説明

着色感光性樹脂組成物

【課題】高コントラストな赤色画素及びカラーフィルタを製造することができる着色感光性樹脂組成物を提供する。
を提供する。
【解決手段】顔料(A)、バインダー樹脂(B)、光重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)及び溶剤(E)を含み、顔料(A)は、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド242及びC.I.ピグメントレッド254を含む顔料であり、全顔料中のC.I.ピグメントレッド242の含有量は、60重量%以下である着色感光性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色感光性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー液晶ディスプレイ、カラービデオカメラなどに使用されるカラーフィルタは、一般に、ガラスなどの透明基板又はシリコンなどの不透明基板上に、赤(R)、緑(G)及び青(B)などの3色の透明着色微細パターンを形成することにより製造される。透明着色微細パターンは着色感光性樹脂組成物からなり、着色感光性樹脂組成物に含まれる顔料の種類や含有量によって調色されている。
たとえば特許文献1には、C.I.ピグメントレッド177及びC.I.ピグメントレッド242を含み、全顔料中のC.I.ピグメントレッド242の含有量は、65〜90重量%である着色感光性樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3924872号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高コントラストな赤色画素及びカラーフィルタを製造することができる着色感光性樹脂組成物が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、顔料(A)、バインダー樹脂(B)、光重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)及び溶剤(E)を含み、
顔料(A)は、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド242及びC.I.ピグメントレッド254を含む顔料であり、
全顔料中のC.I.ピグメントレッド242の含有量は、60重量%以下である着色感光性樹脂組成物である。
【0006】
また本発明は、全顔料中のC.I.ピグメントレッド242の含有量は、50重量%以下である上記着色感光性樹脂組成物である。
【0007】
また本発明は、全顔料中のC.I.ピグメントレッド242の含有量は、35重量%以下である上記着色感光性樹脂組成物である。
また本発明は、全顔料中のC.I.ピグメントレッド254の含有量は、80重量%以下である上記着色感光性樹脂組成物である。
【0008】
また本発明は、全顔料中のC.I.ピグメントレッド254の含有量は、50重量%以下である上記着色感光性樹脂組成物である。
【0009】
また本発明は、上記着色感光性樹脂組成物を用いて形成されている画素である。
【0010】
また本発明は、上記画素を含むカラーフィルタである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の着色感光性樹脂組成物によれば、高コントラストな赤色画素及びカラーフィルタを製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、顔料(A)、バインダー樹脂(B)、光重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)及び溶剤(E)を含み、顔料(A)が、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド242及びC.I.ピグメントレッド254を含む顔料であり、全顔料中のC.I.ピグメントレッド242の含有量は、60重量%以下である。
【0013】
全顔料中のC.I.ピグメントレッド242の含有量は、50重量%以下であることが好ましく、35重量%以下であることがより好ましい。また、5重量%以上であることが好ましく、15重量%以上であることがより好ましい。C.I.ピグメントレッド242の含有量が上記範囲であれば、輝度と色純度が高い赤色画素を形成することができる。
【0014】
全顔料中のC.I.ピグメントレッド177の含有量は、5重量%以上であることが好ましく、10重量%以上であることがより好ましい。また、95重量%以下であることが好ましく、85重量%以下であることがより好ましい。C.I.ピグメントレッド177の含有量が上記範囲であれば、輝度と色純度が高い赤色画素を形成することができる。
【0015】
全顔料中のC.I.ピグメントレッド254の含有量は、80重量%以下であることが好ましく、50重量%以下であることがより好ましく、40重量%以下であることがさらに好ましい。また、5重量%以上であることが好ましく、20重量%以上であることがより好ましい。上記範囲内であれば、熱析出物による異物の発生が少なくなる。
【0016】
また、顔料(A)は、調色顔料として任意顔料を含んでいてもよい。
赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、123、144、149、166、168、176、180、192、209、215、216、224、255、264、265などが挙げられる。これらの赤色顔料はそれぞれ単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
青色顔料しては、C.I.ピグメントブルー15:3、15:4、76などが挙げられ、好ましくはC.I.ピグメントブルー15:3、15:4及び76が挙げられ、より好ましくはC.I.ピグメントブルー15:3が挙げられる。これらの青色顔料はそれぞれ単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー2、10、13、20、24、31、53、55、83、86、93、94、109、110、117、125、137、138、139、147、148、150、151、153、154、166、173、180又は185などが挙げられ、好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、139、150が挙げられる。これらの黄色顔料はそれぞれ単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
さらに、これらの顔料に調色用として、C.I.ピグメントグリーン36又はC.I.ピグメントグリーン7を添加してもよい。
【0017】
顔料(A)の含有量は、着色感光性樹脂組成物中の全固形分量を基準に、通常10重量%以上60重量%以下、好ましくは10重量%以上55重量%以下、より好ましくは15重量%以上50重量%以下である。顔料(A)の含有量が上記の範囲内であると、カラーフィルタにしたときの色濃度が十分であり、かつ組成物中にバインダーポリマーを必要量含有させることができるので、機械的強度が十分なパターンを形成することができる傾向がある。
【0018】
バインダー樹脂(B)は、アルカリ溶解性を有することが好ましい。またバインダー樹脂(B)は、顔料(A)の分散媒として作用する。前記のバインダー樹脂(B)は、不飽和カルボン酸から導かれる構成単位からなる共重合体であることが好ましい。
【0019】
前記の不飽和カルボン酸から導かれる構成単位としては、具体的には、アクリル酸から導かれる構成単位及びメタクリル酸から導かれる構成単位が挙げられる。アクリル酸及びメタクリル酸は、それぞれ単独で、又は両者を組み合わせて用いることができる。また、これらのアクリル酸やメタクリル酸に加えて、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸など、他の不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種のカルボン酸を併用することもできる。また、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸のような、同一分子中にヒドロキシ基及びカルボキシル基を含有するモノマーを併用することもできる。
【0020】
前記のバインダー樹脂(B)は、以上のような不飽和カルボン酸から導かれる構成単位と、前記の不飽和カルボン酸から導かれる構成単位と共重合可能な構成単位とからなる共重合体であることが好ましい。前記の不飽和カルボン酸から導かれる構成単位と共重合可能な構成単位としては、好ましくは(メタ)アクリル酸エステルから導かれる構成単位が挙げられる。
【0021】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、アクリレート化合物が挙げられ、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びアミノエチル(メタ)アクリレートのような不飽和カルボン酸の無置換又は置換アルキルエステル;
シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、メンチル(メタ)アクリレート、シクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキセニル(メタ)アクリレート、シクロヘプテニル(メタ)アクリレート、シクロオクテニル(メタ)アクリレート、メンタジエニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ピナニル(メタ)アクリレート、トリシクロデシル(メタ)アクリレート、トリシクロデシルオキシエチル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ノルボルネニル(メタ)アクリレート、ピネニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート及びジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートのような不飽和カルボン酸の脂環式基を含むエステル;
グリシジル(メタ)アクリレートのような不飽和カルボン酸グリシジルエステル;
オキセタン(メタ)アクリレートのような不飽和カルボン酸オキセタンエステル;
オリゴエチレングリコールモノアルキル(メタ)アクリレートのようなグリコール類のモノ飽和カルボン酸エステルなどが挙げられ、好ましくは、メチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートが挙げられる。ここで、(メタ)アクリレートはアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルを示す。
【0022】
バインダー樹脂(B)は、さらに、不飽和カルボン酸及びアクリル酸エステルと共重合が可能な他の構成単位を含んでいてもよい。不飽和カルボン酸及びアクリル酸エステルと共重合が可能な他の構成単位としては、スチレン、α−メチルスチレン及びビニルトルエンのような芳香族ビニル化合物;
酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニルのようなカルボン酸ビニルエステル;
(メタ)アクリロニトリル及びα−クロロアクリロニトリルのようなシアン化ビニル化合物;
N−フェニルマレイミドのようなマレイミド化合物;から導かれる構成単位などが挙げられる。
【0023】
上述したこれらの化合物は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
不飽和カルボン酸から導かれる構成単位と共重合可能な構成単位としては、(メタ)アクリル酸エステルから導かれる構成単位が好ましく、特に(メタ)アクリル酸の無置換又は置換アルキルエステルや(メタ)アクリル酸の脂環式炭化水素基を含むエステルから導かれる構成単位が好ましい。
【0024】
バインダー樹脂(B)において、不飽和カルボン酸から導かれる構成単位は、前記共重合体の全構成単位のうち、質量分率で、通常10〜50質量%、好ましくは15〜40質量%で存在させるのが好ましい。不飽和カルボン酸から導かれる構成単位が前記の基準で10〜50質量%であると、現像液への溶解性が十分であるので、未露光部の基板上に残渣が発生することなく、また現像時に露光部の画素部分の膜減りが生じることがなく画素全体が剥離することがない傾向にあり、好ましい。
【0025】
共重合は一般に、重合開始剤を用いて、溶媒中で行われる。重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルや2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸メチル)のようなアゾ化合物、過酸化ベンゾイルや過酸化−tert−ブチルのような過酸化物などが挙げられる。また溶媒は、各モノマーを溶解するものであればよく、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類などが挙げられる。反応温度は、重合開始剤の分解温度や溶剤及びモノマーの沸点などを考慮して決定すればよい。なお、このようにして得られる共重合体の側鎖を、感光性基を有する化合物で変成して、感光性のバインダー樹脂(B)とすることもできる。この際、樹脂に感光性基を導入するための触媒を加えてもよい。触媒としては、たとえばトリスジメチルアミノメチルフェノールが挙げられる。また、副反応を防ぐための添加剤を加えてもよい。添加剤としては、たとえばハイドロキノンが挙げられる。
【0026】
バインダー樹脂(B)は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が5,000〜100,000であることが好ましく、より好ましくは7,000〜50,000である。バインダー樹脂(B)のポリスチレン換算重量平均分子量が、5,000〜100,000であると、現像時に膜減りが生じにくく、また現像時に非画素部分の抜け性が良好である傾向にあり、好ましい。
バインダー樹脂(B)は、着色感光性樹脂組成物中の全固形分量に対して、通常5〜90質量%、好ましくは10〜70質量%で含有される。前記のバインダー樹脂(B)の含有量が、前記の基準で5〜90質量%であると、現像液への溶解性が十分であり、非画素部分の基板上に現像残渣が発生しにくく、また現像時に露光部の画素部分の膜減りが生じにくく、非画素部分の抜け性が良好な傾向にあり、好ましい。
【0027】
本発明の着色感光性樹脂組成物に含まれる光重合性化合物(C)は、光及び光重合開始剤(D)の作用によって重合を起こす化合物であり、例えば、炭素−炭素不飽和結合を有する化合物が該当する。前記の光重合性化合物(C)は、単官能モノマーの他、2官能モノマー、その他の多官能モノマーが挙げられる。単官能モノマーの具体例としては、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。また、2官能モノマーの具体例としては、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイロキシエチル)エーテル、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートなどが、その他の多官能モノマーの具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(メタクリロイロキシエチル)イソシアヌレートなどが挙げられる。
【0028】
前記の光重合性化合物(C)としては特に、アクリル基(CH=CHCO−)を有し、化合物の単位重量あたりのアクリル基数が多いもの、換言すれば、アクリル基1当量あたりの化合物のグラム数で表されるアクリル基当量の小さいものが好ましく、なかでも、アクリル基当量が100以下の化合物が好ましい。アクリル基当量が大きくなると、露光又は現像の際に、感度が充分ではないため、カラーフィルタの生産性低下につながる場合がある。アクリル基当量が100以下のモノマーとしては、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどが挙げられ、好ましくはトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート又はジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどが挙げられる。また光重合性化合物(C)としては、2官能モノマー、その他の多官能モノマーが好ましい。
【0029】
光重合性化合物(C)の含有量は、着色感光性樹脂組成物中のバインダー樹脂(B)及び光重合性化合物(C)の合計100質量部に対して、通常1〜60質量部、好ましくは5〜50質量部である。光重合性化合物(C)の含有量が、前記の範囲であると、画素部の強度、パターン形状や平滑性が良好になる傾向があり、好ましい。
【0030】
光重合開始剤(D)としては、光を照射されることによって活性ラジカルを発生する活性ラジカル発生剤、酸を発生する酸発生剤などが挙げられる。活性ラジカル発生剤としては、例えば、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、トリアジン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤及びオキシム系光重合開始剤などが挙げられる。
【0031】
アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパン−1−オンのオリゴマーなどが挙げられる。
ベンゾイン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
トリアジン系光重合開始剤としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルサルファイド、3,3',4,4'−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンなどが挙げられる。
オキシム系化合物としては、例えば、O−アシルオキシム系化合物が挙げられ、その具体例としては、1−(4−フェニルスルファニル−フェニル)−ブタン−1,2−ジオン 2−オキシム−O−ベンゾアート、1−(4−フェニルスルファニル−フェニル)−オクタン−1,2−ジオン 2−オキシム−O−ベンゾアート、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン 1−O−アセテート、1−[9−エチル−6−(2−メチル−4−(3,3−ジメチル−2,4−ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン 1−O−アセテート等が挙げられる。
前記の例示以外の活性ラジカル発生剤として、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアントラキノン、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物などが挙げられる。
酸発生剤としては、例えば、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムp−トルエンスルホナート、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウムp−トルエンスルホナート、4−アセトキシフェニル・メチル・ベンジルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホナート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホナート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートなどのオニウム塩類や、ニトロベンジルトシレート類、ベンゾイントシレート類などが挙げられる。
また、活性ラジカル発生剤として上記した化合物の中には、活性ラジカルと同時に酸を発生する化合物もあり、例えば、トリアジン系光重合開始剤などの活性ラジカル発生剤は、酸発生剤としても使用し得る。
【0032】
これらの光重合開始剤(D)は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いられることができる。
【0033】
光重合開始剤(D)は、光重合開始助剤を組み合わせて用いてもよい。前記の光重合開始助剤としては、アミン化合物、チオール基含有化合物及びカルボン酸化合物が好ましく、またアミン化合物としては芳香族アミン化合物がより好ましい。
【0034】
アミン化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどの脂肪族アミン化合物、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンのような芳香族アミン化合物が挙げられる。
チオール基含有化合物は、分子中にチオール基を有する化合物であり、チオール基を一個有するチオール化合物としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾールなどが挙げられ、脂肪族基にチオール基を複数有する脂肪族多官能チオール化合物としては、ヘキサンジチーオル、デカンジチオール、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、ブタンジオールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレ−ト、ブタンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、トリスヒドロキシエチルトリスチオプロピオネートなどが挙げられる。
カルボン酸化合物としては、フェニルチオ酢酸、メチルフェニルチオ酢酸、エチルフェニルチオ酢酸、メチルエチルフェニルチオ酢酸、ジメチルフェニルチオ酢酸、メトキシフェニルチオ酢酸、ジメトキシフェニルチオ酢酸、クロロフェニルチオ酢酸、ジクロロフェニルチオ酢酸、N−フェニルグリシン、フェノキシ酢酸、ナフチルチオ酢酸、N−ナフチルグリシン、ナフトキシ酢酸が挙げられる。
また、これらの他に、多価ヒドロキシ化合物のチオグリコレートやチオプロピオネートなどが挙げられ、好ましい多価ヒドロキシ化合物のチオプロピオネートとしてはトリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート及びペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートが挙げられる。
【0035】
光重合開始剤(D)の含有量は、バインダー樹脂(B)及び光重合性化合物(C)の合計100質量部に対し、通常0.1〜40質量部、好ましくは1〜30質量部である。光重合開始助剤の含有量は、バインダー樹脂(B)及び光重合性化合物(C)の合計100質量部に対し、通常0.1〜50質量部、好ましくは1〜40質量部である。
【0036】
溶剤(E)は、この分野で用いられている各種のものであることができる。その具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル及びエチレングリコールモノブチルエーテルのようなエチレングリコールモノアルキルエーテル類;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル及びジエチレングリコールジブチルエーテルのようなジエチレングリコールジアルキルエーテル類;
メチルセロソルブアセテート及びエチルセロソルブアセテートのようなエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート及びメトキシペンチルアセテートのようなアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類;
ベンゼン、トルエン、キシレン及びメシチレンのような芳香族炭化水素類;
メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノンのようなケトン類;
エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール及びグリセリンのようなアルコール類;
3−エトキシプロピオン酸エチル及び3−メトキシプロピオン酸メチルのようなエステル類;
γ−ブチロラクトンのような環状エステル類などが挙げられる。
【0037】
これらの溶剤(E)は、それぞれ単独で、又は2種類以上混合して用いることができる。
溶剤(E)の含有量は、着色感光性樹脂組成物全体に対して質量分率で、通常、60〜90質量%、好ましくは70〜85質量%である。前記の溶剤(E)の含有量が、前記の範囲であると、塗布性が良好になる傾向があり、好ましい。
【0038】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、さらに充填剤、顔料分散剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止材、界面活性剤、他の高分子化合物などの添加剤(F)が含まれていていてもよい。
【0039】
充填剤として具体的には、ガラス、シリカ、アルミナなどが、他の高分子化合物として具体的には、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフルオロアルキルアクリレートなどを用いることができる。
【0040】
顔料分散剤としては、市販の顔料分散剤を用いることができ、例えば、シリコーン系、フッ素系、エステル系、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性などの界面活性剤などが挙げられ、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。前記の界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリエチレングリコールジエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類、ポリエチレンイミン類等のほか、商品名でKP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄化学(株)製)、エフトップ(トーケムプロダクツ社製)、メガファックス(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラード(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード、サーフロン(以上、旭硝子(株)製)、ソルスパース(アビシア(株)製)、EFKA(EFKA CHEMICALS社製)、PB821(味の素(株)製)などが挙げられる。
【0041】
密着促進剤として具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0042】
酸化防止剤として具体的には、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールなどが挙げられる。
【0043】
紫外線吸収剤として具体的には、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0044】
また凝集防止剤として具体的には、ポリアクリル酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0045】
界面活性剤としては、フッ素原子又はシリコン原子を有する界面活性剤が好ましい。具体的には、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤及びフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
前記のシリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合を有する界面活性剤などが挙げられる。具体的には、トーレシリコーンDC3PA、同SH7PA、同DC11PA、同SH21PA、同SH28PA、同29SHPA、同SH30PA、ポリエーテル変性シリコンオイルSH8400(商品名:トーレシリコーン(株)製)、KP321、KP322、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341(信越シリコーン製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF−4446、TSF4452、TSF4460(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)などが挙げられる。
【0046】
前記のフッ素系界面活性剤としては、フルオロカーボン鎖を有する界面活性剤などが挙げられる。具体的には、フロラード(商品名)FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、メガファック(商品名)F142D、同F171、同F172、同F173、同F177、同F183、同F489、同F554、同R30(DIC(株)製)、エフトップ(商品名)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(新秋田化成(株)製)、サーフロン(商品名)S381、同S382、同SC101、同SC105(旭硝子(株)製)、E5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)、BM−1000、BM−1100(いずれも商品名:BM Chemie社製)などが挙げられる。
【0047】
前記のフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合及びフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤などが挙げられる。具体的には、メガファック(登録商標)R08、同BL20、同F475、同F477、同F443(DIC(株)製)などがあげられる。
これらの界面活性剤は、単独でも2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0048】
他の高分子化合物として具体的には、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリエステル、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフルオロアルキルアクリレートなどを用いることができる。
【0049】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、例えば、以下のようにして調製することができる。すなわち、顔料(A)を予め溶剤(E)と混合し、顔料の平均粒子径が0.2μm以下程度となるまで、ビーズミルなどを用いて分散させる。この際、必要に応じて顔料分散剤が使用され、またバインダー樹脂(B)の一部又は全部が配合されることもある。得られた分散液(ミルベース)に、バインダー樹脂(B)の残り、光重合性化合物(C)及び光重合開始剤(D)、必要に応じて使用されるその他の成分、さらには必要により追加の溶剤を、所定の濃度となるように添加し、目的の着色感光性樹脂組成物を得る。
【0050】
こうして調製された着色感光性樹脂組成物は、例えば、以下のようにして基材上に塗布し、光硬化及び現像を行って、着色画素とすることができる。まず、この組成物を基板(通常はガラス)上にスピンコートし、加熱乾燥(プリベーク)することにより溶剤を除去して、平滑な塗膜を得る。このときの塗膜の厚さは、およそ1〜3μm程度である。このようにして得られた塗膜に、目的の画像を形成するためのネガマスクを介して紫外線を照射する。この際、露光部全体に均一に平行光線が照射され、かつマスクと基板の正確な位置合わせが行われるよう、マスクアライナーなどの装置を使用するのが好ましい。さらにこの後、硬化の終了した塗膜を希アルカリ水溶液に接触させて非露光部を溶解させ、現像することにより、目的とする画素が得られる。現像後、必要に応じて150〜230℃で10〜60分程度の後硬化(ポストベーク)を施すこともできる。
【0051】
パターニング露光後の現像に使用する現像液は、通常、アルカリ性化合物と界面活性剤とを含む水溶液である。
アルカリ性化合物としては、無機及び有機のアルカリ性化合物が挙げられる。無機アルカリ性化合物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、燐酸水素二ナトリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸水素二アンモニウム、燐酸二水素アンモニウム、燐酸二水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、アンモニアなどが挙げられる。
また、有機アルカリ性化合物の具体例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エタノールアミンなどが挙げられる。これらの無機及び有機アルカリ性化合物は、それぞれ単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。アルカリ現像液中のアルカリ性化合物の好ましい濃度は、0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.03〜5質量%である。
【0052】
またアルカリ現像液中の界面活性剤は、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤又はカチオン系界面活性剤が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、その他のポリオキシエチレン誘導体、オキシエチレン/オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミンなどが挙げられる。
アニオン系界面活性剤の具体例としては、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウムやオレイルアルコール硫酸エステルナトリウムのような高級アルコール硫酸エステル塩類、ラウリル硫酸ナトリウムやラウリル硫酸アンモニウムのようなアルキル硫酸塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムやドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウムのようなアルキルアリールスルホン酸塩類などが挙げられる。
カチオン系界面活性剤の具体例としては、ステアリルアミン塩酸塩やラウリルトリメチルアンモニウムクロライドのようなアミン塩又は第四級アンモニウム塩などが挙げられる。
これらの界面活性剤は、それぞれ単独で用いることも、また2種以上組み合わせて用いることもできる。
アルカリ現像液中の界面活性剤の濃度は、通常0.01〜10質量%、好ましくは0.05〜8質量%、より好ましくは0.1〜5質量%である。
【0053】
着色感光性樹脂組成物の塗布、乾燥、得られる乾燥塗膜へのパターニング露光、そして現像という各工程を経て、着色感光性樹脂組成物中の着色成分の色に相当する画素が得られ、さらにこれらの操作を、カラーフィルタに必要とされる色の数だけ繰り返すことにより、カラーフィルタが得られる。すなわち、カラーフィルタは通常、赤、緑及び青の三原色画素を基板上に配置することができる。
【0054】
本発明の着色感光性樹脂組成物を用いて赤色画素が形成される。該赤色画素は、CIE色度図におけるx,yの座標値が0.500<x<0.690,0.280<y<0.340であることが好ましく、0.520<x<0.680,0.290<y<0.0.340であることがより好ましい。
【0055】
本発明によれば、高コントラストな赤色画素及びカラーフィルタを製造することが可能となる。
本発明の着色感光性樹脂組成物を用いて得られる画素を含むカラーフィルタは、各種の表示装置、例えば、モニターやテレビなどの液晶表示装置などに好適に用いることができる。
【実施例】
【0056】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。例中の「%」及び「部」は、特記ない限り、重量%及び重量部である。
【0057】
<バインダー樹脂(B1)の合成>
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及びガス導入管を備えた1Lのフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート133gを導入した。その後、窒素ガスをガス導入管を通じてフラスコ内に導入し、フラスコ内雰囲気を窒素ガスに置換した。その後、フラスコ内の溶液を100℃に昇温して、ジシクロペンタニルメタクリレート(FA−513M;日立化成工業(株)製)22.0g(0.10モル)、ベンジルメタクリレート82.8g(0.47モル)、メタクリル酸37.0g(0.43モル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3.6g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート164gからなる混合物を、滴下ロートを用いて2時間かけてフラスコ内に滴下し、滴下完了後さらに100℃で5時間撹拌した。
攪拌終了後、ガス導入管を通じて空気をフラスコ内に導入して、フラスコ内雰囲気を空気に置換した後、グリシジルメタクリレート21.5g(0.15モル)、トリスジメチルアミノメチルフェノール0.9g及びハイドロキノン0.145gをフラスコ内に投入し、反応を110℃で6時間続け、固形分37.8質量%、酸価97mgKOH/gのバインダー樹脂(B1)を得た。
ここで、酸価は、カルボン酸などの酸基を有する重合体1gを中和するに必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、通常、濃度既知の水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求められる。
得られたバインダー樹脂(B1)の、下記条件のGPC法により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は9,000であった。
【0058】
装置;HLC-8120GPC(東ソー(株)製)
カラム;TSK−GELG2000HXL
カラム温度;40℃
溶媒;THF
流速;1.0mL/min
被検液固型分濃度;0.001〜0.01質量%
注入量;50μL
検出器;RI
校正用標準物質;TSK STANDARD POLYSTYRENE F−40、F−4、F−1、A−2500、A−500(東ソー(株)製)
【0059】
本実施例で用いるその他の成分を表1に示す。
【0060】
【表1】

(実施例1)
表2に示す組成となるように各成分を混合して着色感光性樹脂組成物1を得た。得られた着色感光性樹脂組成物1を用いて次の方法で塗膜の評価を行った。
【0061】
<評価用塗膜の作成>
2インチ角のガラス基板(#1737;コーニング社製)を、中性洗剤、水及びアルコールで順次洗浄してから乾燥した。
このガラス基板上に、着色感光性樹脂組成物1を、スピンコート法によって塗布し、次にクリーンオーブン中、100℃で3分間プリベークした。
冷却後、露光機(TME−150RSK;トプコン(株)製)を用いて、大気雰囲気下、150mJ/cmの露光量(365nm)で光照射し、220℃で20分間加熱して、評価用塗膜を作製した。
【0062】
<膜の評価>
評価用塗膜について、膜厚計(DEKTAK;Veeco社製)を用いて膜厚を測定し、顕微分光測光装置(OSP−SP200;OLYMPUS社製)を用いて色度(x,y)及び明度(Y)を測定した。また、コントラスト値をコントラスト測定機(CT−1;壺坂電機社製)を用いて、ブランク値を10000として測定した。結果を表3に示す。
【0063】
【表2】

(単位:%)
【0064】
【表3】

【0065】
(実施例2〜6)
表4に示す組成となるように、実施例1と同様にして着色感光性樹脂組成物を得た。実施例1と同様にして評価を行った結果を表5に示す。
【0066】
【表4】

(単位:%)
【0067】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明によれば、高コントラストな赤色画素及びカラーフィルタを製造することが可能になる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料(A)、バインダー樹脂(B)、光重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)及び溶剤(E)を含み、
顔料(A)は、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド242及びC.I.ピグメントレッド254を含む顔料であり、
全顔料中のC.I.ピグメントレッド242の含有量は、60重量%以下である着色感光性樹脂組成物。
【請求項2】
全顔料中のC.I.ピグメントレッド242の含有量は、50重量%以下である請求項1記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項3】
全顔料中のC.I.ピグメントレッド242の含有量は、35重量%以下である請求項1又は2記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項4】
全顔料中のC.I.ピグメントレッド254の含有量は、80重量%以下である請求項1〜3のいずれか記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項5】
全顔料中のC.I.ピグメントレッド254の含有量は、50重量%以下である請求項1〜4のいずれか記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか記載の着色感光性樹脂組成物を用いて形成されている画素。
【請求項7】
請求項6記載の画素を含むカラーフィルタ。

【公開番号】特開2010−2886(P2010−2886A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114228(P2009−114228)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】