説明

睡眠制御装置、方法およびプログラム

【課題】快適に目覚めることのできるタイミングで被験者を目覚めさせることのできる睡眠制御装置を提供する。
【解決手段】被験者の生体情報を計測する計測手段20と、生体情報に基づいて、記被験者の入眠、レム睡眠、浅いノンレム睡眠および深いノンレム睡眠のうちいずれの状態にあるか検出する第1検出手段144と、第1検出手段144が浅いノンレム睡眠を検出した場合に、予め定めた閾値未満の刺激強度の第1の刺激を前記被験者に与える第1の刺激手段152と、第1の刺激手段152が第1の刺激を与えた後に、第1の刺激よりも刺激強度の強い第2の刺激を被験者に与える第2の刺激手段152とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験者の睡眠状態を制御する睡眠制御装置、方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、生体リズムに合わせて、睡眠の重要な要素の一つである目覚め感を向上させることを目的とした睡眠制御装置の研究が進んでいる。かかる睡眠制御装置は、一般的に使用される目覚まし時計と比較して、生体リズムにおける目覚めやすい状態を考慮している。このため、快適に目覚めることができる睡眠制御装置として注目されている。
【0003】
睡眠制御装置として、生体リズムのうち、概日リズムや睡眠リズムに着目したものが知られている。例えば、睡眠リズムを眠りの浅い状態に誘導し、概日リズムを活動期に導くものがある。また、被験者の睡眠リズムを計測し、被験者が目覚めやすい状態にある時、目覚めを誘発するものもある。
【0004】
例えば、特許文献1には、被験者の起床希望時刻にあわせて、被験者に光を浴びせる技術が開示されている。さらに、浴びせる光の強度を三段階で徐々に強い強度にすることにより概日リズムを活動期に導いている。また、特許文献2の従来技術には、睡眠リズムを変化させ起床希望時刻に目覚めやすい状態に導く技術が開示されている。具体的には、睡眠状態の計測を通し、入眠後の睡眠リズムより、起床時刻の睡眠状態を予測する。そして、予測された睡眠深度が所定の睡眠深度でない場合、睡眠中に身体に刺激を与える。これにより、起床希望時刻に起きやすい睡眠深度になるよう導く。また、非特許文献1には、リアルタイムにレム眠の状態を検出し、レム睡眠中に起床アラームを鳴動させる技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平07−318670号公報
【特許文献2】特開2006−43304号公報
【非特許文献1】森屋彰久、外3名、「自律神経解析によるREM睡眠検出とその応用」、“第19回生体・生理工学シンポジウム論文集”、(大阪)、2004年11月、p207−p208
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1は、生体のリズムが観測されておらず、目覚まし刺激が起床希望時刻に依存している。このため、個人差に対応することができない。また、睡眠リズムを妨害する可能性もあり、必ずしも効率が良いとはいえない。特許文献2は、深睡眠を妨害する場合があり、被験者が十分な深睡眠を摂取できない可能性がある。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、快適に目覚めることのできるタイミングで被験者を目覚めさせることのできる睡眠制御装置、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、睡眠制御装置であって、被験者の生体情報を計測する計測手段と、前記生体情報に基づいて、前記被験者の入眠、レム睡眠、浅いノンレム睡眠および深いノンレム睡眠のうちいずれの状態にあるか検出する第1検出手段と、前記第1検出手段が浅いノンレム睡眠を検出した場合に、予め定めた閾値未満の刺激強度の第1の刺激を前記被験者に与える第1の刺激手段と、前記第1の刺激手段が前記第1の刺激を与えた後に、前記第1の刺激よりも刺激強度の強い第2の刺激を前記被験者に与える第2の刺激手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の他の形態は、睡眠制御方法であって、被験者の生体情報を計測する計測ステップと、前記生体情報に基づいて、前記被験者の入眠、レム睡眠、浅いノンレム睡眠および深いノンレム睡眠のうちいずれの状態にあるか検出する第1検出ステップと、前記第1検出ステップにおいて浅いノンレム睡眠が検出された場合に、予め定めた閾値未満の刺激強度の第1の刺激を前記被験者に与える第1の刺激ステップと、前記第1の刺激ステップにおいて前記第1の刺激が与えられた後に、前記第1の刺激よりも刺激強度の強い第2の刺激を前記被験者に与える第2の刺激ステップとを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の他の形態は、睡眠制御処理をコンピュータに実行させる睡眠制御プログラムであって、被験者の生体情報を計測する計測ステップと、前記生体情報に基づいて、前記被験者の入眠、レム睡眠、浅いノンレム睡眠および深いノンレム睡眠のうちいずれの状態にあるか検出する第1検出ステップと、前記第1検出ステップにおいて浅いノンレム睡眠が検出された場合に、予め定めた閾値未満の刺激強度の第1の刺激を前記被験者に与える第1の刺激ステップと、前記第1の刺激ステップにおいて前記第1の刺激が与えられた後に、前記第1の刺激よりも刺激強度の強い第2の刺激を前記被験者に与える第2の刺激ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかる睡眠制御装置によれば、レム睡眠に移行しやすい浅いノンレム睡眠の状態にあるときに第1の刺激を与えることにより、積極的にレム睡眠に導き、レム睡眠時に第2の刺激により被験者を目覚めさせるので、被験者は快適に目覚めることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明にかかる睡眠制御装置、方法およびプログラムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
(実施の形態1)
図1に示すように、睡眠制御システム1は、本体10とセンサヘッド20とを備えている。図2のように、本体10は例えば手首に腕時計のような形で装着される。さらに、脈波の計測用のセンサヘッド20が小指に装着される。本体10は、センサヘッド20による計測結果に基づいて睡眠状態の変化を検出し、変化にしたがい被験者が快適に目覚めるための刺激を与える。なお、他の例としては、センサヘッド20は、指輪型またはマット型に設けられてもよい。
【0014】
本体10は、入力部102と、表示部104と、記憶部106と、電源供給部108と、時計部110と、制御部120と、加速度計測部122と、脈波計測部124と、光源駆動部126と、脈拍間隔算出部130と、自律神経指標算出部132と、脈拍偏差算出部134と、体動判定部136と、覚醒判定部138と、サイクル枠設定部140と、睡眠状態判定部144と、睡眠制御部150と、刺激付与部152を備えている。
【0015】
入力部102は、睡眠制御システム1の電源のON/OFFの指示を被験者から受け付ける。また、起床希望時刻や、希望睡眠時間などを被験者から受け付ける。入力部102は、例えばスイッチである。表示部104は、本体10による睡眠状態判定の結果を表示する表示装置である。記憶部106は、脈波データ、体動データなどの計測データ、処理後のデータ、被験者が入力部102より入力した起床希望時刻、希望睡眠時間等を記憶する。
【0016】
電源供給部108は、睡眠制御システム1の電力を供給する。具体的には、バッテリである。時計部110は、時刻を計測する。具体的には、リアルタイムクロックICなどである。
【0017】
制御部120は、計測のタイミングの制御、受信データの蓄積、処理などを行う。加速度計測部122は、被験者の体動を示す体動データとして加速度データを計測し、データ変換を行う加速度センサである。具体的には、3軸方向の−2g〜2gの加速度を計測する。加速度計測部122は、加速度センサのアナログデータのゲイン、オフセットを調整回路で調整した後、10ビットA/D変換器でデジタル量に変換する。そして、変換後のデータを制御部120に向けて出力する。
【0018】
センサヘッド20は、光源202である緑LEDと受光部204であるフォトダイオードからなり、皮膚表面に光を照射し、毛細血管内の血流変化により変化する反射光の変動をフォトダイオードで捉える。
【0019】
脈波計測部124は、被験者の脈波データを計測し、データ変換をする。脈波計測部124は、脈波センサのフォトダイオードからの出力電流を電流電圧変換器で電圧に変換し、増幅器で電圧を増幅して、ハイパスフィルタ(カットオフ周波数:0.1Hz)とローパスフィルタ(カットオフ周波数:50Hz)を施した後、10ビットA/D変換器でデジタル量に変換する。そして、変換後の脈波データを制御部120に向けて出力する。光源駆動部126は、光源202として例えば青色LEDを使用する場合、これを駆動するための電圧供給部である。
【0020】
脈拍間隔算出部130は、脈波計測部124により得られた脈波データから脈波間隔を算出する。ここで、脈拍間隔とは、脈波の一周期の時間間隔である。具体的には、脈波計測部124が計測した脈波から一連の脈波データをサンプリングする。そして、サンプリングした一連の脈波データを時間微分して一連の脈波データの直流変動成分を得る。さらに一連の脈波データから直流変動成分を除去する。
【0021】
そして、直流変動成分を除去された一連の脈波データの処理ポイントを中心とした前後約1秒の脈波データの最大値と最小値を取得し、最大値と最小値との間の所定の値を脈波間隔閾値とする。間隔閾値としては、例えば最大値、最小値の差を振幅として、最小値から振幅の9割の値を用いるのが好ましい。さらに、直流変動成分を除去された一連の脈波データから閾値に一致する一連の脈波データの値が現れた時刻を算出し、算出された時刻の間隔を脈拍間隔とする。
【0022】
この脈拍間隔データは不等間隔データである。周波数解析を行うためには等間隔データに変換する必要がある。そこで、不等間隔の脈拍間隔データを補間、再サンプリングし、等間隔の脈拍間隔データを生成する。例えば、3次の多項式補間法によって補間する点の前後それぞれ3点のサンプリング点を用いて等間隔の脈拍間隔データを生成する。
【0023】
自律神経指標算出部132は、睡眠状態を判定する低周波数領域(0.05〜0.15Hz付近)の指標LFと高周波数領域(0.15〜0.4Hz付近)の指標HFという二つの自律神経指標を算出する。具体的には、図3に示すように、まず等間隔の脈拍間隔データを例えばFFT(Fast Fourier Transform)にて周波数スペクトル分布に変換する。次に、得られた周波数スペクトル分布より、LF,HFを得る。具体的には、複数のパワースペクトルのピーク値とピーク値を中心として前後等間隔の1点との3点の合計値の算術平均をとってLF、HFとする。
【0024】
なお、本実施の形態においては、データ処理の負担を軽減する観点から、周波数解析法としてFFT法を用いたが、他の例としては、ARモデル、最大エントロピー法、ウェーブレット法などを用いてもよい。
【0025】
脈拍偏差算出部134は、脈波計測部124により得られた脈波データのうち例えば1分間内における瞬間脈拍の偏差、すなわち脈波偏差を算出する。体動判定部136は、加速度計測部122から取得した3軸方向の加速度データを時間微分して3軸方向の加速度の微係数を求め、3軸方向の加速度のそれぞれの微係数の二乗和の平方根である体動データの変動量および脈拍間隔内の体動データの変動量の平均である体動量を求める。そして、体動量の変動量が所定の閾値より大きい場合に体動と判定する。例えば、所定の閾値として体動計に使用されている微小な体動の最小値である0.01Gを用いる。
【0026】
覚醒判定部138は、体動判定部136によって判定された体動の発生頻度が所定の閾値以上である場合に覚醒状態であると判定し、体動の発生頻度が所定の閾値未満である場合は睡眠状態であると判定する。
【0027】
具体的には、覚醒判定部138は、体動判定部136から体動の有無を取得し、設定区間にける体動発生頻度を計測する。ここで、設定区間としては例えば1分間が好ましい。そして、体動発生頻度が予め定めた閾値以上である場合に覚醒状態であると判定する。一方、体動発生頻度が閾値未満である場合は睡眠状態であると判定する。例えば、閾値としては、過去の覚醒時における体動頻度から20回/分を用いるのが好ましい。
【0028】
サイクル枠設定部140は、サイクル枠を設定する。サイクル枠は、例えば120分とする。サイクル枠は、睡眠の1サイクルが含まれる時間間隔である。サイクル枠には、睡眠の1サイクルが含まれるのが好ましい。睡眠の1サイクルは、90分から120分程度である。そこで、他の例としては、サイクル枠を90分に設定してもよい。このように、サイクル枠は、睡眠の1サイクルを含む時間枠であればよい。サイクル枠設定部140は、現在時刻を基準として、過去120分前までの時間枠をサイクル枠として設定する。
【0029】
図4に示すサイクル枠は、120分である。例えば、23時から自律神経指標の計測を開始したとする。この場合には、23時から継続して自律神経指標の計測が行われる。そして、1時になると、23時から1時までの120分が経過するので、この時間枠をサイクル枠として設定する。さらに、1時1分になると、23時1分から1時1分までの120分をサンプル枠として設定する。このように、サイクル枠設定部140は、例えば1分を設定間隔として、設定間隔おきにサンプル枠を設定してする。なお、設定間隔は、サンプル枠より短い間隔であればよい。さらに、設定間隔は、後述の継続性判定枠に比べて短い時間間隔であることが望ましい。
【0030】
睡眠状態判定部144は、自律神経指標算出部132により算出された自律神経指標LF,HFと、脈拍偏差算出部134により算出された脈拍偏差とに基づいて、自律神経の活動状態として睡眠状態を判定する。睡眠状態として、睡眠深度を判定する。ここで、睡眠深度とは、被験者の脳の活動状態の程度を示す指標である。本実施の形態においては、睡眠深度を3段階に分け、いずれの段階に該当するかを判定する。具体的には、深いノンレム睡眠、浅いノンレム睡眠およびレム睡眠の3段階のいずれに該当するかを判定する。
【0031】
睡眠制御部150は、睡眠状態に応じて、被験者に刺激を与えるタイミングを決定する。刺激付与部152は、睡眠制御部150により決定されたタイミングにおいて、所定の強度の刺激を被験者に与える。刺激付与部152は、例えば、スピーカである。この場合には、刺激付与部152は、所定の音量の音を発生する。また、他の例としては、刺激付与部152は、振動、光、匂い、酸素、電気のうちのいずれかまたはこれらの組み合わせを刺激として付与してもよい。
【0032】
睡眠深度は、自律神経指標と閾値との大小関係によって判別される。しかし、図5に示す例においては、時間の経過とともにレム睡眠およびノンレム睡眠のそれぞれに対応する自律神経指標の値が徐々に増加している。これは、サーカディアンリズムの影響によるものである。このように、自律神経指標のベース自体が増加している場合には、すべての自律神経指標を利用して睡眠深度を判定したのでは、判定誤差が生じる可能性が高い。
【0033】
また、自律神経の指標は、個人差の影響も受ける。このため、23時から5時までのすべての自律神経指標の値を利用すると、正確な睡眠状態を判別することができない場合がある。
【0034】
そこで、本実施の形態においては、サイクル枠内の自立神経指標のみを用いてこのサイクル枠内の各時刻における睡眠状態を判定している。これにより、サーカディアンリズムの影響等を排除し、より精度よく睡眠状態を判定することができる。
【0035】
生体は、一日を単位とした概日リズムを有している。すなわち、生体内部の体温である深部体温は、一日単位でなだらかに変動する。図6に示すように、深部体温は、睡眠中に極小点を持ち、起床に向けて上昇していく。また、図6に示すように、24時から6時までの深夜の睡眠は、睡眠リズムを有しており、おおよそ90分サイクルで睡眠深度が変動する。深夜の睡眠は、深いノンレム睡眠を伴い、熟睡を要する睡眠である。
【0036】
通常の夜の睡眠では、概日リズムの指標である深部体温は、入眠直後は下降する。そして、睡眠中に最小値をとり、起床時刻に向かって上昇する。図7に示すように、睡眠中、深部体温が下降傾向にある時間帯には、レム睡眠、浅いノンレム睡眠を経て深いノンレム睡眠が検出される。一方、深部体温が最小値まで下降した後で、上昇傾向にある時間帯においては、深いノンレム睡眠は検出されなくなり、浅いノンレム睡眠およびレム睡眠が検出されるようになる。
【0037】
睡眠状態のうち、深いノンレム睡眠は脳の睡眠と呼ばれる。これは脳が休んでいる状態である。レム睡眠は、身体の睡眠と呼ばれる。これは、身体が休んでいる状態である。浅いノンレム睡眠状態は、二つの睡眠状態の中間の睡眠深度となる状態である。浅いノンレム睡眠においては、脳がさらに睡眠をとるか、起きるかを迷っている状態であるといえる。実際、深部体温が最小値となる時刻における睡眠状態は、ほとんどの場合、浅いノンレム睡眠である。そして、浅いノンレム睡眠時に脳が十分な睡眠をとり身体状態を起きる方向へ向かわせようと判断したときに、概日リズムを変化させて深部体温を上昇傾向に変更していると考えられる。
【0038】
なお、深いノンレム睡眠は、睡眠深度として一般的に用いられる4段階の睡眠ステージにおける睡眠ステージ3,4に相当する。なお、浅いノンレム睡眠は、睡眠ステージ1,2に相当する。
【0039】
本実施の形態にかかる睡眠制御システム1は、被験者を快適に起床させるべく、図6および図7に示すような温度および睡眠状態を積極的に作り出すための処理を行う。例えば、入力部102が被験者からの開始指示を受け付けた場合に、図8に示す睡眠制御処理を開始する。また、他の例としては、予め設定された時刻になると睡眠制御処理を開始することとしてもよい。この場合には、入力部102を介して被験者により開始時刻が入力されているものとする。
【0040】
まず脈波計測部124による脈波計測および加速度計測部122による加速度計測を開始する(ステップS100)。覚醒判定部138は、体動の有無に基づいて、被験者が覚醒中であるか睡眠中であるかを判定する。睡眠中であると判定した場合、すなわち入眠が検出された場合には(ステップS102,Yes)、睡眠状態判定部144は、睡眠状態の判定を開始する(ステップS104)。さらに、睡眠制御部150は、深いノンレム睡眠の量の測定を開始する(ステップS106)。睡眠制御部150は、具体的には深いノンレム睡眠の総合摂取時間のカウントを開始する。例えば、記憶部106にカウンタを設け、深いノンレム睡眠と判定されるたびにカウンタをインクリメントする。
【0041】
睡眠状態判定部144が浅いノンレム睡眠を検出すると(ステップS108,Yes)、睡眠制御部150は、深いノンレム睡眠の量、すなわち摂取時間と予め定められた閾値とを比較する。ここで、閾値は、被験者が十分な睡眠が取れたと感じることのできる時間である。閾値は、予め被験者により入力され、記憶部106に記憶されているものとする。
【0042】
摂取時間が閾値よりも大きい場合には(ステップS110,Yes)、睡眠制御部150は、十分な深いノンレム睡眠が得られたと判断し、刺激付与部152に第1の刺激を付与するよう指示する。刺激付与部152は、この指示にしたがい被験者に第1の刺激を付与する(ステップS112)。ここで、第1の刺激の強度は、所定の閾値未満である。
【0043】
深いノンレム睡眠の摂取時間が閾値を越えた場合には、図7に示すよう深部体温が最小値を取る状態を超えたと判断することができる。そこで、このように、最小値を超えた場合には、第1の刺激を付与し、深いノンレム睡眠の状態に再び移行するのを防いでいる。なお、このような観点から、第1の刺激の強度は、被験者が深いノンレム睡眠に入るのを妨げる程度が好ましい。さらに、被験者が起床しない程度が好ましい。
【0044】
また、他の例としては、深いノンレム睡眠の摂取時間と比較する閾値は、被験者からの入力にかえて、これまでの被験者による計測結果に基づいて睡眠制御システム1において決定してもよい。具体的には、睡眠中に記憶部106に深いノンレム睡眠の摂取時間を記憶しておく。そして、目覚めが快適であったか否かを示す情報を被験者に入力してもらい、快適であったと申告のあったときの摂取時間から閾値を決定する。また、複数回行い摂取時間の平均値や最小値を閾値として決定してもよい。また、閾値は、被験者ごとに決定してもよく、被験者によらず一般的な値を定めてもよい。
【0045】
一方、ステップS110において、深いノンレム睡眠の量が閾値以下である場合にはあ(ステップS110,No)、ステップS108に戻る。まだ深部体温が最小値に達しておらず、深いノンレム睡眠の摂取量が不足していると考えられるためである。
【0046】
第1の刺激を付与した後は、睡眠制御部150は、レム睡眠を検索する。そして、レム睡眠を検出した場合には(ステップS114,Yes)、睡眠制御部150は、刺激付与部152に第2の刺激を付与するよう指示する。刺激付与部152は、この指示にしたが被験者に第2の刺激を付与する(ステップS116)。被験者が覚醒すると(ステップS118,Yes)、第2の刺激を終了し、睡眠制御処理が完了する。
【0047】
第2の刺激は、被験者を目覚めさせるための刺激である。したがって、第2の刺激の強度は、第1の刺激の強度より強いことが好ましい。なお、予め被験者の睡眠中に実験的に任意の強度の刺激を与えるなどして被験者に適した第1の刺激および第2の刺激の強度を設定しておくのが好ましい。なお、この際、各強度は、被験者ごとに設定してもよく、複数の被験者の平均から一般的な値として求めてもよい。
【0048】
レム睡眠は、睡眠深度が最も浅く、快適に目覚められることが知られている。したがって、このようにレム睡眠時に目覚まし動作を行うことにより、被験者を快適に目覚めさせることができる。
【0049】
図8に示すステップS104において開始した睡眠状態判定処理においては、図9に示すように、まず、サイクル枠設定部140は、サイクル枠を設定する(ステップS200)。本実施の形態においては、サイクル枠は、120分である。したがって、120分間分のデータに対し、ステップS202からステップS206の処理を行う。
【0050】
各検出時刻に対応付けて記憶部106に蓄積された自律神経指標データと、同一の検出時刻に対応付けて記憶部106蓄積された脈拍偏差とを平面座標に散布図プロットする(ステップS202)。このプロットに対応する検出時刻と同一の検出時刻に対応付けて記憶部106に蓄積された覚醒データがある場合には(ステップS204,Yes)、対応するプロットを散布図から削除する(ステップS206)。これにより、睡眠中のデータのみを対象として睡眠状態を判定することができる。したがって、より精度よく睡眠状態を判定することができる。
【0051】
なお、平面座標におけるx座標はLF/HF、y座標は脈拍偏差である。また、他の例としては、x座標をLF、y座標にHFとしてプロットしてもよい。
【0052】
サイクル枠内のすべてのデータを散布図にプロットするまでステップS202からステップS206までの処理を繰り返す(ステップS208,Yes)。本実施の形態においては、120個のデータを散布図にプロットするまで繰り返す。
【0053】
次に、散布図中のプロットをクラスタリングすることにより、睡眠状態を判定する。具体的には、まず、K−平均アルゴリズムを用いてプロットを3クラスタに分割する(ステップS210)。そして、クラスタの中心が原点に近い方のクラスタから順にクラスタIDを第1クラスタ、第2クラスタ、第3クラスタとする。なお、本実施の形態においては、データ処理の負担を軽減する観点から、クラスタリング手法としてK−平均法を用いたが、他の例としては、FCM法、エントロピー法などを用いてもよい。
【0054】
そして、散布図にプロットされた各データに対し、クラスタIDを付与する(ステップS214)。このとき、クラスタIDの付与されないデータに対しては、覚醒データである旨を示すクラスタIDを付与する(ステップS216)。次に、クラスタIDが付与されたデータを時系列にソートする(ステップS218)。
【0055】
時系列にソートされた各データに付与されたクラスタIDに基づいて、睡眠状態を判定する(ステップS220)。具体的には、第1クラスタに対応する検出時刻においては、深いノンレム睡眠と判定される。第2クラスタおよび第3クラスタに対応する検出時刻においては、それぞれ浅いノンレム睡眠およびレム睡眠と判定される。以上のように、クラスタリングを行うことにより、精度よく睡眠状態を判定することができる。
【0056】
なお、上述のように、120分のサイクル枠を1分の設定間隔おきに設定した場合には、所定の時刻が、複数のサイクル枠に含まれることになる。そして、サイクル枠ごとに同一の時刻に対して異なる判定結果が得られる可能性がある。リアルタイム性を重視する観点からは、対象となる時刻がサイクル枠のうちより遅い時刻になるようなサイクル枠を利用した処理により判定するのが望ましい。すなわち、任意の時刻が経過したときに、当該時刻をサイクル枠の後端とするサイクル枠における処理に基づいて、当該時刻の睡眠状態を判定する。
【0057】
なお、本実施の形態においては、クラスタリングにより睡眠状態を判定したが、他の例としては、深いノンレム睡眠、浅いノンレム睡眠およびレム睡眠のいずれであるかを判定する他の方法を用いても良い。例えば、所定の閾値と比較することにより睡眠状態を判定してもよい。
【0058】
図10に示すように、本体10は、ハードウェア構成として、本体10における睡眠制御処理を実行する睡眠制御プログラムなどが格納されているROM52と、ROM52内のプログラムに従って本体10の各部を制御するCPU51と、本体10の制御に必要な種々のデータを記憶するRAM53と、ネットワークに接続して通信を行う通信I/F57と、各部を接続するバス62とを備えている。
【0059】
先に述べた本体10における睡眠制御プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フロッピー(登録商標)ディスク(FD)、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0060】
この場合には、睡眠制御プログラムは、本体10において上記記録媒体から読み出して実行することにより主記憶装置上にロードされ、上記ソフトウェア構成で説明した各部が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0061】
また、本実施の形態の睡眠制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。
【0062】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることができる。
【0063】
そうした第1の変更例としては、本実施の形態においては、深いノンレム睡眠の量を計測することにより、図7に示すように深部体温が最小値をとるような状態になったかどうかを確認する。なお、他の例としては、深いノンレム睡眠の摂取時間をカウントするのに替えて、深いノンレム睡眠の状態になった回数をカウントしてもよい。
【0064】
また、第2の変更例としては、睡眠制御システム1は、被験者の就寝する室内に設けられた空調装置の制御可能であってもよい。この場合には、図8におけるステップS110において深いノンレム睡眠を十分に摂取するまでの間、室温を下げるなどして深いノンレム睡眠を摂取しやすい環境を整えてもよい。
【0065】
また、第3の変更例としては、脈波計測に基づく睡眠状態の判定にかえて、睡眠ポリグラフを利用し、睡眠ステージ1〜4を判別し、睡眠ステージ1,2を浅いノンレム睡眠、睡眠ステージ3,4を深いノンレム睡眠に対応させて睡眠制御を行ってもよい。このように、睡眠深度に応じた制御ができればよく、睡眠深度を算出するための指標は実施の形態に限定されるものではない。
【0066】
(実施の形態2)
図11に示すように、実施の形態2にかかる睡眠制御システム1においては、第1の刺激を付与し、さらに所定の時刻が経過した後に(ステップS120,Yes)、レム睡眠の検索を開始する。例えば、入力部102が被験者から起床希望時刻を取得し、記憶部106が起床希望時刻を記憶している場合には、この起床希望時刻から所定時間だけ前の時刻を所定の時刻とする。例えば、起床希望時刻から90分前を所定の時刻とする。これにより、起床希望時刻に近い時間帯であって、かつレム睡眠の状態になったときに目覚めさせることができる。したがって、被験者は希望の時刻において快適に目覚めることができる。なお、起床希望時刻を基準とした時間範囲であればよく、起床希望時刻の前後30分でもよく、起床希望時刻から所定時間だけ後の時刻でもよい。
【0067】
なお、実施の形態2にかかる睡眠制御システム1のこれ以外の構成および処理は、実施の形態1にかかる睡眠制御システム1の構成および処理と同様である。
【0068】
他の例としては、入力部102は、被験者から起床希望時刻にかえて、希望睡眠時間を取得してもよい。記憶部106が希望睡眠時間を記憶している場合には、入眠時刻にこの希望睡眠時間を足した時刻を起床希望時刻とし、この起床希望時刻から所定時間だけ前の時刻を所定の時刻としてもよい。
【0069】
(実施の形態3)
図12に示すように、実施の形態3にかかる睡眠制御システム1においては、刺激付与部152が被験者に第1の刺激を付与した後、睡眠制御部150は第1の刺激の有効性を確認する(ステップS130)。ステップS130においては、体動の有無に基づいて有効性を確認する。具体的には、図13に示すように、第1の刺激を付与した時刻t0を記憶部106に記憶する(ステップS140)。次に体動があった場合には(ステップS142,Yes)、第1の刺激が有効であったと判断する(ステップS144)。一方、体動がなく(ステップS142,No)、かつ現在時刻tが式(1)を満たす場合には(ステップS144,Yes)、第1の刺激は無効であったと判断する(ステップS148)。式(1)においては、Δtは、予め定められた時間である。Δtは、例えばK−複合が発生し体動が発生するまでの時間を仮定し、10秒と設定してもよい。

t−t0>Δt …(1)
【0070】
一方、ステップS146において、tが式(1)を満たさない場合には(ステップS146,No)、ステップS142に戻る。
【0071】
このように、実施の形態3にかかる睡眠制御システム1は、被験者に第1の刺激を与えるだけでなく、第1の刺激が被験者に有効に作用していることを確認するので、確実に深いノンレム睡眠から浅いノンレム睡眠やレム睡眠に誘導することができる。
【0072】
なお、実施の形態3にかかる睡眠制御システム1のこれ以外の構成および処理は、他の実施の形態にかかる睡眠制御システム1の構成および処理と同様である。
【0073】
(実施の形態4)
実施の形態4にかかる睡眠制御システム1は、実施の形態3にかかる睡眠制御システム1と同様に、第1の刺激の有効性を確認する。実施の形態4にかかる睡眠制御システム1は、深部体温に基づいて、有効性を確認する。図14に示すように、第1の刺激を付与した時刻t0と時刻t0における被験者の深部体温Ttを記憶部106に記憶する(ステップS150)。次に、深部体温Ttを現在時刻tにおける深部体温に更新する。さらに、現在時刻tから所定の時間だけ前の時刻における深部体温をT(t−1)にセットする(ステップS152)。
【0074】
Ttが式(2)を満たす場合、すなわち深部体温の微分成分が正の値である場合には(ステップS154,Yes)、第1の刺激は有効であると判断する(ステップS156)。

Tt−T(t−1)>0 …(2)
【0075】
一方、ステップS154において、Ttが式(2)を満たさず(ステップS154,No)、かつtが式(1)を満たす場合には(ステップS160,Yes)、第1の刺激は無効であると判断する(ステップS160)。なお、ステップS158において、tが式(1)を満たさない場合には(ステップS158,Yes)、ステップS152に戻る。
【0076】
このように、実施の形態4にかかる睡眠制御システム1は、実施の形態3にかかる睡眠制御システム1と同様に、第1の刺激が被験者に有効に作用していることを確認するので、確実に深いノンレム睡眠から浅いノンレム睡眠やレム睡眠に誘導することができる。
【0077】
なお、実施の形態4にかかる睡眠制御システム1のこれ以外の構成および処理は、他の実施の形態にかかる睡眠制御システム1の構成および処理と同様である。
【0078】
実施の形態4にかかる睡眠制御システム1においては、現在時刻tにおける深部体温Ttと、現在時刻から所定の時間だけ前の時刻における深部体温T(t−1)の微分成分に基づいて、第1の刺激の有効性を判断したが、これにかえて、現在時刻tにおける深部体温と、第1の刺激を付与した時刻t0における深部体温の微分成分に基づいて第1の刺激の有効性を判断してもよい。具体的には、現在時刻における深部体温から時刻t0における深部体温を減算した結果が0よりも大きい場合に第1の刺激は有効であると判断し、0以下である場合には第1の刺激は無効であると判断する。
【0079】
(実施の形態5)
実施の形態5にかかる睡眠制御システム1は、実施の形態3、4にかかる睡眠制御システム1と同様に、第1の刺激の有効性を確認する。実施の形態5にかかる睡眠制御システム1は、睡眠状態に基づいて有効性を確認する。図15に示すように、第1の刺激を付与した時刻t0を記憶部106に記憶する(ステップS170)。次に、睡眠状態判定部144による判定結果が深いノンレム睡眠か否かを確認する。深いノンレム睡眠が検出された場合には(ステップS172,Yes)、無効と判断する(ステップS174)。このように、第1の刺激を付与した後に再び深いノンレム睡眠が検出された場合には、第1の刺激は無効と判断する。
【0080】
一方、深いノンレム睡眠が検出されない場合、すなわち浅いノンレム睡眠またはレム睡眠が検出された場合、あるいは覚醒と判定された場合には(ステップS172,Yes)、現在時刻tが式(1)の関係を満たすか否か、すなわち第1の刺激から所定時間(Δt)が経過したか否かをさらに確認する。
【0081】
現在時刻tが式(1)を満たす場合には(ステップS176,Yes)、第1の刺激は有効であると判断する(ステップS178)。このように、深いノンレム睡眠に移行せずに一定期間が経過した場合には、第1の刺激は有効であったと判定することができる。現在時刻tが式(1)を満たさない場合には(ステップS176,No)、ステップS172に戻り睡眠状態の判定結果を確認する。
【0082】
なお、実施の形態5にかかる睡眠制御システム1のこれ以外の構成および処理は、他の実施の形態にかかる睡眠制御システム1の構成および処理と同様である。
【0083】
(実施の形態6)
実施の形態6にかかる睡眠制御システム1は、昼の睡眠、すなわち仮眠時における睡眠制御を行う。仮眠において心地よく目覚めるためには、深いノンレム睡眠状態に至らない程度の睡眠が適当である。図16に示すように、睡眠制御システム1は、まず、脈波および加速度の計測を開始し(ステップS300)、入眠が確認されると(ステップS302,Yes)、睡眠状態の判定を開始する(ステップS304)。以上の処理は、実施の形態1におけるステップS100からステップS104までの処理と同様である。
【0084】
睡眠制御部150は、深いノンレム睡眠の量の測定は行わず、浅いレム睡眠を検出する。浅いレム睡眠を検出した場合(ステップS306,Yes)、刺激付与部152は、第1の刺激を付与する(ステップS308)。これにより、深いノンレム睡眠に移行するのを防ぐ。
【0085】
睡眠制御部150が第1の刺激を付与した後に浅いノンレム睡眠を検出した場合には(ステップS310,Yes)、刺激付与部152は、第2の刺激を付与する(ステップS312)。被験者が覚醒すると(ステップS314,Yes)、第2の刺激を終了し、睡眠制御処理が完了する。昼の仮眠では、深いノンレム睡眠に至らない様に第一の刺激を行い、被験者は、浅いノンレム睡眠状態を保持する。このように深いノンレム睡眠を経験しない場合、被験者の睡眠深度は深くなろうとする一方で、レム睡眠状態になることは少ない。そのため、第2の刺激を与えるタイミングは、深夜の睡眠とは異なり、浅いノンレム睡眠のときに行う。
【0086】
なお、実施の形態6にかかる睡眠制御システム1のこれ以外の構成および処理は他の実施の形態にかかる睡眠制御システム1の構成および処理と同様である。
【0087】
そうした変更例としては、本実施の形態においても、実施の形態2にかかる睡眠制御システム1と同様、起床時刻や睡眠時間が設定されていてもよい。この場合には、睡眠制御部150は、起床時刻や睡眠時間に基づいて設定された所定の時刻が経過した後に、第2の刺激を付与するタイミングを決定すべく浅いノンレム睡眠の検出(ステップS310)を開始してもよい。
【0088】
また、第2の変更例としては、実施の形態3から5にかかる睡眠制御システム1と同様、第1の刺激を付与した後、第1の刺激の有効性を確認してもよい。
【0089】
(実施の形態7)
実施の形態7にかかる睡眠制御システム2は、昼夜ともに睡眠制御を行うことができる。図17に示すように実施の形態7にかかる睡眠制御システム2の本体12は、他の実施の形態にかかる本体10の機能構成に加え睡眠種別判定部154をさらに有している。
【0090】
睡眠種別判定部154は、睡眠種別を判定する。ここで、睡眠種別とは、昼の睡眠であるか夜の睡眠であるかの2通りである。入力部102に被験者より昼の睡眠または夜の睡眠である旨が入力され、睡眠種別判定部154は、この入力情報に基づいて睡眠種別を判定する。このように、被験者は、夜の睡眠を取る際には、十分な睡眠を取るべく深いノンレム睡眠まで移行するような睡眠制御である夜の睡眠の制御を指定することができる。さらに、仮眠を取る際には、比較的短時間で快適に目覚めるべく深いノンレム睡眠まで移行しないような昼の睡眠の睡眠制御を指定することができる。
【0091】
睡眠種別判定部154は、また入力部102が睡眠制御処理の開始指示を受け付けた時刻にしたがい睡眠種別を判定してもよい。例えば、20時から8時の間に開始指示を受け付けた場合には、夜の睡眠であると判定し、これ以外の時刻に開始指示を受け付けた場合には、昼の睡眠であると判定する。さらに、いずれの時間帯を夜の睡眠と判定するかは、被験者等により予め設定されていてもよい。
【0092】
図18に示すように、実施の形態7にかかる睡眠制御システム1は、睡眠制御処理において、まず脈波および加速度の計測を開始する(ステップS400)。次に、入眠が確認されると(ステップS402,Yes)、睡眠状態の判定を開始する(ステップS404)。ここまでの処理は、実施の形態1にかかる睡眠制御システム1によるステップS100からステップS104までの処理と同様である。
【0093】
次に、睡眠種別判定部154は、睡眠種別を判定する。夜の睡眠である場合には(ステップS406,Yes)、睡眠制御部150および刺激付与部152は、夜の睡眠のための処理を行う(ステップS408)。図19に示す夜の睡眠処理(ステップS408)における詳細な処理は、実施の形態1にかかるステップS106からステップS114までの処理と同様である。
【0094】
一方、昼の睡眠である場合には(ステップS406,No)、睡眠制御部150および刺激付与部152は、昼の睡眠のための処理を行う(ステップS410)。図20に示す昼の睡眠処理(ステップS410)における詳細な処理は、実施の形態6にかかるステップS306からステップS310までの処理と同様である。
【0095】
次に、第2の刺激を付与するタイミングであると判定されると、睡眠制御部150の指示に従い刺激付与部152は被験者に第2の刺激を付与する(ステップS412)。被験者が覚醒すると(ステップS414,Yes)、睡眠制御処理が完了する。
【0096】
以上のように、本実施の形態にかかる睡眠制御システム1は、睡眠種別を判定し、各種別に応じた睡眠制御を行うことができる。
【0097】
なお、実施の形態7にかかる睡眠制御システム2のこれ以外の構成および処理は、他の実施の形態にかかる睡眠制御システムの構成および処理と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】実施の形態1にかかる睡眠制御システム1の全体構成を示す図である。
【図2】図1に示す睡眠制御システム1の装着の一例を示す図である。
【図3】自律神経指標算出部132の処理を説明するための図である。
【図4】サイクル枠設定部140の処理を説明するための図である。
【図5】睡眠中に得られた自律神経指標を示す図である。
【図6】概日リズムを示す図である。
【図7】睡眠状態と深部体温の関係を示す図である。
【図8】睡眠制御システム1による睡眠制御処理を示すフローチャートである。
【図9】睡眠状態判定処理を示すフローチャートである。
【図10】実施の形態1にかかる本体10のハードウェア構成を示す図である。
【図11】実施の形態2にかかる睡眠制御システム1による睡眠制御処理を示すフローチャートである。
【図12】実施の形態3にかかる睡眠制御システム1による睡眠制御処理を示すフローチャートである。
【図13】有効性確認処理(ステップS130)を示すフローチャートである。
【図14】実施の形態4にかかる睡眠制御システム1における有効性確認処理を示すフローチャートである。
【図15】実施の形態5にかかる001における有効性確認処理を示すフローチャートである。
【図16】実施の形態6にかかる睡眠制御システム1による睡眠制御処理を示すフローチャートである。
【図17】実施の形態7にかかる睡眠制御システム1の全体構成を示すブロック図である。
【図18】実施の形態7にかかる睡眠制御システム1による睡眠制御処理を示すフローチャートである。
【図19】夜の睡眠処理(ステップS408)を示すフローチャートである。
【図20】昼の睡眠処理(ステップS410)を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0099】
1,2 睡眠制御システム
10,12 本体
20 センサヘッド
51 CPU
52 ROM
53 RAM
57 通信I/F
62 バス
102 入力部
104 表示部
106 記憶部
108 電源供給部
110 時計部
120 制御部
122 加速度計測部
124 脈波計測部
126 光源駆動部
130 脈拍間隔算出部
132 自律神経指標算出部
134 脈拍偏差算出部
136 体動判定部
138 覚醒判定部
140 サイクル枠設定部
144 睡眠状態判定部
150 睡眠制御部
152 刺激付与部
154 睡眠種別判定部
202 光源
204 受光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の生体情報を計測する計測手段と、
前記生体情報に基づいて、前記被験者の入眠、レム睡眠、浅いノンレム睡眠および深いノンレム睡眠のうちいずれの状態にあるか検出する第1検出手段と、
前記第1検出手段が浅いノンレム睡眠を検出した場合に、予め定めた閾値未満の刺激強度の第1の刺激を前記被験者に与える第1の刺激手段と、
前記第1の刺激手段が前記第1の刺激を与えた後に、前記第1の刺激よりも刺激強度の強い第2の刺激を前記被験者に与える第2の刺激手段と
を備えたことを特徴とする睡眠制御装置。
【請求項2】
前記第2の刺激手段は、前記レム睡眠が検出した場合に、前記第2の刺激を前記被験者に与えることを特徴とする請求項1に記載の睡眠制御装置。
【請求項3】
前記被験者の入眠からの経過時間をカウントするタイマをさらに備え、
前記第2の刺激手段は、前記第1の刺激手段が前記第1の刺激を与えた時から前記タイマが所定の時間をカウントした後に、前記第2の刺激を前記被験者に与えることを特徴とする請求項1または2に記載の睡眠制御装置。
【請求項4】
前記被験者の希望起床時刻を保持する保持手段をさらに備え、
前記第2の刺激手段は、前記タイマが前記希望起床時刻を基準とした所定の時間範囲内の時刻をカウントした後に前記第2の刺激を前記被験者に与えることを特徴とする請求項3に記載の睡眠制御装置。
【請求項5】
前記第1の刺激手段は、前記第1検出手段が深いノンレム睡眠を検出し、さらに当該深いノンレム睡眠の後に前記浅いノンレム睡眠を検出した場合に、前記第1の刺激を前記被験者に与えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の睡眠制御装置。
【請求項6】
前記第1の刺激手段は、前記第1検出手段が予め定められた時間以上深いノンレム睡眠を検出し、さらに当該深いノンレム睡眠の後に前記浅いノンレム睡眠を検出した場合に、前記第1の刺激を前記被験者に与えることを特徴とする請求項5に記載の睡眠制御装置。
【請求項7】
前記第1の刺激手段は、前記第1検出手段が予め定められた回数以上深いノンレム睡眠を検出し、さらに当該深いノンレム睡眠の後に前記浅いノンレム睡眠を検出した場合に、前記第1の刺激を前記被験者に与えることを特徴とする請求項5に記載の睡眠制御装置。
【請求項8】
前記第1の刺激手段が前記第1の刺激を与えた後に、前記被験者の体動の有無を検出する第2検出手段をさらに備え、
前記第1の刺激手段は、前記体動が検出されなかった場合に、再び前記第1の刺激を与えることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の睡眠制御装置。
【請求項9】
前記第2検出手段は、前記第1の刺激を与えてから所定の時間が経過した後に前記被験者の体動の有無を検出することを特徴とする請求項8に記載の睡眠制御装置。
【請求項10】
前記第1の刺激手段が前記第1の刺激を与えた後に、前記被験者の深部体温を検出する第3検出手段をさらに備え、
前記第1の刺激検出手段は、前記第1の刺激を与えた後所定の時間が経過するまでの間に前記深部体温が下降した場合に、再び前記第1の刺激を与えることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の睡眠制御装置。
【請求項11】
前記第1の刺激手段は、前記第1の刺激を与えた後所定の時間が経過するまでの間に深いノンレム睡眠が検出された場合に、再び前記第1の刺激を与えることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の睡眠制御装置。
【請求項12】
前記第1の刺激手段が前記第1の刺激を与えた後、前記第2の刺激手段は、前記浅いノンレム睡眠が検出された場合に、前記第2の刺激を前記被験者に与えることを特徴とする請求項1に記載の睡眠制御装置。
【請求項13】
前記被験者から、深いノンレム睡眠を摂取する第1の睡眠と深いノンレム睡眠を摂取しない第2の睡眠のいずれかの指定を受け付ける指定受付手段をさらに備え、
前記指定受付手段が前記第1の睡眠の指定を受け付けた場合、前記第2の刺激手段は、前記第1の刺激手段が前記第1の刺激を与えた後、前記第2の刺激を前記被験者に与えることを特徴とする請求項1に記載の睡眠制御装置。
【請求項14】
前記被験者から、深いノンレム睡眠を摂取する第1の睡眠と深いノンレム睡眠を摂取しない第2の睡眠のいずれかの指定を受け付ける指定受け付け手段をさらに備え、
前記指定受付手段が前記第2の睡眠の指定を受け付けた場合、前記第2の刺激手段は、前記第1の刺激手段が前記第1の刺激を与えた後、前記第2の刺激を前記被験者に与えることを特徴とする請求項1に記載の睡眠制御装置。
【請求項15】
被験者の生体情報を計測する計測ステップと、
前記生体情報に基づいて、前記被験者の入眠、レム睡眠、浅いノンレム睡眠および深いノンレム睡眠のうちいずれの状態にあるか検出する第1検出ステップと、
前記第1検出ステップにおいて浅いノンレム睡眠が検出された場合に、予め定めた閾値未満の刺激強度の第1の刺激を前記被験者に与える第1の刺激ステップと、
前記第1の刺激ステップにおいて前記第1の刺激が与えられた後に、前記第1の刺激よりも刺激強度の強い第2の刺激を前記被験者に与える第2の刺激ステップと
を有することを特徴とする睡眠制御方法。
【請求項16】
睡眠制御処理をコンピュータに実行させる睡眠制御プログラムであって、
被験者の生体情報を計測する計測ステップと、
前記生体情報に基づいて、前記被験者の入眠、レム睡眠、浅いノンレム睡眠および深いノンレム睡眠のうちいずれの状態にあるか検出する第1検出ステップと、
前記第1検出ステップにおいて浅いノンレム睡眠が検出された場合に、予め定めた閾値未満の刺激強度の第1の刺激を前記被験者に与える第1の刺激ステップと、
前記第1の刺激ステップにおいて前記第1の刺激が与えられた後に、前記第1の刺激よりも刺激強度の強い第2の刺激を前記被験者に与える第2の刺激ステップと
を有することを特徴とする睡眠制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−229248(P2008−229248A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−77072(P2007−77072)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】