説明

着色剤を安定化させるための樹脂の使用

本発明は、場合により有機イオン交換樹脂を前処理する段階と、少なくとも1種の有機着色剤を、場合により前処理した樹脂上に吸収させて、レジネートを形成するステップと、得られたレジネートを場合により粉砕する段階と、レジネートを、化粧料として許容される極性媒体中に混入する段階とを含む化粧料組成物の調製方法に関する。本発明は、得られた組成物と、形成されたレジネートと、少なくとも1種の有機着色剤を化粧料として許容される極性媒体中で安定化させるための少なくとも1種の有機イオン交換樹脂の使用とにも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機着色剤を、場合により予備加熱した有機イオン交換樹脂上に吸収させることでレジネートを形成することを含む化粧料組成物の調製方法に関する。本発明は、前記レジネート、得られた組成物、及び少なくとも1種の有機着色剤を化粧料として許容される極性媒体中で安定化させるための少なくとも1種の有機イオン交換樹脂の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
イオン交換樹脂は、イオン性基を有し、溶液に由来する他のイオンと接触すると、それらのイオンの一部が可逆的に交換される性質を有する不溶性高分子である。これらの樹脂は、ある程度のイオン保持能力(乾燥樹脂1g当たりで表される)を有し、これは単位質量当たりに樹脂が交換可能なイオンのミリモル(mmol)数に対応している。イオン交換樹脂は、それらの粒度によって、且つそれらの官能基のpKによってさらに特徴付けられる。
【0003】
より具体的には、アニオン交換樹脂は、アニオン性樹脂又は塩基性樹脂とも呼ばれ、正に帯電した官能基を有し、他のアニオン、例えばCl、OH、SO2−と接触すると、樹脂のアニオンの一部を可逆的に交換する性質を有する。
【0004】
正に帯電した官能基は、樹脂の基材上に固定され、この基材は、鉱物質(例えばゼオライト型のもの)又は有機(例えばスチレン及びジビニルベンゼンのモノマー単位を含有するコレスチラミン型のもの)のいずれであってもよい。アニオン性樹脂の官能基の中では、強いアニオン性樹脂の特性を有する第4級又は第3級のアミン基と、弱いアニオン性樹脂の特性を有する第2級及び第1級のアミン基との間で区別される。
【0005】
同様に、カチオン交換樹脂は、カチオン性樹脂又は酸性樹脂とも呼ばれ、負に帯電した官能基を有し、他のカチオン、例えばNa、H、Ca2+と接触すると、樹脂のカチオンの一部を可逆的に交換する性質を有する。
【0006】
スチレン及びジビニルベンゼンのモノマー単位又はアクリルモノマー単位を含有するカチオン性樹脂であって、スルホン酸官能基を有し、強いカチオン性樹脂を特徴とし(例えばアンバーライト(Amberlite)(登録商標)IRP88、アンバーライト(登録商標)IRP69、ダウエックス(Dowex)(登録商標)など)、或いはカルボン酸官能基を有し、弱いカチオン性樹脂を特徴とする、カチオン性樹脂(例えばアンバーライト(登録商標)IRP64)が存在する。
【0007】
さらに、イオン交換樹脂は、分子捕捉系として使用することができる。これにより捕捉された分子は、非イオン性媒体中ではこれ以上塩析することができない。
【0008】
本発明は、ここまでに述べたイオン交換樹脂の性質に関する。化粧料中に使用される着色物質の中では、鉱物(又は無機)顔料と、レーキ又は有機顔料との間が区別される場合がある。
【0009】
「レーキ」とは、本発明においては、不活性支持体上に固定された有機着色剤を意味する。
【0010】
有機顔料又はレーキは、不活性鉱物支持体、例えば水酸化アルミニウムの上に吸着させ、ナトリウム塩を、アルミニウム、カルシウム、又はバリウムの塩で置換することによって、且つ着色分子を不溶性にすることによって、水溶性又は脂溶性の着色剤から得られる。
【0011】
有機顔料は一般に高い着色能力を有し、鉱物顔料よりも飽和されていて、従ってより明るくより魅力的な色合いを有する。これらの性質によって、有機顔料に大きな利点が、特にメーキャップにおける用途において得られる。しかし、水溶性着色剤を主成分とするレーキを水性媒体中に入れると、脱レーキ(delaking)現象、すなわち、化粧料中の従来成分を構成する水、グリコール、又は他の極性液体の存在下で着色剤の少なくとも部分的な溶解が起こる。
【0012】
例えば、その取り替えのきかない色相のために、カルミン(有機顔料)は化粧品分野で非常に頻繁に使用されているが、それでも、その水相に対する不安定性のために、メーキャップ製品の製造中に大きな問題が発生する。
【0013】
現在、化粧料中に使用される場合、有機顔料は、良好な品質の発色、及び特にそれらを含有する組成物の製造プロセス中の安定性を有する必要がある。
【0014】
医薬的及び/又は化粧料的な有効成分を体内及び/又は体表に制御放出するために、組成物中にイオン交換樹脂を使用することは既に公知である。これらの組成物はさらに着色剤を含むことができる。
【0015】
例えば、米国特許第4,788,055号において、鎮咳薬のデキストロメトルファンが、カチオン性樹脂中に捕捉された結果制御された方法で放出される。場合により着色剤を賦形剤として医薬組成物中に加えることができる。
【0016】
米国特許出願公開第2005/0255048号には、水溶性有効成分と脂溶性有効成分とを含み、有効成分の少なくとも1種がイオン交換樹脂に結合しているムース又はスプレーの形態の局所製剤が開示されている。樹脂に結合した有効成分は、皮膚上の水分の存在下で塩析する。この製剤中に金属酸化物を含むことができる。
【0017】
米国特許出願公開第2005/00586672号には、化粧料組成物中に含まれる化粧料的及び/又は医薬的な有効成分が、着色剤も含むこの組成物を皮膚上に適用することによって制御放出可能になる、鉱物イオン交換体であるゼオライトが記載されている。
【0018】
米国特許第6,033,655号には、化粧品的及び/又は医薬的な有効成分と、安定化させた磁性粒子が結合したアニオン性又はカチオン性樹脂とを含む、皮膚に水分補給するための配合物が記載されている。これらの配合物は、樹脂とは別に、水溶性着色剤、例えばFD&Cブルー(FD&C Blue)1及び/又は脂溶性着色剤、例えばD&Cグリーン(D&C Green)6を含むことができる。
【0019】
しかし、有機着色剤を安定化させるためにイオン交換樹脂を、レーキ中に従来使用されていた不活性支持体の代わりに使用することは、これらの文献において示唆されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
従って、有機着色剤を捕捉し、極性媒体中での脱レーキを制限又はさらには完全になくす現象を可能にするシステムの提供が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
そこで、本出願人は、化粧料組成物中で少なくとも1種の有機イオン交換樹脂を、少なくとも1種の有機着色剤を極性媒体中で安定化させるために使用できることを発見した。
【0022】
本発明によって、特に、安定で高い着色能力を有する化粧料組成物を得ることが可能となることを理解されたい。
【0023】
従って本発明は:
a)場合により有機イオン交換樹脂を前処理する段階と、
b)少なくとも1種の有機着色剤を、場合により前処理した樹脂上に吸収させて、レジネートを形成する段階と、
c)こうして得られたレジネートを場合により粉砕する段階と、
d)レジネートを、化粧料的に許容される極性媒体中に混入する段階と
を含むことを特徴とする化粧料組成物の調製方法に関する。
【0024】
この方法は、他の準備段階、中間段階、又は引き続く段階を、上記段階以外に含むことができることを理解されたい。
【0025】
本発明の別の主題は、前記方法によって得ることができる化粧料組成物である。
【0026】
本発明の別の主題は、角質物質のケア及び/又はメーキャップのための前記組成物の化粧料としての使用である。
【0027】
本発明の別の主題は、少なくとも1種の有機イオン交換樹脂と少なくとも1種の有機着色剤とを含むレジネートである。
【0028】
好ましくは、樹脂上の有効成分の吸収率は、米国特許出願公開第2002/0146384号に記載されるように前記樹脂の交換能力の1〜100%となる。
【0029】
本発明は、少なくとも1種の有機着色剤を化粧料として許容される極性媒体中で安定化させるための少なくとも1種の有機イオン交換樹脂の使用にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
「着色剤」は、皮膚を着色することができる化合物、特に欧州規制、特にDirective 76/768/EEC、その添付書類、及びその修正案に準拠してそのような使用が認可された化合物を意味する。
【0031】
本発明によるイオン性樹脂中に捕捉することができる化粧料用着色剤は、動物由来の天然着色材料、例えばカルミン酸(カルミン又はナチュラル・レッド(Natural Red)4)、植物由来の着色材料、例えばビキシン又はナチュラル・オレンジ(Natural Orange)4、ノルビキシン、ベタニン;アントシアン類、クロロフィリン類、及びカラメル;合成有機着色材料、例えば、「ニトロソ」基(アシッド・グリーン(Acid Green)1など)、「ニトロ」基(Ext D&Cイエロー(Ext D&C Yellow)7など)、「アゾ」基(ピグメント・レッド(Pigment Red)4、ソルベント・オレンジ(Solvent Orange)1、ソルベント・レッド(Solvent Red)3、ソルベント・レッド23、ピグメント・レッド57:1、フード・レッド(Food Red)1、アシッド・レッド(Acid Red)14、アシッド・オレンジ(Acid Orange)7、FDCイエロー(FDC Yellow)6、FD&Cレッド(FD&C Red)40、DCレッド(DC Red)33、FD&Cイエロー(FD&C Yellow)5など)、「キサンテン」基(D&Cイエロー(D&C Yellow)8、D&Cオレンジ(D&C Orange)5、D&Cレッド(D&C Red)21、D&Cレッド27、FD&Cレッド3)、「キノリン」基(D&Cイエロー10など)、「アントラキノン」基(Ext D&Cバイオレット(Ext D&C Violet)2、DCグリーン(DC Green)5など)、「インジゴイド」基(FD&Cブルー(Blue)2、D&Cレッド30など)、「シアニン」基、特にフタロシアニン類(ピグメント・ブルー(Pigment Blue)CI 77160など)、「トリアリールメタン」基から選択される少なくとも1つの基を有する分子;並びにそれらの混合物から選択される有機着色剤である。
【0032】
好ましい一実施形態によると、有機着色剤はイオン性基を有する。
【0033】
本発明との関連では、「レジネート」は、少なくとも1種の有機イオン交換樹脂と少なくとも1種の着色剤とによって構成される複合体を意味する。
【0034】
「化粧料として許容される極性媒体」は、生理学的に許容される、すなわち皮膚に対して適合性であり、皮膚上に適用した後で使用者が容認できない不快感(発赤、緊張、刺痛など)を発生させない媒体を意味し、前記媒体は、相互作用を引き起こすことが可能な1つ又はそれ以上の両極性化合物を含有し、特にルイスの定義における酸−塩基機能を有し、例えば水、モノアルコール類、及び/又はグリコール類であり、好ましくは組成物の全重量に対して少なくとも10%及びより好ましくは少なくとも20%、さらには少なくとも30重量%の総量である。
【0035】
本発明によるレジネートは、イオン性有効成分をイオン交換樹脂上に吸収させる従来技術によって形成される。これらの技術は一般に3つの主要な段階:樹脂の前処理からなる任意選択の第1の段階と、着色剤の樹脂上への適切な吸収を含む第2の段階と、得られたレジネートの洗浄と場合による乾燥とを含む第3の段階とを含む。
【0036】
樹脂の前処理の段階は、樹脂の利用可能な交換部位の形成と、後で交換され得る樹脂の構成要素を除去することからなる。この操作は、特に、種々の媒体、例えば水、ソーダを含有する水溶液、又は他の溶媒中に樹脂を懸濁させることによって行うことができる。
【0037】
着色剤を吸収させる段階は、前処理した乾燥樹脂又は未精製の樹脂を、1つ又はそれ以上の化粧料用着色剤を含有する水溶液及び/又はアルコール溶液中に懸濁させることを含む。この段階の終了は、樹脂の対イオンと着色剤との間の置換が起こることである。
【0038】
洗浄段階は、樹脂に結合していない着色剤を除去することからなる。これは一般に、着色剤が可溶性となる媒体、例えば水溶液及び/又はアルコール溶液によって行われる。
【0039】
これら3つの段階の後、レジネートが得られる。着色剤対レジネートに対する比率は着色剤の重量対レジネートの重量の比として定義され、脂の種類、着色剤の種類、樹脂の処理条件、及び着色剤の樹脂上への吸収の条件に完全に依存する。
【0040】
非常に多くの条件の組を、種々のパラメーター、例えば温度、圧力、連続吸収、接触時間などを変化させることによって想定することができる。これらの条件は、充填される着色剤の量に影響を与え得る。一般に、実施例に記載されるバッチプロセスの場合(これらはプロセスに依存するので非限定的である)、吸収用溶液中の樹脂の量は1〜25重量%で変動させることができる。吸収用溶液中の着色剤の%値は、その溶解度の関数となる。着色剤対樹脂の重量比は、例えば0.1:1〜5:1の範囲内となり得る。
【0041】
以下に示す吸収の実施例に記載されるすべての条件において、洗浄操作は、脱塩水溶液を使用して、洗浄溶液がこれ以上着色剤を含有しないか、非常に低い%値で含有するかのいずれかになるまで行った。
【0042】
種々の洗浄溶液を使用することができる。これらは、樹脂の種類、処理される有効成分の性質、及び想定される塩析媒体の性質に依存して選択される。さらに、必要とされる洗浄操作の回数は、着色剤に依存して非常に大きく変動し得る。
【0043】
好ましい一実施形態においては、有機イオン交換樹脂は、スチレン−ジビニルベンゼンマトリックスを有するアニオン性有機樹脂であり、例えば、ローム・アンド・ハース(Rohm & Haas)より販売される商標アンバーライト(登録商標)IRA4004クロライド(Chloride)、ダウ・ケミカル・カンパニー(Dow Chemical Co.)より販売されるダウエックス(登録商標)2×8クロライド(Chloride)、ダウ・ケミカル・カンパニー(Dow Chemical Co.)より販売されるダウエックス(登録商標)1×8クロライド(Chloride)、及びダウ・ケミカル・カンパニー(Dow Chemical Co.)より販売されるダウエックス(登録商標)1×2クロライド(Chloride)などの樹脂である。
【0044】
別の好ましい一実施形態によると、有機イオン交換樹脂は、アクリルモノマー単位を含む有機アニオン交換樹脂であり、例えばローム・アンド・ハース(Rohm & Haas)より商標アンバーライト(登録商標)IRA67で販売される樹脂である。
【0045】
さらにより好ましい一実施形態によると、有機アニオン交換樹脂は、スチレン及びジビニルベンゼンモノマー単位を含有し第4級アンモニウム官能基を有するコポリマーを含む樹脂であり、コレスチラミンとも呼ばれ、特にローム・アンド・ハース(Rohm & Haas)より商標デュオライト(Duolite)(登録商標)AP143/1093で販売される樹脂である。この樹脂の交換可能なアニオンは塩化物である。
【0046】
好ましい別の一実施形態によると、有機イオン交換樹脂は、スチレン及びジビニルベンゼンモノマー単位を含有するコポリマーを含む有機カチオン性樹脂、例えば商標アンバーライト(登録商標)IRP69で販売される樹脂、或いはアクリル及びジビニルベンゼンのモノマー単位を含有するコポリマーを含む樹脂、例えば商標アンバーライト(登録商標)IRP64で販売される樹脂である。
【0047】
別の好ましい一実施形態では、アニオン性有機樹脂、例えば樹脂デュオライト(登録商標)AP143/1093と、有機カチオン交換樹脂、例えばアンバーライト(登録商標)IR122 Na又はアンバーライト(登録商標)IRP64とが組み合わせて使用される。
【0048】
好ましくは、組成物中に使用される樹脂の量は、組成物の全重量に対して0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%で変動する。
【0049】
本発明により得られる化粧料組成物は、湿式プロセスによる固体化粧品の製造、特にアイシャドー又はブラッシャーの製造に使用することができる。例えば、ベークドメーキャップ(baked make-up)の特定の製造方法に使用することができ:
1)底部及び開口部が設けられた金型中に、少なくとも1種のレジネートと、揮発性溶媒を含む少なくとも1種の流体バインダーとを含有する本発明による組成物を導入することと;
2)前記組成物上に、これと直接接触させて、5〜180μmの範囲内の平均孔径を有する多孔質材料の板を載せることと;
3)前記流体バインダーの少なくとも一部を前記板に通すことと;
4)前記板を通過した流体バインダーを除去して、部分的に固化した組成物を得ることと;
5)前記部分的に固化した組成物を乾燥させて、固化した組成物を得ることと;
6)場合により前記金型及び/又は前記板を取り外すことと;
7)金型の底部と前に接触していた表面が見えるように、前記固化した組成物を包装材料に入れることと
からなる段階を含む。
【0050】
これらの方法では、脱レーキが起こって着色剤が表面に上昇するのを回避することによって、最終製品はその色を失わない。
【0051】
一変形例として、本発明による化粧料組成物は、湿式プロセスによる造粒プロセス中に使用することができる。樹脂中に保持された着色剤は、造粒段階中に水相中に残ることがなく、そのため最終製品は適正な色を有する。
【0052】
着色剤の脱レーキを回避することによって、皮膚上に適用した後の着色剤は、深層のケラチン上に固定されることがなく、そのためメーキャップの除去中に皮膚からより容易に除去されるということから、本発明の別の利点が生じる。
【0053】
本発明による組成物は、あらゆる医薬品形態、特に粉末、ゲル、分散液、或いは水中油型(O/W)、油中水型(W/O)、又は多重(W/O/W、O/W/Oなど)エマルジョンの形態であってもよい。
【0054】
本発明による組成物は、種々の添加剤、例えば:
−油、特に以下から選択することができる油:
線状又は環状で、揮発性又は不揮発性のシリコーン油、例えばポリジメチルシロキサン類(ジメチコーン類)、ポリアルキルシクロシロキサン類(シクロメチコーン類)、及びポリアルキルフェニルシロキサン類(フェニルジメチコーン類);合成油、例えばフッ素化油、アルキルベンゾエート類、及び分岐炭化水素、例えばポリイソブチレン;植物油、特にダイズ油又はホホバ油;並びに鉱油、例えばパラフィン油;
−ワックス、例えばオゾケライト、ポリエチレンワックス、蜜蝋、又はカルナウバ蝋;
−特に、触媒の存在下、少なくとも1つの反応性基(特に水素又はビニル)と少なくとも1つのアルキル(特にメチル)又はフェニルの末端基及び/又は側基とを有するポリシロキサンと、オルガノシリコーン、例えばオルガノハイドロジェンポリシロキサンとの反応によって得られたシリコーンエラストマー;
−非イオン性、アニオン性、カチオン性、又は両性のいずれかの界面活性剤、好ましくは乳化剤、特に脂肪酸類とポリオール類とのエステル、例えば脂肪酸類とグリセリンとのエステル、脂肪酸類とソルビタンとのエステル、脂肪酸類とポリエチレングリコールとのエステル、及び脂肪酸類とスクロースとのエステル;脂肪アルコール類とポリエチレングリコールとのエーテル;アルキルポリグルコシド類;及び変性ポリエーテルポリシロキサン類;ベタイン及びその誘導体;ポリクオタニウム類;エトキシル化脂肪アルコール硫酸塩類;スルホスクシネート類;サルコシネート類;アルキル−及びジアルキルホスフェート類及びそれらの塩、例えばカリウムセチルホスフェート;並びに脂肪酸のセッケン;
−共界面活性剤、例えば線状脂肪アルコール類、特にセチル及びステアリルアルコール類;
−増粘剤及び/又はゲル化剤、特に、アクリロイルメチルプロパンスルホン酸(AMPS)及び/又はアクリルアミド及び/又はアクリル酸及び/又はアクリル酸塩又はエステルの架橋又は非架橋で親水性又は両親媒性のホモポリマー及びコポリマー;キサンタンガム又はグアーガム;セルロース誘導体;並びにシリコーンゴム類(ジメチコノール);
−湿潤剤、例えば、ポリオール類、例えばグリセロール、プロピレングリコール、及び糖類、並びにグリコサミノグリカン類、例えばヒアルロン酸、並びにその塩及びエステル;
−有機日焼け止め剤、例えばジベンゾイルメタン誘導体(例えばブチルメトキシジベンゾイルメタン)、桂皮酸エステル類(例えばエチルヘキシルメトキシシンナメート)、サリチレート類、β−β’−ジフェニルアクリレート類、トリアジン類、及びフェニルベンゾトリアゾールアゾール類;
−被覆された、又は被覆されていない顔料又はナノ顔料の形態の鉱物酸化物を主成分とし、特に二酸化チタン又は酸化亜鉛を主成分とする無機日焼け止め剤、
−保存料;
−フィラー、顔料、真珠層又は干渉顔料、リフティング剤(lifting agent)、マット化(mattifying)ポリマー、及びそれらの混合物などの光学的効果を有する化合物;
−金属イオン封鎖剤、例えばEDTA塩;
−香料;
−並びにそれらの混合物から選択される少なくとも1つの化合物を含有することができ、これらの一覧は限定的なものではない。
【0055】
「フィラー」は、組成物にボディー又は剛性を付与したり、及び/又は適用時の柔らかさ、マットな外観、及び即時の均一性を付与したりすることが意図された、無色若しくは白色の鉱物又は合成の、層状又は非層状粒子を意味する。フィラーとしては、特に、タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ナイロン粉末、例えばナイロン−12、例えばアトケム(Atochem)社より商標オルガゾール(Orgasol)(登録商標)で販売されるもの、ポリエチレン粉末、ポリウレタン粉末、ポリスチレン粉末、ポリエステル粉末、場合により加工デンプン、シリコーン樹脂のマイクロビーズ、例えば東芝(Toshiba)社よりトスパール(Tospearl)(登録商標)の名称で販売されるもの、ハイドロキシアパタイト、及び中空シリカ微小球、例えばマプレコス(Maprecos)社より商標シリカ・ビーズ(Silica Beads)(登録商標)で販売されるものを特に挙げることができる。
【0056】
「顔料」は、組成物の着色及び/又は不透明化が意図された、通常又はナノメートルサイズであり、媒体に対して不溶性である白色又は有色の鉱物又は有機の粒子を意味する。鉱物顔料の中では、チタン、ジルコニウム、又はセリウムの二酸化物、並びに亜鉛、鉄、又はクロムの酸化物を挙げることができる。
【0057】
「真珠層又は干渉顔料」は、光を反射する虹色の粒子を意味する。考慮される真珠層の中では、天然真珠層、マイカを酸化チタン、酸化鉄、天然顔料、又はオキシ塩化ビスマスでコーティングしたもの、並びに着色チタンマイカを挙げることができる。
【0058】
「リフティング剤」は、引き上げ効果を有する、すなわち皮膚を引き伸ばすことができ、この引き延ばし効果によって、皮膚をつるつるにし、しわ及びラインを軽減又はさらには直ちになくすことができる化合物を意味する。リフティング剤としては、天然由来のポリマーを挙げることができる。
【0059】
「天然由来のポリマー」は、植物由来のポリマー、外皮付属器から誘導されるポリマー、卵のタンパク質、及び天然由来のラテックスを意味する。これらのポリマーは好ましくは親水性である。植物由来のポリマーとしては、特にタンパク質及びタンパク質加水分解物、特に穀類、マメ科植物、及び油産生(oleaginous)植物の抽出物、例えばトウモロコシ、ライムギ、コムギ、ソバ、ゴマ、スペルトコムギ、エンドウマメ、インゲンマメ、レンズマメ、ダイズ、及びルピナスの抽出物を挙げることができる。ラテックス又は擬ラテックスの形態の合成ポリマーは、重縮合物型又はラジカル型であってもよい。PVP/ジメチコニルアクリレートのコポリマー、及び例えばハイドロマー(Hydromer)社より商標アクアメア(Aquamere)(登録商標)S−2011で販売される親水性ポリウレタンのコポリマーを特に挙げることができる。
【0060】
「マット化ポリマー」は、本発明においては、肌のてかりを防止し、肌の色を均一にする、溶液中、分散液中、又は粒子の形態のあらゆるポリマーを意味する。例えば、シリコーンエラストマー、樹脂粒子、及びそれらの混合物を挙げることができる。シリコーンエラストマーとしては、例えば、信越(Shin−Etsu)社より名称「KSG(登録商標)」で販売される製品、ダウ・コーニング(Dow Corning)社より名称「トレフィル(Trefil)(登録商標)」、「BY29(登録商標)」、又は「EPSX(登録商標)」で販売される製品、或いはグラント・インダストリーズ(Grant Industries)社より「グランシル(Gransil)(登録商標)」で販売される製品を挙げることができる。
【0061】
水相中のこれらのフィラー及び/又は顔料及び/又は真珠層の重量基準の濃度は、組成物の全重量に対して、一般に0.1〜20重量%、好ましくは0.2〜7重量%である。
【0062】
前記添加剤の例は、特にCTFA辞典(CTFA Dictionary)(化粧品工業会(The Cosmetic,Toiletry and Fragrance Association)より出版された国際化粧品成分辞典(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook),11版(11th Edition),2006)に挙げられている。
【0063】
本発明により使用される組成物は、化粧品有効成分、特に:
成長因子の産生を刺激する物質;抗糖化剤又は脱糖化剤;コラーゲンの合成を増加させる、又はその分解を防止する物質(抗コラゲナーゼ剤、特にマトリックスメタロプロテイナーゼの阻害剤);エラスチンの合成を増加させる、又はその分解を防止する物質(抗エラスターゼ剤);グリコアミノグリカン類又はプロテオグリカンの合成を増加させる、又はそれらの分解を防止する物質;ケラチノサイトの増殖又は分化を増加させる物質;線維芽細胞の増殖を増加させる物質;脱色剤、抗色素沈着剤、又は色素沈着促進(propigmenting)剤;酸化防止剤若しくは抗ラジカル剤又は汚染防止剤;表皮脂質の合成を増加させる物質;脂肪分解の刺激、脂質生成の阻害、及び/又は脂肪細胞の分化の阻害の作用を有する物質;排出又は解毒、或いは微小循環の改善の作用を有する物質;並びにそれらの混合物から選択される少なくとも1種の有効成分をさらに含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0064】
これらの追加の有効成分の例は特に:植物抽出物、特に、コンドルスクリスプス(Chondrus crispus)、サーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)、エンドウマメ(Pisum sativum)、センテラ・アジアチカ(Centella asiatica)、スファセラリア・スコパリア(Sphacelaria scoparia)、セネデスムス(Scenedesmus)、モリンガ・プテリゴスペルマ(Moringa pterygosperma)、キヅタ(ヘデラ・ヘリックス(Hedera helix))、ヨーロッパグリ(Castanea sativa)、ハイビスカス・サブドリファ(Hibiscus sabdriffa)、ポリアンテス・チューベローザ(Polyanthes tuberosa)、アルガンノキ(Argania spinosa)の抽出物、オクラ(Hibiscus esculentus)、ナルキッソス・タルゼッタ(Narcissus tarzetta)、カンゾウ、又はルクルス・エスクラトス(Ruscus esculatus)の種子;ダイダイ(Citrus aurantlum)の精油(ネロリ);ケイ素誘導体、例えばメチルシラノールマンヌロネート;植物性タンパク質加水分解物(特にダイズ又はヘーゼルナッツのもの);糖類;アシル化オリゴペプチド、特に、セデルマ(SEDERMA)社より商標マキシリップ(Maxilip)(登録商標)、マトリキシル(Matrixyl)(登録商標)3000、バイオペプチド(Biopeptide)(登録商標)CL、又はバイオペプチド(登録商標)ELで販売されるもの、又は欧州特許出願公開第1449517号に記載されるもの;酵母抽出物、特にサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)の抽出物;藻類の抽出物、特にコンブ属(Laminaria)及びヒメアオノリ(Blidingia minima)の抽出物;カフェイン、並びにそれを含有するコーヒー及びマテの抽出物;ビタミン類及びそれらの誘導体、例えばレチニルパルミテート、アスコルビルグルコシド、アスコルビルパルミテート、アスコルビルテトライソパルミテート、アスコルビルソルベート、トコフェロール、トコフェリルトコフェリルアセテート、及びトコフェリルソルベート;メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンのホモポリマー及びコポリマー;尿素;セラミド類及びホホリピッド(phopholipid)類;アルブチン;ジヒドロキシアセトン(DHA)、エリトルロース;並びにそれらの混合物である。
【0065】
本発明の組成物は、水溶性又は脂溶性の着色剤、組成物の着色及び/又は不透明化、及び/又は唇の着色の効果を有するフィラー、例えば顔料、真珠層、レーキ、及びそれらの混合物から選択される少なくとも1種の着色材料を含有することもできる。この着色材料は、場合により、疎水性物質、例えばシラン類、シリコーン類、脂肪酸のセッケン、C9−15フルオロアルコールホスフェート、アクリレート/ジメチコーンコポリマー、C9−15フルオロアルコールホスフェート/シリコーン混合コポリマー、レシチン類、カルナウバ蝋、ポリエチレン、キトサン、並びに場合によりアシル化されたアミノ酸、例えばラウロイルリジン、二ナトリウムステアロイルグルタメート、及びアルミニウムアシルグルタメートで表面処理することができる。顔料は鉱物若しくは有機、天然又は合成のものであってもよい。顔料の例は、特に、鉄、チタン、又は亜鉛の酸化物、並びに複合顔料、及びゴニオクロマチック顔料、真珠光沢顔料、干渉顔料、フォトクロミック顔料、又はサーモクロミック顔料であるが、これらに限定されるものではない。真珠層は、メーキャップ製品中に従来存在するもの、例えばチタンマイカから選択することができる。
【0066】
本発明による組成物は、ペンシル、マスカラ、アイライナー、ファンデーション、リップグロス、リップスティック、リップケアスティック、ボディメーキャップ製品、アイシャドー又はブラッシャー、コンシーラー、或いは顔又は身体用の手入れ用品の形態であってもよい。
【0067】
これより、以下の非限定的な実施例により本発明を説明する。
【実施例】
【0068】
A−インビトロでの試験
実施例1:アニオン性樹脂の前処理の例
条件1.1:
20gの樹脂デュオライト(登録商標)AP143/1093(供給元:ローム・アンド・ハース(Rohm & Haas))を200gの水中に懸濁させ、それを撹拌し、次に沈殿させ、上澄みを除去する。脱塩水による洗浄操作を約10回繰り返す。次に同じ操作を10% NaCl溶液を使用して行い(これも約10回)、続いて脱塩水で洗浄する。次にぬれた樹脂を、換気式ストーブ中35℃で終夜乾燥させる。
【0069】
条件1.2:
20gの樹脂デュオライト(登録商標)AP143/1093(供給元:ローム・アンド・ハース(Rohm & Haas))を、10%NaOHを含有する200gの水中に懸濁させ、それを撹拌し、次に沈殿させ、上澄みを除去する(この操作を約10回繰り返す)。次にこれを脱塩水で2回洗浄し、ぬれた樹脂を、換気式ストーブ中35℃で終夜乾燥させる。
【0070】
実施例2:異なる樹脂上の着色剤の吸収の例
条件2.1:着色剤の吸収用の溶液が0.5%のカチオン性染料メチレンブルーを含有する
約1.2gの未精製樹脂アンバーライト(登録商標)IRP64を、0.5%のメチレンブルーを含有する60gの水溶液中に懸濁させる。それを約1時間撹拌し、脱塩水で洗浄し、上澄みを除去し、メチレンブルーが充填された樹脂を乾燥させる。樹脂上のメチレンブルーの充填量は評価しなかった。
【0071】
条件2.2:着色剤の吸収用の溶液が0.5%のアニオン性着色剤の水溶性カルミンを含有する
約1.2gの未精製樹脂デュオライト(登録商標)AP143/1093を、0.5%の水溶性カルミン又はカルミン酸を含有する60gの水溶液中に懸濁させる。それを約1時間撹拌し、脱塩水で洗浄し、上澄みを除去し、水溶性カルミンが充填された樹脂を乾燥させる。樹脂上の水溶性カルミンの充填量は評価しなかった。
【0072】
条件2.3:着色剤の吸収用の溶液が5%のアニオン性着色剤の水溶性カルミンを含有する
約1.2gの未精製樹脂デュオライト(登録商標)AP143/1093を、5%の水溶性カルミン又はカルミン酸を含有する60gの水溶液中に懸濁させる。それを約1時間撹拌し、脱塩水で洗浄し、上澄みを除去し、水溶性カルミンが充填された樹脂を乾燥させる。樹脂上の水溶性カルミンの充填量は評価しなかった。
【0073】
実施例3:着色剤のレジネートの試験
条件3.1:吸収条件の影響
条件2.2及び2.3で得た水溶性カルミンのレジネートの色を比較すると、色は、吸収溶液中に存在する水溶性カルミンの量に依存することが分かる。
【0074】
条件3.2:水相安定性
吸収条件2.1においた樹脂を水相中に懸濁させる。従ってこの安定性試験は、メチレンブルーのレジネートに関する。
【0075】
媒体の色を、ミノルタ−CT−310カメラ(Minolta−CT−310)を使用して評価する。
【0076】
このために、サンプルのLabパラメーターを測定する。Lab色空間(CIELAB空間とも呼ばれる)はCIEによって1976年に定義された均等色空間の1つである。パラメーターLは明度の変数であり、一方パラメーターa及びbは色度座標である。
【0077】
以下の値が得られる:L=99.55;a=−0.67;b=0.05
【0078】
次に、このサンプルを、Labパラメーターが:L=100.01;a=−0.05;b=0.05である無色水相と比較することによって、色差(色合いの差とも呼ばれる)ΔEを評価する。
【0079】
Lab色空間内の色差ΔEは、色差の程度を示しているが方向は示しておらず、これは次式により定義される:
【数1】

【0080】
ΔE<2の場合は2つのサンプルに有意差はなく、逆の場合も同様である。
ΔE=0.8が得られる。
【0081】
メチレンブルーのレジネートを含有する媒体は、無色水相と非常に類似しており(Lab測定及びΔE値による)、これは、このサンプルにおいて、メチレンブルーが水中に全く放出されなかったことを示している。
【0082】
条件3.3:安定化させていない着色剤との比較
これらの試験の目的は、水溶性カルミンのレジネートの水相安定性を、化粧品中に一般的に使用されるカルミンの2つのサンプルと比較することであり、これらサンプルの一方は遊離の水溶性形態であり、他方は不活性支持体上に固定され、水及び油に対して不溶性である。
【0083】
試験した製品は以下の通りである:
−遊離の水溶性カルミン:カルミン酸のアルミニウム−カルシウム塩
−不活性支持体上に固定されたカルミン(コバラック(Covalac)(登録商標)カルミン):カルミン又はカルミン酸のアルミニウムレーキ
−条件2.2により調製した水溶性カルミンのレジネート
−条件2.3により調製した水溶性カルミンのレジネート
【0084】
この方法は以下の段階を含む:
−各製品を水溶液中に懸濁させる(0.007g/10gの水相)、
−約1分間渦を生じさせる、
−それらを接触した状態で約5時間維持する、
−上澄みを濾過する、
−各サンプルのLabパラメーターを測定する。
【0085】
次に各サンプルの色差ΔEを、Labパラメーターが:L=100.01;a=−0.04;b=0.04である無色水相と比較することによって評価する。
【表1】

【0086】
本発明のレジネートの場合、ΔEが2よりはるかに小さく、それらを含有する水相と無色水相との間に差が存在しないことを示している。
【0087】
不活性支持体上に固定されたカルミン(コバラック(登録商標)カルミン)及び遊離の水溶性カルミンの場合、ΔEは2よりもはるかに大きく、水相が無色水相と非常に異なることを示している。
【0088】
従ってこれらの試験は、不活性支持体、例えばアルミニウム上に固定されたカルミン(コバラック(登録商標)カルミン)の場合には着色剤の脱レーキが非常に顕著であるが、一方、水溶性カルミンのレジネートが使用される場合には脱レーキは全く起こらないことを示している。
【0089】
条件3.4:封入された着色剤との比較
試験した製品は以下の通りである:
−封入されたカルミン試験1A:コバラック(登録商標)カルミンのワックス中への封入
−封入されたカルミン試験2:コバラック(登録商標)カルミンのワックス中への封入
−条件2.2により調製した水溶性カルミンのレジネート
−条件2.3により調製した水溶性カルミンのレジネート
【0090】
この方法は以下の段階を含む:
−各製品を水溶液中に懸濁させる(0.007g/10gの水相)、
−約1分間渦を生じさせる、
−それらを接触した状態で45℃において3か月維持する、
−上澄みを濾過する、
−各サンプルのLabパラメーターを測定する。
【0091】
次に各サンプルの色差ΔEを、Labパラメーターが:L=100.01;a=−0.05;b=0.05である無色水相と比較することによって評価する。
【表2】

【0092】
レジネートを含有するサンプルのみが2未満のΔEを有することが分かり、これは3か月後でさえも、これらのサンプルが着色剤の脱レーキを起こしていない事を意味している。
【0093】
これらの結果は、水溶性カルミンのレジネートは、水相中でのカルミンの脱レーキを防止することができ、このことはカルミンの封入によってはできないことを示している。
【0094】
B−化粧料組成物
(大文字の場合)それらのINCI名、又は(小文字の場合)それらの機能で示され、それらの量が重量%値で示されている以下の成分を含有する組成物を、当業者に周知の方法で調製した。
【0095】
使用した樹脂は、吸収条件2.2においた樹脂である。
【0096】
例:
【表3】

【0097】
【表4】

【0098】
ペースト状組成物が得られ、これはメーキャップの製造に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)場合により有機イオン交換樹脂を前処理する段階と、
b)少なくとも1種の有機着色剤を、前記場合により前処理した樹脂上に吸収させて、レジネートを形成する段階と、
c)こうして得られた前記レジネートを場合により粉砕する段階と、
d)前記レジネートを、化粧品的に許容される極性媒体中に混入する段階と
を含むことを特徴とする、化粧料組成物の調製方法。
【請求項2】
前記有機着色剤が、動物由来の天然着色材料、例えばカルミン酸、植物由来の着色材料、例えばビキシン、ノルビキシン、ベタニン、アントシアン類、クロロフィリン、及びカラメル;並びに合成有機着色材料、例えばニトロソ基、ニトロ基、アゾ基、キサンテン基、キノリン基、アントラキノン基、インジゴイド基、シアニン基、トリアリールメタン基から選択される少なくとも1つの基を有する分子;並びにそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記着色剤が水溶性であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記有機イオン交換樹脂が有機アニオン交換樹脂であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記有機アニオン交換樹脂が、アクリル及びジビニルベンゼンのモノマー単位を含有するコポリマーを含むことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記有機アニオン交換樹脂が、スチレン及びジビニルベンゼンのモノマー単位を含有するコポリマーを含むことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記有機イオン交換樹脂が有機カチオン交換樹脂であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記有機カチオン交換樹脂が、スチレン及びジビニルベンゼンのモノマー単位を含有するコポリマーを含むことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記有機カチオン交換樹脂が、アクリル及びジビニルベンゼンのモノマー単位を含有するコポリマーを含むことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
有機アニオン交換樹脂と有機カチオン交換樹脂との組み合わせが使用されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる、化粧料組成物。
【請求項12】
請求項11に記載の組成物の、角質物質のケア及び/又はメーキャップのための化粧料としての使用。
【請求項13】
請求項1から10のいずれか一項に記載の方法の段階a)及びb)により得られ、少なくとも1種の有機イオン交換樹脂と少なくとも1種の有機着色剤とを含む、レジネート。

【公表番号】特表2010−534642(P2010−534642A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517470(P2010−517470)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【国際出願番号】PCT/FR2008/051404
【国際公開番号】WO2009/016323
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(508283406)シャネル パフュームズ ビューテ (23)
【Fターム(参考)】