説明

着色レンズおよび製造方法

【課題】 品質が優れたコンタクトレンズの上または中に像を提供することにより、着色コンタクトレンズに関与する様々な問題に取り組むものである。
【解決手段】 本発明は、オリゴマー、ポリマーまたは重合可能なモノマーを含むインクを用いることによって着色することができる、コンタクトレンズなどのレンズに関するものである。インクは、レンズ上、または中に画像を作製するのに用いることができる。これらのインクを用いて作成した画像は、デジタルであってよく、またインクジェット印刷を含む様々な種類の印刷方法に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、それぞれ参照文献として本書に含まれた、2000年7月17日出願のDoshiの米国仮特許出願公開第60/218,710号明細書に対する優先権の利益を主張する、現在の米国特許第6,315,410号明細書である、2000年10月25日出願の、Doshiの米国特許出願公開第09/969,933号明細書の分割である、2001年9月7日出願のDoshiの米国特許出願公開第09/949,520号明細書の一部継続出願である、2002年4月23日出願の「着色レンズおよび製造方法」と題する、Doshiの米国特許出願公開第10/128,064号明細書の一部継続出願である、2003年10月6日出願の「着色レンズおよび製造方法」と題する、Doshiの米国特許出願公開第10/679,645号明細書に対する優先権の利益を主張し、1999年11月1日出願のDoshiの米国特許出願公開第60/162,695号明細書に対する優先権の利益を主張し、2000年10月23日出願の、Doshiの国際公開第01/40846号パンフレットとして公開された、PCT出願PCT/US00/41454に対する優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、概して、着色レンズおよび製造方法の分野に関するものである。
【背景技術】
【0003】
着色コンタクトレンズは、市場に導入されて以来、安定した人気を得ている。特に、目の虹彩を模倣した像を含むカラーコンタクトレンズが特に人気がある。しかしながら、伝統的技術により作られるカラーコンタクトレンズは、像品質が悪く、また、レンズの表面上に存在する顔料の浸出、不自然な外観、カラーの退色、および選択される色数の制限を含む、他の困難がある。本発明は、これらの問題に取り組むものであり、さらなる関連利益も提供する。
【0004】
種々のカラーコンタクトレンズおよびその製造方法が記載されてきた。例えば、1991年5月28日に発行されたSuらの米国特許第5,018,849号明細書は、積層構造を形成し、コンタクトレンズの最上層の上に顔料が提供され、ポリマーのようなコンタクトレンズ材料の二つの層の間に不透明材料が挟まれるカラーコンタクトレンズを記載している。不透明材料が装着者の虹彩の天然色を遮断し、顔料が装着者の目に所望の色の外観を与える。これらのコンタクトレンズは、利用できる色の数が制限されているために、見た目が不自然だという、望ましくない品質を有する。さらに、製造中、一過程当たり一つの色を用いる複数の過程において、不透明材料および顔料がコンタクトレンズ材料に適用される。
【0005】
1991年7月23日に発行されたRawlingsらの米国特許第5,034,166号明細書において、積層されていないカラーコンタクトレンズが記載されている。このタイプのカラーコンタクトレンズ中の顔料が、レンズ材料の構造中に注入される。顔料は、レンズ製造中のある時点において一つの色が与えられ、このことが、カラーコンタクトレンズの作製に用い得る色の数を制限する。得られるカラーコンタクトレンズは、装着者の目が不自然に見えるので、望ましくない。さらに、この方法で用いられるパターンおよび顔料は制限され、不自然な見た目のコンタクトレンズとなる。また、既存の方法は、消費者に提供される色およびパターンの選択が制限されており、そして、これらの方法により生産されたレンズは、レンズの表面に顔料を出し、このため、レンズが装着者に不快なものになり、また顔料が退色する傾向がある。
【0006】
1992年4月21日に発行されたBriggsらの米国特許第5,106,182号明細書に記載のカラーコンタクトレンズは、積層されたカラーコンタクトレンズを記載している。このコンタクトレンズにおいて、放射状に盛り上がったセグメントを有するゴムスタンプを用いるパッドトランスファー法により、コンタクトレンズの一部分上に染色が行われる。パッドトランスファー法は、顔料をコンタクトレンズの一部に塗布して粗いパターンを形成する。パッドは、次に、コンタクトレンズの一部に押し付けられ、顔料を塗りつけ、そして、パッドがコンタクトレンズの一部から分離される。レンズは回転され、この工程が所望により繰り返される。得られるカラーコンタクトレンズは、用い得る色の数が制限されているので望ましくなく、また、得られる染色パターンは、予想できない不自然な外観を有する。
【0007】
1992年11月3日に発行されたEvansらの米国特許第5,160,463号明細書は、第一のパターン中の第一の顔料を成形装置に適用することによって作られるカラーコンタクトレンズを記載している。さらなるパターン中のさらなる顔料は、独立した方法で、成形装置に適用することができる。成形装置上に得られる像を、コンタクトレンズに移すことができる。複数の印刷過程の使用は、像を作り出すのに必要な方法の数が多いので望ましくない。さらに、この方法は、像を作り出すのに用い得る色の数が制限されているために、不自然な外観の像が得られる。
【0008】
1995年5月9日に発行されたJahnkeの米国特許第5,414,477号明細書に報告されているカラーコンタクトレンズは、不自然な外観の複数のドットを形成するパッドトランスファー法を用いて作られる像に関するものである。複数の印刷工程を用いて、より自然な外観の像を得ると報告されている、一を超える色を含む像を作り出すことができる。これらのドットは、形状が比較的明瞭であり、寸法が比較的大きく、従って、不自然な外観を有する。これらの方法を用いて作られたカラーコンタクトレンズは、用い得る色およびパターンの数も制限され、これにより、不自然な見た目の製品が得られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、品質が優れたコンタクトレンズの上または中に像を提供することにより、前述の着色コンタクトレンズに関与する問題に取り組むものである。像の品質の向上により、自然な外観の着色コンタクトレンズが得られる。
【0010】
図1は、デジタル的にコード化された像を印刷する方法の概略図を示す。A1はブラックインクを示し、A2はマゼンタインクを示し、A3はイエローインクを示し、A4はシアンインクを示し、A6はA1+A2+A3+A4のカラーインク被覆/層を示す。デジタル的にコード化された像を、レンズのような表面の上に印刷する。
【0011】
図2は、構造中に含まれる積層されたデジタル的にコード化された像の図を示す。A6はブラック、マゼンタ、イエローおよびシアンのカラーインク被覆/層を示し、A7は透明レンズ用の部分的重合モノマー混合物を示し、A8は部分的に重合されたA6を示し、A9は充分に重合された透明レンズを示す。
【0012】
図3Aは、一次表面とポリマー層との間にインクの層を含ませる方法を示す。A5は透明レンズ用のモノマー混合物を示し、A6はブラック、マゼンタ、イエローおよびシアンのカラーインク被覆/層を示し、A7は部分的に重合されたA5を示し、A8は部分的に重合されたA6を示し、A9は充分に重合された透明レンズを示し、A10は充分に重合されたA6を示す。図3Bは、インクを表面に適用する方法を示す。
【0013】
図4は、本発明のパッドトランスファー印刷法の図を示す。A7は透明レンズ用の部分的重合モノマー混合物を示し、A8はブラック、マゼンタ、イエローおよびシアンの部分的重合カラーインク被覆/層を示し、A9は充分に重合された透明レンズを示す。A10は充分に重合されたA8を示す。
【0014】
図5は、本発明のレンズを生産するために用いることができる旋盤/製作工程の方法を示す。
【0015】
図6は、本発明のレンズを生産するために用いることができる鋳造成形法を示す。
【0016】
図7Aおよび図7Bは、本発明のレンズを生産するために用いることができるスピン鋳造法を示す。
【0017】
図8Aは、本発明の凸部分に形成することができる圧痕構造の例を示し、本発明のインクで充填して示す。
【0018】
図8Bは、本発明の凹部分に形成することができる圧痕構造の例を示し、本発明のインクで充填して示す。圧痕構造は必ずしも寸法を示されず、好ましくは比較的小さく、体積が約10マイクロリットル未満、約5マイクロリットル未満、約1マイクロリットル未満、約0.1マイクロリットル未満、約1ナノリットル未満、約0.1ナノリットル未満、または約0.01ナノリットル未満である。
【0019】
図9は、本発明の種々の圧痕構造中へのインクの付着を示す。異なる角度は、表面の回転を示す。圧痕構造は、本発明のインクで部分的に充填されて示されている。圧痕構造中の残りの空隙体積は、例えば、本発明のインクを捕捉するようにモノマーまたはポリマーで充填されることができる。インクの一以上の色の液滴を、そのような圧痕中に付着させて、そのような圧痕中に種々の色を存在させることができる。
【0020】
図10は、レンズのための心出しおよびマスキングのための固定具を示すが、好ましくは、水和または部分的水和レンズに限定されない。
【0021】
図11は、本発明と組み合わせて、デジタル的にコード化された像を印刷するための種々の方法の概略図を示す。
【0022】
図12は、印刷されたデジタル的にコード化された像を有するポリマーを作る種々の方法の概略図を示す。A5は、透明レンズ用のモノマー混合物を示す。
【0023】
図13は、本発明の構造中の積層されたデジタル的にコード化された像の図を示す。A5は透明レンズ用のモノマー混合物を示し、A6はブラック、マゼンタ、イエローおよびシアンのカラーインク被覆/層を示し、A7は部分的に重合されたA5を示し、A8は部分的に重合されたA6を示し、A9は充分に重合された透明レンズを示し、A10は充分に重合されたA6を示す。
【0024】
図14は、本発明の表面上のウエル中に印刷する方法を示す。A5は透明レンズ用のモノマー混合物を示し、A6はブラック、マゼンタ、イエローおよびシアンのカラーインク被覆/層を示し、A7は部分的に重合されたA5を示し、A8は部分的に重合されたA6を示し、A9は充分に重合された透明レンズを示す。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明は、コンタクトレンズのようなレンズを、ポリマーまたは重合性モノマー、好ましくはレンズを作るのに用いられる同じモノマーを含むインクを用いて着色し得ることを認識している。このインクを用いて、レンズの上または中に像を作ることができる。これらのインクを用いて作られる像は、好ましくは、モディファイまたは非モディファイデジタルフォーマットであり、インクジェット印刷を含む種々の印刷法において用いることができる。モディファイされたデジタルフォーマットは、印刷された表面に適用される振動によるような、印刷の前または後のデジタルイメージの変化により作ることができる。
【0026】
本発明の第一の局面は、ポリマーおよび、インクを用いて作られたデジタル的にコード化された像を含んでなる製造物品であって、ポリマーがレンズを形成する製造物品である。
【0027】
本発明の第二の局面は、ポリマーを含む組成物上にデジタル的にコード化された像を印刷する過程を含んでなる、デジタル的にコード化された像およびポリマーを含む製造物品の製造方法であって、ポリマーがレンズを形成する製造方法である。
【0028】
本発明の第三の局面は、ポリマーを含む組成物上にデジタル的にコード化された像を印刷する過程、および前記ポリマーからレンズを形成する過程を含んでなる、デジタル的にコード化された像およびポリマーを含む製造物品の製造方法である。
【0029】
本発明の第四の局面は、少なくとも一つのモノマーを含む組成物上にデジタル的にコード化された像を印刷する過程、前記少なくとも一つのモノマーを重合して少なくとも一つのポリマーを形成する過程、および前記少なくとも一つのポリマーからレンズを形成する過程を含んでなる、デジタル的にコード化された像およびポリマーを含む製造物品の製造方法である。
【0030】
本発明の第五の局面は、少なくとも一つの第一の表面上に像を印刷する過程、モノマーまたはポリマーを含む少なくとも一つの第二の表面に前記像を移す過程、および前記第二の表面からレンズを形成する過程を含んでなる、デジタル的にコード化された像およびポリマーを含む製造物品の製造方法である。
【0031】
本発明の第六の局面は、少なくとも一つの情報記憶媒体および少なくとも一つのデジタルイメージを含む製造物品であって、少なくとも一つのデジタルイメージが、少なくとも一部の像または他の像を含む製造物品である。
【0032】
本発明の第七の局面は、本発明の製造物品および印刷装置を含んでなるシステムである。
【0033】
本発明の第八の局面は、インク、染料、建染染料、粒子、顔料、反応性染料またはジアゾ染料を含む物質の組成物である。この物質の組成物は、バインダー、モノマー、ポリマー、ホモポリマー、ヘテロポリマー、コポリマーおよび開始剤、UV開始剤、熱開始剤、溶媒、分散剤、抗菌剤、抗微生物剤、抗真菌剤、殺菌剤、増粘剤または湿潤剤も含む。
【0034】
本発明の第九の局面は、ヒト、データベースまたは像からデジタルイメージを得る過程、および前記デジタルイメージをレンズ上に印刷する過程を含んでなる、ビジネスを行う方法である。
【0035】
本発明の第十の局面は、ポリマー基体とインクを用いて作られたデジタル的にコード化された像とを含んでなる製造物品であって、ポリマー基体がレンズを形成し、デジタル的にコード化された像をポリマー基体に塗布するのに先立ってポリマー基体が前処理工程にかけられ、前処理工程の結果としてデジタル的にコード化された像の画質が向上する、製造物品である。
【0036】
本発明の第十一の局面は、ポリマー基体とインクを用いて作られたデジタル的にコード化された像とを含み、ポリマー基体がレンズを形成する製造物品を作る方法であって、ポリマー基体を前処理工程にかけ、デジタル的にコード化された像をポリマー基体に塗布することから成り、前処理工程の結果としてデジタル的にコード化された像の画質が向上する、製造方法である。
【0037】
本発明の第十二の局面は、ポリマー基体と反応成分を含むインクを用いて作られたデジタル的にコード化された像とを含んでなる製造物品であって、ポリマー基体がレンズを形成し、インクジェット印刷によってデジタル的にコード化された像がポリマー基体に塗布され、反応成分がインクジェットプリンタカートリッジ内に貯蔵される、製造物品である。
【0038】
本発明の第十三の別の局面において開示されるインクは、紫外線源または熱源に曝露されると遊離基自己重合されることのできるオリゴマーと、顔料と、重合可能な親水性モノマーと開始剤とから成る。このインクは随意に一つまたは複数の分散剤、溶媒または界面活性剤を含むことが出来る。インクは紫外線源または熱源に継続的または断続的に曝露して硬化させることができる。
【0039】
本発明の第十四の局面において開示される製造物品は、ポリマーと一つまたは複数の開示されたインクを用いて作られた像とから成る。ポリマーはレンズを形成する。
【0040】
本発明の第十五の局面において開示される基体の着色または彩色方法は、親水性の基体を提供することと、一つまたは複数の開示されたインクを基体の上に印刷することと、約0.1分未満、約0.1分と約6時間の間、約0.5分から約3時間の間、約1.0分から約1時間の間、約2分から約30分の間または約3分から10分の間、印刷した基体を紫外線源に曝露することから成る。
【0041】
本発明の第十六の局面において開示されるインクの調製方法は、紫外線源または熱源に曝露されると遊離基自己重合されることのできるオリゴマーを提供することと、顔料を提供することと、水が存在するときに膨張することのできる重合可能な親水性モノマーを提供することと、光開始剤または熱開始剤を提供することから成る。
【0042】
本発明の第十七の局面において義眼が開示される。義眼は、鞏膜部分と、少なくとも部分的にデジタル的にコード化された像を含む虹彩部分と、人工角膜と随意に瞳孔部分を含むことができる。
【0043】
本発明の第十八の局面において開示される義眼の製造方法は、鞏膜部分を形成することと、虹彩部分を形成することと、虹彩部分にデジタル的にコード化された像を印刷することと、人工角膜を形成することから成る。
【0044】
本発明の第十九の局面において開示される義眼の製造方法は、鞏膜部分を形成することと、鞏膜部分にデジタル的にコード化された像を印刷することによって虹彩部分を形成することと、人工角膜を形成することから成る。
【0045】
定義
特記しない限り、ここで用いられる全ての技術および科学的用語は、本発明が属する当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。通常、ここで用いられる命名法および実験室的手順は良く知られており当該分野において一般的に用いられている。これらの手順のために、当該分野で提供されている方法、および、米国特許第5,160,463号明細書、5,271,874号明細書、5,018,849号明細書、5,034,166号明細書、5,414,477号明細書;Dayら著、Current Optometric Information and Terminology、第3版、American Optometric Association(1980年);Howley’s Condensed Chemical Dictionary(1981年);およびFederation of Societies for Coatings Technology,Glossary of Color Terms,Federation of Societies for Coatings Technology(1981年)のような種々の一般的参考文献に記載のような従来法が用いられる。用語が単数形で提供される場合、本発明者は、この用語の複数形も企図する。ここで用いられる命名法および以下に記載の実験室的手順は、よく知られており当該分野で一般的に用いられるものである。開示を通して用いられるように、以下の用語は、特記しない限り、以下の意味を有すると解釈される。
【0046】
「直接に」は、中間過程を必要としない工程の直接原因を意味する。
【0047】
「間接的に」は、中間過程を必要とする間接的原因を意味する。
【0048】
「デジタル的にコード化された像」または「デジタルイメージ」は、デジタルフォーマットで作り出されたまたは記憶された像を意味する。デジタル的にコード化された像は、芸術的解釈またはスキャンニング、あるいは、ヒトの目のような目の虹彩のような自然に発生する像を含む像の他の変換法のような当該分野で知られている方法を用いて作ることができる。デジタル的にコード化された像は、磁気媒体または、シクロオレフィンコポリマーのようなポリマーのような、適当な記憶媒体上に記憶することができる。複数のデジタル的にコード化された像は、一緒にまたは別々に記憶して、デジタル的にコード化された像の、個々にまたは組み合わせて利用できるデータベースを形成することができる。そのようなデジタル的にコード化された像は、芸術的解釈または像変更ソフトウェアのような確立された方法を用いて変えることができる。複数の像を併合して新しいデジタル的にコード化された像を形成することもできる。デジタルイメージは、所定の像が提示された場合、異なる色の複数のドットとして作られる。例えば、像は、スキャナーまたはデジタルカメラを用いて作られる。モディファイされたデジタルイメージは、重合またはカラードットの混合のような二次加工を用いて変えられるデジタルイメージとして定義することができる。
【0049】
ここで用いられる「インク」は、任意の着色された化合物、化学物質または構造を意味し、例えば、染料、建染染料、粒子、顔料、反応性染料、ジアゾ染料などである。インクは、着色されていないときに、例えば、粒子による光の回折または偏向(例えば)によりカラー外観を与える構造も含む。インクは、水系、モノマー系または溶媒系であり得る。
【0050】
インクとの関連における「染料」は、当該分野で知られているような種々の染料を意味し、例えば、ジアゾ染料、例えば、Diazo 15(4−ジアゾ−(4’−トルイル)−メルカプト−2,5−ジエトキシベンゼン亜鉛クロライド)(米国特許第5,662,706号明細書)である。
【0051】
インクとの関連における「建染染料」は、当該分野で知られているような種々の建染染料を意味し、例えば、Vat Blue 6(7,16−ジクロロ−6,15−ジヒドロ−9,14,18−アントラジンテルトロン)およびVat Green 1(16,17−ジメチルオキシジナフト(1,2,3,ed:31,2’−1’−1−m)ペリレン−5)(米国特許第5,302,978号明細書)である。
【0052】
インクとの関連における「粒子」は、当該分野で知られているような種々の粒子を意味し、例えば、India Inkである。
【0053】
インクとの関連における「顔料」は、当該分野で知られているような種々の顔料を意味し、例えば、二酸化チタン、弁柄、イエロー酸化鉄(米国特許第5,160,463号明細書)、Pigment Blue 15(フタロシアニンブルー(CI#74160))、Pigment Green 7(フタロシアニングリーン(CI#74260))、Pigment Blue 36(コバルトブルー(CI#77343))または三二酸化クロム(米国特許第5,272,010号明細書)である。
【0054】
インクとの関連における「反応性染料」は、当該分野で知られているような種々の反応性染料を意味し、例えば、Reactive Blue No.4(2−アントラセンスルホン酸,1−アミノ−4,3((4,6−ジクロロ−s−トリアジン−2−イル)アミノ)−4−スルホアニリン)−9−10−ジヒドロ−9−10−ジオキソ,二ナトリウム塩;CAS Reg.4499−01−8);Reactive Yellow No.86(1,3−ベンゼンジスルホン酸4−((5 アミノカルボニル−1−エチル−1,6−ジヒドロ−2−ヒドロキシ−4−メチル−6−オキソ−3−ピリジニル)アゾ)−6−(4,6−ジクロロ−1,2,5−トリアジン−ジル)アミノ)−二ナトリウム塩)(米国特許第5,106,182号明細書)である。
【0055】
インクとの関連における「溶媒」は、水性、有機または無機の溶媒を意味し、例えば、水、イソプロパノール、テトラヒドロフランまたはアセトン(米国特許第5,271,874号明細書)である。
【0056】
「界面活性剤」は、当該分野で知られているような界面活性剤を意味し、例えば、アセチレングリコールまたはポリオキシエチレンアルキルエーテル(米国特許第5,746,818号明細書および米国特許第5,658,376号明細書)のようなものである。
【0057】
インクとの関連における「分散剤」は、当該分野で知られているような分散剤を意味し、例えば、Union Carbide社のTergitolシリーズ、ポリオキシル化アルキルエーテル、アルキルジアミノ四級塩またはGAF社からの「Pecegal “O”」(米国特許第5,560,766号)のようなものである。分散剤は、好ましくは、約0.1%〜約10%、より好ましくは約0.5%〜約5%の間で用いられる。
【0058】
ここで用いられる「レンズ」は、光を透過させ得る物質の組成物を意味する。レンズは、好ましくは、コンタクトレンズのような光学的レンズとして作用することができる。本発明のある局面において、レンズは、ユーザーの視力の補正、改良または改変に関する目的に対して重要でない目的のために用いられるコンタクトレンズのような光学的レンズとして作用する必要はない。
【0059】
「コンタクトレンズ」は、装着者の目の上または中に配することができる構造を意味する。コンタクトレンズは、ユーザーの視力を補正、改良または改変することができるが、その場合に限らない。コンタクトレンズは、当該分野で知られているまたはその後に開発されるあらゆる適当な材料からなることができ、ソフトレンズ、ハードレンズまたはハイブリッドレンズであり得る。コンタクトレンズは、乾燥状態でも湿潤状態でもあり得る。
【0060】
「ソフトレンズ」は、当該分野で知られている種々のソフトレンズを意味し、例えば、酸素透過性、親水性または撓み性のうちの少なくとも一つの特性を有することを特徴とする。
【0061】
「ハードレンズ」は、当該分野で知られている種々のハードレンズを意味し、例えば、疎水性、通気性または剛性のうちの少なくとも一つの特性を有することを特徴とする。
【0062】
「ハイブリッドレンズ」は、当該分野で知られている種々のハイブリッドレンズ、例えば、ソフト周辺部およびハード中心部を有するレンズを意味する。
【0063】
「乾燥状態」は、水和前の状態のソフトレンズ、または、保管または使用状態のハードレンズの状態を意味する。
【0064】
「湿潤状態」は、水和状態のソフトレンズを意味する。
【0065】
「単色」は、一以上のインクから作られる別個の色を意味する。
【0066】
「多色像」は、一を超える単色を含む像を意味する。多色像は、複数の単色を用いて作ることができる。例えば、多色像は、二以上の単色、三以上の単色または四以上の単色、好ましくは原色を用いて作ることができる。インクジェット印刷のような分配を用いる印刷工程のような印刷工程の途中のような、多色像の形成の途中またはその前に色を混合することができる。
【0067】
「透明」は、入射光の90%以上のような、構造を通して透過した可視光の実質的部分を意味する。
【0068】
「不透明」は、入射光の90%以上のような、構造により反射または吸収された可視光の実質的部分を意味する。
【0069】
「部分的不透明」は、透明と不透明との組み合わせを意味する。
【0070】
「ヒドロゲル」は、水の吸収故に水溶液中で膨張するポリマーを意味する。ヒドロゲルは、その構造の一部として水または水溶液を含む。
【0071】
「ポリマー」は、モノマーの結合を意味する。好ましくは、ポリマーは、コンタクトレンズのようなレンズにおいて用いるのに適したポリマーである。ポリマーは、例えば、ホモポリマー、ヘテロポリマー、コポリマー、疎水性ポリマー、親水性ポリマーまたはそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0072】
「疎水性ポリマー」は、相当の量の水または水溶液を吸収しないポリマーを意味する(米国特許第5,034,166号明細書を参照)。「親水性ポリマー」は、相当の量の水または水溶液を吸収するポリマーを意味する(米国特許第5,034,166号明細書を参照)。コンタクトレンズの製作において適したレンズ形成材料が、米国特許第2,976,576号;3,220,960号;3,937,680号;3,948,871号;3,949,021号;3,983,083号;3,988,274号;4,018,853号;3,875,211号;3,503,942号;3,532,679号;3,621,079号;3,639,524号;3,700,761号;3,721,657号;3,758,448号;3,772,235号;3,786,034号;3,803,093号;3,816,571号;3,940,207号;3,431,046号;3,542,461号;4,055,378号;4,064,086号;4,062,624号;および5,034,166号明細書のうちの一つ以上において説明されている。
【0073】
「親水性モノマー」は、ヒドロキシエチルメタクリレート、メタクリル酸またはN−ビニルピロリドンのような、ソフトレンズを作るのに用いられるモノマーを意味する(米国特許第5,271,874号明細書;米国特許第5,272,010号明細書)。「親水性モノマー」は、メチルメタクリレート、エトキシエチルメタクリレート、スチレンまたはシリコーンのような、ハードレンズを作るのに用いられるモノマーを意味する(米国特許第5,271,874号明細書;米国特許第5,272,010号明細書)。
【0074】
「ホモポリマー」は、ヒドロキシエチルメタクリレートのようなモノマーを一種含むポリマーを意味する。
【0075】
「ヘテロポリマー」は、ヒドロキシエチルメタクリレートおよびメタクリル酸のようなモノマーを一種より多く含むポリマーを意味する。
【0076】
「コポリマー」は、ポリマー鎖を作るために二つの異なるポリマーを用いることを意味する。
【0077】
「アクリル酸ポリマー」または「アクリル」は、例えばヒドロキシエチルメタクリレートのような、当該分野で知られている、その属および種の種々のポリマーを意味する。
【0078】
「シリコーンポリマー」または「シリコーン」は、例えばTris(例えば、トリス(ペンタメチルジシロキサニル)−3−メタクリレートプロピルシランまたは3−メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン)のような、当該分野で知られている、その属および種の種々のポリマーを意味する。
【0079】
「ポリカーボネートポリマー」または「ポリカーボネート」は、例えばLexanのような、当該分野で知られている、その属および種の種々のポリマーを意味する。
【0080】
重合との関連における「開始剤」は、例えば、重合反応を開始させる化学物質のような当該分野で知られている開始剤を意味する。
【0081】
重合との関連における「UV開始剤」は、例えば、UVエネルギーのようなエネルギーの吸収により反応性または活性になる化学物質のような当該分野で知られているUV開始剤を意味し、例えば、ベンゾインメチルエーテルのようなものである。
【0082】
「バインダー」または「結合剤」は、染料とポリマーもしくはモノマーとの間、またはモノマーとポリマーとの間のような当該分野で知られているような部分間の相互作用を増加させる機能を果たすように用いられる化合物を意味する。バインダーまたは結合剤の例には、ヘキサメチレンジイソシアネートまたは他のイソシアネート化合物がある。
【0083】
「増粘剤」は、当該分野で知られているような液体または部分的液体混合物または溶液の粘度を増加させるように用いられる化合物を意味する。増粘剤の例としてポリビニルアルコールがある。
【0084】
「抗コゲート剤」または「非コゲート剤」は、当該分野で知られているような、ノズルを利用する印刷工程を容易にする化合物を意味する。
【0085】
「分散剤」は、微小または極微小固体粒子の分布および分離を促進するために懸濁化剤に添加される界面活性剤を意味する。
【0086】
重合との関連における「熱開始剤」は、例えば、熱エネルギーの吸収により活性または反応性になる化学物質のような、当該分野で知られている熱開始剤を意味し、例えば、Vazo−64またはアゾビスイソブチロニトリルのようなものである。
【0087】
「抗菌剤」は、テトラブチルアンモニウムクロライドのような、殺菌または静菌剤として作用し得る、または細菌の成長速度を低下させ得る化合物または組成物を意味する。
【0088】
「抗真菌剤」は、塩化ベンザルコニウム、サリチル酸のような、殺真菌または静真菌剤として作用し得る、または真菌の成長速度を低下させ得る化合物または組成物を意味する。
【0089】
「殺菌剤」は、微生物の型、数または多様性を低下させ得る化合物または組成物を意味する。
【0090】
「湿潤剤」は、エチレングリコールのような、蒸発を低下させる化合物を意味する。
【0091】
「印刷」は、少なくとも一つのインクを表面または構造に適用して像を形成することを意味する。印刷は、当該分野で知られている、あるいは特定の目的で後に開発されるいかなる適当な装置または方法も用いることができる。
【0092】
「印刷装置」は、当該分野で知られている、あるいは特定の目的で後に開発される表面または構造上に像を印刷するためのあらゆる適当な装置を意味する。好ましくは、印刷装置は、像を形成するインクを含む液体の微小液滴の分配を含む。微小液滴の寸法および体積は変わり得るが、通常、液滴が小さい程、作られる像の品質がより高い。好ましい微小液滴は、約1ナノリッター〜約100マイクロリッター、好ましくは約10ナノリッター〜約10マイクロリッター、または約100ナノリッター〜約1マイクロリッターである。
【0093】
「インクジェット印刷」は、少なくとも一つのインクジェットを含む印刷装置を用いる印刷を意味する。インクジェット印刷は、単一の色を用いるか、または複数の色を用いることができる。例えば、インクジェット印刷は、別々に提供され得る複数の異なる色のインクを含む印刷装置を用いることができる。本発明のこの点において、インクは好ましくは少なくとも二つ、少なくとも三つまたは少なくとも四つの原色と黒であり、混合して非常に多数の異なる色を形成することができる。そのような印刷装置は、例えば、Hewlett Packard Corporation(例えば、DeskJet 560C印刷カートリッジ)およびEncad Corporationから市販されている。インクを、一回より多く表面に適用して、所望の輝度、色相または他の色特性を得ることができる。
【0094】
「ピエゾ印刷」は、少なくとも一つのピエゾ印刷構造を含む印刷装置を用いる印刷を意味する。そのようなピエゾ印刷構造は、当該分野で知られており、例えば、Packard InstrumentsおよびHewlett Packard CorporationまたはCanon Inc.から入手されるようなものである。
【0095】
「熱印刷」は、少なくとも一つの熱印刷構造を含む印刷装置を用いる印刷を意味する。そのような熱印刷構造は、当該分野で知られており、例えば、Hewlett Packard Corporationから得られるようなものである。
【0096】
「レーザー印刷」は、少なくとも一つのレーザー印刷構造を使用する印刷装置を用いる印刷を意味する。そのような印刷構造は、当該分野で知られており、例えば、CannonまたはHewlett Packard Corporationから得られるようなものである。
【0097】
「パッドトランスファー印刷」は、パッドトランスファー印刷装置を用いる印刷を意味する。そのようなパッドトランスファー印刷装置は、当該分野で、特に、コンタクトレンズの分野での印刷用に知られている。簡単に説明すると、パッドトランスファー装置上に像が置かれまたは印刷され、パッドトランスファー装置上の像は、ポリマーまたはレンズのようなもう一つの表面に転写される(1970年10月27日に発行されたSpivackの米国特許第3,536,386号明細書;1986年4月15日に発行されたKnappの米国特許第4,582,402号明細書;1987年11月3日に発行されたKnappの米国特許第4,704,017号明細書;1991年7月23日に発行されたRawlingsらの米国特許第5,034,166号明細書;1992年4月21日に発行されたBriggsらの米国特許第5,106,182号明細書;1994年10月4日に発行されたSuらの米国特許第5,352,245号明細書;1995年9月26日に発行されたShellの米国特許第5,452,658号明細書および1997年6月10日に発行されたMisciagnoらの米国特許第5,637,265号明細書)。
【0098】
「含浸」は、インクがポリマーのような表面に接触することを意味し、このインクはポリマー中に分散し、そこで、反応して、ポリマーの平均孔寸法より大きな寸法まで沈殿する(1990年3月7日公開のPfortnerの欧州特許0357062)。
【0099】
「写真平板術」は当該分野で知られている工程を意味し、そこでは、少なくとも一つの感光インクが用いられ、光を遮断するマスクを利用して所望の像が提供される。
【0100】
「化学的結合」は、共有結合または非共有結合を意味する。ある環境下では、インクはポリマーまたはモノマーと、各々の上の反応性基が適当であるなら、化学的結合を形成する(1990年10月24日発行のQuinnの欧州特許0393532(Loshaekの米国特許第4,668,240号明細書および米国特許第4,857,072号明細書に言及している);1993年12月21日発行のQuinnの米国特許第5,272,010号明細書)。
【0101】
「ポリマー−ポリマー結合」は、ヒドロキシエチルメチルアクリレートおよびエチレングリコールジメタクリレートのような二つのポリマーの間に形成されるポリマーを架橋結合することなどにより、二つのポリマーが共有結合または非共有結合を形成することを意味する。
【0102】
「パターン」は、予め決められた像を意味する(1992年11月3日に発行されたEvansらの米国特許第5,160,463号明細書;1995年5月9日に発行されたJahnkeの米国特許第5,414,477号明細書)。
【0103】
「少なくとも二つの別々の色またはその混合」、「少なくとも三つの別々の色またはその混合」または「少なくとも四つの別々の色またはその混合」は、別々の容器内または一つの容器内の別々の部分中に提供される異なる色のインクの使用を意味する。色は、好ましくは原色または基本色と黒、より好ましくは、黒、シアン、マゼンタおよびイエローである。インクを、異なる割合(0を含む)で混合して、非常に広い範囲の色を得ることができる。混合は、印刷構造中に、例えば、印刷工程でインクを分配する前に起こり得る。あるいは、混合は、印刷構造の外部で、例えば、印刷工程でインクを分配した後に起こり得る。さらに、前記態様の組み合わせも起こり得る。
【0104】
「乾燥状態」は、充分に水和していないポリマーを意味する。
【0105】
「湿潤状態」は、充分に水和しているポリマーを意味する。
【0106】
「レンズを形成」または「レンズを製作」は、レンズを形成するために当該分野で知られているか、または後で開発される任意の方法および構造を意味する。そのような形成は、例えば、鋳造成形、スピン鋳造、切削、研磨、レーザー切削、打ち抜き、トリミング、彫刻、エッチング等を用いて行われ得る(1985年12月17日に発行されたFuhrmanの米国特許第4,558,931号明細書)。
【0107】
レンズの形成との関連における「鋳造成形」は、型を用いて少なくとも部分的なレンズを形成することを意味する(1970年10月27日に発行されたSpivakの米国特許第3,536,386号明細書;1973年1月23日に発行されたLeGrandらの米国特許第3,712,718号明細書;1986年4月15日に発行されたKnappの米国特許第4,582,402号明細書;1987年11月3日に発行されたKnappの米国特許第4,704,017号明細書;1992年4月21日に発行されたBriggsらの米国特許第5,106,182号明細書;1992年11月3日に発行されたEvansらの米国特許第5,160,463号明細書;1993年12月21日に発行されたOsipoらの米国特許第5,271,874号明細書および1990年3月7日に公開されたPfortnerの欧州特許0357062)。
【0108】
レンズの形成との関連における「スピン鋳造」は、遠心力を用いるレンズの形成を意味する(1971年1月19日に発行されたWichterleの米国特許第3,557,261号明細書および1991年7月23日に発行されたRawlingsらの米国特許第5,034,166号明細書)。
【0109】
「情報記憶媒体」は、任意の適当なフォーマットの情報を永続的または一時的に記憶することができる任意の表現媒体を意味する。好ましい情報記憶媒体は、紙、電子媒体、磁気媒体またはポリマー、例えば、シクロオレフィンコポリマーを含む。
【0110】
「電子媒体」は、情報を電子的状態で記憶することができる情報記憶媒体を意味する。例えば、電子媒体は、磁気記憶媒体、例えばディスケットを含む。
【0111】
「機械読み取り性フォーマット」は、中央演算装置(CPU)のような機械が情報にアクセスし、情報を用いることができるように、言語または配列のフォームで情報記憶媒体の上または中に記憶された情報を意味する。
【0112】
「データベース」は、デジタルイメージのような情報の集合を意味する。情報は、好ましくは情報記憶媒体に提供され、中央演算装置から分離されるか、またはそれに一体化され得る。
ここで用いられる他の技術用語は、それらが用いられる技術分野の一般的意味を有し、種々の技術辞典により例示される。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】デジタル的にコード化された像を印刷する方法の概略図
【図2】構造中に含まれる積層されたデジタル的にコード化された像を示す図
【図3A】一次表面とポリマー層との間にインクの層を含ませる方法を示す図
【図3B】インクを表面に適用する方法を示す図
【図4】本発明のパッドトランスファー印刷法の図
【図5】本発明のレンズを生産するために用いることができる旋盤/製作工程の方法を示す図
【図6】本発明のレンズを生産するために用いることができる鋳造成形法を示す図
【図7A】本発明のレンズを生産するために用いることができるスピン鋳造法を示す図
【図7B】本発明のレンズを生産するために用いることができるスピン鋳造法を示す図
【図8A】本発明の凸部分に形成することができる圧痕構造の例を示す図
【図8B】本発明の凹部分に形成することができる圧痕構造の例を示す図
【図9】本発明の種々の圧痕構造中へのインクの付着を示す図
【図10】レンズのための心出しおよびマスキングのための固定具を示す図
【図11】本発明と組み合わせて、デジタル的にコード化された像を印刷するための種々の方法の概略図
【図12】印刷されたデジタル的にコード化された像を有するポリマーを作る種々の方法の概略図
【図13】本発明の構造中の積層されたデジタル的にコード化された像の図
【図14】本発明の表面上のウエル中に印刷する方法を示す図
【発明を実施するための形態】
【0114】
導入
本発明は、コンタクトレンズのようなレンズを、ポリマーまたは重合性モノマー、好ましくはレンズを作るのに用いられる同じモノマーを含むインクを用いて着色し得ることを認識している。このインクを用いて、レンズの上または中に像を作ることができる。これらのインクを用いて作られる像は、好ましくは、デジタルであり、インクジェット印刷を含む種々の印刷法において用いることができる。
【0115】
本発明の要旨の非限定的導入として、本発明は、以下のような幾つかの通常の有用な局面を含む:
1)ポリマーおよび、インクを用いて作られたデジタル的にコード化された像を含んでなる製造物品であって、ポリマーがレンズを形成する製造物品;
2)ポリマーを含む組成物上にデジタル的にコード化された像を印刷する過程を含んでなる、デジタル的にコード化された像およびポリマーを含む製造物品を製造する方法であって、ポリマーがレンズを形成し、そのようなレンズが、デジタル的にコード化された像を作るために用いられるインクの局在化を容易にする圧痕構造を任意に含み得る製造方法;
3)ポリマーを含む組成物上にデジタル的にコード化された像を印刷する過程、および前記ポリマーからレンズを形成する過程を含んでなる、デジタル的にコード化された像およびポリマーを含む製造物品の製造方法;
4)少なくとも一つのモノマーを含む組成物上にデジタル的にコード化された像を印刷する過程、前記少なくとも一つのモノマーを重合して少なくとも一つのポリマーを形成する過程、および前記少なくとも一つのポリマーからレンズを形成する過程を含んでなる、デジタル的にコード化された像およびポリマーを含む製造物品の製造方法;
5)少なくとも一つの第一の表面上に像を印刷する過程、モノマーまたはポリマーを含む少なくとも一つの第二の表面に前記像を移す過程、および前記第二の表面からレンズを形成する過程を含んでなる、デジタル的にコード化された像およびポリマーを含む製造物品の製造方法;
6)少なくとも一つの情報記憶媒体および少なくとも一つのデジタルイメージを含む製造物品であって、少なくとも一つのデジタルイメージが、少なくとも一部の像または他の像を含む製造物品;
7)本発明の製造物品および印刷装置を含んでなるシステム;
8)インク、染料、建染染料、粒子、顔料、反応性染料またはジアゾ染料を含む物質の組成物である。この物質の組成物は、バインダー、結合剤、モノマー、ポリマー、ホモポリマー、ヘテロポリマー、コポリマーおよび開始剤、UV開始剤、熱開始剤、溶媒、分散剤、界面活性剤、抗菌剤、抗微生物剤、抗真菌剤、殺菌剤、増粘剤または湿潤剤も含む;
9)ヒト、データベースまたは像からデジタルイメージを得る過程、および前記デジタルイメージをレンズ上に印刷する過程を含んでなる、ビジネスを行う方法;
10)ポリマー基体と、インクを用いて作られたデジタル的にコード化された像とを含んでなる製造物品であって、ポリマー基体がレンズを形成し、デジタル的にコード化された像をポリマー基体に塗布するのに先立ってポリマー基体が前処理工程にかけられ、前処理工程の結果としてデジタル的にコード化された像の画質が向上する、製造物品;
11)ポリマー基体とインクを用いて作られたデジタル的にコード化された像とを含み、ポリマー基体がレンズを形成する製造物品を作る方法であって、ポリマー基体を前処理工程にかけ、デジタル的にコード化された像をポリマー基体に塗布することから成り、前処理工程の結果としてデジタル的にコード化された像の画質が向上する、製造方法;
12)ポリマー基体と反応成分を含むインクを用いて作られたデジタル的にコード化された像とを含んでなる製造物品であって、ポリマー基体がレンズを形成し、インクジェット印刷によってデジタル的にコード化された像がポリマー基体に塗布され、反応成分がインクジェットプリンタカートリッジ内に貯蔵される、製造物品;
13)インクであって、紫外線源または熱源に曝露されると遊離基自己重合されることのできるオリゴマーと、顔料と、重合可能な親水性モノマーと、開始剤とから成り、紫外線源または熱源に曝露して硬化させることができるインク;
14)ポリマーと、少なくとも一部が、開示されたインクを用いて作られた像とから成る製造物品であって、前記ポリマーがレンズを形成する、製造物品;
15)基体の着色方法であって、親水性の基体を提供することと、インクを基体の上に印刷することと、基体を紫外線源に曝露することから成る、着色方法;
16)インクの調製方法であって、紫外線源に曝露されると遊離基自己重合されることのできるオリゴマーを提供することと、顔料を提供することと、水が存在するときに膨張することのできる重合可能な親水性モノマーを提供することと、光開始剤を提供することから成る、調製方法;
17)インクの調製方法であって、熱源に曝露されると遊離基自己重合されることのできるオリゴマーを提供することと、顔料を提供することと、水が存在するときに膨張することのできる重合可能な親水性モノマーを提供することと、熱開始剤を提供することから成る、調製方法;
18)義眼であって、鞏膜部分と、少なくとも部分的にデジタル的にコード化された像を含む虹彩部分と、人工角膜とから成り、デジタル的にコード化された像が虹彩部分に印刷される、義眼;
19)義眼の製造方法であって、鞏膜部分を形成することと、虹彩部分を形成することと、虹彩部分にデジタル的にコード化された像を印刷することと、人工角膜を形成することから成る、義眼の製造方法;および
20)義眼の製造方法であって、鞏膜部分を形成することと、前記鞏膜部分にデジタル的にコード化された像を印刷して、デジタル的にコード化された像が目の虹彩を描くことと、人工角膜を形成することから成る、義眼の製造方法。
【0116】
本発明のこれらの局面、並びにここに記載の他の局面は、ここに記載の方法、製造物品および物質の組成物により達成することができる。本発明の範囲を充分に評価するために、本発明の種々の局面を組み合わせて本発明の望ましい態様を作ることができるとさらに認識される。
【0117】
I デジタル的にコード化された像を有するレンズ
【0118】
本発明は、ポリマーと、少なくとも一つのインクを含むデジタル的にコード化された像とを含む製造物品を含み、ポリマーがレンズを形成するものである。
【0119】
デジタル的にコード化された像
【0120】
デジタル的にコード化された像は、単色像または多色像を含み得る。単色像は、好ましくは一つのインクを含むが、多くのインクが類似の色を有しており異なる色のインクを組み合わせて、組み合わせを作るために用いられる個々のインクとは異なる一つの色を有するインクを作ることができるので、一つのインクを含んでいる必要はない。多色像は、好ましくは、複数のインクを単独または組み合わせて用いて作られる。
【0121】
デジタル的にコード化された像は、透明、不透明または部分的不透明であり得る。透明なデジタル的にコード化された像においては、像中のインクは、ポリマーを通過する光の透過を実質的に妨げない。不透明なデジタル的にコード化された像においては、デジタル的にコード化された像中のインクは、ポリマーを通過する光の透過を実質的に妨げる。レンズがコンタクトレンズの場合、不透明なデジタル的にコード化された像は、コンタクトレンズ装着者の虹彩の天然色を実質的に妨げ得る。不透明なデジタル的にコード化された像を作り出すために用いられるインクは、デジタル的にコード化された像を不透明にするのに充分なタイプおよび量の、粒子のような材料、例えば、雲母または粉砕カキ殻または粒子状物質を含み得る。もう一つの態様は、顔料、建染染料、ジアゾ染料または反応性染料である。部分的に不透明なデジタル的にコード化された像においては、デジタル的にコード化された像中のインクは、デジタル的にコード化された像を光が透過するのを部分的に妨げるのに充分なタイプおよび量の、雲母、粉砕カキ殻または粒子状物質のような、粒子または粒子状物質のような材料を含み得る。この例において部分的に光の透過を妨げるとは、デジタル的にコード化された像が、入射光の一部をデジタル的にコード化された像を透過させ得るということを意味する。
【0122】
インク
【0123】
本発明で用いられるインクは、任意の単一の着色化合物もしくは組成物、または着色化合物もしくは組成物の任意の組み合わせを含み得る。インクは、水、モノマーまたは溶媒中に、好ましくは約0%〜約99.5%以上または約0.01%〜約99.5%、好ましくは約0.1%〜約90%または約1%〜約80%、より好ましくは約10%〜約60%または約20%〜約40%の濃度で提供することができる。インクは、また、粒子または粒子状物質を、好ましくは約0%〜約5%または約0.01%〜約5%、好ましくは約0.1%〜約4%または約1%〜約3%の濃度で含んで、デジタル的にコード化された像を不透明または部分的不透明にすることができる。インクの例には、染料、建染染料、粒子、顔料、反応性染料またはジアゾ染料がある。ここで説明するように、インクおよび他の成分を含む組成物および特徴は、コンタクトレンズのようなレンズのような本発明の製造物品の一部であるインクを含み、また、本発明の製造物品を作るために用い得る少なくとも一つのインクを含む組成物も含む。
【0124】
インクは、インクがデジタル的にコード化された像を作るのに適しているように水、モノマー、ポリマーまたは適当な溶媒を含み得る。適当な溶媒は、ポリマーの上または中のような表面の上または中にデジタル的にコード化された像を作り出すのに適した溶媒である。例えば、コンタクトレンズのようなレンズを作るのに用いられるポリマーに適した溶媒は、イソプロパノール、水、アセトンまたはメタノールの単独または組み合わせを含むがこれらに限定されず、モノマーを含むことができる。溶媒の適当な濃度は約0%〜約99.5%以上または約0.1%〜約99.5%、好ましくは約1%〜約90%または約10%〜約80%、より好ましくは約20%〜約70%または約30%〜約60%である。異なるポリマー、モノマーおよびインクは、異なる溶媒に異なる許容性および反応性を有する。すなわち、溶媒とポリマー、モノマーおよびインクとの適当な適合性を考慮すべきである。ヒドロゲルポリマーの場合、種々の濃度の溶媒を用いて膨張比の調節を達成することができる。
【0125】
インクは、また、モノマー、ポリマー、ホモポリマー、ヘテロポリマーまたはコポリマーも含み得る。本発明のこの態様の好ましい局面において、インクは、所定のモノマー、その混合物またはポリマーまたはその混合物に適した重合法を用いてポリマーを形成するように重合し得るモノマーを含む。モノマーを用いてインクの粘度を低下させることもできる。あるいは、インクは、インクの粘度が増加するようにポリマーを含むことができる。あるいは、インクはポリマーおよびモノマーを含むことができる。モノマーの適当な濃度は約5%〜99%以上、好ましくは約25%〜約75%、より好ましくは約35%〜約60%である。ポリマーの適当な濃度は約0%〜約50%、好ましくは約5%〜約25%、より好ましくは約10%〜約20%である。モノマーとポリマーを混合する場合、モノマーとポリマーの合計濃度は約10%〜99%以上、好ましくは約25%〜約75%、より好ましくは約35%〜約65%である。
【0126】
インクを含む溶液の粘度は、約500センチポイズ〜約5000センチポイズと高く、好ましくは約1〜約200センチポイズまたは約10〜約80センチポイズ、好ましくは約20〜約70センチポイズまたは約30〜約60センチポイズまたは約1〜約10センチポイズである。低粘度を有する溶液は、分配されたときに「流れ易い」傾向があり、異なる色を混ぜてブレンドすることができ、より自然な外観の像が得られる。そのようなブレンドは、適当なブレンドを促進するための適当な時間および頻度の音波破砕または振動を含む種々の方法を用いて高めることができる。低すぎる粘度を有する溶液は、あまりに「流れ易い」像を作ることになり、したがって、デジタル的にコード化された像中でのインクの貯留または意図しない位置へのインクの広がりのような望ましくない特性の可能性がある。高すぎる粘度を有する溶液は、インクジェットのような種々の印刷構造を用いて容易に分配することができず、従って、本発明に適していない。さらに、高粘度を有する溶液は、表面上で「固まる」傾向があり、周囲の液滴またはインクの固まりを含む周囲の環境とブレンドされない。これらの状況下では、インクは、不自然な外観の像を形成する(例えば、米国特許第5,160,463号明細書および米国特許第5,414,477号明細書を参照)。増粘剤または希釈剤(適当な溶媒を含む)のような剤を用いて、インクの粘度を調節することができる。
【0127】
少なくとも一つのモノマーを含むインクは、重合開始剤も含むことができ、それにより、少なくとも一つの型のモノマーを含むインクが一旦分配されると、インク中のモノマーの重合が開始する。開始剤の数、型および量は、インク中のモノマーまたはモノマー群の型に依存する選択事項である。適当な開始剤は、UV照射により重合を開始するUV開始剤、熱エネルギーにより重合を開始する熱開始剤を含むが、これらに限定されない。
【0128】
インクは、容器中にインクの均一組成物を提供するように分散剤を含むこともできる。分散剤は、約1%〜約10%のような適当な濃度で提供されることが好ましい。
【0129】
インクは、少なくとも一つの抗微生物剤または防腐剤を含んで、複数の微生物剤を殺すまたはその数もしくは増殖を減らす、または微生物剤が増殖しないようにすることもできる。好ましい抗微生物剤は、抗菌剤、抗真菌剤および殺菌剤を含む。好ましくは、そのような抗微生物剤、抗菌剤、抗真菌剤および殺菌剤は、約0%〜約1%のような適当な濃度で提供される。
【0130】
インクは、1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール(米国特許第5,389,132号)のような少なくとも一つの湿潤剤を適当な濃度で含むこともできる。好ましくは、湿潤剤の濃度の範囲は約0%〜約2%である。
【0131】
インクは、アルキル化ヒドロキノンのような少なくとも一つの酸化防止剤または低腐蝕剤を、約0.1%〜約1%のような適当な濃度で含むこともできる(米国特許第4,793,264号明細書)。インクは、2−メチル−1,3−プロパンジオールのような抗コゲート剤または非コゲート剤を、約0%〜約1%のような適当な濃度で含むこともできる。インクは、また、例えば、ジエチレングリセロールまたはエチレングリコールのような蒸発遅延剤を、約0%〜約2%の濃度で含むこともできる(米国特許第5,389,132号明細書)。
【0132】
好ましいインクは以下の組成を有する。
【0133】
【表1】

【0134】
印刷
【0135】
デジタル的にコード化された像は、好ましくは、印刷法または印刷構造を用いてレンズのような構造に適用される。デジタル的にコード化された像は、電子媒体のような少なくとも一つの情報記憶媒体中にデジタル的に記憶することができる。記憶されたデジタル的にコード化された像を、記憶されたデジタル的にコード化された像を適当なインターフェースを利用して印刷された像中に移すことができる印刷構造および印刷法を用いて印刷することができる。例えば、中央演算装置は、記憶されたデジタル的にコード化された像を含むことができる。ソフトウエアは、記憶されたデジタル的にコード化された像と印刷構造とを、印刷構造がデジタル的にコード化された像を印刷するように調整することができる。そのようなインターフェースは、インクジェットを用いるデジタル印刷工程において用いられるもののように、当該分野で知られている(Hewlett Packard; Encad)(例えば図1を参照)。
【0136】
好ましい印刷法および印刷構造は、インクジェット印刷、ピエゾ印刷、熱印刷、バブルジェット(登録商標)印刷、パッドトランスファー印刷、含浸、写真平板術およびレーザー印刷を含むが、これらに限定されない。インクジェット印刷は、当該分野で知られている、または後に開発される、適当なインクジェット印刷構造およびインクジェット印刷法を用いることができる。例えば、適当なインクジェット印刷構造は、HP Desk Jet 612またはCanonカラーバブルジェット(登録商標)BJC1000カラープリンタハードウエアを含むが、これらに限定されない。さらに、適当なインクジェット印刷法は、熱インクジェット印刷、ピエゾ印刷またはバブルジェット(登録商標)印刷を含むが、これらに限定されない。
【0137】
インクジェット印刷は、当該分野で知られている、または後に開発される、ピエゾ印刷構造およびピエゾ印刷法を含むことができる。例えば、適当なピエゾ印刷構造は、Canonカラーバブルジェット(登録商標)プリンタBJC1000を含むが、これに限定されない。
【0138】
インクジェット印刷は、当該分野で知られている、または後に開発される、熱印刷構造および熱印刷法を含むことができる。例えば、適当な熱印刷構造は、HP Deskjet612カラープリンタを含むが、これに限定されない。
【0139】
インクジェット印刷は、当該分野で知られている、または後に開発される、バブルジェット(登録商標)印刷構造およびバブルジェット(登録商標)印刷法を含むことができる。例えば、適当な熱バブルジェット(登録商標)構造は、Canon BJC1000カラープリンタを含むが、これに限定されない。
【0140】
パッドトランスファー印刷は、当該分野で知られている、または後に開発される、パッドトランスファー印刷構造およびパッドトランスファー印刷法を含むことができる。例えば、適当なパッドトランスファー印刷構造は、当該分野で知られているTampo型印刷構造(Tampo vario 90/130)、ゴムスタンプ、嵌め輪、ドクターブレード、直接印刷または転写印刷を含むが、これらに限定されない。
【0141】
含浸印刷は、当該分野で知られている、または後に開発される、含浸印刷構造および含浸印刷法を含むことができる。例えば、適当な含浸印刷構造は、可溶化建染染料、マスキング装置、現像剤等の適用を含むが、これらに限定されない。
【0142】
写真平板術印刷は、当該分野で知られている、または後に開発される、写真平板術印刷構造および写真平板術印刷法を含むことができる。例えば、適当な写真平板術印刷構造は、ジアゾ染料、マスキング装置、現像剤等の適用を含むが、これらに限定されない。
【0143】
レーザー印刷は、当該分野で知られている、または後に開発される、レーザー印刷構造およびレーザー印刷法を含むことができる。例えば、適当なレーザー印刷構造は、HP Laser Jetプリンタハードウエア、特に4L、4Mシリーズを含むが、これらに限定されない。
【0144】
本発明のデジタル的にコード化された像を作るために、一を超える印刷構造または一を超える印刷法を用いることができる。例えば、インクジェット印刷とパッドトランスファー印刷とを組み合わせて用いることができる。
【0145】
コンタクトレンズの表面上のようなレンズの表面上のような構造の表面上にデジタル的にコード化された像を印刷することができる。本発明のこの点において、印刷構造および印刷法は、インクを表面上に付着させる。次にインクを乾燥して永久的像を形成することができ、あるいは、インク中のモノマーまたはポリマーを重合して永久的像を形成することができる。後者の例では、モノマーまたはポリマーは、好ましくは、同じであるか、または、その表面を含む同じポリマーに帰着する。デジタル的にコード化された像を、構造の少なくとも一つの表面上に印刷することができる。例えば、構造がコンタクトレンズのようなレンズの場合、デジタル的にコード化された像を、コンタクトレンズのいずれかの側または両側に印刷することができる。このタイプの印刷に好ましい印刷法は、熱インクジェットまたはバブルジェット(登録商標)印刷を含むが、これらに限定されない。
【0146】
図2に示すように、デジタル的にコード化された像を、コンタクトレンズのようなレンズのような構造中に取り込むこともできる。本発明のこの点において、サンドイッチ積層印刷を含む積層印刷を用いて像を構造中に取り込むことができる。例えば、像をレンズの第一の部分のような表面上に印刷し、次に、レンズの第二の部分のような構造の第二の部分をレンズの第一の部分に付着させて、像が構造の第一の部分と構造の第二の部分との間に取り込まれるようにする。
【0147】
好ましくは、構造の第一の部分はポリマーを含み、デジタルイメージはモノマーを含む。モノマーを重合して、デジタル的にコード化された像が永久的および実質的に不動になるようにすることができる。次に、レンズの第二の部分を構造の第一の部分に付着させて、デジタル的にコード化された像が構造の第一の部分と構造の第二の部分との間で取り込まれるようにする。本発明のこの点において、デジタル的にコード化された像は、好ましくはモノマーを含み、該モノマーは重合されて、ポリマー、好ましくは、構造の第一の部分または第二の部分に、好ましくは両方に含まれるポリマーを形成することができる。
【0148】
本発明のこの点において、構造の第一の部分は非重合モノマーまたは半重合ポリマーであり、該非重合モノマーまたは該半重合ポリマーに含まれるモノマーの上には、好ましくは構造の第一の部分と同じモノマーを含む、デジタル的にコード化された像が印刷される。この複合構造を、部分的または充分に重合することができ、構造の第二の部分がそこに付着して、デジタル的にコード化された像がそこに取り込まれる。あるいは、モノマーおよび任意にポリマーを好ましく含む構造の第二の部分が、これは好ましくはレンズの第一の部分およびデジタル的にコード化された像と同じものであるが、構造のこの第一の部分およびデジタル的にコード化された複合体に接触され、それにより、デジタル的にコード化された像が、構造の第一の部分と構造の第二の部分との間に取り込まれる。得られる積層複合構造は、構造中に取り込まれたデジタル的にコード化された像を含む。本発明の一つの局面において、インクの部分的に重合された層がモノマーと接触されるか、あるいは、モノマーが部分的に重合され、インクの層と接触される。各々の組み合わせを部分的に重合し、主表面に移し、充分に重合させて、インクの重合層が、ポリマー層と主重合表面との間に挟まれるようにすることができる(例えば、図3を参照)。
【0149】
積層複合構造を、ここに記載され当該分野で知られている、または後に開発される方法、例えば、レーザー切削、打ち抜き、研削、研磨等を用いて、レンズに形成することができる。あるいは、前記方法を用いて作られた積層複合構造がレンズになる。例えば、積層複合体を、レンズの形状を有する型内で作ることができる。そのような型は、当該分野で知られており、ここに記載されている。あるいは、積層体を作るために用いられる方法、例えばスピン鋳造法によりレンズを形成することができる。
【0150】
スピン鋳造を用いて作られたレンズが、本方法において好ましい。あるいは、ここに記載され、当該分野で知られているまたは後に開発される方法のような、レンズの少なくとも一部を形成することができる他の適当な方法を用いることもできる。本発明のこの点において、構造の第一の部分に、デジタル的にコード化された像を印刷し、構造の第二の部分をその上に加えて、積層構造を形成する。スピン鋳造または他のレンズ形成法および重合が、この工程中のいかなる時間にも任意に起こり得、また、構造の第一の部分、構造の第二の部分およびデジタル的にコード化された像は、非重合、部分的重合または重合のような、重合の種々の状態であり得る。任意に、デジタル的にコード化された像は、モノマーまたはポリマーを含む必要はない。
【0151】
例えば、構造の第一の部分を、非重合、重合または部分的重合することができ、スピン鋳造(または他のレンズ形成法)または非スピン鋳造(または他のレンズ形成法)することができる。モノマーおよび/またはポリマーを含むか、または含まない、デジタル的にコード化された像を、レンズの第一の部分上に印刷して、複合体を形成することができる。この複合体を、重合、非重合または部分的重合することができ、任意にスピン鋳造(または他のレンズ形成法)あるいは、レンズの少なくとも一部をもう一つの適当な方法により形成することができる(任意の重合および任意のスピン鋳造(または他のレンズ形成法)がいずれかの順番で起こりえる)。この複合体を、次に、構造の第二の部分と接触させ、これを、重合、部分的重合または非重合し、次に、任意にスピン鋳造(または他のレンズ形成法)してレンズの部分を形成して、複合積層体を形成することができる。複合積層体またはその少なくとも一部が任意に重合される。好ましくは、構造の第一の部分、デジタル的にコード化された像および構造の第二の部分が、すべて、少なくとも一つの共通のモノマーまたはポリマーを有するが、その必要はない。
【0152】
この方法の一例は、型のような受け構造中に分配される構造の第一の部分を含み、そこで、構造の第一の部分を非重合、部分的重合または重合し、スピン鋳造(またはレンズの少なくとも一部を形成する方法)はしない。デジタル的にコード化された像を、構造の第一の部分の上に印刷し、そこで、デジタル的にコード化された像は、任意に、複合構造を形成するためのモノマーおよび/またはポリマーを含む。構造の第二の部分が複合構造と接触し、そこで、構造の第二の部分が非重合、部分的重合または重合して、積層複合体が形成される。積層複合体は、次に、スピン鋳造される(または、レンズの少なくとも一部を形成する他の方法)。
【0153】
この方法の他の例は、型のような受け構造中に分配される構造の第一の部分を含み、そこで、構造の第一の部分を非重合または部分的重合し、任意にスピン鋳造(またはレンズの少なくとも一部を形成する方法)し、任意に重合する。デジタル的にコード化された像を、構造の第一の部分の上に印刷し、そこで、デジタル的にコード化された像は、任意に、複合構造を形成するためのモノマーおよび/またはポリマーを含み、任意にスピン鋳造(またはレンズの少なくとも一部を形成する方法)され、任意に重合される。構造の第二の部分が複合構造と接触し、そこで、構造の第二の部分が非重合、部分的重合または重合して、積層複合体が形成される。積層複合体は、任意にスピン鋳造される(または、レンズの少なくとも一部を形成する他の方法)。好ましくは、構造の第一の部分および構造の第二の部分は、同じまたは類似のモノマーおよびポリマーを含み、部分的に重合して、その結果、重合(例えば、積層構造の最終的重合)により比較的または実質的に「継ぎ目の無い」積層構造(融合または接合)が得られるようになる。好ましくは、デジタル的にコード化された像は、同じまたは類似のモノマーおよびポリマー(非重合または部分的重合)も含み、その結果、重合(例えば、積層構造の最終的重合)により比較的または実質的に「継ぎ目の無い」積層構造が得られるようになる。
【0154】
この方法のこの経過中、デジタル的にコード化された像は、構造の第一の部分および構造の第二の部分のいずれかまたは両方と化学結合を形成することができる。この例において、デジタル的にコード化された像は、そのような化学的結合を形成することができるインクを含む。
【0155】
また、デジタル的にコード化された像は、構造の第一の部分および構造の第二の部分のいずれかまたは両方とポリマー−ポリマー結合を形成することができる。この例において、デジタル的にコード化された像は、構造の第一の部分および構造の第二の部分の少なくとも一方とポリマー結合を形成したモノマーまたはポリマーを含む。
【0156】
本発明のこの点において、デジタル的にコード化された像は、好ましくは、少なくとも一つのパターンを含む。パターンは、天然および非天然由来パターンを含むいかなるパターンでもあり得る。例えば、天然由来パターンは、フラクタル様パターンを含み得る。非天然由来パターンは、装飾用コンタクトレンズで用いられるような幾何学パターンおよび非幾何学パターンを含み得る。デジタル的にコード化された像は少なくとも一つの色を含み得るが、好ましくは複数の色を含む。デジタル的にコード化された像は、好ましくは、ヒトの目の虹彩のような、目の虹彩のような、目の像の少なくとも一つの部分を含む。
【0157】
像は、少なくとも一つの色を含み得るが、好ましくは、二以上の色を含む。像に用いられる色は、別々の色の混合物、例えば、二以上の別々の色、三以上の別々の色または四以上の別々の色から得ることができる。本発明のこの点の目的において、黒は別の色と考えられる。別々の色は、好ましくは、異なる割合で混合して像の上に広い範囲の色を形成することができる原色である。
【0158】
ポリマーおよびレンズ
【0159】
本発明の、レンズのような構造は、好ましくは、少なくとも一つのポリマーを含む。本発明の構造がコンタクトレンズようなレンズである場合、少なくとも一つのポリマーは、好ましくは、目と共存性のポリマーである。コンタクトレンズの製造に用いられる好ましいポリマーは、アクリル、シリコーン、ポリカーボネート、および当該分野で知られている、または後に開発される他の材料を含むが、これらに限定されない。本発明で有用なポリマーは、疎水性または親水性であり得る。親水性ポリマーの場合、ポリマーは、好ましくは、ヒドロゲルを形成する。通常、コンタクトレンズを作るために用いられるポリマーは、当該分野で知られているような「ハードレンズ」、「ソフトレンズ」または「ハイブリッドレンズ」となる。
【0160】
II デジタル的にコード化された像−Iを有するレンズを製造する方法
【0161】
本発明は、レンズを形成するポリマーを含む組成物上にデジタル的にコード化された像を印刷する過程を含んでなる、デジタル的にコード化された像およびポリマーを含む製造物品を製造する方法も含む。ポリマーはいかなるポリマーでもあり得るが、好ましくは、コンタクトレンズのようなレンズの製造において用いられるポリマーのような、湿潤状態または乾燥状態のポリマーである。
【0162】
製造物品は、デジタル的にコード化された像がその上に印刷されるポリマーを含む組成物を提供することにより作られる。ポリマーは、好ましくは、コンタクトレンズのようなレンズを作るために用いられるポリマーであり、疎水性ポリマー、親水性ポリマー、ホモポリマー、ヘテロポリマー、コポリマー、アクリルポリマー、シリコーンポリマーまたはポリカーボネートポリマーの単独または組み合わせを含むが、これらに限定されない。一つの好ましいレンズは、以下のものを含む:HEMA(ヒドロキシエチルメタクリレート)、EOEMA(エトキシエチルメタクリレート)、MAA(メタクリル酸)、EGDMA(エチレングリコールジメタクリレート)、Vazo−64(アゾビスイソブチロニトリル)、BME(ベンゾインメチルエーテル)、IPA(イソプロピルアルコール)、THF(テトラヒドロフラン)、Mercap−2(メルカプトエタノール)、c−ペンタノン(シクロペンタノン)およびMEHQ(メチルエチルヒドロキノン)(米国特許第5,271,874号明細書を参照)。
【0163】
本発明のこの点において、ポリマーは少なくとも部分的に、ソフトコンタクトレンズ、ハードコンタクトレンズまたはハイブリッドコンタクトレンズのようなコンタクトレンズのようなレンズを形成する。これは、デジタル的にコード化された像を印刷するレンズの少なくとも一部を形成する構造である。好ましくは、デジタル的にコード化された像は、レンズ上に印刷され、レンズのいずれかまたは両側に印刷されることができる。デジタル的にコード化された像は、レンズ全体またはその一部の上に印刷されることができる。例えば、デジタル的にコード化された像は、目の瞳孔に相当する領域が印刷されないように、目の虹彩を描くことができる。
【0164】
デジタル的にコード化された像は、好ましくは、データベースにおけるように電子的にコード化される。デジタル的にコード化された像は、適当なスキャンニングおよび記憶ハードウエアおよびソフトウエアを用いて、像を処理装置中にスキャンニングするような、任意の適当な方法により調製することができる。デジタル的にコード化された像は、適当なハードウエアおよびソフトウエアを用いて、選択され、電子信号として印刷装置に運ばれることができる。
【0165】
デジタル的にコード化された像は、好ましくは、インクジェット印刷装置、ピエゾ印刷装置、熱印刷装置またはレーザー印刷装置のような、デジタルイメージを作ることができる印刷装置を用いて印刷される。印刷装置は、好ましくは、少なくとも一つのインクを含み、そのような印刷装置中に一種を超えるインクが存在する場合、異なるインクが、Hewlett Packard Color DeskJet印刷カートリッジ(HP51649A)内に提供されるように、別々の容器、または同じ容器の別々の分部中に提供される。
【0166】
インクは、好ましくは、レンズ中に含まれるポリマーに好ましくは相当する疎水性モノマーまたは親水性モノマーのような少なくとも一つのモノマーを含む。インクは、印刷装置によりポリマー上に分配された後にモノマーの重合を開始するためのUV開始剤または熱開始剤のような適当な開始剤のような種々の他の成分も含み得る。インクは、任意に、バインダー、抗菌剤、抗真菌剤、殺菌剤または湿潤剤の少なくとも一つを、意図する機能のための適当な濃度で含むこともできる。好ましいインクは、ピグメント・ブラック7(カーボンブラック)、ピグメント・ブラック11(酸化鉄)、ピグメント・ブラウン6(酸化鉄)、ピグメント・レッド101(酸化鉄)、ピグメント・イエロー42(酸化鉄)、ピグメント・ホワイト6(二酸化チタン)、ピグメント・グリーン17(酸化クロム)、ピグメント・ブルー36(酸化クロムアルミニウムコバルト)、ピグメント・ブルー15(銅フタロキシアニン)、ピグメント・バイオレット23(3,アミノ−9−エチルカルバゾール−クロロニル)(米国特許第5,302,479号明細書)、Millikanインクイエロー869、Millikanインクブルー92、Millikanインクレッド357、Millikanインクブラック8915−67(米国特許第5,621,022号明細書を参照)を含むが、これらに限定されない。
【0167】
好ましくは、一以上の個々のインクを含み得る四つの別々のインクカラーを、印刷装置で用いる(図1)。四つのインクは、黒、マゼンタ、イエローおよびシアンに相当する。印刷装置は、これらのインクを混合して、印刷工程で用いるための広く種々の色を提供することができる。典型的インク製剤は次のものを含む:モノマー(HEMA)、開始剤(BME)、架橋剤(EGDMA)、顔料#1(フタロシアニンブルー)、希釈剤(グリセリン)、溶媒(イソプロパノール)、顔料#2(二酸化チタン)、分散剤(ポリビニルアルコール)、湿潤剤(エチレングリコール)、コモノマー(メタクリル酸)、阻害剤(MEHQ)、抗コゲート剤(メチルプロパンジオール)および酸化防止剤(アルキル化ヒドロキノン)。モノマーは、二以上のモノマーの混合物でもあり得る。透明コンタクトレンズ用のような透明ポリマーが得られる好ましいモノマー混合物は、モノマーHEMA(ヒドロキシエチルメタクリレート)、モノマーEOEMA(エトキシエチルメタクリレート)、モノマーMAA(メタクリル酸)を含む。以下のものの中の少なくとも一つが任意に含まれる:架橋剤EGDMA(エチレングリコールジメタクリレート)、開始剤Vazo64(アゾビスイソブチロニトリル)、溶媒イソプロピルアルコール、阻害剤MEHQ(メチルエーテルヒドロキノン)および希釈剤グリセリン。全ての成分は、それらの意図する目的のための適当な濃度である。
【0168】
任意に、印刷装置は、別の容器内の少なくとも一つのインクと共に分配されることができるインクなしに、前述のような混合物を含むことができ、それにより、インクおよびモノマーおよび他の任意成分が混合され、ポリマー上に分配される。いずれの場合にも、分配流体中のモノマーは重合することができ、それにより、その中のインクを定められた位置に固定する。
【0169】
好ましくは、印刷中、インクジェットプリンタのような印刷装置は、混合しない印刷装置の一以上の分配体積に相当する別々のドットとして四つの異なる主色(黒、マゼンタ、シアンおよびイエロー)を分配する。ドットは、主色の任意の組み合わせとして付着され、別々のドットのコラージュというよりは、通常、ヒトの裸眼には色またはパターンと見える、異なる主色の別々のドットのコラージュを形成する。すなわち、形成されるのは、それらの間に境界を有して互いに隣接する個々の色ドットのマトリックスである。
【0170】
そのようなパターンは、拡大すると以下のように見える:
【0171】
【表2】

【0172】
ドットの数、それらの密度および分布によって、ヒトの裸眼は、異なる色、輝度、色相および明るさを知覚する。
【0173】
パッドトランスファー印刷およびパッドトランスファー装置のような利用できる技術で用いられるインクは、40,000cpsまでのような高粘性であり、部分的に重合されている。そのようなインクは、流れず、分配時に大きな別個のドットを形成する。そのような印刷により、大きな混合されていないドット故に非常に不自然な外観が得られる。本技術において、インクの粘度は、約100cps未満のように低くなり得、約1cpsと約10cpsの間であり得る。この低い粘度故に、ドットを、それ自体としてまたは、振動エネルギーのような外力がかかったときにブレンドすることができる。この例において、ドットは別々の状態を維持せず、むしろ以下のようにブレンドされる:
【0174】
【表3】

【0175】
結果として、像は色であり、パターンはヒトの裸眼に対して高度に実際的な外観を有する「ドットでない」色マトリックスである。
【0176】
印刷装置は、インクまたはインクの混合物をレンズのようなポリマー上に分配し、これが、デジタル的にコード化された像に対応する。一つより多いデジタル的にコード化された像をポリマー上に分配することができる。少なくとも一つのインク中のモノマーを適度に重合して、インクがポリマーの上または中で固定化されるようにすることができる。この工程を、同じまたは異なるデジタル的にコード化された像を用いて、同じまたは異なる方向で繰り返すことができる。
【0177】
別の方法において、デジタル的にコード化された像をパッドトランスファー印刷装置上に印刷することができ、そこで任意に重合される。印刷された像を、次に、当該分野で知られているような適当なパッドトランスファー印刷装置を用いて、コンタクトレンズのようなポリマーに移すことができる(図4)。
【0178】
III デジタル的にコード化された像−IIを用いてレンズを作る方法
【0179】
本発明は、ポリマーを含む組成物上にデジタル的にコード化された像を印刷する過程、および前記ポリマーからレンズを形成する過程を含んでなる、デジタル的にコード化された像およびポリマーを含む製造物品を作る方法を含む。
【0180】
本発明のこの点において、印刷装置を用いてレンズを形成しないポリマー上にデジタル的にコード化された像が印刷される。デジタル的にコード化された像を有するポリマーを、次に、例えば、製作、鋳造成形、スピン鋳造またはそれらの組み合わせのような適当な方法を用いてレンズに形成する。
【0181】
レンズを製作により作る場合、デジタル的にコード化された像を有するポリマーを、例えば、打ち抜き、研削またはトリミングを含む適当な製作方法を用いてレンズに形成する(図5参照)。鋳造成形およびスピン鋳造を用いてレンズを作ることもできる(例えば、図6、図7Aおよび図7Bを参照)。
【0182】
図7Bは、本発明の一つの好ましい局面を示す。レンズ構造が、例えば、スピン鋳造を用いて作られる。エッチング、焼成および切削加工、例えば、化学物資を用いる方法、機械的またはレーザー法を用いて、ウエルまたは圧痕が作り出される。これらのウエルまたは圧痕が、好ましくは、目の虹彩に対応する位置に配される。デジタル的にコード化された像が、レンズ上に、好ましくはウエルまたは圧痕の位置に印刷される。モノマーがインク中に存在する場合、インクを任意に重合または部分的重合することができる。ポリマーの層を、次に、この構造の最上部上に作り出し、レンズ構造を形成する。このように形成された構造またはその一部の任意の適当な重合を、適当な方法を用いて達成することができる。
【0183】
一例において、デジタル的にコード化された像を、スピン鋳造装置の表面上に印刷することができ、そこで、印刷されたデジタル的にコード化された像を、任意に重合または部分的に重合することができる。コンタクトレンズのようなレンズを形成するために重合することができる少なくとも一つのモノマーを含む溶液を、印刷されたデジタル的にコード化された像上に分配し、スピン鋳造してレンズを形成することができる。好ましくは、デジタル的にコード化された像を印刷するために用いられるインクは、レンズを作るために用いられるのと同じモノマーを含むが、そうである必要はない。好ましくは、印刷されたデジタル的にコード化された像は、非重合または部分的重合され、少なくとも一つのモノマー(好ましくは、インク中に用いられるのと同じモノマー)を含む溶液と接触される。スピン鋳造によりレンズが形成され、重合工程が完了する。このようにして、印刷されたデジタル的にコード化された像とレンズとの間の自己接着性結合またはポリマー−ポリマー結合が形成される。
【0184】
もう一つの例において、少なくとも一つのモノマーを含む第一の溶液を、スピン鋳造装置中において、重合または部分的に重合してコンタクトレンズのようなレンズを形成することができる。デジタル的にコード化された像を、印刷装置を用いてレンズの露出表面上に印刷し、印刷されたデジタル的にコード化された像を任意に重合することができる。コンタクトレンズのようなレンズを形成するために重合することができる少なくとも一つのモノマーを含む第二の溶液を、印刷されたデジタル的にコード化された像の最上部に配し、スピン鋳造してレンズを形成する。第二の溶液は、好ましくは、第一の溶液と同じ溶液である。好ましくは、第一の溶液を、デジタル的にコード化された像の印刷の前に部分的に重合し、そこで、印刷されたデジタル的にコード化された像は第一の溶液のモノマーを含む。この構造を、任意に、重合または部分的に重合する。第二の溶液は、好ましくは、第一の溶液のモノマーおよび、デジタル的にコード化された像を作るために用いられる一つまたは複数のインクを含む。好ましくは、第一の溶液、印刷されたデジタル的にコード化された像および第二の溶液が、部分的に重合された構造を形成し、次に、重合を完了する。そのようにして、重合された第一の溶液と重合された印刷されたデジタル的にコード化された像との間または、重合された印刷されたデジタル的にコード化された像と重合された第二の溶液との間に、ポリマー−ポリマー結合が形成される。好ましくは、そのようなポリマー−ポリマー結合は、重合された第一の溶液と、重合された印刷されたデジタル的にコード化された像と重合された第二の溶液との間に形成される。
【0185】
もう一つの例において、本発明は、限定はされないが、鋳造およびエッチング、切削、穿孔または焼成、例えば、レーザーエッチング、物理的エッチングまたは化学的エッチングを含む種々の方法によりポリマー表面中に形成することができる溝またはウエルのような圧痕構造を含むポリマー表面を含む(例えば、図8Aおよび図8Bを参照)。好ましくは、Lumonics Inc.による技術のような適当なレーザーエッチング技術を用いて圧痕構造が作られる。
【0186】
圧痕構造は、任意の位置に、任意の適当な圧痕構造密度で、表面上に提供することができるが、好ましくは、コンタクトレンズのために所望の化粧効果が望まれる領域のような、染色または印刷を意図する領域内に配される。印刷が望まれないまたは望ましい位置を、そのような圧痕構造無しに実質的に提供することができ、それにより、印刷を選択位置に特に向けることができるか向けられない。
【0187】
圧痕構造は、異なる寸法および形状であり得るが、好ましくは、比較的小さく、そのために、適当な印刷法または装置を用いて、インクの一滴、数滴または多くの液滴をそのような圧痕構造中に付着させることができる(例えば、図9参照)。好ましくは、圧痕構造中に、同じ色または異なる色の一つまたは幾つかを付着させることができる。本発明の一つの局面において、圧痕構造が、印刷工程中に、インクで部分的に充填または充分に充填される。圧痕構造が過剰に充填されると、次に、例えば、ブロッティング、きさげ仕上げまたは、研磨、バフィングまたは研削のような機械的処理のような過程を、過剰のインクを除去するために行うことができる。
【0188】
本発明の特に好ましい局面において、インクは、分配後に重合することができる少なくとも一つの重合性モノマーを含む。圧痕構造がそのようなインクで充填されないと、次に、モノマーのようなさらなる材料をインクと共にまたはインク無しに、ポリマー上に分配することができる。本発明の他の局面において、当業者は、インクまたはモノマーをいつ、いかに重合し得るかの選択を有する。例えば、本発明の一つの好ましい局面において、圧痕構造が充填されないようにインクが圧痕構造中に分配される。インクが、次に、任意に重合され、さらなるモノマーがポリマー上に分配されて圧痕構造が充填または過充填される。モノマーは、次に、重合され、ポリマーは、最終処理がある場合は最終処理の用意ができている。
【0189】
好ましくは、圧痕構造が、分配インクを所定の位置に保持するのを容易にし、それにより、デジタル的にコード化された像が局在化し所定の位置に保持されるようにする。本発明のこの局面は、レンズ中に存在するような印刷表面の湾曲故にインクが流れないように、比較的粘度の低いインクに最も適している。
【0190】
本発明の一つの好ましい局面において、モノマーを含むインクの液滴が、圧痕構造を含むポリマーのような表面の上に付着される。同じまたは異なる色の一以上の液滴が、そのような圧痕構造中に付着され、それにより、色、彩度、輝度および色相の異なる組み合わせを、一以上の圧痕構造中に局在化することができる。
【0191】
本発明のもう一つの局面において、部分的水和または充分に水和したレンズのような非水和レンズまたは水和レンズのようなレンズを、固定具の上に取り付け、好ましくは中心に取り付け、覆うことができる(例えば、図10を参照)。水和した場合、レンズの上または中の水を、ブロッティングのような手段により任意に除去することができる。水和レンズを、次に、空気、熱または遠心力によるような適当な方法により、例えば部分的または実質的脱水まで任意に脱水することができる。レンズを、ここに記載のような適当な方法を用いて印刷または着色することができる。好ましくは、しかし任意に、レンズは、ここに記載のような圧痕構造を含む。この工程および装置が、ここに記載の印刷工程および製造工程を自動化させる。
【0192】
本発明は、デジタル的にコード化された像を少なくとも一つのモノマーを含む組成物上に印刷する過程、前記少なくとも一つのモノマーを重合して少なくとも一つのポリマーを形成する過程、および前記少なくとも一つのポリマーからレンズを形成する過程を含んでなる、デジタル的にコード化された像およびポリマーを含む製造物品を作る方法も含む。
【0193】
本発明は、像を少なくとも一つの第一の表面上に印刷する過程、前記像をモノマーまたはポリマーを含む少なくとも一つの第二の表面に移す過程、および前記第二の表面からレンズを形成する過程を含んでなる、デジタル的にコード化された像およびポリマーを含む製造物品を作る方法を含む。
【0194】
IV デジタルイメージ
【0195】
本発明は、少なくとも一つの情報記憶媒体および少なくとも一つのデジタルイメージを含んでなる製造物品であって、少なくとも一つのデジタルイメージが、限定はされないが目の虹彩のような像の少なくとも一部を含むような製造物品を含む。情報記憶媒体は、任意の適当な電子記憶媒体であり得、好ましくは、機械読み取り可能フォーマットであり、好ましくは、中央演算装置と係わる。複数のデジタルイメージを、データベース中に記憶することができる。
【0196】
本発明は、デジタル的にコード化された像のみに限らず、特許可能フォーマットのデータのようなデータのようなフォーマットで提供されたデジタル的にコード化された像にも関する。すなわち、例えば、本発明は、本発明により決められるまたは単離される、意図する一以上のデジタル的にコード化された像のようなデータを含む機械読み取り可能なフォーマットのようなフォーマットを含む。
【0197】
例えば、本発明は、印刷媒体、穿孔媒体、磁性媒体、ホログラフ、プラスチック、およびシクロオレフィンポリマーのようなポリマーまたはコポリマーのような表現媒体中に好ましく提供される、任意のフォーマットのデータを含む。そのようなデータは、ディスク、テープまたはメモリーチップのような独立した製造物品のような表現媒体の上または中に提供されることができ、あるいは、メモリーの一部またはプログラムの一部のようなデータを処理するか、または処理しないコンピューターのような機械の一部として提供されることができる。データは、データベースの少なくとも一部として提供することもできる。そのようなデータベースは、いかなるフォーマットでも提供することができ、特定のフォーマット、言語、コードの選択または選別、データ、データのフォーム、またはデータの配列の選別を当業者に委ねる。そのようなデータは、例えば、本発明により得られる配列を、既知の配列と比較して新規配列を同定するために有用である。
【0198】
本発明の一つの局面は、本発明により提供されるデータの少なくとも一部を記憶および選択するためのデータ処理システムである。データ処理システムは、種々の目的のため、例えば、そのようなデータを例えばデータベースフォーマット中に記憶、分類または配列するため、および、そのようなデータを、色、パターン、供給源等のような種々の基準に基づき選択するために有用である。そのようなデータ処理システムは、以下の要素の中の二つ以上を任意の組み合わせで含むことができる。
I.中央演算装置(CPU)のようなコンピューター処理システム。本発明のデータの少なくとも一部または、磁性媒体もしくはポリマー媒体のような表現媒体のような比較データの少なくとも一部を含む、データを記憶するための記憶媒体または手段。
II.当該分野で知られているデータベースプログラムまたはその適当な部分のような、好ましくはデータベースフォーマットでの、本発明のデータの少なくとも一部を含むデータを分類または配列するための処理プログラムまたは手段(例えば、EXCELまたはQUATROPRO)。
III.デジタルイメージ比較プログラムまたはその適当な一部のような比較データになり得る、本発明のデータの少なくとも一部を含むデータを比較するための処理プログラムまたは手段。
IV.当該分野で知られている統計的分析プログラムまたは像比較プログラムまたはその適当な一部を用いてデジタル的にコード化された像を分析するためのプログラムのような、本発明のデータの少なくとも一部、比較データまたはその一部を分析するための、特に、統計的分析のための処理プログラムまたは手段。
V.当該分野で知られているデータベース管理プログラムまたはワードプロセッシングプログラム、またはその適当な一部のような、本発明のデータもしくはその一部または比較データもしくはその一部のようなデータ処理システムからの出力をフォーマットすることができるフォーマット処理プログラムまたは手段。
VI.当該分野で知られているデータベース管理プログラムまたはワードプロセッシングプログラム、またはその適当な一部のような、ヒトまたは別のデータ処理システムのような末端ユーザーに有用なフォーマットでの本発明のデータもしくはその一部または比較データもしくはその一部のようなデータを出力する出力プログラムまたは手段。末端ユーザーに有用なそのようなフォーマットは、適当な表現媒体中の適当な言語またはコードのような任意の適当なフォームにおける適当なフォーマットであり得る。
【0199】
V システム
【0200】
本発明は、本発明の製造物品および印刷装置を含むシステムも含む。この製造物品は、好ましくは中央演算装置中のデータベースのフォームの、少なくとも一つのデジタル的にコード化された像を含む。中央演算装置は、本発明の方法の操作中におけるような、デジタル的にコード化された像を印刷装置に印刷させるための適当なソフトウエアおよびハードウエアを含む印刷装置に好ましく連結される。システムは、本発明のレンズ構造の製造用の装置のような、さらなる構成要素を含み得る。例えば、本発明のシステムは、スピン鋳造装置またはパッドトランスファー装置のようなレンズ製造装置を含み得る。好ましくは、中央演算装置は、本発明の少なくとも一つの方法を用いて中央演算装置にレンズを製造させることを可能にするハードウエアおよびソフトウエアを含む。
【0201】
本発明の好ましい態様として、本発明のシステムは、本発明の製造物品を任意に含む第一の中央演算装置を含み、本発明の製造物品は、第一の中央演算装置から距離が離れていると共にそのシステムの残りの部分に連結されている少なくとも一つの第二の中央演算装置上に配することができる。このシステムは、好ましくは、本発明の少なくとも一つのデジタルイメージを印刷することができる、ここに記載のようなまたは当該分野で知られている印刷装置を含む。システムは、好ましくは、スピン鋳造装置またはパッドトランスファー装置のようなレンズ製造装置を含む。この場合、本発明のシステムは、分配および、本発明の方法を実施するために用いられる他のハードウエア、ソフトウエアおよび試薬を含む。好ましくは、システムは自動化されており、それにより、ユーザーがデジタルイメージを選択することができ、第一の中央演算装置が、印刷装置およびレンズ製造装置のような、システムの残りの要素により少なくとも一つのレンズの製造を実行し調整するようになっている。
【0202】
VI インクを含む物質の組成物
【0203】
本発明は、少なくとも一つのインク、染料、建染染料、粒子、顔料、反応性染料またはジアゾ染料を含む物質の組成物も含む。物質の組成物は、バインダー、モノマー、ポリマー、ホモポリマー、ヘテロポリマー、コポリマーおよび開始剤、UV開始剤、熱開始剤、溶媒、分散剤、抗菌剤、抗微生物剤、抗真菌剤、殺菌剤、増粘剤、湿潤剤、非コゲート剤、抗腐蝕剤、防腐剤または非酸化剤の中の少なくとも一つも含む。提示された剤は、指示された機能に適した任意の組み合わせおよび濃度または量で提供することができる。
【0204】
本発明の物質の組成物は、1981年12月1日に発行されたYoungの米国特許第4,303,9214号明細書に記載されているインクを含まない。特に、本発明の物質の組成物は、インク中の顔料が、印刷工程により付着された位置に実質的に滞留するように、重合後に耐水性であることが好ましい。さらに、本発明の物質の組成物は、好ましくは、重合後に、特に、溶媒中、好ましくは水中で膨張性である。さらに、本発明のインクは、好ましくは、印刷される表面上のポリマーまたはモノマーと化学的結合、架橋または他の方法で結合することができる。例えば、本発明のインクは、印刷される表面上のポリマーまたはモノマーと重合することができるモノマーを含み得る。
【0205】
本発明の組成物は、インクジェット印刷装置、ピエゾ印刷装置、熱印刷装置、レーザー印刷装置またはパッドトランスファー印刷装置のような印刷装置中に提供されることができる。
【0206】
VII ビジネスを行う方法
【0207】
本発明は、ヒト、データベース(例えば、本発明のデータベース)または像からデジタルイメージを得る過程、および、前記デジタルイメージを印刷して、印刷デジタルイメージを含む少なくとも一つのレンズまたは一対のレンズを作る過程を含んでなる、ビジネスを行う方法も含む。好ましくは、一つまたは複数のレンズは、本発明の方法を用いて作られる。さらに、一つまたは複数のレンズは、好ましくは、本発明のシステムを用いて作られる。
【0208】
本発明のこの点において、顧客はレンズの一部として好む像を選択する。この像は、任意の像であり得、例えば、奇抜な像または任意のタイプ、例えば、渦等を含む新規像、または、ヒトまたは動物からのような虹彩の高品質像である像である。像は、デジタルイメージのデータベースのようなデータベースから選択されることができる。あるいは、顧客は、ヒトまたは動物の写真の集合のような種々の供給源から像を同定および選択することができる。そのような集合は、電子データベースまたは写真もしくは画像の集合もしくは寄せ集めのような、適当な記憶媒体内にあり得る。あるいは、顧客は、本発明の方法で用いるために選択された像を提供することができる。選択された非デジタルイメージは、当該分野で知られている適当なスキャンニング技術を用いて、デジタルイメージに変換されることができる。そのようなスキャンされた像は、本発明のデータベースの一部になり得る。選択工程は、販売業者または製造者の物理的位置のような実質的にいかなる位置にも、またはインターネットを介するようなコンピューターを介して、起こり得る。
【0209】
顧客により選択されたデジタルイメージを、次に、ヒトの伝達、電話での伝達、郵便を介するオーダーフォームのような印刷材料を介する伝達、またはインターネットを介する電子媒体のような適当な方法を介して、販売業者または製造者の物理的位置に運ぶことができる。選択された像を、パターン、色相、彩度および輝度のための像分析および比較ソフトウエアのような適当なソフトウエアを用いて分析することができる。像を、次に、印刷装置により使用するための信号に変換し、それにより、印刷装置によって像を色およびパターンについて再生するようにすることができる。販売業者は、製造業者にオーダーを知らせ、製造業者にデジタルイメージのような必要な情報を提供する。販売業者および製造業者は、同じまたは異なるヒト、会社または実体であり得、同じまたは異なる物理的位置に存在し得る。製造業者は、次に、一つまたは複数のレンズを製造し、製造された一つまたは複数のレンズを、小切手、キャッシュ、クレジットまたはクレジットカードのような許容される方法により販売業者または顧客に配達する。販売業者または製造業者は、適切に支払いを受ける。
【0210】
本発明の方法または当該分野で知られているもしくは後に開発される方法に従う印刷装置によってデジタルイメージを印刷することができ、それにより、レンズ、特に本発明のコンタクトレンズが製造される。好ましくは、少なくとも二つの色、少なくとも三つの色または少なくとも四つの色を利用する印刷装置が用いられる。本発明のこの局面は、好ましくは、本発明のシステムを利用する。
【0211】
VIII ポリマー基体前処理工程と画像受容層の使用
【0212】
本発明は、ポリマー基体と、インクを用いて作られるデジタル的にコード化された像とから成る製造物品であって、ポリマー基体がレンズを形成し、デジタル的にコード化された像をポリマー基体に塗布するのに先立ってポリマー基体が前処理工程にかけられる製造物品も含んでいる。前処理工程の結果としてデジタル的にコード化された像の画質が向上する。
【0213】
その上に像が印刷される、レンズなどのポリマー基体は、画質、印刷されたポリマー基体の質、あるいはその両方を向上させるために印刷工程に先立って前処理しても良い。適切な前処理工程にはポリマー基体の一つまたは複数の物理的または化学的改良が含まれることがある。例えば、ポリマー基体の表面の物理的または化学的改良は、像の再生、解像度、耐久性または現実感を向上させることがある。前処理工程は、例えば、ポリマー基体の湿濡性、多孔性または透過性を向上または低下させて、ポリマー基体またはポリマー基体の表面を改良することができる。前処理工程は、ポリマー基体の表面の形状、印刷性、安定性または耐久性を向上させることができる。ポリマー基体からのレンズの形成は、一つまたは複数の前処理工程の前、中、または後に行うことができる。
【0214】
物理的改良には、エッチング、切削、焼成、加熱、冷却、研磨、バフィング、艶出し、エンボス加工、彫刻、けがき、透過化、およびポリマー基体の表面を粗くするか滑らかにするその他の機械的または非機械的処理が含まれるが、それらに限定されるものではない。物理的改良は任意の適切な手段で施すことができる。一つの例において、機械的研磨装置を用いてポリマー基体の表面を艶出し、研磨、またはフライス削りをすることができる。他の例において、レンズの表面を切削するのにダイアモンドバイトなどのバイトを用いることができる、あるいはレンズは旋盤で製造しても良い。別の例において、レーザーを用いてポリマー基体の表面を滑らかにしても良い、あるいは、代案として、レーザーを用いてポリマー基体の表面に肌理またはパターン(圧痕またはウェル)を付けても良い。
【0215】
化学的改良には、化学的洗浄、化学的肌理改良(例えば、エッチング、エンボス加工、透過化、平滑化、艶出し、またはそれらの組み合わせ)、ポリマー基体上または内の反応基の化学的または電気化学的活性化または発生(例えば、高圧、炎、オゾン、コロナ、プラズマ、またはそれらの組み合わせで処理することによる表面の活性化またはイオン化)、化学的被覆、および酸、塩基、酸化剤、還元剤、溶媒、希釈剤、モノマー、コモノマー、ポリマー、開始剤、架橋剤、阻害剤、または像の印刷に用いられるインクの反応性および非反応性成分を含む他の化学物質による処理が含まれるが、それらに限定されるものではない。化学的改良の非制限的例には次のものが含まれる。湿潤性を改善するためにポリマー基体に界面活性剤または湿潤剤を塗布することができる(例えば、レンズの表面の湿潤性を向上させるためにヒドロゲルコンタクトレンズに綿棒またはエアロゾルスプレイを用いてエタノールまたはイソプロピルアルコールを塗布しても良い)。ポリマー基体はポリマーの膨張率を変える化学物質を含浸するか、その中に浸漬することができる(例えば、ヒドロゲルコンタクトレンズはレンズを膨張させるためにメタノールを含浸しても良い)。ポリマー基体は表面の一時的電気化学改変を施すためにプラズマによって、あるいはコロナ処理によって処理することができる。ヒドロゲルコンタクトレンズは反応性染色インクとレンズ基体の間の結合を向上させるためにアジリジンで、またはプライマーで被覆することができる。ポリマー基体の表面上のカルボキシル酸機能基は、触媒を用いて、あるいは触媒なしで、アルコールまたはその他のヒドロキシルを有する試剤でエステル化することができる。ポリマー基体のエッチングに腐食剤を用いることができる(例えば、表面をエッチングするためにヒドロゲルコンタクトレンズ上に弗化水素酸を噴霧することができる)。
【0216】
画像解像度の向上と全体的画質改善は、印刷工程の間に画像受容層を用いることによって達成できる。画像受容層は、レンズを形成することができるポリマー基体の表面に、薄膜などの、層として塗布することのできる化学的被覆を含んでいる。ポリマー基体は多孔性、半多孔性、非多孔性、またはそれらの組み合わせとすることができる。ポリマー基体からのレンズの形成は、ポリマー基体に画像受容層を付ける前、中、あるいは後に行うことができる。デジタル的にコード化された像などの像は、画像受容層上に、あるいは内にインクを転写することによって直接または間接に(例えば、インクジェットプリンタで直接)印刷することができる。ポリマー基体からのレンズの形成は、デジタル的にコード化された像の印刷の前、中、または後に行うことができる。
【0217】
画像受容層は、画像内の所望の場所に離散液滴または「ドット」状のインクを保持することによってインクを安定させるのに用いられる。インク液滴を安定させることで、例えば、インク液滴が親水性ポリマー基体の表面上に直接濡れたまま残された場合、あるいは固定工程で通常用いられる条件のように、湿潤条件の下で起きるような色彩の過剰な混合または滲みを防止することができる。インクの反応成分(例えば、重合可能なモノマーまたは反応性染料)は画像受容層を介してポリマー基体と接触し、適切な条件に曝露されると、固定反応を起こして、反応性成分を非過渡的にポリマー基体に固定する。固定された反応性成分が通常の後固定工程(レンズの水和または殺菌など)によってまたは通常の使用(被験者によるコンタクトレンズの通常の装着)を通じてポリマー基体からほとんど除去されない点で、固定された反応性成分は非過渡的にポリマー基体に固定される。固定反応は、例えば、共有または非共有化学結合、架橋、またはポリマー基体とのその他の結合を含むことができる。画像受容層はポリマー基体への固定のためにインクが提示される仕方を制御することによって印刷品質を向上させる。画像受容層はインクの液滴を所望の位置に保持し、インクの滲みを防止するが、ポリマー表面に対するインク反応成分の固定反応を必ずしも変化させない。画像受容層がポリマー基体の表面に対するインク反応成分の固定反応を変化させる場合、改良は好適には固定反応の向上、例えば、固定反応の効率、速度、または結合強さの増加である。
【0218】
画像受容層は、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)ホモポリマーまたはコポリマー、ポリメチルメタクリレート、ガラス、フルオロシリコーンアクリレート、シリコーン、シリコーンアクリレート、ポリスチレン、ブチルスチレン、アルキルスチレン、グリシドール(グリシジル)メタクリレート、N,N―ジメチルアクリルアミド、およびポリビニルピロリドンなどの多孔性、半多孔性、あるいは非多孔性のポリマー基体に付けることができるが、それらに限定されるものではない。代案として、画像受容層はポリマー基体上の事前層に付けることができる。かかる事前層は、例えば、一つまたは複数の事前ポリマー層とすることができるが、それにはポリマー基体に含まれているものと同じポリマー、または異なるポリマーが含まれていても良い。事前層は着色剤(例えば、染料または二酸化チタンなどの不透明な顔料)を含む事前ポリマー層とすることができる。像は事前層にインクを転写することによって、直接または間接に、印刷可能であり、それによって画像受容層はインクをその場に保持し、インクの滲みを防止するので、事前層上の画質が向上する(例えば、不透明顔料の背景に対して固定インクの最終的視感度を向上させることによって)。
【0219】
画像受容層は薄膜として付けられ、例えば、約0.1マイクロメートルから約200マイクロメートルの間の、または約0.1マイクロメートルから約150マイクロメートルの間の、または約0.1マイクロメートルから約100マイクロメートルの間の、または約0.1マイクロメートルから約50マイクロメートルの間の、または約0.1マイクロメートルから約20マイクロメートルの間の層として付けられる。好適には、画像受容層は約0.1マイクロメートルから約20マイクロメートルの間の層として付けられる。画像受容層は、好適には像が印刷される領域、例えば、コンタクトレンズの上に虹彩の像が印刷される円形または環状の領域などであるがそれらに限定されない領域内のポリマー基体の全領域または一部の領域だけを覆うことができる。画像受容層は、任意の適切な手段、例えば、直接被覆(例えば、ブラシ、綿棒、ピペット、またはスポンジを用いて塗布して)、液滴または微小液滴の塗布(例えば、エアロゾルスプレイまたはインクジェットプリンタを使用して塗布して)、浸漬、含浸、スピンコーティング、ディップコーティング、カーテンコーティング、またはパッド印刷などであるがそれらに限定されない手段によって、ポリマー基体に付けることができる。
【0220】
画像受容層組成物は、選択した塗布方法に適し、選択した反応性染料インクと適合する粘性と表面張力を好適には有する。直接被覆(例えば、ピペットによる)または浸漬による塗布に適した画像受容層組成物の一つの例は、粘度が5.18センチポイズで表面張力が約25.5ダイン/cmである工業変性アルコール(IMS)でのViviPrint(登録商標)121の10%溶液(約25℃で約7から約23センチポイズの間の粘度、約1.05×106グラム/モルの基準分子量、および約184℃のガラス遷移温度(Tg)を示す10%水組成物として供給される、中和ポリ(ビニルピロリドン/ジメチルアミノ−プロピルメタクリルアミド)コポリマー、CAS番号175893−71−1)(製品ID 72417D、International Specialty Products、1361 Alps Road、Wayne、NJ 07470)である。直接被覆または浸漬による塗布に適した画像受容層組成物のもう一つの例は、約30.5センチポイズの粘度と約40.0ダイン/cmの表面張力を有するViviPrint(登録商標)121の10%水溶液である。直接被覆または浸漬による塗布に適した画像受容層組成物の第三の例は、約4.54センチポイズの粘度と約35.5ダイン/cmの表面張力を有する3.6%水酸化ナトリウムを含有するViviPrint(登録商標)121の10%水溶液である。直接被覆または浸漬による塗布に適した画像受容層組成物の第四の例は、約3.37センチポイズの粘度と約55.5ダイン/cmの表面張力を有する5.3%リン酸ナトリウムを含有する5.3% PVP K30(約25℃で約3センチポイズの粘度(5%溶液について)、約60×103グラム/モルの基準分子量、約163℃のガラス遷移温度(Tg)を示す吸湿性の、非晶質白色粉末として供給されるポリビニルピロリドン)(International Specialty Products、Wayne、NJ)の水溶液である。PVP K30(別名ポビドンまたはPVP、CAS番号9003−39−8、平均分子量が約29,000のポリビニルピロリドン)のもう一つの供給源は、カタログ番号23,425−7(Sigma−Aldrich2003−2004カタログ、P.O Box2060,Milwaukee,WI)である。これら上述の例および類似の組成物は、例えば、インクジェット印刷またはエアロゾルによって微小液滴として塗布することもできる。粘度が約20センチポイズを超える画像受容層組成物は、現在のインクジェット技術に適した範囲(約15から約20センチポイズの間)に組成物の粘度を下げるために加熱プリントヘッドを必要とすることがある。別の例において、パッドトランスファー印刷による塗布に適した画像層組成物は、約5000から約50,000センチポイズの間の粘度で好適には配合される。塗布後、画像受容層はそのインク吸収度を増すために、例えば、空気乾燥、または低湿度条件への曝露、あるいは緩加熱への曝露(例えば、室温から約90℃)によって乾燥工程に随意にかけられる。
【0221】
画像受容層は、インクが配合された溶媒またはその他の担体成分の相対親水性または疎水性に好適には適合する。画像受容層はインクが配合された溶媒またはその他の担体成分(例えば、有機または水性溶媒または共溶媒、湿潤剤、界面活性剤、または希釈剤などであるが、それらに限定されない)を好適には吸収可能であり、このようにしてインクの転位または滲みを減らす。好適には、画像受容層は吸収性が高く、インクの溶媒またはその他の担体成分の画像受容層乾燥重量の少なくとも5%、またより好適には少なくとも10%を吸収することができる。画像受容層に適するかもしれない合成材料の非制限的な例には、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、およびそれらのホモポリマーとコポリマー(例えば、ポリ(ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド)コポリマー)などの高吸収性ポリマーが含まれる。画像受容層に適するかもしれない天然誘導材料の例には、ゼラチン、コラーゲン、アルブミン(例えば、卵アルブミンあるいは血清アルブミン)、カゼイン、および植物グルテンタンパク質、および炭水化物系材料、例えばセルロースまたは澱粉、のようなタンパク質性材料が含まれるがそれらに限定されない、またかかる天然誘導材料の合成または半合成同族体も適するかもしれない。例えば、使用されるインクが水性のとき、画像受容層は好適には水に適合し、それ自体は溶解することなしに高い吸水性を示す;水性インクに適合する画像受容層の一つの例はポリビニルピロリドンであり、約5%から約35%の間の、あるいは相対湿度60%、温度20℃で約17%の吸水率を示すことができる。
【0222】
画像受容層はまた好適にはインク着色剤(反応成分など)を誘因あるいは結合する役割も果たし、それによってそれらの着色剤をその場に保持して、滲みを防止する。好適には、この誘因または結合は定着のためのポリマー基体への画像受容層からの、およびそれを通過する着色剤の転移を阻害するほど強いものであってはならない。例えば、ポリビニルピロリドンの特徴は高い極性と活性水素ドナー(フェノールまたはカルボキシル酸など)あるいはアニオン化合物と水素結合する能力にあるので、インク着色剤を誘因または結合する助けになることがある。
【0223】
画像受容層の組成はインクに用いられた反応成分と悪影響のある反応をほとんど起こさず、したがって、ポリマー基体への反応成分の固定反応をほとんど阻害しないものである。例えば、脱離基の変位を伴う反応によって固定されるインクに使用するのが適した画像受容層は、好適には、それ自体はかかる変位自在な脱離基を含んでいない。別の例において、ポリマー基体の反応性ヒドロキシル、アミン、またはチオール基と反応する成分を含んでいるインクに使用するのが適した画像受容層は、好適には、それ自体は反応性ヒドロキシル、アミン、またはチオール基を含んでいない。別の例において、塩基−触媒(塩基触媒によるエポキシド開環反応、エステルまたはエーテルの塩基触媒加溶媒分解、あるいは塩基触媒除去)の関与する反応によって固定されるインクに使用するのが適した画像受容層は、好適にはそれ自体はかかる塩基−反応基を含んでいない。画像受容層は好適にはポリマー基体と悪影響のある反応(例えば、基体の大幅な腐食または弱化)もほとんど起こさない。
【0224】
画像受容層はポリマー基体上に離散層を形成できるか、あるいは全体的または部分的にポリマー基体に侵入できる。画像受容層はインクの反応成分がポリマー基体上または中に転移するのに十分なほどポリマー基体を膨張させる能力を随意に有する。好適には、画像受容層は不所望なほど(例えば、画像受容層によってポリマー基体が過飽和するとインクの転移またはインクの固定が阻害される、あるいはポリマー基体の膨張がレンズの形状にひずみを発生させる)ポリマー基体を膨張させてはならない。ポリマー基体を膨張させることができる画像受容層組成物の一つの例は、短鎖アルキルアルコール(メタノール、エタノール、n−プロパノール、またはイソ−プロパノールなどであるがそれらに限定されない)を含むViviPrint(登録商標)121またはPVP K30組成物であり、HEMA系ソフトコンタクトレンズなどのヒドロキシエチルメタクリレート系(HEMA系)ポリマー基体に使用される。
【0225】
画像受容層はポリマー基体内または上に非過渡的に添合されるか、あるいは一時的とすることができる。非過渡的画像受容層とは、レンズの水和および殺菌などの通常の後固定処理工程によってポリマー基体からほとんど除去されないものを言う。非過渡的画像受容層に含まれるのは、ポリマー基体に非過渡的に結合された画像受容層、あるいはポリマー基体内に非過渡的に添合された(例えば、ポリマー基体内で共重合した)画像受容層などである。一時的画像受容層は例えば、温水または熱水での洗浄、蒸気への曝露によって、あるいは塩基溶液で洗浄して、ポリマー基体から好適にはほとんどまたは完全に除去される。より好適には、一時的画像受容層は通常の後固定処理工程で都合良く除去できる。例えば、HEMA系ソフトコンタクトレンズの製造において、レンズは、0.005%の界面活性剤を含む重炭酸ナトリウムの0.5%水溶液内に置き、該水溶液を約50℃まで加熱し、約30分間温度を約50℃から約60℃の間に維持して水和することができる。HEMA系ソフトコンタクトレンズは、0.015%の重炭酸ナトリウムと0.005%の界面活性剤を含む塩化ナトリウムの0.9%水溶液を含むバイアル内に置き、バイアルに蓋をして圧着し、バイアルを高圧蒸気滅菌器内に置き、約121℃で約25分間レンズを蒸気殺菌することで殺菌しても良い。
【0226】
画像受容層の使用は、像の印刷前、中、あるいは後に行われるポリマー基体のその他の処理に好適には適合する。例えば、ポリマー基体を活性化するために、あるいはポリマー基体とインクの反応成分との間の固定反応の触媒を果たすために、塩基(例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、またはリン酸ナトリウム)などの、しかしそれに限定されない活性化物質でポリマー基体を処理するのが望ましいことがある。このような場合、画像受容層は好適には塩基処理に適合し、インクに使用された反応成分と不都合な反応をしない。好適には、画像受容層は、塩基処理の前、後、あるいは同時に(例えば、画像受容層組成物と塩基処理組成物を同時に含有する単一の溶液として)塗布しても良い。画像受容層組成物と塩基処理組成物を同時に含有する単一の溶液の一つの例は、リン酸ナトリウム水溶液の5%溶液と5%まで組み合わせたPVP K30である。塩基適合性のもう一つの例はViviPrint(登録商標)121であり、(リン酸ナトリウム溶液にではないが)水酸化ナトリウム溶液に添加しても良い。
【0227】
随意に、画像受容層組成物は、あるいは反応性染料を含有するインクでの印刷に先立って画像受容層に塗布する独立インクに、あるいは反応性染料を含むインクに添加しても良い。かかる画像受容層/インクの組み合わせの粘度は、印刷工程の要求事項に適した範囲内、例えば、像がインクジェット印刷によって塗布されるインクジェットプリントヘッドに許容される粘度範囲内になければならない。
【0228】
IX レンズ製造において前処理工程と画像受容層を用いる方法
【0229】
本発明は、デジタル的にコード化された像をポリマー基体に塗布するのに先立つ前処理工程にポリマー基体をかけることを含む、ポリマー基体がレンズを形成することを特徴とする、ポリマー基体とインクで作られたデジタル的にコード化された像を含む製造物品を製作する方法も含んでいる。前処理工程の結果としてデジタル的にコード化された像の画質が向上する。
【0230】
該方法には、画質、印刷されたポリマー基体の質、またはその両方を改善するために印刷工程に先立って、その上に像が印刷される、レンズなどの、ポリマー基体の前処理を含むことができる。適切な前処理工程にはポリマー基体の一つまたは複数の物理的または化学的改良を含むことできる。ポリマー基体からのレンズの形成は、一つまたは複数の前処理工程の前、中、または後に行うことができる。物理的改良には、エッチング、切削、焼成、加熱、冷却、研磨、バフィング、艶出し、エンボス加工、彫刻、けがき、透過化、およびポリマー基体の表面を粗くするか滑らかにするその他の機械的または非機械的処理が含まれるが、それらに限定されるものではない。物理的改良は任意の適切な手段で施すことができる。化学的改良には、化学的洗浄、化学的肌理改良(例えば、エッチング、エンボス加工、透過化、平滑化、艶出し、またはそれらの組み合わせ)、ポリマー基体上または内の反応基の化学的または電気化学的活性化または発生(例えば、高圧、炎、オゾン、コロナ、プラズマ、またはそれらの組み合わせで処理することによる表面の活性化またはイオン化)、化学的被覆、および酸、塩基、酸化剤、還元剤、溶媒、希釈剤、モノマー、コモノマー、ポリマー、開始剤、架橋剤、阻害剤、または像の印刷に用いられるインクの反応性および非反応性成分を含む他の化学物質による処理が含まれるが、それらに限定されるものではない。
【0231】
該方法には、画像解像度を向上させ、全体的画質を改善するための印刷過程の間の画像受容層の使用が含まれても良い。画像受容層はレンズを形成するポリマー基体の表面に、薄膜などの、層として塗布される化学的被覆を含む。ポリマー基体からのレンズの形成は、ポリマー基体に画像受容層を付ける前、中、あるいは後に行うことができる。ポリマー基体は、多孔性、半多孔性、非多孔性、またはそれらの組み合わせとすることができる。デジタル的にコード化された像などの像は、画像受容層上に、あるいは内にインクを転写することによって直接または間接に(例えば、インクジェットプリンタで直接)印刷することができる。ポリマー基体からのレンズの形成は、デジタル的にコード化された像の印刷の前、中、または後に行うことができる。
【0232】
画像受容層は、画像内の所望の場所に離散液滴または「ドット」状のインクを保持することによってインクを安定させるのに用いられる。インクの反応成分(例えば、重合可能なモノマーまたは反応性染料)は画像受容層を介してポリマー基体と接触し、適切な条件に曝露されると、固定反応を起こして、反応性成分を非過渡的にポリマー基体に固定する。固定された反応性成分が通常の後固定工程(レンズの水和または殺菌など)によってまたは通常の使用(被験者によるコンタクトレンズの通常の装着)を通じてポリマー基体からほとんど除去されない点で、固定された反応性成分は非過渡的にポリマー基体に固定される。画像受容層はポリマー基体への固定のためにインクが提示される仕方を制御することによって印刷品質を向上させる。画像受容層はインクの液滴を所望の位置に保持し、インクの滲みを防止するが、ポリマー表面に対するインク反応成分の固定反応を必ずしも変化させない。
【0233】
画像受容層は、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)ホモポリマーまたはコポリマー、ポリメチルメタクリレート、ガラス、フルオロシリコーンアクリレート、シリコーン、シリコーンアクリレート、ポリスチレン、ブチルスチレン、アルキルスチレン、グリシドール(グリシジル)メタクリレート、N,N―ジメチルアクリルアミド、およびポリビニルピロリドンなどの多孔性、半多孔性、あるいは非多孔性のポリマー基体に付けることができるが、それらに限定されるものではない。代案として、画像受容層はポリマー基体上の事前層に付けることができる。かかる事前層は、例えば、一つまたは複数の事前ポリマー層とすることができるが、それにはポリマー基体に含まれているものと同じポリマー、または異なるポリマーが含まれていても良い。事前層は、着色剤(例えば、染料または二酸化チタンなどの不透明な顔料)を含む事前ポリマー層とすることができる。像は事前層にインクを転写することによって、直接または間接に、印刷可能であり、それによって画像受容層はインクをその場に保持し、インクの滲みを防止するので、事前層上の画質が向上する。
【0234】
画像受容層は薄膜として付けられ、例えば、約0.1マイクロメートルから約200マイクロメートルの間の、または約0.1マイクロメートルから約150マイクロメートルの間の、または約0.1マイクロメートルから約100マイクロメートルの間の、または約0.1マイクロメートルから約50マイクロメートルの間の、または約0.1マイクロメートルから約20マイクロメートルの間の層として付けられる。好適には、画像受容層は約0.1マイクロメートルから約20マイクロメートルの間の層として付けられる。画像受容層は、好適には像が印刷される領域、例えば、コンタクトレンズの上に虹彩の像が印刷される円形または環状の領域などであるがそれらに限定されない領域内のポリマー基体の全領域または一部の領域だけを覆うことができる。画像受容層は、任意の適切な手段、例えば、直接被覆(例えば、ブラシ、綿棒、ピペット、またはスポンジを用いて塗布して)、液滴または微小液滴の塗布(例えば、エアロゾルスプレイまたはインクジェットプリンタを使用して塗布して)、浸漬、含浸、スピンコーティング、ディップコーティング、カーテンコーティング、またはパッド印刷などであるがそれらに限定されない手段によって、ポリマー基体に付けることができる。
【0235】
画像受容層組成物は、選択した塗布方法に適し、選択した反応性染料インクと適合する粘性と表面張力を好適には有する。例えば、室温で粘度が約15から20センチポイズの間の画像受容層組成物は、例えばインクジェット印刷またはエアロゾルによって室温で微小液滴として塗布することもできる。粘度が約20センチポイズを超える画像受容層組成物は、現在のインクジェット技術に適した範囲(約15から約20センチポイズの間)に組成物の粘度を下げるために加熱プリントヘッドを必要とすることがある。別の例において、パッドトランスファー印刷による塗布に適した画像層組成物は、約5000から約50,000センチポイズの間の粘度で好適には配合される。塗布後、画像受容層はそのインク吸収度を増すために、例えば、空気乾燥、または低湿度条件への曝露、あるいは緩加熱への曝露(例えば、室温から約90℃)によって乾燥工程に随意にかけられる。
【0236】
画像受容層はインクが配合された溶媒またはその他の担体成分の相対親水性または疎水性に好適には適合する。画像受容層はインクが配合された溶媒またはその他の担体成分を好適には吸収可能であり、このようにしてインクの転位または滲みを減らす。好適には、画像受容層は吸収性が高く、インクの溶媒またはその他の担体成分の画像受容層乾燥重量の少なくとも5%、またより好適には少なくとも10%を吸収することができる。画像受容層に適するかもしれない合成材料の非制限的な例には、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、およびそれらのホモポリマーとコポリマー(例えば、ポリ(ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド)コポリマー)などの高吸収性ポリマーが含まれる。画像受容層に適するかもしれない天然誘導材料の例には、ゼラチン、コラーゲン、アルブミン(例えば、卵アルブミンあるいは血清アルブミン)、カゼイン、および植物グルテンタンパク質、および炭水化物系材料、例えばセルロースまたは澱粉、のようなタンパク質性材料が含まれるがそれらに限定されない、またかかる天然誘導材料の合成または半合成同族体も適するかもしれない。
【0237】
画像受容層はまた好適にはインク着色剤(反応成分など)を誘因あるいは結合する役割も果たし、それによってそれらの着色剤をその場に保持して、滲みを防止する。好適には、この誘因または結合は定着のためのポリマー基体への画像受容層からの、およびそれを通過する着色剤の転移を阻害するほど強いものであってはならない。
【0238】
画像受容層の組成はインクに用いられた反応成分と悪影響のある反応をほとんど起こさず、したがって、ポリマー基体への反応成分の固定反応をほとんど阻害しないものである。画像受容層は好適にはポリマー基体と不所望の反応(例えば、基体の大幅な腐食または弱化)もほとんど起こさない。
【0239】
画像受容層はポリマー基体上に離散層を形成できるか、あるいは全体的または部分的にポリマー基体に侵入できる。画像受容層はインクの反応成分がポリマー基体上または中に転移するのに十分なほどポリマー基体を膨張させる能力を随意に有する。好適には、画像受容層は不所望なほどポリマー基体を膨張させてはならない。
【0240】
画像受容層はポリマー基体内または上に非過渡的に添合されるか、あるいは一時的とすることができる。非過渡的画像受容層とは、レンズの水和および殺菌などの通常の後固定処理工程によってポリマー基体からほとんど除去されないものを言う。非過渡的画像受容層に含まれるのは、ポリマー基体に非過渡的に結合された画像受容層、あるいはポリマー基体内に非過渡的に添合された(例えば、ポリマー基体内で共重合した)画像受容層などである。一時的画像受容層は例えば、温水または熱水での洗浄、蒸気への曝露によって、あるいは塩基溶液で洗浄して、ポリマー基体から好適にはほとんどまたは完全に除去される。より好適には、一時的画像受容層は通常の後固定処理工程で都合良く除去できる。
【0241】
画像受容層の使用は、像の印刷前、中、あるいは後に行われるポリマー基体のその他の処理に好適には適合する。例えば、ポリマー基体を活性化するために、あるいはポリマー基体とインクの反応成分との間の固定反応の触媒作用を及ぼすために、塩基(例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、またはリン酸ナトリウム)などの、しかしそれらに限定されない活性化物質でポリマー基体を処理するのが望ましいことがある。このような場合、画像受容層は好適には塩基処理に適合し、インクに使用された反応成分と不都合な反応をしない。好適には、画像受容層は、塩基処理の前、後、あるいは同時に(例えば、画像受容層組成物と塩基処理組成物を同時に含有する単一の溶液として)塗布しても良い。
【0242】
随意に、画像受容層組成物は、反応性染料を含有するインクでの印刷に先立って画像受容層に塗布する独立インクに、あるいは反応性染料を含むインクに添加しても良い。かかる画像受容層/インクの組み合わせの粘度は、印刷工程の要求事項に適した範囲内、例えば、画像がインクジェット印刷によって塗布されるインクジェットプリントヘッドに許容される粘度範囲内になければならない。
【0243】
X インク反応成分の分離
【0244】
本発明は、ポリマー基体と、反応成分を含むインクを用いて作られたデジタル的にコード化された像とから成る製造物品であって、ポリマー基体がレンズを形成し、インクジェット印刷によってデジタル的にコード化された像がポリマー基体に塗布される製造物品も含んでいる。それぞれの反応成分はインクジェットプリンタカートリッジ内に貯蔵される。反応成分は別個のインクジェットプリンタカートリッジに貯蔵されても良い。
【0245】
一つまたは複数の反応成分を含むインクを使用するとき、かかる反応成分がインクの安定性または貯蔵寿命を低下させるのは一般的に望ましくない。例えば、重合可能なモノマーもしくはポリマー(ヒドロキシエチルメタクリレートなど)または架橋剤(ヘキサメチルジイソシアネートなど)をその配合の中に含んでいるインクは、経時的に貯蔵されたとき、重合または架橋を受けることがあり、それは貯蔵には望ましくない。これに対する一つの解決法は反応成分を区画化することであり、それによってかかる不所望の反応の発生を遅らせるか、防止することである。かかる区画化には不所望の副反応(例えば、架橋剤とポリマーの間の副反応)がないことを保証するように別個の成分を配合することが要求されるだろう。例えば、重合開始剤を重合反応のその他の成分(例えば、重合可能なモノマーおよび架橋剤)とは別個に貯蔵することが望ましいかもしれない。印刷工程にインクジェットプリンタを使用するとき、反応成分は別個または個別のカートリッジに貯蔵しても良く、それによってインクの安定性および貯蔵寿命を延ばすことができる。このとき反応成分およびインクのその他の成分は像が印刷される基体に必要に応じて付けても良い。例えば、アジリジンは顔料を配合し、一つのカートリッジ内に貯蔵して、他方で、適切に配合されたメタクリル酸は別個のカートリッジ内に貯蔵しても良く、それによって両方の配合物の貯蔵寿命を単一のカートリッジ内に両方の配合物を貯蔵した場合よりも長くすることができる。同一箇所に両方の配合物がインクジェット塗布された後にはじめて重合反応が始まるように、二つの配合物は別個に順次インク噴射してもよい。
【0246】
XI 遊離基重合が可能なオリゴマーを含むインク配合
【0247】
本発明は、各種の基体に使用できる新規なインクの配合とインクの製造方法も含んでいる。本発明のインクは不活性、熱安定、高速硬化性であり、所望の着色剤保持特性を有し、インクがその上またはその中に付着、印刷または接着される基体を膨張、拡張、収縮、曲げ、その他を行うことができる。本発明のインクは優れた接着特性を有し、製造、水和、殺菌または洗浄工程において、基体の形状、輪郭または大きさを大幅に改変しない。開示されたインクで印刷した像は、画質をほとんど喪失することなしに、約15分から約30分以上の間約15psiの蒸気圧で約121℃の複数の殺菌サイクルに耐えられるだろう。
【0248】
推奨実施態様において、本発明のインクはコンタクトレンズ基体またはポリマーの彩色または着色に用いられる。これらの実施態様において、インクは、目の虹彩、瞳孔または鞏膜に対応するコンタクトレンズの領域の着色または彩色に用いることができる。本発明のインクは自然な目の色の強調に用いることができるか、あるいは自然な目の色あるいは外観を大幅に変えるのに用いることができる。印刷画像はデジタル的にコード化された像またはアナログ画像とすることができる、また目の、あるいは虹彩などの目の一部の一般的外観を模倣しない、あるいは対応しない各種の像または絵を含むことができる。
【0249】
本発明のインクは、紫外線源または熱源などの条件に曝露されると遊離基自己重合することのできるオリゴマーと、顔料と、重合可能な親水性モノマーと開始剤と随意に一つまたは複数の分散剤、溶媒または界面活性剤を含むことが出来る。本発明のインクは、一つまたは複数のモノマーと、UV開始剤と、架橋剤と、結合剤ポリマーと、非モノマー希釈剤と、熱開始剤と、殺生剤と、抗コゲート剤と、ポリエチレングリコールジアクリレートと、先述のインク成分も含むことができる。本発明のインクは、熱によって、あるいは紫外線に曝露することによって硬化させることができる。硬化時間は、約0.1分未満、約0.1分と約6時間の間、約0.5分から約3時間の間、約1.0分から約1時間の間、約2分から約30分の間または約3分から約10分の間とすることができる。
【0250】
本発明のインクは、紫外線源または熱源などの、しかしそれらに限定されない条件に曝露されると遊離基重合することのできるオリゴマーを含むことができる。推奨実施態様において、重合は結合ポリマーまたは架橋剤の使用を必要としない。しかしながら、代替実施態様において、結合ポリマーまたは架橋剤を使用しても良い。好適には、遊離基重合することのできるオリゴマーは、ペンダントエステルと水素(H)を備えたアルケン基を有するαβ不飽和オリゴマーである。
【0251】
下記は本発明に用いることができるオリゴマーの非限定的な例である:
【0252】
【化1】

【0253】
この式で、R1は共役アルケン基およびHを有し、ここにn=2−10である。
【0254】
下記はR1の非限定的な例である:
【0255】
【化2】

【0256】
開示されたオリゴマーの重合はオリゴマーの遊離基重合を開始するのに十分な量の開始剤の存在を含むことができる。開始剤は熱源または紫外線源などの条件に曝露されたときに分解して遊離基形成することができる。遊離基は開示されたオリゴマーのアルケン部分に付加することができる、またそうすることによって第二の遊離基を発生することができる。この第二の遊離基は第二のオリゴマーまたは同一のオリゴマーの別のアルケン部分に付加してさらに大きな遊離基を発生し、後者は第三のアルケン部分に付加することができる、以下同様である。最終的に、鎖は、遊離基を消費するがそれを発生しない二つの遊離基の結合などのステップで終結する。遊離基の重合はアルケン官能基を有する一つ以上のモノマーの間で、あるいはオリゴマーと、HEMA、NVP、グリセロールメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、などのアルケン官能基を含む一つ以上のモノマーの間でも起きることがある。
【0257】
下記は遊離基重合反応の概略図である:
【0258】
【化3】

【0259】
オリゴマーはインク配合の約1%から約99%またはインク配合の約10%から約40%またはインク配合の約20%の濃度で提供しても良い。所望のオリゴマー濃度は、所望のインク粘度、オリゴマーの分子量、発生重合度、顔料または着色剤の保持能力、残りのインク成分の物理特性、およびインクの所望の粘度と表面張力によって変わることがある。
【0260】
本発明は、オリゴマーまたはモノマーの遊離基重合反応を開始させる、一つまたは複数の開始剤を含むことができる。開始剤の選択は、選択された重合反応によって少なくとも部分的に依存するだろう。例えば、オリゴマーまたはモノマーの遊離基重合反応のために紫外線源を用いるとき、Irgacure1800、Irgacure819など、またはその両方および類似のもののような光開始剤が望まれる。しかしながら、重合に熱工程が望まれるときは、熱開始剤を選択してもよい。本発明に使用しても良い熱開始剤の例には、過炭酸イソプロピル(IPP)、Vazo64などが含まれるが、これらに限定されない。開始剤の追加の例は、既知のもの、あるいはポリマーまたは化学技術で使用されているものである。
【0261】
本発明のインク配合は、所望の色特性、肌理または効果が得られるように、一つまたは複数の顔料を含むことがある。顔料は不水溶性の粒子で、一般的に染料または水溶性の着色剤よりも不透明である。顔料が不水溶性の粒子であるため、顔料は水溶性の着色剤のように流れたり汚れたりする傾向がない。しかしながら、インクジェットプリンタのようなの印刷装置に使用する際のインクの粒子の大きさは、印刷装置、印刷ヘッドまたは印刷ノズルの詰まりを防止する、または減らすのに十分なほど小さくなくてはならない。したがって、粒子が大きすぎる顔料は、サイズ排除フィルタを通してインクまたは顔料を濾過するなどして縮小しなければならない。例えば、1umフィルタは1umを超える粒子を排除し、本発明に用いてもよい。顔料の大きさを小さくするために各種の方法または装置、例えば、高速ミキサー、Kady Mills、コロイドミル、ホモジナイザー、マイクロフルイダイザ、ソナケータ、超音波ミル、ロールミル、ボールミル、ローラーミル、振動ボールミル、磨砕機、サンドミル、バリキネティックディスペンサ、スリーロールミル、Banburyミキサーやそれらに類似のものなどが使用できるが、これらに限定されない。
【0262】
顔料は各種の色と色合いのものが利用可能であり、白、黒、赤、オレンジ、黄、緑、青、藍、紫およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。本発明のインクには単一の顔料着色剤または顔料着色剤の混合物が含まれることがある。非制限的な例として、顔料は顔料ブラック1、顔料ブラック6、顔料ブラック7(カーボンブラック)、顔料ブラック8、顔料ブラック9、顔料ブラック10、顔料ブラック11(酸化鉄)、顔料ブラック19、顔料ブラック31、顔料ブラウン6(酸化鉄)、顔料レッド60、顔料レッド83、顔料レッド88、顔料レッド101(酸化鉄)、顔料レッド122、顔料レッド171、顔料レッド176、顔料レッド177、顔料レッド202、顔料レッド264、顔料イエロー1、顔料イエロー3、顔料イエロー34、顔料イエロー35、顔料イエロー37、顔料イエロー40、顔料イエロー42(酸化鉄)、顔料イエロー53、顔料イエロー65、顔料イエロー83、顔料イエロー95、顔料イエロー97、顔料イエロー108、顔料イエロー110、顔料イエロー120、顔料イエロー138、顔料イエロー139、顔料イエロー150、顔料イエロー151、顔料イエロー153、顔料イエロー154、顔料イエロー175、顔料イエロー184、顔料ホワイト4、顔料ホワイト6(二酸化チタン)、顔料グリーン17(酸化クロム)、顔料ブルー36(クロムアルミニウム酸化コバルト)、顔料ブルー15(銅フタロシアニン)、顔料ブルー15:1、顔料ブルー15:3、顔料ブルー15:6、顔料ブルー16、顔料ブルー17,顔料ブルー27、顔料ブルー28、顔料ブルー29、顔料ブルー33、顔料ブルー35、顔料ブルー36、顔料ブルー60、顔料ブルー72、顔料ブルー73、顔料ブルー74、顔料バイオレット11、顔料バイオレット19、顔料バイオレット23(3−アミノ−9−エチルカルバゾールクロロニル)、顔料バイオレット42、Millikanインクイエロー869、Millikanインクブルー92、Millikanインクレッド357とMillikanインクブラック8915−67、NR4、NR9、D&C Blue No.6、D&C Green No.6、D&C Violet No.2、カルボゾル バイオレット、フタロシアニン グリーン、特定の銅錯体、特定の酸化クロム、および各種の酸化鉄を単体または組み合わせることで含むことができる。単体または組み合わせることによって使用できる追加の着色剤または顔料のリストについては、U.S.ColorantsのMarmiom DMハンドブック参照。
【0263】
本発明のインクは医療器具、コンタクトレンズ、着色または彩色ポリマーなどの生産に用いられるもののような各種の疎水性または親水性の基体に付けることができる。これらの基体の例にはポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリグリセロールメタクリレート、ポリヒドロキシプロピルメタクリレートなどが含まれるがこれらに限定されない。基体またはポリマーは製造、水和、清掃または滅菌工程の間、あるいは使用の間に膨張、拡張、収縮、屈曲などを要求されることがある。例えば、彩色または着色コンタクトレンズを生産する方法はレンズの形状、サイズまたは輪郭の改変を伴う各種のステップまたは手順を含むことがある。とくに、コンタクトレンズ製造方法は水和ステップを含むことが多く、コンタクトレンズは水溶液を吸収して膨張する。
【0264】
本発明のインクは水和ステップなどにおいて溶媒または水溶液に曝露されたときに膨張する基体と同調してインクが膨張を可能にするのに十分な量の親水性モノマーまたはポリマーを含むことができる。このようにして本発明のインクは水和または滅菌工程の間の基体の自然な膨張または拡張とほとんど干渉しない。例えば、その上に本発明のインクが印刷された基体は、対照の基体の0.2mm以内膨張することが示された。本発明のインクとともに使用することができる親水性モノマーの例にはN−ビニル−2−ピロリジノン、グリセロールメタクリレートおよび2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N,Nジメチルアクリルアミドおよびそれらに類似するものが含まれるが、これらに限定されない。親水性または疎水性のモノマーまたはポリマーの濃度を変えることにより、本発明のインクは基体の親水性または疎水性の特性を模倣することができ、また基体の膨張または収縮とほとんど干渉しない。
【0265】
開示されたインクは、なんらかの印刷技術に限定されない、また基体が拡張、収縮、屈曲、折り曲げ、膨張などを受ける広範囲の技術に有用性を有する。これらの技術における基体は、フィルム、プラスチック、ポリマーなどが含まれる。本発明は基体に直接適用することができる、またパッドトランスファー印刷の技術に用いられる型、クラッチ版または表面にインクを付けるなどして間接的に付けることもできる。
【0266】
本発明のインクはさまざまな粘度で提供できる。したがって、インクの粘度は、そこに印刷される所定の表面のために至適化することができる。粘性がきわめて低いインクは流れたり、汚れたり、不均一な画像を生み出したりする。しかしながら、インクの粘度はインクプリンタまたは応用装置の分散能力にも影響する。例えば、粘度が高すぎるインクは詰まったり、プリンタの効率を落としたりする、他方で粘性の足りないインクはプリンタからしたたることがあり、それは画像、印刷または着色品質を低下させることがある。したがって、インクの粘度は使用されるプリンタおよびその上に印刷される表面によって変動しても良い。インクジェット印刷を用いるとき、インクは約1cpから約100cp、または約5cpから約70cp、または約10cpから約60cp、好ましくは約15cpの粘度と、約38mN/mの表面張力を有することができる。パッドトランスファー印刷を用いるとき、インクは約5,000cpから約50,000cp、または約10,000cpから約40,000cp、または約20,000から約30,000の粘度を有することができる。インクは、約1cpから約50,000cpの粘度で提供されても良い。
本発明のインクを付けるのに用いることができる印刷技術の例えには、パッドトランスファー印刷、インクジェット印刷、ピエゾ印刷、熱印刷、バブルジェット(登録商標)印刷、パッドトランスファー印刷、含浸、写真平板術およびレーザー印刷が含まれるがこれらに限定されない。このように所望の粘度と表面張力は、使用される印刷技術によって変動するものである。
【0267】
本発明のインクは、一つまたは複数の分散剤、溶媒または界面活性剤も含むことができる。分散剤はインクの広がりを助けるために、あるいはインク成分または粒子の凝集を防止するために用いても良い。使用しても良い分散剤の非制限的な例にはユニオン・カーバイド社からのTergitolシリーズ、ポリオキシレート化アルキルエーテル、GAFからのアルキルジアミノ四級塩またはPercegal“O”(米国特許第5,560,766号明細書)またはEFKA7422(EFKA添加剤.B.V.,オランダ)およびそれらに類似のものなどが含まれる。本発明のインク配合に用いることができるその他の分散剤には、化学技術およびそれに類似する技術に見いだされるものが含まれる。分散剤はさまざまな濃度で提供することができ、またインクの所望の拡散特性または粘度に従って調節でき、また凝集が生じた場合にこれを減らすために使用することができる。分散剤は典型的には約0.1%と約10%の間で、より好ましくは約0.5%と約5%の間で使用できる。しかしながら、より高い、あるいはより低い濃度も本発明に含まれる。
【0268】
溶媒の選択は所望のインク配合と基体の特性に依存することがある。溶媒は水性、有機または無機とすることができる。望まれうる溶媒の例には水、イソプロパノールなどのアルコール、テトラヒドロフランまたはアセトンなどが含まれるがこれらに限定されない。
【0269】
一つまたは複数の界面活性剤をインクの表面張力を減らすのに用いても良い。界面活性剤の例には、Surfynol504やSurfynol465が含まれるが、これらに限定されない。界面活性剤の濃度はインクの所望の表面張力に応じて至適化してもよい。典型的に、界面活性剤は約0.01%から約10%の濃度で提供されるが、本発明にはより高い濃度もより低い濃度も含まれる。
【0270】
本発明のインクは単体で使用しても良いし、顔料インク配合、反応染料インク配合などの第二のあるいは二次インク配合またはそれらに類似のものと合わせて使用しても良い。開示された顔料インク配合は典型的には水溶性であり、水溶性インクまたは染料よりも不透明である。これらの特性は、顔料インク配合が、第二のインク配合がその上に随意に付けられる下塗りに用いられることを可能にする。水溶性インクまたは反応染料などの染料を含む二次配合とともに開示された着色インクを下塗りに用いると染色または着色効果のサンプルと群の間の均質性が大きくなることがある。例えば、本発明の原料インクをコンタクトレンズ基体の着色または染色の下塗りに用いると、薄い眼の色の人も濃い眼の色の人も水溶性または反応染料インクを単体で用いられたときよりも色の見え方の類似性が高くなる。
【0271】
本発明のインクを下塗りに用いることによって、二次インク配合は基体の前処理をなくして、あるいは減らして付けることができる。例えば、反応染料インクを二次インク配合に使用したとき、ViviPrint TMなどの化学物質または化合物を付けるなどの処理ステップは減らすかなくしても良い。さらに、本発明のインクを下塗りに用いることによって、水溶性または水性インクが各種の基体上で流れたり、汚れたりする傾向が減らされることがある。
【0272】
本発明はレンズを形成することのできるポリマーと本発明のインクで少なくとも部分的に作製された画像とから成る製造品も含んでいる。結果としてのレンズは、画質が大きく損なわれることなく、繰り返される滅菌処理または約15分から約30分の間の約15psiの蒸気圧での、約121℃の暑さへの曝露に耐えることができる。レンズはさらに顔料インク配合の上面に加えて印刷された反応染料を含む第二のインク配合も含むことができる。インクは、ポリマーの任意の領域に印刷しても良い。好ましくは、レンズはコンタクトレンズであり、また好ましくはインクは眼の虹彩に対応する領域に印刷される。
【0273】
本発明のインクは多種多様な義眼の技術にも有益性を有している。例えば、本発明のインクは義眼に、義眼に接着したレンズに、義眼に接着されるレンズやそれに類似するものなどに直接印刷することができる。本発明のインクは虹彩、瞳孔、鞏膜やそれらに類似のものなどに対応する領域に印刷することができる。インクは残っている眼の部分を模倣するか全体的に対応するために用いても良い、あるいは残っている眼とかなり異なっていても良い。本発明のインクはデジタル的にコード化された像または非デジタル的にコード化された像の印刷に用いても良い。
【0274】
本発明は、親水性の基体を提供し、紫外線源または熱源に曝露されると遊離基重合が可能となるオリゴマーを有する開示されたインクを印刷し、そして約0.1分未満、約0.1分と約6時間の間、約0.5分から約3時間の間、約1.0分から約1時間の間、約2分から約30分の間または約3分から10分の間、ポリマーまたは基体を紫外線または熱源に曝露することを含む、ポリマーまたは基体の着色法を含んでいる。
【0275】
曝露は断続または連続とすることができる。本発明のインクは、インクジェット印刷、ピエゾ印刷、熱印刷、バブルジェット(登録商標)印刷、パッドトランスファー印刷、含浸、写真平板術またはレーザー印刷などの任意の印刷技術によって印刷することができる。
【0276】
XII 遊離基重合の可能なオリゴノマーを含むインク配合物の調製法
【0277】
本発明はαβ不飽和オリゴマーを含むがこれに限定されない、遊離基自己重合可能なオリゴマーを含むインク配合物の調製法も含んでいる。αβ不飽和オリゴマーは側エステルおよびアルケン基を含んでいる。αβ不飽和オリゴマーは、化学技術において既知の合成技術を用いて非反応性オリゴマーから合成されても良い。オリゴマーのエステル化は側ヒドロキシル基を有するオリゴノマーを得て、アルケン基およびカルボニル基を有する化合物の存在の下でオリゴマーを酸などに曝露することなどの、しかしこれに限定されない各種の方法によって達成することができる。ヒドロキシ基を酸に曝露したとき、機械説的には水分子が放出され、エステルが形成されると考えられる。本インク配合物に使用できるオリゴマーの例にはコンタクトレンズ技術に用いられるもの、例えば、ポリHEMA、ポリグリセロールメタクリレート、ポリヒドロキシプロピルメタクリレートまたはそれらに類似するものなどが含まれるがこれに限定されるものではない。多種多様なαβ不飽和酸、酸塩化物、および酸無水物が曝露されたアルコールまたはヒドロキシル基からエステルを作るのに用いることができる、また各種の化学の教科書や、ともに全文を参照文献として本書に記載されている、A Guidebook to Mechanism in Organic Chemistry,第6版、Peter Sykes and Organic Chemistry,第4版、Morrison and Boydなどのテキストに見いだすことができる。好ましい実施態様においては、塩化メタクリロイル(Aldrich,Milwaukee,WI)がポリHEMAに曝露される。
【0278】
下記の反応は非制限的なものであるが、曝露されたヒドロキシル基からのエステルの発生を例示している:
【0279】
酸とアルコールまたはヒドロキシル基の間の一般的反応は次の通りである:
【0280】
【化4】

【0281】
酸塩化物とアルコールまたはヒドロキシル基の間の一般的反応は次の通りである:
【0282】
【化5】

【0283】
酸無水物とアルコールまたはヒドロキシル基の間の一般的反応は次の通りである:
【0284】
【化6】

【0285】
XIII デジタル的にコード化された像を含む義眼
【0286】
本発明は義眼と義眼の製造方法も含んでいる。義眼は鞏膜部分と、少なくとも部分的にデジタル的にコード化された像を含む虹彩部分と、人工角膜と随意に瞳孔部分を含むことができる。本発明の義眼は残っている眼を模倣するか対応するように構成することができる。
【0287】
鞏膜は通常「白目」と呼ばれている。正常な眼において鞏膜は白く、保護外膜の役割を果たす強靱な不透明組織である。視神経は正常な鞏膜の後部に付着し、およそ六本の筋肉が外側表面付近に付着して眼の運動を助けている。
【0288】
義眼の鞏膜部分は、正常な鞏膜の外観を模倣するように形成しても良い。鞏膜はさまざまな材料から製造することが可能であり、義眼を必要とする個人の眼窩に義眼が適合するような大きさとしなければならない。鞏膜は、メチルアクリレート、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ブチルアクリレート、ポリスチレンまたはそれらに類似するなどの各種の材料から製作することができる。鞏膜部分はプラスチック産業、アクリル産業などにおいて周知の真空成型または射出成型技術を用いて形成できる。
【0289】
鞏膜は、一般的に楕円または球形に形成されていても良く、また虹彩部分またはデジタル的にコード化された像を受容または受け入れることができる前部に、窪みを有することもできる。窪みは、軟質または可鍛性材料を硬化する前に、鞏膜部分の前部に沿って陥没を作るような各種の技術を用いて形成することができる。代案として、窪みは、窪みを穿孔することにより硬化の後に形成することもできる。窪みは、虹彩部分を補助する一つまたは複数の溝を含んでいても良い。
【0290】
鞏膜部分は、正常な鞏膜の外観を反映する白目の陰影のように着色または彩色することができるものであり、また少なくとも一本の静脈を描いた、その上に印刷された一つまたは複数の画像を含むことができる。一つまたは複数の画像はデジタル的にコード化された像とすることができる。鞏膜部分は、さらに眼の筋肉をそこに付着または縫合するための外側領域に沿って位置づけられた、義眼の運動を可能にする一つまたは複数のタブをさらに含むことが可能である。
【0291】
正常な眼において、虹彩は瞳孔を囲む平坦な有色表面である。正常な目の虹彩には微細な筋肉が埋め込まれており、該筋肉により、瞳孔から全体的に拡散し、膨張収縮することによって、瞳孔が受容する光の量が制御される。メラミンによって発生する虹彩の色は、虹彩の色、肌理と模様は指紋と同じようにほぼ唯一であると信じられている。このように虹彩は高度に精細であり、多様な異なる陰影、色と模様を含んでいる。
【0292】
本発明は少なくとも部分的に、デジタル的にコード化された像を含む虹彩部分を含んでいる。虹彩部分は、鞏膜部分の前部領域に装着または接着できる後部表面を含むこともできる。代案では、虹彩部分は鞏膜の前部表面に沿って印刷されたデジタル的にコード化された像である。
【0293】
虹彩部分は円盤状、平坦、凹状または凸状の形状であってもよく、前側に印刷されたデジタル的にコード化された像を有することができる。後ろ側は接着によって、あるいは鞏膜の前部分との相補的表面を連動させることなどによって、鞏膜部分に装着または密着することができる。虹彩部分はメチルアクリレート、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ブチルアクリレート、ポリスチレンやそれらと類似するものなどの、しかしこれらに限定されない各種の材料から製作することができる。虹彩部分は、アクリルまたはプラスチック産業において周知の真空成型または射出成型技術によって、少なくとも部分的に形成することが可能であり、平滑な、粗い、高いまたは凹んだ、それらと類似する領域の各種の表面の特徴を含むことができる。
【0294】
その他の実施態様において、虹彩部分は鞏膜部分の前表面にそってデジタル的にコード化された像を印刷することによって形成される。鞏膜の前部分は平坦にするか変更することが可能で、その上に印刷が可能な表面を形成する。
【0295】
その他の実施態様において、虹彩部分はレンズ、フィルムまたはポリマー上またはその中に印刷されたデジタル的にコード化された像である。レンズ、フィルムまたはポリマーは鞏膜、人工角膜または両方に接着することができる。レンズ、フィルムまたはポリマーはポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリグリセロールメタクリレート、ポリヒドロキシプロピルメタクリレートなどの、しかしこれらに限定されない各種の材料から製作できる。
【0296】
デジタル的にコード化された像は高品質画像を提供することができ、またさまざまな色彩、色合い、画像と肌理を含むことができる。デジタル的にコード化された像はデジタル写真によって、あるいは患者の残りの虹彩または眼の映像を撮影またはデジタル処理することによって、得ても良い。代案として、デジタル的にコード化された像はスキャナーを用いてスキャニングしたり、画像ライブラリから得ても、あるいはAdobe Photoshop(登録商標)シリーズにあるもののような各種のドローイングプログラムを用いて作成しても良い。デジタル的にコード化された像は、印刷に先立ってAdobe Photoshop(登録商標)シリーズにあるもののようなデジタル画像を修飾、着色、彩色または改変することができるプログラムを用いて、さらに修飾、着色、彩色または改変することができる。このように、さまざまなデジタル的にコード化された像を虹彩部分にまたはその上に使用することが可能であり、それは正常な虹彩のように見えることも、見えないこともある。
【0297】
デジタル的にコード化された像はインクジェット印刷、ピエゾ印刷、熱印刷、パッドトランスファー印刷、含浸、写真平板術、レーザー印刷などによって少なくとも部分的に印刷することができる。デジタル的にコード化された像は、一つまたは複数の層に塗布することができる、またそれぞれの層は一つまたは複数の色、色合い、陰影または肌理を含むことがある。デジタル的にコード化された像はインクジェット印刷、ピエゾ印刷、熱印刷、パッドトランスファー印刷、含浸、写真平板術、レーザー印刷やそれらに類似するものに用いられるもののような各種のインクを用いて印刷することができる。インクは水性インク、溶剤系インク、UV硬化性インクなどとすることができる。インクは反応染料を含むことができる、あるいは一つまたは複数の顔料、モノマー、UV開始剤、架橋剤、結合ポリマー、非モノマー性希釈剤、熱開始剤、滅菌剤、アンチコゲーティング剤、ポリエチレングリコールジアクリレートまたはその他の開示されたインク成分を含むことができる。
【0298】
瞳孔は眼の中心にある開口であり、そこを通って光が侵入する。義眼に視力はないので、瞳孔部分は典型的には黒く着色される。これは虹彩部分の中心に黒または濃い画像を印刷することによって遂行される。瞳孔部分は虹彩部分と同一表面に印刷しても良い、あるいは虹彩部分の中に、あるいは下方に後退しても良い。
【0299】
角膜は眼の正面または前部部分を覆う透明ドーム形状である。角膜は強力な屈折表面であり、眼の焦点を合わせる能力の2/3を提供する。義眼において、角膜部分はガラス、透明アクリルおよび透明アクリレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリグリセロールメタクリレート、ポリヒドロキシプロピルメタクリレートなどの各種の透明材料から作製することができる。角膜部分は虹彩部分、鞏膜部分に直接融着または接着することができる、あるいは鞏膜または虹彩部分に取り付けた外側突出表面に接着しても良い。外側突出表面は、虹彩部分の輪郭近傍に一般的に位置づけられる。
【0300】
本発明は鞏膜部分を形成することと、虹彩部分を形成することと、虹彩部分にデジタル的にコード化された像を印刷することと、人工角膜を形成することから成る義眼の製造方法も含んでいる。鞏膜部分、虹彩部分と人工角膜はそれぞれ真空成型または射出成型技術などのアクリルおよびプラスチック産業で周知の各種の技術を用いて部分的に製造することができる。
【0301】
本発明は、鞏膜部分を形成することと、鞏膜部分にデジタル的にコード化された像を印刷することによって虹彩部分を形成することと、人工角膜を形成することから成る義眼の製造方法も含んでいる。デジタル的にコード化された像は患者の残っている目の虹彩の全体的外観に対応するか模倣しても良い、またインクジェット印刷、ピエゾ印刷、熱印刷、パッドトランスファー印刷、含浸、写真平板術、レーザー印刷やそれらに類似する各種の印刷技術によって印刷することができるが、これらに限定されるものではない。
【実施例】
【0302】
実施例1:インクの調製
【0303】
この例は、デジタル的にコード化された像を含むレンズを作るために用いられるインク組成物を提供する。四つのインク製剤が、印刷装置において好ましく用いられるが、それより多い、または少ない製剤を用いることができる。
【0304】
インク製剤は、以下のものを含む塩基インク組成物を含む:モノマー(HEMA)、開始剤(BME)、架橋剤(EGDMA)、顔料#1、希釈剤(グリセリン)、溶媒(イソプロパノール)、任意顔料#2(二酸化チタン)、分散剤(ポリビニルアルコール)、湿潤剤(エチレングリコール)、コモノマー(メタクリル酸)、阻害剤(MEHQ)、抗コゲート剤(メチルプロパンジオール)および酸化防止剤(アルキル化ヒドロキノン)。これらの構成成分の濃度は、所望の特性および物理的特性を有するレンズを作るのに適している。顔料#1は、所望の色を提供するためのいかなるインクまたはインクの組み合わせでもあり得る。四インク製剤用の好ましい色は、A1:ブラック;A2:マゼンタ;A3:イエローおよびA4:シアンである。A1、A2、A3およびA4用の適当なインクが、米国特許第5,176,745号明細書、米国特許第4,889,520号明細書、米国特許第5,658,376号明細書、米国特許第4,793,264号明細書、米国特許第5,389,132号明細書、米国特許第5,271,765号明細書、米国特許第5,062,892号明細書および米国特許第5,372,852号明細書に記載されている。
【0305】
透明レンズを作るために好ましいモノマー混合物は、A5と表され、以下の組成を有する:モノマー(HEMA)、モノマー(EOEMA)、モノマー(MAA)、架橋剤(EGDMA)、開始剤(Vazo−64)、阻害剤(MEHQ)および希釈剤(グリセリン)。これらの構成成分の濃度は、所望の特性および物理的特性を有するレンズを作るのに適している。
【0306】
インクをジェット印刷装置で用いる場合、インクは、好ましくは、水系またはモノマー系である(米国特許第5,658,376号明細書)。インクは、好ましくは、水および有機溶媒中に可溶性であり、好ましくは分散染料または顔料を含む。ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマーおよびポリビニルピロリドンのような分散剤が好ましい。アミノ酸基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのような界面活性剤が好ましく提供される。インクは、好ましくは、例えば約0.3重量%〜約1重量%の界面活性剤を含む。インクは、好ましくは、Proxel(英国Zeneca製)のような防腐剤を含む。インクは、好ましくは、pHが約7〜約10であり、約25℃での粘度が約2mPas〜約6mPasである。アルキル化ヒドロキノンのような低腐食剤または酸化防止剤のような酸化防止剤も、好ましくは約0.1重量%〜約0.5重量%含まれ得る(米国特許第5,389,132号明細書)。インクは、1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、エチレングリコールまたはジエチレングリコールのような湿潤剤も含み得る。印刷で用いられる場合、駆動頻度は好ましくは約3kHz〜約8kHzである(通常、米国特許第5,658,376号明細書を参照)。好ましいインク特性は、約20ダイン/cm〜約70ダイン/cmの表面張力と、約1.0cp〜約2.0cpの粘度を含む(米国特許第5,271,765号明細書)。
【0307】
実施例2:印刷方法−表面および積層体
【0308】
図1および図11に示すこの例は、デジタル的にコード化された像を印刷するための方法を提供する。虹彩の像のような像が、適当なハードウエアおよびソフトウエアを用いてデジタルフォームにスキャンされて、デジタル的にコード化された像を提供する。デジタル的にコード化された像は、データベース中のような、電子媒体のような適当な記憶媒体中に記憶される。選択された像は、電子信号を介して、インクジェット印刷装置、バブルジェット(登録商標)印刷装置またはレーザー印刷装置のような印刷装置に、処理装置を通して、送られる。印刷装置は、好ましくは、印刷カセット(組成A6)におけるように、別々のコンパートメント内にインク組成A1、A2、A3およびA4を含み、任意に組成A5を別々のコンパートメントまたは別々のカセットに含む。印刷装置は、処理装置の指示下で、重合されたポリマー、部分的に重合されたポリマーまたは非重合ポリマーのような表面上に組成A6のインクを混合および分配、または個々に分配することにより、デジタル的にコード化された像を印刷する。印刷過程または製造工程中の他の時間の後に、構造を、印刷されたデジタルイメージを特に非重合または部分的重合状態において塗布することができる振動エネルギーのようなエネルギーに付することができ、それによって、得られる印刷されたデジタルイメージが自然な外観を有するようにする。この工程を、同じまたは異なるデジタル的にコード化された像を用いて複数回繰り返すことができる。表面を、印刷過程の間に、同じ方向に維持するか、または回転することができる。印刷されたデジタル的にコード化された像を、各印刷過程の後、または全ての印刷過程が完了した後で、重合または部分的重合することができる。
【0309】
あるいは、図12に示すように、デジタル的にコード化された像を、印刷されたデジタル的にコード化された像を表面に転写するように設計された構造の上に印刷することができる。当該分野で知られているそのような構造はパッドトランスファー装置を含む。デジタル的にコード化された像を、構造上に印刷し、重合または部分的に重合してから、印刷されたデジタル的にコード化された像を表面に転写することができる。
【0310】
デジタル的にコード化された像がその上に印刷されるまたは移動される表面を部分的に重合または充分に重合することができ、粗面または滑面にすることができる。エッチング、レーザー切削または焼成、研削または切削のような当該分野で知られている方法により粗面化表面が得られる。表面を、鋳造成形、スピン鋳造旋盤製作またはレーザー製作のような適当な方法により得ることができる。
【0311】
印刷されたデジタル的にコード化された像を含む積層構造を、印刷されたデジタル的にコード化された像をその上に有する表面を形成することにより作ることができる。組成A5のようなさらなるモノマーを、印刷されたデジタル的にコード化された像の上に配し、重合させて、第一のポリマー層(好ましくは透明)、印刷されたデジタル的にコード化された像、および第二のポリマー層(好ましくは透明)を含む積層構造を形成することができる。これらの積層構造の製造において、第一のポリマー層を部分的または充分に重合してから、デジタル的にコード化された像を印刷することができる。この構造を、次に、部分的または充分に重合することができる。第二のポリマー層用のモノマーを、次に、分配し、この構造を、次に、部分的または充分に重合する(例えば、図2および図13を参照)。
【0312】
実施例3:印刷法−表面上のウエルまたは圧痕内
【0313】
この例は、図14に示すように、デジタル的にコード化された像を含むレンズを作る方法を提供し、デジタル的にコード化された像は、ウエル構造または圧痕中に提供される。本発明のこの点において、充分に重合または部分的に重合されたポリマーの表面を含む構造が提供される。印刷すべきデジタル的にコード化された像の寸法および形状に少なくとも部分的に相当する構造の上にウエルまたは圧痕を作り出す。このウエルは、印刷すべきデジタル的にコード化された像より寸法が大きいか、または形状が異なることができる。実施例2に記載の方法を用いて、ウエルの表面上にデジタル的にコード化された像を印刷する。ウエル内の積層構造は、実施例2に記載の方法に従って作ることもできる。
【0314】
実施例4:レンズの仕上げ
【0315】
これらの方法のために得られる構造は、例えば、切削、研削、エッジング、研磨等のような当該分野で必要なものとして知られている二次操作を用いて仕上げられ、所望の光学的、化粧的または機能的な品質または特性を有するレンズを形成することができる。ソフトコンタクトレンズのためには、従来の方法を用いて乾燥レンズを水和して仕上げ製品を形成することができる。仕上げレンズは、バイアル、管、ブリスターまたは他の構造のような、当該分野で知られている任意の適当な容器内に収めることができる。この容器は、適当な溶液および、使用指導または製品説明およびその注意事項を含む。
【0316】
実施例5:架橋剤としての多官能アジリジン
【0317】
本発明は、レンズのようなポリマーへの、顔料のようなインクの接着を向上させるための、さらなる結合剤を提供する。この例は、架橋網を形成すると考えられる結合剤を用いることにより、ポリマーレンズへの、顔料の改良された接着を提供する。架橋網は、カルボキシル基を有するポリマーを、約一パーセント〜約五パーセント、好ましくは二パーセントのプロトン化アジリジン基含有化合物、例えば、Sybron Chemicals(ニュージャージー州バーミンガム在)製の多官能アジリジン架橋剤IONAC(登録商標)PFAZ(登録商標)−322に曝すことにより形成されると考えられる(例えば、ここで参考として取り込まれるIONAC→PFAZ→−322多官能アジリジン用のSybron Chemicals Inc.製品シートを参照;IONAC(登録商標)PFAZ(登録商標)−322は、現在、ペンシルバニア州ピッツバーグ在Bayer Corporationにより提供されている)。アジリジン環をプロトン化する反応は、プロトン化アジリジン基と、カルボキシル基内の酸素との間を結合させ、それにより、ポリマーを架橋し、顔料混入染料のような染料の局在化を安定化させ得ると考えられる。典型的には、アジリジンとの架橋に関与するのが望ましい活性水素は、カルボキシル、ヒドロキシル、一次または二次アミン、一次または二次アミドおよび、チオールまたはメルカプタンを含む。作用方式を限定することなく、得られる架橋網は、顔料混入染料のような染料を取り込むことができる。
【0318】
この例の目的は、ポリマーへのインクの機械的結合を評価し、ポリマー中での顔料混入染料の局在の安定化を達成することである。これらの例で用いられる種々の組成を以下に提供する:
【0319】
試薬
【0320】
【表4】

【0321】
【表5】

【0322】
・DAA:ジアセトンアルコール溶媒
・DM55:Rhom&Hass製のアクリル樹脂。樹脂を分散液中に用いて、顔料および分散剤粒子が固定される表面を提供する。樹脂は、また、粉砕工程で必要な粘度を上昇させ、顔料を湿潤させる。
・Efka47:Lubrizol製の、顔料親和性基を有するポリマー分散剤。分散剤の主目的は、顔料を分散させ、それらを分離して、一緒に凝集しないようにすることである。もう一つの目的は、顔料を湿潤させることである。
・Solsperse5000:Avecia(元Zeneca)製の相乗剤。相乗剤を顔料分散液中に用いて顔料の安定化を助ける。これは、顔料粒子と、主ポリマー分散剤、この場合はEfka47との間を結合する橋として役立つ。
・Irgalite Blue LGE:Ciba Geigy,Inc.製のフタロシアニンブルー15:3顔料。この製品は、もはや、市販されていない。代替顔料はIrgalite Blue NGAであり、これもフタロシアニン15:3顔料である。
・BYK UV 3500:BYK Chemie製の表面添加剤。この添加剤は、インクが、ガラス、ビニール、金属、プラスチック、PVC等のような非多孔質基材を湿らせるのを助けるためのものであり、インクが、印刷ヘッド内のウエルを流れるのを助ける。
【0323】
【表6】

【0324】
・Disperbyk 110:BYK Chemie製の分散剤コポリマー
・Tioxide Comet 300:TIOXIDE社製の白色顔料、ケミカルインデックスWhite6
【0325】
【表7】

【0326】
・Elvacite2008:Ineo Acrylic(テネシー州コルドバ在)製のアクリル樹脂
【0327】
【表8】

【0328】
・Epon2004樹脂:Shell Chemical製のエポキシ樹脂
【0329】
他の試薬
【0330】
・BX−HEMA LLT:約97.8%のHEMA、約0.7%のEGDMAおよび約1.5%のMAAの混合物
・Ionac PFAZ−322:以前はバーミンガム在Sybronから供給され、最近ではペンシルバニア州ピッツバーグ在BayerからPFAZ−322として供給されている、アジリジン型の結合剤
【0331】
実験
【0332】
対照組成A:
1.TD−70Aシアンインク
【0333】
実験組成B:
1.TD−70Aシアンインク
2.Ionic(登録商標)PFAZ(登録商標)−322(ニュージャージー州バーミンガム在Sybron Chemicals,Inc.製) 2%
【0334】
実験組成C:
1.TD−70Aシアンインク
2.Ionac(登録商標)PFAZ(登録商標)−322(ニュージャージー州バーミンガム在Sybron Chemicals,Inc.製) 2%
3.BX−HEMA LLT 40%
【0335】
各組成を混合し、Budjet IVプリンタ(アリゾナ州チャンドラー在Fas−co Encoder製)を用いて、HEMAレンズ上にインクジェット印刷した。さらに、重合の熱開始剤および/またはUV開始剤は、これらの組成の、接着力および/または重合時間を向上させると考えられる。文字のデジタル的にコード化された像を、HEMAレンズ上にインクジェット印刷した。レンズを、70℃で16時間硬化させた。レンズを、次に、水和し、蒸留水中で80〜90℃で12時間抽出した。レンズを、バイアルに入れ、一、三および五のオートクレーブサイクルを利用して蒸気滅菌した。サンプルを、一、三および五のオートクレーブサイクル後に、指での摩擦により、結合およびインク接着について評価した。
【0336】
結果の要約:
1.対照組成との結合は非常に劣っていた。これは、指摩擦テストを用いて擦り落とされた。
2.実験組成BおよびCとの結合は、指摩擦テストにおいて優れていた。
3.高水準のHEMAを用いてインクで作ったデジタル的にコード化された像の亀裂は、極めて低かった。
【0337】
Ionac(登録商標)PFAZ(登録商標)−322(ニュージャージー州バーミンガム在Sybron Chemicals,Inc.製)のような多官能アリジリン架橋剤を有し、BX−HEMA LLTが40%である組成は、インクを用いて作ったデジタル的にコード化された像の亀裂を低下させ、TD−70Aインク単独と比べて、HEMAレンズへのインク接着を改良した。多官能アジリジン架橋剤を用いて、効果的な機械的結合が達成可能である。
【0338】
実施例6:架橋剤としての多官能カルボジイミド
【0339】
この実施例は、結合剤として多官能カルボジイミドを用いることにより、ポリマーレンズへの顔料混入染料の改良された接着を提供する。架橋網が、そのような多官能カルボジイミドにより形成されると考えられる(例えば、UCARLNK(登録商標)XL−29SE Crosslinker用のUCARLNK(登録商標)CROSSLINKERSのDow Chemical Companyの製品説明が参照され、ここで参考のために取り込まれる)。カルボジイミドは、レンズポリマー中に含まれるカルボン酸基と、染料製剤中のヒドロキシル末端基またはアミン末端基との間に反応を引き起こすと考えられる(例えば、March,Advanced Organic Chemistry,第2版,McGraw−Hill Book Company,ニューヨーク,特に、363〜365頁)。そのような架橋網は、顔料混入染料のような染料の取り込みを可能にすると考えられる。
【0340】
本発明で用いることができる多官能カルボジイミドの例に、UCARLNK(登録商標)XL−29SE(ミシガン州ミッドランド在Dow Chemical Co.製)がある。さらに、UCARLNK(登録商標)XL−29SEの低粘度は、インクジェットプリンタでインクを使用する場合、さらなる利益を提供することができる。約1〜10重量%のUCARLNK(登録商標)XL−29SEを、カルボキシル化ヒドロキシエチルメチルアクリレートポリマーと反応させることができる。この反応は、室温より低温、室温またはそれより高温で起こるが、高い温度は反応時間を短くする。温度範囲は、室温から90℃であり得る。
【0341】
この実施例の目的は、架橋剤としてUCARLNK(登録商標)XL−29SEを用いて、インクのポリマーへの結合を評価することであり、ポリマー中における顔料混入染料の局在化の安定化を達成する。
【0342】
試薬
【0343】
これらの実施例で用いられる種々の組成をここに記載する。
【0344】
実験
【0345】
対照組成A:
1.TD−70Aシアンインク
【0346】
実験組成B:
1.TD−70Aシアンインク
2.UCARLNK(登録商標)XL−29SE(ミシガン州ミッドランド在Dow Chemicals製) 2%
【0347】
実験組成C
1.TD−70Aシアンインク
2.UCARLNK(登録商標)XL−29SE(ミシガン州ミッドランド在Dow Chemicals製) 2%
3.HEMA組成BX−HEMA LLT 40%
【0348】
各組成を混合し、Budjet IVプリンタ(アリゾナ州チャンドラー在Fas−co Encoder製)を用いて、HEMAレンズ上にインクジェット印刷した。さらに、重合の熱開始剤および/またはUV開始剤は、これらの組成の、接着力および/または重合時間を向上させると考えられる。文字のデジタル的にコード化された像を、HEMAレンズ上にインクジェット印刷した。レンズを、70℃で16時間硬化させた。レンズを、次に、水和し、蒸留水中で80〜90℃で12時間抽出した。レンズを、バイアルに入れ、一、三および五のオートクレーブサイクルを利用して蒸気滅菌した。サンプルを、一、三および五のオートクレーブサイクル後に、指での摩擦により、結合およびインク接着について評価した。
【0349】
結果の要約:
1.対照組成Aとの結合は非常に劣っていた。これは、指摩擦テストを用いて擦り落とされた。
2.実験組成BおよびCとの結合は、指摩擦テストにおいて優れていた。
3.高水準のHEMAを用いてインクで作ったデジタル的にコード化された像の亀裂は、極めて低かった。
【0350】
これらの結果は、UCARLNK(登録商標)XL−29SE(ミシガン州ミッドランド在Dow Chemicals製)のような多官能カルボジイミド架橋剤を有し、BX−HEMA LLTが40%である組成が、亀裂を低下させ、TD−70インク単独と比べて、HEMAレンズへのインク接着を改良することを示した。UCARLNK(登録商標)XL−29SEのような多官能カルボジイミド架橋剤を用いて、効果的な機械的結合を達成することができる。
【0351】
実施例7:架橋剤としてのチタン酸塩およびジルコン酸塩
【0352】
先の実施例で説明した多官能アジリジンおよび多官能カルボジイミドに加えて、本発明において種々の他の結合剤も用いることができる。別の結合剤は、SynetixおよびDuPontから販売されているような有機チタン酸塩およびジルコン酸塩を含む。これらの有機チタン酸塩およびジルコン酸塩は、デジタル化像のインクのポリマー表面への接着を促進することができる。好ましい例は、TYZOR→DuPont Chemicalsのシリーズ(例えば、DuPont Tyzor→Organic Titanates publications(General Brochure(2001)を参照)、(Product Selection Guide−USA(2001))、(Product List−USA(2001))、(Technical Note−Grade Chart(2001))、(Technical Note−Grade Selection Chart(2001))、(Technical Note−Printing Ink Additive(2001))および(Technical Note−FDA−Food Contact(2001))およびSyntetix and ICI ChemicalのVERTEC(登録商標)シリーズ(例えば、VERTEC(登録商標)IA10)(例えば、www.synetix.comおよびこれらの製品のMaterial Safety Data Sheetsを参照)である。
【0353】
本発明に適用するために、これらの化合物を、単独でまたは、多官能アジリジンおよび多官能カルボジイミドのような架橋剤を含む他の結合剤と組み合わせて用いて、接着力を向上させることができる。有機チタン酸塩は、インク樹脂を有するレンズポリマー中のヒドロキシルまたはカルボキシル基の活性水素との反応によりインク樹脂とポリマーを架橋させると考えられている。そのような架橋の結果として、ポリマーへのインクの接着が向上し、熱安定性および耐水性または耐溶媒性も向上する。多くの好ましい有機チタン酸塩、例えば、VERTEC(登録商標)IA10、VERTEC(登録商標)PA12、TYZOR→AA−75、TYZOR→TBT、TYZOR→TPTおよびTYZOR→BPTが市販されている。
【0354】
通常、有機チタン酸塩およびジルコン酸塩を、仕上げられたインク中に、仕上げられたインクの重量の約1%〜約20%、好ましくは約3%〜約10%の濃度で、用いることができる。反応速度は、温度と共に増加する。
【0355】
試薬
【0356】
架橋剤として有機チタン酸塩を含むことができる典型的インクは、以下のものを含む:
【0357】
【表9】

【0358】
・A:TD−70Aはここに説明されている。この試薬は、有機チタン酸塩が加水分解してインクをゲルにするので、無水であるべきである。
・B:BX−HEMA LLT
・C:イリノイ州オークブルック・テラス在Syntix製のVERTEC IA10
・D:過酸化ベンゾイル(ミズーリ州セント・ルイス在Sigma、またはウィスコンシン州ミルウォーキー在Aldrich製)のような熱開始剤または、スイス国バーゼル在Ciba Geigy製のIrgacure184のようなUV開始剤
【0359】
実験
【0360】
有機チタン酸塩、ジルコン酸塩または両方を含むインクを混合し、Budjet IVプリンタ(アリゾナ州チャンドラー在Fas−co Encoder製)のような適当なプリンタを用いて、Hemaレンズ上にインクジェット印刷する。レンズを、適当な時間硬化する。レンズを、次に、水和し、適当な温度で適当な時間、蒸留水中に抽出する。レンズを、バイアルに入れ、一、三および五のオートクレーブサイクルを利用して蒸気滅菌する。サンプルを、一、三および五のオートクレーブサイクル後に、指での摩擦により、結合およびインク接着について評価する。
【0361】
実施例8:反応性染料を用いる、レンズ上へのデジタル的にコード化された像のインクジェット印刷
【0362】
試薬
【0363】
これらの実施例で用いられる種々の組成をここに記載する。
【0364】
【表10】

【0365】
【表11】

【0366】
【表12】

【0367】
【表13】

【0368】
【表14】

【0369】
【表15】

【0370】
・Versene100XLは、カリフォルニア州サン・カルロス在DOW chemical製のキレート剤
・Giv Gard DXNは、イリノイ州バッファロー・グルーブ在ANGUS CHEMICAL COMPANY製の殺生物剤
・NMMNOは、ウィスコンシン州ALDRICH CHEMICAL製の4−メチルモルホリンN−オキシド97%
・PEG200、PEG400、PEG600は、カリフォルニア州サン・カルロス在DOW chemical製のポリエチレングリコールである
・Surfynol504、Surfynol465は、ペンシルバニア州アレンタウン在のAir Product製の界面活性剤
・韓国Eastwell Company製のPapicel Blue IJ−PG染料溶液
【0371】
実験
【0372】
ヒトの目の虹彩の寸法に近い環状リングのデジタルイメージを、Photoshop(登録商標)6.0プログラムで作り、ピエゾ(Ultramark)2000インクジェットプリンタ(アリゾナ州チャンドラー在Fas−Co Coders製)のコンピューターに記憶した。TD103二酸化チタン系溶媒系インクを、組成TD103Aについて、モノマー混合物BX−HEMA LLT、架橋剤アジリジンおよび熱開始剤過酸化ベンゾイルと混合した。環状輪のデジタルイメージを、次に、レンズ上にインクジェット印刷し、像を有するレンズを70℃で16時間硬化した。
【0373】
ヒトの目の虹彩の寸法に近い環状輪のデジタルイメージを、Photoshop(登録商標)6.0で、四つの着色四分円に分割し、シアン、イエロー、マゼンタおよびブラックを作った。TD46、TD47、TD92およびTD106反応性染料系インクを、改良HP550C熱インクジェットプリンタのインクカートリッジ中に入れた。印刷品質を維持しつつも、コンタクトレンズの曲面がプリントヘッドと直接接触しないのに充分な距離だけプリントヘッドを持ち上げることにより、コンタクトレンズがプリントヘッドの下を通過するように、プリンタを改良した。デジタルイメージを、改良HP550Cプリンタ上の印刷された二酸化チタンと透明非印刷レンズとの両方に印刷した。レンズを、オートクレーブ内で、熱い蒸気雰囲気に110℃で30分間曝した。蒸気処理後、レンズを水和し、pH11.1の0.3%炭酸ナトリウム塩水中に50〜60℃で抽出し、色輝度について評価した。レンズを次にバイアルに入れ、塩水溶液中に漬け、オートクレーブに入れた。レンズを、一および三の滅菌サイクル後に指で擦ることにより機械的結合について評価した。
【0374】
結果:
1.全てのサンプルは、水和前に充分に確定した深い色を有していた。
2.水和後、指摩擦テストにより決められるように、
全てのレンズが不透明のままであり、
マゼンタおよびシアン色が少し淡く、これはレンズポリマーの膨張/膨潤が原因である可能性があり、
イエローおよびブラック色が薄くなった。
3.滅菌後、一部のサンプルは、指摩擦テストで決められるように、不透明材料および色のレンズへの結合の低下を示した。
【0375】
実施例9:コンタクトレンズ上の画像受容層の使用
【0376】
下記の例は、ポリマー基体に印刷された画像の解像度と鮮明度を向上させるために、コンタクトレンズのようなポリマー基体に塗布した画像受容層の使用を説明するものである。
【0377】
ViviPrint(登録商標)121
【0378】
コンタクトレンズは、重合可能な親水性モノマー(2−ヒドロキシエチルメタクリレートとメタクリル酸)、架橋剤と開始剤とから鋳造成形した(ドライ)ヒドロゲルコンタクトレンズである。画像受容層の塗布、画像の印刷および固定の工程の間、ドライヒドロゲルコンタクトレンズはそれを成形した型にとどめられた。
【0379】
画像受容層は、ViviPrint(登録商標)121の工業変性アルコール(IMS)または3Aアルコール10%溶液で構成され、約25℃で約7から約23センチポイズの間の粘度、約1.05×106グラム/モルの基準分子量、および約184℃のガラス遷移温度(Tg)を示す10%水組成物として供給される、10% ViviPrint(登録商標)121(中和ポリ(ビニルピロリドン/ジメチルアミノープロピルメタクリルアミド)コポリマー、CAS番号175893−71−1(ロット番号0M00054427、製品ID 72417D、International Specialty Products、1361 Alps Road、Wayne,NJ 07470)で中和される。IMSの10%のViviPrint(登録商標)121溶液の粘性は、約5.18センチポイズ、表面張力は約25.5ダイン/cmである。あらかじめ塩基で処理し、空気乾燥させたドライヒドロゲル(ヒドロキシエチルメタクリレート)レンズにピペットでこの溶液を三滴付けた。印刷されるデジタル画像ファイルをパソコン上で適切なグラフィックパッケージ(Paintshop ProまたはAdobe Photoshop(登録商標)など)で開き、レンズ印刷用に改造したLexmark 45SEインクジェットプリンタなどのデスクトップインクジェットプリンタによって、画像受容層被覆レンズ上に、反応染料を含むインクを用いて、デジタル画像を印刷した。レンズに印刷できるように改造すれば任意のデスクトップインクジェットプリンタ(例えば、Hewlett Packard、Lexmark、およびCanon製のもの)を使用できる。デスクトップインクジェットプリンタはプリントヘッドを含むキャリッジと、その上にキャリッジを載せるレールと、ある仕方でレンズを輸送する、別個の独立した線形スライドシステムを用いてレンズ印刷用に改造できる。キャリッジと輸送システムは独立している。プリントヘッドからレンズまでの動作距離は輸送上にキャリッジを取り付ける高さによって設定され、所望の距離に調節できる。動作距離の範囲は約0.1mmから約3.0mm、または約0.25から約2.0mmとすることができる。好ましくは動作距離は約0.5mmから約1.5mmの間である。
【0380】
画像をレンズに印刷した後、レンズを固定過程にかけるためにレンズはガラスジャー内部の三脚の上に置かれ、ガラスジャーは約100から約110℃に予熱された実験室用オーブンに置かれた。ジャーが密封されたときに60分の固定時間の間、熱と蒸気が存在するようにジャーの中に十分な量の水も入れた。固定過程の後、レンズは水和し、次のように滅菌した:レンズをその型から取り出し、0.5%重炭酸ナトリウム溶液内で約60℃、約30から約40分間水和した;つぎにレンズを水和溶液から取り出し、0.9%塩酸ナトリウム溶液内に置き、圧力釜またはオートクレーブ内で約25分間、約127から約132℃で滅菌した。
【0381】
印刷、固定、水和および滅菌に続いて、色間滲み(互いに隣り合って印刷された二つの色の間の混合度)、ドットの粗さと拡散、および印刷した画像の全体的美観を観察して画質を視覚的に評価した。この方法ではPVP K30処理で得られるものより高い質が得られたが、二段階の工程(塩基処理と画像受容層の別個の塗布)が必要であった。
【0382】
PVP K30
【0383】
コンタクトレンズは重合可能な親水性モノマー(2−ヒドロキシエチルメタクリレートとメタクリル酸)、架橋剤と開始剤とから鋳造成形した(ドライ)ヒドロゲルコンタクトレンズであった。画像受容層の塗布、画像の印刷および固定の工程の間、ドライヒドロゲルコンタクトレンズはそれを成形した型にとどめられた。
【0384】
画像受容層は、25℃で約3センチポイズの粘度(5%溶液について)、60×103グラム/モルの基準分子量、約163℃のガラス転移温度(Tg)を示す吸湿性の非晶質白色粉末として供給されるポリビニルピロリドンである、PVP K30(ロット番号G80920A、カタログ番号23、425−7、Sigma−Aldrich,Milwaukee,WI)5%のリン酸ナトリウムの、5%の水溶液から成る。この組成物は、単一溶液として画像受容層と塩基処理の同時付着を可能にする。ドライヒドロゲル(ヒドロキシエチルメタクリレート)レンズは30分までこの溶液内に浸漬され、取り出され、余分な溶液はレンズの縁と接触する吸収材で除かれ、空気乾燥させた。印刷されるデジタル画像ファイルをパソコン上で適切なグラフィックパッケージ(Paintshop Pro(登録商標)またはAdobe Photoshop(登録商標)など)で開き、レンズ印刷用に改造したLexmark 45SEインクジェットプリンタなどのデスクトップインクジェットプリンタによって、画像受容層被覆レンズ上に、反応染料を含むインクを用いて、デジタル画像を印刷した。レンズに印刷できるように改造すれば任意のデスクトップインクジェットプリンタ(例えば、Hewlett Packard、Lexmark、およびCanon製のもの)を使用できる。画像をレンズに印刷した後、レンズを固定過程にかけるためにレンズはガラスジャー内部の三脚の上に置かれ、ガラスジャーは約100から約110℃に予熱された実験室用オーブンに置かれた。ジャーが密封されたときに60分の固定時間の間、熱と蒸気が存在するようにジャーの中に十分な量の水も入れた。固定過程の後、レンズは水和し、次のように滅菌した:レンズをその型から取り出し、0.5%重炭酸ナトリウム溶液内で60℃、30から40分間水和した;つぎにレンズを水和溶液から取り出し、0.9%塩酸ナトリウム溶液内に置き、圧力釜またはオートクレーブ内で25分間、127から132℃で滅菌した。
【0385】
印刷、固定、水和および滅菌に続いて、色間滲み(互いに隣り合って印刷された二つの色の間の混合度)、ドットの粗さと拡散、および印刷した画像の全体的美観を観察して画質を視覚的に評価した。この方法では本実施例の上述のViviPrint(登録商標)121処理で得られたものに比較して画質がわずかに劣るが、塩基処理と画像受容層の両方の付着に一つのステップしか必要としないという長所があった。
【0386】
実施例10:コンタクトレンズの事前層における画像受容層使用
【0387】
以下の例は、事前ポリマー層に印刷された画像の解像度と鮮明度を向上させるためにコンタクトレンズなどのポリマー基体の事前ポリマー層に付けた画像受容層の使用を説明するものである。ポリマー基体はHEMAヒドロゲルコンタクトレンズであり、事前ポリマー層は不透明顔料を含んでいる。
【0388】
事前ポリマー層の付着:コンタクトレンズは、重合可能な親水性モノマー(2−ヒドロキシエチルメタクリレートとメタクリル酸)、架橋剤と開始剤とから鋳造成形した(ドライ)ヒドロゲルコンタクトレンズである。事前ポリマー層の付着、塩基処理、画像受容層の塗布、画像の印刷の工程の間、ドライヒドロゲルコンタクトレンズはそれが成形された型にとどめられた。
【0389】
着色剤二酸化チタンを含む第一のポリマー層を、コンタクトレンズに付着させた。これはインクジェット印刷に適した粘度を有し、レンズ材料に適合した物理特性(柔軟性と線形拡張性、など)を有する重合可能な親水性モノマー配合の中に二酸化チタンを含有する白着色インクを用いてインクジェット印刷によって達成した。好適な重合可能な親水性モノマーには、グリセリルメタクリレート、N−N−ジメチルアクリルアミドおよびN−ビニル−2−ピロリジノンが含まれるがこれに限定されるものではない。
【0390】
環状画像、白着色ポリマー層をコンタクトレンズ上に作るためにピエゾインクジェット印刷ヘッド(Xaar XJ128/200dpi)を用いて印刷解像度1085ドット/インチ(ダウンウェブ)×185ドット/インチ(クロスウェブ)でシングルプリントパスを行った。環状画像は濡れ性および不透明性に優れていた。硬化した、全体的に不粘着性のレンズを生産するために、10m/分の速度で500W H−球を備えたFusion紫外線システムを通って10サイクルを用いて印刷した白着色インクを硬化した。結果として得られた硬化した白着色ポリマー層は、事前ポリマー層の役割を果たし、その上に画像受容層およびCYMK(すなわち、シアン、イエロー、マゼンタ、ブラック四色工程)インク画像を後から塗布した。
【0391】
塩基処理:レンズは全水和または歪みをさけながら、60℃の10%リン酸ナトリウム溶液で30分間浸漬した。塩基溶液から取り出した後、布がレンズに直接触れないように注意しながら糸屑のない布でレンズから余分な液体を除去した。レンズは5分間空気乾燥した。
【0392】
画像受容層:ViviPrint(登録商標)121の工業メタノール変性アルコール(IMS)の10%の溶液を2、3滴、ピペットでレンズに付け、レンズ表面を均等に被覆し、余分な溶液はレンズから型に流れ落ちるようにした。エタノールまたは変性エタノール(例えば、3Aアルコール)を代替溶媒に使用しても良い。レンズはアルコールが蒸発するまで空気乾燥させられ、その結果レンズにViviPrint(登録商標)121の薄膜が得られ、マットな外観と乾いた触感が得られた。
【0393】
反応染料印刷:CYMK四色印刷工程に反応染料を含有する水性インクを用いた。反応染料には、FDA承認反応レッド180、反応ブルー21、反応イエロー15および反応ブラック5が含まれている。インクの組成は表1に示した。
【0394】
【表16】

【0395】
取り付けられたコンタクトレンズを担持する型はインクジェットプリンタ(型式Lexmark45se)を通って送給された。印刷されるデジタル画像ファイルをパソコン上で適切なグラフィックパッケージ(Paintshop Pro(登録商標)またはAdobe Photoshop(登録商標)など)で開き、レンズ印刷用に改造したLexmark 45SEインクジェットプリンタなどのデスクトップインクジェットプリンタによって、画像受容層被覆レンズ上に、反応染料を含むインクを用いて、デジタル画像を印刷した。レンズに印刷できるように改造すれば任意のインクジェットプリンタ(例えば、Hewlett Packard、Lexmark、およびCanon製のもの)を使用できる。デスクトップインクジェットプリンタは、プリントヘッドを含むキャリッジと、その上にキャリッジを載せるレールと、ある仕方でレンズを移送する別個の独立した線形スライドシステムを用いて、レンズに印刷できるように改造することができる。キャリッジと移送システムは独立している。プリントヘッドからレンズまでの動作距離はトランスポート上にキャリッジを取り付ける高さでセットされ、所望の距離に調節できる。印刷解像度は600ドット/インチ(通常モード)であった。印刷後、レンズは数分間空気乾燥させられ、後印刷処理(固定、水和、および滅菌)にかけられた。
【0396】
後印刷工程:画像をレンズに印刷した後、レンズを固定過程にかけるためにレンズはガラスジャー内部の三脚の上に置かれ、ガラスジャーは約100から約110℃に予熱された実験室用オーブンに置かれた。ジャーが密封されたときに60分の固定時間の間、熱と蒸気が存在するようにジャーの中に十分な量の水も入れた。固定過程の後、レンズは水和し、次のように滅菌した:レンズをその型から取り出し、0.5%重炭酸ナトリウム溶液内で60℃、30から40分間水和した:つぎにレンズを水和溶液から取り出し、0.9%塩酸ナトリウム溶液内に置き、圧力釜またはオートクレーブ内で25分間、127から132℃で滅菌した。
【0397】
印刷、固定、水和および滅菌に続いて、色間滲み(互いに隣り合って印刷された二つの色の間の混合度)、ドットの粗さと拡散、および印刷した画像の全体的美観を観察して画質を視覚的に評価した。この方法では所望の画質レベル(例えば、従来紙の上に印刷されたインクジェット画像)に比較して優れた画質が得られた。
【0398】
実施例11:インク配合物に使用するための遊離基重合可能なオリゴマーの調製
【0399】
ポリヒドロキシエチルメタクリレートプレポリマーは以下の手順に従って調製した。下記の成分を混合した:
メタクリル酸 0.82%、
メルカプトエタノール 0.70%、
アリルメタクリレート 0.16%、
エチルトリグリコールメタクリレート 3.50%、
N−ビニルピロリジノン 6.07%、
2−ヒドロジエチルメタクリレート 35.42%、
Vazo64 0.33%、
1−エトキシー2−プロパノール 44.80%、
1−メトキシー2−プロピルアセテート 8.21%。
【0400】
熱重合はオーバーヘッド撹拌器を備え、ホットプレート上に取り付けられた鋼鉄缶の中で実行された。混合物は加熱され、必要に応じて缶/攪拌器組立品を冷水浴とホットプレートの間で移動して、約85℃から約90℃に維持した。反応は、当初85℃に達してから缶/撹拌器組立品を冷水浴に入れて重合を急冷するまで約37分間継続させた。低温プレポリマー粘度は検査され、冷蔵庫で保存された。プレポリマーの典型的な粘度は約2000cpから約3000cpである。
【0401】
溶媒1−メトキシ−2−プロパノール内の粘度が2000から3000cpのポリヒドロキシエチルメタクリレートプレポリマー20グラムの溶液に、0.2グラムのトリエチルアミンを添加し、磁力拡散棒で30分間十分に撹拌した。2グラムの塩化メタクリロイル溶液、1−メトキシ−2−プロパノール内で10%を室温で撹拌しながら添加した。反応混合物は一晩撹拌してプレポリマー誘導体、またはαβ不飽和オリゴマーを作り出した。
【0402】
実施例12:遊離基重合可能なオリゴマーを含むインクジェット印刷用インクの調製
【0403】
下表に従って比較のために実施例1で提供された、αβ不飽和オリゴマー、またはプレポリマー誘導体と2−ヒドロキシエチルメタクリレートの量を変えた五つのインク配合物(A−E)を調製した:
【0404】
【表17】

【0405】
インク配合物の粘度と表面張力を測定した結果は、下記の通りであった:
【0406】
【表18】

【0407】
実施例13:インクを親水性基体に印刷したときの形状保持力の実証
【0408】
本発明のインクは塗布されたときに、基体の大きさと形状とを大きく変化させることはない。実証として、TiO2(白)顔料を含有する五種のインクのそれぞれを、XAARピエゾプリンタヘッドXJ126を用いて親水性基体、ポリHEMAコンタクトレンズ上にインクジェット印刷した。基体は、約一分から約二分の間Fusion Lighthammer VI H球紫外線ランプに曝露して重合化された。硬化した印刷画像を有する基体は約50℃から約60℃でpH=8.0の0.5%重炭酸ナトリウム溶液に約三十分間曝露して水和し、滅菌した。滅菌は、約15psiの蒸気圧で約15から約30分間、121℃に曝露することである。大きさまたは輪郭の大きな変化は全く見られなかった。
【0409】
より詳細には、ベースカーブ、直径、パワーなどの固有レンズパラメータで親水性コンタクトレンズにドーナツ型の画像を印刷した。印刷したレンズは、水和と五つの別個の滅菌サイクルにかけられた。インクの拡張親水性コンタクトレンズ材料を用いた拡張を保証するために、レンズパラメータはそれぞれの段階で監視された。それぞれのサンプルは実験的に許容される公差(±0.2mm)で元の寸法パラメータを保持することが出来た。
【0410】
下記の表はベースカーブと直径測定の結果を表示している。それぞれの提供された測定は加工のそれぞれの段階における8つの個別レンズ測定の平均を表している。インク印刷のない対照群も提供された。
【0411】
それぞれのサンプルの平均ベースカーブ(mm)は次の通りであった:
【0412】
【表19】

【0413】
それぞれのサンプル(mm)の平均直径は次の通りであった:
【0414】
【表20】

【0415】
基体の表面への印刷された画像の接着は、二本の指の間で数回それぞれのサンプルをこすることで評価される。印刷した画像は大幅に退色することなく、形状と不透明性を保った。インクの大幅な喪失は見られなかった。
【0416】
実施例14:遊離基重合可能なオリゴマーを含むパッドトランスファー印刷用のインクの使用
【0417】
遊離基重合可能なオリゴマーを含むインクは、パッドトランスファー印刷にも使用することができる。パッドトランスファー印刷技術に使用される本発明のインクは、約5000cpから約50,000cpの粘度で提供されても良い。インクは、実施例11で提供されたような比較的分子量の低いオリゴマーを約20,000cpから約50,000cpのポリマーになるもののような分子量の大きなオリゴマーに置換することによってより高い粘度に調整できる。粘度はポリマーまたはモノマーまたは界面活性剤の添加によってさらに調製することができる。
【0418】
画像のパッドトランスファー印刷は、型またはクラッチ版の上に粘度が約5000から約50,000のインクの分散と、基体またはポリマーのインクへの浸漬と、結果として得られた染色または着色基体またはポリマーの硬化とを含んでいる。硬化、水和および滅菌工程は、インクジェット印刷の実施例と明細書に先に開示したものと同じであっても良い。
【0419】
本出願に引用された特許文書と化学論文を含む全ての刊行物、参考文献と付録はそれぞれの個別刊行物が個別に参照として含められたものと同じ範囲で、全ての目的のためにその全体が参照として含められている。
【0420】
全ての表題は読者の便宜のためのものであり、特記事項なき限り、表題に続く本文の意味を制限するのに用いてはならない。
【符号の説明】
【0421】
A1 ブラックインク
A2 マゼンタインク
A3 イエローインク
A4 シアンインク
【先行技術文献】
【特許文献】
【0422】
【特許文献1】米国特許第5018849号明細書
【特許文献2】米国特許第5034166号明細書
【特許文献3】米国特許第5106182号明細書
【特許文献4】米国特許第5160463号明細書
【特許文献5】米国特許第5414477号明細書

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ポリマー基体と、
b)粘度が1cps〜100cpsで、表面張力が20〜70ダイン/cmであるインクで作製されたデジタル的にコード化された像と
から成るコンタクトレンズである製造品であって、
前記ポリマー基体はコンタクトレンズを形成し、
前記ポリマー基体が、前記ポリマー基体への熱印刷又はピエゾインクジェット印刷による前記デジタル的にコード化された像の塗布に先立って、画像受容層を供給され、
前記画像受容層は、前記デジタル的にコード化された像の画質の向上という結果をもたらすことを特徴とする、製造品。
【請求項2】
前記デジタル的にコード化された像が、少なくとも部分的に前記画像受容層を用いて作成されることを特徴とする、請求項1に記載の製造品。
【請求項3】
前記画像受容層が、前記ポリマー基体の一つまたは複数の化学的修正を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の製造品。
【請求項4】
前記ポリマー基体の前記一つまたは複数の化学的修正が、化学的クリーニング、化学的コーティング、化学的テクスチャー修正、前記ポリマー基体上または内における反応基の化学的または電気化学的活性化または産出、前記ポリマー基体への一つまたは複数の化学物質の塗布、およびそれらの組み合わせから成る群から選択されることを特徴とする、請求項3に記載の製造品。
【請求項5】
前記画像受容層が、前記ポリマー基体の表面に塗布された化学的コーティングを含んでいることを特徴とする、請求項4に記載の製造品。
【請求項6】
前記画像受容層が、約0.1マイクロメートルから約200マイクロメートルの間の厚みを有することを特徴とする、請求項1に記載の製造品。
【請求項7】
前記画像受容層が、約0.1マイクロメートルから約100マイクロメートルの間の厚みを有することを特徴とする、請求項1に記載の製造品。
【請求項8】
前記画像受容層が、約0.1マイクロメートルから約20マイクロメートルの間の厚みを有することを特徴とする、請求項1に記載の製造品。
【請求項9】
前記画像受容層が、前記ポリマー基体全域に塗布されていることを特徴とする、請求項1に記載の製造品。
【請求項10】
前記画像受容層が、前記ポリマー基体の一つまたは複数の部分的領域に塗布されることを特徴とする、請求項1に記載の製造品。
【請求項11】
前記画像受容層が、前記ポリマー基体上または内の事前層に塗布されることを特徴とする、請求項1に記載の製造品。
【請求項12】
前記事前層が、着色剤を含有する事前ポリマー層であることを特徴とする、請求項11に記載の製造品。
【請求項13】
前記画像受容層が、高吸収性ポリマーから成ることを特徴とする、請求項1に記載の製造品。
【請求項14】
前記高吸収性ポリマーが、ポリビニルピロリドンホモポリマー、ポリビニルピロリドンコポリマー、ポリアクリルアミドホモポリマー、ポリアクリルアミドコポリマー、ポリアクリレートホモポリマー、ポリアクリレートコポリマー、タンパク質様材料、炭水化物、またはそれらの組み合わせから成ることを特徴とする、請求項13に記載の製造品。
【請求項15】
前記画像受容層が、前記ポリマー基体内または上に非一時的に組み込まれていることを特徴とする、請求項1に記載の製造品。
【請求項16】
前記画像受容層が、一時的な被覆であることを特徴とする、請求項1に記載の製造品。
【請求項17】
前記画像受容層が、通常の後固定工程の間にほとんど除去可能であることを特徴とする、請求項16に記載の製造品。
【請求項18】
前記画像受容層が、前記ポリマー基体を活性化物質へ曝露する前か、同時に、あるいは後に塗布されることを特徴とする、請求項1に記載の製造品。
【請求項19】
前記画像受容層が、前記ポリマー基体の塩基処理に適合することを特徴とする、請求項1の製造品。
【請求項20】
前記活性化物質が塩基からなることを特徴とする、請求項18に記載の製造品。
【請求項21】
前記画像受容層が、ダイレクトコーティング、液滴または微小液滴の塗布、インクジェット印刷、浸漬、含浸、スピンコーティング、ディップコーティング、カーテンコーティング、またはパッド印刷によって塗布されることを特徴とする、請求項1に記載の製造品。
【請求項22】
ポリマー基体と、粘度が1cps〜100cpsで、表面張力が20〜70ダイン/cmであるインクで作ったデジタル的にコード化された像とから成るコンタクトレンズである製造品の製造方法であって、
a)前記ポリマー基体に画像受容層を供給する過程と、
b)前記デジタル的にコード化された像を、熱印刷又はピエゾインクジェット印刷により、前記ポリマー基体に塗布する過程と
から成る過程により、前記ポリマー基体がコンタクトレンズを形成し、
前記画像受容層が、前記デジタル的にコード化された像の画質の向上という結果をもたらすことを特徴とする製造方法。
【請求項23】
前記画像受容層が前記コンタクトレンズに供給されることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記デジタル的にコード化された像が前記コンタクトレンズに塗布されることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記デジタル的にコード化された像が、全体的あるいは部分的に直接前記コンタクトレンズに塗布されることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記デジタル的にコード化された像が、前記コンタクトレンズの一つまたは複数の部分に塗布されることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記デジタル的にコード化された像が、前記画像受容層を用いて少なくとも部分的に作成されることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記画像受容層が、ポリマー基体の一つまたは複数の部分に供給されることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記画像受容層が、前記ポリマー基体の一つまたは複数の化学的修正から成ることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記ポリマー基体の前記一つまたは複数の化学的修正が、化学的クリーニング、化学的コーティング、化学的テクスチャー修正、前記ポリマー基体上または内の反応基の化学的または電気化学的活性化または産出、前記ポリマー基体への一つまたは複数の化学物質の塗布、およびそれらの組み合わせから成る群から選択されることを特徴とする、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記画像受容層が、前記ポリマー基体の表面へ塗布された化学的コーティングを含んでいることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項32】
前記画像受容層が、約0.1マイクロメートルから約200マイクロメートルの間の厚みを有することを特徴とする、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記画像受容層が、約0.1マイクロメートルから約100マイクロメートルの間の厚みを有することを特徴とする、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記画像受容層が約0.1マイクロメートルから約20マイクロメートルの間の厚みを有することを特徴とする、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記画像受容層が、前記ポリマー基体の全域に塗布されることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項36】
前記画像受容層が、前記ポリマー基体の一つまたは複数の部分的領域に塗布されることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項37】
前記画像受容層が、前記ポリマー基体上または内の事前層に塗布されることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項38】
前記事前層が、着色剤を含有する事前ポリマー層であることを特徴とする、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記画像受容層が、高吸収性ポリマーから成ることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項40】
前記高吸収性ポリマーが、ポリビニルピロリドンホモポリマー、ポリビニルピロリドンコポリマー、ポリアクリルアミドホモポリマー、ポリアクリルアミドコポリマー、ポリアクリレートホモポリマー、ポリアクリレートコポリマー、タンパク質様材料、炭水化物、またはそれらの組み合わせから成ることを特徴とする、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記画像受容層が、前記ポリマー基体内または上に非一時的に組み込まれていることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項42】
前記画像受容層が、一時的な被覆であることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項43】
前記画像受容層が、通常の後固定工程の間にほとんど除去可能であることを特徴とする、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記画像受容層が、前記ポリマー基体を活性化物質へ曝露する前か、同時に、あるいは後に塗布されることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項45】
前記画像受容層が、前記ポリマー基体の塩基処理に適合することを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項46】
前記活性化物質が塩基を含んでいることを特徴とする、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記画像受容層が、ダイレクトコーティング、液滴または微小液滴の塗布、インクジェット印刷、浸漬、含浸、スピンコーティング、ディップコーティング、カーテンコーティング、またはパッド印刷によって塗布されることを特徴とする、請求項22に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−76105(P2011−76105A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−256535(P2010−256535)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【分割の表示】特願2006−534348(P2006−534348)の分割
【原出願日】平成16年10月6日(2004.10.6)
【出願人】(502152746)
【氏名又は名称原語表記】DOSHI,Praful
【出願人】(506115455)
【氏名又は名称原語表記】FOX, James
【出願人】(506115444)
【氏名又は名称原語表記】BENTLEY, Philip
【出願人】(506115466)
【氏名又は名称原語表記】PATEL, Jagvi
【出願人】(506115411)
【氏名又は名称原語表記】KULKARNI, Chidambar
【出願人】(506115422)
【氏名又は名称原語表記】HALBE, Stephen
【出願人】(506115400)
【氏名又は名称原語表記】DALTON, Hananiah
【Fターム(参考)】