説明

睡眠判定方法及び睡眠判定システム

【課題】精度高くユーザーが覚醒しているか睡眠しているかを判断する。
【解決手段】活動量が所定値以上であって、体温が所定値以上又は体温の低下の変動量が所定値を超えない場合、或いは、活動量が所定値以上であって、体温が所定値より低い又は体温低下の変動量が所定値以上で、且つ瞼が開いている場合、或いは、活動量が所定値を超えないが、体温が所定値以上又は体温の低下の変動量が所定値を超えない場合には人が覚醒していると判定し、活動量が所定値を超えない場合であって、体温が所定値より低い又は体温低下の変動量が所定値以上、或いは、活動量が所定値以上であって、体温が所定値より低い又は体温低下の変動量が所定以上で、且つ瞼が閉じている場合には人が睡眠していると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人が覚醒しているか睡眠しているかを判定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、加速度センサーが組み込まれた体動検出装置を用いて、0.01G以上の加速度をもつ体動の1分間の総カウント数を計測していくことで、人の覚醒及び睡眠の経時状態を観測するシステムがある。しかしながら、このようなシステムでは、5分程度の体動の停止状態が継続すると、人が睡眠中であると判定されてしまうため、活動時間帯において、思索やディスプレイあるいは紙文書を注視している等の状態を、睡眠していると誤判定されてしまうという問題があった。
【0003】
一方で生物は、覚醒状態から睡眠状態に入る際に、体温が低下することから、この現象を利用することにより、人が覚醒しているか睡眠しているかを判定する睡眠判定方法が、特許文献1に示されている。この睡眠判定方法は、予めユーザーの覚醒時の体温を測定しておき、覚醒時の体温と現在の体温との差分が基準温度よりも大きく低下し、更に、一定時間前の体温と現在体温との差分が基準温度よりも大きく低下した場合に、ユーザーが入眠したと判断していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−42999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記方法では、一定時間前の体温と現在体温のみの比較を行うことから、入眠判断が非常にばらついていた。また、体温が低下した場合であっても(特に体の動きがある場合)、実際には覚醒している場合もあり、ユーザーが睡眠していると誤判定されてしまうという問題があった。従来では、人の体の動きがある状態で、人の体温が低下した場合には、当該人が覚醒しているか、睡眠しているかの判定が困難であった。本発明は、上記問題を解決し、特に着座状態で作業中のユーザーが覚醒しているか睡眠しているかを精度良く判断することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、
人が覚醒しているか睡眠しているかを判定する睡眠判定方法であって、
前記人の体の活動量を検出する活動量検出工程と、
前記人の体温を検出する体温検出工程と、
前記人の瞼が開いているか閉じているかの瞼の状態情報を検出する瞼状態検出工程と、
前記活動量検出工程にて検出した活動量、前記体温検出工程で検出した体温、前記瞼状態検出工程で検出した瞼の状態情報を記憶部に記憶させる情報記憶工程と、
前記記憶部に記憶された活動量、体温、瞼の状態情報に基づいて前記人が、覚醒しているか、睡眠しているかを判定する睡眠判定工程と、
を有することを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記睡眠判定工程は、
活動量が所定値以上であって、体温が所定値以上又は体温の低下の変動量が所定値を超えない場合、或いは、活動量が所定値以上であって、体温が所定値より低い又は体温低下の変動量が所定値以上で、且つ瞼が開いている場合、或いは、活動量が所定値を超えないが、体温が所定値以上又は体温の低下の変動量が所定値を超えない場合には人が覚醒していると判定し、
活動量が所定値を超えない場合であって、体温が所定値より低い又は体温低下の変動量が所定値以上、或いは、活動量が所定値以上であって、体温が所定値より低い又は体温低下の変動量が所定以上で、且つ瞼が閉じている場合には人が睡眠していると判定することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、
人が覚醒しているか睡眠しているかを判定する睡眠判定システムであって、
前記人の体の活動量を検出する活動量検出手段と、
前記人の体温を検出する体温検出手段と、
前記人の瞼が開いているか閉じているかの瞼の状態情報を検出する瞼状態検出手段と、
前記活動量検出手段が検出した活動量、前記体温検出手段が検出した体温、前記瞼状態検出手段が検出した瞼の状態情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された活動量、体温、瞼の状態情報に基づいて前記人が、覚醒しているか、睡眠しているかを判定する睡眠判定手段と、
を有することを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、
前記睡眠判定手段は、
活動量が所定値以上であって、体温が所定値以上又は体温の低下の変動量が所定値を超えない場合、或いは、活動量が所定値以上であって、体温が所定値より低い又は体温低下の変動量が所定値以上で、且つ瞼が開いている場合、或いは、活動量が所定値を超えないが、体温が所定値以上又は体温の低下の変動量が所定値を超えない場合には人が覚醒していると判定し、
活動量が所定値を超えない場合であって、体温が所定値より低い又は体温低下の変動量が所定値以上、或いは、活動量が所定値以上であって、体温が所定値より低い又は体温低下の変動量が所定以上で、且つ瞼が閉じている場合には人が睡眠していると判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、人の体の活動量を検出する活動量検出工程と、人の体温を検出する体温検出工程と、人の瞼が開いているか閉じているかの瞼の状態情報を検出する瞼状態検出工程と、前記活動量検出工程にて検出した活動量、前記体温検出工程で検出した体温、前記瞼状態検出工程で検出した瞼の状態情報を記憶部に記憶させる情報記憶工程と、前記記憶部に記憶された活動量、体温、瞼の状態情報に基づいて前記人が、覚醒しているか、睡眠しているかを判定する睡眠判定工程を有することを特徴とする。
このため、活動量と体温と瞼の状態の全てを検出することにより、それぞれ単独で検出するよりも精度良くユーザーが覚醒しているか睡眠しているかを判断することが可能となった。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、睡眠判定工程は、活動量が所定値以上であって、体温が所定値以上又は体温の低下の変動量が所定値を超えない場合、或いは、活動量が所定値以上であって、体温が所定値より低い又は体温低下の変動量が所定値以上で、且つ瞼が開いている場合、或いは、活動量が所定値を超えないが、体温が所定値以上又は体温の低下の変動量が所定値を超えない場合には人が覚醒していると判定し、活動量が所定値を超えない場合であって、体温が所定値より低い又は体温低下の変動量が所定値以上、或いは、活動量が所定値以上であって、体温が所定値より低い又は体温低下の変動量が所定以上で、且つ瞼が閉じている場合には人が睡眠していると判定することを特徴とする。
このため、人が思索中あるいはディスプレイや紙文書等を注視している等の状態で、体の動きが止まっている場合であっても睡眠中と誤判定されることがなく、また、従来判定が困難であった、人の体の動きがある状態で人の体温が低下した場合であっても、確実に、当該人が覚醒しているか睡眠しているかを判定することが可能となった。
【0012】
請求項3に記載の発明は、人の体の活動量を検出する活動量検出手段と、前記人の体温を検出する体温検出手段と、前記人の瞼が開いているか閉じているかの瞼の状態情報を検出する瞼状態検出手段と、前記活動量検出手段が検出した活動量、前記体温検出手段が検出した体温、前記瞼状態検出手段が検出した瞼の状態情報を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された活動量、体温、瞼の状態情報に基づいて前記人が、覚醒しているか、睡眠しているかを判定する睡眠判定手段とを有することを特徴とする。
このため、活動量と体温と瞼の状態の全てを検出することにより、それぞれ単独で検出するよりも精度良くユーザーが覚醒しているか睡眠しているかを判断することが可能となった。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記睡眠判定手段は、活動量が所定値以上であって、体温が所定値以上又は体温の低下の変動量が所定値を超えない場合、或いは、活動量が所定値以上であって、体温が所定値より低い又は体温低下の変動量が所定値以上で、且つ瞼が開いている場合、或いは、活動量が所定値を超えないが、体温が所定値以上又は体温の低下の変動量が所定値を超えない場合には人が覚醒していると判定し、活動量が所定値を超えない場合であって、体温が所定値より低い又は体温低下の変動量が所定値以上、或いは、活動量が所定値以上であって、体温が所定値より低い又は体温低下の変動量が所定以上で、且つ瞼が閉じている場合には人が睡眠していると判定することを特徴とする。
このため、人が思索中あるいはディスプレイや紙文書等を注視している等の状態で、体の動きが止まっている場合であっても睡眠中と誤判定されることがなく、また、従来判定が困難であった、人の体の動きがある状態で人の体温が低下した場合であっても、確実に、当該人が覚醒しているか睡眠しているかを判定することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の概要を示す説明図である。
【図2】本発明の睡眠判定装置のブロック図である。
【図3】睡眠判定処理のフロー図である。
【図4】睡眠判定の判定条件を表した表である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(睡眠判定装置の概要)
以下に図面を参照しつつ、本発明の好ましい実施の形態を示す。図1に示されるように、本発明の睡眠判定装置70(図2に示す)は、ユーザー999の瞼の状態を撮像する撮像部60と、ユーザー999の活動量及び体温を測定し、この測定結果及び前記撮像部60で撮像されたユーザー999の瞼の状態から、ユーザー999が覚醒状態にあるか睡眠状態にあるかを判定する検出判定部50とから構成されている。図1に示される実施形態では、検出判定部50は、リストバンド型であり、ユーザー999の腕に装着されるようになっている。撮像部60は、ユーザー999の瞼の状態を撮像することができる位置に設置される。検出判定部50は、有線又は無線でパーソナルコンピュータ99と接続していて、検出判定部50の判定結果が、パーソナルコンピュータ99に出力されて、判定結果が当該パーソナルコンピュータ99に記憶され、表示されるようになっている。
【0016】
(睡眠判定装置のブロック図)
図2に睡眠判定装置70のブロック図を示して、以下、当該ブロック図について説明をする。検出判定部50は、CPU21、RAM22、ROM23、パーソナルコンピュータ用インターフェース24、インターフェース25、加速度センサー31、体温センサー32、撮像コントローラ33を有していて、これらは相互にバス39で接続されている。インターフェース25には、操作部26が接続している。検出判定部50は、一次電池や二次電池等の電源49を有していて、当該電源49から検出判定部50を構成する各要素に電流が供給されるようになっている。
【0017】
CPU21は、RAM22、ROM23と協動して、各種演算、処理を行う。RAM22は、CPU21で処理されるプログラムや、CPU21が処理するデータ、CPU21で処理されたデータを、そのアドレス空間に一時的に記憶する。
【0018】
ROM23には、睡眠判定装置70を制御する各種プログラムが記憶されている。ROM23には、活動量算出プログラム23a、体温変動量算出プログラム23b、瞼状態判定プログラム23c、睡眠判定プログラム23d等のプログラムが記憶されている。当該各種プログラムが、CPU21で処理されることにより、各種機能を実現している。
【0019】
活動量算出プログラム23aは、加速度センサー31で検出した「加速度データ」から、ユーザー999の活動量を算出する。詳しくは、図3に示されるS12の処理で説明する。
【0020】
体温変動量算出プログラム23bは、体温センサー32で検出した「温度データ」から、ユーザー999の体温の変動を算出する。詳しくは、図3に示されるS13の処理で説明する。
【0021】
瞼状態判定プログラム23cは、撮像部60で撮像し、撮像コントローラ33で生成された「撮像データ」から、ユーザー999の瞼が開いているか、閉じているかを判定する。詳しくは、図3に示されるS14の処理で説明する。
【0022】
睡眠判定プログラム23dは、活動量算出プログラム23a、体温変動量算出プログラム23b、瞼状態判定プログラム23cが算出し、判定した情報に基づいて、ユーザー999が覚醒しているか、睡眠しているか判定する(図4に判定条件を示す)。詳しくは、図3に示されるS16〜S34の処理で説明する。
【0023】
なお、活動量算出プログラム23a、体温変動量算出プログラム23b、瞼状態判定プログラム23c、睡眠判定プログラム23dを、ASIC(Application Specific IntegratedCircuit)として構成することとしても差し支えない。
【0024】
パーソナルコンピュータ用インターフェース24は、検出判定部50とパーソナルコンピュータ99とを無線又は有線で接続するためのインターフェースであり、USB(Unversal Serial Bus)、LAN(Local Area Network)、IEEE802に規定されている所謂無線LAN等が含まれる。
【0025】
操作部26は、睡眠判定装置70を操作するためのコントローラである。インターフェース25は、操作部26が出力する信号の物理的又は論理的な形式を変換し、「操作信号」として、バス39に出力する。
【0026】
加速度センサー31は、ユーザー999の体の動きを検出するためのセンサーであり、所定間隔(例えば0.1秒)をおいて、加速度を検出し「加速度データ」を生成する。加速度センサー31が生成した「加速度データ」は、RAM22に記憶される。加速度センサー31には、静電容量方式、ピエゾ抵抗方式、圧電方式等を用いた加速度センサー31が含まれる。
【0027】
体温センサー32は、ユーザー999の体温を検出するセンサーであり、「温度データ」を生成する。体温センサー32が生成した「温度データ」は、RAM22に記憶される。
体温センサー32は、サーミスタや熱電対により測定するセンサーが含まれる。
【0028】
撮像部60は、撮像コントローラ33と無線又は有線で接続している。撮像部60は、結像光学系と、イメージセンサーを有している。結像光学系は、単一又は複数のレンズから構成され、入射された光をイメージセンサー上で結像させる。イメージセンサーは、光
を検出して電荷を発生させる受光素子を二次元に配置したものである。イメージセンサーには、CCD(Charge Coupled Device Image SenSor)やCMOS(Complementary Mwtal Oxide Semiconductor)が含まれる。
【0029】
撮像コントローラ33は、A/Dコンバータや画像処理回路を有している。撮像コントローラ33は、撮像部60のイメージセンサーを駆動させて、ユーザー999を撮像させる。イメージセンサーが撮像すると、前記A/Dコンバータは、イメージセンサーの各受光素子が出力した電荷をデジタル信号に変換する。前記画像処理回路は前記デジタル信号に基づいて、「撮像データ」を生成する。生成された「撮像データ」は、RAM22に記憶される。
【0030】
(睡眠判定処理のフロー図)
図3に睡眠判定処理のフロー図を示して、以下当該フローについて説明をする。ユーザー999が、操作部26を操作することにより、睡眠判定装置70に電源が投入されると、睡眠判定処理が開始し、S12、S13、S14の処理で、それぞれの処理が開始される。
【0031】
S12「活動量算出処理開始」の処理において、活動量算出プログラム23aが起動される。活動量算出プログラム23aは、加速度センサー31での、ユーザー999の体の動きに伴う加速度の検出を開始させる。加速度センサー31で検出された「加速度データ」は、RAM22に出力されて記憶される。活動量算出プログラム23aは、RAM22に記憶された「加速度データ」から、ユーザー999の活動量を算出する。前記活動量とは、所定期間内(例えば1分)あたりの、所定値以上(0.01G以上)の加速度が発生した回数(体動数)の積算値である。活動量算出プログラム23aは、算出した活動量をRAM22に記憶する。
【0032】
S13「体温変動量算出処理開始」の処理において、体温変動量算出プログラム23bが起動される。体温変動量算出プログラム23bは、体温センサー32でのユーザー999の体温の検出を開始させる。体温センサー32で検出された「温度データ」は、RAM22に記憶される。体温変動量算出プログラム23bは、RAM22に記憶された「温度データ」から、ユーザー999の体温の変動量を算出する。具体的には、体温変動量算出プログラム23bは、一定時間(例えば5分)前のユーザー999の体温と、現在のユーザー999の体温の差分温度ΔTを算出し、RAM22に記憶する。
【0033】
S14「瞼状態判定処理開始」の処理において、瞼状態判定プログラム23cが起動される。瞼状態判定プログラム23cは、撮像コントローラ33に制御信号を出力し、撮像部60でのユーザー999の瞼の状態を撮像させる。撮像部60が撮像し、撮像コントローラ33が生成した「撮像データ」は、RAM22に記憶される。瞼状態判定プログラム23cは、RAM22に記憶された「撮像データ」からユーザー999の顔の特徴点を検出することにより、ユーザー999の目の位置を認識し、目の領域を切り出す。前記顔の特徴点とは、例えば、顔の輪郭、鼻、眉毛、口裂等「画像データ」中の画素の濃淡が強く表れる箇所である。なお、「撮像データ」から、顔の特徴点を検出し、顔の特徴部位を検出する手法としては、例えば、特開2003−271932号公報、特開2005−196567号公報に記載されている手法など、いずれの公知技術も適用可能である。次に、瞼状態判定プログラム23cは、目の領域の画素の集合を、所定の閾値を用いて白と黒の画素に2値化し、瞼が開いているか閉じているかを判定する。つまり、瞼が閉じている場合には、白目部分は隠れているので白色の画素は現れないため、瞼が閉じていると判定される。なお、瞼状態判定プログラム23cは、上下の瞼と目のエッジラインを検出して、前記エッジラインが1本である場合には、ユーザー999の瞼は閉じていると判定し、前記エッジラインが2本である場合には、ユーザー999の瞼は開いていると判定することにしても差し支えない。瞼状態判定プログラム23cは、ユーザー999の瞼が開いているか、閉じているかの「瞼情報」をRAM22に記憶する。
【0034】
S12〜S14の処理の処理が全て開始されると、S16の判断処理に進む。
【0035】
S16「活動量基準値以上?」の判断処理において、睡眠判定プログラム23dは、活動量算出プログラム23aが算出したユーザー999の活動量が基準値(例えば一分あたりの体動数が50)以上か否かを判断する。睡眠判定プログラム23dが、ユーザー999の活動量が基準値以上と判断した場合には(S16がYES)、S17の判断処理に進む。一方で、睡眠判定プログラム23dが、ユーザー999の活動量が基準値を超えないと判断した場合には、S32の判断処理に進む。
【0036】
S17「体温低下基準値以上?」の判断処理において、睡眠判定プログラム23dは、体温変動量算出プログラム23bが算出したユーザー999の体温の差分温度ΔTに基づいて、一定時間(例えば5分)におけるユーザー999の体温の低下が基準値(例えば0.2℃)以上か否かを判断する。睡眠判定プログラム23dが、一定時間におけるユーザー999の体温の低下が基準値以上と判断した場合には(S17がYES)、S18の処理に進む。一方で、睡眠判定プログラム23dが、一定時間におけるユーザー999の体温の低下が基準値を超えないと判断した場合には(S17がNO)、S25の処理に進む。
【0037】
S18「瞼開いている?」の判断処理において、睡眠判定プログラム23dは、瞼状態判定プログラム23cが判定したユーザー999の「瞼情報」をRAM22から読み出し、ユーザー999の瞼が開いている場合には(S18がYES)、S19の処理に進ませ、一方で、ユーザー999の瞳が閉じている場合には(S18がNO)、S27の処理に進ませる。
【0038】
S32「体温低下基準値以上?」の判断処理において、睡眠判定プログラム23dは、体温変動量算出プログラム23bが算出したユーザー999の体温の差分温度ΔTに基づいて、一定時間(例えば5分)におけるユーザー999の体温の低下が基準値(例えば0.2℃)以上か否かを判断する。睡眠判定プログラム23dが、一定時間におけるユーザー999の体温の低下が基準値以上と判断した場合には(S32がYES)、S33の処理に進む。一方で、睡眠判定プログラム23dが、一定時間におけるユーザー999の体温の低下が基準値を超えないと判断した場合には(S32がNO)、S34の処理に進む。
【0039】
S19、S25、S34「覚醒と判定」の処理において、睡眠判定プログラム23dは、ユーザー999が覚醒していると判定する。S19、S25、S34の処理が終了すると、S40の処理に進む。
【0040】
S27、S33「睡眠と判定」の処理において、睡眠判定プログラム23dは、ユーザー999が睡眠していると判定する。S27、S33の処理が終了すると、S40の処理に進む。
【0041】
S40「判定結果記録」の処理において、睡眠判定プログラム23dは、S19、S25、S34、S27、S33の処理で判定した判定結果をRAM22に記憶する。S40の処理が終了すると、S41の処理に進む。
【0042】
S41「判定結果送信」の処理において、CPU21は、S40の処理でRAM22に記憶された判定結果を、パーソナルコンピュータ99に送信する命令を、パーソナルコンピュータ用インターフェース24に出力する。パーソナルコンピュータ用インターフェース24は、CPU21から送信された判定結果を、パーソナルコンピュータ99へ出力する。判定結果を受信したパーソナルコンピュータ99は、当該判定結果を記憶し、また、表示画面に表示する。S41の処理が終了すると、S42の判断処理に進む。
【0043】
S42「終了?」の判断処理において、ユーザー999が操作部26の操作することにより、睡眠判定装置70を終了させる信号が、インターフェース25に入力された場合には、電源49による電流の供給が遮断されて、睡眠判定処理が終了する。一方で、睡眠判定装置70を終了させる信号が、インターフェース25に入力されない場合には、S16の判断処理に戻る。
【0044】
このように、本発明では、人の活動量に加えて、人の体温低下の変動量に基づき、人が覚醒しているか、睡眠しているかを判定することにしたので、人が思索中で、体の動きが止まっている場合であっても、睡眠中と誤判定されることを防止することが可能となった。また、本発明では、人の瞼の状態も検出することにしたので、従来では、判定が困難であった、人の体の動きがある状態で、人の体温が低下した場合であっても、確実に、当該人が覚醒しているか睡眠しているかを判定することが可能となった。
【0045】
(総括)
図3のフローのS16の判断処理において、下記に示される式1(Cole−Kripkeの式)で求められるRを指標とした場合、Rが基準値である1以上であるか(R≧1)(S16がYES)否か(R<1)(S16がNO)で判断することにしても差し支えない。
R=0.00001(404αn4+598αn3+326αn2+441αn1+1408α0+508α1+350α2)…(式1)
ここで、αn1、αn2、αn3、αn4はそれぞれ、4分前、3分前、2分前、1分前の活動量(単位時間当たりの体動数)、α0は判定時の活動量、α1、α2は1分後、2分後の活動量を表す。
【0046】
また、図3のフローのS17、S32の判断処理において、現在の体温が(Tmax−Tmin)/2よりも低いか(S17、S32がYES)否か(S17、S32がNO)を判断することにしても差し支えない。
ここで、Tmaxは前日のユーザー999の最高体温であり、Tminは前日のユーザー999の最低体温である。
【0047】
なお、以上説明した実施形態では、人の活動量として、所定時間内の人の体動数を算出することとしたが、人の活動量として、例えば人の心拍数等を計測し、当該心拍数等から活動量を算出し、当該活動量が基準値以上か否かを判定することにより、人が覚醒しているか、睡眠しているかを判定することにしても差し支えない。
【0048】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う睡眠判定方法及び睡眠判定システムもまた技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上詳述したように、本発明は、人が覚醒しているか睡眠しているかを判定する技術に係るものであり、本発明により人が覚醒しているか睡眠しているかを精度良く判定することが可能となる。それにより、睡眠障害のより正確な診断が可能になり、また、その診断結果を基にした生活習慣改善への対策に利用することが可能となる。更に、業務時間で使用するのであれば、居眠りを検知することが可能となる。このため、例えば、車両の運転等、居眠りによる事故が深刻となる場合に、本発明を利用することにより、居眠りを精度良く検知し、居眠りによる事故の未然防止に役立たせることが可能となる。
【符号の説明】
【0050】
21 CPU
22 RAM
23 ROM
23a 活動量算出プログラム
23b 体温変動量算出プログラム
23c 瞼状態判定プログラム
23d 睡眠判定プログラム
24 パーソナルコンピュータ用インターフェース
25 インターフェース
26 操作部
39 バス
49 電源
50 検出判定部
60 撮像部
70 睡眠判定装置
99 パーソナルコンピュータ
999 ユーザー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人が覚醒しているか睡眠しているかを判定する睡眠判定方法であって、
前記人の体の活動量を検出する活動量検出工程と、
前記人の体温を検出する体温検出工程と、
前記人の瞼が開いているか閉じているかの瞼の状態情報を検出する瞼状態検出工程と、
前記活動量検出工程にて検出した活動量、前記体温検出工程で検出した体温、前記瞼状態検出工程で検出した瞼の状態情報を記憶部に記憶させる情報記憶工程と、
前記記憶部に記憶された活動量、体温、瞼の状態情報に基づいて前記人が、覚醒しているか、睡眠しているかを判定する睡眠判定工程と、
を有することを特徴とする睡眠判定方法。
【請求項2】
前記睡眠判定工程は、
活動量が所定値以上であって、体温が所定値以上又は体温の低下の変動量が所定値を超えない場合、或いは、活動量が所定値以上であって、体温が所定値より低い又は体温低下の変動量が所定値以上で、且つ瞼が開いている場合、或いは、活動量が所定値を超えないが、体温が所定値以上又は体温の低下の変動量が所定値を超えない場合には人が覚醒していると判定し、
活動量が所定値を超えない場合であって、体温が所定値より低い又は体温低下の変動量が所定値以上、或いは、活動量が所定値以上であって、体温が所定値より低い又は体温低下の変動量が所定以上で、且つ瞼が閉じている場合には人が睡眠していると判定することを特徴とする請求項1に記載の睡眠判定方法。
【請求項3】
人が覚醒しているか睡眠しているかを判定する睡眠判定システムであって、
前記人の体の活動量を検出する活動量検出手段と、
前記人の体温を検出する体温検出手段と、
前記人の瞼が開いているか閉じているかの瞼の状態情報を検出する瞼状態検出手段と、
前記活動量検出手段が検出した活動量、前記体温検出手段が検出した体温、前記瞼状態検出手段が検出した瞼の状態情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された活動量、体温、瞼の状態情報に基づいて前記人が、覚醒しているか、睡眠しているかを判定する睡眠判定手段と、
を有することを特徴とする睡眠判定システム。
【請求項4】
前記睡眠判定手段は、
活動量が所定値以上であって、体温が所定値以上又は体温の低下の変動量が所定値を超えない場合、或いは、活動量が所定値以上であって、体温が所定値より低い又は体温低下の変動量が所定値以上で、且つ瞼が開いている場合、或いは、活動量が所定値を超えないが、体温が所定値以上又は体温の低下の変動量が所定値を超えない場合には人が覚醒していると判定し、
活動量が所定値を超えない場合であって、体温が所定値より低い又は体温低下の変動量が所定値以上、或いは、活動量が所定値以上であって、体温が所定値より低い又は体温低下の変動量が所定以上で、且つ瞼が閉じている場合には人が睡眠していると判定することを特徴とする請求項3に記載の睡眠判定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−227191(P2010−227191A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76176(P2009−76176)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】