説明

着色アルミナ・シリカ粒子、その製造方法および該粒子を配合してなる化粧料

【課題】 本発明は、粒子表面その他に染料を固定化させた着色無機酸化物粒子、その製造方法および該粒子を配合してなる化粧料に関するものである。
【解決手段】 比表面積が5〜400m2/gで、平均粒子径が0.01〜10μmのアルミナ粒子からなるアルミナ成分と、平均粒子径が0.005〜0.5μmのシリカ粒子および/または珪酸液の脱水・縮重合物からなるシリカ成分とから構成される多孔質アルミナ・シリカ粒子の外部表面およびその細孔内表面に存在する前記アルミナ成分に酸性染料を固定化させてなる着色アルミナ・シリカ粒子、その製造方法および該粒子を配合してなる化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子表面その他に染料を固定化させた着色無機酸化物粒子、その製造方法および該粒子を配合してなる化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、メークアップ化粧料やスキンケア化粧料においては、その用途によっても異なるが、着色剤として顔料や染料が使用されている。
代表的な顔料としては、二酸化チタン、水酸化鉄、群青、ベンガラなどの無機顔料や、フタロシアニンブルー、ヘリンドンピンクなどの有機顔料がある。しかし、これらの顔料をそのまま化粧料に配合しようとすると、その色相調節が難しく、また使用顔料によっては皮膚に塗った際の感触が必ずしも良くないことが知られている。
【0003】
一方、代表的な染料としては、黄色4号、黄色5号、黄色202(1)号、黄色202(2)号、黄色203号、黄色402号、黄色406号、黄色407号、赤色2号、赤色3号、赤色201号、赤色202号、赤色227号、赤色230号、赤色504号、青色1号、青色2号、青色202号、青色203号、青色205号、緑色201号、紫色401号、褐色201号、黒色401号、橙色205号、橙色207号、橙色402号などの酸性染料や、赤色213号などの塩基性染料がある。しかし、これらの染料は、その殆どが水に溶けやすい反面、そのまま皮膚などに塗って一度、乾燥させると皮膚から落ちにくいという欠点を有している。また、前記の酸性染料においては、水道水中に含まれる塩素や光によって退色しやすいことが知られている。
昨今、このような問題を解決することを目的として、前記染料を着色剤として用いた着色粒子物質やこれを配合してなる化粧料が開発されている。
【0004】
このような着色粒子物質や化粧料としては、(1)基盤となる粉体粒子表面を、水膨潤性粘土鉱物の層間にポリ塩基基と酸性染料を閉じ込めた酸性染料包摂粘土物質で被覆してなる酸性染料積層顔料(特許文献1)、(2)無機化合物粒子の表面を、染料または染料と無機化合物の混合物で被覆し、さらに無機化合物または染料と無機化合物の混合物で被覆してなる複合顔料と油性基剤とからなる化粧料(特許文献2)、(3)二酸化珪素球体の表面を、酸化鉄等の金属酸化物または該金属酸化物と有機染料等の着色物質で被覆してなる無機球状吸収顔料(特許文献3)、(4)染料をマイクロカプセル化したポリマーマトリックス物質を配合してなる化粧品組成物(特許文献4)、(5)溶媒和染料を樹脂中に組み込んだ顔料を混合してなる化粧品担体を備えた化粧品組成物(特許文献5)、(6)粒子表面に、染料等の機能性有機化合物で修飾された官能基を有するモノマーをグラフト重合して得られる重合体層を形成してなる化粧料用改質無機微粒子(特許文献6)、(7)アミノ基を有する有機ケイ素化合物で表面処理された微粒子の表面に、該アミノ基を介して反応性染料を吸着させた着色球状シリコーン微粒子を配合してなる化粧料(特許文献7)などがある。
【0005】
これらの公知技術をカテゴリー別に分ければ、a)層間に染料を閉じ込めた被覆層を有する着色無機酸化物粒子またはこれを配合した化粧料、b)マイクロカプセルや樹脂中に染料を閉じ込めた着色有機粒子物質またはこれを配合した化粧料、c)染料成分で修飾されたモノマーの重合体で被覆した着色無機酸化物粒子またはこれを配合した化粧料、およびd)粒子上に施された表面処理物質と染料とを反応させて染料を固定化した着色無機酸化物粒子またはこれを配合した化粧料の4つに分類される。すなわち、これらの公知技術に記載された着色粒子物質の場合は、何らかの方法で前記染料が該物質中に閉じ込められているか、あるいは該物質の表面に固定化されているため、これらを皮膚などに塗って乾燥しても皮膚から落ちにくいことはない。
【0006】
しかしながら、これらの着色粒子物質を製造するには、いずれの技術においても複雑な工程を必要とするため、その製造コストが嵩んでしまうという欠点を有している。さらに、前記a)およびb)に示すような、無機化合物の層間に染料を閉じ込めた着色無機酸化物粒子や有機化合物の内部に染料を閉じ込めた着色有機粒子物質においては、染料自体の色がそのまま現れず、場合によっては色あせたものとなってしまうことがある。
【0007】
さらに、着色粒子物質を化粧料の材料として用いる場合には、この着色粒子物質に化粧料成分や汗などを吸収させる能力が求められることがある。しかし、前記a)〜d)に示すような、表面被覆または表面処理された着色無機酸化物粒子や有機化合物の内部に染料を閉じ込めた着色有機粒子物質においては、その粒子の表面や内部に細孔や空隙を殆ど有していなかったり、あるいはその粒子表面が疎水性であったりするため、このような要求に応じることは極めて難しい。
【0008】
【特許文献1】特開2004−331878号公報
【特許文献2】特開平1−157908号公報
【特許文献3】特開2001−49142号公報
【特許文献4】特表2006−519211号公報
【特許文献5】特開平3−258712号公報
【特許文献6】特開2003−63932号公報
【特許文献7】特開2003−335632号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らは、上記のような問題を全て解決することを目的として鋭意研究を重ねた結果、多孔質アルミナ・シリカ粒子の外部表面およびその細孔内表面に存在するアルミナ成分に前記染料を固定化させた着色アルミナ・シリカ粒子を用いればよいことを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、a)着色剤として酸性染料を用いた着色粒子物質を製造すること、b)前記着色粒子物質を皮膚などに塗ったり、着衣などにつけても落ちやすいものであること、c)前記着色粒子物質に固定化された前記染料が色あせて見えないこと、d)前記着色粒子物質が化粧料成分や汗などを吸収する能力を有すること、e)前記着色粒子物質が適度な強度を有すること、f)前記着色粒子物質に固定化された前記染料が水などの溶媒中に溶出しないこと、g)前記着色粒子物質に固定化された前記染料が光によって退色して色あせたものになりにくいこと、h)前記着色粒子物質を配合した化粧料を皮膚などに塗った際の使用感が悪くないこと、i)前記着色粒子物質の製造コストが比較的安価であることなどの要望を十分に満たすことのできる着色アルミナ・シリカ粒子およびその製造方法を提供することを目的としている。
さらに、本発明は、このような特性を備えた着色アルミナ・シリカ粒子を配合してなる化粧料、特にメークアップ化粧料およびスキンケア化粧料を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る着色アルミナ・シリカ粒子の製造方法は、
(1)比表面積が5〜400m2/gで、平均粒子径が0.01〜10μmのアルミナ粒子を含む水分散液と、平均粒子径が0.005〜0.5μmのシリカ粒子を含む水分散液および/または珪酸液とを混合して、前記アルミナ成分および前記珪素化合物成分が均一またはほゞ均一に分散された混合スラリーAを調製する工程、
(2)前記混合スラリーAを噴霧乾燥して、平均粒子径が0.5〜50μmの多孔質アルミナ・シリカ粒子Aを調製する工程、
(3)酸性染料を溶解または分散させた水溶液に前記多孔質アルミナ・シリカ粒子Aを添加して、該多孔質アルミナ・シリカ粒子Aの外部表面およびその細孔内表面に存在する前記アルミナ成分に前記酸性染料を吸着させた多孔質アルミナ・シリカ粒子Bを含む混合スラリーBを調製する工程、および
(4)前記多孔質アルミナ・シリカ粒子Bを乾燥して、該多孔質アルミナ・シリカ粒子Bの外部表面およびその細孔内表面に存在する前記アルミナ成分に前記酸性染料を固定化させた多孔質アルミナ・シリカ粒子Cを調製する工程
を含むことを特徴としている。
【0012】
前記アルミナ粒子は、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、σ−アルミナ、 χ−アルミナ、 η−アルミナ、θ−アルミナ、κ−アルミナ、水酸化アルミニウムおよび含水酸化アルミニウムから選ばれた1種または2種以上であることが好ましい。
また、前記混合スラリーA中に含まれる前記珪素化合物成分は、前記シリカ粒子を少なくとも含むものであることが好ましい。
さらに、前記混合スラリーA中に含まれる前記アルミナ成分をAl23で表し、さらに前記珪素化合物成分をSiO2で表したとき、その重量比(Al23/SiO2)は、99.5/0.5〜60/40の範囲にあることが好ましい。
また、前記の酸性染料は、有機系酸性染料であることが好ましい。
さらに、前記混合スラリーB中に含まれる前記酸性染料をDxで表し、さらに前記多孔質アルミナ・シリカ粒子AをAl23・SiO2で表したとき、その重量比(Dx/Al23・SiO2)は、0.001/99.999〜20/80の範囲にあることが好ましい。
【0013】
本発明に係る着色アルミナ・シリカ粒子は、比表面積が5〜400m2/gで、平均粒子径が0.01〜10μmのアルミナ粒子からなるアルミナ成分と、平均粒子径が0.005〜0.5μmのシリカ粒子および/または珪酸液の脱水・縮重合物からなるシリカ成分とから構成される多孔質アルミナ・シリカ粒子の外部表面およびその細孔内表面に存在する前記アルミナ成分に酸性染料を固定化させてなるものであることを特徴としている。
【0014】
ここで、前記多孔質アルミナ・シリカ粒子中に含まれる前記シリカ成分の含有量は、SiO2の重量基準で、0.5〜40重量%の範囲にあることが好ましい。
また、前記の酸性染料は、有機系酸性染料であることが好ましい。
さらに、前記着色アルミナ・シリカ粒子中に含まれる前記酸性染料の含有量は、0.001〜20重量%の範囲にあることが好ましい。
また、前記着色アルミナ・シリカ粒子が、平均粒子径が0.5〜50μmの範囲にあり、しかも球状またはほゞ球状の形状を有するものであることが好ましい。
【0015】
前記着色アルミナ・シリカ粒子の細孔容積は、0.1〜2.5ml/gの範囲にあることが好ましい。さらに、前記着色アルミナ・シリカ粒子の吸油量は、30〜300ml/gの範囲にあることが好ましい。
また、前記着色アルミナ・シリカ粒子の圧縮強度は、圧縮強度が、0.1kgf/mm2以上であることが好ましい。
さらに、前記着色アルミナ・シリカ粒子の彩度は、日本工業規格番号JIS Z 8729 5.2 に規定される測定方法で測定したとき、5.0以上であることが好ましい。
【0016】
前記着色アルミナ・シリカ粒子を20〜25℃の温度に保たれたpH7.0の純水に入れて撹拌した後、1日静置して得られる上澄み液の透過率(測定波長:400〜800nm)は、99%以上であることが好ましい。
また、前記着色アルミナ・シリカ粒子を20〜25℃の温度に保たれたアルコール溶媒に入れて撹拌した後、1日静置して得られる上澄み液の透過率(測定波長:400〜800nm)は、99%以上であることが好ましい。
【0017】
本発明に係る化粧料は、上記の着色アルミナ・シリカ粒子を配合してなるものであることを特徴としている。ここで、前記化粧料は、前記着色アルミナ・シリカ粒子を0.1〜30重量%の範囲で含むことが好ましい。
また、前記化粧料は、メークアップ化粧料またはスキンケア化粧料であることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明方法によれば、着色剤として酸性染料を用いた着色アルミナ・シリカ粒子を簡単に製造することができ、また以下に示すような優れた特性を備えた着色アルミナ・シリカ粒子を容易に得ることができる。
(a)前記染料が前記着色アルミナ・シリカ粒子の外部表面およびその細孔内表面に固定化されているため、これを皮膚などに塗ったり、着衣などにつけても簡単に落とすことができる。
(b)前記染料が無機化合物の層間や有機化合物の内部に閉じ込められていないため、前記着色アルミナ・シリカ粒子の外部表面およびその細孔内表面に固定化された染料の色がほゞそのまま現れて、色あせて見えることがない。
【0019】
(c)前記着色アルミナ・シリカ粒子は、親水性の表面性状を備えた多孔質アルミナ・シリカ粒子であるため、化粧料成分や汗などを吸収する能力を有している。
(d)前記着色アルミナ・シリカ粒子は、シリカ成分を含むものであるため、適度な圧縮強度を有していることから、肌に塗布した際に崩壊したり、感触を損なわせたりすることはない。
(e)前記着色アルミナ・シリカ粒子を水などの溶媒中に浸けても、該粒子の外部表面およびその細孔内表面に固定化された染料は、水やアルコール溶媒などの中に殆ど溶出することはない。
【0020】
(f)前記染料は、前記着色アルミナ・シリカ粒子の外部表面の他に、その細孔内表面にも固定化されているため、光による影響が少なく、結果としてその色が退色して色あせたものになりにくい。
(g)前記着色アルミナ・シリカ粒子は、アルミナ粒子からなるアルミナ成分と、シリカ粒子および/または珪酸液からなるシリカ成分とを混合して噴霧乾燥し、さらに得られた多孔質アルミナ・シリカ粒子を染料含有水溶液と混合した後、乾燥して得られるので、前記の公知技術に比べてその製造に要するコストはかなり少ない。
【0021】
さらに、本発明に係る化粧料は、前記の着色アルミナ・シリカ粒子が有する優れた特性を享受できるばかりでなく、噴霧乾燥で得られた球状またはほゞ球状の多孔質アルミナ・シリカ粒子に酸性染料を固定化した着色アルミナ・シリカ粒子を配合したものであるため、これを皮膚などに塗った際の使用感は極めて良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る着色アルミナ・シリカ粒子およびその製造方法について具体的に説明する。
【0023】
[着色アルミナ・シリカ粒子の製造方法]
本発明に係る着色アルミナ・シリカ粒子の製造方法は、
(1)比表面積が5〜400m2/gで、平均粒子径が0.01〜10μmのアルミナ粒子からなるアルミナ成分と、平均粒子径が0.005〜0.5μmのシリカ粒子を含む水分散液および/または珪酸液とを混合して、前記アルミナ成分および前記珪素化合物成分が均一またはほゞ均一に分散された混合スラリーAを調製する工程、
(2)前記混合スラリーAを噴霧乾燥して、平均粒子径が0.5〜50μmの多孔質アルミナ・シリカ粒子Aを調製する工程、
(3)酸性染料を溶解または分散させた水溶液に前記多孔質アルミナ・シリカ粒子Aを添加して、該多孔質アルミナ・シリカ粒子Aの外部表面およびその細孔内表面に存在する前記アルミナ成分に前記酸性染料を吸着させた多孔質アルミナ・シリカ粒子Bを含む混合スラリーBを調製する工程、および
(4)前記多孔質アルミナ・シリカ粒子Bを乾燥して、該多孔質アルミナ・シリカ粒子Bの外部表面およびその細孔内表面に存在する前記アルミナ成分に前記酸性染料を固定化させた多孔質アルミナ・シリカ粒子Cを調製する工程
を含むものである。
次に、前記の各工程ごとに説明すれば、以下の通りである。
【0024】
工程(1
この工程で使用される前記アルミナ粒子としては、水酸化アルミニウム、含水酸化アルミニウムおよび/または酸化アルミニウムであれば、従来公知の方法で製造された市販品を利用することができる。具体的には、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、σ−アルミナ、 χ−アルミナ、 η−アルミナ、θ−アルミナ、κ−アルミナ、水酸化アルミニウム、含水酸化アルミニウムなどを挙げることができ、この中でもβ−アルミナ、γ−アルミナ、σ−アルミナなどを使用することが望ましい。
しかし、本発明においては、球状またはほゞ球状の形状を有するアルミナ粒子、あるいは該粒子を水中に分散させてなるアルミナゾルなどを使用することが望ましい。このようなアルミナ粒子としては、水酸化アルミニウムの水溶液を噴霧乾燥して得られる球状アルミナ粒子などがある。
【0025】
また、前記アルミナ粒子は、比表面積が5〜400m2/g、好ましくは80〜300m2/gで、平均粒子径が0.01〜10μm、好ましくは0.02〜0.5μmの範囲にあるものから選択することが望まれる。ここで、比表面積が5m2/g未満であると、前記酸性染料の吸着量が減少し、淡い着色アルミナ・シリカ粒子となってしまうので実用的ではなく、また400m2/gを超えると、得られる着色アルミナ・シリカ粒子の圧縮強度が弱くなって、化粧料などに使用した際に崩壊してしまうので、好ましくない。
さらに、前記平均粒子径が0.01μm未満であると、前記酸性染料を吸着して固定化するために必要な細孔径や細孔容積を維持できなくなり、また前記平均粒子径が10μmを超えると、噴霧乾燥時に粒子の形状が歪んでしまうので、好ましくない。
【0026】
前記シリカ粒子としては、前記アルミナ粒子と同様に、従来公知の方法で製造された市販品を利用することができる。しかし、本発明においては、球状またはほゞ球状の形状を有するシリカ粒子、あるいは該粒子を水中に分散させてなるシリカゾルなどを使用することが望ましい。このようなシリカ粒子としては、珪酸液の水溶液を噴霧乾燥して得られる球状シリカ粒子や下記一般式(1)で表される有機珪素化合物を加水分解・縮重合して得られる球状シリカ粒子などがある。
nSiX4-n ・・・(1)
(式中、Rは炭素数1〜10の非置換型炭化水素基または置換型炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。また、Xは炭素数1〜4のアルコキシ基、シラノール基、ハロゲン基または水素を表し、nは0〜3である。)
【0027】
しかし、前記シリカ粒子は、その平均粒子径が0.005〜0.5μm、好ましくは0.002〜0.1μmの範囲にあるものから選択することが望まれる。ここで、前記平均粒子径が0.005μm未満であっても十分に使用可能であるが、以下に記載する測定方法では、0.005μm未満の平均粒子径を測定することは困難である。よって、ここでは平均粒子径の下限値を0.005μmとして規定する。また、前記平均粒子径が0.5μmを超えると、バインダー力が低下することによって、多孔質アルミナ・シリカ粒子の粒子強度が低下してしまうので、好ましくない。
【0028】
さらに、前記珪酸液としては、アルカリ金属珪酸塩、有機塩基の珪酸塩等の珪酸塩水溶液を陽イオン交換樹脂で処理して脱塩(Naイオンの除去等)したものを使用することができる。ここで、前記珪酸塩としては、珪酸ナトリウム(水ガラス)、珪酸カリウム等のアルカリ金属珪酸塩、第4級アンモニウムシリケート等の有機塩基の珪酸塩などが挙げられる。
【0029】
この中でも、pHが2〜6、好ましくは2〜3の範囲にあり、珪素成分の含有量がSiO2換算基準で0.5〜10重量%、好ましくは3〜4重量%の範囲にある珪酸液の水溶液を使用することが好ましい。ここで、前記pHが2未満であると、その処理に要する陽イオン交換樹脂の量と処理時間が必要以上に多くなって経済的でなくなり、また前記pHが6を超えると、脱アルカリの度合いが低いため、得られる珪酸液の安定性が悪くなるので、好ましくない。さらに、前記含有量が0.5重量%未満であると、経済的に前記無機酸化物微粒子を得ることが難しくなり、また前記含有量が10重量%を超えると、珪酸液の安定性が悪くなるので、好ましくない。
このような性状を有する珪酸液の水溶液としては、水ガラス(珪酸ナトリウム)を水で希釈した後、陽イオン交換樹脂で処理して脱アルカリしたものを使用することが好ましい。
【0030】
前記アルミナ粒子からなるアルミナ成分と、前記シリカ粒子および/または珪酸液からなる前記珪素化合物成分とは、適切な重量比で混合した後、十分に撹拌して均一またはほゞ均一に分散された混合スラリーAを調製することが好ましい。
ここで、前記珪素化合物成分としては、前記シリカ粒子、前記珪酸液、あるいはこれらの混合物から選択することができるが、多くの細孔または空隙を含む多孔質アルミナ・シリカ粒子を調製するためには、前記シリカ粒子のみ、あるいは少なくとも前記シリカ粒子を含むものを使用することが望ましい。しかし、前記珪酸液は、前記アルミナ粒子間、あるいは前記アルミナ粒子および前記シリカ粒子の粒子間のバインダー成分としても機能するので、圧縮強度に優れた多孔質アルミナ・シリカ粒子を製造する必要がある場合には、この珪酸液を使用することが望ましい。
【0031】
また、前記混合スラリーA中に含まれる前記アルミナ成分をAl23で表し、さらに前記珪素化合物成分をSiO2で表したとき、その重量比(Al23/SiO2)は、99.5/0.5〜60/40の範囲にあることが好ましい。ここで、前記重量比が99.5/0.5未満であると、多孔質アルミナ・シリカ粒子の強度が低下してしまい、また前記重量比が60/40を超えると、酸性染料の吸着量が低下してしまうので、好ましくない。
【0032】
工程(2
この工程における噴霧乾燥は、市販のスプレイドライヤー(ディスク回転式やノズル式等がある。)を用いた従来公知の方法で行うことができる。
すなわち、この噴霧乾燥は、前記混合スラリーAを熱風気流中に1〜3リットル/分の速度で噴霧することによって行われる。この際、前記熱風の温度は、入り口温度が150〜300℃、好ましくは170〜180℃の範囲にあることが望ましく、出口温度が40〜60℃の範囲にあることが好ましい。ここで、前記入口温度が150℃未満であると、前記混合スラリーA中に含まれる固形分の乾燥が不充分となり、また300℃を超えると、噴霧乾燥時に粒子の形状が歪んでしまうので、好ましくない。また、前記出口温度が40℃未満であると、前記固形分の乾燥度合いが悪くて装置内に付着するので、好ましくない。
【0033】
また、前記混合スラリーAは、前記固形分濃度が1〜30重量%、好ましくは5〜20重量%となるように予め調整した後、これをスプレイドライヤーに供して噴霧乾燥することが好ましい。ここで、前記固形分濃度が1重量%未満であると経済的でなくなり、また前記固形分濃度が30重量%を超えると、スラリー粘度が上昇して、噴霧乾燥品の形状が歪んでしまうので、好ましくない。
【0034】
このようにして得られる前記多孔質アルミナ・シリカ粒子Aは、平均粒子径が0.5〜50μmの範囲にあることが望まれる。ここで、前記平均粒子径が0.5μm未満であると、粒子粉体に触ったときの感触としてきしみ感や延び広がり感の悪さを感じるようになり、また前記平均粒子径が50μmを超えると、粒子粉体に触ったときの感触としてざらつき感を感じるようになるので、好ましくない。
また、このように噴霧乾燥して得られる前記多孔質アルミナ・シリカ粒子Aは、球状またはほゞ球状からなる形状を有している。
【0035】
なお、前記珪酸液を含む前記混合スラリーAをスプレイドライヤーに供して噴霧乾燥する場合には、該珪酸液中に含まれる硅素化合物は脱水・縮重合されて、シリカ成分となる。よって、得られる多孔質アルミナ・シリカ粒子中においては、前記珪酸液の脱水・縮重合物として存在する。
【0036】
工程(3
この工程で使用される前記酸性染料としては、前記アルミナ成分に吸着されるものであるならば、特に制限なく従来公知のものを使用することができる。しかし、本発明においては、黄色4号、黄色5号、黄色202(1)号、黄色202(2)号、黄色203号、黄色402号、黄色406号、黄色407号、赤色2号、赤色3号、赤色201号、赤色202号、赤色227号、赤色230号、赤色504号、青色1号、青色2号、青色202号、青色203号、青色205号、緑色201号、紫色401号、褐色201号、黒色401号、橙色205号、橙色207号、橙色402号などの有機系酸性染料を使用することが好ましい。
【0037】
前記酸性染料は、純水や蒸留水などの溶媒に溶解または分散させて使用される。ここで、前記酸性染料は、その種類や性状、更には着色すべき多孔質アルミナ・シリカ粒子に対する要求(例えば、着色粒子の色度等)などによっても異なるが、該水溶液中に0.01〜1重量%の範囲で含んでいることが好ましい。この場合、前記酸性染料の溶解度が低くて溶けにくい場合には、前記溶媒を予め40〜80℃の温度に加熱しておき、これに前記酸性染料を撹拌下で添加してもよい。
【0038】
前記水溶液中に前記多孔質アルミナ・シリカ粒子Aを添加して撹拌することにより、該多孔質アルミナ・シリカ粒子Aの外部表面およびその細孔内表面に存在する前記アルミナ成分に前記酸性染料を吸着させた多孔質アルミナ・シリカ粒子Bを含む混合スラリーBが調製される。
ここで、前記酸性染料は、前記アルミナ成分に容易に吸着するので、該酸性染料を吸着させた多孔質アルミナ・シリカ粒子Bを簡単に得ることができる。しかし、前記酸性染料は、前記多孔質アルミナ・シリカ粒子を構成する前記シリカ成分には殆ど吸着されない。これは、前記シリカ成分が、前記酸性染料を吸着する能力を有していないことによるものと考えられる。
【0039】
また、前記混合スラリーB中に含まれる前記酸性染料をDxで表し、さらに前記多孔質アルミナ・シリカ粒子AをAl23・SiO2で表したとき、その重量比(Dx/Al23・SiO2)は、0.001/99.999〜20/80の範囲にあることが好ましい。ここで、前記重量比が0.001/99.999未満であると、非常に淡い色合いとなるため実用的でなく、また前記重量比が20/80を超えると、前記粒子の外部表面およびその細孔内表面に吸着されずに存在する前記酸性染料が溶媒中に溶出するので、好ましくない。
【0040】
工程(4)
この工程における乾燥は、従来公知の一般的な方法で行うことができる。
すなわち、この乾燥は、前記混合スラリーB中に含まれる固形分を濾過分離した後、必要に応じて純水または蒸留水で洗浄してから乾燥機中に入れて、100〜200℃の温度で乾燥することによって行うことができる。
また、前記混合スラリーBを限外濾過膜を用いて濃縮した後、該濃縮水溶液をそのまま乾燥機中に入れて、100〜200℃の温度で乾燥することもできる。
なお、乾燥された着色アルミナ・シリカ粒子が凝集している場合には、これをすり鉢やミキサーなどを用いて解砕することができる。
【0041】
このようにして乾燥することにより、前記多孔質アルミナ・シリカ粒子Bの外部表面およびその細孔内表面に存在する前記アルミナ成分に前記酸性染料を固定化させた多孔質アルミナ・シリカ粒子C、すなわち本発明による着色アルミナ・シリカ粒子を得ることができる。
【0042】
[着色アルミナ・シリカ粒子]
本発明に係る着色アルミナ・シリカ粒子は、比表面積が5〜400m2/gで、平均粒子径が0.01〜10μmのアルミナ粒子からなるアルミナ成分と、平均粒子径が0.005〜0.5μmのシリカ粒子/または珪酸液の脱水・縮重合物からなるシリカ成分とから構成される多孔質アルミナ・シリカ粒子の外部表面およびその細孔内表面に存在する前記アルミナ成分に酸性染料を固定化させてなるものである。
【0043】
前記着色アルミナ・シリカ粒子を構成する、前記アルミナ粒子からなるアルミナ成分、前記シリカ粒子および/または前記珪酸液からなるシリカ成分、更には前記酸性染料については、上記した通りであるので、ここではその説明を省略する。
しかし、前記多孔質アルミナ・シリカ粒子中に含まれる前記シリカ成分の含有量は、SiO2の重量基準で、0.5〜40重量%の範囲にあることが好ましい。ここで、前記含有量が0.5重量%未満であると、多孔質アルミナ・シリカ粒子の強度が低下してしまい、また前記重量比が60/40を超えると、酸性染料の吸着量が低下してしまうので、好ましくない。
【0044】
また、前記着色アルミナ・シリカ粒子中に含まれる前記酸性染料の含有量は、0.001〜20重量%の範囲にあることが好ましい。ここで、前記含有量が0.001/99.999未満であると、非常に淡い色合いとなるため実用的でなく、また前記重量比が20/80を超えると、前記着色アルミナ・シリカ粒子を純水やエタノールに入れた場合、前記粒子の外部表面およびその細孔内表面に吸着されずに存在する前記酸性染料が溶媒中に溶出するので、好ましくない。
【0045】
さらに、前記着色アルミナ・シリカ粒子は、前記工程(2)の「多孔質アルミナ・シリカ粒子の調製」のところでも述べたように、平均粒子径が0.5〜50μmの範囲にあり、しかも球状またはほゞ球状の形状を有するものであることが好ましい。これは、このような形状を有している前記着色アルミナ・シリカ粒子を化粧料に配合すると、皮膚などに塗った際の使用感が非常によくなるためである。
【0046】
また、前記着色アルミナ・シリカ粒子の細孔容積は、0.1〜2.5ml/gの範囲にあることが好ましい。ここで、前記細孔容積が0.1ml/g未満であると、吸油量が低下し、また前記細孔容積が2.5ml/gを超えると、多孔質アルミナ・シリカ粒子の粒子強度が低下してしまうので、好ましくない。
さらに、前記着色アルミナ・シリカ粒子の吸油量は、30〜300ml/gの範囲にあることが好ましい。ここで、前記吸油量が30ml/g未満であると、化粧料として配合した場合の皮脂吸収効果が見込めなくなり、また前記吸油量が300ml/gを超えると、多孔質アルミナ・シリカ粒子の粒子強度が低下してしまうので、好ましくない。
【0047】
また、前記着色アルミナ・シリカ粒子の圧縮強度は、0.1kgf/mm2以上であることが好ましい。ここで、前記圧縮強度が0.1kgf/mm2未満であると、多孔質アルミナ・シリカ粒子の粒子崩壊を容易に引き起こしてしまうので、好ましくない。
さらに、前記着色アルミナ・シリカ粒子の彩度は、日本工業規格番号JIS Z 8729 5.2 に規定される測定方法で測定したとき、5.0以上であることが好ましい。ここで、前記彩度が5.0未満であると、化粧料などに配合したとき、淡い色合いとなってしまうため、好ましくない。
【0048】
前記着色アルミナ・シリカ粒子を20〜25℃の温度に保たれたpH7.0の純水に入れて撹拌した後、1日静置して得られる上澄み液の透過率(測定波長:400〜800nm)は、99%以上であることが好ましい。
また、前記着色アルミナ・シリカ粒子を20〜25℃の温度に保たれたアルコール溶媒に入れて撹拌した後、1日静置して得られる上澄み液の透過率(測定波長:400〜800nm)は、99%以上であることが好ましい。
【0049】
これは、前記着色アルミナ・シリカ粒子の外部表面およびその細孔内表面に存在する前記アルミナ成分に固定化された前記酸性染料が純水などの溶媒中に溶出しないことを意味する。よって、前記透過率が99%未満である場合には、上記の製造方法で述べた前記工程(4)で乾燥する前に、必要に応じ前記多孔質アルミナ・シリカ粒子Bを純水などで濾過・洗浄しておけばよい。
【0050】
[化粧料]
以下に、本発明に係る化粧料について具体的に説明するが、これらの化粧料に必ずしも限定されるものではない。
本発明に係る化粧料は、前記着色アルミナ・シリカ粒子と、以下に述べる各種化粧料成分とを配合して得られるものである。
【0051】
本発明化粧料への前記着色アルミナ・シリカ粒子の配合量は、調製すべき化粧料の種類や配合すべき化粧料成分等によっても異なるが、前記化粧料に対し0.1〜30重量%、好ましくは1〜10重量%の範囲にあることが好ましい。ここで、前記配合量が1重量%未満では、非常に淡い色合いとなるため実用的でなく、また前記配合量が30重量%を超えると、化粧持ちが悪くなるので、好ましくない。
【0052】
前記の各種化粧料成分としては、例えば、高級脂肪族アルコール、高級脂肪酸、エステル油、パラフィン油、ワックス等の油分、エチルアルコール、プロピレングリコール、ソルビトール、グリセリンなどのアルコール類、ムコ多糖類、コラーゲン類、PCA塩、乳酸塩などの保湿剤、ノニオン系、カチオン系、アニオン系または両性の各種界面活性剤、アラビアガム、キサンタンガム、ポリビニルピロリドン、エチルセルローズ、カルボキシメチルセルローズ、カルボキシビニルポリマー、変性又は未変性の粘土鉱物などの増粘剤、酢酸エチルなどの溶剤、無機顔料、有機顔料、有機染料、BHT、トコフェロールなどの酸化防止剤、水、薬剤、紫外線吸収剤、pH緩衝剤、キレート化剤、防腐剤、香料などが挙げられる。
【0053】
また、本発明による化粧料には、色相の異なった前記着色アルミナ・シリカ粒子、すなわち前記酸性染料の種類(例えば、青色染料、赤色染料、黄色染料等)を換えて製造された前記着色アルミナ・シリカ粒子を一種類以上含んでいてもよい。さらに、前記着色アルミナ・シリカ粒子に加えて、従来公知の無機顔料(例えば、酸化チタン粒子等)などを配合してもよい。
【0054】
本発明による化粧料は、従来公知の一般的な方法で製造することができる。
このような方法で製造された化粧料は、粉末状、ケーキ状、液状、クリーム状などの各種形態で使用され、さらに具体的に述べれば、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、クリームファンデーション、ムースファンデーション、プレスドパウダー等のベースメークアップ化粧料、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、口紅等のポイントメークアップ化粧料、ボディパウダー、乳液、クリーム、化粧下地等のスキンケア化粧料などが挙げられる。この中でも、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、プレスドパウダー等のメークアップ化粧料に使用することが特に好ましい。
【0055】
このようにして得られた化粧料は、前記着色アルミナ・シリカ粒子が有する優れた特性を享受できるばかりでなく、噴霧乾燥で得られた球状またはほゞ球状の多孔質アルミナ・シリカ粒子に酸性染料を固定化した着色アルミナ・シリカ粒子を配合したものであるため、これを皮膚などに塗った際の使用感は極めて良好である。
なお、本発明に係る前記着色アルミナ・シリカ粒子は、その他の化粧料に配合して使用してもよい。しかし、これらの化粧料は、前記の基本的特性の全てを必ずしも要求しないので、必要に応じて前記着色アルミナ・シリカ粒子を使用することが望ましい。
【0056】
〔測定方法〕
次に、本発明の実施例その他で採用された測定方法を具体的に述べれば、以下の通りである。
(1)アルミナ粒子の比表面積
前記アルミナ粒子を磁性ルツボ(B−2型)に約30ml採取し、300℃で2時間乾燥後、デシケーターに入れて室温まで冷却する。次に、サンプルを1g取り、全自動表面積測定装置(湯浅アイオニクス社製マルチソーブ12型)を用いて比表面積(m2/g)を測定(BET法)する。
【0057】
(2)アルミナ粒子の平均粒子径
前記アルミナ粒子1gに水を39g加えて懸濁し、超音波発生機(iuch社製US−2型)にて5分間分散する。さらに、水を加えて適度に濃度を調節し、ガラスセル(長さ10mm、幅10mm、高さ45mmのサイズ)に分散液を取り、遠心式自動粒度分布測定装置(HORIBA社製CAPA−700型)を用いて平均粒子径を測定する。
【0058】
(3)シリカ粒子の平均粒子径
NaOH滴定法にて比表面積S(m2/g)を測定し、以下の式にて平均粒子径を算出する。
S=[4π(D/2)2×(10-92]/[4π×(D/2)3/3×(無定形シリカの真比重)×(10-73
より、
D=6000/(S×2.2)
上記の式で、Dは平均粒子径(nm)、Sは比表面積(m2/g)を表す。また、無定形シリカの真比重は2.2g/cm3とする。
【0059】
(4)多孔質アルミナ・シリカ粒子/着色アルミナ・シリカ粒子の平均粒子径
前記多孔質アルミナ・シリカ粒子または着色アルミナ・シリカ粒子1gに水を39g加えて懸濁し、超音波発生機(iuch社製US−2型)にて5分間分散する。さらに、水を加えて適度に濃度を調節し、10mmガラスセル(長さ10mm、幅10mm、高さ45mmのサイズ)に分散液を取り、遠心式自動粒度分布測定装置(HORIBA社製CAPA−700型)を用いて平均粒子径を測定する。
【0060】
(5)着色アルミナ・シリカ粒子の細孔容積
前記着色アルミナ・シリカ粒子を磁性ルツボ(B−2型)に約30ml採取し、110℃で2時間乾燥後、デシケーターに入れて室温まで冷却する。次に、よく洗浄したセルに試料1gを取り、窒素吸着装置(自社製)を用いて窒素を吸着させて、その重量を測定し、以下の式により細孔容積を算出する。
細孔容積(ml/g)=(0.001567×(V−Vc)/w)
上記の式で、Vは圧力735mmHgにおける標準状態の吸着量(ml)、Vcは圧力735mmHgにおけるセルブランクの容量(ml)、Wは試料の重量(g)を表す。また、窒素ガスと液体窒素の密度の比を0.001567とする。
【0061】
(6)着色アルミナ・シリカ粒子の吸油量
前記着色アルミナ・シリカ粒子1.5gを薬包紙に採取し、ガラス測定板に移す。次に、煮あまに油(JIS K 5101に規定するもの)をビュレットから1回に4、5滴ずつ試料に滴下し、全体をヘラで練り合わせる。この滴下と練り合わせを繰り返し、螺旋形を巻く状態となったときを終点とし、以下の式にて吸油量を算出する。
吸油量(ml/100g)=(A/W)×100
上記の式で、Aは煮あまに油の滴下量(ml)、Wは試料の採取量(g)を表す。
【0062】
(7)着色アルミナ・シリカ粒子の圧縮強度
前記着色アルミナ・シリカ粒子(粒子径5±1μm)から粒子1個を試料として採取し、微小圧縮試験機(島津作製所製 MCTM−200型)を用いて一定の負荷速度で加重をかけて、粒子が破壊した時点の荷重値を圧縮強度(kgf/mm2)とする。ここでは、5個の粒子について測定し、その平均値を粒子の圧縮強度とする。
【0063】
(8)上澄み液の透過率
前記着色アルミナ・シリカ粒子を0.5g採取し、100mlビーカーに移す。次に、蒸留水もしくはエタノールを49.5g加えて懸濁し、1時間撹拌する。さらに、超音波発生機(iuch社製US−2型)にて10分間分散し、1日静置する。次に、それを遠心分離機で分離させて、上澄み液を採取する。さらに、その上澄み液0.2μmをマイクロフィルターにてろ過し、石英セル(長さ10mm、幅10mm、高さ45mmのサイズ)に入れた後、分光光度計(HITACHI社製U−2000)を用いて波長400〜800nmにおける透過率を測定し、この範囲における最も低い値を上澄み液の透過率とする。
【0064】
(9)着色度合い(彩度)の測定
前記着色アルミナ・シリカ粒子を測色用のステンレスカップいっぱいに取り、試料の表面を平らなガラス板を使用して平滑にさせる。次に、分光光度計(ミノルタ社製、CM2002型)にカバーガラス(ミノルタ社製、CM−A40)をセットし、光源D−60、視野10度、SCI法にてL***表色系にて測色して、以下の式より彩度を算出する。
彩度=[(a*2+(b*21/2
【実施例】
【0065】
以下、実施例に基づき本発明をさらに具体的に説明する。しかし、本発明は、これらの実施例に記載された範囲に限定されるものではない。
【0066】
[実施例1]
比表面積100m2/g、平均粒子径0.2μmのδ−アルミナ粒子(degussa社製、AEROXIDE Alu C)90gを純水850gに加えて30分間撹拌して前記アルミナ粒子の懸濁液を得た。次いで、これをディスパーミル(ホソカワミクロン社製、D−1型)にかけて前記懸濁液中に含まれる前記アルミナ粒子の凝集物などを解砕して、前記アルミナ粒子を分散させた水分散液を得た。
【0067】
次に、この水分散液に、平均粒子径0.007μmのシリカ系粒子をSiO2基準で16.5重量%含む水分散ゾル60g(触媒化成工業製、Cataloid SN−350)を加えて15分間撹拌して、前記アルミナ粒子および前記シリカ粒子が均一またはほゞ均一に分散された混合スラリーA1000gを調製した。
このようにして得られた混合スラリーA中に含まれる固形分濃度は10重量%であり、また前記アルミナ粒子をAl23で表し、さらに前記シリカ粒子をSiO2で表したとき、その重量比(Al23/SiO2)は90/10であった。
【0068】
次いで、前記混合スラリーAをスプレイドライヤー(NIRO社製、NIRO ATMIZER)に供して噴霧乾燥を行った。この噴霧乾燥の操作条件は、入口温度200℃、出口温度55℃、噴霧速度2リットル/分であった。さらに、得られたアルミナ・シリカ粒子の粉体を110℃の温度で18時間乾燥させて、ほゞ球状の形状を有する平均粒子径5μmの多孔質アルミナ・シリカ粒子A650gを得た。
【0069】
次に、青色酸性染料(癸巳化成社製 青色2号)1.4gを撹拌下で純水1398.6gに加えて溶解させた水溶液を得た。次いで、この水溶液に、前記多孔質アルミナ・シリカ粒子A100gを添加して30分間撹拌し、さらに1時間放置した。これにより、前記多孔質アルミナ・シリカ粒子Aの外部表面およびその細孔内表面に存在する前記アルミナ成分に前記酸性染料を吸着させた多孔質アルミナ・シリカ粒子Bを含む混合スラリーB2600gを得た。
このようにして得られた混合スラリーB中に含まれる固形分濃度は3.85重量%であり、また前記酸性染料をDxで表し、さらに前記多孔質アルミナ・シリカ粒子をAl23・SiO2で表したとき、その重量比(Dx/Al23・SiO2)は2.5/100であった。
【0070】
次いで、前記混合スラリーBをヌッチェにて脱水して得られた洗浄ケーキを110℃の温度で18時間乾燥した。なお脱水において得られた濾液の色は透明であった。これにより、前記多孔質アルミナ・シリカ粒子Bの外部表面およびその細孔内表面に存在する前記アルミナ成分に前記酸性染料を固定化させた青色の多孔質アルミナ・シリカ粒子C、すなわち着色アルミナ・シリカ粒子(以下、「実施例粒子−1」という)102gを得た。なお、比較を容易にするため、上記の製造条件の一部を表1に示す。
このようにして得られた着色アルミナ・シリカ粒子について、上記方法にて、細孔容積、吸油量、圧縮強度および彩度を測定した。また、上記の方法で前記着色アルミナ・シリカ粒子を純水に浸して得られた上澄み液の透過率を測定した。これらの結果を表2に示す。
【0071】
[実施例2および比較例1]
比表面積4m2/g、平均粒子径0.5μmのα−アルミナ粒子(住友化学社製 AKP−20)、平均粒子径0.1μm、平均粒子径0.15μmまでビーズミルを使用して微粒化した実施例1の前記アルミナ粒子、および比表面積6m2/g、平均粒子径22μmのα−アルミナ粒子(昭和電工社製 AS−20)をそれぞれ使用した以外は、実施例1と同様な方法で、青色の多孔質アルミナ・シリカ粒子C、すなわち着色アルミナ・シリカ粒子(以下、「比較例粒子−1a」、「実施例粒子−2a」、「実施例粒子−2b」および「比較例粒子−1b」、という)を得た。なお、比較を容易にするため、上記の製造条件の一部を表1に示す。
このようにして得られた着色アルミナ・シリカ粒子について、上記方法にて、細孔容積、吸油量、圧縮強度および彩度を測定した。また、上記の方法で前記着色アルミナ・シリカ粒子を純水に浸して得られた上澄み液の透過率を測定した。これらの結果を表2に示す。
【0072】
[実施例3および比較例2]
平均粒子径0.005μm、平均粒子径0.02μmおよび平均粒子径0.55μmからなるシリカ粒子をそれぞれ使用した以外は、実施例1と同様な方法で、青色の多孔質アルミナ・シリカ粒子C、すなわち着色アルミナ・シリカ粒子(以下、「実施例粒子−3a」、「実施例粒子−3b」および「比較例粒子−2」、という)を得た。なお、比較を容易にするため、上記の製造条件の一部を表1に示す。
このようにして得られた着色アルミナ・シリカ粒子について、上記方法にて、細孔容積、吸油量、圧縮強度および彩度を測定した。また、上記の方法で前記着色アルミナ・シリカ粒子を純水に浸して得られた上澄み液の透過率を測定した。これらの結果を表2に示す。
【0073】
[実施例4]
実施例1で使用されたシリカ粒子の代わりに、平均粒子径0.005μmのシリカ粒子30gと珪素成分をSiO2換算基準で4.8重量%含むpH2.8の珪酸液103gとからなる珪素化合物成分、および珪素成分をSiO2換算基準で4.8重量%含むpH2.8の珪酸液206gからなる珪素化合物成分を用いた以外は、実施例1と同様な方法で、青色の多孔質アルミナ・シリカ粒子C、すなわち着色アルミナ・シリカ粒子(以下、「実施例粒子−4a」および「実施例粒子−4b」という)を得た。なお、比較を容易にするため、上記の製造条件の一部を表1に示す。
このようにして得られた着色アルミナ・シリカ粒子について、上記方法にて、細孔容積、吸油量、圧縮強度および彩度を測定した。また、上記の方法で前記着色アルミナ・シリカ粒子を純水に浸して得られた上澄み液の透過率を測定した。これらの結果を表2に示す。
【0074】
[実施例5および比較例3]
実施例1で得られた混合スラリーA中に含まれる固形分濃度を0.5重量%、8重量%、12重量%および40重量%に調整して噴霧乾燥した(ただし、40重量%スラリーAは粘度が高すぎて噴霧乾燥はできなかった)以外は、実施例1と同様な方法で、青色の多孔質アルミナ・シリカ粒子C、すなわち着色アルミナ・シリカ粒子(以下、「比較例粒子−3a」、「実施例粒子−5a」、「実施例粒子−5b」および「比較例粒子−3b」、という)を得た。なお、比較を容易にするため、上記の製造条件の一部を表1に示す。
このようにして得られた着色アルミナ・シリカ粒子について、上記方法にて、細孔容積、吸油量、圧縮強度および彩度を測定した。また、上記の方法で前記着色アルミナ・シリカ粒子を純水に浸して得られた上澄み液の透過率を測定した。これらの結果を表2に示す。
【0075】
[実施例6]
比表面積150m2/g、平均粒子径0.1μmのγ−アルミナ粒子(住友化学社製AKP−G015)、比表面積275m2/g、平均粒子0.3μmのβ−アルミナ粒子(触媒化成工業製、Cataloid AP−3)、比表面積12m2/g、平均粒子径0.2μmのα−アルミナ粒子(住友化学社製 AKP−50)をそれぞれ使用した以外、実施例1と同様な方法で、青色の多孔質アルミナ・シリカ粒子C、すなわち着色アルミナ・シリカ粒子(以下、「実施例−6a」、「実施例−6b」、「実施例−6c」、という)を得た。なお、比較を容易にするため、上記の製造条件の一部を表1に示す。
このようにして得られた着色アルミナ・シリカ粒子について、上記方法にて、細孔容積、吸油量、圧縮強度および彩度を測定した。また、上記の方法で前記着色アルミナ・シリカ粒子を純水に浸して得られた上澄み液の透過率を測定した。これらの結果を表2に示す。
【0076】
[比較例4]
実施例1で調製されたアルミナ粒子の水分散液にシリカ粒子等の珪素化合物成分を加えないで噴霧乾燥した以外は、実施例1と同様な方法で、青色の多孔質アルミナ・シリカ粒子C、すなわち着色アルミナ・シリカ粒子(以下、「比較例粒子−4」という)を得た。なお、比較を容易にするため、上記の製造条件の一部を表1に示す。
このようにして得られた着色アルミナ・シリカ粒子について、上記方法にて、細孔容積、吸油量、圧縮強度および彩度を測定した。また、上記の方法で前記着色アルミナ・シリカ粒子を純水に浸して得られた上澄み液の透過率を測定した。これらの結果を表2に示す。
【0077】
[実施例7および比較例5]
実施例1で調製された混合スラリーA中に含まれる前記アルミナ粒子と前記シリカ粒子との含有割合を、前記アルミナ粒子をAl23で表し、さらに前記シリカ粒子をSiO2で表したとき、その重量比(Al23/SiO2)が99.9/0.1、95/5、80/20および50/50となるように調整した以外は、実施例1と同様な方法で、青色の多孔質アルミナ・シリカ粒子C、すなわち着色アルミナ・シリカ粒子(以下、「比較例粒子−5a」、「実施例粒子−7a」、「実施例粒子−7b」および「比較例粒子−5b」、という)という)を得た。なお、比較を容易にするため、上記の製造条件の一部を表1に示す。
このようにして得られた着色アルミナ・シリカ粒子について、上記方法にて、細孔容積、吸油量、圧縮強度および彩度を測定した。また、上記の方法で前記着色アルミナ・シリカ粒子を純水に浸して得られた上澄み液の透過率を測定した。これらの結果を表2に示す。
【0078】
[実施例8]
実施例1で使用した青色酸性染料の代わりに、赤色酸性染料(癸巳化成社製 赤色3号)を使用した以外は、実施例1と同様な方法で、赤色の多孔質アルミナ・シリカ粒子C、すなわち着色アルミナ・シリカ粒子(以下、「実施例粒子−8」という)という)を得た。なお、比較を容易にするため、上記の製造条件の一部を表1に示す。
このようにして得られた着色アルミナ・シリカ粒子について、上記方法にて、細孔容積、吸油量、圧縮強度および彩度を測定した。また、上記の方法で前記着色アルミナ・シリカ粒子を純水に浸して得られた上澄み液の透過率を測定した。これらの結果を表2に示す。
【0079】
[実施例9]
実施例1で使用した青色酸性染料の代わりに、褐色酸性染料(癸巳化成社製 褐色201号)を使用した以外は、実施例1と同様な方法で、褐色の多孔質アルミナ・シリカ粒子C、すなわち着色アルミナ・シリカ粒子(以下、「実施例粒子−9」という)という)を得た。なお、比較を容易にするため、上記の製造条件の一部を表1に示す。
このようにして得られた着色アルミナ・シリカ粒子について、上記方法にて、細孔容積、吸油量、圧縮強度および彩度を測定した。また、上記の方法で前記着色アルミナ・シリカ粒子を純水に浸して得られた上澄み液の透過率を測定した。これらの結果を表2に示す。
【0080】
[実施例10および比較例6]
実施例1で調製された混合スラリーB中に含まれる前記青色酸性染料と前記多孔質アルミナ・シリカ粒子との含有割合を、前記酸性染料をDxで表し、さらに前記多孔質アルミナ・シリカ粒子AをAl23・SiO2で表したとき、その重量比(Dx/Al23・SiO2)が0.0001/99.9999、1/99、3/97および30/70となるように調整した以外は、実施例1と同様な方法で、青色の多孔質アルミナ・シリカ粒子C、すなわち着色アルミナ・シリカ粒子(以下、「比較例粒子−6a」、「実施例粒子−10a」、「実施例粒子−10b」および「比較例粒子−6b」、という)という)を得た。なお、比較を容易にするため、上記の製造条件の一部を表2に示す。
このようにして得られた着色アルミナ・シリカ粒子について、上記方法にて、細孔容積、吸油量、圧縮強度および彩度を測定した。また、上記の方法で前記着色アルミナ・シリカ粒子を純水に浸して得られた上澄み液の透過率を測定した。これらの結果を表2に示す。
【0081】
【表1】

【0082】
【表2】

【0083】
上記の表2において、○印は、粒子がほぼ球状であることを意味し、△印は、粒子がやや歪な球状であることを意味し、また×印は、粒子が歪な形状であることを意味する。
【0084】
[実施例11]
タルク(浅田製粉社製 TALC JA−46R)10g、マイカ(キララ社製 白雲母 Y3000M)19.8g、パラベン(上野製薬社製メッキンスーM)0.2g、パール粉体(メルク社製Timiron Super Sheen MP−1001)10g、実施例1で調製した着色多孔質アルミナ・シリカ粒子10gをミキサーを用いて混合する。
さらに、ジメチコン(信越化学工業社製KF−96A−6cs)10g、ジイソステアリン酸ポリグリセリルー2(日清オイリオグループ社製コスモール42V)3g、イソノナン酸イソノニル(日清オイリオグループ社製サラコス99)7gを加えて再度混合して、パウダーアイシャドー65gを得た。
このようにして得られたパウダーアイシャドーを観察したところ、淡い青色であり、しかも好感触を有するものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)比表面積が5〜400m2/gで、平均粒子径が0.01〜10μmのアルミナ粒子を含む水分散液と、平均粒子径が0.005〜0.5μmのシリカ粒子を含む水分散液および/または珪酸液とを混合して、前記アルミナ成分および前記珪素化合物成分が均一またはほゞ均一に分散された混合スラリーAを調製する工程、
(2)前記混合スラリーAを噴霧乾燥して、平均粒子径が0.5〜50μmの多孔質アルミナ・シリカ粒子Aを調製する工程、
(3)酸性染料を溶解または分散させた水溶液に前記多孔質アルミナ・シリカ粒子Aを添加して、該多孔質アルミナ・シリカ粒子Aの外部表面およびその細孔内表面に存在する前記アルミナ成分に前記酸性染料を吸着させた多孔質アルミナ・シリカ粒子Bを含む混合スラリーBを調製する工程、および
(4)前記多孔質アルミナ・シリカ粒子Bを乾燥して、該多孔質アルミナ・シリカ粒子Bの外部表面およびその細孔内表面に存在する前記アルミナ成分に前記酸性染料を固定化させた多孔質アルミナ・シリカ粒子Cを調製する工程
を含むことを特徴とする着色アルミナ・シリカ粒子の製造方法。
【請求項2】
前記アルミナ粒子が、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、σ−アルミナ、 χ−アルミナ、 η−アルミナ、θ−アルミナ、κ−アルミナ、水酸化アルミニウムおよび含水酸化アルミニウムから選ばれた1種または2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の着色アルミナ・シリカ粒子の製造方法。
【請求項3】
前記混合スラリーA中に含まれる前記珪素化合物成分が、前記シリカ粒子を少なくとも含むものであることを特徴とする請求項1〜2に記載の着色アルミナ・シリカ粒子の製造方法。
【請求項4】
前記混合スラリーA中に含まれる前記アルミナ成分をAl23で表し、さらに前記珪素化合物成分をSiO2で表したとき、その重量比(Al23/SiO2)が、99.5/0.5〜60/40の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の着色アルミナ・シリカ粒子の製造方法。
【請求項5】
前記酸性染料が、有機系酸性染料であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の着色アルミナ・シリカ粒子の製造方法。
【請求項6】
前記混合スラリーB中に含まれる前記酸性染料をDxで表し、さらに前記多孔質アルミナ・シリカ粒子AをAl23・SiO2で表したとき、その重量比(Dx/Al23・SiO2)が、0.001/99.999〜20/80の範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の着色アルミナ・シリカ粒子の製造方法。
【請求項7】
比表面積が5〜400m2/gで、平均粒子径が0.01〜10μmのアルミナ粒子と、平均粒子径が0.005〜0.5μmのシリカ粒子および/または珪酸液の脱水・縮重合物からなるシリカ成分とから構成される多孔質アルミナ・シリカ粒子の外部表面およびその細孔内表面に存在する前記アルミナ成分に酸性染料を固定化させてなる着色アルミナ・シリカ粒子。
【請求項8】
前記多孔質アルミナ・シリカ粒子中に含まれる前記シリカ成分の含有量が、SiO2の重量基準で、0.5〜40重量%の範囲にあることを特徴とする請求項7に記載の着色アルミナ・シリカ粒子。
【請求項9】
前記の酸性染料が、有機系酸性染料であることを特徴とする請求項7〜8のいずれかに記載の着色アルミナ・シリカ粒子。
【請求項10】
前記着色アルミナ・シリカ粒子中に含まれる前記酸性染料の含有量が、0.001〜20重量%の範囲にあることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の着色アルミナ・シリカ粒子。
【請求項11】
前記着色アルミナ・シリカ粒子が、平均粒子径が0.5〜50μmの範囲にあり、しかも球状またはほゞ球状の形状を有するものであることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の着色アルミナ・シリカ粒子。
【請求項12】
前記着色アルミナ・シリカ粒子の細孔容積が、0.1〜2.5ml/gの範囲にあることを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載の着色アルミナ・シリカ粒子。
【請求項13】
前記着色アルミナ・シリカ粒子の吸油量が、30〜300ml/gの範囲にあることを特徴とする請求項7〜12のいずれかに記載の着色アルミナ・シリカ粒子。
【請求項14】
前記着色アルミナ・シリカ粒子の圧縮強度が、0.1kgf/mm2以上であることを特徴とする請求項7〜13のいずれかに記載の着色アルミナ・シリカ粒子。
【請求項15】
前記着色アルミナ・シリカ粒子の彩度が、日本工業規格番号JIS Z 8729 5.2 に規定される測定方法で測定したとき、5.0以上であることを特徴とする請求項7〜14のいずれかに記載の着色アルミナ・シリカ粒子。
【請求項16】
前記着色アルミナ・シリカ粒子を20〜25℃の温度に保たれたpH7.0の純水に入れて撹拌した後、1日静置して得られる上澄み液の透過率(測定波長:400〜800nm)が、99%以上であることを特徴とする請求項7〜15のいずれかに記載の着色アルミナ・シリカ粒子。
【請求項17】
前記着色アルミナ・シリカ粒子を20〜25℃の温度に保たれたアルコール溶媒に入れて撹拌した後、1日静置して得られる上澄み液の透過率(測定波長:400〜800nm)が、99%以上であることを特徴とする請求項7〜15のいずれかに記載の着色アルミナ・シリカ粒子。
【請求項18】
請求項7〜17のいずれかに記載の着色アルミナ・シリカ粒子を配合してなる化粧料。
【請求項19】
前記化粧料が、前記着色アルミナ・シリカ粒子を0.1〜30重量%の範囲で含むことを特徴とする請求項18に記載の化粧料。
【請求項20】
前記化粧料が、メークアップ化粧料またはスキンケア化粧料であることを特徴とする請求項18または19に記載の化粧料。

【公開番号】特開2009−120753(P2009−120753A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−297505(P2007−297505)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(000190024)日揮触媒化成株式会社 (458)
【Fターム(参考)】