説明

着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置、有機EL表示装置、及び液晶表示装置部材用染料

【課題】得られる画素の輝度が高く、且つ現像液に対する溶解性が高い膜を形成しうる新規の染料および該染料を含む着色樹脂組成物の提供。
【解決手段】(A)染料、(B)溶剤、(C)バインダー樹脂を含み、該(A)染料が式(1)で表される化合物を含むことを特徴とする、着色樹脂組成物。


(式中、R1及びR2は、各々独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基などを表し、R3は、置換基を有していてもよい炭素数1〜15のアルキル基、水酸基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基、又はハロゲン原子などを表し、nは、0〜4の整数である。尚、複数含まれるR3は、同じでもよく、異なっていてもよい。R4及びR5は、各々独立に、カルバモイル基、置換基を有していてもよいアルキルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいアシル基、カルボキシ基又はシアノ基などを表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置、有機EL表示装置及び液晶表示装置部材用染料に存する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置等に用いられるカラーフィルタを製造する方法としては、顔料分散法、染色法、電着法、印刷法が知られている。中でも、分光特性、耐久性、パターン形状及び精度等の観点から、平均的に優れた特性を有する、顔料を分散した感光性樹脂による製造法(顔料分散法)が最も広範に採用されている。
顔料分散法は、例えば感光性樹脂に顔料を分散した組成物をガラス等の透明基板上に塗布し、形成した塗膜にフォトマスクを介して放射線照射による露光を行い、未露光部を有機又は無機の現像液で現像処理することにより除去してパターンを形成するものである。
【0003】
一方、近年、技術革新の流れは急速であり、カラーフィルタに対しては、消費電量を低くするために、より高透過、高コントラスト且つ高濃度(すなわち、高い色濃度)が要求されている。
カラーフィルタで用いられる色材としては、耐熱及び耐光性等の観点から主に顔料が用いられている。このような顔料として、例えば、黄色画素を形成するために、C.I.(カラーインデックス)ピグメントイエロー150やC.I.ピグメントイエロー138が用いられてきた。また、これらの黄色顔料は、赤色画素や緑色画素の補色用としても用いられてきた。
【0004】
赤色画素として、例えば特許文献1では、C.I.ピグメントレッド254およびC.I.ピグメントレッド177とC.I.ピグメントイエロー150等の黄色顔料を併用することが開示されている。
緑色画素として、例えば特許文献2では、C.I.ピグメントグリーン36にC.I.ピグメントイエロー139とC.I.ピグメントイエロー150等の2種の黄色顔料を併用することが開示されている。更に、例えば特許文献3〜5では、臭素化亜鉛フタロシアニン顔料とC.I.ピグメントイエロー138とを併用することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−133131号公報
【特許文献2】特開2000−131517号公報
【特許文献3】特開2003−161827号公報
【特許文献4】特開2006−184427号公報
【特許文献5】特開2007−291232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に開示されているC.I.ピグメントイエロー150(以下、「Y150」と称する場合がある)との併用では、透過率(輝度)の点で不十分な場合があった。
また、特許文献3〜5に開示されているC.I.ピグメントイエロー138(以下、「Y138」と称する場合がある)との併用では透過率が高くなるが、一方でY150よりもグラム吸光係数が小さいことから、同程度の着色を得る為には、Y150よりも添加量
が多くなる。添加量が多くなることにより、現像液に対する溶解性が低下してしまい、製版特性に影響するとの問題があった。
【0007】
更に、カラーフィルタの色材として顔料を用いる場合、透過率すなわち輝度を向上するために顔料を粒径1μm以下、好ましくは100nm以下に微分散する必要がある。そのためには、顔料の1次粒子をソルトミリング法等により微細化する工程と、顔料の1次粒子の凝集体である2次凝集体をほぐして1次粒子に近い状態の分散体を得る工程を必要とする。また、この1次粒子の分散性と分散安定性を高めるために、分散剤や分散助剤など様々な添加剤を添加する必要があった。
【0008】
上記を鑑みて、本発明は、得られる画素の輝度が高い着色樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明はまた、輝度に優れたカラーフィルタ、並びに高品質の液晶表示装置及び有機EL表示装置を提供することを課題とする。
本発明は更に、現像液に対する溶解性が高い膜を形成しうる、液晶表示装置部材用途に適した染料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、鋭意検討を行った結果、特定の構造で表される化合物を黄色染料に用いることで上記課題を解決しうることを見出して本発明に到達した。
即ち、本発明は、(A)染料、(B)溶剤、(C)バインダー樹脂を含み、該(A)染料が下記式(1)で表される化合物(以下、「化合物(1)」と称する場合がある)を含むことを特徴とする着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機EL表示装置に存する。
【0010】
【化1】

【0011】
(上記式(1)中、R及びRは、各々独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜25の芳香族炭化水素環基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜20の複素環基を表す。
は、置換基を有していてもよい炭素数1〜15のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜15のアルコキシ基、アミノ基、置換基を有していてもよいアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、置換基を有していてもよいアシルアミノ基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基、置換基を有していてもよいアリールカルバモイル基、スルファモイル基、置換基を有していてもよいアルキルスルファモイル基又は置換基を有していてもよいアリールスルファモイル基、水酸基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基、又はハロゲン原子を表す。
【0012】
nは、0〜4の整数を表す。
尚、複数含まれるRは、同じでもよく、異なっていてもよい。
隣接するR〜Rは、互いに結合して環を形成していてもよく、該環は置換基を有していてもよい。
及びRは、各々独立に、カルバモイル基、置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基、置換基を有していてもよいアリールカルバモイル基、スルファモイル基、置換基を有していてもよいアルキルスルファモイル基又は置換基を有していてもよいアリールスルファモイル基、置換基を有していてもよいアルキルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基、置換基を有していてもよいアシル基、カルボキシ基又はシアノ基を表す。)
本発明はまた、化合物(1)からなるカラーフィルタ用染料に存する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、得られる画素の輝度が高い着色樹脂組成物を提供することが可能である。
本発明のカラーフィルタは輝度が高く、また高品質の液晶表示装置及び有機EL表示装置を提供することが可能となる。
また、化合物(1)を色材に用いることで、顔料を用いた場合に要する微粒化・分散工程を必要としないため、より生産性が高い着色樹脂組成物を提供することが可能となる。
【0014】
本発明はまた、現像液に対する溶解性が高い膜を形成しうる、カラーフィルタ用途に適した染料を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のカラーフィルタを有する有機EL素子の一例を示す断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下の記載は本発明の実施態様の一例であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
なお、本発明において「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリレート」等は、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」等を意味するものとし、例えば「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を意味するものとする。
【0017】
また「全固形分」とは、後記する溶剤成分以外の本発明の着色樹脂組成物の全成分を意味するものとする。
本発明における「色材」とは、「染料」と「顔料」の双方を意味するものとする
C.I.とは、カラーインデックスを意味する。
本発明の着色樹脂組成物は、(A)染料、(B)溶剤及び(C)バインダー樹脂を含み、更に該(A)染料として化合物(1)を含有する。
【0018】
先ず、化合物(1)について詳説する。
[化合物(1)について]
【0019】
【化2】

【0020】
(上記式(1)中、R及びRは、各々独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜25の芳香族炭化水素環基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜20の複素環基を表す。
は、置換基を有していてもよい炭素数1〜15のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜15のアルコキシ基、アミノ基、置換基を有していてもよいアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、置換基を有していてもよいアシルアミノ基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基、置換基を有していてもよいアリールカルバモイル基、スルファモイル基、置換基を有していてもよいアルキルスルファモイル基又は置換基を有していてもよいアリールスルファモイル基、水酸基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基、又はハロゲン原子を表す。
【0021】
nは、0〜4の整数を表す。
尚、複数含まれるRは、同じでもよく、異なっていてもよい。
又、隣接するR〜Rは、互いに結合して環を形成していてもよく、該環は置換基を有していてもよい。
及びRは、各々独立に、カルバモイル基、置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基、置換基を有していてもよいアリールカルバモイル基、スルファモイル基、置換基を有していてもよいアルキルスルファモイル基又は置換基を有していてもよいアリールスルファモイル基、置換基を有していてもよいアルキルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基、置換基を有していてもよいアシル基、カルボキシ基又はシアノ基を表す。)
【0022】
(構造上の特徴)
本発明おける化合物(1)を用いることで、得られる画素、特に緑色画素の輝度が向上する理由について、下記の通り推測する。
本発明における化合物(1)は、400〜500nmの間に極大吸収値を有し、且つ、吸収スペクトルは450〜500nmの間に急峻な吸収端を有する。
これは、化合物(1)中のベンゼン環上に電子供与性基である置換アミノ基(−NR)を有し、且つメチレン基に置換したR及びRに電子求引性基を有することに起因する。
【0023】
吸収スペクトルが450〜500nmの間に急峻な吸収端を有することは、カラーフィルタ用途の点で、黄色色材として有効に用いることができるだけでなく、緑色、赤色の補色用として用いた場合、必要とされる波長を効果的に遮蔽することができる。
特に緑色色材としてハロゲン化金属フタロシアニン顔料を用い、本発明における化合物(1)を補色色材とした場合に効果的であり、輝度が高い画素を得ることができる。
【0024】
また、黄色色材として黄色顔料を用いることより、本発明における化合物(1)を用いることで、現像液に対する溶解性が高い膜を形成しうるものとなる。
(R及びRについて)
及びRは、各々独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜25の芳香族炭化水素環基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜20の複素環基を表す。
【0025】
アルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基であって、その炭素数が通常1以上、また、通常20以下、好ましくは15以下のものが挙げられる。具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、イソブチ
ル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
芳香族炭化水素環基としては、単環であっても縮合環であってもよく、環を形成する炭素数が6〜25であれば特に制限はないが、例えば、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。
【0026】
尚、本発明における遊離原子価については、「有機化学・生化学命名法 上」(南江堂、1992年5月20日発行、平山健三、平山和雄訳著、11−12頁)の記載に基づくものである。
複素環基としては、単環であっても縮合環であってもよい。
複素環基は、ヘテロ原子として窒素原子、硫黄原子及び酸素原子のいずれか一つを含む非芳香族環である。
【0027】
複素環基が炭素原子以外の、環を構成する原子を複数有する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。
具体的には、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、ピリジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ベンゾチアゾリニル基、フタルイミドイル基、ピペリジニル基、ピロリジニル基等が挙げられる。
及びRにおけるアルキル基、芳香族炭化水素環基及び複素環基が有していてもよい置換基としては、下記[置換基群W]の項で記載のものが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0028】
[置換基群W]
置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、アミノ基、置換基を有していてもよいアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、置換基を有していてもよいアシルアミノ基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基、置換基を有していてもよいアリールカルバモイル基、スルファモイル基、置換基を有していてもよいアルキルスルファモイル基又は置換基を有していてもよいアリールスルファモイル基、水酸基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシ基、シアノ基及びハロゲン原子等が挙げられる。
【0029】
置換基を有していてもよいアルキル基は、置換基を含めた総炭素数が、通常1以上、通常15以下、好ましくは12以下である。該アルキル基に置換していてもよい基としては、炭素数が1から6のアルコキシ基、フェニル基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基及びカルボキシ基などが挙げられる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、シクロヘキシル基、ヒドロキシエチル基、1,2−ジヒドロキシプロピル基等の置換基を有していてもよい低級アルキル基が挙げられる。
【0030】
置換基を有していてもよいアルコキシ基は置換基を含めた総炭素数が、通常1以上、通常15以下、好ましくは12以下である。該アルコキシ基に置換していてもよい基としては、炭素数が1から10のアルコキシ基、フェニル基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基及びカルボキシ基などが挙げられる。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、1,2−ジヒドロキシプロポキシ基、2−エトキシエトキシ基、2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ、シクロヘキシルオキシ基等の置換基を有していてもよい低級アルコキシ基が挙げられる。

【0031】
置換基を有していてもよいアリールオキシ基は置換基を含めた総炭素数が、通常1以上、通常15以下、好ましくは12以下である。該アリールオキシ基に置換していてもよい基としては、炭素数が1から10のアルコキシ基、フェニル基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基及びカルボキシ基、炭素数5〜10の炭化水素基などが挙げられる。アリールオキシ基の具体例としては、フェノキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基、3−トリルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−シクロヘキシルフェノキシ基等の置換基を有していてもよいアリールオキシ基が挙げられる。
【0032】
置換基を有していてもよいアルキルアミノ基は、−NR5152で表され、R51は、置換基を有していてもよいアルキル基を表し、R52は水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。該アルキル基は、置換基を含めた総炭素数が、通常1以上、通常10以下、好ましくは6以下である。該アルキル基に置換していてもよい基としては、炭素数が1から6のアルコキシ基、水酸基、スルホ基、カルボキシ基及びハロゲン原子などが挙げられる。該アルキルアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジメチルアミノ基等が挙げられる。
【0033】
置換基を有していてもよいアリールアミノ基は、−NR5354で表され、R53は、置換基を有していてもよいフェニル基又はナフチル基を表し、R54は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基又は置換基を有していてもよいナフチル基を表す。
前記アルキル基の置換基を含めた総炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記R51及びR52のアルキル基の場合に例示したものと同様である。該フェニル基は、置換基を含めた総炭素数が、通常6以上、通常10以下、好ましくは8以下である。該ナフチル基は、置換基を含めた総炭素数が、通常10以上、通常14以下、好ましくは12以下である。該フェニル基及び該ナフチル基に置換していてもよい基としては、炭素数が1から4のアルコキシ基、水酸基、スルホ基、カルボキシ基及びハロゲン原子などが挙げられる。該アリールアミノ基の具体例としては、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、フェニルメチルアミノ基、ナフチルアミノ基等が挙げられる。
【0034】
置換基を有していてもよいアシルアミノ基は、−NH−COR55で表され、R55は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基又は置換基を有していてもよいナフチル基を表す。該アルキル基は、置換基を含めた総炭素数が、通常1以上、通常4以下、好ましくは2以下である。該フェニル基は、置換基の炭素数が通常6以上、通常10以下、好ましくは8以下である。該ナフチル基は、置換基を含めた総炭素数が、通常10以上、通常14以下、好ましくは12以下である。該アルキル基、該フェニル基及び該ナフチル基に置換していてもよい基としては、炭素数が1から4のアルコキシ基、水酸基、スルホ基、カルボキシ基及びハロゲン原子などが挙げられる。アシルアミノ基の具体例としては、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等が挙げられる。
【0035】
置換基を有していてもよいアルキルスルホニルアミノ基は、−NH−SO61で表され、R61は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。該アルキル基の好ましい置換基を含めた総炭素数が、有していてもよい置換基の例は、前記R51及びR52のアルキル基の場合に例示したものと同様である。該アルキルスルホニルアミノ基の具体例としては、メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基等が挙げられる。
【0036】
置換基を有していてもよいアリールスルホニルアミノ基は、−NH−SO62で表され、R62は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基又は置換基を有していてもよいナフチル基を表す。該フェニル基及びナフチル基の好ましい置換基を含めた総炭素数が、有していてもよい置換基の例は、前記R53及びR54のフェニル基及びナフチル基の場合に例示したものと同様である。該アリールスルホニ
ルアミノ基の具体例としては、ベンゼンスルホニルアミノ基、p−トリルスルホニルアミノ基等が挙げられる。
【0037】
置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基は、−CO−NHR56で表され、R56は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。該アルキル基の好ましい置換基を含めた総炭素数が、有していてもよい置換基の例は、前記R51及びR52のアルキル基の場合に例示したものと同様である。該アルキルカルバモイル基の具体例としては、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基等が挙げられる。
【0038】
置換基を有していてもよいアリールカルバモイル基は、−CO−NHR57で表され、R57は置換基を有していてもよいフェニル基又は、置換基を有していてもよいナフチル基を表す。該フェニル基及びナフチル基の好ましい置換基を含めた総炭素数が、有していてもよい置換基の例は、前記R53及びR54のフェニル基及びナフチル基の場合に例示したものと同様である。該アリールカルバモイル基の具体例としてはフェニルカルバモイル基、ナフチルカルバモイル基等が挙げられる。
【0039】
置換基を有していてもよいアルキルスルファモイル基は、−SO−NHR58で表さ
れ、R58は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。該アルキル基の好ましい置換基を含めた総炭素数が、有していてもよい置換基の例は、前記R51及びR52のアルキル基の場合に例示したものと同様である。該アルキルスルファモイル基の具体例としては、メチルスルファモイル基、エチルスルファモイル基等が挙げられる。
【0040】
置換基を有していてもよいアリールスルファモイル基は、−SO−NHR59で表され、R59は置換基を有していてもよいフェニル基又は、置換基を有していてもよいナフチル基を表す。該フェニル基及びナフチル基の好ましい置換基を含めた総炭素数が、有していてもよい置換基の例は、前記R53及びR54のフェニル基及びナフチル基の場合に例示したものと同様である。該アリールスルファモイル基の具体例としてはフェニルスルファモイル基、ナフチルスルファモイル基等が挙げられる。
【0041】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、なかでもフッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。
及びRにおけるアルキル基、芳香族炭化水素環基及び複素環基は、無置換でも、上記置換基を1〜5個有していてもよく、好ましくは無置換又は置換基を1〜2個有する。上記の中でも、溶剤への溶解性の観点から、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェノキシ基、置換基を有していてもよいアルキルアミノ基が置換していることが好ましく、耐熱性の観点からは、シクロヘキシル基、フェニル基が置換していることが好ましい。
隣接するR及びRは、互いに結合して環を形成していてもよく、該環は置換基を有していてもよい。
【0042】
(Rについて)
は、置換基を有していてもよい炭素数1〜15のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜15のアルコキシ基、アミノ基、置換基を有していてもよいアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、置換基を有していてもよいアシルアミノ基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基、置換基を有していてもよいアリールカルバモイル基、スルファモイル基、置換基を有していてもよいアルキルスルファモイル基又は置換基を有していてもよいアリールスルファモイル基、水酸基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基、又はハロゲン原子を表す。
【0043】
における炭素数1〜15のアルキル基、炭素数1〜15のアルコキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、アルキルスルファモイル基又はアリールスルファモイル基が有していてもよい置換基の例及び具体例は、前記[置換基群W]の項で例示したものと同様である。
【0044】
としては、化合物(1)の溶剤に対する溶解性が良好である点から、置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよいアルコキシ基が好ましい。また、化合物(1)同士の分子間相互作用が阻害され難く、耐久性が良好である点で、該アルキル基またはアルコキシ基の総炭素数は1〜4がさらに好ましい。
尚、複数含まれるRは、同じでもよく、異なっていてもよい。
隣接するR及びRとRとは、互いに連結して環を形成していてもよく、該環は置換基を有していてもよい。
【0045】
(nについて)
nは、0〜4の整数を表す。
また、化合物(1)同士の分子間相互作用が適度に保たれて、溶剤に対する溶解性と耐熱性とが両立し易い点で、nは0〜2好ましい。
【0046】
(R及びRについて)
及びRは、各々独立に、カルバモイル基、置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基、置換基を有していてもよいアリールカルバモイル基、スルファモイル基、置換基を有していてもよいアルキルスルファモイル基又は置換基を有していてもよいアリールスルファモイル基、置換基を有していてもよいアルキルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基、置換基を有していてもよいアシル基、カルボキシ基又はシアノ基を表す。
【0047】
及びRにおけるアルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基が有していてもよい置換基の例及び具体例は、R及びRにおける[置換基群W]の項で例示したものと同様である。
【0048】
カラーフィルタ用途の点では、色材が有する極大吸収波長が400nm以上であることが好ましい。その為、化合物(1)において極大吸収波長を400nmより長波長側にするためにはR及びRとして、電子吸引性が大きい基であることが好ましい。この為、R及びRの少なくともいずれかが、シアノ基であることが好ましい。
また、本発明における化合物(1)は、R〜Rのいずれかからリンカーを延ばして、二量体や三量体などを形成してもよい。
【0049】
(分子量)
本発明における化合物(1)の分子量は、通常250以上、また通常2000以下、好ましくは1500以下、更に好ましくは1200以下である。
上記範囲内であると、耐久性を保持しながらも、染料のグラム吸光係数が大きいため好ましい。
【0050】
<具体例>
以下に、本発明における化合物(1)の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限
定されるものではない。
【0051】
【化3】

【0052】
【化4】

【0053】
(合成方法)
本発明における化合物(1)は、公知の方法に従って製造することができる。
式(1−A)で表されるアミンをジメチルホルムアミド中、オキシ塩化リン等を用いてホルミル化して中間体(1−B)を得る。続いて、(1−B)を(1−C)(例えば、マロノニトリル、ピバロイルアセトニトリル等)と反応させることにより、目的の化合物(1)を得ることができる。
【0054】
【化5】

【0055】
(含有量)
本発明の着色樹脂組成物は、化合物(1)を全固形分中、通常0.1重量%以上好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上、また通常20重量%以下、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下の割合で含有する。
また、後述の(F)ハロゲン化金属フタロシアニン顔料に対して、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上、特に好ましくは10重量%以上、また好ましくは80重量%以下、より好ましくは60重量%以下、特に好ましくは40重量%以下の割合で含有する。
【0056】
上記上限以下であると、塗膜の硬化性が低下し難く、膜強度が十分であるため好ましい。また、上記下限以上であると、着色力が十分であることから、所望の濃度の色度が得られ易く、また膜厚が厚くなり難いため好ましい。
本発明の着色樹脂組成物中には、化合物(1)の1種のみが含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。
【0057】
更に、他の染料の1種又は2種以上が含まれていてもよい。
また、緑色画素を形成するための着色樹脂組成物とする場合、着色樹脂組成物中の全黄色染料の含有量は、組成物中、好ましくは1重量%以上、又は好ましくは30重量%以下である。
この場合、更に化合物(1)の含有量は、該全黄色染料の固形分中、30重量%以上であることが好ましい。
【0058】
[(B)溶剤]
本発明の着色樹脂組成物は、(B)溶剤を必須成分とする。溶剤は、着色樹脂組成物に含まれる各成分を溶解または分散させ、粘度を調節する機能を有する。
該(B)溶剤としては、着色樹脂組成物を構成する各成分を溶解または分散させることができるものであればよく、沸点が100〜200℃の範囲のものを選択するのが好ましい。より好ましくは120〜170℃の沸点をもつものである。
【0059】
このような溶剤としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール−モノt−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルペンタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールモノアルキルエーテル類;
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルのようなグリコールジアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテートのようなグリコールアルキルエーテルアセテート類;
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジヘキシルエーテルのようなエーテル類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトンのようなケトン類;
エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール
、グリセリンのような1価または多価アルコール類;
n−ペンタン、n−オクタン、ジイソブチレン、n−ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペンテン、ドデカンのような脂肪族炭化水素類;
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシルのような脂環式炭化水素類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンのような芳香族炭化水素類;
アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、メチルイソブチレート、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプリレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトンのような鎖状または環状エステル類;
3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸のようなアルコキシカルボン酸類;
ブチルクロライド、アミルクロライドのようなハロゲン化炭化水素類;
メトキシメチルペンタノンのようなエーテルケトン類;
アセトニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類:
上記に該当する市販の溶剤としては、ミネラルスピリット、バルソル#2、アプコ#18ソルベント、アプコシンナー、ソーカルソルベントNo.1およびNo.2、ソルベッソ#150、シェルTS28 ソルベント、カルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、ジグライム(いずれも商品名)などが挙げられる。
【0060】
これらの溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記溶剤中、前述の本発明に係る(A)染料の溶解性の点から、グリコールモノアルキルエーテル類が好ましい。中でも、特に組成物中の各種構成成分の溶解性の点からプロピレングリコールモノメチルエーテルが特に好ましい。
また、例えば任意成分として後述する顔料を含む場合には、塗布性、表面張力などのバランスがよく、組成物中の構成成分の溶解度が比較的高い点からは、溶剤としてさらにグリコールアルキルエーテルアセテート類を混合して使用することがより好ましい。なお、顔料を含む組成物中では、グリコールモノアルキルエーテル類は極性が高く、顔料を凝集させる傾向があり、着色樹脂組成物の粘度を上げる等、保存安定性を低下させる場合がある。このため、グリコールモノアルキルエーテル類の使用量は過度に多くない方が好ましく、(B)溶剤中のグリコールモノアルキルエーテル類の割合は5〜50重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましい。
【0061】
また、最近の大型基板等に対応したスリットコート方式への適性という観点からは、150℃以上の沸点をもつ溶剤を併用することも好ましい。この場合、このような高沸点溶剤の含有量は、(B)溶剤全体に対して3〜50重量%が好ましく、5〜40重量%がより好ましく、5〜30重量%が特に好ましい。高沸点溶剤の量が少なすぎると、例えばスリットノズル先端で染料成分などが析出・固化して異物欠陥を惹き起こす可能性があり、また多すぎると組成物の乾燥速度が遅くなり、後述するカラーフィルタ製造工程における、減圧乾燥プロセスのタクト不良や、プリベークのピン跡といった問題を惹き起こすことが懸念される。
【0062】
なお、沸点150℃以上の溶剤は、グリコールアルキルエーテルアセテート類であっても、またグリコールアルキルエーテル類であってもよく、この場合は、沸点150℃以上の溶剤を別途含有させなくてもかまわない。
本発明の着色樹脂組成物は、インクジェット法によるカラーフィルタ製造に供してもよ
いが、インクジェット法によるカラーフィルタ製造においては、ノズルから発せられるインクは数〜数十pLと非常に微小であるため、ノズル口周辺あるいは画素バンク内に着弾する前に、溶剤が蒸発してインクが濃縮・乾固する傾向がある。これを回避するためには溶剤の沸点は高い方が好ましく、具体的には、(B)溶剤が沸点180℃以上の溶剤を含むことが好ましい。特に、沸点が200℃以上、とりわけ沸点が220℃以上の溶剤を含有することが好ましい。また、沸点180℃以上である高沸点溶剤は、(B)溶剤中50重量%以上であることが好ましい。このような高沸点溶剤の割合が50重量%未満である場合には、インク液滴からの溶剤の蒸発防止効果が十分に発揮されないおそれがある。
【0063】
本発明の着色樹脂組成物において、(B)溶剤の含有量に特に制限はないが、その上限は通常99重量%とする。組成物中の(B)溶剤の含有量が99重量%を超える場合は、(B)溶剤を除く各成分の濃度が小さくなり過ぎて、塗布膜を形成するには不適当となるおそれがある。一方、(B)溶剤の含有量の下限値は、塗布に適した粘性等を考慮して、通常75重量%、好ましくは80重量%、更に好ましくは82重量%である。
【0064】
[(C)バインダー樹脂]
(C)バインダー樹脂は、着色樹脂組成物の硬化手段により好ましいものが異なる。
本発明の着色樹脂組成物が光重合性樹脂組成物である場合、(C)バインダー樹脂としては、例えば特開平7−207211号公報、特開平8−259876号公報、特開平10−300922号公報、特開平11−140144号公報、特開平11−174224号公報、特開2000−56118号公報、特開2003−233179号公報などの各公報等に記載される高分子化合物を使用することができるが、中でも好ましくは下記(C−1)〜(C−5)の樹脂などが挙げられる。
【0065】
(C−1):エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、又は該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られる、アルカリ可溶性樹脂(以下、「樹脂(C−1)」と称す場合がある。)
(C−2):カルボキシル基含有直鎖状アルカリ可溶性樹脂(C−2)(以下、「樹脂(C−2)」と称す場合がある。)
(C−3):前記樹脂(C−2)のカルボキシル基部分に、エポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂(以下「樹脂(C−3)」と称す場合がある。)
(C−4):(メタ)アクリル系樹脂(以下、「樹脂(C−4)」と称す場合がある。)
(C−5):カルボキシル基を有するエポキシアクリレート樹脂(以下「樹脂(C−5)と称す場合がある。)
このうち特に好ましくは樹脂(C−1)が挙げられ、以下該樹脂について説明する。
【0066】
尚、樹脂(C−2)〜(C−5)は、アルカリ性の現像液によって溶解され、目的とする現像処理が遂行される程度に溶解性を有するものであれば何でもよく、各々、特開2009−025813号公報の同項目として記載のものと同様である。好ましい態様も同様である。
(C−1):エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られるアルカリ可溶性樹脂
樹脂(C−1)の特に好ましい樹脂の一つとして、エポキシ基含有(メタ)アクリレート5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体10〜95モル%との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に不飽和一塩基酸を付加させてなる
樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の10〜100モル%に多塩基酸無水物を付加させて得られるアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。
【0067】
そのエポキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が例示できる。中でもグリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。これらのエポキシ基含有(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0068】
上記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと共重合させる他のラジカル重合性単量体としては、本発明の効果を損わない限り特に制限はなく、例えば、ビニル芳香族類、ジエン類、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類、ビニル化合物類、不飽和ジカルボン酸ジエステル類、モノマレイミド類などが挙げられるが、特に下記式(7)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0069】
下記式(7)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位は、「他のラジカル重合性単量体」に由来する繰返し単位中、5〜90モル%含有するものが好ましく、10〜70モル%含有するものが更に好ましく、15〜50モル%含有するものが特に好ましい。
【0070】
【化6】

【0071】
上記式(7)中、R89は水素原子又はメチル基を示し、R90は下記式(8)で表される構造を示す。
【0072】
【化7】

【0073】
上記式(8)中、R91〜R98は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキ
ル基を表す。尚、R96とR98とが、互いに連結して環を形成していてもよい。
96とR98が連結して形成される環は、脂肪族環であるのが好ましく、飽和又は不飽和のいずれでもよく、更に炭素数は5〜6であることが好ましい。
中でも、式(8)で表される構造中、特に下記構造式(8a)、(8b)、又は(8c)で表されるものが好ましい。
【0074】
【化8】

【0075】
尚、前記式(8)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記式(8)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレート以外の、「他のラジカル重合性単量体」としては、着色樹脂組成物に優れた耐熱性及び強度を向上しうる点で、スチレン、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、が挙げられる。
【0076】
上記モノマー群から選択された少なくとも1種に由来する繰返し単位の含有量が、1〜70モル%であるものが好ましく、3〜50モル%であるものが更に好ましい。
尚、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、前記他のラジカル重合性単量体との共重合反応には、公知の溶液重合法が適用される。
本発明において、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと前記他のラジカル重合性単量体との共重合体としては、エポキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体に由来する繰返し単位10〜95モル%と、からなるものが好ましく、前者20〜80モル%と、後者80〜20モル%とからなるものが更に好ましく、前者30〜70モル%と、後者70〜30モル%とからなるものが特に好ましい。
【0077】
上記範囲内であると、後述の重合性成分及びアルカリ可溶性成分の付加量が十分であり
、また、耐熱性や膜の強度が十分であるため好ましい。
上記の様に合成された、エポキシ基含有共重合体のエポキシ基部分に、不飽和一塩基酸(重合性成分)と、更に多塩基酸無水物(アルカリ可溶性成分)とを反応させる。
ここで、エポキシ基に付加させる不飽和一塩基酸としては、公知のものを使用することができ、例えば、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和カルボン酸が挙げられる。
【0078】
具体例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、α−位がハロアルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基などで置換された(メタ)アクリル酸等のモノカルボン酸等が挙げられる。中でも好ましくは(メタ)アクリル酸である。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0079】
このような成分を付加させることにより、本発明で用いるバインダー樹脂に重合性を付与することができる。
これらの不飽和一塩基酸は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは30〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%に付加させる。前記範囲内であると、着色樹脂組成物の経時安定性に優れるため好ましい。尚、共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
【0080】
更に、共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させたときに生じる水酸基に付加させる多塩基酸無水物としては、公知のものが使用できる。
例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の二塩基酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の三塩基以上の酸の無水物が挙げられる。中でも、無水コハク酸及びテトラヒドロ無水フタル酸が好ましい。これらの多塩基酸無水物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0081】
このような成分を付加させることにより、本発明で用いるバインダー樹脂にアルカリ可溶性を付与することができる。
これらの多塩基酸無水物は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基に、不飽和一塩基酸を付加させることにより生じる水酸基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは20〜90モル%、より好ましくは30〜80モル%に付加させる。
【0082】
上記範囲内であると、現像時の残膜率及び溶解性が十分であるため好ましい。
尚、当該水酸基に多塩基酸無水物を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
更に、光感度を向上させるために、前述の多塩基酸無水物を付加させた後、生成したカルボキシル基の一部にグリシジル(メタ)アクリレートや重合性不飽和基を有するグリシジルエーテル化合物を付加させてもよい。このような樹脂の構造に関しては、例えば特開平8−297366号公報や特開2001−89533号公報に記載されている。
【0083】
上述のバインダー樹脂(C−1)の、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、3000〜100000が好ましく、5000〜50000が特に好ましい。上記範囲内であると、耐熱性や膜強度、更に現像液に対する溶解性が良好である点で好ましい。
また、分子量分布の目安として、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の比は、2.0〜5.0が好ましい。
【0084】
なお、バインダー樹脂(C−1)の酸価は、通常10〜200mg−KOH/g、好ましくは15〜150mg−KOH/g、更に好ましくは25〜100mg−KOH/gである。酸価が低くなりすぎると、現像液に対する溶解性が低下する場合がある。逆に、高すぎると、膜荒れが生じる場合がある。
着色樹脂組成物における(C)バインダー樹脂の含有量は、全固形分中、通常0.1〜80重量%、好ましくは1〜60重量%である。
上記範囲内であると、基板への密着性が良好であり、また露光部への現像液の浸透性が適度で、画素の表面平滑性や感度が良好である点で好ましい。
【0085】
[(D)重合性モノマー]
本発明の着色樹脂組成物は、(D)重合性モノマーを含有することが好ましい。
(D)重合性モノマーは、重合可能な低分子化合物であれば特に制限はないが、エチレン性二重結合を少なくとも1つ有する付加重合可能な化合物(以下、「エチレン性化合物」と言う場合がある。)が好ましい。
【0086】
エチレン性化合物は、本発明の着色樹脂組成物が活性光線の照射を受けた場合、後述する光重合開始成分の作用により付加重合し、硬化するようなエチレン性二重結合を有する化合物である。尚、本発明における(D)重合性モノマーは、いわゆる高分子物質に相対する概念を意味し、狭義の単量体以外に二量体、三量体、オリゴマーも包含する。
(D)重合性モノマーにおけるエチレン性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸;モノヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び前述の脂肪族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステル;ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物;等が挙げられる。
【0087】
脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。また、これら(メタ)アクリル酸エステルの(メタ)アクリル酸部分を、イタコン酸部分に代えたイタコン酸エステル、クロトン酸部分に代えたクロトン酸エステル、或いは、マレイン酸部分に代えたマレイン酸エステル等が挙げられる。
【0088】
芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、ハイドロキノンジ(メタ)アクリレート、レゾルシンジ(メタ)アクリレート、ピロガロールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステルは、単一物であってもよく、混合物であってもよい。代表例としては、(メタ)アクリル酸、フタル酸、及びエチレングリコールの縮合物;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、及びジエチレングリコールの縮合物;(メタ)アクリル酸、テレフタル酸、及びペンタエリスリトールの縮合物;(メタ)アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール、及びグリセリンの縮合物等が挙げられる。
【0089】
ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートと、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ〔1,1,1−トリ(メタ)アクリロイルオキシメチル〕プロパン等の(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物との反応物が挙げられる。
【0090】
その他、本発明に用いられるエチレン性化合物の例としては、エチレンビス(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;フタル酸ジアリル等のアリルエステル類;ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物等が挙げられる。
これらの中では脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルが好ましく、ペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステルがより好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0091】
また、エチレン性化合物は酸価を有するモノマーであってもよい。酸価を有するモノマーとしては、例えば、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルであり、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせた多官能単量体が好ましく、特に好ましくは、このエステルにおいて、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトール及び/又はジペンタエリスリトールであるものである。
【0092】
これらの単量体は1種を単独で用いてもよいが、製造上、単一の化合物を得ることは難しいことから、2種以上の混合物を使用してもよい。
また、必要に応じて(D)重合性モノマーとして酸基を有しない多官能モノマーと酸基を有する多官能モノマーを併用してもよい。
酸基を有する多官能モノマーの好ましい酸価としては、0.1〜40mg−KOH/gであり、特に好ましくは5〜30mg−KOH/gである。
【0093】
上記範囲内であると、現像溶解特性が低下しにくく、また製造や取り扱いが容易である。更に、光重合性能が落ち難く、画素の表面平滑性等の硬化性が良好であるため好ましい。
本発明において、より好ましい酸基を有する多官能モノマーは、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートのコハク酸エステルを主成分とする混合物である。この多官能モノマーと他の多官能モノマーを組み合わせて使用することもできる。
【0094】
本発明の着色樹脂組成物において、これらの(D)重合性モノマーの含有量は、全固形分中、通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上であり、また、通常80重量%以下、好ましくは70重量%以下、更に好ましくは50重量%以下、特に好ましくは40重量%以下である。
また、(D)重合性モノマーの前記(A)染料に対する比率は、通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上、特に好ましくは20重量%以上であり、また、通常200重量%以下、好ましくは100重量%以下、更に好ましくは80重量%以下である。
上記範囲内であると、光硬化が適度であり、現像時の密着不良が置き難く、また現像後の断面が逆テーパー形状になり難く、更に溶解性低下による剥離現象・抜け不良が置き難いため好ましい。
【0095】
[(E)光重合開始成分及び/又は熱重合開始成分]
本発明の着色樹脂組成物は、塗膜を硬化させる目的で、(E)光重合開始成分及び/又は熱重合開始成分を含むことが好ましい。ただし、硬化の方法はこれらの開始剤によるもの以外でもよい。
【0096】
特に、本発明の着色樹脂組成物が、(C)成分としてエチレン性二重結合を有する樹脂を含む場合や、(D)成分としてエチレン性化合物を含む場合には、光を直接吸収し、又は光増感されて分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する光重合開始成分及び/又は熱によって重合活性ラジカルを発生する熱重合開始成分を含有することが好ましい。なお、本発明において光重合開始成分としての(E)成分とは、光重合開始剤(以下、任意に「(E1)成分」とも称する)に重合加速剤(以下、任意に「(E2)成分」とも称する)、増感色素(以下、任意に「(E3)成分」とも称する)などの付加剤が併用されている混合物を意味する。
【0097】
[(E)光重合開始成分]
本発明における(E)光重合開始成分は、通常、(E1)光重合開始剤、及び必要に応じて添加される(E2)重合加速剤及び(E3)増感色素等の付加剤との混合物として用いられ、光を直接吸収し、或いは光増感されて分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する成分である。
【0098】
光重合開始成分を構成する(E1)光重合開始剤としては、例えば、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号各公報等に記載のチタノセン誘導体類;特開平10−300922号、特開平11−174224号、特開2000−56118号各公報等に記載されるヘキサアリールビイミダゾール誘導体類;特開平10−39503号公報等に記載のハロメチル化オキサジアゾール誘導体類、ハロメチル−s−トリアジン誘導体類、N−フェニルグリシン等のN−アリール−α−アミノ酸類、N−アリール−α−アミノ酸塩類、N−アリール−α−アミノ酸エステル類等のラジカル活性剤、α−アミノアルキルフェノン誘導体類;特開2000−80068号公報等に記載のオキシムエステル系誘導体類等が挙げられる。
【0099】
具体的には、例えば国際公開第2009/107734号パンフレット等に記載の光重合開始剤等が挙げられる。
これら光重合開始剤の中では、α−アミノアルキルフェノン誘導体類、オキシムエステル系誘導体類、ビイミダゾール誘導体類、アセトフェノン誘導体類、及びチオキサントン誘導体類がより好ましい。
【0100】
また、オキシムエステル系誘導体類としては、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−,2−(o−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕,1−(o−アセチルオキシム)、及び下記式(XI)で表される化合物等が挙げられる。
【0101】
【化9】

【0102】
(式(XI)中、R101は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜2
5のアルケニル基、炭素数3〜20のヘテロアリール基または炭素数4〜25のヘテロアリールアルキル基を示し、これらはいずれも置換基を有していてもよい。あるいは、R101はXまたはZと結合し、環を形成していてもよい。
102は、炭素数2〜20のアルカノイル基、炭素数3〜25のアルケノイル基、炭素数4〜8のシクロアルカノイル基、炭素数7〜20のアリーロイル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜20のヘテロアリール基、炭素数3〜20のヘテロアリーロイル基または炭素数2〜20のアルキルアミノカルボニル基を示し、これらはいずれも置換基を有していてもよい。
Xは、置換基を有していてもよい、2個以上の環が縮合してなる、2価の芳香族炭化水素環基及び/または芳香族複素基を示す。
【0103】
Zは、置換基を有していてもよい芳香族環基を示す。)
なお、前記式(XI)で表される化合物の中でも、Xが置換基を有していてもよいカルバゾール環である化合物が好ましく、具体的には下記式(XII)で表される化合物などが挙げられ、中でも下記式(XIII)で表される化合物が特に好ましい。
【0104】
【化10】

【0105】
(式中、R101、R102及びZは、前記式(XI)におけると同義である。R103
〜R109は各々独立に水素原子または任意の置換基を示す。)
【0106】
【化11】

【0107】
(式中、R101aは、炭素数1〜3のアルキル基、または下記式(XIIIa)で表される基を示す。
【0108】
【化12】

【0109】
(式中、R103及びR104は各々独立に、水素原子、フェニル基またはN−アセチル−N−アセトキシアミノ基を示す。
*は、結合部位を表す。)
102aは、炭素数2〜4のアルカノイル基を示し、Xaは、窒素原子が1〜4のア
ルキル基で置換されていてもよい3,6−カルバゾリル基を示す。Zaは、アルキル基で
置換されていてもよいフェニル基またはモルホリノ基で置換されていてもよいナフチル基を示す。)
その他に、ベンゾインアルキルエーテル類、アントラキノン誘導体類;2−メチル−(4’−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン等のアセトフェノン誘導体類、2−エチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体類、安息香酸エステル誘導体類、アクリジン誘導体類、フェナジン誘導体類、アンスロン誘導体類等も挙げられる。
【0110】
これら光重合開始剤の中では、α−アミノアルキルフェノン誘導体類、チオキサントン誘導体類、オキシムエステル系誘導体類がより好ましい。特に、オキシムエステル系誘導体類が好ましい。
必要に応じて用いられる(E2)重合加速剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等のN,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル類;2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等の複素環を有するメルカプト化合物;脂肪族多官能メルカプト化合物等のメルカプト化合物類等が挙げられる。
【0111】
これらの(E1)光重合開始剤及び(E2)重合加速剤は、それぞれ1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、必要に応じて感応感度を高める目的で、(E3)増感色素が用いられる。増感色素は、画像露光光源の波長に応じて、適切なものが用いられるが、例えば特開平4−221958号、特開平4−219756号各公報等に記載のキサンテン系色素;特開平3−239703号、特開平5−289335号各公報等に記載の複素環を有するクマリン系色素;特開平3−239703号、特開平5−289335号各公報等に記載の3−ケトクマリン系色素;特開平6−19240号公報等に記載のピロメテン系色素;特開昭47−2528号、特開昭54−155292号、特公昭45−37377号、特開昭48−84183号、特開昭52−112681号、特開昭58−15503号、特開昭60−88005号、特開昭59−56403号、特開平2−69号、特開昭57−168088号、特開平5−107761号、特開平5−210240号、特開平4−288818号各公報等に記載のジアルキルアミノベンゼン骨格を有する色素等が挙げられる。
【0112】
(E3)増感色素もまた1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の着色樹脂組成物において、これらの(E)光重合開始成分の含有量は、全固形分中、通常0.1重量%以上、好ましくは0.2重量%以上、更に好ましくは0.5重量%以上、また、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下、更に好ましくは20重量%以下の範囲である。
上記範囲内であると、露光光線に対する感度が良好で、また未露光部分の現像駅に対する溶解性も良好で、現像不良などを誘起し難い点で好ましい。
【0113】
((E)熱重合開始成分)
本発明の着色樹脂組成物に含有されていてもよい(E)熱重合開始成分の具体例としては、アゾ系化合物、有機過酸化物及び過酸化水素等が挙げられる。これらのうち、アゾ系化合物が好適に用いられる。より具体的には、例えば国際公開第2009/107734号等に記載の熱重合開始成分を用いることができる。
これらの熱重合開始成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0114】
[(F)ハロゲン化金属フタロシアニン顔料]
本発明の着色樹脂組成物では、(F)ハロゲン化金属フタロシアニンを含有することが好ましい。
通常の金属フタロシアニンは1分子中に16個の水素原子を有しており、これらの水素原子を臭素原子又は塩素原子で置換したのがハロゲン化金属フタロシアニンであり、本発明で好ましく使用されるのは臭素化金属フタロシアニン顔料である。
【0115】
中でも1分子中に臭素原子を平均13個以上含有する臭素化金属フタロシアニンが、極めて高い透過率を示し、カラーフィルタの緑色画素を形成するのに適している点から好ましい。更には、1分子中に臭素原子を13〜16個有し、且つ1分子中に塩素を含まないか又は平均3個以下有する臭素化亜鉛フタロシアニンが好ましく、特に1分子中に臭素原子を平均14〜16個有し、且つ1分子中に塩素原子を含まないか又は平均2個以下有する臭素化金属フタロシアニンが好ましい。臭素化金属フタロシアニンとしては、好ましくは臭素化銅フタロシアニン及び臭素化亜鉛フタロシアニンが上げられる。臭素化銅フタロシアニンとしては、好ましくはC.I.ピグメントグリーン36である。また、臭素化亜鉛フタロシアニンとしては、好ましくは、C.I.ピグメントグリーン58である。
【0116】
このようなハロゲン化金属フタロシアニン中、例えば、臭素化亜鉛フタロシアニン顔料については特開昭50−130816号公報等に開示されている公知の製造方法で製造できる。例えば、芳香環の水素原子の一部又は全部が臭素の他、塩素等のハロゲン原子で置換されたフタル酸やフタロニトリルを適宜出発原料として使用して、顔料を合成する方法が挙げられる。この場合、必要に応じてモリブデン酸アンモニウム等の触媒を用いてもよい。
【0117】
他の方法としては、塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム等の混合物からなる110〜170℃程度の溶融物中で、亜鉛フタロシアニンを臭素ガスで臭素化する方法が挙げられる。この方法においては、溶融塩中の塩化物と臭化物の比率を調節したり、塩素ガスの導入量や反応時間を変化させたりすることによって、臭素含有量の異なる種々の臭素化亜鉛フタロシアニンの比率を任意にコントロールすることができる。
【0118】
反応終了後、得られた混合物を塩酸等の酸性水溶液中に投入すると、生成した臭素化亜鉛フタロシアニンが沈殿する。その後、ろ過、洗浄、乾燥等の後処理を行って、臭素化亜鉛フタロシアニンを得る。
こうして得られた臭素化亜鉛フタロシアニンは、単独で使用してもよいが、臭素化率又は塩素化率の異なる臭素化亜鉛フタロシアニンや、本発明の効果を損なわない範囲で、中心金属が他の金属に置換された臭素化フタロシアニンなどと混合して用いることができる。塩素化率及び臭素化率を変えることや、中心金属を変えることにより顔料としての色調が変わり、再現できる色相のバリエーションが増える。
【0119】
ハロゲン化金属フタロシアニン顔料の平均一次粒径は、通常0.1μm以下、好ましく
は0.04μm以下、より好ましくは0.03μm以下、さらに好ましくは0.025μm以下であり、また通常0.005μm以上である。その他の顔料の平均一次粒径も、上記と同様である。
平均一次粒径を上記上限値以下とすることにより、組成物中に異物が発生し難く、消偏性が低く、十分なコントラストと光透過率を有する画素を形成することができ、また下限値以上とすることにより、分散安定性が良好で、十分な耐熱性・耐光性を担保した着色樹脂組成物を得ることができる。
【0120】
なお、顔料の平均一次粒径は次の方法で求めることができる。すなわち、顔料をクロロホルム中に超音波分散し、コロジオン膜貼り付けメッシュ上に滴下して、乾燥させ、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により、顔料の一次粒子像を得る。この像から一次粒径を測定し、下式の計算式の通り個数平均値を計算し平均粒径を求める。
有機顔料の場合は、個々の顔料粒子の粒径を、同じ面積となる円の直径に換算した面積円相当径として、複数個、通常200〜300個程度の顔料粒子についてそれぞれ粒径を求めた後、下式の計算式の通り個数平均値を計算し平均粒径を求める。
【0121】
【数1】

【0122】
こうして得られたハロゲン化金属フタロシアニン顔料を、必要に応じてアトライター、ボールミル、振動ミル、振動ボールミル等の粉砕機内で乾式摩砕し、ついで、ソルベントソルトミリング法やソルベントボイリング法等で顔料化することによって、透過率やコントラストの高い緑色を発色する臭素化亜鉛フタロシアニン緑色顔料が得られる。顔料化方法には特に制限は無いが、容易に結晶成長を抑制でき、且つ比表面積の大きい顔料粒子が得られる点でソルベントソルトミリング法を採用するのが好ましい。
【0123】
ソルベントソルトミリング法とは、合成直後の粗顔料と、無機塩と、有機溶剤とを混練摩砕することを意味する。具体的には、粗顔料と、無機塩と、それを溶解しない有機溶剤とを混練機に仕込み、その中で混練摩砕を行う。この際の混練機としては、例えばニーダーやミックスマーラー、もしくは、特開2006−77062号公報に記載されているような環状の固定円盤と同心の回転円盤の間隙部分の形成された粉砕空間を有する連続混練機等が好適に使用される。
【0124】
上記無機塩としては、水溶性無機塩が好適に使用でき、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩を用いることが好ましい。又、これら無機塩の粒子径は0.5〜50μmであることがより好ましい。このような無機塩は、通常の無機塩を微粉砕することで容易に得られる。
本発明の着色樹脂組成物に含まれる、(F)ハロゲン化金属フタロシアニンの含有量は、全顔料中で、通常30〜99.95重量%、好ましくは35〜99.92重量%、更に好ましくは38〜99.9重量%である。
【0125】
上記範囲内であると、輝度が十分で、得られる画素の欠けが少なく、パターン直線性に優れた、欠陥の少ない良好なカラーフィルタが得られる点で好ましい。
また、本発明の着色樹脂組成物は、顔料及び染料を含む色材として、前記ハロゲン化亜鉛フタロシアニンの他に、後述の赤色色材、青色色材、並びに、必要に応じて黄色色材、その他の色材を適宜含有していてもよい。
【0126】
[その他の色材]
その他の色材としては、染料であってもよく顔料であってもよいが、得られる画素の耐熱性の点で、顔料であることが好ましい。
本発明の着色樹脂組成物に含有していてもよい顔料の具体例をピグメントナンバーで示すが、これら例示によって限定されるものではない。
【0127】
先ず赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントレッド48:1、122、168、177、202、206、207、209、224、242、254等であり、更に好ましくはC.I.ピグメントレッド177、209、224、242、254等である。
【0128】
紫色顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントバイオレット19、23等であり、更に好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23等である。
【0129】
オレンジ顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、13、16、17、19、20、21、22、23、24、34、36、38、39、43、46、48、49、61、62、64、65、67、68、69、70、71、72、73、74、75、77、78、79等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントオレンジ38、71等である。
【0130】
黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75,81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208、及び下記<顔料Y>で定義さ
れる顔料(以下、「顔料Y」と称する)が挙げられる。
【0131】
<顔料Y>
下記構造式で表されるアゾバルビツール酸のニッケルとの1:1錯体又はその互換異性体に、他の化合物が挿入されてなる化合物。
【0132】
【化13】

【0133】
また、前記他の化合物としては、下記式(I−1)で表される化合物などが挙げられる。
【0134】
【化14】

【0135】
また、本発明の着色樹脂組成物を使用し、後述するように着色樹脂組成物を調製してカラーフィルタの樹脂ブラックマトリックスを形成してもよく、その場合には、黒色顔料を使用することができる。尚、黒色顔料は、単独で使用してもよく、赤色、緑色、青色等の顔料を混合して使用してもよい。又、無機顔料であっても有機顔料であってもよい。
【0136】
[分散剤]
本発明の着色樹脂組成物が、顔料を含む場合、更に分散剤を含有することが好ましい。
本発明における分散剤は、顔料が分散し、安定を保つことができれば特に種類を問わない。
例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系や両性等の分散剤を使用することができるが、ポリマー分散剤が好ましい。具体的には、ブロック共重合体、ポリウレタン、ポリエステル、高分子共重合体のアルキルアンモニウム塩又はリン酸エステル塩、カチオン性櫛型グラフトポリマー等を挙げることができる。これら分散剤の中で、ブロック共重合体、ポリウレタン、カチオン性櫛型グラフトポリマーが好ましい。特にブロック共重合体が好ましく、この中でも親溶剤性を有するAブロック及び窒素原子を含む官能基を有するBブロックからなるブロック共重合体が好ましい。
【0137】
具体的には、窒素原子含有官能基を有するBブロックとして、側鎖に4級アンモニウム塩基、及び/又はアミノ基を有する単位構造が挙げられ、一方、親溶剤性のAブロックとして、4級アンモニウム塩基及びアミノ基を有さない単位構造が挙げられる。
係るアクリル系ブロック共重合体を構成するBブロックは、4級アンモニウム塩基、及び/又はアミノ基を有する単位構造を有し、顔料吸着機能を持つ部位である。
【0138】
又、係るBブロックとして、4級アンモニウム塩基を有する場合、当該4級アンモニウム塩基は、直接主鎖に結合していてもよいが、2価の連結基を介して主鎖に結合していてもよい。
このようなブロック共重合体としては、例えば、特開2009−025813号公報に記載のものが挙げられる。
【0139】
また、本発明の着色樹脂組成物は、上記した以外の分散剤を含んでいてもよい。その他の分散剤としては、例えば、例えば日本国特開2006−343648号公報に記載のものが挙げられる。
本発明の着色樹脂組成物が、顔料を含有する場合、分散剤の全固形分中の含有量は、顔料の総含有量の2〜1000重量%、特に5〜500重量%、とりわけ10〜250重量%の範囲内となるように用いることが好ましい。
上記範囲内とすることで、化合物(1)の耐熱性に影響を及ぼすことなく、良好な顔料分散性を確保することができ、また顔料の分散安定性がより良好となる点で好ましい。
【0140】
[着色樹脂組成物の調製方法]
本発明において、着色樹脂組成物は、適宜の方法により調製することができるが、例えば、前記(A)染料及び(C)バインダー樹脂を、(B)溶剤及び必要に応じて用いられる任意成分と共に混合することで調製できる。
【0141】
また、(A)染料として顔料を含む場合の調製方法としては、顔料を含む(A)染料を溶剤中、分散剤及び必要に応じて添加する分散助剤の存在下で、場合により(C)バインダー樹脂の一部と共に、例えば、ペイントシェイカー、サンドグラインダー、ボールミル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザー等を用いて、粉砕しつつ混合・分散して着色分散液を調製する。該着色分散液に、(A)染料、(C)バインダー樹脂、必要に応じて、(D)重合性モノマー、(E)光重合開始成分及び/又は熱重合開始成分、などを添加し、混合することにより調製する方法を挙げることができる。
【0142】
[着色樹脂組成物の応用]
本発明の着色樹脂組成物は、通常、すべての構成成分が溶剤中に溶解或いは分散された状態である。このような着色樹脂組成物が基板上へ供給され、カラーフィルタや液晶表示装置、有機EL表示装置などの構成部材が形成される。
以下、本発明の着色樹脂組成物の応用例として、カラーフィルタの画素としての応用、およびそれらを用いた液晶表示装置(パネル)および有機EL表示装置について、説明する。
【0143】
<カラーフィルタ>
本発明のカラーフィルタは、本発明の着色樹脂組成物から形成された画素を有するものである。
以下に、本発明のカラーフィルタを形成する方法について説明する。
カラーフィルタの画素は、様々な方法で形成することができる。ここでは光重合性の着色樹脂組成物を使用してフォトリソグラフィー法にて形成する場合を例に説明するが、製造方法はこれに限定されるものではない。
【0144】
まず、基板の表面上に、必要に応じて、画素を形成する部分を区画するようにブラックマトリックスを形成し、この基板上に、本発明の着色樹脂組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶剤を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介し
て露光したのち、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去し、その後ポストベークすることにより、赤色、緑色、青色の各画素パターンを形成して、カラーフィルタを作製することができる。
【0145】
画素を形成する際に使用される基板としては、透明で適度な強度を有するものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、熱可塑性樹脂製シート、エポキシ樹脂、熱硬化性樹脂、各種ガラスなどが挙げられる。
また、これらの基板には、所望により、シランカップリング剤やウレタン系樹脂などによる薄膜形成処理、コロナ放電処理やオゾン処理などの表面処理等、適宜前処理を施してもよい。
【0146】
着色樹脂組成物を基板に塗布する際には、スピナー法、ワイヤーバー法、フローコート法、スリット・アンド・スピン法、ダイコート法、ロールコート法、スプレーコート法等が挙げられる。中でも、スリット・アンド・スピン法、及びダイコート法が好ましい。
塗布膜の厚さは、乾燥後の膜厚として、通常、0.2〜20μm、好ましくは0.5〜10μm、特に好ましくは0.8〜5.0μmである。
【0147】
上記範囲内であると、パターン現像や液晶セル化工程でのギャップ調整が容易であり、また所望の色発現がし易い点で好ましい。
露光の際に使用される放射線としては、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を使用することができるが、波長が190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。
【0148】
画像露光に使用される、波長190〜450nmの放射線を用いるための光源は、特に限定されるものではないが、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプ等のランプ光源;アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、半導体レーザー等のレーザー光源等が挙げられる。特定の波長の光を照射して使用する場合には、光学フィルターを利用することもできる。
【0149】
放射線の露光量は、10〜10,000J/mが好ましい。
また、前記アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、メタ珪酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、燐酸カリウム、燐酸水素ナトリウム、燐酸水素カリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸二水素カリウム、水酸化アンモニウム等の無機アルカリ性化合物;モノ−・ジ−・又はトリ−エタノールアミン、モノ−・ジ−・又はトリ−メチルアミン、モノ−・ジ−・又はトリ−エチルアミン、モノ−・又はジ−イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノ−・ジ−・又はトリ−イソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン等の有機アルカリ性化合物等の水溶液が好ましい。
【0150】
前記アルカリ現像液には、例えばイソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ現像後は、通常、水洗する。
現像処理法としては、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法等の何れかの方法によることができる。現像条件は、室温(23℃)で5〜300秒が好まし
い。
【0151】
現像処理の条件には特に制限はないが、現像温度は通常10℃以上、中でも15℃以上、更には20℃以上、また、通常50℃以下、中でも45℃以下、更には40℃以下の範囲が好ましい。
現像方法は、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法等の何れかの方法によることができる。
【0152】
このようにして作製されたカラーフィルタを液晶表示装置に使用する場合には、このままの状態で画像上にITO等の透明電極を形成して、カラーディスプレイ、液晶表示装置等の部品の一部として使用されるが、表面平滑性や耐久性を高めるため、必要に応じ、画像上にポリアミド、ポリイミド等のトップコート層を設けることもできる。また、一部、平面配向型駆動方式(IPSモード)等の用途においては、透明電極を形成しないこともある。また、垂直配向型駆動方式(MVAモード)では、リブを形成することもある。また、ビーズ散布型スペーサに代わり、フォトリソグラフィー法による柱構造(フォトスペーサー)を形成することもある。
【0153】
<液晶表示装置>
本発明の液晶表示装置は、上述の本発明のカラーフィルタを用いたものである。本発明の液晶表示装置の型式や構造については特に制限はなく、本発明のカラーフィルタを用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「液晶デバイスハンドブック」(日刊工業新聞社、1989年9月29日発行、日本学術振興会第142委員会著)に記載の方法で、本発明の液晶表示装置を形成することができる。
【0154】
<有機EL表示装置>
本発明のカラーフィルタを有する有機EL表示装置を作成する場合、例えば図1に示すように、透明支持基板10上に、本発明の着色樹脂組成物により画素20が形成された青色カラーフィルタ上に有機保護層30及び無機酸化膜40を介して有機発光体500を積層することによって多色の有機EL素子を作製する。
【0155】
有機発光体500の積層方法としては、カラーフィルタ上面へ透明陽極50、正孔注入層51、正孔輸送層52、発光層53、電子注入層54、及び陰極55を逐次形成していく方法や、別基板上へ形成した有機発光体500を無機酸化膜40上に貼り合わせる方法などが挙げられる。このようにして作製された有機EL素子100は、パッシブ駆動方式の有機EL表示装置にもアクティブ駆動方式の有機EL表示装置にも適用可能である。
【0156】
[化合物(1)の用途]
本発明の前記式(1)で表される化合物を含む着色樹脂組成物を用いて形成された膜は、現像液に対する溶解性が高い。
その為、本発明の化合物(1)は、液晶表示装置部材用、更にカラーフィルタ用、特に画素を形成する為の材料として用いられることが好ましい。即ち、本発明の化合物(1)は、カラーフィルタ用染料であることが好ましい。
【実施例】
【0157】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、下記実施例において「部」は「重量部」を表わす。
[1]色材の合成
【0158】
<合成例1:化合物(1−i)の合成>
四つ口フラスコにジメチルホルムアミド75重量部を仕込み、窒素置換した後、0℃に冷却してオキシ塩化リン45重量部を滴下した。つづいてN−エチル−N−(3−メチルフェニル)−2−(4−シクロヘキシルフェノキシ)エチルアミン96重量部のジメチルホルムアミド47重量部溶液を滴下し、100℃で2時間撹拌した。室温に冷却後、氷水1000重量部に排出し、酢酸ナトリウムでpHを5に調整した。酢酸エチル2000重量部で2回抽出を行い、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、溶剤を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、中間体(i−a)87重量部を得た。
【0159】
【化15】

【0160】
四つ口フラスコにマロノニトリル5重量部、上記中間体(i−a)30重量部、イソブチルアルコール100重量部、ピペリジン1重量部を仕込み、窒素置換した後、100℃で2時間撹拌した。室温に冷却後、氷水100重量部に排出し、吸引ろ過することにより黄色結晶の化合物(1−i)22重量部を得た。
【0161】
【化16】

【0162】
この化合物の10ppmクロロホルム溶液中での極大吸収波長(λmax)は443nm
、グラム吸光係数は141であった。NMRによる構造確認をおこなった。結果を以下に示す。
H NMR(CDCl、400MHz)δ 8.31(d,1H,J=9.2Hz)、7.77(s,1H)、7.12(d,2H,J=8.8Hz)、6.79(d,2H,J=8.8Hz)、6.64(dd,1H,J=9.2,2.8Hz)、6.52(d,1H,J=2.8Hz)、4.13(t,2H,J=6.0Hz)、3.81(t,2H,J=6.0Hz)、3.59(q,2H,J=6.8Hz)、2.49−2.40(m,1H)、2.38(s,3H)、1.90−1.68(m,5H)、1.45−1.20(m,8H)
【0163】
<合成例2:化合物(1−ii)の合成>
四つ口フラスコにジメチルホルムアミド75重量部を仕込み、窒素置換した後、0℃に冷却してオキシ塩化リン45重量部を滴下した。つづいて3−イソプロピル−N,N−ジ(2−フェニルエチル)アニリン98重量部のジメチルホルムアミド47重量部溶液を滴下し、100℃で2時間撹拌した。室温に冷却後、氷水1000重量部に排出し、酢酸ナトリウムでpHを5に調整した。酢酸エチル2000重量部で2回抽出を行い、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、溶剤を留去し、シリカゲルカラムクロマト
グラフィーにて精製し、中間体(ii−a)88重量部を得た。
【0164】
【化17】

【0165】
四つ口フラスコにマロノニトリル5重量部、上記中間体(ii−a)30重量部、イソブチルアルコール100重量部、ピペリジン1重量部を仕込み、窒素置換した後、100℃で2時間撹拌した。室温に冷却後、氷水100重量部に排出し、吸引ろ過することにより黄色結晶の化合物(1−ii)22重量部を得た。
【0166】
【化18】

【0167】
この化合物の10ppmクロロホルム溶液中での極大吸収波長(λmax)は447nm
、グラム吸光係数は146であった。NMRによる構造確認をおこなった。結果を以下に示す。
H NMR(CDCl、400MHz)δ 8.32(d,1H,J=8.8Hz)、7.92(s,1H)、7.37−7.14(m,10H)、6.67(dd,1H,J=8.8,2.8Hz)、6.61(d,1H,J=2.8Hz)、3.55(t,4H,J=7.2Hz)、3.24(qq,1H,J=6.8,6.8Hz)、2.85(t,4H,J=7.2Hz)、1.28(d,6H,J=6.8Hz)
【0168】
[2]樹脂の合成
(参考合成例1:樹脂Aの合成)
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート400重量部を仕込み、窒素置換したあと、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。
【0169】
一方、モノマー槽中にジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート30重量部、メタクリル酸60重量部、メタクリル酸シクロヘキシル110重量部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート5.2重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40重量部を仕込み、連鎖移動剤槽にn−ドデシルメルカプタン5.2重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート27重量部を仕込み、反応槽の温度が90℃に安定してからモノマー槽および連鎖移動剤槽か
ら滴下を開始し、重合を開始させた。温度を90℃に保ちながら滴下をそれぞれ135分かけて行い、滴下が終了して60分後に昇温を開始して反応槽を110℃にした。
【0170】
3時間、110℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=5/95(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。次いで、反応槽に、メタクリル酸グリシジル39.6重量部、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)0.4重量部、トリエチルアミン0.8重量部を仕込み、そのまま110℃で9時間反応させた。こうして得られた樹脂AのGPCにより測定した重量平均分子量Mwは8000、酸価は101mg−KOH/gであった。
【0171】
(参考合成例2:樹脂Bの合成)
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145重量部を窒素置換しながら攪拌し、120℃に昇温した。ここにスチレン10重量部、グリシジルメタクリレート85.2重量部およびトリシクロデカン骨格を有するモノアクリレートFA−513M(日立化成社製)66重量部を滴下し、および2.2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル8.47重量部を3時間かけて滴下し、更に90℃で2時間攪拌し続けた。次に反応容器内を空気置換に変え、アクリル酸43.2重量部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.7重量部およびハイドロキノン0.12重量部を投入し、100℃で12時間反応を続けた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)56.2重量部、トリエチルアミン0.7重量部を加え、100℃3.5時間反応させた。こうして得られた樹脂BのGPCにより測定した重量平均分子量Mwは約8400、酸価80mg−KOH/gであった。
さらにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加え、固形分濃度を40%に調整した。
【0172】
[3]顔料分散液の調製
[3−1]緑色顔料分散液の調製
顔料としてC.I.ピグメントグリーン58(DIC社製;以下、「G58」と略す)を12.7重量部、分散剤としてビックケミー社製「BYK−LPN6919」(メタクリル酸系ABブッロク共重合体、アミン価121mg−KOH/g、酸価1mg−KOH/g以下)を固形分換算で3.2重量部、参考合成例1で合成した樹脂Aを固形分換算で4.2重量部を混合し、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用い、固形分濃度20%に調整した。この混合液100.5重量部と径0.5mmのジルコニアビーズ300重量部をステンレス容器に充填し、ペイントシェーカーにて6時間分散させて緑色顔料分散液を調製した。
【0173】
[3−2]黄色顔料分散液(1)の調製
黄色顔料としてE4GN−GT(ランクセス社製)を11.4重量部、分散剤としてBYK−LPN6919(ビックケミー社製)を固形分換算で3.7重量部、参考合成例1で合成した樹脂Aを固形分換算で4.9重量部を混合し、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用い、固形分濃度20%に調整した。この混合液100重量部と径0.5mmのジルコニアビーズ300重量部をステンレス容器に充填し、ペイントシェーカーにて6時間分散させて黄色顔料分散液(1)を調製した。
【0174】
[3−3]黄色顔料分散液(2)の調製
黄色顔料としてC.I.ピグメントイエロー138を14.7重量部、分散剤としてBYK−LPN6919(ビックケミー社製)を固形分換算で5.9重量部、参考合成例1で合成した樹脂Aを固形分換算で4.5重量部を混合し、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用い、固形分濃度25%に調整した。この混合液102.8重量部、径0.5mmのジルコニアビーズ300重量部をステンレス容器に充填し
、ペイントシェーカーにて6時間分散させて黄色顔料分散液(2)を調製した。
【0175】
[4]着色樹脂組成物の調製
[3−1]〜[3−3]で調製した分散液、樹脂B、重合性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、光重合開始系成分として「IRGACURE 907」(2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ
プロパン−1−オン)(BASF社製)と「IRGACURE OXE02」(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(BASF社製)及び界面活性剤としてフッ素系界面活性剤F−475(DIC社製)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで1重量%に希釈したものを表1に示す割合で混合し、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用いて固形分濃度20重量%になるように実施例、比較例の着色樹脂組成物を調製した。なお、表1中の、実施例及び比較例の数値は固形分における含有量(重量部)である。
【0176】
【表1】

【0177】
[5]色度及び輝度の測定
洗浄した後5cm角に切断したガラス基板AN100(旭硝子社製)上に、上記各着色樹脂組成物をスピンコート法により乾燥膜厚2.0μmとなるように塗布し、減圧乾燥させた。その後、50mJ/cmの露光量にて全面露光し、200℃のオーブンにて15分間焼成した。その後、分光光度計U−3310(日立製作所製)にて、分光透過率を測定し、XYZ表色系における色度及び輝度(C光源)を算出した。
【0178】
[6]溶解時間の測定
色度の測定と同様に、洗浄したガラス基板AN100(旭硝子社製)上に着色樹脂組成物を塗布・乾燥し、露光した後、0.04重量%水酸化カリウム水溶液を用いて、現像液温度23℃、圧力0.25MPaでスプレー現像したときに、未露光部の着色樹脂組成物が現像液へ完全に溶解し、基板が露出した時間を、その着色樹脂組成物の溶解時間とした。
【0179】
上記のように測定した実施例1〜2、比較例1〜2の色度と溶解時間をまとめたものを表2に示した。
【0180】
【表2】

【0181】
表2に示すが如く、本発明の着色樹脂組成物を用いて形成された画素は、輝度が高い。また、得られた硬化膜の現像液に対する溶解時間が短い。
つまり、得られる画素が高輝度であり、且つ硬化膜の現像液に対して高溶解性であることが両立することができた。
これより、本発明の着色樹脂組成物を用いて形成された画素を含むカラーフィルタは、輝度に優れ、また該カラーフィルタを含む液晶表示装置及び有機EL表示装置は高品質である。
【0182】
更に、上記の通り、本発明の化合物(1)を含む着色樹脂組成物を用いて形成された膜は、現像液に対して高溶解性であるため、カラーフィルタ用染料としても有用である。
【符号の説明】
【0183】
100 有機EL素子
20 画素
30 有機保護層
40 無機酸化膜
500 有機発光体
51 正孔注入層
54 電子注入層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)染料、(B)溶剤、(C)バインダー樹脂を含み、
該(A)染料が、下記式(1)で表される化合物を含むことを特徴とする、着色樹脂組成物。
【化1】

(上記式(1)中、R及びRは、各々独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜25の芳香族炭化水素環基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜20の複素環基を表す。
は、置換基を有していてもよい炭素数1〜15のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜15のアルコキシ基、アミノ基、置換基を有していてもよいアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、置換基を有していてもよいアシルアミノ基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基、置換基を有していてもよいアリールカルバモイル基、スルファモイル基、置換基を有していてもよいアルキルスルファモイル基又は置換基を有していてもよいアリールスルファモイル基、水酸基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基、又はハロゲン原子を表す。
nは、0〜4の整数を表す。
尚、複数含まれるRは、同じでもよく、異なっていてもよい。
隣接するR〜Rは、互いに結合して環を形成していてもよく、該環は置換基を有していてもよい。
及びRは、各々独立に、カルバモイル基、置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基、置換基を有していてもよいアリールカルバモイル基、スルファモイル基、置換基を有していてもよいアルキルスルファモイル基又は置換基を有していてもよいアリールスルファモイル基、置換基を有していてもよいアルキルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基、置換基を有していてもよいアシル基、カルボキシ基又はシアノ基を表す。)
【請求項2】
及びRの少なくともいずれかが、シアノ基であることを特徴とする、請求項1に記載の着色樹脂組成物。
【請求項3】
更に、(D)重合性モノマーを含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の着色樹脂組成物。
【請求項4】
更に、(E)光重合開始成分及び/又は熱重合開始成分を含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物。
【請求項5】
更に、(F)ハロゲン化金属フタロシアニン顔料を含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物を用いて形成された画素を有することを特徴とする、カラーフィルタ。
【請求項7】
請求項6に記載のカラーフィルタを有することを特徴とする、液晶表示装置。
【請求項8】
請求項6に記載のカラーフィルタを有することを特徴とする、有機EL表示装置。
【請求項9】
下記式(1)で表される化合物からなることを特徴とする、液晶表示装置部材用染料。
【化2】

(上記式(1)中、R及びRは、各々独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜25の芳香族炭化水素環基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜20の複素環基を表す。
は、置換基を有していてもよい炭素数1〜15のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜15のアルコキシ基、アミノ基、置換基を有していてもよいアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、置換基を有していてもよいアシルアミノ基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基、置換基を有していてもよいアリールカルバモイル基、スルファモイル基、置換基を有していてもよいアルキルスルファモイル基又は置換基を有していてもよいアリールスルファモイル基、水酸基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基、又はハロゲン原子を表す。
nは、0〜4の整数を表す。
尚、複数含まれるRは、同じでもよく、異なっていてもよい。
隣接するR〜Rは、互いに結合して環を形成していてもよく、該環は置換基を有していてもよい。
及びRは、各々独立に、カルバモイル基、置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基、置換基を有していてもよいアリールカルバモイル基、スルファモイル基、置換基を有していてもよいアルキルスルファモイル基又は置換基を有していてもよいアリールスルファモイル基、置換基を有していてもよいアルキルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基、置換基を有していてもよいアシル基、カルボキシ基又はシアノ基を表す。)

【図1】
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【公開番号】特開2013−79315(P2013−79315A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219413(P2011−219413)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】