説明

着色組成物及びインクジェット記録用インク

【課題】ブロンズ光沢を抑制し、良好なオゾンガス堅牢性と高い印画濃度を有する着色組成物及びインクジェット用記録インクを提供する。
【解決手段】特定構造のフタロシアニンと特定の置換基を有するフタロシアニンを混合して用い会合を抑制し、トレードオフの関係を脱却した。着色組成物は、高濃度水溶液においても析出にしくく経時貯蔵安定性に優れ、インクジェット用インクの原料となる染料水溶液を高濃度で調整できることから保管・輸送の点で有利であり、又インクを調液する際に、染料の析出などがないため濃度のずれが少ないことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、良好な堅牢性と高い印画濃度を有し、さらには経時貯蔵安定性に優れた着色組成物及びインクジェット用記録インクに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像記録材料としては、特にカラー画像を形成するための材料が主流であり、具体的には、インクジェット方式の記録材料、感熱転写方式の記録材料、電子写真方式の記録材料、転写式ハロゲン化銀感光材料、印刷インク、記録ペン等が盛んに利用されている。また、撮影機器ではCCDなどの撮像素子において、ディスプレーではLCDやPDPにおいて、カラー画像を記録・再現するためにカラーフィルターが使用されている。
【0003】
これらのカラー画像記録材料やカラーフィルターでは、フルカラー画像を再現あるいは記録するために、いわゆる加法混色法や減法混色法の3原色の(染料や顔料)が使用されているが、好ましい色再現域を実現出来る吸収特性を有し、且つさまざまな使用条件に耐えうる堅牢な色素がないのが実状であり、改善が強く望まれている。
【0004】
インクジェット記録方法は、材料費が安価であること、高速記録が可能なこと、記録時の騒音が少ないこと、更にカラー記録が容易であることから、急速に普及し、更に発展しつつある。
【0005】
インクジェット記録方法には、連続的に液滴を飛翔させるコンティニュアス方式と画像情報信号に応じて液滴を飛翔させるオンデマンド方式が有り、その吐出方式にはピエゾ素子により圧力を加えて液滴を吐出させる方式、熱によりインク中に気泡を発生させて液滴を吐出させる方式、超音波を用いた方式、あるいは静電力により液滴を吸引吐出させる方式がある。
【0006】
また、インクジェット記録用インクとしては、水性インク、油性インク、あるいは固体(溶融型)インクが用いられる。
【0007】
このようなインクジェット記録用インクに用いられる色素に対しては、溶剤に対する溶解性あるいは分散性が良好なこと、高濃度記録が可能であること、色相が良好であること、光、熱、環境中の活性ガス(NOx、オゾン等の酸化性ガスの他SOxなど)に対して堅牢であること、水や薬品に対する堅牢性に優れていること、受像材料に対して定着性が良く滲みにくいこと、インクとしての保存性に優れていること、毒性がないこと、純度が高いこと、更には、安価に入手できることが要求されている。
【0008】
しかしながら、これらの要求を高いレベルで満たす色素を捜し求めることは、極めて難しい。特に、良好なシアン色相を有し、光,湿度,熱に対して堅牢であること、中でも多孔質の白色無機顔料粒子を含有するインク受容層を有する受像材料上に印字する際には、環境中のオゾンなどの酸化性ガスに対して堅牢であることが強く望まれていると共に後述するようにインク保存安定性との両立が強く望まれている。
【0009】
このようなインクジェット記録用インクに用いられるシアンの色素骨格としてはフタロシアニン系、アントラキノン系、トリフェニルメタン系などがあり、色相と光堅牢性に優れたフタロシアニン化合物が使用されているが、酸化性ガス、特にオゾンに対しては充分な堅牢性を有しておらず、インク安定性をも満足できていないので改良が望まれている。
【0010】
現在一般に広く用いられているDirect Blue 87又はDirect Blue 199に代表され、また前記公報等にも記載があるフタロシアニン染料は、マゼンタやイエローに比べ耐光性に優れるという特徴があるものの、染料の溶解性に起因する問題が生じやすく、例えば、製造時に溶解不良が発生して製造トラブルとなったり、製品保存時や使用時に不溶物が析出して問題を起こすことも多い。特に先に述べたインクジェット記録においては、染料の析出等インク保存安定性が悪いために印字ヘッドの目詰まりや吐出不良を引き起こし、印字画像の著しい劣化を引き起こすなどの問題がある。
【0011】
また、昨今環境問題として取りあげられることの多いオゾン等の酸化性ガスによっても褪色しやすく、印字濃度が大きく低下してしまうことが大きな問題となっている。
【0012】
現在、インクジェット記録は使用分野が急拡大しており、一般家庭、SOHO、業務分野等で今後ますます広く使用されるようになると、様々な使用条件や使用環境にさらされる結果、シアン染料の溶解性不良に起因するインク保存安定性のトラブルが発生したり、光や環境中の活性ガスに曝されて印字画像の褪色が問題となる場合が多くなる。したがって、特に良好な色相を有し、光堅牢性及び環境中の活性ガス(NOx、オゾン等の酸化性ガスの他SOxなど)堅牢性に優れ、高い溶解性を有した色素及びインク組成物がますます強く望まれている。
【0013】
色相と光及びオゾン堅牢性を両立させるフタロシアニン色素として、特定のスルホニル基又はスルフィニル基を有するフタロシアニン色素が先行文献1に記載され、スルホ基、及び置換スルファモイル基を有するフタロシアニン色素が先行文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2002−249677号公報
【特許文献2】国際公開第2010/020802号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、先行文献1に記載のフタロシアニン色素のうち、α、β‐位混合型においては、オゾン堅牢性と印画濃度は十分には両立してはいなかった。上記のようなα、β‐位混合型においては、置換位置比率{α位(1、4、5、8、9、12、13及び16位)対β位(2、3、6、7、10、11、14及び15位)}を分子内で調整し会合を制御することで、印画濃度と堅牢性のバランスを取っている。すなわち両者はトレードオフの関係にあり、一方の性能を満たすためには他方の性能は十分とはならなかったためである。
また、先行文献1に記載のフタロシアニン色素においても、オゾン堅牢性と印画濃度は十分には両立しておらず、印画濃度についてはさらなる改良の余地があることがわかった。
【0016】
本発明はこのような事情に鑑みなされたもので、ブロンズ光沢を抑制し、良好なオゾンガス堅牢性と高い印画濃度を有する着色組成物及びインクジェット用記録インクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、特定構造のフタロシアニンと特定の置換基を有するフタロシアニンとを混合して用いることで会合を抑制し、上記トレードオフの関係を脱却できることを見出し、本発明を完成するに至った。また、本発明の着色組成物は、予想外にも高濃度水溶液においても析出にしくいという経時貯蔵安定性に優れている事がわかった。優れた経時貯蔵安定性は、インクジェット用インクの原料となる染料水溶液を高濃度で調整できることから保管・輸送の点で有利であり、また高濃度染料水溶液を用いてインクジェット用インクを調液する際に、染料の析出などがないため濃度のずれが起きにくく有用である。
【0018】
本発明の課題は、以下の方法によって達成された。
【0019】
〔1〕
下記一般式(1)で表されるフタロシアニン染料と、下記一般式(2)で表されるフタロシアニン染料とを含むことを特徴とする着色組成物。
【化1】

(一般式(1)中、
、R、R、R、R10、R11、R14及びR15は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミド基、アリールアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、ホスホリル基、アシル基又はイオン性親水性基を表す。これらの基は、さらに置換基を有していてもよい。
、Z、Z、及びZは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。但し、Z、Z、Z、及びZのうち少なくとも1つは、イオン性親水性基を置換基として有する。
l、m、n、p、q、q、q及びqは、それぞれ独立に、1又は2を表す。
は、水素原子、金属元素、金属酸化物、金属水酸化物又は金属ハロゲン化物を表す。)
【化2】

(一般式(2)中、
17及びR18はそれぞれ独立して水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基、置換若しくは無置換のアルケニル基を表す。
Aは二価の連結基をそれぞれ表し、隣接するR17、R18、及びAは互いに連結して環を形成しても良い。
Y及びZは、それぞれ独立してハロゲン原子、水酸基、スルホン酸基、カルボキシル基、アミノ基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のシクロアルキルオキシ基、置換若しくは無置換のアリロキシ基、置換若しくは無置換のヘテロ環オキシ基、置換若しくは無置換のアラルキルオキシ基、置換若しくは無置換のアルケニルオキシ基、置換若しくは無置換のアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のシクロアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールアミノ基、置換若しくは無置換のヘテロ環アミノ基、置換若しくは無置換のアラルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアルケニルアミノ基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルチオ基、置換若しくは無置換のアリールチオ基、置換若しくは無置換のヘテロ環チオ基、置換若しくは無置換のアラルキルチオ基、置換若しくは無置換のアルケニルチオ基を表す。但し、Y、Zのうち少なくとも1つは、スルホン酸基、カルボキシル基、又はイオン性親水性基を置換基として有する基である。
m、及びnは1から3であり、且つmとnの和は2から4である。)
〔2〕
一般式(1)で表されるフタロシアニン染料におけるR、R、R、R、R10、R11、R14及びR15が、水素原子であることを特徴とする〔1〕に記載の着色組成物。
〔3〕
一般式(1)で表されるフタロシアニン染料におけるZ、Z、Z、及びZが、それぞれ独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表すことを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の着色組成物。
〔4〕
一般式(1)で表されるフタロシアニン染料におけるl、m、n及びpが1である〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の着色組成物。
〔5〕
一般式(1)で表されるフタロシアニン染料におけるq、q、q及びqが2である〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の着色組成物。
〔6〕
前記一般式(2)で表されるフタロシアニン染料が、一般式(2−1)で表されるフタロシアニン染料である〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の着色組成物。
【化3】


(一般式(2−1)中、
27及びR28はそれぞれ独立して水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基、置換若しくは無置換のアルケニル基を表す。
Aは二価の連結基をそれぞれ表し、隣接するR27、R28、及びAは互いに連結して環を形成しても良い。
29、R210、及びR211はそれぞれ独立に、水素原子、又は置換若しくは無置換のアルキル基を表し、R212は、スルホン酸基、カルボキシル基、置換アルキル基、置換アリール基、又は置換ヘテロ環基を表し、イオン性親水性基を少なくとも一つ置換基として有する。
m、及びnは1から3であり、且つmとnの和は2から4である。)
・ 〔7〕
一般式(1)で表されるフタロシアニン染料と、一般式(2)で表されるフタロシアニン染料との質量比が50/50〜10/90である〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の着色組成物。
〔8〕
一般式(1)で表されるフタロシアニン染料の含有量が1〜20質量%である〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の着色組成物。
〔9〕
〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の着色組成物を含むインクジェット記録用インク。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、良好なオゾン堅牢性、高い印画濃度を有し、ブロンズ光沢を抑制し、優れた色相を実現し、さらには経時貯蔵安定性に優れた着色組成物及びインクジェット用記録インクが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明において、置換基群Aを下記のように定義する。
【0022】
(置換基群A)
ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子);炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状鎖アルキル基、炭素数7〜18のアラルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12の直鎖状又は分岐鎖状アルキニル基、側鎖を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、側鎖を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルケニル基(上記基の具体的例として、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、2−メタンスルホニルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメチル、シクロペンチル):アリール基(例えば、フェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−アミルフェニル);ヘテロ環基(例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル);アルキルオキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メタンスルホニルエトキシ);アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、3−t−ブチルオキシカルバモイルフェノキシ、3−メトキシカルバモイル);アシルアミノ基(例えば、アセトアミド、ベンズアミド、4−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミド);アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ);アニリノ基(例えば、フェニルアミノ、2−クロロアニリノ;ウレイド基(例えば、フェニルウレイド、メチルウレイド、N,N−ジブチルウレイド);スルファモイルアミノ基(例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ);アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、2−フェノキシエチルチオ);アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−t−オクチルフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオ);アルキルオキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ);スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド、オクタデカン);カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル);スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル);スルホニル基(例えば、メタンスルホニル、オクタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル);アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル);ヘテロ環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ);アゾ基(例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ);アシルオキシ基(例えば、アセトキシ);カルバモイルオキシ基(例えば、N−メチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ);シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオキシ);アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ);イミド基(例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミ);ヘテロ環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジ−フェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ、2−ピリジルチオ);スルフィニル基(例えば、3−フェノキシプロピルスルフィニル);ホスホニル基(例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル);アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル);アシル基(例えば、アセチル、3−フェニルプロパノイル、ベンゾイル);イオン性親水性基(例えば、スルホ基、カルボキシル基、チオカルボキシル基、スルフィノ基、ホスホノ基、ジヒドロキシホスフィノ基、4級アンモニウム基);その他シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基。
【0023】
本発明の着色組成物は、下記一般式(1)で表されるフタロシアニン染料と、一般式(2)で表されるフタロシアニン染料とを含有する。一般式(1)で表されるフタロシアニン染料は会合しにくい染料である反面、一般式(2)で表されるフタロシアニン染料は会合しやすい染料である。メカニズムは不明であるが、下記一般式(1)で表されるフタロシアニン染料と、一般式(2)で表されるフタロシアニン染料と併用することにより、相互作用が生じて会合が適切に制御されることによって印画濃度と耐オゾン性に優れ、高濃度水溶液においても経時貯蔵安定性に優れていると考えている。
【0024】
〔一般式(1)で表されるフタロシアニン染料〕
まず、一般式(1)で表されるフタロシアニン染料について詳細に説明する。
【0025】
【化4】

【0026】
(一般式(1)中、
、R、R、R、R10、R11、R14及びR15は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミド基、アリールアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、ホスホリル基、アシル基又はイオン性親水性基を表す。これらの基は、さらに置換基を有していてもよい。
、Z、Z、及びZは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。但し、Z、Z、Z、及びZのうち少なくとも1つは、イオン性親水性基を置換基として有する。
l、m、n、p、q、q、q及びqは、それぞれ独立に、1又は2を表す。
は、水素原子、金属元素、金属酸化物、金属水酸化物又は金属ハロゲン化物を表す。)
【0027】
一般式(1)中、R、R、R、R、R10、R11、R14及びR15は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミド基、アリールアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、ホスホリル基、アシル基又はイオン性親水性基を表す。これらの基は、さらに置換基を有していてもよい。置換基としては、上記置換基群Aに記載の置換基が挙げられる。
【0028】
、R、R、R、R10、R11、R14及びR15が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子が挙げられる。
【0029】
、R、R、R、R10、R11、R14及びR15が表すアルキル基には、置換基を有するアルキル基及び無置換のアルキル基が含まれる。アルキル基としては、置換基を除いたときの炭素原子数が1〜12のアルキル基が好ましい。置換基の例には、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、及びハロゲン原子及びイオン性親水性基が含まれる。アルキル基の例には、メチル、エチル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、シアノエチル、トリフルオロメチル、3−スルホプロピル及び4−スルホブチルが含まれる。
【0030】
、R、R、R、R10、R11、R14及びR15が表すシクロアルキル基には、置換基を有するシクロアルキル基及び無置換のシクロアルキル基が含まれる。シクロアルキル基としては、置換基を除いたときの炭素原子数が5〜12のシクロアルキル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。シクロアルキル基の例には、シクロヘキシル基が含まれる。
【0031】
、R、R、R、R10、R11、R14及びR15が表すアルケニル基には、置換基を有するアルケニル基及び無置換のアルケニル基が含まれる。アルケニル基としては、置換基を除いたときの炭素原子数が2〜12のアルケニル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルケニル基の例には、ビニル基、アリル基等が含まれる。
【0032】
、R、R、R、R10、R11、R14及びR15が表すアラルキル基としては、置換基を有するアラルキル基及び無置換のアラルキル基が含まれる。アラルキル基としては、置換基を除いたときの炭素原子数が7〜12のアラルキル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アラルキル基の例には、ベンジル基、及び2−フェネチル基が含まれる。
【0033】
、R、R、R、R10、R11、R14及びR15が表すアリール基には、置換基を有するアリール基及び無置換のアリール基が含まれる。アリール基としては、置換基を除いたときの炭素原子数が6〜12のアリール基が好ましい。置換基の例には、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルアミノ基及びイオン性親水性基が含まれる。アリール基の例には、フェニル、p−トリル、p−メトキシフェニル、o−クロロフェニル及びm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニルが含まれる。
【0034】
、R、R、R、R10、R11、R14及びR15が表すヘテロ環基には、置換基を有するヘテロ環基及び無置換のヘテロ環基が含まれる。ヘテロ環基としては、5員又は6員環のヘテロ環基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。へテロ環基の例には、2−ピリジル基、2−チエニル基及び2−フリル基が含まれる。
【0035】
、R、R、R、R10、R11、R14及びR15が表すアルキルアミノ基には、置換基を有するアルキルアミノ基及び無置換のアルキルアミノ基が含まれる。アルキルアミノ基としては、置換基を除いたときの炭素原子数1〜6のアルキルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルキルアミノ基の例には、メチルアミノ基及びジエチルアミノ基が含まれる。
【0036】
、R、R、R、R10、R11、R14及びR15が表すアルコキシ基には、置換基を有するアルコキシ基及び無置換のアルコキシ基が含まれる。置換基を除いたときのアルコキシ基としては、炭素原子数が1〜12のアルコキシ基が好ましい。置換基の例には、アルコキシ基、ヒドロキシル基及びイオン性親水性基が含まれる。アルコキシ基の例には、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、メトキシエトキシ基、ヒドロキシエトキシ基及び3−カルボキシプロポキシ基が含まれる。
【0037】
、R、R、R、R10、R11、R14及びR15が表すアリールオキシ基には、置換基を有するアリールオキシ基及び無置換のアリールオキシ基が含まれる。アリールオキシ基としては、置換基を除いたときの炭素原子数が6〜12のアリールオキシ基が好ましい。置換基の例には、アルコキシ基及びイオン性親水性基が含まれる。アリールオキシ基の例には、フェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基及びo−メトキシフェノキシ基が含まれる。
【0038】
、R、R、R、R10、R11、R14及びR15が表すアミド基には、置換基を有するアミド基及び無置換のアミド基が含まれる。アミド基としては、置換基を除いたときの炭素原子数が2〜12のアミド基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アミド基の例には、アセトアミド基、プロピオンアミド基、ベンズアミド基及び3,5−ジスルホベンズアミド基が含まれる。
【0039】
、R、R、R、R10、R11、R14及びR15が表すアリールアミノ基には、置換基を有するアリールアミノ基及び無置換のアリールアミノ基が含まれる。アリールアミノ基としては、置換基を除いたときの炭素原子数が6〜12のアリールアミノ基が好ましい。置換基の例としては、ハロゲン原子及びイオン性親水性基が含まれる。アリールアミノ基の例としては、アニリノ基及び2−クロロアニリノ基が含まれる。
【0040】
、R、R、R、R10、R11、R14及びR15が表すウレイド基には、置換基を有するウレイド基及び無置換のウレイド基が含まれる。ウレイド基としては、置換基を除いたときの炭素原子数が1〜12のウレイド基が好ましい。置換基の例には、アルキル基及びアリール基が含まれる。ウレイド基の例には、3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基及び3−フェニルウレイド基が含まれる。
【0041】
、R、R、R、R10、R11、R14及びR15が表すスルファモイルアミノ基には、置換基を有するスルファモイルアミノ基及び無置換のスルファモイルアミノ基が含まれる。置換基の例には、アルキル基が含まれる。スルファモイルアミノ基の例には、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ基が含まれる。
【0042】
、R、R、R、R10、R11、R14及びR15が表すアルキルチオ基には、置換基を有するアルキルチオ基及び無置換のアルキルチオ基が含まれる。アルキルチオ基としては、置換基を除いたときの炭素原子数が1〜12のアルキルチオ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルキルチオ基の例には、メチルチオ基及びエチルチオ基が含まれる。
【0043】
、R、R、R、R10、R11、R14及びR15が表すアリールチオ基には、置換基を有するアリールチオ基及び無置換のアリールチオ基が含まれる。アリールチオ基としては、置換基を除いたときの炭素原子数が6〜12のアリールチオ基が好ましい。置換基の例には、アルキル基、及びイオン性親水性基が含まれる。アリールチオ基の例には、フェニルチオ基及びp−トリルチオ基が含まれる。
【0044】
、R、R、R、R10、R11、R14及びR15が表すアルコキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルアミノ基及び無置換のアルコキシカルボニルアミノ基が含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基としては、置換基を除いたときの炭素原子数が2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、エトキシカルボニルアミノ基が含まれる。
【0045】
、R、R、R、R10、R11、R14及びR15が表すスルホンアミド基には、置換基を有するスルホンアミド基及び無置換のスルホンアミド基が含まれる。スルホンアミド基としては、置換基を除いたときの炭素原子数が1〜12のスルホンアミド基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、及び3−カルボキシベンゼンスルホンアミドが含まれる。
【0046】
、R、R、R、R10、R11、R14及びR15が表すカルバモイル基には、置換基を有するカルバモイル基及び無置換のカルバモイル基が含まれる。置換基の例には、アルキル基が含まれる。カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル基及びジメチルカルバモイル基が含まれる。
【0047】
、R、R、R、R10、R11、R14及びR15が表すスルファモイル基には、置換基を有するスルファモイル基及び無置換のスルファモイル基が含まれる。置換基の例には、アルキル基、アリ−ル基が含まれる。スルファモイル基の例には、ジメチルスルファモイル基及びジ−(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基、フェニルスルファモイル基が含まれる。
【0048】
、R、R、R、R10、R11、R14及びR15が表すアルコキシカルボニル基には、置換基を有するアルコキシカルボニル基及び無置換のアルコキシカルボニル基が含まれる。アルコキシカルボニル基としては、置換基を除いたときの炭素原子数が2〜12のアルコキシカルボニル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル基及びエトキシカルボニル基が含まれる。
【0049】
、R、R、R、R10、R11、R14及びR15が表すヘテロ環オキシ基には、置換基を有するヘテロ環オキシ基及び無置換のヘテロ環オキシ基が含まれる。ヘテロ環オキシ基としては、5員又は6員環のヘテロ環を有するヘテロ環オキシ基が好ましい。置換基の例には、ヒドロキシル基、及びイオン性親水性基が含まれる。ヘテロ環オキシ基の例には、2−テトラヒドロピラニルオキシ基が含まれる。
【0050】
、R、R、R、R10、R11、R14及びR15が表すアゾ基には、置換基を有するアゾ基及び無置換のアゾ基が含まれる。アゾ基の例には、p−ニトロフェニルアゾ基が含まれる。
【0051】
、R、R、R、R10、R11、R14及びR15が表すアシルオキシ基には、置換基を有するアシルオキシ基及び無置換のアシルオキシ基が含まれる。アシルオキシ基としては、置換基を除いたときの炭素原子数1〜12のアシルオキシ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アシルオキシ基の例には、アセトキシ基及びベンゾイルオキシ基が含まれる。
【0052】
、R、R、R、R10、R11、R14及びR15が表すカルバモイルオキシ基には、置換基を有するカルバモイルオキシ基及び無置換のカルバモイルオキシ基が含まれる。置換基の例には、アルキル基が含まれる。カルバモイルオキシ基の例には、N−メチルカルバモイルオキシ基が含まれる。
【0053】
、R、R、R、R10、R11、R14及びR15が表すシリルオキシ基には、置換基を有するシリルオキシ基及び無置換のシリルオキシ基が含まれる。置換基の例には、アルキル基が含まれる。シリルオキシ基の例には、トリメチルシリルオキシ基が含まれる。
【0054】
、R、R、R、R10、R11、R14及びR15が表すアリールオキシカルボニル基には、置換基を有するアリールオキシカルボニル基及び無置換のアリールオキシカルボニル基が含まれる。アリールオキシカルボニル基としては、置換基を除いたときの炭素原子数が7〜12のアリールオキシカルボニル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アリールオキシカルボニル基の例には、フェノキシカルボニル基が含まれる。
【0055】
、R、R、R、R10、R11、R14及びR15が表すアリールオキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアリールオキシカルボニルアミノ基及び無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基が含まれる。アリールオキシカルボニルアミノ基としては、置換基を除いたときの炭素原子数が7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アリールオキシカルボニルアミノ基の例には、フェノキシカルボニルアミノ基が含まれる。
【0056】
、R、R、R、R10、R11、R14及びR15が表すイミド基には、置換基を有するイミド基及び無置換のイミド基が含まれる。イミド基の例には、N−フタルイミド基及びN−スクシンイミド基が含まれる。
【0057】
、R、R、R、R10、R11、R14及びR15が表すヘテロ環チオ基には、置換基を有するヘテロ環チオ基及び無置換のヘテロ環チオ基が含まれる。ヘテロ環チオ基としては、5員又は6員環のヘテロ環を有することが好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。へテロ環チオ基の例には、2−ピリジルチオ基が含まれる。
【0058】
、R、R、R、R10、R11、R14及びR15が表すホスホリル基には、置換基を有するホスホリル基及び無置換のホスホリル基が含まれる。ホスホリル基の例には、フェノキシホスホリル基及びフェニルホスホリル基が含まれる。
【0059】
、R、R、R、R10、R11、R14及びR15が表すアシル基には、置換基を有するアシル基及び無置換のアシル基が含まれる。アシル基としては、置換基を除いたときの炭素原子数が1〜12のアシル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アシル基の例には、アセチル基及びベンゾイル基が含まれる。
【0060】
、R、R、R、R10、R11、R14及びR15が表すイオン性親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、チオカルボキシル基、スルフィノ基、ホスホノ基、ジヒドロキシホスフィノ基、及び4級アンモニウム基等が含まれる。イオン性親水性基としては、カルボキシル基及びスルホ基が好ましく、特にスルホ基が好ましい。カルボキシル基及びスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アルカリ金属イオン(例、ナトリウムイオン、カリウムイオン)及び有機カチオン(例、テトラメチルグアニジウムイオン)が含まれる。
【0061】
、R、R、R、R10、R11、R14及びR15は、なかでも、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基及びアルコキシカルボニル基が好ましく、特に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
【0062】
一般式(1)中、Z、Z、Z、及びZは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。但し、Z、Z、Z、及びZのうち少なくとも1つは、イオン性親水性基を置換基として有する。置換基としては、上記置換基群Aに記載の置換基が挙げられる。
【0063】
、Z、Z、及びZが表すアルキル基には、置換基を有するアルキル基及び無置換のアルキル基が含まれる。アルキル基は、置換基を除いたときの炭素原子数が1〜12のアルキル基が好ましい。置換基の例には、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、アルキルアミノ基(RNH−、RR’N−)、カルバモイル基(―CONHR)、スルファモイル基(―SONHR、―SONRR’)、スルホニルアミノ基(―NHSOR)、−SONHR基、−SONRR’基、ハロゲン原子及びイオン性親水性基が含まれる。(なお前記R、R’はアルキル基、フェニル基を表し、さらにこれらは置換基を有してもよい。置換基としては、アルキルアミノ基、ヒドロキシル基、イオン性親水性基などが挙げられる。R、R’は化学結合により環を形成していてもよい。)アルキル基の例には、メチル、エチル、ブチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、シアノエチル、トリフルオロメチル、3−スルホプロピル及び4−スルホブチルが含まれる。
【0064】
、Z、Z、及びZが表すシクロアルキル基には、置換基を有するシクロアルキル基及び無置換のシクロアルキル基が含まれる。シクロアルキル基としては、置換基を除いたときの炭素原子数が5〜12のシクロアルキル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。シクロアルキル基の例には、シクロヘキシル基が含まれる。
【0065】
、Z、Z、及びZが表すアルケニル基には、置換基を有するアルケニル基及び無置換のアルケニル基が含まれる。アルケニル基としては、置換基を除いたときの炭素原子数が2〜12のアルケニル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルケニル基の例には、ビニル基、アリル基等が含まれる。
【0066】
、Z、Z、及びZが表すアラルキル基としては、置換基を有するアラルキル基及び無置換のアラルキル基が含まれる。アラルキル基としては、置換基を除いたときの炭素原子数が7〜12のアラルキル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アラルキル基の例には、ベンジル基、及び2−フェネチル基が含まれる。
【0067】
、Z、Z、及びZが表すアリール基には、置換基を有するアリール基及び無置換のアリール基が含まれる。アリール基としては、置換基を除いたときの炭素原子数が6〜12のアリール基が好ましい。アリール基の例には、フェニル、p−トリル、p−メトキシフェニル、o−クロロフェニル及びm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニル、m−スルホフェニルが含まれる。置換基の例には、アルキル基(R−)、アルコキシ基(RO―)、アルキルアミノ基(RNH−、RR’N−)、カルバモイル基(―CONHR)、スルファモイル基(―SONHR)、スルホニルアミノ基(―NHSOR)、ハロゲン原子、イオン性親水性基が含まれる(なお前記R、R’はアルキル基、フェニル基を表し、さらにこれらはイオン性親水性基を有してもよい)。
【0068】
、Z、Z、及びZが表すヘテロ環基は、置換基を有するヘテロ環基及び無置換のヘテロ環基が含まれ、さらに他の環と縮合環を形成していてもよい。ヘテロ環基としては、5員又は6員環のヘテロ環基が好ましい。ヘテロ環基は、さらに他の環と縮合環を形成していてもよい。へテロ環基の例には、ヘテロ環の置換位置を限定せずに挙げると、それぞれ独立に、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、ピラゾール、ベンゾピラゾール、トリアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンゾイソチアゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、ピロール、ベンゾピロール、インドール、イソオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、チオフェン、ベンゾチオフェン、フラン、ベンゾフラン、ピリジン、キノリン、イソキノリン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノクサリン、トリアジン等が含まれる。置換基の例には、アルキル基(R−)、アリール基(R−)、アルコキシ基(RO―)、アルキルアミノ基(RNH−、RR’N−)、カルバモイル基(―CONHR)、スルファモイル基(―SONHR)、スルホニルアミノ基(―NHSOR)、スルホニル基(−SOR)、アシルアミノ基(−NHCOR)、ハロゲン原子、イオン性親水性基が含まれる(なお前記R、R’はアルキル基、アリール基を表し、さらにこれらはイオン性親水性基、又はイオン性親水性基を有する置換基を有してもよい)。
【0069】
、Z、Z、及びZは、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基が好ましく、置換のアルキル基、置換のアリール基、置換のヘテロ環基がより好ましく、置換のアルキル基であることがさらに好ましい。
【0070】
、Z、Z、及びZのうち少なくとも1つは、イオン性親水性基を置換基として有する。
置換基としてのイオン性親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、チオカルボキシル基、スルフィノ基、ホスホノ基、ジヒドロキシホスフィノ基、及び4級アンモニウム基等が含まれる。該イオン性親水性基としては、カルボキシル基及びスルホ基が好ましく、特にスルホ基が好ましい。カルボキシル基及びスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アルカリ金属イオン(例、ナトリウムイオン、カリウムイオン)及び有機カチオン(例、テトラメチルグアニジウムイオン)が含まれる。
【0071】
一般式(1)中、l、m、n及びpは、それぞれ独立に1又は2を表す。すなわち、4≦l+m+n+p≦8を満たす。好ましくは4≦l+m+n+p≦6を満たすことであり、最も好ましくは、それぞれが1(l=m=n=p=1)である場合である。
【0072】
一般式(1)中、q、q、q及びqは、それぞれ独立に、1又は2を表す。特にq=q=q=q=2であることが好ましい。
【0073】
一般式(1)中、Mは、水素原子、金属元素、金属酸化物、金属水酸化物又は金属ハロゲン化物を表す。
【0074】
として好ましいものは、水素原子の他に、金属元素として、Li、Na、K、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi等が挙げられる。なかでも特に、Cu、Ni、Zn、Al等が好ましく、Cuが最も好ましい。金属酸化物としては、VO、GeO等が好ましく挙げられる。また、金属水酸化物としては、Si(OH)、Cr(OH)、Sn(OH)等が好ましく挙げられる。さらに、金属ハロゲン化物としては、AlCl、SiCl、VCl、VCl、VOCl、FeCl、GaCl、ZrCl等が挙げられる。
【0075】
〔一般式(1)で表されるフタロシアニン染料の合成〕
一般式(1)で表されるフタロシアニン誘導体は、例えば特開2002−249677号公報、及び白井−小林共著、(株)アイピーシー発行「フタロシアニン−化学と機能−」(P.1〜62)、C.C.Leznoff−A.B.P.Lever共著、VCH発行‘Phthalocyanines−Properties and Applications’(P.1〜54)等に記載、引用若しくはこれらに類似の方法を組み合わせて合成することができる。
【0076】
【化5】

【0077】
上記一般式(a)−1〜(a)−4で表される化合物は、α-位置換型(下記一般式(IV)におけるR〜R16をそれぞれ1位〜16位とした場合、1及び又は4位、5及び又は8位、9及び又は12位、13及び又は16位に特定の置換基を有するフタロシアニン化合物)である。
【0078】
本発明の一般式(1)で表されるフタロシアニン染料は、α−位置換型(1及び又は4位、5及び又は8位、9及び又は12位、13及び又は16位に特定の置換基を有するフタロシアニン化合物)にあたる。
一般式(1)で表されるフタロシアニン染料は、−SO−Z及び/又はSO−Zで表される特定の置換基を有することが、良好な堅牢性のために重要である。
【0079】
一般式(1)で表されるフタロシアニン染料の具体例を、下記一般式(IV)を用いて以下に示すが、本発明に用いられるフタロシアニン染料は、下記の例に限定されるものではない。
【0080】
【化6】

【0081】
【表1】

【0082】
【表2】

【0083】
【表3】

【0084】
【表4】

【0085】
【表5】

【0086】
【表6】

【0087】
【表7】

【0088】
【表8】

【0089】
〔一般式(2)で表されるアザフタロシアニン染料〕
【0090】
【化7】

【0091】
(一般式(2)中、
17及びR18はそれぞれ独立して水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基、置換若しくは無置換のアルケニル基を表す。
Aは二価の連結基をそれぞれ表し、隣接するR17、R18、及びAは互いに連結して環を形成しても良い。
Y及びZは、それぞれ独立してハロゲン原子、水酸基、スルホン酸基、カルボキシル基、アミノ基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のシクロアルキルオキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のヘテロ環オキシ基、置換若しくは無置換のアラルキルオキシ基、置換若しくは無置換のアルケニルオキシ基、置換若しくは無置換のアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のシクロアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールアミノ基、置換若しくは無置換のヘテロ環アミノ基、置換若しくは無置換のアラルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアルケニルアミノ基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルチオ基、置換若しくは無置換のアリールチオ基、置換若しくは無置換のヘテロ環チオ基、置換若しくは無置換のアラルキルチオ基、置換若しくは無置換のアルケニルチオ基を表す。但し、Y、Zのうち少なくとも1つは、スルホン酸基、カルボキシル基、又はイオン性親水性基を置換基として有する基である。
m、及びnは1から3であり、且つmとnの和は2から4である。)
【0092】
17及びR18が表す置換若しくは無置換のアルキル基としては、炭素原子数が1〜12のアルキル基が好ましく、炭素原子数が1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素原子数が1〜4のアルキル基が更に好ましい。置換基としては、置換基群Aが挙げられ、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子及びイオン性親水性基が好ましく、ヒドロキシル基又はイオン性親水性基がより好ましい。アルキル基としては、メチル、エチル、ブチル、イソプロピル、n−プロピル、又はt−ブチルが好ましく、メチル、又はn−プロピルがより好ましく、n−プロピルが更に好ましい。
27及びR28はメチル基又は水素原子を表すことが好ましく、水素原子を表すことがより好ましい。
【0093】
17及びR18が表すシクロアルキル基には、置換基を有するシクロアルキル基及び無置換のシクロアルキル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、置換基を除いたときの炭素原子数が5〜12のシクロアルキル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が挙げられる。シクロアルキル基の例には、シクロヘキシル基が好ましい。
17及びR18が表すアラルキル基としては、置換基を有するアラルキル基及び無置換のアラルキル基が挙げられる。アラルキル基としては、置換基を除いたときの炭素原子数が7〜12のアラルキル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が挙げられる。アラルキル基の例には、ベンジル基、及び2−フェネチル基が好ましい。
【0094】
17及びR18が表す置換若しくは無置換のアリール基としては、置換基を除いたときの炭素原子数が6〜12のアリール基が好ましい。置換基の例には、置換基群Aが挙げられ、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルアミノ基及びイオン性親水性基が好ましい。アリール基としては、フェニル、又はナフチルが好ましい。
【0095】
17及びR18が表す置換若しくは無置換のヘテロ環基としては、5員または6員環のヘテロ環基が好ましい。置換基としては、置換基群Aが挙げられ、イオン性親水性基が含まれる。へテロ環基としては、2−ピリジル基、2−チエニル基及び2−フリル基が好ましい。
【0096】
17及びR18が表すアルケニル基には、置換基を有するアルケニル基及び無置換のアルケニル基が挙げられる。アルケニル基としては、置換基を除いたときの炭素原子数が2〜12のアルケニル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が挙げられる。アルケニル基の例には、ビニル基、アリル基等が好ましい。
【0097】
17及びR18が表すアリールオキシ基には、置換基を有するアリールオキシ基及び無置換のアリールオキシ基が挙げられる。アリールオキシ基としては、置換基を除いたときの炭素原子数が6〜12のアリールオキシ基が好ましい。置換基の例には、アルコキシ基及びイオン性親水性基が挙げられる。アリールオキシ基の例には、フェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基及びo−メトキシフェノキシ基が好ましい。
【0098】
Y及びZが表すハロゲン原子、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のシクロアルキルオキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のヘテロ環オキシ基、置換若しくは無置換のアラルキルオキシ基、置換若しくは無置換のアルケニルオキシ基、置換若しくは無置換のアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のシクロアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールアミノ基、置換若しくは無置換のヘテロ環アミノ基、置換若しくは無置換のアラルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアルケニルアミノ基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルチオ基、置換若しくは無置換のアリールチオ基、置換若しくは無置換のヘテロ環チオ基、置換若しくは無置換のアラルキルチオ基、置換若しくは無置換のアルケニルチオ基としては、置換基群Aで挙げたものを挙げることができる。
【0099】
Aが表わす2価の連結基は、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロ環残基、−CO−、−SOn−(nは0、1、2)、−NR−(Rは水素原子、アルキル基、アリール基を表す)、−O−、およびこれらの連結基を組み合わせた二価の基が挙げられ、さらにそれらはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、アシルアミノ基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホンアミド基等の置換基を有していても良い。好ましくはアルキレン基であり、エチレン基、n−プロピレン基が好ましい。
【0100】
一般式(2)で表されるフタロシアニン染料が、下記一般式(2−1)で表されるフタロシアニン染料であることが好ましい。
【0101】
【化8】

【0102】
(一般式(2−1)中、
27及びR28はそれぞれ独立して水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基、置換若しくは無置換のアルケニル基を表す。
Aは二価の連結基をそれぞれ表し、隣接するR27、R28、及びAは互いに連結して環を形成しても良い。
29、R210、及びR211はそれぞれ独立に、水素原子、又は置換若しくは無置換のアルキル基を表し、R212は、スルホン酸基、カルボキシル基、置換アルキル基、置換アリール基、又は置換ヘテロ環基を表し、イオン性親水性基を少なくとも一つ置換基として有する。スルホン酸基、カルボキシル基、又はイオン性親水性基を置換基として有する基である。
m、及びnは1から3であり、且つmとnの和は2から4である。)
【0103】
A、R27及びR28は一般式(1)におけるA、R17及びR18と同義であり、好ましいものも同様である。
29、R210、及びR211が表す置換若しくは無置換のアルキル基としては、炭素原子数が1〜12のアルキル基が好ましく、炭素原子数が1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素原子数が1〜4のアルキル基が更に好ましい。置換基としては、置換基群Aが挙げられ、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子及びイオン性親水性基が好ましく、ヒドロキシル基又はイオン性親水性基がより好ましい。アルキル基としては、メチル、エチル、ブチル、イソプロピル、n−プロピル、又はt−ブチルが好ましく、メチル、又はn−プロピルがより好ましく、n−プロピルが更に好ましい。
27及びR28メチル基又は水素原子を表すことが好ましく、水素原子を表すことがより好ましい。
【0104】
212は、置換アリール基を表すことが好ましく、置換基としては置換基群Aが挙げられ、イオン性親水性基を少なくとも一つ置換基として有する。置換基として好ましくはイオン性親水性基であり、スルホ基、カルボキシル基、チオカルボキシル基、スルフィノ基、ホスホノ基、ジヒドロキシホスフィノ基、及び4級アンモニウム基が好ましく、カルボキシル基及びスルホ基がより好ましく、スルホ基が更に好ましい。カルボキシル基及びスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アルカリ金属イオン(例、ナトリウムイオン、カリウムイオン)及び有機カチオン(例、テトラメチルグアニジウムイオン)が含まれる。
【0105】
212は、スルホン酸基、カルボキシル基、置換アルキル基、置換アリール基、又は置換ヘテロ環基を表し、置換アルキル基又は置換アリール基であることがより好ましい。
212は1〜3個のイオン性親水性基で置換されたアリール基であることが好ましく、2個のイオン性親水性基(好ましくはカルボキシル基又はスルホ基)で置換されたアリール基であることがより好ましい。
【0106】
以下に、一般式(2)における、連結基Aを含む置換基の具体例を挙げるが、本発明は、これら具体例に限定されるわけではない。
【0107】
【化9】

【0108】
一般式(2)で表されるフタロシアニン染料の具体例を以下に示すが、本発明に用いられるフタロシアニン染料は、下記の例に限定されるものではない。
【0109】
【化10】

【0110】
【化11】

【0111】
【化12】

【0112】
【化13】

【0113】
【化14】

【0114】
【化15】

【0115】
【化16】

【0116】
【化17】

【0117】
〔一般式(2)で表されるフタロシアニン染料の合成〕
一般式(2)で表されるフタロシアニン誘導体は、例えば特開2004−329677号公報に記載の方法により合成することができる。
【0118】
〔着色組成物〕
本発明の着色組成物は、上記一般式(1)で表されるフタロシアニン染料と、上記一般式(2)で表されるフタロシアニン染料とを含有する。α−位置換型の一般式(1)の染料と特定の置換基を有する一般式(2)のフタロシアニン染料とを用いることにより、分子内ではなく分子間でのα位とβ位の比率調整が可能となり、結果、良好な堅牢性と高い印画濃度とを両立することが可能となる。
本発明の着色組成物は、好ましくは画像形成用着色組成物として用いることができる。本発明の着色組成物の用途としては、画像、特にカラー画像を形成するための画像記録材料が挙げられ、具体的には、以下に詳述するインクジェット方式記録材料を始めとして、感熱転写型画像記録材料、感圧記録材料、電子写真方式を用いる記録材料、転写式ハロゲン化銀感光材料、印刷インク、記録ペン等であり、好ましくはインクジェット方式記録材料、感熱転写型画像記録材料、電子写真方式を用いる記録材料であり、更に好ましくはインクジェット方式記録材料である。また、米国特許4808501号明細書、特開平6−35182号公報などに記載されているLCDやCCDなどの固体撮像素子で用いられているカラーフィルター各種繊維の染色のための染色液にも適用できる。
本発明に用いるフタロシアニン染料は、その用途に適した溶解性、熱移動性などの物性を、置換基により調整して使用する。また、本発明に用いるフタロシアニン染料は、用いられる系に応じて均一な溶解状態、乳化分散のような分散された溶解状態で使用する事が出来る。
【0119】
着色組成物中、一般式(1)で表されるフタロシアニン染料と、一般式(2)で表されるフタロシアニン染料との質量比が50/50〜10/90であることが好ましい。染料の質量比を上記範囲内とすることで、着色組成物の高濃度での経時安定性(粘度変化や析出など)に優れ、また該着色組成物を用いた印画サンプルのオゾン堅牢性に優れ、また印画濃度に優れるという特徴を得ることができる。
【0120】
また、着色組成物中、一般式(1)で表されるフタロシアニン染料の含有量は0.1〜20質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましく、1〜10質量%であることが更に好ましい。0.1質量%以上であれば、着色組成物の高濃度での経時安定性、及び印画濃度が優れ、20質量%以下であれば印画サンプルのオゾン堅牢性が優れる。
【0121】
また、着色組成物中、一般式(2)で表されるフタロシアニン染料の含有量は0.1〜20質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましく、1〜10質量%であることが更に好ましい。0.1質量%以上であれば、印画サンプルのオゾン堅牢性に優れ、さらには印画濃度に優れる。また、20質量%以下であれば着色組成物の高濃度での経時安定性が優れる。
【0122】
本発明においては、着色組成物中の染料含有量(すなわち一般式(1)で表されるフタロシアニン染料と、一般式(2)で表されるフタロシアニン染料との合計量)が15〜20質量%の濃厚染料溶液とした場合においても、染料の経時析出が抑制できることがわかった。このことから、本発明の着色組成物は、濃厚インクジェット用インクとしても有用である。
【0123】
〔インクジェット記録用インク〕
次に本発明のインクジェット記録用インクについて説明する。本発明のインクジェット記録用インクは、上記着色組成物を含む。インクジェット記録用インクは、親油性媒体や水性媒体中に前記フタロシアニン化合物を溶解及び/又は分散させることによって作製することができる。好ましくは、水性媒体を用いたインクである。必要に応じてその他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有される。その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、水溶性インクの場合にはインク液に直接添加する。油溶性染料を分散物の形で用いる場合には、染料分散物の調製後分散物に添加するのが一般的であるが、調製時に油相又は水相に添加してもよい。
【0124】
乾燥防止剤はインクジェット記録方式に用いるノズルのインク噴射口において該インクジェット用インクが乾燥することによる目詰まりを防止する目的で好適に使用される。
【0125】
上記乾燥防止剤としては、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。具体的な例としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチルー2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げられる。これらのうちグリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールがより好ましい。また上記の乾燥防止剤は単独で用いても良いし2種以上併用しても良い。これらの乾燥防止剤はインク中に10〜50質量%含有することが好ましい。
【0126】
浸透促進剤は、インクジェット用インクを紙により良く浸透させる目的で好適に使用される。浸透促進剤としてはエタノール、イソプロパノール、ブタノール,ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール等のアルコール類やラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムやノニオン性界面活性剤等を用いることができる。これらはインク中に5〜30質量%含有すれば通常充分な効果があり、印字の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起こさない添加量の範囲で使用するのが好ましい。
【0127】
紫外線吸収剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。紫外線吸収剤としては特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号明細書等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
【0128】
褪色防止剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。前記褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類などがあり、金属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体などがある。より具体的にはリサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのIないしJ項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
【0129】
防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及びその塩等が挙げられる。これらはインク中に0.02〜1.00質量%使用するのが好ましい。
【0130】
pH調整剤としては前記中和剤(有機塩基、無機アルカリ)を用いることができる。前記pH調整剤はインクジェット記録用インクの保存安定性を向上させる目的で、該インクジェット記録用インクがpH6〜10と夏用に添加するのが好ましく、pH7〜10となるように添加するのがより好ましい。
【0131】
表面張力調整剤としてはノニオン、カチオンあるいはアニオン界面活性剤が挙げられる。なお、本発明のインクジェット用インクの表面張力は25〜70mN/mが好ましい。さらに25〜60mN/mが好ましい。また本発明のインクジェット記録用インクの粘度は30mPa,s以下が好ましい。更に20mPa,s以下に調整することがより好ましい。界面活性剤の例としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。更に、特開昭59−157,636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ,ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。
【0132】
消泡剤としては、フッ素系、シリコーン系化合物やEDTAに代表されるキレート剤等も必要に応じて使用することができる。
【0133】
本発明にかかるフタロシアニン化合物及びフタロシアニン化合物を水性媒体に分散させる場合は、特開平11−286637号、特願平2000−78491号、同2000−80259号、同2000−62370号等の各公報に記載されるように、色素と油溶性ポリマーとを含有する着色微粒子を水性媒体に分散したり、特願平2000−78454号、同2000−78491号、同2000−203856号,同2000−203857号の各明細書のように高沸点有機溶媒に溶解した本発明の化合物を水性媒体中に分散することが好ましい。本発明の化合物を水性媒体に分散させる場合の具体的な方法,使用する油溶性ポリマー、高沸点有機溶剤、添加剤及びそれらの使用量は、上記特許公報等に記載されたものを好ましく使用することができる。あるいは、前記フタロシアニン化合物を固体のまま微粒子状態に分散してもよい。分散時には、分散剤や界面活性剤を使用することができる。分散装置としては、簡単なスターラーやインペラー攪拌方式、インライン攪拌方式、ミル方式(例えば、コロイドミル、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテーターミル等)、超音波方式、高圧乳化分散方式(高圧ホモジナイザー;具体的な市販装置としてはゴーリンホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、DeBEE2000等)を使用することができる。上記のインクジェット記録用インクの調製方法については、先述の特許以外にも特開平5−148436号、同5−295312号、同7−97541号、同7−82515号、同7−118584号、特開平11−286637号、特願2000−87539号の各公報に詳細が記載されていて、本発明のインクジェット記録用インクの調製にも利用できる。
【0134】
水性媒体は、水を主成分とし、所望により、水混和性有機溶剤を添加した混合物を用いることができる。前記水混和性有機溶剤の例には、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン)及びその他の極性溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン)が含まれる。尚、前記水混和性有機溶剤は、二種類以上を併用してもよい。
【0135】
本発明のインクジェット記録用インク100質量部中は、前記フタロシアニン化合物を0.2質量部以上20質量部以下含有するのが好ましい。また、本発明のインクジェット用インクには、前記フタロシアニン化合物とともに、他の色素を併用してもよい。2種類以上の色素を併用する場合は、色素の含有量の合計が前記範囲となっているのが好ましい。
【0136】
本発明のインクジェット記録用インクは、粘度が40cp以下であるのが好ましい。また、その表面張力は20mN/m以上70mN/m以下であるのが好ましい。粘度及び表面張力は、種々の添加剤、例えば、粘度調整剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、皮膜調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、褪色防止剤、防黴剤、防錆剤、分散剤及び界面活性剤を添加することによって、調整できる。
【0137】
本発明のインクジェット記録用インクは、単色の画像形成のみならず、フルカラーの画像形成に用いることができる。フルカラー画像を形成するために、マゼンタ色調インク、シアン色調インク、及びイエロー色調インクを用いることができ、また、色調を整えるために、更にブラック色調インクを用いてもよい。
【0138】
適用できるイエロー染料としては、任意のものを使用することが出来る。例えばカップリング成分(以降カプラー成分と呼ぶ)としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロンやピリドン等のようなヘテロ環類、開鎖型活性メチレン化合物類、などを有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料;例えばカプラー成分として開鎖型活性メチレン化合物類などを有するアゾメチン染料;例えばベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;例えばナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料などがあり、これ以外の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ,ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。
【0139】
適用できるマゼンタ染料としては、任意のものを使用することが出来る。例えばカプラー成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類などを有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料;例えばカプラー成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類などを有するアゾメチン染料;例えばアリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、シアニン染料、オキソノール染料などのようなメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料などのようなカルボニウム染料、例えばナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドンなどのようなキノン染料、例えばジオキサジン染料等のような縮合多環染料等を挙げることができる。
【0140】
適用できるシアン染料としては、任意のものを使用する事が出来る。例えばカプラー成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類などを有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料;例えばカプラー成分としてフェノール類、ナフトール類、ピロロトリアゾールのようなヘテロ環類などを有するアゾメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料などのようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料などのようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;インジゴ,チオインジゴ染料などを挙げることができる。
【0141】
前記の各染料は、クロモフォアの一部が解離して初めてイエロー、マゼンタ、シアンの各色を呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。適用できる黒色材としては、ジスアゾ、トリスアゾ、テトラアゾ染料のほか、カーボンブラックの分散体を挙げることができる。
【0142】
〔インクジェット記録方法〕
本発明のインクジェット記録方法は、前記インクジェット記録用インクにエネルギーを供与して、公知の受像材料、即ち普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8−169172号公報、同8−27693号公報、同2−276670号公報、同7−276789号公報、同9−323475号公報、特開昭62−238783号公報、特開平10−153989号公報、同10−217473号公報、同10−235995号公報、同10−337947号公報、同10−217597号公報、同10−337947号公報等に記載されているインクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等に画像を形成する。
【0143】
画像を形成する際に、光沢性や耐水性を与えたり耐候性を改善する目的からポリマー微粒子分散物(ポリマーラテックスともいう)を併用してもよい。ポリマーラテックスを受像材料に付与する時期については、着色剤を付与する前であっても,後であっても、また同時であってもよく、したがって添加する場所も受像紙中であっても、インク中であってもよく、あるいはポリマーラテックス単独の液状物として使用しても良い。具体的には、特願2000−363090号、同2000−315231号、同2000−354380号、同2000−343944号、同2000−268952号、同2000−299465号、同2000−297365号等の各明細書に記載された方法を好ましく用いることが出きる。
【0144】
以下に、本発明のインクを用いてインクジェットプリントをするのに用いられる記録紙及び記録フィルムについて説明する。記録紙及び記録フィルムにおける支持体は、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等からなり、必要に応じて従来公知の顔料、バインダー、サイズ剤、定着剤、カチオン剤、紙力増強剤等の添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機等の各種装置で製造されたもの等が使用可能である。これらの支持体の他に合成紙、プラスチックフィルムシートのいずれであってもよく、支持体の厚みは10〜250μm、坪量は10〜250g/m2 が望ましい。支持体には、そのままインク受容層及びバックコート層を設けてもよいし、デンプン、ポリビニルアルコール等でサイズプレスやアンカーコート層を設けた後、インク受容層及びバックコー卜層を設けてもよい。更に支持体には、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置により平坦化処理を行ってもよい。本発明では支持体として、両面をポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブテン及びそれらのコポリマー)でラミネートした紙及びプラスチックフィルムがより好ましく用いられる。ポリオレフィン中に、白色顔料(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛)又は色味付け染料(例えば、コバルトブルー、群青、酸化ネオジウム)を添加することが好ましい。
【0145】
支持体上に設けられるインク受容層には、顔料や水性バインダーが含有される。顔料としては、白色顔料が好ましく、白色顔料としては、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、合成非晶質シリカ、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、硫化亜鉛、炭酸亜鉛等の白色無機顔料、スチレン系ピグメント、アクリル系ピグメント、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。インク受容層に含有される白色顔料としては、多孔性無機顔料が好ましく、特に細孔面積が大きい合成非晶質シリカ等が好適である。合成非晶質シリカは、乾式製造法によって得られる無水珪酸及び湿式製造法によって得られる含水珪酸のいずれも使用可能であるが、特に含水珪酸を使用することが望ましい。
【0146】
インク受容層に含有される水性バインダーとしては、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド誘導体等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。これらの水性バインダーは単独又は2種以上併用して用いることができる。本発明においては、これらの中でも特にポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコールが顔料に対する付着性、インク受容層の耐剥離性の点で好適である。インク受容層は、顔料及び水性結着剤の他に媒染剤、耐水化剤、耐光性向上剤、界面活性剤、その他の添加剤を含有することができる。
【0147】
インク受容層中に添加する媒染剤は、不動化されていることが好ましい。そのためには、ポリマー媒染剤が好ましく用いられる。ポリマー媒染剤については、特開昭48−28325号、同54−74430号、同54−124726号、同55−22766号、同55−142339号、同60−23850号、同60−23851号、同60−23852号、同60−23853号、同60−57836号、同60−60643号、同60−118834号、同60−122940号、同60−122941号、同60−122942号、同60−235134号、特開平1−161236号の各公報、米国特許2484430号、同2548564号、同3148061号、同3309690号、同4115124号、同4124386号、同4193800号、同4273853号、同4282305号、同4450224号の各明細書に記載がある。特開平1−161236号公報の212〜215頁に記載のポリマー媒染剤を含有する受像材料が特に好ましい。同公報記載のポリマー媒染剤を用いると、優れた画質の画像が得られ、かつ画像の耐光性が改善される。
【0148】
耐水化剤は、画像の耐水化に有効であり、これらの耐水化剤としては、特にカチオン樹脂が望ましい。このようなカチオン樹脂としては、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン、ポリエチレンイミン、ポリアミンスルホン、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、カチオンポリアクリルアミド、コロイダルシリカ等が挙げられ、これらのカチオン樹脂の中で特にポリアミドポリアミンエピクロルヒドリンが好適である。これらのカチオン樹脂の含有量は、インク受容層の全固形分に対して1〜15質量%が好ましく、特に3〜10質量%であることが好ましい。
【0149】
耐光性向上剤としては、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、ヒンダーアミン系酸化防止剤、ベンゾフェノン等のベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤等が挙げられる。これらの中で特に硫酸亜鉛が好適である。
【0150】
界面活性剤は、塗布助剤、剥離性改良剤、スベリ性改良剤あるいは帯電防止剤として機能する。界面活性剤については、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載がある。界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。有機フルオロ化合物の例には、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例えば、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例えば、四フッ化エチレン樹脂)が含まれる。有機フルオロ化合物については、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭61−20994号、同62−135826号の各公報に記載がある。その他のインク受容層に添加される添加剤としては、顔料分散剤、増粘剤、消泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、pH調整剤、マット剤、硬膜剤等が挙げられる。なお、インク受容層は1層でも2層でもよい。
【0151】
記録紙及び記録フィルムには、バックコート層を設けることもでき、この層に添加可能な成分としては、白色顔料、水性バインダー、その他の成分が挙げられる。バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬べーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント,ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
【0152】
バックコート層に含有される水性バインダーとしては、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
【0153】
インクジェット記録紙及び記録フィルムの構成層(バックコート層を含む)には、ポリマーラテックスを添加してもよい。ポリマーラテックスは、寸度安定化、カール防止、接着防止、膜のひび割れ防止のような膜物性改良の目的で使用される。ポリマーラテックスについては、特開昭62−245258号、同62−1316648号、同62−110066号の各公報に記載がある。ガラス転移温度が低い(40℃以下の)ポリマーラテックスを媒染剤を含む層に添加すると、層のひび割れやカールを防止することができる。また、ガラス転移温度が高いポリマーラテックスをバックコート層に添加しても、カールを防止することができる。
【0154】
本発明のインクは、インクジェットの記録方式に制限はなく、公知の方式、例えば静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して、放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット方式等に用いられる。インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
【実施例】
【0155】
本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0156】
(実施例1)
下記の成分に脱イオン水を加え100gとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後NaOH10mol/LにてpH=9に調製し、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過しシアン用インク液を調製した。
【0157】
フタロシアニン染料(化合物1A)1.5g
フタロシアニン染料(化合物4A)3.5g
ジエチレングリコール2g
グリセリン12g
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 23g
2−ピロリドン8g
トリエタノールアミン 1.79g
ベンゾトリアゾール 0.006g
サーフィノール465(商品名、エアープロダクツ社製)0.85g
PROXEL XL2(富士フイルムイメージングカララント社製)0.18g
【0158】
(実施例2〜6、比較例1〜5)
フタロシアニン染料及び染料添加量を、下記表9に示すように変更した以外は、実施例1のインク液の調製と同様にして、実施例2〜6及び比較例1〜5のインク液を調製した。
【0159】
<画像記録及び評価>
以上の各実施例(実施例1〜6)及び比較例(比較例1〜5)のインクジェット用インクについて、下記評価を行った。その結果を表9に示した。なお、画像記録は、各インクジェット用インクを、インクジェットプリンター(EPSON(株)社製;PM−700C)でフォト光沢紙(PT−101、Canon)、及び普通紙(GF500、Canon)に画像を記録した。
【0160】
(耐オゾン性)
前記画像を形成したフォト光沢紙を、オゾンガス濃度が5±0.1ppm、室温、暗所に設定されたボックス内に1日間放置し、オゾンガス下放置前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率として評価した。なお、前記反射濃度は、1、1.5及び2.0の3点で測定した。ボックス内のオゾンガス濃度は、APPLICS製オゾンガスモニター(モデル:OZG−EM−01)を用いて設定した。何れの濃度でも色素残存率が70%以上の場合をA、1又は2点が70%未満をB、全ての濃度で70%未満の場合をCとして、三段階で評価した。
【0161】
(印画濃度)
普通紙における印画濃度100%における反射濃度を画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定し、印画濃度が1.10以上の場合をA、1.05以上1.10未満の場合をB、1.05未満の場合をCとして、三段階で評価した。
【0162】
(ブロンズ光沢)
印画したサンプルの最高濃度部分を白色蛍光灯下で目視で観測し、赤銅がかった光沢が観測されない場合をA、うっすらと観測される場合をB、明らかに観測される場合をCの三段階で評価した。
【0163】
(色相)
印画したサンプルを目視で観測し、純色のシアンである場合をA、やや赤みがかった青色に近いシアンをB、明らかに青色の場合をCの三段階で評価した。
【0164】
【表9】

【0165】
(実施例101)
下記の成分に脱イオン水を加え33.3gとした後、50℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後NaOH10mol/LにてpH=9に調製し、濃厚水溶液を調製した。
【0166】
フタロシアニン染料(化合物1A)1.5g
フタロシアニン染料(化合物4A)3.5g
ジエチレングリコール 2g
グリセリン 12g
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 23g
2−ピロリドン 8g
トリエタノールアミン 1.79g
ベンゾトリアゾール 0.006g
サーフィノール465(商品名、エアープロダクツ社製)0.85g
PROXEL XL2(富士フイルムイメージングカララント社製)0.18g
【0167】
(実施例102〜106、比較例101〜105)
フタロシアニン染料及び染料添加量を、下記表10に示すように変更した以外は、実施例101の濃厚水溶液の調製と同様にして、実施例102〜106及び比較例101〜105のインク液を調製した。
【0168】
(経時貯蔵安定性)
以上の各実施例(実施例101〜106)及び比較例(比較例101〜105)の濃厚水溶液に関して、密封かつ静置状態で室温2週間経時貯蔵し、目視にて溶解状態を保っているものをA、染料の析出や分離が起きたものをBの2段階で評価した。
【0169】
【表10】

【0170】
本発明のインクジェット記録用インクは、比較例のインクと比べて、同等の耐オゾン性を保ちつつ、高い印画濃度を示し、ブロンズ光沢を抑制し、優れた色相を実現している事が分かった。また、経時貯蔵安定性にも優れることが分かった。
【0171】
以下に実施例において使用した化合物の構造を示す。
【0172】
【化18】

【0173】
【化19】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるフタロシアニン染料と、下記一般式(2)で表されるフタロシアニン染料とを含むことを特徴とする着色組成物。
【化1】

(一般式(1)中、
、R、R、R、R10、R11、R14及びR15は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミド基、アリールアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、ホスホリル基、アシル基又はイオン性親水性基を表す。これらの基は、さらに置換基を有していてもよい。
、Z、Z、及びZは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。但し、Z、Z、Z、及びZのうち少なくとも1つは、イオン性親水性基を置換基として有する。
l、m、n、p、q、q、q及びqは、それぞれ独立に、1又は2を表す。
は、水素原子、金属元素、金属酸化物、金属水酸化物又は金属ハロゲン化物を表す。)
【化2】

(一般式(2)中、
17及びR18はそれぞれ独立して水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基、置換若しくは無置換のアルケニル基を表す。
Aは二価の連結基をそれぞれ表し、隣接するR17、R18、及びAは互いに連結して環を形成しても良い。
Y及びZは、それぞれ独立してハロゲン原子、水酸基、スルホン酸基、カルボキシル基、アミノ基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のシクロアルキルオキシ基、置換若しくは無置換のアリロキシ基、置換若しくは無置換のヘテロ環オキシ基、置換若しくは無置換のアラルキルオキシ基、置換若しくは無置換のアルケニルオキシ基、置換若しくは無置換のアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のシクロアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールアミノ基、置換若しくは無置換のヘテロ環アミノ基、置換若しくは無置換のアラルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアルケニルアミノ基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルチオ基、置換若しくは無置換のアリールチオ基、置換若しくは無置換のヘテロ環チオ基、置換若しくは無置換のアラルキルチオ基、置換若しくは無置換のアルケニルチオ基を表す。但し、Y、Zのうち少なくとも1つは、スルホン酸基、カルボキシル基、又はイオン性親水性基を置換基として有する基である。
m、及びnは1から3であり、且つmとnの和は2から4である。)
【請求項2】
一般式(1)で表されるフタロシアニン染料におけるR、R、R、R、R10、R11、R14及びR15が、水素原子であることを特徴とする請求項1に記載の着色組成物。
【請求項3】
一般式(1)で表されるフタロシアニン染料におけるZ、Z、Z、及びZが、それぞれ独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表すことを特徴とする請求項1又は2に記載の着色組成物。
【請求項4】
一般式(1)で表されるフタロシアニン染料におけるl、m、n及びpが1である請求項1〜3のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項5】
一般式(1)で表されるフタロシアニン染料におけるq、q、q及びqが2である請求項1〜4のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項6】
前記一般式(2)で表されるフタロシアニン染料が、一般式(2−1)で表されるフタロシアニン染料である請求項1〜5のいずれか1項に記載の着色組成物。
【化3】

(一般式(2−1)中、
27及びR28はそれぞれ独立して水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基、置換若しくは無置換のアルケニル基を表す。
Aは二価の連結基をそれぞれ表し、隣接するR27、R28、及びAは互いに連結して環を形成しても良い。
29、R210、及びR211はそれぞれ独立に、水素原子、又は置換若しくは無置換のアルキル基を表し、R212は、スルホン酸基、カルボキシル基、置換アルキル基、置換アリール基、又は置換ヘテロ環基を表し、イオン性親水性基を少なくとも一つ置換基として有する。
m、及びnは1から3であり、且つmとnの和は2から4である。)
【請求項7】
一般式(1)で表されるフタロシアニン染料と、一般式(2)で表されるフタロシアニン染料との質量比が50/50〜10/90である請求項1〜6のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項8】
一般式(1)で表されるフタロシアニン染料の含有量が1〜20質量%である請求項1〜7のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の着色組成物を含むインクジェット記録用インク。

【公開番号】特開2013−112800(P2013−112800A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262830(P2011−262830)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】