Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
着色複層塗膜形成方法
説明

着色複層塗膜形成方法

【課題】高顔料濃度のアニオン電着塗料(B)に基づく電着塗膜の上層に、低顔料濃度のアニオン電着塗料(A)に基づく電着塗膜を形成する電着塗膜形成方法において、A浴の汚染を少なくし、耐擦り傷性、耐候性及び意匠性に優れる電着塗膜の形成方法を提供する。
【解決手段】カルボキシル基含有樹脂と架橋剤を樹脂成分とし、該樹脂成分の固形分100重量部に対して顔料成分を0.01〜5重量部含有するAを電着塗装して未硬化の塗膜を形成し、次いで、カルボキシル基含有樹脂と架橋剤を樹脂成分とし、該樹脂成分の固形分100重量部に対して顔料成分を5〜40重量部含有するBを電着塗装する。Aの連続被膜形成最低温度が10〜25℃で、塗装浴温が連続被膜形成最低温度以下であり、Bの塗装浴温が20〜35℃で、Aの塗装浴温より5〜35℃高い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐候性、意匠性及び耐擦り傷性に優れる電着塗膜を得ることができるアルミニウム、マグネシウム、チタン、鉄製の被塗物への着色複層塗膜形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウム、マグネシウム、チタン、鉄製等の被塗物に対して、顔料成分を含有するアニオン電着塗料を電着塗装して着色塗膜を得ている。着色塗膜中の顔料濃度を高くすると耐候性が低下することから、着色塗膜における意匠性にも限度があった。ここで、現状の塗装ラインは、図1のようにアニオン電着塗料の電着浴(図1(1))とアニオン電着塗料の電着浴(図1(2))を連続して設置し、被塗物にアニオン電着塗料を電着塗装して1回又は2回の電着塗装を行って塗膜を形成している。
例えば、1回目の顔料を配合した電着塗料を塗装したのち、未硬化のままで、2回目の顔料を配合した電着塗料を電着塗装し、ついで焼付けて複層電着塗膜とする電着塗装法が開示されている[特許文献1]。
他に、導電性素材にアニオン性合成樹脂をビヒクルとする着色電着塗料を電着塗装し、形成された塗膜の焼付けを行わずに、その上にアニオン性合成樹脂を主成分とするクリヤー電着塗料を電着塗装し、焼付けて総合塗膜を形成することを特徴とする2コート電着塗装方法が開示されている[特許文献2]。
他に、アルミニウム又はアルミニウム合金の塗装工程において、被塗装材の表面に、クリヤー塗料と艶消し塗料のうち、いずれか一方の塗料による電着塗装手段で第1の塗装を行い、次いで、この塗膜を未硬化のまま他方の塗料による電着塗装手段で第2次塗装を行った後、塗膜の焼付け乾燥処理を施すことを特徴とするアルミニウム又はアルミニウム合金の塗装方法が開示されている[特許文献3]。
他に、被塗装面に、1段目に電析塗膜分極値を調整したアニオン型アクリル系樹脂電着塗料を電着塗装して被膜を形成させた後、2段目に電析塗膜分極値を調整したアニオン型フッ素系樹脂電着塗料を電着塗装して塗り重ね、次いで加熱させることを特徴とする高耐久性のアニオン電着塗膜の形成方法が開示されている[特許文献4]。
上記、特許文献1〜4による複層電着塗膜では、耐擦り傷性、意匠性及び耐候性の向上を目的として、1回目に高顔料濃度のアニオン電着塗料を塗装し、2回目に低顔料濃度のアニオン電着塗料を塗装すると、多量に被塗物を塗装する場合は水洗不良によって、高顔料濃度のアニオン電着塗料によって低顔料濃度のアニオン電着塗料を汚染することがあった。
また、意匠性を目的として1回目に低顔料濃度のアニオン電着塗料を塗装し、2回目に高顔料濃度のアニオン電着塗料を塗装し、複層塗膜の下層に低顔料濃度のアニオン電着塗料に基づく塗膜を形成し、上層に高顔料濃度のアニオン電着塗料に基づく塗膜を形成した場合は耐候性が不十分であるばかりか、上層の高顔料濃度のアニオン電着塗膜が擦れて意匠性の低下が大きかった。
【特許文献1】特開昭52−140551号公報
【特許文献2】特開昭61−149497号公報
【特許文献3】特開昭62−56599号公報
【特許文献4】特開平2−122095号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決しようとする課題は、カルボキシル基含有樹脂と架橋剤を樹脂成分とし、該樹脂成分の固形分合計100重量部に対して顔料成分(a)を0.01〜5重量部未満含有するアニオン電着塗料(A)(以下、低顔料濃度のアニオン電着塗料(A)と称することがある)を汚染することなく、かつカルボキシル基含有樹脂と架橋剤を樹脂成分とし、該樹脂成分の固形分合計100重量部に対して顔料成分(b)を5〜40重量部含有するアニオン電着塗料(B)(以下、高顔料濃度のアニオン電着塗料(B)と称することがある)を下層に、低顔料濃度のアニオン電着塗料(A)を上層とした着色複層塗膜を形成し、耐候性、意匠性及び耐擦り傷性に優れる塗装物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、
「1. 被塗物に、カルボキシル基含有樹脂と架橋剤を樹脂成分とし、該樹脂成分の固形分合計100重量部に対して顔料成分(a)を0.01〜5重量部未満含有するアニオン電着塗料(A)を電着塗装して、該アニオン電着塗料(A)に基づく未硬化の電着塗膜を形成し、ついで、該未硬化の電着塗膜が形成された被塗物に、カルボキシル基含有樹脂と架橋剤を樹脂成分とし、該樹脂成分の固形分合計100重量部に対して顔料成分(b)を5〜40重量部含有するアニオン電着塗料(B)を電着塗装し、被塗物上にアニオン電着塗料(B)に基づく電着塗膜(B1)が形成され、該電着塗膜(B1)上に電着塗膜(A1)が形成される着色複層塗膜を形成する方法であって、アニオン電着塗料(A)連続被膜形成最低温度が10〜25℃であって、アニオン電着塗料(A)を電着塗装するに際しての浴温度が該連続被膜形成最低温度以下であり、かつアニオン電着塗料(B)を電着塗装するに際しての浴温度が20〜35℃の範囲内であるとともに、アニオン電着塗料(A)を電着塗装するに際しての浴温度より5〜35℃高い温度であることを特徴とする着色複層塗膜形成方法。
2. カルボキシル基含有樹脂と架橋剤を樹脂成分とし、該樹脂成分の固形分合計100重量部に対して顔料成分(a)を0.01〜5重量部未満含有するアニオン電着塗料(A)とカルボキシル基含有樹脂と架橋剤を樹脂成分とし、該樹脂成分の固形分合計100重量部に対して顔料成分(b)を5〜40重量部含有するアニオン電着塗料(B)とを組合わせてなる着色複層塗膜形成用アニオン電着塗料。
3. アニオン電着塗料(A)は連続被膜形成最低温度が10〜25℃であって、連続被膜形成最低温度以下で電着塗装して使用される塗料であり、アニオン電着塗料(B)はアニオン電着塗料(A)電着塗装した後に電着塗装して使用され、アニオン電着塗料(A)の電着塗装浴温度より5〜35℃高い温度で電着塗装される電着塗料である、2項に記載された着色複層塗膜形成用アニオン電着塗料。」
に関する。
【発明の効果】
【0005】
本発明の着色複層塗膜形成方法によって、容易に、下層に高顔料濃度のアニオン電着塗料(B)に基づく塗膜、上層に低顔料濃度のアニオン電着塗料(A)に基づく着色複層塗膜を形成し、耐候性、意匠性及び耐擦り性に優れた塗装物品を得ることができる。
詳しくは、(1).アニオン電着塗料(B)に使用できる顔料成分の種類や使用量を広げることができる為、意匠性に優れた着色複層塗膜を得ることができる。(2).下層に高顔料濃度のアニオン電着塗料(B)に基づく塗膜が形成されて、上層に低顔料濃度のアニオン電着塗料(A)に基づく塗膜が形成されることから、耐候性及び耐擦り傷性に優れた塗膜が得られる。(3).アニオン電着塗料(A)の塗膜によってアニオン電着塗料(B)の塗膜が保護されるため、アニオン電着塗料(B)の塗膜による意匠性が持続する。アニオン電着塗料(A)の塗膜が、耐擦り傷性に優れる理由としては、塗膜中に顔料を加えたことによって塗膜硬度が向上したものと考えられる。
さらに本発明の着色複層塗膜形成方法は、従来の設備を適用できる。高顔料濃度のアニオン電着塗料(B)によって、低顔料濃度のアニオン電着塗料(A)の浴を汚染することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の着色複層塗膜形成方法を適用できる被塗物としては、陽極酸化処理を施したアルミニウム、マグネシウム、チタン、鉄製の建材、電気製品、自動車部品などが挙げられる。
被塗物に、低顔料濃度のアニオン電着塗料(A)を電着塗装して該アニオン電着塗料(A)に基づく未硬化の電着塗膜を形成し、ついで、該未硬化の電着塗膜を形成した被塗物に、高顔料濃度のアニオン電着塗料(B)を電着塗装し、焼き付け硬化することによって、被塗物上にアニオン電着塗料(B)に基づく電着塗膜(B1)が形成され、該電着塗膜(B1)上に電着塗膜(A1)が形成される。以下、詳細に説明する。
【0007】
アニオン電着塗料(A):
本発明で用いられる低顔料濃度のアニオン電着塗料(A)は、連続被膜形成最低温度(注1)が10〜25℃の範囲にあって、さらに該連続被膜形成最低温度以下の浴温度で電着塗装して、低顔料濃度のアニオン電着塗料(A)に基づく、電着塗膜(A1)を形成することを特徴としている。
低顔料濃度のアニオン電着塗料(A)の連続被膜形成最低温度が10℃未満であっても、また25℃を越えても、下層に高顔料濃度のアニオン電着塗料(B)に基づく電着塗膜(B1)、上層に低顔料濃度のアニオン電着塗料(A)に基づく電着塗膜(A1)を形成できない。この理由としては、低顔料濃度のアニオン電着塗料(A)の連続被膜形成最低温度が10℃未満であると仕上り性が低下することとなり、一方、25℃を越えるとガス穴が融着し、高顔料濃度のアニオン電着塗料(B)が下層に析出しない。
(注1)連続被膜形成最低温度:連続被膜形成最低温度は、電着塗料を用いて一定の
印加電圧で電着塗装を実施する場合、浴温と膜厚の関係は、図2のように示される。図2によれば、電着塗装を行う時の浴温が、低温から高くなるに従って被塗物上に形成される電着塗膜の膜厚が低下し、一定の浴温以上になれば、逆に膜厚が増大する。このような浴温と膜厚の関係において、膜厚が最小になるときの浴温(図2に示すカーブの極小値に対応する浴温)を連続被膜形成最低温度(MFT)という。
【0008】
なお低顔料濃度のアニオン電着塗料(A)は、従来から公知のカルボキシル基含有樹脂と架橋剤の固形分合計100重量部に対して、顔料成分(a)を0.01〜5重量部未満、好ましくは0.1〜3重量部、さらに好ましくは0.5〜2重量部含有することが、耐候性及び耐擦り傷性に優れる着色複層塗膜を形成する為にも好ましい。顔料成分(a)が5重量部を越えると耐候性が低下することがあるので好ましくない。また顔料成分が0.01重量部以下では、意匠性が不十分となり、好ましくない。
カルボキシル基含有樹脂は、1分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を有し、好ましくは少なくとも1個の水酸基を有する樹脂である。具体的には、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂が挙げられ、この中でも耐候性の面からアクリル樹脂が好適である。上記のアクリル樹脂は、カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体、必要に応じて水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体、及びその他のラジカル重合性不飽和単量体を共重合せしめることによって製造することができる。
【0009】
上記カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、
メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等の単量体が挙げられる。水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、及びこれ以外にプラクセルFM1(ダイセル化学社製、商品名、カプロラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシエステル類)、プラクセルFM2(同左)、プラクセルFM3(同左)、プラクセルFA1(同左)、プラクセルFA2(同左)、プラクセルFA3(同左)等が挙げられる。
上記その他のラジカル重合性不飽和単量体としては、例えば、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のアルコキシシリル基含有不飽和単量体;例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどの(メタ)アクリル酸のC〜C18のアルキル又はシクロアルキルエステル類、スチレンなどの芳香族ビニルモノマー類、(メタ)アクリル酸アミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロ−ル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド及びその誘導体類、(メタ)アクリロニトリル化合物類等が挙げられる。
アクリル樹脂としては通常、上記のカルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体、
必要に応じて水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体、及びその他のラジカル重合性不飽和単量体を溶媒中にて重合開始剤によりラジカル重合反応して得られる。この重合反応に際し、カルボキシル基含有重合性不飽和単量体が1〜20重量%、好ましくは4〜10重量%、水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体が0〜40重量%、好ましくは5〜30重量%、その他のラジカル重合性不飽和単量体が40〜99重量%、好ましくは60〜91重量%の範囲が好適である。
【0010】
重合反応に使用する溶媒としては、例えば、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、メチルカルビトール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングルコールモノエチルエーテル、ジエチレングルコールモノブチルエーテル、トリエチレングルコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類などが好適に使用できる。
これ以外にも必要に応じて、例えば、キシレン、トルエンなどの芳香族類;アセトン、
メチルエチルケトン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ペンチル、3−メトキシブチルアセテート、2−エチルヘキシルアセテート、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等のエステル類;も併用することができる。
ラジカル共重合に用いるラジカル重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、ジ−t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クミルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンザンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウリルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の過酸化物、α,α'−アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリルなどのアゾ化合物が挙げられる。
上記のようにして製造されたアクリル樹脂の重量平均分子量(注2)は、5,000〜150,000、好ましくは20,000〜100,000の範囲が好適である。
(注2)重量平均分子量:JIS K 0124−83に準じて行ない、分離カラムにT
SK GEL4000HXL+G3000HXL+G2500HXL+G2000HXL(東
ソー社製)を用いて40℃で流速1.0ml/分、溶離液にGPC用テトラヒドロフランを用いて、RI屈折計で得られたクロマトグラフとポリスチレンの検量線から計算により求めた。
【0011】
架橋剤は、従来から公知の化合物を使用することができ、例えば、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、ジシアンジアミド等のアミノ成分とアルデヒドとの反応によって得られるメチロール化アミノ樹脂、該メチロール化アミノ樹脂のアルキルエーテル化物及びブロックポリイソシアネート化合物があげられる。
上記メチロール化アミノ樹脂としては、メチロール化メラミン樹脂が好適であり、メチロール化メラミン樹脂のメチロール基の一部もしくは全部がメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール等の1種もしくは2種以上の1価アルコールで変性されたメラミン樹脂を使用することができる。
上記のメラミン樹脂の市販品としては、例えば、ユーバン20SE−60、ユーバン225(以上、いずれも三井化学社製、商品名)、スーパーベッカミンG840、スーパーベッカミンG821(以上、いずれも大日本インキ化学工業社製、商品名)などのブチルエーテル化メラミン樹脂;スミマールM−100、スミマールM−40S、スミマールM−55(以上、いずれも住友化学社製、商品名)、サイメル232、サイメル303、サイメル325、サイメル327、サイメル350、サイメル370(以上、いずれも日本サイテックインダストリーズ社製、商品名)、ニカラックMS17、ニカラックMX15、ニカラックMX430、ニカラックMX600、(以上、いずれも三和ケミカル社製、商品名)、レジミン741(モンサント社製、商品名)等のメチルエーテル化メラミン樹脂;サイメル235、サイメル202、サイメル238、サイメル254、サイメル272、サイメル1130(以上、いずれも三井サイテック社製、商品名)、スマミールM66B(住友化学社製、商品名)等のメチル化とイソブチル化との混合エーテル化メラミン樹脂;サイメルXV805(三井サイテック社製、商品名)、ニカラックMS95(三和ケミカル社製、商品名)等のメチル化とn−ブチル化との混合エーテル化メラミン樹脂などを挙げることができる。
【0012】
ブロックポリイソシアネート化合物は、従来から公知のポリイソシアネート化合物のイソシアネート基をブロック化剤でブロックしたものを使用することができる。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートもしくはトリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの如き脂肪族ジイソシアネート類;水素添加キシリレンジイソシアネートもしくはイソホロンジイソシアネートの如き環状脂肪族ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネートもしくは4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートの如き芳香族ジイソシアネート類の如き有機ジイソシアネートそれ自体、またはこれらの各有機ジイソシアネートと多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂もしくは水等との付加物、あるいは上記した如き各有機ジイソシアネート同志の環化重合体、更にはイソシアネート・ビウレット体等が挙げられる。
ブロックポリイソシアネート化合物の市販品の例としては、バーノックD−750、−800、DN−950、−970もしくは15−455、(以上、大日本インキ化学工業社製、商品名)、デスモジュールL、N、HL、ILもしくはN3390(以上、バイエル社製品社製)、タケネートD−102、−202、−110Nもしくは123N(武田薬品工業社製、商品名)、コロネートL、HL、EHもしくは203(日本ポリウレタン工業社製、商品名)またはデュラネート24A−90CX(旭化成工業社製、商品名)等が挙げられる。
【0013】
顔料成分であるが、例えば、二酸化チタン、べんがら、カーボンブラック、黄色酸化鉄(オーカー)、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン等の着色顔料;例えば、アルミニウムフレーク、蒸着アルミニウム薄膜、酸化アルミニウムフレーク、雲母フレーク、酸化チタン被覆雲母フレーク、酸化鉄被覆雲母フレーク等の光輝性顔料;例えば、クレー(カオリン)、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、珪藻土、炭酸マグネシウム等の体質顔料;が挙げられる。
なお上記の顔料成分は、目的とする意匠性に応じて顔料の種類や使用量を調整し、適宜に、顔料分散用樹脂、界面活性剤、水を加えて、攪拌機によって十分に攪拌すること、又はボールミルやサンドミル等を用いて分散することによって顔料分散ペースを製造し、低顔料濃度のアニオン電着塗料(A)の製造に用いることが好ましい。
カルボキシル基含有樹脂の中和に用いる塩基性化合物は、エチルアミン、プロピルア
ミン、ブチルアミン、ベンジルアミン、モノエタノールアミン、ネオペンタノールアミン、2−アミノプロパノール、3−アミノプロパノールなどの第1級モノアミン;ジエチルアミジエタノールアミン、ジ−n−またはジ−iso −プロパノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミンなどの第2級モノアミン;ジメチルエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルアミノエタノールなどの第3級モノアミン;ジエチレントリアミン、ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、エチルアミノエチルアミン、メチルアミノプロピルアミンなどのポリアミントリエチルアミンなどがある。
【0014】
低顔料濃度のアニオン電着塗料(A)における、塩基性化合物の配合割合は、中和当量として0.1〜1.2当量の範囲が好ましく、カルボキシル基含有樹脂、架橋剤の固形分の総合計量に対して塩基性化合物が0.01〜10重量%の範囲、好ましく0.05〜5重量%である。カルボキシル基含有樹脂の水分散化は、カルボキシル基含有樹脂に、架橋剤、塩基性化合物、脱イオン水を加え、ディスパーなどで攪拌しながらエマルションを得ることができる。
低顔料濃度のアニオン電着塗料(A)は、上記のエマルションのほかに、必要に応じて、硬化触媒、表面調整剤を加えて、pH調整を行い、脱イオン水を加えて固形分5〜20重量%のアニオン電着塗料を得ることができる。該アニオン電着塗料の被塗物としては、例えば、陽極酸化を施したアルミニウム材が挙げられる。
【0015】
該アニオン電着塗料を使用して塗膜を形成するには、上記で得られた低顔料濃度のアニオン電着塗料(A)を浴(図1(1))とし、この浴中に被塗物を浸漬した後、連続被膜形成最低温度以下の浴温度、好ましくは10〜22℃、さらに好ましくは14〜20℃で、通常の塗装電圧(120〜160V)で乾燥膜厚が約5〜30μmになるようにアニオン電着塗装を行い、必要に応じて、温度が0〜35℃程度の純水又は逆浸透膜(RO)水などの水で水洗を行い、さらに好ましくはセッティング又はエアブローを施した後、高顔料濃度のアニオン電着塗料(B)を塗装する。
純水または逆浸透膜(RO)水は、夾雑イオンがなく仕上り性が良好となる。水洗水(C)の温度が0℃以下では、仕上り性が低下することとなり、35℃を越えるとガス穴が融着し、高顔料濃度のアニオン電着塗料(B)が下層に析出し難くなる。また、セッテングまたはエアブローを施すことによって水洗水をなくして高顔料濃度のアニオン電着塗料(B)が汚染することを防ぐ、さらに低顔料濃度のアニオン電着塗料(A)のガス穴へ高顔料濃度のアニオン電着塗料(B)が析出し易くなる。
【0016】
アニオン電着塗料(B):
本発明に用いる高顔料濃度のアニオン電着塗料(B)の電着塗装は、アニオン電着塗料を浴(図1(2))とし、浴温度が20〜35℃でかつ、低顔料濃度のアニオン電着塗料(A)の浴温度より5〜35℃高い温度にてアニオン電着塗装を行って塗膜を形成する。
高顔料濃度のアニオン電着塗料(B)の浴温度が20℃未満でも、または35℃を越えても、下層にアニオン電着塗料(B)に基づく塗膜、上層にアニオン電着塗料(A)に基づく塗膜を形成できなくなる。この理由としては、アニオン電着塗料(B)の浴温度が20℃未満では、アニオン電着塗料(B)のエマルション粒子の柔軟性が低下し、アニオン電着塗料(A)の塗膜のガス穴に塗料が析出してしまい、下層に良好な塗膜を形成することができず、またアニオン電着塗料(B)の浴温度が35℃を越えると塗料安定性を損なう為、正常な塗膜の析出が阻害されることが考えられる。
またアニオン電着塗料(B)の浴温度が20〜35℃の範囲であっても、アニオン電着塗料(A)の浴温度から5〜35℃高い範囲をはずれる場合は、下層にアニオン電着塗料(B)に基づく塗膜、上層にアニオン電着塗料(A)に基づく塗膜を形成できなくなる。この理由としては、アニオン電着塗料(A)の塗膜のガス穴にアニオン電着塗料(B)が析出してしまい、塗膜を形成することができなくなる為と考えられる。
アニオン電着塗料(B)のカルボキシル基含有樹脂、架橋剤は、それぞれアニオン電着塗料(A)において用いることができるものの中から適宜選択して用いることができる。
【0017】
具体的には、カルボキシル基含有樹脂としては、例えば、カルボキシル基を有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂が挙げられ、この中でも耐候性の面からアクリル樹脂が好適である。
架橋剤としては、例えば、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、ジシアンジアミド等のアミノ成分とアルデヒドとの反応によって得られるメチロール化アミノ樹脂、該メチロール化アミノ樹脂のアルキルエーテル化物及びブロックポリイソシアネート化合物があげられる。
上記メチロール化アミノ樹脂としては、メチロール化メラミン樹脂が好適であり、メチロール化メラミン樹脂のメチロール基の一部もしくは全部がメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール等の1種もしくは2種以上の1価アルコールで変性されたメラミン樹脂を使用することができる。
アニオン電着塗料(B)において、カルボキシル基含有樹脂の中和に用いる塩基性化合物の配合割合は、中和当量として0.1〜1.2当量の範囲が好ましく、カルボキシル基含有樹脂、架橋剤の固形分の総合計量に対して塩基性化合物が0.01〜10重量%の範囲、好ましく0.05〜5重量%である。
カルボキシル基含有樹脂の水分散化は、カルボキシル基含有樹脂に、架橋剤、塩基性化合物、脱イオン水を加え、ディスパーなどで攪拌しながらエマルションを得ることができる。
【0018】
顔料成分であるが、アニオン電着塗料(A)に用いた同様の顔料成分が使用でき、例えば、二酸化チタン、べんがら、カーボンブラック、黄色酸化鉄(オーカー)、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン等の着色顔料;例えば、アルミニウムフレーク、蒸着アルミニウム薄膜、酸化アルミニウムフレーク、雲母フレーク、酸化チタン被覆雲母フレーク、酸化鉄被覆雲母フレーク等の光輝性顔料;例えば、クレー(カオリン)、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、珪藻土、炭酸マグネシウム等の体質顔料;が挙げられる。
なお上記の顔料成分は、目的とする意匠性に応じて顔料の種類や配合量を調整し、適宜に、顔料分散用樹脂、界面活性剤、水を加え、攪拌機によって十分に攪拌すること、又はボールミルやサンドミル等を用いて分散して顔料分散ペースを製造し、アニオン電着塗料(B)の製造に用いることが好ましい。
アニオン電着塗料(B)における顔料成分の配合量としては、カルボキシル基含有樹脂と架橋剤の固形分合計100重量部に対して、顔料成分(b)を5〜40重量部、好ましくは10〜30重量部、さらに好ましくは15〜25重量部であることが、耐候性と塗料安定性の面からも好ましい。
なお高顔料濃度のアニオン電着塗料(B)は、必要に応じて、硬化触媒、表面調整剤を加えて、pH調整を行い、脱イオン水を加えて固形分5〜20重量%のアニオン電着塗料を得る。
【0019】
高顔料濃度のアニオン電着塗料(B)を使用して着色複層塗膜を形成するには、上記で得られた高顔料濃度のアニオン電着塗料(B)の浴中に、低顔料濃度のアニオン電着塗料(A)を電着塗装した被塗物を浸漬し、通常の塗装電圧(120〜250V)で乾燥膜厚が約5〜30μmになるようにアニオン電着塗装を行った後、必要に応じて水洗を行う。ついで60〜190℃、好ましくは、80〜180℃で約20〜40分間加熱することにより、低顔料濃度のアニオン電着塗料(A)と高顔料濃度のアニオン電着塗料(B)の両塗膜を同時に焼付けて着色複層塗膜を形成することができる。
得られた着色複層塗膜は、下層に高顔料濃度のアニオン電着塗料(B)に基づく電着塗膜(B1)、上層に低顔料濃度のアニオン電着塗料(A)に基づく電着塗膜(A1)が形成され、耐候性と意匠性に優れた着色複層塗膜を得ることができる。また、低顔料濃度のアニオン電着塗料(A)の塗装電圧よりも高顔料濃度のアニオン電着塗料(B)の塗装電圧が高い方が、下層に電着塗膜(B1)、上層に電着塗膜(A1)が形成され易い。
このような着色複層塗膜が形成される理由としては、低顔料濃度のアニオン電着塗料(A)に基づく電着塗膜(A1)の電着塗装時に発生したガス穴を通じてアニオン電着塗料(B)が被塗物側に移行し、高顔料濃度のアニオン電着塗料(B)に基づく電着塗膜(B1)が析出すること、及び焼付け加熱による塗膜の熱フローによって、電着塗膜(B1)を下層に、電着塗膜(A1)を上層とした着色複層塗膜を得ることができるものと考えられる。
【0020】
このようにして着色複層塗膜を形成するためには、低顔料濃度のアニオン電着塗料(A)の連続被膜形成最低温度が10〜25℃、好ましくは12〜22℃であって、低顔料濃度のアニオン電着塗料(A)を電着塗装するに際しての浴温度が該連続被膜形成最低温度以下であり、かつ高顔料濃度のアニオン電着塗料(B)を電着塗装するに際しての浴温度が20〜35℃の範囲内であるとともに上記の低顔料濃度のアニオン電着塗料(A)を電着塗装するに際しての浴温度より5〜35℃高い温度でなければならない。
アニオン電着塗料の連続被膜形成温度が10℃未満では、仕上り性が低下することとなり、連続被膜形成温度が25℃を越えるとガス穴が融着し、高顔料濃度のアニオン電着塗料(B)が下層に析出しなくなる。
さらに、高顔料濃度のアニオン電着塗料(B)を電着塗装するに際しての浴温度を20〜35℃の範囲であって、低顔料濃度のアニオン電着塗料(A)の電着塗装の際の浴温度より5〜35℃高い温度としなければならない。
高顔料濃度のアニオン電着塗料(B)の電着塗装浴の浴温度が20℃未満では、電着塗膜(B1)が低顔料濃度のアニオン電着塗料(A)の電着塗膜(A1)の下層に析出しなくなり、また35℃を越えると塗料安定性を損なう。
高顔料濃度のアニオン電着塗料(B)の浴温度と、低顔料濃度のアニオン電着塗料(A)の浴温度の差が5℃未満であると、着色複層塗膜の仕上り性が低下することとなり、浴温度の差が35℃を越えると塗料安定性を損なうこととなる。
【0021】
本発明の着色複層塗膜形成方法の一例として、例えば、低顔料濃度のアニオン電着塗料(A)として連続被膜形成最低温度が22℃であるものを用い、浴温15℃にて被塗物に電着塗装を行う。次に、好ましくは水洗を施し、さらに好ましくはセッティング又はエアブローを行った後、浴温23℃の高顔料濃度のアニオン電着塗料(B)の浴中に上記低顔料濃度のアニオン電着塗料(A)を電着塗装した被塗物を浸漬して電着塗装を行い、焼付け硬化することによって着色複層塗膜を形成する。
【実施例】
【0022】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明はこれによって限定されるものではない。尚、「部」及び「%」は「重量部」及び「重量%」を示す。
製造例1 アクリル樹脂溶液No.1の製造例
反応容器中に混合溶剤A(注3)210部を仕込み85℃に保持した中へ以下の「混合物(A)」を3時間掛けて滴下し、次いでアゾビスジメチルバレロニトリル3部を添加し、85℃で4時間保持して反応を行って、固形分70重量%のアクリル樹脂溶液No.1を製造した。
混合物(A)
スチレン 5部
メチルメタクリレート 36.0部
エチルアクリレート 37.5部
2−エチルヘキシルメタクリレート 4.0部
アクリル酸 5.5部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 12.0部
アゾビスジメチルバレロニトリル 2.1部
(注3)混合溶剤A:プロピレングリコールモノメチルエーテル/イソプロピルアルコール/n−ブチルアルコール/エチレングリコールモノブチルエーテル=42部/42部/42部/84部
【0023】
製造例2〜4 アクリル樹脂溶液No.2〜No.4の製造
表1の単量体とする以外は、製造例1と同様にして、アクリル樹脂溶液No.2〜No.4を得た。
【0024】
【表1】

【0025】
(注4)KBM−503:信越化学社製、商品名、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン
【0026】
製造例5 エマルションNo.1の製造
上記の製造例1で得た70%のアクリル樹脂溶液No.1を92.7部(固形分65部)、サイメル232(注5)35部(固形分35部)、トリエチルアミン1.9部(0.4中和当量分)を加えて34%のエマルションNo.1を得た。
(注5)サイメル232:三井サイテック社製、商品名、メチル・ブチルの混合エーテル化のメラミン樹脂)
【0027】
製造例6 エマルションNo.2の製造
製造例5のアクリル樹脂溶液No.1を、アクリル樹脂溶液No.2とする以外は同様の配合にてエマルションNo.2を得た。
【0028】
製造例7 エマルションNo.3の製造
製造例5のアクリル樹脂溶液No.1を、アクリル樹脂溶液No.3とする以外は同様の配合にてエマルションNo.3を得た。
【0029】
製造例8 エマルションNo.4の製造
製造例5のアクリル樹脂溶液No.1を、アクリル樹脂溶液No.4とする以外は同様の配合にてエマルションNo.4を得た。
【0030】
製造例9 顔料分散ペーストNo.1の製造例
60%アミン中和アクリル樹脂系顔料分散樹脂9.6部(固形分5.8)、アルミニウムペースト891K(注6)0.1部、脱イオン水1.0部を仕込み、攪拌機で十分に攪拌して、固形分55%の顔料分散ぺーストNo.1を得た。
【0031】
製造例10〜12 顔料分散ペーストNo.2〜No.4の製造例
表2の配合内容で、製造例9の顔料分散ペーストNo.1と同様にして、顔料分散ペーストNo.2〜No.4を得た。
【0032】
製造例13 顔料分散ペーストNo.5の製造例
60%アミン中和アクリル樹脂系顔料分散樹脂9.6部(固形分5.8)、CR−97(注8)21.1部、トダカラーKN−O(注9)0.1部、TAROX LL50 0.9部、脱イオン水19.0部を仕込み、ボールミルで20時間分散し、固形分55%の顔料分散ぺーストNo.5を得た。
【0033】
【表2】

【0034】
(注6)アルミニウムペースト891K:東洋アルミニウム社製、アルミニウム含有量72%
(注7)パールマイカ白:マーク社製、酸化鉄被覆マイカ、厚さ0.2〜0.5μm
(注8)CR−97:石原産業社製、商品名、チタン白
(注9)トダカラーKN−O:戸田工業社製、商品名、べんがら
(注10)TAROX LL50:チタン工業社製、商品名、黄色酸化鉄
艶ありアニオン電着塗料
【0035】
製造例14 アニオン電着塗料No.1(アニオン電着塗料(A))の製造
製造例1で得られたエマルションNo.1を294部(固形分100部)、製造例9で得られた顔料分散ぺーストNo.1を10.7部(固形分5.9部)、脱イオン水を1019.1部加え、固形分8%のアニオン電着塗料No.1を得た。アニオン電着塗料No.1の連続被膜形成最低温度は15℃であった。
【0036】
製造例15〜21 アニオン電着塗料No.2〜No.8の製造
配合内容を表3とする以外は、製造例14と同様にして、アニオン電着塗料No.2〜No.8を得た。
【0037】
【表3】

【0038】
製造例22 アニオン電着塗料No.9の製造(アニオン電着塗料(B)に相当)
上記の製造例5で得たエマルションNo.1を294部(固形分100部)、製造例13で得た55%の顔料分散ぺーストNo.5を50.7部(固形分27.9部)を加えて攪拌し、脱イオン水721部加え、固形分12%のアニオン電着塗料No.9を得た。
試験板について
1次電解処理(脱脂−エッチング−中和−陽極酸化処理−封孔)を施した被膜厚さ約10μmのアルミニウム材(シルバー:大きさは150mm×70mm×0.5mm)を試験板として用いた。
【0039】
実施例1
以下の工程1〜4により、着色複層塗膜No.1を作成した。
工程1:上記の試験板を用いて、アニオン電着塗料No.1(連続被膜形成最低温度15℃)を浴温10℃にて、塗装電圧140Vで150秒間アニオン電着塗装を行った。得られた塗膜は10μmであった。
工程2:工程1で得られた塗膜を15℃の逆浸透膜(RO)水を用いて水洗し、その後、3分間室温でセッティングを施した。
工程3:アニオン電着塗料No.9を浴温22℃にて、塗装電圧150Vで150秒間アニオン電着塗装を行った。得られた塗膜は5μmであった。
工程4:180℃で20分間熱風乾燥機にて加熱乾燥した。焼付け乾燥後、複層塗膜として上層にアニオン電着塗料No.1に基く塗膜、下層にアニオン電着塗料No.9に基く塗膜が形成されていることを目視、及び走査型電子顕微鏡(日本電子社製 JSM−5310LV、にて測定、図3)にて確認した。
【0040】
実施例2〜4
表4に示す工程とする以外は、実施例1と同様にして、着色複層塗膜No.2〜No.4を得た。併せて、塗膜性能を示す。
【0041】
【表4】

【0042】
比較例1
以下の工程により、着色複層塗膜No.5を作成した。
工程1:上記の試験板を用いて、アニオン電着塗料No.1(連続被膜形成最低温度15℃)を浴温22℃にて、塗装電圧120Vで150秒間アニオン電着塗装を行った。得られた塗膜は10μmであった。
工程2:工程1で得られた塗膜を20℃の逆浸透膜(RO)水を用いて水洗し、その後、3分間室温でセッティングを施した。
工程3:アニオン電着塗料No.9を浴温28℃にて、塗装電圧150Vで150秒間アニオン電着塗装を行った。得られた塗膜は5μmであった。
工程4:180℃で20分間熱風乾燥機にて加熱乾燥した。焼付け乾燥後、下層にアニオン電着塗料No.1に基く塗膜、上層にアニオン電着塗料No.9に基く塗膜を形成していることを目視、及び走査型電子顕微鏡写真(図4)にて確認した。
【0043】
比較例2〜6
表5に示す工程とする以外は、比較例1と同様にして、着色複層塗膜No.6〜No.10を得た。併せて、塗膜性能を示す。
【0044】
【表5】

【0045】
(注10)着色複層塗膜の形成状態:
○は、塗膜上層に1回目に電着塗装を行ったアニオン電着塗料に基く塗膜、塗膜下層に2回目に電着塗装を行ったアニオン電着塗料に基く塗膜を目視、走査型電子顕微鏡写真にて確認できた。
△は、1回目に電着塗装を行ったアニオン電着塗料に基く塗膜と、2回目に電着塗装を行ったアニオン電着塗料に基く塗膜が塗膜表面で混在する。
×は、塗膜上層に2回目に電着塗装を行ったアニオン電着塗料に基く塗膜、塗膜下層に1回目に電着塗装を行ったアニオン電着塗料に基く塗膜を形成し、電着塗装を行った順番に複層塗膜を形成している。
(注11)60度鏡面光沢度:
複層塗膜の光沢の程度を、JIS K−5400 7.6(1990)の60度鏡面光沢度に従い、入射角と受光角とがそれぞれ60度のときの反射率を測定して、鏡面光沢度の基準面の光沢度を100としたときの百分率で表した。
(注12)耐候性:JIS K5400に準拠し、カーボンアーク灯式促進耐候性試験機サンシャインウェザオメーターを使用して塗膜の光沢を測定し、暴露試験前の光沢に対する光沢保持率が80%を割る時間を測定した。さらに塗膜表面を目視により観察した。
◎は、光沢保持率が80%を割る時間が3,000時間を越える
○は、光沢保持率が80%を割る時間が2,500時間以上、かつ3,000時間未満
○△は、光沢保持率が80%を割る時間が2,000時間以上、かつ2,500時間未満
△は、光沢保持率が80%を割る時間1,000時間以上、かつ2,000時間未満、
×は、光沢保持率が80%を割る時間1,000時間未満
(注13)耐擦り傷性:
図5のようなラビングテスタ−(学振式染色物摩擦堅牢度試験機、DAIEIKAGAKU SEIKI MFG.Co.Ltd社製)を使用し、20×20mmの段ボ−ル圧子(両面段ボ−ル2種CS−2、JIS Z 1516)に垂直荷重500gをかけて、電着塗膜の表面を20サイクル擦った。
◎は、問題なく良好
○は、色味や塗面の変化がわずかに見られるが、問題ないレベル
△は、色味や塗面の変化などの塗膜異常が認められ、意匠性を損うレベル
×は、色味や塗面の変化などの塗膜異常が著しい。
(注14)密着性:40℃にて240時間浸漬したそれぞれの鋼板に、カッターナイフでクロスカットをいれて、粘着テープを貼り付けて瞬時に剥離した。
○は、異常のないもの
△は、塗膜の一部が剥離したもの
×は、塗膜が剥離したもの
【0046】
艶消しアニオン電着塗料
製造例23 アニオン電着塗料No.10(アニオン電着塗料(A))の製造
製造例3で得られたエマルションNo.3を294部(固形分100部)、製造例9で得られた顔料分散ぺーストNo.1を11.5部(固形分6.3部)、脱イオン水で1019.1部加え、固形分8%のアニオン電着塗料No.10を得た。アニオン電着塗料No.10の連続被膜形成最低温度は17℃であった。
【0047】
製造例24〜26 アニオン電着塗料No.11〜No.13の製造
配合内容を表6とする以外は、製造例23と同様にして、アニオン電着塗料No.11〜No.13を得た。
【0048】
【表6】

【0049】
実施例5
以下の工程1〜4により、着色複層塗膜No.11を作成した。
工程1:上記の試験板を用いて、アニオン電着塗料No.10(連続被膜形成最低温度17℃)を浴温10℃にて、塗装電圧150Vで150秒間アニオン電着塗装を行った。得られた塗膜は9μmであった。
工程2:工程1で得られた塗膜を15℃の逆浸透膜(RO)水を用いて水洗し、その後、3分間室温でセッティングを施した。
工程3:アニオン電着塗料No.9を浴温28℃にて、塗装電圧150Vで150秒間アニオン電着塗装を行った。得られた塗膜は6μmであった。
工程4:180℃で20分間熱風乾燥機にて加熱乾燥した。焼付け乾燥後、複層塗膜として上層にアニオン電着塗料No.1に基く塗膜、下層にアニオン電着塗料No.9に基く塗膜が形成されていることを目視、及び走査型電子顕微鏡(日本電子社製 JSM−5310LV、にて測定、図3)にて確認した。
【0050】
実施例6〜8
表7に示す工程とする以外は、実施例5と同様にして、着色複層塗膜No.12〜No.14を得た。併せて、塗膜性能を示す。
【0051】
【表7】

【0052】
比較例7
以下の工程により、着色複層塗膜No.15を作成した。
工程1:上記の試験板を用いて、アニオン電着塗料No.10(連続被膜形成最低温度17℃)を浴温22℃にて、塗装電圧120Vで150秒間アニオン電着塗装を行った。得られた塗膜は10μmであった。
工程2:工程1で得られた塗膜を20℃の逆浸透膜(RO)水を用いて水洗し、その後、3分間室温でセッティングを施した。
工程3:アニオン電着塗料No.9を浴温28℃にて、塗装電圧170Vで150秒間アニオン電着塗装を行った。得られた塗膜は5μmであった。
工程4:180℃で20分間熱風乾燥機にて加熱乾燥した。焼付け乾燥後、下層にアニオン電着塗料No.10に基く塗膜、上層にアニオン電着塗料No.9に基く塗膜を形成することを目視、及び走査型電子顕微鏡写真(図4)にて確認した。
【0053】
比較例8〜12
表8に示す工程とする以外は、比較例7と同様にして、着色複層塗膜No.16〜No.20を得た。併せて、塗膜性能を示す。
【0054】
【表8】

【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明のアニオン電着塗料により、耐候性、意匠性及び耐擦り傷性に優れる着色複層電着塗膜が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】アルミニウムの電着塗装ラインのモデル図である。
【図2】一定電圧で電着塗装を行った時の、浴温と膜厚の関係を示すグラフである。
【図3】高顔料濃度のアニオン電着塗料(B)を下層に、低顔料濃度のアニオン電着塗料(A)を上層とした塗膜の断面写真である
【図4】低顔料濃度のアニオン電着塗料(A)を下層に、高顔料濃度のアニオン電着塗料(B)を上層とした塗膜の断面写真である
【図5】ラビングテスターのモデル図である。
【符号の説明】
【0057】
1.低顔料濃度のアニオン電着塗料の浴
2.高顔料濃度のアニオン電着塗料の浴
3.水洗設備
4.被塗物
5.連続被膜形成最低温度(MFT)
6.素材
7.処理被膜
8.高顔料濃度の塗膜
9.低顔料濃度の塗膜
10.電着板
11.ダンボール
12.荷重

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被塗物に、カルボキシル基含有樹脂と架橋剤を樹脂成分とし、該樹脂成分の固形分合計100重量部に対して顔料成分(a)を0.01〜5重量部未満含有するアニオン電着塗料(A)を電着塗装して、該アニオン電着塗料(A)に基づく未硬化の電着塗膜を形成し、ついで、該未硬化の電着塗膜が形成された被塗物に、カルボキシル基含有樹脂と架橋剤を樹脂成分とし、該樹脂成分の固形分合計100重量部に対して顔料成分(b)を5〜40重量部含有するアニオン電着塗料(B)を電着塗装し、被塗物上にアニオン電着塗料(B)に基づく電着塗膜(B1)が形成され、該電着塗膜(B1)上に電着塗膜(A1)が形成される着色複層塗膜を形成する方法であって、アニオン電着塗料(A)連続被膜形成最低温度が10〜25℃であって、アニオン電着塗料(A)を電着塗装するに際しての浴温度が該連続被膜形成最低温度以下であり、かつアニオン電着塗料(B)を電着塗装するに際しての浴温度が20〜35℃の範囲内であるとともに、アニオン電着塗料(A)を電着塗装するに際しての浴温度より5〜35℃高い温度であることを特徴とする着色複層塗膜形成方法。
【請求項2】
カルボキシル基含有樹脂と架橋剤を樹脂成分とし、該樹脂成分の固形分合計100重量部に対して顔料成分(a)を0.01〜5重量部未満含有するアニオン電着塗料(A)とカルボキシル基含有樹脂と架橋剤を樹脂成分とし、該樹脂成分の固形分合計100重量部に対して顔料成分(b)を5〜40重量部含有するアニオン電着塗料(B)とを組合わせてなる着色複層塗膜形成用アニオン電着塗料。
【請求項3】
アニオン電着塗料(A)は連続被膜形成最低温度が10〜25℃であって、連続被膜形成最低温度以下で電着塗装して使用される塗料であり、アニオン電着塗料(B)はアニオン電着塗料(A)電着塗装した後に電着塗装して使用され、アニオン電着塗料(A)の電着塗装浴温度より5〜35℃高い温度で電着塗装される電着塗料である、請求項2に記載された着色複層塗膜形成用アニオン電着塗料。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−138255(P2007−138255A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−334139(P2005−334139)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【出願人】(000175560)三協立山アルミ株式会社 (529)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【Fターム(参考)】