説明

着色硬化性樹脂組成物

【課題】高明度な青味の緑色カラーフィルタを製造可能な着色硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】着色剤、樹脂、重合性化合物及び重合開始剤を含み、着色剤が、塩素化銅フタロシアニン顔料と、黄色染料とを含む着色剤であり、黄色染料の含有量が、着色剤の総量に対して、1質量%以上65質量%以下である着色硬化性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色硬化性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
着色硬化性樹脂組成物は、液晶表示パネル、エレクトロルミネッセンスパネル、プラズマディスプレイパネル等のディスプレイ装置に使用されるカラーフィルタの製造に用いられている。このような着色硬化性樹脂組成物としては、着色剤としてC.I.ピグメントグリーン7及びC.I.ピグメントイエロー138のみを含む着色硬化性樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−265641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来から知られる上記の着色硬化性樹脂組成物は、該組成物から青味の緑色カラーフィルタを製造する場合、該カラーフィルタの明度が必ずしも十分に満足できない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の発明を含む。
[1] 着色剤、樹脂、重合性化合物及び重合開始剤を含み、
着色剤が、塩素化銅フタロシアニン顔料と、黄色染料とを含む着色剤であり、
黄色染料の含有量が、着色剤の総量に対して、1質量%以上65質量%以下である着色硬化性樹脂組成物。
[2] 塩素化銅フタロシアニン顔料が、C.I.ピグメントグリーン7である[1]記載の着色硬化性樹脂組成物。
[3] [1]又は[2]記載の着色硬化性樹脂組成物により形成されるカラーフィルタ。
[4] [3]記載のカラーフィルタを含む表示装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明の着色硬化性樹脂組成物によれば、高明度な青味の緑色カラーフィルタを製造できる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、着色剤(A)、樹脂(B)、重合性化合物(C)及び重合開始剤(D)を含み、前記着色剤(A)は、塩素化銅フタロシアニン顔料(以下「顔料(P)」という場合がある)と、黄色染料(以下「黄色染料(Y)」という場合がある)とを含む。
前記黄色染料(Y)と顔料(P)とを含む着色剤(A)を使用することにより、カラーフィルタの明度が向上する。
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、さらに、溶剤(E)を含むことが好ましい。
また、本発明の着色硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、重合開始剤(D1)及び界面活性剤(F)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含んでもよい。
尚、本明細書において、各成分として例示する化合物は、特に断りのない限り、単独で又は複数種を組合せて使用することができる。
【0008】
<着色剤(A)>
着色剤(A)は、顔料(P)と黄色染料(Y)とを含み、さらに、顔料(P)とは異なる顔料(以下「顔料(A2)」という場合がある)を含んでもよい。
【0009】
顔料(P)は、式(P1)

[式(P1)中、a1、a2、a3及びa4は、互いに独立に、0〜4の整数を表し、(a1+a2+a3+a4)は10以上16以下である。]
で表される化合物を含む顔料であることが好ましい。顔料(P)中、式(P1)で表される化合物の含有量は50質量%以上が好ましく、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
【0010】
(a1+a2+a3+a4)は13以上16以下が好ましく、14以上16以下がより好ましい。
【0011】
顔料(P)としては、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0012】
顔料(P)は、必要に応じて、ロジン処理、酸性基又は塩基性基が導入された顔料誘導体等を用いた表面処理、高分子化合物等による顔料表面へのグラフト処理、硫酸微粒化法等による微粒化処理、又は不純物を除去するための有機溶剤や水等による洗浄処理、イオン性不純物のイオン交換法等による除去処理等が施されていてもよい。
顔料(P)は、粒径が均一であることが好ましい。顔料分散剤を含有させて分散処理を行うことで、顔料が溶液中で均一に分散した状態の顔料分散液を得ることができる。
【0013】
前記の顔料分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、ポリエステル系、ポリアミン系、アクリル系等の界面活性剤等が挙げられる。これらの顔料分散剤は、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。顔料分散剤としては、商品名でKP(信越化学工業(株)製)、フローレン(共栄社化学(株)製)、ソルスパース(ゼネカ(株)製)、EFKA(CIBA社製)、アジスパー(味の素ファインテクノ(株)製)、Disperbyk(ビックケミー社製)などが挙げられる。
顔料分散剤を用いる場合、その使用量は、顔料(P)に対して、好ましくは1質量%以上100質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上50質量%以下である。顔料分散剤の使用量が前記の範囲にあると、均一な分散状態の顔料分散液が得られる傾向がある。
【0014】
顔料(P)の含有量は、着色剤(A)の総量に対して、1質量%以上99質量%以下が好ましく、35質量%以上99質量%以下がより好ましく、40質量%以上98質量%以下がさらに好ましい。
【0015】
黄色染料(Y)は、極大吸収波長を、好ましくは400nm以上480nm以下の範囲に有し、より好ましくは400nm以上450nm以下の範囲、さらに好ましくは410nm以上435nm以下の範囲に有する。なお、極大吸収波長は、染料を溶媒に溶解した溶液を、分光光度計を用いて測定した吸収スペクトルから求めることができ、詳細は後述する。
黄色染料(Y)としては、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)で黄色染料に分類されている染料が挙げられ、化学構造としては、例えば、アゾ染料、金属錯塩染料、キノリン染料、アクリジン染料、アントラキノン染料、ナフタルイミド染料、ニトロ染料、メチン染料、シアニン染料及びトリフェニルメタン染料等が挙げられる。
黄色染料(Y)としては、例えば、C.I.ソルベントイエロー4(以下、C.I.ソルベントイエローの記載を省略し、番号のみの記載とする。)、13、14、15、19、21、23、24、25、25:1、38、62、63、68、79、81、82、83、83:1、88、89、90、94、98、99、151、161、162;
C.I.アシッドイエロー1、3、7、9、11、17、23、25、29、34、36、38、40、42、54、59、65、72、73、76、79、98、99、111、112、113、114、116、119、121、123、128、134、135、138、139、140、144、150、155、157、160、161、163、168、169、172、177、178、179、184、190、193、196、197、199、202、203、204、205、207、212、214、220、221、228、230、232、235、238、240、242、243、251;
C.I.ダイレクトイエロー2、33、34、35、38、39、43、47、50、54、58、68、69、70、71、86、93、94、95、98、102、108、109、129、136、138、141;
C.I.モーダントイエロー5、8、10、16、20、26、30、31、33、42、43、45、56、61、62、65;等が挙げられる。
【0016】
中でも、黄色染料(Y)としては、黄色アゾ染料が好ましく、例えば、特開2009−13112号公報、特開2009−13290号公報、特開2009−13291号公報、特開2009−13292号公報、特開2009−13293号公報、特開2009−280691号公報、特開2009−299030号公報、特開2010−1469号公報、特開2010−275531号公報、特開2010−275532号公報、特開2010−275533号公報に記載される化合物を含む染料が挙げられる。
【0017】
前記黄色アゾ染料としては、式(1)で表される化合物を含む染料であることがより好ましい。
【0018】

【0019】
[式(1)中、Aは、置換基を有していてもよい炭素数6〜14の2価の芳香族炭化水素基を表す。
は、置換基を有していてもよい炭素数6〜14の1価の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜14の1価の複素環基を表す。
51は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜16の1価の飽和炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜18のアシル基を表す。
p1は、1又は2を表す。p1が2である場合、複数のA、B、R51及びR52は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
p1が1である場合、R52は、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜16の1価の飽和炭化水素基を表し、p1が2である場合、R52は、置換基を有していてもよい炭素数1〜35の2価の飽和炭化水素基を表し、該1価の飽和炭化水素基及び該2価の飽和炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−、−S−、−CO−及び−NR’−で置き換わっていてもよい。
R’は、水素原子又は炭素数1〜6の1価の脂肪族炭化水素基を表す。]
【0020】
式(1)で表される化合物は、式(2)で表される化合物であることが好ましい。
【0021】

【0022】
[式(2)中、Z、Z及びZは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜16の2価の脂肪族炭化水素基を表し、Z、Z及びZに含まれる−CH−は、−CO−又は−O−で置き換わっていてもよい。
53及びR54は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜16の1価の飽和脂肪族炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜18のアシル基を表す。
及びAは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数6〜14の2価の芳香族炭化水素基を表す。
及びBは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数6〜14の1価の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜14の1価の複素環基を表す。]
【0023】
、Z及びZは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜16の2価の脂肪族炭化水素基を表す。炭素数1〜16の2価の脂肪族炭化水素基の炭素数には置換基の炭素数は含まれず、その数は、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜8である。
炭素数1〜16の2価の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜16のアルカンジイル基が挙げられ、メチレン基、エチレン基、プロパンジイル基、ブタンジイル基、ペンタンジイル基、へキサンジイル基、ヘプタンジイル基、オクタンジイル基、デカンジイル基、テトラデカンジイル基及びヘキサデカンジイル基が挙げられる。
炭素数1〜16の2価の脂肪族炭化水素基に含まれる−CH−は、−CO−又は−O−で置き換わっていてもよい。炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子等のハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0024】
及びZは、−O−を含んでいてもよい炭素数1〜8のアルカンジイル基であることが好ましく、−O−を含んでいてもよい炭素数5〜7のアルカンジイル基であることがより好ましい。好ましい基としては、例えば、−(CH−、−(CH−O−(CH−、−(CH−O−(CH−O−(CH−又は−CH−CH(CH)−が挙げられる。
は、−C(=C)−を含んでいてもよい炭素数1〜8の2価の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素数1〜8の無置換のアルカンジイル基であることがより好ましく、炭素数4〜8の無置換のアルカンジイル基であることがより好ましい。好ましい基としては、例えば、−(CH−、−(CH−又は−CH−C(=CH)−が挙げられる。
【0025】
51、R52、R53及びR54を表す炭素数1〜16の1価の飽和炭化水素基は、直鎖状、分枝鎖状又は環状のいずれでもよい。該飽和炭化水素基の炭素数に置換基の炭素数は含まれず、好ましくは炭素数6〜10、より好ましくは炭素数1〜4である。
炭素数1〜16の1価の飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、メチルブチル基(1,1,3,3−テトラメチルブチル基など)、メチルヘキシル基(1,5−ジメチルヘキシル基など)、エチルヘキシル基(2−エチルヘキシル基など)、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基(2−メチルシクロヘキシル基など)及びシクロヘキシルアルキル基などが挙げられる。
炭素数1〜16の1価の飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、炭素数1〜8のアルコキシ基又はカルボキシ基で置換されていてもよい。炭素数1〜8のアルコキシ基で置換された炭素数1〜16の1価の脂肪族炭化水素基としては、プロポキシプロピル基(3−(イソプロポキシ)プロピル基など)及びアルコキシプロピル基(3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピル基など)が挙げられる。カルボキシ基で置換された炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基としては、2−(カルボキシ)エチル基、3−(カルボキシ)プロピル基及び4-(カルボキシ)ブチル基等が挙げられる。
【0026】
52を表す炭素数1〜35の2価の飽和炭化水素基としては、直鎖状、分枝鎖状又は環状のいずれでもよく、メチレン基、エチレン基、プロパンジイル基、ブタンジイル基、ペンタンジイル基、へキサンジイル基、ヘプタンジイル基、オクタンジイル基、デカンジイル基、テトラデカンジイル基、ヘキサデカンジイル基、シクロプロパンジイル基、シクロブタンジイル基、シクロペンタンジイル基、シクロへキサンジイル基、シクロヘプタンジイル基、シクロオクタンジイル基、シクロデカンジイル基、シクロテトラデカンジイル基、シクロヘキサデカンジイル基及びアダマンタンジイル基等が挙げられる。中でも、直鎖状又は分枝鎖状であることが好ましい。
炭素数1〜35の2価の飽和炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−、−S−、−CO−及び−NR’−で置き換わっていてもよい。炭素数1〜35の2価の飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子等のハロゲン原子で置換されていてもよい。
R’を表す炭素数1〜6の1価の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0027】
51、R53及びR54を表す炭素数2〜18のアシル基に含まれる水素原子は、炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されていてもよい。置換基を有していてもよい炭素数2〜18のアシル基の炭素数は、置換基の炭素数を含めて数えられ、その数は、好ましくは6〜10である。置換基を有していてもよいアシル基としては、例えば、アセチル基、ベンゾイル基、メトキシベンゾイル基(p−メトキシベンゾイル基など)などが挙げられる。
【0028】
53及びR54としては、水素原子、炭素数1〜4の1価の飽和炭化水素基及び炭素数2〜5のアシル基が好ましい。好ましい基としては、例えば、水素原子、アセチル基又はプロピオニル基が挙げられる。
【0029】
、A及びAを表す炭素数6〜14の2価の芳香族炭化水素基としては、フェニレン基及びナフタレンジイル基等が挙げられ、中でもフェニレン基が好ましい。
【0030】
炭素数6〜14の2価の芳香族炭化水素基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ニトロ基、スルホ基、スルファモイル基及びN−置換スルファモイル基などが挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子、塩素原子又は臭素原子が好ましい。
【0031】
炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基及びヘキシル基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、炭素数1〜2のアルキル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0032】
炭素数1〜8のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基及びヘキシルオキシ基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜2のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
【0033】
N−置換スルファモイル基としては、N−メチルスルファモイル基、N−エチルスルファモイル基、N−プロピルスルファモイル基、N−イソプロピルスルファモイル基、N−ブチルスルファモイル基、N−イソブチルスルファモイル基、N−sec−ブチルスルファモイル基、N−tert−ブチルスルファモイル基、N−ペンチルスルファモイル基、N−(1−エチルプロピル)スルファモイル基、N−(1,1−ジメチルプロピル)スルファモイル基、N−(1,2−ジメチルプロピル)スルファモイル基、N−(2,2−ジメチルプロピル)スルファモイル基、N−(1−メチルブチル)スルファモイル基、N−(2−メチルブチル)スルファモイル基、N−(3−メチルブチル)スルファモイル基、N−シクロペンチルスルファモイル基、N−ヘキシルスルファモイル基、N−(1,3−ジメチルブチル)スルファモイル基、N−(3,3−ジメチルブチル)スルファモイル基、N−ヘプチルスルファモイル基、N−(1−メチルヘキシル)スルファモイル基、N−(1,4−ジメチルペンチル)スルファモイル基、N−オクチルスルファモイル基、N−(2−エチルヘキシル)スルファモイル基、N−(1,5−ジメチル)ヘキシルスルファモイル基、N−(1,1,2,2−テトラメチルブチル)スルファモイル基等のN−1置換スルファモイル基;
N,N−ジメチルスルファモイル基、N,N−エチルメチルスルファモイル基、N,N−ジエチルスルファモイル基、N,N−プロピルメチルスルファモイル基、N,N−イソプロピルメチルスルファモイル基、N,N−tert−ブチルメチルスルファモイル基、N,N−ブチルエチルスルファモイル基、N,N−ビス(1−メチルプロピル)スルファモイル基、N,N−ヘプチルメチルスルファモイル基等のN,N−2置換スルファモイル基等が挙げられる。
N−置換スルファモイル基は、好ましくは炭素数1〜16、より好ましくは炭素数4〜16である。
【0034】
、B及びBは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数6〜14の1価の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜14の1価の複素環基を表す。
炭素数6〜14の1価の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
炭素数3〜14の1価の複素環基としては、下記に表される基が挙げられる。

[Rは、水素原子又は有機基を表す。]
該有機基としては、例えば、後述のR59と同様の基が挙げられる。
【0035】
炭素数6〜14の1価の芳香族炭化水素基及び炭素数3〜14の1価の複素環基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基、オキソ基、炭素数1〜16の1価の脂肪族炭化水素基、シアノ基、アミノ基又はN−置換アミノ基で置換されていてもよい。
N−置換アミノ基として、−NHR57基又は−NR5758基が好ましい。ただし、R57及びR58は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜16の1価の飽和炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜14の1価の複素環基を表す。炭素数1〜16の1価の飽和炭化水素基及び炭素数3〜14の1価の複素環基としては、前記と同様の基が挙げられる。
【0036】
及びBが同じ種類の基であることが好ましく、さらに、A及びA、R53及びR54、Z及びZがそれぞれ同じ種類の基であることがより好ましい。これらの基であると、式(2)で表される化合物の製造が容易である
【0037】
、B及びBは、それぞれ独立に、式(2−a)で表される基であることが好ましい。

[式(2−a)中、R59は水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜16の1価の飽和炭化水素基を表す。R60は、置換基を有していてもよい炭素数1〜16の1価の飽和炭化水素基を表す。]
式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物が式(2−a)で表される基を含む場合、これらはその互変異性体も含む。
【0038】
炭素数1〜16の1価の飽和炭化水素基としては、上記と同じものが挙げられる。R59は、メチルブチル基(1,1,3,3−テトラメチルブチル基など)、メチルへキシル基(1,5−ジメチルへキシル基など)、エチルへキシル基(2−エチルヘキシル基など)、メチルシクロへキシル基(2−メチルシクロヘキシル基など)及びアルコキシプロピル基(3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピル基など)などの分枝鎖状脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
59及びR60の置換基としては、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアシルオキシ基が挙げられる。炭素数1〜8のアルコキシ基としては、前記と同じものが挙げられる。炭素数1〜8のアシルオキシ基としては、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ヘキシルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
60は、メチル基であることが好ましい。
【0039】
式(1)で表される化合物としては、特開2010−275531号公報に記載される化合物が挙げられ、好ましくは式(1−1)〜式(1−10)で表される化合物が挙げられる。表中のA、A、Z及びZは、右側の結合手がZに近い方の結合手を表す。
【0040】

【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
【表3】

【0044】
【表4】

【0045】
【表5】

【0046】
【表6】

【0047】
【表7】

【0048】
【表8】

【0049】
【表9】

【0050】
【表10】

【0051】
式(2)で表される化合物は、特開2010−275531号公報に記載される方法により製造できる。
【0052】
黄色染料(Y)の含有量は、着色剤(A)の総量に対して、1質量%以上65質量%以下であり、2質量%以上55質量%以下が好ましい。
【0053】
前記着色剤(A)は、さらに顔料(A2)を顔料(P)及び黄色染料(Y)とともに含んでもよい。
前記顔料(A2)としては、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)でピグメントに分類されている化合物が挙げられる。中でも、好ましくは、黄色顔料及び緑色顔料である。
黄色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、128、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173、194、214等、及び特開2001−354869号公報、特開2007−224176号公報に記載される黄色顔料等が挙げられる。
緑色顔料としては、C.I.ピグメントグリーン36、58等が挙げられる。
【0054】
これらの中でも顔料(A2)としては、C.I.ピグメントイエロー138、139、150;C.I.ピグメントグリーン36、58が好ましい。これらの顔料を含むことで、透過スペクトルの最適化が容易であり、耐薬品性が良好になる。これらの顔料は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0055】
顔料(A2)は、必要に応じて、ロジン処理、酸性基又は塩基性基が導入された顔料誘導体等を用いた表面処理、高分子化合物等による顔料表面へのグラフト処理、硫酸微粒化法等による微粒化処理、又は不純物を除去するための有機溶剤や水等による洗浄処理、イオン性不純物のイオン交換法等による除去処理等が施されていてもよい。
顔料(A2)は、粒径が均一であることが好ましい。顔料分散剤を含有させて分散処理を行うことで、顔料が溶液中で均一に分散した状態の顔料分散液を得ることができる。顔料(P)と顔料(A2)とを混合してからともに分散処理してもよい。
【0056】
前記の顔料分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、ポリエステル系、ポリアミン系、アクリル系等の界面活性剤等が挙げられる。これらの顔料分散剤は、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。顔料分散剤としては、商品名でKP(信越化学工業(株)製)、フローレン(共栄社化学(株)製)、ソルスパース(ゼネカ(株)製)、EFKA(CIBA社製)、アジスパー(味の素ファインテクノ(株)製)、Disperbyk(ビックケミー社製)などが挙げられる。
顔料分散剤を用いる場合、その使用量は、顔料(A2)に対して、好ましくは1質量%以上100質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上50質量%以下である。顔料分散剤の使用量が前記の範囲にあると、均一な分散状態の顔料分散液が得られる傾向がある。
【0057】
顔料(A2)を含む場合、その含有量比率は着色剤(A)中、1質量%〜90質量%が好ましく、3質量%〜80質量%がより好ましい。このような比率とすることにより、透過スペクトルの最適化が容易となり、得られるカラーフィルタは、コントラスト、明度、耐熱性、耐薬品性に優れる傾向がある。
【0058】
着色剤(A)が顔料(P)と黄色染料(Y)とからなる場合、これらの含有量はそれぞれ、着色剤(A)の総量に対して、
顔料(P);35質量%以上99質量%以下
黄色染料(Y);1質量%以上65質量%以下
が好ましく、
顔料(P);40質量%以上98質量%以下
黄色染料(Y);2質量%以上55質量%以下
がより好ましい。
【0059】
着色剤(A)が顔料(A2)を含む場合、顔料(P)、黄色染料(Y)及び顔料(A2)の含有量はそれぞれ、着色剤(A)の総量に対して、
顔料(P);5質量%以上98質量%以下
黄色染料(Y);1質量%以上65質量%以下
顔料(A2);1質量%以上90質量%以下
が好ましく、
顔料(P);9質量%以上97質量%以下
黄色染料(Y);2質量%以上55質量%以下
顔料(A2);1質量%以上85質量%以下
がより好ましい。
【0060】
着色剤(A)の含有量は、着色硬化性樹脂組成物中の固形分に対して、好ましくは5質量%〜70質量%であり、より好ましくは8質量%〜60質量%であり、さらに好ましくは10質量%〜57質量%である。ここで、固形分とは、着色硬化性樹脂組成物中の溶剤を除く成分の合計をいう。着色剤(A)の含有量が前記の範囲にあると、カラーフィルタとしたとき所望する分光や色濃度を得ることができ、且つ組成物中に樹脂や重合性化合物を必要量含有させることができるので、機械的強度が十分なパターンを形成することができる。
【0061】
<樹脂(B)>
樹脂(B)は、特に限定されないが、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。樹脂(B)としては、例えば、以下の樹脂[K1]〜[K6]等が挙げられる。
樹脂[K1]不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種(a)(以下「(a)」という場合がある)と、炭素数2〜4の環状エーテル構造とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b)(以下「(b)」という場合がある)との共重合体;
樹脂[K2](a)と(b)と、(a)と共重合可能な単量体(c)(ただし、(a)及び(b)とは異なる。)(以下「(c)」という場合がある)との共重合体;
樹脂[K3](a)と(c)との共重合体;
樹脂[K4](a)と(c)との共重合体に(b)を反応させた樹脂;
樹脂[K5](b)と(c)との共重合体に(a)を反応させた樹脂;
樹脂[K6](b)と(c)との共重合体に(a)を反応させ、さらにカルボン酸無水物を反応させた樹脂。
【0062】
(a)としては、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸類;
マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、3−ビニルフタル酸、4−ビニルフタル酸、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、ジメチルテトラヒドロフタル酸、1、4−シクロヘキセンジカルボン酸等の不飽和ジカルボン酸類;
メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、5−カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のカルボキシ基を含有するビシクロ不飽和化合物類;
無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3−ビニルフタル酸無水物、4−ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン無水物等の不飽和ジカルボン酸類無水物;
こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等の2価以上の多価カルボン酸の不飽和モノ〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕エステル類;
α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸のような、同一分子中にヒドロキシ基及びカルボキシ基を含有する不飽和アクリレート類等が挙げられる。
【0063】
これらのうち、共重合反応性の点やアルカリ水溶液への溶解性の点から、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等が好ましい。
尚、本明細書において、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及びメタクリロイルよりなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。「(メタ)アクリル酸」及び「(メタ)アクリレート」等の表記も、同様の意味を有する。
【0064】
(b)は、例えば、炭素数2〜4の環状エーテル構造(例えば、オキシラン環、オキセタン環及びテトラヒドロフラン環からなる群から選ばれる少なくとも1種)とエチレン性不飽和結合とを有する重合性化合物である。(b)は、炭素数2〜4の環状エーテル構造と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体が好ましい。
尚、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。「(メタ)アクリロイル」及び「(メタ)アクリレート」等の表記も、同様の意味を有する。
【0065】
(b)としては、例えば、オキシラニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(a1)(以下「(b1)」という場合がある)、オキセタニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b2)(以下「(b2)」という場合がある)、テトラヒドロフリル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b3)(以下「(b3)」という場合がある)等が挙げられる。
【0066】
(b1)は、例えば、直鎖状又は分枝鎖状の不飽和脂肪族炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1−1)(以下「(b1−1)」という場合がある)及び不飽和脂環式炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1−2)(以下「(b1−2)」という場合がある)が挙げられる。
【0067】
(b1−1)としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、β−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、2,3−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,5−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,6−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,4−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,5−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,6−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、3,4,5−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン及び2,4,6−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン等が挙げられる。
【0068】
(b1−2)としては、例えば、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン(例えば、セロキサイド2000;ダイセル化学工業(株)製)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート(例えば、サイクロマーA400;ダイセル化学工業(株)製)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート(例えば、サイクロマーM100;ダイセル化学工業(株)製)、式(I)で表される化合物及び式(II)で表される化合物等が挙げられる。
【0069】

【0070】
[式(I)及び式(II)中、Rb1及びRb2は、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基で置換されていてもよい。
b1及びXb2は、単結合、−Rb3−、*−Rb3−O−、*−Rb3−S−又は*−Rb3−NH−を表す。
b3は、炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。
*は、Oとの結合手を表す。]
【0071】
炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
水素原子がヒドロキシで置換されたアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、2−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等が挙げられる。
b1及びRb2は、好ましくは水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基又は2−ヒドロキシエチル基であり、より好ましくは水素原子又はメチル基である。
【0072】
アルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基等が挙げられる。
b1及びXb2としては、好ましくは単結合、メチレン基、エチレン基、*−CH−O−又は*−CHCH−O−であり、より好ましくは単結合又は*−CHCH−O−である(*はOとの結合手を表す)。
【0073】
式(I)で表される化合物としては、式(I−1)〜式(I−15)のいずれかで表される化合物等が挙げられる。中でも、式(I−1)、式(I−3)、式(I−5)、式(I−7)、式(I−9)及び式(I−11)〜式(I−15)のいずれかで表される化合物が好ましく、式(I−1)、式(I−7)、式(I−9)又は式(I−15)で表される化合物がより好ましい。
【0074】

【0075】

【0076】
式(II)で表される化合物としては、式(II−1)〜式(II−15)のいずれかで表される化合物等が挙げられる。中でも、式(II−1)、式(II−3)、式(II−5)、式(II−7)、式(II−9)及び式(II−11)〜式(II−15)のいずれかで表される化合物が好ましく、式(II−1)、式(II−7)、式(II−9)又は式(II−15)で表される化合物がより好ましい。
【0077】

【0078】

【0079】
式(I)で表される化合物及び式(II)で表される化合物は、それぞれ単独で用いても、任意の比率で混合して用いてもよい。混合して用いる場合、式(I)で表される化合物及び式(II)で表される化合物の含有比率はモル基準で、好ましくは5:95〜95:5、より好ましくは10:90〜90:10、さらに好ましくは20:80〜80:20である。
【0080】
オキセタニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b2)としては、オキセタニル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体がより好ましい。(b2)としては、3−メチル−3−メタクリルロイルオキシメチルオキセタン、3−メチル−3−アクリロイルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−メタクリロイルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−アクリロイルオキシメチルオキセタン、3−メチル−3−メタクリロイルオキシエチルオキセタン、3−メチル−3−アクリロイルオキシエチルオキセタン、3−エチル−3−メタクリロイルオキシエチルオキセタン及び3−エチル−3−アクリロイルオキシエチルオキセタン等が挙げられる。
【0081】
テトラヒドロフリル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b3)としては、テトラヒドロフリル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体がより好ましい。(b3)としては、具体的には、テトラヒドロフルフリルアクリレート(例えば、ビスコートV#150、大阪有機化学工業(株)製)及びテトラヒドロフルフリルメタクリレート等が挙げられる。
【0082】
得られるカラーフィルタの耐熱性、耐薬品性等の信頼性をより高くすることができる点で、(b)は、(b1)であることが好ましい。さらに、着色硬化性樹脂組成物の保存安定性が優れるという点で、(b1−2)がより好ましい。
【0083】
(c)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート」といわれている。また、「トリシクロデシル(メタ)アクリレート」という場合がある。)、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン−8−イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート」といわれている。)、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、プロパルギル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート及びベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル及びイタコン酸ジエチル等のジカルボン酸ジエステル;
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2’−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(2’−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジエトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチル−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−tert−ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(tert−ブトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン及び5,6−ビス(シクロヘキシルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のビシクロ不飽和化合物類;
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチレート、N−スクシンイミジル−6−マレイミドカプロエート、N−スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオネート及びN−(9−アクリジニル)マレイミド等のジカルボニルイミド誘導体類;
スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メトキシスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、1,3−ブタジエン、イソプレン及び2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。
これらのうち、共重合反応性及び耐熱性の点から、スチレン、ビニルトルエン、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド及びN−ベンジルマレイミド等が好ましい。
【0084】
樹脂[K1]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K1]を構成する全構造単位中、
(a)に由来する構造単位;2〜60モル%
(b)に由来する構造単位;40〜98モル%
であることが好ましく、
(a)に由来する構造単位;10〜50モル%
(b)に由来する構造単位;50〜90モル%
であることがより好ましい。
樹脂[K1]の構造単位の比率が、上記の範囲にあると、着色硬化性樹脂組成物の保存安定性、着色パターンを形成する際の現像性、及び得られる着色パターンの耐溶剤性に優れる傾向がある。
【0085】
樹脂[K1]は、例えば、文献「高分子合成の実験法」(大津隆行著 発行所(株)化学同人 第1版第1刷 1972年3月1日発行)に記載された方法及び当該文献に記載された引用文献を参考にして製造することができる。
【0086】
具体的には、(a)及び(b)の所定量、重合開始剤及び溶剤等を反応容器中に入れて、例えば、窒素により酸素を置換することにより、脱酸素雰囲気にし、攪拌しながら、加熱及び保温する方法が挙げられる。なお、ここで用いられる重合開始剤及び溶剤等は、特に限定されず、当該分野で通常使用されているものを使用することができる。例えば、重合開始剤としては、アゾ化合物(2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等)や有機過酸化物(ベンゾイルペルオキシド等)が挙げられ、溶剤としては、各モノマーを溶解するものであればよく、着色硬化性樹脂組成物の溶剤として後述する溶剤(E)等が挙げられる。
【0087】
なお、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。特に、この重合の際に溶剤として、後述する溶剤(E)を使用することにより、反応後の溶液をそのまま使用することができ、製造工程を簡略化することができる。
【0088】
樹脂[K2]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K2]を構成する全構造単位中、
(a)に由来する構造単位;2〜45モル%
(b)に由来する構造単位;2〜95モル%
(c)に由来する構造単位;1〜65モル%
であることが好ましく、
(a)に由来する構造単位;5〜40モル%
(b)に由来する構造単位;5〜80モル%
(c)に由来する構造単位;5〜60モル%
であることがより好ましい。
樹脂[K2]の構造単位の比率が、上記の範囲にあると、着色硬化性樹脂組成物の保存安定性、着色パターンを形成する際の現像性、並びに、得られる着色パターンの耐溶剤性、耐熱性及び機械強度に優れる傾向がある。
【0089】
樹脂[K2]は、例えば、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様に製造することができる。
【0090】
樹脂[K3]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K3]を構成する全構造単位中、
(a)に由来する構造単位;2〜60モル%
(c)に由来する構造単位;40〜98モル%
であることが好ましく、
(a)に由来する構造単位;10〜50モル%
(c)に由来する構造単位;50〜90モル%
であることがより好ましい。
樹脂[K3]は、例えば、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様に製造することができる。
【0091】
樹脂[K4]は、(a)と(c)との共重合体を得て、(b)が有する炭素数2〜4の環状エーテルを(a)が有するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物に付加させることにより製造することができる。
まず(a)と(c)との共重合体を、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様に製造する。この場合、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K3]で挙げたもの同様の比率であることが好ましい。
【0092】
次に、前記共重合体中の(a)に由来するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物の一部に、(b)が有する炭素数2〜4の環状エーテルを反応させる。
(a)と(c)との共重合体の製造に引き続き、フラスコ内雰囲気を窒素から空気に置換し、(b)、カルボン酸又はカルボン酸無水物と環状エーテルとの反応触媒(例えばトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等)及び重合禁止剤(例えばハイドロキノン等)等をフラスコ内に入れて、例えば、60〜130℃で、1〜10時間反応することにより、樹脂[K4]を製造することができる。
(b)の使用量は、(a)100モルに対して、5〜80モルが好ましく、より好ましくは10〜75モルである。この範囲にすることにより、着色硬化性樹脂組成物の保存安定性、パターンを形成する際の現像性、並びに、得られるパターンの耐溶剤性、耐熱性、機械強度及び感度のバランスが良好になる傾向がある。環状エーテルの反応性が高く、未反応の(b)が残存しにくいことから、樹脂[K4]に用いる(b)としては(b1)が好ましく、さらに(b1−1)が好ましい。
前記反応触媒の使用量は、(a)、(b)及び(c)の合計量100質量部に対して0.001〜5質量部が好ましい。前記重合禁止剤の使用量は、(a)、(b)及び(c)の合計量100質量部に対して0.001〜5質量部が好ましい。
仕込方法、反応温度及び時間等の反応条件は、製造設備や重合による発熱量等を考慮して適宜調整することができる。なお、重合条件と同様に、製造設備や重合による発熱量等を考慮し、仕込方法や反応温度を適宜調整することができる。
【0093】
樹脂[K5]は、第一段階として、上述した樹脂[K1]の製造方法と同様にして、(b)と(c)との共重合体を得る。上記と同様に、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。
(b)及び(c)に由来する構造単位の比率は、前記の共重合体を構成する全構造単位の合計モル数に対して、以下の範囲にあることが好ましい。
(b)に由来する構造単位;5〜95モル%
(c)に由来する構造単位;5〜95モル%
であることが好ましく、
(b)に由来する構造単位;10〜90モル%
(c)に由来する構造単位;10〜90モル%
であることがより好ましい。
【0094】
さらに、樹脂[K4]の製造方法と同様の条件で、(b)と(c)との共重合体が有する(b)に由来する環状エーテルに、(a)が有するカルボン酸又はカルボン酸無水物を反応させることにより、樹脂[K5]を得ることができる。
前記の共重合体に反応させる(a)の使用量は、(b)100モルに対して、5〜80モルが好ましい。環状エーテルの反応性が高く、未反応の(b)が残存しにくいことから、樹脂[K5]に用いる(b)としては(b1)が好ましく、さらに(b1−1)が好ましい。
【0095】
樹脂[K6]は、樹脂[K5]に、さらにカルボン酸無水物を反応させた樹脂である。環状エーテルとカルボン酸又はカルボン酸無水物との反応により発生するヒドロキシ基に、カルボン酸無水物を反応させる。
カルボン酸無水物としては、無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3−ビニルフタル酸無水物、4−ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン無水物(ハイミック酸無水物)等が挙げられる。カルボン酸無水物の使用量は、(a)の使用量1モルに対して、0.5〜1モルが好ましい。
【0096】
樹脂(B)としては、具体的に、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体等の樹脂[K1];グリシジル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/N−シクロヘキシルマレイミド共重合体、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/ビニルトルエン/ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート共重合体、3−メチル−3−(メタ)アクリルロイルオキシメチルオキセタン/(メタ)アクリル酸/スチレン共重合体等の樹脂[K2];ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体等の樹脂[K3];ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂等の樹脂[K4];トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂等の樹脂[K5];トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂にさらにテトラヒドロフタル酸無水物を反応させた樹脂等の樹脂[K6]等が挙げられる。
【0097】
中でも、樹脂(B)としては、樹脂[K1]、樹脂[K2]及び樹脂[K3]が好ましい。
【0098】
樹脂(B)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜100,000であり、より好ましくは5,000〜50,000であり、さらに好ましくは5,000〜30,000である。分子量が前記の範囲にあると、塗膜硬度が向上し、残膜率も高く、未露光部の現像液に対する溶解性が良好で、解像度が向上する傾向がある。
樹脂(B)の分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、好ましくは1.1〜6であり、より好ましくは1.2〜4である。
【0099】
樹脂(B)の酸価は、好ましくは50〜170mg−KOH/gであり、より好ましくは60〜150、さらに好ましくは70〜135mg−KOH/gである。ここで酸価は樹脂1gを中和するに必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、例えば水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求めることができる。
【0100】
樹脂(B)の含有量は、着色硬化性樹脂組成物の固形分に対して、好ましくは7〜65質量%であり、より好ましくは13〜60質量%であり、さらに好ましくは17〜55質量%である。樹脂(B)の含有量が、前記の範囲にあると、未露光部の現像液に対する溶解性が高い傾向がある。
【0101】
<重合性化合物(C)>
重合性化合物(C)は、光や熱の作用により重合開始剤(D)から発生した活性ラジカル及び/又は酸等によって重合し得る化合物であって、例えば、重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物等が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリル酸エステル化合物が挙げられる。
【0102】
前記重合性化合物(C)としては、エチレン性不飽和結合を3つ以上有する重合性化合物であることが好ましい。このような重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールノナ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0103】
重合性化合物(C)の含有量は、着色硬化性樹脂組成物の固形分に対して、好ましくは7〜65質量%であり、より好ましくは13〜60質量%であり、さらに好ましくは17〜55質量%である。前記の重合性化合物(C)の含有量が、前記の範囲にあると、硬化が十分におこり、現像前後での膜厚比率が向上し、パターンにアンダーカットが入りにくくなって密着性が良好になる傾向があることため好ましい。
【0104】
<重合開始剤(D)>
重合開始剤(D)は、光や熱の作用により活性ラジカル、酸等を発生し、重合を開始しうる化合物であれば特に限定されることなく、公知の重合開始剤を用いることができる。
重合開始剤(D)としては、アルキルフェノン化合物、トリアジン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、O−アシルオキシム化合物及びビイミダゾール化合物等が挙げられる。
【0105】
O−アシルオキシム化合物は、式(d1)で表される部分構造を有する化合物である。以下、*は結合手を表す。

O−アシルオキシム化合物としては、例えば、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)ブタン−1−オン−2−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)−3−シクロペンチルプロパン−1−オン−2−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−{2−メチル−4−(3,3−ジメチル−2,4−ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−シクロペンチルプロパン−1−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−シクロペンチルプロパン−1−オン−2−イミン等が挙げられる。イルガキュア(登録商標)OXE01、OXE02(以上、BASF社製)、N−1919(ADEKA社製)等の市販品を用いてもよい。
【0106】
アルキルフェノン化合物は、式(d2)で表される部分構造又は式(d3)で表される部分構造を有する化合物である。これらの部分構造におけるベンゼン環は置換基を有していてもよい。

【0107】
式(d2)で表される部分構造を有する化合物としては、例えば、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)プロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジルブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]ブタン−1−オン等が挙げられる。イルガキュア(登録商標)369、907及び379(以上、BASF社製)等の市販品を用いてもよい。
式(d3)で表される部分構造を有する化合物としては、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−イソプロペニルフェニル)プロパン−1−オンのオリゴマー、α,α−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
感度の点で、アルキルフェノン化合物としては、式(d2)で表される部分構造を有する化合物が好ましい。
【0108】
トリアジン化合物としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
【0109】
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。イルガキュア(登録商標)819(BASF社製)等の市販品を用いてもよい。
【0110】
ビイミダゾール化合物としては、例えば、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,3−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール(例えば、特開平6−75372号公報、特開平6−75373号公報等参照。)、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(ジアルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール(例えば、特公昭48−38403号公報、特開昭62−174204号公報等参照。)、4,4’5,5’−位のフェニル基がカルボアルコキシ基により置換されているイミダゾール化合物(例えば、特開平7−10913号公報等参照)等が挙げられる。
【0111】
さらに重合開始剤(D)としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;9,10−フェナンスレンキノン、2−エチルアントラキノン、カンファーキノン等のキノン化合物;10−ブチル−2−クロロアクリドン、ベンジル、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物等が挙げられる。これらは、後述の重合開始助剤(D1)(特にアミン類)と組み合わせて用いることが好ましい。
【0112】
酸発生剤としては、例えば、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムp−トルエンスルホナート、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウムp−トルエンスルホナート、4−アセトキシフェニル・メチル・ベンジルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホナート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホナート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等のオニウム塩類や、ニトロベンジルトシレート類、ベンゾイントシレート類等が挙げられる。
【0113】
重合開始剤(D)としては、アルキルフェノン化合物、トリアジン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、O−アシルオキシム化合物及びビイミダゾール化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む重合開始剤が好ましく、O−アシルオキシム化合物を含む重合開始剤がより好ましく、O−アシルオキシム化合物及びアルキルフェノン化合物をを含む重合開始剤がさらに好ましい。
【0114】
重合開始剤(D)の含有量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部であり、より好ましくは5〜25質量部である。重合開始剤(D)の含有量が、前記の範囲にあると、高感度でパターンを形成することができ、さらに高明度なカラーフィルタが得られる傾向がある。
【0115】
重合開始剤(D)とともに、さらに重合開始助剤(D1)を含んでいてもよい。重合開始助剤(D1)は、重合開始剤によって重合が開始された光重合性化合物の重合を促進するために用いられる化合物、もしくは増感剤である。
重合開始助剤(D1)としては、アミン化合物、アルコキシアントラセン化合物、チオキサントン化合物及びカルボン酸化合物等が挙げられる。
【0116】
アミン化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられ、中でも4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。EAB−F(保土谷化学工業(株)製)等の市販品を用いてもよい。
【0117】
アルコキシアントラセン化合物としては、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジブトキシアントラセン等が挙げられる。
【0118】
チオキサントン化合物としては、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等が挙げられる。
【0119】
カルボン酸化合物としては、フェニルスルファニル酢酸、メチルフェニルスルファニル酢酸、エチルフェニルスルファニル酢酸、メチルエチルフェニルスルファニル酢酸、ジメチルフェニルスルファニル酢酸、メトキシフェニルスルファニル酢酸、ジメトキシフェニルスルファニル酢酸、クロロフェニルスルファニル酢酸、ジクロロフェニルスルファニル酢酸、N−フェニルグリシン、フェノキシ酢酸、ナフチルチオ酢酸、N−ナフチルグリシン、ナフトキシ酢酸等が挙げられる。
【0120】
重合開始助剤(D1)としては、チオキサントン化合物が好ましい。
また、重合開始助剤(D1)を用いる場合、その使用量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは1〜20質量部である。また、重合開始剤(D)の含有量100質量部に対して、好ましくは20〜100質量部、より好ましくは30〜80質量部である。重合開始助剤(D1)の量がこの範囲にあると、高感度でパターンを形成することができ、さらに高明度なカラーフィルタが得られる傾向がある。
【0121】
<溶剤(E)>
溶剤(E)は、特に限定されず、当該分野で通常使用される溶剤を用いることができる。例えば、エステル溶剤(−COO−を含む溶剤)、エステル溶剤以外のエーテル溶剤(−O−を含む溶剤)、エーテルエステル溶剤(−COO−と−O−とを含む溶剤)、エステル溶剤以外のケトン溶剤(−CO−を含む溶剤)、アルコール溶剤、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤、ジメチルスルホキシド等の中から選択して用いることができる。
【0122】
前記エステル溶剤としては、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2−ヒドロキシイソブタン酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、シクロヘキサノールアセテート、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
【0123】
前記エーテル溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アニソール、フェネトール、メチルアニソール等が挙げられる。
【0124】
前記エーテルエステル溶剤としては、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。
【0125】
前記ケトン溶剤としては、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、アセトン、2−ブタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロン等が挙げられる。
【0126】
前記アルコール溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
【0127】
前記芳香族炭化水素溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等が挙げられる。
【0128】
前記アミド溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
【0129】
上記の溶剤のうち、塗布性、乾燥性の点から、1atm(101.325kPa)における沸点が120℃以上180℃以下である有機溶剤が好ましい。中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシ−1−ブタノール、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、N,N−ジメチルホルムアミド等が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシ−1−ブタノール、3−エトキシプロピオン酸エチル等がより好ましい。
【0130】
着色硬化性樹脂組成物における溶剤(E)の含有量は、着色硬化性樹脂組成物に対して、好ましくは70〜95質量%であり、より好ましくは75〜92質量%である。言い換えると、着色硬化性樹脂組成物の固形分は、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは8〜25質量%である。溶剤(E)の含有量が前記の範囲にあると、塗布時の平坦性が良好になり、またカラーフィルタを形成した際に色濃度が不足しないために表示特性が良好となる傾向がある。
【0131】
<界面活性剤(F)>
界面活性剤(F)としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤及びフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。これらは、側鎖に重合性基を有していてもよい。
【0132】
前記シリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、トーレシリコーンDC3PA、同SH7PA、同DC11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、同SH8400(東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP322、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341(信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF−4446、TSF4452、TSF4460(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)等が挙げられる。
【0133】
前記のフッ素系界面活性剤としては、フルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、フロラード(商品名)FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)F142D、同F171、同F172、同F173、同F177、同F183、同R30、同RS−718−K(DIC(株)製)、エフトップ(登録商標)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(登録商標)S381、同S382、同SC101、同SC105(旭硝子(株)製)、E5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)等が挙げられる。
【0134】
前記のフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合及びフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、メガファック(登録商標)R08、同BL20、同F475、同F477、同F443(DIC(株)製)等が挙げられる。
【0135】
界面活性剤(F)の含有量は、着色硬化性樹脂組成物に対し、好ましくは0.001質量%以上0.2質量%以下であり、好ましくは0.002質量%以上0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上0.05質量%以下である。ただし、前記界面活性剤(F)の含有量に、前記顔料分散剤の含有量は含まれない。界面活性剤(F)の含有量が前記の範囲にあると、塗膜の平坦性を良好にすることができる。
【0136】
<その他の成分>
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、充填剤、他の高分子化合物、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、連鎖移動剤等の種々の添加剤を含んでもよい。
【0137】
<着色硬化性樹脂組成物の製造方法>
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、例えば、着色剤(A)、樹脂(B)、重合性化合物(C)及び重合開始剤(D)、並びに必要に応じて用いられる重合開始助剤(D1)、溶剤(E)、界面活性剤(F)及びその他成分を混合することにより調製できる。
顔料(P)は、予め溶剤(E)と混合し、顔料の平均粒子径が0.2μm以下程度となるまで、ビーズミル等を用いて分散させることが好ましい。この際、必要に応じて前記顔料分散剤、樹脂(B)の一部又は全部を配合してもよい。得られた顔料分散液に、黄色染料(Y)、樹脂(B)の残り及び重合性化合物(C)、並びに、必要に応じて使用される重合開始剤(D)、溶剤(E)の残り、界面活性剤(F)及びその他の成分等を、所定の濃度となるように混合することにより、目的の着色硬化性樹脂組成物を調製できる。
黄色染料(Y)は、予め溶剤(E)に溶解させて溶液を調製してもよい。該溶液は、孔径0.01〜1μm程度のフィルタでろ過することが好ましい。
上記のとおり混合して調製された着色硬化性樹脂組成物は、孔径0.1〜10μm程度のフィルタでろ過することが好ましい。
【0138】
<カラーフィルタ>
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、青味の緑色カラーフィルタを作製することに有用である。青味の緑色カラーフィルタは、例えば、C光源、2度視野におけるCIE色度座標が好ましくは0.140≦x≦0.270、0.500≦y≦0.690の範囲、より好ましくは0.170≦x≦0.260、0.500≦y≦0.680の範囲、さらに好ましくは0.200≦x≦0.250、0.550≦y≦0.680の範囲において、高明度な青味の緑色カラーフィルタを得ることができる。
本発明の着色硬化性樹脂組成物からカラーフィルタの着色パターンを製造する方法としては、フォトリソグラフ法、インクジェット法、印刷法等が挙げられる。中でも、フォトリソグラフ法が好ましい。フォトリソグラフ法は、前記着色硬化性樹脂組成物を基板に塗布し、乾燥させて組成物層を形成し、フォトマスクを介して該組成物層を露光して、現像する方法である。フォトリソグラフ法において、露光の際にフォトマスクを用いないこと、及び/又は現像しないことにより、上記組成物層の硬化物である着色塗膜を形成することができる。
作製するカラーフィルタの膜厚は、特に限定されず、目的や用途等に応じて適宜調整することができ、例えば、0.1〜30μm、好ましくは1〜20μm、さらに好ましくは1〜6μmである。
【0139】
基板としては、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミナケイ酸塩ガラス、表面をシリカコートしたソーダライムガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板、シリコン、前記基板上にアルミニウム、銀、銀/銅/パラジウム合金薄膜などを形成したものが用いられる。これらの基板上には、別のカラーフィルタ層、樹脂層、トランジスタ、回路等が形成されていてもよい。
【0140】
フォトリソグラフ法による各色画素の形成は、公知又は慣用の装置や条件で行うことができる。例えば、下記のようにして作製することができる。
まず、着色硬化性樹脂組成物を基板上に塗布し、加熱乾燥(プリベーク)及び/又は減圧乾燥することにより溶剤等の揮発成分を除去して乾燥させ、平滑な組成物層を得る。
塗布方法としては、スピンコート法、スリットコート法、スリット アンド スピンコート法等が挙げられる。
【0141】
加熱乾燥を行う場合の温度は、30〜120℃が好ましく、50〜110℃がより好ましい。また加熱時間としては、10秒間〜60分間であることが好ましく、30秒間〜30分間であることがより好ましい。
減圧乾燥を行う場合は、50〜150Paの圧力下、20〜25℃の温度範囲で行うことが好ましい。
組成物層の膜厚は、特に限定されず、目的とするカラーフィルタの膜厚に応じて適宜調整することができる。
【0142】
次に、組成物層は、目的の着色パターンを形成するためのフォトマスクを介して露光される。該フォトマスク上のパターンは特に限定されず、目的とする用途に応じたパターンが用いられる。
露光に用いられる光源としては、250〜450nmの波長の光を発生する光源が好ましい。例えば、350nm未満の光を、この波長域をカットするフィルタを用いてカットしたり、436nm付近、408nm付近、365nm付近の光を、これらの波長域を取り出すバンドパスフィルタを用いて選択的に取り出したりしてもよい。具体的には、水銀灯、発光ダイオード、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ等が挙げられる。
露光面全体に均一に平行光線を照射したり、フォトマスクと基材との正確な位置合わせを行うことができるため、マスクアライナ及びステッパ等の露光装置を使用することが好ましい。
【0143】
露光後の組成物層を現像液に接触させて現像することにより、基板上に着色パターンが形成される。現像により、組成物層の未露光部が現像液に溶解して除去される。現像液としては、例えば、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム等のアルカリ性化合物の水溶液が好ましい。これらのアルカリ性化合物の水溶液中の濃度は、好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.03〜5質量%である。さらに、現像液は、界面活性剤を含んでいてもよい。
現像方法は、パドル法、ディッピング法及びスプレー法等のいずれでもよい。さらに現像時に基板を任意の角度に傾けてもよい。
現像後は、水洗することが好ましい。
【0144】
さらに、得られた着色パターンに、ポストベークを行うことが好ましい。ポストベーク温度は、150〜250℃が好ましく、160〜235℃がより好ましい。ポストベーク時間は、1〜120分間が好ましく、10〜60分間がより好ましい。
【0145】
かくして得られた着色パターン及び着色塗膜は、カラーフィルタとして有用である。
本発明の着色硬化性樹脂組成物によれば、特に高明度な青味の緑色カラーフィルタを作製することができるため、該カラーフィルタは、表示装置(例えば、液晶表示装置、有機EL装置等)、電子ペーパー、固体撮像素子等に用いられるカラーフィルタとして有用である。
【実施例】
【0146】
次に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。例中の「%」及び「部」は、特記ない限り、質量%及び質量部である。
【0147】
合成例1
m−トルイジン−4−スルホン酸(式(a−2)で表される化合物)10部に水200部を加えた後、氷冷下、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH7〜8に調節した。以下の操作は氷冷下で行った。亜硝酸ナトリウムを11.1部加えて30分攪拌した。35%塩酸39部を少量ずつ加えて褐色溶液とした後、2時間攪拌した。アミド硫酸10.1部を水101部に溶解した水溶液を反応溶液に加えて攪拌し、ジアゾニウム塩を含む懸濁液を得た。
【0148】

【0149】
1−(2−エチルヘキシル)−3−シアノ−4−メチル−6−ヒドロキシピリド−2−オン(式(c−2)で表される化合物)14部に水125部とN−メチルピロリドン25部を加えた後、氷冷下、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH8〜9に調節した。
【0150】

【0151】
以下の操作は氷冷下で行った。前記ピリドン水溶液を攪拌して無色溶液とした後、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH8〜9に調節しながら、ジアゾニウム塩を含む懸濁液を2時間かけてポンプで滴下した。滴下終了後、さらに2時間攪拌することで黄色懸濁液を得た。濾過して得た黄色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(d−3)で表される化合物を21.4部(収率87%)得た。
【0152】

【0153】
化合物(d−3)0.35gをN,N−ジメチルホルムアミドに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmを水で希釈して体積を100cmとして(濃度:0.028g/L)、分光光度計(石英セル、光路長;1cm)を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=433nmで吸光度2.9(任意単位)を示した。
【0154】
冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、化合物(d−3)を5.0部、アセトニトリル35部及びN,N−ジメチルホルムアミド1.6部を投入し、攪拌下20℃以下を維持しながら、塩化チオニル2.4部を滴下して加えた。滴下終了後、40℃に昇温し、同温度で2時間維持して反応させ、その後20℃に冷却した。冷却後の反応溶液を氷水150部に攪拌しながら注いだ後、30分攪拌した。析出した黄色結晶を濾別し、水道水でよく洗浄し、60℃で2時間減圧乾燥した。冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコを別途用意し、1−アミノ−2−プロパノール2.0部とN−メチルピロリドン20部とを投入し、攪拌下20℃以下を維持しながら、先に調整した黄色結晶を1時間かけて投入した。黄色結晶を投入した後、液温を室温まで昇温してから、反応溶液を30分攪拌した。反応溶液にメタノール40部を加えて攪拌した後、この混合溶液を、酢酸29部及びイオン交換水300部の混合液中に攪拌しながら加えて、結晶を析出させた。析出した結晶を濾別し、イオン交換水でよく洗浄し、60℃で減圧乾燥して、式(III−3)で表される化合物3.9部(収率69%)を得た。
【0155】

【0156】
化合物(III−3)0.35gを乳酸エチルに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmをイオン交換水で希釈して体積を100cmとして(濃度:0.028g/L)、分光光度計(石英セル、光路長;1cm)を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=431nmで吸光度2.3(任意単位)を示した。
【0157】
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。化合物(III−3)49.9部にN−メチルピロリドン150部を加えた後、30分攪拌して反応溶液を調整した。室温下、反応溶液を攪拌しながら、セバシン酸クロライド6.8部を滴下した。滴下終了後、さらに8時間攪拌した。アジピン酸クロライド7.8部を滴下した。滴下終了後、さらに8時間攪拌した。反応溶液を水300部の中に注いだ後、酢酸エチル80部を加えて30分攪拌した。分液ロートを用いて有機相を分取した後、さらに水500部、10%炭酸ナトリウム水溶液3000部、10%酢酸水溶液1000部、及びイオン交換水1000部で洗浄した。分取した有機相を溶媒留去して、式(1−6)で表される化合物と式(1−7)で表される化合物との混合物である染料(イ)を2.0部得た。収率85%。
【0158】

【0159】
染料(イ)0.35gを乳酸エチルに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmをイオン交換水で希釈して体積を100cmとして(濃度:0.028g/L)、分光光度計(石英セル、光路長;1cm)を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=431nmで吸光度2.2(任意単位)を示した。
【0160】
<混合物中の含有量比の測定>
染料(イ)中の、式(1−6)で表される化合物及び式(1−7)で表される化合物の含有量比は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて検量線法により測定した。検量線法とは、溶液中の物質濃度を決定するに際して,既知濃度の標準液列の濃度-吸光度関係から未知濃度を決定する方法である
【0161】
HPLC装置 Prominence(島津製作所製)
送液ユニット:LC-20AT 二台
オートサンプラ:SIL-20A 一台
カラムオーブン:CTO-20A 一台
UV検出器:SPD-20A 一台
オンラインデガッサ:DGU-20A 一台
カラム Wakosil II 3C18HG(3μm、3mmφ×150mm)
移動相 A液;0.1%TBAB/水:アセトニトリル(9:1)
B液;0.1%TBAB/水:アセトニトリル(1:9)
グラジエント(B液)
B初期濃度 25%
25%→(30分)→100%(20分間保持)
検出波長 254nm
カラム温度 40℃
流量 0.5mL/min
注入量 5μL
TBAB:テトラブチルアンモニウムブロマイド
【0162】
式(1−6)で表される化合物及び式(1−7)で表される化合物を、それぞれアセトニトリルに溶解して、表11に記載される濃度の溶液を調整した。該溶液について、上記の条件で高速液体クロマトグラフィー分析を行い、溶出時間及びピーク面積を測定した。結果を表11に示す。
【0163】
【表11】

【0164】
溶液の濃度及び測定されたピーク面積から、検量線は下記の式として求められた。
式(1−6)で表される化合物の検量線:(ピーク面積)=72.2×(濃度)
式(1−7)で表される化合物の検量線:(ピーク面積)=76.0×(濃度)
【0165】
染料(イ)13.9mgをアセトニトリルに溶解して体積を50cmとして(濃度:0.278g/L)、上記の条件で高速液体クロマトグラフィー分析を行い、溶出時間及びピーク面積を測定した。溶出時間35.9分で式(1−7)で表される化合物が溶出され、そのピーク面積は944436であった。溶出時間37.9分で式(1−6)で表される化合物が溶出され、そのピーク面積は1108707であった。
上記の検量線を用いて、染料(イ)中における各化合物の含有量比を求めた結果、式(1−6)で表される化合物/式(1−7)で表される化合物=44.7/55.3であった。
【0166】
合成例2
還流冷却器、滴下ロート及び攪拌機を備えたフラスコ内に窒素を0.02L/分で流して窒素雰囲気とし、乳酸エチル305質量部を入れ、撹拌しながら70℃まで加熱した。次いで、アクリル酸60質量部、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート(式(I−1)で表される化合物及び式(II−1)で表される化合物を、モル比で、50:50で混合。)240質量部及び、乳酸エチル140質量部に溶解して溶液を調製し、該溶解液を、滴下ロートを用いて4時間かけて、70℃に保温したフラスコ内に滴下した。

一方、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)30質量部を乳酸エチル225質量部に溶解した溶液を、別の滴下ロートを用いて4時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤の溶液の滴下が終了した後、4時間、70℃に保持し、その後室温まで冷却して、重量平均分子量Mwは、9.1×10、分子量分布は2.1、固形分26質量%、固形分酸価120mg−KOH/gの樹脂B1溶液を得た。樹脂B1は、下記の構造単位を有する。
【0167】

【0168】
合成例で得られた樹脂の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定は、GPC法を用いて、以下の条件で行った。
装置;K2479((株)島津製作所製)
カラム;SHIMADZU Shim−pack GPC−80M
カラム温度;40℃
溶媒;THF(テトラヒドロフラン)
流速;1.0mL/min
検出器;RI
校正用標準物質 ;TSK STANDARD POLYSTYRENE F−40、F−4、F−288、A−2500、A−500(東ソー(株)製)
上記で得られたポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量の比(Mw/Mn)を分子量分布とした。
【0169】
実施例1
〔着色硬化性樹脂組成物の調製〕
(A)着色剤:C.I.ピグメントグリーン7(顔料) 38部
アクリル系顔料分散剤 17部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 245部
を混合し、ビーズミルを用いて顔料を十分に分散させた顔料分散液、
(A)着色剤:染料(イ)(黄色染料) 38部
(B)樹脂:樹脂B1(固形分換算) 40部
(C)重合性化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(カヤラッドDPHA;日本化薬(株)製) 60部
(D)重合開始剤:N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン(イルガキュアOXE 01;BASF社製)
10部
(F)レベリング剤:ポリエーテル変性シリコーンオイル(トーレシリコーンSH8400:東レ・ダウコーニング(株)製) 0.12部
(E)溶剤:乳酸エチル 261部
(E)溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 424部
を混合して着色硬化性樹脂組成物を得た。
【0170】
〔着色パターンの作製〕
2インチ角のガラス基板(イーグルXG;コーニング社製)上に、該着色硬化性樹脂組成物をスピンコート法で塗布した後、100℃で3分間プリベークして組成物層を形成した。冷却後、組成物層を形成した基板と石英ガラス製フォトマスクとの間隔を200μmとして、露光機(TME−150RSK;トプコン(株)製)を用いて、大気雰囲気下、40mJ/cmの露光量(365nm基準)で光照射した。尚、フォトマスクとしては、100μmのラインアンドスペースパターンが形成されたものを使用した。光照射後の組成物層を、非イオン系界面活性剤0.12%と水酸化カリウム0.04%とを含む水溶液に25℃で60秒間浸漬させて現像し、水洗後、オーブン中、230℃で20分間ポストベークを行うことにより、着色パターンを得た。
【0171】
〔膜厚測定〕
得られた着色パターンについて、膜厚測定装置(DEKTAK3;日本真空技術(株)製))を用いて膜厚を測定した。結果を表12に示す。
【0172】
〔色度評価〕
得られた着色パターンについて、測色機(OSP−SP−200;オリンパス(株)製)を用いて分光を測定し、C光源の特性関数を用いてCIEのXYZ表色系におけるxy色度座標(x、y)と明度Yを測定した。結果を表12に示す。
【0173】
実施例2
(A)着色剤:C.I.ピグメントグリーン7(顔料) 43部
アクリル系顔料分散剤 19部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 272部
を混合し、ビーズミルを用いて顔料を十分に分散させた顔料分散液、
(A)着色剤:C.I.ピグメントイェロー138(顔料) 17部
アクリル系顔料分散剤 5.1部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 86部
を混合し、ビーズミルを用いて顔料を十分に分散させた顔料分散液、
(A)着色剤:染料(イ)(黄色染料) 26部
(B)樹脂:樹脂B1(固形分換算) 40部
(C)重合性化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(カヤラッドDPHA;日本化薬(株)製) 60部
(D)重合開始剤:N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン(イルガキュアOXE 01;BASF社製)
10部
(F)レベリング剤:ポリエーテル変性シリコーンオイル(トーレシリコーンSH8400:東レ・ダウコーニング(株)製) 0.13部
(E)溶剤:乳酸エチル 256部
(E)溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 386部
を混合して着色硬化性樹脂組成物を得た。
実施例1と同様の操作により着色パターンを作製し、膜厚測定及び色度評価を行った。結果を表12に示す。
【0174】
実施例3
〔着色硬化性樹脂組成物の調製〕
(A)着色剤:C.I.ピグメントグリーン7(顔料) 44部
アクリル系顔料分散剤 20部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 273部
を混合し、ビーズミルを用いて顔料を十分に分散させた顔料分散液、
(A)着色剤:C.I.ピグメントイェロー138(顔料) 26部
アクリル系顔料分散剤 7.8部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 129部
を混合し、ビーズミルを用いて顔料を十分に分散させた顔料分散液、
(A)着色剤:染料(イ)(黄色染料) 18部
(B)樹脂:樹脂B1(固形分換算) 40部
(C)重合性化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(カヤラッドDPHA;日本化薬(株)製) 60部
(D)重合開始剤:N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン(イルガキュアOXE 01;BASF社製)
10部
(F)レベリング剤:ポリエーテル変性シリコーンオイル(トーレシリコーンSH8400:東レ・ダウコーニング(株)製) 0.14部
(E)溶剤:乳酸エチル 252部
(E)溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 353部
を混合して着色硬化性樹脂組成物を得た。
実施例1と同様の操作により着色パターンを作製し、膜厚測定及び色度評価を行った。結果を表12に示す。
【0175】
比較例1
着色剤:C.I.ピグメントグリーン7(顔料) 7.5部
着色剤:C.I.ピグメントイェロー138(顔料) 7.5部
顔料分散剤 6部
溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 25部
溶剤:3−エトキシプロピオン酸エチル 11部
を混合し、分散させた顔料分散液、
樹脂:ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=70/30(モル比)の共重合体(酸価は113;ポリスチレン換算重量平均分子量は30,000) 28部
重合性化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 8部
重合開始剤:イルガキュア907(BASF社製) 2部
界面活性剤:メガファックF477(DIC(株)製) 2部
溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 126部
溶剤:3−エトキシプロピオン酸エチル 54部
を混合して着色硬化性樹脂組成物を得た。
【0176】
〔着色塗膜の作製及び評価〕
5cm角のガラス基板(イーグルXG;コーニング社製)上に、該着色硬化性樹脂組成物をスピンコート法で塗布したのち、100℃で3分間プリベークした。放冷後、露光機(TME−150RSK;トプコン(株)製)を用いて、大気雰囲気下、150mJ/cm2の露光量(365nm基準)で光照射した。光照射後、オーブン中、220℃で20分間ポストベークを行い、着色塗膜を得た。
得られた着色塗膜について、実施例1と同様にして、膜厚測定及び色度評価を行った。結果を表12に示す。
【0177】
【表12】

【0178】
上記の結果から、本発明の着色硬化性樹脂組成物から形成された着色パターンは、明度に優れることが確認された。このことから、本発明の着色硬化性樹脂組成物から形成された着色パターンをカラーフィルタとすることにより、色性能に優れる表示装置を製造することが可能であることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0179】
本発明の着色硬化性樹脂組成物によれば、高明度な青味の緑色カラーフィルタを製造できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤、樹脂、重合性化合物及び重合開始剤を含み、
着色剤が、塩素化銅フタロシアニン顔料と、黄色染料とを含む着色剤であり、
黄色染料の含有量が、着色剤の総量に対して、1質量%以上65質量%以下である着色硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
塩素化銅フタロシアニン顔料が、C.I.ピグメントグリーン7である請求項1記載の着色硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1又は2記載の着色硬化性樹脂組成物により形成されるカラーフィルタ。
【請求項4】
請求項3記載のカラーフィルタを含む表示装置。

【公開番号】特開2013−88546(P2013−88546A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227670(P2011−227670)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】