説明

睡眠時呼吸障害の適応性のある圧力治療のための方法及び装置

呼吸圧力治療装置は、睡眠時呼吸障害事象の存在時に圧力に対する変更を制御するための自動的な方法を含む。例示的な装置では、呼気中に患者を快適にするために、種々のレベルの呼気圧力軽減が様々な圧力減少を与えることができる(333−A、333−B、333−C)。気道開放の検出に基づいて、これらのレベルのための制御パラメータを自動的に変更することができる。同様に、幾つかの実施形態では、持続性閉塞の検出に基づいて、それらのレベルを自動的に調整することができる。更に別の実施形態では、気流制限の検出時に、吸気圧力治療の早期部分の立ち上がり時間に関連付けられた制御パラメータを自動的に調整して、睡眠時呼吸障害事象の治療のために、より快適な波形からより積極的な波形に変更できるようにすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は睡眠時呼吸障害の治療を制御するための方法及び装置に関する。より詳細には、本技術は、睡眠時呼吸障害の治療における圧力制御のための方法及び装置に関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本願は、2009年11月16日に出願された米国仮特許出願第61/261,562号の出願日の利益を主張するものであり、この仮特許出願は、その開示内容を引用することにより、本明細書の一部を成すものとする。
【背景技術】
【0003】
1993年4月6日に発行された特許文献1においてSullivan及びLynchによって記述されているように、閉塞性睡眠時無呼吸の発生を治療する手段として、持続的気道陽圧(CPAP)を加えることが用いられてきた。患者は、鼻マスク又は鼻カニューレによって陽圧空気源に接続される。患者によって呼吸される空気源は大気圧よりも僅かに高い。持続的気道陽圧を加えることは、上気道を支持し、安定させて、それにより上気道閉塞の発生をなくす「空気の副木(pneumatic splint)」と呼ぶことができるものを提供することがわかっている。持続的気道陽圧を加えることは、いびきをなくすのにも閉塞性睡眠時無呼吸をなくすのにも効果的であり、多くの場合に、中枢性無呼吸及び混合型無呼吸を治療するのに効果的である。
【0004】
1996年8月27日に発行された、Gruenkeに対する特許文献2では、混合型睡眠時無呼吸及び閉塞性睡眠時無呼吸を治療するために、患者の呼吸を容易にすることを目的とする装置が開示されている。そのデバイスは、吸息直前に患者の呼吸経路に送達される鼻空気圧を高めると言われており、その後に圧力を下げることによって、呼息努力を軽減すると言われている。
【0005】
特許文献3において、Sullivanは、睡眠中に吸気圧及び呼気圧を測定することによって、いびき及び異常呼吸パターンを検出し、それによって閉塞前の発作又は他の形の呼吸障害を早期に指摘するようにする方法を検討している。詳細には、呼吸パラメータのパターンが監視され、所定のパターンの検出時にCPAP圧を高めて、高い気道圧を与え、理想的には閉塞性の発作及び他の形の呼吸障害の発生を根絶する。
【0006】
1998年1月6日に発行された米国特許第5,704,345号においてBerthon-Jonesによって記述されているように、閉塞された呼吸を示す異常呼吸パターンを検知及び検出するための種々の技法が既知であり、その開示内容は引用することにより本明細書の一部を成すものとする。Berthon-Jonesは、無呼吸、いびき、及び呼吸気流制限、例えば、気流曲線の吸気部分の平坦化のような事象を検出することに基づく方法を記述している。検出された状態に応答して、治療圧力を自動的に調整することができる。また、Berthon-Jonesは、中枢性無呼吸を検出するための方法も記述している。
【0007】
閉塞を検出するための他の方法も用いられている。例えば、特許文献4及び特許文献5において、Rapoportは、制御された陽圧を最適化して、患者の気道内で気流制限が生じないことを確保しようと試みつつ、気流発生器からの空気の流れを最小限に抑えるための方法及び装置を開示していると言われている。患者の気道に向けられる制御された陽圧は、吸気流波形の形状から気流制限を検出することによって調整されると言われている。気流制限が検出されたか否か、及びそのシステムによって講じられた先行する措置に応じて、CPAP圧設定が上げられるか、下げられるか、又は維持される。
【0008】
特許文献6では、Remmersが、OSA(閉塞性睡眠時無呼吸)治療中に鼻圧のレベルを最適値に自動的かつ継続的に調節するためのシステムを記述していると言われている。吸気プロファイルの丸さ及び平坦さの程度を含む、吸気流の時間プロファイルの形状に関連するパラメータが求められる。その後、加えられた圧力を自動的に再評価し、患者の咽頭気道を十分に拡張させるために必要とされる最小圧を絶えず探すことによって、OSA治療が実施される。
【0009】
睡眠時呼吸障害を治療するための別のタイプのデバイスは、国際出願PCT/US2004019598号(国際公開第2004/112680号)及び対応する米国特許第7,128,069号においてFarrugia及びAlderによって開示されているデバイスであり、その開示内容は引用することにより本明細書の一部を成すものとする。患者に送達されるCPAP圧を調整して、検出された部分閉塞又は完全閉塞のような睡眠時呼吸障害事象を治療することができる。患者の呼気を検出すると、送達される圧力を、設定されたCPAP圧から僅かに下げることができる。高いCPAP圧に比べて、下げられた圧力において呼息する方が容易である場合があるので、この呼気圧力軽減(EPR)は、患者の呼息中に患者に快適さを与えることができる。その後、患者の吸気を検出すると、送達される圧力は設定されたCPAP圧に戻される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,199,424号
【特許文献2】米国特許第5,549,106号
【特許文献3】米国特許第5,245,995号
【特許文献4】米国特許第5,490,502号
【特許文献5】米国特許第5,803,066号
【特許文献6】米国特許第5,645,053号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
OSAを治療するためのそのようなデバイスを入手できるにもかかわらず、幾つかのデバイスを使用しても、或る睡眠時呼吸障害事象は依然として未治療のままであることがある。したがって、患者の快適さに対する要求とのバランスをとりながら、睡眠時呼吸障害の状態に対処するための改善された技法及びデバイスが必要とされる場合があることは理解されよう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本技術の或る例示的な実施の形態の一態様は、睡眠時呼吸障害を治療するために実施される、呼吸圧力治療装置のための自動制御方法に関連する。
【0013】
本技術の幾つかの実施の形態の別の態様は、睡眠時呼吸障害事象の検出時の圧力設定又は圧力制御パラメータに対する調整の自動制御である。
【0014】
幾つかの実施の形態において、呼気圧力軽減の種々のレベル又は大きさの自動制御が、呼気中に患者を快適にするために様々な圧力減少を提供することができる。幾つかの実施の形態において、これらのレベルのための制御パラメータは、無呼吸の検出及び/又は患者気流若しくは患者換気の尺度の減少の検出と同時に生じることがある気道開放の検出のような、気道開放の検出に基づいて自動的に変更することができる。同様に、幾つかの実施の形態では、それらのレベルは、持続性閉塞の検出に基づいて自動的に調整することができる。更に別の実施の形態では、気流制限の検出時に、吸気圧力治療の早期部分の立ち上がり時間に関連付けられた制御パラメータを自動的に調整することができる。これによって、睡眠時呼吸障害の治療のために、送達される圧力を、より快適な波形から、より積極的な(aggressive)波形に変更することができる。
【0015】
本技術の一態様によれば、例えば、睡眠時呼吸障害を治療する際に、適応的な形の気道陽圧治療が提供される。好ましくは、圧力−時間曲線の形状が、呼吸状態の検出に基づいて変更される。より好ましくは、気流制限、すなわち、気流の部分閉塞の検出に応答して、圧力−時間曲線をより積極的にすることができ、すなわち、気流制限、すなわち、部分閉塞が検出されない場合に比べて勾配を大きく又は急にすることができ、気流制限、すなわち、部分閉塞が検出されないとき、圧力−時間曲線の形状はより緩やかにすることができ、すなわち、勾配をより小さく又はより浅くすることができる。より好ましくは、圧力の初期の立ち上がりは、呼吸状態の検出に基づいて変更される。より好ましくは、患者の呼吸サイクルの呼気部分中の圧力−時間曲線が変更される。付加的な又は代替的な形態では、呼吸状態の検出に基づいて、患者の呼吸サイクルの呼気部分中の圧力変化の大きさが変更される。1つの形態では、第1のグループの呼吸事象の検出時に、呼息中の圧力変化の大きさが増加し、第2のグループの呼吸事象の検出時に、呼息中の圧力変化の大きさが減少し、第3のグループの呼吸事象の検出時に、呼息中の圧力変化の大きさは変更されない。好ましくは、第1のグループは気流制限の検出が行われないことを含む。好ましくは、第2のグループは気流制限の存在、又は気流制限の継続的な存在の検出を含む。1つの形態では、持続性閉塞を検出すると、呼吸サイクルの呼気部分中の圧力変化の大きさを変更しないまま、CPAP圧を高めることができる。
【0016】
1つの例示的な実施の形態では、呼吸圧力治療装置は、患者インターフェースに対して呼吸可能な気体の流れを生成する気流発生器を備える。任意選択で、本装置は、呼吸可能な気体の流れを測定するためのセンサを備えることができる。本装置のコントローラは、呼気及び吸気と同期する吸気圧部分及び呼気圧部分を有する呼吸可能な気体の流れを送達するよう気流発生器を制御するように構成される。この送達された流れにおいて、呼気圧部分は、吸気圧部分よりも低い圧力にあることができる。また、コントローラは、流れの測定からの気道開放性無呼吸の検出(例えば、呼吸がないこと又は気道制限された呼吸を検出することによる)を制御し、気道開放の検出に基づいて呼気圧部分の制御パラメータを変更し、呼気圧部分のための呼気圧の減少を依然として可能にしながら、呼気圧の減少を小さくするように構成することもできる。
【0017】
付加的に、又は代替的に、気流制限及び/又は気道開放の存否(the presence or absence)は、圧力センサを用いて検出される。付加的に、又は代替的に、人の呼吸状態を検出し、かつ/又は区別するために、努力センサが用いられる。付加的に、又は代替的に、人の呼吸状態を検出し、かつ/又は区別するために、移動センサが用いられる。
【0018】
本装置の幾つかの実施の形態では、気道開放の検出は、中枢性無呼吸の検出及び/又は中枢性呼吸低下の検出を含む。任意選択で、コントローラは、或る期間にわたって中枢性無呼吸がないことを検出するのに応答して、呼気圧部分の変更を中断するように更に構成することができる。
【0019】
更に別の実施の形態では、呼吸圧力治療装置は、呼気圧部分のうちの少なくとも1つが吸気圧部分のうちの少なくとも1つよりも低い圧力にあるような、単数又は複数の呼気圧部分及び単数又は複数の吸気圧部分を有する呼吸可能な気体の同期した流れを送達するように気流発生器を制御するコントローラも有することができる。また、コントローラは、流れの測定からの、流れに対する持続性閉塞の検出を制御し、持続性閉塞の検出に基づいて、呼気圧部分の制御パラメータを変更して、呼気圧部分中に送達される圧力を変更するように構成することもできる。
【0020】
幾つかのそのような実施の形態では、コントローラは、呼気相のための呼気圧の減少を小さくするよう呼気圧部分を変更するように構成される。任意選択で、コントローラは、気流制限の検出に応答して呼気圧部分の圧力の1つ又は複数の自動的な増加が行われた後に、呼気圧部分を変更するように構成することもできる。任意選択で、コントローラは、部分閉塞又は閉塞性無呼吸の検出によって気流制限を検出するように構成することができる。幾つかの実施の形態では、呼気圧部分を制御しながら変更することは、呼気相中に呼気圧力軽減を停止することを含むことができる。更に他の実施の形態では、コントローラは、或る期間にわたって閉塞がないことを検出するのに応答して、呼気圧部分の変更を中断するように構成することができる。
【0021】
本呼吸圧力治療装置の幾つかの実施の形態では、コントローラは、患者インターフェースにおいて吸気圧部分及び呼気圧部分を含む、同期した呼吸可能な気体の流れを送達するように気流発生器を制御し、該吸気圧部分が該呼気圧よりも高い第1の圧力においてピークに達するように構成することができる。次に、コントローラは、流れの測定からの気流制限の検出を制御し、該気流制限の検出に基づいて吸気圧部分の早期部分の圧力立ち上がり時間を変更するように更に構成することができる。次に、コントローラは、患者インターフェースにおいて呼吸可能な気体の更なる流れの生成を制御することができ、該呼吸可能な気体の更なる流れは、第1の圧力においてピークに達し、かつ変更された圧力立ち上がり時間に従って上昇する吸気圧部分を有する。例えば、幾つかのバージョンでは、気流制限の検出が、閉塞があることを表すときに、変更された圧力立ち上がり時間は、更なる流れにおいて、以前の流れの吸気圧部分よりも積極的な吸気圧部分を形成するように減少する。
【0022】
幾つかの実施の形態では、制御しながら変更することによって、気流制限の検出が、閉塞がないことを表すときに、圧力立ち上がり時間は、更なる流れにおいて、以前の流れの吸気圧部分よりも緩やかな吸気圧部分を形成するように増加する。
【0023】
幾つかの実施の形態では、早期部分の圧力立ち上がり時間の変更は、求められた気流制限に応じてルックアップテーブルから1組の値を選択することによって実施することができる。任意選択で、ルックアップテーブルは、異なる立ち上がり時間を有する複数の吸気圧波形を表す換算係数を含むことができる。
【0024】
本技術の幾つかの実施の形態では、呼気圧力治療装置が、患者インターフェースに対する呼吸可能な気体の流れを生成する気流発生器を備える。本装置のコントローラが、患者インターフェースにおいて呼吸可能な気体の流れを送達するように気流発生器を制御する。呼吸可能な気体の流れは呼吸サイクルと同期する。呼吸可能な気体の流れは呼気圧部分及び吸気圧部分も含み、該呼気圧部分のうちの少なくとも1つは、該吸気圧部分のうちの少なくとも1つよりも低い圧力にある。本装置において、コントローラは睡眠状態の検出を制御するように構成することもできる。コントローラは、睡眠状態の検出に基づいて、上記吸気圧部分の立ち上がり時間のための制御パラメータを変更するように更に構成することができる。
【0025】
例えば、コントローラは、睡眠を示す睡眠状態の検出に応答して、制御パラメータを調整して立ち上がり時間を短くすることができる。さらに、コントローラは、睡眠を示す睡眠状態の検出に応答して、制御パラメータを一定の比率で変更して立ち上がり時間を段階的に短くすることができる。任意選択で、コントローラは、覚醒状態を示す睡眠状態の検出に応答して、制御パラメータを調整して立ち上がり時間を長くする。またさらに、コントローラは、覚醒状態を示す睡眠状態の検出に応答して、制御パラメータを一定の比率で変更(ramp)して立ち上がり時間を段階的に長くすることができる。任意選択で、コントローラは、睡眠を示す睡眠状態の検出に応答して、睡眠時呼吸障害事象の検出に基づいて、立ち上がり時間のための制御パラメータを調整するための制御プロトコルを開始することができる。その上、コントローラは、覚醒状態を示す睡眠状態の検出に応答して、睡眠時呼吸障害事象の検出に基づいて、立ち上がり時間のための制御パラメータを調整するための制御プロトコルを解除することができる。
【0026】
本技術の更に別の実施の形態では、呼吸圧力治療装置が、患者インターフェースに対して呼吸可能な気体の流れを生成する気流発生器を備える。本装置のコントローラが、患者インターフェースにおいて呼吸可能な気体の流れを送達するように気流発生器を制御する。呼吸可能な気体の流れは呼吸サイクルと同期する。呼吸可能な気体の流れは呼気圧部分及び吸気圧部分を含み、該呼気圧部分の少なくとも1つは該吸気圧部分のうちの少なくとも1つよりも低い圧力にある。本装置のコントローラは換気の尺度の特定を制御することができる。次に、コントローラは呼気圧部分の制御パラメータに対する変更を制御し、呼気圧部分のための呼気圧の減少を依然として可能にしながら、呼気圧の減少を変更することができる。制御された変更は換気の尺度の関数である。例えば、換気の尺度の関数は、尺度と目標換気量との比較を含むことができる。そのような幾つかの場合、減少は、目標換気量が換気の尺度を超える場合には小さくされる。更に他の場合、減少は、換気の尺度が目標換気量を超える場合には大きくされる。
【0027】
幾つかの実施の形態では、コントローラは、上記呼気圧部分の立ち上がり時間のための制御パラメータに対する変更を制御するように構成することができ、該制御された変更は換気の尺度の関数である。例えば、換気の尺度の関数は、尺度と目標換気量との比較を含むことができる。幾つかの場合、立ち上がり時間は、目標換気量が換気の尺度を超える場合には大きくされる。幾つかの場合、立ち上がり時間は、換気の尺度が目標換気量を超える場合には小さくされる。
【0028】
本技術の更に別の実施の形態では、呼吸圧力治療装置が、患者インターフェースに対して呼吸可能な気体の流れを生成する気流発生器を備える。本装置のコントローラが、患者インターフェースにおいて呼吸可能な気体の流れを送達するように気流発生器を制御する。呼吸可能な気体の流れは呼吸サイクルと同期する。呼吸可能な気体の流れは呼気圧部分及び吸気圧部分も含み、該呼気圧部分のうちの少なくとも1つは該吸気圧部分のうちの少なくとも1つよりも低い圧力にある。任意選択で、コントローラは、終了前期間中に終了前圧力治療プロトコルの起動を制御することができ、該終了前期間において、吸気圧部分又は呼気圧部分の圧力を設定するための制御パラメータに対する変更が開始される。
【0029】
例えば、終了前圧力治療プロトコルの幾つかの実施の形態では、呼気圧部分の圧力を設定するための制御パラメータに対する変更は、呼気圧の減少を大きくすることを含む。終了前圧力治療プロトコルの幾つかの実施の形態では、吸気圧部分の圧力を設定するための制御パラメータに対する変更は、吸気圧の早期部分のための立ち上がり時間を短くすることを含む。終了前圧力治療プロトコルの更に別の実施の形態では、圧力を設定するための制御パラメータに対する変更は、ピーク吸気圧を一定の比率で下げることを含む。このピーク吸気圧は、終了前期間前の治療におけるピーク吸気レベルから、これも終了前期間前の治療からの、呼気圧部分の圧力レベルまでの範囲で、一定の比率で下げることができる。そのような場合、一定の比率で下げることは、終了前期間にわたってピーク吸気圧を段階的に下げることを含むことができる。そのような幾つかの実施の形態では、コントローラは、予め設定された終了時間に応じて、終了前期間を開始することができる。任意選択で、コントローラは、睡眠に起因する睡眠状態の経過時間を該コントローラによって検出するのに応じて、終了前期間を開始することができる。コントローラは、覚醒状態に起因する睡眠状態を該コントローラによって検出するのに応じて、終了前期間を開始することができる。
【0030】
記述される例示的な実施形態の種々の態様は、更に別の実施形態を実現するために、或る他の例示的な実施形態の態様と組み合わせることができる。
【0031】
本技術の他の特徴は、以下の詳細な説明に含まれる情報を検討することから明らかになるであろう。
【0032】
本技術は、限定ではなく例として添付図面の図に示され、図面中、同様の参照番号は同様の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本技術の呼吸圧力治療デバイスの例示的な構成要素を示す図である。
【図2】呼気圧力軽減制御のための例示的な方法の図である。
【図3】図2の方法に従って調整が行われる例示的な圧力波形を示す図である。
【図4】呼気圧力軽減制御のための更なる例示的な方法の図である。
【図5】図4の方法に従って調整が行われる例示的な圧力波形を示す図である。
【図6】本技術の圧力治療制御のための更なる例示的な方法の図である。
【図7】図6の例示的な方法に従って調整が行われる幾つかの例示的な吸気圧波形を示す図である。
【図8】図6の方法の例示的な実施形態による、例示的な吸気圧波形換算係数データを有するデータテーブルである。
【図9】本技術の例示的なコントローラアーキテクチャのブロック図である。
【図10】一定の比率で減少させる手順を示す圧力時間曲線のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本技術は、睡眠時呼吸障害(SDB)を患う患者を治療するための方法及びデバイスを含む。本技術を実施するための呼吸圧力治療装置102の1つの実施形態が図1に示される。この実施形態において、本デバイスは、1つ又は複数の制御方法に従って、SDB事象を検出し、治療圧力に変更を加えるコントローラ104を備える。装置102は、サーボ制御式ブロワ110のような気流発生器も備える。本装置は、送達管112及びマスク108のような、患者インターフェースと結合するように構成することができる。マスクは、任意選択で、鼻マスク、鼻及び口マスク、フルフェイスマスク若しくは鼻枕、又は大気圧若しくは周囲圧より高い1つ若しくは複数の圧力において圧力治療を可能にするように患者の呼吸器系を密封する他のデバイスとすることができる。
【0035】
また、装置102は、圧力センサ105及び/又は気流センサ106のようなセンサも含むことができる。そのような実施形態において、圧力変換器のような圧力センサ105は、ブロワ110によって生成された圧力を測定し、その圧力測定値を示す圧力信号p(t)を生成することができる。同様に、気流センサは、患者の呼吸流を表す信号を生成する。例えば、呼吸流量計及び差圧変換器、又は1束の管若しくは導管を利用して気流信号f(t)を導出するデバイスのような類似のデバイスを用いて、患者インターフェース108又は検知管(図示せず)に近接した流れを測定することができる。本装置の制御方法の目的を果たすために、他のセンサを用いて流れ又は圧力を示すデータを生成することもできる。
【0036】
1つ又は複数のプロセッサを備えるコントローラ104は、気流信号f(t)及び圧力信号p(t)に基づいて、ブロワ制御信号を生成する。例えば、コントローラは、所望の圧力設定点を生成し、その設定点と圧力センサの測定された状態とを比較することによって、設定点に適合するようにブロワをサーボ制御することができる。このようにして、コントローラ104は、ブロワ110によって患者インターフェースに送達される圧力を制御しながら変更することができる。任意選択で、そのような圧力変更は、機械的な放出弁(図示せず)によって排気を制御し、ブロワ速度を相対的に一定に維持しながら排気を増減することによって実施することができる。そのような圧力変更は、本明細書において後に更に詳細に検討されるように気流信号からのデータを解析することによって、コントローラにおいてSDB事象を自動的に検出することにより決定することができる。そのようなコントローラ又はプロセッサを用いて、本装置は、適切な圧力送達の式を調整することによって、睡眠時呼吸障害のための圧力治療のような、数多くの異なる圧力治療法のために用いることができる。
【0037】
したがって、コントローラ104は通常、本明細書において後に更に詳細に記述されるアルゴリズムのような特定の制御方法を実施するように構成されるプロセッサを含む。このために、コントローラは、集積チップ、メモリ及び/又は他の制御命令、データ若しくは情報記憶媒体を含むことができる。例えば、そのような制御方法を含むプログラム命令は、デバイスのメモリ内の集積チップにおいてコード化することができる。同様に又は代替的に、そのような命令は、適切なデータ記憶媒体を用いて、ソフトウェア又はファームウェアとしてロードすることができる。
【0038】
例えば、コントローラは、米国特許第7,128,069号によって記述されるような、呼気圧力軽減を伴うCPAP圧力治療をもたらすように構成することができ、その開示内容全体は、引用することにより本明細書の一部を成すものとする。したがって、コントローラは吸気ごとに治療CPAP圧を設定することができ、その圧力は(睡眠時呼吸障害事象を治療するために自動的に又は手動で)選択することができ、コントローラは、本明細書において検討される制御方法に応じて、呼気圧力軽減(EPR)のために選択された減少レベルだけ圧力を下げることができる。EPRレベルは、呼吸を患者にとってより快適にすることができる。例えば、そのようなEPR制御方式は、圧力減少の幾つかの異なるレベル又は大きさを用いて実施することができる(例えば、レベル0=0cmHO;レベル1=1.5cmHO、レベル2=2cmHO、レベル3.5=3cmHO)。更なるEPRレベルも実施することができ、他の圧力量を各レベルに関連付けることもできる。したがって、SDBを治療するために、CPAP圧が8cmHOに規定されるか、又は自動的に調整され、レベル2EPRが選択される場合には、吸気中の圧力はCPAP圧になり、呼気中の圧力は6cmHOに下げられることになる。センサからのデータに基づいて患者吸気相(すなわち、トリガリング)及び呼気相(すなわち、サイクリング)を検出するための既知の方法は、圧力変化が呼吸サイクルと同期するように実施することができる。現在設定されているEPRレベルがより低い圧力に関連付けられる別のレベルに変更されるとき、その結果として、圧支持(「PS」)が減少することになる。ただし、圧支持は吸気圧レベル(「IPL」)と呼気圧レベル(「EPL」)との差(すなわち、PS=IPL−EPL)とみなされる。
【0039】
A. 気道開放EPR調整
患者によっては、EPRのレベルは、周期性変動呼吸に関する既存の素因を増幅するのに十分な場合がある。二重レベル波形は、快適であり、かつ非効率的な形の換気であるが、動脈COを無呼吸しきい値未満まで引き下げ、中枢性無呼吸を引き起こす可能性がある。その後、患者は、(CO正常呼吸(eupneic)しきい値に達するときに)呼吸を開始することになる。これは、チェーン・ストークス呼吸に類似の周期性変動呼吸シーケンスを構成する場合がある。したがって、本技術の幾つかの実施形態では、EPRのレベルの選択を、1つ又は複数のSDB事象の検出に基づいて自動化し、そのような状況を最小限に抑えることができる。
【0040】
コントローラ104の1つのそのような例示的な方法又はアルゴリズムが図2の流れ図に示される。220において、コントローラは、患者インターフェースにおいて呼吸可能な気体の流れを生成するように呼吸圧力治療装置102を制御する。呼吸可能な気体の流れは、例えば、センサからの圧力及び/又は気流データの解析を通じて吸気又は呼気を検出するときに患者の呼吸サイクルと同期させることができる。その際、呼吸可能な気体の生成された流れは、EPRレベルが吸気圧部分よりも低い圧力において呼気圧部分を確立するように、吸気圧部分及び呼気圧部分を含むことができる。222において、患者インターフェースに対する呼吸可能な気体の流れは、例えば、気流センサ106を用いて測定される。
【0041】
224において、流れの測定に基づいて、コントローラは、気道開放があるか否かを検出し、幾つかの実施形態では、それは無呼吸(an apnea)の検出、及び/又は患者気流体積若しくは患者換気の尺度の低下の検出と同時に生じる場合がある。例えば、コントローラは、中枢性無呼吸又は中枢性呼吸低下が生じているか否かを判断することができる。1つのそのような実施形態では、中枢性無呼吸の検出は、米国特許第5,704,345号において記述される方法のいずれかによって行うことができる。例えば、中枢性無呼吸の検出は、患者の呼吸流がしきい値未満まで著しく低下したことと併せて、気道の開存性(例えば、気道開放)を判断することによって行うことができる。開存性の判断は、患者の気道に既知の周波数の振動性圧力波形を加え、振動性圧力波形によって誘発される既知の周波数における気流信号の成分の大きさを計算し、計算された大きさをしきい値と比較することによって実行することができる。中枢性無呼吸を検出するための他の方法も実施することができる。
【0042】
幾つかの実施形態では、呼吸低下及び気道開放の両方を検出することによって、中枢性呼吸低下を判断することができる。例えば、以下のこと、すなわち(a)睡眠中に或る期間(例えば、少なくとも10秒)にわたって継続する呼吸又は換気の部分的な低下、及び(b)部分閉塞又は気道開放のいずれかがないこと、を検出することができる。例えば、コントローラは、流れの測定から、流れの測定された体積が少なくとも50%だけ10秒間低下したと判断することができる。また、コントラローラは米国特許第5,704,345号において検討されるような平坦化指標を用いて流れの平坦化が存在しないことを検出することによって、気流制限(例えば、部分閉塞)がないとみなすこともできる。米国特許第5,704,345号に記載されているように開存性を検出することもできる。平坦化指標は、患者の吸気波形からの気流データを用いて計算される実数とすることができる。気流信号の丸さ(roundness)の程度から、部分閉塞がないことを判断することもできる。呼吸低下、気道開放、呼吸の部分低下及び部分閉塞を検出するための他の方法を実施することもできる。更に例を挙げると、2009年6月5日に出願された「Methods and Devices for the Detection of Hypopnoea」と題する米国特許出願第61/184,592号に開示されるような、呼吸低下を判断するための方法を実施することもでき、その開示内容は引用することにより本明細書の一部を成すものとする。同様に、気流制限、又は気流制限がないことを判断する方法は、2008年5月9日に出願の国際出願PCT/AU2008/000647号(国際公開第2008/138040号)に従って実施することもでき、その開示内容は引用することにより本明細書の一部を成すものとする。
【0043】
ステップ226において、コントローラは、呼気圧部分のための呼気圧の減少を依然として可能にしながら、呼気圧の減少を小さくするように、気道開放の検出に基づいて呼気圧部分の制御パラメータを変更することができ、その検出は無呼吸及び/又は患者気流の減少の同時検出に対応することができる。例えば、EPRレベルが現在レベル3に設定されている場合には、中枢性無呼吸又は中枢性呼吸低下状態のいずれかを検出する際に、EPRレベルをレベル2にデクリメントすることができる。それに応答して、気流発生器は、後続の呼気相中に送達される圧力減少を小さくする。EPRは治療圧力(例えば、CPAP治療圧力)の吸気レベルからの減少であるので、圧力減少をこのように小さくする結果として、圧支持(PS)が減少することは理解されよう。
【0044】
幾つかの実施形態では、中枢性無呼吸又は中枢性呼吸低下状態がコントローラによって継続して検出されると(又は追加的に検出されると)、EPRレベルを更にデクリメントすることができる。十分な数の中枢性無呼吸が検出された場合には、EPRレベルをEPRレベル0までデクリメントすることができる。そのような場合、コントローラの制御下で気流発生器によって送達される圧力は本質的に、吸気及び呼気の双方にわたって、相対的に一定の圧力となるであろう。本技術の幾つかの実施形態では、治療セッションの患者の呼吸サイクルの後続の呼気相中にCPAP圧が送達され続けるように、EPR減少のこの終了は、その治療セッションの残りの部分(例えば、夜間睡眠セッション)にわたって継続することができる。そのような場合、新たな治療セッションのために装置がリセット又はリスタートされると、EPR減少もリセットすることができる。
【0045】
しかしながら、本技術の幾つかの実施形態では、コントローラが、検出後休止時に或る期間にわたって無呼吸及び/又は患者気流体積の低下に対応する気道開放がないことを検出する場合には、その後、EPRレベルをインクリメントすることができる。例えば、数分後に、又は所定の回数の呼吸サイクル後に、中枢性無呼吸及び中枢性呼吸低下がもはや検出されない場合には、EPRのレベルを最大快適レベル(例えば、EPRレベル3)までインクリメント又はリセットすることができる。任意選択で、気道開放性無呼吸又は患者気流減少が継続して検出されないときに最大のEPR快適圧力設定を与えるために、EPRレベルのインクリメントは、EPRを最終的に最大レベルまで上げるように段階的に行うことができる。例えば、数分後に、又は所定の回数の呼吸サイクル後に、中枢性無呼吸及び中枢性呼吸低下が依然として検出されない場合には、EPRの更なるインクリメントを行うことができる。
【0046】
そのような制御方法による例示的な圧力治療が図3に示される。T1において示されるように、その波形は最初に、ライン333−AにおいてEPRレベル3にある圧力治療を示す。T2において示されるように、中枢性無呼吸又は中枢性呼吸低下を検出すると、EPRレベルが、ライン333−Bにおいて示されるEPRレベル2まで下げられる。T3において示されるように、中枢性無呼吸又は中枢性呼吸低下を継続して検出すると、EPRレベルは、ライン333−Cにおいて示されるERPレベル1まで再び下げられる。T4において示されるように、中枢性無呼吸又は中枢性呼吸低下を依然として検出し続けると、EPRレベルは、呼吸サイクルの両方の相(すなわち、吸気及び呼気)中にCPAP圧と同じ圧力にとどまるように、再びEPRレベル0まで下げられる。T5において示されるように、その後、検出後休止後に、選択されたレベルのEPRを再開することができる。任意選択で、この再開設定は、図示されるように最も快適な設定(例えば、EPRレベル3)にすることもできるし、そのレベルは最も快適な設定まで段階的にインクリメントすることもでき、各インクリメントは、中枢性事象が検出されなくなってから或る期間(例えば、数分又は選択された回数の呼吸サイクル)後に行われる。
【0047】
B. 持続性閉塞EPR調整
本技術の幾つかのバージョンでは、EPRのレベルの選択は、図4の流れ図に示されるようなコントローラ104の例示的な方法又はアルゴリズムによって、1つ又は複数のSDB事象の検出に基づいて自動化することができる。440において、コントローラは、患者インターフェースにおいて呼吸可能な気体の流れを生成するように呼吸圧力治療装置102を制御する。呼吸可能な気体の流れは、例えば、センサからの圧力及び/又は気流データの解析を通じて吸気又は呼気を検出するときに、患者の呼吸サイクルと同期することができる。その際、呼吸可能な気体の生成された流れは、EPRレベルが吸気圧部分よりも低い圧力において呼気圧部分を確立するように、吸気圧部分及び呼気圧部分を含むことができる。442において、患者インターフェースに対する呼吸可能な気体の流れは、例えば、流れセンサ106を用いて測定される。
【0048】
444において、流れの測定に基づいて、コントローラは、流れに対する持続性閉塞があるか否かを検出する。例えば、持続性閉塞の検出は、数分(例えば、5分以上)、又は或る呼吸サイクル回数(例えば、10回以上)のような或る期間中にほとんど変化しない、気流制限、部分閉塞、閉塞性無呼吸、気流平坦化、及び/又は気流丸みの尺度から判断することができる。そのような期間中に、コントローラは、吸気中に送達されるCPAP治療圧力を1回又は複数回継続的に高めることによって、検出された閉塞を治療しようと試みることができるが、設定されたEPRレベルは変更されないままである。したがって、この治療調整期間中に、圧支持は同じままにすることができる。幾つかの実施形態では、或る治療圧力まで繰返し変更するにもかかわらず、閉塞が検出されること(例えば、(a)CPAP圧を数段階高めたが、部分閉塞が継続的に存在すること、又は(b)最大CPAP圧までのそのように数回圧力を高めたが、部分閉塞が継続的に存在すること)に基づいて、持続性閉塞を判断することができる。
【0049】
446において、その後、コントローラ104は、持続性閉塞の検出に基づいて、呼気圧部分のうちの少なくとも1つのための制御パラメータを自動的に変更し、呼気圧部分中に送達される圧力を変更する。例えば、1つ又は複数の治療変更が閉塞を解消せず、かつ/又は検出された気道閉塞がその期間にわたって存在し続ける場合には、持続性閉塞のこの検出は、現在設定されているEPRレベルのデクリメントのような、EPRレベルの減少を制御するためのロジックとしての役割を果たすことができる。更なる期間(数分又は数サイクル)の後に、依然として持続性閉塞状態である場合には、EPRレベルを再びデクリメントすることができる。更なるデクリメントを実施して、EPRレベルを最終的に、呼気中に圧力減少が行われないEPRレベル0まで下げることもできる。
【0050】
そのような制御方法による例示的な圧力治療が図5に示される。TT1において示されるように、その波形は最初にライン555−AにおいてEPRレベル3にある圧力治療を示す。TT2において示されるように、部分閉塞(例えば、気流平坦化、丸さの程度、又は気流制限等)を検出すると、CPAP治療圧力又はSDB治療圧力を高めることができる。ライン555−AにおいてEPRレベルは変更されないので、圧支持(PS)は、TT1において先行する呼吸サイクルに対して同じままである。
【0051】
TT3において、別の閉塞が検出されるか、又は同じ閉塞が検出される。持続期間PPは経過していないので(これは、タイマ又は呼吸サイクルカウンタ及びしきい値によって判断できる)、CPAP圧力治療の上昇が適用される。ここでも、以前に設定されたEPRレベル及び圧支持PSは同じままである。
【0052】
しかしながら、TT4において、閉塞が依然として検出され、持続期間PPが経過したか、又は最大CPAP圧に達したので、ライン555−Bにおいて示されるように、呼気圧力軽減が減少するようにEPRレベルがデクリメントされる。結果として、圧支持も下げられる。TT5において再び、閉塞が依然として検出されるので、ライン555−Cにおいて示されるように、呼気圧力軽減が減少するようにEPRレベルがデクリメントされ、それに伴って結果として圧支持も下げられる。同様にTT6において、閉塞が依然として検出されるので、呼気中に吸気のCPAP圧を維持するように、呼気圧力軽減がEPRレベル0まで下げられるようにEPRレベルがデクリメントされる。最後に、TT7において、閉塞はもはや検出されず、上記で言及されたような任意選択の休止期間が経過している。したがって、EPRレベルを最も快適な設定にインクリメント又はリセットすることができる。しかしながら、この技術の幾つかの実施形態では、EPRレベル0に達して、EPR減少が終了されると、治療セッションの残りの部分(例えば、夜間睡眠セッション)にわたって、又は新たな治療セッションのために装置がリセット又はリスタートされるまで、この終了は継続することができる。
【0053】
上記の圧力治療の例示では、そのような各サイクルにおいて閉塞が検出される場合、連続した呼吸サイクルにおいて、EPRレベルの連続した減少を制御することができる。しかしながら、幾つかの実施形態では、EPRレベルの更なる減少が行われる前に、新たなEPRレベル設定において、検出された閉塞に影響を与える機会をデバイスに与えるために、任意選択の休止期間(例えば、数呼吸サイクル)後に、連続した各減少を行うことができる。そのような変更の一例が、時間マーカTT5とTT6との間に示される。
【0054】
付加的に、図3及び図5の例示される圧力波形は、最も低いEPRレベルに達するまで、EPRレベル設定に対する増加が行われないことを示すが、閉塞又は中枢性呼吸低下若しくは中枢性無呼吸が検出されない場合に、そのような増加は最も低いEPRレベル(すなわち、EPR圧力減少を伴わないレベル)の前に行うこともできる。したがって、図5において、TT5において閉塞が検出されず、任意選択の休止期間が経過した場合には、デバイスの制御によってEPRレベルの増加を行い、CPAP治療圧力からの呼気圧の減少を大きくすることができる。同様に、図3において、T3において中枢性事象が検出されず、かつ任意選択の休止期間が経過した場合には、デバイスの制御によってEPRレベルの増加を行い、CPAP治療圧力からの呼気圧の減少を大きくすることができる。
【0055】
任意選択で、上記の特徴のうちの1つ又は複数を最終呼吸圧への自動調整のための方法(オートEEP)と組み合わせることができる。気道閉鎖性無呼吸を解消しようと試みる際に、例えば、コントローラ内でオートEEPアルゴリズムを実施して最終呼気圧への調整を行うこともできる。これらの調整は、EPRレベルを減少することになる上記の調整を行う前に、それゆえ、圧支持に対する任意の減少を行う前に試みることができる。任意選択で、EEPアルゴリズムは、閉塞性無呼吸を解消するために必要とされる最小圧であるEEPを求めることもできる。その際、これは、呼気中に設定された圧力が確立された最小EEP未満に降下できるようにするEPRレベルの自動選択を避けるように実施することができる。例えば、より高いEPRレベルにインクリメントするとき、取り得る合成呼気圧力(すなわち、CPAP_圧力−EPR_圧力)を最初に比較し、合成圧力が最小EEPよりも高くなる場合にのみ、EPRレベルを変更できるようにすることができる。
【0056】
本技術の更に別の変更形態では、SDB事象の検出に基づく圧力調整は、CPAP治療圧力に対する変更を行う前に、EPRレベルに対して行うことができる。例えば、コントローラのロジックは、1つ又は複数のSDB事象が検出されるときに、EPRレベルを自動的に下げるように構成することができる。これは、徐々に増加するように行うことができる。或る期間が経過したが、以前として閉塞が検出される場合、又はEPRを徐々に増加しながら(漸次)レベル0まで下げたが、依然としてSDB事象が検出される場合のように、問題が持続する場合には、CPAP治療圧力に対して自動調整を行うことができる(例えば、最大CPAP治療圧力まで、CPAP圧を自動的にインクリメントする)。CPAP治療圧力レベルのそのような自動制御を用いるデバイスの一例が、米国特許第5,704,345号において記述される。任意選択で、そのような自動圧力調整は、圧力曲線をシフトすることによって行うことができる。
【0057】
C. 閉塞性気道吸気調整
本技術の幾つかの実施形態では、EPR設定によって下げられた圧力のレベルから、吸気中のCPAPレベルに圧力を戻すための制御設定を、1つ又は複数のSDB事象の検出に基づいて自動的に調整することもできる。コントローラ104のそのような自動制御方法又はアルゴリズムの一例が、図6の流れ図に示される。660において、コントローラは、患者インターフェースにおいて呼吸可能な気体の流れを生成するように呼吸圧力治療装置102を制御する。呼吸可能な気体の流れは、例えば、センサからの圧力及び/又は気流データの解析を通じて吸気又は呼気を検出するときに、患者の呼吸サイクルと同期することができる。その際、呼吸可能な気体の生成された流れは、吸気圧部分及び呼気圧部分を含むことができる。EPR設定によれば、吸気部分は、呼気中に送達される圧力よりも高い圧力においてピークに達することができる。662において、患者インターフェースに対する呼吸可能な気体の流れは、例えば、気流センサ106を用いて測定される。664において、流れの測定に基づいて、部分閉塞又は気流制限の尺度が求められる。
【0058】
666において、気流制限の検出に基づいて、コントローラは、吸気圧部分の早期部分の圧力立ち上がり時間を変更することができる。その後、コントローラは、患者インターフェースにおける呼吸可能な気体の更なる流れの生成を制御することができ、その吸気圧は先行する吸気サイクルからの圧力においてピークに達するが、圧力立ち上がり時間変更に従って上昇する。
【0059】
上記の方法によって制御することができる例示的な吸気圧波形が図7のグラフに示される。この例では、異なる波形の数は変更することができるが、4つの吸気波形が示されており、それらの波形は部分閉塞又は気流制限の検出に応じてコントローラによって選択的に生成することができる。図に示されるように、波形777Aは、最も積極的でない吸気波形とみなすことができる。CPAP圧力レベルにおいて共通のピークを有するとみなすとき、残りの波形777B、777C及び777Dは、その早期部分(例えば、T/2における吸気中間点の前方)において、基準圧力レベルP1refに関する立ち上がり時間R3、R2及びR1を有し、それらの立ち上がり時間は波形777Aの早期部分の立ち上がり時間R4よりも短い。共通のCPAP圧力レベルにおけるピークを考えるとき、後期部分も異なる立ち上がり時間を有することができる。その例では、基準圧力レベルP1ref及びP2refに関して、波形777Aの後期部分における立ち上がりは、波形777Bの立ち上がり時間(R7−R3)よりも短い立ち上がり時間(R8−R4)を有する。同様に、波形777Aは、波形777Cの立ち上がり時間(R6−R2)よりも短く、波形777Dの立ち上がり時間(R5−R1)よりも短い立ち上がり時間(R8−R4)を有する。
【0060】
図に示されるように、それらの波形の早期部分は徐々に積極的になると特徴付けることができる。この関連で、波形777Bは777Aよりも積極的である。同様に、波形777Cは777Bよりも積極的であり、波形777Dは777Cよりも積極的である。本技術の実施形態では、気流発生器は、検出された閉塞性事象に応じて、徐々に、より積極的な波形を送達することができる。
【0061】
例えば、スケーリング関数のために、又は圧力対時間吸気流曲線を調整するためのルックアップテーブルへのインデックスのために、閉塞又は気流制限指標を用いることができる。一例が図8のテーブルに示されており、それは以下のような圧力送達の式において実現することができる。
圧力=[RESP*EPR*F(O,T)]+[CPAP−EPR]
ただし、
RESPは、吸気検出の場合に1、呼気検出の場合に0であり;
CPAPは、睡眠時呼吸障害事象の治療のための治療圧であり;
EPRは、現在設定されているEPRレベルの圧力であり;
は気流制限指標又は気流平坦化指標のような閉塞指標であり;
は吸気中の時間インデックスであり;
Fは吸気時間インデックス(例えば、T、T、T...T)及び閉塞指標に基づいて、図8に示されるテーブルからの立ち上がり時間換算係数を得るための関数である。テーブルのこのデータは、図7に示される立ち上がり時間プロファイルを表すデータに従って圧力設定の調整を実施することができる。この例では、部分閉塞の程度がより高い、高い閉塞指標ほど、圧力波形の早期部分の立ち上がり時間が短く、より積極的な波形を実現する。部分閉塞の程度が低い、低い閉塞指標ほど、圧力波形の早期部分の立ち上がり時間が長く、より積極的でない吸気波形を実現する。しかしながら、吸気中のピーク圧力は依然としてCPAP治療圧力まで上がることができる。このCPAP治療圧力設定は、他の方法によって(例えば、自動検出又は手動設定によって)決定し、調整することができる。呼気を検出すると、その圧力の式は、CPAP治療圧力設定未満のEPRレベルに圧力を調節する。
【0062】
したがって、呼気圧力軽減(EPR)と、より積極的でない吸気波形(例えば、緩やかな立ち上がり時間)とを有するそのようなシステムによれば、SDB患者は、眠り込むときに、又は覚醒状態から睡眠状態に移行するときに、より大きな快適さを経験することができる。しかしながら、患者が睡眠状態に入ると、このように快適さを調整する必要はない場合がある(ただし、〜14cmHOより高い圧力のような、高いCPAP圧力治療設定の場合は除く。その場合には睡眠中でも確かに快適さを改善することになる)。
【0063】
例えば、睡眠中の緩やかな立ち上がり時間によって、患者の気道は部分閉塞を経験し始めるようになり、不安定になることがある。圧支持(PS)が十分に積極的でない場合には、結果として気道が潰れる場合がある(閉塞性無呼吸)。したがって、患者が眠り始め、かつ閉塞指標が0にあるとき、送達される波形は、最も積極的ではなく、かつ最も快適であり、それにより患者がより容易に眠り込むことができるようにする。しかしながら、患者の気道が閉塞し始め、気流制限が検出されるとき、閉塞指標は増加し、それにより、上記の方法に従って波形の早期吸気部分の積極性を高めるように波形を適合させることになる。
【0064】
D. 睡眠状態に基づく圧力調整
本技術の幾つかの実施形態では、呼吸圧力治療装置102を用いて、EPRのレベル及び/又は早期吸気圧の積極性のような圧力調整を患者の睡眠状態の検出に基づいて自動化することができる。そのような実施形態では、コントローラは、睡眠状態検出器として、又は睡眠状態検出器を用いて実現することができる。例えば、コントローラは、脳波(EEG)、心電図検査(ECG)、血液ガス飽和(例えば、パルスオキシメータ)、エフォートバンド(Effort Bands)、加速度計、非接触呼吸流/ECGセンサ、呼吸流センサ及び/又は患者の睡眠状態を判断又は計算する任意の他のセンサ手段のうちの1つ又は複数からの信号又はデータを用いることができる。このようにして、コントローラは、それらの信号又はデータに基づいて、覚醒状態、REM睡眠状態、NREM睡眠状態を区別するように構成することができる。適切な睡眠状態検出器の一例が国際出願PCT/AU2010/000894号に記述されており、その開示内容は引用することにより本明細書の一部を成すものとする。その際、そのようなコントローラは、本装置のメモリ内にある種々の検出可能な睡眠状態に関連付けられるEPR設定及び/又は立ち上がり時間設定を有することができる。
【0065】
そのようなコントローラによれば、EPRは主に快適機能として用いることができ、呼吸が依然として或るレベルの自発的制御を有する覚醒状態/睡眠開始中の低い圧力に対して患者が呼息するのを助ける。この際、REM睡眠状態及びNREM睡眠状態中に、コントローラはEPRを実施する必要がない場合もある。したがって、本技術の幾つかの実施形態では、覚醒状態が検出されるときに起動され、かつ/又はREM若しくはNREM状態が検出されるときに停止されるように、睡眠状態に応じてEPRを起動又は停止することができる。
【0066】
幾つかの実施形態では、治療装置のコントローラは、睡眠状態に基づいて、以下の治療オプションのうちの1つ又は複数を用いて、EPR及び/又は吸気圧立ち上がり時間の積極性を設定するように構成することができる。
【0067】
i.)検出された覚醒状態中に、コントローラによって、EPRを高いレベル(例えば、EPRレベル3)に設定することができる。患者の睡眠状態が、睡眠状態(REM又はNREMいずれかの状態)に変化したことをコントローラが検出すると、コントローラは、EPRレベルを、覚醒レベル(例えば、高いか又はより高いEPR)から睡眠レベル(例えば、低いか若しくはより低いレベル、又は0レベルのEPR)に下方調整することができる。任意選択で、EPRがコントローラの設定時に予め設定することができる所望の睡眠レベルに達するまで、予め設定された期間(例えば、連続した5分間隔ごとに1レベル)、又は予め設定された呼吸サイクル回数(例えば、10回の呼吸サイクルが検出される度に1レベル)にわたって、以前に設定されたEPRレベルを連続してデクリメントすること等によって、この調整は一定の比率で下げることができる。
【0068】
そのような実施形態では、睡眠中のEPRレベルは、その患者にとって相応しいように、任意の適切な、又は予め設定されたEPRレベルに(例えば、レベル3からレベル0に、又はレベル3からレベル1に)下げることができる。その後、患者が睡眠中であり、コントローラが覚醒状態への移行を検出する場合には、コントローラは、現在設定されている睡眠レベルから適切な覚醒レベルに、例えば、一定の比率で上げることによって、EPRレベルを上げるように構成することができる。任意選択で、一定の比率で変更する期間(上げるか又は下げるかのいずれか)を医師からの入力によって任意の値に設定して、患者にとって相応しいように、コントローラの構成パラメータを調整することができる。このようにして、コントローラは、EPRレベルが所望の覚醒(又は睡眠)レベルに設定されるまで、予め設定された期間(例えば、連続した5分間隔ごとに1レベル)、又は予め設定された呼吸サイクル回数(例えば、10回の呼吸サイクルが検出される度に1レベル)にわたって、EPRレベルを連続してインクリメント(又はデクリメント)することができる。
【0069】
ii.)検出された覚醒状態中に、コントローラは、EPRレベルを調整又は設定することができ、上記で検討されたように、立ち上がり時間を適切なレベルに調整及び/又は設定することもできる。患者の睡眠状態が睡眠状態(例えば、REM状態又はNREM状態のいずれか)に変更されたことをコントローラが検出すると、コントローラは、吸気波形の早期部分の立ち上がり時間設定を睡眠レベルに(例えば、その応答の性質上、より積極的になるように)下げることができる。任意選択で、選択された期間又は呼吸サイクル数などにわたって徐々に変更されるように、この減少は、徐々に増加する変化とすることができる。このようにして、睡眠状態との関連を有するように、装置内に適切な立ち上がり時間を予め設定することができる。この予め設定される立ち上がり時間は、医師、又は患者に対して治療を施している任意の別の人によって手動で入力することもできる。
【0070】
任意選択で、睡眠を示す睡眠状態が検出されると、上記で検討された自動制御アルゴリズムを開始することができ、そのアルゴリズムは、SDB事象(例えば、気流平坦化又は閉塞)の自動検出に基づいて、そのような事象が検出される場合にはより積極的な立ち上がり時間を、そのような事象が検出されない場合にはより積極的でない立ち上がり時間を徐々に与えるように、立ち上がり時間(吸気部分積極性)を調整する。患者が睡眠中であり、覚醒状態に移行する場合には、立ち上がり時間を覚醒レベルに(それにより、応答の性質を積極性が低くなるように)変更する(例えば、徐々に増加するように一定の比率で変更する)ことができる。その後、この覚醒状態は、SDB事象の検出に応答して立ち上がり時間を変更する制御プロトコルの解除を制御するための根拠としての役割を果たすこともできる。
【0071】
E. 換気による圧力調整
幾つかの実施形態では、コントローラは、換気の尺度を求めるように構成することができる。そのような尺度は、例えば、一回換気量のような気流信号から導出される体積、毎分換気量、又は気流信号を二等分してローパスフィルタに通した絶対値とすることができる。換気の他の尺度を実現することもできる。換気のそのような尺度は、さらには、EPRレベル及び/又は立ち上がり時間プロファイルを選択又は設定するためのコントローラのロジックの一部としての役割を果たすことができる。この関連で、EPRレベル又は立ち上がり時間プロファイルは、無呼吸指標、気流平坦化、いびき等)の閉塞性呼吸検出指標ではなく、換気パラメータに応答して設定することができる。例えば、或る減少の検出のような換気尺度は、EPRレベルの減少、及び/又はより積極的な吸気立ち上がり時間プロファイル(例えば、より短い立ち上がり時間を有するプロファイル)を制御することができる。さらに、換気尺度の増加の検出は、EPRレベルの増加、及び/又はより積極的でない吸気立ち上がり時間プロファイル(例えば、より長い立ち上がり時間を有するプロファイル)を制御又は可能にするための役割も果たすことができる。1つのそのような実施形態では、換気が或るしきい値量だけ目標換気量(例えば、予め設定された換気目標値、又は先行する治療セッション若しくは先行する治療期間から求められる平均換気量等)未満に降下する場合には、その降下は、EPRレベルを下げるように、かつ/又は圧力波形の早期吸気部分の立ち上がり時間の積極性を高めるように、コントローラをトリガーすることができる。更なる換気量の降下は、EPRレベルをまた更に下げるように、かつ/又は立ち上がり時間を或る最小値までまた更に短くするようにトリガーすることができる。同様に、1つのそのような実施形態では、換気が目標換気量よりも或るしきい値だけ高くなる場合には、その上昇は、EPRレベルを上げるように、かつ/又は圧力波形の早期吸気部分の立ち上がり時間の積極性を下げるように、コントローラをトリガーすることができる。更なる換気量の上昇は、EPRレベルをまた更に上げるように、かつ/又は立ち上がり時間を或る最大値までまた更に長くするようにトリガーすることができる。
【0072】
F. 或る再発事象
幾つかの実施形態において、幾つかの再発SDB事象、過換気及び/又は中枢性無呼吸になるほど長くない長い休止が検出される場合、圧力に対する自動調整は、圧支持ベースラインの増加及び圧支持の減少、又はCPAP及び圧支持の減少を含むことができる。
【0073】
G. 終了前治療調整
幾つかの実施形態において、コントローラは、治療セッションの終了が予想又は検出されるのに合わせて、治療プロトコルに対する調整を行うように構成することができる。これにより、患者が眠りから目覚める時刻に、又はその時刻の近くに、より治療効果のある(例えば、より高い)レベルから、より快適な(例えば、より低い)レベルへの圧力変更を開始することによって、患者がより快適に目覚めることを可能にすることができる。そのような治療調整は、慢性閉塞性肺疾患(C.O.P.D.)患者の場合のように、睡眠中により高い治療レベルが利用される場合に特に役に立つことができる。
【0074】
例えば、コントローラはタイマ又はクロックを備えることができ、そのデバイスを使用する患者が眠りから目覚めることになる特定の時刻、及び/又はその装置の電源が(自動的に、又は手動で)切られることになる特定の時刻に、時間しきい値を(例えば、患者が)決定又は設定することができる。したがって、設定された時刻は、装置のタイマ又はクロックと比較することができるタイミングしきい値としての役割を果たすことができる。その際、この設定された時刻は起床時間、又は患者が呼吸治療装置による現在の治療セッションを中止することになる時刻を表すことができる。そのような終了時刻を用いて、コントローラは終了前制御方法を用いて構成することができ、その方法は、患者が目覚めることになるか、又は装置の電源が切られることになる終了時刻の直前の期間中(例えば、数分等)に、その患者のためのデバイスの治療設定を変更する。例えば、装置のタイマが、タイミングしきい値から終了前期間の時間の長さを引いた値を超えるときに、この終了前期間を開始することができる。終了前治療プロトコルは、この期間中にコントローラによって開始することができる。
【0075】
例えば、幾つかの実施形態では、この終了前期間中に、EPRを開始する(例えば、起動する)ことができるか、又はEPRレベルを段階的に高めることができる。
【0076】
幾つかの実施形態では、この終了前期間中に、装置のコントローラによって、治療効果のある治療圧力設定(例えば、IPAPに関連付けられるピーク圧力レベル)を下げることができるか、又は一定の比率で段階的に下げることができる。任意選択で、この減少、又は一定の比率による段階的な減少は、装置が終了前期間を開始する時刻においてEPR設定の圧力のレベルまでとすることができる。例えば、コントローラによって終了前期間が開始される時刻において、治療効果のある治療圧力が10cmHOであり、EPRがレベル3に設定される場合には、終了前期間が高い圧力において開始し、低い圧力において終了するように、終了前期間にわたって、治療効果のある治療圧力をEPR設定の効果的な圧力レベル(例えば、10cmHO−3cmHO=7cmHO)まで一定の比率で段階的に下げることができる。例えば、これは通常、一度の呼吸サイクル内ではなく、数回の呼吸サイクル、又は数分程度の時間にわたって行われることになる。任意選択で、この終了前期間にわたって圧力を一定の比率で下げる圧力時間曲線は線形とすることもできるし、階段関数又は他の曲線のような何らかの他の関数とすることもできる。またさらには、治療圧力は、終了前期間の開始時刻において治療圧力設定が設定されたレベルから、予め設定された他の圧力レベルまで一定の比率で下げることができる。終了前期間中に一定の比率で下げる一例が、図10の圧力対時間グラフにおいて示される。図10は治療圧力を一定の比率で下げることを示すが、実施形態によっては、付加的に又は代替的に、終了前期間中の制御変更は吸気圧の立ち上がり時間プロファイルの変更も含むことができる。この立ち上がり時間プロファイル変更は、終了前期間にわたって、より積極的な圧力時間プロファイルから、より積極的でない圧力時間プロファイルへの段階的な変更を制御することを含むことができる。
【0077】
任意選択で、幾つかの実施形態では、コントローラは、終了前期間を開始するのに適した時刻を評価するように、患者が目覚めることになるか、又は装置による治療を終了することになる時刻を推定するためのロジックを用いて構成することができる。例えば、コントローラは、治療を開始した後の或る時間(例えば、治療の開始から6時間〜8時間の範囲にある或る機械稼働時間又は機械使用時間)に患者が目覚める可能性が高いと判断することができる。この推定値は、タイミングしきい値としての役割を果たすことができる。任意選択で、タイミングしきい値は、コントローラが1つ又は複数の先行する治療セッションにおける機械稼働時間、又は患者による使用時間を監視することによって決定することができる。例えば、タイミングしきい値としての役割を果たすように、幾つかの先行する治療セッションの平均稼働時間又は平均使用時間を求め、新たな治療セッションが終了する可能性が高い時刻を予測するために用いることができる。
【0078】
またさらに、幾つかの実施形態では、タイミングしきい値による終了前期間のトリガリングは、睡眠状態検出にも基づくことができる。例えば、治療の終了時刻は、デバイスの使用だけに基づかない場合もある。むしろ、治療の終了時刻は、治療セッションのうちの、デバイスが睡眠状態を検出する間に患者がそのデバイスを用いて治療された時間に基づくことができる。例えば、タイミングしきい値は、REM状態の検出中に患者が治療されていた時間に設定することができる。このREM状態に基づくタイミングしきい値は、予め設定することもできるし、1つ又は複数の先行する治療セッションから計算されたREM状態時間又はその一部とすることもできる。そのような場合、そのタイミングしきい値は、先行するセッションからの平均REM状態時間とすることができる。したがって、終了前期間は、現在の治療セッションにおいて検出された経過REM睡眠時間に応じてトリガーすることができる。
【0079】
またさらに、終了期間は、覚醒関連事象の検出に基づいて開始することもでき、それをタイミングしきい値と併用することができる。例えば、EEG信号又はエフォートバンド信号をコントローラによって処理して、患者が目覚めつつあることを検出することができる。それらの信号が、患者が目覚めつつあり、かつ/又は上記で検討されたしきい値のうちの1つのような或るタイミングしきい値に達したという指示を含む場合には、本装置は、終了前期間を開始することができる。
【0080】
またさらに、終了前期間は患者によって手動で開始することができる。例えば、患者が単にデバイス上のボタン又は他のユーザコントロールを押して、終了前期間の開始を直ちに起動することができる。したがって、患者が最初に目覚めたときに、その患者が終了前期間を手動で開始することができる。
【0081】
例示的なアーキテクチャ
本技術のために適したコントローラの例示的なシステムアーキテクチャが図9のブロック図に示される。その図では、呼吸圧力治療装置102のためのコントローラ901は、1つ又は複数のプロセッサ908を含むことができる。また、本デバイスは、例えば、モニタ又はLCDパネル上に、本明細書において記述されるようなSDB事象検出報告(例えば、閉塞情報及び/又は尺度)、結果又はグラフ(例えば、図3、図5及び図7に示されるような圧力対時間曲線、又は気流対時間曲線等)を出力するためのディスプレイインターフェース910も備えることができる。本明細書において記述される方法のための制御パラメータを起動又は変更するために、例えば、キーボード、タッチパネル、コントロールボタン、マウス等のためのユーザコントロール/入力インターフェース912を設けることもできる。また、そのデバイスは、プログラミング命令、立ち上がり時間又は圧力データ、EPRレベルデータ、SDB事象検出データ等のデータを受信/送信するための、バスのような、センサ又はデータインターフェース914も含むことができる。また、本デバイスは通常、上記の方法(例えば、図2〜図6)の制御命令を含む、メモリ/データ記憶構成要素も備えることができる。これらの命令は、本明細書において更に詳細に検討されるように、922における気流及び/又は信号処理及び/又はCPAP治療制御(例えば、前処理方法、フィルタ、自動治療圧力調整方法)のためのプロセッサ制御命令を含むことができる。また、それらの命令は、924におけるEPR制御及び調整(例えば、閉塞検出、無呼吸検出、呼吸低下検出、EPRレベル調整、吸気立ち上がり時間調整等)のためのプロセッサ制御命令を含むこともできる。最後に、それらの命令は、圧力データ、立ち上がり時間データ、タイミングしきい値、換算係数、スケーリング関数、EPRレベル、テーブル、タイミングしきい値等の、これらの方法のための格納されたデータ928も含むことができる。
【0082】
幾つかの実施形態では、上述した方法論を制御するプロセッサ制御命令及びデータは、ソフトウェアが汎用コンピューターにロードされると、汎用コンピューターが本明細書において考察される任意の方法論に従って専用コンピューターとして機能することができるように、汎用コンピューターにより使用されるソフトウェアとしてコンピューター可読記録媒体内に含むことができる。
【0083】
本技術によるデバイスは、患者の家庭内で、例えば、ナイトテーブル上で使用するのに適している。そのようなデバイスは多くの場合に、約2L〜3Lの体積を有し、極めて近くで眠っている患者にとって十分に静かである。本技術を組み込むのに適したデバイスは、レスメドS9CPAPデバイスである。一般的に、そのようなデバイスは、処方によってのみ入手可能である。特定の国の医療制度によっては、患者は、政府機関又は保険会社から、そのデバイスの費用の一部又は全額の補償を受ける権利を与えられる場合がある。本技術によるデバイスは、患者の快適さを改善するために、加湿器、例えば、レスメドH5iとともに用いることができる。
【0084】
上記説明及び添付図面において、特定の用語、等式、及び図面符号を記載して、本技術の全体的な理解を提供する。幾つかの場合、用語及び符号は、本技術の実施に要求されない特定の詳細を暗示することができる。例えば、本明細書において用語「第1の」及び「第2の」が用いられてきたが、他に特に規定されなければ、その用語はいかなる規定された順序も与えることを意図するものではなく、単に、その技術の異なる構成要素を説明するのを助けることを意図している。さらに、検出方法におけるプロセスステップは或る順序で図示されているが、そのような順序付けは不要である。そのような順序付けは変更することができること、及び/又はその態様は同時に実施されてもよいことは当業者には理解されよう。さらに、本明細書において記述される特徴は独立して利用することができるが、呼吸圧力治療装置内で、その種々の組み合わせを行うことができる。本技術の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の変形も加えることができる。例えば、コントローラは、SDB事象の検出、又は閉塞検出に基づいて、CPAP治療圧力、EPRレベル、及び/又は圧力波形の吸気部分の積極性の自動調整の種々の組み合わせを行う制御ロジックを用いて構成することができる。例えば、閉塞性事象の自動検出は、波形の吸気部分の積極性を高める(例えば、1増加分だけ、又はその最大の積極性まで徐々に増加させる)ことによって、最初に治療することができる。事象が(例えば、或る期間にわたって、又は1つ若しくは複数の呼吸サイクルの経過にわたって)持続する場合には、コントローラはEPRレベルを下げる(例えば、1減少分だけ、又はその最も低いレベルまで徐々に下げる)ことができる。その事象が(例えば、更なる期間にわたって、又は1つ若しくは複数の更なる呼吸サイクルの経過にわたって)依然として持続する場合には、コントローラは、CPAP治療圧力レベルを高める(例えば、1増加分だけ、又はその最大圧力設定まで徐々に増加させる)ことができる。これらの調整の異なる順序及び組み合わせを用いて更に別の実施形態を作成することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸圧力治療デバイスのための制御方法であって、
患者インターフェースにおいて呼吸可能な気体の流れを生成するステップであって、該呼吸可能な気体の流れは呼吸サイクルと同期し、該呼吸可能な気体の流れは吸気圧部分及び呼気圧部分を含み、呼気圧部分は吸気圧部分よりも低い圧力にある、生成するステップと、
前記患者インターフェースに対する呼吸可能な気体の流れを測定するステップと、
気道開放を検出するために前記流れの測定を解析するステップと、
前記気道開放の検出に基づいて呼気圧部分の制御パラメータを変更するステップであって、該呼気圧部分のための呼気圧の減少を依然として可能にしながら、呼気圧の減少を小さくする変更ステップと、
を含む、呼吸圧力治療デバイスのための制御方法。
【請求項2】
前記気道開放の検出は中枢性無呼吸の検出を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記気道開放の検出は中枢性呼吸低下の検出を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ある期間にわたって中枢性無呼吸が生じていないことを検出するのに応答して、前記呼気圧部分の前記変更を中断するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
呼吸圧力治療装置であって、
患者インターフェースに対して呼吸可能な気体の流れを生成する気流発生器と、
前記呼吸可能な気体の流れを測定するセンサと、
呼気及び吸気と同期する吸気圧部分及び呼気圧部分を有する呼吸可能な気体の流れを送達するように前記気流発生器を制御するコントローラであって、呼気圧部分は吸気圧部分よりも低い圧力にある、コントローラと、
を備え、
前記コントローラは、前記流れの測定からの気道開放の検出を制御し、該気道開放の検出に基づいて呼気圧部分の制御パラメータを変更して、該呼気圧部分のための呼気圧の減少を依然として可能にしながら、呼気圧の減少を小さくするように構成される、呼吸圧力治療装置。
【請求項6】
前記気道開放の検出は中枢性無呼吸の検出を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記気道開放の検出は中枢性呼吸低下の検出を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記コントローラは、ある期間にわたって中枢性無呼吸が生じていないことを検出するのに応答して、前記呼気圧部分の前記変更を中断するように更に構成される、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
呼吸圧力治療装置のための制御方法であって、
患者インターフェースにおいて呼吸可能な気体の流れを生成するステップであって、該呼吸可能な気体の流れは呼吸サイクルと同期し、該呼吸可能な気体の流れは呼気圧部分及び吸気圧部分を含み、呼気圧部分は吸気圧部分よりも低い圧力にある、生成ステップと、
前記患者インターフェースにおいて呼吸可能な気体の流れを測定するステップと、
前記流れの測定から流れに対する持続性閉塞を検出するステップと、
前記持続性閉塞の前記検出に基づいて、前記呼気圧部分中に送達される圧力を変更するために前記呼気圧部分のうちの少なくとも1つのための制御パラメータを変更するステップと、
を含む、呼吸圧力治療装置のための制御方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの呼気圧部分のための前記制御パラメータの変更ステップは、呼気相のための呼気圧の減少を小さくすることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記変更ステップは、気流制限の検出に応答して行われる前記呼気圧部分の圧力の1つ又は複数の自動的な増加後に行われる、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記気流制限の検出は、部分閉塞又は閉塞性無呼吸の検出を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの呼気圧部分のための前記制御パラメータの変更は、呼気相中の呼気圧力軽減を停止することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
ある期間にわたって閉塞が生じていないことを検出するのに応答して、前記呼気圧部分の前記変更を中断するステップを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
呼吸圧力治療装置であって、
患者インターフェースに対して呼吸可能な気体の流れを生成する気流発生器と、
前記呼吸可能な気体の流れを測定するセンサと、
患者インターフェースにおいて呼吸可能な気体の流れを送達するように前記気流発生器を制御するコントローラであって、該呼吸可能な気体の流れは呼吸サイクルと同期し、該呼吸可能な気体の流れは呼気圧部分及び吸気圧部分を含み、該呼気圧部分のうちの少なくとも1つは該吸気圧部分のうちの少なくとも1つより低い圧力にある、コントローラと、
を備え、
前記コントローラは、前記流れの測定からの、流れに対する持続性閉塞の検出を制御し、該持続性閉塞の検出に基づいて、呼気圧部分の制御パラメータを変更して、該呼気圧部分中に送達される圧力を変更するように構成される、呼吸圧力治療装置。
【請求項16】
前記コントローラは、呼気相のための呼気圧の減少を小さくするように前記呼気圧部分を変更するように構成される、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記コントローラは、気流制限の検出に応答して行われる前記呼気圧部分の圧力の1つ又は複数の自動的な増加後に前記呼気圧部分を変更するように構成される、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記コントローラは、部分閉塞又は閉塞性無呼吸の検出によって気流制限を検出するように構成される、請求項15に記載の装置。
【請求項19】
前記呼気圧部分の変更は、呼気相中に呼気圧力軽減を停止することを含む、請求項15に記載の装置。
【請求項20】
ある期間にわたって閉塞が生じていないことを検出するのに応答して、前記呼気圧部分の前記変更を中断することを更に含む、請求項15に記載の装置。
【請求項21】
呼吸圧力治療装置のための制御方法であって、
患者インターフェースにおいて呼吸可能な気体の第1の流れを生成するステップであって、該呼吸可能な気体の流れは呼吸サイクルと同期し、該呼吸可能な気体の流れは吸気圧部分及び呼気圧部分を含み、該吸気圧部分は該呼気圧部分よりも高い第1の圧力においてピークに達する、生成ステップと、
前記患者インターフェースにおいて前記呼吸可能な気体の流れを測定するステップと、
前記流れの測定に基づいて気流制限を検出するステップと、
前記気流制限の検出に基づいて前記吸気圧部分の早期部分の圧力立ち上がり時間を変更するステップと、
前記患者インターフェースにおいて呼吸可能な気体の第2の流れを生成するステップであって、該呼吸可能な気体の第2の流れは、前記第1の圧力においてピークに達し、かつ前記変更された圧力立ち上がり時間に従って上昇する吸気圧部分を含む、生成ステップと、
を含む、呼吸圧力治療装置のための制御方法。
【請求項22】
前記気流制限の検出が、閉塞があることを表すときに、前記変更された圧力立ち上がり時間は、前記第2の流れにおいて、前記第1の流れの前記吸気圧部分よりも積極的な吸気圧部分を形成するように減少する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記気流制限の検出が、閉塞がないことを表すときに、前記変更された圧力立ち上がり時間は、前記第2の流れにおいて、前記第1の流れの前記吸気圧部分よりも緩やかな吸気圧部分を形成するように増加する、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記早期部分の前記圧力立ち上がり時間を変更することは、前記求められた気流制限に応じてルックアップテーブルから1組の値を選択することを含み、該ルックアップテーブルは、異なる立ち上がり時間を有する複数の吸気圧波形を表す換算係数を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
呼吸圧力治療装置であって、
患者インターフェースに対して呼吸可能な気体の流れを生成する気流発生器と、
前記呼吸可能な気体の流れを測定するセンサと、
患者インターフェースにおいて呼吸可能な気体の流れを送達するように前記気流発生器を制御するコントローラであって、該呼吸可能な気体の流れは呼吸サイクルと同期し、該呼吸可能な気体の流れは吸気圧部分及び呼気圧部分を含み、該吸気圧部分は該呼気圧よりも高い第1の圧力においてピークに達する、コントローラと、
を備え、
前記コントローラは、前記流れの測定からの気流制限の検出を制御し、該気流制限の検出に基づいて前記吸気圧部分の早期部分の圧力立ち上がり時間を変更するように更に構成され、
前記コントローラは、前記患者インターフェースにおいて呼吸可能な気体の第2の流れの生成を制御するように更に構成され、前記呼吸可能な気体の第2の流れは、前記第1の圧力においてピークに達し、かつ前記変更された圧力立ち上がり時間に従って上昇する吸気圧部分を含む、呼吸圧力治療装置。
【請求項26】
前記気流制限の検出が、閉塞があることを表すときに、前記変更された圧力立ち上がり時間は、前記第2の流れにおいて、前記第1の流れの前記吸気圧部分よりも積極的な吸気圧部分を形成するように減少する、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記気流制限の検出が、閉塞がないことを表すときに、前記変更された圧力立ち上がり時間は、前記第2の流れにおいて、前記第1の流れの前記吸気圧部分よりも緩やかな吸気圧部分を形成するように増加する、請求項25に記載の装置。
【請求項28】
前記早期部分の前記圧力立ち上がり時間を変更することは、前記求められた気流制限に応じてルックアップテーブルから1組の値を選択することを含み、該ルックアップテーブルは、異なる立ち上がり時間を有する複数の吸気圧波形を表す換算係数を含む、請求項25に記載の装置。
【請求項29】
呼気圧力治療装置であって、
患者インターフェースに対する呼吸可能な気体の流れを生成する気流発生器と、
患者インターフェースにおいて呼吸可能な気体の流れを送達するように前記気流発生器を制御するコントローラであって、該呼吸可能な気体の流れは呼吸サイクルと同期し、該呼吸可能な気体の流れは呼気圧部分及び吸気圧部分を含み、該呼気圧部分のうちの少なくとも1つは、該吸気圧部分のうちの少なくとも1つよりも低い圧力にある、コントローラと、
を備え、
前記コントローラは睡眠状態の検出を制御するように構成され、
前記コントローラは、前記睡眠状態の検出に基づいて、前記吸気圧部分の立ち上がり時間のための制御パラメータを変更するように更に構成される、呼気圧力治療装置。
【請求項30】
前記コントローラは、睡眠を示す睡眠状態の検出に応答して、前記制御パラメータを調整して立ち上がり時間を短くする、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記コントローラは、睡眠を示す睡眠状態の検出に応答して、前記制御パラメータを一定の比率で変更して立ち上がり時間を段階的に短くする、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記コントローラは、覚醒状態を示す睡眠状態の検出に応答して、前記制御パラメータを調整して立ち上がり時間を長くする、請求項29に記載の装置。
【請求項33】
前記コントローラは、覚醒状態を示す睡眠状態の検出に応答して、前記制御パラメータを一定の比率で変更して立ち上がり時間を段階的に長くする、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記コントローラは、睡眠を示す睡眠状態の検出に応答して、睡眠時呼吸障害事象の検出に基づいて、前記立ち上がり時間のための前記制御パラメータを調整するための制御プロトコルを開始する、請求項29に記載の装置。
【請求項35】
前記コントローラは、覚醒状態を示す睡眠状態の検出に応答して、睡眠時呼吸障害事象の検出に基づいて、前記立ち上がり時間のための前記制御パラメータを調整するための制御プロトコルを解除する、請求項29に記載の装置。
【請求項36】
呼吸圧力治療装置であって、
患者インターフェースに対して呼吸可能な気体の流れを生成する気流発生器と、
患者インターフェースにおいて呼吸可能な気体の流れを送達するように前記気流発生器を制御するコントローラであって、該呼吸可能な気体の流れは呼吸サイクルと同期し、該呼吸可能な気体の流れは呼気圧部分及び吸気圧部分を含み、該呼気圧部分の少なくとも1つは該吸気圧部分のうちの少なくとも1つよりも低い圧力にある、コントローラと、
を備え、
前記コントローラは換気の尺度の特定を制御し、
前記コントローラは呼気圧部分の制御パラメータに対する変更を制御し、前記呼気圧部分のための呼気圧の減少を依然として可能にしながら、呼気圧の減少を変更し、該制御された変更は前記換気の尺度の関数である、呼吸圧力治療装置。
【請求項37】
前記換気の尺度の前記関数は、前記尺度と目標換気量との比較を含む、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記減少は、前記目標換気量が前記換気の尺度を超える場合には小さくされる、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記減少は、前記換気の尺度が前記目標換気量を超える場合には大きくされる、請求項37に記載の装置。
【請求項40】
呼吸圧力治療装置であって、
患者インターフェースに対して呼吸可能な気体の流れを生成する気流発生器と、
患者インターフェースにおいて呼吸可能な気体の流れを送達するように前記気流発生器を制御するコントローラであって、該呼吸可能な気体の流れは呼吸サイクルと同期し、該呼吸可能な気体の流れは呼気圧部分及び吸気圧部分を含み、該呼気圧部分のうちの少なくとも1つは該吸気圧部分のうちの少なくとも1つよりも低い圧力にある、コントローラとを備え、
前記コントローラは換気の尺度の特定を制御し、
前記コントローラは前記呼気圧部分の立ち上がり時間のための制御パラメータに対する変更を制御し、該制御された変更は前記換気の尺度の関数である、呼吸圧力治療装置。
【請求項41】
前記換気の尺度の前記関数は、前記尺度と目標換気量との比較を含む、請求項40に記載の装置。
【請求項42】
前記立ち上がり時間は、前記目標換気量が前記換気の尺度を超える場合には大きくされる、請求項41に記載の装置。
【請求項43】
前記立ち上がり時間は、前記換気の尺度が前記目標換気量を超える場合には小さくされる、請求項41に記載の装置。
【請求項44】
呼吸圧力治療装置であって、
患者インターフェースに対して呼吸可能な気体の流れを生成する気流発生器と、
患者インターフェースにおいて呼吸可能な気体の流れを送達するように前記気流発生器を制御するコントローラであって、該呼吸可能な気体の流れは呼吸サイクルと同期し、該呼吸可能な気体の流れは呼気圧部分及び吸気圧部分を含み、該呼気圧部分のうちの少なくとも1つは該吸気圧部分のうちの少なくとも1つよりも低い圧力にある、コントローラとを備え、
前記コントローラは、終了前期間中に終了前圧力治療プロトコルの起動を制御し、該終了前期間において、前記吸気圧部分又は前記呼気圧部分の圧力を設定するための制御パラメータに対する変更が開始される、呼吸圧力治療装置。
【請求項45】
前記呼気圧部分の圧力を設定するための制御パラメータに対する変更は、呼気圧の減少を大きくすることを含む、請求項44に記載の装置。
【請求項46】
前記吸気圧部分の圧力を設定するための制御パラメータに対する変更は、前記吸気圧の早期部分のための立ち上がり時間を短くすることを含む、請求項44に記載の装置。
【請求項47】
前記圧力を設定するための制御パラメータに対する変更は、ピーク吸気圧を一定の比率で下げることを含み、該一定の比率で下げることは、前記終了前期間前の治療におけるピーク吸気圧から、前記終了前期間前の治療における呼気圧部分の圧力レベルまでの範囲に及び、該一定の比率で下げることは、前記終了前期間にわたってピーク吸気圧を段階的に下げることを含む、請求項44に記載の装置。
【請求項48】
前記コントローラは、予め設定された終了時間に応じて、前記終了前期間を開始する、請求項44に記載の装置。
【請求項49】
前記コントローラは、睡眠に起因する睡眠状態の経過時間を該コントローラによって検出するのに応じて、前記終了前期間を開始する、請求項44に記載の装置。
【請求項50】
前記コントローラは、覚醒状態に起因する睡眠状態を前記コントローラによって検出するのに応じて、前記終了前期間を開始する、請求項44に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2013−510598(P2013−510598A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538151(P2012−538151)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【国際出願番号】PCT/AU2010/001536
【国際公開番号】WO2011/057362
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(500046450)レスメド・リミテッド (192)
【氏名又は名称原語表記】ResMed Limited