説明

睡眠呼吸障害の治療に使用される持続的気道陽圧患者のインターフェース用の排気システム

【課題】あまりにも騒々しく、(特に加湿器と共に使用されるとき)汚物及び湿分で閉塞し、清掃かつ組み立てるのに扱い難く或いは困難で、製造工程の非常に小さな変化に対し敏感で、それが圧力と流量との関係の変化に繋がり得ることである。
【解決手段】マスク組立体に使用する排気部組立体は、第1の排気部と、第2の排気部と、患者からの吐き出しガスの流れを前記第1及び第2の排気部間で切り換えるための切換器と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、睡眠呼吸障害(Sleep Disordered Breathing)の治療に使用される持続的気道陽圧(Continuous Positive Airway Pressure)(CPAP)患者のインターフェース、例えば、マスクと共に使用される排気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
(優先権主張出願の相互参照)
本出願は、2003年11月25日に出願の米国特許仮出願第60/524728号、2004年1月26日に出願の米国特許仮出願第60/538507号、及び、2004年3月8日に出願の米国特許仮出願第60/550319号の優先権を主張し、それぞれの出願はその全体がこの参照によって組み込まれるものとする。
【0003】
「いびきの病気(snoring sickness)」を治療するための鼻CPAP装置の使用は、 Sullivan が先駆けとなって、特許文献1により教示された。鼻CPAP装置は通常、ブロア、空気供給導管、及び、患者インターフェースを含んでなる。このブロアは、陽圧で、空気又は呼吸に適したガスの供給を行う。導管はブロアと患者のインターフェースとを相互に接続する。様々な、鼻マスク、鼻及び口マスク、フルフェイスマスク、鼻プロング(nasal prong)及び鼻ピロー(nasal pillow)が、患者とのインターフェースをもたらすために使用される。
【0004】
典型的なマスクは、
(i)鼻を受ける空洞を規定する、シェル(shell)又はフレーム(frame)と呼ばれる剛性又は半剛性の部分と、
(ii)クッション又は膜と呼ばれる柔軟な患者接触部分と、を含んでなる。クッションはシリコン、発泡体、ゲル、及び、これらの材料の組合せから形成されてきた。
【0005】
患者は通常、彼らがそこから息を吸入するのと同じマスク空洞内に息を吐くので、二酸化炭素(CO)を再呼吸する可能性が存在する。新鮮な空気又は呼吸に適したガスの十分な連続流れと並行して、排気部がマスク空洞からの制御された漏れを可能にし、したがって、COの洗い流しがもたらされる。残念ながら、排気部からの空気又は呼吸に適したガスの騒音は、聞こえるところにいる人が眠ろうとしているのを妨げ得る。したがって、低騒音排気部を設けることに利点が存在する。
【0006】
知られた排気部の一形態は、特許文献2及び特許文献3に述べられている。これらの特許は、マスクのフレームにグロメットの使用について述べている。これらの特許の内容は、相互参照によって本明細書に組み込まれるものとする。これらの発明の実施形態による排気部は、ResMed Limited によって製造されるMIRAGE(商標)マスクに見られる。
【0007】
排気部の別の知られた形態は、特許文献4に述べられている。この特許出願は、滑らかな連続する表面に沿った排気部を有するマスク用の接続具の使用について述べている。この特許出願の内容は、相互参照によって本明細書に組み込まれるものとする。この発明の一実施形態による排気部は、ResMed Limited によって製造されるULTRA MIRAGE(商標)マスクに見られる。
【0008】
排気部の別の知られた形態は、特許文献5に述べられている。この特許は、一形態では、薄い空気透過性の膜を備える排気部の使用について述べている。この特許出願の内容は、相互参照によって本明細書に組み込まれるものとする。
【0009】
排気部の別の知られた形態は、特許文献6に述べられている。この特許出願は流量調節排気部の使用について述べている。この特許出願の内容は、相互参照によって本明細書に組み込まれるものとする。
【0010】
特許文献7は、排気弁装置について述べている。この特許出願の内容は、相互参照によって本明細書に組み込まれるものとする。
【0011】
別の知られた排気部は、Respironics WHISPER swivel である。
【0012】
特許文献8は、多孔質の焼結材料から形成される排気部を開示する。
【0013】
Gottleib weinmann Gerate Fur Medizin Und Arbeitsschutz GmbH and Co. によって製造される知られた排気部は、使用時にはマスクシェルとガス導管の間に置かれる全体的に円筒状の挿入体を含んでなる。この挿入体は、約3〜4mmの厚さの多孔質焼結材料で覆われた窓を備えている。
【0014】
マスクシェルと呼吸に適したガス供給導管の間に挿入することが意図された排気部の別の型式は、Draeger medizintechnik GmbH による E-Vent N(Draeger vent)である。この Draeger vent は、それを通りガスが流れるためのスロットをそれらの隣接する表面に有する、21枚の環状ディスクの積み重ねを含んでなる。各スロットは、排気部の内側から大気への通路に沿って測定される5から7mmの長さを有する。
【0015】
排気部は通常、適切なCOの洗い流しを保証するために低い圧力(例えば、4cmHO)で十分な排気流をもたらすように十分な多孔度を有して設計されている。
【0016】
排気部の孔寸法を小さくすることは排気をより静かにするが、排気部が閉塞する機会も増加させ得る。
【0017】
従来技術の排気部の問題は、それらがあまりにも騒々しく、(特に加湿器と共に使用されるとき)汚物及び湿分で閉塞し、清掃かつ組み立てるのに扱い難く或いは困難で、製造工程の非常に小さな変化に対し敏感で、それが圧力と流量との関係の変化に繋がり得ることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第4944310号明細書
【特許文献2】米国特許第6561190号明細書
【特許文献3】米国特許第6561191号明細書
【特許文献4】国際公開第WO00/078381号パンフレット
【特許文献5】米国特許第6581594号明細書
【特許文献6】国際公開第WO02/051486号パンフレット
【特許文献7】米国特許第6557555号明細書
【特許文献8】欧州特許第0697225号明細書
【特許文献9】国際公開第WO04/022147号パンフレット
【特許文献10】国際公開第WO02/066105号パンフレット
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の第1の態様によれば、CPAP患者インターフェース用の排気部が提供される。
【0020】
本発明の第2の態様によれば、それぞれ実質的に同じ圧力・流量特性を有する少なくとも2つの代替排気部を含んでなる排気部組立体が提供される。
【0021】
本発明の第3の態様によれば、それぞれ異なる圧力・流量特性を有する少なくとも2つの代替排気部を含んでなる排気部組立体が提供される。
【0022】
本発明の別の態様によれば、少なくとも2つの代替排気部と、少なくとも一方の排気部を排気位置に支持するようになされた取付け部と、を含んでなる排気部組立体が提供される。
【0023】
本発明の別の態様によれば、少なくとも2つの代替排気部と、少なくとも一方の排気部を排気位置に支持するようになされた取付け部と、前記少なくとも一方の排気部を排気位置に保持するようになされた固定機構と、を含んでなる排気部組立体が提供される。
【0024】
本発明の更に別の態様によれば、フレーム、このフレームに設けられるクッション、及び、第1の排気部と第2の排気部と患者から吐き出されたガスの流れをこの第1と第2の排気部間で切り換えるための切換器とを備えた排気部組立体を含んでなる患者用のマスク組立体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】従来技術のブロア、空気供給導管及び患者インターフェースの概略図である。
【図2】旋回式エルボを有する関連技術のマスクの図である。
【図3】旋回式エルボを有する、患者の顔上の所定の位置にある関連技術の患者インターフェースの断面図である。
【図4a】本発明の第1の実施形態による、旋回部の側面図、断面図及び詳細図である。
【図4b】本発明の第1の実施形態による、旋回部の側面図、断面図及び詳細図である。
【図4c】本発明の第1の実施形態による、旋回部の側面図、断面図及び詳細図である。
【図5a】本発明の第1の実施形態による旋回部の、3つの位置にある図である。
【図5b】本発明の第1の実施形態による旋回部の、3つの位置にある図である。
【図5c】本発明の第1の実施形態による旋回部の、3つの位置にある図である。
【図6】本発明の第2の実施形態による旋回式エルボの分解斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施形態による旋回式エルボ組立体の、「粗い」孔位置にある排気部を有する図である。
【図8】本発明の第2の実施形態による旋回式エルボ組立体の、「細かい」孔位置にある排気部を有する図である。
【図9】本発明の第2の実施形態による旋回式エルボスリーブの図である。
【図10】RESMED ULTRA MIRAGEマスクに使用するのに適した、本発明の別の実施形態による旋回式エルボ組立体の図である。
【図11a】本発明の一実施形態による摺動式排気部組立体の図である。
【図11b】本発明の一実施形態による摺動式排気部組立体の図である。
【図12】図11aの排気部組立体の別の図である。
【図13】図11aの排気部組立体の図面である。
【図14】図11aの排気部組立体の代替の図である。
【図15】本発明の第1の実施形態による排気部組立体を有する、旋回式エルボの前面図である。
【図16】本発明の第1の実施形態による排気部組立体を有する、旋回式エルボの側面図である。
【図17】マスクフレーム及び本発明の第1の実施形態による排気部組立体を有する旋回式エルボを含む組立体の前面図である。
【図18】図17の組立体の側面図である。
【図19】図17の組立体の斜視図である。
【図20】排気部位置の視覚式、触覚式かつ聴覚式フィードバックを組み込んだ、本発明の一実施形態の図である。
【図21】電気抵抗センサを組み込んだ本発明の一実施形態の図である。
【図22】1組のより大きな孔を露出する摺動可能な排気部カバーを有する本発明の一実施形態の図である。
【図23】1組のより小さな孔を露出する摺動可能な排気部カバーを有する本発明の一実施形態の図である。
【図23a】本発明の更に別の実施形態の図である。
【図23b】本発明の更に別の実施形態の図である。
【図23c】本発明の更に別の実施形態の図である。
【図24】蝶番で繋がれた排気部カバーを有する本発明の一実施形態の図である。
【図25a】回転式排気部カバーを組み込んだ本発明の代替実施形態の図である。
【図25b】回転式排気部カバーを組み込んだ本発明の代替実施形態の図である。
【図25c】本発明の別の代替実施形態の図である。
【図25d】本発明の別の代替実施形態の図である。
【図25e】本発明の別の代替実施形態の図である。
【図25f】本発明の更に別の実施形態の図である。
【図25g】本発明の更に別の実施形態の図である。
【図26】本発明のカートリッジ形式の実施形態の分解図である。
【図27a】本発明のカートリッジ形式の実施形態の2つの異なる位置にある図である。
【図27b】本発明のカートリッジ形式の実施形態の2つの異なる位置にある図である。
【図28a】本発明の更に別の実施形態の図である。
【図28b】本発明の更に別の実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、空気供給導管20に接続されたブロア(blower)10及び患者インターフェース30に接続された空気供給導管20を示す。図1では、患者インターフェース30は鼻マスクである。この患者インターフェース30は、排気部40を含む。この排気部40は、1つ又は複数の孔、例えば、6個の孔50を含む。
【0027】
図2は代替の鼻マスクMIRAGE(登録商標)ACTIVA(商標)鼻マスクである。このマスクは、旋回式エルボ(elbow)60を含む。この旋回式エルボは、特許文献9に更に詳細に述べられており、その内容は相互参照によって本明細書に組み込まれるものとする。この旋回式エルボ60は、それを通るいくつかの孔50を有する排気部カバー70を含む。
【0028】
図3は、患者80の顔の上の所定の位置にある患者インターフェース30の断面を示す。旋回式エルボ60は取り外され、患者インターフェース30の前に示されている。患者80がその中に鼻で息を吐き出すことができる空洞90は、エルボ60に含まれる排気部40を通り二酸化炭素が洗い流されなければ、二酸化炭素を蓄積することができる。
【0029】
本発明の第1の実施形態では、排気部組立体は2つの代替の排気部、図4a〜図5cに示す排気部a及び排気部bが設けられている。排気部a及び排気部bはどちらもほぼ同じ全体流量をもたらす。排気部aは比較的少ない大きな排気孔を備えるが、一方排気部bは比較的小さな穴(例えば、直径0.5mm以下、好ましくは直径で約0.1mm)の行列を備える。排気部aと排気部bの選択は、小さな孔又は大きな孔のどちらかが合せ面上のオリフィス(orifice)とぴったり合うようにカバーを回転又は摺動させることによって行われる。
【0030】
図4a及び図4bに分解図で示すように、本発明の一実施形態による排気部組立体90は、全体的に円筒状の第1の部分100及び全体的に円筒状のスリーブ部分110を備える。この第1の部分100は、オリフィス又は窓102を含む。このスリーブ部分110は、一実施形態では、それぞれ排気部a及び排気部bに対応する孔の代替の2つのセットを含む。排気部aは3個の大きな孔を使用する。排気部bは一連のより小さな孔を使用する。使用時には、このスリーブ部分110は第1の部分100の端部上に回転式に嵌合する。他の実施形態ではスリーブはより少ない角度しか回転することができないが、図4aに示す本発明の実施形態では、このスリーブは図5a〜図5cで矢印によって示されるように180°にわたり自由に回転する。図4a及び図4bに示すように、第1の部分100及びスリーブ部分110のどちらも中空であり、それによって空気は、第1の部分100の内部の間を通り、窓102を通過しそこから排気孔a又はbのどちらかを通過することができる。図4cは小さな孔を有する排気部の詳細を示す。
【0031】
本発明の第2の実施形態では、排気部組立体は、図6〜図9に示すように、旋回式エルボ120、例えば、ResMed Limited によって製造されるMIRAGE(登録商標)VESTA(商標)マスクに使用される旋回式エルボの一部として形成される。このエルボ120は、その中にオリフィス132を有する軸130を含む。この軸130は、整列タブ(alignment tab)134を含む。スリーブ140は、各1つが1つの排気部と関連し、それぞれ軸の整列タブを受けるようになされた1対の代替の排気部142、144及び1対のスロット146、148を含む。使用時には、軸130のオリフィス132は排気部142又は144のどちらかと整列する。1つの排気部から別の排気部に変更するために、この排気部組立体は引き離され、180°回転され再組み立てされる。この方法で、排気部142又は144の少なくとも一方が、そして1つのみが一度に使用される。
【0032】
本発明の第3の実施形態では、この排気部組立体は移動部分を含む。この移動部分は、1つの部分上の突起部を対応する部分上のくぼみと一致させることによって2つの位置のそれぞれに配置することができる。別法として、この2つの位置は、適切な位置決め構造物、例えば、戻り止め、ラッチ等を使用することによって簡単に規定することができる。排気部組立体がこの2つの排気位置の間の途中にあるとき、この突起部は、排気空気流が2つの正しい位置のどちらよりも大きくなるように、この一致部分を分離させるように働くことができる。これは、誤った位置が高空気流(安全な状態)及び同様に(使用者に間違いを警告する)より高い騒音に結果としてなるフェイルセーフ機構をもたらす。一般的に言ってこの組立体は、排気部が誤って整列されるとき、警告、例えば騒音が作り出されるように構成することができる。
【0033】
典型的な排気部はいくつかの排気孔を備える。例えば、直径2.7mmを有する3個の排気孔である。排気孔の有効面積は、一般に排気孔の実際の断面積より小さい。小さな孔は大きな孔より比較的小さな、例えば、約10%小さな有効面積を有する。排気部の有効面積は、その構成要素の排気孔の有効面積の和である。一形態では、この代替の排気部は同じ有効面積を有する。
【0034】
本発明の別の実施形態では、代替の排気部構造が孔を使用する代わりに使用される。例えば、排気部a及び排気部bは、ULTRA MIRAGE(登録商標)マスクで使用されるような、層流要素である。別の形態では、排気部を構成するのに焼結材料が使用される。別の形態では、排気部は発泡高分子から形成される。異なる排気部の組合せ、例えば、孔を有する排気部と焼結材料から構成される排気部を使用することができる。この組立体は2つより多くの排気部、例えば、孔を有する排気部、焼結排気部及び層流要素型式の排気部を備え得る。
【0035】
例えば、臨床研究などのある場合には、特定の治療法、又はマスクの有効性を試験し、それを適切な対照と比較することが望ましい。例えば、鼻CPAP治療を行うためのアルゴリズムの有効性を試験することが望ましい場合がある。そのような状況では、マスクそれ自体を着用する効果を度外視することができるのが望ましいであろう。これは「偽の(sham)」マスク、例えば、非常に大きな排気孔を有するマスクを使用することによって達成することができる。偽のマスクの一例は、特許文献10に教示されている。専用の「偽の」マスクを使用することの難しさは、患者が偽のマスクを使用していることに気付き得ること、或いはそのようなマスクを着用するために彼らの睡眠を妨げることが必要になり得ることである。
【0036】
この排気部組立体は、代替として偽の排気部を含み得る。そのような偽の排気部は、非常に高い透過性、例えば、大きな孔を有するであろう。本発明の使用によって、眠っている患者に対する最小限の妨げしか有さずに、臨床医が「治療」排気部から「偽の」排気部に切り換えることが可能になり、したがって、臨床研究のより明瞭な結果を得ることが可能になるであろう。
【0037】
好ましい形態では、異なる複数の排気部が代替であるが、一形態では1個以上の排気部、例えば、1/2排気部a及び1/2排気部bを一度に使用することができる。
【0038】
排気孔を備える排気部では、排気部内の孔の数を増加又は減少させることによって、排気流量を任意の所望のレベルに設定することができる。この方法で、本発明による排気部組立体は、孔を有する排気部を使用する従来技術のマスクを模擬する圧力流量特性を有するように設計し得る。
【0039】
例えば、ポリカーボネイト(例えば、MAKROLON)、又は他のポリエステル、ステンレス鋼、焼結セラミックス又はPTFE、及び、発泡高分子などの様々な材料を排気部組立体を構成するのに使用し得る。小さな孔の排気部用にPTFEなどの疎水性の材料を使用することは、孔の閉塞を減少させるために特に有利であり得る。
【0040】
代替の形態では、旋回式エルボに取り付ける代わりに、本発明の一実施形態による排気部組立体200が、患者のインターフェースフレーム210上に、又はその一部として取り付けられる。図11a〜図14は、全体的に長方形のバックボーン230に相互接続された2つの全体的に円筒形の端部部分220を備える患者インターフェース用のフレームを示す。クリップ240が摺動可能にこのバックボーン230上に配置される。このクリップ240は、少なくとも2つの代替排気部250、260を含む。オリフィス又は窓102と同様な、バックボーン230の1つ又は複数のオリフィス又は窓は、患者インターフェースの内部との流体連通をもたらす。別法として排気部250又は260をオリフィスと位置合せするようにクリップ240を摺動させることによって、吐き出された空気を排気部250又は260を介して排気することができる。図11aは、排気部260がバックボーン内のオリフィスと位置合せし、1つ又は両方の排気部250がシールされる第1の位置にあるクリップ240を示す。図11bは、1つ又は両方の排気部250がバックボーン内のそれぞれのオリフィスと位置合せし、排気部260がシールされる第2の位置にあるクリップ240を示す。
【0041】
図22及び図23は鼻マスク300での本発明の代替実施形態を示す。本発明のこの形態は、第1の位置305では1組の大きな排気孔320を露出し、第2の位置315では1組の小さな排気孔330を露出する、摺動可能な排気部カバー310を含む。一形態では、この大きな、かつ小さな排気孔は、特許文献2及び特許文献3と同様な方法で、マスクフレーム内に脱着可能に挿入可能なシリコングロメット325内に成型される。孔が露出されるとき、マスクの内部とマスクの外部の間の空気通路をそれを通り実現させることができる。
【0042】
図23aは、シェル702及びシェル702に取り付けられた又はその他の方法でシェルに設けられたクッションを伴うマスク組立体700を有する本発明の別の実施形態を示す。このシェル702は、シェル702及びクッションによって規定される内部チャンバに圧力の掛かった呼吸に適したガスが供給される開き口706を含む。別法として、旋回式エルボをシェル702の前面開き口に設けることができ、その場合は、このエルボは呼吸に適したガスをガス源から前面開き口に供給する導管を含むであろう。
【0043】
このシェル702は、この場合は容易に見ることができるようにするため長方形の形状で形成される少なくとも一方の開き口708を含む。この開き口708は、例えば、CPAP又はNIPPV治療の適用中、連続的にCOを排気するように構成される。この摺動可能な排気プレート710は、開き口708と(矢印Aの方向に沿って摺動させることを介して)選択的に整列することができる第1、第2及び第3の開き口部分712、714、716を含む。図23aに示すように、第2の開き口部分714がシェル開き口708と整列し、一方図23bは、第3の開き口部分716がシェル開き口708と整列する移された位置にあるプレート710を示す。したがって、臨床医又は患者は、マスクの排気特性を変更することができる。
【0044】
図23aの概略部分断面図である図23cに示すように、この排気プレート710は、開放可能なようにシェル702によって保持することができる。例えば、このシェル702は、プレート710の脚部分710aが摺動的に係合することができる溝702bをそれぞれ形成する1対の脚702aを含むことができる。
【0045】
図24は、鼻マスク400での本発明の代替形態を示す。本発明のこの形態は、蝶番で繋がれた排気部カバー410を含む。図24に示す形態では、この排気部カバーは全体的に長方形であり、一方が蝶番で繋がれている。図22及び図23に示す排気部組立体と同様に、図24の孔は、脱着可能に挿入可能なグロメット(grommet)425内に成型することができる。この排気部カバー410は、代替的に小さな排気孔430の組及び大きな排気孔420の組を遮断することができる。
【0046】
図25a及び図25bは、排気エルボ上の第1及び第2の位置それぞれに回転排気部カバー510を組み込んだ本発明の一実施形態500を示す。この排気部カバー510は、それを通る窓525を有する全体的に円板上の形状である。この排気部カバー510を例えば120°回転させることによって、異なった組の孔が露出される。図25aでは、1組の大きな孔520が露出されている。図25bでは、1組の小さな孔530が露出されている。孔520、530のそれぞれの組はマスクの内部と連通する導管を備える。代替の形態(図示せず)では、回転可能な排気部カバーは異なった孔の組を含み、かつ排気部カバーが取り付けられる固定した位置の窓がある。排気部カバーを回転させることによって、この窓に異なった組の排気孔が与えられ、結果として異なる排気特性となる。
【0047】
図25c〜図25eは、本発明の更に別の実施形態を示す。図25cの組み立てられた図に示すように、フレーム800は、フレーム800に対して回転することができる旋回式エルボ802を含む。この旋回式エルボの後端部803は、フレーム800に連結又は設けられ、一方下側端部805は、圧力の掛かった空気又は他の呼吸に適したガス源に接続される。排気部組立体806をエルボ802の前面部分に設けることができる。
【0048】
図25dは、排気部組立体806のないフレーム800及びエルボ802を示す。エルボ802の前面部分807は、図7に示すものと同様であり、CO2を大気に連続的に排気する排気開口部809を含む。図7の場合は、排気される空気は最初にエルボの前面部分を覆うように設けられた排気部カバー70に向けられ(図2参照)、次いで排気される空気は1つ又は複数の開き口50を介して大気に向けられる。
【0049】
図25dに示すように、空気がそこを通過することができないように、少なくとも一部分810は閉じられ又は遮断されている。したがって、排気される空気は排気開口部809を含むエルボの部分を唯一通過するように向けられる。空気が開口部809を通り排気された後、それは排気部組立体806に向けられる。特にこの排気は、図25cに示すように、第1の排気部部分812又は第2の排気部部分814のどちらかに選択的に向けることができる。
【0050】
第1の排気部部分812は、図2の排気部カバーに似たものとすることができ、エルボ802の前面部分807に設けられたリップ813に嵌合して覆うように伸張されるゴム弾性の材料で作ることができる。この第1の排気部部分812は、吐き出されたガスを排気するために1つ又は複数の開き口816を含み得る。第1の排気部部分812は、図2の排気部カバーと異なり、エルボ802に対して回転し得る。回転によって、使用者又は臨床医は、排気されるガスが第1又は第2の排気部部分812、814に向けられるかどうか選択することができる。
【0051】
図25eは、排気部組立体806を分離して示す。排気部組立体806は、エルボ802の前面部分に配置されるリム813と係合するようになされた開口部818を含む。排気部組立体は、第2の排気部部分814を第1の排気部部分812と連通するチャンバ822から部分的に分割する内壁部材820を含む。チャンバ822及び第2の排気部部分814は、エルボ802に対する排気部組立体806の相対的な位置に応じて、内部開き口824を介して互いに連通し得る。
【0052】
例えば、内壁部材820がエルボ802の遮断された部分810と整列し(図25d)、開き口824が開き口809と位置合せされるように、排気部組立体を回転させた場合には、排気されるガスを第2の排気部部分814を通るように向けることができる。この位置では、排気の一部分も第1の排気部部分812を通り排気させることができる。開き口824が遮断された部分810と整列する場合は、排気される空気は第1の排気部部分810にもっぱら向けられるであろう。この遮断された部分810は、開き口824に対して空気密閉シールを容易に形成することができる弾性材料を含み得ることが好ましい。
【0053】
第2の排気部部分808は、騒音及び/又は交差感染の可能性を減少させるために、発泡体815で満たすことができる円筒の形態としてもよい。発泡体の代替として、セラミック材料又はGORE−TEX(登録商標)を使用することができる。
【0054】
図25f及び図25gは、例えば、図25dに示すフレーム及びエルボと共に使用するようになされた更に別の排気部組立体830を示す。排気部組立体は、図25cに示す第1の排気部部分と似た第1の排気部部分832(図25g)を含む。排気部組立体830は、複数の開き口836を含む第2の排気部部分834を含む。排気される空気は、内壁部材838がエルボ802の開き口809又は遮断された部分810と選択的に整列する(図25d)、エルボと比べた排気部組立体の相対的な回転位置に応じて、第1又は第2の排気部部分に選択的に向けられる。図25fで、第2の排気部部分834を開き口840を通して見ることができる。図25fはリム813(図25d)と係合するようになされた開口部842も示す。この排気部組立体830は図25eに示す排気部組立体よりコンパクトである。
【0055】
図26、図27a及び図27bは、交換可能な排気部カートリッジを含む本発明の代替形態を示す。本発明のこの形態では、排気部組立体は軸600、窓625を含む回転可能なスリーブ620及びそれを通る孔を有する交換可能なカートリッジ630を備える。この排気部組立体は図26に分解図で示されている。組み立てられるとき、このカートリッジ630は、軸600の上かつスリーブ620の下の所定の位置に摺動して入れられる。図27a及び図27bに示す形態では、使用時にはカートリッジ630は軸600の長手方向軸の周りを回転できないように設計される。それに引き換え、スリーブ620は図27a及び図27bに示すようにカートリッジ630に異なる組の孔を露出させて回転可能であるように設計される。使用時には、カートリッジ630の孔は、軸600の内部から大気への流体連通をもたらす。小さな孔は使用に伴い閉塞する可能性があるので、スリーブ620を適切な期間(例えば、一晩)後回転させることができる。この結果、1つのカートリッジは清掃の必要なしに1週間の間、毎夜汚れのない組の排気孔を提供することができる。週末に、このカートリッジは処分され、汚れのないものと交換することができる。
【0056】
本発明の利点は以下を含む。静かな位置(細かい孔)にあるとき、マスクは極めて静かであり、認められる空気ジェットは全く伴わない。これによって、マスクは着用者もベッドパートナも妨げることがはるかに少なくなる。
【0057】
通常の(大きな孔)位置にあるとき、このマスクはより小さな孔を閉塞させる可能性のある加湿器と共に使用するのに適している。加湿器が必要ないときは、この排気部組立体は容易に静かな、小さな孔の排気部に切り換えることができる。
【0058】
この移動可能な部品の使用は、患者が予備品を保持する必要のないこと、及び構成部品を失うこと又はそれらを嵌合できないことから除外されることを意味する。
【0059】
本発明の使用によって、マスクを異なる流量発生器又はブロアの範囲と互換性があるようにすることができる。例えば、第1の流量発生器又はブロアが第1の排気部特性を、第2のブロアが第2の排気部特性を想定して動作するように事前プログラミングすることができる。同じマスクが異なる排気部特性を模擬できるので、同じマスクは適切な排気部に設定した後、両方のブロアに使用することができる。
【0060】
本発明の別の利点は、異なる圧力範囲に対し異なる排気部を提供することである。例えば、低圧では、十分な排気流量を可能にするために大きな孔を伴う排気部を有することが適切である可能性がある。より高い圧力での同じ排気部は、高くなった騒音に繋がる不必要に高い排気流量を有するであろう。したがって、本発明の一実施形態によれば、患者が全体的に低い圧力治療を使用しているとき、第1の排気部を使用することができるが、治療圧力がより高いときには第2の排気部を使用することができる。
【0061】
本発明の別の利点は、本発明が廃棄可能な排気部の交換の迅速かつ単純なシステムを提供することである。例えば、排気部のある型式は容易に閉塞する可能性があり、一夜の使用のために設計される。本発明の一実施形態によれば、排気部組立体は1組の「使い捨て」排気部を備えることができる。最初の夜の使用後に、患者は第2の排気部に切り換えることができる。第2の夜の使用後に、患者は第3の排気部に切り換えることができる、等々。
【0062】
本発明の別の形態では、センサ及び/又は指示器が図20及び図21に示すように排気部組立体に含まれる。排気部組立体300は、軸302及びスリーブ304を含む。この軸302は、空気が通過し得るオリフィス306を含む。スリーブ304を回転させることによって、代替の排気部308及び310がオリフィス306上で位置合せされる。センサが排気部のうちのどちらが使用されているかを検出し、その情報を流量発生器制御器に伝える。一形態では、このセンサは、図21に示すように使用される排気部に応じて異なる電気抵抗を有し、以下で更に論じる。センサ情報は空気供給導管に沿った線を介して、又は無線で、例えば、BLUETOOTH(商標)互換システムを介して流量発生器制御器に伝えることができる。流量発生器制御器は、センサ情報を受信し、アルゴリズム制御治療法用のパラメータを調整する。別法として又は追加的に、この排気部組立体は視覚式、聴覚式、触覚式又はいくつかの組合せであり得る排気部位置の指示器を含む。図20に示すように、この排気部組立体300は、軸302に成型される位置合わせ矢印312を含む。各排気部308、310は、スリーブ304上に成型される隣接する指示部(例えば、矢印、点又はいくつかの他の形状)309、311を有する。この指示部には、暗闇のなかでも認識され得るように、排気部位置に応じた特徴的な触感を与えることができる。追加的に又は別法として、この排気部組立体は、図20に示すようにその排気部が変更されるとき、特徴的な「カチッという音(click)」を示し得る。この排気部組立体は、排気部位置に応じた異なる色彩のタグを表示してもよい。
【0063】
図21は、図11〜図14と同様な排気部組立体の一部をなす摺動可能なカバー350の概略図を示す。適切な排気部352又は354がオリフィス(図示せず)上に整列するとき、対応する抵抗353又は355が、流量発生器制御器358と電気的に連絡しているコネクター356に電気的に接続する。この結果、この流量発生器制御器358は、どの排気部が使用されているかを検出し、必要に応じてブロアの圧力、流量、又はいくつかの他のパラメータを調整することができる。
【0064】
選択された排気部を流量発生器に連絡するこの能力によって、流量発生器が適切な応答をもたらすことが可能になる。応答は、認識されて選択された排気部の特性を考慮してその制御アルゴリズムを調整するためのものであり得る。追加的に又は別法として、使用者が最適排気より低い排気を選択して治療を開始しようと試みるとき、あるいは選択された排気部の特性が流量発生器によって認識されないとき、流量発生器は治療モードで動作させないこと、或いは、所定の圧力範囲内でのみ動作させることも可能である。
【0065】
追加的に又は別法として、この流量発生器は、所与の制御アルゴリズム又は空気回路構成に対して最適な排気部の選択を促すことができる。排気部の選択を検知して、流量発生器は使用者に通報を提示し得る。この通報は聴覚又は視覚警報によるものであり得る。流量発生器状態表示(通常はアルファベットと数字のLCDパネル)の使用を介して、この流量発生器は検出した排気部状態に関する声明を提示し、かつその適切性を確認すること、或いは、正しい処置を提案することのどちらもすることができる。
【0066】
本発明は排気部間の選択を行うことができるので、この流量発生器は、供給するように設定された治療圧力範囲に応じて選択された排気部が満足か不満足かを使用者に連絡することが可能である。より高い圧力に対しては、この流量発生器は小さな孔の使用を促し、一方より低い圧力範囲で動作させるべき場合は、より大きな孔を提案することができる。
【0067】
流量発生器が時間の経過に伴う(例えば、排気部が一治療期間中、又はいくつかの期間中に閉塞してきたことに起因する)排気部性能の劣化を検出できる場合には、代替の排気部を選択するようにプロンプト(prompt)を出す助言を与えることができる。
【0068】
このようなシステムの使用が可能なときは、空気回路構成は加湿器を含み得る。空気回路が加湿器を伴って動作するように設定されているものの、小さな孔(例えば、網目排気部)が選択されていることを流量発生器が検出する場合は、流量発生器はより適切な排気部の選択を促すために使用者に通報を送ることができる。
【0069】
したがって、流量及び騒音レベルは、上記の実施形態によって調節可能である。例えば、大きな孔を有する排気部から小さな孔及び/又は発泡体を有する排気部に切り換えることによって、流量及び/又は騒音レベルを約5〜50%、好ましくは約15〜35%、最も好ましくは約20〜30%減少させることができる。図11a〜図14の実施形態では、大きな孔に対する流量は約45〜55リットル/分とすることが可能で、一方小さな穴に対する流量は、約55〜65リットル/分とすることが可能である。別の実施形態では、患者の要求及びマスクの構造に応じて、より小さな孔とより大きな孔の間の流量差を程度の差はあるが言明することができる。
【0070】
本発明を特定の実施形態を参照して説明してきたが、これらの実施形態は本発明の原理の応用の単に例示に過ぎないことを理解されたい。これには多くの改変を実施することができ、他の構造も本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく考え出すことができる。
【0071】
例えば、図28a及び図28bに示す実施形態では、マスク、例えば図1のマスク30に、それぞれ異なる流量特性を有する2つ又はそれ以上の弾性排気部挿入体を設けることができる。図28aでは、排気部31は複数の比較的より大きな孔33を有するが、図28bの排気部35はより多くの数の比較的小さな孔37を有することができる。臨床医/患者は、所望の騒音及び/又は流量特性に最も良く適合するように排気部を変更することができる。
【0072】
以下の実施形態を採用することもできる。
1.フレームと、
前記フレームに設けられたクッションと、
第1の排気部、第2の排気部、及び、患者からの吐き出しガスの流れを前記第1の排気部と前記第2の排気部間で切り換えるための切換器を備えた排気部組立体と、
を含んでなることを特徴とする患者用のマスク組立体。
2.前記第1の排気部及び第2の排気部が、互いに異なる、騒音及び/又は流量に関する少なくとも一方の特性を含んでいることを特徴とする1に記載のマスク組立体。
3.前記フレームがシェルを含んでなり、前記排気部組立体が前記シェル上に設けられていることを特徴とする1又は2に記載のマスク組立体。
4.前記クッションがノズル要素を含み、前記切換器が前記第1の排気部と第2の排気部間を選択するように前記フレームに対して摺動可能であるクリップを含んでいることを特徴とする1から3のいずれか一つに記載のマスク組立体。
5.前記切換器が回転可能であることを特徴とする1から4のいずれか一つに記載のマスク組立体。
6.前記切換器が回動可能であることを特徴とする1から5のいずれか一つに記載のマスク組立体。
7.前記切換器が摺動可能であることを特徴とする1から6のいずれか一つに記載のマスク組立体。
8.前記フレームがエルボを含み、前記切換器が前記エルボ上に設けられていることを特徴とする1、2及び4から7のいずれか一つに記載のマスク組立体。
9.前記切換器が前記エルボの対応するアーム上に設けられることを特徴とする8に記載のマスク組立体。
10.前記第1の排気部及び第2の排気部のうちの1つが、騒音レベル及び交差感染の危険性のうちの少なくとも一方を減少させるように構成された材料を備えていることを特徴とする1から9のいずれか一項に記載のマスク組立体。
【0073】
11.前記材料が、発泡体、GORE−TEX(登録商標)及びセラミックからなる群から選択されることを特徴とする10に記載のマスク組立体。
12.前記切換器が、前記第1の排気部及び第2の排気部にそれぞれ対応する第1の位置及び第2の位置間で調整可能であり、前記切換器が前記第1の位置及び第2の位置を規定するための位置決め構造を含んでなることを特徴とする1から11のいずれか一つに記載のマスク組立体。
13.前記位置決め構造が戻り止めを含んでなることを特徴とする12に記載のマスク組立体。
14.前記排気部組立体が前記第1又は第2の位置にない場合でも、前記排気部組立体が吐き出されたガスを排気するように構成されていることを特徴とする12又は13に記載のマスク組立体。
15.前記排気部組立体が前記第1又は第2の位置にない場合に警報が鳴らされることを特徴とする12から14のいずれか一つに記載のマスク組立体。
16.前記警報が前記排気部組立体によって発生するより高い騒音レベルによって規定されていることを特徴とする15に記載のマスク組立体。
17.第1の排気部と、第2の排気部と、患者から吐き出しガスの流れを前記第1及び第2の排気部間で切り換えるための切換器と、を含んでなることを特徴とする排気部組立体。
18.前記第1の排気部及び第2の排気部が、互いに異なる、騒音及び/又は流量に関する少なくとも一方の特性を含んでいることを特徴とする17に記載の排気部組立体。
19.前記切換器が回転可能、回動可能、かつ/又は、摺動可能であることを特徴とする1又は2に記載の排気部組立体。
20.前記第1及び第2の排気部のうちの1つが、騒音レベル及び交差感染の危険性のうちの少なくとも一方を減少させるように構成された材料を備えていることを特徴とする17から19のいずれか一つに記載の排気部組立体。
【0074】
21.前記材料が、発泡体、GORE−TEX(登録商標)及びセラミックからなる群から選択されることを特徴とする20に記載の排気部組立体。
22.前記切換器が、前記第1の排気部及び第2の排気部にそれぞれ対応する第1の位置及び第2の位置間で調整可能であり、前記切換器が前記第1の位置及び第2の位置を規定するための位置決め構造を含んでなることを特徴とする17から21のいずれか一つに記載の排気部組立体。
23.前記位置決め構造が戻り止めを含んでなることを特徴とする22に記載の排気部組立体。
24.例え前記排気部組立体が前記第1又は第2の位置にない場合でも、前記排気部組立体が吐き出されたガスを排気するように構成されていることを特徴とする22又は23に記載の排気部組立体。
25.前記排気部組立体が前記第1又は第2の位置にない場合に警報が鳴らされることを特徴とする22から24のいずれか一項に記載の排気部組立体。
26.前記警報が前記排気部組立体によって発生するより高い騒音レベルによって規定されていることを特徴とする25に記載の排気部組立体。
【符号の説明】
【0075】
10 ブロア
20 空気供給導管
30 患者インターフェース
40 排気部
50 孔
60 エルボ
70 排気部カバー
80 患者
90 空洞、排気部組立体
100 第1の部分
102 オリフィス又は窓
110 スリーブ部分
120 エルボ
130 軸
132 オリフィス
134 タブ
140 スリーブ
142、144 排気部
146、148 スロット
200 排気部組立体
210 フレーム
220 端部部分
230 バックボーン
240 クリップ
250、260 排気部
300 鼻マスク
305 第1の位置
310 排気カバー
315 第2の位置
320 大きな排気孔
325 グロメット
330 小さな排気孔
400 鼻マスク
410 排気部カバー
425 グロメット
420、430 排気孔
510 排気部カバー
525 窓
520、530 孔
600 軸
620 スリーブ
625 窓
630 カートリッジ
700 マスク組立体
702 シェル
706、708 開き口
710 排気プレート
712、714、716 第1、第2、第3の開き口部分
800 フレーム
802 エルボ
806 排気部組立体
809 開き口
810 遮断部分
822 チャンバ
824 開き口
830 排気部組立体
843 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも4cmHOの圧力の呼吸に適したガスの流れを受容する患者からのガス洗い流しのための排気部組立体であって、
該排気部組立体は、
排気部;及び
該排気部を通じた流量を変えるために信号を発生する制御器を備えることを特徴とする排気部組立体。
【請求項2】
前記排気部は、第1の排気部と第2の排気部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の排気部組立体。
【請求項3】
該第1の排気部と該第2の排気部にそれぞれ対応する第1及び第2の位置の間で調節可能な切換器をさらに備え、該切換器は、該第1及び第2の位置を規定するための位置決め構造を含むことを特徴とする請求項2に記載の排気部組立体。
【請求項4】
該位置決め構造は、戻り止め又はラッチを備えることを特徴とする請求項3に記載の排気部組立体。
【請求項5】
前記排気部は、たとえ該切換器が第1又は第2のいずれかの位置にない場合でも、吐き出されたガスを排気するように構成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の排気部組立体。
【請求項6】
該切換器が第1又は第2のいずれかの位置にない場合に警報が鳴らされることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1つに記載の排気部組立体。
【請求項7】
該警報は、該排気部組立体により発生するより高い騒音レベルによって規定されていることを特徴とする請求項6に記載の排気部組立体。
【請求項8】
該制御器は、該ガス洗い流しが該第1の排気部を通ずる場合に第1抵抗を有し、該ガス洗い流しが該第2の排気部を通ずる場合は、第1抵抗と異なる第2抵抗を有するセンサーを備えることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1つに記載の排気部組立体。
【請求項9】
どの排気部が選択されているかを示す指示器をさらに備えることを特徴とする請求項3〜8のいずれか1つに記載の排気部組立体。
【請求項10】
該指示器は、視覚式、聴覚式、触覚式又はそれらの任意の組み合わせであることを特徴とする請求項9に記載の排気部組立体。
【請求項11】
該第1及び第2の排気部は、互いに異なる、騒音及び/又は流量に関する少なくとも一方の特性を含むことを特徴とする請求項2〜10のいずれか1つに記載の排気部組立体。
【請求項12】
該第1及び第2の排気部は、ほぼ同じ全体流量をもたらすことを特徴とする請求項2〜11のいずれか1つに記載の排気部組立体。
【請求項13】
該第1及び第2の排気部は、異なる流量をもたらすことを特徴とする請求項2〜11のいずれか1つに記載の排気部組立体。
【請求項14】
該第1の排気部は、複数の第1排気孔を備え、該第2の排気部は、複数の第2排気孔を備えることを特徴とする請求項2〜13のいずれか1つに記載の排気部組立体。
【請求項15】
該複数の第1の排気孔の数は、該複数の第2の排気孔の数と異なることを特徴とする請求項14に記載の排気部組立体。
【請求項16】
該複数の第1の排気孔の数は、該複数の第2の排気孔の数よりも少ないことを特徴とする請求項15に記載の排気部組立体。
【請求項17】
該複数の第1の排気孔は、第1の寸法を有し、該複数の第2の排気孔は、第1の寸法よりも小さな第2の寸法を有することを特徴とする請求項14〜16に記載の排気部組立体。
【請求項18】
該第1の排気部の有効面積は、第2の排気部の有効面積と同じであることを特徴とする請求項2〜17のいずれか1つに記載の排気部組立体。
【請求項19】
該第2の排気部は、該第1の排気部と比較して約5〜50%の流量及び/又は騒音レベルを減少させることを特徴とする請求項2〜18のいずれか1つに記載の排気部組立体。
【請求項20】
該第2の排気部は、該第1の排気部と比較して約15〜35%の流量及び/又は騒音レベルを減少させることを特徴とする請求項19に記載の排気部組立体。
【請求項21】
該第2の排気部は、該第1の排気部と比較して約20〜30%の流量及び/又は騒音レベルを減少させることを特徴とする請求項20に記載の排気部組立体。
【請求項22】
該第1の排気部は、約45〜55リットル/分の第1排気部を通ずる流量となり、該第2の排気部は、約55〜65リットル/分の第2排気部を通ずる流量となることを特徴とする請求項2〜21のいずれか1つに記載の排気部組立体。
【請求項23】
前記第1及び第2の排気部のうちの1つは、騒音レベル及び交差感染の危険性のうちの少なくとも1つを減少させるように構成された材料で備えられていることを特徴とする請求項2〜22のいずれか1つに記載の排気部組立体。
【請求項24】
前記材料が、発泡体、多孔質ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びセラミックからなる群から選択されることを特徴とする請求項23に記載の排気部組立体。
【請求項25】
前記排気部が、ポリカーボネイト、ステンレス鋼、焼結セラミック、PTFE、又は発泡高分子から形成されることを特徴とする請求項1〜24のいずれか1つに記載の排気部組立体。
【請求項26】
前記排気部が疎水性の材料から形成されることを特徴とする請求項1〜25のいずれか1つに記載の排気部組立体。
【請求項27】
マスク組立体であって、
フレーム;
該フレームに設けられるクッション;及び
請求項1〜26のいずれか1つに記載の排気部組立体を備えることを特徴とするマスク組立体。
【請求項28】
該フレームは、シェルを備え、該排気部は該シェル上に設けられていることを特徴とする請求項27に記載のマスク組立体。
【請求項29】
該シェルは、オリフィスを備え、該排気部は、該シェル上に摺動可能に配置されたクリップを備え、及び該第1の排気部は、該第1の排気部と該オリフィスとが位置合せするように該クリップを摺動することにより選択され、該第2の排気部は、該第2の排気部と該オリフィスとが位置合せするように該クリップを摺動することにより選択されることを特徴とする請求項28に記載のマスク組立体。
【請求項30】
該第1の排気部及び該第2の排気部は、該シェル中に設けられ、該切換器は、該シェルに旋回可能に取り付けられたカバーを備えることを特徴とする請求項27又は28のいずれかに記載のマスク組立体。
【請求項31】
該第1の排気部及び該第2の排気部は、該シェル中に設けられ、該切換器は、該シェルに摺動可能に取り付けられたカバーを備えることを特徴とする請求項27又は28のいずれかに記載のマスク組立体。
【請求項32】
該第1及び第2の排気部は、該シェルに脱着可能に挿入可能なグロメット中に設けられていることを特徴とする請求項30又は請求項31に記載のマスク組立体。
【請求項33】
該フレームは、エルボを含み、該排気部は該エルボ上に設けられていることを特徴とする請求項27に記載のマスク組立体。
【請求項34】
該排気部は、オリフィスを有するシリンダーと、該シリンダーに亘って適合し且つ該第1及び第2の排気部を含むスリーブとを含み、該スリーブと該シリンダーは互いに対して移動可能であり選択的に該第1及び第2の排気部と該オリフィスとを位置合せするようにすることを特徴とする請求項33に記載のマスク組立体。
【請求項35】
該シリンダー及び該スリーブは、互いに対して回転可能であることを特徴とする請求項34に記載のマスク組立体。
【請求項36】
該シリンダー及び該スリーブは、互いに対して摺動可能であることを特徴とする請求項35に記載のマスク組立体。
【請求項37】
該シリンダーは、該第1の排気部が選択された場合に第1整列スロットに位置合せするように、該第2の排気部が選択された場合に第2整列スロットに位置合せするように、構成された整列タブを備える請求項34〜36のいずれか1つに記載のマスク組立体。
【請求項38】
該切換器は、該第1及び第2の排気部を選択的に覆うように構成された回転式カバーを備えることを特徴とする請求項33に記載のマスク組立体。
【請求項39】
該排気部は、排気開口部及び遮断された部分を含むエルボの前面部分に設けられ、該排気部は、該第1排気部及び第2排気部を該排気開口部と選択的に位置合せするために該前面部分に回転可能に接続されていることを特徴とする請求項33に記載のマスク組立体。
【請求項40】
該第1の排気部は、該排気開口部から吐き出されたガスを排気するために少なくとも1つの開き口を備え、該第2の排気部は、騒音レベル及び交差感染の危険性のうちの少なくとも1つを減少させるように構成された材料を備えることを特徴とする請求項39に記載のマスク組立体。
【請求項41】
該排気部は、第1の排気部と連通するチャンバから第2の排気部を分割する内壁を備え、該第2の排気部及び該チャンバは、内部開き口を経由して選択的に連通することを特徴とする請求項40に記載のマスク組立体。
【請求項42】
該エルボの遮断された部分と該内壁の位置合せは、該第2の排気部を通じて直接吐き出されたガスに開口する該開口部と、該内部開き口とを位置合せすることを特徴とする請求項41に記載のマスク組立体。
【請求項43】
該内部開き口と該エルボの遮断された部分との位置合せは、吐き出されたガスが該第1の排気部を通じるように導くことを特徴とする請求項41又は請求項42に記載のマスク組立体。
【請求項44】
該排気部は、シリンダー、該シリンダーに亘って適合し窓を含むスリーブ、及び複数の孔を含むカートリッジを含み、該スリーブは、該複数の孔の部分を該窓に選択的に位置合せするために、該シリンダー及びカートリッジに関して回転可能であることを特徴とする請求項33に記載のマスク組立体。
【請求項45】
陽圧で呼吸可能なガスの流れを供給するための流量発生器であって、該流量発生器は、請求項1〜26のいずれか1つに記載の排気部組立体からの信号を受容するように構成されていることを特徴とする流量発生器。
【請求項46】
該制御器は、受信された該信号を基にして該流量発生器の制御アルゴリズムのパラメータを調節するように構成されていることを特徴とする請求項45に記載の流量発生器。
【請求項47】
該制御器は、該選択された排気部が治療に最適な排気よりも低い場合又は該選択された排気部の特性が該制御器により認識されないときは、該流量発生器を動作させないように又は予め定められた圧力範囲内で動作させるように、制御する構成にすることを特徴とする請求項46に記載の流量発生器。
【請求項48】
該制御器は、該制御アルゴリズムに最適な排気部の選択を促すように構成されることを特徴とする請求項46又は47に記載の流量発生器。
【請求項49】
該制御器は、該選択された排気部に関する通報を提示するように構成されることを特徴とする請求項46〜48のいずれか1つに記載の流量発生器。
【請求項50】
該通報は、ディスプレイに提示されることを特徴とする請求項49に記載の流量発生器。
【請求項51】
該制御器は、該選択された排気部の性能の劣化を検出するように構成されることを特徴とする請求項46〜50のいずれか1つに記載の流量発生器。
【請求項52】
加湿器を組み合わせた請求項45〜51のいずれか1つに記載の流量発生器。
【請求項53】
請求項27〜44のいずれか1つに記載のマスク組立体と組み合わせた請求項45〜52のいずれか1つに記載の流量発生器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11a】
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【図11b】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図23a】
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【図23b】
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【図23c】
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【図24】
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【図25a】
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【図25b】
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【図25c】
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【図25d】
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【図25e】
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【図25f】
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【図25g】
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【図26】
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【図27a】
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【図27b】
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【図28a】
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【図28b】
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【公開番号】特開2012−11243(P2012−11243A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228725(P2011−228725)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【分割の表示】特願2006−540091(P2006−540091)の分割
【原出願日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(500046450)レスメド・リミテッド (192)
【氏名又は名称原語表記】RESMED LTD