説明

睡眠時呼吸情報測定装置

【目的】 睡眠時に発生する呼吸障害である無呼吸症を検出するものするものである。
【構成】 寝具6に配設した呼吸センサー7、8と、前記呼吸センサー7、8の信号を基に無呼吸症を判定する判定手段9を備えている。これによって、人体とは無拘束に呼吸信号が測定でき、無呼吸症の判定を的確に行うことができるものである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、睡眠時に発生する呼吸障害である無呼吸症を検出する睡眠時呼吸情報測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の睡眠時呼吸情報測定装置を図24を用いて説明する。
【0003】従来の無呼吸症診断装置は、特開平5−200031号公報に示されるように、呼吸を検出するための咽頭マイクロホン1と、動脈血酸素飽和度を検出するためのオキシメーター指センサー2と、心電を検出するためのEKG電極3と、体位検出器4と、検出・記憶ユニット5からなっていた。
【0004】上記構成において、呼吸の測定は咽頭マイクロホン1で行われ、無呼吸時の血液中の酸素飽和度はオキシオメーター指センサー2、心電はEKG電極3、体位は体位検出器4で測定していた。そして、これらの測定データは連続的に記憶ユニット5に記憶されていた。さらに、記憶されたデータはコンピュータに伝達され、コンピュータ上で各測定データの解析が行われていたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来の構成では、呼吸は咽頭マイクロホン、血液中の酸素飽和度は指式のオキシオメータで測定するために、人体が拘束されることと、寝返りなどによって咽頭マイクロホンやオキシオメーター指センサーが外れて測定不能になることがあった。また、測定データが連続的に記憶されるために1晩の睡眠データを測定、記憶するためには膨大な記憶容量が必要であるということと、記憶データをコンピュータ分析するために、朝の起床時に即、昨晩の症状を知ることができないという課題があった。
【0006】本発明は上記課題を解決するもので、寝具に配設した呼吸センサーにより呼吸を検出することで無拘束な測定を可能とすることを第1の目的としている。
【0007】胸郭部の運動と腹部の運動をそれぞれ独立して測定することにより、無呼吸症を診断精度を向上することを第2の目的としている。
【0008】自己相関解析により呼吸信号を解析して呼吸が安定した後から呼吸周期の測定を開始することで呼吸周期の測定精度を向上することを第3の目的としている。
【0009】無呼吸症を判定したときのみ人体の睡眠情報を記憶することで測定データの記憶容量を大幅に低減することを第4の目的としている。
【0010】振動検知型呼吸センサーを寝具に格子状に配設することで寝姿勢を測定して寝姿勢と無呼吸症の対応データを測定することを第5の目的としている。
【0011】体動と無呼吸症の対応データを測定することを第6の目的としている。音響センサーによりいびき音を検出して無呼吸症との対応データを測定すること第7の目的としている。
【0012】寝具と一体または近接した表示装置により睡眠時の呼吸情報や睡眠情報を覚醒後すぐに確認することができるようにすることを第8の目的としている。
【0013】無呼吸症を判定したときに寝具の形状を変化させることによって無呼吸症の発生を抑制することを第9の目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は上記第1の目的を達成するための第1の手段は、寝具に配設した呼吸センサーと、前記呼吸センサーの信号を基に無呼吸症を判定する判定手段を備えた構成とした。
【0015】第2の手段では、寝具である枕部に呼吸センサーとしての血液中酸素飽和度測定用センサーを設け、前記血液中酸素飽和度測定用センサーの信号を基に無呼吸症を判定する判定手段を備えた構成とした。また、第2の目的を達成するために第3の手段は、人体の胸郭部と腹部に対応する寝具の一部にそれぞれ少なくとも1つ以上の呼吸センサーを配設した構成とした。そして、第4の手段は、胸郭部と腹部の2つの呼吸センサーの信号の位相差が略逆位相となることにより無呼吸症を判定する判定手段を備えた構成とした。
【0016】第3の目的を達成するために第5の手段は、呼吸センサーの信号の自己相関係数が所定値以上になったことで呼吸センサーの信号が安定したことを判断した後に、呼吸周期または呼吸回数を測定して無呼吸を判定する判定手段を備えた構成した。そして、第6の手段は、呼吸センサーの信号の自己相関係数が所定値以上になったことで呼吸センサーの信号が安定したことを判断し、安定周期中の呼吸センサーの信号振幅の特定比率をしきい値として測定した呼吸周期または呼吸回数によって無呼吸を判定する判定手段を備えた構成とした。
【0017】第4の目的を達成するために第7の手段は、寝具に配設した呼吸センサーと、前記呼吸センサーの信号を基に無呼吸症を判定する判定手段と、無呼吸症が判定された前後の所定時間の睡眠情報を記憶する記憶装置を備えた構成とした。
【0018】第5の目的を達成するために第8の手段は、寝具に格子状に配設した複数個の振動検知型呼吸センサーと、前記振動検知型呼吸センサーの信号から寝姿勢を検出する寝姿勢検出手段と、前記振動検知型呼吸センサーの信号から呼吸情報を検出して無呼吸症を判定する判定手段とを備えた構成とした。
【0019】第6の目的を達成するために第9の手段は、寝具に配設した振動検知型呼吸センサーの信号を基に人体の体動を検出する体動検出器と、前記振動検知型呼吸センサーの信号から呼吸情報を検出して無呼吸症を判定する判定手段とを備えた構成とした。
【0020】第7の目的を達成するために第10の手段は、寝具に配設した音響センサーの信号と、前記寝具に配設した振動検知型呼吸センサーと、前記振動検知型呼吸センサーの信号から呼吸情報を検出して無呼吸症を判定する判定手段とを備えた構成とした。
【0021】第8の目的を達成するために第11の手段は、睡眠時の無呼吸症の発生情報および寝姿勢または体動特性を出力する表示装置を、寝具と一体または近接して設けた構成とした。
【0022】第9の目的を達成するために第12の手段は、寝具に配設した呼吸センサーと、前記呼吸センサーの信号を基に無呼吸症を判定する判定手段と、前記判定手段からの信号を基に、寝具の形状を変化させる駆動装置を備えた構成とした。
【0023】
【作用】本発明は上記構成によって、第1の手段によれば、寝具に呼吸センサーを配設することによって、人体には無拘束で呼吸を測定することができ、その信号を基に無呼吸症を判定することができるのである。
【0024】第2の手段によれば、寝具である枕部に呼吸センサーとしての血液中酸素飽和度測定用センサーを設けることによって、頭部と枕部の接触部から血液中酸素飽和度を測定して、その信号を基に無呼吸症を判定することができ、人体には無拘束で無呼吸症を測定することができるのである。
【0025】第3の手段によれば、人体の胸郭部の運動と腹部の運動を測定することによってそれぞれの運動パターンが不規則になったことから無呼吸症を判定することができるのである。
【0026】第4の手段によれば、人体の胸郭部の運動と腹部の運動が略逆位相になったことで無呼吸症が判定できるのである。
【0027】第5の手段によれば、呼吸センサーの信号の自己相関係数が所定値以上になったことで呼吸センサーの信号が安定したことを判断して、呼吸周期または呼吸回数を測定することで、体動時の不規則で呼吸と無関係な信号などを排除することができ測定精度を向上することができるのである。
【0028】第6の手段によれば、呼吸センサーの信号の自己相関係数が所定値以上になったことで呼吸センサーの信号が安定したことを判断し、安定周期中の呼吸センサーの信号振幅の特定比率分をしきい値とすることによって、人や寝具の種類による信号レベルの違いを考慮したしきい値とすることができ、測定精度を向上することができるのである。
【0029】第7の手段によれば、無呼吸症が判定された前後の特定時間の睡眠情報を記憶することで、データの記憶時間を大きく低減することができ、記憶容量の低減と装置の小型化を実現することができるのである。
【0030】第8の手段によれば、寝姿勢と呼吸情報を同時に測定して両者の対応付け行うことにより、無呼吸症の発生状況を認知することができ、寝姿勢の改善によって無呼吸症を防止する手段の発見に役立たせるものである。
【0031】第9の手段によれば、体動と呼吸情報を同時に測定して両者の対応付け行うことにより、無呼吸症の発生状況が、体動が長時間発生しない時か、体動があるときかを知ることによって、無呼吸症状の度合を知ることができる。
【0032】第10の手段によれば、いびきの発生情報と無呼吸症の対応づけを行うことができるものである。
【0033】第11の手段によれば、無呼吸症の発生情報および寝姿勢または体動特性を寝具と一体または近接した表示装置に設けることによって、起床すると同時に自分の症状を知ることができ、日々の生活の中で防止あるいは再発状況を知る手段として活用することができるのである。
【0034】第12の手段によれば、無呼吸症の発生を感知したときに、寝具の形状を変化させることによって寝姿勢を強制的に変えて無呼吸症の発生を防止することができるものである。
【0035】
【実施例】以下、本発明の第1の実施例の睡眠時呼吸情報測定装置を、図1から図10を参照して説明する。
【0036】図1に示すように、寝具としてのベッドパッド6と、人体の胸郭部と腹部に当たるベッドパッドに同軸状の振動検知型呼吸センサー7、8を蛇行してそれぞれ配設し、前記呼吸センサーの信号を基に無呼吸症を判定する判定手段としての制御装置9を備えた構成とした。ここで図2に示すように、第1の呼吸センサー7は、胸郭部10に対応した背中部11と、第2の呼吸センサー8は腹部12に対応した腰の上部13にそれぞれ接するように配設されるものであるが、ベッドパッド6の内部に配置され、人体とは直接触れることはないものである。また、14は枕、15は表示装置、16は頭部、17はベッドマットである。図3に本装置のブロック図を示す。18は増幅器、19は1Hzをカットオフ周波数とするローパスフィルター、20はA/D変換器、21は判定手段としてのマイコン、22は記憶装置である。
【0037】上記構成によれば、ベッドパッド6にうめこまれた振動検出型呼吸センサー7、8で、胸郭の動きと腹部の動きが検出される。激しい動きは1Hzのローパスフィルターでカットされ、呼吸時の緩やかな胸郭運動と腹部の運動の信号が出力信号として出力され、無呼吸症の発生状況の判定に使用されるものである。
【0038】ここで、無呼吸症のタイプには、閉塞型、中枢型、混合型の3つの種類の症状があるが、このなかの閉塞型の症状を判定するもので、閉塞型の無呼吸症では胸郭部と腹部の運動が、それぞれに対して逆位相になることを利用して検出するものである。例えば、具体的な信号波形を図4に、そして、その2つの信号間のクロススペクトルのパワーレベル特性と位相特性を図5に示す。ここで、0.35Hzのパワースペクトルの信号の位相差は、約180゜であり、逆位相であるといえるので、無呼吸症が判定できるのである。
【0039】この判定装置のフローチャートを図6に示す。クロススペクトル解析による無呼吸の判定後、その発生時刻と無呼吸の発生を記憶装置に記憶し、表示装置には、図7に示すようなトレンドグラフを表示するものである。ここで、○の大きさは呼吸が止まっている時間を表し、その位置が発生時刻を表すものである。このようなデータを寝具に組み込んだ表示装置に一晩中のデータを表示することによって、朝の起床時に即、自分の症状を知ることができる。自分の昨晩の症状を知ることによって、その日の行動を注意しながら生活でき、睡眠不足などによる居眠り運転など防止にも役立たせることができる。
【0040】次に、無呼吸症の判定手段の他の実施例について図8のフローチャートを用いて説明する。
【0041】振動検出型呼吸センサーでは、体動などの呼吸以外の動きも検出して信号を発生するために、その誤測定を排除する必要がある。図8のフローチャートに示すように、呼吸センサーの信号から自己相関係数を用いて呼吸信号を判定し、測定精度を向上することができる。すなわち、呼吸データの信号を約20秒間測定し、その信号の自己相関係数が所定値A以上になったときが呼吸が安定したと判断する。そして、その時のデータ内のピークレベルを求め、その80%に当たる信号レベルをしきい値Pとすることを決定する。この後、呼吸周期を次に示すアルゴリズムで測定する。すなわち、図9に示すように、呼吸センサーの信号のレベルがしきい値Pより大きく、かつその信号の変化の傾きが正の場合にその時刻を基点として、次にしきい値をこえ、かつ変化の傾きが正となる点迄の時間を測定することによって呼吸周期Tを求めるのである。この呼吸周期Tが10秒以上であれば無呼吸と判定する。判定した時より1分前からの呼吸情報と睡眠情報に関する測定データと、判定後の1分間の呼吸情報と睡眠情報に関する測定データを記憶装置22に記憶する。そして、記憶されたデータは同時に図10に示すように寝具に取り付けられた表示装置15に表示される。
【0042】このような構成により、体動などの誤情報による無呼吸症の判定間違いを回避することができる。そして、安定時の信号のピーク値からしきい値を決定することにより、人による信号レベルの違いや寝姿勢、寝る位置などによる信号レベルの違いを回避でき、常に適切なしきい値を用いて呼吸周期を測定することができる。また、無呼吸症の前後1分間のデータのみを記憶することで記憶容量を大きく低減でき、半導体メモリーで可能となり、磁気記録装置などが不要となり装置本体を小型化でき寝具に組み込むことが可能となる。寝具に組み込むことで、毎朝一晩の呼吸情報を確認することができ、無呼吸症が多く発生していた場合は、睡眠不足が考えられるので、自動車の運転などに注意するなど、その日一日の行動に気をつけながら生活することができる。
【0043】次に、第2の実施例について図11から13を用いて説明する。上記第1の実施例と同一構造で、かつ同一作用をする部分には同一符号を付して詳細な説明は略し、異なる部分を中心に説明する。
【0044】図11に示すように、寝具である枕23に呼吸センサーとしての血液中酸素飽和度測定用センサー24を設けた。血液中酸素飽和度測定用センサー24は、発光素子と受光素子とからなり、図12に示すように、複数個の配列を備えた構成とした。この配列により、寝返り等によっても頭部16または首部25をいずれかのセンサーでセンシングすることができる。ここで、26はベッドパッド、27は判定装置、28は表示装置、29はベッドである。
【0045】このような構成において、図13に示す表示装置の画面のように、血液中の酸素濃度を測定することによって、血液中の酸素濃度が低下してくることによって無呼吸の状態を判定装置によって判定するものである。そして、血液中酸素飽和度測定用センサーと人体とは無拘束であり、睡眠を妨げることがないことと、寝返り等を行っても枕の上に頭部があれば血液中の酸素濃度を測定することができ、無呼吸症を判定することができるのである。
【0046】次に、第3の実施例について図14と図15を用いて説明する。上記第1の実施例と同一構造で、かつ同一作用をする部分には同一符号を付して詳細な説明は略し、異なる部分を中心に説明する。
【0047】図14に示すように、呼吸センサーとしての振動検知型呼吸センサー30、31、32、33、34、35、36、37、38をベッドパッド39に格子状に配列した配置とした。この格子状の呼吸センサーを寝姿勢検出手段として用いる。ここで、40は無呼吸判定装置と記憶装置と表示装置を備えた制御装置である。
【0048】このような構成において、呼吸は人体の胸部または腹部が接している振動検知型呼吸センサーの信号を用い、図8のフローチャートで示したようなアルゴリズムで無呼吸症を判定する。そして、寝姿勢検出手段としての9個の呼吸センサーを用いて、信号があらわれている呼吸センサーの位置から、現在の寝姿勢を推定するのである。例えば、31、34の呼吸センサーで周期性のある呼吸信号が得られ、30、33の呼吸センサーから体動のような周期性のない信号があらわれているのであれば、人体の右側を下にした右横向きの寝姿勢であると判断するのである。このような判断を繰り返し行うことで、図12に示すような特性を表示装置に表示することができ、無呼吸の発生状況と寝姿勢との対応づけを行うことが可能となるものである。この対応により、自分がどのような寝姿勢の時に無呼吸が発生するものかを知り、無呼吸が発生しない寝姿勢で寝ることを訓練して無呼吸症の予防を図ることができるものである。
【0049】次に、第4の実施例について図16から図19を用いて説明する。上記第1の実施例と同一構造で、かつ同一作用をする部分には同一符号を付して詳細な説明は略し、異なる部分を中心に説明する。
【0050】図16に示すように、寝具としてのベッドパッド41に配設した振動検知型呼吸センサー42からは、図17に示すように呼吸運動による微小信号43と、体動により発生する大信号44が検出できる。この情報をそれぞれ区別して検知していくことにより、図18に示すような呼吸情報と体動情報を対応させて表示装置に表示する構成とした。体動検出器は呼吸センサーを兼用して用いるのである。
【0051】このような構成において、呼吸は人体の胸部が接している振動検知型呼吸センサーの信号を用い、図19に示すフローチャートのアルゴリズムで呼吸と体動を判定する。そして、体動か呼吸かを判定した後、図6のフローチャートで示すァに進み計測を継続するものである。これらの計測により、図18に示すような無呼吸の発生状況と体動の発生状況との対応づけを行うことが可能となるものである。この対応により、自分がどのような体動により無呼吸を発生しているものかを知り、無呼吸の症状がどのような状況かを判断することができるものである。すなわち、無呼吸と体動の発生が対応しているようであれば、無呼吸により苦しくなり体動するものと推測でき、無呼吸症の症状がかなり進んでいるもので、治療が必要であることを示唆するもので、無呼吸症の早期発見につながるものである。
【0052】次に、第5の実施例について図20から図22を用いて説明する。上記第1の実施例と同一構造で、かつ同一作用をする部分には同一符号を付して詳細な説明は略し、異なる部分を中心に説明する。
【0053】図20に示すように、寝具に配設した音響センサーとしてのマイクロホン45と、前記寝具としてのベッドパッドに配設した振動検知型呼吸センサー46と、前記振動検知型呼吸センサーの信号から呼吸情報を検出して無呼吸症を判定する判定手段と記憶装置を備えた制御装置47とを備え、マイクロホン45により測定した音圧レベルと無呼吸症の発生状況を対応させた情報を表示装置48に表示する構成とした。
【0054】このような構成において、呼吸は人体の胸部が接している振動検知型呼吸センサーの信号を用い、図21に示すようなフローチャートにしたがって、音圧レベルが大きいか、小さい音圧レベルであるかを判定した後、図6のフローチャートで示す(1)に進み計測を継続するものである。これらの計測により、図22に示すような無呼吸の発生状況と音圧レベルの変動状況との対応づけを行うことが可能となるものである。この対応により、自分がどのような音を発生しているときに、無呼吸が発生するものかを知り、無呼吸の症状がどのような状況かを判断することができるものである。すなわち、無呼吸と音圧レベルの変動が対応しているようであれば、いびき音の延長線上の症状として無呼吸が発生しているものと推測でき、無呼吸症の原因をおおよそ推測することができ、無呼吸症の早期治療につながるものである。
【0055】次に、第6の実施例について図23を用いて説明する。上記第1の実施例と同一構造で、かつ同一作用をする部分には同一符号を付して詳細な説明は略し、異なる部分を中心に説明する。
【0056】図23に示すように、寝具に配設した呼吸センサー49と、前記呼吸センサーの信号を基に無呼吸症を判定する判定手段50と、前記判定手段からの信号を基にベッド51の上半身部分52を腰部を中心にして頭部分が上になるように傾斜させるような動きを実現する駆動装置53を設けた構成とした。
【0057】このような構成において、無呼吸症を判定するとベッドの上半身部が上昇して傾斜するものである。この時には、頭部が立時に近づく方向になり、喉の呼吸通路が広くなる傾向があるため閉塞型の無呼吸症を改善させることができるのである。また、ベッドだけでなく、枕などの他の寝具の形状を変形させても同様の効果を得ることができる。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように本発明の第1と第2の手段によれば、寝具に配設した呼吸センサーにより呼吸を検出することで無拘束で測定を可能にすることができる。そして、第3と第4の手段によれば、胸郭部の運動と腹部の運動をそれぞれ独立して測定することにより、無呼吸症を診断精度を向上することができる。また、第5と第6の手段によれば、自己相関解析により呼吸信号を解析して呼吸が安定した後から呼吸周期の測定を開始することで呼吸周期の測定精度を向上することができる。さらに、第7の手段によれば、無呼吸症を判定したときのみ人体の睡眠情報を記憶することで測定データの記憶容量を大幅に低減することができる。そして、第8の手段によれば、振動検知型呼吸センサーを寝具にマトリックス状に配設することで寝姿勢を測定して寝姿勢と無呼吸症の対応データを測定することができる。また、第9の手段によれば、体動と無呼吸症の対応データを測定することができる。さらに、第10の手段によれば、音響センサーによりいびき音を検出して無呼吸症との対応データを測定することができる。第11の手段によれば、寝具と一体または近接した表示装置により睡眠時の呼吸情報や睡眠情報を覚醒後すぐに確認することができるようにすることができる。また、第12の手段によれば、寝具の形状を変化させることによって無呼吸症を判定したときにその症状を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す睡眠時呼吸情報測定装置の斜視図
【図2】同装置の側面図
【図3】同装置のブロック図
【図4】同装置で測定した呼吸信号の時間波形図
【図5】同装置で測定した信号のクロススペクトル図
【図6】同装置の判定装置の動作を示すフローチャート
【図7】同装置の表示装置の表示画面を示す図
【図8】他の実施例の判定装置の動作を示すフローチャート
【図9】同装置の動作を示す説明図
【図10】同装置の表示装置の表示画面を示す図
【図11】本発明の他の実施例を示す睡眠時呼吸情報測定装置の側面図
【図12】同装置の平面図
【図13】同装置の表示装置の表示画面を示す図
【図14】本発明の他の実施例を示す睡眠時呼吸情報測定装置の平面図
【図15】同装置の表示装置の表示画面を示す図
【図16】本発明の他の実施例を示す睡眠時呼吸情報測定装置の平面図
【図17】同装置の動作を示す説明図
【図18】同装置の表示装置の表示画面を示す図
【図19】同装置の判定装置の動作を示すフローチャート
【図20】本発明の他の実施例を示す睡眠時呼吸情報測定装置の平面図
【図21】同装置の判定装置の動作を示すフローチャート
【図22】同装置の表示装置の表示画面を示す図
【図23】本発明の他の実施例を示す睡眠時呼吸情報測定装置の側面図
【図24】従来の睡眠時呼吸情報測定装置のブロック図
【符号の説明】
6、54 寝具としてのベッドパッド
7、8、46、49 呼吸センサー
9、47 判定手段としての制御装置
15、28、48 表示装置
22 記憶装置
23 枕部
24 血液中酸素飽和度測定センサー
10 胸郭部
12 腹部
27、50 判定装置
30〜38 寝姿勢検出手段としての呼吸センサー
42 体動検出手段としての呼吸センサー
45 音響センサーとしてのマイクロホン
53 駆動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】寝具に配設した呼吸センサーと、前記呼吸センサーの信号を基に無呼吸症を判定する判定手段を備えた睡眠時呼吸情報測定装置。
【請求項2】寝具である枕部に呼吸センサーとしての血液中酸素飽和度測定用センサーを設け、前記血液中酸素飽和度測定用センサーの信号を基に無呼吸症を判定する判定手段を備えた請求項1記載の睡眠時呼吸情報測定装置。
【請求項3】人体の胸郭部と腹部に対応する寝具の一部にそれぞれ少なくとも1つ以上の呼吸センサーを配設した請求項1記載の睡眠時呼吸情報測定装置。
【請求項4】胸郭部と腹部の2つの呼吸センサーの信号の位相差が略逆位相となることにより無呼吸症を判定する判定手段を備えた請求項3記載の睡眠時呼吸情報測定装置。
【請求項5】呼吸センサーの信号の自己相関係数が所定値以上になったことで呼吸センサーの信号が安定したことを判断した後に、呼吸周期または呼吸回数を測定して無呼吸を判定する判定手段を備えた請求項1記載の睡眠時呼吸情報測定装置。
【請求項6】呼吸センサーの信号の自己相関係数が所定値以上になったことで呼吸センサーの信号が安定したことを判断し、安定周期中の呼吸センサーの信号振幅の特定比率分をしきい値として測定した呼吸周期または呼吸回数によって無呼吸を判定する判定手段を備えた請求項1記載の睡眠時呼吸情報測定装置。
【請求項7】寝具に配設した呼吸センサーと、前記呼吸センサーの信号を基に無呼吸症を判定する判定手段と、無呼吸症が判定された前後の特定時間の睡眠情報を記憶する記憶装置を備えた睡眠時呼吸情報測定装置。
【請求項8】寝具に格子状に配設した複数個の振動検知型呼吸センサーと、前記振動検知型呼吸センサーの信号から寝姿勢を検出する寝姿勢検出手段と、前記振動検知型呼吸センサーの信号から呼吸情報を検出して無呼吸症を判定する判定手段とを備えた睡眠時呼吸情報測定装置。
【請求項9】寝具に配設した振動検知型呼吸センサーの信号を基に人体の体動を検出する体動検出器と、前記振動検知型呼吸センサーの信号から呼吸情報を検出して無呼吸症を判定する判定手段とを備えた睡眠時呼吸情報測定装置。
【請求項10】寝具に配設した音響センサーの信号と、前記寝具に配設した振動検知型呼吸センサーと、前記振動検知型呼吸センサーの信号から呼吸情報を検出して無呼吸症を判定する判定手段とを備えた睡眠時呼吸情報測定装置。
【請求項11】睡眠時の無呼吸症の発生情報および寝姿勢または体動特性を出力する表示装置を、寝具と一体または近接して設けた請求項1から請求項10のいずれか1項記載の睡眠時呼吸情報測定装置。
【請求項12】寝具に配設した呼吸センサーと、前記呼吸センサーの信号を基に無呼吸症を判定する判定手段と、前記判定手段からの信号を基に、寝具の形状を変化させる駆動装置を備えた睡眠時呼吸情報測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図9】
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【図12】
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【図6】
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【図11】
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【図14】
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【図16】
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【図17】
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【図7】
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【図10】
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【図24】
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【図8】
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【図23】
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【図13】
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【図15】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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