説明

着色された基材のレーザーマーキング

基材に蛍光性のマーキングを製造するための方法であって、環境可視光下では視認でき
ないが、UV光下では明らかに容易に視認できる、蛍光性の5つのマーキングを製造する
ために、ポリマーと有機顔料とを含有する組成物で、レーザー照射のような熱源に曝され
る部分を形成することを含む、方法。蛍光型の顔料が、特定領域中に、組成物の残りの部
分に対して高濃度で存在する新規な組成物を製造する方法。新規なポリマー組成物は、特
に安全マーキングの適用に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
基材をレーザーマーキングする方法としては、ポリマーと、例えばキナクリドン、ジケトピロロピロール(DPP)又はペリレンの顔料等の有機顔料とを含む組成物を、レーザー光線のような熱源に曝して、UV光の下で容易に識別できる蛍光性マーキングを形成する方法が挙げられる。マーキングは、可視環境光下で見たときには識別可能ではない。熱源に曝されると、環境光下で見たときの基材の色を変えることなく、顔料の少なくとも一部を、非蛍光性の着色剤から蛍光性の着色剤に変化させる。蛍光状態の顔料が限定領域中に、組成物の残りの部分に対して高濃度で存在するという、セキュリティマーキング用途に特に有用な新規な組成物がこうして提供される。
【0002】
レーザーマーキングは、日付コード、バッチコード、バーコード、部品番号、コンピュータのキーボードの文字、会社のロゴのような、識別的、機能的又は装飾的なマーキングをプラスチックの表面に素早く、明確に刻むために、よく知られて重要な方法である。最も一般的なレーザーマークは、明るい色の背景上の暗いマークか、暗い色の背景上の明るいマークのどちらかである。また、プラスチック製品に着色されたレーザーマーキングも知られている。
【0003】
レーザー照射により発生した熱に曝されることによって、多くの顔料が変わることができることが知られている。参照により全体がここに援用されるUS-4,861,620には、レーザー照射に露光されると、内部構造の不可逆的又は半不可逆的変化に基く色の変化を起こす顔料が記載されている。いくつかの顔料は、加熱により熱分解し、分子構造が変化する化学反応により色が変化する。他の顔料は、結晶構造の変化を受けて、色が変化する。
【0004】
参照により全体がここに援用されるUS-6,022,905には、レーザーエネルギー吸収剤と、予め設定された温度よりも高い温度で原色から第2の色に化学的、不可逆的に変化することができる着色顔料とを含む熱可塑性組成物に、種々のレーザーエネルギーを露光することによって生成された、少なくとも2つの異なるカラーレーザーマークを含むレーザーマーキングされたプラスチック物品が記載されている。
【0005】
偽造や模造の対象となる、無数の異なるタイプの書類や物品があり、書類や物の真偽を見つけるために、多くの異なる技術や装置がある。ほんの一例として、特に認証が必要である紙幣、身元証明書、パスポート、包装、ラベルとステッカー、運転免許証、入場券、及びその他のチケット、納税印紙、質印、並びに株券が挙げられる。
【0006】
参照により全体がここに援用されるUS-6,335,783には、加熱時に異なる色種を発生させる、それらのサーモクロミック特性のために、セキュリティマーキング用途に有用な溶解性の顔料前駆体が記載されている。
【0007】
安全保障書類、例えば、認証するための手段として、予め決められた波長の光で励起された時に、検出及び分析することができる特有の低強度の放射線を発する特有の発光性インクの形態である認証要素を備えた紙幣、を提供することが知られている。
【0008】
ドイツ特許DE-4117911には、円錐状に拡大されたファイバー光導波路と光処理システムを含むシステムが記載されている。
【0009】
参照により全体がここに援用されるUS-6,054,021及びUS-6,174,586には、環境光下、すなわち、室内光や太陽光のような可視光では視認できず、蛍光性漂白剤の蛍光発生により、紫外線光下では視認できるようになる、安全保障紙のパターン形成のための蛍光性漂白剤の使用が記載されている。
【0010】
参照により全体がここに援用されるUS-5,075,195には、プラスチック物品をレーザーマーキングする方法であって、マーキングされる物品は、放射線感受性の添加剤、例えばモリブデンジスルフィドを含有し、この添加剤は、光の反射率を変化させて、視認効果のあるマークを前記物品上に形成する(そのコントラストが、前記物品に衝突する光の角度、及び目に見える角度に依存して、視認を変化させる)、レーザーマーキング方法が記載されている。
【0011】
参照により全体がここに援用されるUS-6,372,394は、レーザーにより物品をマーキングする方法、特に安全保障書類又は不透明層で被覆された透明な基材を有する他の書類をマーキングする方法に関する。
【0012】
US-5,879,855には、顔料前駆体を含む組成物が記載されている。例えば、熱に曝された時に、顔料前駆体は、視認できる程度に異なった色特性の顔料に転換する。カラーパターンの構造は、これらの組成物を使用して、例えば、レーザー照射を所望のパターンにわたり行うレーザー照射によって、製造することができる。これらのパターンは組成物の残り部分とは色が異なり、一般的な可視条件下で明らか視認できる。
【0013】
参照により全体がここに援用されるWO-07/057367は、ヨーロッパ特許条約(EPC)54(3)条及びPCT規則64.3にしたがった特許出願であり、ポリマー系中に組み入れられ、熱又はレーザー照射に曝されると、紫外線光下で容易に識別でき、環境光下では容易に識別できない蛍光性マークを生成する、テトラベンゾジアザジケトペリレン顔料が記載されている。一定の特別な条件下においてのみ視認できる、このようなマーク(又はマーキング)は、例えば、安全保障マーキング又は印刷されたパッケージのブランド識別標識として、優れた可能性を提供する。
【0014】
すでに、コーティング及びその他のポリマー用途に見られる他の顔料、好ましくは、あるキナクリドン、ジケトピロロピロール及びペリレンの顔料はまた、レーザーマーキング条件に曝された時に、顔料を含む組成物の識別できる色を変化させることなく、蛍光性マークを生成することが、現在見つけられている。このマークはしたがって、環境光下では容易に識別できず、紫外線光下では容易に識別できる。
【0015】
例えば、レーザー照射やダイオードアレイのような熱源に、ある有機顔料を含むポリマー組成物の一部が曝されると、環境光下、すなわち、戸外の自然光又は日常生活で見られる通常の戸内の光で見たとき、曝された部分は色の明白な変化を起こすことなしに、組成物の曝された部分の顔料を、非蛍光性種から蛍光性種に変化させる。
【0016】
理論によって拘束されることは望んでいないが、例えば、レーザー照射は、着色されたポリマーと接触する照射点の局部温度を高めて、顔料をポリマーマトリックスに可溶化するのに十分に高い温度に上昇させる、と考えられている。これらの顔料の可溶化された部分は蛍光性であり、曝されていない部分よりも、レーザー照射に曝された組成物の部分に高濃度に存在する。
【0017】
日常生活で出会う通常の照明状態では視認できないが、マーキングされた領域中で顔料の高濃度の蛍光状態が存在するために、ある波長の紫外光の下でマーキングが視認できる、マーキングを含むポリマー基材をこうして製造することができる。マーキングされた領域はもちろん、蛍光性種に吸収された紫外線光の波長によって照射された時だけ蛍光となり、同様に、発光された蛍光は、着色剤の化学的性質により決定されるような、特定の波長の可視光となる。したがって、顔料の適切な選択により、蛍光性の色を選ぶことができる。
【0018】
蛍光状態に変換される顔料の正確な量は、顔料、ポリマー基材、暴露条件等、によって異なる。ある場合は、蛍光状態への変換は、組成物の表面で起こり、他の場合は、変換はポリマー中のより深い領域で起こる。本発明に必要な変換量は、環境光下では色の変化が見られない基材のままの部分よりも、より強いUV光下で蛍光を発するレーザーマーキングされた部分のように、十分に高濃度の蛍光状態の顔料を生成する量である。
【0019】
天然又は合成ポリマーと、着色剤とを含む組成物であって、着色剤が、組成物全体にわたって、蛍光状態及び非蛍光状態で存在し、
非蛍光状態の着色剤が、キナクリドン、ジケトピロロピロール(DPP)、ペリレン、インダントロン、アントラキノン、アゾ、イソインドリン、フタロシアニンの顔料、並びにこれらの顔料を含む混晶及び固溶体よりなる群から選択される顔料であり、
蛍光状態の着色剤が、前記顔料と同じ化学式のものであり、組成物の特定部分を熱に曝して限定領域を形成することによって前記顔料から得られるものであり、
蛍光状態の顔料が、適切な波長の紫外線光に露光した際に、識別可能な蛍光性マーキングを表示するために、特定領域中に、組成物の残りの部分に対して高濃度で存在し、かつ、高濃度の蛍光状態の着色剤を含む特定領域が、波長400〜700nmの光源下で視認した場合又はUV光排除下でCIE L色測定装置で測定した場合に、熱に曝されない場合の組成物のそれらの部分と同じ色である、組成物を提供する。
【0020】
同じ色は、ΔE≦3、好ましくは≦2(CIE L色空間)の色差として理解されるべきである。着色剤の全体量は、組成物の蛍光性及び非蛍光性の領域において、全く同じである。
【0021】
本発明の着色剤として使用される顔料は、上記顔料の混晶又は固溶体を含んでいてもよい。例えば、顔料は、キナクリドン、DPP、ペレリンの顔料、並びにこれらの混晶及び固溶体から選択される。
【0022】
ポリマー組成物のポリマーは、例えば、熱可塑性、熱硬化性、架橋性又は本質的な架橋性ポリマーである。ポリマーは、例えば、フィルム、シート、成形品、押し出し加工品、ファイバー、ラミネート、フェルト、若しくは織物、又はコーティング組成物の一部の形態であってもよい。
【0023】
特定の具体的な一例として、ポリマー組成物は、コーティング又はフィルムであり、例えば有機又は無機の基材の表面に付着しているコーティング又はフィルムである。
【0024】
また、蛍光性マーキングを備えたポリマー組成物の製造方法であって、方法が、キナクリドン、ジケトピロロピロール、ペリレン、インダントロン、アントラキノン、アゾ、イソインドリン、フタロシアニンの顔料、並びにこれらの混晶及び固溶体、好ましくは、キナクリドン、DPP又はペリレンの顔料からなる群より選択される非蛍光状態の着色剤を、天然又は合成のポリマーに組み込み、次いで、適切な波長の紫外線光に露光した際に、蛍光を発するマーキングを生成する蛍光状態の着色剤に顔料の一部を変換するために、熱、例えばダイオードアレイ又はレーザー照射により加熱すべきポリマー組成物の特定領域に曝すことを含み、熱に曝されて蛍光性マーキングを生成する特定領域が、波長400〜700nmの光源下で視認した場合又はUV光排除下でCIE L色測定装置で測定した場合に、熱に曝されていない組成物の部分と同じ色のままである、方法を提供する。
【0025】
例えば、キナクリドン、ジケトピロロピロール又はペリレンの顔料を含む赤いコーティングは、商業的に利用可能なレーザー技術である、レーザーを熱源として用いてマーキングされ、環境光下では変化が見えない、すなわち、全てのコーティングは赤い色のままである。しかし、ブラックライト(すなわち、紫外線光源)下では、異なる明るい色、例えば、黄色の蛍光性マーキングとなる。
【0026】
例えば、UV光排除下でCIE L色測定装置で測定したとき又は可視環境光のような波長400〜700nmの範囲の波長により著しく影響される光源下で見たとき、組成物は同じ色を示す(ΔE≦3、好ましくはΔE≦2)。
【0027】
特定の具体的な一例として、ポリマー組成物は、コーティング又はフィルムである。
【0028】
また、レーザーマーキングした基材の製造方法であって、方法が、ポリマーと、キナクリドン、ジケトピロロピロール、ペリレン、インダントロン、アントラキノン、アゾ、イソインドリン、フタロシアニンの顔料、並びにこれらの混晶及び固溶体、好ましくはキナクリドン、DPP、又はペリレンの顔料からなる群より選択される非蛍光状態の顔料とを含有するコーティング又はフィルムを基材に適用し、次いで、適切な波長の紫外線光を露光した際に、顔料の一部を、蛍光を発するマーキングを生成する蛍光状態の着色剤に変換するために、熱、例えばダイオードアレイ又はレーザー照射にポリマー組成物の特定領域を曝すことを含み、蛍光性マーキングを生成するために熱に曝された特定領域が、波長400〜700nmの光源下で視認した場合又はUV光排除下でCIE L色測定装置で測定した場合に、熱に曝されていない組成物のそれらの部分と同じ色のままである、方法を提供する。
【0029】
本発明の着色剤として有効な既知の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントバイオレット19、ピグメントレッド122、ピグメントレッド192、ピグメントレッド202、ピグメントレッド207、ピグメントレッド209、ピグメントレッド206、ピグメントオレンジ48、ピグメントオレンジ49又はピグメントバイオレット42のようなキナクリドン顔料;ピグメントレッド254、ピグメントレッド255、ピグメントレッド264、ピグメントレッド270、ピグメントレッド272、ピグメントレッド283、ピグメントオレンジ71、ピグメントオレンジ73又はピグメントオレンジ81のようなジケトピロロピロール顔料;ピグメントレッド123、ピグメントレッド149、ピグメントレッド178、ピグメントレッド179、ピグメントレッド190、ピグメントレッド224、ピグメントバイオレッド29、ピグメントブラック31、ピグメントブラック32のようなペリレン顔料;ピグメントブルー60又はピグメントブルー64のようなインダントロン顔料;ピグメントイエロー147、ピグメントレッド189、ピグメントレッド177又はピグメントイエロー199のようなアントラキノン顔料;ピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー16、ピグメントイエロー17、ピグメントイエロー55、ピグメントイエロー61、ピグメントイエロー62、ピグメントイエロー63、ピグメントイエロー81、ピグメントイエロー83、ピグメントイエロー87、ピグメントイエロー90、ピグメントイエロー93、ピグメントイエロー94、ピグメントイエロー95、ピグメントイエロー100、ピグメントイエロー104、ピグメントイエロー106、ピグメントイエロー113、ピグメントイエロー114、ピグメントイエロー117、ピグメントイエロー120、ピグメントイエロー121、ピグメントイエロー124、ピグメントイエロー126、ピグメントイエロー127、ピグメントイエロー128、ピグメントイエロー129、ピグメントイエロー133、ピグメントイエロー136、ピグメントイエロー150、ピグメントイエロー151、ピグメントイエロー152、ピグメントイエロー153、ピグメントイエロー154、ピグメントイエロー155、ピグメントイエロー166、ピグメントイエロー168、ピグメントイエロー169、ピグメントイエロー170、ピグメントイエロー171、ピグメントイエロー172、ピグメントイエロー174、ピグメントイエロー175、ピグメントイエロー176、ピグメントイエロー177、ピグメントイエロー179、ピグメントイエロー180、ピグメントイエロー181、ピグメントイエロー183、ピグメントイエロー188、ピグメントイエロー190、ピグメントイエロー191、ピグメントイエロー194、ピグメントオレンジ13、ピグメントオレンジ15、ピグメントオレンジ16、ピグメントオレンジ17、ピグメントオレンジ17:1、ピグメントオレンジ19、ピグメントオレンジ22、ピグメントオレンジ24、ピグメントオレンジ31、ピグメントオレンジ34、ピグメントオレンジ36、ピグメントオレンジ38、ピグメントオレンジ44、ピグメントオレンジ46、ピグメントオレンジ60、ピグメントオレンジ62、ピグメントオレンジ65、ピグメントオレンジ68、ピグメントレッド2、ピグメントレッド5、ピグメントレッド7、ピグメントレッド8、ピグメントレッド9、ピグメントレッド10、ピグメントレッド11、ピグメントレッド12、ピグメントレッド13、ピグメントレッド14、ピグメントレッド15、ピグメントレッド16、ピグメントレッド17、ピグメントレッド18、ピグメントレッド21、ピグメントレッド22、ピグメントレッド23、ピグメントレッド31、ピグメントレッド32、ピグメントレッド37、ピグメントレッド38、ピグメントレッド41、ピグメントレッド48:1、ピグメントレッド48:2、ピグメントレッド48:4、ピグメントレッド48:5、ピグメントレッド49、ピグメントレッド49:1、ピグメントレッド49:2、ピグメントレッド49:3、ピグメントレッド50:1、ピグメントレッド51、ピグメントレッド52:1、ピグメントレッド52:2、ピグメントレッド53、ピグメントレッド53:1、ピグメントレッド53:−、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド58:2、ピグメントレッド58:4、ピグメントレッド60:1、ピグメントレッド63:1、ピグメントレッド63:2、ピグメントレッド64、ピグメントレッド64:1、ピグメントレッド66、ピグメントレッド67、ピグメントレッド68、ピグメントレッド95、ピグメントレッド111、ピグメントレッド112、ピグメントレッド114、ピグメントレッド119、ピグメントレッド136、ピグメントレッド144、ピグメントグリーン10、ピグメントレッド146、ピグメントレッド147、ピグメントレッド148、ピグメントレッド150、ピグメントレッド151、ピグメントレッド164、ピグメントレッド166、ピグメントレッド170、ピグメントレッド171、ピグメントレッド175、ピグメントレッド176、ピグメントレッド184、ピグメントレッド185、ピグメントレッド187、ピグメントレッド188、ピグメントレッド200、ピグメントレッド208、ピグメントレッド210、ピグメントレッド212、ピグメントレッド213、ピグメントレッド214、ピグメントレッド220、ピグメントレッド221、ピグメントレッド222、ピグメントレッド223、ピグメントレッド237、ピグメントレッド238、ピグメントレッド239、ピグメントレッド240、ピグメントレッド242、ピグメントレッド243、ピグメントレッド245、ピグメントレッド247、ピグメントレッド247:1、ピグメントレッド253、ピグメントレッド256、ピグメントレッド257、ピグメントレッド258、ピグメントレッド261、ピグメントブラウン1、ピグメントブラウン5、ピグメントブラウン25、ピグメントバイオレッド13、ピグメントブラウン23、ピグメントバイオレッド25、ピグメントバイオレッド32、ピグメントバイオレッド44、ピグメントバイオレッド50、ピグメントブルー25又はピグメントグリーン8のようなアゾ顔料;ピグメントイエロー109、ピグメントイエロー110、ピグメントイエロー173、ピグメントイエロー139、ピグメントイエロー185、ピグメントオレンジ61、ピグメントオレンジ66、ピグメントオレンジ69又はピグメントレッド260のようなイソインドリン顔料;及び、ピグメントブルー15、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー15:2、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー15:6、ピグメントブルー16、ピグメントグリーン7、ピグメントグリーン36又はピグメントグリーン37のようなフタロシアニン顔料が挙げられる。
【0030】
コーティング又はフィルムのための基材としては、例えば、金属、木材、紙、プラスチック、合成物、ガラス又はセラミック製品等のどのような固体の形態でも、所望の基材を適用できる。
【0031】
他の具体例としては、上記のような蛍光状態と非蛍光状態の着色剤を含むレーザーマーキングされた物品であり、可視環境光下で識別しにくいが、特定の波長の紫外線光に曝されたときに識別可能となるマーキングを含む物品であり、物品の残りの部分よりも高い濃度で蛍光状態の着色剤を含むマーキングである、物品を提供する。
【0032】
本発明の有用な態様の1つとしては、蛍光性マーキングは、レーザーにより供給された熱放射に曝されることにより形成される。
【0033】
本発明の蛍光性マーキングは、発光性であり、紫外線光に曝された場合に容易に視認することができ、紫外線は、およそ200nmと400nmの間の波長である電磁スペクトルである。
マーキングは、文字、数字、バーコード、幾何学的な形、ロゴと他のデザインとを含む他の図形を含むマーキングとすることができる。マーキングは、蛍光状態の着色剤が他の領域よりも高濃度である基材の領域から生じる。
【0034】
組成物又は物品のマーキングされた領域中の蛍光状態の着色剤の濃度は、十分に高い濃度の蛍光状態で存在すれば、適切なUV照射下で、組成物又は物品の残りの部分からはっきりマーキングが識別できるように、大きく変化することができる。
【0035】
本組成物の「定義された領域」又は「マーキングされた領域」は、蛍光状態の着色剤を高濃度で含む組成物の部分、すなわち、蛍光性の領域である。これらは、本方法で熱に曝される特定の領域に関連がある。蛍光状態の着色剤を含む定義された領域は、蛍光状態の種を形成するために必要な熱が浸透する深さにまでおよぶ、熱に曝された表面の領域を含む、三次元領域と理解される。前述のとおり、着色剤の全体量は、組成物中の蛍光性及び非蛍光性の領域と全く同じである。
【0036】
組成物の蛍光性領域中の蛍光状態の着色剤の量は、特定量の重量パーセントによって簡単に定義できない。むしろ蛍光性及び色により、上記に詳述したような効果が観察された。例えば、レーザーが基材に透過するとともに、基材の下部領域に影響を与える放射線量が、表面に影響を与える放射線量よりも少なくすることができる場合がある。そのため、蛍光状態の濃度勾配は、マーキングされた領域の下で形成されてもよく、レーザー照射によって生成された熱量が最も高い所で高濃度の蛍光性種が存在してもよい。
【0037】
蛍光状態の量は、例えば、レーザー照射の時間及び強度のように、主に適用された熱量に依存する。しかし、蛍光状態は、露光量などの多くの環境条件下において、非蛍光状態の顔料よりも速く退化するかもしれない。また、余りにも高濃度の蛍光性種は、例えば太陽光のように、ほんの少量のUV光を含む照明条件下における明らかな方法で、基材の外観を変えるかもしれず、また、それは、例えば振動消失のために、蛍光性の減少を招くかもしれない。着色剤の物理的環境の過度の変化は、マークされた領域の目に見える色の変化を起こす原因となるかもしれない。
【0038】
したがって、基材の望ましくない変化を最低限に保っている間、明確なUV検出のために露出された領域で、ちょうど十分な蛍光性の種が生成されるように、慎重に熱に曝す条件を選択することが望ましい。最もありふれた実験でこれを達成することができる。
【0039】
当然ながら、蛍光性は、蛍光性の着色剤が、着色剤に吸収される波長の紫外線に曝された時だけに生じる。また、蛍光色は、蛍光が着色剤から発せられる光の波長に依存する。異なる着色剤は、環境光下では同じ色であっても、異なる蛍光色のマーキングを生成するために使用することができ、また、UVスペクトルの異なる部分に露出された時に蛍光を発する。
【0040】
このように、蛍光性マーキングは、環境光下では容易に識別できない。「環境光」、「可視環境光」、「環境光条件」は、通常の戸外又は戸内の照明で生じる条件であり、例えば、400〜800nmの間の波長の電磁スペクトルの部分と、400nm以下の波長の少しの紫外線光と、高い頻度で現われる800nmを超えるIR放射とで支配される。
【0041】
「環境光下では容易に識別できない」、「環境光下では見分けられない」、「環境光下では容易に見分けられない」とは、通常の戸外又は戸内の照明条件下では、基材のレーザーマーキングされた部分に、色の違いが見えないことを意味し、そして、レーザーマーキングの結果として、基材の外観における目に見える程度に認識できる変化、例えば、光沢や色の変化は、存在しないか、又は、厳格な検査若しくはUV光露光下でのみ認知できる。通常、ΔE≦3、好ましくはΔE≦2(CIE L色空間)の色差は、大多数の人間が認識できない。
【0042】
例えば、ピグメントレッド202のような、赤いキナクリドン顔料を含む赤いコーティングがレーザーでマーキングされた場合、マーキングは、環境光下では視認できない、すなわち、コーティング全体は、赤いままである。しかし、ブラックライト源(すなわち、紫外線光源)下では、蛍光性の黄色のマーキングとなる。
【0043】
同様に、ピグメントレッド283のような、赤いDPP顔料を含む赤いコーティングがレーザーでマークされた場合は、マーキングは、環境光下では視認できない、すなわち、コーティング全体は、赤いままである。しかし、ブラックライト源(すなわち、紫外線光源)下では、蛍光性のより緑色を帯びた黄色のマーキングとなる。
【0044】
したがって、周囲の見える条件の下では、マーキングは視認できないが、適切な紫外線照射下で見られる場合は、選択された色のパターンが容易に識別できる。これは、例えば、セキュリティマーキングに適用された場合に有用な特徴である。
【0045】
当然ながら、ある限定された量の溶解された顔料又は顔料に由来する蛍光性の種は、例えば、本発明のレーザーマーキングの条件を満たした着色された基材の全体にわたって存在していてもよい、と理解されている。顔料が汚染されることなく初期の単一の種のままであり、絶対に顔料のどれも溶解することなく、さもなければ、処理の間に蛍光性の種に変換されると仮定することは非現実的である。
【0046】
本発明の実施において、物品全体を通して、無用の蛍光を発すること避けるために、着色ポリマー基材の製造工程の間中、顔料は不溶性のままであることが望ましい。これは、紫外線光に露光された時にレーザーマーキングとマーキングされていない部分との間のより大きなコントラストを考慮している。
【0047】
本発明の具体的な態様は、レーザーマーキングの結果として蛍光性のマーキングを有する着色されたコーティングに関する。コーティングは多くの基材に適用することができる。また、一般に、コーティングを硬化する際に適用する温度は、顔料粒子を溶解するか、顔料の過度の分解の原因となるほど高くない。
【0048】
本発明の他の態様は、レーザーマーキングの結果として、蛍光性のマーキングを有する、フィルム及び成形物品のような、他の着色ポリマー基材に関する。
【0049】
着色剤は、レーザーマーキングされた組成物中に「有効量」、すなわち、望ましい色のレベルか、組成物の着色の両方を提供する量で存在し、そして、それ自体は、許容し得る照射条件下で、例えば、レーザーマーキングのように、熱でマーキングを誘導することに役立つ。例えば、レーザーマーキングに先立って、キナクリドン、DPP又はペリレンの顔料から選択された顔料は、組成物の全体量に基づいてわずか0.01〜15重量%、例えば、組成物の全体量に基づいて0.1〜10重量%で存在するが、特にコーティング組成物の一部として使用する場合や物品の表面に浸透する場合には、例えば、50%〜90%のように、はるかに高い量で存在することもあり得る。
【0050】
したがって、組成物中の非蛍光状態又は蛍光状態を含む着色剤の量は、組成物の全体量に基づいて0.01〜99重量%であり、組成物中のポリマーの量は、組成物の全体量に基づいて1〜99.99重量%である。組成物は、以下に記載するような、さらなる成分を含み、さらなる成分の量は、組成物の全体量に基づいて、例えば0.001〜90重量%である。
【0051】
通常、熱でマーキングが生じる前のコーティングは、固体バインダーの全体量に基づいて顔料が0.01〜50重量%であり、例えば、固体バインダーの全体量に基づいて、0.1〜30重量%か、0.1〜10重量%である。
【0052】
本発明の蛍光性マーキングを備えたポリマー組成物は、合成又は天然に存在するポリマーを含む。例えば、天然に存在する又は合成のポリマーは、熱可塑性、熱硬化性、架橋性又は本質的な架橋性ポリマーであり、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアセタール、天然若しくは合成ゴム、又はPVCのようなハロゲン化ビニルポリマーである。ポリマーは、コポリマーでも、ポリマー混合物でも、合成物の一部であってもよい。
【0053】
ポリマー組成物は、酸化防止剤、UV吸収剤、ヒンダートアミン又はその他の光安定剤、ホスファイト類又はホスフィン類、ベンゾフラン−2−オン、チオ相乗剤(thiosynergists)、ポリアミド安定剤、ステアリン酸金属塩、核形成剤、フィラー、強化剤、潤滑剤、乳化剤、染料、顔料、分散剤、蛍光増白剤、難燃剤、帯電防止剤、発泡剤及び同様に、その他の加工剤、並びにそれらの混合物のような、他の添加物を任意に組み込んでもよい。
【0054】
本発明の着色剤を含む、熱可塑性、熱硬化性、エラストマー、本質的な架橋性又は架橋性のポリマーの例としては、以下に挙げられるような、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリエステル、PVCのようなハロゲン化ビニルポリマー、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、不飽和ポリアミド、ポリイミド、フッ素化ポリマー、ケイ素含有ポリマー、カルバミン酸ポリマー及びそれらのコポリマーを含む。
【0055】
1.例えばポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリイソプレン又はポリブタジエンのモノ−又はジ−オレフィン類のポリマー;例えばシクロペンテン又はノルボルネンのシクロ−オレフィン類の重合体;例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、高分子量の高密度ポリエチレン(HDPE−HMW)、超高分子量の高密度ポリエチレン(HDPE−UHMW)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、及び架橋低密度ポリエチレン(LLDPE)、(VLDPE)及び(ULDPE)のポリエチレン(場合により架橋されていてもよい)が挙げられる。
【0056】
ポリオレフィン、すなわち直前の段落で例示したモノ−オレフィンのポリマーは、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンであり、種々の方法、特に以下の方法によって調製することができる。
【0057】
a)フリーラジカルによる重合(通常、高圧及び高温下)
b)触媒による。触媒は通常、IVb、Vb、VIb又はVIII族の1種以上の金属を含有する。これらの金属は、通常、酸化物、ハロゲン化物、アルコラート、エステル、エーテル、アミン、アルキル、アルケニル及び/又はアリールなどの互いにπ又はσ配位結合している1個以上の配位子を有する。これらの金属錯体は、遊離形態であってもよいし、基質、例えば活性化塩化マグネシウム、塩化チタン(III)、アルミナ又は酸化ケイ素上に固定されていてもよい。これらの触媒は、重合媒体中に可溶性であってもよいし、不溶性であってもよい。触媒は、それだけで重合に使用することもできるし、さらなる活性剤、通常は金属アルキル、金属水素化物、金属アルキルハロゲン化物、金属アルキル酸化物又は金属アルキルオキサンを使用してもよく、その場合、金属は、Ia、IIa及び/又はIIIa族の元素である。活性剤は、例えば、さらなるエステル、エーテル、アミン又はシリルエーテル基によって改質することもできる。
【0058】
2.1)で挙げたポリマーの混合物、例えばポリプロピレンとポリイソブチレンとの混合物、ポリプロピレンとポリエチレンとの混合物(例えばPP/HDPE、PP/LDPE)及び種々のタイプのポリエチレンの混合物(例えばLDPE/HDPE)。
【0059】
3.モノ−及びジ−オレフィンの、互い同士又は他のビニルモノマーとのコポリマー、例えばエチレン/プロピレンコポリマー、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及び低密度ポリエチレン(LDPE)とのその混合物、プロピレン/ブテン−1コポリマー、プロピレン/イソブチレンコポリマー、エチレン/ブテン−1コポリマー、エチレン/ヘキセンコポリマー、エチレン/メチルペンテンコポリマー、エチレン/ヘプテンコポリマー、エチレン/オクテンコポリマー、プロピレン/ブタジエンコポリマー、イソブチレン/イソプレンコポリマー、エチレン/アルキルアクリレートコポリマー、エチレン/アルキルメタクリレートコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー及びそれらの一酸化炭素を有するコポリマー、又はエチレン/アクリル酸コポリマー及びそれらの塩(イオノマー)、並びにエチレンとプロピレン及びジエン、例えばヘキサジエン、ジシクロペンタジエン又はエチリデン−ノルボルネンとのターポリマー並びにこのようなコポリマーの、互い同士及び上記1)で挙げたポリマーとの混合物、例えばポリプロピレン−エチレン/プロピレンコポリマー、LDPE−エチレン/酢酸ビニルコポリマー、LDPE−エチレン/アクリル酸コポリマー、LLDPE−エチレン/酢酸ビニルコポリマー、LLDPE−エチレン/アクリル酸コポリマー及び交互又はランダムポリアルキレン−一酸化炭素コポリマーならびに他のポリマー、例えばポリアミドとのその混合物。
【0060】
4.水素化改質物(例えば粘着付与剤)及びポリアルキレンとデンプンとの混合物を含む、炭化水素樹脂(例えばC5〜C9)。
【0061】
5.ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)。
【0062】
6.ジエン又はアクリル誘導体と、スチレン又はα−メチルスチレンのコポリマー。例えばスチレン/ブタジエン、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/アルキルメタクリレート、スチレン/ブタジエン/アルキルアクリレートとメタアクリレート、スチレン/無水マレイン酸、スチレン/アクリロニトリル/メタアクリレート;耐衝撃性スチレンコポリマーと別のポリマー、例えばポリアクリレート、ジエンポリマー又はエチレン/プロピレン/ジエンターポリマー;及びスチレンのブロックコポリマー、例えばスチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレン、スチレン/エチレン−ブチレン/スチレン又はスチレン/エチレン−プロピレン/スチレン。
【0063】
7.スチレン又はα−メチルスチレンのグラフトコポリマー、例えばポリブタジエンへのスチレン、ポリブタジエン/スチレン又はポリブタジエン/アクリロニトリルコポリマーへのスチレン、ポリブタジエンへのスチレン及びアクリロニトリル(又はメタクリロニトリル);ポリブタジエンへのスチレン、アクリロニトリル及びメチルメタクリレート;ポリブタジエンへのスチレン及びマレイン酸無水物;ポリブタジエンへのスチレン、アクリロニトリル及びマレイン酸無水物又はマレイミド;ポリブタジエンへのスチレン及びマレイミド、ポリブタジエンへのスチレン及びアクリルアクリレート又はアルキルメタクリレート;エチレン/プロピレン/ジエンターポリマーへのスチレン及びアクリロニトリル、ポリアルキルアクリレート又はポリアルキルメタクリレートへのスチレン及びアクリロニトリル、アクリレート/ブタジエンコポリマーへのスチレン及びアクリロニトリルならびに6)で挙げたコポリマーとのそれらの混合物、たとえばABS、MBS、ASA又はAESポリマーとして知られるコポリマー混合物。
【0064】
8.ハロゲン含有ポリマー、例えばポリクロロプレン、塩素化ゴム、イソブチレン/イソプレンの塩素化及び臭素化コポリマー(ハロブチルゴム)、塩素化又はスルホ塩素化ポリエチレン、エチレンと塩素化エチレンとのコポリマー、エピクロロヒドリンホモ−及びコポリマー、特にハロゲン含有ビニル化合物のポリマー、例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン並びにそれらのコポリマー、例えば塩化ビニル/塩化ビニリデン、塩化ビニル/酢酸ビニル又は塩化ビニリデン/酢酸ビニルコポリマー。
【0065】
9.α,β−不飽和酸及びそれらの誘導体から誘導されるポリマー、例えばポリアクリレート及びポリメタクリレート、又はポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド及びポリアクリロニトリル(ブチルアクリレートで耐衝撃性改質)。
【0066】
10.9)で挙げたモノマーの、互い同士又は他の不飽和モノマーとのコポリマー、例えばアクリロニトリル/ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル/アルキルアクリレートコポリマー、アクリロニトリル/アルコキシアルキルアクリレート又はアクリロニトリル/ハロゲン化ビニルコポリマー又はアクリロニトリル/アルキルメタクリレート/ブタジエンターポリマー。
【0067】
11.不飽和アルコール及びアミン又はそれらのアシル誘導体若しくはアセタールから誘導されるポリマー、たとえばポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリステアリン酸ビニル、ポリ安息香酸ビニル、ポリマレイン酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアリルフタレート、ポリアリルメラミン;及び上記1)で挙げたオレフィンとのそれらのコポリマー。
【0068】
12.環式エーテルのホモ−及びコ−ポリマー、例えばポリアルキレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド又はビスグリシジルエーテルとのそれらのコポリマー。
【0069】
13.ポリアセタール、例えばポリオキシメチレン及び例えばエチレンオキシドをコモノマーとして含有するポリオキシメチレン;熱可塑性ポリウレタン、アクリレート又はMBSで改質されたポリアセタール。
【0070】
14.ポリフェニレンオキシド及びスルフィド並びにこれらとスチレンポリマー又はポリアミドとの混合物。
【0071】
15.一方ではヒドロキシ末端ポリエーテル、ポリエステル又はポリブタジエン及び他方では脂肪族又は芳香族ポリイソシアネートから誘導されるポリウレタンならびにそれらの初期生成物。
【0072】
16.ジアミン及びジカルボン酸から及び/又はアミノカルボン酸若しくは対応するラクタムから誘導されるポリアミド及びコポリアミド、例えばポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド6/6、6/10、6/9、6/12、4/6、12/12、ポリアミド11、ポリアミド12、m−キシレン、ジアミン及びアジピン酸から出発する芳香族ポリアミド、ヘキサメチレンジアミン及びイソ−及び/又はテレ−フタル酸から、エラストマーを改質剤として使用して、又は使用せずに調製されるポリアミド、例えばポリ−2,4,4−トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド又はポリ−m−フェニレンイソフタルアミド。前述のポリアミドと、ポリオレフィン、オレフィンコポリマー、イオノマー又は化学的に結合若しくはグラフトされたエラストマーとの、又はポリエーテル、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールもしくはポリテトラメチレングリコールとのブロックコポリマー。EPDM又はABSで改質されたポリアミド又はコポリアミド;及び加工の間に縮合したポリアミド(RIMポリアミド系)。
【0073】
17.ポリウレア、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリヒダントイン及びポリベンズイミダゾール。
【0074】
18.ジカルボン酸及びジオール及び/又はヒドロキシカルボン酸若しくは対応するラクトンから誘導されるポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−ジメチロールシクロヘキサンテレフタレート、ポリヒドロキシベンゾエート、及びヒドロキシル末端ポリエーテルから誘導されるブロックポリエーテルエステル;並びにポリカーボネート又はMBSで改質されたポリエステル。
【0075】
19.ポリカーボネート及びポリエステルカーボネート。
【0076】
20.ポリスルホン、ポリエーテルスルホン及びポリエーテルケトン。
【0077】
21.一方ではアルデヒド並びに他方ではフェノール類、尿素及びメラミンから誘導される架橋ポリマー、例えばフェノール−ホルムアルデヒド、尿素−ホルムアルデヒド及びメラミン−ホルムアルデヒド樹脂。
【0078】
22.乾性及び非乾性アルキド樹脂。
【0079】
23.飽和及び不飽和ジカルボン酸と多価アルコールとのコポリエステル及び架橋剤としてのビニル化合物から誘導される不飽和ポリエステル樹脂並びにそのハロゲン含有低燃性改質物。
【0080】
24.置換アクリレートエステル、例えばエポキシアクリレート、ウレタンアクリレート又はポリエステルアクリレートから誘導される架橋性アクリル樹脂。
【0081】
25.メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアネート、イソシアヌレート、ポリイソシアネート又はエポキシ樹脂とで架橋したアルキド樹脂、ポリエステル樹脂及びアクリル樹脂。
【0082】
26.脂肪族、脂環式、複素環式又は芳香族グリシジル化合物、例えば、通常の硬化剤、例えば酸無水物又はアミンを用いて、反応促進剤を用いて又は用いずに架橋されるビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテルの生成物、から誘導される架橋エポキシ樹脂。
【0083】
27.天然ポリマー、例えばセルロース、天然ゴム、ゼラチン又は化学的に改質されたそれらの同族誘導体、例えば酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース及び酪酸セルロース又はメチルエーテルのようなセルロースエーテル;並びにロジン及びそれらの誘導体。
【0084】
28.前述のポリマーのブレンド(ポリブレンド)、例えばPP/EPDM、ポリアミド/EPDM又はABS、PVC/EVA、PVC/ABS、PVC/MBS、PC/ABS、PBTP/ABS、PC/ASA、PC/PBT、PVC/CPE、PVC/アクリレート、POM/熱可塑性PUR、PC/熱可塑性PUR、POM/アクリレート、POM/MBS、PPO/HIPS、PPO/PA6.6及びコポリマー、PA/HDPE、PA/PP、PA/PPO、PBT/PC/ABS又はPBT/PET/PC。
【0085】
蛍光性マーキングを備えたポリマー組成物は、基材に塗布されたコーティングであってもよい。コーティングは、基材に付着し、選択された顔料と互換性のあるあらゆる塗装系が含まれる。例えば、自動車塗装、船舶用塗装、ペイント、インク、ラミネート、印刷物品のための受容層、若しくは、艶出し物品に使用されるコーティング又はフィルム及び織物処理を含む他の保護又は装飾用の他のコーティングが挙げられる。熱に曝されることなく蛍光を発する原因となる、過度に溶解性のある選択された顔料を含むコーティング又はフィルムは、本発明の態様として適当ではない。
【0086】
本発明によれば、コーティング組成物は、例えば、金属、木材、プラスチック、合成物、ガラス又はセラミックの物品の基材などの任意の所望の基材に、慣用の方法、例えば、はけ塗り、噴霧、流れ塗、書き下ろし塗、スピンコート、浸漬又は電気泳動により塗布できる(Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5th Edition., Vol. A18, pp. 491-500参照)。
【0087】
通常、コーティングは、原則として、この産業で慣用のあらゆる結合剤、例えば、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5th Edition, Vol. A18, pp. 368-426, VCH, Weinheim 1991に記載されているものであることができるポリマー結合剤を含む。一般的に、それは、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂、主に、熱硬化性樹脂に基づくフィルム形成結合剤である。その例は、アルキド、アクリル、アクリルアミド、ポリエステル、スチレン、フェノール、メラミン、エポキシ及びポリウレタン樹脂類である。
【0088】
例えば、本発明で使用される一般的なコーティングの結合剤の非限定的な例は、ケイ素含有ポリマー、フッ素化ポリマー、不飽和ポリエステル、不飽和ポリアミド、ポリイミド、例えばエポキシアクリラート、ウレタンアクリラート、ポリエステルアクリラート、ビニルアセテート、ビニルアルコール及びビニルアミンのポリマーなどの置換アクリル酸エステル類に由来する置換アクリル樹脂が挙げられる。コーティング結合ポリマーは、コポリマー、ポリマー混合物又は複合体であってもよい。
【0089】
コーティングは、促進剤の有無にかかわらず、例えば、メラミン樹脂、ウレア樹脂、イソシアナート、イソシアヌレート、ポリイソシアナート、エポキシ樹脂、無水物、ポリ酸及びアミンと共に、頻繁に架橋される。
【0090】
結合剤は、蛍光性マーキングが生成される顔料の溶解を引き起こすほど高くない温度の常温硬化性又は熱硬化性の結合剤であり、硬化触媒を加えることが有利でありえる。結合剤の硬化を促進する適切な触媒は、例えば、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, Vol. A18, p. 469, VCH Verlagsgesellschaft, Weinheim 1991に記載されている。
【0091】
結合剤は、空気中で乾くか、室温で硬くなる表面コーティング用樹脂であってもよい。そのような結合剤の典型例は、ニトロセルロース、ポリビニルアセテート、塩化ポリビニル、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアクリレート、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、及び、特にアルキド樹脂が挙げられる。結合剤は、異なる表面コーティング樹脂の混合物であってもよい。結合剤が硬化可能な結合剤であれば、通常、それは硬化剤及び/又は促進剤と共に使用される。
【0092】
特定の結合剤を有するコーティング組成物の例は以下のとおりである。
【0093】
1.常温又は熱架橋性アルキド、アクリル、ポリエステル、エポキシ若しくはメラミン樹脂又は当該樹脂の、望ましくは硬化触媒を添加した混合物に基づくコーティング。
【0094】
2.ヒドロキシル基含有アクリレート、ポリエステル又はポリエーテル樹脂及び脂肪族又は芳香族イソシアネート、イソシアヌレート又はポリイソシアネートに基づく二成分ポリウレタンコーティング。
【0095】
3.加熱中に非ブロック化される、ブロック化されたイソシアネート、イソシアヌレート又はポリイソシアネートに基づく一成分ポリウレタンコーティング。望ましくはメラミン樹脂を加えてもよい。
【0096】
4.アクリレート、ポリエステル又はポリエーテル樹脂のようなヒドロキシル基を含む樹脂、トリスアルコキシカルボニルトリアジン架橋剤に基づく、一成分ポリウレタンコーティング。
【0097】
5.ウレタン構造中に遊離アミノ基を有する脂肪族又は芳香族ウレタンアクリレート又はポリウレタンアクリレート及びメラミン樹脂又はポリエーテル樹脂に基づく、必要に応じて硬化触媒を添加した一成分ポリウレタンコーティング。
【0098】
6.(ポリ)ケトイミン及び脂肪族又は芳香族イソシアネート、イソシアヌレート又はポリイソシアネートに基づく二成分コーティング。
【0099】
7.(ポリ)ケトイミン及び不飽和アクリル樹脂若しくはポリアセトアセテート樹脂又はメタクリルアミドグリコレートメチルエステルに基づく二成分コーティング。
【0100】
8.カルボキシ−又はアミノ−含有ポリアクリレート及びポリエポキシドに基づく二成分コーティング。
【0101】
9.無水物基含有アクリル樹脂及びポリヒドロキシ又はポリアミノ成分に基づく二成分コーティング。
【0102】
10.アクリレート含有無水物及びポリエポキシドに基づく二成分コーティング。
【0103】
11.(ポリ)オキサゾリン及び無水物基含有アクリレート樹脂若しくは不飽和アクリレート樹脂又は脂肪族若しくは芳香族イソシアネート、イソシアヌレート若しくはポリイソシアネートに基づく二成分コーティング。
【0104】
12.不飽和ポリアクリレート及びポリマロネートに基づく二成分コーティング。
【0105】
13.熱可塑性アクリレート樹脂又は外部から架橋するアクリレート樹脂をエーテル化メラミン樹脂と組み合わせたものに基づく熱可塑性ポリアクリレートコーティング。
【0106】
14.シロキサン改質又はフルオロ改質アクリル樹脂に基づく塗料系。
【0107】
水分散性のアクリル、メタアクリル及びアクリルアミドのポリマー及びコポリマーは、本発明の結合剤として容易に使用できる。例えば、アクリル、メタアクリル及びアクリルアミドの分散性のポリマー及びコポリマーが挙げられる。
【0108】
コーティング組成物は、さらなる成分含むこともでき、例えば、溶媒、顔料、染料、可塑剤、安定剤、チキソトロープ剤、乾燥触媒及び/又は均展剤である。可能な成分の例は、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5th Edition, Vol. A18, pp. 429-471, VCH, Weinheim 1991に記載されている。
【0109】
可能な乾燥触媒又は硬化触媒は、例えば、有機金属化合物、アミン、アミノ含有樹脂及び/又はホスフィンである。有機金属化合物の例は、金属カルボン酸塩、特に金属Pb、Mn、Co、Zn、Zr若しくはCuのもの、又は金属キレート、特に、金属Al、Ti若しくはZrのもの、又は例えば有機スズ化合物のような有機金属化合物である。
【0110】
金属カルボン酸塩の例は、Pb、Mn若しくはZnのステアリン酸塩、Co、Zn若しくはCuのオクタン酸塩、Mn及びCoのナフテン酸塩又は対応するリノレネート、レジネート若しくはタレートである。
【0111】
金属キレートの例は、アセチルアセトン、エチルアセチルアセタート、サリチルアルデヒド、サリチルアルドキシム、o−ヒドロキシアセトフェノン又はエチルトリフルオロアセチルアセタートの、アルミニウム、チタン又はジルコニウムキレート及びこれらの金属のアルコキシドである。
【0112】
有機スズ化合物の例は、ジブチル錫酸化物、ジブチル錫ジラウラート又はジブチル錫ジオクタエートである。
【0113】
アミンの例は、特に第三級アミンであり、例えば、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−ジメチルエタノールアミン、N−エチルモルホリン、N−メチルモルホリン又はジアザビシクロオクタン(トリエチレンジアミン)及びそれらの塩である。更なる例は、第四級アンモニウム塩、例えば、トリメチルベンジルアンモニウムクロリドである。
【0114】
アミノ含有樹脂は、結合剤と同時に硬化触媒である。その例は、アミノ含有アクリラートコポリマーである。
【0115】
使用される硬化触媒は、ホスフィン、例えばトリフェニルホスフィンであることもできる。
【0116】
コーティング組成物は、また、放射線硬化性コーティング組成物であってもよい。この場合、結合剤は、エチレン性不飽和結合を含有するモノマー又はオリゴマー化合物を実質的に含み、塗布後、化学線照射により硬化される、すなわち架橋された高分子量形態に変換される。系がUV硬化される場合、一般的に少なくとも1つの光開始剤を含有してもよい。対応する系は、上記の出版物、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5th Editon, Vol.A18, pages 451-453 に記載されている。放射線硬化性コーティング組成物において、新規安定剤は、立体障害アミンを添加しないで使用することもできる。
【0117】
コーティングは、放射線硬化性、フォト重合可能な化合物の無溶媒配合物としてもよい。説明に役立つ実例としては、アクリレート又はメタアクリレートの混合物、不飽和ポリエステル/スチレンの混合物、若しくは、その他のエチレン性不飽和結合を有するモノマー又はオリゴマーの混合物が挙げられる。
【0118】
コーティング組成物は、結合剤が溶解する有機溶媒又は溶媒混合物を含有してもよい。あるいはまた、コーティング組成物は水溶液又は分散体であってもよい。ビヒクルは、有機溶媒と水の混合物であってもよい。コーティング組成物は、ハイソリッド塗料であってよいか、又は無溶媒(例えば、粉末コーティング材料)であってもよい。粉末コーティングは、例えば、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5th Ed., A18, pages 438-444に記載のものである。粉末コーティング材料は、また、粉末スラリー(好ましくは水中の粉末分散体)の形態を有してもよい。
【0119】
保護コーティングのような他のコーティングで覆われているコーティング(又は基材)中に本発明の顔料が存在する、多層系が適用できる。
【0120】
顔料をコーティングに使用する場合に、例えば、キナクリドン、DPP又はペリレンの顔料は、共通の技術的な方法を通じて、コーティング中に組み入れられる。
【0121】
化合物は、混合の間、例えば、処理に先立って乾式混合の間、個々の成分として加えられることがあり、又は、化合物は、処理に先立って別の物質に若しくはその物質の中に、混合、マスタバッチ、水洗い又は他の濃縮によって加えられてもよい。
【0122】
化合物は、処理工程の間に加えられてもよい。ポリマー樹脂及びコーティング形成のための標準処理工程は、押し出し、共押し出し、圧縮成形、ブラベンダー融解処理、フィルム形成、射出成形、ブロー成形、他の成形及びシート形成処理、繊維形成、表面含浸、溶解、懸濁、分散及びプラスチック及びコーティングの技術の他の公知の方法を含む、公知の技術である。
【0123】
本発明の組成物がフィルムである場合、フィルムはフィルムだけでなり立ってもよく、あるいは、例えば接着剤の使用又は表面の共押し出しによって基材の表面に適用されてもよい。フィルムの製造例としては、溶液からの一体成形又はこの技術における公知の他の方法により製造することができる。予め形成されたフィルムを、カレンダー(calendaring)、溶融塗布又はシュリンクラップの熱とともに塗布してもよい。
【0124】
蛍光性種を形成するのに使用する熱源がレーザーである場合、それは、所望のマーキングを残すために基材の選択された部分を慎重に熱する方法として、ポリマー組成物に吸収される波長を放射するどんなレーザーであってもよい。
【0125】
例えば、環境光下で視認できるマーキングを生成するために使用するレーザーを、本発明で使用する。参照によりここに援用されるUS-4,307,047と同様に、例えば、US-4,861,620、US-6,022,905、US-5,075,195、WO-07/057367、EP-0036680及び、EP-190997を参照。
【0126】
マーキングは、文字、数字、バーコード、幾何学模様、その他のロゴを含む図形、及びその他のデザインを含む、どのようなマーキングであってもよい。
【0127】
例えば、環境光下で視認できるマーキングを生成するために使用するレーザーを、本発明で使用する。役立つレーザーの一例として、カラーマークは、熱的安定な有機及び/又は無機の顔料又はポリマー可溶性の顔料と、レーザーによりそれが取り除かれるか破壊される鉱物の黒色顔料(骨灰(bone charcoal)、骨炭(bone black)、アイボリーブラック(ivory black))とを結合させるポリブチレンテレフタレート樹脂又はポリアセタールコポリマー樹脂が使用され、Nd:YAGレーザー又は頻繁にダブルNd:YAGレーザー(波長532nm)を使用して暗い背景で形成される。カラーマークは、有機染料若しくは同じ色の顔料と無機顔料により着色され、そしてさらにカーボンブラックを含む熱可塑性樹脂にNd:YAGレーザーを照射して形成される。これらのカラーマークは、プラスチックの背景色と同じ色であるか、より淡いトーンの色である。
【0128】
染料組成物の漂白によりレーザーマークを生成する方法は、上記の技術の中で公知であり、ここでの必要性を満たすように容易に改質される。US-6,022,905の考察も参照のこと。
【0129】
そのようなレーザーが本発明にすぐに適用できる。本発明で役立つレーザーは、公知のものであり、多くは市販されているものである。
【0130】
適用されるマーキングの形に適合するように、マスクを通してレーザー光線の向きをそらす方法、又は、マーキングされる対象の表面に直接向けられる他の方法は、同様に知られている。
【0131】
ここではどのような組成物及び方法でも、複数の顔料を使用することができる。他のタイプの顔料と染料のような着色剤も存在していてもよい。
【0132】
着色剤に加えて、この発明の実施の間に蛍光状態へ変換するということは注目に値する。また、そのように変換しない着色剤も存在してもよい。さらに、この発明の実施の間、蛍光状態へ変換する複数の着色剤が存在していてもよい。
【0133】
組成物は、レーザーに曝されたポリマーの局在化された部分で昇温速度を増加させる、カーボンブラック、グラファイト、カオリナイト、雲母、及びこれらと同様のエネルギーが吸収される添加物を含んでいてもよい。レーザーエネルギーを吸収する添加物は、染料の漂白又は直接染料へのエネルギー伝達メカニズムにより他の染料への変形を引き起こすことが知られている。
【0134】
本発明の一つの具体例としては、レーザーエネルギー吸収添加物は、マーキング可能な組成物中に存在しており、本発明の他の具体例としては、レーザーエネルギー吸収添加物は、マークキング可能な組成物中に存在していない。
【0135】
例1:
ピグメントレッド202(キナクリドン顔料)と、DISPERBYK(登録商標)161と、アクリルミルベースとを含むトナー混合物を、スキャンデックス(SKANDEX(登録商標))ミルを使用して、2mmのガラスビーズと共に粉化した。得られた塗料をビーズから分離させた。100μmの湿潤フィルムワイヤーバーとKCC(登録商標)自動フィルムアプリケーターとを使用して塗料の減耗物を準備し、LENETA(登録商標)カード上で乾燥し、次いでレーザーマーキングした。赤いコーティングは可視環境光下では変化が現れなかったが、ブラックライト(UVライト)下では、蛍光性の明るい黄色のマークが現れた。
【0136】
例2:
レーザーマーキングされた赤いコーティングを提供するために、例1と同様にして、ピグメントレッド283(DPP顔料)を用いた塗料を製造した。赤いコーティングは、可視環境光下では変化が現れなかったが、ブラックライト(UVライト)下では、蛍光性の緑色を帯びた黄色のマークが現れた。
【0137】
例3:
ピグメントレッド283と、POLANE(登録商標)G(ポリウレタンコーティング、SHERWIN−WILLIAMS社製)とを含むトナー混合物を、2mmのガラスビーズ100gと、スキャンデックス(SKANDEX(登録商標))ミルとを使用して、2時間、振盪した。得られたミルベースをビーズから分離させた。得られたミルベースにイソシアネート触媒を重量に基づいて1/3を加え、次いで混合した。塗料は、LENETA(登録商標)カード上に76.2μm(3ミル)のバーにより減耗させた。コーティングは、室温で一晩硬化し、そしてレーザーマーキングした。赤いコーティングは、環境可視光下では変化が現れなかったが、ブラックライト(UVライト)下では、蛍光性の黄色のマークが現れた。
【0138】
例4:
レーザーマーキングされた赤いコーティングを提供するために、例3と同様にして、ピグメントレッド202(CINQUASIA(登録商標)マゼンダB RT−343−D、キナクリドン顔料)を用いた塗料を製造した。赤いコーティングは、環境可視光下では変化が現れなかったが、ブラックライト下では、蛍光を強く発した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然又は合成ポリマーと、着色剤とを含む組成物であって、
着色剤が、組成物全体にわたって、蛍光状態及び非蛍光状態で存在し、
非蛍光状態の着色剤が、キナクリドン、ジケトピロロピロール(DPP)、ペリレン、インダントロン、アントラキノン、アゾ、イソインドリン、フタロシアニンの顔料、並びにこれらの顔料を含む混晶及び固溶体よりなる群から選択される顔料であり、
蛍光状態の着色剤が、前記顔料と同じ化学式のものであり、組成物の特定部分を熱に曝して限定領域を形成することによって前記顔料から得られるものであり、
蛍光状態の顔料が、適切な波長の紫外線光に露光した際に、識別可能な蛍光性マーキングを表示するために、特定領域中に、組成物の残りの部分に対して高濃度で存在し、かつ、
高濃度の蛍光状態の着色剤を含む特定領域が、波長400〜700nmの光源下で視認した場合又はUV光排除下でCIE L色測定装置で測定した場合に、熱に曝されない場合の組成物のそれらの部分と同じ色である、組成物。
【請求項2】
非蛍光状態の着色剤が、キナクリドン、ジケトピロロピロール、ペレリンの顔料、並びにこれらの混晶及び固溶体から選択される顔料であり、
蛍光状態の着色剤が、前記顔料と同じ化学式のものであり、熱に曝すことにより前記顔料から得られるものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
天然又は合成ポリマーが、熱可塑性、熱硬化性、架橋性又は本質的な架橋性ポリマーである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
熱可塑性、熱硬化性、架橋性又は本質的な架橋性ポリマーが、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ハロゲン化ビニルポリマー、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、不飽和ポリアミド、ポリイミド、フッ素化ポリマー、ケイ素含有ポリマー、カルバミン酸ポリマー及びそれらのコポリマーからなる群のポリマーより選択される、請求項1、2又は3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
ポリマー組成物が、コーティング又はフィルムである、請求項1、2、3又は4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
蛍光性マーキングを備えたポリマー組成物の製造方法であって、
方法が、キナクリドン、ジケトピロロピロール、ペリレン、インダントロン、アントラキノン、アゾ、イソインドリン、フタロシアニンの顔料、並びにこれらの混晶及び固溶体、好ましくは、キナクリドン、DPP又はペリレンの顔料からなる群より選択される非蛍光型の着色剤を、天然又は合成のポリマーに組み込み、
次いで、適切な波長の紫外線光に露光した際に、蛍光を発するマークを生成する蛍光状態の着色剤に顔料の一部を変換するために、熱、例えばダイオードアレイ又はレーザー照射により加熱すべきポリマー組成物の特定領域に曝すことを含み、
熱に曝されて蛍光性マーキングを生成する特定領域が、波長400〜700nmの光源下で視認した場合又はUV光排除下でCIE L色測定装置で測定した場合に、熱に曝されていない組成物の部分と同じ色のままである、方法。
【請求項7】
天然又は合成のポリマーに組み込まれる非蛍光型の着色剤が、キナクリドン、ジケトピロロピロール、ペリレンの顔料、並びにこれらの混晶及び固溶体から選択される顔料である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
マーキングがレーザー照射への露光によって形成される、請求項6又は7に記載の蛍光性マーキングを備えたポリマー組成物の製造方法。
【請求項9】
ポリマー組成物がコーティング又はフィルムである、請求項6、7又は8に記載の傾向性マーキングを備えたポリマー組成物の製造方法。
【請求項10】
レーザーマーキングした基材の製造方法であって、
方法が、ポリマーと、キナクリドン、ジケトピロロピロール、ペリレン、インダントロン、アントラキノン、アゾ、イソインドリン、フタロシアニンの顔料、並びにこれらの混晶及び固溶体、好ましくはキナクリドン、DPP、又はペリレンの顔料からなる群より選択される非蛍光状態の顔料とを含有するコーティング又はフィルムを基材に適用し、
次いで、適切な波長の紫外線光を露光した際に、顔料の一部を、蛍光を発するマーキングを生成する蛍光状態の着色剤に変換するために、熱、例えばダイオードアレイ又はレーザー照射にポリマー組成物の特定領域を曝すことを含み、
蛍光性マーキングを生成するために熱に曝された特定領域が、波長400〜700nmの光源下で視認した場合又はUV光排除下でCIE L色測定装置で測定した場合に、熱に曝されていない組成物のそれらの部分と同じ色のままである、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の組成物を含む。レーザーマーキングした物品。
【請求項12】
コーティングが請求項1に記載の組成物を含む、基材とコーティングとを含む、レーザーマーキングした物品。
【請求項13】
請求項1に記載の組成物からなる、レーザーマーキングした物品。
【請求項14】
コーティングが請求項1に記載の組成物からなる、基材とコーティングとを含む、レーザーマーキングした物品。

【公表番号】特表2010−508429(P2010−508429A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535668(P2009−535668)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【国際出願番号】PCT/EP2007/061583
【国際公開番号】WO2008/055796
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(508120547)チバ ホールディング インコーポレーテッド (81)
【氏名又は名称原語表記】CIBA HOLDING INC.
【Fターム(参考)】