説明

着色オルガノポリシロキサン

本発明は、式(I)
(RO)SiO(4−a−b−c−d)/2 (I)
(式中、R、R、R、A、a、b、c、及びdは、請求項1に記載のように定義される)
の単位を含む着色オルガノポリシロキサンに、それらの製造プロセスに、及びそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、さらに発色団分子が共有結合している官能化シリコーン化合物に、それらの製造プロセスに、及びこれらの着色シリコーン化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ケイ素化合物及び染料の同時使用は、大部分の染料のケイ素化合物での非混和性又は不溶性のために問題がある。2クラスの物質間の適合性の欠如はそれ故、不均一に着色した製品に及び/又は製品成分の1つの遅い浸出に、そして従って全体として負である製品特性にしばしばつながる。例えば特許文献1に記載されているような、染料と特定のシラン及び/又はシロキサンとの規定された物理的ブレンドの使用は、ある程度これらの悪影響に対抗するかもしれないが、個々の成分の分離の永続的な予防のために使用することができない。
【0003】
対照的に、この問題は、染料分子が有機ケイ素化合物に化学結合する場合には解決することができる。
【0004】
ゆえに、染料含有量のあるシランが何十年間も知られてきたことがその事例である。それらは、多数の研究論文及び特許の主題である(この件については、例えば、非特許文献1を参照されたい)。
【0005】
染料を有するシランは、特許文献2によって初めて記載されている。当該場合にアゾカップリングによるアゾ染料の通常の合成は、カップリング成分としてアニリン変性シランを用いることによって修正されている。特許文献3によれば、フェニル含有シランもまたこの目的のために好適である。このようにして得られる染料含有シランは、その後重合させられて相当するポリシロキサンが生成される。
【0006】
特許文献4は、合成繊維及び紙用の蛍光増白剤としての役割を果たす、トリアジン含有基を有するオルガノポリシロキサンを開示している。この場合には、結合は、蛍光増白剤のスルホン酸基とアミノ官能性シラン又はシロキサンとの反応によって形成されてスルホンアミドが生成される。
【0007】
ニトロ芳香族染料基を有するシリコーン化合物は、特許文献5に従って、エポキシ官能性シロキサンをアミン−又はスルホンアミド−含有ニトロ染料と塩基性条件下に反応させることによって得ることができる。この代案として、特許文献6は、環−ハロゲン化芳香族ニトロ染料を、芳香環上での求核的置換を用いてアミノ官能性シロキサンに結合させることを提案している。
【0008】
上述の製造プロセスの全てに共通した特徴は、それらが例えば、アニリン−含有アゾ化合物、アミン−、スルホン酸−若しくはスルホンアミド−含有発色団、及び非ハロゲン化若しくはハロゲン化ニトロ芳香族化合物などの、選択された染料若しくは染料前駆体にのみか、専ら特定のシリコーンオイルにかのどちらかに限定されることである。さらに、高度に特異的な、そして特定の場合には高度に苛酷な反応条件を必要とする、用いられる製造プロセスのために、引用された特許文献に開示されているシロキサンはまた、いかなるさらなる官能基も含有しない。さらに、追加の欠点は、アニリン又はニトロ芳香族化合物をベースとする毒物学的に好ましくない発色団の使用、しばしば非常に低い反応収率、及び2つ以上の反応段階にわたる比較的複雑な合成である。
【0009】
特許文献7は、求核的ポリシロキサンとスルホン酸基及び/又はスルホネート基を含有する水溶性の反応性染料との反応による染料基を含むオルガノポリシロキサンの製造を既に記載している。この合成プロセスの基盤は、不均一反応レジームの必要性又は比較的大容量の相溶化溶媒の使用のいずれかで必要である、極性で水溶性の、それ故親水性である反応性染料の使用である。この方法は、様々な色及び色の深さの共有結合した染料基を有するオルガノポリシロキサンを製造することを可能にする。
【0010】
しかしながら、使用時に、これらの製品は、例えば、UV及び温度安定性に関して様々な欠点を有する。
【0011】
従って、改良された特性の着色オルガノポリシロキサンに対する必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第5,281,240号明細書
【特許文献2】米国特許第2,925,313号明細書
【特許文献3】英国特許第2018804号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第0336709 A2号明細書
【特許文献5】米国特許第4,403,099号明細書
【特許文献6】米国特許第4,405,801号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第0960153 A1号明細書
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】J.Soc.Dyers and Col.1969,85(9)、401−404ページ
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、式(I)
(RO)SiO(4−a−b−c−d)/2 (I)
[式中、
Rは同一であるか又は異なることができ、そして水素又は一価の、非置換若しくは置換炭化水素基であり、
は同一であるか又は異なることができ、そして水素又は一価の、SiC−結合した、非置換若しくは置換炭化水素基であり、
は同一であるか又は異なることができ、そして置換された一価の炭化水素基であり、
Aは同一であるか又は異なることができ、そして少なくとも1つのトリアジン環を含有し、該トリアジン環を経由して式(I)の単位に結合する、親水性有機染料基又は金属とのその錯体化合物であり、
aは0、1、2又は3であり、
bは0、1、2又は3であり、
dは0、1、2又は3であり、そして
cは0、1又は2であり、
ただし、a+b+c+dの合計は3以下であり、オルガノポリシロキサンが分子当たり、そして式(I)(式中、cは0以外であり、dは0である)の単位中に少なくとも1つの基Aを有する]
の単位を含む着色オルガノポリシロキサンを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明との関連で、用語オルガノポリシロキサンは、ポリマーののみならず、オリゴマー及びダイマーのシロキサンをも包含する。
【0016】
Rは好ましくは水素又は、置換されていても及び/又は1個以上の酸素原子で介在されていてもよい、1〜18個、特に1〜8個の炭素原子を有する炭化水素基である。
【0017】
Rの例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、第二級ブチル、イソブチル、第三級ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、第三級ペンチル基、ヘキシル、特にn−ヘキシル、ヘプチル、特にn−ヘプチル、オクチル、特にn−オクチル及び2,2,4−トリメチルペンチルなどのイソオクチル、ノニル、特にn−ノニル、デシル基、特にn−デシル、ドデシル、特にn−ドデシル、及びオクタデシル、特にn−オクタデシルなどの、(C〜C18)アルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びメチルシクロヘキシルなどの、(C〜C10)シクロアルキル基;ビニル、1−プロペニル及び2−プロペニルなどの、(C〜C)アルケニル基;フェニル、ナフチル、アントリル、及びフェナントリルなどの、アリール基;o−、m−、及びp−トリル、キシリル、及びエチルフェニルなどの、(C〜C)アルキルアリール基;並びにベンジル基及びα−及びβ−フェニルエチルなどの、アリール−(C〜C)アルキル基である。より好ましくはRは水素、メチル、エチル、ビニル又はプロピルである。
【0018】
は好ましくは水素又は、置換されていても及び/又は1個以上の酸素原子で介在されていてもよい、1〜18個、特に1〜8個の炭素原子を有する炭化水素基である。
【0019】
の例は、Rについて明記された基である。より好ましくはRはメチルである。
【0020】
は、好ましくは、1〜18個の炭素原子を有する置換炭化水素基であり、特に好ましくは、これらの置換炭化水素基は、アミノ、ヒドロキシル、エポキシ、メルカプト、カルボキシル又はそれらの誘導体で置換されている。
【0021】
の例は、
a)例えば、アミノメチル、フェニルアミノメチル、アミノプロピル、アミノエチルアミノプロピル、シクロヘキシルアミノプロピル及びアシル化アミノプロピルなどの、アミノ基及びそれらの誘導体で置換された炭化水素基、
b)3−ヒドロキシプロピル及び4−ヒドロキシブチルなどの、第一級、第二級若しくは第三級アルコール基などのヒドロキシル基で置換された炭化水素基、又は、例えば、フェノール若しくはオイゲノール基などの、芳香族ヒドロキシル基を有する炭化水素基、
c)例えば、3−メルカプトプロピルなどの、メルカプト基で置換された炭化水素基、
d)例えば、
【0022】
【化1】

からなる群からのものなどの、エポキシ基で置換された炭化水素基、
e)アセチル、3−カルボキシプロピル、4−カルボキシブチル、10−カルボキシデシル、及び3−(エタン−1,2−ジカルボキシル)プロピル基などの、例えば、アルカン酸基、3−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラニル)プロピル基などの、酸無水物基、及び、ウンデセンシリルエスエル基などの、エステル基などの、カルボン酸基又はそれらの誘導体で置換された炭化水素基、
f)例えば、プロピオンアルデヒド基などの、ケトン官能基及びアルデヒド官能基などの、カルボニル基で置換された炭化水素基、
g)例えば、3−アクリロイルオキシプロピル及び3−メタクリロイルオキシプロピルなどの、アクリレート又はメタクリレート基で置換された炭化水素基、
h)例えば、プロピルポリグリコール基などの、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ−(1,4−ブタンジオール)及びそれらの共重合体から誘導されたものなどの、ポリエーテル基で置換されたSiC−又はSiOC−結合炭化水素基、
i)Xが好適なアニオンである、例えば、−(CH−N(CH及び−(CH−NH−CH−CH(OH)−CH−N(CH1225などの、第四級窒素原子で置換された炭化水素基、
j)例えば、ホスホナトアルキル基などの、ホスホナト基で置換された炭化水素基、
k)シララクトン基で置換された炭化水素基、
l)例えば、1〜10の単糖類単位からなってもよい、グリコシド基がアルキレン又はオキシアルキレンスペーサーを経由して結合しているものなどの、グリコシド基で置換された炭化水素基
である。
【0023】
Aで表される染料基は好ましくは、スルホン酸基−及び/又はスルホネート基−含有であり、アゾ、アントラキノン、オキシキノフタロン、クマリン、ナフタルイミド、ベンゾキノン、ナフトキノン、フラボン、アントラピリドン、キナクリドン、キサンテン、チオキサンテン、ベンゾキサンテン、ベンゾチオキサンテン、ペリレン、ペリノン、アクリドン、フタロシアニン、メチン、ジケトピロロピロール、トリフェンジオキサジン、フェノキサジン、若しくはフェノチアジン染料の又はそれらの金属錯体化合物の基であり、好ましくは1、2、3又は4つのトリアジン基を含有する。1つ又は2つのトリアジン基を有する染料基が特に好ましい。
【0024】
金属錯体化合物は、より具体的には銅、クロム、コバルト又はニッケル錯体化合物である。
【0025】
染料基Aは、1つ以上のトリアジン基を経由して式(I)の単位に結合している。染料基Aが2つ以上のトリアジン基を含有する場合、それはまた2つ以上のシリル(シロキサニル)基を互いに結合していてもよい。
【0026】
1つ以上のトリアジン基以外に、染料基Aは好ましくは、それを経由して式(I)の単位への結合が可能であるさらなる反応性基を全く含有しない。それがビニルスルホン型の反応性アンカー(reactive anchors)を含まないことが特に好ましい。ビニルスルホン型の反応性アンカーとは、式−SOCH=CH及び−SOCHCHZ(式中、Zはアルカリ脱離可能な置換基である)の基を意味する。
【0027】
アルカリ脱離可能な置換基Zの例は、塩素及び臭素などのハロゲン原子、アルキルカルボン酸、非置換又は置換ベンゼンカルボン酸、及び非置換又は置換ベンゼンスルホン酸などの、有機カルボン酸及びスルホン酸のエステル基、具体的にはアセチルオキシをはじめとする、2〜5個の炭素原子の基アルカノイルオキシ、ベンゾイルオキシ、スルホベンゾイルオキシ、フェニルスルホニルオキシ及びトルイルスルホニルオキシなど、そしてまた、リン酸、硫酸、及びチオ硫酸などの無機酸の酸エステル基(ホスファト、スルファト、及びチオスルファト基)、そしてまた、ジメチルアミノ及びジエチルアミノなどの、それぞれ1〜4個の炭素原子のアルキル基のジアルキルアミノ基である。
【0028】
従って、染料基Aは好ましくは、1つ以上のトリアジン基のみを経由して式(I)の単位に結合している。
【0029】
染料基Aは好ましくは式A0で表される。
【0030】
【化2】

(式中、
Yは−O−、−S−又は−NRであり、そしてRは水素又は(C〜C)−アルキルであり、
Bは二価の架橋メンバーであり、
A’は発色構造であり、そして
はA’であるか又は有機基である)
【0031】
有機基Rは、例えば、−NR10、−NHSO11、−NHC(O)R12、−OR13又は−SR14(式中、R〜R14は互いに独立して、アルキル、ヒドロキシアルキル、ポリヒドロキシアルキル、アリールアルキル、アルコキシアルキル、チオアルコキシアルキル、ポリ(オキシアルキレン)アルキル、アミノアルキル、N−モノアルキルアミノアルキル、N−モノアリールアミノアルキル、N,N−ジアルキルアミノアルキル、N,N−ジアリールアミノアルキル、N−アルキル−N−アリールアミノアルキル、アミノヒドロキシアルキル、アルコキシアルキルアミノアルキル、チオアルコキシアルキルアミノアルキル、アミノアルキルオキシアルキル、N−モノアルキルアミノアルキルオキシアルキル、N,N−ジアルキルアミノアルコキシアルキル、N−アリールアミノアルコキシアルキル、N,N−ジアリールアミノアルコキシアルキル、N−アルキル−N−アリールアミノアルコキシアルキル、アミノアルキルチオキシアルキル、N−モノアルキルアミノアルキルチオキシアルキル、N,N−ジアルキルアミノアルキルチオキシアルキル、N−アリールアミノアルキルチオキシアルキル、N,N−ジアリールアミノアルキルチオキシアルキル、N−アルキル−N−アリールアミノアルキルチオキシアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル又はヘテロシクロアルキルアルキルであり、そしてR、R10、R13、及びR14はまた水素であることができ、そしてR及びRはまた、それらが結合している窒素原子を有する5員又は6員環複素環を形成することもできる)である。
【0032】
本明細書に明記されるアルキル基は好ましくは1〜6個、より好ましくは1〜4個の炭素原子を有し、従って例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル又はヘキシルである。
【0033】
シクロアルキル基はより具体的にはシクロペンチル及びシクロヘキシルである。アリール基はより具体的にはフェニル及びナフチルである。
【0034】
染料基Aの例は具体的には下記の基A1〜A16である。
【0035】
【化3】

【0036】
【化4】

【0037】
【化5】

【0038】
【化6】

【0039】
【化7】

(式中、
Yは−O−、−S−又は−NR−であり、そしてRは水素又は(C〜C)−アルキルであり、
Bは二価の架橋であり、そして
Xは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属の等量物又は有機陽イオンであり、
は具体的には水素、メチル又はエチルである)
【0040】
Bは染料発色団をケイ素原子に結合し、そして好ましくは、非置換であっても若しくは置換されていても及び/又は酸素、窒素、及び硫黄などの、1つ以上のヘテロ原子で介在されていてもよい炭化水素基である。
【0041】
Bは好ましくは、非置換の若しくは置換された及び/又は酸素、窒素、及び硫黄などの、1つ以上のヘテロ原子で介在された二価の線状(C〜C30)炭化水素基である。メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、アミノプロピル−アミノエチル、エチレンオキシド基などの、非置換若しくは置換(C〜C10)アルキレン基、及びまた最大4つの糖基で置換されたアルキレン基が特に好ましい。
【0042】
有機陽イオンXは例えば、環式又は非環式アンモニウム、ホスホニウム又はスルホニウム陽イオンである。式(II)
【0043】
【化8】

(式中、非環式陽イオンの場合には、
〜Rは互いに独立して、必要に応じて、酸素、窒素、及び硫黄などの1つ以上のヘテロ原子で置換されていても及び/又は介在されていてもよい、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル又はヘテロシクロアルキルアルキルである)
の環式及び非環式アンモニウム陽イオンが特に好ましい。
【0044】
アルキルR〜Rは分岐であっても非分岐であってもよく、より具体的には(C〜C22)−アルキルである。シクロアルキルは好ましくは(C〜C)−シクロアルキルであり、より具体的にはシクロペンチル及びシクロヘキシルである。アリールは好ましくはフェニル又はナフチルである。
【0045】
特に好ましい非環式陽イオンXは式(IIa)〜(IIe)のものである。
【0046】
【化9】

【0047】
式(II)の環式陽イオンの場合には、R及びRは、それらが結合している窒素原子と一緒に、置換されていない又は置換されている5員又は6員環を形成し、そしてR及びRは、非環式陽イオンについて上に示されたように定義される。
【0048】
及びRによって形成された5員又は6員環は、それらが結合している窒素原子と一緒に、より具体的にはイミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリニウム、ピロリジニウム、チアゾリウム、キノリニウム、オキサゾリウム、イソオキサゾリウム、ピラゾリウム、ピペリジニウム、モルホリニウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、インドリウム、及びイソキノリニウム環である。
【0049】
式(II)の特に好ましい環式アンモニウム陽イオンは式(IIf)〜(IIk)で表される。
【0050】
【化10】

Xは好ましくは水素、ナトリウム、カリウム又は式(IIa)〜(IIk)の陽イオンである。
【0051】
式(I)の単位で、cが1である場合にdが0で、cは好ましくは0又は1であり、dは同様に0又は1である。
【0052】
本発明の好ましいオルガノポリシロキサンは、式(I)の単位の全ての少なくとも50%で、より好ましくは少なくとも80%で、非常に好ましくは少なくとも90%でa+b+c+dの合計が2であるものである。
【0053】
本発明の特に好ましいオルガノポリシロキサンは式(III)
SiO(SiAO)(SiR2−fO)(R2−mSiO)(RAR1−jSiO)SiR (III)
(式中、R、R及びAは上に明記されたように定義され、
fは0又は1、好ましくは1であり、
jは0又は1、好ましくは1であり、
mは0、1又は2、好ましくは0であり、
eは0又は1〜100の整数であり、
gは0又は1〜100の整数であり、
hは0又は1〜1000の整数であり、そして
kは1〜100の整数であり、
ただし、(e+g)<(h+k)/10であり、そして式(Ia)中の単位はシロキサン分子中にランダムに分布している)
のものである。
【0054】
本発明のオルガノポリシロキサンの粘度は好ましくは100mm/秒から室温でワックス状、固体粘稠度までに及ぶ。1000mm/秒〜20,000mm/秒の粘度範囲、そしてまた室温でワックス状固体粘稠度の範囲が特に好ましい。
【0055】
本発明のオルガノポリシロキサンの染料含有率は好ましくは、いずれの場合も総重量を基準として、0.1重量%〜80重量%、より好ましくは1重量%〜15重量%、特に5重量%〜10重量%である。
【0056】
本発明のオルガノポリシロキサンは、共有結合した染料基は別としてそれらがまた、例えば、持続性、親水性又は疎水性、化学反応性などのさらなる特性を、色に加えて化合物に与えるかもしれない、さらなる官能基を有してもよいという利点を有する。
【0057】
本発明のオルガノポリシロキサンは、さらに、それらが安定であるという、言い換えればそれらが室温で、及び周囲の外気の圧力で少なくとも1年間実質的な変化を全く受けないという利点を有する。
【0058】
本発明のオルガノポリシロキサンのさらなる利点は、最終的には、それらを用いて、例えば、シリコーンゴム組成物などの疎水性系を非常に容易に着色できることである。
【0059】
欧州特許出願公開第0960153 A1号明細書に記載された染料基を含有するオルガノポリシロキサンと比較して、本発明のオルガノポリシロキサンは、優れたそして場合によっては傑出した熱安定性及び光安定性を有し、その結果非常に多種多様な用途に使用することができる。
【0060】
本発明のオルガノポリシロキサンは、式IV
【0061】
【化11】

(式中、A’は発色構造であり、そして
はA’又は有機基である)
の親水性有機染料を、この染料のクロロトリアジン基と共有結合を形成することができる官能基を含有するオルガノポリシロキサンと反応させることによって製造することができる。従って、記載された染料は反応性染料である。
【0062】
有機基Rは、例えば、−NR10、−NHSO11、−NHC(O)R12、−OR13又は−SR14(式中、R〜R14は互いに独立して、アルキル、ヒドロキシアルキル、ポリヒドロキシアルキル、アリールアルキル、アルコキシアルキル、チオアルコキシアルキル、ポリ(オキシアルキレン)アルキル、アミノアルキル、N−モノアルキルアミノアルキル、N−モノアリールアミノアルキル、N,N−ジアルキルアミノアルキル、N,N−ジアリールアミノアルキル、N−アルキル−N−アリールアミノアルキル、アミノヒドロキシアルキル、アルコキシアルキルアミノアルキル、チオアルコキシアルキルアミノアルキル、アミノアルキルオキシアルキル、N−モノアルキルアミノアルキルオキシアルキル、N,N−ジアルキルアミノアルコキシアルキル、N−アリールアミノアルコキシアルキル、N,N−ジアリールアミノアルコキシアルキル、N−アルキル−N−アリールアミノアルコキシアルキル、アミノアルキルチオキシアルキル、N−モノアルキルアミノアルキルチオキシアルキル、N,N−ジアルキルアミノアルキルチオキシアルキル、N−アリールアミノアルキルチオキシアルキル、N,N−ジアリールアミノアルキルチオキシアルキル、N−アルキル−N−アリールアミノアルキルチオキシアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル又はヘテロシクロアルキルアルキルであり、そしてR、R10、R13、及びR14はまた水素であることができ、そしてR及びRはまた、それらが結合している窒素原子入りの5員又は6員環複素環を形成することもできる)である。
【0063】
本明細書に明記されるアルキル基は好ましくは1〜6個、より好ましくは1〜4個の炭素原子を有し、従って例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル又はヘキシルである。
【0064】
シクロアルキル基はより具体的にはシクロペンチル及びシクロヘキシルである。アリール基はより具体的にはフェニル及びナフチルである。
【0065】
染料は、いずれの場合も用いられるオルガノポリシロキサンの総重量を基準として、好ましくは0.1重量%〜900重量%、より好ましくは1重量%〜100重量%、特に5重量%〜35重量%の量で使用される。これに関連して染料のモル量を、用いられるオルガノポリシロキサン中に存在する官能基の最大99.9モル%に制限することが賢明である。
【0066】
個々の染料を用いてもよいが、2つ、3つ又はそれ以上の染料の混合物を用いることもできる。
【0067】
本発明のプロセスに使用される染料は、有機化学において一般的であり、そして当業者に公知である方法によって製造することができる公知の染料である。
【0068】
染料のクロロトリアジン基と反応することができるオルガノポリシロキサンの官能基は、具体的には、アミノ、メルカプト、ヒドロキシル、カルボキシル、アクリレート、メタクリレート、カルボニル、ポリエーテル、及びホスホナト、又はグリコシド、酸無水物、エポキシ、第一級、第二級若しくは第三級カルビノール、フェノール、アルデヒド、ポリグリコール若しくはシララクトン基を有する又は第四級窒素を有する基である。具体的には、この種の基は、第一級及び第二級アミノ、メルカプト、ヒドロキシル及びカルボキシル基である。
【0069】
かかる官能基を有し、そして本発明のプロセスに使用されるオルガノポリシロキサンは、商業的に入手可能であるか、又はケイ素化学において一般的であり、そして当業者に公知である方法によって製造できる公知の製品である。
【0070】
例として、式(I’)
(RO)R’c`SiO(4−a−b−c−d)/2 (I’)
(式中、R、R、R、a、b、及びdは上に示されたように定義され、R’は同一であるか又は異なることができ、そしてアミノ、メルカプト、ヒドロキシル、カルボキシル、アクリレート、メタクリレート、カルボニル、ポリエーテル及びホスホナト、又はグリコシドを含有する基、無水物、エポキシ、第一級、第二級若しくは第三級カルビノール、フェノール、アルデヒド、ポリグリコール及び/又はシララクトン−官能性炭化水素基であり、そしてc’はcについて定義された通りであり、ただし、a+b+c’+dの合計は3であり、オルガノポリシロキサンは、分子当たり、及びc’が0以外であり、dが0である(I’)の単位中に少なくとも1つの基R’を有する)
の単位を含むオルガノシロキサンについて言及されてもよい。
【0071】
基R’の例は基Rについて上に与えられた基であり、例えば、アミノメチル、フェニルアミノメチル、アミノプロピル、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピル、及びシクロヘキシルアミノプロピルなどの、アミノ基及びそれらの誘導体で置換された炭化水素基、例えば3−ヒドロキシルプロピル及び4−ヒドロキシブチル基などの、第一級、第二級又は第三級アルコール基などのヒドロキシル基で置換された炭化水素基、例えば、フェノール又はオイゲノール基などの、芳香族ヒドロキシル基を有する炭化水素基、例えば、3−メルカプトプロピル基などの、メルカプト基で置換された炭化水素基、アセチル、3−カルボキシプロピル、4−カルボキシブチル、10−カルボキシデシル、及び3−(エタン−1,2−ジカルボキシル)プロピル基などの、例えば、アルカン酸基
などの、カルボン酸基又はそれらの誘導体で置換された炭化水素基が好ましい。
【0072】
本発明に従って特に好ましく用いられる、アミノ基を有する有機ポリシロキサンは、より具体的には0.01〜10.0のアミン価を有するオルガノポリシロキサンであり、このアミン価は1gの物質を中和するために必要な1NのHClのmL数に相当する。
【0073】
本発明に従って用いられるオルガノポリシロキサンの粘度は、いずれの場合も25℃で、好ましくは50〜50,000mm/秒、より好ましくは200〜15,000mm/秒の範囲である。
【0074】
本発明のプロセスでは、例えば次の化学反応式:
【0075】
【化12】

に従って、染料のトリアジン環上で求核置換がある。
【0076】
しかしながら、反応条件に依存して、例えば次の化学反応式:
【0077】
【化13】

(式中、A”はいずれの場合も用いられる染料の基である)
に従って、スルホンアミド形成反応が同様に起こることもまた可能である。
【0078】
本発明のプロセスは触媒の存在下に又は不存在下に実施することができるが、触媒の使用が好ましい。触媒が使用される場合、該当する触媒は酸性又は塩基性であってもよい。塩基性触媒が好ましい。これらの触媒は、溶媒を用いずに、またはそれらの溶液の形態で使用されてもよい。
【0079】
酸性触媒の例は、リン酸、硫酸、塩酸、氷酢酸、及びギ酸などの、ブレンステッド(Brφnsted)酸、又は過塩素酸リチウム、亜鉛テトラフルオロボレート、塩化鉄(II)、塩化スズ(IV)、及びルイス酸性イオン液体などの、ルイス(Lewis)酸である。
【0080】
塩基性触媒の例は、第一級、第二級若しくは第三級アミン、塩基性ピリジン、ピリミジン、キノリン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン、インドール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピロール、オキサゾール、チアゾール及び/又は他のN−含有複素環誘導体、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム及び水酸化テトラアルキルアンモニウムなどの、塩基性アンモニウム塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属アミド、及びルイス塩基性イオン液体である。
【0081】
触媒が本発明の反応に使用される場合、含まれる量は、反応体の総重量を基準として、好ましくは0.1重量%〜1重量%である。
【0082】
本発明のプロセスは、1相反応(C)としてか又は2相反応(A)として実施することができる。2相反応はまた、エマルジョンでの反応(B)であってもよい。
【0083】
均一化のための機械的エネルギー入力ありの2相反応(プロセスA)の場合には、染料とオルガノポリシロキサンとの反応は、触媒なしで又は塩基性触媒ありで、2相が形成されるように、反応体の1つ又は両方と非混和性である溶媒を使用して、そして好適な混合方法を用いて行われる。
【0084】
本発明の趣旨では、溶媒の非混和性という概念は、25℃及び周囲大気の圧力で1重量%以下の混和性を意味する。
【0085】
プロセスAに従った本発明の反応は、好ましくは0〜200℃、より好ましくは50〜160℃、特に80〜130℃の温度で、そして好ましくは周囲大気の圧力で、言い換えれば900〜1100hPaで実施される。反応時間は好ましくは5分〜2時間、より好ましくは5〜15分間である。本発明に従って使用される染料に好適な溶媒であって、染料の反応性基に対して不活性である溶媒は、有機非プロトン性溶媒、水、水性電解質溶液、水性アルカリ又は前述の非プロトン性有機溶媒と水性系との有機−水性混合物である。好ましい非プロトン性有機溶媒はジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドである。好ましい水性系は水性アルカリである。
【0086】
本発明に従って使用されるオルガノポリシロキサンに好適な溶媒は、本発明に従って使用される染料の溶媒と又は溶媒混合物と混和しない、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン又はヘキサメチルジシロキサンのような二量体、オリゴマー又は高分子シロキサンなどの、反応体に対して不活性である有機非プロトン性溶媒である。
【0087】
2つの非混和性相の最大均一化、ひいては高い内部反応表面積を達成する、連続混合方法をはじめとする、全ての公知の混合方法を用いることができる。相の好適な分散方法は、全ての種類の撹拌機、好ましくは超音波プローブ又は超音波浴及び高速撹拌機機構であり、ウルトラ−ツラックス(Ultra−Turrax)撹拌機(ヤンケ・アンド・クンケル(Janke & Kunkel)、イカ(IKA)(登録商標)ラボールテヒニーク(Labortechnik)、ウルトラ−ツラックスT50(1100W 10,000分−1)などの、高速撹拌機機構が特に好ましい。
【0088】
プロセスAは、本発明に従って得られた着色オルガノポリシロキサンを処理する(work up)必要がないという利点を有する。さらに、プロセスAは、第一級アルコールなどの可溶化剤なしに、そして界面活性剤などの界面活性物質なしに実施できるという利点を有する。
【0089】
代わりのプロセスは、エマルジョン又はマイクロエマルジョンなどの、分散系の反応によって特徴づけられる2相反応(プロセスB)にある。
【0090】
この場合には、本発明に従って使用されるオルガノポリシロキサンは、水性液体中の分散相を形成し、例えば、好適な乳化剤によってなど、公知の方法で安定化される。本発明に従って使用される染料は、好適な溶媒、好ましくは水又は希薄水性電解質溶液に溶解され、分散系に加えられ、又は逆もまた同様である。反応は場合により触媒を用いずに、又は塩基性若しくは酸性触媒を用いて進行する。触媒に関しては、上に行われた説明が適用される。
【0091】
プロセスBに従った本発明の反応は、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜50℃、特に20〜35℃の温度で、そして好ましくは周囲大気の圧力下に、すなわち、900〜1100hPaで実施される。反応時間は好ましくは1〜200時間であり、分散系は反応の間混合することができる。
【0092】
本発明に従って使用されるオルガノポリシロキサンを含むいかなる分散系も任意の従来法で調製することができる。例えば、非イオン性、陰イオン性、陽イオン性又は両性乳化剤などの、分散系を調製するためにこれまでも使用されてきた乳化剤の全てを使用することができる。
【0093】
本発明に従って使用される分散系は、好ましくは1〜30重量パーセントのシロキサン画分を有する。100〜10,000mm/秒の粘度及び0.2〜2のアミン価を有する、本発明に従って使用されるアミノアルキル基を含有する、オルガノシロキサンオイルが分散シロキサン相として特に好適であり、アミノアルキル基の幾つかはプロトン化形態にあることが可能である。
【0094】
反応の終了後に、本発明のオルガノポリシロキサンを含む分散系は、濃い電解質溶液の分散系の分解によって、又はアセトンなどの、水溶性の極性溶媒の添加によってなど、それ自体公知である方法によって処理することができる。好ましくは、油相は次に分離され、その後、例えば、20重量%濃度の塩化ナトリウム溶液となど、濃い電解質溶液と振盪することにより抽出を繰り返すことによって精製される。このようにして得られた本発明のオルガノポリシロキサンは次に好ましくは乾燥される。しかしながら、本発明の分散系が直接さらに使用されることになる場合には、処理は当然ながら省略されることが可能である。
【0095】
本発明の異なる着色分散系の簡単なブレンドにより、いかなる所望の色相も非常に簡単に設定されることが可能になる。
【0096】
本発明のプロセスBは、本発明に従って製造された着色オルガノポリシロキサンがエマルジョンの形態で直接得られ、そして想定される使用に依存して、それらが直接塗布されるのと同様に塗布できるという利点を有する。
【0097】
本発明の着色オルガノポリシロキサンを形成するための出発化合物の本発明反応はまた、均一で、すなわち1相反応(プロセスC)で行われてもよい。この場合には、本発明に従って使用される染料及び本発明に従って使用されるオルガノポリシロキサンは、反応体に対して不活性である非プロトン性有機共溶媒に、又は水性−有機溶媒混合物に、好ましくはジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシド、より好ましくはジメチルスルホキシドに溶解される。反応は同様に場合により、既に上記のように、触媒なしで、又は塩基性触媒下に進行する。
【0098】
本発明に従ったプロセスCの反応は、好ましくは5〜100℃の温度で、より好ましくは60〜80℃で、そして好ましくは周囲大気の圧力下に、すなわち、900〜1100hPaで実施される。反応時間は好ましくは15〜300分間である。
【0099】
本発明の着色オルガノポリシロキサンは次に、例えば、溶媒又は溶媒混合物の簡単な蒸留除去によって単離することができる。
【0100】
本発明のプロセスCは、それが簡単な方法で簡単な装置で実施できるという利点を有する。
【0101】
記載されてきた本発明のプロセスの変形例の全ては、本発明のオルガノポリシロキサンを容易に、再現可能に、そして好ましくは90〜99%の非常に良好な収率で製造できるという利点を有する。
【0102】
本発明のオルガノポリシロキサンは好ましくは、いずれの場合も必要に応じて平衡工程と組み合わせて、プロセスA又はBによって、より好ましくはプロセスAによって実施される。
【0103】
必要に応じて、式(II)の、本発明の着色オルガノポリシロキサンは、好ましくは末端トリオルガノシロキシ基を含有する線状オルガノポリシロキサン、末端ヒドロキシル基を含有する線状オルガノポリシロキサン、環状オルガノポリシロキサン、及びジオルガノシリキサン単位とモノオルガノシロキサン単位とのコポリマーからなる群からの、さらなるオルガノポリシロキサンと平衡させられ、それによって、例えば、所望の分子量の設定及びまた分子中の染料基の目標とされる分布と、必要に応じて、さらなる官能性の導入とを可能にするかもしれない。
【0104】
末端トリオルガノシロキサン基を含有する線状オルガノポリシロキサンとして式(V)
15SiO(SiR15O)SiR15 (V)
の線状オルガノポリシロキサンを使用することが好ましく、ヒドロキシル基を含有する線状オルガノポリシロキサンとして式(VI)
HO(SiR15O)H (VI)
の線状オルガノポリシロキサンを使用することが好ましく、環式オルガノポリシロキサン基として式(VII)
(SiR15O) (VII)
の環式オルガノポリシロキサン基を使用することが好ましく、
そしてコポリマーとして式(VIII)
15SiO1/2、R15SiO及びR15SiO3/2 (VIII)
の単位で構成されたコポリマーを使用することが好ましく、
式中、R15はいずれの場合も同一であるか又は異なることができ、そしてRについて示された定義を有し、
uは0又は1〜1500の整数であり、
vは0又は1〜1500の整数であり、そして
tは3〜12の範囲の整数である。
【0105】
平衡化(行われる場合)に使用されるオルガノポリシロキサンと本発明の着色オルガノポリシロキサンとの割合は、最終製品中の染料基の所望の画分のみによって、そしてまた所望の平均鎖長によって決定される。
【0106】
実施される場合、平衡化の過程で、平衡を促進する塩基性触媒を使用することが好ましい。かかる触媒の例は、メタノール溶液中の水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物と、シラノレートとである。好ましくは、用いられるオルガノシリコン化合物の総重量をいずれの場合も基準として、50〜10,000重量ppm(百万分率)、より好ましくは500〜2000重量ppmの量で使用される、アルカリ金属水酸化物が本明細書では好ましい。
【0107】
実施される場合、平衡化は好ましくは50〜150℃、より好ましくは70〜120℃、より好ましくは80〜100℃で、そして好ましくは周囲大気の圧力、すなわち900〜1100hPa下に実施される。しかしながら、より高い又はより低い圧力で実施することもまたできる。
【0108】
平衡化は、必要に応じて、トルエンなどの、水と混和しない溶媒中で実施できるが、これは好ましくない。かかる有機溶媒が使用されることになる場合、用いられるオルガノシリコン化合物の総重量を基準として、5〜20重量パーセントの量が好ましい。
【0109】
本発明の平衡化で得られた混合物の処理の前に、触媒は効果のないようにされてもよい。
【0110】
本発明の着色オルガノポリシロキサンは一般に、考慮すべき事項が疎水性化、防汚性、汚れ、ソフトな手触り、光沢などの、シリコーンに典型的な特性と、目に見える又は潜在的な着色との組み合わせであるいかなる種類の用途にも好適である。
【0111】
従って、本明細書は、着色剤としての本発明の着色オルガノポリシロキサンの使用を提供する。
【0112】
化粧品用途分野では、好適な用途には、具体的に装飾美容術、スキンケア、及びヘアケアでのものが含まれる。典型的なヘアケア用途は、例えばパーマネント、セミパーマネント又は着色成分として本発明のオルガノポリシロキサンを含む化粧品調合物によるケラチン繊維の一時的な着色である。着色又は色直しに加えて、得られるかもしれないさらなる便益には、例えば、髪の光沢の、その容積の、及びそのカール保持の高揚、手触りへの改善されたソフトさ、梳き抵抗性の低下によるドライ又はウェット梳毛性の向上、帯電防止の低下、並びに分裂、乾き、及び構造的に有害な環境影響からのケラチン繊維の一般保護が含まれる。
【0113】
スキンケア部門でも同様に、本発明のオルガノポリシロキサンを−例えば、メーキャップ、リップスティック、リップグロス、マスカラ、アイライナー、マニキュア液、マッサージオイル若しくはマッサージゲルで、スキンクリーム又はサンケア製品で親油性調合原料として使用することが可能である。シリコーンに典型的な便益には、これに関連して、例えば、心地良い皮膚感覚、化粧品調合物の粘性の一般的な低下、存在する任意の顔料若しくはフィラーが凝集を受ける傾向の減少、及びまた、例えば、化粧品の側での改善された耐水性につながる、皮膚表面上での疎水性だが通気性のバリアの成長が含まれる。
【0114】
加えて、活性成分への特別な注意を引くために又は、例えば、販売理由のために、製品の光学的品質向上(製品の魅力の増大)を実施するために本発明のオルガノポリシロキサンで化粧品又は家庭用品を着色することが可能である。
【0115】
本発明のオルガノポリシロキサンはまた、さらに、紙、ティッシュ、皮革、及び織物用途向けに抜群に好適である。これらの基材の処理は一方では、例えば着色織物の色が製品の再着色によって回復される若しくは再強調されるときのように、純粋に装飾的若しくはファッション理由のためにのみ実施されてもよいし、又は基材ケア目的に役立ってもよい。他方では、色を与えるだけでなく、さもなければ多段処理法を用いてのみ達成することができる一連の正の便益を得ることも可能である。一例として、紙タオル、織物、糸、織布、天然若しくは合成繊維は一操作で着色し、そして同時に所望の手触り特性(ソフトな、優美な、ビロードのような、滑らかななど)を提供することができる。同様に、着色操作はまた、基材親水性化と又は、特に、基材疎水性化と組み合わせることができる。ティッシュ及び織物部門での親水性仕上げとは対照的に、一例として、湿式最終プロセスで、例えば、撥水性と併せてフル及び一様なディープ−ダウン着色を得るために着色した有機ケイ素化合物を使用することができる、皮革の処理についてここでは言及されてもよい。反対に、布ケア部門では、織物の親水性化及びソフト化は、洗浄操作の過程での色のディーピング、色の再生又は蛍光増白と組み合わせて望まれる。
【0116】
本発明のオルガノポリシロキサンはまた、さらに、不粘着性の、リプログラフィの、及び印刷用途にも使用することができる。例えば、両側を異なってケイ素処理されたか又は片側をケイ素処理された剥離紙の場合に、着色マーキングによって目視でサイドを区別できることは有用である。本発明のオルガノポリシロキサンは、通常の有機染料と違ってそれらが剥離紙の不粘着性に影響を及ぼさないので、この目的に特に好適である。さらに、本発明のオルガノポリシロキサンは、トナーの原料として又はカラー印刷用の調合物に使用することができる。織物顔料印刷でカラーアシスト添加剤として用いられるとき、本発明のオルガノポリシロキサンは、例えば、色のディープニング、色のより大きな輝度、光沢の提供、又は摩擦堅牢性の向上などの、一連の所望の便益につながる。
【0117】
従来建築保存及び織物構築物は、本発明のオルガノポリシロキサンのための用途の2つのさらなる分野である。建築保存(建てられた構造物の維持、建物の長期安定性の確保、及び建材への撥水性の付与)で及び織物構築物での両方で、ケイ素−ベースの製品は重要な役割を果たす。かかる製品の色変更との関連で、要件は、その大部分ケイ素−ベースである、構成要素間の100%適合性に関してのみならず、撥水性、水蒸気透過性、及び環境影響に対するコーティングの長期抵抗の点での支援に関しても同様である。これらの要件の全ては本発明のオルガノポリシロキサンによって満たされ、それらはそれ故、建築保存コーティング、壁ペイント又はワニスの着色調合原料としての使用に、大部分疎水性化された又は表面疎水性化された鉱物性建材の着色に、及びまた、例えば、窓パネル、コンベヤベルト、安全衣又は防護衣用に使用される種類の、織物コーティング及びケイ素処理織物織布、編物又はループ形態製品の色の変更にも抜群に好適である。
【0118】
本発明のオルガノポリシロキサンは、さらに、基材の性質及び塗布層の厚さに依存して非常に異なる効果が得られて、研磨用途にも好適である。例えば、本発明のオルガノポリシロキサンは、典型的なターゲット効果が色強化、色再生、色直し、及び不規則性又は引っ掻き傷のマスキングを含む、ペイントケアに(例えば、自動車部門で)、皮革、家具又はラッカー塗装品の磨きに、及びまたハードワックスケア製品にも使用することができる。靴クリーム部門で本発明のオルガノポリシロキサンは、外側皮革の疎水性化、色のディーピング、及び輝きの向上に寄与する。
【0119】
さらに、本発明のオルガノポリシロキサンは、ポリマー、ポリマーブレンド、ポリマー配合物又はそれらから製造することができる非常に多種多様なプラスチックのいずれかを着色するのに極めて好適である。より具体的にはそれらは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリ塩化ビニル又はアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマーなどの、熱可塑性樹脂を着色するのに、並びに例えば、シリコーン及びシリコーンエラストマー、樹脂、及びワックスなどの、全ての種類のシリコンポリマーを着色するのに好適であり、本発明のオルガノポリシロキサンは、分子の着色成分としてポリマー中に均一に分配され、従ってもはやポリマーから抽出できない。本明細書で、本発明の着色オルガノポリシロキサン、すなわち、発色団に加えて、さらなる官能基のシリコーン主鎖への導入の利点が明らかになるが、その理由は、最高の透明性及び相溶性をもたらし、そしてまた発色成分の移行を防ぐ、全ての種類のシリコンポリマーの加硫を達成するようにこれらのさらなる官能基を選択することができるためである。加えて、本発明のオルガノポリシロキサンの高い透明性は、広いスペクトル範囲にわたっての高い透光性と併せてポリマーの非常にクリアな透明の着色を得ることを可能にする。
【0120】
上述した用途に加えて、本発明のオルガノポリシロキサンはまた、例えば、浸透深さの、塗布層厚さ、重量、及び均一性の測定との関連で、製品若しくは化合物の流れの監視で、並びに仕上げ操作(例えば、シリコーン製品での天然若しくは合成繊維の仕上げなどの)の根底にあるプロセスの研究におけるように、移行、浸透、沈降若しくはコーティングのプロセスの研究用のマーカー物質としても好適である。本発明のオルガノポリシロキサンの染料基がUV活性で、蛍光性で、リン光性で、又は酵素的に、化学的に若しくは物理的に刺激を受け得る発色団である場合、本発明のオルガノポリシロキサンはまた、製品又は調合物の目立たないマーキングのための隠されたカンパニーシールとして使用することもできる。
【0121】
一般に本発明のオルガノポリシロキサンはまた、製品若しくは製品配合の均一性又はその正しい用途の目に見える指標を得るためにも好適である。後者は、例えば、不粘着性紙コーティングの、日焼け止め剤若しくは類似のサンケア製品の、医薬品の、及び医療品(例えば、広範囲に及ぶ局所塗布の場合における)の場合におけるように、1つ以上の製品ができる限り一様にある区域に塗布されるか又はある区域上に分配されることが必要である分野で特に非常に重要である。
【0122】
本発明のオルガノポリシロキサンはまた、最終的に、食品、農業、及び医薬部門での親油性基材に色合いを付けるのにも好適である。
【実施例】
【0123】
以下の実施例は、与えられる実施例に限定されることなくより詳細に本発明を例示するものである。
【0124】
百分率と共に与えられる全ての部は、特に明記しない限り重量を示す。特に明記しない限り、以下の実施例は、周囲大気の圧力下に、言い換えれば約1000hPaで、そして室温で、言い換えれば約20℃で、又は反応体が追加の加熱若しくは冷却せずに室温で組み合わせられるときに生じる温度で実施される。実施例に与えられる全ての粘度数字は25℃の温度を示す。
【0125】
実施例1
次の構造
【0126】
【化14】

を有する2.06部の染料を45部の完全脱塩水に懸濁させた。50部のアミノアルキル含有ポリジメチルシロキサン(アミン価:グラム当たり92μモルのアミン基、粘度:300mm/秒)を、高性能分散機(例えば、イカ・ウルトラ−ツラックス(登録商標))で3分間作用させ−それによってそれらを約30℃に加熱し−そして染料の水溶液をその後、高性能分散機を用いて10分間シロキサン中に均一に分散させ、その過程で反応混合物を約60℃に加熱した。残存水を減圧下に除去し、室温に冷却した後、生成物を、デプスフィルターを通して濾過した。これにより100部の黄着色シリコーンオイルを得た。
【0127】
実施例2
次の構造
【0128】
【化15】

を有する4.52部の3つの染料の混合物を9部の完全脱塩水に懸濁させた。100部のアミノアルキル含有ポリジメチルシロキサン(アミン価:グラム当たり92μモルのアミン基、粘度:300mm/秒)を、高性能分散機(例えば、イカ・ウルトラ−ツラックス(登録商標))で3分間作用させ−それによってそれらを約30℃に加熱し−そして染料の水溶液をその後、高性能分散機を用いて10分間シロキサン中に均一に分散させ、その過程で反応混合物を約60℃に加熱した。残存水を減圧下に除去し、室温に冷却した後、生成物を、デプスフィルターを通して濾過した。これにより99部の黒着色シリコーンオイルを得た。
【0129】
実施例3
7.37部の実施例2に記載された染料混合物を15部の完全脱塩水に懸濁させた。50部のアミノアルキル含有ポリジメチルシロキサン(アミン価:グラム当たり300μモルのアミン基、粘度:301mm/秒)を、高性能分散機(例えば、イカ・ウルトラ−ツラックス(登録商標))で3分間作用させ−それによってそれらを約30℃に加熱し−そして染料の水溶液をその後、高性能分散機を用いて10分間シロキサン中に均一に分散させ、その過程で反応混合物を約60℃に加熱した。残存水を減圧下に除去し、室温に冷却した後、生成物を、デプスフィルターを通して濾過した。これにより100部の黒着色シリコーンオイを得た。
【0130】
実施例4
162.4部の実施例2に記載された染料混合物を300部の完全脱塩水に懸濁させた。400部のアミノアルキル含有ポリジメチルシロキサン(アミン価:グラム当たり459μモルのアミン基、粘度:328mm/秒)を、高性能分散機(例えば、イカ・ウルトラ−ツラックス(登録商標))で3分間作用させ−それによってそれらを約25℃に加熱し−そして染料の水溶液をその後、高性能分散機を用いて10分間シロキサン中に均一に分散させ、その過程で反応混合物を約50℃に加熱した。残存水を減圧下に除去し、室温に冷却した後、生成物を、デプスフィルターを通して濾過した。これにより98部の黒着色シリコーンオイルを得た。
【0131】
実施例5
118.6部の実施例2に記載された染料混合物を200部の完全脱塩水に懸濁させた。500部のアミノアルキル含有ポリジメチルシロキサン(アミン価:グラム当たり254μモルのアミン基、粘度:232mm/秒)を、高性能分散機(例えば、イカ・ウルトラ−ツラックス(登録商標))で3分間作用させ−それによってそれらを約25℃に加熱し−そして染料の水溶液をその後、高性能分散機を用いて10分間シロキサン中に均一に分散させ、その過程で反応混合物を約50℃に加熱した。残存水を減圧下に除去し、室温に冷却した後、生成物を、デプスフィルターを通して濾過した。これにより100部の黒着色シリコーンオイル(粘度:2140mPa・秒)を得た。
【0132】
実施例6
次の組成
【0133】
【化16】

(式中、Xはナトリウムである)
を有する3.08部の金属錯体染料を7部の完全脱塩水に懸濁させた。50部のアミノアルキル含有ポリジメチルシロキサン(アミン価:グラム当たり92μモルのアミン基、粘度:300mm/秒)を、高性能分散機(例えば、イカ・ウルトラ−ツラックス(登録商標))で3分間作用させ−それによってそれらを約30℃に加熱し−そして染料の水溶液をその後、高性能分散機を用いて10分間シロキサン中に均一に分散させ、その過程で反応混合物を約60℃に加熱した。残存水を減圧下に除去し、室温に冷却した後、生成物を、デプスフィルターを通して濾過した。これにより102部の黒着色シリコーンオイル(粘度:2140mPa・秒)を得た。
【0134】
実施例7
6.89部の実施例6に記載された染料を15.4部の完全脱塩水に懸濁させた。110部のアミノアルキル含有及びビニル含有ポリジメチルシロキサン(アミン価:グラム当たり92μモルのアミン基、ヨウ素価:3.1g(I)/100g、粘度:396mm/秒)を、高性能分散機(例えば、イカ・ウルトラ−ツラックス(登録商標))で3分間作用させ−それによってそれらを約30℃に加熱し−そして染料の水溶液をその後、高性能分散機を用いて10分間シロキサン中に均一に分散させ、その過程で反応混合物を約60℃に加熱した。その後混合物を撹拌しながら100℃で4時間加熱した。残存水を減圧下に除去し、室温に冷却した後、生成物を、デプスフィルターを通して濾過した。これにより99部の黒着色シリコーンオイル(粘度:2140mPa・秒)を得た。
【0135】
実施例8
次の組成
【0136】
【化17】

(式中、Xは次の構造
【0137】
【化18】

を有する陽イオンである)
を有する2.46部の金属錯体染料を110部のアミノアルキル含有及びビニル含有ポリジメチルシロキサン(アミン価:グラム当たり92μモルのアミノ基、ヨウ素価:3.1g(I)/100g、粘度:396mm/秒)中へ計量供給し、高性能分散機(例えば、イカ・ウルトラ−ツラックス(登録商標))を用いて10分間シロキサン中に均一に分散させた。その後混合物を撹拌しながら100℃で4時間加熱した。室温に冷却した後、生成物を、デプスフィルターを通して濾過した。これにより100部の黒着色シリコーンオイルを得た。
【0138】
実施例9
次の組成
【0139】
【化19】

(式中、Xは次の構造
【0140】
【化20】

を有する陽イオンである)
を有する金属錯体染料の9×10−3Mメタノール溶液の110部を、110部のアミノアルキル含有及びビニル含有ポリジメチルシロキサン(アミン価:グラム当たり92μモルのアミノ基、ヨウ素価:3.1g(I)/100g、粘度:396mm/秒)中へ計量供給した。その後混合物を撹拌しながら100℃で4時間加熱した。室温に冷却した後、揮発性成分の全てを減圧下に除去し、そして生成物を、デプスフィルターを通して濾過した。これにより99部の黒着色シリコーンオイルを得た。
【0141】
光安定性を調べるために、黒色シリコーンエラストマー検体を、実施例6により製造された黒色シリコーンオイルから作製した。これは、実施例6からの1.75%の黒色シリコーンオイルを、タイプ・ワッカー・エラストシル(WACKER Elastosil)(登録商標)LR3003/10(ワッカー・ケミー社(WACKER Chemie AG))の液体シリコーンゴム混合物に混ぜ込むことによって行った。混合物をその後シート形態(80×20×2mm)にキャストし、UV露光試験にかけた。UV露光試験条件:UV露光の全経過時間:サイクルで1000時間;UV−A放射(340nm)、0.92W/m/分;1サイクル:50℃での8時間のUV露光+40℃での4時間の注水;露光はガラスカバーを用いた場合及び用いない場合で実施した。着色シートは、1000時間のUV露光後に、ガラスカバー下又はガラスカバーを用いない場合のいずれも目に見える漂白を全く示さなかった(濃い黒色相は不変であった)。
【0142】
熱安定性を調べるために、黒色シリコーンエラストマー検体を、実施例5及び9に記載された黒色シリコーンオイルから作製した。これは、実施例5からの1%、2%、4%、及び6%の黒色シリコーンオイルと、実施例9からの2%、4%、6%、及び10%の黒色シリコーンオイルとをそれぞれ、タイプ・ワッカー・エラストシル(登録商標)LR3003/40(ワッカー・ケミー社)の液体シリコーンゴム混合物に混ぜ込むことによって行った。2つの混合物をその後シート形態(80×20×2mm)にキャストし、温度安定性試験にかけた。これは、得られたシートを200℃で4時間保管することによって行った。熱処理したゴムシートの色相は、熱処理にかけなかったサンプルと比較して同一であった(濃い黒色相は不変であった)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
(RO)SiO(4−a−b−c−d)/2 (I)
[式中、
Rは同一であるか又は異なることができ、そして水素又は一価の、非置換若しくは置換炭化水素基であり、
は同一であるか又は異なることができ、そして水素又は一価の、SiC−結合した、非置換若しくは置換炭化水素基であり、
は同一であるか又は異なることができ、そして置換された一価の炭化水素基であり、
Aは同一であるか又は異なることができ、そして少なくとも1つのトリアジン環を含有し、該トリアジン環を経由して式(I)の単位に結合する、親水性有機染料基又は金属とのその錯体化合物であり、
aは0、1、2又は3であり、
bは0、1、2又は3であり、
dは0、1、2又は3であり、そして
cは0、1又は2であり、
ただし、a+b+c+dの合計は3以下であり、オルガノポリシロキサンが分子当たり、そして式(I)(式中、cは0以外であり、dは0である)の単位中に少なくとも1つの基Aを有する]
の単位を含む着色オルガノポリシロキサン。
【請求項2】
Rが水素、メチル、エチル、ビニル又はプロピルである、請求項1に記載の着色オルガノポリシロキサン。
【請求項3】
がメチルである、請求項1又は2に記載の着色オルガノポリシロキサン。
【請求項4】
式(III)
SiO(SiAO)(SiR2−fO)(R2−mSiO)(RAR1−jSiO)SiR (III)(式中、R、R及びAは請求項1に記載のように定義され、
fは0又は1、好ましくは1であり、
jは0又は1、好ましくは1であり、
mは0、1又は2、好ましくは0であり、
eは0又は1〜100の整数であり、
gは0又は1〜100の整数であり、
hは0又は1〜1000の整数であり、そして
kは1〜100の整数であり、
ただし、(e+g)<(h+k)/10であり、そして式(Ia)中の単位はシロキサン分子中にランダムに分布している)
のものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の着色オルガノポリシロキサン。
【請求項5】
染料含有率が、いずれの場合も総重量を基準として、0.1重量%〜80重量%、より好ましくは1重量%〜15重量%、特に5重量%〜10重量%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の着色オルガノポリシロキサン。
【請求項6】
式IV
【化1】

(式中、A’は発色構造であり、そして
はA’又は有機基である)
の親水性有機染料を、この染料のクロロトリアジン基と共有結合を形成することができる官能基を含有するオルガノポリシロキサンと反応させる工程を含む、請求項1に記載の着色オルガノポリシロキサンの製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載の着色オルガノポリシロキサンの着色剤としての使用。

【公表番号】特表2010−505014(P2010−505014A)
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529665(P2009−529665)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際出願番号】PCT/EP2007/059955
【国際公開番号】WO2008/040640
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(503412791)ダイスター・テクスティルファルベン・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・ドイッチュラント・コマンデイトゲゼルシャフト (40)
【Fターム(参考)】