説明

睡眠制御装置及び携帯端末装置

【課題】使用者が眠ろうとしていることを自動的に判別し、睡眠を促すことが可能な睡眠制御装置を提供する。
【解決手段】睡眠制御装置は、携帯電話機1等に組み込まれる。この睡眠制御装置は、睡眠を検出する脈拍センサ14等の睡眠検出手段と、周囲の明るさを検知する照度センサ15と、照度センサ15で検知された周囲の明るさが所定の明るさ以上で且つ睡眠検出手段で睡眠が検出されたとき、スピーカ11やバイブレータ16等で使用者に警告を行う警告手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、睡眠制御装置及び携帯端末装置に関し、より詳細には、居眠り防止及び/又は睡眠誘発を行う睡眠制御装置、及びそれを備えた携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、脈拍センサを用いて脈波・脈拍を測定しその変化により睡眠状態を判別する睡眠判別装置や、このような判別に基づき居眠りを防止する居眠り防止装置、同じくこのような判別に基づき睡眠を促す睡眠誘発装置が提案されている。
【0003】
睡眠状態の判定に関し、特許文献1には、室内の使用者の体動に基づいて睡眠状態(就寝状態)を判定し、その睡眠判定結果を室内の照度データにより補正する睡眠判定装置が開示されている。この睡眠判定装置によれば、室内の照度データを利用することで睡眠判定結果の誤差を抑制することができる。
【特許文献1】特開2007−202681号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年健康に対する関心が高まっている中、社会・技術の進歩により生活が夜型になっている人や不規則な生活を余儀なくされている人などが増加してきており、自動車の運転中や終電内等で不本意に寝てしまったり、寝つきが悪くなったりすることが発生している。
【0005】
このような問題に対し、上述した従来の居眠り防止装置や睡眠誘発装置では、使用者が意識的に居眠りしたくないときや就寝したいときに使用する必要があり、常時使用することや突然の眠気に対応することは困難である。なお、特許文献1に記載の睡眠判定装置は、睡眠判定を行う装置であり、このような問題を解決できるものではない。
【0006】
本発明は、上述の実状に鑑みてなされたものであり、使用者が不本意に寝てしまっていることを自動的に判別し、覚醒を促すことが可能な睡眠制御装置、及びそれを備えた携帯端末装置を提供することを、その目的とする。
【0007】
また、本発明は、使用者が不本意に寝てしまっていることや使用者が眠ろうとしていることを自動的に判別し、場面に応じて覚醒や睡眠を促すことが可能な睡眠制御装置、及びそれを備えた携帯端末装置を提供することを、他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、睡眠を検出する睡眠検出手段と、周囲の明るさを検知する照度センサと、前記照度センサで検知された周囲の明るさが所定の明るさ以上で且つ前記睡眠検出手段で睡眠が検出されたとき、使用者に警告を行う警告手段とを有することを特徴としたものである。
【0009】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、周囲の音を検知する音センサを有し、前記警告手段は、前記睡眠検出手段で睡眠が検出されたときで且つ前記音センサで検知された音が所定の大きさ以上のときには、前記照度センサで検知された周囲の明るさが前記所定の明るさ未満であっても使用者に警告を行うことを特徴としたものである。
【0010】
第3の技術手段は、第1又は第2の技術手段において、前記睡眠検出手段で睡眠が検出されていないときで、且つ前記照度センサで検知された周囲の明るさが前記所定の明るさ未満又は他の所定の明るさ未満のときに、睡眠を誘発する動作を行う睡眠誘発手段とを有することを特徴としたものである。
【0011】
第4の技術手段は、第3の技術手段において、周囲の音を検知する音センサを有し、前記睡眠誘発手段は、前記音センサで検知された音が所定の大きさ以上のときには、前記睡眠検出手段で睡眠が検出されなかったときで且つ前記照度センサで検知された周囲の明るさが前記所定の明るさ未満又は前記他の所定の明るさ未満であっても、睡眠を誘発する動作を行わないことを特徴としたものである。
【0012】
第5の技術手段は、第1〜第4のいずれかの技術手段における睡眠制御装置を備えた携帯端末装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一形態によれば、使用者が不本意に寝てしまっていることを自動的に判別し、警告手段により覚醒を促すことが可能になる。
【0014】
また、本発明の他の形態によれば、使用者が不本意に寝てしまっていることや使用者が眠ろうとしていることを自動的に判別し、場面に応じて警告手段で覚醒を促したり睡眠誘発手段で睡眠を促したりすることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係る睡眠制御装置は、睡眠を防止するための装置、又は睡眠を防止及び誘発するための装置である。睡眠を防止する機能のみをもつ睡眠制御装置は、睡眠防止装置、居眠り防止装置、又は睡眠警告装置と称することができる。また、睡眠制御装置は、睡眠を誘発する機能のみをもつ装置として提供することもでき、その場合、この睡眠制御装置は、睡眠誘発装置、睡眠導入装置、又は睡眠誘導装置と称することができる。
【0016】
以下、本発明に係る睡眠制御装置を携帯端末装置の一例である携帯電話機に組み込んだ例を挙げて説明するが、ベッドに組み込んだ睡眠誘導装置のようにベッドに組み込んでもよいし、腕時計、眼鏡、イヤホン等の他の装置に組み込んでもよいし、またこの睡眠制御装置単体として構成することもできる。また、携帯端末装置の他の例としては、PDA(Personal Digital Assistant)をはじめ、音声及び/又は動画を再生するポータブルプレーヤなどが挙げられる。また、本発明に係る携帯端末装置の形状は、以下の例に限定されるものではなく、例えば腕時計のような形状を採用してもよい。
【0017】
図1は、本発明に係る携帯電話機の一構成例を示す概観図で、図2は、図1で例示した携帯電話機の内部ブロック図である。図1で例示する携帯電話機1は、筺体を2つに折り畳むことが可能な折り畳み式の携帯電話機であり、図1では折り畳まずに開いた状態を示している。なお、本発明に係る睡眠制御装置を組み込み可能な携帯電話機としては、このような折り畳み式に限ったものではない。
【0018】
携帯電話機1は、音声信号を出力するスピーカ11、キー入力を行うキー入力部12、文字や画像といった各種情報を表示する表示部13、ユーザの脈拍を測定する脈拍センサ14、及び周囲の明るさを検知する照度センサ15を有する。制御部10は、脈拍センサ14で測定した脈拍データを所定の閾値又は所定の波形などと比較して、睡眠を検出、すなわち睡眠/非睡眠を判定する。
【0019】
本発明に係る睡眠制御装置を備えた携帯電話機1は、脈拍センサ14及びそのセンシング結果から睡眠/非睡眠を判定する制御部10で例示したように、ユーザの睡眠(睡眠の状態)を検出する睡眠検出手段を備える。
【0020】
睡眠検出手段の他の構成例としては、脈拍センサ14の代わりに、ユーザの体動の度合いや姿勢などを検知する体動センサを備え、体動の度合いや姿勢により制御部10が睡眠を検出してもよいし、脈拍センサ14と体動センサとを併設して双方のセンサ出力に基づき制御部10が睡眠を検出してもよいし、脳波センサや体温センサなどの他のセンサを用いて制御部10が睡眠を検出してもよい。なお、睡眠検出手段はセンサのみで構成してもよく、そのような構成では、センサ側で睡眠の検出までを行い、制御部10ではその結果を受けるだけとなる。後述する各実施形態では、この睡眠検出手段として脈拍センサ14及び制御部10を例に挙げて説明するが、他の構成でも同様である。
【0021】
図1の携帯電話機1は、上述の構成要素11〜14の他に、図2に例示するように、携帯電話機1の全体を制御する制御部10、携帯電話機1を振動させるためのバイブレータ16、周囲の音を検知する音センサ17、各種データ及び制御プログラムやアプリケーションプログラム等を記憶する記憶部18、及び、携帯電話の通信を制御し通信を実行する通信部(無線部)19を備える。
【0022】
図3は、本発明に係る携帯電話機の他の構成例を示す概観図である。図1で例示した携帯電話機1は、図3のように、脈拍センサ(脈拍センサ14aとして図示)を本体から分離させてユーザが装着できるようにしてもよい。センシング自体は別個でユーザが装着した脈拍センサ14a側で行い、そのセンシング結果を送信する送信部を脈拍センサ14aに設け、且つ本体側にそのセンシング結果(検知データ)を受信する受信部14bを設けておけばよい。この送信部と受信部14bとは、例えばBluetoothや赤外線等の無線通信によりデータの送受を可能に構成しておけばよい。
【0023】
図3で例示した携帯電話機1の内部構成は、図2の構成において脈拍センサ14の代わりに、受信部14bを備えたものとなる。また、脈拍センサ14だけでなく、照度センサ15及び/又は音センサ17も同様に携帯電話機本体から分離させて、ユーザが装着できる側に構成してもよい。また、照度センサ15及び/又は音センサ17は、携帯電話機本体から分離させ、且つユーザが装着しないように構成し、使用時に本体及び/又はユーザの近くに配置させてもよい。
【0024】
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態1に係る睡眠制御装置について、図1及び図2で例示した携帯電話機1に組み込んだ構成を前提として説明する。なお、図3で例示したような構成でもセンシングの位置が異なるだけで同様に適用できる。
【0025】
実施形態1の睡眠制御装置は、睡眠検出手段と、周囲の明るさを検知する照度センサ15と、次の警告手段とを有する。なお、周囲の明るさを検知するとは、周囲の照度を測定することを意味する。警告手段は、照度センサ15で検知された周囲の明るさが所定の明るさ以上で、且つ睡眠検出手段で睡眠が検出されたとき(この例では制御部10が脈拍センサ14からの脈拍データにより睡眠を検出したとき)のみ、使用者に警告を行う手段である。つまり、この警告手段は、上記所定の明るさ未満のときには睡眠を検出しても警告(報知)を行わない。
【0026】
この警告手段は、スピーカ11と、明るさの検知結果及び睡眠検出結果に基づき、スピーカ11から警告音を発するよう制御する制御部10とで例示できる。警告手段としては、警告動作をスピーカ11からの音で行う代わりに、バイブレータ16により振動させて報知する手段、表示部13に目立つ色の画像や色がフレーム毎に変わる動画などを画面表示して報知する手段、香り発生装置を設け刺激のある匂いにより報知する手段など、他の構成も採用できる。
【0027】
また、携帯電話機1の充電中はユーザの直近にないことが多いことから音で報知し、充電中でなければ振動で報知するなど、携帯電話機1の動作状態によって変化させてもよい。このように、携帯電話機1は、充電中か否かを例えば充電用の端子の短絡/非短絡などにより判定し、充電中の場合とそうでない場合とで居眠り防止動作を異ならせてもよく、また充電中の場合のみ或いは充電中でない場合のみ、居眠り防止動作を実行するようにしてもよい。
【0028】
図4は、本発明の実施形態1に係る睡眠制御装置における居眠り防止制御の一例を説明するためのフロー図である。警告手段として上述したスピーカ11及び制御部10を例に挙げ、図4を参照しながらその睡眠警告制御(居眠り防止制御)の一例を説明する。携帯電話機1は、常に睡眠制御装置が稼働しているか(すなわち居眠り防止制御を実行しているか)、或いは居眠り防止制御を行うモードに設定可能に構成しておく。後者の場合、以下の説明はそのモードがONされた状態の制御の説明に相当する。携帯電話機1は、居眠り防止制御中は、制御部10が常に脈拍センサ14から脈拍データを得るようにする。
【0029】
制御部10は、脈拍センサ14からの脈拍データにより睡眠/非睡眠を判定する(ステップS1)。ステップS1で睡眠を検知すると、制御部10は端末内の記憶部18に保持されている所定の居眠り防止照度値T0を読み出し(ステップS2)、照度センサ15を利用し周辺照度を測定して、その値B0の取得を行う(ステップS3)。ステップS2,S3の順序は問わない。ここで、平均的に必要とされる一般住宅の平均照度は75〜150ルクス程度と言われ、JISの照度基準では、寝室全般の照度は10〜30ルクスとなっている。そのため、居眠り防止照度値T0としては30〜100ルクス程度の値が好ましい。
【0030】
制御部10は、読み出した居眠り防止照度値T0と取得した周辺照度値B0との比較し(ステップS4)、B0≦T0であればステップS1へ戻る。一方、制御部10は、ステップS4でB0>T0であれば、つまり周辺照度がT0より明るいと判定した場合には、居眠り防止のための警告動作としてスピーカ11から警告音を発生させる(ステップS5)。周囲照度による判定を加えているため精度の高い居眠り防止制御を行うことができる。なお、ステップS2〜S4の処理後にステップS1の判定を実行してもよい。
【0031】
以上、実施形態1によれば、明るい時の居眠りを防ぐことが可能となり、使用者が不本意に寝てしまっていることを自動的に精度良く判別し、覚醒を促すことが可能になる。
【0032】
<実施形態2>
以下、本発明の実施形態2に係る睡眠制御装置について、図1及び図2で例示した携帯電話機1に組み込んだ構成を前提として説明する。なお、図3で例示したような構成でもセンシングの位置が異なるだけで同様に適用できる。
【0033】
実施形態2の睡眠制御装置は、上記睡眠検出手段と、照度センサ15と、次の睡眠誘発手段とを有する。睡眠誘発手段は、照度センサ15で検知された周囲の明るさが所定の明るさ未満のときで、且つ睡眠検出手段で睡眠が検出されていないとき(この例では制御部10が脈拍センサ14からの脈拍データにより睡眠を検出していないとき)のみ、睡眠を誘発する動作を行う。つまり、この睡眠誘発手段は、上記所定の明るさ以上のときには睡眠していなくても睡眠を誘発する動作を行わない。なお、睡眠誘発手段における閾値である所定の明るさは、実施形態1での所定の明るさと同じであっても異なっていてもよい。
【0034】
この睡眠誘発手段は、スピーカ11と、リラックスさせるような楽曲データ(BGMデータ)を記憶した記憶部18と、その楽曲データを読み出してスピーカ11で再生させる制御を行う制御部10とで例示できる。また、睡眠誘発動作をスピーカ11からの音で行う代わりに、表示部13に眠くなるような静止画像や動画像を画面表示する、香り発生装置を設け睡眠誘導効果のある香りを発生させる、睡眠を促すようなタイミングの振動をバイブレータ16で発生させるなどの例が挙げられる。
【0035】
また、携帯電話機1の充電中はユーザの直近にないことが多いことから音で睡眠誘発動作を行い、充電中でなければ音と振動で睡眠誘発動作を行うなど、携帯電話機1の動作状態によって変化させてもよい。このように、携帯電話機1は、充電中か否かを判定し、充電中の場合とそうでない場合とで睡眠誘発動作を異ならせてもよく、また充電中の場合のみ或いは充電中でない場合のみ、睡眠誘発動作を実行するようにしてもよい。
【0036】
また、室温や湿度を調整することにより、睡眠誘発動作を行ってもよい。その場合、携帯電話機1の赤外線通信機能等の無線機能を利用して、室内のエアーコンディショナーや加湿器を制御すればよい。なお、本発明の睡眠制御装置を、携帯電話機1ではなくエアコンや加湿器に搭載する場合には、通信が必要ないためそのまま室温や湿度を調整すればよい。
【0037】
図5は、本発明の実施形態2に係る睡眠制御装置における睡眠誘発制御の一例を説明するためのフロー図である。睡眠誘発手段として上述したスピーカ11、記憶部18、及び制御部10を例に挙げ、図5を参照しながらその睡眠誘発制御の一例を説明する。携帯電話機1は、常に睡眠制御装置が稼働しているか(すなわち常に睡眠誘発制御を実行しているか)、或いは睡眠誘発制御を行うモードに設定可能に構成しておく。後者の場合、以下の説明はそのモードがONされた状態の制御の説明に相当する。携帯電話機1は、睡眠誘発制御中は、制御部10が常に脈拍センサ14から脈拍データを得るようにする。
【0038】
制御部10は、脈拍センサ14からの脈拍データにより睡眠/非睡眠を判定する(ステップS11)。ステップS11で非睡眠(すなわち安定状態)を検知すると、制御部10は端末内の記憶部18に保持されている所定の睡眠誘発照度値T1を読み出し(ステップS12)、照度センサ15を利用し周辺照度を測定して、その値B1(上記値B0と同じ)の取得を行う(ステップS13)。ステップS12,S13の順序は問わない。ここで、上述したように、平均的に必要とされる一般住宅の平均照度は75〜150ルクス程度と言われ、JISの照度基準では、寝室全般の照度は10〜30ルクスとなっている。そのため、睡眠誘発照度値(居眠り防止照度値)T1としては30以下の値が好ましい。
【0039】
制御部10は、読み出した睡眠誘発照度値T1と取得した周辺照度値B1との比較し(ステップS14)、T1≦B1であればステップS11へ戻る。一方、制御部10は、ステップS14でT1>B1であれば、つまり周辺照度がT1より暗いと判定した場合には、睡眠を誘発する動作として、リラックスさせる楽曲データを記憶部18から読み出しスピーカ11で再生させる(ステップS15)。周囲照度による判定を加えているため精度の高い睡眠誘導制御を行うことができる。なお、ステップS12〜S14の処理後にステップS11の判定を実行してもよい。
【0040】
以上、実施形態2によれば、暗い時に眠りに落ちやすくすることが可能となり、使用者が眠ろうとしていることを自動的に精度良く判別し、睡眠を促すことが可能になる。
【0041】
<実施形態3>
図6は、本発明の実施形態3に係る睡眠制御装置における居眠り防止制御・睡眠誘発制御の一例を説明するためのフロー図である。以下、本発明の実施形態3に係る睡眠制御装置について、図1及び図2の携帯電話機1に組み込んだことを前提とし、図6を参照しながらその制御例を説明する。なお、図3で例示したような構成でもセンシングの位置が異なるだけで同様に適用できる。
【0042】
実施形態3の携帯電話機1は、睡眠検出手段及び照度センサを備えると共に、実施形態1の警告手段と実施形態2の睡眠誘発手段との双方を備えている。従って、実施形態3の睡眠制御装置は、上記警告手段及び睡眠誘発手段で説明したような実行条件により居眠り防止と睡眠導入とを切り替えることが可能となっている。
【0043】
警告手段として上述したスピーカ11及び制御部10を例に挙げ、睡眠誘発手段として上述したスピーカ11、記憶部18、及び制御部10を例に挙げて説明する。携帯電話機1は、常に睡眠制御装置が稼働しているか(すなわち常に睡眠警告制御及び睡眠誘発制御を実行しているか)、或いは睡眠警告制御又は睡眠誘発制御を行うモード(各制御共通のモードでもよい)に設定可能に構成しておく。後者の場合、以下の説明は双方のモードがONされた状態の制御の説明に相当する。携帯電話機1は、睡眠誘発制御中は、制御部10が常に脈拍センサ14から脈拍データを得るようにする。
【0044】
制御部10は、図4のステップS1と同様に睡眠/非睡眠を判定する(ステップS21)。ステップS21で睡眠を検知すると、制御部10は照度センサ15を利用し周辺照度を測定して、その値B2の取得を行い(ステップS22)、端末内の記憶部18に保持されている所定の居眠り防止照度値T2(T2=T0で構わない)を読み出す(ステップS23)。ステップS22,S23の順序は問わない。
【0045】
制御部10は、読み出した居眠り防止照度値T2と取得した周辺照度値B2との比較し(ステップS24)、ステップS4でB2>T2であれば、つまり周辺照度がT2より明るいと判定した場合には、居眠り防止のための警告動作としてスピーカ11から警告音を発生させる(ステップS27)。周囲照度による判定を加えているため精度の高い居眠り防止制御を行うことができる。なお、ステップS22〜S24の処理後にステップS21の判定を実行するなど、処理手順は適宜変更することができる。
【0046】
一方、ステップS24でB2≦T2であれば、制御部10は、充電中か否かを判定する(ステップS25)。ステップS25でNOの場合には、制御部10は、ステップS28以降の睡眠誘発制御を実行する。ステップS25でYESの場合には、使用者が在宅状態であると判断し、制御部10は、音センサ17から検知した周辺音量が所定の閾値より大きいか否かを判定する(ステップS26)。ステップS26で周辺音量が所定の閾値以下の場合には、制御部10は、ステップS28以降の睡眠誘発制御を実行する。ステップS26で周辺音量が所定の閾値より大きい場合には、制御部10は、周辺が暗くとも、使用者が在宅状態であり周辺音量が大きいため、テレビや音楽を消し忘れたまま睡眠状態となってしまったと判断し、ステップS27へ進んで居眠り防止動作を実行する。これにより、より精度の高い制御が可能になる。
【0047】
このように、本発明に係る睡眠制御装置は、周囲の音を検知する音センサ17を有し、所定音量より大きな音と判断された場合に居眠り防止動作を行うことが好ましい。なお、周囲の音を検知するとは、周囲の音の大きさ(音量)を測定することを意味する。そのため、上述の警告手段はステップS26の判定結果に基づく処理として説明したように警告を行う。すなわち、警告手段は、睡眠が検出されたときで且つ音センサ17で検知された音が所定の大きさ(音量)以上のときには、照度センサ15で検知された周囲の明るさが所定の明るさ未満であっても使用者に警告を行う。このような構成により、ユーザが睡眠を望んでいないことを高い精度で検出し、居眠り防止動作を行うことができる。また、このような警告手段は、睡眠誘発手段を備えない睡眠制御装置においても適用できる。
【0048】
ステップS28において、制御部10は、図5のステップS11と同様に睡眠/非睡眠を判定する。ステップS28で非睡眠(すなわち安定状態)を検知すると、制御部10は端末内の記憶部18に保持されている所定の睡眠誘発照度値T3(T3=T1で構わない)を読み出し(ステップS29)、ステップS22で取得した周辺照度値B2との比較し(ステップS30)、T3≦B2であればステップS21へ戻る。
【0049】
一方、制御部10は、ステップS30でT3>B2であれば、制御部10は、使用者が在宅中、外出中のいずれであるかの判断を行うため、充電中か否かを判定する(ステップS31)。ステップS31でYESの場合には、制御部10は、使用者が在宅中と判断し、睡眠を誘発する動作として、リラックスさせる楽曲データを記憶部18から読み出しスピーカ11で再生させる(ステップS33)。なお、ステップS28とステップS29,S30とステップS31との順序を入れ替えるなど、処理手順は適宜変更することができる。
【0050】
ステップS31でNOの場合には、制御部10は、使用者が外出中と判断し、音センサ17から検知した周辺音量が所定の閾値(ステップS26での閾値と同じでもそれより小さい閾値でもよい)より大きいか否かを判定する(ステップS32)。ステップS32で周辺音量が大きい場合(NOの場合)には、周辺が暗くとも使用者が睡眠するための場所ではないと判断し、ステップS21へ戻る。制御部10は、ステップS32で周辺音量が小さい場合のみステップS33へ進んで睡眠誘発動作を実行する。これにより、音量が大きい映画館などの外出先による暗い場所での誤作動等を抑えられ、より精度の高い制御が可能になる。
【0051】
このように、本発明に係る睡眠制御装置は、周囲の音を検知する音センサ17を有し、所定音量より小さな音と判断された場合に睡眠誘発動作を行うことが好ましい。そのため、上述の睡眠誘発手段はステップS32の判定結果に基づく処理として説明したように睡眠誘発を行う。すなわち、睡眠誘発手段は、音センサ17で検知された音が所定の大きさ(音量)以上のときには、睡眠が検出されなかったときで且つ照度センサ15で検知された周囲の明るさが所定の明るさ未満であっても、睡眠を誘発する動作を行わない。このような構成により、ユーザが睡眠を望んでいることを高い精度で検出し、睡眠を望んでないときには睡眠誘発動作を行わず、望んでいるときのみ睡眠誘発動作を行うことができる。また、このような睡眠誘発手段は、警告手段を備えない睡眠制御装置においても適用できる。
【0052】
また、上述した処理において、ステップS28での安定状態の検知とステップS21での睡眠の検知とは、使用する閾値等を同じにしてもよいが、使用する閾値等を異ならせて、安定状態ではなく睡眠でもないといった状態では睡眠誘発動作や居眠り防止動作を実行しないよう構成することが好ましい。なお、ステップS21〜S27の制御とステップS28〜S33の制御との順序を入れ替えた処理手順であっても構わない。但し、この場合、周辺照度値B2の取得はステップS28又はS29の後に実行するとよい。
【0053】
以上、実施形態3によれば、使用者が不本意に寝てしまっていることや使用者が眠ろうとしていることを自動的に判別し、場面に応じて覚醒や睡眠を促すこと、つまり明るい時の居眠りを防ぐこと且つ暗い時の眠りに落ちやすくすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る携帯電話機の一構成例を示す概観図である。
【図2】図1の携帯電話機の内部ブロック図である。
【図3】本発明に係る携帯電話機の他の構成例を示す概観図である。
【図4】本発明の実施形態1に係る睡眠制御装置における居眠り防止制御の一例を説明するためのフロー図である。
【図5】本発明の実施形態2に係る睡眠制御装置における睡眠誘発制御の一例を説明するためのフロー図である。
【図6】本発明の実施形態3に係る睡眠制御装置における居眠り防止制御・睡眠誘発制御の一例を説明するためのフロー図である。
【符号の説明】
【0055】
10…制御部、11…スピーカ、12…キー入力部、13…表示部、14,14a…脈拍センサ、14b…受信部、15…照度センサ、16…バイブレータ、17…音センサ、18…記憶部、19…無線部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
睡眠を検出する睡眠検出手段と、周囲の明るさを検知する照度センサと、前記照度センサで検知された周囲の明るさが所定の明るさ以上で且つ前記睡眠検出手段で睡眠が検出されたとき、使用者に警告を行う警告手段とを有することを特徴とする睡眠制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の睡眠制御装置において、周囲の音を検知する音センサを有し、前記警告手段は、前記睡眠検出手段で睡眠が検出されたときで且つ前記音センサで検知された音が所定の大きさ以上のときには、前記照度センサで検知された周囲の明るさが前記所定の明るさ未満であっても使用者に警告を行うことを特徴とする睡眠制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の睡眠制御装置において、前記睡眠検出手段で睡眠が検出されていないときで、且つ前記照度センサで検知された周囲の明るさが前記所定の明るさ未満又は他の所定の明るさ未満のときに、睡眠を誘発する動作を行う睡眠誘発手段とを有することを特徴とする睡眠制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の睡眠制御装置において、周囲の音を検知する音センサを有し、前記睡眠誘発手段は、前記音センサで検知された音が所定の大きさ以上のときには、前記睡眠検出手段で睡眠が検出されなかったときで且つ前記照度センサで検知された周囲の明るさが前記所定の明るさ未満又は前記他の所定の明るさ未満であっても、睡眠を誘発する動作を行わないことを特徴とする睡眠制御装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の睡眠制御装置を備えた携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−284998(P2009−284998A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−138831(P2008−138831)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】