説明

着色硬化性組成物、カラーフィルタ、その製造方法、表示素子及び固体撮像素子

【課題】良好なパターン形成性を維持しつつ、高温処理等を行った場合においても、優れた色相が長期間維持される着色膜を形成可能な着色硬化性組成物を提供する。
【解決手段】(A)染料と、(B)一般式(1)で表される構造単位及び一般式(2)で表される構造単位から選ばれる少なくとも1種の構造単位(b−1)並びに酸性基を有する構造単位(b−2)を含み、酸価が150mgKOH/g〜300mgKOH/gの範囲であるバインダー樹脂と、(C)有機溶剤と、を含有する着色硬化性組成物。一般式(1)中、R11は水素原子又はメチル基を表し、R12及びR13は水素原子又は不飽和二重結合を部分構造として含む炭素数3〜20のカルボニル基を表し、R12及びR13の双方が水素原子であることはない。一般式(2)中、R20は水素原子又はメチル基を表し、R21〜R25は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基又はアリール基を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色硬化性組成物、該着色硬化性組成物を用いてなるカラーフィルタ、その製造方法、該カラーフィルタを備えた表示素子及び固体撮像素子に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子、有機EL表示素子などの表示素子や、固体撮像素子等に用いられるカラーフィルタを作製する方法の1つとして、顔料分散法が広く利用されている。顔料分散法としては、顔料を種々の感光性組成物に分散させた着色感放射線性組成物を用い、フォトリソ法によってカラーフィルタを作製する方法がある。この方法は、顔料を含有するために光や熱に対して安定であると共に、フォトリソ法によってパターニングするため、位置精度が充分に確保され、カラーディスプレー用カラーフィルタのなどの作製に好適な方法とされている。
【0003】
カラーフィルタの作製に用いられる着色化合物としては、顔料だけでなく、染料などの顔料以外の色素化合物も広く検討されている。そのうち、染料としては、ピロメテン系染料、ピリミジンアゾ系染料、ピラゾールアゾ系染料、キサンテン系染料など、多種多様な色素母体を持つ化合物が知られており、複数の染料、例えばピロメテン系染料とフタロシアニン構造を持つ染料の併用により高い色純度を得る技術が紹介されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
着色化合物として染料を使用すると、染料自体の色純度やその色相の鮮やかさにより、画像表示させたときの表示画像の色相や輝度を高めることができる点で有用とされてはいる。しかしながら、染料を使用したカラーフィルタにおいては、着色剤として顔料よりも一般に保存安定性が低く、耐久性、ポストベーク工程などの高温処理における色相の安定性の点でなお改良の余地があるのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−292970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、カラーフィルタの作製に着色剤として染料を用いた場合、コントラストや色相の耐久性、耐高温処理性が充分に得られないという問題がある。
本発明は、上記状況に鑑みなされたものであり、良好なパターン形成性を維持しつつ、高温処理等を行った場合においても、優れた色相が長期間維持される着色膜を形成可能な着色硬化性組成物を提供することを課題とする。また、本発明のさらなる課題は、前記本発明の着色硬化性組成物を用いた、色相が良好で耐久性に優れた、表示素子や固体撮像素子に好適なカラーフィルタ及びその製造方法、並びに表示画像の色合いが良好で表示特性に優れた表示素子や色分解性に優れた固体撮像素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> (A)染料と、(B)下記一般式(1)で表される構造単位及び下記一般式(2)で表される構造単位から選ばれる少なくとも1種の構造単位(b−1)並びに酸性基を有する構造単位(b−2)を含み、酸価が150mgKOH/g〜300mgKOH/gの範囲であるバインダー樹脂と、(C)有機溶剤と、を含有する着色硬化性組成物。
【0008】
【化1】

【0009】
前記一般式(1)中、R11は水素原子又はメチル基を表し、R12及びR13はそれぞれ独立に水素原子又は不飽和二重結合を部分構造として含む炭素数3〜20のカルボニル基を表し、R12及びR13の双方が水素原子であることはない。R12及びR13の少なくともいずれかが不飽和二重結合を部分構造として含む炭素数3〜20のカルボニル基を表す場合、さらにカルボキシ基を部分構造として含んでいてもよい。
【0010】
【化2】

【0011】
前記一般式(2)中、R20は水素原子又はメチル基を表し、R21、R22、R23、R24、及びR25は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基又はアリール基を表す。
<2> 前記(A)染料が、下記一般式(I)で表される化合物が金属原子又は金属化合物に配位した金属錯体染料(a−1)及び下記一般式(II)で表される染料(a−2)から選択される少なくとも一種を含有する<1>に記載の着色硬化性組成物。
【0012】
【化3】



【0013】
一般式(I)中、R、R、R、R、R、及びRは、各々独立に、水素原子、又は置換基を表し、Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。
【0014】
【化4】

【0015】
前記一般式(II)中、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、Rh、Ri、Rj、Rk、Rl、Rm、Rn、Ro、及びRpは各々独立に、水素原子、又は1価の置換基を表し、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、Rh、Ri、Rj、Rk、Rl、Rm、Rn、Ro、及びRpのすべてが水素原子又はハロゲン原子であることはない。
【0016】
<3> 前記(A)染料1質量部に対して、前記(B)バインダー樹脂を0.1質量部〜20質量部含有する<1>又は<2>に記載の着色硬化性組成物。
<4> 前記(B)バインダー樹脂における下記一般式(1)及び下記一般式(2)から選ばれる少なくとも1種の構造単位(b−1)と、酸性基を有する構造単位(b−2)の含有モル比が、1:0.1〜1:3である<1>〜<3>のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物。
<5> 前記(B)バインダー樹脂が、前記構造単位(b−1)及び酸性基を有する構造単位(b−2)とは構造の異なる構造単位をさらに含む<1>〜<4>のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物。
<6> 前記(a−1)金属錯体染料が、下記一般式(I−2)で表される化合物である<2>〜<5>のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物。
【0017】
【化5】

【0018】
前記一般式(I−2)中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13は、各々独立に、水素原子、又は一価の置換基を表す。R及びR14は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。Maは、金属原子又は金属化合物を表す。
<7> 前記(B)バインダー樹脂とは構造の異なる重合性化合物を更に含む<1>〜<6>のいずれか1項のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物。
<8> 支持体と、該支持体上に設けられ、<1>〜<7>のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物を用いて形成された着色領域と、を有するカラーフィルタ。
<9> <1>〜<7>のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物を支持体上に塗布し、着色層を形成する工程と、形成された前記着色層をパターン状に露光し、現像して着色領域を形成する工程と、を有するカラーフィルタの製造方法。
<10> <8>に記載のカラーフィルタ又は<9>に記載の方法で製造されたカラーフィルタを備えた表示素子。
<11> <8>に記載のカラーフィルタ又は<9>に記載の方法で製造されたカラーフィルタを備えた固体撮像素子。
【0019】
本発明の作用は明確ではないが以下のように考えている。
本発明の着色硬化性組成物には、高い酸価で特定の酸性基と架橋性基とを有するバインダー樹脂を含むために、バインダー樹脂の有する酸性基と、金属錯体染料等の染料との間に良好な相互作用が形成され、染料の保存安定性が向上する。相互作用によりバインダー中に均一に固定化された染料は、着色硬化性組成物にエネルギーが付与され、硬化した場合、バインダー中の架橋性基の機能により安定に硬化膜中に含まれ、例えば、ポストベーク工程などの高温処理を行った場合でも染料の分解などに起因する色相の変化や輝度の低下が効果的に抑制される。また、当該バインダー樹脂は酸価が高いために、未硬化領域の除去性にも優れ、良好なパターン形成性を発現するものと考えられる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、良好なパターン形成性を維持しつつ、高温処理等を行った場合においても優れた色相が長期間維持される着色膜を形成可能な着色硬化性組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、前記本発明の着色硬化性組成物を用いた、色相が良好で耐久性に優れた、表示素子や固体撮像素子に好適なカラーフィルタ及びその製造方法、並びに表示画像の色合いが良好で表示特性に優れた表示素子や色分解性に優れた固体撮像素子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の着色硬化性組成物について詳細に説明すると共に、これを用いたカラーフィルタ及びその製造方法、並びに液晶表示素子についても詳述する。
【0022】
<<着色硬化性組成物>>
本発明の着色硬化性組成物は、(A)染料と、(B)下記一般式(1)で表される構造単位及び下記一般式(2)で表される構造単位から選ばれる少なくとも1種の架橋性基を有する構造単位(b−1)並びに酸性基を有する構造単位(b−2)を含み、酸価が150mgKOH/g〜300mgKOH/gの範囲であるバインダー樹脂(以下、適宜、(B)特定バインダーと称する)と、(C)有機溶剤と、を含有する。
本発明の着色硬化性組成物は、必要に応じて、更に、光重合開始剤、(B)成分とは構造の異なる重合性化合物など、並びに各種添加剤を含んでいてもよい。
【0023】
以下、本発明の着色硬化性組成物を構成する各成分について、詳細に説明する。なお、以下において、本発明の着色硬化性組成物を単に「本発明の着色組成物」又は「着色組成物」と称することがある。
なお、本明細書中において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書においては「アルキル基」は「直鎖、分岐及び環状」のアルキル基の総称である。
また、本明細書における置換基(原子団)は、無置換のもの及び置換基をさらに有するものを包含する意味で使用される。即ち、本明細書において、「アルキル基」とは、無置換のアルキル基及び置換アルキル基を包含する意味で用いられ、他の置換基も同様である。
【0024】
以下、本発明の着色硬化性組成物を構成する各成分について詳細に説明する。
<(A)染料>
本発明の着色硬化性組成物は、染料を少なくとも一種を含有する。
本発明における「染料」とは、アルキレングリコールエーテル系溶剤、エステル系溶剤及びケトン系溶剤から選ばれる1種の有機溶剤に1質量%以上溶解する着色剤を指し、これにより、有機溶剤不溶性の着色剤である顔料と区別される。本発明に使用される染料は、上記物性を満たす限りにおいて特に制限はないが、後述する(B)特定バインダーとの相互作用形成性の観点からは、金属錯体染料が好ましく用いられる。
なお、金属錯体染料とは、金属を中心元素に持つ染料錯化合物であり、前記有機溶剤に1質量%以上溶解するものを指し、分光特性及び耐熱性に優れていることが特徴である。以下に示す如き(A)染料、好ましくは金属錯体染料と、後述する(B)バインダー樹脂とを含有することで、色相及び耐熱性に優れた着色硬化膜を形成しうる着色硬化性組成物を得ることができる。
【0025】
本発明における金属錯体色素は、染料化合物が金属原子又は金属化合物を中心に配位した錯体を挙げることができ、具体的には、ジピロメテン金属錯体化合物、フタロシアニン金属錯体化合物などが挙げられる。
【0026】
〜ジピロメテン金属錯体化合物〜
本発明の着色感光性組成物に含有される好適な染料としては、着色感光性組成物を用いて作製されたカラーフィルタにより発揮される輝度の観点から、下記一般式(I)で表される構造が金属原子又は金属化合物に配位した金属錯体化合物(以下、適宜「ジピロメテン金属錯体化合物」と称する。)が挙げられる。
【0027】
【化6】

【0028】
一般式(I)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、又は一価の置換基を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。
【0029】
以下、一般式(I)で表される構造が金属原子又は金属化合物に配位した金属錯体化合物(ジピロメテン金属錯体化合物)について、詳細に説明する。
【0030】
一般式(I)における一価の置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24の、直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−ノルボルニル基、1−アダマンチル基が挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜18のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、3−ブテン−1−イル基が挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリール基であり、例えば、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環基であり、例えば、2−チエニル基、4−ピリジル基、2−フリル基、2−ピリミジニル基、1−ピリジル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、ベンゾトリアゾール−1−イル基が挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜38、より好ましくは炭素数3〜18のシリル基であり、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリブチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ヘキシルジメチルシリル基が挙げられる)、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、1−ブトキシ基、2−ブトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、ドデシルオキシ基が挙げられる。また、シクロアルキルオキシ基であれば、例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基が挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールオキシ基であり、例えば、フェノキシ基、1−ナフトキシ基が挙げられる。)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環オキシ基であり、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基が挙げられる。)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のシリルオキシ基であり、例えば、トリメチルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基、ジフェニルメチルシリルオキシ基が挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアシルオキシ基であり、例えば、アセトキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ドデカノイルオキシ基が挙げられる。)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニルオキシ基であり、例えば、エトキシカルボニルオキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基、また、シクロアルキルオキシカルボニルオキシ基であれば、例えば、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ基が挙げられる。)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニルオキシ基であり、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基が挙げられる。)、カルバモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜48、よりこの好ましくは炭素数1〜24のカルバモイルオキシ基であり、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N−ブチルカルバモイルオキシ基、N−フェニルカルバモイルオキシ基、N−エチル−N−フェニルカルバモイルオキシ基が挙げられる。)、スルファモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のスルファモイルオキシ基であり、例えば、N,N−ジエチルスルファモイルオキシ基、N−プロピルスルファモイルオキシ基が挙げられる。)、
【0031】
アルキルスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数1〜38、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルホニルオキシ基であり、例えば、メチルスルホニルオキシ基、ヘキサデシルスルホニルオキシ基、シクロヘキシルスルホニルオキシ基が挙げられる。)、アリールスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルホニルオキシ基であり、例えば、フェニルスルホニルオキシ基が挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアシル基であり、例えば、ホルミル基、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、テトラデカノイル基、シクロヘキサノイル基が挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルシクロヘキシルオキシカルボニル基が挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニル基であり、例えば、フェノキシカルボニル基が挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のカルバモイル基であり、例えば、カルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−エチル−N−オクチルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基、N−プロピルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−メチルN−フェニルカルバモイル基、N,N−ジシクロへキシルカルバモイル基が挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数32以下、より好ましくは炭素数24以下のアミノ基であり、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、テトラデシルアミノ基、2−エチルへキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基が挙げられる。)、アニリノ基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは6〜24のアニリノ基であり、例えば、アニリノ基、N−メチルアニリノ基が挙げられる。)、ヘテロ環アミノ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは1〜18のヘテロ環アミノ基であり、例えば、4−ピリジルアミノ基が挙げられる。)、カルボンアミド基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは2〜24のカルボンアミド基であり、例えば、アセトアミド基、ベンズアミド基、テトラデカンアミド基、ピバロイルアミド基、シクロヘキサンアミド基が挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のウレイド基であり、例えば、ウレイド基、N,N−ジメチルウレイド基、N−フェニルウレイド基が挙げられる。)、イミド基(好ましくは炭素数36以下、より好ましくは炭素数24以下のイミド基であり、例えば、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基が挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニルアミノ基であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、t−ブトキシカルボニルアミノ基、オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、シクロヘキシルオキシカルボニルアミノ基が挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニルアミノ基であり、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基が挙げられる。)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のスルホンアミド基であり、例えば、メタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基、ヘキサデカンスルホンアミド基、シクロヘキサンスルホンアミド基が挙げられる。)、スルファモイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のスルファモイルアミノ基であり、例えば、N、N−ジプロピルスルファモイルアミノ基、N−エチル−N−ドデシルスルファモイルアミノ基が挙げられる。)、アゾ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のアゾ基であり、例えば、フェニルアゾ基、3−ピラゾリルアゾ基が挙げられる。)、
【0032】
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルチオ基であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、オクチルチオ基、シクロヘキシルチオ基が挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールチオ基であり、例えば、フェニルチオ基が挙げられる。)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環チオ基であり、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、2−ピリジルチオ基、1−フェニルテトラゾリルチオ基が挙げられる。)、アルキルスルフィニル基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルフィニル基であり、例えば、ドデカンスルフィニル基が挙げられる。)、アリールスルフィニル基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルフィニル基であり、例えば、フェニルスルフィニル基が挙げられる。)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルホニル基であり、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ヘキサデシルスルホニル基、オクチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基が挙げられる。)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルホニル基であり、例えば、フェニルスルホニル基、1−ナフチルスルホニル基が挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数32以下、より好ましくは炭素数24以下のスルファモイル基であり、例えば、スルファモイル基、N,N−ジプロピルスルファモイル基、N−エチル−N−ドデシルスルファモイル基、N−エチル−N−フェニルスルファモイル基、N−シクロヘキシルスルファモイル基が挙げられる。)、スルホ基、ホスホニル基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のホスホニル基であり、例えば、フェノキシホスホニル基、オクチルオキシホスホニル基、フェニルホスホニル基が挙げられる。)、ホスフィノイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のホスフィノイルアミノ基であり、例えば、ジエトキシホスフィノイルアミノ基、ジオクチルオキシホスフィノイルアミノ基が挙げられる。)を表す。
【0033】
上述した一価の置換基が更に置換可能な基である場合には、上述した各基のいずれかによって更に置換されていてもよい。なお、2個以上の置換基を有している場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0034】
一般式(I)において、RとR、RとR、RとR、及びRとRは、各々独立に、互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよい。なお、形成される環としては、飽和環、又は不飽和環のいずれであってもよい。この5員、6員、又は7員の飽和環、又は不飽和環としては、例えば、ピロール環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピロリジン環、ピペリジン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環が挙げられ、好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環が挙げられる。
なお、形成される5員、6員、及び7員の環が、更に置換可能な基である場合には、前記一般式(I)における一価の置換基として例示した基のいずれかで置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0035】
また、一般式(I)において、Rは、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、その好ましい範囲は、前述のR〜Rとしてのハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基の好ましい範囲と同様である。
【0036】
一般式(I)において、R及びRとしては、上記の中でも、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基が好ましく、カルボンアミド基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基がより好ましく、カルボンアミド基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基が更に好ましく、カルボンアミド基、ウレイド基が特に好ましい。
【0037】
一般式(I)において、R及びRとしては、上記の中でも、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ニトリル基、イミド基、カルバモイルスルホニル基が好ましく、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、ニトリル基、イミド基、カルバモイルスルホニル基がより好ましく、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、ニトリル基、イミド基、カルバモイルスルホニル基が更に好ましく、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基が特に好ましい。
【0038】
一般式(I)において、R及びRとしては、上記の中でも、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換のヘテロ環基が好ましく、更に好ましくは、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基である。
【0039】
一般式(I)において、R及びRがアルキル基を表す場合の、該アルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖、又は環状の置換又は無置換のアルキル基であり、より具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及び、ベンジル基が挙げられる。該アルキル基として、より好ましくは炭素数1〜12の分岐鎖、又は環状の置換又は無置換のアルキル基であり、より具体的には、例えば、イソプロピル基、シクロプロピル基、i−ブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられ、更に好ましくは、炭素数1〜12の2級又は3級の置換又は無置換のアルキル基であり、より具体的には、例えば、イソプロピル基、シクロプロピル基、i−ブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
【0040】
一般式(I)において、R及びRがアリール基を表す場合の、該アリール基としては、好ましくは、置換又は無置換のフェニル基、置換又は無置換のナフチル基が挙げられ、より好ましくは置換又は無置換のフェニル基である。
【0041】
及びRがヘテロ環基を表す場合の、該ヘテロ環基としては、好ましくは、置換又は無置換の2−チエニル基、置換又は無置換の4−ピリジル基、置換又は無置換の3−ピリジル基、置換又は無置換の2−ピリジル基、置換又は無置換の2−フリル基、置換又は無置換の2−ピリミジニル基、置換又は無置換の2−ベンゾチアゾリル基、置換又は無置換の1−イミダゾリル基、置換又は無置換の1−ピラゾリル基、置換又は無置換のベンゾトリアゾール−1−イル基が挙げられ、より好ましくは置換又は無置換の2−チエニル基、置換又は無置換の4−ピリジル基、置換又は無置換の2−フリル基、置換又は無置換の2−ピリミジニル基、置換又は無置換の1−ピリジル基が挙げられる。
【0042】
次に、ジピロメテン金属錯体化合物を形成する金属原子又は金属化合物について説明する。
【0043】
金属又は金属化合物としては、錯体を形成可能な金属原子又は金属化合物であればいずれであってもよく、二価の金属原子、二価の金属酸化物、二価の金属水酸化物、又は二価の金属塩化物が含まれる。例えば、Zn、Mg、Si、Sn、Rh、Pt、Pd、Mo、Mn、Pb、Cu、Ni、Co、Fe、B等の他に、AlCl、InCl、FeCl、TiCl、SnCl、SiCl、GeClなどの金属塩化物、TiO、VO等の金属酸化物、Si(OH)等の金属水酸化物も含まれる。
これらの中でも、錯体の安定性、分光特性、耐熱、耐光性、及び製造適性等の観点から、Fe、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Mo、Mn、Cu、Ni、Co、TiO、B、又はVOが好ましく、Fe、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Cu、Ni、Co、B、又はVOが更に好ましく、Fe、Zn、Cu、Co、B、又はVO(V=O)が最も好ましい。これらの中でも、特にZnが好ましい。
【0044】
一般式(I)で表される構造が金属原子又は金属化合物に配位したジピロメテン金属錯体化合物において、好ましい態様を以下に示す。
即ち、ジピロメテン金属錯体化合物の好ましい態様としては、一般式(I)において、
及びRが、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、アニリノ基、ヘテロ環アミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はホスフィノイルアミノ基で表され;
及びRが、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基で表され;
及びRが、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アニリノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、又はホスフィノイルアミノ基で表され;
が、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基で表され;
金属原子又は金属化合物が、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Mo、Mn、Cu、Ni、Co、TiO、B、又はVOで表される態様が挙げられる。
【0045】
ジピロメテン金属錯体化合物のより好ましい態様を以下に示す。
即ち、ジピロメテン金属錯体化合物のより好ましい態様としては、一般式(I)において、
及びRが、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ヘテロ環アミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はホスフィノイルアミノ基で表され;
及びRが、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基で表され;
及びRが、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基で表され;
が、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基で表され;
金属原子又は金属化合物が、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Cu、Ni、Co、B又はVOで表される態様が挙げられる。
【0046】
一般式(I)で表される構造が金属原子又は金属化合物に配位したジピロメテン金属錯体化合物の好ましい態様としては、下記一般式(I−1)、(I−2)及び(I−3)で表される錯体化合物が挙げられる。
【0047】
【化7】

【0048】
一般式(I−1)において、R、R、R、R、R、及びRは、各々独立に、水素原子、又は一価の置換基を表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。Maは、金属原子又は金属化合物を表し、Xは、Maに結合可能な基を表し、Xは、Maの電荷を中和するために必要な基を表す。なお、XとXとは、互いに結合してMaと共に5員、6員、又は7員の環を形成していてもよい。
【0049】
一般式(I−1)中のR〜Rは、一般式(I)中のR〜Rとそれぞれ同義であり、好ましい態様も同様である。
一般式(I−1)中のMaは、金属原子又は金属化合物を表し、前記「一般式(I)で表される化合物が金属原子又は金属化合物に配位した錯体」における金属原子又は金属化合物と同義であり、その好ましい範囲も同様である。
一般式(I−1)中のRは、一般式(I)中のRと同義であり、好ましい態様も同様である。
【0050】
一般式(I−1)におけるXは、Maに結合可能な基であればいずれであってもよく、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール)等、更に「金属キレート」[1]坂口武一・上野景平著(1995年 南江堂)、同[2](1996年)、同[3](1997年)等、に記載の化合物に由来する基が挙げられる。中でも、製造の点で、水、カルボン酸化合物、アルコール類、アミン化合物、アミド化合物が好ましく、水、カルボン酸化合物、アミド化合物がより好ましい。
【0051】
一般式(I−1)中のXは、Maの電荷を中和するために必要な基を表し、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、水酸基、脂肪族イミド(例えば、コハク酸イミド、マレイミド、グルタルイミド、ジアセトアミドなどが挙げられ、好ましくはコハク酸イミド、マレイミドが挙げられる。)由来の一価の基、芳香族イミド基又は複素環イミド(例えば、フタルイミド、ナフタルイミド、4−ブロモフタルイミド、4−メチルフタルイミド、4−ニトロフタルイミド、ナフタレンカルボキシイミド、テトラブロモフタルイミドなどが挙げられ、好ましくはフタルイミド、4−ブロモフタルイミド、4−メチルフタルイミドが挙げられる。)由来の一価の基、芳香族カルボン酸(例えば、安息香酸、2−メトキシ安息香酸、3−メトキシ安息香酸、4−メトキシ安息香酸、4−クロロ安息香酸、2−ナフトエ酸、サリチル酸、3,4,5−トリメトキシ安息香酸、4−ヘプチルオキシ安息香酸、4−t−ブチル安息香酸などが挙げられ、好ましくは安息香酸、4−メトキシ安息香酸、サリチル酸などが挙げられる)由来の一価の基、脂肪族カルボン酸(例えば、ギ酸、酢酸、アクリル酸、メタクリル酸、エタン酸、プロパン酸、乳酸、ピバリン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、2−ヘキサデシルオクタデカン酸、2−ヘキシルデカン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、1−アダマンタンカルボン酸などが挙げられ、好ましくは酢酸、メタクリル酸、乳酸、ピバリン酸、2−エチルヘキサン酸、ステアリル酸などが挙げられる)由来の一価の基、ジチオカルバミン酸(例えば、ジメチルジチオカルバミン酸、ジエチルジチオカルバミン酸、ジベンジルジチオカルバミン酸が挙げられる。)由来の一価の基、スルホンアミド(例えば、ベンゼンスルホンアミド、4−クロロベンゼンスルホンアミド、4−メトキシベンゼンスルホンアミド、4−メチルベンゼンスルホンアミド、2−メチルベンゼンスルホンアミド、メタンスルホンアミドが挙げられ、好ましくはベンゼンスルホンアミド、メタンスルホンアミドが挙げられる。)由来の一価の基、ヒドロキサム酸(例えば、アセトヒドロキサム酸、オクタノヒドロキサム酸、ベンゾヒドロキサム酸が挙げられる)由来の一価の基、含窒素環化合物(ヒダントイン、1−ベンジル−5−エトキシヒダントイン、1−アリルヒダントイン、5,5−ジフェニルヒダントイン、5,5−ジメチル−2,4−オキサゾリジンジオン、バルビツール酸、イミダゾール、ピラゾール、4,5−ジシアノイミダゾール、4,5−ジメチルイミダゾール、ベンズイミダゾール、1H−イミダゾール−4,5−ジカルボン酸ジエチルなどが挙げられ、好ましくは1−ベンジル−5−エトキシヒダントイン、5,5−ジメチル−2,4−オキサゾリジンジオン、4,5−ジシアノイミダゾール、1H−イミダゾール−4,5−ジカルボン酸ジエチルが挙げられる)由来の一価の基を表す。
【0052】
中でも、製造の点で、Xとしては、ハロゲン原子、脂肪族カルボン酸基、芳香族カルボン酸基、脂肪族イミド基、芳香族イミド基、スルホン酸基、含窒素環化合物が好ましく、水酸基、脂肪族カルボン酸基、芳香族イミド基、含窒素環化合物がより好ましい。
【0053】
一般式(I−1)におけるXとXとは、互いに結合してMaと共に5員、6員、又は7員の環を形成してもよい。形成される5員、6員、及び7員の環は、飽和環であっても不飽和環であってもよい。また、5員、6員、及び7員の環は、炭素原子及び水素原子のみで構成されていてもよく、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から選ばれる原子を少なくとも1個有するヘテロ環であってもよい。
【0054】
【化8】

【0055】
一般式(I−2)において、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13は、各々独立に、水素原子、又は一価の置換基を表す。R及びR14は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。Maは、金属原子又は金属化合物を表す。
【0056】
一般式(I−2)中のR〜Rは、一般式(I)中のR〜Rとそれぞれ同義であり、好ましい態様も同様である。
一般式(I−2)中のR〜R13で表される一価の置換基は、一般式(I)で表される化合物のR〜Rで表される一価の置換基とそれぞれ同義であり、その好ましい態様も同様である。一般式(I−2)で表される化合物のR〜R13で表される一価の置換基が更に置換可能な基である場合には、前述した一般式(I)における一価の置換基として例示した基のいずれかで置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0057】
一般式(I−2)中のRは、一般式(I)中のRと同義であり、好ましい態様も同様である。
一般式(I−2)中のR14は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、R14の好ましい範囲は、前記Rの好ましい範囲と同様である。R14が更に置換可能な基である場合には、前述した一般式(I)における一価の置換基として例示した基のいずれかで置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0058】
一般式(I−2)中のMaは、金属又は金属化合物を表し、前記「一般式(I)で表される化合物が金属原子又は金属化合物に配位した錯体」における金属原子又は金属化合物と同義であり、その好ましい範囲も同様である。
【0059】
一般式(I−2)中のRとR、RとR10、R11とR12、R12とR13は、各々独立に、互いに結合して5員、6員、又は7員の飽和環、或いは不飽和環を形成していてもよい。形成される飽和環、又は不飽和環としては、RとR、RとR、RとR、及びRとRで形成される飽和環、又は不飽和環と同義であり、好ましい例も同様である。
【0060】
【化9】

【0061】
一般式(I−3)において、R、R、R、及びRは、各々独立に、水素原子、又は一価の置換基を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。R及びRは、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、又はヘテロ環アミノ基を表す。Maは、金属原子又は金属化合物を表す。X及びXは、各々独立にNRa(Raは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基を表す。)、酸素原子、又は硫黄原子を表す。Y及びYは、各々独立に、NRb(Rbは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基を表す。)、酸素原子、硫黄原子、又は炭素原子を表す。Xは、Maと結合可能な基を表し、aは0、1、又は2を表す。RとYとは互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよく、RとYとは互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよい。
【0062】
一般式(I−3)中のR〜R、及びRは、一般式(I)中のR〜R、及びRとそれぞれ同義であり、好ましい態様も同様である。
一般式(I−3)中のMaは、金属又は金属化合物を表し、前記一般式(I)で表される化合物が金属原子又は金属化合物に配位した錯体における金属原子又は金属化合物と同義であり、その好ましい範囲も同様である。
【0063】
一般式(I−3)中、R及びRは、各々独立に、アルキル基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは1〜12の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基が挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは2〜12のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、3−ブテン−1−イル基が挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは6〜18のアリール基であり、例えば、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは1〜12のヘテロ環基であり、例えば、2−チエニル基、4−ピリジル基、2−フリル基、2−ピリミジニル基、1−ピリジル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、ベンゾトリアゾール−1−イル基が挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは1〜18のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基が挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは1〜18のアリールオキシ基であり、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基が挙げられる。)、アルキルアミノ基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは1〜18のアルキルアミノ基であり、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、イソプロピルアミノ基、t−ブチルアミノ基、t−オクチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジプロピルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、N−メチル−N−エチルアミノ基が挙げられる。)、アリールアミノ基(好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは6〜18のアリールアミノ基であり、例えば、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N−エチル−N−フェニルアミノ基が挙げられる。)、又はヘテロ環アミノ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは1〜12のヘテロ環アミノ基であり、例えば、2−アミノピロール基、3−アミノピラゾール基、2−アミノピリジン基、3−アミノピリジン基が挙げられる。)を表す。
【0064】
一般式(I−3)中、R及びR表されるアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、又はヘテロ環アミノ基が、更に置換可能な基である場合には、前記置換基Rのいずれかで置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0065】
一般式(I−3)中、X及びXは、各々独立に、NRa、酸素原子、又は硫黄原子を表す。Raは水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは1〜12の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基が挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは2〜12のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、3−ブテン−1−イル基が挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは6〜18のアリール基であり、例えば、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは1〜12のヘテロ環基であり、例えば、2−チエニル基、4−ピリジル基、2−フリル基、2−ピリミジニル基、1−ピリジル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、ベンゾトリアゾール−1−イル基が挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは2〜18のアシル基であり、例えば、アセチル基、ピバロイル基、2−エチルヘキシル基、ベンゾイル基、シクロヘキサノイル基が挙げられる。)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは1〜18のアルキルスルホニル基であり、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基が挙げられる。)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは6〜18のアリールスルホニル基であり、例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基が挙げられる。)を表す。また、Raが置換可能な場合には、さらに置換基で置換されていてもよく、複数の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
及びXとして好ましくは、各々独立に、酸素原子、又は硫黄原子であり、X及びXとして特に好ましくは、ともに酸素原子である。
【0066】
一般式(I−3)中、Y及びYは、各々独立にNRb、硫黄原子、又は炭素原子を表し、Rbは、前記XにおけるRaとそれぞれ同義である。
及びYとして好ましくは、各々独立に、NRb(Rbは水素原子、又は炭素数1〜8のアルキル基が挙げられる。)であり、Y及びYとして特に好ましくは、ともにNHである。
【0067】
一般式(I−3)中、RとYとが互いに結合して、R、Y、及び炭素原子と共に5員環(例えば、シクロペンタン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、テトラヒドロチオフェン、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン)、6員環(例えば、シクロヘキサン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、ペンタメチレンスルフィド、ジチアン、ベンゼン、ピペリジン、ピペラジン、ピリダジン、キノリン、キナゾリン)、又は7員環(例えば、シクロヘプタン、ヘキサメチレンイミン)を形成してもよい。
【0068】
一般式(I−3)中、RとYとが互いに結合して、R、Y、及び炭素原子と共に5員、6員、又は7員の環を形成していてもよい。形成される5員、6員、及び7員の環は、前記のRとY及び炭素原子で形成される環中の1個の結合が二重結合に変化した環が挙げられる。
【0069】
一般式(I−3)中、RとY、及びRとYが結合して形成される5員、6員、及び7員の環が、更に置換可能な環である場合には、前記一般式(I)における一価の置換基として例示した基のいずれかで説明した基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0070】
一般式(I−3)中、XはMaと結合可能な基を表し、前記一般式(I−1)におけるXと同様な基が挙げられる。aは0、1、又は2を表す。
【0071】
一般式(I−3)で表される化合物の好ましい態様を以下に示す。
即ち、一般式(I−3)で表される化合物の好ましい態様としては、
〜R、R、及びMaは、それぞれ、一般式(I)で表される構造と金属原子又は金属化合物とを含む錯体(ジピロメテン金属錯体化合物)の好ましい態様であり、X及びXは、各々独立にNRa(Raは水素原子、アルキル基、ヘテロ環基が挙げられる。)、又は酸素原子であり、Y及びYは、各々独立にNRb(Rbは水素原子、又はアルキル基が挙げられる。)、窒素原子、又は炭素原子であり、Xは酸素原子、又は窒素原子を介して結合する基であり、R及びRは、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、又はアルキルアミノ基を表すか、RとYとが互いに結合して5員又は6員環を形成し、RとYとが互いに結合して5員、6員環を形成する、aは0又は1で表される態様である。
【0072】
一般式(I−3)で表される化合物のより好ましい態様を以下に示す。
即ち、一般式(I−3)で表される化合物のより好ましい態様としては、
〜R、R、Maは、それぞれ、一般式(I)で表される構造と金属原子又は金属化合物とを含む錯体(ジピロメテン金属錯体化合物)の好ましい態様であり;X及びXは、酸素原子であり;YはNHであり;Yは窒素原子であり;Xは酸素原子、又は窒素原子を介して結合する基であり;R及びRは、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、又はアルキルアミノ基を表すか、RとYとが互いに結合して5員又は6員環を形成し、RとYとが互いに結合して5員、6員環を形成する、aは0又は1で表される態様である。
【0073】
一般式(I)で表される構造が金属原子又は金属化合物に配位したジピロメテン金属錯体化合物の好ましい態様である、前記一般式(I−1)、(I−2)及び(I−3)で表される錯体化合物のうち、前記一般式(I−3)で表される錯体化合物が、特に好ましい様態である。
【0074】
以下、本発明に用いる前記一般式(I)で表される化合物が金属原子又は金属化合物に配位した金属錯体化合物(ジピロメテン金属錯体化合物)の具体例を示す。但し、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0075】
まず、例示化合物(1)〜(30)を示す。
例示化合物(1)〜(30)は、下記一般式(I−4)で示される化合物のうち、一般式(I−4)中のR101、R102、R103、X101、及びMが、下記に示す組み合わせである化合物である。
【0076】
【化10】

【0077】
【化11】

【0078】
【化12】

【0079】
【化13】

【0080】
一般式(I−4)で表される化合物としては、次の例示化合物(31)〜(45)等も挙げられる。
【0081】
【化14】



【0082】
【化15】



【0083】
【化16】



【0084】
これら一般式(I)で表される構造が金属原子又は金属化合物に配位した金属錯体化合物(ジピロメテン金属錯体化合物)の例示化合物のうち、例示化合物(40)〜(44)は一般式(I−1)の例示化合物でもあり、例示化合物(45)は一般式(I−2)の例示化合物でもあり、例示化合物(1)〜(39)は一般式(I−3)の例示化合物でもある。
【0085】
ジピロメテン金属錯体化合物としては、上記例示化合物以外にも、特開2008−292970号公報に記載の例示化合物(Ia−3)〜(Ia−83)、(Ia−1)〜(IIa−20)、(I−1)〜(I−36)(II−1)〜(II−11)、及び(III−1)〜(III−103)、特許第3324279号公報に記載の例示化合物(I−1)〜(I−35)、特許第3279035号公報に記載の例示化合物(I−1)〜(I−13)、特開平11−256057号公報に記載の例示化合物(2−1)〜(2−32)、(3−1)〜(3−32)、(4−1)〜(4−26)、及び(5−1)〜(5−26)、特開2005−77953号公報に記載の例示化合物(I−1)〜(I−6)、及び(VII−1)〜(VII−8)、特開平11−352686号公報に記載の例示化合物(1−1)〜(1−45)、特開2000−19729号公報に記載の例示化合物(1−1)〜(1−50)、及び特開平11−352685号公報に記載の例示化合物(1−1)〜(1−45)なども、その例として挙げられる。
【0086】
〜フタロシアニン金属錯体化合物〜
フタロシアニン金属錯体化合物としては、下記一般式(II)で表される化合物が好適である。
【0087】
【化17】

【0088】
前記一般式(II)中、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、Rh、Ri、Rj、Rk、Rl、Rm、Rn、Ro、及びRpは各々独立に、水素原子、ハロゲン原子又は1価の置換基を表し、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、Rh、Ri、Rj、Rk、Rl、Rm、Rn、Ro、及びRpのうち、少なくとも1つは1価の置換基を表す。
【0089】
前記一般式(II)において、Mは、金属又は金属化合物を表す。
前記金属又は金属化合物としては、錯体を形成可能な金属又は金属化合物であればいずれであってもよく、2価の金属原子、2価の金属酸化物、2価の金属水酸化物、又は2価の金属塩化物が含まれる。
一般式(II)中のMは、例えば、Zn、Mg、Si、Sn、Rh、Pt、Pd、Mo、Mn、Pb、Cu、Ni、Co、及びFe等、並びに、AlCl、InCl、FeCl、TiCl、SnCl、SiCl、GeClなどの金属塩化物、TiO、VO等の金属酸化物、Si(OH)等の金属水酸化物が含まれる。
一般式(II)中のRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の置換基を表す。
【0090】
本発明におけるラフタロシアニン金属錯体の最大吸収波長λmaxは、色純度向上の観点から、580nm〜700nmが好ましく、600nm〜680nmが更に好ましい。なお、最大吸収波長は、本発明におけるジピロメテン金属錯体化合物と同様に測定した。
【0091】
一般式(II)中、Rは、互いに同じても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子又は1価の置換基を表す。
【0092】
一般式(II)中、Ra〜Rpが1価の置換基を表す場合の1価の置換基としては、既述の一般式(I)中のR〜Rで表される置換基の例示と同義であり、その好ましい態様も同様である。なお、16個存在する置換基Ra〜Rpのすべてが水素原子又はハロゲン原子であることはなく、これらのうち少なくとも1つは、水素原子及びハロゲン原子以外の既述の1価の置換基であることを要する。
一般式(II)で表される化合物のRa〜Rpで表される1価の置換基が更に置換可能な基である場合には、上記R〜Rで説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0093】
以下、一般式(II)中のRa〜Rpがとりうるハロゲン原子及び1価の置換基の例(T−1〜T141)を示す。但し、本発明においては、これらに限定されるものではない。
【0094】
【化18】



【0095】
【化19】



【0096】
【化20】



【0097】
次に、一般式(II)で表されるフタロシアニン染料の好ましい範囲を説明する。
ここで、前記Ra〜Rpが1価の置換基を表す場合の1価の置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルファモイルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、アニリノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、スルファモイルアミノ基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、スルホ基、ホスホニル基、ホスフィノイルアミノ基が好ましく、更に好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルファモイルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボンアミド基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、スルホ基、ホスホニル基、ホスフィノイルアミノ基が好ましく、特に好ましくは、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルファモイルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボンアミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基が挙げられる。Mとしては、Zn、Mg、Si、Sn、Rh、Pt、Pd、Mo、Mn、Pb、Cu、Ni、Co、Fe、TiO、VO等が挙げられ、更に好ましくは、Cu、Zn、Co、TiO、VO、Mg、が挙げられ、特に好ましくは、Cu、Zn、Co、TiO、VOが挙げられる。
【0098】
以下に、一般式(II)で表されるフタロシアニン染料の具体例を示す。但し、本発においてはこれらに限定されるものではない。
【0099】
【化21】



【0100】
【化22】



【0101】
【化23】

【0102】
【化24】



【0103】
【化25】

【0104】
【化26】

【0105】
【化27】

【0106】
【化28】

【0107】
【化29】

【0108】
前記一般式(II)で表されるフタロシアニン染料の合成は、特開2008−292970号公報の段落番号[0192]〜[0199]の記載を参照することができる。
【0109】
(その他の染料)
本発明における(A)染料としては、上記好ましい染料以外にも、例えば、キサンテン染料、アントラキノン染料、ポルフィリン染料、シアニン染料及びメチン染料などを併用してもよい。
【0110】
本発明の着色硬化性組成物中には、(A)染料を1種のみ含んでいてもよく、目的に応じて2種以上組みあわせて用いてもよい。通常は、所望の色相を達成するため、2種以上を併用する。また、目的に応じて、さらに顔料を併用することもある。
本発明の着色硬化性組成物中における(A)染料の含有量としては、組成物の固形分に対して、1〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。金属錯体色素の含有量が1質量%以上であると、良好な分光特性及び耐熱性が得られ、50質量%以下であると、色相の点で有利である。
なお、ここで「固形分」とは、着色硬化性組成物における溶剤を除く全成分の合計量を指す。
【0111】
<(B)下記一般式(1)で表される構造単位及び下記一般式(2)で表される構造単位から選ばれる少なくとも1種の構造単位(b−1)並びに酸性基を有する構造単位(b−2)、を含み、酸価が150mgKOH/g〜300mgKOH/gの範囲であるバインダー樹脂>
次に、本発明の重要な構成成分である(B)特定バインダーについて説明する。(B)特定バインダーは、分子内に特定構造の架橋性基と酸性基とを含み、酸価が150mgKOH/g〜300mgKOH/gの範囲であることを要する。
本発明の(B)特定バインダーは、下記一般式(1)で表される単量体及び下記一般式(2)で表される単量体から選ばれる少なくとも1種の構造単位(b−1)を有する共重合体である。なお、構造単位(b−1)は、下記構造から明らかなように、架橋性基を有する単量体であり、(B)特定バインダーはこれらの構造単位(b−1)由来の架橋性基を分子内に有する。
【0112】
【化30】

【0113】
前記一般式(1)中、R11は水素原子又はメチル基を表し、R12及びR13はそれぞれ独立に水素原子又は不飽和二重結合を部分構造として含む炭素数3〜20のカルボニル基を表し、R12及びR13の双方が水素原子であることはない。
ここで、R11は水素原子又はメチル基を表し、メチル基であることが好ましい。
12及びR13はそれぞれ独立に水素原子又は不飽和二重結合を部分構造として含む炭素数3〜20のカルボニル基を表し、R12及びR13が該カルボニル基を表す場合には、部分構造としてカルボキシル基を含んでいてもよく、好ましくは、炭素数3〜4のα,β不飽和カルボニル基を表す。
以下に一般式(1)で示される構造単位の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0114】
【化31】

【0115】
【化32】

【0116】
前記一般式(2)中、R20は水素原子又はメチル基を表し、R21、R22、R23、R24、及びR25は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基又はアリール基を表す。
ここで、R20は水素原子又はメチル基を表し、メチル基であることが好ましい。
21〜R25がハロゲン原子を表す場合のハロゲン原子の具体例としては、例えば、Cl、Br、Iなどが挙げられる
21〜R25がアルキル基を表す場合のアルキル基としては、直鎖、分岐、及び環状のいずれであってもよく、具体的には、例えば、メチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、及びtert−ブチル基などが挙げられ、炭素数1〜7のアルキル基が好ましい。
21〜R25がアリール基を表す場合のアリール基としては、具体的には、例えば、フェニル基、フリル基、及びナフチル基などが挙げられる。
21、R22、R23、R24、及びR25は、それぞれ、水素原子であることが好ましく、全てが水素原子であることがより好ましい。
構造単位(b−2)の具体例としては下記の構造が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0117】
【化33】

【0118】
本発明の(B)特定バインダーは、さらに、酸性基を有する単量体(b−2)由来の構造単位を含む共重合体である。
本発明に使用され酸性基を有する単量体における酸性基としては、カルボキシ基、スルホキシ基などが挙げられる。
また、このような酸性基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、スルホン酸、リン酸などが挙げられ、なかでも、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
【0119】
(B)特定バインダーにおける一般式(1)で表される単量体及び一般式(2)で表される単量体から選ばれる少なくとも1種の架橋性基を有する単量体(b−1)由来の構造単位(構造単位:b−1)と、酸性基を有する単量体(b−2)由来の構造単位(構造単位:b−2)の含有モル比は、1:0.3〜1:2の範囲であることが好ましく、1:0.3〜1:1の範囲であることがより好ましい。
【0120】
また、(B)特定バインダーは、構造単位:(b−1)及び構造単位:(b−2)とは構造の異なる、他の構造単位をさらに含んでいてもよい。
(B)特定バインダーに使用可能な他の構造単位を与える単量体としては、例えば、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、スチレンなどが挙げられる。
また、(B)特定バインダーが他の構造単位を含む場合の他の構造単位の含有率としては、0〜40mol%であることが好ましく、含有率は30mol%以下であることがより好ましい。
【0121】
以下、本発明に好適に使用しうる(B)特定バインダーの具体例を、バインダーを構成する単量体、GPCゲルパーミエーション法で測定した重量平均分子量及び酸価とともに挙げるが、本発明はこれに限定されない。
下記単量体の略称は以下の化合物を意味する。
GMA−MAA:グリシジルメタクリレート/メタクリル酸
Allyl−MA:アリルメタクリレート
MAA:メタクリル酸
AA:アクリル酸
BzMA:ベンジルメタクリレート
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
【0122】
【化34】

【0123】
本発明に使用される(B)特定バインダーの合成は常法により行うことができる。以下に、例示化合物1及び6の合成例を示す。他の例示化合物も類似の方法により合成することができる。
(例示化合物1の合成)
メタクリル酸(55重量部)、メタクリル酸シクロヘキシル(61重量部)、1−メトキシ−2−プロパノール(175重量部)、V−601(商品名:和光純薬社製、重合開始剤(Dimethyl 2,2'-azobis(2-methylpropionate)) 6.8重量部)の混合溶液を、窒素気流下、90℃で4時間重合させた。さらに、反応混合溶液にグリシジルメタクリレート(37重量部)、テトラエチルアンモニウムブロミド(0.6重量部)、メチルエチルケトン(40重量部)を加え、100℃で4時間反応させることにより、例示化合物1を合成した。
得られたポリマーの重量平均分子量(GPC、ポリスチレン換算)は30,000であった。
【0124】
(例示化合物6の合成)
メタクリル酸アリル(79重量部)、メタクリル酸(32重量部)、1-メトキシ−2−プロパノール(140重量部)、V−65(商品名:和光純薬社製、重合開始剤(2、2'-アゾビス(2、4−ジメチル)バレロニトリル):0.6重量部)の混合溶液を、窒素気流下、70℃で8時間重合させた。反応溶液を室温まで冷却後、水(200重量部)を加え、再沈処理をおこなった。凝集したポリマーを濾過、水洗後、乾燥することにより、例示化合物6を合成した
得られたポリマーの重量平均分子量(GPC法、ポリスチレン換算)は、33,000であった。
本発明の着色硬化性組成物における(B)特定バインダーの含有量は、前記(A)染料1質量部に対して、0.1質量部〜20質量部の範囲であることが好ましく、 質量部〜 質量部の範囲であることがより好ましい。
【0125】
<(C)有機溶剤>
本発明の着色硬化性組成物は、有機溶剤を含有する。
有機溶剤は、並存する各成分の溶解性や着色硬化性組成物としたときの塗布性を満足できるものであれば、基本的には特に制限はなく、特に、固形分の溶解性、塗布性、安全性を考慮して選ばれることが好ましい。
【0126】
有機溶剤としては、エステル類として、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸アルキルエステル類(例えば、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチルなどが挙げられ、より具体的には、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等が挙げられる。)、3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類、2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等が挙げられる。
【0127】
また、エーテル類としては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等が挙げられる。
ケトン類としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等が挙げられる。
芳香族炭化水素類としては、例えば、トルエン、キシレン等が好適に挙げられる。
【0128】
これらの有機溶剤は、前述の各成分の溶解性、及び前記(A)染料や(B)特定バインダーの溶解性、塗布面状の改良などの観点から、2種以上を混合することも好ましい。この場合、特に好ましくは、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選択される2種以上で構成される混合溶液である。
【0129】
有機溶剤の着色硬化性組成物中における含有量としては、着色硬化性組成物中の全固形分濃度が10質量%〜80質量%になる量が好ましく、15質量%〜60質量%になる量がより好ましい。
【0130】
本発明の着色硬化性組成物には、前記(A)染料、(B)特定バインダー及び(C)有機溶剤に加え、本発明の効果を損なわない限りにおいて種々の化合物を目的に応じて含んでいてもよい。
(重合性化合物)
本発明の着色硬化性組成物は、(B)特定バインダーとは構造の異なる重合性化合物の少なくとも一種を含有してもよい。重合性化合物を含有することにより、着色硬化性組成物をの硬化性を向上しうる。
【0131】
重合性化合物として、光重合性化合物を挙げることができる。光重合性化合物としては、常圧下で100℃以上の沸点を有し、少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和基を持つ化合物が好ましい。その例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号等の各公報に記載のウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号等の各公報に記載のポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタアクリレート及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0132】
また、重合性化合物として、前述の光重合性化合物に加えて、熱重合性化合物を含有させることもできる。熱重合性化合物の例としては、エポキシ系化合物、オキセタン系化合物、1,2−ハロヒドリン化合物等が挙げられ、より具体的には、特許3599866号、特許4549651号、特許3850756号、特許4185245号等に記載の化合物が挙げられる。
【0133】
更に、重合性化合物として、重合性基を有するアルカリ可溶性樹脂を挙げることができる。重合性基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、(メタ)アクリロイル基、グリシジル基を含有するアルカリ可溶性樹脂等が挙げられ、具体的には、特開2007-233184号公報、特開2005−326507号公報等に記載の樹脂が挙げられる。また、重合性基を側鎖に有するアルカリ可溶性樹脂でもよく、アリル基、(メタ)アクリル基、アリルオキシアルキル基等を側鎖に有するポリマー等も有用である。これら重合性基を有するポリマーの例としては、KSレジスト−106(大阪有機化学工業(株)製)、サイクロマーPシリーズ(ダイセル化学工業(株)製)等が好適に挙げられる。
【0134】
また更に、日本接着協会誌Vol.20、No.7、300〜308頁に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものが挙げられる。
【0135】
重合性化合物を用いる場合の着色硬化性組成物中における含有量は、該着色硬化性組成物中の固形分に対して0.1〜90質量%が好ましく、1.0〜80質量%がさらに好ましく、2.0質量%〜70質量%が特に好ましい。
【0136】
(光重合開始剤)
本発明の着色硬化性組成物は、感放射線性の開始剤の少なくとも一種を含有することが好ましい。光重合開始剤は、400nm以下の紫外(UV)光に対し、ラジカル発生、酸発生、塩基発生などの化学反応を起こし得る化合物であり、(B)特定バインダーや所望により使用される重合性化合物を架橋、重合などの反応により不溶化させたり、塗膜中に共存する重合性モノマーやオリゴマーの重合、架橋剤の架橋などを起こしたりすることで塗膜をアルカリ現像液に対して不溶化させることができる。
【0137】
光重合開始剤としては、前記重合性化合物を重合させ得るものであれば、特に制限はなく、特性、開始効率、吸収波長、入手性、コスト等の観点で選ばれるのが好ましい。
【0138】
光重合開始剤としては、例えば、ハロメチルオキサジアゾール化合物、ハロメチル−s−トリアジン化合物から選択される少なくとも一つの活性ハロゲン化合物、3−アリール置換クマリン化合物、ロフィン2量体、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物及びその誘導体、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体及びその塩、並びにオキシム系化合物等が挙げられる。
これら光重合開始剤の具体例については、特開2008−292970号公報の段落番号[0261]〜[0266]に記載のものが挙げられる。中でも、重合反応が迅速である点等から、オキシム系化合物が好ましい。
【0139】
前記オキシム系化合物(以下、オキシム系光重合開始剤ともいう。)としては、特に限定はなく、例えば、特開2000−80068号公報、WO02/100903A1、特開2001−233842号公報等に記載のオキシム系化合物が挙げられる。
具体的な例としては、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ペンタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ヘキサンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ヘプタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(エチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(ブチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−メチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−プロプル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−ブチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノンなどが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
【0140】
これらのうち、より少ない露光量でパターン形成が可能な点で、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン等のオキシム−O−アシル系化合物が特に好ましく、具体的には、例えば、CGI−124、CGI−242、Irgacure OXE01(以上、チバ・ジャパン(株)製)等が挙げられる。
【0141】
本発明においては、感度、経時安定性の観点から、オキシム系化合物として、下記一般式(3)又は一般式(4)で表される化合物がより好ましい。
【0142】
【化35】



【0143】
前記一般式(3)及び一般式(4)において、R及びXは、各々独立に、1価の置換基を表し、Aは、2価の有機基を表し、Arは、アリール基を表す。nは、0〜5の整数である。
【0144】
一般式(3)及び一般式(4)におけるRとしては、高感度化の点から、アシル基が好ましく、具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基、トルイル基が好ましい。
【0145】
一般式(3)及び一般式(4)におけるAとしては、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、無置換のアルキレン基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基)で置換されたアルキレン基、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基)で置換されたアルキレン基、アリール基(例えば、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基、スチリル基)で置換されたアルキレン基が好ましい。
【0146】
一般式(3)及び一般式(4)におけるArとしては、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、置換又は無置換のフェニル基が好ましい。置換フェニル基の場合、その置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン基が好ましい。
【0147】
一般式(3)及び一般式(4)におけるXとしては、溶剤溶解性と長波長領域の吸収効率向上の点から、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオキシ基、置換基を有してもよいアリールチオキシ基、置換基を有してもよいアミノ基が好ましい。
また、一般式(3)及び一般式(4)におけるnは01〜2の整数が好ましい。
【0148】
以下、一般式(1)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0149】
【化36】

【0150】
本発明の着色硬化性組成物には、上記の光重合開始剤のほかに、特開2004−295116号公報の段落〔0079〕に記載の他の公知の光重合開始剤を使用してもよい。
【0151】
感放射線性化合物(特に光重合開始剤)は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて含有することができる。
光重合開始剤を用いる場合、光重合開始剤の着色硬化性組成物中における含有量(2種以上の場合は総含有量)は、重合性化合物の全固形分に対して、0.01〜50質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、1〜20質量%が特に好ましい。該含有量が前記範囲内であると、重合が良好に進み、また、膜強度に優れる。
【0152】
前記光重合開始剤には、増感剤や光安定剤を併用することができる。
その具体例として、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、9−フルオレノン、2−クロロ−9−フルオレノン、2−メチル−9−フルオレノン、9−アントロン、2−ブロモ−9−アントロン、2−エチル−9−アントロン、9,10−アントラキノン、2−エチル−9,10−アントラキノン、2−t−ブチル−9,10−アントラキノン、2,6−ジクロロ−9,10−アントラキノン、キサントン、2−メチルキサントン、2−メトキシキサントン、2−エトキシキサントン、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、アクリドン、10−ブチル−2−クロロアクリドン、ベンジル、ジベンザルアセトン、p−(ジメチルアミノ)フェニルスチリルケトン、p−(ジメチルアミノ)フェニル−p−メチルスチリルケトン、ベンゾフェノン、p−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(又はミヒラーケトン)、p−(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾアントロン等や特公昭51−48516号公報記載のベンゾチアゾール系化合物等や、チヌビン1130、同400等が挙げられる。
【0153】
また、以上の他に更に、熱重合防止剤を加えておくことが好ましく、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンゾイミダゾール等が有用である。
【0154】
(他のバインダー樹脂)
本発明の着色硬化性組成物は、(B)特定バインダーとは構造の異なる、架橋性基を有しないバインダー(他のバインダーと称する)を含有してもよい。バインダーとしては、アルカリ可溶性を有するものから選択することができる。この場合、アルカリ可溶性を有するものであれば特に限定されないが、耐熱性、現像性、入手性等の観点から選ばれることが好ましい。
【0155】
アルカリ可溶性のバインダーとしては、線状有機高分子重合体で、有機溶剤に可溶性であって、弱アルカリ水溶液で現像できるものが好ましい。このような線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマー、例えば、特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号等の公報に記載のメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等が挙げられる。アルカリ可溶性のバインダーは、特に、側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体が有用である。このほか、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等やポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、ポリ(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール等が有用である。
【0156】
また、親水性基を有するモノマーを共重合してもよく、この例としては、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、2級及び3級のアルキルアクリルアミド、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、モルホリノ(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルイミダゾール、ビニルトリアゾール、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、分岐又は直鎖のプロピル(メタ)アクリレート、分岐又は直鎖のブチル(メタ)アクリレート、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0157】
その他、親水性基を有するモノマーとしては、テトラヒドロフルフリル基、燐酸部位、燐酸エステル部位、4級アンモニウム塩部位、エチレンオキシ鎖、プロピレンオキシ鎖、スルホン酸及びその塩の部位、モルホリノエチル基等を含んだモノマー等も有用である。
また、硬化被膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロルヒドリンとのポリエーテル等も有用である。
【0158】
他のバインダーとしては、耐熱性の観点で、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。また、現像性制御の観点では、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。上記アクリル系樹脂としては、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド等から選ばれるモノマーからなる共重合体等が好ましい。
【0159】
他のバインダーは、質量平均分子量(GPC法で測定されたポリスチレン換算値)が1000〜2×10の重合体が好ましく、2000〜1×10の重合体が更に好ましく、5000〜5×10の重合体が特に好ましい。
【0160】
他のバインダーを用いる場合の着色硬化性組成物中における含有量は、組成物の全固形分に対して、10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%が更に好ましく、30〜70質量%が特に好ましい。
【0161】
(各種添加剤)
本発明の着色硬化性組成物には、必要に応じて、各種添加物、例えば充填剤、上記以外の高分子化合物、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を配合することができる。
【0162】
前記各種添加剤については、特開2008−292970号公報の段落番号[0275]〜[0276]に記載のものが挙げられる。
【0163】
−着色成分−
着色成分としては、前記(A)染料のほか、本発明の効果を損なわない範囲であれば、さらに顔料等を含有していてもよい。顔料を種々組み合わせて含有することにより、目的の色相及び色純度の実現が可能である。
【0164】
本発明の着色硬化性組成物は、液晶表示素子(LCD)や固体撮像素子(例えば、CCD、CMOS等)に用いられるカラーフィルタなどの着色画素形成用として、また、印刷インキ、インクジェットインキ、及び塗料などの作製用途として好適に用いることができる。本発明においては、特に液晶表示素子用のカラーフィルタの用途に好適に用いることができる。
【0165】
<カラーフィルタ及びその製造方法>
本発明のカラーフィルタは、少なくとも前記(A)染料と(B)特定バインダーと、(C)有機溶剤とを含有し、所望により他の成分を含みうる前記本発明の着色硬化性組成物を用いて形成された着色硬化膜を備え、支持体と、該支持体上に設けられ、既述の本発明の着色硬化性組成物を用いて形成された着色領域(着色硬化膜)とを設けて構成されている。
【0166】
本発明のカラーフィルタは、前記(A)染料とともに前記(B)本発明における特定バインダーを含有しているので、(A)染料の安定性が向上し、ポストベーク工程などによる高温雰囲気下に晒された場合でも(A)染料の分解に起因する変色や消色が抑制され、長期間優れた色相が維持される。そのため、長期間に亘り、色合いの良い画像の表示が可能である。
【0167】
本発明のカラーフィルタは、前記本発明の着色硬化性組成物を用いて硬化された着色膜(着色パターン)を形成することができる方法であれば、いずれの方法で形成されてもよい。
【0168】
本発明のカラーフィルタは、本発明の着色硬化性組成物を支持体上に塗布し、着色層を形成する工程と、形成された前記着色層をパターン状に露光し、現像して着色領域を形成する工程と、を設けて構成されている方法により好適に作製することができる。
具体的には、本発明の着色硬化性組成物を支持体上に回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の塗布方法により塗布して感放射線性組成物層を形成した後、この層を例えばマスクパターンを介して所定のパターン状に露光し、現像液で現像することによって、カラーフィルタを構成する着色パターンである所望の着色領域を形成することができる。これらの操作を所望の色数に合わせて繰り返すことにより、所望数の色相に構成されたカラーフィルタが得られる。
【0169】
露光に用いられる光源としては、400nm以下の波長を有する光源が好適である。光源の例としては、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯など、特開2008−292970号公報の段落番号[0278]に記載のものが挙げられる。コストと露光エネルギーの観点から、好ましくは紫外線であり、更にはi線である。
【0170】
露光、現像により形成されたパターンは、必要に応じて、更に加熱及び/又は露光を施してより硬化させる硬化工程を設けることができる。この際の光又は放射線としては、i線等の放射線が好ましい。
【0171】
支持体としては、例えば、液晶表示素子等に用いられるソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス及びこれらに透明導電膜を付着させたものや、撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えばシリコン基板等や、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)等が挙げられる。これらの支持体は、各画素を隔離するブラックストライプが形成されている場合もある。また、支持体上には、必要によりその上に設けられる層との間の密着改良、物質の拡散防止、あるいは支持体表面の平坦化の観点から、下塗り層を設けてもよい。
【0172】
現像に用いる現像液としては、着色硬化性組成物の現像除去しようとする領域(未硬化部)を溶解する一方、それ以外の領域(硬化部)を溶解しない組成よりなるものであれば特に制限はない。具体的には、現像液として、種々の有機溶剤の組み合わせや、アルカリ性の水溶液を用いることができる。前記有機溶剤としては、組成物を調製する際に使用される前述の溶剤が挙げられる。また、前記アルカリ性の水溶液としては、アルカリ性化合物を、濃度が0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%となるように溶解したアルカリ性水溶液を使用できる。アルカリ性化合物は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−〔5.4.0〕−7−ウンデセン等が挙げられる。
アルカリ性水溶液を用いた場合、一般に現像後に水で洗浄が行なわれる。
【0173】
本発明のカラーフィルタは、有機EL表示装置、液晶表示素装置や固体撮像素子に用いることができ、特に液晶表示装置の用途に好適である。液晶表示装置に用いた場合、分光特性及び耐熱性に優れた(A)染料、好ましくは、金属錯体染料を着色剤として含有しながらも、熱処理などによる色相の変化が少なく、表示画像の色合いが良好で表示特性に優れる。
【0174】
<<表示装置>>
本発明のカラーフィルタは、色相に優れ、且つ耐光性に優れた着色画素を有することから、特に有機EL表示装置や液晶表示装置などの表示装置用のカラーフィルタとして好適である。このようなカラーフィルタを備えた表示装置は、表示画像の色合いが良好で表示特性に優れた高画質画像を長期間に亘り表示することができる。
即ち、本発明の表示装置は、前記本発明の着色硬化性組成物を用いてなるカラーフィルタ或いは、前記本発明のカラーフィルタの製造方法により得られたカラーフィルタを備える。
【0175】
表示装置の定義や各表示装置の詳細については、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。また、液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、(株)工業調査会 1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば、上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。
【0176】
本発明のカラーフィルタは、中でも特に、カラーTFT方式の液晶表示装置に対して有効である。カラーTFT方式の液晶表示装置については、例えば「カラーTFT液晶ディスプレイ(共立出版(株)1996年発行)」に記載されている。更に、本発明はIPSなどの横電界駆動方式、MVAなどの画素分割方式などの視野角が拡大された液晶表示装置や、STN、TN、VA、OCS、FFS、及びR−OCB等にも適用できる。
また、本発明のカラーフィルタは、明るく高精細なCOA(Color-filter On Array)方式にも供することが可能である。COA方式の液晶表示装置にあっては、カラーフィルタ層に対する要求特性は、前述のような通常の要求特性に加えて、層間絶縁膜に対する要求特性、すなわち低誘電率及び剥離液耐性が必要とされることがある。本発明のカラーフィルタにおいては、前記(A)染料とともに前記(B)特定バインダーを含有してなる硬化性組成物を硬化させて得られるものであり、熱的、経時的な(A)染料の安定性が飛躍的に向上され、表示特性の低下が解消されるものと考えられる。これによって、色純度などが良く、色合いに優れるので、解像度が高く長期耐久性に優れたCOA方式の液晶表示装置を提供することができる。なお、要求特性を満足するため、カラーフィルタ層の上に樹脂被膜を設けてもよい。
さらに、COA方式により形成される着色層には、着色層上に配置されるITO電極と着色層の下方の駆動用基板の端子とを導通させるために、一辺の長さが1〜15μm程度の矩形のスルーホールあるいはコの字型の窪み等の導通路を形成する必要であり、導通路の寸法(即ち、一辺の長さ)を特に5μm以下にすることが好ましいが、本発明を用いることにより、5μm以下の導通路を形成することも可能である。これらの画像表示方式については、例えば、「EL、PDP、LCDディスプレイ−技術と市場の最新動向−(東レリサーチセンター調査研究部門 2001年発行)」の43ページなどに記載されている。
【0177】
本発明の表示装置は、本発明のカラーフィルタ以外に、電極基板、偏光フィルム、位相差フィルム、バックライト、スペーサ、視野角保障フィルムなど様々な部材から構成される。本発明のカラーフィルタは、これらの公知の部材で構成される液晶表示素子に適用することができる。これらの部材については、例えば、「'94液晶ディスプレイ周辺材料・ケミカルズの市場(島 健太郎 (株)シーエムシー 1994年発行)」、「2003液晶関連市場の現状と将来展望(下巻)(表 良吉(株)富士キメラ総研、2003年発行)」に記載されている。
バックライトに関しては、SID meeting Digest 1380(2005)(A.Konno et.al)や、月刊ディスプレイ 2005年12月号の18〜24ページ(島 康裕)、同25〜30ページ(八木隆明)などに記載されている。
【0178】
本発明のカラーフィルタを液晶表示素子に用いると、従来公知の冷陰極管の三波長管と組み合わせたときに高いコントラストを実現できるが、更に、赤、緑、青のLED光源(RGB−LED)をバックライトとすることによって輝度が高く、また、色純度の高い色再現性の良好な液晶表示装置を提供することができる。
【0179】
<<固体撮像素子>>
本発明の固体撮像素子は、既述の本発明のカラーフィルタを備える。
本発明の固体撮像素子の構成としては、本発明のカラーフィルタが備えられた構成であり、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はないが、例えば、以下のような構成が挙げられる。
【0180】
支持体上に、固体撮像素子(CCDイメージセンサー、CMOSイメージセンサー、等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオード及びポリシリコン等からなる転送電極を有し、前記フォトダイオード及び前記転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口したタングステン等からなる遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面及びフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、前記デバイス保護膜上に、本発明の固体撮像素子用カラーフィルタを有する構成である。
更に、前記デバイス保護層上であってカラーフィルタの下(支持体に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、カラーフィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。
【実施例】
【0181】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。但し、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
【0182】
(合成例1:例示化合物1の合成)
メタクリル酸(55重量部)、メタクリル酸シクロヘキシル(61重量部)、1−メトキシ−2−プロパノール(175重量部)、V−601(商品名:和光純薬社製) 6.8重量部)の混合溶液を、窒素気流下、90℃で4時間重合させた。さらに、反応混合溶液にグリシジルメタクリレート(37重量部)、テトラエチルアンモニウムブロミド(0.6重量部)、メチルエチルケトン(40重量部)を加え、100℃で4時間反応させることにより、例示化合物1を合成した。
得られたポリマーの重量平均分子量(GPC、ポリスチレン換算)は30,000であった。
【0183】
(例示化合物6の合成)
メタクリル酸アリル(79重量部)、メタクリル酸(32重量部)、1-メトキシ−2−プロパノール(140重量部)、V−65(重合開始剤、和光純薬社製):0.6重量部)の混合溶液を、窒素気流下、70℃で8時間重合させた。反応溶液を室温まで冷却後、水(200重量部)を加え、再沈処理をおこなった。凝集したポリマーを濾過、水洗後、乾燥することにより、例示化合物6を合成した
得られたポリマーの重量平均分子量(GPC法、ポリスチレン換算)は、33,000であった。
【0184】
(実施例1)
−着色感光性組成物の調製−
下記組成1に記載の各成分を混合、溶解し、着色感光性組成物を調製した。
(組成1)
・有機溶剤1(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 5.1g
・有機溶剤2(ジエチレングリコールエチルメチルエーテル) 17.1g
・バインダー樹脂(例示化合物1) 12.2g
・重合性化合物1(日本化薬(株)製、KAYARAD DPHA) 4.0g
・重合性化合物2(東亜合成(株)製、アロニックス TO−2349) 1.3g
・重合禁止剤(p−メトキシフェノール) 0.003g
・光重合開始剤1(1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−
(チオフェノイル)−9H−カルバゾール−3−イル]プロパノン) 0.39g
・光重合開始剤2(1,3−ジヒドロ−1−フェニル−2H−ベンズイミダゾール
−2−チオン) 0.11g
・密着改良剤(3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン) 0.16g
・フッ素系界面活性剤(DIC社製、商品名:メガファックF−554、0.2%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液) 8.0g
・青色顔料分散液(下記により調製したPigment Blue 15:6分散液、
固形分濃度16.8質量%、顔料濃度9.9%) 21.9g
・染料溶液1(下記により調製した染料溶液) 4.7g
・染料溶液2(下記により調製した染料溶液) 25.1g
【0185】
−青色顔料分散液の調製−
青色顔料分散液1は、以下のようにして調製した。
C.I.ピグメントブルー15:6を12.8部と分散剤(商品名:ソルスパース5500、日本ルーブリゾール社製)7.2部とを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート80.0部と混合し、ビーズミルを用いて顔料を十分に分散させて、青色顔料分散液を調製した。
【0186】
−染料溶液1の調製−
染料溶液1は、下記の各成分を混合、溶解して調製した。
・有機溶剤1(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 4.23g
・染料(B−1) 0.47g
【0187】
−染料溶液2の調製−
染料溶液2は下記の各成分を混合、溶解して調製した。
・有機溶剤1(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 23.84g
・染料(A−1) 1.26g
【0188】
以下に、実施例1の着色感光性組成物の調製で用いた染料(A−1)は、ピロメテン金属錯体染料の例示化合物I−11である。染料(B−1)は、下記構造のアントラキノン化合物(アントラセン−9,10−ジオン骨格を有する化合物)である。
【0189】
【化37】

【0190】
−感光性着色膜の形成−
次に、ガラス(#1737;コーニング社製)上に、上記で調製した感光性着色硬化性組成物をスピンコート法で塗布した後、100℃で80秒間加熱することにより揮発成分を揮発させて、感光性着色膜を形成した。冷却後、この感光性着色膜にi線(波長365nm)を照射し、硬化させた。i線の光源には超高圧水銀ランプを用い、このとき、照射光量を40mJ/cmとした。次いで、25℃下、0.05%KOH溶液で40秒間 現像処理を行ったのち、純水を用いたリンス処理で現像液を洗い流した。
次いで、この着色膜に対して230℃で60分間、ポストベーク処理を行ない、膜厚2μmの着色膜を得た。
【0191】
−評価−
(1)分光特性
上記で得た着色膜の透過スペクトルを、大塚電子(株)製の顕微分光光度計MCPD−3000(商品名)を用いて測定した。得られた透過スペクトルより、CIE1931表色系における色座標x値、y値、Y値を求めた。
分光特性は、(x、y)=(0.141、0.090)におけるY値が高い場合、優れた分光特性を有しているといえる。
【0192】
(2)耐熱性(輝度低下率)
上記で得られた着色膜において、ポストベーク工程(230℃で60分間加熱)の前後に顕微分光光度計MCPD−3000(商品名)を用いて色度を測定した。y=0.090におけるY値差よりY値低下量を求めΔY値とした。結果は、下記表1に示す。なお、ΔY値が0.4の場合、優れた耐熱性を有すると判断される。
【0193】
(3)耐薬品性(色度差)
上記で得られたポストベーク工程後の着色膜を25℃下でNMP(N―メチルピロリドン)に浸積させ、その前後の色度を測定し、色変化の指標ΔE*abを算出した。結果は、下記表1に示す。なお、ΔE*abが3以下の場合、色相変化が少なく優れた安定性を有すると判断される。
【0194】
(実施例2〜実施例9)
実施例1において、(B)特定バインダーを表1に示すものに変えた以外は、実施例1と同様にして、感光性着色硬化性組成物を調製し、着色膜を形成すると共に、評価を行なった。評価結果は、下記表1に示す。
【0195】
(比較例1〜3)
実施例1において、(B)特定バインダーに変えて、表1に示す比較バインダー(比較化合物1〜3)を用いた以外は、実施例1と同様にして、感光性着色硬化性組成物を調製し、着色膜を形成すると共に、評価を行なった。評価結果は、下記表1に示す。
【0196】
【表1】

【0197】
前記表1に示すように、架橋性基を含む構造単位(b−1)、及び(メタ)アクリル酸由来の構造単位(b−2)を含み、酸価が150mgKOH/g〜300mgKOH/gである(B)特定バインダー樹脂を使用した着色硬化性組成物を用いた着色硬化膜は、本発明の効果が発揮され、色相が良好で、且つ、ベーク工程での輝度低下が小さく優れた耐熱性を有していることであることがわかる。
これに対し、本発明に係る単量体由来の構造単位を含んでいても、酸価が本発明の範囲外である比較化合物1を用いた比較例1、及び構造単位(b−1)、構造単位(b−2)の片方のみを含む比較化合物2、3を用いた比較例2、3のいずれも、ポストベーク工程での輝度低下が抑えられず、表示画像は色合いが悪く、表示特性に劣っていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)染料と、
(B)下記一般式(1)で表される構造単位及び下記一般式(2)で表される構造単位から選ばれる少なくとも1種の構造単位(b−1)並びに酸性基を有する構造単位(b−2)を含み、酸価が150mgKOH/g〜300mgKOH/gの範囲であるバインダー樹脂と、
(C)有機溶剤と、を含有する着色硬化性組成物。
【化1】


前記一般式(1)中、R11は水素原子又はメチル基を表し、R12及びR13はそれぞれ独立に水素原子又は不飽和二重結合を部分構造として含む炭素数3〜20のカルボニル基を表し、R12及びR13の双方が水素原子であることはない。R12及びR13の少なくともいずれかが不飽和二重結合を部分構造として含む炭素数3〜20のカルボニル基を表す場合、さらにカルボキシ基を部分構造として含んでいてもよい。
【化2】


前記一般式(2)中、R20は水素原子又はメチル基を表し、R21、R22、R23、R24及びR25は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基又はアリール基を表す。
【請求項2】
前記(A)染料が、下記一般式(I)で表される化合物が金属原子又は金属化合物に配位した金属錯体染料(a−1)及び下記一般式(II)で表される染料(a−2)から選択される少なくとも一種を含む請求項1に記載の着色硬化性組成物。
【化3】



一般式(I)中、R、R、R、R、R、及びRは、各々独立に、水素原子、又は一価の置換基を表し、Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。
【化4】


前記一般式(II)中、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、Rh、Ri、Rj、Rk、Rl、Rm、Rn、Ro、及びRpは各々独立に、水素原子、又は1価の置換基を表し、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、Rh、Ri、Rj、Rk、Rl、Rm、Rn、Ro、及びRpのすべてが水素原子又はハロゲン原子であることはない。
【請求項3】
前記(A)染料1質量部に対して、前記(B)バインダー樹脂を0.1質量部〜20質量部含有する請求項1又は請求項2に記載の着色硬化性組成物。
【請求項4】
前記(B)バインダー樹脂における下記一般式(1)及び下記一般式(2)から選ばれる少なくとも1種の構造単位(b−1)と、酸性基を有する構造単位(b−2)の含有モル比が、1:0.1〜1:3である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物。
【請求項5】
前記(B)バインダー樹脂が、前記構造単位(b−1)及び酸性基を有する構造単位(b−2)とは構造の異なる構造単位をさらに含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物。
【請求項6】
前記(a−1)金属錯体染料が、下記一般式(I−2)で表される化合物である請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物。
【化5】



前記一般式(I−2)中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13は、各々独立に、水素原子、又は一価の置換基を表す。R及びR14は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。Maは、金属原子又は金属化合物を表す。
【請求項7】
前記(B)バインダー樹脂とは構造の異なる重合性化合物及び光重合開始剤をさらに含む請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物。
【請求項8】
支持体と、該支持体上に設けられ、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物を用いて形成された着色領域と、を有するカラーフィルタ。
【請求項9】
請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物を支持体上に塗布し、着色層を形成する工程と、
形成された前記着色層をパターン状に露光し、現像して着色領域を形成する工程と、
を有するカラーフィルタの製造方法。
【請求項10】
請求項8に記載のカラーフィルタ又は請求項9に記載の方法で製造されたカラーフィルタを備えた表示素子。
【請求項11】
請求項8に記載のカラーフィルタ又は請求項9に記載の方法で製造されたカラーフィルタを備えた固体撮像素子。

【公開番号】特開2013−80010(P2013−80010A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218597(P2011−218597)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】