説明

着色感光性樹脂組成物、カラーフィルタ及び表示装置

【課題】粘度及びパターニング特性の経時安定性に優れた着色感光性樹脂組成物、該着色感光性樹脂組成物を用いて形成されたカラーフィルタ、及びカラーフィルタを備える表示装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る着色感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、無機顔料、及び溶剤を含有し、上記溶剤がアミド構造を有する溶剤を含む。アミド構造を有する溶剤は下記式で表されるものが好ましい。式中、R,R,Rはそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を示し、nは1〜3の整数を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色感光性樹脂組成物、カラーフィルタ、及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、カラーフィルタはリソグラフィ法により製造される。このリソグラフィ法では、まず、基板上に黒色の着色感光性樹脂組成物を塗布した後、露光、現像し、ブラックマトリクスを形成する。次いで、赤色、緑色、及び青色の各色の着色感光性樹脂組成物毎に、塗布、乾燥、露光、及び現像を繰り返し、各色の画素領域を所定の位置に形成してカラーフィルタを製造する。
【0003】
カラーフィルタに用いられる着色感光性樹脂組成物は、先ず顔料と顔料分散剤とを溶剤に分散させて顔料分散液とし、次いで、この顔料分散液に樹脂等の他の構成成分を添加し、混合することによって調製するのが一般的である。
【0004】
溶剤には、従来、着色感光性樹脂組成物に含まれる各成分に対して溶解性の高いもの、あるいは、着色感光性樹脂組成物を基板等に塗布した際に、塗布性、蒸発性に優れたものが用いられ、エステル系、ケトン系の溶剤が多く用いられていた。しかし、有機顔料と顔料分散剤を含む着色感光性樹脂組成物の場合、顔料分散剤がエステル系、ケトン系の溶剤に溶けにくく、顔料の粒径を微粒子化することができないため、そのような着色感光性樹脂組成物を用いると高いコントラストを持つカラーフィルタを作製できないという問題があった。これに対し、溶剤としてアミド構造を有する溶剤を用いると、顔料分散剤の溶解度を高めることができ、顔料粒径を小さくし、高い透過率を有する着色感光性樹脂組成物を作成でき、これを用いたところ高いコントラストを持つカラーフィルタを作製できたと報告されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−330165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、顔料として無機顔料を用いた着色感光性樹脂組成物では、溶剤にエステル系、ケトン系の溶剤を用いると、長期保管により、大きな粘度変化が生じ、パターニング特性が劣化するという問題があった。このため、保存安定性に優れる着色感光性樹脂組成物が望まれていた。
【0007】
本発明は、粘度及びパターニング特性の経時安定性に優れた着色感光性樹脂組成物、該着色感光性樹脂組成物を用いて形成されたカラーフィルタ、及びカラーフィルタを備える表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定の溶剤を含有することによって上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明の第一の態様は、アルカリ可溶性樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、無機顔料、及び溶剤を含有する着色感光性樹脂組成物であって、上記溶剤がアミド構造を有する溶剤を含むことを特徴とする着色感光性樹脂組成物である。
【0010】
本発明の第二の態様は,本発明に係る着色感光性樹脂組成物を用いて形成されたカラーフィルタであり、本発明の第三の態様は、本発明に係るカラーフィルタを備える表示装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、粘度及びパターニング特性の経時安定性に優れた着色感光性樹脂組成物を得ることができる。このため、本発明に係る着色感光性樹脂組成物は、各種カラーフィルタの作製及びそれを備える表示装置に好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る着色感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、無機顔料、及び溶剤を含有する。先ず、これらの構成成分について説明する。
【0013】
<アルカリ可溶性樹脂>
本発明で用いられるアルカリ可溶性樹脂としては、特に限定されず、従来公知のアルカリ可溶性樹脂を用いることができる。本明細書においてアルカリ可溶性樹脂とは、樹脂濃度20質量%の樹脂溶液(溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)により、膜厚1μmの樹脂膜を基板上に形成し、23℃で2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に1分間浸漬した際に、膜厚0.01μm以上溶解するものをいう。
【0014】
アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、エポキシ化合物と不飽和カルボン酸との反応物を、さらに多塩基酸無水物と反応させることにより得られる樹脂を用いることができる。
【0015】
その中でも、下記式(a−1)で表される樹脂が好ましい。この式(a−1)で表される樹脂は、それ自体が、光硬化性が高い点で好ましい。
【0016】
【化1】

【0017】
上記式(a−1)中、Xは、下記式(a−2)で表される基を示す。
【0018】
【化2】

【0019】
上記式(a−2)中、Ra1は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又はハロゲン原子を示し、Ra2は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、Wは、単結合又は下記式(a−3)で表される基を示す。
【0020】
【化3】

【0021】
また、上記式(a−1)中、Yは、ジカルボン酸無水物から酸無水物基(−CO−O−CO−)を除いた残基を示す。ジカルボン酸無水物の例としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸等が挙げられる。
【0022】
また、上記式(a−1)中、Zは、テトラカルボン酸二無水物から2個の酸無水物基を除いた残基を示す。テトラカルボン酸二無水物の例としては、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
また、上記式(a−1)中、mは、0〜20の整数を示す。
【0023】
また、エチレン性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、多価アルコール類と一塩基酸又は多塩基酸とを縮合して得られるポリエステルプレポリマーに(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレート;ポリオールと2個のイソシアネート基を持つ化合物とを反応させた後、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノール又はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、レゾール型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエステル、脂肪族又は脂環式エポキシ樹脂、アミンエポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等を用いることもできる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸とメタクリル酸との両方を意味する。同様に、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートとの両方を意味する。
【0024】
アルカリ可溶性樹脂の質量平均分子量は、1000〜40000であることが好ましく、2000〜30000であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、良好な現像性を得ながら、十分な耐熱性、膜強度を得ることができる。
【0025】
アルカリ可溶性樹脂の含有量は、着色感光性樹脂組成物の固形分に対して5〜80質量%であることが好ましく、15〜50質量%であることがより好ましい。ここでいう固形分とは、溶剤以外の成分である。上記の範囲とすることにより現像性のバランスがとりやすい傾向がある。
【0026】
<光重合性モノマー>
本発明に係る着色感光性樹脂組成物は、光重合性モノマーを含有する。光重合性モノマーとしては、単官能モノマーと多官能モノマーとがある。
【0027】
単官能モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0028】
一方、多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(すなわち、トリレンジイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN−メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物等の多官能モノマーや、トリアクリルホルマール等が挙げられる。これらの多官能モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0029】
光重合性モノマーの含有量は、着色感光性樹脂組成物の固形分に対して1〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感度、現像性、解像性のバランスがとりやすい傾向がある。
【0030】
<光重合開始剤>
本発明に係る着色感光性樹脂組成物は、光重合開始剤を含有する。光重合開始剤としては、特に限定されず、従来公知の光重合開始剤を用いることができる。
【0031】
光重合開始剤として具体的には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾル−3−イル],1−(o−アセチルオキシム)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシル安息香酸、4−ジメチルアミノ−2−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド、2−メルカプトベンゾイミダール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン(すなわち、ミヒラーズケトン)、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン(すなわち、エチルミヒラーズケトン)、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、p−メトキシトリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、「IRGACURE OXE02」、「IRGACURE OXE01」、「IRGACURE 369」、「IRGACURE 651」、「IRGACURE 907」(商品名:BASF製)、「NCI−831」(商品名:ADEKA製)等が挙げられる。これらの中でも、オキシム系の光重合開始剤を用いることが、感度の面で特に好ましく、カルバゾール骨格を有するオキシム系光重合開始剤を用いることが特に好ましい。これらの光重合開始剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0032】
光重合開始剤の含有量は、着色感光性樹脂組成物の固形分に対して0.5〜20質量%であることが好ましい。上記の範囲とすることにより、十分な耐熱性、耐薬品性を得ることができ、また塗膜形成能を向上させ、硬化不良を抑制することができる。
【0033】
<無機顔料>
本発明に係る着色感光性樹脂組成物は無機顔料を含有する。無機顔料としては、特に限定されず、従来公知の無機顔料を用いることができる。
【0034】
無機顔料として具体的には、カーボンブラック、チタンブラック、Cu、Fe、Mn、Cr、Co、Ni、V、Zn、Se、Mg、Ca、Sr、Ba、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Hg、Pb、Bi、Si、及びAl等の各種金属酸化物、複合酸化物、金属硫化物、金属硫酸塩、又は金属炭酸塩等が挙げられる。
ブラックマトリクスを形成する際には、高い遮光性を有するカーボンブラックを用いることが好ましい。カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック等、公知のカーボンブラックを用いることができるが、遮光性に優れるチャンネルブラックを用いることが特に好ましい。また、樹脂被覆カーボンブラックを用いてもよい。
【0035】
樹脂被覆カーボンブラックは、樹脂被覆のないカーボンブラックに比べて導電性が低いことから、液晶ディスプレイのような液晶表示素子のブラックマトリクスとして用いた場合に電流のリークが少なく、信頼性の高い低消費電力のディスプレイを製造できる。
【0036】
また、無機顔料を均一に分散させるために、さらに分散剤を使用してもよい。このような分散剤としては、ポリエチレンイミン系、ウレタン樹脂系、アクリル樹脂系の高分子分散剤を用いることが好ましい。特に、無機顔料としてカーボンブラックを用いる場合には、アクリル樹脂系の分散剤を用いることが好ましい。
【0037】
無機顔料の含有量は、着色感光性樹脂組成物の固形分に対して5〜70質量%であることが好ましく、25〜55質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、目的とするパターンでブラックマトリクスや各着色層を形成することができ、好ましい。特にブラックマトリクスを形成する場合には、膜厚1μmあたりのOD値が、4以上となるように着色感光性樹脂組成物における無機顔料の量を調整することが好ましい。ブラックマトリクスにおける膜厚1μmあたりのOD値が4以上あれば、液晶ディスプレイのブラックマトリクスに用いた場合に、十分な表示コントラストを得ることができる。
【0038】
<溶剤>
本発明に係る着色感光性樹脂組成物は溶剤を含有し、当該溶剤は、アミド構造を有する溶剤を含む。ここで、アミド構造を有する溶剤とは、カルボニル基と窒素との結合を持つ溶剤であり、カルボン酸アミド、イミド、尿素及びその誘導体等を意味する。アミド構造を有する溶剤を含むことにより、粘度の経時安定性、パターニング特性の経時安定性が向上する。
【0039】
上記アミド構造を有する溶剤としては、下記式(1)又は(2)で表されるものを用いることが好ましい。
【0040】
【化4】

【0041】
上記式(1)中、Rはそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を示し、Xは水素原子、アルキル基、又はアミノ基を示す。
【0042】
【化5】

【0043】
上記式(2)中、R、Rはそれぞれ水素原子又はアルキル基を示し、nは1〜3の整数を示す。
【0044】
,R,及びRは、好ましくは、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基である。また、nは、好ましくは1又は2である。
【0045】
また、上記アミド構造を有する溶剤はその沸点が150〜250℃であるものが好ましい。上記の範囲とすることにより、着色感光性樹脂組成物を基板上に塗布した後の乾燥時に、突沸を起さずに塗膜から十分に揮発するので、表面欠陥や表面荒れを起こしにくい。
【0046】
上記式(1)又は(2)で表され、沸点が150〜250℃であるアミド構造を有する溶剤としては、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,1,3,3−テトラエチルウレア、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリドン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド等が挙げられる。
【0047】
上記アミド構造を有する溶剤は、一般に着色感光性樹脂組成物に用いられる他の溶剤と組み合わせて用いるのが良い。一般に用いられる他の溶剤には、アルカリ可溶性樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、無機顔料を分散又は溶解し、かつこれらの成分と反応せず、適度の揮発性を有するものを用いればよく、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル類、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ケトン類、エステル類、芳香族炭化水素類が挙げられる。
【0048】
具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、蟻酸n−ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類が挙げられる。これらの溶剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0049】
上記溶剤の中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、3−メトキシブチルアセテート、乳酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテルは、上記無機顔料の分散性を良好にすることができるため好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテートを用いることが特に好ましい。
【0050】
これらの溶剤と、上記アミド構造を有する溶剤とを組み合わせて、着色感光性樹脂組成物用の溶剤とすることが好ましく、上記アミド構造を有する溶剤を、全溶剤中に1〜90質量%含むことが好ましく、1〜50質量%含むことがより好ましい。
【0051】
溶剤の含有量は、得られる着色感光性樹脂組成物の塗布性、安定性等の観点から、着色感光性樹脂組成物の全固形分の合計濃度が、1〜50質量%となる量が好ましく、5〜30質量%となる量がより好ましい。
【0052】
本発明に係る着色感光性樹脂組成物は、必要に応じて、種々の添加剤を含有することもできる。
【0053】
添加剤としては、例えば、ガラス、アルミナ等の充填剤;ポリビニルアルコール、ポリ(フロオロアルキルアクリレート)類等の高分子化合物;フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤等の界面活性剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤;ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤;マロン酸、アジピン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、メサコン酸、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、5−アミノ−1−ペンタノール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、4−アミノ−1,2−ブタンジオール等の残渣改善剤等を挙げることができる。
【0054】
本発明において、着色感光性樹脂組成物は、適宜の方法により調製することができる。好ましい着色感光性樹脂組成物の調製方法としては、無機顔料を溶剤中、必要に応じて添加する他の分散剤の存在下で、場合によってはアルカリ可溶性樹脂の一部と共に、例えばビーズミル、ロールミル等を用いて、粉砕しつつ混合・分散して分散液とし、次いで、この分散液に、アルカリ可溶性樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤と、必要に応じてさらに追加の溶剤や添加剤を添加し、混合することにより調製する方法を挙げることができる。
【0055】
このように調製された着色感光性樹脂組成物は、粘度及びパターニング特性の経時安定性に優れる。
【0056】
≪カラーフィルタ、表示装置≫
本発明に係るカラーフィルタは、本発明に係る着色感光性樹脂組成物を用いて形成された着色層を備えるものである。基板上あるいは予め所望のパターンの遮光層を形成した基板上に、着色感光性樹脂組成物を用いて塗膜を形成し、該塗膜に対して所定パターン状に放射線を照射し、現像することにより、例えば液晶表示ディスプレイのカラーフィルタの画素やブラックマトリクスを形成することができる。
【0057】
本発明に係る表示装置は、このようなカラーフィルタを備えるものであり、表示装置として、液晶表示ディスプレイや有機ELディスプレイ等が挙げられる。
【実施例】
【0058】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例になんら制約されるものではない。
【0059】
<着色感光性樹脂組成物の調製>
[実施例1]
以下の各成分を混合し、混合物を1時間撹拌した後、5μmのメンブレンフィルターで濾過し、着色感光性樹脂組成物を調製した。
・アルカリ可溶性樹脂
樹脂A(固形分55%、溶剤:3−メトキシブチルアセテート)・・・60質量部
・光重合性モノマー
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製)・・・25質量部
・光重合開始剤
エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)「IRGACURE OXE−02」(商品名:BASF社製)・・・15質量部
・無機顔料
カーボン分散液「CFブラック」(商品名:御国色素社製 固形分25% 溶剤:3−メトキシブチルアセテート・・・400質量部
・溶剤
3−メトキシブチルアセテート/1,1,3,3−テトラメチルウレア/プロピレングリコールモノメチルアセテート=55/10/35(質量比)・・・300質量部
【0060】
上記樹脂Aの合成法は下記の通りである。
まず、500ml四つ口フラスコ中に、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量235)235g、テトラメチルアンモニウムクロライド110mg、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール100mg、及びアクリル酸72.0gを仕込み、これに25ml/分の速度で空気を吹き込みながら90〜100℃で加熱溶解した。次に、溶液が白濁した状態のまま徐々に昇温し、120℃に加熱して完全溶解させた。この際、溶液は次第に透明粘稠になったが、そのまま撹拌を継続した。この間、酸価を測定し、1.0mgKOH/g未満になるまで加熱撹拌を続けた。酸価が目標値に達するまで12時間を要した。そして室温まで冷却し、無色透明で固体状の下記式(a−4)で表されるビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレートを得た。
【0061】
【化6】

【0062】
次いで、このようにして得られた上記のビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレート307.0gに3−メトキシブチルアセテート600gを加えて溶解した後、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物80.5g及び臭化テトラエチルアンモニウム1gを混合し、徐々に昇温して110〜115℃で4時間反応させた。酸無水物基の消失を確認した後、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸38.0gを混合し、90℃で6時間反応させ、樹脂Aを得た。酸無水物基の消失はIRスペクトルにより確認した。
なお、この樹脂Aは、上記式(a−1)で表される化合物に相当する。
【0063】
[実施例2〜10及び比較例1〜9]
溶剤の混合比率(質量比)を表1のように変えた他は、実施例1と同様にして着色感光性樹脂組成物を調製した。
【0064】
【表1】

MBA:3−メトキシブチルアセテート
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
EL:エチルラクテート
エチルセロソルブ:エチレングリコールモノエチルエーテル
AN:シクロヘキサノン
γ−BL:γ−ブチロラクトン
δ−VL:δ−バレロラクトン
ε−CL:ε−カプロラクトン
TMU:1,1,3,3−テトラメチルウレア
DMF:ジメチルホルムアミド
DMAC:ジメチルアセトアミド
DMI:1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン
【0065】
<着色感光性樹脂組成物の評価>
[粘度安定性評価]
実施例1〜10、比較例1〜9の着色感光性樹脂組成物を、調製初期段階と25℃に7日間保管した後に、E型粘度計を用いて粘度を測定し、初期と保管後の粘度差を求めた。評価指標は粘度差0.1未満を○とし、0.1以上を×として評価した。結果を表2に示す。
【0066】
【表2】

【0067】
表2からわかるように、溶剤中にアミド構造を有する溶剤である1,1,3,3−テトラメチルウレア、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを含有した場合は、7日間保管後も初期の粘度との差が0.03〜0.04であり、粘度の経時安定性に優れていた。
溶剤中に、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンを含有した場合も、粘度の経時安定性に優れていた。
【0068】
[パターニング特性安定性評価]
実施例1〜10、比較例1〜9の着色感光性樹脂組成物を、調製初期段階と25℃に7日間保管した後に、それぞれ別のガラス基板(10mm×10mm)上にスピンコーター(コーニング社製、Eagle−XG)を用いて塗布し、ホットプレート上で90℃で120秒間プリベークを行い、膜厚1.0μmの塗膜を形成した。次いで、この塗膜をミラープロジェクションアライナー(トプコン社製、TME−150RTO)を用いて50mJ/cm(露光ギャップ50μm)で露光した。露光時には線幅寸法4,6,8,10,12,14,16,18,20μmの各マスクを介して露光した。露光後26℃にて0.04質量%KOH水溶液で60秒間現像後、光学顕微鏡にて各線幅の解像有無を確認し、パターニングしている最も細い線を確認した。初期と保管後とでパターニングできた最も細い線幅の差を求め、その差が0μmの場合は◎、2〜4μmでは○、6μm以上の場合は×と評価した。結果を表3に示す。
【0069】
【表3】

【0070】
表3からわかるように、いずれの着色感光性樹脂組成物も、調製初期には良好な微小パターニング特性を示していた。溶剤中にアミド構造を有する溶剤である1,1,3,3−テトラメチルウレア、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを含有した場合は、7日間保管後も初期と変わらない良好な微小パターニング特性を示しており、パターニング特性の経時安定性に優れていた。一方、その他の場合は、パターニング特性の劣化が見られた。特に、粘度の経時安定性が優れていた比較例8,9では、パターニング特性の劣化が著しかった。
【0071】
このように、アルカリ可溶性樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、無機顔料、溶剤を含有する着色感光性樹脂組成物において、溶剤にアミド構造を有する溶剤を含むと、粘度及びパターニング特性の経時安定性に優れたものが得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ可溶性樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、無機顔料、及び溶剤を含有する着色感光性樹脂組成物であって、前記溶剤がアミド構造を有する溶剤を含むことを特徴とする着色感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記アミド構造を有する溶剤が下記式(1)又は(2)で表される溶剤を含む請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
【化1】

(式中、Rはそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を示し、Xは水素原子、アルキル基、又はアミノ基を示す。)
【化2】

(式中、R、Rはそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を示し、nは1〜3の整数を示す。)
【請求項3】
前記アミド構造を有する溶剤の沸点が150〜250℃である請求項1又は2に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記アミド構造を有する溶剤の割合が全溶剤中1〜90質量%である請求項1から3のいずれか1項に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の着色感光性樹脂組成物を用いて形成されたカラーフィルタ。
【請求項6】
請求項5記載のカラーフィルタを備える表示装置。

【公開番号】特開2013−72882(P2013−72882A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209397(P2011−209397)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】