説明

着色硬化性組成物、レジスト液、インクジェット用インク、カラーフィルタ、カラーフィルタの製造方法、固体撮像素子、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、画像表示デバイス、及び色素化合物

【課題】着色硬化性組成物、レジスト液、インクジェット用インク、カラーフィルタ、カラーフィルタの製造方法、固体撮像素子、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、画像表示デバイス及びこれらに適した色素化合物の提供。
【解決手段】下記一般式(1)で表される化合物及びそれらの互変異性体の少なくとも1種を含有する着色硬化性組成物である。−L−又は−L−は、R〜Rを介して又は直接にジピロメテン骨格に置換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト液やインクジェット用インクに好適な着色硬化性組成物、該着色硬化性組成物を含有するレジスト液及びインクジェット用インク、それらを用いて形成されたカラーフィルタ、該カラーフィルタを用いる固体撮像素子、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ及び画像表示デバイス、並びに色素化合物に関し、特にカラーフィルタを形成するのに好適な色素化合物及び、該色素化合物を含有する着色硬化性組成物、レジスト液及びインクジェット用インク、該着色硬化性組成物等を用いたカラーフィルタ、該カラーフィルタの製造方法、カラーフィルタを用いた固体撮像素子、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ及び画像表示デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータ、特に大画面液晶テレビの発達に伴い、液晶ディスプレイ(LCD)、とりわけカラー液晶ディスプレイの需要が増加する傾向にある。更なる高画質化の要求から有機ELディスプレイの普及も待ち望まれている。一方、デジタルカメラ、カメラ付き携帯電話の普及から、CCDイメージセンサーなどの固体撮像素子も需要が大きく伸びている。
これらのディスプレイや光学素子のキーデバイスとしてカラーフィルタが使用されており、更なる高画質化の要求とともにコストダウンへの要求が高まっている。このようなカラーフィルタは、通常、赤(R)、緑(G)、及び青(B)の3原色の着色パターンを備えており、表示デバイスや撮像素子において、通過する光を3原色へ分画する役割を果たしている。
【0003】
カラーフィルタに使用されている着色剤には、共通して次のような特性が求められる。即ち、色再現性上好ましい分光特性を有すること、液晶ディスプレイのコントラスト低下の原因である光散乱や固体撮像素子の色ムラ・ザラツキ感の原因となる光学濃度の不均一性といった光学的な乱れがないこと、使用される環境条件下における堅牢性、例えば、耐熱性、耐光性、耐湿性等が良好であること、モル吸光係数が大きく薄膜化が可能なこと、等が必要とされている。
【0004】
上記カラーフィルタを作製する方法の一つとして顔料分散法が採用されている。顔料分散法により顔料を種々の硬化性組成物に分散させた着色硬化性組成物を用いて、フォトリソ法やインクジェット法によってカラーフィルタを作製する方法は、顔料を使用するために光や熱に対して安定である。
【0005】
このフォトリソ法では、基板上に感放射線性組成物をスピンコーターやロールコーター等により塗布し、乾燥させて塗布膜を形成し、該塗布膜をパターン露光し現像することによって、着色された画素を得る。この操作を色相分だけ繰り返すことでカラーフィルタを作製することができる。フォトリソ法は光によってパターンを形成するため位置精度に優れ、大画面で高精細なカラーフィルタの作製に好適な方法として広く利用されてきた。特に近年、更なる高解像度が求められる固体撮像素子の作成に非常に有利な方法である。
【0006】
固体撮像素子のカラーフィルタにおいては、微細パターンのマスクを通して露光、次いでアルカリ液による現像を行い、未露光部をアルカリ現像液に溶解して微細パターンを形成させているが、硬化部、非硬化部の溶解性(現像性)の調節が難しい。特に、着色硬化性組成物のアルカリ現像液に対する溶解性が低いと、未露光部に着色物が残りパターン形成性が悪化するため、アルカリ液の濃度依存性の少ない着色硬化性組成物が求められる。
【0007】
近年、固体撮像素子用のカラーフィルタの更なる高精細化が望まれている。しかしながら従来の顔料分散法では、顔料の粗大粒子による色ムラが発生する等の観点から解像度を更に向上させることは困難である。そのため固体撮像素子のような微細パターンが要求される用途では、今後、顔料分散法を用いたフォトリソ法の適用が難しくなりつつある。一方、液晶ディスプレイにおいても、顔料分散法を用いたフォトリソ法により製造されたカラーフィルタは、耐光性や耐熱性に優れるものの、顔料粒子による光散乱のためコントラストの低下や、ヘイズの増加といった課題を有している。
【0008】
また、フォトリソ法は、前述の通り、感放射線性組成物の塗布、乾燥、パターン露光、現像の各工程を色相分繰り返す必要があり、コスト高になるという課題や、同様の工程を繰り返すため歩留まりが低下するという課題もある。特に、高価なカラー液晶ディスプレイの低価格化への要求の高まりから、コスト的に比重の高いカラーフィルタに対する低価格化の要求が高まっており、より高生産性のカラーフィルタの製造方法への要望が高まってきている。
【0009】
そこで、上記フォトリソ法の問題を解決するカラーフィルタの製造方法として、インクジェット法で着色インクを吹き付けして着色層(色画素)を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0010】
インクジェット法は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録部材に直接吐出、付着させて、文字や画像を得る記録方式である。インクジェット法は、インクジェットヘッドを順次移動させることにより、大面積のカラーフィルタを高生産性で製造でき、低騒音で操作性がよいという利点を有する。このようなインクジェット法によるカラーフィルタの製造には、顔料分散法を使用したインクジェット用インクが用いられている。顔料分散法を使用したインクジェット用インクとしては、例えば、バインダー成分、顔料、及び、沸点が180℃〜260℃でかつ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤を含むカラーフィルタ用インクジェットインクが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0011】
このような顔料分散法を使用したインクジェット用インクをカラーフィルタの製造に用いた場合、インクの顔料凝集によるノズル目詰まりが頻繁に発生するため、吐出安定性という点で改善が望まれている。更に、凝集した顔料のために、ワイピングやパージといった吐出回復動作によるインク吐出状態の回復機能が低下しやすい。また、ワイピング時、凝集した顔料によりノズル面がこすれ、インクが曲がった方向に吐出されることもある。
【0012】
顔料分散法に替えて染料を使用した場合、固体撮像素子用カラーフィルタでは色むら・ザラツキ感の問題を解消し高解像度の達成が、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ用カラーフィルタではコントラストやヘイズなどの光学特性の向上が夫々期待される。また、染料を用いたインクジェット法では概して吐出安定性も高く、インク粘度の増加などに伴うノズル目詰まりがあった場合でも、ワイピングやパージにより容易にインク吐出状態が回復することが期待される。
【0013】
以上の背景のもと、着色材として染料を用いることが検討されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、染料含有の硬化性組成物は、以下に示すような新たな課題を有している。
【0014】
(1)染料は、一般に顔料に比べて、耐光性や耐熱性に劣る。特に、液晶ディスプレイ(LCD)などのFPD(フラットパネルディスプレイ)向けの電極として多用されているITO(酸化インジウムスズ)の成膜時の高温により、光学特性が変化してしまうという問題がある。
(2)染料は、ラジカル重合反応を抑制する傾向があるため、ラジカル重合を硬化手段として用いる系では、着色硬化性組成物の設計が難しくなる。
特にフォトリソ法では、
(3)通常の染料は、アルカリ水溶液又は有機溶剤(以下単に溶剤ともいう)への溶解度が低いため、所望のスペクトルを有する硬化性組成物を得るのが困難である。
(4)染料は、硬化性組成物中の他の成分との相互作用を示すことが多く、硬化部、非硬化部の溶解性(現像性)の調節が難しい。
(5)染料のモル吸光係数(ε)が低い場合には多量の染料を添加しなければならず、そのために硬化性組成物中の重合性化合物(モノマー)やバインダー、光重合開始剤等の他の成分を減らさざるを得ず、組成物の硬化性、硬化後の耐熱性、(非)硬化部の現像性等が低下する。
【0015】
染料が抱えるこれらの課題のために、高精細で、薄膜且つ堅牢性にも優れたカラーフィルタの着色パターンは、これまで染料を用いて形成することは困難であった。また、固体撮像素子用のカラーフィルタでは、1μm以下の薄膜にすることが要求されるため、所望の吸収を得るためには、硬化性組成物中に多量の色素を添加する必要があり、前述の問題をより増長させる。
【0016】
このような問題に関連して、従来より開始剤の種類を選択し、或いは開始剤の添加量を増量する等の種々の方法が提案されている(例えば、特許文献5参照)。また、着色パターン形成後に基材を加熱しながら着色パターンに光を照射することにより、露光温度を上昇させた状態で重合を行ない、系の重合率を高めるカラーフィルタの製造方法が開示されている(例えば、特許文献6参照)。更に、現像処理と加熱処理の間で光照射を行ない、カラーフィルタの形状変形を防止するカラーフィルタの製造方法が開示されている(例えば、特許文献7参照)。
【0017】
ところで、カラーフィルタに好適な分光特性に着目して、ジピロメテン染料を用いた着色硬化性組成物及び色素化合物が検討されている(例えば、特許文献8参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開昭59−75205号公報
【特許文献2】特開2004−339332号公報
【特許文献3】特開2002−201387号公報
【特許文献4】特開平6−75375号公報
【特許文献5】特開2005−316012号公報
【特許文献6】特許第3309514明細書
【特許文献7】特開2006−258916号公報
【特許文献8】特開2008−292970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
染料を含有するカラーフィルタ用着色組成物においては、上述の問題の他、成膜後に加熱処理を施した場合に、隣接画素間や積層状態での層間で色移りが生じやすいという課題を有する。
また、上述のように染料を用いる硬化性組成物では多量の染料の添加が必要であって、結果、フォトリソ性に寄与する成分の相対含有量が少なくなる。そのため感度低下により低露光量領域でパターンが剥離しやすくなり、或いは熱ダレや現像時の溶出等により所望の形状や色濃度が得られない等のパターン形成不良という課題も存在する。
なお、特許文献8では、ジピロメテン染料固有の光吸収特性に由来した分光特性に関しては開示があるものの、前述の色移りやパターン形成不良についての言及はなされていない。
【0020】
本発明は、上記背景に鑑みてなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
すなわち、第一の課題は、色純度に優れ、薄層化が可能な高い吸光係数を有し、且つ堅牢性及びパターン形成性に優れた硬化膜を形成する着色硬化性組成物、レジスト液及びインクジェット用インクを提供することにある。
また第二の課題は、色純度、堅牢性、パターン形成性に優れ、色移りを抑制したカラーフィルタ、画像素子、固体撮像素子、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ及び画像表示デバイスを提供することにある。
更に第三の課題は、色純度、堅牢性、パターン形成性に優れ、色移りが抑制されたカラーフィルタの製造方法を提供することにある。
更に第四の課題は、吸収特性に優れ、モル吸収光係数が高く、且つ必要性によっては現像性にも優れる色素を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明者らは各種色素を詳細に検討した結果、重合性基とカルボキシル基が同一分子内に導入された、特定の構造を有するジピロメテン染料化合物が、良好な色相と高い吸光係数を有し、有機溶剤に対する溶解性に優れるばかりでなく、これを含有する着色硬化性組成物により得られた硬化膜は、堅牢性に優れ、色移りが改善され、パターン形成性にも優れる(アルカリ現像液の濃度依存性が小さい)という知見を得た。
【0022】
前述のように、染料にはラジカル重合反応を抑制する傾向があることが広く知られているため、色移りを改善する目的で重合性基を導入したジピロメテン染料は殆ど知られておらず、ましてや優れたパターン形成性をも兼備させるためにカルボキシル基を導入したジピロメテン染料は知られていなかった。
【0023】
なお、本発明のジピロメテン染料化合物は、キレート構造を有する化合物である。前出の特許文献8にジピロメテン染料骨格を有する化合物の開示はあるものの、更に高精細なカラーフィルタ製造用の着色硬化性組成物として必要な諸物性(有機溶剤に対する充分な溶解性、光堅牢性、熱堅牢性、経時安定性、硬化後の耐溶剤性、色相、透過率特性、特にレジストとして用いる場合のパターン形成性及び色移り等)を獲得するために、ジピロメテンキレート染料に特定の置換基を導入することは、キレート錯体の安定性への影響を考慮すると想定されないものであった。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
【0024】
<1> 下記一般式(1)で表される化合物、及びそれらの互変異性体から選択される少なくとも1種を含有する着色硬化性組成物。
【0025】
【化1】



【0026】
一般式(1)中、R〜Rは各々独立に、水素原子又は置換基を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。但し、R〜Rのいずれかの置換基が2価の連結基となって−L−又は−L−と結合しているか、R〜Rのいずれかの置換基が単結合となって、−L−又は−L−が直接ジピロメテン骨格に置換している。Maは、金属又は金属化合物を表す。Xは、Maの電荷の中和に必要な基を表し、XはMaに結合可能な基を表す。rは0又は1を表し、tは0、1又は2を表す。XとXは、互いに結合して5員、6員又は7員の環を形成していてもよい。Mは、水素原子、−COの電荷を中和するのに必要な有機塩基若しくは金属原子、又は単なるアニオン(即ちCOMはCOを表す)を表し、Lは、単結合又は(m+1)価の連結基を表す。mは1、2又は3を表し、pは1又は2を表す。Rは水素原子又はメチル基を表し、Qは酸素原子又はNR(Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基を表す)を表す。Lは単結合又は(n+1)価の連結基を表し、nは1、2又は3を表し、qは1又は2を表す。pが2のとき、複数の{(L)−(COM)m}は同一でも異なっていてもよい。qが2のとき、複数の{(L)−(Q−COC(R)=CH)n}は同一でも異なっていてもよい。mが2又は3のとき、複数の(COM)は同一でも異なっていてもよい。nが2又は3のとき、複数の(Q−COC(R)=CH)は同一でも異なっていてもよい。
【0027】
<2> 前記一般式(1)で表される化合物及びそれらの互変異性体から選択される少なくとも1種が、下記一般式(2)で表される化合物及びそれらの互変異性体から選択される少なくとも1種である前記<1>に記載の着色硬化性組成物。
【0028】
【化2】

【0029】
一般式(2)中、R〜Rは各々独立に、水素原子又は置換基を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、R10及びR11は、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アニリノ基、又はヘテロ環アミノ基を表す。但し、R〜R、R10、R11のいずれかの置換基が2価の連結基となって−L−又は−L−と結合しているか、R〜R、R10、R11のいずれかの置換基が単結合となって、−L−又は−L−が直接ジピロメテン骨格に置換している。Maは、金属又は金属化合物を表す。Xは、Maの電荷の中和に必要な基を表し、rは0又は1を表す。X、Xは各々独立に、NR(Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基を表す)、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表し、Y及びYは各々独立に、NR(Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基を表す)、又は酸素原子を表し、R10とYは、互いに結合して、5員、6員又は7員の環を形成していてもよく、R11とYとが互いに結合して5員、6員又は7員の環を形成していてもよい。Mは、水素原子、−COの電荷を中和するのに必要な有機塩基若しくは金属原子、又は単なるアニオン(即ちCOMはCOを表す)を表し、Lは、単結合又は(m+1)価の連結基を表す。mは1、2又は3を表し、pは1又は2を表す。Rは水素原子又はメチル基を表し、Qは酸素原子又はNR(Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基を表す)を表す。Lは単結合又は(n+1)価の連結基を表し、nは1、2又は3を表し、qは1又は2を表す。pが2のとき、複数の{(L)−(COM)m}は同一でも異なっていてもよい。qが2のとき、複数の{(L)−(Q−COC(R)=CH)n}は同一でも異なっていてもよい。mが2又は3のとき、複数の(COM)は同一でも異なっていてもよい。nが2又は3のとき、複数の(Q−COC(R)=CH)は同一でも異なっていてもよい。
【0030】
<3> 前記一般式(1)又は前記一般式(2)におけるMaが、Fe、Zn、Co、V=O、又はCuである前記<1>又は<2>に記載の着色硬化性組成物。
【0031】
<4> 前記一般式(1)又は前記一般式(2)におけるMaが、Znである前記<1>又は<2>に記載の着色硬化性組成物。
【0032】
<5> 前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物を含むレジスト液。
【0033】
<6> 前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物を含むインクジェット用インク。
【0034】
<7> 吐出時における粘度が、2mPa・s〜30mPa・sである前記<6>に記載のインクジェット用インク。
【0035】
<8> 25℃における表面張力が、20mN/m〜40mN/mである前記<6>又は<7>に記載のインクジェット用インク。
【0036】
<9> 前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物を支持体上に塗布して層を形成する工程と、
前記着色硬化性組成物により形成された層に対し、マスクを介して露光する工程と、
前記露光後に、現像してパターン像を形成する工程と、
を有するカラーフィルタの製造方法。
【0037】
<10> 更に、現像してパターン像を形成する工程の後、紫外線を照射する工程を有する前記<9>に記載のカラーフィルタの製造方法。
【0038】
<11> 隔壁により区画された凹部を有する基板を準備する工程と、
前記凹部に、インクジェット法によって、前記<6>〜<8>のいずれか1項に記載のインクジェット用インクの液滴を付与して、カラーフィルタの色画素を形成する工程と、
を有するカラーフィルタの製造方法。
【0039】
<12> 前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物を用いて形成されたカラーフィルタ。
【0040】
<13> 前記<6>〜<8>のいずれか1項に記載のインクジェット用インクを用いてインクジェット法により製造されるカラーフィルタ。
【0041】
<14> 前記<6>〜<8>のいずれか1項に記載のインクジェット用インクを用いて形成された色画素を備えるカラーフィルタ。
【0042】
<15> 前記<9>〜<11>のいずれか1項に記載のカラーフィルタの製造方法により製造されるカラーフィルタ。
【0043】
<16> 前記<12>〜<15>のいずれか1項に記載のカラーフィルタを備える固体撮像素子。
<17> 前記<12>〜<15>のいずれか1項に記載のカラーフィルタを備える液晶ディスプレイ。
<18> 前記<12>〜<15>のいずれか1項に記載のカラーフィルタを備える有機ELディスプレイ。
<19> 前記<12>〜<15>のいずれか1項に記載のカラーフィルタを備える画像表示デバイス。
【0044】
<20> 下記一般式(1)で表される色素化合物、及びそれらの互変異性体からなる群から選択される色素化合物。
【0045】
【化3】

【0046】
一般式(1)中、R〜Rは各々独立に、水素原子又は置換基を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。但し、R〜Rのいずれかの置換基が2価の連結基となって−L−又は−L−と結合しているか、R〜Rのいずれかの置換基が単結合となって、−L−又は−L−が直接ジピロメテン骨格に置換している。Maは、金属又は金属化合物を表す。Xは、Maの電荷の中和に必要な基を表し、XはMaに結合可能な基を表す。rは0又は1を表し、tは0、1又は2を表す。XとXは、互いに結合して5員、6員又は7員の環を形成していてもよい。Mは、水素原子、−COの電荷を中和するのに必要な有機塩基若しくは金属原子、又は単なるアニオン(即ちCOMはCOを表す)を表し、Lは、単結合又は(m+1)価の連結基を表す。mは1、2又は3を表し、pは1又は2を表す。Rは水素原子又はメチル基を表し、Qは酸素原子又はNR(Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基を表す)を表す。Lは単結合又は(n+1)価の連結基を表し、nは1、2又は3を表し、qは1又は2を表す。pが2のとき、複数の{(L)−(COM)m}は同一でも異なっていてもよい。qが2のとき、複数の{(L)−(Q−COC(R)=CH)n}は同一でも異なっていてもよい。mが2又は3のとき、複数の(COM)は同一でも異なっていてもよい。nが2又は3のとき、複数の(Q−COC(R)=CH)は同一でも異なっていてもよい。
【0047】
<21> 下記一般式(2)で表される色素化合物、及びそれらの互変異性体からなる群から選択される色素化合物。
【0048】
【化4】

【0049】
一般式(2)中、R〜Rは各々独立に、水素原子又は置換基を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、R10及びR11は、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アニリノ基、又はヘテロ環アミノ基を表す。但し、R〜R、R10、R11のいずれかの置換基が2価の連結基となって−L−又は−L−と結合しているか、R〜R、R10、R11のいずれかの置換基が単結合となって、−L−又は−L−が直接ジピロメテン骨格に置換している。Maは、金属又は金属化合物を表す。Xは、Maの電荷の中和に必要な基を表し、rは0又は1を表す。X、Xは各々独立に、NR(Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基を表す)、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表し、Y及びYは各々独立に、NR(Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基を表す)、又は酸素原子を表し、R10とYは、互いに結合して、5員、6員又は7員の環を形成していてもよく、R11とYとが互いに結合して5員、6員又は7員の環を形成していてもよい。Mは、水素原子、−COの電荷を中和するのに必要な有機塩基若しくは金属原子、又は単なるアニオン(即ちCOMはCOを表す)を表し、Lは、単結合又は(m+1)価の連結基を表す。mは1、2又は3を表し、pは1又は2を表す。Rは水素原子又はメチル基を表し、Qは酸素原子又はNR(Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基を表す)を表す。Lは単結合又は(n+1)価の連結基を表し、nは1、2又は3を表し、qは1又は2を表す。pが2のとき、複数の{(L)−(COM)m}は同一でも異なっていてもよい。qが2のとき、複数の{(L)−(Q−COC(R)=CH)n}は同一でも異なっていてもよい。mが2又は3のとき、複数の(COM)は同一でも異なっていてもよい。nが2又は3のとき、複数の(Q−COC(R)=CH)は同一でも異なっていてもよい。
【発明の効果】
【0050】
本発明によれば、色純度に優れ、薄層化が可能な高い吸光係数を有し、且つ堅牢性及びパターン形成性に優れた硬化膜を形成する着色硬化性組成物、レジスト液及びインクジェット用インクが提供される。
また、本発明によれば、色純度、堅牢性、パターン形成性に優れ、色移りを抑制したカラーフィルタ、画像素子、固体撮像素子、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ及び画像表示デバイスが提供される。
更に、本発明によれば、色純度、堅牢性、パターン形成性に優れ、色移りが抑制されたカラーフィルタの製造方法が提供される。
更に、本発明によれば、吸収特性に優れ、モル吸収光係数が高く、且つ必要性によっては現像性にも優れる色素が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下に、本発明の着色硬化性組成物、レジスト液及びインクジェット用インク、カラーフィルタ、カラーフィルタの製造方法、画像素子、固体撮像素子、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ及び画像表示デバイス、並びに色素について詳述する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【0052】
(1)着色硬化性組成物
本発明の着色硬化性組成物は、着色剤として、下記一般式(1)で表される化合物、及びそれらの互変異性体からなる群より選択される少なくとも1種を含有する。本発明の着色硬化性組成物は、光又は熱により硬化するものであればいずれであってもよく、感放射線性化合物や、重合性モノマーを更に含有することが好ましい。また、一般には更に溶剤を用いて構成することができ、必要に応じて更にバインダーや架橋剤など他の成分を用いて構成することができる。
【0053】
<一般式(1)で表される化合物>
本発明における一般式(1)で表される化合物について詳細に説明する。
【0054】
【化5】

【0055】
前記一般式(1)中、R〜Rは各々独立に、水素原子又は置換基を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。但し、R〜Rのいずれかの置換基が2価の連結基となって−L−又は−L−と結合しているか、R〜Rのいずれかの置換基が単結合となって、−L−又は−L−が直接ジピロメテン骨格に置換している。Maは、金属又は金属化合物を表す。Xは、Maの電荷の中和に必要な基を表し、XはMaに結合可能な基を表す。rは0又は1を表し、tは0、1又は2を表す。XとXは、互いに結合して5員、6員又は7員の環を形成していてもよい。Mは、水素原子、−COの電荷を中和するのに必要な有機塩基若しくは金属原子、又は単なるアニオン(即ちCOMはCOを表す)を表し、Lは、単結合又は(m+1)価の連結基を表す。mは1、2又は3を表し、pは1又は2を表す。Rは水素原子又はメチル基を表し、Qは酸素原子又はNR(Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基を表す)を表す。Lは単結合又は(n+1)価の連結基を表し、nは1、2又は3を表し、qは1又は2を表す。pが2のとき、複数の{(L)−(COM)m}は同一でも異なっていてもよい。qが2のとき、複数の{(L)−(Q−COC(R)=CH)n}は同一でも異なっていてもよい。mが2又は3のとき、複数の(COM)は同一でも異なっていてもよい。nが2又は3のとき、複数の(Q−COC(R)=CH)は同一でも異なっていてもよい。
【0056】
一般式(1)中のR〜Rは、各々独立に、水素原子、又は置換基を表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。
【0057】
一般式(I)中のR〜Rにおける置換基は、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24の、直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基で、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ドデシル、ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−ノルボルニル、1−アダマンチル)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜18のアルケニル基で、例えば、ビニル、アリル、3−ブテン−1−イル)、アリール基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリール基で、例えば、フェニル、ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル、4−ピリジル、2−フリル、2−ピリミジニル、1−ピリジル、2−ベンゾチアゾリル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリル、ベンゾトリアゾール−1−イル)、シリル基(好ましくは炭素数3〜38、より好ましくは炭素数3〜18のシリル基で、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリブチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−ヘキシルジメチルシリル)、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアルコキシ基で、例えば、メトキシ、エトキシ、1−ブトキシ、2−ブトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、ドデシルオキシ、シクロアルキルオキシ基で、例えば、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ、1−ナフトキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環オキシ基で、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のシリルオキシ基で、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ、ジフェニルメチルシリルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアシルオキシ基で、例えば、アセトキシ、ピバロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、ドデカノイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニルオキシ基で、例えば、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、シクロアルキルオキシカルボニルオキシ基で、例えば、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニルオキシ基で、例えば、フェノキシカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜48、よりこの好ましくは炭素数1〜24のカルバモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N−ブチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ、N−エチル−N−フェニルカルバモイルオキシ)、スルファモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のスルファモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジエチルスルファモイルオキシ、N−プロピルスルファモイルオキシ)、アルキルスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数1〜38、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルホニルオキシ基で、例えば、メチルスルホニルオキシ、ヘキサデシルスルホニルオキシ、シクロヘキシルスルホニルオキシ)、
【0058】
アリールスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルホニルオキシ基で、例えば、フェニルスルホニルオキシ)、アシル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアシル基で、例えば、ホルミル、アセチル、ピバロイル、ベンゾイル、テトラデカノイル、シクロヘキサノイル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、オクタデシルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルシクロヘキシルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のカルバモイル基で、例えば、カルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、Nーエチル−N−オクチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル、N−プロピルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N−メチルN−フェニルカルバモイル、N,N−ジシクロへキシルカルバモイル)、アミノ基(好ましくは炭素数32以下、より好ましくは炭素数24以下のアミノ基で、例えば、アミノ、メチルアミノ、N,N−ジブチルアミノ、テトラデシルアミノ、2−エチルへキシルアミノ、シクロヘキシルアミノ)、アニリノ基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは6〜24のアニリノ基で、例えば、アニリノ、N−メチルアニリノ)、ヘテロ環アミノ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは1〜18のヘテロ環アミノ基で、例えば、4−ピリジルアミノ)、カルボンアミド基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは2〜24のカルボンアミド基で、例えば、アセトアミド、ベンズアミド、テトラデカンアミド、ピバロイルアミド、シクロヘキサンアミド)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のウレイド基で、例えば、ウレイド、N,N−ジメチルウレイド、N−フェニルウレイド)、イミド基(好ましくは炭素数36以下、より好ましくは炭素数24以下のイミド基で、例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニルアミノ基で、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、オクタデシルオキシカルボニルアミノ、シクロヘキシルオキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニルアミノ基で、例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のスルホンアミド基で、例えば、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、ヘキサデカンスルホンアミド、シクロヘキサンスルホンアミド)、スルファモイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のスルファモイルアミノ基で、例えば、N、N−ジプロピルスルファモイルアミノ、N−エチル−N−ドデシルスルファモイルアミノ)、アゾ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のアゾ基で、例えば、フェニルアゾ、3−ピラゾリルアゾ)、
【0059】
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルチオ基で、例えば、メチルチオ、エチルチオ、オクチルチオ、シクロヘキシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールチオ基で、例えば、フェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環チオ基で、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2−ピリジルチオ、1−フェニルテトラゾリルチオ)、アルキルスルフィニル基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルフィニル基で、例えば、ドデカンスルフィニル)、アリールスルフィニル基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルフィニル基で、例えば、フェニルスルフィニル)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニル、イソプロピルスルホニル、2−エチルヘキシルスルホニル、ヘキサデシルスルホニル、オクチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニル)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルホニル基で、例えば、フェニルスルホニル、1−ナフチルスルホニル)、スルファモイル基(好ましくは炭素数32以下、より好ましくは炭素数24以下のスルファモイル基で、例えば、スルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−エチル−N−ドデシルスルファモイル、N−エチル−N−フェニルスルファモイル、N−シクロヘキシルスルファモイル)、スルホ基、ホスホニル基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のホスホニル基で、例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、ホスフィノイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のホスフィノイルアミノ基で、例えば、ジエトキシホスフィノイルアミノ、ジオクチルオキシホスフィノイルアミノ)、カルボキシル基を表す。
【0060】
一般式(1)中のR〜Rの置換基が更に置換可能な基である場合には、R〜Rで説明した置換基を有していてもよく、2個以上の置換基を有している場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0061】
一般式(1)中のRとR、RとR、RとR、又は/及びRとR、は各々独立に互いに結合して5員、6員又は7員の飽和環、又は不飽和環を形成していてもよい。
一般式(1)中のRとR、RとR、RとR、又は/及びRとRが、各々独立に、互いに結合して、置換基を有しない5員、6員、又は7員の飽和環、又は不飽和環を形成する場合、置換基を有しない5員、6員、又は7員の飽和環、又は不飽和環としては、例えば、ピロール環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピロリジン環、ピペリジン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環が挙げられ、好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環が挙げられる。
【0062】
上記5員、6員及び7員の環が、更に置換可能な基である場合には、前記R〜Rで説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0063】
但し、一般式(1)では、R〜Rのいずれかの置換基が2価の連結基となって−L−又は−L−と結合しているか、R〜Rのいずれかの置換基が単結合となって、−L−又は−L−が直接ジピロメテン骨格に置換している。
【0064】
2価の連結基としてのR〜Rは、上記R〜Rとして挙げた1価の置換基において、任意の水素原子が1つ外れた2価の置換基が挙げられる。例えば、R〜Rのいずれかの置換基がアルキル基であって、当該置換基が−L−又は−L−と結合している場合には、アルキレン基を表す。また、アリール基であればアリーレン基を表す。
【0065】
一般式(1)において、−L−が結合する部位は、R〜Rの少なくとも1つであり、合成適合性の観点で、R、R、R及びRの少なくとも1つであることがより好ましく、R及びRの少なくとも1つであることが更に好ましい。
一般式(1)において、−L−が結合する部位は、R〜Rの少なくとも1つであり、合成適合性の観点で、R、R、R及びRの少なくとも1つであることがより好ましく、R及びRの少なくとも1つであることが更に好ましい。
【0066】
前記R及びRとしては、上記のなかでも、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、アニリノ基、ヘテロ環アミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、もしくはホスフィノイルアミノ基、又は単結合となって−L−もしくは−L−が直接ジピロメテン骨格に置換するか、これらの置換基が2価の連結基となって−L−もしくは−L−と結合している場合が好適である。
【0067】
前記R及びRとしてより好適には、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ヘテロ環アミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はホスフィノイルアミノ基、又は単結合となって−L−又は−L−が直接ジピロメテン骨格に置換するか、これらの置換基が2価の連結基となって−L−又は−L−と結合している場合である。
【0068】
前記R及びRとして更に好適には、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基、ヘテロ環アミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はホスフィノイルアミノ基、又は単結合となって−L−又は−L−が直接ジピロメテン骨格に置換するか、これらの置換基が2価の連結基となって−L−又は−L−と結合している場合である。
【0069】
前記R及びRとしては、上記のなかでも、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルボキシル基又はスルファモイル基が好適である。
【0070】
前記R及びRとしてより好適には、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルボキシル基又はスルファモイル基であり、更に好適には、各々独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、カルボキシル基又はアリールスルホニル基である。
【0071】
前記R及びRとして特に好適には、下記置換基のいずれか1つの場合である。
【0072】
【化6】

【0073】
【化7】



【0074】
【化8】



【0075】
【化9】



【0076】
上記置換基中、**はジピロメテン骨格と連結する位置を表す。
【0077】
前記RとRとは、同一でも異なっていてもよいが、合成上の観点から、同一であることが好ましい。
【0078】
前記R及びRとしては、上記のなかでも、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アニリノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、又はホスフィノイルアミノ基が好適である。
【0079】
前記R及びRとしてより好適には、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基である。更に好適には、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基であり、特に好適には、各々独立に、アルキル基、又はアリール基であり、アルキル基、アリール基、及びヘテロ環基は置換されていても無置換でもよい。
アルキル基、アリール基、及びヘテロ環基としては、具体的には以下の基が好ましい。なお、以下の各基は置換されていても無置換でもよい。
【0080】
前記アルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基)であり、より好ましくは、炭素数1〜12の分岐鎖、又は環状のアルキル基(例えば、イソプロピル基、シクロプロピル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基)であり、更に好ましくは、炭素数1〜12の2級又は3級のアルキル基(例えば、イソプロピル基、シクロプロピル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基)である。
【0081】
前記アリール基としては、好ましくは、フェニル基又はナフチル基であり、より好ましくは、フェニル基である。
【0082】
前記ヘテロ環基としては、好ましくは、2−チエニル基、4−ピリジル基、2−フリル基、2−ピリミジニル基、1−ピリジル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、又はベンゾトリアゾール−1−イル基であり、より好ましくは、2−チエニル基、4−ピリジル基、2−フリル基、2−ピリミジニル基、又は1−ピリジル基である。
【0083】
前記RとRとは、同一でも異なっていてもよいが、合成上の観点から、同一であることが好ましい。
【0084】
一般式(1)中のRは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、前記R〜Rの置換基で説明したハロゲン原子、アルキル基、アリール基、及びヘテロ環基と同じ基を表し、その好ましい範囲も同様である。
のアルキル基、アリール基、及びヘテロ環基が、更に置換可能な基である場合には、前記R〜Rの置換基で説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0085】
前記Rとして特に好適には、水素原子である。
【0086】
一般式(1)中、Maは、金属又は金属化合物を表す。Maで表される金属又は金属化合物としては、錯体を形成可能な金属又は金属化合物であればいずれであってもよく、2価の金属原子、2価の金属酸化物、2価の金属水酸化物、又は2価の金属塩化物が含まれる。
例えば、Maとしては、Zn、Mg、Si、Sn、Rh、Pt、Pd、Mo、Mn、Pb、Cu、Ni、Co、Fe等の他に、AlCl、InCl、FeCl、TiCl、SnCl、SiCl、GeClなどの金属塩化物、TiO、V=O等の金属酸化物、Si(OH)等の金属水酸化物も含まれる。
【0087】
Maとしては、これらの中でも、錯体の安定性、分光特性、耐熱、耐光性、及び製造適性等の観点から、Fe、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Mo、Mn、Cu、Ni、Co、TiO、又はVOが好ましく、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Cu、Ni、Co、又はVOがより好ましく、Fe、Zn、Cu、Co、又はV=Oが更に好ましく、Znが最も好ましい。
【0088】
なお、一般式(1)で表される化合物は、互変異性体であってもよい。
【0089】
一般式(1)中、Xは、Maに結合可能な基であればいずれであってもよく、具体的には、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール)等、更に「金属キレート」[1]坂口武一・上野景平著(1995年 南江堂)、同[2](1996年)、同[3](1997年)等、に記載の化合物が挙げられる。中でも、製造の点で、水、カルボン酸化合物、アルコール類が好ましく、水、カルボン酸化合物がより好ましい。
【0090】
前記一般式(1)中、Xは、Maの電荷を中和に必要な基を表し、例えば、ハロゲン原子、水酸基、カルボン酸基、燐酸基、スルホン酸基等が挙げられる。中でも、製造の点で、ハロゲン原子、水酸基、カルボン酸基、スルホン酸基が好ましく、水酸基、カルボン酸基がより好ましい。
【0091】
前記一般式(1)中、XとXは、互いに結合して、Maとともに5員、6員、又は7員の環を形成してもよい。形成される5員、6員、及び7員の環は、飽和環であっても不飽和環であっても良い。また、5員、6員、及び7員の環は、炭素原子のみで構成されていても良く、窒素原子、酸素原子、又は/及び硫黄原子から選ばれる原子を少なくとも1個有するヘテロ環を形成していてもよい。
【0092】
前記一般式(1)中、rは0又は1を表し、tは0、1又は2を表す。
【0093】
前記一般式(1)中、Mは、水素原子、−COの電荷を中和するのに必要な有機塩基若しくは金属原子、又は単なるアニオン(即ちCOMはCOを表す)を表す。
これらの中でも、Mとしては、水素原子又は単なるアニオン(即ちCOMはCOを表す)であることがより好適である。
【0094】
前記一般式(1)中、Lは、単結合又は(m+1)価の連結基を表す。
で表される(m+1)価の連結基としては、炭素数1〜10のアルキル基(以下、Lの基の例示では、当該基から水素原子が1個〜m個外れた基を意味する。例えば、アルキル基と例示した場合には、2価のアルキレン基(m=1)、3価のアルカントリイル基(m=2)、4価のアルカンテトライル基(m=3)を含むものとする。)、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜10のアルキルチオエーテル基、炭素数6〜12のアリールチオエーテル基、炭素数1〜10のアルキルエーテル基、炭素数6〜12のアリールエーテル基、炭素数1〜10のアルキルアミノ基、炭素数6〜12のアリールアミノ基、炭素数1〜10のアルキルアミド基、炭素数6〜12のアリールアミド基、炭素数1〜10のアルキルカルバモイル基、炭素数6〜12のアリールカルバモイル基、炭素数1〜10のアルキルスルホンアミド基、炭素数6〜12のアリールスルホンアミド基、炭素数1〜10のアルキルスルファモイル基、炭素数6〜12のアリールスルファモイル基であり、具体的には以下のような例が挙げられる。
【0095】
【化10】



【0096】
【化11】



【0097】
【化12】



【0098】
【化13】



【0099】
【化14】



【0100】
【化15】



【0101】
【化16】



【0102】
【化17】



【0103】
【化18】



【0104】
として好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜10のアルキルチオエーテル基、炭素数6〜12のアリールチオエーテル基、炭素数1〜10のアルキルエーテル基、炭素数6〜12のアリールエーテル基、炭素数1〜10のアルキルアミノ基、炭素数6〜12のアリールアミノ基、炭素数1〜10のアルキルアミド基、炭素数6〜12のアリールアミド基、炭素数1〜10のアルキルスルホンアミド基、炭素数6〜12のアリールスルホンアミド基であり、具体的には以下のような例が挙げられる。
【0105】
【化19】



【0106】
【化20】



【0107】
【化21】



【0108】
【化22】

【0109】
【化23】



【0110】
【化24】

【0111】
【化25】

【0112】
【化26】

【0113】
【化27】

【0114】
としてより好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜10のアルキルチオエーテル基、炭素数6〜12のアリールチオエーテル基、炭素数1〜10のアルキルエーテル基、炭素数6〜12のアリールエーテル基、炭素数1〜10のアルキルアミノ基、炭素数6〜12のアリールアミノ基、炭素数1〜10のアルキルアミド基、炭素数6〜12のアリールアミド基、炭素数1〜10のアルキルスルホンアミド基、炭素数6〜12のアリールスルホンアミド基であり、具体的には以下のような例が挙げられる。
【0115】
【化28】

【0116】
【化29】

【0117】
【化30】

【0118】
【化31】



【0119】
【化32】



【0120】
【化33】



【0121】
【化34】



【0122】
【化35】

【0123】
【化36】

【0124】
として更に好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜10のアルキルチオエーテル基、炭素数6〜12のアリールチオエーテル基、炭素数1〜10のアルキルエーテル基、炭素数6〜12のアリールエーテル基、炭素数1〜10のアルキルアミノ基、炭素数6〜12のアリールアミノ基、炭素数1〜10のアルキルアミド基、炭素数6〜12のアリールアミド基、炭素数1〜10のアルキルスルホンアミド基、炭素数6〜12のアリールスルホンアミド基であり、具体的には以下のような例が挙げられる。
【0125】
【化37】

【0126】
【化38】

【0127】
【化39】

【0128】
【化40】

【0129】
【化41】

【0130】
【化42】

【0131】
【化43】

【0132】
としてより好適には、下記連結基のいずれか1つである。
【0133】
【化44】

【0134】
【化45】

【0135】
【化46】

【0136】
【化47】

【0137】
【化48】

【0138】
上記連結基中、*は−COOMとの連結位置を表し、**はR〜Rのいずれかの置換基を介して又は直接にジピロメテン骨格と連結する位置を表す。
【0139】
前記一般式(1)中、mは1、2又は3を表し、好適には、1又は2であり、より好適には、2である。
【0140】
前記一般式(1)中、pは1又は2を表し、好適には、1である。
【0141】
前記一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。
【0142】
前記一般式(1)中、Qは酸素原子又はNR(Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基を表す)を表す。
【0143】
前記一般式(1)中、Lは単結合又は(n+1)価の連結基を表す。
で表される(n+1)価の連結基としては、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜10のアルキルチオエーテル基、炭素数6〜12のアリールチオエーテル基、炭素数1〜10のアルキルエーテル基、炭素数6〜12のアリールエーテル基、炭素数1〜10のアルキルアミノ基、炭素数6〜12のアリールアミノ基、炭素数1〜10のアルキルアミド基、炭素数6〜12のアリールアミド基、炭素数1〜10のアルキルカルバモイル基、炭素数6〜12のアリールカルバモイル基、炭素数1〜10のアルキルスルホンアミド基、炭素数6〜12のアリールスルホンアミド基、炭素数1〜10のアルキルスルファモイル基、炭素数6〜12のアリールスルファモイル基であり、具体的には以下のような例が挙げられる。
【0144】
【化49】

【0145】
【化50】

【0146】
【化51】

【0147】
【化52】

【0148】
【化53】

【0149】
として好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜10のアルキルチオエーテル基、炭素数6〜12のアリールチオエーテル基、炭素数1〜10のアルキルエーテル基、炭素数6〜12のアリールエーテル基、炭素数1〜10のアルキルアミノ基、炭素数6〜12のアリールアミノ基、炭素数1〜10のアルキルアミド基、炭素数6〜12のアリールアミド基、炭素数1〜10のアルキルスルホンアミド基、炭素数6〜12のアリールスルホンアミド基であり、具体的には以下のような例が挙げられる。
【0150】
【化54】



【0151】
【化55】

【0152】
【化56】

【0153】
【化57】

【0154】
【化58】

【0155】
としてより好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜10のアルキルチオエーテル基、炭素数6〜12のアリールチオエーテル基、炭素数1〜10のアルキルエーテル基、炭素数6〜12のアリールエーテル基、炭素数1〜10のアルキルアミノ基、炭素数6〜12のアリールアミノ基、炭素数1〜10のアルキルアミド基、炭素数6〜12のアリールアミド基、炭素数1〜10のアルキルスルホンアミド基、炭素数6〜12のアリールスルホンアミド基であり、具体的には以下のような例が挙げられる。
【0156】
【化59】

【0157】
【化60】

【0158】
【化61】

【0159】
【化62】

【0160】
として更に好ましくは、炭素数1〜10アルキル基、炭素数6〜12アリール基、炭素数1〜10アルキルチオエーテル基、炭素数6〜12アリールチオエーテル基、炭素数1〜10アルキルエーテル基、炭素数6〜12アリールエーテル基、炭素数1〜10アルキルアミノ基、炭素数6〜12アリールアミノ基、炭素数1〜10アルキルアミド基、炭素数6〜12アリールアミド基、炭素数1〜10アルキルスルホンアミド基、炭素数6〜12アリールスルホンアミド基であり、具体的には以下のような例が挙げられる。
【0161】
【化63】

【0162】
【化64】

【0163】
【化65】

【0164】
としてより好適には、下記連結基のいずれか1つである。
【0165】
【化66】

【0166】
【化67】

【0167】
【化68】

【0168】
上記連結基中、*は−Q−との連結位置を表し、**はR〜Rのいずれかの置換基を介して又は直接にジピロメテン骨格と連結する位置を表す。
【0169】
前記一般式(1)中、nは1、2又は3を表し、好適には、2又は3であり、より好適には2である。
【0170】
前記一般式(1)中、qは1又は2を表し、好適には1である。
【0171】
前記一般式(1)において、pが2のとき、複数の{(L)−(COM)m}は同一でも異なっていてもよい。また、qが2のとき、複数の{(L)−(Q−COC(R)=CH)n}は同一でも異なっていてもよい。mが2又は3のとき、複数の(COM)は同一でも異なっていてもよい。nが2又は3のとき、複数の(Q−COC(R)=CH)は同一でも異なっていてもよい。
【0172】
前記一般式(1)において、−(L)−(COM)mで表される基としては、好適には、下記置換基である。
【0173】
【化69】

【0174】
【化70】

【0175】
【化71】

【0176】
【化72】

【0177】
【化73】

【0178】
【化74】

【0179】
上記置換基中、**はR〜Rのいずれかの置換基を介して又は直接にジピロメテン骨格と連結する位置を表す。
【0180】
前記一般式(1)において、−(L)−(Q−COC(R)=CH)nで表される基としては、好適には、下記置換基である。
【0181】
【化75】

【0182】
【化76】

【0183】
【化77】

【0184】
【化78】

【0185】
【化79】

【0186】
【化80】

【0187】
【化81】

【0188】
【化82】

【0189】
【化83】

【0190】
上記置換基中、**はR〜Rのいずれかの置換基を介して又は直接にジピロメテン骨格と連結する位置を表す。
【0191】
一般式(1)で表される化合物は、効果的に本発明の効果を奏しうる観点で、一般式(2)で表される化合物である場合が、特に好ましい。
【0192】
<一般式(2)で表される化合物>
前記一般式(1)で表される化合物としては、下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
【0193】
【化84】

【0194】
一般式(2)中、R〜Rは各々独立に、水素原子又は置換基を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、R10及びR11は、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アニリノ基、又はヘテロ環アミノ基を表す。但し、R〜R、R10、R11のいずれかの置換基が2価の連結基となって−L−又は−L−と結合しているか、R〜R、R10、R11のいずれかの置換基が単結合となって、−L−又は−L−が直接ジピロメテン骨格に置換している。Maは、金属又は金属化合物を表す。Xは、Maの電荷の中和に必要な基を表し、rは0又は1を表す。X、Xは各々独立に、NR(Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基を表す)、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表し、Y及びYは各々独立に、NR(Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基を表す)、又は酸素原子を表し、R10とYは、互いに結合して、5員、6員又は7員の環を形成していてもよく、R11とYとが互いに結合して5員、6員又は7員の環を形成していてもよい。Mは、水素原子、−COの電荷を中和するのに必要な有機塩基若しくは金属原子、又は単なるアニオン(即ちCOMはCOを表す)を表し、Lは、単結合又は(m+1)価の連結基を表す。mは1、2又は3を表し、pは1又は2を表す。Rは水素原子又はメチル基を表し、Qは酸素原子又はNR(Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基を表す)を表す。Lは単結合又は(n+1)価の連結基を表し、nは1、2又は3を表し、qは1又は2を表す。pが2のとき、複数の{(L)−(COM)m}は同一でも異なっていてもよい。qが2のとき、複数の{(L)−(Q−COC(R)=CH)n}は同一でも異なっていてもよい。mが2又は3のとき、複数の(COM)は同一でも異なっていてもよい。nが2又は3のとき、複数の(Q−COC(R)=CH)は同一でも異なっていてもよい。
【0195】
一般式(2)中、R〜Rは、一般式(1)におけるR〜Rとそれぞれ同義であり、好適な範囲も同様である。
【0196】
一般式(2)中、Rは、一般式(1)におけるRと同義であり、好適な範囲も同様である。
【0197】
一般式(2)中、R10及びR11は、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アニリノ基、又はヘテロ環アミノ基を表す。
これらのなかでも前記R10及びR11としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又はヘテロ環アミノ基が好ましく、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、又はアリールオキシ基がより好ましい。
【0198】
但し、一般式(2)中、R〜R、R10、R11のいずれかの置換基が2価の連結基となって−L−又は−L−と結合しているか、R〜R、R10、R11のいずれかの置換基が単結合となって、−L−又は−L−が直接ジピロメテン骨格に置換している。
一般式(2)において、−L−が結合する部位は、合成適合性の観点で、R、R、R10及びR11の少なくとも1つであることがより好ましく、R10及びR11の少なくとも1つであることが更に好ましい。
一般式(2)において、−L−が結合する部位は、合成適合性の観点で、R、R、R10及びR11の少なくとも1つであることがより好ましく、R10及びR11の少なくとも1つであることが更に好ましい。
【0199】
一般式(2)中、Ma、X、r、M、L、m、p、R、Q、L、n、及びqは、それぞれ一般式(1)におけるMa、X、r、M、L、m、p、R、Q、L、n、及びqと同義であり、好適な範囲も同様である。
【0200】
一般式(2)中、X及びXは各々独立に、NR(Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基を表す)、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表す。
これらのなかでも前記X及びXとしては、NR(Rは水素原子、アルキル基、又はアルケニル基を表す)、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子が好ましく、NR(Rは水素原子を表す)、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子がより好ましい。
【0201】
一般式(2)中、Y及びYは各々独立に、NR(Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基を表す)、又は酸素原子を表す。
これらのなかでも前記Y及びYとしては、NR(Rは水素原子、アルキル基、又はアルケニル基を表す)又は酸素原子が好ましく、NR(Rは水素原子を表す)又は酸素原子がより好ましい。
【0202】
一般式(2)中、R10とYは、互いに結合して、5員、6員又は7員の環を形成していてもよく、R11とYとが互いに結合して5員、6員又は7員の環を形成していてもよい。これらの5員、6員又は7員の環としては、上記で説明した環が挙げられる。
【0203】
前記一般式(2)で表される化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、これらの置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
【0204】
以下に、前記一般式(1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0205】
【化85】



【0206】
【化86】

【0207】
【化87】

【0208】
【化88】

【0209】
【化89】

【0210】
【化90】

【0211】
【化91】

【0212】
【化92】

【0213】
【化93】

【0214】
【化94】

【0215】
【化95】

【0216】
【化96】

【0217】
【化97】

【0218】
【化98】

【0219】
【化99】

【0220】
【化100】

【0221】
【化101】

【0222】
上記例示化合物の中でも、現像性の観点からは、例示化合物a−5〜a−8、a−13〜a−48、b−5〜b−8、b−13〜b−48、c−5〜c−8、c−13〜c−48、d−1〜d−38、e−1〜e−6、e−9、e−10が好ましく、b−5〜b−8、b−13〜b−48、c−5〜c−8、c−13〜c−48、d−1〜d−16、e−3〜e−6、e−9、e−10がより好ましい。
【0223】
これらの色素化合物は、前出の特許文献8(特開2008−292970号公報)などに記載の方法に準じて容易に合成することができる。また、後述の実施例における合成例を参照し、原料化合物を選択することにより、同様にして合成することができる。
【0224】
前記式(1)で表される色素化合物の着色硬化性組成物中における総濃度は、分子量及びモル吸光係数によって異なるが、該組成物の全固形成分に対して、0.5〜80質量%が好ましく、0.5〜70質量%がより好ましく、1〜70質量%が特に好ましい。
【0225】
本発明の着色硬化性組成物からカラーフィルタを製造する方法については、特に限定されないが、フォトリソ法やインクジェット法が好ましく用いられる。
まず、フォトリソ法で好ましく使用される着色硬化性組成物について説明する。
【0226】
<バインダー>
フォトリソ法に用いられる着色硬化性組成物は、バインダーの少なくとも一種を含有することが好ましい。前記バインダーとしては、アルカリ可溶性であれば特には限定されないが、耐熱性、現像性、入手性等の観点から選ばれることが好ましい。
アルカリ可溶性のバインダーとしては、線状有機高分子重合体で、有機溶剤に可溶性で弱アルカリ水溶液で現像できるものが好ましい。このような線状有機高分子重合体としては、前出の特許文献8の段落番号[0227]〜[0234]段落に記載の重合体が挙げられる。
【0227】
上述したもののほかに、本発明におけるアルカリ可溶性バインダーとしては、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等や、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、ポリ(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、等も有用である。また、線状有機高分子重合体は、親水性を有するモノマーを共重合したものであってもよい。この例としては、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、2級若しくは3級のアルキルアクリルアミド、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルイミダゾール、ビニルトリアゾール、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、分岐若しくは直鎖のプロピル(メタ)アクリレート、分岐若しくは直鎖のブチル(メタ)アクリレート、又は、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。その他、親水性を有するモノマーとしては、テトラヒドロフルフリル基、燐酸基、燐酸エステル基、4級アンモニウム塩基、エチレンオキシ鎖、プロピレンオキシ鎖、スルホン酸基及びその塩由来の基、モルホリノエチル基等を含んでなるモノマー等も有用である。
【0228】
また、アルカリ可溶性バインダーは、架橋効率を向上させるために、重合性基を側鎖に有してもよく、例えば、アリル基、(メタ)アクリル基、アリルオキシアルキル基等を側鎖に含有するポリマー等も有用である。上述の重合性基を含有するポリマーの例としては、ダイヤナ−ルNRシリーズ(三菱レイヨン株式会社製)、Photomer6173(COOH含有 polyurethane acrylic oligomer. Diamond Shamrock Co.Ltd.,製)、ビスコートR−264、KSレジスト106(いずれも大阪有機化学工業株式会社製)、サイクロマーPシリーズ、プラクセル CF200シリーズ(いずれもダイセル化学工業株式会社製)、Ebecryl3800(ダイセルサイテック株式会社製)などが挙げられる。
また、硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロルヒドリンとのポリエーテル等も有用である。
【0229】
アルカリ可溶性バインダーとしては、下記式(3)で示される化合物(以下「エーテルダイマー」と称することもある。)を重合してなるポリマー(a)を用いることも好ましい。
【0230】
【化102】

【0231】
前記式(3)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、または置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基を表す。
【0232】
本発明の着色硬化性組成物が前記ポリマー(a)を含有することにより、該組成物を用いて形成された硬化塗膜の耐熱性及び透明性がより向上する。
前記エーテルダイマーを示す前記式(3)中、RおよびRで表される置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基としては特に制限はないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、t−アミル基、ステアリル基、ラウリル基、2−エチルヘキシル基、等の直鎖状または分岐状のアルキル基;フェニル基等のアリール基;シクロヘキシル基、t−ブチルシクロヘキシル基、ジシクロペンタジエニル基、トリシクロデカニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、2−メチル−2−アダマンチル基、等の脂環式基;1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、等のアルコキシで置換されたアルキル基;ベンジル基等のアリール基で置換されたアルキル基;等が挙げられる。
これらの中でも特に、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基等のような酸や熱で脱離しにくい1級または2級炭素を含む基が耐熱性の点で好ましい。
なお、RおよびRは、同種の置換基であってもよいし、異なる置換基であってもよい。
【0233】
前記エーテルダイマーの具体例としては、例えば、ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−プロピル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソプロピル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−ブチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソブチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−アミル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ステアリル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ラウリル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−エチルヘキシル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−メトキシエチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−エトキシエチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジフェニル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチルシクロヘキシル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ジシクロペンタジエニル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(トリシクロデカニル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソボルニル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジアダマンチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−メチル−2−アダマンチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート等が挙げられる。これらの中でも特に、ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエートが好ましい。これらエーテルダイマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0234】
また、アルカリ可溶性バインダーとしては、エポキシ基を有するポリマーであることも好ましい。
アルカリ可溶性バインダーにエポキシ基を導入するには、例えば、エポキシ基を有するモノマー(以下「エポキシ基を導入するための単量体」と称することもある。)を、単量体成分として重合すればよい。前記エポキシ基を有するモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−(またはm−、またはp−)ビニルベンジルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらエポキシ基を導入するための単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。アルカリ可溶性バインダーを得る際の単量体成分が前記エポキシ基を導入するための単量体をも含む場合、その含有割合は、特に制限されないが、全単量体成分中5〜70質量%、好ましくは10〜60質量%であるのがよい。
【0235】
アルカリ可溶性バインダーは、酸基を有するポリマーであることも好ましい。
前記酸基としては、特に制限されないが、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、カルボン酸無水物基等が挙げられる。これら酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。アルカリ可溶性バインダーに酸基を導入するには、例えば、酸基を有するモノマーおよび/または重合後に酸基を付与しうるモノマー(以下「酸基を導入するための単量体」と称することもある。)を、単量体成分として重合するようにすればよい。
なお、重合後に酸基を付与しうるモノマーを単量体成分として酸基を導入する場合には、重合後に例えば後述するような酸基を付与するための処理が必要となる。
前記酸基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸やイタコン酸等のカルボキシル基を有するモノマー、N−ヒドロキシフェニルマレイミド等のフェノール性水酸基を有するモノマー、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸無水物基を有するモノマー等が挙げられるが、これらの中でも特に、(メタ)アクリル酸が好ましい。
前記重合後に酸基を付与しうるモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノマー、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有するモノマー、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基を有するモノマー等が挙げられる。これら酸基を導入するための単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
重合後に酸基を付与しうるモノマーを用いる場合において、重合後に酸基を付与するための処理としては、ポリマー側鎖の極性基の一部を、ポリマー反応により変性する処理が挙げられる。
【0236】
これら各種アルカリ可溶性バインダーの中でも、耐熱性の観点からは、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましく、現像性制御の観点からは、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。
【0237】
前記アクリル系樹脂としては、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド等から選ばれるモノマーからなる共重合体や、市販品のKSレジスト−106(大阪有機化学工業(株)製)、サイクロマーPシリーズ(ダイセル化学工業(株)製)等が好ましい。
【0238】
バインダーの着色硬化性組成物中における含有量は、該着色硬化性組成物中の固形分に対して0.1質量%〜50質量%が好ましく、0.1質量%〜40質量%がさらに好ましく、0.1質量%〜30質量%が特に好ましい。
【0239】
<架橋剤>
本発明の着色硬化性組成物は、着色剤として一般式(1)で表される化合物及びそれらの互変異性体から選択される少なくとも一種を含有し、従来との比較において、より色純度に優れ、薄層化可能な高い吸光係数を有し、且つ堅牢性に優れるものとすることができるが、これに更に補足的に架橋剤を用いることによって、より高度に硬化させた膜が得られるように構成することも可能である。
【0240】
架橋剤としては、架橋反応によって膜硬化を行なえるものであれば特に限定はなく、例えば、前出の特許文献8の段落番号[0237]〜[0253]に記載の架橋剤が挙げられる。
【0241】
架橋剤を含有する場合、該組成物の全固形分(質量)に対して、1〜70質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましく、7〜30質量%が特に好ましい。該含有量が前記範囲内であると、充分な硬化度と未露光部の溶出性とを保持でき、露光部の硬化度が不足したり、未露光部の溶出性が著しく低下することを防ぐことができる。
【0242】
<重合性モノマー>
本発明の着色硬化性組成物は、重合性モノマーの少なくとも一種を含有することによって好適に構成することができる。重合性モノマーは、着色硬化性組成物をネガ型に構成する場合に主として含まれる。
尚、後述のナフトキノンジアジド化合物を含有するポジ型の系に、後述の光重合開始剤と共に含有でき、この場合には形成されるパターンの硬化度をより促進させることができる。以下、重合性モノマーについて説明する。
【0243】
重合性モノマーとしては、具体的には、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られているものであり、本発明においてはこれらを特に限定なく用いることができる。本発明における重合性モノマーは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0244】
重合性モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)やそのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、及び不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類である。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物や、単官能若しくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更に、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
これらの具体的な化合物としては、特開2009−288705号公報の段落番号[0095]〜[0108]に記載されている化合物を本発明においても好適に用いることができる。
【0245】
また、重合性モノマーとして、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン基を有する、常圧下で100℃以上の沸点を持つエチレン性不飽和基を持つ化合物も好ましい。その例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号の各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号の各公報に記載されているポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタアクリレート及びこれらの混合物を挙げることができる。
上記の中でも、特に、分子中にアクリロイル基を3個以上有するアクリル化合物が好ましい。
【0246】
また、常圧下で100℃以上の沸点を有し、少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和基を持つ化合物としては、特開2008−292970号公報の段落番号[0254]〜[0257]、及び特開2009−13206号公報の段落[0054]〜[0068]に記載の化合物も好適な例である。
【0247】
上記のほか、下記の一般式(MO−1)〜(MO−5)で表されるラジカル重合性モノマーも好適に用いることができる。
【0248】
【化103】

【0249】
前記一般式(MO−1)〜(MO−5)において、R、T、Zはそれぞれ以下の置換基または連結基を表し、nは0〜14の整数を表す。下記R、T、及びZにおいて、mは1〜8の整数を表す。一分子内に複数存在するR、Tはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。なお、式中、Tがオキシアルキレン基の場合には、炭素原子側の末端がRに結合する。
【0250】
【化104】

【0251】
上記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表されるラジカル重合性モノマーの具体例としては、特開2007−269779号公報の段落番号0248〜0251に記載されている化合物を本発明においても好適に用いることができる。
【0252】
重合性モノマーの着色硬化性組成物中における含有量は、該着色硬化性組成物中の固形分に対して0.1質量%〜90質量%が好ましく、1.0質量%〜80質量%がさらに好ましく、2.0質量%〜70質量%が特に好ましい。
【0253】
着色硬化性組成物中、前記一般式(1)で表される化合物と、重合性モノマーとの含有質量比(一般式(1)で表される化合物:重合性モノマー)は、薄層化観点から、1:2〜20:1であることが好ましく、1:1〜20:1であることがより好ましい。
【0254】
<感放射線性化合物>
本発明の着色硬化性組成物は、感放射線性化合物の少なくとも一種を含有することにより好適に構成することができる。感放射線性化合物は、400nm以下のUV光に対し、ラジカル発生、酸発生、塩基発生などの化学反応を起こし得る化合物であるが、上記のバインダーを架橋、重合、酸性基の分解などの反応により不溶化させたり、塗膜中に共存する重合性モノマーやオリゴマーの重合、架橋剤の架橋などを起こすことで塗膜をアルカリ現像液に対して不溶化させる目的で用いられる。
【0255】
着色硬化性組成物が、特に、ネガ型に構成される場合には光重合開始剤を含有するのが好適であり、ポジ型を構成する場合にはナフトキノンジアジド化合物を含有すことが好適である。
【0256】
(光重合開始剤)
次に、本発明の着色硬化性組成物が、ネガ型の組成物である場合に含まれる光重合開始剤について説明する。
光重合開始剤は前記重合性モノマーを重合させられるものであれば特に限定されないが、特性、開始効率、吸収波長、入手性、コスト等の観点で選ばれることが好ましい。
尚、上記のナフトキノンジアジド化合物を含有するポジ型の系に更に含有してもよく、この場合には形成されるパターン硬化度をより促進させることができる。
それらの光重合開始剤、及びナフトキノンジアジド化合物の例としては、前出の特許文献8の段落番号[0260]〜[0271]段落に記載の化合物が挙げられる。
【0257】
また、光重合開始剤としては、例えば、ハロメチルオキサジアゾール化合物及びハロメチル−s−トリアジン化合物から選択される少なくとも1つの活性ハロゲン化合物、3−アリール置換クマリン化合物、ロフィン2量体、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物及びその誘導体、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体及びその塩、オキシム系化合物、等が挙げられる。光重合開始剤の具体例については、特開2004−295116号公報の段落[0070]〜[0077]に記載のものが挙げられる。中でも、重合反応が迅速である点等から、オキシム系化合物が好ましい。
【0258】
前記オキシム系化合物(以下、「オキシム系光重合開始剤」ともいう。)としては、特に限定はなく、例えば、特開2000−80068号公報、WO02/100903A1、特開2001−233842号公報等に記載のオキシム系化合物が挙げられる。
具体的な例としては、2−(o−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(o−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ペンタンジオン、2−(o−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ヘキサンジオン、2−(o−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ヘプタンジオン、2−(o−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン、2−(o−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(o−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(エチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(o−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(ブチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、1−(o−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(o−アセチルオキシム)−1−[9−メチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(o−アセチルオキシム)−1−[9−プロプル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(o−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(o−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−ブチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノンなどが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
【0259】
これらのうち、より少ない露光量で形状(特に、固体撮像素子の場合はパターンの矩形性)の良好なパターンが得られる点で、2−(o−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン、1−(o−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン等のオキシム−o−アシル系化合物が特に好ましく、具体的には、例えば、CGI−124、CGI−242(以上、BASFジャパン製)等が挙げられる。
【0260】
また、本発明においては、感度、経時安定性、後加熱時の着色の観点から、オキシム系化合物として、下記式(1)又は式(2)で表される化合物がより好ましい。
【0261】
【化105】

【0262】
上記式(1)及び式(2)中、R及びXは、各々独立に、1価の置換基を表し、Aは、2価の有機基を表し、Arは、アリール基を表す。nは、1〜5の整数である。
【0263】
前記Rとしては、高感度化の点から、アシル基が好ましく、具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基、トルイル基が好ましい。
【0264】
前記Aとしては、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、無置換のアルキレン基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基)で置換されたアルキレン基、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基)で置換されたアルキレン基、アリール基(例えば、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基、スチリル基)で置換されたアルキレン基が好ましい。
【0265】
前記Arとしては、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、置換又は無置換のフェニル基が好ましい。置換フェニル基の場合、その置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン基が好ましい。
【0266】
前記Xとしては、溶剤溶解性と長波長領域の吸収効率向上の点から、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオキシ基、置換基を有してもよいアリールチオキシ基、置換基を有してもよいアミノ基が好ましい。
また、式(1)及び式(2)におけるnは1〜2の整数が好ましい。
【0267】
以下、式(1)又は式(2)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0268】
【化106】

【0269】
また、本発明の着色硬化性組成物には、上記の光重合開始剤のほかに、特開2004−295116号公報の段落[0079]に記載の他の公知の光重合開始剤を使用してもよい。
【0270】
着色硬化性組成物がネガ型の場合、上記光重合開始剤の着色硬化性組成物中における含有量は、前記重合性モノマー固形分に対して0.01〜50質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、1〜20質量%が特に好ましい。該含有量が前記範囲内であると重合が良好に進み、また、良好な膜強度が得られる。
【0271】
着色硬化性組成物をポジ型に構成する場合には、上記アルカリ可溶性フェノール樹脂及び上記架橋剤は、通常、有機溶剤中にそれぞれ2〜50質量%程度及び2〜30質量%程度の割合で溶解させるのが好ましい。上記ナフトキノンジアジド化合物、上記一般式(1)及び一般式(2)で表される化合物、並びにそれらの互変異性体から選択される1種以上の化合物(色素)の各含有量は、通常、上記バインダー及び架橋剤を溶解した溶液に対して、各々2質量%〜30質量%及び2質量%〜50質量%程度の割合で添加するのが好ましい。
【0272】
<溶剤>
本発明の着色硬化性組成物を調製する際には、一般に溶剤を含有することができる。使用される溶剤は、該組成物の各成分の溶解性や感光性着色硬化性組成物の塗布性を満足すれば基本的に特には限定されないが、特にバインダーの溶解性、塗布性、安全性を考慮して選ばれることが好ましい。
【0273】
前記溶剤の例としては、前出の特許文献8の段落番号[0272]に記載の溶剤が挙げられる。
なかでも、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等がより好ましい。
【0274】
<界面活性剤>
本発明の着色硬化性組成物には、塗布性をより向上させる観点から、各種の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
【0275】
特に、本発明の着色硬化性組成物は、フッ素系界面活性剤を含有することで、塗布液として調製したときの液特性(特に、流動性)がより向上することから、塗布厚の均一性や省液性をより改善することができる。
即ち、フッ素系界面活性剤を含有する着色硬化性組成物を適用した塗布液を用いて膜形成する場合においては、被塗布面と塗布液との界面張力を低下させることにより、被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上する。このため、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成をより好適に行える点で有効である。
【0276】
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3質量%〜40質量%が好適であり、より好ましくは5質量%〜30質量%であり、特に好ましくは7質量%〜25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、着色硬化性組成物中における溶解性も良好である。
【0277】
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F475、同F479、同F482、同F554、同F780、同F781(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製)等が挙げられる。
【0278】
ノニオン系界面活性剤として具体的には、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセリンエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製のプルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1等が挙げられる。
【0279】
カチオン系界面活性剤として具体的には、フタロシアニン誘導体(商品名:EFKA−745、森下産業(株)製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学(株)製)、W001(裕商(株)製)等が挙げられる。
【0280】
アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商(株)社製)等が挙げられる。
【0281】
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、東レ・ダウコーニング(株)製「トーレシリコーンDC3PA」、「トーレシリコーンSH7PA」、「トーレシリコーンDC11PA」,「トーレシリコーンSH21PA」,「トーレシリコーンSH28PA」、「トーレシリコーンSH29PA」、「トーレシリコーンSH30PA」、「トーレシリコーンSH8400」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製「TSF−4440」、「TSF−4300」、「TSF−4445」、「TSF−4460」、「TSF−4452」、信越シリコーン株式会社製「KP341」、「KF6001」、「KF6002」、ビックケミー社製「BYK307」、「BYK323」、「BYK330」等が挙げられる。
【0282】
界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
界面活性剤の添加量は、着色硬化性組成物の全質量に対して、0.001質量%〜2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.005質量%〜1.0質量%である。
【0283】
<重合禁止剤>
本発明の着色硬化性組成物においては、該着色硬化性組成物の製造中又は保存中において、重合性モノマーの不要な熱重合を阻止するために、少量の重合禁止剤を添加することが望ましい。
本発明に用いうる重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
重合禁止剤の添加量は、全組成物の質量に対して、約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。
【0284】
<各種添加物>
本発明の着色硬化性組成物には、必要に応じて各種添加物、例えば充填剤、上記以外の高分子化合物、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を配合することかできる。これらの例としては、前出の特許文献8の段落番号[0274]〜[0276]に記載の添加物を挙げることが出来る。
【0285】
<着色硬化性組成物の調製方法>
本発明の着色硬化性組成物の調製に際しては、組成物の上述の各成分を一括配合してもよいし、各成分を溶剤に溶解した後に逐次配合してもよい。また、配合する際の投入順序や作業条件は特に制約を受けない。全成分を同時に溶剤に溶解して組成物を調製してもよいし、必要に応じては各成分を適宜2つ以上の溶液としておいて、使用時(塗布時)にこれらの溶液を混合して組成物として調製してもよい。
上記のようにして調製された組成物は、好ましくは孔径0.01〜3.0μm,より好ましくは孔径0.05〜0.5μm程度のミリポアフィルタなどを用いて濾別した後、使用に供することもできる。
【0286】
本発明の着色硬化性組成物は、液晶表示装置、有機EL表示装置、及び固体撮像素子(例えば、CCD、CMOS等)に用いられるカラーフィルタなどの着色画素形成用として好適に用いることができる。特に、CCD、及びCMOS等の固体撮像素子用の着色画素形成用として好適に用いることが出来る。
本発明の着色硬化性組成物は、着色パターンが微少サイズで薄膜に形成され、しかも良好な矩形の断面プロファイルが要求される固体撮像素子用のカラーフィルタの形成に特に好適である。
【0287】
一般には、カラーフィルタを構成する画素パターンサイズ(基板法線方向からみた画素パターンの辺長)が2μm以下である場合(例えば0.5〜2.0μm)は、着色剤量が増大したり、更には色相が青色系であること等により、線幅感度が悪くなり、DOFマージンが狭くなる結果、パターン形成性が損なわれやすい。これは、特に画素パターンサイズが1.0〜1.7μm(更に1.2〜1.5μm)の場合に顕著になる。また、厚み1μm以下の薄膜である場合、着色剤を除くフォトリソ性に寄与する成分の膜中の量が相対的に減少し、着色剤量の増大で他成分の量は更に減少して、低感度化し、低露光量領域ではパターンが剥離しやすくなる。この場合、ポストベーク等の熱処理を施した際に熱ダレを起こし易い。これらは、特に膜厚が0.005μm〜0.9μm(更に0.1μm〜0.7μm)の場合に顕著である。
【0288】
しかしながら、本発明の着色硬化性組成物を用いれば、上記のような2μm以下の画素パターンサイズでも、パターン形成に優れ、良好な断面プロファイルを有するカラーフィルタを作製することができる。
【0289】
(2)レジスト液
本発明におけるレジスト液は、上記着色硬化性組成物と同義である。本発明のレジスト液において好適な一般式(1)で表される化合物の範囲についても同様である。
【0290】
(3)インクジェット用インク
次に、インクジェット法で好ましく使用される着色硬化性組成物について説明する。
上述した一般式(1)で表される化合物を用いたインクジェット用インクは、保存安定性に優れ、化合物の凝集や分解などが抑制される。また、これらのインクジェット用インクは、連続的及び断続的な吐出の際にも、飛翔曲がり不吐出等の吐出の乱れが生じにくく、吐出安定性に優れ、一定期間休止後の回復性、さらに不吐出等が生じた場合の回復性に優れる。
【0291】
<一般式(1)で表される化合物>
前記一般式(1)で表される化合物のインクジェット用インク中での総含有量は、インク全量に対して、1〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。1質量%未満の場合、カラーフィルタとして必要な光学濃度を達成するために、膜厚が厚くなる場合がある。そのためブラックマトリクスも厚くする必要があり、ブラックマトリクス形成が困難になるので好ましくない。20質量%を超える場合、インク粘度が高くなり吐出が困難になること、また溶媒への溶解が困難になることがある。
【0292】
<溶媒>
本発明のインクジェット用インクは、溶剤を含有する。溶剤としては、各成分の溶解性や後述する溶媒の沸点を満足すれば基本的に特に限定されないが、特に後述するバインダーの溶解性、塗布性、安全性を考慮して選ばれることが好ましい。溶剤の例としては、特開2009−13206号公報の段落番号[0030]〜[0040]に記載の溶剤を挙げることができる。
【0293】
本発明のインクジェット用インク中の該溶剤の含有量は、インク全量に対して、30〜90質量%が好ましく、50〜90質量%がさらに好ましい。30質量%以上であると1画素内に打滴されるインク量が保たれ、画素内でのインクの濡れ広がりが良好である。また、90質量%以下であると、インク中の機能膜(例えば画素など)を形成するための溶剤以外の成分量を所定量以上に保つことができる。これより、カラーフィルタを形成する場合には、1画素当たりのインク必要量が多くなり過ぎることがなく、例えば隔壁で区画された凹部にインクジェット法でインクを付与する場合に、凹部からのインク溢れや隣の画素との混色の発生を抑制することができる。
【0294】
本発明のインクジェット用インクは、ノズルに対するインクの吐出性及び基板に対する濡れ性の点で、上述した溶剤のうち、沸点の高い溶剤を含有していることが好ましい。沸点の低い溶剤は、インクジェットヘッド上でもすばやく蒸発するため、ヘッド上でのインクの粘度上昇や固形分の析出等を容易に引き起こし、吐出性の悪化を伴う場合が多い。また、インクが基板面に着弾し、基板面上を濡れ拡がる場合も、濡れ拡がりの縁の部分において溶剤が蒸発することでインクの粘度上昇が起こり、ピニング(PINNING)という現象により、濡れ拡がりが抑えられる場合がある。
【0295】
本発明で用いられる溶媒の沸点は、130〜280℃であることが好ましい。130℃より低いと、面内の画素の形状の均一性の点で好ましくない場合がある。280℃より高いと、プリベークによる溶媒除去の点で好ましくない場合がある。なお、溶媒の沸点は、圧力1atmのもとでの沸点を意味し、化合物辞典(Chapman&Hall社)などの物性値表により知ることができる。これらは1種又は2種以上を併用してもよい。
【0296】
なお、上述のインクジェット用インクが後述する重合性モノマーなどを含まない場合、インクに含まれる溶剤を除去して得られるインク残部(色画素)の厚みが薄くなるため、混色などの防止目的で基板上に形成された隔壁の高さを低くすることができ、コスト・生産性の面から好ましい。
【0297】
<重合性モノマー>
本発明のインクジェット用インクでは、重合性モノマーを含んでいてもよい。重合性モノマーの添加により、インク液滴と基板との密着性が向上する。併せて、上述した各一般式で表される化合物のインク中での分散均一性の向上や、耐候性・耐熱性などの堅牢性の向上が期待できる。この重合性モノマーとしては、特に制限は無いが、各種置換基のバリエーションが多く、入手が容易な点で、(メタ)アクリル系モノマー、エポキシ系モノマー、及びオキセタニル系モノマーから選択される1種以上を含有することが好ましい。
【0298】
重合性モノマーとしては、重合性基を2つ以上有するモノマー(以下、「2官能以上のモノマー」ともいう)が好ましい。重合性モノマーとしては、活性エネルギー線及び/又は熱により重合反応可能であれば特に限定されるものではないが、膜の強度や耐溶剤性などの点から、重合性基を3つ以上有するモノマー(以下、「3官能以上のモノマー」ともいう)がより好ましい。
【0299】
上述した重合性基の種類としては、特に制限はないが、上記の通り、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、エポキシ基、オキセタニル基が特に好ましい。重合性モノマーの例としては、特開2009−13206号公報の段落番号[0054]〜[0068]記載の化合物が挙げられる。
【0300】
上述した重合性モノマーの含有量は、インクジェット用インクの固形分中の30〜80質量%が好ましく、40〜80質量%がより好ましく。モノマーの使用量が上記範囲内であれば、画素部の重合が十分となるため、画素部の膜強度の不足に起因する傷の発生が起こりにくくなる。さらには、透明導電膜を付与する際にクラックやレチキュレーションが発生しにくくなったり、配向膜を設ける際の耐溶剤性が向上したり、電圧保持率を低下させない等の効果が得られる。ここで、配合割合を特定するためのインクジェット用インクの固形分とは、溶剤を除く全ての成分を含み、液状の重合性モノマーなども固形分に含まれる。
【0301】
<バインダー樹脂>
本発明のインクジェット用インクには、粘度の調整やインク硬度の調整などの目的で、バインダー樹脂を入れてもよい。バインダー樹脂としては、それ自体は重合反応性のない樹脂のみから構成されるような単に乾燥固化するバインダー樹脂を用いてもよい。しかしながら、塗工膜に十分な強度、耐久性、密着性を付与するためには、インクジェット法により基板上に画素のパターンを形成後、該画素を重合反応により硬化させることのできるバインダー樹脂を用いるのが好ましく、例えば、可視光線、紫外線、電子線等により重合硬化させることができる光硬化性のバインダー樹脂や、加熱により重合硬化させることができる熱硬化性のバインダー樹脂のような、重合硬化可能なバインダー樹脂を用いることができる。
【0302】
<重合開始剤>
本発明のインクジェット用インクは、重合性モノマー及びバインダー樹脂の重合反応を促進する目的で、重合開始剤を併用してもよい。重合開始剤は、インクジェット用インクに用いる重合性モノマー及びバインダーの種類、重合経路にあわせて選択することができる。本発明の着色硬化性組成物に添加可能な既述の重合開始剤が好適である。
【0303】
<硬化剤>
エポキシ系モノマー(エポキシ基含有モノマー)、熱硬化性バインダー樹脂には、通常、硬化剤を組み合わせて配合することができる。硬化剤としては、エポキシ樹脂技術協会発行の「総説エポキシ樹脂基礎編I」2003年11月19日発行、第3章に記載の硬化剤、促進剤を好適に用いることができ、例えば、多価カルボン酸無水物又は多価カルボン酸を用いることができる。
【0304】
<界面活性剤>
本発明のインクジェット用インクには、さらに界面活性剤を用いてもよい。界面活性剤の例として、特開平7−216276号公報の段落番号[0021]や、特開2003−337424号公報、特開平11−133600号公報に開示されている界面活性剤が、好適なものとして挙げられる。また、本発明の着色硬化性組成物に添加可能な既述の界面活性剤も好適である。
界面活性剤の含有量は、着色組成物全量に対して5質量%以下が好ましい。
【0305】
その他の添加剤としては、特開2000−310706号公報の段落番号[0058]〜[0071]に記載のその他の添加剤が挙げられる。
【0306】
本発明のインクジェット用インクの各成分の含有量としては、一般式(1)で表される化合物から選択される少なくとも1種の化合物の総含有量は1〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましく、溶媒の含有量は30〜90質量%が好ましく、50〜85質量%がより好ましく、重合性モノマーの含有量は5〜50質量%が好ましく、7〜30質量%がより好ましく、界面活性剤の含有量が0.1〜5質量%が好ましい。
【0307】
<インクジェット用インクの製造方法>
本発明のインクジェット用インクの製造には、公知のインクジェット用インクの製造方法を適用することが可能である。例えば、溶剤中に一般式(1)で表される化合物を溶解した後、インクジェット用インクに必要な各成分(例えば重合性モノマーやバインダーなど)を溶解させてインクジェット用インクを調製することができる。
【0308】
モノマー液を作製する際には、溶剤に対して使用する素材の溶解性が低い場合には、モノマー液が重合反応を起こさない範囲内で、加熱や超音波処理等の処理を適宜行うことが可能である。
【0309】
一般式(1)で表される化合物を水性媒体に分散させる場合は、特開平11−286637号、特開2001−240763(特願2000−78491)号、特開2001−262039(特願2000−80259)号、特開2001−247788(特願2000−62370)号のように一般式で表される化合物と油溶性ポリマーとを含有する着色微粒子を水性媒体に分散させたり、特開2001−262018(特願2000−78454)号、特開2001−240763(特願2000−78491)号、特開2001−335734(特願2000−203856)号のように高沸点有機溶媒に溶解した各一般式で表される化合物を水性媒体中に分散させてもよい。一般式(1)で表される化合物を水性媒体に分散させる場合の具体的な方法、使用する油溶性ポリマー、高沸点有機溶剤、添加剤及びそれらの使用量は、前記特許文献に記載されたものを好ましく使用することができる。あるいは、各一般式で表される化合物を固体のまま微粒子状態に分散してもよい。分散時には、分散剤や界面活性剤を使用することができる。
【0310】
<インクジェット用インクの物性値>
本発明のインクジェット用インクの物性値としては、インクジェットヘッドで吐出可能な範囲であれば特に限定されないが、吐出時における粘度は安定吐出観点から、2〜30mPa・sであることが好ましく、2〜20mPa・sがより好ましく。また、装置で吐出する際には、インクジェットインクの温度を20〜80℃の範囲でほぼ一定温度に保持することが好ましい。装置の温度を高温に設定すると、インクの粘度が低下し、より高粘度のインクを吐出可能となるが、温度が高くなることにより、熱によるインクの変性や熱重合反応がヘッド内で発生したり、インクを吐出するノズル表面で溶剤が蒸発しやすくなり、ノズル詰まりが起こりやすくなるため、装置の温度は20〜80℃の範囲が好ましい。
【0311】
なお、粘度は、25℃にインクジェット用インクを保持した状態で、一般に用いられるE型粘度計(例えば、東機産業(株)製E型粘度計(RE−80L)を用いることにより測定される値である。
【0312】
また、インクジェット用インクの25℃の表面張力(静的表面張力)としては、非浸透性の基板に対する濡れ性の向上や、吐出安定性の点で、20〜40mN/mが好ましく、20〜35mN/mがより好ましい。また、装置で吐出する際には、インクジェット用インクの温度を20〜80℃の範囲で略一定温度に保持することが好ましく、そのときの表面張力を20〜40mN/mとすることが好ましい。インクジェット用インクの温度を所定精度で一定に保持するためには、インク温度検出手段と、インク加熱又は冷却手段と、検出されたインク温度に応じて加熱又は冷却を制御する制御手段とを備えていることが好ましい。あるいは、インク温度に応じてインクを吐出させる手段への印加エネルギーを制御することにより、インク物性変化に対する影響を軽減する手段を有することも好適である。
【0313】
上述の表面張力は、一般的に用いられる表面張力計(例えば、協和界面科学(株)製、表面張力計FACE SURFACE TENSIOMETER CBVB-A3など)を用いて、ウィルヘルミー法で液温25℃、60%RHにて測定される値である。
【0314】
また、インクジェット用インクが基板着弾後に濡れ拡がる形状を適正に保つためには、基板に着弾後のインクジェット用インクの液物性を所定に保持することが好ましい。このためには、基板及び/又は基板の近傍を所定温度範囲内に保持することが好ましい。あるいは、基板を支持する台の熱容量を大きくするなどにより、温度変化の影響を低減することも有効である。
【0315】
(4)カラーフィルタ及びその製造方法
次に、本発明の着色硬化性組成物を用いてカラーフィルタを製造する方法(本発明のカラーフィルタの製造方法)について説明する。
本発明の着色硬化性組成物を用いて、フォトリソ法によりパターンを形成する方法としては、例えば、特開2008−292970号公報(前出の特許文献8)の段落番号[0277]〜[0284]に記載の方法が挙げられる。
【0316】
具体的には、前記着色硬化性組成物を支持体上に塗布して層を形成する工程と、前記着色硬化性組成物により形成された層に対し、マスクを介して露光する工程と、前記露光後に、現像してパターン像を形成する工程と、を有するカラーフィルタの製造方法が挙げられる。
【0317】
本発明のカラーフィルタの製造方法では、まず、支持体上に、既述の本発明の着色硬化性組成物を回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の塗布方法により塗布して、着色硬化性組成物層を形成し、その後、必要に応じて、予備硬化(プリベーク)を行い、該着色硬化性組成物を乾燥させる(塗布工程)。
【0318】
本発明のカラーフィルタの製造方法に用いられる支持体としては、例えば、液晶表示素子等に用いられるソーダガラス、ホウケイ酸ガラス(パイレックス(登録商標)ガラス)、石英ガラス、及びこれらに透明導電膜を付着させたものや、撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えば、シリコン基板等や、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)基板などが挙げられる。これらの基板は、各画素を隔離するブラックストライプが形成されている場合もある。また、これらの支持体上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止、或いは表面の平坦化のために、下塗り層を設けてもよい。
【0319】
なお、着色硬化性組成物を支持体上に回転塗布する際には、液の滴下量を低減のため、着色硬化性組成物の滴下に先立ち、適当な有機溶剤を滴下、回転させることにより、着色硬化性組成物の支持体への馴染みをよくすることができる。
【0320】
上記プリベークの条件としては、ホットプレートやオーブンを用いて、70℃〜130℃で、0.5分間〜15分間程度加熱する条件が挙げられる。
また、着色硬化性組成物により形成される着色硬化性組成物層の厚みは、目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、0.2μm〜5.0μmであることが好ましく、0.3μm〜2.5μmであることが更に好ましく、0.3μm〜1.5μm最も好ましい。なお、ここでいう着色硬化性組成物層の厚さは、プリベーク後の膜厚である。
【0321】
続いて、本発明のカラーフィルタの製造方法では、支持体上に形成された着色硬化性組成物層には、マスクを介した露光が行われる(露光工程)。
この露光に適用し得る光若しくは放射線としては、g線、h線、i線、KrF光、ArF光が好ましく、特にi線が好ましい。照射光にi線を用いる場合、100mJ/cm〜10000mJ/cmの露光量で照射することが好ましい。
また、露光した着色硬化性組成物層は、次の現像処理前にホットプレートやオーブンを用いて、70℃〜180℃で、0.5分間〜15分間程度加熱することができる。
また、露光は、着色硬化性組成物層中の色材の酸化褪色を抑制するために、チャンバー内に窒素ガスを流しながら行なうことができる。
【0322】
続いて、露光後の着色硬化性組成物層に対し、現像液にて現像を行う(現像工程)。これにより、ネガ型若しくはポジ型の着色されたパターン(レジストパターン)を形成することができる。
現像液は、着色硬化性組成物層の未硬化部(未露光部)を溶解し、硬化部(露光部)を溶解しないものであれば、種々の有機溶剤の組み合わせやアルカリ性水溶液を用いることができる。現像液がアルカリ性水溶液である場合、アルカリ濃度が好ましくはpH11〜13、更に好ましくはpH11.5〜12.5となるように調整するのがよい。特に、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドを、濃度が0.001質量%〜10質量%、好ましくは0.01質量%〜5質量%となるように調整したアルカリ性水溶液を現像液として用いることができる。
現像時間は、30秒〜300秒が好ましく、更に好ましくは30秒〜120秒である。現像温度は、20℃〜40℃が好ましく、更に好ましくは23℃である。
現像は、パドル方式、シャワー方式、スプレー方式等で行うことができる。
【0323】
また、アルカリ性水溶液を用いて現像した後は、水で洗浄することが好ましい。洗浄方式も、目的に応じて適宜選択されるが、シリコンウエハ基板等の支持体を回転数10rpm〜500rpmで回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理を行うことができる。
【0324】
その後、必要に応じて、形成されたパターン(レジストパターン)に対し後加熱及び/又は後露光を行い、パターンの硬化を促進させてもよい(後硬化工程)。
【0325】
−紫外線照射工程−
紫外線照射工程は、前記パターン形成工程で現像処理を行なった後のパターンに、現像前の露光処理における露光量[mJ/cm]の10倍以上の照射光量[mJ/cm]の紫外光(UV光)を照射する。パターン形成工程での現像処理と後述の加熱処理との間に、現像後のパターンにUV光を所定時間、照射することにより、後に加熱された際に色移りするのを効果的に防止できる。
【0326】
UV光を照射する光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、DEEP UVランプなどを用いることができる。中でも、照射される紫外光中に275nm以下の波長光を含み、かつ275nm以下の波長光の照射照度[mW/cm]が紫外光中の全波長光の積分照射照度に対して5%以上である光を照射できるものが好ましい。紫外光中の275nm以下の波長光の照射照度を5%以上とすることで、着色画素間や上下層への色移りの抑制効果及び耐光性の向上効果をより効果的に高めることができる。この点から、前記パターン形成工程での露光に用いられるi線等の輝線などの光源と異なる光源、具体的には高圧水銀灯、低圧水銀灯などを用いて行なうことが好ましい。中でも、前記同様の理由から、紫外光中の全波長光の積分照射照度に対して7%以上が好ましい。また、275nm以下の波長光の照射照度の上限は、25%以下が望ましい。
【0327】
なお、積分照射照度とは、分光波長ごとの照度(単位面積を単位時間に通過する放射エネルギー;[mW/m])を縦軸とし、光の波長[nm]を横軸とした曲線を引いた場合に照射光に含まれる各波長光の照度の和(面積)をいう。
【0328】
UV光の照射は、前記パターン形成工程での露光時の露光量の10倍以上の照射光量[mJ/cm]として行なう。本工程での照射光量が10倍未満であると、着色画素間や上下層間における色移りを防止できない。
中でも、UV光の照射光量は、パターン形成工程での露光時の露光量の12倍以上200倍以下が好ましく、15倍以上100倍以下がより好ましい。
【0329】
この場合、照射される紫外光における積分照射照度が200mW/cm以上であることが好ましい。積分照射照度が200mW/cm以上であると、着色画素間や上下層への色移りの抑制効果及び耐光性の向上効果をより効果的に高めることができる。中でも、250〜2000mW/cmが好ましく、300〜1000mW/cmがより好ましい。
後加熱は、ホットプレートやオーブンを用いて、100℃〜300℃で実施することが好ましく、更に好ましくは、150℃〜250℃である。後加熱時間は、30秒〜30000秒が好ましく、更に好ましくは、60秒〜1000秒である。
【0330】
後露光は、g線、h線、i線、KrF、ArF、UV光、電子線、X線等により行うことができるが、g線、h線、i線、UV光が好ましく、特に、UV光が好ましい。UV光を照射(UVキュア)を行う際は、20℃以上50℃以下(好ましくは25℃以上40℃以下)の低温で行うことが好ましい。UV光の波長は、200〜300nmの範囲の波長を含んでいることが好適であり、光源としては、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ等を使用することができる。照射時間としては、10〜180秒、好ましくは20〜120秒、更に好ましくは30〜60秒である。
【0331】
後露光と後加熱は、どちらを先に行ってもよいが、後加熱に先立って、後露光を実施することが好ましい。後露光で硬化を促進させることにより、後加熱過程で見られるパターンの熱ダレやすそ引きによる形状の変形を抑止するためである。
【0332】
このようにして得られた着色パターンがカラーフィルタにおける画素を構成することになる。複数の色相の画素を有するカラーフィルタの作製においては、前記パターン形成工程(及び必要に応じて硬化工程)を所望の色数に合わせて繰り返すことにより、所望数の色相に構成されたカラーフィルタを作製することができる。
【0333】
更に、カラーフィルタの製造方法としては、インクジェット法を用いる方法が挙げられる。インクジェット法でカラーフィルタを製造する方法は特に限定されないが、隔壁により区画された凹部を有する基板を準備する工程と、前記凹部に、インクジェット法によって、前記インクジェット用インクの液滴を付与して、カラーフィルタの色画素を形成する工程と、を有する。例えば、特開2008−250188号公報の段落番号[0114]〜[0128]に記載の方法等を用いることができる。
【0334】
(5)本発明のカラーフィルタの用途
本発明のカラーフィルタは、さらに透明導電膜として、酸化インジウムスズ(ITO)層を有していてもよい。ITO層の形成方法としては、例えば、インライン低温スパッタ法や、インライン高温スパッタ法、バッチ式低温スパッタ法、バッチ式高温スパッタ法、真空蒸着法、及びプラズマCVD法などが挙げられ、特にカラーフィルタに対するダメージを少なくするため、低温スパッタ法が好ましく用いられる。
【0335】
本発明における一般式(1)で表される化合物を用いたカラーフィルタは、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、液晶プロジェクタ、ゲーム機、携帯電話などの携帯端末、デジタルカメラ、カーナビなどの画像表示、特にカラー画像表示の用途に特に制限なく好適に適用できる。また、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、内視鏡、携帯電話などに使用されるCCDイメージセンサー、CMOSイメージセンサーなどの固体撮像素子用のカラーフィルタとして好適に用いることができる。
特に100万画素を超えるような高解像度のCCD素子やCMOS素子等に好適である。固体撮像素子の構成としては、本発明のカラーフィルタを備え、固体撮像素子として機能する構成であれば限定はないが、例えば、次のような構成が挙げられる。即ち、支持体上に、受光エリアを構成するフォトダイオード及びポリシリコン等からなる転送電極を有し、カラーフィルタ層を設け、次いでマイクロレンズを積層するような構成である。
【0336】
本発明のカラーフィルタを備えるカメラシステムは、色材の光褪色性の観点から、カメラレンズやIRカット膜がダイクロコートされたカバーガラス、マイクロレンズ等を備えており、その材料の光学特性は、400nm以下のUV光の一部又は全部を吸収するものであることが望ましい。また、カメラシステムの構造としては、色剤の酸化褪色を抑止するため、カラーフィルタへの酸素透過性が低減されるような構造になっていることが好ましく、例えば、カメラシステムの一部又は全体が窒素ガスで封止されていることが好ましい。
【0337】
以上、本発明の着色硬化性組成物、カラーフィルタ及びその製造方法、ならびにそれを用いるディスプレイや固体撮像素子について、種々の実施形態や実施例を挙げて詳細に説明したが、本発明は、上記実施例や実施形態には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんのことである。
【実施例】
【0338】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、機器、操作等は本発明の範囲から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特に断りのない限り「%」及び「部」は、「質量%」及び「質量部」を表し、分子量とは重量平均分子量のことを示す。
【0339】
[実施例1−1]
例示化合物a−5を、下記の合成スキームにしたがって、下記の処方により合成した。
【0340】
【化107】

【0341】
<化合物1の合成>
2−アミノピロール化合物Aの4.11gをアセトニトリル中、室温下で攪拌し、2−クロロプロピオニルクロライドを1.33g滴下し、室温下で30分攪拌した。析出した結晶を濾別しアセトニトリル5mlで洗浄し、化合物1(2.22g)を得た。
化合物1:H−NMR、400MHz、δ(CDCl)ppm:0.45−1.58(28H、m)、1.83−1.85(3H、d)、4.57−4.6(1H、q)、5.89(1H、s)、6.35(1H、s)、7.28−7.38(5H、m)、10.78−10.82(1H、br)、11.47−11.51(1H、br)
【0342】
<化合物2の合成>
化合物1(5g)と3−メルカプト−1−プロパノール1.2gをジメチルアセトアミド15mlに溶解させ、室温下で攪拌し、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)1.82gを滴下し、室温下で1時間攪拌した。その後、200mlの塩酸水溶液中に反応液を注ぎ、酢酸エチル50mlで抽出し、有機相を硫酸マグネシウム5gで脱水し、ろ過後、ろ液を濃縮乾固した。残渣をアセトニトリルで分散洗浄し、固体をろ取し、アセトニトリル5mlで洗浄し、化合物2(3.51g)を得た。
化合物2:H−NMR、400MHz、δ(CDCl)ppm:0.45−1.29(28H、m)、1.55−1.61(3H、d)、1.84−1.92(2H、m)、2.76−2.82(2H、t)、3.56−3.71(1H、q)、3.73−3.8(2H、q)、5.89(1H、s)、6.33(1H、s)、7.27−7.38(5H、m)、10.78−10.82(1H、br)、11.36−11.42(1H、br)
【0343】
<化合物3の合成>
化合物2(30g)とニトロベンゼン0.1gをジメチルアセトアミド30mlに溶解させ、メタクリル酸クロライド14.1gを滴下し室温下で4時間攪拌した。1.2Lの水に反応液を加え炭酸水素ナトリウム30gで中和し、酢酸エチル500mlで抽出した。有機相を硫酸マグネシウム30gで脱水し、ろ過後、ろ液を濃縮乾固した。残渣をアセトニトリル100mlで分散洗浄し、固体をろ取し、アセトニトリル30mlで洗浄し、化合物3(24.6g)を得た。
化合物3:H−NMR、400MHz、δ(CDCl)ppm:0.47−1.27(28H、m)、1.57−1.59(3H、d)、1.9−1.93(3H,s)、1.93−2.06(2H、m)、2.66−2.76(2H、m)、3.55−3.71(1H、q)、4.2−4.25(2H、t)、5.52(1H、s)、5.89(1H、s)、6.08(1H、s)、6.33(1H、s)、7.27−7.38(5H、m)、10.78−10.82(1H、br)、11.38−11.42(1H、br)
【0344】
<化合物4の合成>
ジメチルホルムアミド50mlを0℃で攪拌しながら、オキシ塩化リン5.5mlを滴下し、10分攪拌後、化合物1(15g)を添加し室温で2.5時間攪拌した。1.5Lの水中に反応液を注ぎ水酸化ナトリウム7.2gで中和後、メタノール150mlを注ぎ2時間攪拌した。結晶を一度ろ過し、メタノール150mlで再度分散洗浄を行い、化合物4(8g)を得た。
化合物4:H−NMR、400MHz、δ(CDCl)ppm:0.45−1.57(28H、m)、1.81−1.83(3H、d)、4.44−4.5(1H、q)、5.88(1H、s)、7.28−7.37(5H、m)、9.06(1H、s)、10.78−10.82(1H、br)、11.47−11.51(1H、br)
【0345】
<化合物5の合成>
化合物4(19.6g)とチオリンゴ酸8.34gをジメチルアセトアミド150mlに加え室温下で攪拌し、DBU28gを滴下し、2時間室温下で攪拌した。1.5Lの水中に反応液を注ぎ、得られた結晶をろ別し、減圧乾燥後、化合物5(17.5g)得た。
化合物5:H−NMR、400MHz、δ(CDCl)ppm:0.45−1.59(28H、m)、1.81−1.83(3H、d)、1.84−1.87(2H,d)、2.93−2.97(1H,t)、4.56−4.61(1H、q)、5.91(1H、s)、7.28−7.37(5H、m)、9.06(1H、s)、10.92−10.96(1H、br)、11.12−11.19(1H、br)
【0346】
<化合物6の合成>
化合物5(12.9g)と無水酢酸50mlを室温下で攪拌し、トリフルオロ酢酸11.4gを滴下した。その後、化合物3(12.5g)を添加し、室温下で4時間攪拌した。水1L、炭酸水素ナトリウム60g、酢酸エチルを室温下で攪拌し、そこへ反応液を徐々に注ぎ中和を行った。その後、有機相を塩酸水で再度酸性に戻し、飽和食塩水で洗い、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーにて精製し、減圧濃縮することで化合物6(8.7g)を得た。
化合物6:H−NMR、400MHz、δ(DMSO−d)ppm:0.92−4.09(76H、m)、5.24−5.28(2H,br)、5.6(1H,s)、5.98(1H,s)、6.57(1H、s)、7.28−7.45(10H、m)、10.62−10.86(2H、br)、12.02−12.15(1H,m)
【0347】
<例示化合物a−5の合成>
化合物6(17.6g)とメタノール200mlを室温下で攪拌し、酢酸亜鉛二水和物3.25gを加え2.5時間攪拌した。その後、水200mlを反応液に加え、析出した結晶をろ過し乾燥させ、例示化合物a−5(16.3g)を得た。
例示化合物a−5:H−NMR、400MHz、δ(DMSO−d)ppm:0.88−4.41(76H、m)、5.72−5.8(2H,br)、5.82(1H,s)、6.04(1H,s)、6.88(1H、s)、7.28−7.58(10H、m)、10.41−10.49(2H、br)
【0348】
上記合成した化合物は、H−NMRにより例示化合物a−5であることが同定された。
【0349】
また、例示化合物a−5の合成方法と同様の手順により、下記表1に示す例示化合物を合成した。これら化合物もH−NMRによって同定された。
合成した例示化合物a−5、a−7、a−13、a−17、a−32、a−38、b−5、b−7、b−13、b−17、b−18、b−24、b−40、b−43、b−47、c−4、c−5、c−13、c−17、c−22、c−23、c−28、c−40、c−42、c−43、c−44、c−46、c−48についての青色の色純度として、λmaxにおけるT%max=5%に規格化した時の透過率(T%450nm)と、吸収のλmaxにより、吸光係数を分光光度計UV−2400PC(島津製作所社製)により測定した。結果を表1に示す。
【0350】
【表1】

【0351】
[実施例1−2]
例示化合物d−2を、下記の合成スキームにしたがって、下記の処方により合成した。
【0352】
【化108】

【0353】
【化109】

【0354】
【化110】

【0355】
【化111】

【0356】
<化合物7の合成>
イソプロピルメチルケトン206.4gをメタノール1L中で攪拌し、臭化水素酸(47〜49%水溶液)を7ml添加後、臭素を30℃〜34℃条件で3時間かけて滴下した。その後、30分、30℃で攪拌した。炭酸水素ナトリウム124gを水1.3Lに溶かした水溶液で中和後、塩化ナトリウム400gを水1.3Lに溶かした水溶液を加え、層分離した液体状の反応生成物を分取した。
別途、フタルイミドカリウム222gをジメチルアセトアミド(DMAc)800ml中で攪拌しておき、水冷下にて先に分取した反応生成物を滴下し、4時間室温条件で撹拌した。その後、水冷下にて水720mlを加え析出した結晶をろ別した。得られた結晶をトルエン1.5Lに懸濁させ、不溶物をろ別し、ろ液を濃縮し、化合物7(100g)を得た。
化合物7:H−NMR、400MHz、δ(CDCl)ppm:1.21−1.23(6H、d)、2.74−2.79(1H、m)、4.56(2H、s)、7.72−7.74(2H、d)、7.85−7.87(2H、d)
【0357】
<化合物8の合成>
特開2008−292970号公報の段落0134に記載の方法にて、化合物8を合成した。
【0358】
<化合物9の合成>
化合物8(293g)と化合物7(231g)をメタノール1.4L中、窒素雰囲気下で攪拌し、水酸化ナトリウム(88g)を水400mlに溶かし、室温にて滴下した。その後、8時間還流した。その後、室温まで放冷し、析出した結晶をろ取し、メタノール100mlで洗浄し、化合物9(299g)を得た。
化合物9:H−NMR、400MHz、δ(CDCl)ppm:0.88−0.95(18H、s)、1.00−1.03(3H、d)、1.17−1.19(6H、d)、1.20−1.66(7H、m)、3.38−3.43(1H、m)、5.19−5.24(2H、br)、5.95(1H、br)、6.00(1H,s)、7.39−7.45(1H、br)
【0359】
<化合物10の合成>
化合物9(80g)をDMAc250ml中、室温下で攪拌し、2−クロロプロピオニルクロライドを29.2g滴下し、室温下で3時間攪拌した。酢酸エチル500ml、水1L中に反応液を注ぎ、飽和重曹水、水、飽和食塩水各500mlで水洗後、硫酸マグネシウムにて乾燥し、減圧濃縮後、化合物10(89.4g)を得た。
化合物10:H−NMR、400MHz、δ(CDCl)ppm:0.9(18H、s)、0.96−1.01(3H、d)、1.20−1.23(2H、d)、1.26−1.38(1H、q)、1.53−1.68(6H、m)、1.8−1.82(3H、d)、3.44−3.53(1H、m)4.5−4.57(1H、q)、6.03(1H、br)、6.27(1H、s)、10.4−10.45(1H、br)、11.31−11.42(1H、br)
【0360】
<化合物11の合成>
化合物10(372.3g)と3−メルカプト−1−プロパノール79.8gをN−メチルピロリドン(NMP)1Lに溶解させ、室温下で攪拌し、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)133.4gを滴下し、室温下で2時間攪拌した。その後、酢酸エチル1.5L、水1.5Lへ反応液を注ぎ、その後1規定塩酸、飽和重曹水、水、飽和食塩水各1Lで水洗し、有機相を硫酸マグネシウム50gで脱水し、ろ過後、ろ液を濃縮乾固した。残渣をアセトニトリル300mlで分散洗浄し、固体をろ取し、アセトニトリル30mlで洗浄し、化合物11(317g)を得た。
化合物11:H−NMR、400MHz、δ(CDCl)ppm:0.9(18H、s)、1.02−1.03(3H、d)、1.21−1.22(6H、d)、1.23−1.41(5H、m)、1.56−1.57(3H、d)、1.6−1.63(2H、br)、1.79−1.89(2H、m)、2.72−2.78(2H、t)、3.43−3.47(1H、m)、3.51−3.55(1H、q)、3.78−3.73(2H、q)、6.0(1H、s)、6.23(1H、s)、10.51−10.55(1H、br)、11.21−11.29(1H、br)
【0361】
<化合物12の合成>
化合物11(30g)とニトロベンゼン0.1mlをDMAc250mlに溶解させ、メタクリル酸クロライド14.1gを滴下し室温下で2時間攪拌した。酢酸エチル1.5L、水1.5Lに反応液を加え有機相に抽出後、1規定塩酸、飽和重曹水、飽和食塩水、水、各400mlで2度ずつ水洗した。有機相を硫酸マグネシウム30gで脱水し、ろ過後、ろ液を濃縮乾固し、化合物12(27.9g)を得た。
化合物12:H−NMR、400MHz、δ(CDCl)ppm:0.9(18H、s)、1.02−1.03(3H、d)、1.21−1.22(6H、d)、1.23−1.41(5H、m)、1.56−1.57(3H、d)、1.6−1.63(2H、br)、1.9(3H、s)1.93−2.02(2H、m)、2.6−2.73(2H、t)、3.42−3.5(1H、m)、3.51−3.56(1H、q)、4.06−4.12(1H、q)、4.14−4.23(2H、t)、5.5(1H、s)、6.11−6.15(2H、m)、6.23(1H、s)、10.42−10.48(1H、br)、11.28−11.32(1H、br)
【0362】
<化合物13の合成>
化合物9(263.6g)をDMAc800ml中、室温下で攪拌し、5−クロロ吉草酸クロライド(108.5g)を氷冷下で2時間かけて滴下した後、室温下で3時間攪拌した。水18L中に反応液を注ぎ、析出した結晶をろ別し、得られた結晶をアセトニトリル1Lにて分散洗浄し、化合物13(313g)を得た。
化合物13:H−NMR、400MHz、δ(CDCl)ppm:0.9(18H、s)、0.96−1.01(3H、d)、1.20−1.75(17H、m)、1.76−2.00(2H、m)、2.41−2.53(2H、m)、3.4−3.58(1H、m)、3.54−3.60(2H、m)、6.0(1H、br)、6.22(1H、s)、10.55(2H、br)
【0363】
<化合物14の合成>
N−メチルホルムアニリド(66.2g)とアセトニトリル330mlを0℃で攪拌しながら、オキシ塩化リン(75g)を5℃以下に保ちながら滴下し、1時間攪拌後、化合物13(202g)を添加し室温で3時間攪拌した後、40℃で1時間攪拌した。2Lの水中に反応液を注ぎ析出した結晶をろ過し、水500ml、メタノール500mlで掛け洗いし、化合物14(181g)を得た。
化合物14:H−NMR、400MHz、δ(CDCl)ppm:0.9(18H、s)、0.96−1.21(3H、d)、1.22−1.76(17H、m)、1.78−2.22(2H、m)、2.45−2.55(2H、m)、3.4−3.58(1H、m)、3.54−3.60(2H、m)、6.3(1H、br)、9.88(1H、s)、11.09(1H、br)、11.47(1H、br)
【0364】
<化合物15の合成>
化合物14(300g)とチオリンゴ酸(129g)をDMAc3Lに加え室温下で攪拌し、DBU(434g)を30℃以下に保ちながら30分かけて滴下した。その後、60℃で5時間攪拌し、水酸化ナトリウム103gを水600mlに溶解させ、10分かけ反応液に滴下し、その後室温まで冷却し、析出した結晶をろ過し、酢酸エチル1L、5℃に冷却したメタノール200mlそれぞれで掛け洗いした。酢酸エチル1Lと水1Lに得られた結晶を分散させ、濃塩酸220mlを加え有機相に溶解させた後、水1Lで2回、飽和食塩水1Lで1回水洗し、硫酸マグネシウム80gにて乾燥後、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し、化合物15(255g)を得た。
化合物15:H−NMR、400MHz、δ(CDCl)ppm:0.9(18H、s)、0.96−1.21(3H、d)、1.22−1.76(17H、m)、1.78−2.22(2H、m)、2.45−2.65(4H、m)、3.35−3.61(2H、m)、3.54−3.60(2H、m)、6.3(1H、br)、9.92(1H、s)、11.11(1H、br)、11.81(1H、br)
【0365】
<化合物16の合成>
化合物12(8.27g)と化合物15(8.92g)と無水酢酸45mlを室温下で攪拌し、氷冷下でトリフルオロ酢酸5.39mlを滴下し、室温下で3時間攪拌した。水400ml、炭酸水素ナトリウム60g、ピリジン3滴を加えた水溶液を室温下で攪拌し、そこへ反応液を滴下し中和し、室温にて3時間攪拌した。析出した結晶をろ別し、水で掛け洗いし、送風乾燥させ、化合物16(16g)を得た。
化合物16:H−NMR、400MHz、δ(CDCl)ppm:0.92(36H、s)、0.96−2.0(44H、m)、2.04(3H、s)、2.62−2.83(3H、m)、2.97−3.56(7H、m)、4.14−4.27(1H、m)、5.0(1H、br)、6.05(3H、br)、7.52−7.56(1H、br)、10.25−10.89(1H、br)、11.34−11.56(1H、br)
【0366】
<例示化合物d−2の合成>
化合物16(12.6g)とメタノール150ml、テトラヒドロフラン75mlを室温下で攪拌し、酢酸亜鉛二水和物(2.2g)を加え2時間攪拌した。その後、水500mlを反応液に加え、析出した結晶をろ過し、送風乾燥させ、例示化合物d−2(13g)を得た。
例示化合物d−2:H−NMR、400MHz、δ(DMSO−d)ppm:0.97(36H、s)、0.99−2.05(47H、m)、2.07−3.05(8H、m)、4.04−4.4(3H、m)、5.53(1H、br)、6.05−6.12(3H、br)、8.8(1H、s)、10.97−11.18(1H、br)、11.91−12.01(1H、br)
【0367】
上記合成した化合物は、H−NMRにより例示化合物d−2であることが同定された。
【0368】
また、例示化合物d−2の合成方法と同様の手順により、下記表2に示す例示化合物を合成した。これら化合物もH−NMRによって同定された。
合成した例示化合物d−1、d−2、d−5、d−8、d−10、d−11、d−12、d−18、d−20、d−24、d−27、d−35についての青色の色純度として、λmaxにおけるT%max=5%に規格化した時の透過率(T%450nm)と、吸収のλmaxにより、吸光係数を分光光度計UV−2400PC(島津製作所社製)により測定した。結果を表2に示す。
【0369】
【表2】

【0370】
[実施例1−3]
例示化合物e−1〜e−14は、2,6−ジ−tert−ブチル−4−アルキルシクロヘキサノール類を中間体として合成することができる。2,6−ジ−tert−ブチル−4−アルキルシクロヘキサノール類は、Journal of American Chemistry, vol79, pp5019-5023(1957)に記載の、ニッケル触媒下で2,6−ジ−tert−ブチルフェノール類に水素添加し2,6−ジ−tert−ブチルシクロヘキサノン類を得て、さらに水素化アルミニウムリチウムにより還元して2,6−ジ−tert−ブチルシクロヘキサノール類を得る方法を参考にして合成できる。また、特許第4065576号公報に記載の、反応溶媒としてジグライムを使用し、塩化マグネシウム又は塩化アルミニウムの存在下、2,6−ジ−tert−ブチルシクロヘキサノン類を水素化ホウ素ナトリウムで還元して2,6−ジ−tert−ブチルシクロヘキサノール類を得る方法を参考にして合成できる。
【0371】
中でも、例示化合物e−9は、下記の合成スキームにしたがって、下記の処方により合成した。
【0372】
【化112】

【0373】
【化113】

【0374】
【化114】

【0375】
<化合物17の合成>
2,6−ジ−tert−ブチル−4−(ヒドロキシメチル)フェノール73.6g、ラネーNi 12.5g、及びtert−ブチルアルコール340mlを1Lステンレス製オートクレーブに入れ、密閉後水素置換し、水素初圧86.7kg/cmとし、125℃まで昇温し、125℃にて1時間50分間攪拌した。
室温まで冷却した後、反応生成物を取り出し、触媒を濾別分離した。得られた反応生成物をガスクロマトグラフィーで定量したところ、純度94%の化合物17(74.8g)を得た。構造はNMRにて同定を行った。なお、化合物17は、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒドを出発原料として用いても、上記の方法で同様に得ることができる。
化合物17:H−NMR、400MHz、δ(CDCl)ppm:0.981(18H、s)、1.18−1.3(2H、m)、1.96−2.09(1H、m)、2.17−2.27(4H、m)、3.52−3.58(2H、t)
【0376】
<化合物18の合成>
74.8gの化合物17をテトラヒドロフラン300mlに0℃以下で溶解させ、tert−ブトキシカリウム38.4gを添加後、10℃以下を保つようにして臭化ベンジル58.5gを滴下し、氷浴で1時間攪拌した。反応の終了を薄層クロマトグラフィーにて確認し、水1Lに反応液を注ぎ、酢酸エチル300mlにて抽出した。有機相を硫酸マグネシウムにて乾燥後、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーにて分取し、化合物18(95g、純度92.4%)を得た。
化合物18:H−NMR、400MHz、δ(CDCl)ppm:0.97(18H、s)、1.19−1.3(2H、m)、2.08−2.28(5H、m)、3.31−3.35(2H、d)、4.52(2H、s)、7.33−7.41(5H、m)
【0377】
<化合物19の合成>
化合物18(85g、257mmol)をジグライム250mlに溶解させ、続いて水素化ホウ素ナトリウム(9.7g、257mol)を加えた。次に塩化マグネシウム(12.1g、127mmol)を25℃で加え、100℃にて11時間攪拌した。反応の終了を薄層クロマトグラフィーで確認し、室温になるまで冷却した。反応液に酢酸エチル20ml、メタノール20mlを徐々に加えた。その後、濃塩酸40mlを500mlの水で希釈した溶液と、酢酸エチル300mlとを加え6時間攪拌し、目的物を抽出した。有機相を硫酸マグネシウムにて乾燥後、ろ液を減圧濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィーにて精製し、化合物19(83g)を得た。
化合物19:H−NMR、400MHz、δ(CDCl)ppm:0.97(18H、s)、1.02−1.18(2H、m)、1.57−1.77(5H、m)、3.35−3.39(2H、d)、4.4−4.44(1H,br),4.53−4.57(2H、s)、7.33−7.43(5H、m)
【0378】
<化合物23の合成>
化合物22(24g、42.3mmol)をメタノール50ml、テトラヒドロフラン50mlに溶解させ、和光ケミカル製パラジウム−炭素(5%、wet品)2.4gを添加した後、水素置換を行い、室温下で2時間攪拌した。反応終了を薄層クロマトグラフィーにて確認し、セライトを用いて触媒をろ過し、減圧濃縮後、化合物23(18.5g、純度92%)を得た。
化合物23:H−NMR、400MHz、δ(CDCl)ppm:0.91−1.01(20H、m)、1.12−1.47(16H、m)、1.47−1.92(4H、m)、3.32−3.54(1H、m)、3.56−3.72(2H,d),6.02−6.12(1H、s)、6.18−6.27(1H、s)、10.48−10.63(1H、br)、10.82−10.97(1H、br)
【0379】
前記合成スキーム中の化合物20〜化合物22、化合物24〜化合物28、例示化合物e−9の合成は、上記の化合物17〜化合物19及び化合物23の合成反応と類似の反応を利用し、同様の操作で得ることができる。
なお、化合物17の合成においてtert−ブチルアルコールを反応溶媒に用いたのは、「接触水素化反応−有機合成への応用−」(東京化学同人)p255やBull. Chem. Soc. Jpn., vol37, p887(1964)に記載のベンジルアルコールの接触水素化において、tert−ブチルアルコールがベンジルアルコールの水素化分解を抑制する効果が報告されているからであり、本合成例においてもtert−ブチルアルコールを反応溶媒に用いることで、収率が改善され、且つ、反応時間が短縮できることがわかった。
【0380】
合成した化合物についての青色の色純度として、λmaxにおけるT%max=5%に規格化した時の透過率(T%450nm)と、吸収のλmaxにより、吸光係数を分光光度計UV−2400PC(島津製作所社製)により測定した。結果を表3に示す。
【0381】
【表3】

【0382】
[実施例2]
(1)レジスト溶液Aの調製(ネガ型)
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA) 5.20部
・シクロヘキサノン 52.6部
・バインダー:メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸/メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル共重合体(モル比=60:20:20、41%シクロヘキサノン溶液)30.5部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 10.2部
・重合禁止剤:p−メトキシフェノール 0.006部
・フッ素系界面活性剤:F−475(DIC(株)製)0.80部
・光重合開始剤:TAZ−107(みどり化学(株)製) 0.58部
【0383】
上記組成物を混合して溶解し、レジスト溶液Aを調製した。
【0384】
(2)下塗り層付ガラス基板の作製
ガラス基板(コーニング1737)を0.5%NaOH水で超音波洗浄した後、水洗、脱水ベーク(200℃/20分)を行った。ついで上記(1)で得たレジスト溶液Aを洗浄したガラス基板上に膜厚2μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、220℃で1時間加熱乾燥させて、硬化膜(下塗り層)を調製した。
【0385】
(3)レジスト溶液Bの調製(ネガ型)
・シクロヘキサノン 80部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 14.0部
・重合禁止剤:p−メトキシフェノール 0.006部
・フッ素系界面活性剤:F−475(DIC(株)製)0.80部
・光重合開始剤:TAZ−107(みどり化学(株)製) 2.0部
・本発明の例示化合物a−5 4.0部
【0386】
上記組成物を混合して溶解させ、0.5ミクロン以下のポアサイズを有するポリエチレンフィルターにてろ過し、染料レジスト溶液(着色硬化性組成物[ネガ型]の溶液)を調製した。
【0387】
(4)レジストの露光・現像(画像形成)
上記(3)で得られた染料レジスト溶液を、上記(2)で得た下塗り層付ガラス基板の下塗り層の上に膜厚が0.6μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、100℃で120秒間プリベークした。
次いで、露光装置UX3100−SR(ウシオ電機(株)製)を使用して、塗布膜に365nmの波長で線幅2μmのマスクを通して、200mJ/cmの露光量で照射した。露光後、現像液CD−2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を使用して、25℃40秒間の条件で現像した。その後、流水で30秒間リンスした後、スプレー乾燥した。その後、200℃で15分間ポストベークを行った。
【0388】
(5)評価
上記で調製した染料レジスト溶液の経時での保存安定性、及び、染料レジスト溶液を用いてガラス基板上に塗設された塗布膜の熱堅牢性、光堅牢性、耐溶剤性、パターン形状を下記のようにして評価した。評価結果は下記表4に示す。
【0389】
〔経時での保存安定性〕
染料レジスト溶液を室温で1ケ月保存した後、溶液中における異物の析出度合いを目視により下記判定基準に従って評価した。
【0390】
−判定基準−
・○:析出は認められなかった。
・△:僅かに析出が認められた。
・×:析出が認められた。
【0391】
〔熱堅牢性〕
染料レジスト溶液が塗布されたガラス基板を、該基板面で接するように200℃のホットプレートに載置して1時間加熱した後、色度計MCPD−1000(大塚電子(株)製)にて、加熱前後での色差(ΔEab値)を測定して熱堅牢性を評価する指標とし、下記判定基準に従って評価した。ΔEab値は、値の小さい方が、熱堅牢性が良好なことを示す。なお、ΔEabは、CIE1976(L,a,b)空間表色系による以下の色差公式から求められる値である(日本色彩学会編 新編色彩科学ハンドブック(昭和60年)p.266)。
【0392】
ΔEab={(ΔL)+(Δa)+(Δb)1/2
【0393】
−判定基準−
・○:ΔEab値<5
・△:5≦ΔEab値≦15
・×:ΔEab値>15
【0394】
〔光堅牢性〕
染料レジスト溶液が塗布されたガラス基板に366nm以下カットオフの紫外線カットフィルターを設置し、これに対しキセノンランプを10万luxで20時間照射(200万lux・h相当)した後、照射前後での色差(ΔEab値)を測定して光堅牢性を評価する指標とし、下記判定基準に従って評価した。ΔEab値は、値の小さいほうが、光堅牢性が良好なことを示す。
【0395】
−判定基準−
・○:ΔEab値<5
・△:5≦ΔEab値≦15
・×:ΔEab値>15
【0396】
〔耐溶剤性〕
上記(4)で得られたポストベーク後の各種塗膜の分光を測定した(分光A)。この塗膜に対し、この上に上記(1)で得られたレジスト溶液Aを膜厚1μmとなるように塗布しプリベーク(100℃、120秒間)を行った後、CD−2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)現像液を使用して23℃、120秒間の条件で現像を行い、再度分光を測定した(分光B)。この分光A、Bの差より染料残存率(%)を算出し、これを耐溶剤性の評価指標とした。この数値は100%に近いほど耐溶剤性に優れていることを示す。
【0397】
−判定基準−
・○:染料残存率>90%
・△:70≦染料残存率≦90%
・×:染料残存率<70%
【0398】
〔パターン形状〕
上記(4)で得られたポストベーク後の各種塗膜の現像パターンを光学顕微鏡(オリンパス(株)製デジタルマイクロスコープRX−20)で観察し、精細なパターンが作製できているかを以下判定基準に従って評価した。
【0399】
―判定基準―
・○:精細なパターンが作製できている。
・△:パターンは作製できているが、パターンの縁が精細でない。
・×:パターンが作製できていない。
【0400】
[実施例3〜35]
実施例2の(3)レジスト溶液Bの調製において、本発明の例示化合物を下記表4に示すものに変更した以外(但し等重量)、実施例2と同様にしてパターンを形成し、更に同様の評価を行った。評価結果を下記表4に示す。
【0401】
[比較例1〜2]
実施例2の(3)レジスト溶液Bの調製において、本発明の例示化合物を下記比較色素1又は2(比較例1及び2)に変更した以外は(但し等重量)、実施例2と同様にしてパターンを形成し、更に同様の評価を行った。評価結果は実施例の結果と共に下記表4に示す。
【0402】
比較色素1:特開昭54−65730号公報に記載の下記化合物
【化115】

【0403】
比較色素2:シー・アイ・アシッド・レッド87
【0404】
【表4】

【0405】
表4に示すように、本発明に係る染料を用いた実施例では、比較例1及び2と比較して、溶液状に調製された染料レジスト溶液(着色硬化性組成物)は、いずれも経時での保存安定性に優れており、しかもこの着色硬化性組成物を用いて形成されたパターンは、良好な熱堅牢性、光堅牢性、耐溶剤性、及びパターン形状を示した。
更に、実施例2〜10、16〜22、26〜33に用いた本発明の色素化合物は、実施例で用いたシクロヘキサンを含めさまざまな有機溶剤(例えば、より安全性の高い乳酸エチルなど)への溶解性が非常に高く、作業安全性の観点、作業負荷軽減にも効果的であることが確認された。
【0406】
[実施例2B〜実施例35B、比較例1B〜2B]
<<パターン形状の確認>>
(1)下塗り層付シリコンウエハー基板の作製
6インチシリコンウエハーをオーブン中で200℃、30分間加熱処理した。次いで、このシリコンウエハー上に、実施例2の(1)で調整したレジスト液Aを、乾燥膜厚1.0μmとなるように塗布し、更に220℃のオーブン中で1時間乾燥させて下塗り層を形成し、下塗り層付きシリコンウエハー基板を得た。
【0407】
前記(1)で得られた下塗り層付きシリコンウエハー基板の下塗り層上に、前記実施例2〜35で用いた着色硬化性組成物を、各々の塗布膜の乾燥膜厚が0.8μmになるように塗布し、光硬化性の塗布膜を形成した。そして、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行った。
次いで、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して365nmの波長でパターンが1.2μm四方のアイランドパターンマスクを通して100〜2500mJ/cmの範囲で露光量を100mJ/cmずつ変化させて照射した。
その後、照射された塗布膜が形成されているシリコンウエハー基板をスピン・シャワー現像機(DW−30型;(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、60%CD−2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を用いて23℃で60秒間パドル現像を行ない、シリコンウエハー基板に着色パターンを形成した。
【0408】
(2)カラーフィルタの形成
着色パターンが形成されたシリコンウエハー基板を真空チャック方式で前記水平回転テーブルに固定し、回転装置によって該シリコンウエハー基板を回転数50rpmで回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理を行ない、その後スプレー乾燥し、カラーフィルタを得た。
【0409】
形成されたパターン画像は、撮像素子用に好適な、正方形の断面が矩形状の良好なプロファイルを示した。
【0410】
<<色移りの確認>>
現像後の前記パターンに、現像前の露光における露光量[mJ/cm]の10倍以上の照射光量[mJ/cm]の紫外光を照射する紫外線照射工程を行うことで、隣接画素や積層状態の上下層への色移りを抑制する効果が得られた。その詳細を以下で説明する。
【0411】
実施例2〜35、比較例1〜2で用いたレジスト液を用いてカラーフィルタを以下の手順で作製し、色移り評価を実施した。また、現像工程後の紫外線照射工程を行わずに作製したカラーフィルタを用いて上記評価を実施した。
【0412】
(1)単色カラーフィルタの作製
−下塗り層付シリコンウエハー基板の作製−
6インチシリコンウエハーをオーブン中で200℃、30分間加熱処理した。次いで、このシリコンウエハー上に、実施例2の(1)で調整したレジスト液Aを、乾燥膜厚1.0μmとなるように塗布し、更に220℃のオーブン中で1時間乾燥させて下塗り層を形成し、下塗り層付きシリコンウエハー基板を得た。
【0413】
(2)ネガ型硬化性組成物の露光・現像
次に、前記のように調製した実施例2〜35、比較例1〜2のネガ型硬化性組成物の各々を用い、得られた下塗り層付シリコンウエハーの下塗り層の上に、乾燥膜厚が1μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、100℃で120秒間プリベークし、シリコンウエハー上に着色膜を形成した。この着色膜に対して、2.0μmの正方ピクセルがそれぞれ基板上の4mm×3mmの領域に配列されたマスクパターンを介してi線ステッパー(キャノン(株)製のFPA−3000i5+)により、200[mJ/cm]の露光量、照度1200mW/cm(積分照射照度)で露光した。露光後、現像液(商品名:CD−2000、60%、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を用いて23℃で60秒間、パドル現像し、パターンを形成した。次いで、流水で20秒間リンスした後、スプレー乾燥させた。
【0414】
その後、パターンが形成されたシリコンウエハー全体に、高圧水銀灯(ウシオ電機(株)UMA−802−HC552FFAL)を用いて10000[mJ/cm]の紫外線を照射した。照射後、220℃で300秒間、ホットプレートでポストベーク処理し、シリコンウエハー上に着色パターンを形成した。なお、高圧水銀灯からの照射光に含まれる275nm以下の波長光は、10%である。
以上のようにして、単色カラーフィルタを作製した。
【0415】
(3)評価
上記のようにして作製したカラーフィルタについて、下記の評価を行なった。評価結果を下記表5に示す。
〔色移り〕
上記のようにして作製したカラーフィルタの着色パターン形成面に、乾燥膜厚が1μmとなるようにCT−2000L溶液(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製;下地透明剤)を塗布し、乾燥させて、透明膜を形成した後、200℃で5分間加熱処理を行なった。加熱終了後、着色パターンに隣接する透明膜の吸光度をMCPD−3000(大塚電子(株)製)にて測定した。得られた透明膜の吸光度の値の、同様に加熱前に測定した着色パターンの吸光度に対する割合[%]を算出し、色移りを評価する指標とした。
【0416】
−判定基準−
隣接ピクセルへの色移り(%)
・◎:隣接ピクセルへの色移り<1%
・○:1%≦隣接ピクセルへの色移り<10%
・△:10%≦隣接ピクセルへの色移り≦30%
・×:隣接ピクセルへの色移り>30%
【0417】
【表5】

【0418】
表5に示すように、本発明に係る染料を用いた実施例では、比較例1B及び2Bと比較して、隣接画素への色移りが抑制されており、紫外光を照射する紫外線照射工程を行うことで、隣接画素への色移りがより抑制された。
【0419】
[実施例36]
(1)着色硬化性組成物[ポジ型]の調製
・乳酸エチル(EL) 30部
・下記樹脂P−1 3.0部
・下記ナフトキノンジアジド化合物N−1 1.8部
・架橋剤:ヘキサメトキシメチロール化メラミン 0.6部
・光酸発生剤:TAZ−107(みどり化学(株)製) 1.2部
・フッ素系界面活性剤:F−475(DIC(株)製) 0.0005部
・色素:例示化合物a−5(本発明の化合物) 0.3部
以上を混合し、溶解し着色硬化性組成物[ポジ型]を得た。
【0420】
上記樹脂P−1、及びナフトキノンジアジド化合物(N−1)は、以下のようにして合成した。
【0421】
(2)樹脂P−1の合成
ベンジルメタクリレート70.0g、メタクリル酸13.0g、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル17.0g、及び2−メトキシプロパノール600gを三口フラスコに仕込み、攪拌装置、還流冷却管、及び温度計を取り付け、窒素気流下65℃にて重合開始剤V−65(和光純薬工業製)を触媒量添加して10時間攪拌した。得られた樹脂溶液を20Lのイオン交換水に激しく攪拌しながら滴下し、白色粉体を得た。この白色粉体を40℃で24時間真空乾燥し145gの樹脂P−1を得た。分子量をGPCにて測定したところ、重量平均分子量Mw=28,000、数平均分子量Mn=11,000であった。
【0422】
(3)ナフトキノンジアジド化合物(N−1)の合成
Trisp−PA(本州化学製)42.45g、o−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロリド61.80g、アセトン300mlを三口フラスコに仕込み、室温下トリエチルアミン24.44gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、更に2時間攪拌した後、反応液を大量の水に攪拌しながら注いだ。沈殿したナフトキノンジアジドスルホン酸エステルを吸引ろ過により集め、40℃で24時間真空乾燥し感光性化合物N−1を得た。
【0423】
上記で得られた着色硬化性組成物[ポジ型]を実施例2と同様な方法で評価した結果、保存安定性、熱堅牢性、光堅牢性、耐溶剤性、及びパターン形状に優れることが判った。
【0424】
[実施例37及び38、比較例3及び4]
≪実施例37及び38≫
(隔壁形成用の濃色組成物K1の調製)
濃色組成物K1は、まず表6に記載の量のK顔料分散物1、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを計り取り、温度24℃(±2℃)で混合して150rpmで10分間攪拌し、さらに攪拌しながら、表6に記載の量のメチルエチルケトン(2−ブタノン)、バインダー2、ハイドロキノンモノメチルエーテル、DPHA液、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビスエトキシカルボニルメチル)アミノ−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジン、界面活性剤1を計り取り、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度40℃(±2℃)で150rpmで30分間攪拌することによって得た。なお、表6に記載の量は質量部であり、詳しくは以下の組成となっている。
【0425】
<K顔料分散物1>
・カーボンブラック:Nipex35(エボニック社製) 13.1%
・分散剤:下記記載の化合物B1 0.65%
・ポリマー:ベンジルメタクリレート/メタクリル酸のランダム共重合物(モル比=72/28、分子量3.7万) 6.72%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 79.53%
【0426】
【化116】

【0427】
<バインダー2>
・ポリマー:ベンジルメタクリレート/メタクリル酸のランダム共重合物(モル比=78/22、分子量3.8万) 27%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73%
【0428】
<DPHA液>
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(重合禁止剤MEHQ 500ppm含有、日本化薬(株)製、商品名:KAYARAD DPHA) 76%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 24%
【0429】
<界面活性剤1>
・下記構造物1 30%
・メチルエチルケトン 70%
【0430】
【化117】

【0431】
【表6】

【0432】
(隔壁の形成)
無アルカリガラス基板を、UV洗浄装置で洗浄後、洗浄剤を用いてブラシ洗浄し、更に超純水で超音波洗浄した。基板を120℃3分間熱処理して表面状態を安定化させた。
基板を冷却し23℃に温調後、スリット状ノズルを有するガラス基板用コーター(エフ・エー・エス・アジア社製、商品名:MH−1600)にて、上述のように調製した濃色組成物K1を塗布した。引き続きVCD(真空乾燥装置、東京応化工業社製)で30秒間、溶媒の一部を乾燥して塗布層の流動性を無くした後、120℃で3分間プリベークして膜厚2.3μmの濃色組成物層K1を得た。
超高圧水銀灯を有すプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング株式会社製)で、基板とマスク(画像パターンを有す石英露光マスク)を垂直に立てた状態で、露光マスク面と濃色感光層K1の間の距離を200μmに設定し、窒素雰囲気下、露光量300mJ/cmで隔壁幅20μm、スペース幅100μmにパターン露光した。
【0433】
次に、純水をシャワーノズルにて噴霧して、濃色組成物層K1の表面を均一に湿らせた後、KOH系現像液(ノニオン界面活性剤含有、商品名:CDK−1、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製を100倍希釈したもの)を23℃80秒、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像しパターニング画像を得た。引き続き、超純水を、超高圧洗浄ノズルにて9.8MPaの圧力で噴射して残渣除去を行い、大気下にて露光量2500mJ/cmにて基板の濃色組成物層K1が形成された面側からポスト露光を行って、オーブンにて240℃で50分加熱し、膜厚2.0μm、光学濃度4.0、100μm幅の開口部を有するストライプ状の隔壁を得た。
【0434】
(撥インク化プラズマ処理)
隔壁を形成した基板に、カソードカップリング方式平行平板型プラズマ処理装置を用いて、以下の条件にて撥インク化プラズマ処理を行った。
【0435】
使用ガス :CF
ガス流量 :80sccm
圧力 :40Pa
RFパワー:50W
処理時間 :30sec
【0436】
(赤色(R)用インクの調製法)
下記表7の成分を混合し、1時間撹拌した。その後、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過して本発明に係る下記赤色用インク液(インクR−1、及びインクR−2)を調製した。
【0437】
【表7】

【0438】
用いた成分の詳細を以下に示す。
・染料:一般式(2)で表される化合物の例示化合物a−5
・DPCA−60(日本化薬社製、KAYARAD DPCA−60):カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
・KF−353(信越化学工業(株)社製、ポリエーテル変性シリコーンオイル)
【0439】
(粘度、表面張力の測定)
得られたインクを25℃に調温したまま、東機産業(株)製E型粘度計(RE-80L)を用いて以下の条件で粘度を測定した。
−測定条件−
・使用ロータ:1°34’×R24
・測定時間 :2分間
・測定温度 :25℃
【0440】
得られたインクを25℃に調温したまま、協和界面科学(株)製表面張力計(FACE
SURFACE TENSIOMETER CBVB-A3)を用いて表面張力を測定した。
【0441】
(コントラスト測定方法)
バックライトユニットとして冷陰極管光源に拡散板を設置したものを用い、2枚の偏光板(ルケオ製、POLAX−15N)の間に単色基板を設置し、偏光板をパラレルニコルに設置したときに通過する光の色度のY値を、クロスニコルに設置したときに通過する光の色度のY値で割ることでコントラストを求めた。色度の測定には色彩輝度計((株)トプコン製BM−5A)を用いた。単色基板は以下の方法で作製した。
カラーフィルタを構成するRインク(インクR―1、インクR−2)を用いて、ガラス基板上にインクジェット法あるいはスピンコート法によってベタ膜を形成して、カラーフィルタ形成と同じようにプリベーク(予備加熱)(温度100℃、2分)、ポストベーク(後加熱)(温度220℃、30分)を行い、膜厚2um(μm)を形成した。
【0442】
色彩輝度計の測定角は1°に設定し、サンプル上の視野φ5mmで測定した。バックライトの光量は、サンプルを設置しない状態で、2枚の偏光板をパラレルニコルに設置したときの輝度が400cd/mになるように設定した。
【0443】
上記で得た単色基板(2種類)のコントラストを測定したところ、いずれの単色基板でも50000以上の値を得た。
【0444】
(ITO層作製)
次に、上記で得た単色基板上にスパッタ装置を用い、膜面温度200℃にて15分間、ITO(酸化インジウムスズ)をスパッタして、膜厚1500ÅのITO膜を形成し、ITO付きのカラーフィルタ基板を作製した。
【0445】
(ITOスパッタ前後における分光特性変化)
ITOスパッタ前後において、紫外可視吸収分光装置(日本分光製V−570)を用いて、400nm〜700nmの波長範囲における分光透過率曲線を得た。スパッタ前後での、最大ピークにおける分光透過率変化量が小さい場合、耐熱性に優れることを意味する。作製した基板はITOスパッタ前後においてスペクトル形状が殆ど変化しておらず、高い耐熱性を有することがわかった。
【0446】
≪比較例3及び4≫
(顔料分散液の調製)
シー・アイ・ピグメント・レッド177(BASFジャパン製:Cromophtal Red A2B)17.5質量部に、顔料分散剤(前記化合物B1)2.5質量部及び溶剤(1,3−ブタンジオールジアセテート)(以下1,3−BGDAと略す)80質量部とMMPGAC(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)で配合し、プレミキシングの後、モーターミルM−50(アイガー・ジャパン社製)で、直径0.65mmのジルコニアビーズを充填率80%で用い、周速9m/sで25時間分散し、R用顔料分散液(R1)を調製した。
上記R用顔料分散液(R1)の調製において、顔料をシー・アイ・ピグメント・レッド254(BASFジャパン製:Irgaphor Red B-CF)に変更した以外は同様にして、R用顔料分散液(R2)を調製した。なお、日機装社製ナノトラックUPA−EX150を用いて、この顔料分散液の数平均粒径を測定した結果いずれも50nmであった。
【0447】
(比較例用インクの調製)
比較例として、上記の顔料分散液を用いて、以下記載の表8の分量で作製した顔料インクR−a、R−bを調製した。なお、使用した材料は、以下の通りである。
・DPS100(日本化薬社製):KAYARAD DPS100
・TMPTA(日本化薬社製):KAYARAD TMPTA
・界面活性剤:前述の界面活性剤1
・V−40(和光純薬社製):アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)
【0448】
【表8】

【0449】
(評価用カラーフィルタの作製方法)
上記で調製されたインクを用いて、上記で得られた基板上の隔壁で区分された領域内(凸部で囲まれた凹部)に、富士フイルムDimatix製インクジェットプリンターDMP−2831を用い、吐出を行い、その後、100℃オーブン中で2分間加熱を行った。次に、220℃のオーブン中で30分間静置することにより、単色のカラーフィルタを作製した。
【0450】
(評価)
〔インク保存安定性〕
上記で調製された各インクを50℃の恒温室に保管し、30日後の粘度を測定し、インク調製直後の値との差(%)[(30日後の粘度−調製直後の粘度)/調製直後の粘度]により評価を行った。評価基準は以下の様に分類した。
◎:インク調製直後の粘度との差が10%未満
○:インク調製直後の粘度との差が10%以上20%未満
△:インク調製直後の粘度との差が20%以上30%未満
×:インク調製直後の粘度との差が30%以上
【0451】
〔連続吐出安定性〕
上記で調製された各インクを用いて、吐出安定性の評価を行った。評価方法は、富士フイルムDimatix社製インクジェットプリンターDMP−2831、打滴量10pLのヘッドカートリッジ、打滴周波数10kHzで行い、30分間連続吐出をした際の状態を観察した。評価基準は以下の様に分類した。
◎:問題なく連続吐出が可能
○:吐出中に、少々不吐出、吐出乱れなど観察されるが、吐出中に復帰し、概ね問題の無い状態
△:吐出中に不吐出、吐出乱れが生じ、吐出中に復帰しないが、メンテナンスによって正常な状態に復帰する状態
×:吐出中に不吐出、吐出乱れが生じ、正常に吐出ができず、メンテナンスによっても吐出が復帰しない状態
メンテナンスは、DMP−2831によるパージ(ヘッド内インクを加圧してノズルからインクを強制的に吐き出す)、ブロット(ヘッドノズル面をクリーニングパッドに僅かに接触させて、ノズル面のインクを吸い取る)を実施した。
【0452】
〔休止後吐出安定性〕
上記で調製されたインクを用いて、吐出安定性の評価を行った。評価方法は連続吐出安定性評価同様に、富士フイルムDimatix製インクジェットプリンターDMP−2831、打滴量10pLのヘッドカートリッジを用い、打滴周波数10kHzで一度5分間の吐出を行い、24時間の休止後、再び同条件で吐出を開始した際の状態を観察した。評価基準は以下の様に分類した。
◎:打滴指示と同時に問題なく吐出が可能
○:打滴指示直後は少々不吐出、吐出乱れなど観察されるが、吐出中に復帰し、概ね問題の無い状態
△:不吐出、吐出乱れが生じ、吐出中に復帰しないが、メンテナンスによって正常な状態に復帰する状態
×:不吐出、吐出乱れが生じ、正常に吐出ができず、メンテナンスによっても吐出が正常なレベルまで復帰しない状態
メンテナンスは、DMP−2831によるパージ(ヘッド内インクを加圧してノズルからインクを強制的に吐き出す)、ブロット(ヘッドノズル面をクリーニングパッドに僅かに接触させて、ノズル面のインクを吸い取る)を実施した。
【0453】
〔耐熱性〕
上記で作製した各色のカラーフィルタを、230℃に加熱したオーブン内に入れ、1時間放置した後、その前後の色相を測定した。色相の測定は、UV−560(日本分光社製)を用い、前後の色相差ΔEabが5未満を○とし、ΔEabが5以上15未満を△とし、ΔEabが15以上を×とした。
【0454】
〔耐薬品性〕
上記で作製した各色のカラーフィルタを、評価を行う薬品(N−メチルピロリドン、2−プロパノール、5%硫酸水溶液、5%水酸化ナトリウム水溶液)中に20分間浸し、その前後の色相を測定した。色相の測定は、UV−560(日本分光社製)を用い、前後の色相差ΔEabが5未満を○とし、ΔEabが5以上15未満を△とし、ΔEabが15以上を×とした。
【0455】
以下の表9に、インクジェット用インク及びカラーフィルタの評価結果をまとめて示す。
【0456】
【表9】

【0457】
表9に示すように、本発明に記載のインクジェット用インクは、保存性に優れるとともに、吐出安定性の点からも優れていた。また、本発明に記載のインクジェット用インクを用いて製造されたカラーフィルタは、顔料インクを使用した場合と同等程度の優れた耐薬品性、耐熱性を有していた。
一方、顔料インクを使用した比較例においては、吐出安定性が悪く、実用性に欠いていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物、及びそれらの互変異性体から選択される少なくとも1種を含有する着色硬化性組成物。
【化1】


〔一般式(1)中、R〜Rは各々独立に、水素原子又は置換基を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。但し、R〜Rのいずれかの置換基が2価の連結基となって−L−又は−L−と結合しているか、R〜Rのいずれかの置換基が単結合となって、−L−又は−L−が直接ジピロメテン骨格に置換している。Maは、金属又は金属化合物を表す。Xは、Maの電荷の中和に必要な基を表し、XはMaに結合可能な基を表す。rは0又は1を表し、tは0、1又は2を表す。XとXは、互いに結合して5員、6員又は7員の環を形成していてもよい。Mは、水素原子、−COの電荷を中和するのに必要な有機塩基若しくは金属原子、又は単なるアニオン(即ちCOMはCOを表す)を表し、Lは、単結合又は(m+1)価の連結基を表す。mは1、2又は3を表し、pは1又は2を表す。Rは水素原子又はメチル基を表し、Qは酸素原子又はNR(Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基を表す)を表す。Lは単結合又は(n+1)価の連結基を表し、nは1、2又は3を表し、qは1又は2を表す。pが2のとき、複数の{(L)−(COM)m}は同一でも異なっていてもよい。qが2のとき、複数の{(L)−(Q−COC(R)=CH)n}は同一でも異なっていてもよい。mが2又は3のとき、複数の(COM)は同一でも異なっていてもよい。nが2又は3のとき、複数の(Q−COC(R)=CH)は同一でも異なっていてもよい。〕
【請求項2】
前記一般式(1)で表される化合物及びそれらの互変異性体から選択される少なくとも1種が、下記一般式(2)で表される化合物及びそれらの互変異性体から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の着色硬化性組成物。
【化2】


〔一般式(2)中、R〜Rは各々独立に、水素原子又は置換基を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、R10及びR11は、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アニリノ基、又はヘテロ環アミノ基を表す。但し、R〜R、R10、R11のいずれかの置換基が2価の連結基となって−L−又は−L−と結合しているか、R〜R、R10、R11のいずれかの置換基が単結合となって、−L−又は−L−が直接ジピロメテン骨格に置換している。Maは、金属又は金属化合物を表す。Xは、Maの電荷の中和に必要な基を表し、rは0又は1を表す。X、Xは各々独立に、NR(Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基を表す)、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表し、Y及びYは各々独立に、NR(Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基を表す)、又は酸素原子を表し、R10とYは、互いに結合して、5員、6員又は7員の環を形成していてもよく、R11とYとが互いに結合して5員、6員又は7員の環を形成していてもよい。Mは、水素原子、−COの電荷を中和するのに必要な有機塩基若しくは金属原子、又は単なるアニオン(即ちCOMはCOを表す)を表し、Lは、単結合又は(m+1)価の連結基を表す。mは1、2又は3を表し、pは1又は2を表す。Rは水素原子又はメチル基を表し、Qは酸素原子又はNR(Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基を表す)を表す。Lは単結合又は(n+1)価の連結基を表し、nは1、2又は3を表し、qは1又は2を表す。pが2のとき、複数の{(L)−(COM)m}は同一でも異なっていてもよい。qが2のとき、複数の{(L)−(Q−COC(R)=CH)n}は同一でも異なっていてもよい。mが2又は3のとき、複数の(COM)は同一でも異なっていてもよい。nが2又は3のとき、複数の(Q−COC(R)=CH)は同一でも異なっていてもよい。〕
【請求項3】
前記一般式(1)又は前記一般式(2)におけるMaが、Fe、Zn、Co、V=O、又はCuである請求項1又は請求項2に記載の着色硬化性組成物。
【請求項4】
前記一般式(1)又は前記一般式(2)におけるMaが、Znである請求項1又は請求項2に記載の着色硬化性組成物。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物を用いて形成されたカラーフィルタ。
【請求項6】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物を含むレジスト液。
【請求項7】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物を含むインクジェット用インク。
【請求項8】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物を支持体上に塗布して層を形成する工程と、
前記着色硬化性組成物により形成された層に対し、マスクを介して露光する工程と、
前記露光後に、現像してパターン像を形成する工程と、
を有するカラーフィルタの製造方法。
【請求項9】
更に、現像してパターン像を形成する工程の後、紫外線を照射する工程を有する請求項8に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項10】
隔壁により区画された凹部を有する基板を準備する工程と、
前記凹部に、インクジェット法によって、請求項7に記載のインクジェット用インクの液滴を付与して、カラーフィルタの色画素を形成する工程と、
を有するカラーフィルタの製造方法。
【請求項11】
請求項5に記載のカラーフィルタを備える固体撮像素子。
【請求項12】
請求項5に記載のカラーフィルタを備える液晶ディスプレイ。
【請求項13】
請求項5に記載のカラーフィルタを備える有機ELディスプレイ。
【請求項14】
請求項5に記載のカラーフィルタを備える画像表示デバイス。
【請求項15】
下記一般式(2)で表される色素化合物、及びそれらの互変異性体からなる群から選択される色素化合物。
【化3】


〔一般式(2)中、R〜Rは各々独立に、水素原子又は置換基を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、R10及びR11は、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アニリノ基、又はヘテロ環アミノ基を表す。但し、R〜R、R10、R11のいずれかの置換基が2価の連結基となって−L−又は−L−と結合しているか、R〜R、R10、R11のいずれかの置換基が単結合となって、−L−又は−L−が直接ジピロメテン骨格に置換している。Maは、金属又は金属化合物を表す。Xは、Maの電荷の中和に必要な基を表し、rは0又は1を表す。X、Xは各々独立に、NR(Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基を表す)、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表し、Y及びYは各々独立に、NR(Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基を表す)、又は酸素原子を表し、R10とYは、互いに結合して、5員、6員又は7員の環を形成していてもよく、R11とYとが互いに結合して5員、6員又は7員の環を形成していてもよい。Mは、水素原子、−COの電荷を中和するのに必要な有機塩基若しくは金属原子、又は単なるアニオン(即ちCOMはCOを表す)を表し、Lは、単結合又は(m+1)価の連結基を表す。mは1、2又は3を表し、pは1又は2を表す。Rは水素原子又はメチル基を表し、Qは酸素原子又はNR(Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基を表す)を表す。Lは単結合又は(n+1)価の連結基を表し、nは1、2又は3を表し、qは1又は2を表す。pが2のとき、複数の{(L)−(COM)m}は同一でも異なっていてもよい。qが2のとき、複数の{(L)−(Q−COC(R)=CH)n}は同一でも異なっていてもよい。mが2又は3のとき、複数の(COM)は同一でも異なっていてもよい。nが2又は3のとき、複数の(Q−COC(R)=CH)は同一でも異なっていてもよい。〕

【公開番号】特開2011−174036(P2011−174036A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223955(P2010−223955)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】