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着色塗料組成物
説明

着色塗料組成物

【課題】白色系複層塗膜を形成する際に、塗装工程において発生した欠陥部分を補修するために白色系ベースコート塗膜を研削除去しても、補修部と未補修部の色の相違が生じない補修性に優れた白色系ベースコート塗料を提供すること。
【解決手段】被膜形成性樹脂(A)、硬化剤(B)、二酸化チタン顔料(C)及び有彩色顔料(D)を含有し、かつ有彩色顔料(D)が、平均一次粒子径が100〜1000nmの範囲内である有彩色顔料(D1)を、有彩色顔料(D)の総量を基準として、70質量%以上含有することを特徴とする着色塗料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色塗料組成物ならびにこれを用いる塗膜形成方法及び塗膜補修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車外板部などの被塗物に、電着塗膜、中塗り塗膜、白色系ベースコート塗膜、ホワイトパール調又はシルバーパール調の光輝性ベースコート塗膜及びクリヤコート塗膜からなる白色系複層塗膜を形成せしめることは公知である(例えば特許文献1)。
【0003】
このような白色系複層塗膜は、光線がクリヤコート塗膜及び光輝性ベースコート塗膜を透過することにより、白色系ベースコート塗膜の色調と光輝性ベースコート塗膜の意匠性が相俟って、ホワイトパール調又はシルバーパール調の高級感のある優れた外観を有する塗膜を形成することができる。
【0004】
また、最近では、上記白色系ベースコート塗膜を形成する塗料として、白色顔料である二酸化チタン顔料に加え、その他の着色顔料を含有する塗料を使用することによって、デザイン性をさらに向上させる検討が行なわれている。この場合、使用される着色顔料は、粒子径が比較的小さく、鮮明性及び着色力に優れた有機系の有彩色顔料が一般的であった。
【0005】
また、上記白色系複層塗膜の形成方法としては、一般に、電着塗料及び中塗り塗料を加熱硬化させて、電着塗膜及び中塗り塗膜を形成した後、得られた中塗り塗膜上に、白色系ベースコート塗料、光輝性ベースコート塗料及びクリヤコート塗料を順次塗装し、その後、これら3層の塗料を同時に硬化せしめる3コート1ベーク(3C1B)方式と、白色系ベースコート塗料を塗装した後、該白色系ベースコート塗料を硬化せしめてから、光輝性ベースコート塗料及びクリヤコート塗料を順次塗装し、その後、これら2層の塗料を同時に硬化せしめる3コート2ベーク(3C2B)方式が用いられている。しかしながら、上記3コート1ベーク方式及び3コート2ベーク方式のいずれにおいても、塗装工程の途中、例えば、塗装中、次工程への移動中、塗膜の加熱硬化中などにおいて、それぞれの塗膜面にゴミが付着したり、塗膜にヘコミが発生するなどして、仕上り外観を低下させることがあった。
【0006】
通常、これらの欠陥部分を補修する方法として、3コート1ベーク方式では、一般に、その部分を電着塗膜が露出するまで研削除去し、その部分に、白色系ベースコート塗膜、光輝性ベースコート塗膜及びクリヤコート塗膜からなる3層の塗膜を形成することが行なわれている(例えば特許文献2)。
【0007】
一方、3コート2ベーク方式では、白色系ベースコート塗料を塗装した後に硬化工程があり、これによって白色系ベースコートの硬化塗膜が形成されるため、該硬化塗膜に欠陥部分が発見された場合、該欠陥部分を下層塗膜が透けて見えない程度に研削除去し、引き続いて、光輝性ベースコート塗料及びクリヤコート塗料からなる2層の塗膜を形成することにより、欠陥部分を補修することが行なわれている。
【0008】
上記3コート2ベーク方式における補修方法は、欠陥部分の研削除去を行なった後に、白色系ベースコート塗料を再度塗装する必要がなく、前記3コート1ベーク方式における補修方法に比べ、補修用塗料の使用量が少なく、かつ少ない工数で補修できるという利点を有する。
【0009】
しかしながら、上記3コート2ベーク方式において、前述の粒子径が比較的小さい有機系の有彩色顔料を含有する白色系ベースコート塗料を使用した場合、白色系ベースコート塗膜の研削除去を行なった補修部分の色が、下層塗膜が透けて見えない程度に研削除去を行なった場合においても、非補修部分の色と異なることがあった。この場合、白色系ベースコート塗膜において生じた補修部分と非補修部分の色の相違が、光輝性ベースコート塗膜及びクリヤコート塗膜を透かして視認され、結果として、得られる白色系複層塗膜の外観の低下を引き起こし、問題となっていた。
【0010】
【特許文献1】特開平8−164358号公報
【特許文献2】特開2002−205007号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、被塗物上に、白色系ベースコート塗料、光輝性ベースコート塗料及びクリヤコート塗料を順次塗装して白色系複層塗膜を形成する場合に、塗装工程において発生した欠陥部分を補修するために白色系ベースコート塗膜を研削除去しても、補修部分と非補修部分の色の相違が生じない補修性に優れた着色塗料組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、鋭意研究の結果、今回、白色系ベースコート塗料として、特定の顔料を含有する着色塗料組成物を使用する場合に、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、以下の着色塗料組成物ならびにこれを用いる塗膜形成方法及び塗膜補修方法を提供するものである。
1. 下記の工程(1)〜(4)、
工程(1):被塗物上に、白色系ベースコート塗料(X)を塗装し、硬化させて、Lが70以上であり、かつ{(a+(b}1/2が0.5〜10の範囲内である白色系ベースコート硬化塗膜を形成する工程、
工程(2):工程(1)で形成される白色系ベースコート硬化塗膜上に、光輝性ベースコート塗料(Y)を塗装して光輝性ベースコート塗膜を形成する工程、
工程(3):工程(2)で形成される未硬化の光輝性ベースコート塗膜上に、クリヤコート塗料(Z)を塗装してクリヤコート塗膜を形成する工程、及び
工程(4):工程(2)で形成される未硬化のベースコート塗膜及び工程(3)で形成される未硬化のクリヤコート塗膜を同時に加熱硬化させる工程
を順次行う白色系複層塗膜形成方法において、白色系ベースコート塗料(X)として使用するための着色塗料組成物であって、被膜形成性樹脂(A)、硬化剤(B)、二酸化チタン顔料(C)及び有彩色顔料(D)を含有し、かつ有彩色顔料(D)が、平均一次粒子径が100〜1000nmの範囲内である有彩色顔料(D1)を、有彩色顔料(D)の総量を基準として、70質量%以上含有することを特徴とする着色塗料組成物。
2.平均一次粒子径が100〜1000nmの範囲内である有彩色顔料(D1)が金属酸化物系顔料である上記項1記載の着色塗料組成物。
3.被膜形成性樹脂(A)、硬化剤(B)、二酸化チタン顔料(C)及び有彩色顔料(D)の配合割合が、被膜形成性樹脂(A)及び硬化剤(B)の合計量100質量部を基準として、被膜形成性樹脂(A)が30〜95質量部、硬化剤(B)が5〜70質量部、二酸化チタン顔料(C)が5〜160質量部、有彩色顔料(D)が0.005〜20質量部の範囲内である上記項1又は2に記載の着色塗料組成物。
4.二酸化チタン顔料(C)の平均一次粒子径が200〜350nmの範囲内である上記項1〜3のいずれか1項に記載の着色塗料組成物。
5.下記の工程(1)〜(4)、
工程(1):被塗物上に、白色系ベースコート塗料(X)を塗装し、硬化させて、Lが70以上であり、かつ{(a+(b}1/2が0.5〜10の範囲内である白色系ベースコート硬化塗膜を形成する工程、
工程(2):工程(1)で形成される白色系ベースコート硬化塗膜上に、光輝性ベースコート塗料(Y)を塗装して光輝性ベースコート塗膜を形成する工程、
工程(3):工程(2)で形成される未硬化の光輝性ベースコート塗膜上に、クリヤコート塗料(Z)を塗装してクリヤコート塗膜を形成する工程、及び
工程(4):工程(2)で形成される未硬化のベースコート塗膜及び工程(3)で形成される未硬化のクリヤコート塗膜を同時に加熱硬化させる工程
を順次行う白色系複層塗膜形成方法において、白色系ベースコート塗料(X)が、被膜形成性樹脂(A)、硬化剤(B)、二酸化チタン顔料(C)及び有彩色顔料(D)を含有し、かつ有彩色顔料(D)が、平均一次粒子径が100〜1000nmの範囲内である有彩色顔料(D1)を、有彩色顔料(D)の総量を基準として、70質量%以上含有する着色塗料組成物であることを特徴とする白色系複層塗膜形成方法。
6.被塗物が、下塗り塗膜及び/又は中塗り塗膜が形成された車体である上記項5に記載の白色系複層塗膜形成方法。
7.二酸化チタン顔料(C)の平均一次粒子径が200〜350nmの範囲内である上記項5又は6に記載の白色系複層塗膜形成方法。
8.上記項5〜7のいずれか1項に記載の白色系複層塗膜形成方法により塗装された物品。
【発明の効果】
【0014】
被塗物上に、白色系ベースコート塗料、光輝性ベースコート塗料及びクリヤコート塗料を順次塗装して白色系複層塗膜を形成する場合に、白色系ベースコート塗料として、本発明の着色塗料組成物を使用することにより、塗装工程において発生した欠陥部分を補修するために白色系ベースコート塗膜を研削除去しても、補修部分と非補修部分の色の相違が生じない、補修性に優れた塗膜を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の着色塗料組成物について詳細に説明する。
【0016】
本発明の着色塗料組成物(以下、「本塗料」と略称する場合がある)は、下記の工程(1)〜(4)、
工程(1):被塗物上に、白色系ベースコート塗料(X)を塗装し、硬化させて、Lが70以上であり、かつ{(a+(b}1/2が0.5〜10の範囲内である白色系ベースコート硬化塗膜を形成する工程、
工程(2):工程(1)で形成される白色系ベースコート硬化塗膜上に、光輝性ベースコート塗料(Y)を塗装して光輝性ベースコート塗膜を形成する工程、
工程(3):工程(2)で形成される未硬化の光輝性ベースコート塗膜上に、クリヤコート塗料(Z)を塗装してクリヤコート塗膜を形成する工程、及び
工程(4):工程(2)で形成される未硬化のベースコート塗膜及び工程(3)で形成される未硬化のクリヤコート塗膜を同時に加熱硬化させる工程
を順次行う白色系複層塗膜形成方法において、白色系ベースコート塗料(X)として使用するための着色塗料組成物であって、被膜形成性樹脂(A)、硬化剤(B)、二酸化チタン顔料(C)及び有彩色顔料(D)を含有し、かつ有彩色顔料(D)が、平均一次粒子径が100〜1000nmの範囲内である有彩色顔料(D1)を、有彩色顔料(D)の総量を基準として、70質量%以上含有することを特徴とする着色塗料組成物である。
【0017】
以下、本発明の着色塗料組成物を用いる白色系複層塗膜形成方法についてさらに詳細に説明する。
【0018】
工程(1)
本工程では、被塗物上に、白色系ベースコート塗料(X)を塗装し、硬化させて、Lが70以上であり、かつ{(a+(b}1/2が0.5〜10の範囲内である白色系ベースコート硬化塗膜が形成される。なかでも、得られる白色系複層塗膜のデザイン性に優れる観点から、Lが75〜95、好ましくは80〜90の範囲内であることが好適であり、{(a+(b}1/2が1〜7.5、好ましくは1.5〜5の範囲内であることが好適である。
【0019】
ここで、L、a、bは、JIS Z 8729(1994)に規定されるL表色系における値である。L表色系では、色相に関係なく比較できる明るさの度合いとして「明度」をLで表現し、Lが大きくなるほど色が明るく、小さくなるほど暗くなることを示している。また、各色によって異なる「色相」をa、bの値で示し、aは赤(+)から緑(−)方向、そしてbは黄(+)から青(−)方向を示し、各方向とも絶対値が大きくなるに従って色鮮やかになり、0に近づくに従ってくすんだ色になることを示している。これによって一つの色を、L、a、bを用いて数値化することが可能となる。
【0020】
本発明において、白色系ベースコート塗膜のL、a、bは、塗膜面に垂直な軸に対し45°の角度から光を照射し、反射した光のうち塗膜面に垂直な方向の光について測色したときの値である。該L、a、bは、具体的には、例えば、マルチアングル分光測色計「CM−512m3」(コニカミノルタ社製)を用いて、照明の入射角45°の測定条件で測色することにより得ることができる。
【0021】
本工程において、Lが70以上であり、かつ{(a+(b}1/2が0.5〜10の範囲内である白色系ベースコート硬化塗膜を形成することにより、デザイン性に優れた白色系複層塗膜を得ることができる。
【0022】
被塗物
本発明に従い白色系ベースコート塗料(X)を適用し得る被塗物としては、特に限定されるものではなく、例えば、乗用車、トラック、オートバイ、バスなどの自動車車体の外板部;自動車部品;携帯電話、オーディオ機器などの家庭電気製品の外板部などを挙げることができる。これらのうち、自動車車体の外板部及び自動車部品が好ましい。
【0023】
これらの被塗物の材質としては、特に限定されるものではなく、例えば、鉄、アルミニウム、真鍮、銅、ブリキ、ステンレス鋼、亜鉛メッキ鋼、合金化亜鉛(Zn−Al、Zn−Ni、Zn−Fe等)メッキ鋼などの金属材料;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂類や各種のFRPなどのプラスチック材料;ガラス、セメント、コンクリートなどの無機材料;木材;紙、布等の繊維材料等を挙げることができる。これらのうち、金属材料及びプラスチック材料が好ましい。
【0024】
上記被塗物は、上記金属材料やそれから成形された車体等の金属表面に、リン酸塩処理、クロメート処理、複合酸化物処理などの表面処理が施されたものであってもよい。さらに、該被塗物は、上記金属基材、車体などに、各種電着塗料等の下塗り塗膜及び/又は中塗り塗膜が形成されたものであってもよい。
【0025】
白色系ベースコート塗料(X)
本発明では、白色系ベースコート塗料(X)として、被膜形成性樹脂(A)、硬化剤(B)、二酸化チタン顔料(C)及び有彩色顔料(D)を含有し、かつ有彩色顔料(D)が、平均一次粒子径が100〜1000nmの範囲内である有彩色顔料(D1)を、有彩色顔料(D)の総量を基準として、70質量%以上含有する着色塗料組成物が使用される。
【0026】
被膜形成性樹脂(A)
被膜形成性樹脂(A)としては、従来から塗料に使用されているそれ自体既知の被膜形成性樹脂を使用することができる。樹脂の種類としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。被膜形成性樹脂(A)は、通常、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基などの架橋性官能基を有する。
【0027】
被膜形成性樹脂(A)としては、水酸基含有ポリエステル樹脂(A1)及び/又は水酸基含有アクリル樹脂(A2)を使用することが好ましく、なかでも水酸基含有ポリエステル樹脂(A1)を使用することがさらに好ましい。
【0028】
また、被膜形成性樹脂(A)は、水酸基を有する場合、水酸基価が1〜300mgKOH/gであるのが好ましく、2〜250mgKOH/gであるのがより好ましく、3〜180mgKOH/gであるのが更に好ましい。また、被膜形成性樹脂(A)は、カルボキシル基等の酸基を有する場合、酸価が1〜200mgKOH/gであるのが好ましく、2〜150mgKOH/gであるのがより好ましく、3〜100mgKOH/gであるのが更に好ましい。
【0029】
水酸基含有ポリエステル樹脂(A1)
本発明の着色塗料組成物において、被膜形成性樹脂(A)として、水酸基含有ポリエステル樹脂(A1)を使用することによって、得られる塗膜の平滑性を向上させることが出来る。
【0030】
水酸基含有ポリエステル樹脂(A1)は、通常、酸成分とアルコール成分とのエステル化反応又はエステル交換反応によって製造することができる。
【0031】
上記酸成分としては、ポリエステル樹脂の製造に際して、酸成分として通常使用される化合物を使用することができる。かかる酸成分としては、例えば、脂肪族多塩基酸、脂環族多塩基酸、芳香族多塩基酸等を挙げることができる。
【0032】
上記脂肪族多塩基酸は、一般に、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する脂肪族化合物、該脂肪族化合物の酸無水物及び該脂肪族化合物のエステル化物である。脂肪族多塩基酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、オクタデカン二酸、クエン酸等の脂肪族多価カルボン酸;該脂肪族多価カルボン酸の無水物;該脂肪族多価カルボン酸の炭素数1〜4程度の低級アルキルのエステル化物等が挙げられる。上記脂肪族多塩基酸は、単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0033】
上記脂肪族多塩基酸としては、得られる塗膜の平滑性の観点から、アジピン酸及び/又はアジピン酸無水物を用いることが特に好ましい。
【0034】
上記脂環族多塩基酸は、一般に、1分子中に1個以上の脂環式構造と2個以上のカルボキシル基を有する化合物、該化合物の酸無水物及び該化合物のエステル化物である。脂環式構造は、主として4〜6員環構造である。脂環族多塩基酸としては、例えば、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、3−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸等の脂環族多価カルボン酸;該脂環族多価カルボン酸の無水物;該脂環族多価カルボン酸の炭素数1〜4程度の低級アルキルのエステル化物等が挙げられる。上記脂環族多塩基酸は、単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0035】
上記脂環族多塩基酸としては、得られる塗膜の平滑性の観点から、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物を用いることが好ましく、なかでも、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸及び/又は1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物を用いることがより好ましい。
【0036】
上記芳香族多塩基酸は、一般に、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する芳香族化合物、該芳香族化合物の酸無水物及び該芳香族化合物のエステル化物であって、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族多価カルボン酸;該芳香族多価カルボン酸の無水物;該芳香族多価カルボン酸の炭素数1〜4程度の低級アルキルのエステル化物等が挙げられる。上記芳香族多塩基酸は、単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0037】
上記芳香族多塩基酸としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸を使用することが好ましい。
【0038】
また、上記脂肪族多塩基酸、脂環族多塩基酸及び芳香族多塩基酸以外の酸成分を使用することも出来る。かかる酸成分としては、特に限定されず、例えば、ヤシ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、麻実油脂肪酸、米ぬか油脂肪酸、魚油脂肪酸、トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、桐油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸等の脂肪酸;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、10−フェニルオクタデカン酸等のモノカルボン酸;乳酸、3−ヒドロキシブタン酸、3−ヒドロキシ−4−エトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸等が挙げられる。これらの酸成分は、単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0039】
前記アルコール成分としては、1分子中に2個以上の水酸基を有する多価アルコールを好適に使用することができる。該多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、3−メチル−1,2−ブタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,3−ジメチルトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、3−メチル−4,3−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールFなどの2価アルコール;これらの2価アルコールにε−カプロラクトンなどのラクトン類を付加したポリラクトンジオール;ビス(ヒドロキシエチル)テレフタレートなどのエステルジオール類;ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどのポリエーテルジオール類;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン、トリグリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸、ソルビトール、マンニットなどの3価以上のアルコール;これらの3価以上のアルコールにε−カプロラクトンなどのラクトン類を付加させたポリラクトンポリオール類等が挙げられる。
【0040】
また、上記多価アルコール以外のアルコール成分を使用することも出来る。かかるアルコール成分としては、特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ステアリルアルコール、2−フェノキシエタノール等のモノアルコール;プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、「カージュラE10」(商品名、HEXION Specialty Chemicals社製、合成高分岐飽和脂肪酸のグリシジルエステル)等のモノエポキシ化合物と酸を反応させて得られたアルコール化合物等が挙げられる。
【0041】
水酸基含有ポリエステル樹脂(A1)の製造方法は、特に限定されるものではなく、通常の方法に従って行なうことができる。例えば、前記酸成分とアルコール成分とを、窒素気流中、150〜250℃程度で、5〜10時間程度加熱し、該酸成分とアルコール成分のエステル化反応又はエステル交換反応を行なう方法により、水酸基含有ポリエステル樹脂を製造することができる。
【0042】
上記酸成分及びアルコール成分をエステル化反応又はエステル交換反応せしめる際には、反応容器中に、これらを一度に添加してもよいし、一方又は両者を、数回に分けて添加してもよい。また、先ず、水酸基含有ポリエステル樹脂を合成した後、得られた水酸基含有ポリエステル樹脂に酸無水物を反応させてハーフエステル化させてカルボキシル基及び水酸基含有ポリエステル樹脂としてもよい。また、先ず、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂を合成した後、上記アルコール成分を付加させて水酸基含有ポリエステル樹脂としてもよい。
【0043】
前記エステル化又はエステル交換反応の際には、反応を促進させるための触媒として、ジブチル錫オキサイド、三酸化アンチモン、酢酸亜鉛、酢酸マンガン、酢酸コバルト、酢酸カルシウム、酢酸鉛、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等のそれ自体既知の触媒を使用することができる。
【0044】
また、前記水酸基含有ポリエステル樹脂(A1)は、該樹脂の調製中又は調製後に、脂肪酸、モノエポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物等で変性することができる。
【0045】
上記脂肪酸としては、例えば、ヤシ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、麻実油脂肪酸、米ぬか油脂肪酸、魚油脂肪酸、トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、桐油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸などが挙げられ、上記モノエポキシ化合物としては、例えば、「カージュラE10」(商品名、HEXION Specialty Chemicals社製、合成高分岐飽和脂肪酸のグリシジルエステル)を好適に用いることができる。
【0046】
また、上記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、リジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート類;水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−(イソシアナトメチル)シクロヘキサンなどの脂環族ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類;リジントリイソシアネートなどの3価以上のポリイソシアネートなどの有機ポリイソシアネートそれ自体;これらの各有機ポリイソシアネートと多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂、水等との付加物;これらの各有機ポリイソシアネート同士の環化重合体(例えば、イソシアヌレート)、ビウレット型付加物などが挙げられる。これらのポリイソシアネート化合物は、単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0047】
また、水酸基含有ポリエステル樹脂(A1)としては、得られる塗膜の平滑性に優れる観点から、原料の酸成分中の脂肪族多塩基酸及び脂環族多塩基酸の合計含有量が、該酸成分の合計量を基準として30〜100モル%であるものが好ましく、40〜97モル%であるものがより好ましく、50〜80モル%であるものが更に好ましい。特に、上記脂肪族多塩基酸が、アジピン酸及び/又はアジピン酸無水物であり、脂環族多塩基酸が、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸及び/又は1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物であることが好ましい。
【0048】
前記水酸基含有ポリエステル樹脂(A1)は、水酸基価が10〜300mgKOH/g、好ましくは30〜250mgKOH/g、さらに好ましくは50〜180mgKOH/gの範囲内であることが好適であり、酸価が1〜200mgKOH/g、好ましくは2〜100mgKOH/g、さらに好ましくは3〜60mgKOH/gの範囲内であることが好適である。また、数平均分子量が500〜50,000、好ましくは1,000〜30,000、さらに好ましくは1,200〜10,000の範囲内であることが好適である。
【0049】
なお、本明細書における数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフ(東ソー社製、「HLC8120GPC」)で測定した数平均分子量又は重量平均分子量を、標準ポリスチレンの分子量を基準にして換算した値である。この測定において、カラムは、「TSKgel G−4000HXL」、「TSKgel G−3000HXL」、「TSKgel G−2500HXL」、「TSKgel G−2000HXL」(いずれも商品名、東ソー社製)の4本を用い、移動相テトラヒドロフラン、測定温度40℃、流速1mL/min、検出器RIという測定条件を使用した。
【0050】
前記水酸基含有ポリエステル樹脂(A1)の配合量は、本塗料中の被膜形成性樹脂(A)及び硬化剤(B)の合計100質量部を基準として、5〜95質量部、好ましくは15〜85質量部、さらに好ましくは25〜75質量部の範囲内であることが好適である。
【0051】
水酸基含有アクリル樹脂(A2)
水酸基含有アクリル樹脂(A2)は、通常、水酸基含有重合性不飽和モノマー及び該水酸基含有重合性不飽和モノマーと共重合可能な他の重合性不飽和モノマーを、それ自体既知の方法、例えば、有機溶媒中での溶液重合法、水中でのエマルション重合法などの方法により、共重合せしめることによって製造することができる。
【0052】
上記水酸基含有重合性不飽和モノマーは、1分子中に水酸基及び重合性不飽和結合をそれぞれ1個以上有する化合物であって、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物;該(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物のε−カプロラクトン変性体;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド;アリルアルコール、さらに、分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0053】
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸又はメタクリル酸」を意味する。また、「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル又はメタクリロイル」を意味する。また、「(メタ)アクリルアミド」は、「アクリルアミド又はメタクリルアミド」を意味する。
【0054】
また、前記水酸基含有重合性不飽和モノマーと共重合可能な他の重合性不飽和モノマーは、水酸基含有アクリル樹脂(A2)に望まれる特性に応じて適宜選択して使用することができる。該モノマーの具体例を、(i)〜(xix)に列挙する。これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0055】
(i)アルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート:例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等。
【0056】
(ii)イソボルニル基を有する重合性不飽和モノマー:イソボルニル(メタ)アクリレート等。
【0057】
(iii) アダマンチル基を有する重合性不飽和モノマー:アダマンチル(メタ)アクリレート等。
【0058】
(iv)トリシクロデセニル基を有する重合性不飽和モノマー:トリシクロデセニル(メタ)アクリレート等。
【0059】
(v)芳香環含有重合性不飽和モノマー:ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等。
【0060】
(vi)アルコキシシリル基を有する重合性不飽和モノマー:ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等。
【0061】
(vii)フッ素化アルキル基を有する重合性不飽和モノマー:パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;フルオロオレフィン等。
【0062】
(viii)マレイミド基等の光重合性官能基を有する重合性不飽和モノマー。
【0063】
(ix)ビニル化合物:N−ビニルピロリドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等。
【0064】
(x)リン酸基含有重合性不飽和モノマー:2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート等。
【0065】
(xi)カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー:(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等。
【0066】
(xii)含窒素重合性不飽和モノマー:(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド、グリシジル(メタ)アクリレートとアミン類との付加物等。
【0067】
(xiii)重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマー:アリル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等。
【0068】
(xiv)エポキシ基含有重合性不飽和モノマー:グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等。
【0069】
(xv)分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート。
【0070】
(xvi)スルホン酸基を有する重合性不飽和モノマー:2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、アリルスルホン酸、4−スチレンスルホン酸等;これらスルホン酸のナトリウム塩及びアンモニウム塩等。
【0071】
(xvii)紫外線吸収性官能基を有する重合性不飽和モノマー:2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2' −ジヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2' −ジヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−(2' −ヒドロキシ−5' −メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等。
【0072】
(xviii)紫外線安定性重合性不飽和モノマー:4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等。
【0073】
(xix)カルボニル基を有する重合性不飽和モノマー:アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ホルミルスチロール、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)等。
【0074】
また、上記水酸基含有アクリル樹脂(A2)としては、その一部として、該樹脂中の水酸基の一部にポリイソシアネート化合物をウレタン化反応により伸長させ高分子量化した、いわゆるウレタン変性アクリル樹脂を併用してもよい。
【0075】
上記水酸基含有アクリル樹脂(A2)の水酸基価は、貯蔵安定性や得られる塗膜の耐水性等の観点から、1〜200mgKOH/g、好ましくは2〜150mgKOH/g、さらに好ましくは3〜100mgKOH/gの範囲内であることが好適である。
【0076】
また、上記水酸基含有アクリル樹脂(A2)の酸価は、得られる塗膜の耐水性等の観点から、1〜200mgKOH/g、好ましくは2〜150mgKOH/g、さらに好ましくは3〜100mgKOH/gの範囲内であることが好適である。
【0077】
また、上記水酸基含有アクリル樹脂(A2)の重量平均分子量は、1,000〜500,000、好ましくは2,000〜300,000、さらに好ましくは3,000〜200,000の範囲内であることが好適である。
【0078】
本塗料が水酸基含有アクリル樹脂(A2)を含有する場合、該水酸基含有アクリル樹脂(A2)の配合量は、本塗料中の被膜形成性樹脂(A)及び硬化剤(B)の合計100質量部を基準として、2〜95質量部、好ましくは5〜85質量部、さらに好ましくは10〜75質量部の範囲内であることが好適である。
【0079】
硬化剤(B)
硬化剤(B)は、被膜形成性樹脂(A)中の水酸基、カルボキシル基、エポキシ基等の架橋性官能基と反応して、本発明組成物を硬化し得る化合物である。硬化剤(B)としては、例えば、アミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物、エポキシ基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、カルボジイミド基含有化合物などが挙げられる。これらのうち、水酸基と反応し得るアミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物及びブロック化ポリイソシアネート化合物が好ましく、アミノ樹脂が特に好ましい。硬化剤(B)は、単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0080】
上記アミノ樹脂としては、アミノ成分とアルデヒド成分との反応によって得られる部分メチロール化アミノ樹脂又は完全メチロール化アミノ樹脂を使用することができる。アミノ成分としては、例えば、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、ジシアンジアミド等が挙げられる。アルデヒド成分としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンツアルデヒド等が挙げられる。
【0081】
また、上記メチロール化アミノ樹脂のメチロール基を、適当なアルコールによって、部分的に又は完全にエーテル化したものも使用することができる。エーテル化に用いられるアルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、2−エチル−1−ブタノール、2−エチル−1−ヘキサノール等が挙げられる。
【0082】
アミノ樹脂としては、メラミン樹脂が好ましい。特に、部分又は完全メチロール化メラミン樹脂のメチロール基をメチルアルコールで部分的に又は完全にエーテル化したメチルエーテル化メラミン樹脂、部分又は完全メチロール化メラミン樹脂のメチロール基をブチルアルコールで部分的に又は完全にエーテル化したブチルエーテル化メラミン樹脂、部分又は完全メチロール化メラミン樹脂のメチロール基をメチルアルコール及びブチルアルコールで部分的に又は完全にエーテル化したメチル−ブチル混合エーテル化メラミン樹脂が好ましく、メチル−ブチル混合エーテル化メラミン樹脂がより好ましい。
【0083】
上記メラミン樹脂は、重量平均分子量が400〜6,000であるのが好ましく、500〜4,000であるのがより好ましく、600〜3,000であるのがさらに好ましい。
【0084】
メラミン樹脂としては市販品を使用できる。市販品の商品名としては、例えば、「サイメル202」、「サイメル203」、「サイメル204」、「サイメル211」、「サイメル238」、「サイメル251」、「サイメル303」、「サイメル323」、「サイメル324」、「サイメル325」、「サイメル327」、「サイメル350」、「サイメル385」、「サイメル1156」、「サイメル1158」、「サイメル1116」、「サイメル1130」(以上、日本サイテックインダストリーズ社製)、「ユーバン120」、「ユーバン20HS」、「ユーバン20SE60」、「ユーバン2021」、「ユーバン2028」、「ユーバン28−60」(以上、三井化学社製)等が挙げられる。
【0085】
また、硬化剤(B)として、メラミン樹脂を使用する場合は、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸などのスルホン酸;これらのスルホン酸とアミン化合物との塩;等を触媒として使用することができる。
【0086】
前記ブロック化ポリイソシアネート化合物は、1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物のイソシアネート基を、ブロック剤でブロックした化合物である。
【0087】
1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート類;水素添加キシリレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類;2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトカプロエート、3−イソシアナトメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、4−イソシアナトメチル−1,8−オクタメチレンジイソシアネート(通称、トリアミノノナントリイソシアネート)などの3価以上の有機ポリイソシアネート化合物;これらのポリイソシアネート化合物の2量体又は3量体(ビウレット、イソシアヌレートなど);これらのポリイソシアネート化合物と多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂又は水とをイソシアネート基過剰の条件でウレタン化反応させてなるプレポリマーなどが挙げられる。
【0088】
また、前記ブロック剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、ニトロフェノール、エチルフェノール、ヒドロキシジフェニル、ブチルフェノール、イソプロピルフェノール、ノニルフェノール、オクチルフェノール、ヒドロキシ安息香酸メチルなどのフェノール系;ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピオラクタムなどのラクタム系;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、アミルアルコール、ラウリルアルコールなどの脂肪族アルコール系;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メトキシメタノールなどのエーテル系;ベンジルアルコール、グリコール酸、グリコール酸メチル、グリコール酸エチル、グリコール酸ブチル、乳酸、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチロール尿素、メチロールメラミン、ジアセトンアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどのアルコール系;ホルムアミドオキシム、アセトアミドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム、シクロヘキサンオキシムなどのオキシム系;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセチルアセトンなどの活性メチレン系;ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトベンゾチアゾール、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノールなどのメルカプタン系;アセトアニリド、アセトアニシジド、アセトトルイド、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸アミド、ステアリン酸アミド、ベンズアミドなどの酸アミド系;コハク酸イミド、フタル酸イミド、マレイン酸イミドなどのイミド系;ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、キシリジン、N−フェニルキシリジン、カルバゾール、アニリン、ナフチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、ブチルフェニルアミンなどアミン系;イミダゾール、2−エチルイミダゾールなどのイミダゾール系;尿素、チオ尿素、エチレン尿素、エチレンチオ尿素、ジフェニル尿素などの尿素系;N−フェニルカルバミン酸フェニルなどのカルバミン酸エステル系;エチレンイミン、プロピレンイミンなどのイミン系;重亜硫酸ソーダ、重亜硫酸カリなどの亜硫酸塩系;アゾール系の化合物等が挙げられる。上記アゾール系の化合物としては、ピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、3−メチルピラゾール、4−ベンジル−3,5−ジメチルピラゾール、4−ニトロ−3,5−ジメチルピラゾール、4−ブロモ−3,5−ジメチルピラゾール、3−メチル−5−フェニルピラゾール等のピラゾール又はピラゾール誘導体;イミダゾール、ベンズイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾールまたはイミダゾール誘導体;2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン等のイミダゾリン誘導体等が挙げられる。
【0089】
なかでも、好ましいブロック剤としては、オキシム系のブロック剤、活性メチレン系のブロック剤、ピラゾール又はピラゾール誘導体が挙げられる。
【0090】
また、上記ブロック剤として、1個以上のヒドロキシル基と1個以上のカルボキシル基を有するヒドロキシカルボン酸、例えば、ヒドロキシピバリン酸、ジメチロールプロピオン酸なども使用できる。特に、本塗料が水性塗料である場合、上記ヒドロキシカルボン酸を用いてイソシアネート基をブロックした後、該ヒドロキシカルボン酸のカルボキシル基を中和して水分散性を付与したブロック化ポリイソシアネート化合物を好適に用いることができる。
【0091】
前記カルボジイミド基含有化合物としては、例えば、上記ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基同士を脱二酸化炭素反応せしめたものを使用することができる。該カルボジイミド基含有化合物としては市販品を使用できる。市販品の商品名としては、例えば、「カルボジライトV−02」、「カルボジライトV−02−L2」、「カルボジライトV−04」、「カルボジライトE−01」、「カルボジライトE−02」(いずれも日清紡社製)等を挙げることができる。
【0092】
二酸化チタン顔料(C)
本塗料に用いられる二酸化チタン顔料(C)は白色顔料であって、形成塗膜に白色を付与することができる。
【0093】
二酸化チタン顔料(C)は、得られる塗膜の補修性、隠蔽性、耐候性等の観点から、平均一次粒子径が200〜350nm、好ましくは220〜330nm、より好ましくは240〜290nmの範囲内であることが好適である。
【0094】
本明細書において、顔料の平均一次粒子径は、個々の独立した顔料粒子の粒子径の平均値である。一般に、顔料粒子は凝集して存在しているので、通常の粒子径分布測定装置では粒子の凝集したものと個々の独立した粒子を区別して測定することは困難であるが、電子顕微鏡観察等により、独立した顔料粒子自体の平均一次粒子径を測定することが可能である。本明細書において、顔料の平均一次粒子径は、形成塗膜を電子顕微鏡で観察し、電子顕微鏡写真上に無作為に引いた直線上にある当該顔料粒子20個の最大径を平均した値である。
【0095】
二酸化チタン顔料(C)の結晶型は、ルチル型、アナターゼ型のいずれであってもよいが、形成される塗膜の隠蔽性及び耐候性に優れる点から、ルチル型が好ましい。
【0096】
また、二酸化チタン顔料(C)は、二酸化チタンの表面を、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、二酸化珪素等の無機酸化物;アミン、アルコール等の有機化合物などで被覆処理をしたものであってもよい。
【0097】
有彩色顔料(D)
有彩色顔料(D)は、白色顔料、黒色顔料等の無彩色顔料を除く着色顔料であって、例えば、黄色酸化鉄、チタンイエロー、モノアゾイエロー、縮合アゾイエロー、アゾメチンイエロー、ビスマスバナデート、ベンズイミダゾロン、イソインドリノン、イソインドリン、キノフタロン、ベンジジンイエロー、パーマネントイエロー等の黄色顔料;パーマネントオレンジ等の橙色顔料;赤色酸化鉄、ナフトールAS系アゾレッド、アンサンスロン、アンスラキノニルレッド、ペリレンマルーン、キナクリドンレッド、ジケトピロロピロールレッド、パーマネントレッド等の赤色顔料;コバルトバイオレット、キナクリドンバイオレット、ジオキサジンバイオレット等の紫色顔料;コバルトブルー、フタロシアニンブルー、スレンブルーなどの青色顔料;フタロシアニングリーンなどの緑色顔料等を挙げることができる。有彩色顔料(D)は、単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0098】
本発明において、有彩色顔料(D)は、得られる塗膜の補修性の観点から、平均一次粒子径が100〜1000nm、好ましくは150〜900nm、さらに好ましくは200〜850nmの範囲内である有彩色顔料(D1)を、有彩色顔料(D)の総量を基準として、70質量%以上含有する。なかでも、有彩色顔料(D)が、上記有彩色顔料(D1)を、有彩色顔料(D)の総量を基準として、80〜100質量%、好ましくは90〜100質量%含有することが好適である。
【0099】
本発明において、平均一次粒子径が100〜1000nmの範囲内である有彩色顔料(D1)を、有彩色顔料(D)の総量を基準として、70質量%以上含有する着色塗料組成物を使用することによって、補修部分と非補修部分における色の相違が生じない理由は明確ではないが、有彩色顔料として比較的大きな粒子径を有する有彩色顔料を使用することにより、塗料が被塗物に塗着してから塗膜が硬化するまでの間の有彩色顔料の移動が起こりにくくなり、結果として、有彩色顔料が白色系ベースコート塗膜中に比較的均一に存在していることが推察される。
【0100】
平均一次粒子径が100〜1000nmの範囲内である有彩色顔料(D1)としては、例えば、
ベンガラ、黄色酸化鉄、チタンイエロー、ビスマスバナデート、コバルトブルー、コバルトグリーン、亜鉛フェライト等の金属酸化物系顔料;キナクリドンレッド等のキナクリドン系顔料;ジケトピロロピロールレッド等のジケトピロロピロール系顔料等を使用することができる。有彩色顔料(D1)は、単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。なかでも、得られる塗膜の補修性に優れる観点から、金属酸化物系顔料を好適に使用することができる。
【0101】
有彩色顔料(D1)の市販品としては、例えば、「DYPYROXIDE BLUE 9410」、「DYPYROXIDE GREEN 9320」、「DYPYROXIDE YELLOW 9110」(以上、大日精化工業株式会社製)、「トダカラー 180ED」(戸田工業株式会社製)、「TAROX LL−50」(チタン工業株式会社製)、「FASTOGEN SUPER RED YE」(大日本インキ化学株式会社製)、「IRGACOLOR YELLOW 2GLMA」、「IRGAZIN DPP RED BO」(以上、Ciba Specialty Chemicals株式会社製)等を挙げることができる。
【0102】
着色塗料組成物
本発明の着色塗料組成物は、前記被膜形成性樹脂(A)、硬化剤(B)、二酸化チタン顔料(C)及び有彩色顔料(D)を含有し、かつ有彩色顔料(D)が、平均一次粒子径が100〜1000nmの範囲内である有彩色顔料(D1)を、有彩色顔料(D)の総量を基準として、70質量%以上含有する着色塗料組成物である。
【0103】
本発明の着色塗料組成物において、被膜形成性樹脂(A)、硬化剤(B)、二酸化チタン顔料(C)及び有彩色顔料(D)の配合割合は、被膜形成性樹脂(A)及び硬化剤(B)の合計量100質量部を基準として、下記の範囲内とすることが好適である。
被膜形成性樹脂(A):30〜95質量部、好ましくは50〜90質量部、さらに好ましくは60〜80質量部、
硬化剤(B):5〜70質量部、好ましくは10〜50質量部、さらに好ましくは20〜40質量部、
二酸化チタン顔料(C):5〜160質量部、好ましくは10〜140質量部、さらに好ましくは15〜120質量部、
有彩色顔料(D):0.005〜20質量部、好ましくは0.01〜10質量部、さらに好ましくは0.03〜5質量部。
【0104】
本発明の着色塗料組成物は、必要に応じて、上記二酸化チタン顔料(C)及び有彩色顔料(D)以外の着色顔料、体質顔料、光輝性顔料、防錆顔料、硬化触媒、増粘剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、防錆剤、表面調整剤、沈降防止剤、分散剤、界面活性剤、造膜助剤等の塗料用添加剤を含有することができる。
【0105】
上記二酸化チタン顔料(C)及び有彩色顔料(D)以外の着色顔料としては、二酸化チタン顔料(C)以外の無彩色顔料を使用することができ、例えば、酸化亜鉛、硫化亜鉛、リトポン等の白色顔料;カーボンブラック、鉄黒(黒色酸化鉄)、アニリンブラック等の黒色顔料を挙げることができる。
【0106】
前記体質顔料としては、例えば、クレー、カオリン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナホワイト等が挙げられ、なかでも硫酸バリウム及び/又はタルクを使用することが好ましい。
【0107】
本発明の着色塗料組成物が、上記体質顔料を含有する場合、該体質顔料の配合量は、被膜形成性樹脂(A)及び硬化剤(B)の合計量100質量部を基準として、1〜120質量部、好ましくは5〜100質量部、さらに好ましくは10〜80質量部の範囲内であることが好適である。
【0108】
また、前記光輝性顔料としては、例えば、アルミニウム(蒸着アルミニウムを含む)、銅、亜鉛、真ちゅう、ニッケル、酸化アルミニウム、雲母、酸化チタンや酸化鉄で被覆された酸化アルミニウム、酸化チタンや酸化鉄で被覆された雲母、ガラスフレーク、ホログラム顔料などを挙げることができる。これらの光輝性顔料は、単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。アルミニウム顔料には、ノンリーフィング型アルミニウムとリーフィング型アルミニウムがあるが、いずれも使用できる。
【0109】
上記光輝性顔料はりん片状であることが好ましい。具体的には、光輝性顔料として、長手方向寸法が1〜100μm程度、好ましくは5〜40μm程度であり、厚さが0.001〜5μm程度、好ましくは0.01〜2μm程度であるりん片状顔料を好適に使用できる。
【0110】
本発明の着色塗料組成物が、上記光輝性顔料を含有する場合、該光輝性顔料の配合量は、本発明の着色塗料組成物中の被膜形成性樹脂(A)及び硬化剤(B)の合計量100質量部を基準として、通常1〜50質量部、好ましくは2〜30質量部、さらに好ましくは3〜20質量部の範囲内であることができる。
【0111】
本発明の着色塗料組成物は、以上に述べた各成分を、公知の方法に従って、混合することにより、調製することができる。樹脂成分は、有機溶剤溶液、エマルション等の形態である場合は、そのまま混合することができる。また、顔料成分は、分散用樹脂と混合してペースト状としてから、混合してもよい。また、各成分の混合時に、必要に応じて、有機溶剤、水又はこれらの混合物を、加えてもよい。
【0112】
本発明の着色塗料組成物は、固形分30〜80質量%程度、好ましくは40〜70質量%程度の液状塗料組成物であるのが好ましい。また、着色塗料組成物は、水性型及び有機溶剤型のいずれであってもよい。なお、本明細書において、水性塗料は溶媒の主成分が水である塗料であり、有機溶剤型塗料は溶媒として実質的に水を含有しない塗料である。
【0113】
また、本発明の着色塗料組成物の白黒隠蔽膜厚は10〜50μm程度、好ましくは15〜40μm程度、さらに好ましくは20〜30μm程度であることが好適である。本発明において、白黒隠蔽膜厚とは、塗料を、JIS K5600−4−1(1999)に規定された隠蔽率試験紙上に、膜厚を変えて塗装し、乾燥硬化させた場合に、該隠蔽率試験紙に印刷された白部と黒部が目視によって判別できなくなる最小の硬化膜厚を意味する。
【0114】
以上に述べた本発明の着色塗料組成物は、白色系ベースコート塗料(X)として、前記被塗物上に、それ自体既知の方法、例えば、エアスプレー、エアレススプレー、回転霧化塗装機などにより塗装することができる。塗装の際には、静電印加を行ってもよい。塗装膜厚は、硬化膜厚で、通常10〜60μm、好ましくは21〜40μm、さらに好ましくは25〜35μmの範囲内とすることができる。本発明の着色塗料組成物は、通常、硬化膜厚が、白黒隠蔽膜厚よりも2〜10μm、好ましくは3〜8μm程度厚くなるように塗装される。
【0115】
本発明の着色塗料組成物は、必要に応じて各種電着塗料の下塗り塗膜及び/又は中塗り塗膜を形成せしめた金属部材と、パンパー等のプラスチック部材とが一体化された被塗物上に塗装することもでき、それにより、金属部材とプラスチック部材の塗色を一致せしめるという利点を得られる。
【0116】
白色系ベースコート塗料(X)として本発明の着色塗料組成物を塗装することによって得られる白色系ベースコート塗膜は、次いで、公知の硬化手段によって、硬化せしめられる。塗膜の硬化手段としては、例えば、加熱硬化、紫外線硬化、電子線硬化等が挙げられる。なかでも、加熱硬化が好ましい。
【0117】
上記加熱硬化は熱風加熱、赤外線加熱、高周波加熱等の公知の加熱手段により行うことができる。加熱温度は、80〜180℃程度が好ましく、100〜170℃程度がより好ましく、120〜160℃程度が更に好ましい。加熱時間は、特に制限されるものではないが、通常、10〜60分間程度が好ましく、20〜40分間程度がより好ましい。
【0118】
また、本発明の着色塗料組成物が水性塗料の場合、本発明の着色塗料組成物の塗装後は、上記加熱硬化を行なう前に、ワキ等の塗膜欠陥の発生を防止する観点から、塗膜が実質的に硬化しない加熱条件でプレヒート、エアブロー等を行うことが好ましい。プレヒートの温度は、40〜100℃程度が好ましく、50〜90℃程度がより好ましく、60〜80℃程度が更に好ましい。プレヒートの時間は、30秒間〜15分間程度が好ましく、1〜10分間程度がより好ましく、2〜5分間程度が更に好ましい。また、上記エアブローは、通常、被塗物の塗装面に、常温又は25℃〜80℃程度の温度に加熱された空気を、30秒間〜15分間程度吹き付けることにより行うことができる。
【0119】
工程(2)
本発明に従えば、上記工程(1)で形成される白色系ベースコート硬化塗膜上に、光輝性ベースコート塗料(Y)が塗装される。
光輝性ベースコート塗料(Y)
光輝性ベースコート塗料(Y)は、光輝性顔料を含有する塗料組成物であって、一般に、被塗物に優れた外観を付与することを目的とするものである。
【0120】
本発明に係る複層塗膜形成方法は、本発明の着色塗料組成物によって形成される白色系ベースコート塗膜の色調と光輝性ベースコート塗料(Y)によって形成される光輝性ベースコート塗膜の色調が相俟ったパール調の白色系複層塗膜を得ることができる塗装方法であり、光輝性ベースコート塗膜は下層の白色系ベースコート塗膜を隠蔽しない状態で塗装される。
【0121】
光輝性ベースコート塗料(Y)としては、例えば、自動車車体の塗装において通常使用されるそれ自体既知のものを使用することができる。
【0122】
具体的には、例えば、カルボキシル基、水酸基などの架橋性官能基を有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの基体樹脂と、ブロックされていてもよいポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂などの硬化剤からなる樹脂成分を、光輝性顔料、光輝性顔料以外の顔料、その他の添加剤等と共に、公知の方法に従って、混合することにより、調製することができる。
【0123】
樹脂成分は、有機溶剤溶液、エマルション等の形態である場合は、そのまま混合することができる。また、顔料成分は、分散用樹脂と混合してペースト状としてから、混合してもよい。また、各成分の混合時に、必要に応じて、有機溶剤、水又はこれらの混合物を、加えてもよい。
【0124】
光輝性ベースコート塗料(Y)は、固形分含量5〜50質量%程度、好ましくは10〜45質量%程度の液状塗料組成物であるのが好ましい。また、光輝性ベースコート塗料(Y)は、水性型及び有機溶剤型のいずれであってもよい。
【0125】
光輝性ベースコート塗料(Y)としては、基体樹脂として、本発明の着色塗料組成物の説明において例示した水酸基含有ポリエステル樹脂(A1)及び/又は水酸基含有アクリル樹脂(A2)を使用し、硬化剤としてメラミン樹脂を使用する熱硬化型水性塗料を好適に用いることができる。
【0126】
光輝性ベースコート塗料(Y)が含有する光輝性顔料としては、例えば、本発明の着色塗料組成物の説明において例示した、アルミニウム(蒸着アルミニウムを含む)、銅、亜鉛、真ちゅう、ニッケル、酸化アルミニウム、雲母、酸化チタンや酸化鉄で被覆された酸化アルミニウム、酸化チタンや酸化鉄で被覆された雲母、ガラスフレーク、ホログラム顔料等を挙げることができる。なかでも、アルミニウム、酸化アルミニウム、雲母、酸化チタンや酸化鉄で被覆された酸化アルミニウム、酸化チタンや酸化鉄で被覆された雲母を用いることが好ましく、雲母、酸化チタンや酸化鉄で被覆された酸化アルミニウム、酸化チタンや酸化鉄で被覆された雲母を用いることが特に好ましい。上記光輝性顔料は単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0127】
上記光輝性顔料はりん片状であることが好ましい。具体的には、光輝性顔料として、長手方向寸法が1〜100μm程度、好ましくは5〜40μm程度であり、厚さが0.001〜5μm程度、好ましくは0.01〜2μm程度であるりん片状顔料を好適に使用できる。
【0128】
また、光輝性ベースコート塗料(Y)は、上記光輝性顔料以外の顔料を含有することができる。光輝性顔料以外の顔料としては、例えば、着色顔料、体質顔料等を挙げることができ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0129】
上記着色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、モリブデンレッド、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリン顔料、スレン系顔料、ペリレン顔料などが挙げられる。
【0130】
また、体質顔料としては、例えば、クレー、カオリン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナホワイトなどが挙げられ、なかでも、硫酸バリウムを使用することが好ましい。
【0131】
また、光輝性ベースコート塗料(Y)は、さらに必要に応じて、硬化触媒、増粘剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、可塑剤、有機溶剤、表面調整剤、沈降防止剤等の通常の塗料用添加剤を単独でもしくは2種以上組み合わせて含有することができる。
【0132】
光輝性ベースコート塗料(Y)の白黒隠蔽膜厚は50μm以上、好ましくは70μm以上であることが好適である。
【0133】
光輝性ベースコート塗料(Y)の塗装は、それ自体既知の方法、例えば、エアスプレー、エアレススプレー、回転霧化塗装機などにより塗装することができ、塗装の際、静電印加を行ってもよい。塗装膜厚は、硬化膜厚で通常5〜40μm、好ましくは8〜30μm、さらに好ましくは10〜20μmの範囲内とすることができる。
【0134】
また、光輝性ベースコート塗料(Y)は、下層の白色系ベースコート塗膜との相乗効果を得るため、該塗料(Y)の硬化膜厚が、該塗料(Y)の白黒隠蔽膜厚よりも薄くなるように塗装される。具体的には、例えば、光輝性ベースコート塗料(Y)の白黒隠蔽膜厚が50μm以上であり、かつ該塗料(Y)の塗装膜厚が、硬化膜厚で5〜40μmの範囲内であることが好ましい。
【0135】
また、光輝性ベースコート塗料(Y)が水性塗料の場合、光輝性ベースコート塗料(Y)の塗装後は、ワキ等の塗膜欠陥の発生を防止する観点から、塗膜が実質的に硬化しない加熱条件でプレヒート、エアブロー等を行うことが好ましい。プレヒートの温度は、40〜100℃程度が好ましく、50〜90℃程度がより好ましく、60〜80℃程度が更に好ましい。プレヒートの時間は、30秒間〜15分間程度が好ましく、1〜10分間程度がより好ましく、2〜5分間程度が更に好ましい。また、上記エアブローは、通常、被塗物の塗装面に、常温又は25℃〜80℃程度の温度に加熱された空気を、30秒間〜15分間程度吹き付けることにより行うことができる。
【0136】
工程(3)
上記の如くして形成される光輝性ベースコート塗料(Y)の未硬化塗膜上には、さらに、クリヤコート塗料(Z)が塗装される。
【0137】
クリヤコート塗料(Z)としては、例えば、自動車車体の塗装において通常使用されるそれ自体既知のものを使用することができる。具体的には、例えば、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、シラノール基などの架橋性官能基を有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂などの基体樹脂と、メラミン樹脂、尿素樹脂、ブロックされてもよいポリイソシアネート化合物、カルボキシル基含有化合物もしくは樹脂、エポキシ基含有化合物もしくは樹脂などの架橋剤を樹脂成分として含有する有機溶剤系熱硬化型塗料、水性熱硬化型塗料、熱硬化型粉体塗料などを使用することができる。なかでも、水酸基含有アクリル樹脂及びメラミン樹脂を含んでなる熱硬化型塗料、水酸基含有アクリル樹脂及びブロックされていてもよいポリイソシアネート化合物を含んでなる熱硬化型塗料又はカルボキシル基含有樹脂及びエポキシ基含有樹脂を含んでなる熱硬化型塗料が特に好ましい。
【0138】
また、上記クリヤコート塗料(Z)としては、一液型塗料を用いても良いし、二液型ウレタン樹脂塗料等の多液型塗料を用いても良い。
【0139】
また、クリヤコート塗料(Z)には、必要に応じて、透明性を阻害しない程度に着色顔料、光輝性顔料、染料等を含有させることができ、さらに体質顔料、硬化触媒、増粘剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、可塑剤、有機溶剤、表面調整剤、沈降防止剤などを適宜含有せしめることができる。
【0140】
クリヤコート塗料(Z)は、光輝性ベースコート塗料(Y)の塗膜上に、それ自体既知の方法、例えば、エアレススプレー、エアスプレー、回転霧化塗装機などにより塗装することができ、塗装の際、静電印加を行ってもよい。クリヤコート塗料(Z)は、通常、硬化膜厚で10〜60μm、好ましくは25〜50μmの範囲内になるように塗装することができる。
【0141】
上記クリヤコート塗料(Z)の塗装後は、必要に応じて室温で1〜60分間、好ましくは3〜20分間のインターバルをおいたり、40〜80℃程度で1〜60分間予備加熱することができる。
【0142】
工程(4)
以上に述べた如くして形成される未硬化ベースコート及び未硬化クリヤーコートからなる複層塗膜は、通常の塗膜の加熱手段により、例えば、熱風加熱、赤外線加熱、高周波加熱等により、同時に硬化させることができる。加熱温度は、80〜180℃程度が好ましく、100〜170℃程度がより好ましく、120〜160℃程度が更に好ましい。加熱時間は、特に制限されるものではないが、通常、10〜60分間程度が好ましく、20〜40分間程度がより好ましい。
【0143】
補修塗装方法
本発明の着色塗料組成物を用いた複層塗膜形成方法において、前記工程(1)で形成される白色系ベースコート硬化塗膜に欠陥部分が発見された場合、該欠陥部分を非研削部分との色の相違による塗膜外観の低下が生じない程度に研削除去し、引き続いて、光輝性ベースコート塗料及びクリヤコート塗料を塗装することにより、欠陥部分を補修することができる。
【0144】
すなわち、本発明の着色塗料組成物を用いた複層塗膜形成方法においては、下記の工程(I)〜(V)を順次行う補修方法により、塗膜の補修を行なうことができる。
工程(I):被塗物上に、白色系ベースコート塗料(X)を塗装し、硬化させて、Lが70以上であり、かつ{(a+(b}1/2が0.5〜10の範囲内である白色系ベースコート硬化塗膜を形成する工程、
工程(II):工程(I)で形成される白色系ベースコート硬化塗膜に発生した欠陥部分を、研削部分と非研削部分との色差ΔEが0.5以下となる範囲内で研削除去する工程、
工程(III):工程(I)及び(II)で形成される白色系ベースコート塗膜上に、光輝性ベースコート塗料(Y)を塗装して光輝性ベースコート塗膜を形成する工程、
工程(IV):工程(III)で形成される未硬化の光輝性ベースコート塗膜上に、クリヤコート塗料(Z)を塗装してクリヤコート塗膜を形成する工程、及び
工程(V):工程(III)で形成される未硬化のベースコート塗膜及び工程(IV)で形成される未硬化のクリヤコート塗膜を同時に加熱硬化させる工程
を順次行う白色系複層塗膜の補修方法。
【0145】
工程(I)
本工程では、被塗物上に、白色系ベースコート塗料(X)として、本発明の着色塗料組成物を塗装し、硬化させることにより、Lが70以上であり、かつ{(a+(b}1/2が0.5〜10の範囲内である白色系ベースコート硬化塗膜が形成される。なかでも、得られる白色系複層塗膜のデザイン性に優れる観点から、Lが75〜95、好ましくは80〜90の範囲内であることが好適であり、{(a+(b}1/2が1〜7.5、好ましくは1.5〜5の範囲内であることが好適である。
【0146】
白色系ベースコート硬化塗膜の形成は、前記工程(1)で説明した方法と同様にして、行なうことができる。具体的には、例えば、前記被塗物上に、本発明の着色塗料組成物を、それ自体既知の方法、例えば、エアスプレー、エアレススプレー、回転霧化塗装機などにより塗装することによって行なうことができる。塗装膜厚は、硬化膜厚で、通常10〜60μm、好ましくは21〜40μm、さらに好ましくは25〜35μmの範囲内とすることができる。
【0147】
また、白色系ベースコート塗膜の硬化は、前記工程(1)で説明した方法と同様にして、行なうことができる。具体的には、例えば、加熱硬化、紫外線硬化、電子線硬化等によって硬化せしめることができ、なかでも、加熱硬化によって硬化せしめることが好ましい。
【0148】
上記加熱硬化は熱風加熱、赤外線加熱、高周波加熱等の公知の加熱手段により行うことができる。加熱温度は、80〜180℃程度が好ましく、100〜170℃程度がより好ましく、120〜160℃程度が更に好ましい。加熱時間は、特に制限されるものではないが、通常、10〜60分間程度が好ましく、20〜40分間程度がより好ましい。
【0149】
工程(II)
上記工程(I)において、本発明の塗料組成物を塗装する際、又は塗膜を硬化せしめる際等に、未硬化の塗膜上にゴミ等が付着するなどして、白色系ベースコート硬化塗膜に欠陥部分が発生した場合、該欠陥部分は、研削部分と非研削部分との色差ΔEが0.5以下となる範囲内で研削除去される。上記研削部分と非研削部分との色差ΔEが0.5を超えると、研削部分と非研削部分の色の相違が視認されるため、得られる白色系複層塗膜の外観が低下する。
【0150】
ここで、ΔEは、JIS K 5600−4−6(1999)に規定される値である。本発明において、研削部分と非研削部分との色差ΔEは、研削部分の前記L、a、bと、非研削部分の前記L、a、bから算出することができる。
【0151】
欠陥部分の除去は、通常、研磨紙、研磨布又はこれらを器具に取り付けたもの(サンダー)を使用するなどして、塗膜を研削することによって行われる。例えば、まず、#400〜600程度の比較的粗い粒子の研磨材を含む研磨紙及び/又は研磨布を使用して欠陥部分を研削除去し、ついで#1000〜1500程度の細かい粒径の研磨材を含む研磨紙及び/又は研磨布を使用して研削表面を平滑にすることが、仕上り性を良好にするために好ましい。そして、研削によって生じた塗膜の粉などを除去するためにガソリンなどの有機溶剤で塗面を拭き、それにより同時に塗面を脱脂しておくことが好ましい。
この工程では、白色系ベースコート塗膜のうちの欠陥部分とその周辺部のみの塗面の最小必要面積を研削除去することが望ましい。また、研削除去する深さは、研削部分と非研削部分との色差ΔEが0.5以下となる範囲内で任意に調整することができる。具体的には、例えば、付着したゴミ等の欠陥部分を除去する場合、白色系ベースコート硬化塗膜は通常、深さ方向に1〜8μm程度、好ましくは2〜5μm程度研削除去される。また、研削部分の白色系ベースコート硬化塗膜は、20μm以上、好ましくは23〜33μm程度、さらに好ましくは25〜28μm程度残存することが好適である。また、研削除去は、欠陥部分を中心にして、半径2cm程度の円状に、中心に向かって傾斜をつけながら行なうことが好ましい。
【0152】
白色系ベースコート塗料として、従来の塗料を使用した場合、白色系ベースコート塗膜上の研削部分と非研削部分において色の相違が生じやすく、研削部分と非研削部分との色差ΔEが0.5以下となる範囲内では、白色系ベースコート塗膜を十分に研削できず、欠陥部分のゴミ等を完全に除去できない場合があった。一方、該白色系ベースコート塗料として、本発明の着色塗料組成物を使用した場合、研削部分と非研削部分における色の相違が生じにくく、研削部分と非研削部分との色差ΔEが0.5以下となる範囲内においても、白色系ベースコート塗膜を比較的深く研削することが可能であり、欠陥部分のゴミ等を完全に除去することが可能になった。
【0153】
白色系ベースコート塗料として、本発明の着色塗料組成物を使用した場合に研削部分と非研削部分における色の相違が生じない理由は明確ではないが、有彩色顔料として比較的大きな粒子径を有する有彩色顔料を使用することにより、塗料が被塗物に塗着してから塗膜が硬化するまでの間の有彩色顔料の移動が起こりにくくなり、結果として、有彩色顔料が白色系ベースコート塗膜中に比較的均一に存在していることが推察される。
【0154】
有彩色顔料を白色系ベースコート塗膜中に均一に存在せしめる方法としては、色分かれ防止剤を用いる方法が知られている。しかしながら、該色分かれ防止剤は一般に表面調整剤を含有しているため、該表面調整剤が白色系ベースコート塗膜上に点在化し、該塗膜上に光輝性ベースコート塗料(Y)を塗装した際にハジキが発生する場合があった。一方、本発明は、色分かれ防止剤に依拠することなく、有彩色顔料を白色系ベースコート塗膜中に均一に存在せしめることが可能であるため、ハジキが発生しにくいという利点を有する。
【0155】
工程(III)
本工程では、前記工程(I)で形成される白色系ベースコート塗膜の未補修部分及び上記工程(II)で形成される白色系ベースコート塗膜の補修部分に、光輝性ベースコート塗料(Y)を塗装することにより、光輝性ベースコート塗膜が形成される。光輝性ベースコート塗膜の形成は、前記工程(2)で説明した方法と同様にして、行なうことができる。具体的には、例えば、白色系ベースコート塗膜の未補修部分及び補修部分に、光輝性ベースコート塗料(Y)を、それ自体既知の方法、例えば、エアスプレー、エアレススプレー、回転霧化塗装機などにより塗装することによって行なうことができる。塗装膜厚は、硬化膜厚で、通常5〜40μm、好ましくは8〜30μm、さらに好ましくは10〜20μmの範囲内とすることができる。
【0156】
工程(IV)
本工程では、上記工程(III)で形成される未硬化の光輝性ベースコート塗膜上に、クリヤコート塗料(Z)を塗装することにより、クリヤコート塗膜が形成される。クリヤコート塗膜の形成は、前記工程(3)で説明した方法と同様にして、行なうことができる。具体的には、例えば、光輝性ベースコート塗膜上に、クリヤコート塗料(Z)を、それ自体既知の方法、例えば、エアスプレー、エアレススプレー、回転霧化塗装機などにより塗装することによって行なうことができる。塗装膜厚は、硬化膜厚で、通常10〜60μm、好ましくは25〜50μmの範囲内とすることができる。
【0157】
工程(V)
本工程では、前記工程(III)で形成される未硬化のベースコート塗膜及び上記工程(IV)で形成される未硬化のクリヤコート塗膜が同時に加熱硬化される。上記未硬化のベースコート塗膜及びクリヤコート塗膜の加熱硬化は、前記工程(4)で説明した方法と同様にして、行なうことができる。具体的には、例えば、未硬化のベースコート塗膜及びクリヤコート塗膜を、熱風加熱、赤外線加熱、高周波加熱等の公知の加熱手段により加熱することにより硬化せしめることができる。加熱温度は、80〜180℃程度が好ましく、100〜170℃程度がより好ましく、120〜160℃程度が更に好ましい。加熱時間は、特に制限されるものではないが、通常、10〜60分間程度が好ましく、20〜40分間程度がより好ましい。
【実施例】
【0158】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、「部」及び「%」は「質量部」及び「質量%」を示す。
【0159】
白色系ベースコート塗料(X)の製造
実施例1
水酸基含有アクリル樹脂(注1)70質量部、メラミン樹脂(注2)30質量部、「TITANIX JR−405」(商品名、テイカ社製、二酸化チタン顔料、平均一次粒子径:210nm)100部、「ダイピロキサイド ブルー 9410」(商品名、大日精化社製、コバルトブルー着色顔料、平均一次粒子径:700nm)1.5部、「FASTOGEN SUPER RED YE」(商品名、大日本インキ工業社製、キナクリドンレッド着色顔料、平均一次粒子径:250nm)0.3部、「FASTOGEN BLUE 5030L」(商品名、大日本インキ工業社製、銅フタロシアニンブルー着色顔料、平均一次粒子径:50nm)0.2部及び「三菱カーボンブラック MA−100」(商品名、三菱化学社製、カーボンブラック着色顔料、平均一次粒子径:20nm)0.1部を、有機溶剤(トルエン及びキシレンの等重量混合溶剤)中に混合分散し、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度が21秒となるように調整して、白色系ベースコート塗料(X−1)を得た。なお、各成分の配合量は、いずれも固形分質量を示す。
(注1)水酸基含有アクリル樹脂:水酸基価70mgKOH/g、酸価14mgKOH/g及び数平均分子量30,000の水酸基含有アクリル樹脂。
(注2)メラミン樹脂:メチル−ブチル混合エーテル化メラミン樹脂、重量平均分子量1,800。
【0160】
実施例2〜9、比較例1〜6
顔料配合を下記表1に示す配合とする以外は、実施例1と同様の方法により、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度が21秒である白色系ベースコート塗料(X−2)〜(X−15)を得た。
【0161】
【表1】

【0162】
【表2】

【0163】
(注3)「TITANIX JR−605」:商品名、テイカ社製、二酸化チタン顔料、平均一次粒子径が250nm
(注4)「TITANIX JR−301」:商品名、テイカ社製、二酸化チタン顔料、平均一次粒子径が300nm
(注5)「ダイピロキサイド グリーン 9320」:商品名、大日精化社製、コバルトグリーン着色顔料、平均一次粒子径が850nm
(注6)「トダカラー 180ED」:商品名、戸田工業社製、ベンガラ着色顔料、平均一次粒子径が550nm
(注7)「シアニングリーン 5370」:商品名、大日精化社製、銅フタロシアニングリーン着色顔料、平均一次粒子径が80nm
(注8)「IRGAZIN DPP RUBIN TR」:商品名、Ciba Specialty Chemicals社製、ジケトピロロピロールレッド着色顔料、平均一次粒子径が50nm
(注9)「トダカラー KN320」:商品名、戸田工業社製、黒色酸化鉄着色顔料、平均一次粒子径が270nm。
【0164】
試験板の作製
上記実施例1〜9及び比較例1〜6で得た白色系ベースコート塗料(X−1)〜(X−15)を用いて、以下のようにしてそれぞれ試験板を作製し、評価試験を行なった。
【0165】
(試験用被塗物の作製)
幅100mm、長さ300mm、厚さ0.8mmのリン酸亜鉛処理された冷延鋼板に、熱硬化性エポキシ樹脂系カチオン電着塗料組成物(商品名「エレクロンGT−10」、関西ペイント社製)を硬化膜厚20μmになるように電着塗装し、170℃で30分加熱して硬化させた。次いで、この電着塗膜上に中塗り塗料組成物(商品名「TP−65−2 No.8007」、関西ペイント社製、ポリエステル樹脂・アミノ樹脂系有機溶剤型塗料組成物)を硬化膜厚35μmになるように塗装し、140℃で30分間加熱して硬化させた。かくして、鋼板上に電着塗膜及び中塗り塗膜を形成してなる試験用被塗物を作製した。
【0166】
実施例10
上記試験用被塗物に、実施例1で得た白色系ベースコート塗料(X−1)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化膜厚30μmとなるように静電塗装し、室温で7分間放置した後、140℃で30分間加熱し、白色系ベースコート硬化塗膜を得た。次いで、得られた白色系ベースコート塗膜のL、a、bをマルチアングル分光測色計「CM−512m3」(コニカミノルタ社製)を用いて、照明の入射角45°の測定条件で、測定した。次に、該白色系ベースコート塗膜面を、半径約2cmの円状に、円状の中心部の白色系ベースコート塗膜の硬化膜厚が25μmになるまで、#600耐水研磨紙及び#1200耐水研磨紙で研磨除去した。次いで、この研磨除去部分を含む試験用被塗物全体に、光輝性ベースコート塗料(商品名「マジクロンTB−516 No.070」、関西ペイント社製、アクリル樹脂・アミノ樹脂系有機溶剤型塗料組成物)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化膜厚15μmとなるように静電塗装した。室温で7分間放置した後、上記未硬化の光輝性ベースコート塗膜上にクリヤコート塗料(商品名「マジクロンKINO−1210TW」、関西ペイント社製、アクリル樹脂系有機溶剤型塗料組成物)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化膜厚40μmとなるように塗装した。室温で7分間放置した後、140℃で30分間加熱して、光輝性ベースコート塗膜及びクリヤコート塗膜を同時に硬化させ、試験板を作製した。
【0167】
実施例11〜18、比較例7〜12
白色系ベースコート塗料として、表2に示す塗料を用いる以外は実施例10と同様の方法により試験板を作製した。
【0168】
評価試験
上記実施例10〜18及び比較例7〜12で得られた各試験板について、下記の試験方法により評価を行なった。評価結果を表2に示す。
【0169】
(試験方法)
補修性:マルチアングル分光測色計「CM−512m3」(コニカミノルタ社製)を用いて、照明の入射角45°の測定条件で、白色系ベースコート塗膜の研磨除去を行なった部分と行なわなかった部分の色差ΔE(JIS K 5600−4−6(1999))を測定した。ΔEが小さいほど、補修部と非補修部の色の相違が小さく、塗膜の補修性が優れていることを示す。
【0170】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の工程(1)〜(4)、
工程(1):被塗物上に、白色系ベースコート塗料(X)を塗装し、硬化させて、Lが70以上であり、かつ{(a+(b}1/2が0.5〜10の範囲内である白色系ベースコート硬化塗膜を形成する工程、
工程(2):工程(1)で形成される白色系ベースコート硬化塗膜上に、光輝性ベースコート塗料(Y)を塗装して光輝性ベースコート塗膜を形成する工程、
工程(3):工程(2)で形成される未硬化の光輝性ベースコート塗膜上に、クリヤコート塗料(Z)を塗装してクリヤコート塗膜を形成する工程、及び
工程(4):工程(2)で形成される未硬化のベースコート塗膜及び工程(3)で形成される未硬化のクリヤコート塗膜を同時に加熱硬化させる工程
を順次行う白色系複層塗膜形成方法において、白色系ベースコート塗料(X)として使用するための着色塗料組成物であって、被膜形成性樹脂(A)、硬化剤(B)、二酸化チタン顔料(C)及び有彩色顔料(D)を含有し、かつ有彩色顔料(D)が、平均一次粒子径が100〜1000nmの範囲内である有彩色顔料(D1)を、有彩色顔料(D)の総量を基準として、70質量%以上含有することを特徴とする着色塗料組成物。
【請求項2】
平均一次粒子径が100〜1000nmの範囲内である有彩色顔料(D1)が金属酸化物系顔料である請求項1記載の着色塗料組成物。
【請求項3】
被膜形成性樹脂(A)、硬化剤(B)、二酸化チタン顔料(C)及び有彩色顔料(D)の配合割合が、被膜形成性樹脂(A)及び硬化剤(B)の合計量100質量部を基準として、被膜形成性樹脂(A)が30〜95質量部、硬化剤(B)が5〜70質量部、二酸化チタン顔料(C)が5〜160質量部、有彩色顔料(D)が0.005〜20質量部の範囲内である請求項1又は2に記載の着色塗料組成物。
【請求項4】
二酸化チタン顔料(C)の平均一次粒子径が200〜350nmの範囲内である請求項1〜3のいずれか1項に記載の着色塗料組成物。
【請求項5】
下記の工程(1)〜(4)、
工程(1):被塗物上に、白色系ベースコート塗料(X)を塗装し、硬化させて、Lが70以上であり、かつ{(a+(b}1/2が0.5〜10の範囲内である白色系ベースコート硬化塗膜を形成する工程、
工程(2):工程(1)で形成される白色系ベースコート硬化塗膜上に、光輝性ベースコート塗料(Y)を塗装して光輝性ベースコート塗膜を形成する工程、
工程(3):工程(2)で形成される未硬化の光輝性ベースコート塗膜上に、クリヤコート塗料(Z)を塗装してクリヤコート塗膜を形成する工程、及び
工程(4):工程(2)で形成される未硬化のベースコート塗膜及び工程(3)で形成される未硬化のクリヤコート塗膜を同時に加熱硬化させる工程
を順次行う白色系複層塗膜形成方法において、白色系ベースコート塗料(X)が、被膜形成性樹脂(A)、硬化剤(B)、二酸化チタン顔料(C)及び有彩色顔料(D)を含有し、かつ有彩色顔料(D)が、平均一次粒子径が100〜1000nmの範囲内である有彩色顔料(D1)を、有彩色顔料(D)の総量を基準として、70質量%以上含有する着色塗料組成物であることを特徴とする白色系複層塗膜形成方法。
【請求項6】
被塗物が、下塗り塗膜及び/又は中塗り塗膜が形成された車体である請求項5に記載の白色系複層塗膜形成方法。
【請求項7】
二酸化チタン顔料(C)の平均一次粒子径が200〜350nmの範囲内である請求項5又は6に記載の白色系複層塗膜形成方法。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか1項に記載の白色系複層塗膜形成方法により塗装された物品。

【公開番号】特開2013−57073(P2013−57073A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−241919(P2012−241919)
【出願日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【分割の表示】特願2008−74446(P2008−74446)の分割
【原出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【Fターム(参考)】