説明

着色樹脂粒子の製造方法及び着色樹脂粒子

【課題】 粒子径が均一である樹脂粒子を安定的に高収率で製造する方法の提供。
【解決手段】
樹脂(a)を含有する樹脂粒子(A)の水性分散液(W)と、樹脂(b)若しくはその有機溶剤溶液、又は、(b)の前駆体(b0)若しくはその有機溶剤溶液(o1)に着色剤(p)または(p)の水もしくは有機溶剤分散液が分散された油性液(O)とを混合し、(W)中に(O)を分散させ、さらに、必要により(b0)を反応させて、(W)中で(b)を含有する樹脂粒子(B)を形成させることにより、(B)の表面に(A)が付着されてなる構造の着色樹脂粒子(C)の水性分散体(X)を形成させ、さらに(X)から(C)を分離し、必要により分級する(C)の製造方法であって、(O)が、別ロットの(C)を製造した際、(X)から(C)を分離する際に除去された、(C)を含む回収含水着色樹脂粒子(K)を含有する着色樹脂粒子の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は着色樹脂粒子の製造方法、および着色樹脂粒子に関する。さらに詳しくは、各種用途に有用な着色樹脂粒子の製造方法、および着色樹脂粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年粉体製造の分野においては、あらかじめ溶剤に樹脂を溶解させた樹脂溶液を界面活性剤または水溶性ポリマー等の分散(助)剤存在下で水性溶剤中に分散させ、これを加熱または減圧等によって溶剤を除去し、樹脂粒子を得る方法(溶解樹脂懸濁法)があり、溶解樹脂懸濁法を用い、無機微粉末を用いることなく粒径が均一な樹脂分散体および樹脂粒子を得る方法として、特許文献1が知られている。
しかしながら、樹脂原料の組成、乳化剤または分散剤の選択、製造条件等によっては、分散工程から溶剤除去の工程の間で微粉または粒子凝集による粗粉が発生することがあり、これらの微粗粉の発生を可能な限り抑止した製造条件の下でも、完全に除外することはできない。ケミカルトナーの分野では、上記の微粗粉を分級等の操作で除外しており、収率低下の原因となっている。また、水性媒体中で形成した樹脂粒子から除去した水性媒体や、樹脂粒子を洗浄した後の洗浄液中などにも目的とした樹脂粒子が含まれており、これも収率低下の原因となっている。
これに対し、特許文献2〜4には重合トナーにおいて、これら微粗粉を水性分散液、着色剤のマスターバッチ、油性液などの中に微分散することが提案されているが、いずれもリサイクルするには樹脂粒子から水分を除去し乾燥工程を経る必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−284881号公報
【特許文献2】特開2007−246673号公報
【特許文献3】特開2007−246676号公報
【特許文献4】特開2008−156627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来技術における上記の事情に鑑みてなされたものである。すなわち、粒径が均一である着色樹脂粒子を安定的に製造する方法を提供すると共に、着色樹脂粒子を製造する際に除去された水性液に含まれる回収着色樹脂粒子を、水分を除去することなく再利用しリサイクルを行うことで、高収率かつ環境に配慮した製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、樹脂(a)を含有する樹脂粒子(A)の水性分散液(W)と、樹脂(b)若しくはその有機溶剤溶液、又は、樹脂(b)の前駆体(b0)若しくはその有機溶剤溶液(o1)に着色剤(p)または(p)の水もしくは有機溶剤分散液が分散された油性液(O)とを混合し、(W)中に(O)を分散させ、(b0)又はその有機溶剤溶液を用いる場合には、さらに、(b0)を反応させて、(W)中で(b)を含有する樹脂粒子(B)を形成させることにより、樹脂粒子(B)の表面に樹脂粒子(A)が付着されてなる構造の着色樹脂粒子(C)の水性分散体(X)を形成させ、さらに(X)から着色樹脂粒子(C)を分離し、必要により分級する着色樹脂粒子(C)の製造方法であって、油性液(O)が、別ロットの着色樹脂粒子(C)を製造した際、(X)から着色樹脂粒子(C)を分離する際に除去された、着色樹脂粒子(C)を含む回収含水着色樹脂粒子(K)を含有することを特徴とする着色樹脂粒子の製造方法;並びに、上記製造方法により得られる着色樹脂粒子である。
【発明の効果】
【0006】
本発明は以下の効果を有する。
1.粒径が均一であり色彩鮮鋭性の良好な着色樹脂粒子を製造できる。
2.別ロットの着色樹脂粒子を製造する際に除去された水性液に含まれる着色樹脂粒子を再利用しリサイクルを達成することで、高収率かつ環境に配慮した製造方法を提供できる。
3.無機微粉末を用いることなく、粒径が均一な着色樹脂粒子を安定的に製造できる。
4.水中で分散により着色樹脂粒子が得られるため、安全かつ低コストで着色樹脂粒子を製造できる。
5.スラッシュ成形用樹脂、粉体塗料、電子部品製造用スペーサー、電子写真トナー母体粒子、静電記録トナー母体粒子、静電印刷トナー母体粒子またはホットメルト接着剤用等、各種の用途に有用な着色樹脂粒子を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に本発明を詳述する。
本発明において、樹脂(a)としては、水性分散液(W)を形成しうる樹脂であればいかなる樹脂であっても使用でき、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であってもよいが、例えばビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。樹脂(a)といては、上記樹脂の2種以上を併用しても差し支えない。このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすいという観点からビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂およびそれらの併用であり、さらに好ましくはビニル樹脂である。
【0008】
樹脂(a)のうち、好ましい樹脂、すなわち、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、およびエポキシ樹脂について説明するが、他の樹脂についても同様にして使用できる。
ビニル樹脂は、ビニルモノマーを単独重合または共重合したポリマーである。重合には、公知の重合触媒等が使用できる。
ビニルモノマーとしては、下記(1)〜(10)等が挙げられる。
【0009】
(1)ビニル炭化水素:
(1−1)脂肪族ビニル炭化水素:炭素数2〜12のアルケン(例えばエチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセンおよび炭素数3〜24のα−オレフィン等);炭素数4〜12のアルカジエン(例えばブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエンおよび1,7−オクタジエン等)。
(1−2)脂環式ビニル炭化水素:炭素数6〜15のモノ−またはジ−シクロアルケン(例えばシクロヘキセン、ビニルシクロヘキセンおよびエチリデンビシクロヘプテン等)、炭素数5〜12のモノ−またはジ−シクロアルカジエン(例えば、(ジ)シクロペンタジエン等);およびテルペン(例えばピネン、リモネンおよびインデン等)等。
(1−3)芳香族ビニル炭化水素:スチレン;スチレンのハイドロカルビル(炭素数1〜24の、アルキル、シクロアルキル、アラルキルおよび/またはアルケニル)置換体(例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレンおよびトリビニルベンゼン等);およびビニルナフタレン等。
【0010】
(2)カルボキシル基含有ビニルモノマーおよびそれらの塩:
炭素数3〜30の不飽和モノカルボン酸(例えば(メタ)アクリル酸(アクリル酸および/またはメタクリル酸を表す。以下同様の表現を用いる。)、クロトン酸イソクロトン酸および桂皮酸等);炭素数3〜30の不飽和ジカルボン酸(無水物)(例えば、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸およびメサコン酸等);および炭素数3〜30の不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1〜24)エステル(例えば、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノオクタデシルエステル、フマル酸モノエチルエステル、イタコン酸モノブチルエステル、イタコン酸グリコールモノエーテルおよびシトラコン酸モノエイコシルエステル等)等。
カルボキシル基含有ビニルモノマーの塩としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩等)、アンモニウム塩、アミン塩もしくは4級アンモニウム塩が挙げられる。アミン塩としては、アミン化合物であれば特に限定されないが、例えば、1級アミン塩(エチルアミン塩、ブチルアミン塩、オクチルアミン塩等)、2級アミン(ジエチルアミン塩、ジブチルアミン塩等)、3級アミン(トリエチルアミン塩、トリブチルアミン塩等)が挙げられる。4級アンモニウム塩としては、テトラエチルアンモニウム塩、トリエチルラウリルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、トリブチルラウリルアンモニウム塩等)が挙げられる。
カルボキシル基含有ビニルモノマーの塩の具体例としては、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、マレイン酸モノナトリウム、マレイン酸ジナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム、マレイン酸モノカリウム、アクリル酸リチウム、アクリル酸セシウム、アクリル酸アンモニウム、アクリル酸カルシウムおよびアクリル酸アルミニウム等が挙げられる。
【0011】
(3)スルホ基含有ビニルモノマーおよびそれらの塩:
炭素数2〜14のアルケンスルホン酸(例えばビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸およびメチルビニルスルホン酸等);スチレンスルホン酸およびこのアルキル(炭素数2〜24)誘導体(例えばα−メチルスチレンスルホン酸等;炭素数5〜18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル−(メタ)アクリレート(例えば、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸および3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等);炭素数5〜18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリルアミド(例えば、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸および3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸);アルキル(炭素数3〜18)アリルスルホコハク酸(例えば、プロピルアリルスルホコハク酸、ブチルアリルスルホコハク酸、2−エチルヘキシル−アリルスルホコハク酸);ポリ〔n(重合度、以下同様)=2〜30〕オキシアルキレン(オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレン:単独、ランダム、ブロックでもよい)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル[例えば、ポリ(n=5〜15)オキシエチレンモノメタクリレート硫酸エステル、ポリ(n=5〜15)オキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル等];下記一般式(3−1)〜(3−3)で表される化合物;およびこれらの塩等が挙げられる。
なお、塩としては、(2)カルボキシル基含有ビニルモノマーおよびそれらの塩で示した対イオン等が用いられる。
【0012】
O(AO)nSO3

CH2=CHCH2OCH2CHCH2O−Ar−R (3−1)

CH2=CHCH3

R−Ar−O(AO)nSO3H (3−2)

CH2COOR’

HO3SCHCOOCH2CH(OH)CH2OCH2CH=CH2 (3−3)

(式中、Rは炭素数1〜15のアルキル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、nが複数の場合同一でも異なっていてもよく、異なる場合はランダム、ブロックおよび/またはこれらの混合である。Arはベンゼン環を示し、nは1〜50の整数を示し、R’はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルキル基を示す。)
【0013】
(4)ホスホノ基含有ビニルモノマーおよびその塩:
(メタ)アクリロイルオキシアルキルリン酸モノエステル(アルキル基の炭素数1〜24)(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェートおよびフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等)、(メタ)アクリロイルオキシアルキルホスホン酸(アルキル基の炭素数1〜24)(例えば2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸等)。
なお、塩としては、(2)カルボキシル基含有ビニルモノマーおよびそれらの塩で示した対イオン等が用いられる。
【0014】
(5)ヒドロキシル基含有ビニルモノマー:
ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル、庶糖アリルエーテル等
【0015】
(6)含窒素ビニルモノマー:
(6−1)アミノ基含有ビニルモノマー:
アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4ービニルピリジン、2ービニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチルα−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾール、アミノメルカプトチアゾール、これらの塩等
(6−2)アミド基含有ビニルモノマー:
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチルN−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等
(6−3)炭素数3〜10のニトリル基含有ビニルモノマー:
(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン、シアノアクリレート等
(6−4)4級アンモニウムカチオンからなる基を含有するビニルモノマー:
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等の3級アミノ基含有ビニルモノマーの4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの。例えば、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、トリメチルアリルアンモニウムクロライド等)。
(6−5)炭素数8〜12のニトロ基含有ビニルモノマー:
ニトロスチレン等
【0016】
(7)炭素数6〜18のエポキシ基含有ビニルモノマー:
グルシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、p−ビニルフェニルフェニルオキサイド等
【0017】
(8)炭素数2〜16のハロゲン元素含有ビニルモノマー:
塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、クロルスチレン、ブロムスチレン、ジクロルスチレン、クロロメチルスチレン、テトラフルオロスチレン、クロロプレン等
【0018】
(9)ビニルエステル、ビニル(チオ)エーテル、ビニルケトン、ビニルスルホン:
(9−1)炭素数4〜16のビニルエステル、
例えば、酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチルα−エトキシアクリレート、炭素数1〜50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート等]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類[ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン等]等、ポリアルキレングリコール鎖を有するビニルモノマー[ポリエチレングリコール(分子量300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノアクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド(以下、エチレンオキサイドをEOと記載する)10モル付加物(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールEO30モル付加物(メタ)アクリレート等]、ポリ(メタ)アクリレート類[多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等]等;
(9−2)炭素数3〜16のビニル(チオ)エーテル、
例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル2−ブトキシエチルエーテル、3,4−ジヒドロ1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、ビニル2−エチルメルカプトエチルエーテル、アセトキシスチレン、フェノキシスチレン、
(9−3)炭素数4〜12のビニルケトン(例えばビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルフェニルケトン);
炭素数2〜16のビニルスルホン(例えばジビニルサルファイド、p−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルホン、ジビニルスルホンおよびジビニルスルホキサイド等)等。
【0019】
(10)その他のビニルモノマー:
イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等
【0020】
ビニル樹脂のうち、ビニルモノマーを共重合したポリマー(ビニルモノマーの共重合体)としては、上記(1)〜(10)の任意のモノマー同士を、2元またはそれ以上の個数で、任意の割合で共重合したポリマーが用いられ、例えばスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−(無水)マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−ジビニルベンゼン共重合体およびスチレン−スチレンスルホン酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
【0021】
樹脂(a)は、水性分散体(X)中で樹脂粒子(A)を形成することが必要であることから、少なくとも水性分散体(X)を形成する条件下で水に完全に溶解していないことが必要である。そのため、ビニル樹脂が共重合体である場合には、ビニル樹脂を構成する疎水性モノマーと親水性モノマーの比率は、選ばれるモノマーの種類によるが、一般に疎水性モノマーが10重量%以上であることが好ましく、30重量%以上であることがより好ましい。疎水性モノマーの比率が、10重量%以下になるとビニル樹脂が水溶性になり、着色樹脂粒子(C)の粒子径均一性が損なわれることがある。ここで、親水性モノマーとは水に任意の割合で溶解するモノマーをいい、疎水性モノマーとは、それ以外のモノマー(基本的に水に混和しないモノマー)をいう。
上記および以下において、%は、特に断りの無い場合、重量%を意味する。
【0022】
ポリエステル樹脂としては、ポリオールと、ポリカルボン酸、その酸無水物または低級アルキル(アルキル基の炭素数1〜4)エステルとの重縮合物などが使用できる。
重縮合反応には、公知の重縮合触媒等が使用できる。
ポリオールとしては、ジオール(11)、および3〜8価またはそれ以上のポリオール(12)が用いられる。
ポリカルボン酸、その酸無水物または低級アルキルエステルとしては、ジカルボン酸(13)、3〜6価またはそれ以上のポリカルボン酸(14)、これらの酸無水物および低級アルキルエステルが用いられる。
ポリオールとポリカルボン酸の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/5、さらに好ましくは1.5/1〜1/4、とくに好ましくは1/1.3〜1/3である。
【0023】
ジオール(11)としては、炭素数2〜30のアルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコールおよび2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなど);分子量106〜10000のアルキレンエーテルグリコール(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);炭素数6〜24の脂環式ジオール(例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび水素添加ビスフェノールAなど);分子量100〜10000の上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下、AOと記載する)〔EO、プロピレンオキサイド(以下、POと記載する)、ブチレンオキサイド(以下、BOと記載する)など〕付加物(付加モル数2〜100)(例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノールのEO10モル付加物等);炭素数15〜30のビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど)または炭素数12〜24のポリフェノール(例えば、カテコール、ハイドロキノンおよびレゾルシン等)のAO(EO、PO、BOなど)付加物(付加モル数2〜100)(例えば、ビスフェノールA・EO2〜4モル付加物、ビスフェノールA・PO2〜4モル付加物等);重量平均分子量100〜5000のポリラクトンジオール(例えば、ポリε−カプロラクトンジオール等);重量平均分子量1000〜20000のポリブタジエンジオールなどが挙げられる。
これらのうち、アルキレングリコールおよびビスフェノール類のAO付加物が好ましく、さらに好ましくはビスフェノール類のAO付加物、およびこれとアルキレングリコールとの混合物である。
【0024】
3〜8価またはそれ以上のポリオール(12)としては、3〜8価またはそれ以上、炭素数3〜8の脂肪族多価アルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタンおよびソルビトールなど);炭素数25〜50のトリスフェノール(例えば、トリスフェノールPAなど)のAO(炭素数2〜4)付加物(付加モル数2〜100)(例えば、トリスフェノールPA・EO2〜4モル付加物、トリスフェノールPA・PO2〜4モル付加物等);重合度3〜50のノボラック樹脂(例えば、フェノールノボラックおよびクレゾールノボラックなど)のAO(炭素数2〜4)付加物(付加モル数2〜100)(フェノールノボラックPO2モル付加物、フェノールノボラックEO4モル付加物);炭素数6〜30のポリフェノール(例えば、ピロガロール、フロログルシノールおよび1,2,4−ベンゼントリオール等)のAO(炭素数2〜4)付加物(付加モル数2〜100)(ピロガロールEO4モル付加物);および重合度20〜2000のアクリルポリオール[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニルモノマー(例えばスチレン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等との共重合物など]等が挙げられる。
これらのうち、脂肪族多価アルコールおよびノボラック樹脂のAO付加物が好ましく、さらに好ましくはノボラック樹脂のAO付加物である。
【0025】
ジカルボン酸(13)としては、炭素数4〜32のアルカンジカルボン酸(例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸およびオクタデカンジカルボン酸など);炭素数4〜32のアルケンジカルボン酸(例えば、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸およびメサコン酸など);炭素数8〜40の分岐アルケンジカルボン酸[例えば、ダイマー酸、アルケニルコハク酸(ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸など);炭素数12〜40の分岐アルカンジカルボン酸[例えば、アルキルコハク酸(デシルコハク酸、ドデシルコハク酸、オクタデシルコハク酸など);炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸(例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸およびナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。
これらのうち、アルケンジカルボン酸および芳香族ジカルボン酸が好ましく、さらに好ましくは芳香族ジカルボン酸である。
3〜6価またはそれ以上のポリカルボン酸(14)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(例えば、トリメリット酸およびピロメリット酸など)などが挙げられる。
なお、ジカルボン酸(13)または3〜6価またはそれ以上のポリカルボン酸(14)の酸無水物としては、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物等が挙げられる。また、これらの低級アルキルエステルとしては、メチルエステル、エチルエステルおよびイソプロピルエステルなどが挙げられる。
ル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてもよい。
【0026】
ポリウレタン樹脂としては、ポリイソシアネート(15)と活性水素基含有化合物(D){水、ポリオール[前記ジオール(11)および3〜8価またはそれ以上のポリオール(12)]、ジカルボン酸(13)、3〜6価またはそれ以上のポリカルボン酸(14)、ポリアミン(16)、ポリチオール(17)等}との重付加物などが挙げられる。
【0027】
ポリイソシアネート(15)としては、炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ポリイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネートおよびこれらのポリイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物など)およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0028】
上記芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、1,3−および/または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI[粗製ジアミノフェニルメタン〔ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)またはその混合物との縮合生成物;ジアミノジフェニルメタンと少量(たとえば5〜20%)の3官能以上のポリアミンとの混合物〕のホスゲン化物:ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)]、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−およびp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートなどが挙げられる。
上記脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートなどの脂肪族ポリイソシアネートなどが挙げられる。
上記脂環式ポリイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−および/または2,6−ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
上記芳香脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、m−および/またはp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などが挙げられる。
また、上記ポリイソシアネートの変性物には、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物などが挙げられる。
具体的には、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDIなど)、ウレタン変性TDIなどのポリイソシアネートの変性物およびこれらの2種以上の混合物[たとえば変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート含有プレポリマー)との併用]が含まれる。
これらのうちで好ましいものは6〜15の芳香族ポリイソシアネート、炭素数4〜12の脂肪族ポリイソシアネート、および炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネートであり、とくに好ましいものはTDI、MDI、HDI、水添MDI、およびIPDIである。
【0029】
ポリアミン(16)の例としては、脂肪族ポリアミン類(C2〜C18):〔1〕脂肪族ポリアミン{C2〜C6 アルキレンジアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)、ポリアルキレン(C2〜C6)ポリアミン〔ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン,トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなど〕};〔2〕これらのアルキル(C1〜C4)またはヒドロキシアルキル(C2〜C4)置換体〔ジアルキル(C1〜C3)アミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メチルイミノビスプロピルアミンなど〕;〔3〕脂環または複素環含有脂肪族ポリアミン〔3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなど〕;〔4〕芳香環含有脂肪族アミン類(C8〜C15)(キシリレンジアミン、テトラクロル−p−キシリレンジアミンなど)、
脂環式ポリアミン(C4〜C15):1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4´−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)など、複素環式ポリアミン(C4〜C15):ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、1,4ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジンなど、
【0030】
芳香族ポリアミン類(C6〜C20):〔1〕非置換芳香族ポリアミン〔1,2−、1,3−および1,4−フェニレンジアミン、2,4´−および4,4´−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン(ポリフェニルポリメチレンポリアミン)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4´,4”−トリアミン、ナフチレンジアミンなど;〔2〕核置換アルキル基〔メチル,エチル,n−およびi−プロピル、ブチルなどのC1〜C4アルキル基)を有する芳香族ポリアミン、たとえば2,4−および2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジフェニルメタン、4,4´−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジエチル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジブチル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1,3,5−トリエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリイソプロピル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジイソプロピル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジブチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3´,5,5´−テトラメチルベンジジン、3,3´,5,5´−テトライソプロピルベンジジン、3,3´,5,5´−テトラメチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´,5,5´−テトラエチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´,5,5´−テトライソプロピル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´,5,5´−テトラブチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3´−メチル−2´,4−ジアミノジフェニルメタン,3,5−ジイソプロピル−3´−メチル−2´,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3´−ジエチル−2,2´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジフェニルメタン、3,3´,5,5´−テトラエチル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン、3,3´,5,5´−テトライソプロピル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン、3,3´,5,5´−テトラエチル−4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、3,3´,5,5´−テトライソプロピル−4,4´−ジアミノジフェニルスルホンなど〕、およびこれらの異性体の種々の割合の混合物;〔3〕核置換電子吸引基(Cl,Br,I,Fなどのハロゲン;メトキシ、エトキシなどのアルコキシ基;ニトロ基など)を有する芳香族ポリアミン〔メチレンビス−o−クロロアニリン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、2−クロル−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノ−4−クロロアニリン、4−ブロモ−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジクロル−1,4−フェニレンジアミン、5−ニトロ−1,3−フェニレンジアミン、3−ジメトキシ−4−アミノアニリン;4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチル−5,5´−ジブロモ−ジフェニルメタン、3,3´−ジクロロベンジジン、3,3´−ジメトキシベンジジン、ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)オキシド、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)デカン、ビス(4−アミノフェニル)スルフイド、ビス(4−アミノフェニル)テルリド、ビス(4−アミノフェニル)セレニド、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)ジスルフイド、4,4´−メチレンビス(2−ヨードアニリン)、4,4´−メチレンビス(2−ブロモアニリン)、4,4´−メチレンビス(2−フルオロアニリン)、4−アミノフェニル−2−クロロアニリンなど〕;〔4〕2級アミノ基を有する芳香族ポリアミン〔上記〔1〕〜〔3〕の芳香族ポリアミンの−NH2の一部または全部が−NH−R´(R´はアルキル基たとえばメチル,エチルなどの低級アルキル基)で置き換ったもの〕〔4,4´−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン、1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼンなど〕、ポリアミドポリアミン:ジカルボン酸(ダイマー酸など)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)ポリアミン類(上記アルキレンジアミン,ポリアルキレンポリアミンなど)との縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミンなど、ポリエーテルポリアミン:ポリエーテルポリオール(ポリアルキレングリコールなど)のシアノエチル化物の水素化物などが挙げられる。
【0031】
ポリチオール(17)としては、エチレンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオールなどが挙げられる。
【0032】
エポキシ樹脂としては、ポリエポキシド(18)の開環重合物、ポリエポキシド(18)と活性水素基含有化合物(D){水、ポリオール[前記ジオール(11)および3〜8価またはそれ以上のポリオール(12)]、ジカルボン酸(13)、3〜6価またはそれ以上のポリカルボン酸(14)、ポリアミン(16)、ポリチオール(17)等}との重付加物、またはポリエポキシド(18)とジカルボン酸(13)または3〜6価またはそれ以上のポリカルボン酸(14)の酸無水物との硬化物などが挙げられる。
【0033】
本発明に用いるポリエポキシド(18)は、分子中に2個以上のエポキシ基を有していれば、特に限定されない。ポリエポキシド(18)として好ましいものは、硬化物の機械的性質の観点から分子中にエポキシ基を2〜6個有するものである。ポリエポキシド(18)のエポキシ当量(エポキシ基1個当たりの分子量)は、好ましくは65〜1000であり、さらに好ましくは90〜500である。エポキシ当量が1000以下であると、架橋構造が強固になり硬化物の耐水性、耐薬品性、機械的強度等の物性が良好となり、一方、エポキシ当量が65以上のものを合成するのは容易である。
【0034】
ポリエポキシド(18)の例としては、芳香族系ポリエポキシ化合物、複素環系ポリエポキシ化合物、脂環族系ポリエポキシ化合物あるいは脂肪族系ポリエポキシ化合物が挙げられる。
芳香族系ポリエポキシ化合物としては、多価フェノール類のグリシジルエーテル体およびグリシジルエステル体、グリシジル芳香族ポリアミン、並びに、アミノフェノールのグリシジル化物等が挙げられる。
多価フェノールのグリシジルエーテル体としては、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールBジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ハロゲン化ビスフェノールAジグリシジル、テトラクロロビスフェノールAジグリシジルエーテル、カテキンジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、ピロガロールトリグリシジルエーテル、1,5−ジヒドロキシナフタリンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、オクタクロロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、テトラメチルビフェニルジグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフチルクレゾールトリグリシジルエーテル、トリス(ヒドロキシフェニル)メタントリグリシジルエーテル、ジナフチルトリオールトリグリシジルエーテル、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、p−グリシジルフェニルジメチルトリールビスフェノールAグリシジルエーテル、トリスメチル−tret−ブチル−ブチルヒドロキシメタントリグリシジルエーテル、9,9’−ビス(4−ヒドキシフェニル)フロオレンジグリシジルエーテル、4,4’−オキシビス(1,4−フェニルエチル)テトラクレゾールグリシジルエーテル、4,4’−オキシビス(1,4−フェニルエチル)フェニルグリシジルエーテル、ビス(ジヒドロキシナフタレン)テトラグリシジルエーテル、フェノールまたはクレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル体、リモネンフェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル体、ビスフェノールA2モルとエピクロロヒドリン3モルの反応から得られるジグリシジルエーテル体、フェノールとグリオキザール、グルタールアルデヒド、またはホルムアルデヒドの縮合反応によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル体、およびレゾルシンとアセトンの縮合反応によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル体等が挙げられる。
【0035】
多価フェノールのグリシジルエステル体としては、フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。
グリシジル芳香族ポリアミンとしては、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジフェニルメタンジアミン等が挙げられる。
さらに、本発明において前記芳香族系として、P−アミノフェノールのトリグリシジルエーテル、トリレンジイソシアネートまたはジフェニルメタンジイソシアネートとグリシドールの付加反応によって得られるジグリシジルウレタン化合物、前記2反応物にポリオールも反応させて得られるグリシジル基含有ポリウレタン(プレ)ポリマーおよびビスフェノールAのAO(EOまたはPO)付加物のジグリシジルエーテル体も含む。
【0036】
複素環系ポリエポキシ化合物としては、トリスグリシジルメラミンが挙げられる;
脂環族系ポリエポキシ化合物としては、ビニルシクロヘキセンジオキシド、リモネンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、エチレングリコールビスエポキシジシクロペンチルエール、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、およびビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)ブチルアミン、ダイマー酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。また、脂環族系としては、前記芳香族系ポリエポキシド化合物の核水添化物も含む;
脂肪族系ポリエポキシ化合物としては、多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル体、多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体、およびグリシジル脂肪族アミンが挙げられる。
【0037】
多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル体としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルおよびポリグリセロールンポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体としては、ジグリシジルオキサレート、ジグリシジルマレート、ジグリシジルスクシネート、ジグリシジルグルタレート、ジグリシジルアジペート、ジグリシジルピメレート等が挙げられる。
グリシジル脂肪族アミンとしては、N,N,N’,N’−テトラグリシジルヘキサメチレンジアミンが挙げられる。
また、本発明において脂肪族系としては、ジグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレートの(共)重合体も含む。
これらのうち、好ましいのは、脂肪族系ポリエポキシ化合物および芳香族系ポリエポキシ化合物である。ポリエポキシドは、2種以上併用しても差し支えない。
【0038】
本発明の製造方法においては、樹脂(a)を含有する樹脂粒子(A)の水性分散液(W)と、樹脂(b)若しくはその有機溶剤溶液、又は、樹脂(b)の前駆体(b0)若しくはその有機溶剤溶液(o1)に着色剤(p)または(p)の水もしくは有機溶剤分散液が分散された油性液(O)とを混合し、(W)中に(O)を分散させて、必要により前駆体(b0)の反応を行い、樹脂(b)を含有する樹脂粒子(B)が形成される際に、樹脂粒子(A)を樹脂粒子(B)の表面に吸着させることで、樹脂粒子(B)同士あるいは着色樹脂粒子(C)同士が合一するのを防ぎ、また、高剪断条件下で着色樹脂粒子(C)が分裂され難くする。これにより、着色樹脂粒子(C)の粒子径を一定の値に収斂させ、粒子径の均一性を高める効果を発揮する。そのため、樹脂粒子(A)は、分散する際の温度において、剪断により破壊されない程度の強度を有すること、水に溶解したり、膨潤したりしにくいこと、樹脂(b)若しくはその有機溶剤溶液、又は樹脂(b)の前駆体(b0)若しくはその有機溶剤溶液(o1)に溶解したり、膨潤したりしにくいことが好ましい特性としてあげられる。
【0039】
樹脂(a)のガラス転移温度(Tg)は、着色樹脂粒子(C)の粒子径均一性、粉体流動性、保存時の耐熱性、耐ストレス性の観点から、好ましくは0℃〜300℃、さらに好ましくは20℃〜250℃、とくに好ましくは50℃〜200℃である。水性分散体(X)を作成する温度よりTgが低いと、合一を防止したり、分裂を防止したりする効果が小さくなり、粒子径の均一性を高める効果が小さくなる。なお、本発明におけるTgは、DSC測定から求められる値である。
【0040】
樹脂粒子(A)が水や分散時に用いる有機溶剤に対してに対して、溶解したり、膨潤したりするのを低減する観点から、樹脂(a)の分子量、SP値(SP値の計算方法は、Polymer Engineering and Science,Feburuary,1974,Vol.14,No.2 P.147〜154による)、結晶性、架橋点間分子量等を適宜調整するのが好ましい。
【0041】
樹脂(a)の数平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにて測定、以下Mnと略記)は、通常200〜500万、好ましくは2,000〜500,000、SP値は、好ましくは7〜18、さらに好ましくは8〜14である。樹脂(a)の融点(DSCにて測定、以下融点はDSCでの測定値)は、好ましくは50℃以上、さらに好ましくは80℃以上である。
また、着色樹脂粒子(C)の、耐熱性、耐水性、耐薬品性、粒径の均一性等を向上させたい場合には、樹脂(a)に架橋構造を導入させても良い。かかる架橋構造は、共有結合性、配位結合性、イオン結合性、水素結合性等、いずれの架橋形態であってもよい。(a)に架橋構造を導入する場合の架橋点間分子量は、通常30以上、好ましくは50以上である。
【0042】
樹脂(a)を樹脂粒子(A)の水性分散液(W)にする方法は、特に限定されないが、以下の〔1〕〜〔8〕が挙げられる。
〔1〕ビニル樹脂の場合において、モノマーを出発原料として、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法または分散重合法等の重合反応により、直接、樹脂粒子(A)の水性分散液(W)を製造する方法
〔2〕ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加あるいは縮合系樹脂の場合において、前駆体(モノマー、オリゴマー等)またはその有機溶剤溶液を適当な分散剤存在下で水性媒体(水と必要により有機溶剤からなる溶剤)中に分散させ、その後に加熱したり、硬化剤を加えたりして前躯体を硬化させて樹脂粒子(A)の水性分散液(W)を製造する方法
〔3〕ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加あるいは縮合系樹脂の場合において、前駆体(モノマー、オリゴマー等)またはその有機溶剤溶液(液体であることが好ましい。加熱により液状化してもよい)中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法
〔4〕あらかじめ重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい。以下の本項の重合反応も同様)により作成した樹脂を機械回転式またはジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕し、次いで、分級することによって樹脂粒子を得た後、適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法
〔5〕あらかじめ重合反応により作成した樹脂を有機溶剤に溶解した樹脂溶液を霧状に噴霧することにより樹脂粒子を得た後、該樹脂粒子を適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法
〔6〕あらかじめ重合反応により作成した樹脂を有機溶剤に溶解した樹脂溶液に貧溶剤を添加するか、またはあらかじめ有機溶剤に加熱溶解した樹脂溶液を冷却することにより樹脂粒子を析出させ、次いで、有機溶剤を除去して樹脂粒子を得た後、該樹脂粒子を適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法
〔7〕あらかじめ重合反応により作成した樹脂を有機溶剤に溶解した樹脂溶液を、適当な分散剤存在下で水性媒体中に分散させ、これを加熱または減圧等によって有機溶剤を除去する方法
〔8〕あらかじめ重合反応により作成した樹脂を有機溶剤に溶解した樹脂溶液中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法
【0043】
上記〔1〕〜〔8〕の方法において、併用する乳化剤または分散剤としては、公知の界面活性剤(s)、水溶性ポリマー(t)等を用いることができる。また、乳化または分散の助剤として有機溶剤(u)、可塑剤(v)等を併用することができる。
【0044】
界面活性剤(s)としては、アニオン界面活性剤(s−1)、カチオン界面活性剤(s−2)、両性界面活性剤(s−3)、非イオン界面活性剤(s−4)などが挙げられる。界面活性剤(s)は2種以上の界面活性剤を併用したものであってもよい。
【0045】
アニオン界面活性剤(s−1)としては、カルボン酸またはその塩、硫酸エステル塩、カルボキシメチル化物の塩、スルホン酸塩およびリン酸エステル塩が挙げられる。
【0046】
カルボン酸またはその塩としては、炭素数8〜22の飽和または不飽和脂肪酸またはその塩が挙げられ、具体的にはカプリン酸,ラウリン酸,ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,アラキジン酸,ベヘン酸,オレイン酸,リノール酸,リシノール酸およびヤシ油,パーム核油,米ぬか油,牛脂などをケン化して得られる高級脂肪酸の混合物があげられる。塩としてはそれらのナトリウム,カリウム,アンモニウム,アルカノールアミンなどの塩があげられる。
【0047】
硫酸エステル塩としては、高級アルコール硫酸エステル塩(炭素数8〜18の脂肪族アルコールの硫酸エステル塩)、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩(炭素数8〜18の脂肪族アルコールのEO1〜10モル付加物の硫酸エステル塩)、硫酸化油(天然の不飽和油脂または不飽和のロウをそのまま硫酸化して中和したもの)、硫酸化脂肪酸エステル(不飽和脂肪酸の低級アルコールエステルを硫酸化して中和したもの)および硫酸化オレフィン(炭素数12〜18のオレフィンを硫酸化して中和したもの)が挙げられる。塩としては、ナトリウム塩,カリウム塩,アンモニウム塩,アルカノールアミン塩が挙げられる。
高級アルコール硫酸エステル塩の具体例としては、オクチルアルコール硫酸エステル塩,デシルアルコール硫酸エステル塩,ラウリルアルコール硫酸エステル塩,ステアリルアルコール硫酸エステル塩,チーグラー触媒を用いて合成されたアルコール(例えば、ALFOL 1214:CONDEA社製)の硫酸エステル塩,オキソ法で合成されたアルコール(たとえばドバノール23,25,45:三菱油化製,トリデカノール:協和発酵製,オキソコール1213,1215,1415:日産化学製,ダイヤドール115−L,115H,135:三菱化成製)の硫酸エステル塩;高級アルキルエーテル硫酸エステル塩の具体例としては、ラウリルアルコールEO2モル付加物硫酸エステル塩,オクチルアルコールEO3モル付加物硫酸エステル塩;硫酸化油の具体例としては、ヒマシ油,落花生油,オリーブ油,ナタネ油,牛脂,羊脂などの硫酸化物のナトリウム,カリウム,アンモニウム,アルカノールアミン塩硫酸化脂肪酸エステルの具体例としては、オレイン酸ブチル,リシノレイン酸ブチルなどの硫酸化物のナトリウム,カリウム,アンモニウム,アルカノールアミン塩;硫酸化オレフィンの具体例としては、ティーポール(シェル社製)が挙げられる。
【0048】
カルボキシメチル化物の塩としては、炭素数8〜16の脂肪族アルコールのカルボキシメチル化物の塩および炭素数8〜16の脂肪族アルコールのEO1〜10モル付加物のカルボキシメチル化物の塩が挙げられる。
脂肪族アルコールのカルボキシメチル化物の塩の具体例としては、オクチルアルコールカルボキシメチル化ナトリウム塩,デシルアルコールカルボキシメチル化ナトリウム塩,ラウリルアルコールカルボキシメチル化ナトリウム塩,ドバノール23カルボキシメチル化ナトリウム塩,トリデカノールカルボキシメチル化ナトリウム塩,;脂肪族アルコールのEO1〜10モル付加物のカルボキシメチル化物の塩の具体例としては、オクチルアルコールEO3モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩,ラウリルアルコールEO4モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩,ドバノール23EO3モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩,トリデカノールEO5モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩などが挙げられる。
【0049】
スルホン酸塩としては、(d1)アルキルベンゼンスルホン酸塩,(d2)アルキルナフタレンスルホン酸塩,(d3)スルホコハク酸ジエステル型,(d4)α−オレフィンスルホン酸塩,(d5)イゲポンT型、(d6)その他芳香環含有化合物のスルホン酸塩が挙げられる。
アルキルベンゼンスルホン酸塩の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩;アルキルナフタレンスルホン酸塩の具体例としては、ドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウム塩;スルホコハク酸ジエステル型の具体例としては、スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルエステルナトリウム塩などが挙げられる。芳香環含有化合物のスルホン酸塩としては、アルキル化ジフェニルエーテルのモノまたはジスルホン酸塩、スチレン化フェノールスルホン酸塩などが挙げられる。
【0050】
リン酸エステル塩としては、(e1)高級アルコールリン酸エステル塩および(e2)高級アルコールEO付加物リン酸エステル塩が挙げられる。
【0051】
高級アルコールリン酸エステル塩の具体例としては、ラウリルアルコールリン酸モノエステルジナトリウム塩,ラウリルアルコールリン酸ジエステルナトリウム塩;高級アルコールEO付加物リン酸エステル塩の具体例としては、オレイルアルコールEO5モル付加物リン酸モノエステルジナトリウム塩が挙げられる。
【0052】
カチオン界面活性剤(s−2)としては、第4級アンモニウム塩型、アミン塩型などが挙げられる。
【0053】
第4級アンモニウム塩型としては、3級アミン類と4級化剤(メチルクロライド、メチルブロマイド、エチルクロライド、ベンジルクロライド、ジメチル硫酸などのアルキル化剤;EOなど)との反応で得られ、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムブロマイド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド(塩化ベンザルコニウム)、セチルピリジニウムクロライド、ポリオキシエチレントリメチルアンモニウムクロライド、ステアラミドエチルジエチルメチルアンモニウムメトサルフェートなどが挙げられる。
【0054】
アミン塩型としては、1〜3級アミン類を無機酸(塩酸、硝酸、硫酸、ヨウ化水素酸など)または有機酸(酢酸、ギ酸、蓚酸、乳酸、グルコン酸、アジピン酸、アルキル燐酸など)で中和することにより得られる。
例えば、第1級アミン塩型のものとしては、脂肪族高級アミン(ラウリルアミン、ステアリルアミン、セチルアミン、硬化牛脂アミン、ロジンアミンなどの高級アミン)の無機酸塩または有機酸塩;低級アミン類の高級脂肪酸(ステアリン酸、オレイン酸など)塩などが挙げられる。
第2級アミン塩型のものとしては、例えば脂肪族アミンのEO付加物などの無機酸塩または有機酸塩が挙げられる。
また、第3級アミン塩型のものとしては、例えば、脂肪族アミン(トリエチルアミン、エチルジメチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンなど)、脂肪族アミンのEO(2モル以上)付加物、脂環式アミン(N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルヘキサメチレンイミン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセンなど)、含窒素ヘテロ環芳香族アミン(4−ジメチルアミノピリジン、N−メチルイミダゾール、4,4’−ジピリジルなど)の無機酸塩または有機酸塩;トリエタノールアミンモノステアレート、ステアラミドエチルジエチルメチルエタノールアミンなどの3級アミン類の無機酸塩または有機酸塩などが挙げられる。
【0055】
本発明で用いる両性界面活性剤(s−3)としては、カルボン酸塩型両性界面活性剤、硫酸エステル塩型両性界面活性剤、スルホン酸塩型両性界面活性剤、リン酸エステル塩型両性界面活性剤などが挙げられ、カルボン酸塩型両性界面活性剤は、さらにアミノ酸型両性界面活性剤とベタイン型両性界面活性剤が挙げられる。
【0056】
カルボン酸塩型両性界面活性剤は、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤、イミダゾリン型両性界面活性剤などが挙げられ、これらのうち、アミノ酸型両性界面活性剤は、分子内にアミノ基とカルボキシル基を持っている両性界面活性剤で、例えば、下記一般式で示される化合物が挙げられる。
[R−NH−(CH2)n−COO]mM
[式中、Rは1価の炭化水素基;nは通常1または2;mは1または2;Mは水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウムカチオン、アミンカチオン、アルカノールアミンカチオンなどである。]
具体的には、例えば、アルキルアミノプロピオン酸型両性界面活性剤(ステアリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウムなど);アルキルアミノ酢酸型両性界面活性剤(ラウリルアミノ酢酸ナトリウムなど)などが挙げられる。
【0057】
ベタイン型両性界面活性剤は、分子内に第4級アンモニウム塩型のカチオン部分とカルボン酸型のアニオン部分を持っている両性界面活性剤で、例えば、下記一般式で示されるアルキルジメチルベタイン(ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなど)、アミドベタイン(ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインなど)、アルキルジヒドロキシアルキルベタイン(ラウリルジヒドロキシエチルベタインなど)などが挙げられる。
【0058】
さらに、イミダゾリン型両性界面活性剤としては、例えば、2−ウンデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどが挙げられる。
【0059】
その他の両性界面活性剤としては、例えば、ナトリウムラウロイルグリシン、ナトリウムラウリルジアミノエチルグリシン、ラウリルジアミノエチルグリシン塩酸塩、ジオクチルジアミノエチルグリシン塩酸塩などのグリシン型両性界面活性剤;ペンタデシルスルフォタウリンなどのスルフォベタイン型両性界面活性剤などが挙げられる。
【0060】
非イオン界面活性剤(s−4)としては、AO付加型非イオン界面活性剤および多価アルコ−ル型非イオン界面活性剤などが挙げられる。
【0061】
AO付加型非イオン界面活性剤は、高級アルコ−ル、高級脂肪酸またはアルキルアミン等に直接AOを付加させるか、グリコ−ル類にAOを付加させて得られるポリアルキレングリコ−ル類に高級脂肪酸などを反応させるか、あるいは多価アルコ−ルに高級脂肪酸を反応して得られたエステル化物にAOを付加させるか、高級脂肪酸アミドにAOを付加させることにより得られる。
【0062】
AOとしては、たとえばEO、POおよびBOが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、EOおよびEOとPOのランダムまたはブロック付加物である。
AOの付加モル数としては10〜50モルが好ましく、該AOのうち50〜100%がEOであるものが好ましい。
【0063】
AO付加型非イオン界面活性剤の具体例としては、オキシアルキレンアルキルエ−テル(例えば、オクチルアルコールEO付加物、ラウリルアルコールEO付加物、ステアリルアルコールEO付加物、オレイルアルコールEO付加物、ラウリルアルコールEO・POブロック付加物など); ポリオキシアルキレン高級脂肪酸エステル(例えば、ステアリル酸EO付加物、ラウリル酸EO付加物など);
ポリオキシアルキレン多価アルコ−ル高級脂肪酸エステル(例えば、ポリエチレングリコールのラウリン酸ジエステル、ポリエチレングリコールのオレイン酸ジエステル、ポリエチレングリコールのステアリン酸ジエステルなど);
ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエ−テル(例えば、ノニルフェノールEO付加物、ノニルフェノールEO・POブロック付加物、オクチルフェノールEO付加物、ビスフェノールA・EO付加物、ジノニルフェノールEO付加物、スチレン化フェノールEO付加物など);ポリオキシアルキレンアルキルアミノエ−テルおよび(例えば、ラウリルアミンEO付加物,ステアリルアミンEO付加物など);ポリオキシアルキレンアルキルアルカノ−ルアミド(例えば、ヒドロキシエチルラウリン酸アミドのEO付加物、ヒドロキシプロピルオレイン酸アミドのEO付加物、ジヒドロキシエチルラウリン酸アミドのEO付加物など)が挙げられる。
【0064】
多価アルコ−ル型非イオン界面活性剤としては、多価アルコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステルAO付加物、多価アルコールアルキルエーテル、多価アルコールアルキルエーテルAO付加物が挙げられる。
【0065】
多価アルコール脂肪酸エステルの具体例としては、ペンタエリスリトールモノラウレート、ペンタエリスリトールモノオレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンジラウレート、ソルビタンジオレート、ショ糖モノステアレートなどが挙げられる。
多価アルコール脂肪酸エステルAO付加物の具体例としては、エチレングリコールモノオレートEO付加物、エチレングリコールモノステアレートEO付加物、トリメチロールプロパンモノステアレートEO・POランダム付加物、ソルビタンモノラウレートEO付加物、ソルビタンモノステアレートEO付加物、ソルビタンジステアレートEO付加物、ソルビタンジラウレートEO・POランダム付加物などが挙げられる。
多価アルコールアルキルエーテルの具体例としては、ペンタエリスリトールモノブチルエーテル、ペンタエリスリトールモノラウリルエーテル、ソルビタンモノメチルエーテル、ソルビタンモノステアリルエーテル、メチルグリコシド、ラウリルグリコシドなどが挙げられる。
多価アルコールアルキルエーテルAO付加物の具体例としては、ソルビタンモノステアリルエーテルEO付加物、メチルグリコシドEO・POランダム付加物、ラウリルグリコシドEO付加物、ステアリルグリコシドEO・POランダム付加物などが挙げられる。
【0066】
水溶性ポリマー(t)としては、セルロース系化合物(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびそれらのケン化物など)、ゼラチン、デンプン、デキストリン、アラビアゴム、キチン、キトサン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド、アクリル酸(塩)含有ポリマー(ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸の水酸化ナトリウム部分中和物、アクリル酸ナトリウム−アクリル酸エステル共重合体)、スチレン−無水マレイン酸共重合体の水酸化ナトリウム(部分)中和物、水溶性ポリウレタン(ポリエチレングリコール、ポリカプロラクトンジオール等とポリイソシアネートの反応生成物等)などが挙げられる。
【0067】
本発明で用いる有機溶剤(u)は、乳化分散の際に必要に応じて水性媒体中に加えても、被乳化分散体中[樹脂(b)または前躯体(b0)を含む油性液(O)中に加えてもよい。
(u)の具体例としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素系溶剤;n−ヘキサン、n−ヘプタン、ミネラルスピリット、シクロヘキサン等のの脂肪族または脂環式炭化水素系溶剤;塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、メチレンジクロライド、四塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロロエチレンなどのハロゲン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエステル系またはエステルエーテル系溶剤;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコールなどのアルコール系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶剤;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶剤、N−メチルピロリドンなどの複素環式化合物系溶剤、ならびにこれらの2種以上の混合溶剤が挙げられる。
【0068】
可塑剤(v)は、乳化分散の際に必要に応じて水性媒体中に加えても、被乳化分散体中[樹脂(b)または前躯体(b0)を含む油性液(O)中]に加えてもよい。
(v)としては、何ら限定されず、以下のものが例示される。
(v1)フタル酸エステル[フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジイソデシル等];
(v2)脂肪族2塩基酸エステル[アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸−2−エチルヘキシル等];
(v3)トリメリット酸エステル[トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリオクチル等];
(v4)燐酸エステル[リン酸トリエチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジール等];
(v5)脂肪酸エステル[オレイン酸ブチル等];
(v6)およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0069】
樹脂粒子(A)の粒径は、通常、樹脂粒子(B)の粒径よりも小さくなり、粒径均一性の観点から、粒径比[(A)の体積平均粒径/(B)の体積平均粒径]の値が0.001〜0.3の範囲であるのが好ましい。粒径比の下限はさらに好ましくは0.003であり、上限はさらに好ましくは0.25である。かかる粒径比が、0.3より大きいと(A)が(B)の表面に効率よく吸着しないため、得られる(C)の粒度分布が広くなる傾向がある。
【0070】
樹脂粒子(A)の体積平均粒径は、所望の粒径の着色樹脂粒子(C)を得るのに適した粒径になるように、上記粒径比の範囲で適宜調整することができる。
(A)の体積平均粒径は、一般的には、0.0005〜30μmが好ましい。上限は、さらに好ましくは20μm、特に好ましくは10μmであり、下限は、さらに好ましくは0.01μm、特に好ましくは0.02μm、最も好ましくは0.04μmである。ただし、例えば、体積平均粒径1μmの(C)を得たい場合には、好ましくは0.0005〜0.3μm、特に好ましくは0.001〜0.2μmの範囲、10μmの(C)を得た場合には、好ましくは0.005〜3μm、特に好ましくは0.05〜2μm、100μmの粒子(C)を得たい場合には、好ましくは0.05〜30μm、特に好ましくは0.1〜20μmである。なお、体積平均粒径は、レーザー式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所製)やコールターカウンター〔例えば、商品名:マルチサイザーIII(コールター社製)〕で測定できる。
【0071】
なお、上記粒径比が得やすいことから、樹脂粒子(B)の体積平均粒径は、0.1〜300μmが好ましい。上限は、さらに好ましくは250μm、特に好ましくは200μmであり、下限は、さらに好ましくは0.5μm、特に好ましくは1μmである。
【0072】
本発明に用いる樹脂(b)としては、樹脂(a)と同様に、公知の樹脂であればいかなる樹脂であっても使用でき、その具体例についても、(a)と同様のものが使用できる。(b)は、用途・目的に応じて適宜好ましいもの選択することができる。一般に、樹脂(b)として好ましいものは、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、およびポリエステル樹脂が挙げられる。
【0073】
樹脂(b)のMn、融点、Tg、SP値は、用途によって好ましい範囲に適宜調整すればよい。
例えば、着色樹脂粒子(C)を電子写真、静電記録、静電印刷などに使用されるトナー母体粒子として用いる場合、(b)のMnは、好ましくは1,000〜500万、さらに好ましくは2,000〜50万である。(b)の融点(DSCにて測定、以下融点はDSCでの測定値)、好ましくは20℃〜300℃、さらに好ましくは80℃〜250℃である。(b)のTgは、好ましくは20℃〜200℃、さらに好ましくは40℃〜100℃である。(b)のSP値は、好ましくは8〜16、さらに好ましくは9〜14である。
【0074】
本発明の製造方法において、油性液(O)は、着色剤(p)または(p)の水もしくは有機溶剤分散液、及び水性媒体中で着色樹脂粒子(C)を形成して得られる水性分散体(X)から着色樹脂粒子(C)得る工程において除去された、着色樹脂粒子(C)を含む回収含水着色樹脂粒子(K)との混合が容易な点から、樹脂(b)もしくはその有機溶剤溶液、又は、樹脂(b)の前駆体(b0)もしくは(b0)の有機溶剤溶液(o1)として、(b0)またはその有機溶剤溶液を用いるのが好ましく、(b0)の有機溶剤溶液を用いるのがさらに好ましい。
また、油性液(O)中に、(b0)またはその有機溶剤溶液と共に、必要により(b0)と非反応性の樹脂(b1)を用いたものも好ましい。(b0)と併用する樹脂(b1)は、(b0)の反応により得られる樹脂(b)と同一であっても異なっていてもよい。
(b1)の含有量は、(b0)と(b1)の合計量に対して、好ましくは0〜99%、さらに好ましくは30〜98%、とくに好ましくは45〜95%、最も好ましくは60〜90%である。
【0075】
ここで回収含水着色樹脂粒子(K)とは、本発明の製造方法を実施する以前の別ロットの着色樹脂粒子(C)を製造する際、水性媒体中で着色樹脂粒子(C)を形成して得られる水性分散体(X)から着色樹脂粒子(C)得る工程において除去された、着色樹脂粒子(C)を含む水性媒体から回収された含水した着色樹脂粒子を指し、例としては以下の〔1〕〜〔4〕から回収されたものである。
〔1〕水性分散体(X)から、遠心分離機、スパクラフィルター、フィルタープレスなどを用いて着色樹脂粒子(C)を固液分離した際に回収される、着色樹脂粒子(C)を含んだ水性液。
〔2〕〔1〕の固液分離の工程が、得られた着色樹脂粒子(C)を水などで洗浄する工程を含む場合、洗浄後に回収される、着色樹脂粒子(C)含んだ洗浄液。
〔3〕容器及び配管などに付着して残留した着色樹脂粒子(C)を、水などで洗浄して回収される、着色樹脂粒子(C)を含む水性液。
〔4〕移送する際の端きり分など、余剰分として除去された水性分散体(X)。
回収含水着色樹脂粒子(K)を回収する方法としては特に限定されないが、上記〔1〕〜〔4〕の着色樹脂粒子の含有率が重量基準で20%以上であれば、回収含水着色樹脂粒子(K)としてそのまま使用することができ、20%未満もしくは、さらに着色樹脂粒子(C)の回収効率を向上させたい場合は、上記〔1〕〜〔4〕から水分の一部を除去し、含水率を低下させたものを回収含水着色樹脂粒子(K)として使用することができる。
上記〔1〕〜〔4〕から水分を除去する方法としては、
〔i〕減圧下または常圧下で乾燥する方法
〔ii〕遠心分離器、スパクラフィルター、フィルタープレスなどにより固液分離する方法
等が例示される。
【0076】
回収含水着色樹脂粒子(K)の含水率は、好ましくは1〜80%であり、さらに好ましくは1.1〜40%であり、最も好ましくは1.2〜25%である。
回収含水着色樹脂粒子(K)に含まれる樹脂粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、油性液(O)中に分散または溶解させるという観点から、体積平均粒子径は、好ましくは2〜50μm、さらに好ましくは2.1〜30μmであり、最も好ましくは2.2〜15μmである。
回収含水着色樹脂粒子(K)の添加量は、樹脂粒子(B)を形成する樹脂(b)、および(b)の前駆体(b0)の1種以上に対し、色彩鮮鋭性の観点から、好ましくは0.3〜50%であり、さらに好ましくは0.4〜30%であり、最も好ましくは0.5〜20%である。
【0077】
回収含水着色樹脂粒子(K)は、色彩鮮鋭性の向上を目的として、アニオン界面活性剤(s−1)、カチオン界面活性剤(s−2)、両性界面活性剤(s−3)、非イオン界面活性剤(s−4)の郡から選ばれる少なくとも1種以上の界面活性剤(s)を含有させることができる。
界面活性剤(s)としては、水性分散液(W)に使用できるものと同様のものを使用することができ、界面活性剤(s)の含有量は、好ましくは0.1〜20%であり、さらに好ましくは0.2〜15%であり、最も好ましくは0.3〜10%である。界面活性剤(s)の含有率が0.1%以上であると、着色剤の色彩鮮鋭性がより良好である。
回収含水着色樹脂粒子(K)中に界面活性剤(s)を含有させる方法としては特に限定されないが、例えば
〔1〕別ロットの着色樹脂粒子(C)を製造する際に使用する水性分散液(X)が界面活性剤(s)を含有する場合、回収含水着色樹脂粒子(K)を回収する際に水性分散液(X)中の界面活性剤(s)を意図的に残留させる方法、
〔2〕油性液(O)中に混合する前に、回収含水着色樹脂粒子(K)中に混合する方法、
などが挙げられる。
【0078】
本発明の着色樹脂粒子(C)は、樹脂(a)を含有する樹脂粒子(A)の水性分散液(W)と、樹脂(b)若しくはその有機溶剤溶液、又は、樹脂(b)の前駆体(b0)若しくはその有機溶剤溶液(o1)に、着色剤(p)または(p)の水もしくは有機溶剤分散液及び、別ロットの着色樹脂粒子(C)を製造した際に除去された回収含水着色樹脂粒子(K)を含有する油性液(O)とを混合し、(W)中に(O)を分散させ、さらに、(b0)を用いる場合は(b0)を反応させて、樹脂(b)を形成させ、樹脂粒子(A)の水性分散液中で、(b)を含有する樹脂粒子(B)を形成させることにより、(B)の表面に(A)が付着した構造の着色樹脂粒子(C)の水性分散体(X)を形成させた後、水性樹脂分散体(X)から水性溶剤を除去することにより得られる。
【0079】
樹脂(b)若しくはその有機溶剤溶液、又は、樹脂(b)の前駆体(b0)若しくはその有機溶剤溶液(o1)及び油性液(O)を分散させる場合には、分散装置を用いることができる。
本発明で使用する分散装置は、一般に乳化機、分散機として市販されているものであれば特に限定されず、例えば、ホモジナイザー(IKA社製)、ポリトロン(キネマティカ社製)、TKオートホモミキサー(特殊機化工業社製)等のバッチ式乳化機、エバラマイルダー(荏原製作所社製)、TKフィルミックス、TKパイプラインホモミキサー(特殊機化工業社製)、コロイドミル(神鋼パンテック社製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(三井三池化工機社製)、キャピトロン(ユーロテック社製)、ファインフローミル(太平洋機工社製)等の連続式乳化機、マイクロフルイダイザー(みずほ工業社製)、ナノマイザー(ナノマイザー社製)、APVガウリン(ガウリン社製)等の高圧乳化機、膜乳化機(冷化工業社製)等の膜乳化機、バイブロミキサー(冷化工業社製)等の振動式乳化機、超音波ホモジナイザー(ブランソン社製)等の超音波乳化機等が挙げられる。このうち粒子径の均一化の観点で好ましいものは、APVガウリン、ホモジナイザー、TKオートホモミキサー、エバラマイルダー、TKフィルミックス、TKパイプラインホモミキサーが挙げられる。
【0080】
樹脂(b)を樹脂粒子(A)の水性分散液(W)に分散させる際、樹脂(b)は液体であることが好ましい。樹脂(b)が常温で固体である場合には、融点以上の高温下で液体の状態で分散させたり、(b)の有機溶剤溶液を用いたり、(b)の前駆体(b0)又はその有機溶剤溶液を用いてもよい。樹脂(b)若しくはその有機溶剤溶液、又は、前駆体(b0)若しくはその有機溶剤溶液(o1)及び油性液(O)の粘度は、粒子径均一性の観点から、好ましくは10〜5万mPa・s(B型粘度計で測定)、さらに好ましくは100〜1万mPa・sである。分散時の温度としては、好ましくは0〜150℃(加圧下)、さらに好ましくは5〜98℃である。分散体の粘度が高い場合は、高温にして粘度を上記好ましい範囲まで低下させて、乳化分散を行うのが好ましい。樹脂(b)の有機溶剤溶液及び前駆体(b0)の有機溶剤溶液に用いる有機溶剤は、樹脂(b)を常温若しくは加熱下で溶解しうる有機溶剤であれば特に限定されず、具体的には、有機溶剤(u)と同様のものが例示される。好ましいものは樹脂(b)の種類によって異なるが、(b)とのSP値差が3以下であるのが好適である。また、着色樹脂粒子(C)の粒子径均一性の観点からは、樹脂(b)を溶解させるが、樹脂(a)を含有する樹脂粒子(A)を溶解・膨潤させにくい有機溶剤が好ましい。
【0081】
樹脂(b)の前駆体(b0)としては、化学反応により樹脂(b)になりうるものであれば特に限定されず、例えば、樹脂(b)がビニル樹脂である場合は、(b0)は、先述のビニルモノマー(単独で用いても、混合して用いてもよい)が挙げられ、樹脂(b)が縮合系樹脂(例えば、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂)である場合は、(b0)は、反応性基を有するプレポリマー(α)と硬化剤(β)の組み合わせが例示される。
【0082】
ビニルモノマーを前駆体(b0)として用いた場合、前駆体(b0)を反応させて樹脂(b)にする方法としては、例えば、油溶性開始剤、モノマー類および必要により有機溶剤(u)を含有する油相を水溶性ポリマー(t)存在下、水中に分散懸濁させ、加熱によりラジカル重合反応を行わせる方法(いわゆる懸濁重合法)、モノマー類および必要により有機溶剤(u)を含有する油相を乳化剤(界面活性剤(s)と同様のものが例示される)、水溶性開始剤を含む樹脂粒子(A)の水性分散液(W)中に乳化させ、加熱によりラジカル重合反応を行わせる方法(いわゆる乳化重合法)等が挙げられる。
【0083】
上記油溶性または水溶性開始剤としては、パーオキサイド系重合開始剤(I)、アゾ系重合開始剤(II)等が挙げられる。また、パーオキサイド系重合開始剤(I)と還元剤とを併用してレドックス系重合開始剤(III)を形成してもよい。更には、(I)〜(III)のうちから2種以上を併用してもよい。
【0084】
(I)パーオキサイド系重合開始剤としては、(I−1)油溶性パーオキサイド系重合開始剤:アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシビバレート、3,5,5−トリメチルヘキサノニルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、プロピオニトリルパーオキサイド、サクシニックアシッドパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシラウレート、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジベンゾイルパーオキシヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジイソブチルジパーオキシフタレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジt−ブチルパーオキシヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジt−ブチルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、パラメンタンヒドロパーオキサイド、ピナンヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、クメンパーオキサイド等
(I−2)水溶性パーオキサイド系重合開始剤:過酸化水素、過酢酸、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等
【0085】
(II)アゾ系重合開始剤:
(II−1)油溶性アゾ系重合開始剤:2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサン1−カーボニトリル、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等
(II−2)水溶性アゾ系重合開始剤:アゾビスアミジノプロパン塩、アゾビスシアノバレリックアシッド(塩)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]等
【0086】
(III)レドックス系重合開始剤
(III−1)非水系レドックス系重合開始剤:ヒドロペルオキシド、過酸化ジアルキル、過酸化ジアシル等の油溶性過酸化物と、第三アミン、ナフテン酸塩、メルカプタン類、有機金属化合物(トリエチルアルミニウム、トリエチルホウ素、ジエチル亜鉛等)等の油溶性還元剤とを併用
(III−2)水系レドックス系重合開始剤:過硫酸塩、過酸化水素、ヒドロペルオキシド等の水溶性過酸化物と、水溶性の無機もしくは有機還元剤(2価鉄塩、亜硫酸水素ナトリウム、アルコール、ポリアミン等)とを併用等が挙げられる。
【0087】
前駆体(b0)としては、反応性基を有するプレポリマー(α)と硬化剤(β)の組み合わせを用いることもできる。ここで「反応性基」とは硬化剤(β)と反応可能な基のことをいう。この場合、前駆体(b0)を反応させて樹脂(b)を形成する方法としては、反応性基含有プレポリマー(α)および硬化剤(β)及び必要により有機溶剤(u)を含む油相を、樹脂粒子(A)の水性分散液(W)中に分散させ、加熱により反応性基含有プレポリマー(α)と硬化剤(β)を反応させて樹脂(b)を含有する樹脂粒子(B)を形成させる方法;反応性基含有プレポリマー(α)又はその有機溶剤溶液を樹脂粒子(A)の水性分散液(W)中に分散させ、ここに水溶性の硬化剤(β)を加え反応させて、樹脂(b)を含有する樹脂粒子(B)を形成させる方法;反応性基含有プレポリマー(α)が水と反応して硬化するものである場合は、反応性基含有プレポリマー(α)又はその有機溶剤溶液を樹脂粒子(A)の水性分散液(W)に分散させることで水と反応させて、樹脂(b)を含有する樹脂粒子(B)を形成させる方法等が例示できる。
【0088】
反応性基含有プレポリマー(α)が有する反応性基と、硬化剤(β)の組み合わせとしては、下記〔1〕、〔2〕などが挙げられる。
〔1〕反応性基含有プレポリマー(α)が有する反応性基が、活性水素化合物と反応可能な官能基(α1)であり、硬化剤(β)が活性水素基含有化合物(β1)であるという組み合わせ。
〔2〕反応性基含有プレポリマー(α)が有する反応性基が活性水素含有基(α2)であり、硬化剤(β)が活性水素含有基と反応可能な化合物(β2)であるという組み合わせ。
これらのうち、水中での反応率の観点から、〔1〕がより好ましい。
上記組合せ〔1〕において、活性水素化合物と反応可能な官能基(α1)としては、イソシアネート基(α1a)、ブロック化イソシアネート基(α1b)、エポキシ基(α1c)、酸無水物基(α1d)および酸ハライド基(α1e)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、(α1a)、(α1b)および(α1c)であり、特に好ましいものは、(α1a)および(α1b)である。
ブロック化イソシアネート基(α1b)は、ブロック化剤によりブロックされたイソシアネート基のことをいう。
上記ブロック化剤としては、オキシム類[アセトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、ジエチルケトオキシム、シクロペンタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、メチルエチルケトオキシム等];ラクタム類[γ−ブチロラクタム、ε−カプロラクタム、γ−バレロラクタム等];炭素数1〜20の脂肪族アルコール類[エタノール、メタノール、オクタノール等];フェノール類[フェノール、m−クレゾール、キシレノール、ノニルフェノール等];活性メチレン化合物[アセチルアセトン、マロン酸エチル、アセト酢酸エチル等];塩基性窒素含有化合物[N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、2−ヒドロキシピリジン、ピリジンN−オキサイド、2−メルカプトピリジン等];およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
これらのうち好ましいのはオキシム類であり、特に好ましいものはメチルエチルケトオキシムである。
【0089】
反応性基含有プレポリマー(α)の構成単位としては、ポリエーテル(αw)、ポリエステル(αx)、エポキシ樹脂(αy)およびポリウレタン(αz)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、(αx)、(αy)および(αz)であり、特に好ましいものは(αx)および(αz)である。
ポリエーテル(αw)としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド、ポリテトラメチレンオキサイドなどが挙げられる。
ポリエステル(αx)としては、ジオール(11)とジカルボン酸(13)の重縮合物、ポリラクトン(ε−カプロラクトンの開環重合物)などが挙げられる。
エポキシ樹脂(αy)としては、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど)とエピクロルヒドリンとの付加縮合物などが挙げられる。
ポリウレタン(αz)としては、ジオール(11)とポリイソシアネート(15)の重付加物、ポリエステル(αx)とポリイソシアネート(15)の重付加物などが挙げられる。
【0090】
ポリエステル(αx)、エポキシ樹脂(αy)、ポリウレタン(αz)などに反応性基を含有させる方法としては、
〔1〕二以上の構成成分のうちの一つを過剰に用いることで構成成分の官能基を末端に残存させる方法、
〔2〕二以上の構成成分のうちの一つを過剰に用いることで構成成分の官能基を末端に残存させ、さらに残存した該官能基と反応可能な官能基および反応性基を含有する化合物を反応させる方法などが挙げられる。
上記方法〔1〕では、水酸基含有ポリエステルプレポリマー、カルボキシル基含有ポリエステルプレポリマー、酸ハライド基含有ポリエステルプレポリマー、水酸基含有エポキシ樹脂プレポリマー、エポキシ基含有エポキシ樹脂プレポリマー、水酸基含有ポリウレタンプレポリマー、イソシアネート基含有ポリウレタンプレポリマーなどが得られる。
構成成分の比率は、例えば、水酸基含有ポリエステルプレポリマーの場合、ポリオール成分とポリカルボン酸成分の比率が、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/1、さらに好ましくは1.5/1〜1/1、とくに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。他の骨格、末端基のプレポリマーの場合も、構成成分が変わるだけで比率は同様である。
上記方法〔2〕では、上記方法〔1〕で得られたプレプリマーに、ポリイソシアネートを反応させることでイソシアネート基含有プレポリマーが得られ、ブロック化ポリイソシアネートを反応させることでブロック化イソシアネート基含有プレポリマーが得られ、ポリエポキサイドを反応させることでエポキシ基含有プレポリマーが得られ、ポリ酸無水物を反応させることで酸無水物基含有プレポリマーが得られる。
官能基および反応性基を含有する化合物の使用量は、例えば、水酸基含有ポリエステルにポリイソシアネートを反応させてイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーを得る場合、ポリイソシアネートの比率が、イソシアネート基[NCO]と、水酸基含有ポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、好ましくは5/1〜1/1、さらに好ましくは4/1〜1.2/1、とくに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。他の骨格、末端基を有するプレポリマーの場合も、構成成分が変わるだけで比率は同様である。
【0091】
反応性基含有プレポリマー(α)中の1分子当たりに含有する反応性基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。上記範囲にすることで、硬化剤(β)と反応させて得られる硬化物の分子量が高くなる。
反応性基含有プレポリマー(α)のMnは、好ましくは500〜30,000、さらに好ましくは1,000〜20,000、とくに好ましくは2,000〜10,000である。
反応性基含有プレポリマー(α)のMwは、1,000〜50,000、好ましくは2,000〜40,000、さらに好ましくは4,000〜20,000である。
反応性基含有プレポリマー(α)の粘度は、100℃において、好ましくは200Pa・s以下、さらに好ましくは100Pa・s以下である。200Pa・s以下にすることで、粒度分布のシャープな着色樹脂粒子(C)が得られる点で好ましい。
【0092】
活性水素基含有化合物(β1)としては、脱離可能な化合物でブロック化されていてもよいポリアミン(β1a)、ポリオール(β1b)、ポリメルカプタン(β1c)および水(β1d)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、(β1a)、(β1b)および(β1d)であり、さらに好ましいもは、(β1a)および(β1d)であり、特に好ましいもは、ブロック化されたポリアミン類および(β1d)である。
(β1a)としては、ポリアミン(16)と同様のものが例示される。(β1a)として好ましいものは、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンおよびそれらの混合物である。
【0093】
(β1a)が脱離可能な化合物でブロック化されたポリアミンである場合の例としては、前記ポリアミン類と炭素数3〜8のケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、炭素数2〜8のアルデヒド化合物(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド)から得られるアルジミン化合物、エナミン化合物、およびオキサゾリジン化合物などが挙げられる。
【0094】
ポリオール(β1b)としては、前記のジオール(11)および3〜8価またはそれ以上のポリオール(12)と同様のものが例示される。ジオール(11)単独、またはジオール(11)と少量のポリオール(12)の混合物が好ましい。
ポリメルカプタン(β1c)としては、エチレンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオールなどが挙げられる。
【0095】
必要により活性水素基含有化合物(β1)と共に反応停止剤(βs)を用いることができる。反応停止剤を(β1)と一定の比率で併用することにより、(b)を所定の分子量に調整することが可能である。
反応停止剤(βs)としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなど);
モノアミンをブロックしたもの(ケチミン化合物など);
モノオール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、フェノール;
モノメルカプタン(ブチルメルカプタン、ラウリルメルカプタンなど);
モノイソシアネート(ラウリルイソシアネート、フェニルイソシアネートなど);
モノエポキサイド(ブチルグリシジルエーテルなど)などが挙げられる。
【0096】
上記組合せ〔2〕における反応性基含有プレポリマー(α)が有する活性水素含有基(α2)としては、アミノ基(α2a)、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)(α2b)、メルカプト基(α2c)、カルボキシル基(α2d)およびそれらが脱離可能な化合物でブロック化された有機基(α2e)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、(α2a)、(α2b)およびアミノ基が脱離可能な化合物でブロック化された有機基(α2e)であり、特に好ましいものは、(α2b)である。
アミノ基が脱離可能な化合物でブロック化された有機基としては、前記(β1a)の場合と同様のものが例示できる。
【0097】
活性水素含有基と反応可能な化合物(β2)としては、ポリイソシアネート(β2a)、ポリエポキシド(β2b)、ポリカルボン酸(β2c)、ポリ酸無水物(β2d)およびポリ酸ハライド(β2e)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、(β2a)および(β2b)であり、さらに好ましいものは、(β2a)である。
【0098】
ポリイソシアネート(β2a)としては、ポリイソシアネート(15)と同様のものが例示され、好ましいものも同様である。
ポリエポキシド(β2b)としては、ポリエポキシド(18)と同様のものが例示され、好ましいものも同様である。
【0099】
ポリカルボン酸(β2c)としては、ジカルボン酸(β2c−1)および3価以上のポリカルボン酸(β2c−2)が挙げられ、(β2c−1)単独、および(β2c−1)と少量の(β2c−2)の混合物が好ましい。
ジカルボン酸(β2c−1)としては、前記ジカルボン酸(13)と、ポリカルボン酸としては、前記3〜6価またはそれ以上のポリカルボン酸(14)と同様のものが例示され、好ましいものも同様である。
【0100】
ポリカルボン酸無水物(β2d)としては、ピロメリット酸無水物などが挙げられる。
ポリ酸ハライド類(β2e)としては、前記(β2c)の酸ハライド(酸クロライド、酸ブロマイド、酸アイオダイド)などが挙げられる。
さらに、必要により(β2)と共に反応停止剤(βs)を用いることができる。
【0101】
硬化剤(β)の比率は、反応性基含有プレポリマー(α)中の反応性基の当量[α]と、硬化剤(β)中の活性水素含有基[β]の当量の比[α]/[β]として、好ましくは1/2〜2/1、さらに好ましくは1.5/1〜1/1.5、とくに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。なお、硬化剤(β)が水(β1d)である場合は水は2価の活性水素化合物として取り扱う。
【0102】
反応性基含有プレポリマー(α)と硬化剤(β)で構成される前駆体(b0)を水系媒体中で反応させた樹脂(b)が樹脂粒子(B)および着色樹脂粒子(C)の構成成分となる。反応性基含有プレポリマー(α)と硬化剤(β)を反応させた樹脂(b)の重量平均分子量は、好ましくは3,000以上、さらに好ましくは3,000〜1000万、とくに好ましくは5000〜100万である。
【0103】
また、反応性基含有プレポリマー(α)と硬化剤(β)との水系媒体中での反応時に、反応性基含有プレポリマー(α)および硬化剤(β)と反応しないポリマー[いわゆるデッドポリマー]を系内に含有させることもできる。この場合(b)は、反応性基含有プレポリマー(α)と硬化剤(β)を水系媒体中で反応させて得られた樹脂と、反応させていない樹脂(デッドポリマー)の混合物となる。
【0104】
着色樹脂粒子(C)を構成する、樹脂粒子(A)、樹脂粒子(B)、着色樹脂粒子(C)を含む回収含水着色樹脂粒子(K)、および着色剤(p)以外に、添加剤(充填剤、帯電防止剤、離型剤、荷電制御剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤、難燃剤など)を混合しても差し支えない。(A)または(B)中に他の添加剤を添加する方法としては、水系媒体中で水性分散体(X)を形成させる際に混合してもよいが、あらかじめ樹脂(a)、または樹脂(b)および/もしくは前駆体(b0)の有機溶剤(u)溶液(o1)と添加剤を混合した後、水系媒体中にその混合物を加えて分散させたほうがより好ましい。
また、本発明においては、添加剤は、必ずしも、水系媒体中で粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよい。たとえば、着色剤を含まない粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加したり、有機溶剤(u)および/または可塑剤(v)とともに上記添加物を含浸させることもできる。
【0105】
樹脂(b)100重量部に対する水性分散液(W)の使用量は、好ましくは50〜2,000重量部、さらに好ましくは100〜1,000重量部である。50重量部以上では(b)の分散状態が良好である。2,000重量部以下であると経済的である。
【0106】
伸長および/または架橋反応時間は、プレポリマー(α)の有する反応性基の構造と硬化剤(β)の組み合わせによる反応性により選択されるが、好ましくは10分〜40時間、さらに好ましくは30分〜24時間である。
反応温度は、好ましくは0〜150℃、さらに好ましくは50〜120℃である。
また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的には、例えばイソシアネートと活性水素化合物の反応の場合には、ジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
【0107】
本発明の製造方法により得られる本発明の着色樹脂粒子(C)は、樹脂粒子(B)中に、樹脂(b)以外に、着色剤(p)を必須成分として含有する。着色剤(p)の体積平均粒径は、とくに限定されないが、好ましくは1.0μm以下、さらに好ましくは0.01〜0.8μm、とくに好ましくは0.05〜0.6μmである。(p)の体積平均粒径が1.0μm以下であると、樹脂粒子中の顔料分散性が向上する。
また、所望の粒径の着色剤(p)を得る方法としては、公知の技術でよく、特に限定はされない。例えば、湿式粉砕法、乾式粉砕法、気相法(PVD、CVD、蒸発法)、ゾル−ゲル法、アルコキシド法、非水分散法、転相乳化法、乳化重合法、相分離法、スプレードライ法等があげられる。このうち粒径調整の容易さの観点から好ましくは湿式粉砕法、乾式粉砕法であり、より好ましくは湿式粉砕法である。
【0108】
(p)の体積平均粒径の測定は、一般に粒径測定に用いられるものであれば特に限定されず、例えば、DT−1200(日本ルフト社製)、ゼータサイザー(シスメックス社製)、ELS−8000(大塚電子社製)、マルチサイザー3(ベックマン・コールター社)、SALD−2100(島津製作所社製)、LA−920(堀場製作所社製)等が挙げられる。この内測定される体積平均粒径の範囲の観点から光散乱法の原理に基づく測定機が好ましく、ゼータサイザー、ELS−8000、SALD−2100、LA−920が好ましいものとして挙げられ、さらに好ましくはLA−920である。もし、各測定機間で、数値に差異が生じた場合は、LA−920の測定値を採用する。
【0109】
着色剤(p)の具体例としては、前記体積平均粒径の範囲内に分散が可能であれば特に限定されないが、無機白色顔料:酸化チタン(IV)、亜鉛華(II)等 黒色無機顔料:カーボンブラック、酸化鉄等 赤色無機顔料:べんがら、鉛丹、モリブテンレッド、カドミウムレッド等 黄色無機顔料:リサージ、黄鉛、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー等 青色無機顔料:紺青、群青等 有機溶性アゾ顔料:ブリリアントカーミン6B、レーキレッドC、ウォッチングレッド 有機不溶性アゾ顔料:アセト酢酸アニリド系モノアゾ(ハンザイエロー、ファストイエロー等)、アセト酢酸アニリド系ビスアゾ(パーマネントイエローHR、ジスアゾイエロー(AAA)等)、β−ナフトール系(パーマネントレッドFR、トルイジンレッド等)、ピラゾロン系ビスアゾ(ピラゾロンオレンジ等) フタロシアニン顔料:フタロシアニン系(フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等) 縮合多環式有機顔料:キナクリドン系(キナクリドンバイオレット、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ等)、ジオキサジン系(ジオキサジンバイオレット等)、ペリレン系(ペリレンマルーン、ぺリノンオレンジ、ぺリノンレッド等)、インジゴ系(インジゴブルー、チオインジゴマゼンタ等)、スレン系(スレンブルー、フラバンスロンイエロー、アンザンスロンレッド等)等が挙げられる。この内で安全性、コスト面、一般使用量の観点から好ましいものは、酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック、紺青、群青、ジスアゾイエロー、ブリリアントカーミン6B、フタロシアニンブルーが挙げられる
【0110】
本発明において、着色剤(p)の添加量は樹脂粒子(B)を形成する樹脂(b)、および(b)の前駆体(b0)の1種以上に対し、着色度の観点から、好ましくは0.1〜15%、さらに好ましくは1〜13%であり、とくに好ましくは3〜12%である。
【0111】
着色樹脂粒子(C)は、前記の方法で、(B)の表面に(A)が付着した構造の着色樹脂粒子(C)の水性分散体(X)を形成させた後、水性樹脂分散体(X)から水性溶剤を除去することにより得られる。水性媒体を除去する方法としては、
〔1〕(X)を減圧下または常圧下で乾燥する方法
〔2〕遠心分離器、スパクラフィルター、フィルタープレスなどにより固液分離し、得られた粉末を乾燥する方法
〔3〕(X)を凍結させて乾燥させる方法(いわゆる凍結乾燥)
等が例示される。
上記〔1〕、〔2〕において、得られた粉末を乾燥する際、流動層式乾燥機、減圧乾燥機、循風乾燥機など公知の設備を用いて行うことができる。
また、必要に応じ、風力分級器などを用いて分級し、所定の粒度分布とすることもできる。
【0112】
着色樹脂粒子(C)は、相対的に小さい樹脂粒子(A)と相対的に大きい樹脂粒子(B)から構成され、樹脂粒子(A)が樹脂粒子(B)の表面に付着した形で存在する。両粒子の付着力を強めたい場合には、水性媒体中に分散した際に、樹脂粒子(A)と樹脂粒子(B)が正負逆の電荷を持つようにしたり、樹脂粒子(A)と樹脂粒子(B)が同一の電荷持つ場合には、界面活性剤(s)または水溶性ポリマー(t)のうち樹脂粒子(A)及び樹脂粒子(B)と逆電荷を持つものを使用したり、樹脂(a)と樹脂(b)のSP値差を2以下にしたりすることが有効である。
【0113】
着色樹脂粒子(C)の粒子径均一性、保存安定性等の観点から、着色樹脂粒子(C)のうち樹脂粒子(A)が占める割合は、樹脂粒子(B)を形成する樹脂(b)、および(b)の前駆体(b0)の1種以上に対し、0.01〜20%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜10%であり、とくに好ましくは、0.2〜5%である。
【0114】
着色樹脂粒子(C)の粒子径均一性、粉体流動性、保存安定性等の観点からは、樹脂粒子(B)の表面の5%以上が樹脂粒子(A)で覆われているのが好ましく、(B)の表面の30%以上が(A)で覆われているのがさらに好ましく、(B)の表面の50%以上が(A)で覆われているのがとくに好ましい。表面被覆率が5%以上であると、保存安定性が向上する。
なお、表面被覆率は、走査電子顕微鏡(SEM)で得られる像の画像解析から下式に基づいて求めることができる。表面被覆率(%)=100×樹脂粒子(A)に覆われている部分の面積/(樹脂粒子(A)に覆われている部分の面積+樹脂粒子(B)が露出している部分の面積)
【0115】
着色樹脂粒子(C)の体積平均粒子径は、用途により異なるが、一般的には0.2〜120μmが好ましい。さらに好ましくは1〜50μmである。トナー母体粒子用としては、特に好ましくは2〜10μmであり、最も好ましくは3〜8μmである。
また、着色樹脂粒子(C)の[体積平均粒子径/個数平均粒子径]の値は、1.0〜1.4であるのが好ましく、1.0〜1.2であるのが更に好ましく、1.0〜1.15が特に好ましい。なお、体積平均粒子径および個数平均粒子径は、マルチサイザーIII(コールター社製)で同時に測定することができる。
【0116】
本発明の着色樹脂粒子(C)は、樹脂粒子(A)と樹脂粒子(B)の粒子径、及び、樹脂粒子(A)による樹脂粒子(B)表面の被覆率を変えることで粒子表面に所望の凹凸を付与することができる。粉体流動性を向上させたい場合には、(C)のBET値比表面積が0.5〜5.0m2/gであるのが好ましく、1.0〜4.0m2/gであるのがさらに好ましい。
本発明におけるBET比表面積は、比表面積計、例えばQUANTASORB(ユアサアイオニクス製)を用いて測定(測定ガス:He/Kr=99.9/0.1vol%、検量ガス:窒素)したものである。
【実施例】
【0117】
以下実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下の記載において、「部」は重量部を意味する。
【0118】
<製造例1>
攪拌装置および脱水装置のついた反応容器に、ビスフェノールA・EO2モル付加物109部、ビスフェノールA・PO3モル付加物269部、テレフタル酸107部、アジピン酸24部、ジブチルチンオキサイド1部を投入し、常圧、230℃で8時間脱水反応を行った後、3Torrの減圧下で6時間脱水反応を行った。更に180℃に冷却し、無水トリメリット酸22部を投入し、常圧で2時間反応を行い、[ポリエステル樹脂1]を得た。[ポリエステル樹脂1]はTg45℃、Mn2680、Mw6550、酸価24であった。
【0119】
<製造例2>
攪拌装置および脱水装置のついた反応容器に、ビスフェノールA・EO2モル付加物340部、ビスフェノールA・PO2モル付加物40部、テレフタル酸137部、アジピン酸3部、無水トリメリット酸11部、ジブチルチンオキサイド1部を投入し、常圧、230℃で6時間脱水反応を行った後、3Torrの減圧下で4時間脱水反応を行い、[ポリエステル樹脂2]を得た。[ポリエステル樹脂2]はTg55℃、Mn2250、Mw9400、酸価0.6、水酸基価54であった。
【0120】
<製造例3>
オートクレーブに、製造例2で得られた[ポリエステル樹脂2]204部、IPDI27部、酢酸エチル243部を投入し、密閉状態で100℃、8時間反応を行い、分子末端にイソシアネート基を有する[ウレタンプレポリマー溶液1]を得た。[ウレタンプレポリマー溶液1]のNCO含量は0.9%であった。
【0121】
<製造例4>
撹拌機、脱溶剤装置、および温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン50部とメチルエチルケトン300部を投入し、50℃で5時間反応を行った後、脱溶剤してケチミン化合物である[硬化剤1]を得た。[硬化剤1]の全アミン価は415であった。
【0122】
<製造例5>
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸EO付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業製)11部、スチレン139部、メタクリル酸138部、アクリル酸ブチル184部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し5時間反応させた。更に、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部を加え、75℃で5時間熟成してビニル樹脂(スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸ブチル−メタクリル酸EO付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液1]を得た。[微粒子分散液1]をLA−920で測定した体積平均粒径は、0.15μmであった。
【0123】
<製造例6>
攪拌棒をセットした容器に、水955部、製造例5により得られた[微粒子分散液1]15部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム水溶液(エレミノールMON7、三洋化成工業製)30部を投入し、乳白色の液体[水相1]を得た。
【0124】
<製造例7>
製造例1記載の[ポリエステル樹脂1]20部、シアニンブルーKRO〔山陽色素(株)製〕20部、酢酸エチル60部を混合した後、100部のジルコニアビーズ(平均粒径0.3mm)を入れグレンミル〔浅田鉄鋼(株)製〕で2時間分散を行い[着色剤分散液1]を得た。「LA−920」で測定した着色剤の体積平均粒径は0.45μmであった。
【0125】
<製造例8>
製造例1記載の[ポリエステル樹脂1]20部、ピグメントイエローGRT〔山陽色素(株)製〕20部、酢酸エチル60部を混合した後、100部のジルコニアビーズ(平均粒径0.3mm)を入れグレンミルで2時間分散を行い[着色剤分散液2]を得た。「LA−920」で測定した着色剤の体積平均粒径は0.40μmであった。
【0126】
<製造例8>
後述する比較例1と同様の着色樹脂粒子を製造した際の固液分離工程で回収した水性液を、ろ紙(アドバンテック製定量ろ紙No.2)を用いて吸引ろ過し、回収含水着色樹脂粒子[K1]を得た。この回収含水着色樹脂粒子[K1]の含水率は18%、界面活性剤含有量は1.2%、平均粒子径は5.4μmであった。
【0127】
<製造例9>
回収含水着色樹脂粒子[K1]を40℃、15mmHgにて1時間減圧乾燥し、回収含水着色樹脂粒子[K2]を得た。この回収含水着色樹脂粒子[K2]の含水率は4.7%、界面活性剤含有量は1.6%、平均粒子径は5.3μmであった。
【0128】
<実施例1>
ビーカー内に[ポリエステル樹脂1]132部、[着色剤分散液1]90部、回収含水着色樹脂粒子[K1]25部、酢酸エチル113部、[ウレタンプレポリマー溶液1]39.1部、および[硬化剤1]0.9部を投入して溶解・混合均一化し、[樹脂溶液1]を得た。この[樹脂溶液1]中に[水相1]600部を添加し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)を使用し、回転数12000rpm、25℃、1分間の条件で分散操作を行い、さらにフィルムエバポレータで、減圧度−0.05MPa(ゲージ圧)、温度40℃、回転数100rpmの条件で30分間脱溶剤し、水性樹脂分散体(X−1)を得た。
(X−1)100部を回転数1500rpmで5分間遠心分離し、固液分離後の固体成分に更に水60部を加えて遠心分離して固液分離する工程を2回繰り返した後、35℃で1時間乾燥した後に、分級装置[エルボジェット〔マツボウ(株)製〕]で、3.17μm以下の微粉が12個数%以下、8.0μm以上の粗粉が3体積%以下となるように、微粉および粗粉を除去して樹脂粒子(C1)を得た。(C1)の特性値を表1に示す。
【0129】
<実施例2>
実施例1において、回収含水着色樹脂粒子[K1]の添加量を13部とした以外は同様の操作を行い、水性樹脂分散体(X−2)を得た。
さらに(X−2)を用いて、実施例1と同様の操作で樹脂粒子(C2)を得た。(C2)の特性値を表1に示す。
【0130】
<実施例3>
実施例1において、回収含水着色樹脂粒子[K1]の添加量を3.2部とした以外は同様の操作を行い、水性樹脂分散体(X−3)を得た。
さらに(X−3)を用いて、実施例1と同様の操作で樹脂粒子(C3)を得た。(C3)の特性値を表1に示す。
【0131】
<実施例4>
実施例1において、回収含水着色樹脂粒子[K1]25部の代わりに回収含水着色樹脂粒子(K2)10部を用いた以外は同様の操作を行い、水性樹脂分散体(X−4)を得た。
さらに(X−4)を用いて、実施例1と同様の操作で樹脂粒子(C4)を得た。(C4)の特性値を表1に示す。
【0132】
<実施例5>
実施例1において、回収含水着色樹脂粒子[K1]25部の代わりに回収含水着色樹脂粒子[K3]20部を用いた以外は同様の操作を行い、水性樹脂分散体(X−5)を得た。
さらに(X−5)を用いて、実施例1と同様の操作で樹脂粒子(C5)を得た。(C5)の特性値を表1に示す。
【0133】
<実施例6>
実施例2において、[着色剤分散液1]90部の代わりに[着色剤分散液2]90部を用いた以外は同様の操作を行い、水性樹脂分散体(X−6)を得た。
さらに(X−6)を用いて、実施例1と同様の操作で樹脂粒子(C6)を得た。(C6)の特性値を表1に示す。
【0134】
<比較例1>
ビーカー内に[ポリエステル樹脂1]155部、[着色剤分散液1]90部、酢酸エチル105部、[ウレタンプレポリマー溶液1]39.2部、および[硬化剤1]0.9部を投入して溶解・混合均一化し、[樹脂溶液4]を得た。この[樹脂溶液4]中に[水相1]600部を添加し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)を使用し、回転数12000rpm、25℃、1分間の条件で分散操作を行い、さらにフィルムエバポレータで、減圧度−0.05MPa(ゲージ圧)、温度40℃、回転数100rpmの条件で30分間脱溶剤し、比較の水性樹脂分散体(RX−1)を得た。また、この水性樹脂分散体(RX−1)を一部取り、回収含水着色樹脂粒子[K3]とした。この回収含水着色樹脂粒子[K3]の含水率は47%、界面活性剤含有量は9.8%であった。
(RX−1)100部を回転数1500rpmで5分間遠心分離し、固液分離したときの水性液を回収した。この水性液の固形分は5.3%であった。固液分離後の固体成分に更に水60部を加えて遠心分離して固液分離する工程を2回繰り返した後、35℃で1時間乾燥した後に、分級装置[エルボジェット〔マツボウ(株)製〕]で、3.17μm以下の微粉が12個数%以下、8.0μm以上の粗粉が3体積%以下となるように、微粉および粗粉を除去して比較の樹脂粒子(RC1)を得た。(RC1)の特性値を表1に示す。
【0135】
<比較例2>
実施例1において、回収含水着色樹脂粒子[K1]25部の代わりに、比較例1と同様の樹脂粒子を製造した際の分級工程で回収した微粉(体積平均粒径4.1μm)20部を用いる以外は、同様の操作を行い、水性樹脂分散体(RX−2)を得た。
さらに(RX−2)を用いて、実施例1と同様の操作で樹脂粒子(RC2)を得た。(RC2)の特性値を表1に示す。
【0136】
<比較例3>
実施例1において、回収含水着色樹脂粒子[K1]25部の代わりに、比較例1と同様の樹脂粒子を製造した際の分級工程で回収した粗粉(体積平均粒径6.6μm)20部を用いる以外は、同様の操作を行い、水性樹脂分散体(RX−3)を得た。
さらに(RX−3)を用いて、実施例1と同様の操作で樹脂粒子(RC3)を得た。(RC3)の特性値を表1に示す。
【0137】
<比較例4>
実施例1において、[着色剤分散液1]90部の代わりに、[着色剤分散液2]90部を用いる以外は、同様の操作を行い、水性樹脂分散体(RX−4)を得た。
さらに(RX−4)を用いて、実施例1と同様の操作で樹脂粒子(RC4)を得た。(RC4)の特性値を表1に示す。
【0138】
〔物性測定方法〕
1)粒径、粒度分布、微粉量、粗粉量の測定
実施例1〜6および比較例1〜4で得た着色樹脂粒子(C1)〜(C6)、(RC1)〜(RC4)を水に分散して、体積平均粒径、粒度分布、体積平均粒径が3.17μm以下の微粉の量、体積平均粒径が8μm以上の粗粉の量をマルチサイザーIII(コールター社製)で測定した。
2)収率の算出
樹脂粒子の収率を下記の計算式で算出した。
収率(%)=[樹脂粒子の得量(部)/使用した原料の固形分(部)]×100
但し、リサイクルした別ロットの回収含水着色樹脂粒子及び微粗粉は、使用した原料の固形分から除外して算出した。
3)定着性評価(GROSS、ホットオフセット評価)
定着ローラとして市販のカラー複写機(CLC−1:キャノン製)を改造した装置を用いて、複写テストを行った。定着画像に光沢が発現した温度(GLOSS)およびホットオフセットが発生した温度を目視評価で判定した。
評価には、実施例1〜6および比較例1〜4で得た樹脂粒子(C1)〜(C6)、(RC1)〜(RC4)各100部にコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル製)0.5部をサンプルミルで混合して使用した。
4)透明性、色彩鮮鋭性
実施例1〜6および比較例1〜4で得た着色樹脂粒子(C1)〜(C6)、(RC1)〜(C4)の各々0.1gを、縦5cm×横5cmのガラス片にのせ、ホットプレートで加熱しながら、もう一枚のガラスを上から乗せた後に圧力をかけて樹脂膜を作成した。この樹脂膜の色差を分光測色濃度計「X−Rite938」(X−Rite、Incorporated製)で測定した。物性測定結果を表2に示す。色差は(L*、a*、b*)で表され、L*は0(黒)〜100(白)であり、値が大きい程透明で着色剤分散性が良好である。またa*は+方向が赤、−方向が緑、b*は+方向が黄、−方向が青であり、各測定値の測定値が大きい程色彩が鮮やかである。
5)界面活性剤含有量
精製水50.00gに、回収含水着色樹脂粒子[K1]〜[K3]を各々約5g秤量して加え、均一に混合したものを遠心分離(18000rpm、30分間)し、回収した上澄みを目開き0.2μmのフィルターにてろ過し、高速液体クロマトグラフィー用の試料とした。この試料の界面活性剤量(k)を下記条件にて定量し、[式1]により回収含水着色樹脂粒子[K1]〜[K3]の界面活性剤含有量(M)を算出した。
[高速液体クロマトグラフィー条件〕
測定装置:HIC−6A型、島津製作所製
検量線用界面活性剤:エレミノールRS−30、エレミノールMON7
カラム:Asahipack GF−310HQ(昭和電工製)
ガードカラム:Asahipack GF−1G(昭和電工製)
カラム温度:室温
移動相:0.05M過塩素酸ナトリウム/メタノール溶液
流量:1mL/min
注入量:20μm
[式1] M={k×(50.00+W)/W}
(M)回収含水着色樹脂粒子[K1]〜[K3]の界面活性剤含有量(%)
(k)検量線から求めた試料の界面活性剤量(%)
(W)回収含水着色樹脂粒子[K1]〜[K3]の 秤量値(g)
【0139】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0140】
高性能の樹脂粒子を安定的に製造できることから、本発明の製造方法で得られる本発明の着色樹脂粒子は、スラッシュ成形用樹脂、粉体塗料、電子部品製造用スペーサー、電子測定機器の標準粒子、電子写真、静電記録、静電印刷などに用いられるトナー母体粒子、各種ホットメルト接着剤、およびその他成形材料等に用いる樹脂粒子として極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂(a)を含有する樹脂粒子(A)の水性分散液(W)と、樹脂(b)若しくはその有機溶剤溶液、又は、樹脂(b)の前駆体(b0)若しくはその有機溶剤溶液(o1)に着色剤(p)または(p)の水もしくは有機溶剤分散液が分散された油性液(O)とを混合し、(W)中に(O)を分散させ、(b0)又はその有機溶剤溶液を用いる場合には、さらに、(b0)を反応させて、(W)中で(b)を含有する樹脂粒子(B)を形成させることにより、樹脂粒子(B)の表面に樹脂粒子(A)が付着されてなる構造の着色樹脂粒子(C)の水性分散体(X)を形成させ、さらに(X)から着色樹脂粒子(C)を分離し、必要により分級する着色樹脂粒子(C)の製造方法であって、油性液(O)が、別ロットの着色樹脂粒子(C)を製造した際、(X)から着色樹脂粒子(C)を分離する際に除去された、着色樹脂粒子(C)を含む回収含水着色樹脂粒子(K)を含有することを特徴とする着色樹脂粒子の製造方法。
【請求項2】
油性液(O)中の回収含水着色樹脂粒子(K)の含有量が、0.3〜50重量%である請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
回収含水着色樹脂粒子(K)が、重量基準で回収樹脂粒子(C1)を40〜99重量%含有し、かつ、アニオン界面活性剤(s−1)、カチオン界面活性剤(s−2)、両性界面活性剤(s−3)、および非イオン界面活性剤(s−4)の郡から選ばれる少なくとも1種以上の界面活性剤(s)を0.1〜20重量%含有する請求項1または2いずれか記載の製造方法。
【請求項4】
樹脂(a)および/または樹脂(b)が、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂およびポリエステル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1つの樹脂である請求項1〜3のいずれか記載の製造方法。
【請求項5】
前駆体(b0)が、反応性基を有するプレポリマー(α)と硬化剤(β)で構成される請求項1〜4のいずれか記載の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか記載の製造方法により得られる着色樹脂粒子。
【請求項7】
スラッシュ成形用樹脂、粉体塗料、電子部品製造用スペーサー、電子測定機器の標準粒子、電子写真トナー母体粒子、静電記録トナー母体粒子、静電印刷トナー母体粒子またはホットメルト接着剤用である請求項6記載の着色樹脂粒子。

【公開番号】特開2010−235894(P2010−235894A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88064(P2009−88064)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】