載の装置。
【請求項119】
頭痛発作が患者の群発性頭痛発作を含み、かつ着臭剤が群発性頭痛発作の重症度を軽減する能力がある、請求項116に記載の装置。
【請求項120】
中枢神経系(CNS)の疾患に罹患している患者の脳の特性を加減する装置であって、
着臭剤貯蔵容器と、
着臭剤貯蔵容器内の貯蔵用の着臭剤であって、患者の脳血流を加減する能力がある着臭剤と、
CNS疾患を治療するために、患者の気道に着臭剤を与えるように構成されている、着臭剤送達装置と
を含んで成る装置。
【請求項121】
CNS疾患が、脳腫瘍、てんかん、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、統合失調症、うつ病、ストレス、肥満、疼痛、および不安より成るリストから選択され、かつ着臭剤が、選択されたCNS疾患の治療を促進するための薬剤を含んで成る、請求項120に記載の装置。
【請求項122】
着臭剤が脳血流を減少させる増大させる能力がある、請求項120に記載の装置。
【請求項123】
着臭剤が脳血流を増大させる能力がある、請求項120に記載の装置。
【請求項124】
着臭剤が患者の脳血流を増大させる能力がある、請求項123に記載の装置。
【請求項125】
患者の脳の特性を加減するための装置であって、
着臭剤貯蔵容器と、
着臭剤貯蔵容器内の貯蔵用の着臭剤であって、患者の全身血管循環から脳の血液脳関門(BBB)を通じて患者の脳組織への分子の伝導性を減少させる能力がある着臭剤と、
患者の気道に着臭剤を与えるようになっている着臭剤送達装置と
を含んで成る装置
【請求項126】
着臭剤の投与と関連した感覚を軽減するように構成された投与量で着臭剤貯蔵容器内の貯蔵用の鎮痛薬を含んで成り、かつ着臭剤送達要素が着臭剤と関連した気道に鎮痛薬を投与すようになっている、請求項107、115、116、120、または125のいずれか1つに記載の装置。
【請求項127】
着臭剤貯蔵容器が着臭剤送達要素と共同して水性噴霧鼻吸入器を含んで成る、請求項107、115、116、120、または125のいずれか1つに記載の装置。
【請求項128】
着臭剤貯蔵容器が着臭剤送達要素と共同して定量鼻吸入器を含んで成る、請求項107、115、116、120、または125のいずれか1つに記載の装置
【請求項129】
着臭剤貯蔵容器が着臭剤送達要素と共同して空気希釈嗅覚計を含んで成る、請求項107、115、116、120、または125のいずれか1つに記載の装置。
【請求項130】
気道が患者の鼻腔を含み、かつ着臭剤送達要素が鼻腔に着臭剤を与えるようになっている、請求項107、115、116、120、または125のいずれか1つに記載の装置。
【請求項131】
気道が患者の咽喉を含み、かつ着臭剤送達要素が咽喉に着臭剤を与えるようになっている、請求項107、115、116、120、または125のいずれか1つに記載の装置。
【請求項132】
着臭剤が、プロピオン酸、シクロヘキサノン、および酢酸アミルより成るリストから選択される薬剤を含んで成る、請求項107、115、116、120、または125のいずれか1つに記載の装置。
【請求項133】
着臭剤が、酢酸、クエン酸、二酸化炭素、塩化ナトリウム、およびアンモニアより成るリストから選択される、請求項107、115、116、120、または125のいずれか1つに記載の装置。
【請求項134】
着臭剤が、メントール、アルコール、ニコチン、ピペリン、ジンジェロール、ジンゲロン、アリルイソチオシアネート、桂皮アルデヒド、クミンアルデヒド、2−プロペニル/2−イソチオシアン酸フェニルエチル、チモール、およびオイカリプトールより成るリストから選択される、請求項107、115、116、120、または125のいずれか1つに記載の装置。
【請求項135】
着臭剤貯蔵容器が患者の口内に配置するためのカプセルを含んで成り、かつ着臭剤送達要素が、患者の唾液と接触するとともに溶解し、それと同時に着臭剤が気道に与えられるようになっているカプセルの一部分を含んで成る、請求項107、115、116、120、または125のいずれか1つに記載の装置。
【請求項1】
患者の気道に着臭剤を与えるステップを含んで成る、患者の脳の特性を加減するための方法であって、着臭剤は、脳の血液脳関門(BBB)を経由して、患者の全身血液循環と患者の脳組織との間の分子の伝導性を増大させるためという理由で、気道に与えるように選択されている方法。
【請求項2】
患者のパラメータを検出し、それに反応する着臭剤を与えるステップを含んで成る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
パラメータが患者の行動の指標を含み、かつパラメータを検出するステップが患者の行動の指標を検出するステップを含んで成る、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
パラメータが、患者の生化学的値および患者の生理学的値より成るリストから選択され、かつパラメータを検出するステップが、リストから選択されるパラメータを検出するステップを含んで成る、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
リストから選択されるパラメータを検出するステップが、CT、MRI、PET、SPECT、血管造影、検眼鏡検査、透視検査、光学顕微鏡検査、および酵素測定より成るリストから選択される様式を用いてパラメータを検出するステップを含んで成る、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
リストから選択されるパラメータを検出するステップが、患者における分子のレベルを測定するステップを含んで成る、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
分子のレベルを測定するステップが、血液、血漿、血清、腹水、および尿より成るリストから選択される体液をサンプリングするステップを含んで成る、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
患者の気道に着臭剤を与えるステップが、着臭剤を与えるステップを含み、着臭剤は、患者の全身血液循環から脳の血液脳関門(BBB)を通じて患者の脳組織への分子の伝導性を増大させるためであるという理由で気道に与えるように選択されており、分子は、薬物、治療薬、内因性物質、および診断手順を促進するための薬剤より成る群から選択されている、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
着臭剤を与えるステップが、分子の伝導性を増大させるように決定された投与量で着臭剤を与えるステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
患者による吸入のための分子を投与するステップを含んで成る、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
ボーラスで患者に分子を投与するステップを含んで成る、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
略連続的なやり方で分子を投与するステップを含んで成る、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
脳組織の標的部位からの分子の輸送からP−糖タンパク輸送体を遮断する能力がある薬剤を投与するステップを含んで成る、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
全身血液循環に分子を投与するステップを含んで成る、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
分子を投与するステップが着臭剤と混合された分子を投与するステップを含んで成る、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
分子を投与するステップが、経口投与、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、および筋内投より成るリストから選択される技法を用いて全身血液循環に分子を投与するステップを含んで成る、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
分子が診断手順を促進するための薬剤を含み、かつ着臭剤を与えるステップが、診断手順を促進するための薬剤の伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項18】
診断手順を促進するための薬剤が造影剤を含み、かつ着臭剤を与えるステップが、造影剤の伝導性を増大させるためにある着臭剤を与えるステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
診断手順を促進するための薬剤が放射線不透過性物質を含み、かつ着臭剤を与えるステップが着臭剤を与えるステップを含んで成り、着臭剤は、放射線不透過性物質の伝導性を増大させるためにある、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
診断手順を促進するための薬剤が抗体を含み、かつ着臭剤を与えるステップが、抗体の伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
着臭剤を与えるステップが、分子を選択するステップを含んで成り、分子は、患者の中枢神経系(CNS)の疾患を治療するために適切である、請求項8に記載の方法。
【請求項22】
CNS疾患が、脳腫瘍、てんかん、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、統合失調症、うつ病、ストレス、肥満、疼痛、および不安より成るリストから選択され、かつ分子を選択するステップが分子を選択するステップを含んで成り、分子は、選択されたCNS疾患を治療するために適切である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
着臭剤投与のパラメータを調節するステップを含んで成る、請求項8に記載の方法。
【請求項24】
パラメータを調節するステップが、着臭剤の2つもしくはそれ以上の成分の相対濃度、投与される着臭剤の量、着臭剤の投与速度、投与時の着臭剤の圧力、および着臭剤の少なくとも一部分の温度より成るリストから選択されるパラメータを調節するステップを含んで成る、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
着臭剤投与のパラメータの調節の後である治療セッションの間に患者に分子を投与するステップを含んで成る、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
治療セッションの間に患者に分子を投与するステップと、同じ治療セッションの間に着臭剤投与のパラメータを調節するステップとを含んで成る、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
着臭剤投与のパラメータを調節するステップが、着臭剤投与のパラメータの所定セットからパラメータを選択するステップを含んで成る、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
患者のパラメータを検出するステップと、それに対して反応性である着臭剤投与のパラメータを調節するステップとを含んで成る、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
患者のパラメータが患者の行動の指標を含み、かつ患者のパラメータを検出するステップが患者の行動の指標を検出するステップを含んで成る、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
患者のパラメータが、患者の生化学的値および患者の生理学的値より成るリストから選択され、かつ患者のパラメータを検出するステップがリストから選択される患者のパラメータを検出するステップを含んで成る、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
分子が治療薬を含み、かつ着臭剤を与えるステップが、治療薬の伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項32】
治療薬が神経薬を含み、かつ着臭剤を与えるステップが着臭剤を与えるステップを含んで成り、着臭剤は、神経薬の伝導性を増大させるためにある、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
治療薬がタンパク質を含み、かつ着臭剤を与えるステップが、タンパク質の伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
治療薬がポリマーを含み、かつ着臭剤を与えるステップが、ポリマーの伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
治療薬がウイルスベクターを含み、かつ着臭剤を与えるステップが、ウイルスベクターの伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
治療薬が抗癌薬を含み、かつ着臭剤を与えるステップが、抗癌薬の伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
治療薬が、酢酸グラチラマーおよびインターフェロンベータ−1bより成るリストから選択される薬剤を含み、着臭剤を与えるステップが、リストから選択される伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
治療薬が、DNA療法用の薬剤およびRNA療法用の薬剤より成るリストからの薬剤を含み、かつ着臭剤を与えるステップが、リストから選択される薬剤の伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項39】
治療薬が、(a)1型インスリン様成長因子受容体に対するアンチセンス分子、および(b)ADV−HSV−tkより成るリストからの薬剤を含み、かつ着臭剤を与えるステップが、リストから選択される薬剤の伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
着臭剤を与えるステップとともに分子を投与するステップを含んで成る、請求項8に記載の方法。
【請求項41】
着臭剤を与えるステップとともに分子を投与するステップが、着臭剤を与えるステップに関して決定された時間で分子を投与するステップを含んで成る、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
分子を投与するステップが、少なくとも着臭剤を与えるステップ前の所定時間に分子を投与するステップを含んで成る、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
分子を投与するステップが、着臭剤を与えるステップと略同時に分子を投与するステップを含んで成る、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
分子を投与するステップが、少なくとも着臭剤を与えるステップ後の所定時間に分子を投与するステップを含んで成る、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
分子が薬物を含み、かつ着臭剤を与えるステップが、薬物の伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項46】
薬物がウイルスベクターを含み、かつ着臭剤を与えるステップが、ウイルスベクターの伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
薬物が抗体を含み、かつ着臭剤を与えるステップが、抗体の伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
抗体が、毒素抗体複合体、毒素抗体複合体、放射標識抗体、および抗−HER2 mAbより成るリストから選択され、かつ着臭剤を与えるステップが、選択された抗体の伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
抗体が、抗−b−アミロイド抗体および抗−アミロイド−前駆タンパク質抗体より成るリストから選択され、かつ着臭剤を与えるステップが、選択された抗体の伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
分子が内因性物質を含み、かつ着臭剤を与えるステップが、内因性物質の伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項51】
内因性物質が、人工的手段によって実質的に修飾されていない内因性物質を含み、かつ着臭剤を与えるステップが、人工的手段によって実質的に修飾されていない内因性物質の伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
内因性物質が、その様相が人工的手段によって修飾されている内因性物質を含み、かつ着臭剤を与えるステップが、 その様相が人工的手段によって修飾されている内因性物質の伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
内因性物質が酵素を含み、かつ着臭剤を与えるステップが、酵素の伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
酵素がヘキソサミニダーゼを含み、かつ着臭剤を与えるステップが、ヘキソサミニダーゼの伝導性を増大させるための着臭剤を与えるステップを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
分子を患者の粘膜に投与するステップを含んで成る、請求項8に記載の方法。
【請求項56】
分子を投与するステップが、患者の口腔粘膜に分子を投与するステップを含んで成る、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
分子を投与するステップが、患者の鼻粘膜に分子を投与するステップを含んで成る、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
分子を投与するステップが、着臭剤と組み合せて分子を投与するステップを含んで成る、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
分子を投与するステップが、着臭剤とは別に分子を投与するステップを含んで成る、請求項55に記載の方法。
【請求項60】
患者の気道に着臭剤を与えるステップが、患者の脳組織から血液脳関門(BBB)を通じて全身血液循環への分子の伝導性を増大させるためにという理由で気道に与えるために選択されている着臭剤を与えるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項61】
着臭剤の投与の開始後に、患者の脳の外側の部位から分子の量を検出するステップを含んで成る、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
分子の量を検出するステップが、CT、MRI、PET、SPECT、血管造影、検眼鏡検査、透視検査、光学顕微鏡検査、および酵素測定より成るリストから選択される様式を用いて検出するステップを含んで成る、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
分子の量を検出するステップが、血液、 血漿、 血清、 腹水、および尿より成るリストから選択される患者の体液をサンプリングするステップを含んで成る、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
分子の量を検出するステップに対して反応性の診断的に重要なパラメータを測定するステップを含んで成る、請求項61に記載の方法。
【請求項65】
患者の疾患に対して反応性の着臭剤の投与量を選択するステップを含んで成る、請求項60に記載の方法。
【請求項66】
着臭剤の投与量を選択するステップが、少なくとも部分的に疾患を治療するのに十分な程度まで、着臭剤の投与に対して反応性の分子の伝導性を増大させる着臭剤の投与量を測定するステップを含んで成る、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
投与量を選択するステップが、患者の疾患に対して反応性の投与量を選択するステップを含んで成り、疾患は、脳腫瘍、てんかん、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、統合失調症、うつ病、ストレス、肥満、疼痛、および不安より成るリストから選択される、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
着臭剤の投与によってひき起こされる分子の伝導性の増大を増強するのに十分な投与量で高浸透圧誘発剤を患者に投与するステップを含んで成る、請求項1、8、または60のいずれか1つに記載の方法。
【請求項69】
着臭剤を与えることによってひき起こされる分子の伝導性の増大を増強するのに十分な程度の、患者の脱水状態を誘発するステップを含んで成る、請求項1、8、または60のいずれか1つに記載の方法。
【請求項70】
着臭剤を与えることによってひき起こされる分子の伝導性の増大を増強するのに十分な投与量で、脳の血管の一酸化窒素(NO)の合成または代謝を調節する薬剤を患者に投与するステップを含んで成る、請求項1、8、または60のいずれか1つに記載の方法。
【請求項71】
患者の気道に着臭剤を与えるステップを含んで成る、発作事象の間またはその後における患者の脳の特性を加減するための方法であって、着臭剤は、発作事象と関連した病状を軽減するために患者の脳血流の増大を誘発する能力があるという理由で気道に与えるために選択されている方法。
【請求項72】
着臭剤を与えるステップが、脳血流を増大させるように決定された投与量で着臭剤を与えるステップを含んで成る、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
患者の気道に着臭剤を与えるステップを含んで成る、頭痛発作に罹患する患者の脳の特性を加減するための方法であって、着臭剤は、患者の頭痛発作の重症度を軽減するために、患者の脳血流を加減する能力があるという理由で気道に与えるように選択されている、方法。
【請求項74】
着臭剤を与えるステップが、脳血流を加減するように決定された投与量で着臭剤を与えるステップを含んで成る、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
着臭剤を与えるステップが、頭痛発作の重症度を軽減するために、脳血流を減少させる能力がある着臭剤を選択するステップを含んで成る、請求項73に記載の方法。
【請求項76】
頭痛発作が患者の偏頭痛発作を含み、かつ着臭剤を与えるステップが、偏頭痛の重症度を軽減するために、脳血流を軽減する能力がある着臭剤を気道に与えるステップを含んで成る、請求項73に記載の方法。
【請求項77】
頭痛発作が患者の群発性頭痛を含み、かつ着臭剤を与えるステップが、群発性頭痛発作の重症度を軽減するために、脳血流を軽減する能力がある着臭剤を気道に与えるステップを含んで成る、請求項73に記載の方法。
【請求項78】
患者の気道に着臭剤を与えるステップを含んで成る、中枢神経系(CNS)の疾患に罹患する患者の脳の特性を加減するための方法であって、着臭剤は、CNS疾患を治療するために、患者の脳血流を加減する能力があるという理由で気道に与えるために選択されている方法。
【請求項79】
着臭剤を与えるステップが、脳血流を加減するように決定された投与量で着臭剤を与えるステップを含んで成る、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
CNS疾患が、脳腫瘍、てんかん、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、統合失調症、うつ病、ストレス、肥満、疼痛、および不安より成るリストから選択され、かつ着臭剤を与えるステップが、選択されたCNS疾患を治療するために、脳血流を加減することが可能である着臭剤を与えるステップを含んで成る、請求項78に記載の方法。
【請求項81】
着臭剤を与えるステップが、脳血流を減少させる能力がある着臭剤を選択するステップを含んで成る、請求項78に記載の方法。
【請求項82】
着臭剤を与えるステップが、患者の脳血流を増大させる能力がある着臭剤を選択するステップを含んで成る、請求項78に記載の方法。
【請求項83】
着臭剤を与えるステップが、患者の皮質血流を増大させる能力がある着臭剤を選択するステップを含んで成る、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
患者の気道に着臭剤を与えるステップを含んで成る患者の脳の特性を加減するための方法であって、着臭剤は、患者の全身血液循環から脳の血液脳関門(BBB)を通じて患者の脳組織への分子の伝導性を減少させるためであるという理由で気道に与えるように選択されている方法。
【請求項85】
着臭剤を与えるステップが、分子の伝導性を減少させるように決定された投与量で着臭剤を与えるステップを含んで成る、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
請求項1、8、60、71、73、78、または84のいずれか1つに記載の方法であり、かつ感覚を軽減するように構成された投与量で鎮痛薬を着臭剤と共同して与えるステップを含んで成る方法。
【請求項87】
鎮痛薬を与えるステップが、患者の鼻腔の1つもしくはそれ以上の神経の近く、患者の口腔の1つもしくはそれ以上の神経の近く、および患者の顔面を刺激する1つもしくはそれ以上の神経の近くより成るリストから選択される部位で鎮痛薬を局所に与えるステップを含んで成る、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
鎮痛薬を与えるステップが、患者の翼口蓋神経節(SPG)の近くに鎮痛薬を局所に与えるステップを含んで成る、請求項86に記載の方法。
【請求項89】
鎮痛薬を与えるステップが、着臭剤の投与と略同時に吸入のための鎮痛薬を投与するステップを含んで成る、請求項86に記載の方法。
【請求項90】
気道が患者の鼻腔を含み、かつ着臭剤を与えるステップが、鼻腔に着臭剤を与えるステップを含んで成る、請求項1、8、60、71、73、78、または84のいずれか1つに記載の方法、
【請求項91】
気道が患者の咽喉を含み、かつ着臭剤を与えるステップが、咽喉に着臭剤を与えるステップを含んで成る、請求項1、8、60、71、73、78、または84のいずれか1つに記載の方法。
【請求項92】
着臭剤が、プロピオン酸、シクロヘキサノン、および酢酸アミルより成るリストから選択され、かつ着臭剤を与えるステップが、選択された着臭剤を与えるステップを含んで成る、請求項1、8、60、71、73、78、または84のいずれか1つに記載の方法。
【請求項93】
着臭剤が、酢酸、クエン酸、二酸化炭素、塩化ナトリウム、およびアンモニアより成るリストから選択され、かつ着臭剤を与えるステップが、選択された着臭剤を与えるステップを含んで成る、請求項1、8、60、71、73、78、または84のいずれか1つに記載の方法。
【請求項94】
着臭剤が、メントール、アルコール、ニコチン、ピペリン、ジンジェロール、ジンゲロン、アリルイソチオシアネート、桂皮アルデヒド、クミンアルデヒド、2−プロペニル/2−イソチオチアン酸フェニルエチル、チモール、およびオイカリプトールより成るリストから選択され、かつ着臭剤を与えるステップが、選択された着臭剤を与えるステップを含んで成る、請求項1、8、60、71、73、78、または84のいずれか1つに記載の方法。
【請求項95】
着臭剤を与えるステップが、患者の口内に配置するためのカプセルを与えるステップを含んで成り、カプセルは、患者の唾液と接触するとともに溶解し、それと同時に着臭剤が気道に与えられ、請求項1、8、60、71、73、78、または84のいずれか1つに記載の方法。
【請求項96】
着臭剤を与えるためのパラメータを調節するステップを含んで成る、請求項1、60、71、73、78、または84のいずれか1つに記載の方法。
【請求項97】
パラメータを調節するステップが、着臭剤の2つもしくはそれ以上の成分の相対濃度、与えられる着臭剤の量、着臭剤の投与速度、投与時の着臭剤の圧力、および着臭剤の少なくとも一部分の温度より成るリストから選択されるパラメータを調節するステップを含んで成る、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
着臭剤投与のパラメータを調節するステップが、着臭剤投与のパラメータの所定セットからパラメータを選択するステップを含んで成る、請求項96に記載の方法。
【請求項99】
患者のパラメータを検出するステップと、それに対して反応性である着臭剤投与のパラメータを調節するステップとを含んで成る、請求項96に記載の方法。
【請求項100】
患者のパラメータが患者の行動の指標を含み、かつ患者のパラメータを検出するステップが患者の行動の指標を検出するステップを含んで成る、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
患者のパラメータが、患者の生化学的値および患者の生理学的値より成るリストから選択され、かつ患者のパラメータを検出するステップがリストから選択される患者のパラメータを検出するステップを含んで成る、請求項99に記載の方法。
【請求項102】
患者のパラメータを検出するステップと、それに対して反応性の着臭剤を与えるステップとを含んで成る、請求項 71、73、78、または84のいずれか1つに記載の方法。
【請求項103】
パラメータが患者の行動の指標を含み、かつパラメータを検出するステップが、患者の行動の指標を検出するステップを含んで成る、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
パラメータが、患者の生化学的値および患者の生理学的値より成るリストから選択され、かつパラメータを検出するステップが、リストから選択されるパラメータを検出するステップを含んで成る、請求項102に記載の方法。
【請求項105】
リストから選択されるパラメータを検出するステップが、CT、MRI、PET、SPECT、血管造影、検眼鏡検査、透視検査、光学顕微鏡検査、および酵素測定より成るリストから選択される様式を用いてパラメータを検出するステップを含んで成る、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
リストから選択されるパラメータを検出するステップが、血液、血漿、血清、腹水、および尿より成るリストから選択される体液をサンプリングするステップを含んで成る、請求項104に記載の方法。
【請求項107】
患者の脳の特性を加減するための装置であって、
着臭剤貯蔵容器と、
着臭剤貯蔵容器内の貯蔵用の着臭剤であって、着臭剤は、患者の全身血液循環から脳の血液脳関門(BBB)を通じて患者の脳組織への分子の伝導性を増大させる能力があり、分子は、薬物、治療薬、および診断手順を促進するための薬剤より成る群から選択される着臭剤と、
患者の気道に着臭剤を与えるようになっている着臭剤送達要素と
を含んで成る装置。
【請求項108】
着臭剤貯蔵容器が、分子と混合された着臭剤を保存するようになっている、請求項107に記載の装置。
【請求項109】
分子が治療薬を含み、かつ着臭剤が治療薬の伝導性を増大させるためである、請求項107に記載の装置。
【請求項110】
治療薬が神経薬を含み、かつ着臭剤が神経薬の伝導性を増大させるためである、請求項109に記載の装置。
【請求項111】
分子が診断手順を促進するための薬剤を含み、かつ着臭剤が診断手順を促進するための薬剤の伝導性を増大させるためである、請求項107に記載の装置。
【請求項112】
診断手順を促進するための薬剤が放射線不透過性物質を含み、かつ着臭剤が放射線不透過性物質の伝導性を増大させるためである、請求項111に記載の装置。
【請求項113】
着臭剤が、患者の中枢神経系(CNS)の疾患の治療を促進するための薬剤である、請求項107に記載の装置。
【請求項114】
CNS疾患が、脳腫瘍、てんかん、パーキンソン病、 アルツハイマー病、多発性硬化症、統合失調症、うつ病、ストレス、肥満、疼痛、および不安より成るリストから選択され、かつ着臭剤が、選択されたCNS疾患の治療を促進するための薬剤を含んで成る、請求項113に記載の装置。
【請求項115】
発作事象の間またはその後における患者の脳の特性を加減するための装置であって、
着臭剤貯蔵容器と、
着臭剤貯蔵容器内の貯蔵用の着臭剤であって、患者の脳血流の増大を誘発する能力がある着臭剤と、
着臭剤送達要素であって、発作事象と関連した病状を軽減するために、患者の気道に着臭剤を与えるようになっている着臭剤送達要素と
を含んで成る装置。
【請求項116】
頭痛発作に罹患する患者の脳の特性を加減するための装置であって、
着臭剤貯蔵容器と、
着臭剤貯蔵容器内の貯蔵用の着臭剤であって、患者の脳血流を加減する能力がある着臭剤と、
患者の頭痛発作の重症度を軽減するために、患者の気道に着臭剤を与えるように構成されている着臭剤送達装置と
を含んで成る装置
【請求項117】
着臭剤が脳血流を減少させる能力がある、請求項116に記載の装置。
【請求項118】
頭痛発作が患者の偏頭痛発作を含み、かつ着臭剤が偏頭痛発作の重症度を軽減する能力がある、請求項116に記載の装置。
【請求項119】
頭痛発作が患者の群発性頭痛発作を含み、かつ着臭剤が群発性頭痛発作の重症度を軽減する能力がある、請求項116に記載の装置。
【請求項120】
中枢神経系(CNS)の疾患に罹患している患者の脳の特性を加減する装置であって、
着臭剤貯蔵容器と、
着臭剤貯蔵容器内の貯蔵用の着臭剤であって、患者の脳血流を加減する能力がある着臭剤と、
CNS疾患を治療するために、患者の気道に着臭剤を与えるように構成されている、着臭剤送達装置と
を含んで成る装置。
【請求項121】
CNS疾患が、脳腫瘍、てんかん、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、統合失調症、うつ病、ストレス、肥満、疼痛、および不安より成るリストから選択され、かつ着臭剤が、選択されたCNS疾患の治療を促進するための薬剤を含んで成る、請求項120に記載の装置。
【請求項122】
着臭剤が脳血流を減少させる増大させる能力がある、請求項120に記載の装置。
【請求項123】
着臭剤が脳血流を増大させる能力がある、請求項120に記載の装置。
【請求項124】
着臭剤が患者の脳血流を増大させる能力がある、請求項123に記載の装置。
【請求項125】
患者の脳の特性を加減するための装置であって、
着臭剤貯蔵容器と、
着臭剤貯蔵容器内の貯蔵用の着臭剤であって、患者の全身血管循環から脳の血液脳関門(BBB)を通じて患者の脳組織への分子の伝導性を減少させる能力がある着臭剤と、
患者の気道に着臭剤を与えるようになっている着臭剤送達装置と
を含んで成る装置
【請求項126】
着臭剤の投与と関連した感覚を軽減するように構成された投与量で着臭剤貯蔵容器内の貯蔵用の鎮痛薬を含んで成り、かつ着臭剤送達要素が着臭剤と関連した気道に鎮痛薬を投与すようになっている、請求項107、115、116、120、または125のいずれか1つに記載の装置。
【請求項127】
着臭剤貯蔵容器が着臭剤送達要素と共同して水性噴霧鼻吸入器を含んで成る、請求項107、115、116、120、または125のいずれか1つに記載の装置。
【請求項128】
着臭剤貯蔵容器が着臭剤送達要素と共同して定量鼻吸入器を含んで成る、請求項107、115、116、120、または125のいずれか1つに記載の装置
【請求項129】
着臭剤貯蔵容器が着臭剤送達要素と共同して空気希釈嗅覚計を含んで成る、請求項107、115、116、120、または125のいずれか1つに記載の装置。
【請求項130】
気道が患者の鼻腔を含み、かつ着臭剤送達要素が鼻腔に着臭剤を与えるようになっている、請求項107、115、116、120、または125のいずれか1つに記載の装置。
【請求項131】
気道が患者の咽喉を含み、かつ着臭剤送達要素が咽喉に着臭剤を与えるようになっている、請求項107、115、116、120、または125のいずれか1つに記載の装置。
【請求項132】
着臭剤が、プロピオン酸、シクロヘキサノン、および酢酸アミルより成るリストから選択される薬剤を含んで成る、請求項107、115、116、120、または125のいずれか1つに記載の装置。
【請求項133】
着臭剤が、酢酸、クエン酸、二酸化炭素、塩化ナトリウム、およびアンモニアより成るリストから選択される、請求項107、115、116、120、または125のいずれか1つに記載の装置。
【請求項134】
着臭剤が、メントール、アルコール、ニコチン、ピペリン、ジンジェロール、ジンゲロン、アリルイソチオシアネート、桂皮アルデヒド、クミンアルデヒド、2−プロペニル/2−イソチオシアン酸フェニルエチル、チモール、およびオイカリプトールより成るリストから選択される、請求項107、115、116、120、または125のいずれか1つに記載の装置。
【請求項135】
着臭剤貯蔵容器が患者の口内に配置するためのカプセルを含んで成り、かつ着臭剤送達要素が、患者の唾液と接触するとともに溶解し、それと同時に着臭剤が気道に与えられるようになっているカプセルの一部分を含んで成る、請求項107、115、116、120、または125のいずれか1つに記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2006−500318(P2006−500318A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−587246(P2003−587246)
【出願日】平成15年4月25日(2003.4.25)
【国際出願番号】PCT/IL2003/000338
【国際公開番号】WO2003/090599
【国際公開日】平成15年11月6日(2003.11.6)
【出願人】(504397239)ブレインスゲート リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年4月25日(2003.4.25)
【国際出願番号】PCT/IL2003/000338
【国際公開番号】WO2003/090599
【国際公開日】平成15年11月6日(2003.11.6)
【出願人】(504397239)ブレインスゲート リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
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