説明

着色材洗浄剤及びそれを用いた着色材の洗浄方法

【課題】被膜形成性樹脂を含む固着剤で固着された着色粒子及び/又は着色繊維を、効率よく除去するための着色材洗浄剤、及びそれを用いた着色材の洗浄方法を提供すること。
【解決手段】被膜形成性樹脂を含む固着剤で洗浄対象物上に固着された着色粒子及び/又は着色繊維を、前記洗浄対象物上から除去するための着色材洗浄剤であって、アニオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤を含有し、かつカチオン性ポリマーを実質的に含有しない、着色材洗浄剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色材洗浄剤及びそれを用いた着色材の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、頭髪の薄い部分に毛髪色の微小繊維や粉末を付着させることにより薄毛を目立たせなくする方法が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−158034号公報
【特許文献2】特開2001−181354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような微小繊維・粉末は通常、ワックス等の被膜形成性樹脂を含む固着剤で頭髪に固着して使用され、使用後は市販のシャンプーで洗浄される。
【0005】
しかしながら、このように固着剤で固着した着色材は、市販のシャンプーでは除去され難く、洗浄に時間がかかったり、十分に洗浄できない場合がある。
【0006】
そこで本発明は、被膜形成性樹脂を含む固着剤で固着された着色粒子及び/又は着色繊維を、効率よく除去するための着色材洗浄剤を提供することを目的とする。また本発明は、被膜形成性樹脂を含む固着剤で固着された着色粒子及び/又は着色繊維を、効率よく除去することが可能な着色材の洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、市販のシャンプーを用いて洗浄しようとした場合に、固着剤で固着された状態の着色材(着色粒子や着色繊維)が凝集して、洗浄が困難となっていることを見出し、本発明に至った。
【0008】
本発明は、被膜形成性樹脂を含む固着剤で洗浄対象物上に固着された着色粒子及び/又は着色繊維を、上記洗浄対象物上から除去するための着色材洗浄剤であって、アニオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤を含有し、かつカチオン性ポリマーを実質的に含有しない、着色材洗浄剤を提供する。
【0009】
従来、シャンプー、ボディーソープ、洗顔剤等、身体や毛髪の洗浄を目的とする組成物には通常、カチオン性ポリマーが含まれている。該カチオン性ポリマーは、すすいだ時に洗浄成分である界面活性剤との間に複合体を形成し、それが毛髪や皮膚に付着することでコンディショニング性を発現できる(例えば、特許文献2を参照)。
【0010】
しかしながら、本発明者らの知見によれば、カチオン性ポリマー及び界面活性剤が形成する複合体が着色材を捕集することが、該着色材が凝集する一因と考えられる。
【0011】
そこで本発明の着色材洗浄剤によれば、カチオン性ポリマーを実質的に含有しない処方とすることで、着色材の凝集が防止される。また、本発明の着色材洗浄剤は、アニオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤を含有するため、固着剤と着色材との双方に対して、良好な洗浄性能が得られる。
【0012】
また本発明は、アニオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤を含有し、かつカチオン性ポリマーを実質的に含有しない着色材洗浄剤を用いて、被膜形成性樹脂を含む固着剤で洗浄対象物上に固着された着色粒子及び/又は着色繊維を、上記洗浄対象物上から除去する工程を備える、着色材の洗浄方法を提供する。
【0013】
本発明の着色材の洗浄方法によれば、固着剤で洗浄対象物上に固着された着色材を、洗浄対象物上から効率よく除去することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、被膜形成性樹脂を含む固着剤で固着された着色粒子及び/又は着色繊維を、効率よく除去するための着色材洗浄剤が提供される。また、本発明によれば、被膜形成性樹脂を含む固着剤で固着された着色粒子及び/又は着色繊維を効率よく除去することが可能な、着色材の洗浄方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1及び比較例1で洗浄した試験サンプルを示す図である。
【図2】実施例1及び比較例1の洗浄で使用したすすぎ液を示す図である。
【図3】実施例2及び比較例2で洗浄した試験サンプルを示す図である。
【図4】実施例2及び比較例2の洗浄で使用したすすぎ液を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の着色材洗浄剤及び着色材の洗浄方法の好適な実施形態について以下に説明する。
【0017】
本実施形態に係る着色材洗浄剤は、被膜形成性樹脂を含む固着剤で洗浄対象物上に固着された着色粒子及び/又は着色繊維を、洗浄対象物上から除去するための着色材洗浄剤であって、アニオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤を含有し、カチオン性ポリマーを実質的に含有しないものである。
【0018】
ここで、実質的に含有しないとは、例えば、着色材洗浄剤の総量基準で、カチオン性ポリマーの含有量が0.1質量%以下であることをいう。カチオン性ポリマーの含有量は、着色材洗浄剤の総量基準で、0.01質量%以下であることが好ましく、0質量%であることがより好ましい。
【0019】
カチオン性ポリマーとしては、例えば、天然多糖類を利用した半合成カチオン性ポリマー、合成カチオン性ポリマーが挙げられる。
【0020】
半合成カチオン性ポリマーとしては、例えば、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム、カチオン化デンプン、カチオン化プルラン、カチオン化デキストラン等が知られている。
【0021】
また、合成カチオン性ポリマーとしては、例えば、ジメチルジアリルアンモニウムクロライドのホモポリマー、ジメチルジアリルアンモニウムクロライドとアクリルアミドとのコポリマー、ジメチルジアリルアンモニウムクロライドとアクリル酸とのコポリマー、ビニルイミダゾリウムとビニルピロリドンとのコポリマー、メタアクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムハライドとビニルピロリドンとのコポリマー、ジメチルアミノエチルメタクリレートのジメチル硫酸4級化物、ジメチルアミノエチルメタクリレートとビニルピロリドンとのコポリマーのジエチル硫酸4級化物、メタクリロイルエチルジメチルベタインと塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウムとヒドロキシメチルメタクリレートとを共重合したコポリマー、メタクリロイルエチルジメチルベタインと塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウムとメトキシポリエチレングリコールメタクリレートとを共重合したコポリマー等が知られている。
【0022】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸カリウム等の脂肪酸石鹸;ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸等のリン酸エステル塩;α−オレフィンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン等のスルホン酸塩;スルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム等のスルホコハク酸塩;ラウロイルサルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシン塩;N−ステアロイル−L−グルタミン酸二ナトリウム等のN−アシルグルタミン酸塩;ラウロイルメチルアラニンナトリウム等のN−アシルメチルアラニン塩;が挙げられる。これらのアニオン性界面活性剤は、一種を単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
【0023】
両性界面活性剤としては、例えば、アルキルグリシン塩、カルボキシメチルグリシン塩、N−アシルアミノエチル−N−2−ヒドロキシエチルグリシン塩等のグリシン型両性界面活性剤;アルキルアミノプロピオン酸塩、アルキルイミノジプロピオン酸塩等のアミノプロピオン酸型両性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤;アルキルヒドロキシスルホベタインのスルホベタイン型両性界面活性剤;ヤシ油アルキルジメチルアミンオキシド等のN−アルキルジメチルアミンオキシド;が挙げられる。これらの両性界面活性剤は、一種を単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
【0024】
アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤の合計量は、特に限定されないが、着色材洗浄剤の固形分全量を基準として、5〜80質量%であることが好ましく、10〜70質量%であることがより好ましい。
【0025】
着色材洗浄剤には、油脂、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油、シリコーン油、エタノール、多価アルコール、酸化防止剤、紫外線吸収剤、植物エキス、糖類、タンパク及びその加水分解物、水、pH調整剤、香料、着色剤、防腐剤、増粘剤、ロウ、脂質等を、目的に応じて適宜配合してもよい。
【0026】
油脂としては、アボガド油、アーモンド油、オリーブ油、ゴマ油、小麦胚芽油、サフラワー油、ツバキ油、パーシック油、ヒマシ油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、卵黄油、ローズヒップ油、大豆油、綿実油、マンゴー種子油、馬油等が挙げられる。
【0027】
炭化水素としては、軽質流動イソパラフィン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、ポリブテン、ラウリン酸、ミリスチン酸等が挙げられる。
【0028】
高級脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸、イソステアリン酸、セチルアルコール、バチルアルコール等が挙げられる。
【0029】
高級アルコールとしては、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール等が挙げられる。
【0030】
エステル油としては、オクタン酸セチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル、イソノナン酸イソノニル、乳酸ミリスチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒマシ油脂肪酸メチル、コハク酸2−エチルヘキシル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ジオクタン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラオクタン酸ペンタエリスリトール、オレイン酸エチル、パルミチン酸セチル等が挙げられる。
【0031】
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン、メチルハイドロジエンポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン等が挙げられる。
【0032】
酸化防止剤としては、トコフェロール等が挙げられる。
【0033】
紫外線吸収剤としては、パラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル等が挙げられる。
【0034】
植物エキスとしては、フランスカイガンショウ樹皮エキス、オタネニンジンエキス、オランダカラシエキス、褐藻エキス等が挙げられる。
【0035】
糖類としては、ラフィノース等が挙げられる。
【0036】
タンパク及びその加水分解物としては、ケラチン及びその加水分解物、加水分解シルク、加水分解コラーゲン等が挙げられる。
【0037】
pH調整剤としては、クエン酸、水酸化ナトリウム等が挙げられる。
【0038】
防腐剤としては、フェノキシエタノール、パラオキシ安息酸メチル等が挙げられる。
【0039】
着色材洗浄剤は、pH調整剤によりpHが3〜9に調整されていることが好ましく、4〜8に調整されていることがより好ましい。このような着色材洗浄剤によれば、着色材の凝集が一層抑制され、より効率的に着色材を洗浄することができる。
【0040】
着色粒子としては、例えば、粒径が5〜500μmである着色粒子が挙げられる。このような着色粒子は、カチオン化ポリマー及び界面活性剤が形成する複合体によって捕集されやすく、従来のシャンプー等で一層洗浄され難い。そのため、このような着色粒子に対しては、本発明の効果が一層顕著に奏される。
【0041】
着色粒子としては、例えば、マイカを含有する粒子が挙げられる。マイカ含有粒子は、例えば、酸化鉄等の着色成分をさらに含有し、固着剤により毛髪等に固着して薄毛を目立たなくするために用いられる。
【0042】
マイカ含有粒子は、カチオン性ポリマーによる凝集が一層生じ易く、市販のシャンプーでの洗浄が一層困難である。そのため、マイカ含有粒子に対しては、本発明の着色材洗浄剤の効果が一層顕著に奏される。
【0043】
着色繊維としては、繊維径が0.5〜10デニールであり、繊維長が0.1〜1.0mmである着色繊維が挙げられる。このような着色繊維は、カチオン化ポリマー及び界面活性剤が形成する複合体によって捕集されやすく、従来のシャンプー等で一層洗浄され難い。そのため、このような着色繊維に対しては、本発明の効果が一層顕著に奏される。
【0044】
着色粒子や着色繊維は、固着剤により洗浄対象物上に固着され、固着剤は通常、被膜形成性樹脂を含有する。
【0045】
ここで被膜形成性樹脂とは、例えば、水、アルコール類、噴射剤等の分散媒に溶解又は分散して頭髪等の洗浄対象物に塗布又は噴射した後に、当該分散媒の蒸発と共に洗浄対象物に被膜を形成することができる高分子化合物を示す。
【0046】
被膜形成性樹脂としては、例えば、エチレン性二重結合を有するモノマーを単量体単位として含む重合体が挙げられる。ここで、エチレン性二重結合を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、クロトン酸、ビニルピロリドン、ビニルエーテル類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、マレイン酸モノエステル類、マレイン酸ジエステル類、クロトン酸エステル類等が挙げられる。
【0047】
被膜形成性樹脂としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体、ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体、N−メタクリロイルオキシエチル N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体、ビニルメチルエーテル・マレイン酸モノエステル、メトキシアルキレン無水マレイン酸共重合体、両性アクリル酸エステル共重合体、両性メタクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル・マレイン酸ブチル・アクリル酸イソボニル共重合体、イソブチレン・マレイン酸ナトリウム共重合体、ビニルメチルエーテル・マレイン酸系架橋型ポリマー、酢酸ビニル・クロトン酸共重合体、アクリル樹脂アルカノールアミン、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸・アクリル酸アルキル共重合体、オクチルアクリルアミド・アクリル酸エステル共重合体、ジメチルシロキサン・アクリル酸系共重合体、カルボキシビニルポリマー、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMPが挙げられる。
【0048】
市販のポリビニルピロリドンとしては、商品名 PVP K−90(ISP社製)、商品名LUVISCOL K−90(BASF社製)などを、アクリル樹脂アルカノールアミンとしては、商品名プラスサイズ L−6330(互応化学社製)、商品名 アニセットA−40M(大阪有機化学社製)などを、ビニルメチルエーテル・マレイン酸モノエステルとしては、商品名 PVM−BE 50(東京ファインケミカル社製)、商品名 GAFCAT(ISP社製)などを、ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体としては、商品名GAFQUAT−755N(ISP社製)、商品名 H.Cポリマー1N(大阪有機化学社製)などを、N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体としては、商品名ユカフォーマーR205、ユカフォーマーR205S、ユカフォーマーR102、ユカフォーマーSM、ユカフォーマーR402、ユカフォーマー301、ユカフォーマー202,ユカフォーマー510、ユカフォーマー201、ユカフォーマー204、ユカフォーマー206、ユカフォーマーW(いずれも三菱化学社製)などを例示することができる。被膜形成性樹脂は、一種を単独で、又は二種以上を組合せて用いることもできる。
【0049】
固着剤には、被膜形成性樹脂以外に、油脂、ロウ類、高級脂肪酸、高級アルコール、ステロール等の油性基材、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール等の保湿剤、グアガム、ヒドロキシエチルセルロース等の粘度調製剤、硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の乳化可溶化剤、紫外線吸収剤、防腐剤、抗菌剤、キレート剤、香料、動物および植物抽出液、噴射剤等が配合されていてもよい。
【0050】
本実施形態に係る着色材洗浄剤により洗浄される洗浄対象物は、特に制限されず、例えば、毛髪、皮膚、爪、等に固着した着色材を、本実施形態に係る着色材洗浄剤により洗浄することができる。
【0051】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【実施例】
【0052】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0053】
(実施例1、比較例1)
実施例1として、表1に示す組成の洗浄剤を準備し、下記の方法により豚皮に固着した着色材に対する洗浄性能を評価した。次いで、比較例1として、カチオン性ポリマーであるポリクオタニウム−10及びグア−ヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドを含有する市販のシャンプーを準備し、同様の方法により豚皮に固着した着色材に対する洗浄性能を評価した。なお、着色材としては、マイカ、酸化鉄及びジメチコンを含有する粒子(平均粒径100μm)を用いた。
【0054】
(洗浄試験)
まず、豚皮に着色材を50回塗布し、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMPを含有するスプレー状の固着剤を2回噴射した。10分間放置し、着色材が固着剤により固着したことを確認して、試験サンプルとした。
【0055】
試験サンプルに水道水1gを滴下し、よくなじませ1分間置き、1分後、再度水道水1gを滴下し、よくなじませて1分間置いた。
【0056】
次いで、試験サンプルの豚皮が水道水によくなじんだ後、実施例1の洗浄剤(又は比較例1のシャンプー)を0.2g滴下して指の腹で50回洗浄し、ビーカーに入った水道水200g中に試験サンプルを40往復させてすすいだ。これを2回繰り返した後、室温にて乾燥させた。
【0057】
(洗浄性能の評価)
図1(a)は、実施例1の洗浄剤を用いて洗浄した試験サンプルであり、図1(b)は、比較例1のシャンプーを用いて洗浄した試験サンプルである。また、図2(a)は、実施例1の洗浄剤を用いた洗浄試験ですすぎに用いた水であり、図2(b)は、比較例1のシャンプーを用いた洗浄試験ですすぎに用いた水である。
【0058】
実施例1の洗浄剤を用いたとき、着色材は試験サンプルから十分に除去されており、すすぎ液中には分散した着色材が確認された。一方、比較例1のシャンプーを用いたとき、着色材は試験サンプルからほとんど除去されず、すすぎ液中にもほとんど着色材の存在は認められなかった。
【0059】
また、洗浄試験後の試験サンプルについて20名にアンケート調査を行ったところ、20名中20名全員が、実施例1の洗浄剤を用いて洗浄した試験サンプルの方が、比較例1のシャンプーを用いて洗浄した試験サンプルより汚れが落ちていると回答した。
【0060】
(実施例2、比較例2)
実施例2として、表1に示す組成の洗浄剤を準備し、下記の方法により毛髪に固着した着色材に対する洗浄性能を評価した。次いで、比較例2としてカチオン性ポリマーであるポリクオタニウム−10及びグア−ヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドを含有する市販のシャンプーについて、同様の方法により豚皮に固着した着色材に対する洗浄性能を評価した。なお、着色材としては、実施例1と同様、マイカ、酸化鉄及びジメチコンを含有する粒子(平均粒径100μm)を用いた。
【0061】
(洗浄試験)
まず、白髪に着色材を50回(片面から25回、もう一方の面から25回)塗布し、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMPを含有するスプレー状の固着剤を4回(片面2回づつ)噴射した。10分間放置し、着色材が固着剤により固着したことを確認して、試験サンプルとした。
【0062】
まず試験サンプルを30秒水道水に浸した。次いで、試験サンプルの毛髪が水道水によくなじんだ後、実施例2の洗浄剤(又は比較例2のシャンプー)を0.2g滴下して指の腹で洗浄し、ビーカーに入った水道水200g中に試験サンプルを40往復させてすすぎ、室温にて乾燥させた。
【0063】
(洗浄性能の評価)
図3(a)は、着色材を塗布する前の白髪であり、図3(b)は、着色材が固着した試験サンプルであり、図3(c)は、実施例2の洗浄剤を用いて洗浄した試験サンプルであり、図3(d)は、比較例2のシャンプーを用いて洗浄した試験サンプルである。また、図4(a)は、実施例2の洗浄剤を用いた洗浄試験ですすぎに用いた水であり、図4(b)は、比較例2のシャンプーを用いた洗浄試験ですすぎに用いた水である。
【0064】
実施例2の洗浄剤を用いたとき、着色材は試験サンプルから十分に除去されており、すすぎ液中には分散した着色材が確認された。一方、比較例1のシャンプーを用いたとき、着色材は試験サンプルから十分に除去されず、すすぎ液中に確認された着色材の量も、実施例2と比較して明らかに少なかった。
【0065】
また、洗浄試験後の試験サンプルについて20名にアンケート調査を行ったところ、20名中20名全員が、実施例2の洗浄剤を用いて洗浄した試験サンプルのほうが、比較例2のシャンプーを用いて洗浄した試験サンプルより汚れが落ちていると回答した。
【0066】
【表1】

【0067】
表1の洗浄剤において、洗浄剤の全量を100質量部として、水の配合量が70質量部程度、ラウロイルメチルアラニンNaの配合量が15質量部、コカミドプロピルベタインの配合量が5質量部である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被膜形成性樹脂を含む固着剤で洗浄対象物上に固着された着色粒子及び/又は着色繊維を、前記洗浄対象物上から除去するための着色材洗浄剤であって、
アニオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤を含有し、かつカチオン性ポリマーを実質的に含有しない、着色材洗浄剤。
【請求項2】
アニオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤を含有し、かつカチオン性ポリマーを実質的に含有しない洗浄剤を用いて、被膜形成性樹脂を含む固着剤で洗浄対象物上に固着された着色粒子及び/又は着色繊維を、前記洗浄対象物上から除去する工程を備える、着色材洗浄方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−167038(P2012−167038A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27572(P2011−27572)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(398028503)株式会社東洋新薬 (182)
【Fターム(参考)】