説明

睡眠時無呼吸症候群に対する診療支援システムおよび方法

睡眠時無呼吸症候群の罹患の有無を調べるスクリーニング検診の受診障壁を小さなものとして容易に受診が行えるようにする方法およびシステムとして、インターネット上のサーバ2bで睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検診の申し込み受け付けを行い、申し込み者へ宅配便で血中酸素飽和度測定用パルスオキシメータ4bを送付し、返送されたデータの解析結果と次のステップの検診の受診情報とをインターネット経由で申し込み者へ送信する構成とする診療支援方法、診療支援システムを提供する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、診療支援方法、診療支援システムに係り、特に睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検査を容易に受診可能とする構成に関するものである。
【背景技術】
睡眠時無呼吸症候群(以下、SAS:Sleep Apnea Syndromeともいう)は、国土交通省自動車交通局によるインターネット上で公開済みのホームページである「「睡眠時無呼吸症候群」に注意しましょう!」http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha03/09/090318/090318.pdfにも記載があるように、睡眠時に呼吸が止まった状態(無呼吸)が断続的に繰り返される病気であり、呼吸の断続の結果、十分に睡眠をとることが出来ず、日中強い眠気を感じたり居眠りがちになったりするものである。集中力や活力に欠けるなどの状態になり、漫然運転や居眠り運転により事故などが発生しやすくなるため、社会的にも大きな注目を集めつつある。
SASは、医学的には、呼吸が10秒以上停止する無呼吸の状態が睡眠中に30回以上生じるか、睡眠1時間あたり無呼吸が5回以上生じるものをいう。一方、SASの確定診断には、睡眠ポリグラフィー(以下、PSG:Polisomnography)と呼ばれる入院を必要とする睡眠検査が必要であるが、このPSGは下記するように高額な機器設備と訓練された技師の医療従事を必要とし、被験者の負担も少なくないのでSAS診療の拡大が従来は困難であった。
すなわち、上記のPSGは、上記のSASを含む睡眠時呼吸障害全般の確定診断に広く用いられる方法であって、呼吸気流、いびき音、動脈血酸素飽和度(SpO)といった基礎的な項目に加え、脳波や筋電図、眼球の動きなど、より詳細な生体情報を測定することで、睡眠の深さ(睡眠段階)、睡眠の分断化や覚醒反応の有無、睡眠構築、睡眠効率などを呼吸状態の詳細とあわせて定量的に算出するための検査である。
PSGを行なうためには、多くの場合、患者は2泊3日(一泊目がPSG実施、二泊目が治療における処方の決定)の日程で医療機関や、スリープラボと呼ばれる専用の検査施設に入院を行ない、睡眠ポリグラフィー測定記録装置と呼ばれる検査器具に付属する各種センサを患者の各体位部に装着し就寝する。そして睡眠中は上記の各センサからの出力信号が所定の記録媒体(パーソナルコンピュータのハードディスクや、メモリカード等)に連続的に記録される。記録後のデータは、医療従事者が直接検査データを解析するマニュアル解析、もしくは睡眠ポリグラフィー自動解析装置と呼ばれる専用の装置を用いて解析が行なわれる。
上記の自動解析の場合、複数の項目についての評価を纏めたレポートが自動的に作成される。上記した複数の評価項目とは、例えば下記する各項目である。

医療従事者は、PSGを行って得られた上記のレポートの記載内容に基づき、被験者が睡眠時無呼吸症候群に罹患しているか否かの診断(確定診断)を行う。しかし、かかるPSGによる確定診断のみを用いて被験者の診断を行おうとするこれまでの方法には、下記のような未解決の問題がある。
(1) PSGは入院を必要とする検査である為、患者の負担が大であり、SASが疑われる多くの患者の受診機会が失われる点。
上記のようにPSGを用いた睡眠検査は、多数のセンサを患者の各体位部分に装着して検査を行なう必要があるため、センサの装着作業、及びその確認作業、更には記録途中の専門の検査技師による確認作業が必要となるとともに、上記した多数の項目についての記録が行えるよう大型の測定設備が必要となるので、これらの設備と上記した専門の検査技師とを擁する医療機関等へ入院することが必須である。
ところが、SASが疑われる患者の多くは中高年の働き盛りの階層であって、日々の勤務を優先するあまり、検査のために勤務を欠勤することを忌避しがちである。その上、SAS患者の多くは自覚症状に乏しいため、検査を受けようとするモチベーションは低いものと予想され、自ら大きな負担を押してPSGを受診することをあまり期待することはできない。この結果、SAS患者に必要である受診の機会が失われ、治療が出来ずに患者自身の不利益となることは勿論、運転従事者などSASが継続したのでは不慮の事故が発生し得る危険な状態がそのまま放置される恐れがある。
更に、本来あってはならないことであるが、SASに罹患していることを理由として現在の職場や職種が継続できないのではないかとの疑念が患者側に生じた場合には、このPSGのように入院を伴う検査を受けることによりその受診の事実が雇用者側に知られることを恐れて、PSGの受診をためらうことすら予想される。
(2) PSGを実施することが可能な施設数が少なく、患者が検査を受ける機会が更に阻害される点。
上記したようにPSGの実行運営を行なうためには、多数の測定項目を記録できるように構成した睡眠ポリグラフィー測定記録装置や、それら多数の測定項目について解析を行うための睡眠ポリグラフィー自動解析装置を含めた諸設備と、患者が入院するための諸設備を設ける必要があり、更に各種センサの患者への装着等を行なう検査技師を配置する必要がある。従ってこれら検査のための設備の設置と検査の運営とは、検査実施者にとり大きな負担となるものであった。
このため、PSGが可能な医療施設の数は大きく増加することが期待出来ず、患者の居住地の近隣に適当なPSG可能施設が無い場合が多い。このため、患者は、PSGを受けるための適当な施設を自分の居住地の近隣で見出すことが出来ず、たとえ施設を知り得たとしても最近の睡眠時無呼吸症候群への社会的関心の高まりから、僅かに受診希望者が増大しただけでも少ない施設をめぐって受診予約が増え、数ヶ月先まで予約で塞がっている場合もある。このように患者の受診機会が更に失われ、これは患者が自らの健康を守る権利の侵害、更には社会における事故発生危険の増大は、今やきわめて深刻な段階にあると言わざるを得ない。
上記した受診の障壁が大きなSASの診療を改善しようとする従来技術はあるものの、いずれも本質的な解決とはなっていない。例えば、特開平10−295695号公報に記載の技術では、圧力感知型の呼吸体動センサと音センサなどを備えて家庭でも検査が実行できるよう構成した簡易型の検査装置が記載されている。またその他のセンサを有する簡易型の検査装置であって、PSGを実行する前に予備的な検査を行うために用いることが可能な装置は、上記の構成の他にもいくつか提案がなされている。
【発明の開示】
しかしながら、これらの従来技術構成は、従来医療機関で行われていた睡眠検査を単に家庭で予備検査として実行することを可能とするのみである。これらの予備検査実施のためには患者は予め医療機関の外来を訪れ、医療従事者の指導を受けて検査装置の使用方法を習得しなければならない。帰宅後に自ら装置を操作して予備検査を実行し得るものの、これは従来のPSGの内容をレベルダウンして家庭での実施へ移行したものに過ぎない。働き盛りの被検患者が勤務を休んで医療機関を受診することの困難さ検査後の検査装置を持って再度医療機関の外来を訪れて受診することの困難さ、および検査を実施する医療機関を知り得ることの困難さ等は何ら考慮されておらず、先に提示したSAS診療の諸問題は本質的な解決を見てはいない。
本発明は上記の状況に鑑みなされたものであって、睡眠時無呼吸症候群の罹患の有無を確認するために必要な被験者の受診障壁を極めて小さなものとし、容易に受診が行えるようにすることによって、睡眠時無呼吸症候群の患者の健康確保、更には睡眠時無呼吸症候群に起因する不慮の事故防止等に寄与する診療支援方法、診療支援システムを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、下記する1)乃至19)に記載の各構成を有する診療支援方法、診療支援システムを提供する。
1) 睡眠時無呼吸症候群の診療支援を行うシステムであって、
(1) 公衆通信網上で、睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検査に関する情報の閲覧を提供する閲覧提供手段と、
(2) 公衆通信網経由で、申込者の居所情報とともに前記スクリーニング検査の申し込みを受け付ける受け付け手段と、
(3) 前記居所情報に基づき、血中酸素飽和度を測定するためにこの申込者側へ送達される検査装置と、
(4) 前記送達され、申込者の睡眠中の血中酸素飽和度を測定記録した後に返送された前記検査装置の測定データの解析結果を申込者側へ送付する解析結果送付手段と、
を有する診療支援システム。
2) 該閲覧提供手段が、インターネット通信網を介して閲覧可能な閲覧データ領域を備えたサーバ手段であり、唾眠時無呼吸症候群の疾患説明データ、治療方法説明データ、診断手順説明データの少なくとも一つを備えることを特徴とする上記1)記載の診断支援システム。
3) 該受け付け手段が、インターネット通信網を介して申込者を特定する個人情報と共にスクリーニング検査を受け付ける手段であり、該受付情報に基づいて検査装置を申込者に送達する為の送付情報を出力する出力手段を備えることを特徴とする上記1)記載の診断支援システム。
4) 該個人情報が申込者氏名および居所情報を備え、該出力手段が該個人情報に基づいて該検査装置を送達する為の送り状を印刷するプリンタまたは該検査装置の送達を行う事業者へ該申込者氏名および居所情報を送信する手段であることを特徴とする上記3)記載の診断支援システム。
5) 該検査装置が、血中酸素飽和度および心拍数を測定可能なパルスオキシメータであり、測定した血中酸素飽和度を記憶するメモリを内蔵していることを特徴とする上記1)記載の診断支援システム。
6) 前記送達され、申込者の睡眠中の血中酸素飽和度を測定記録した後に返送された前記検査装置の測定データの解析手段を備え、メモリに記憶された被検者の血中酸素飽和度および心拍数に関する情報に基づき、血中酸素飽和度の平均値、中央値、最低値、90%以下の領域時間、血中酸素飽和度の値に対する検出頻度、心拍数とのトレンドグラフ、平均dip回数から選ばれる情報を解析する手段であることを特徴とする上記1)記載の診断支援システム。
7) 該解析結果送付手段が、該解析結果のデータを公衆通信網経由で送信する送信手段、または、該解析結果のデータを印刷した紙媒体あるいはデータを記録した電子媒体を送付する送付手段であることを特徴とする上記1)記載の診断支援システム。
8) 該解析結果送付手段が、該測定データの解析結果と共に、次のステップの検診を受診するための情報を申込者側へ送付する手段であることを特徴とする上記1)記載の診療支援システム。
9) 前記検査装置の貸し出し保証金の払い込み及び払い戻しの情報を、前記申し込みの受け付け側と前記申込者側との間で送受信する手段を有する、上記1)に記載の診療支援システム。
10) 睡眠時無呼吸症候群の診療支援を行うシステムであって、
(1) 公衆通信網上に配置された睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検査に関する情報を閲覧した申込者側から、この申込者の居所情報とともに前記スクリーニング検査の申し込みを公衆通信網経由で受け付ける受け付け手段と、
(2) 前記居所情報に基づき、血中酸素飽和度を測定するためにこの申込者側へ送達される検査装置と、
(3) 前記送達され、申込者の睡眠中の血中酸素飽和度を測定記録した後に返送された前記検査装置の測定データの解析結果を申込者側へ送付する解析結果送付手段と、を有する診療支援システム。
11) 該受け付け手段が、インターネット通信網を介して申込者を特定する個人情報と共にスクリーニング検査を受け付ける手段であり、該受付情報に基づいて検査装置を申込者に送達する為の送付情報を出力する出力手段を備えることを特徴とする上記10)記載の診断支援システム。
12) 該個人情報が申込者氏名および居所情報を備え、該出力手段が該個人情報に基づいて該検査装置を送達する為の送り状を印刷するプリンタまたは該検査装置の送達を行う事業者へ該申込者氏名および居所情報を送信する手段であることを特徴とする上記11)記載の診断支援システム。
13) 該検査装置が、血中酸素飽和度および心拍数を測定可能なパルスオキシメータであり、測定した血中酸素飽和度を記憶するメモリを内蔵していることを特徴とする上記10)記載の診断支援システム。
14) 前記送達され、申込者の睡眠中の血中酸素飽和度を測定記録した後に返送された前記検査装置の測定データの解析手段を備え、メモリに記憶された被検者の血中酸素飽和度および心拍数に関する情報に基づき、血中酸素飽和度の平均値、中央値、最低値、90%以下の領域時間、血中酸素飽和度の値に対する検出頻度、心拍数とのトレンドグラフ、平均dip回数から選ばれる情報を解析する手段であることを特徴とする上記10)記載の診断支援システム。
15) 該解析結果送付手段が、該解析結果のデータを公衆通信網経由で送信する送信手段、または、該解析結果のデータを印刷した紙媒体あるいはデータを記録した電子媒体を送付する送付手段であることを特徴とする上記10)記載の診断支援システム。
16) 該解析結果送付手段が、該測定データの解析結果と共に、次のステップの検診を受診するための情報を申込者側へ送付する手段であることを特徴とする上記10)記載の診療支援システム。
17) 前記検査装置の貸し出し保証金の払い込み及び払い戻しの情報を、前記申し込みの受け付け側と前記申込者側との間で送受信する手段を有する、上記10)記載の診療支援システム。
18) 睡眠時無呼吸症候群患者を被験者母集団中からスクリーニング抽出するために実行される診療支援方法であって、
(1) 被験者側から、スクリーニング抽出検査受診申し込みの情報が医療機関側へ輸送される工程、
(2) 被験者の血中酸素飽和度を測定するための測定手段と、前記患者を抽出するための質問を羅列した問診票とが被験者側へ輸送される工程、
(3) 被験者側で前記質問への回答が記入された問診票と、前記測定手段を用いて睡眠時に連続的に記録された被験者の血中酸素飽和度データとが医療機関側へ輸送される工程、及び、
(4) 前記回答と前記データとに基づいてなされた診断の結果を反映した睡眠時無呼吸症候群判定検査の受診必要性の有無を知らせる情報が、被験者側へ輸送される工程、
を有する診療支援方法。
19) インターネット上のサーバが睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検診の申し込み受け付けを行い、申し込み者側へ血中酸素飽和度測定装置が送付され、測定後に申し込み者側から返送された前記装置の測定データの解析結果と次のステップの検診受診のための情報とが前記申し込み者側へ送信される診療支援方法。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の実施の形態に係る第1の実施例である診療支援システムの構成図である。
図2は、本発明の実施の形態に係る第2の実施例である診療支援システムの構成図である。
図3は、図1及び図2のシステムが有する検査装置であるパルスオキシメータの構成図である。
図4は、図1及び図2のシステムが作成する解析結果レポートの記載例である。
図5は、SAS簡易診断方法におけるイベントの遷移図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る好ましい各実施例を、図1乃至図5を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態に係る第1の実施例である診療支援システムの構成図、図2は本発明の実施の形態に係る第2の実施例である診療支援システムの構成図、図3は図1及び図2のシステムが有する検査装置であるパルスオキシメータの構成図、図4は図1及び図2のシステムが作成する解析結果レポートの記載例である。
[第1の実施例]
[システムの構成]
まず、本発明に係る実施形態の第1の実施例である、診療支援システム1について、図1等を参照して説明を行う。本システム1は、図1の構成図に示す通り、睡眠時無呼吸症候群の予備検査(後記)を受託する施設である検査センター2aに配置されたセンターサーバ2bおよびセンター端末2、この検査センター2aに予備検査を申し込む被験者4cの居所である被験者宅4aに配置された被験者端末4、検査センター2aに常備され且つ予備検査の申し込みを行った被験者宅4aへ郵便または宅配便を用いて送達され、データ取得後に郵便または宅配便で被験者宅4aから検査センター2aへ返送される検査装置であるパルスオキシメータ4b、および、これらセンターサーバ2b、センター端末2、被験者端末4を含む図示しない多数の端末やサーバを相互に通信可能に接続する公衆通信網であるインターネット通信網7、をその主な構成要素としている。
尚、センターサーバ2bを検査センター2a以外の場所に設置することも可能であり、このセンターサーバ2bを含むインターネット通信網7に接続する各構成はいずれも国内に限らず海外にあっても構わない。又、上記のセンターサーバ2bとセンター端末2は、実質的に一体として構成しても構わない。
上記した予備検査(以下、予備検診、スクリーニング検査、スクリーニング検診とも呼ぶ)とは、PSGのような確定診断に先立って、被験者が睡眠時無呼吸症候群に罹患している可能性を調べる為の検査であって、この予備検査の結果、罹患可能性がある場合に、上記の確定診断を行うことになる。
センターサーバ2bは、インターネット通信網7に接続している図示しない端末も含めた不特定の端末から閲覧(ブラウジング)が可能なようにデータを配置したデータ領域をその内部に有し、このデータ領域には、例えば、(1)睡眠時無呼吸症候群についての疾患や治療方法を一般向けに説明するデータと、(2)自分が睡眠時無呼吸症候群に罹患しているか否かを診断で知るために行われる診療の手順、具体的には、まず確定診断をおこなうために上記のPSGがあり、より負担無く検査を行うことが可能なスクリーニング方法としてパルスオキシメータ4bを用いる予備検査があること、そして当該検査センター2aにてこの予備検査の受付を行っていることなど、これら診断の手順を不特定者に告示するためのデータと、そして、(3)この告示を見て予備検査の受診を望むものが申し込みに必要な事項、例えば住所、氏名、電話番号、e−mailアドレスなどを記入して送信するためのフォームのデータなどを記録保持している。
また上記のデータ領域に配置された、閲覧可能なデータとして、(4)端末を用いてアクセスしてきたユーザが自分でチェックを行い睡眠時無呼吸症候群の疑いがあるかどうかを自己確認可能な問診のデータを含んでもよい。
またセンターサーバ2bには、上記のフォームを用いて送信された申し込みのデータを記録蓄積する領域、およびこれらの動作を制御する制御プログラムなどが記録されている。
次に、センター端末2は汎用のパーソナルコンピュータであって、特に、センターサーバ2bに記録保持されたデータの中で不特定の端末からは読めないようにロックされているデータを読むためのキーワードを記録し、更に、後で説明するパルスオキシメータに記録保持されたデータの解析用プログラムがインストールされている。
更に、図1には図示しないものの、センター端末2に接続するプリンタを本システム1は有し、このプリンタを用いて被験者宅4aへパルスオキシメータ4bを宅配便で送るための送り状等を作成することが出来る。
被験者端末4は、インターネット通信網7に接続する汎用のパーソナルコンピュータであって、構成上特に通常のパーソナルコンピュータと同じであってよい。インターネット上の各ホームページを閲覧(ブラウジング)するためのブラウジング・プログラム(以下、ブラウザ)がインストールされている点も通常の汎用パーソナルコンピュータと同じである。
次にパルスオキシメータ4bの構成を、図3を用いて説明する。パルスオキシメータ4bは、被験者の血液中における酸素の飽和濃度を測定し、測定結果を内部のメモリに記録保持して、操作に応じて外部へ出力して解析に供するための検査装置であって、例えば、本出願人が先に市販を行っている「プリンタ対応携帯用パルスオキシメータ」(商品名:PULSOX−TM−SP)や、同じく「メモリ付き腕時計型パルスオキシメータ」(商品名:PULSOX−TM−M24)と同様な構成とすることも考えられる(図示しない)。あるいはこれらと異なる構成としてもよい。
上記のPULSOX−TM−SPを例にとると、公知資料たるその販売用パンフレット「プリンタ対応携帯用パルスオキシメータ PULSOXTM−SP」(帝人株式会社 在宅医療事業部門発行)にも記載されているように、かかる検査装置は、動脈血の酸素化レベルと脈拍数を、非侵襲的に、連続的に測るための装置である。測定に際しては洗濯バサミ状のセンサ部を患者の指先に挟んで指先に光をあてるだけで測定ができる為、採血の必要が無く、操作も簡単で且つすぐに結果が判明し、又、校正の必用もない。その測定原理は、波長の異なる2種類の光を指に当てて、透過した光の量を測定することにより動脈血酸素飽和度を算出するものである。動脈血の識別は脈拍に一致して変化する成分に着目することにより行われ、酸素飽和度の算出は、酸素ヘモグロビンの、2種類の光に対する透過度が異なることを利用している。
図3はこれらパルスオキシメータ4bの一般的な構成を図示したものであって、被験者は、パルスオキシメータ4bに接続するセンサ部4aを指にはめて測定を行う。測定は、被験者が就寝中に行われ、センサ部4aにより検出された動脈血酸素飽和度(SpO)、および心拍などの測定データはケーブルを介してパルスオキシメータの本体4bへ送られ、本体4bが内蔵するメモリ(図示しない)に記録保持される。
パルスオキシメータ本体部4bには、測定値を表示する表示部と所定の操作ボタンなどが設けられている。また本体部4bには、上記のセンター端末2などのパーソナルコンピュータに測定データを転送するためのインターフェイス装置5を接続することが出来、本体4b内部のメモリに記録保持された測定データはこのインターフェイス装置5を介してセンター端末2などのパーソナルコンピュータへ転送が可能である。なお、パルスオキシメータ4bがインターフェイス装置5の機能を兼ね備えて直接に接続する形態であっても勿論よい。
[システムの動作]
次に、上記の診療支援システム1を用いて被験者4cの予備検査を実行し、被験者4cが睡眠時無呼吸症候群に罹患している可能性の有無を知る手順を説明する。
まず、最初の段階で被験者4cは、例えば、自分が睡眠時無呼吸症候群に罹患しているか否かは無論知らないものの、睡眠時無呼吸症候群という疾患の存在はマスコミ報道などを通じて知っており、また最近自分は昼間に居眠りをしたり、ぼんやりとしがちであることを自覚したり、あるいは極度のいびきや呼吸停止状態が起こっていることをベッドパートナーなどから教えられ、機会があれば睡眠時無呼吸症候群の診断を受ける必要があることは感じているものと仮定する。
このようにSASの診断治療を受診したいと望みながらも近隣に専門の医療機関が存在しない場合や、あるいは職場等に知られることを恐れるあまり受診を忌避するような対象者に対し受診の機会を与える手法として、インターネットに接続し不特定多数の者が閲覧可能なホームページは極めて有効な手段である。被験者4cは被験者端末4を用いて、睡眠時無呼吸症候群に関連するページを検索し、あるいは他のページを閲覧中にセンターサーバ2bの閲覧を誘うバナー広告を見てクリックする等して、このセンターサーバ2bのデータ領域に記録されたデータよりなるホームページを閲覧するよう誘導される。あるいはチラシを配布してこのホームページの告知をしてもよい。
すると、このホームページにアクセスした被験者端末4からは、(1)睡眠時無呼吸症候群についての疾患や治療方法を一般向けに行った説明と、(2)自分が睡眠時無呼吸症候群に罹患しているか否かを診断で知るために行われる診療の手順として、まず確定診断をおこなうために上記のPSGがあり、一方、確定診断に先立って、より負担無く検査を行えるスクリーニングの方法としてパルスオキシメータ4bを用いる予備検査があること、そして当該検査センター2aにてこの予備検査の受付を行っていることを不特定者に告示するための情報が閲覧することができる。
そして上記の閲覧できた情報から、この予備検査に関心を持ち、更に実際にこの予備検査を受診しようと決めた被験者4cは、同じく閲覧可能な情報として、(3)この告示を見て予備検査の受診を望むものが申し込みに必要な事項、例えば住所、氏名、電話番号、e−mailアドレスなどを記入して送信するためのフォームの表示を見て、所定の項目に記入操作を行った後、被験者端末4で送信操作を行うと、記入されたフォームのデータはインターネット通信網7経由でセンターサーバ2bへ送信されて記録保持される。
検査センター2aの運営担当者は、このセンターサーバ2bに記録保持されている、被験者4cから送信されたフォームデータに基づいて、検査装置であるパルスオキシメータ4bをこの被験者宅4aへ送達するための情報(届け先情報)を、センター端末2を用いて作成し利用する。
具体的には、宅配便を利用してパルスオキシメータ4bを被験者宅4aへ送る場合には、送信されたフォームのデータから宅配便の送り状を印刷するためのデータを、センター端末2に予めインストールされてあるプログラムを起動して生成し、生成された印刷用データはこのセンター端末2に接続する図示しないプリンタへ送信されて、宅配便送り状が印刷される。また、郵便を利用する場合の郵便用送り状や、送り先表示用貼り付けシール等が、上記のプリンタを用いて印刷されるようにしたり、フォームのデータから生成された被験者の住所データがセキュリティを確保しつつe−mailで宅配便業者へ直接送信されて、所定の集積所に保管されたパルスオキシメータ4bの送達が依頼されるようにしてもよい。
このようにして宅配便等で被験者宅4aへ送達されたパルスオキシメータ4bを用いて睡眠時の被験者4cの上記した生体情報が測定記録され、記録データはパルスオキシメータ4b内に保持される。測定記録後のパルスオキシメータ4bは、宅配便や郵便などを利用して検査センター2aへ返送される。
検査センター2bでは専用の解析プログラムがインストールされたセンター端末2を用いて、返送されてきたパルスオキシメータ4bに記録保持されてある被験者4cの動脈血酸素飽和度(SpO)、および心拍などの測定データの解析を行う。解析はグラフ化と統計分析を主とし、例えば、SpOの平均値、中央値、最低値、SpOが90%より小さい領域の時間、SpOの値を横軸にとった検出頻度のヒストグラム、SpOと脈拍数のトレンドグラフなどが作成される。また、1時間あたりの無呼吸低呼吸回数(AHI)との相関が高いと考えられている、検査時間1時間あたりの平均dip回数(ODI)(dipは所定閾値を下回る一過性のSpO低下)を算出する。このODIが15以上の場合にはPSGを施行することを指針とする医療従事者の見解もある。図4は、上記の項目及び上記に含まれない項目を記載した解析結果レポートの一例であって、図示のようにODIが29.6であって、SASのフル診断(PSG)が必要であることが記されている。
尚、検査センター2aにてパルスオキシメータ4aの測定データを解析し、解析結果をレポートにして被験者へ送付する行為が医療行為にあたらないことをより明確にするために、測定値及び、統計的解析結果とグラフのみをレポートに記し、判断は被験者自身に求めるようにしても良い。
更に、検査センター2aでは、測定の結果、被験者4cにPSG等の確定診断が必要と判断されるときには、確定診断を受診するに必要な情報を被験者4cに送付する。尚、確定診断を受診するに必要な情報は、確定診断が必要となる被験者のみばかりではなく、このスクリーニング検診(予備検診)を受診した全被験者に送付することも可能である。
上記の確定診断を受診するに必要な情報とは、具体的には、PSGを実施している医療施設の名称、住所、連絡先、予約状況などである。上記の解析レポートや確定診断を受診するに必要な情報は、それを印刷した紙媒体あるいは情報を記録した磁気ディスクやメモリスティック等の電子媒体として郵送や宅配便配送などで送られてもよい。あるいは電子データとしてセンター端末2から被験者端末4へ送信されてもよい。
上記のように構成されて、本実施例のシステム1は、身近に専門の医療機関が無くとも容易に簡易的なスクリーニング検査を受診できる。入院を伴わない検査なので被験者側の負担が少なく、健康保険が適用されない事業であれば企業等の従業員が雇用者側に知られること無く受診できることから、受診障壁が少なく、また施設数の少ないPSGのように予約をして長期間検査の順番を待つ必要も無い。更にこのようなスクリーニング検査を行う結果、よりSASが疑わしい被験者のみがPSGを受診するようになることから、結果として無駄となる検査数が減り社会的な医療経済に対する改善効果も大きい。
また、インターネットを検索するなど容易な方法で受診の機会が持てるので、被験者側は容易に受診できて、社会全体のSAS診療を大いに促進して危険な交通事故などを防止することが出来、SAS患者のみならず社会に対する貢献度が極めて大である。
[第2の実施例]
次に、上記した第1の実施例と詳細な構成を異にする、本発明の実施の形態に係る第2の実施例の診療支援システム10を図2に従い説明する。尚、以下の説明では重複した記載を避ける目的で、第1の実施例と異なる構成の説明に集中する。
本実施例のシステム10では、スクリーニング検診の申し込みを被験者宅にある被験者端末ではなく、店舗8a、例えばコンビニエンスストアに予め配設された店舗端末8を用いて行うことができる。従って自宅にインターネット接続するパーソナルコンピュータを持たない被験者4cが本システム10を利用可能である。
上記の店舗端末8はインターネット通信網7を介してセンターサーバ2b、センター端末2その他の構成と接続する構成であって、汎用のパーソナルコンピュータであっても、検診専用の端末であっても、あるいはコンビニエンスストアが提供する様々なサービスを実行可能な複合サービス端末であってもよい。
本システム10の動作は次の通りである。唾眠時無呼吸症候群の検診に対して潜在的な関心の合った被験者4cは、チラシを見るなどしてこの店舗8aで検診の申し込みを知ると、店舗8に来店し、被験者4cあるいは店舗8の従業員によって申し込みが実行される。この時あるいは任意の時点で、検診の料金がこの店舗8に対して支払われるように運用してもよい。
またパルスオキシメータの送達は上記のように宅配便等で被験者宅へ行われてもよいが、直接この店舗8へ送られてもよい。この場合、被験者4c側へパルスオキシメータを送達するための情報は、この店舗8が属する店舗チェーンが有する物流ルートにパルスオキシメータを乗せるための情報である。またパルスオキシメータの返送や、解析レポート等の被験者側への送付は店舗8経由としてもよい。
本実施例のメリットは、パーソナルコンピュータを有しない被験者が利用可能であることは勿論、パルスオキシメータの移動や料金の支払いを店舗で行うことができ、利便性、効率が向上する点などである。
[変形例]
上記した各実施例は様々な変形が考え得る。例えば、高価なパルスオキシメータを貸し出して検査を行う際に、保証金を被験者より預かるようにし、その保証金の送金や送金の確認を被験者端末4、店舗端末8、センター端末2などで行えるようにしてもよい。送金や送金の確認とは、クレジットカード番号のセキュリティ確保の下での送信、インターネット上での決済情報の送信、銀行口座への入金を知らせる情報の送信などである。
また、同じく高価なパルスオキシメータを用いる検査業務のリスクを低減するために、被験者の本人確認をするための情報を、被験者端末4、店舗端末8などから送信できるようにしてもよい。本人確認をするための情報とは、例えばクレジットカードの番号であり、その他のものでもよい。
更に、上記の説明ではパルスオキシメータを用いた予備検診(スクリーニング検診)の結果、必要な場合にはすぐにPSGによる確定診断を行う手順を説明したが、その他にも、確定診断に限らない、スクリーニングの次のステップの診断、換言すれば、スクリーニング検診に続く次の診療ステップを行うようにしても良い。
更にまた、上記に説明した全ての事項を、睡眠時無呼吸症候群に限らず、睡眠呼吸障害全般の患者の発見に適用することも、上記の説明及び公知文献の記載から容易であって、例えば、非侵襲的陽圧人工換気療法(NIPPV)が有効、且つ必要である患者の発見と治療に用いることは有望な活用方法である。
次に、上述した各実施例及び変形例とは詳細な構成が異なる実施例であるSAS簡易診断方法について、図5を主に援用して説明を行う。図5は本実施例の方法において、簡易診断を受ける利用者、宅配便システムのような輸送システム、及び医療機関のそれぞれの側において順次実行されるイベントの遷移を示す図である。
本実施例では、先に説明を行った各実施例とは異なり、簡易診断は医師等の医療従事者によって行われるものであって、PSGの要否など診断がより精度よく実行されるとともに医師の診断であるから被験者に対する信頼度、説得力が向上し、PSG受診のモチベーションが向上するなど睡眠時無呼吸症候群患者の発見により大きな効果発揮が期待されるものである。本実施例は斯かる相違点を有するものであるから、その主な相違点に説明を集中することとし、特に記載の無い部分は上記の各実施例や公知技術を適宜参照して実施が可能である。
本実施例においても、利用者である被験者は従前より睡眠時無呼吸症候群に関心を持ち、自己がそれに罹患している可能性を自覚し、機会が有れば診察を受けて罹患の有無を確認したい希望を有しているものとする。このような希望はあるものの被験者の生活圏内に検査を実施している適当な医療機関を見出せない場合が多く、罹患有無の確認が容易には行えないことが多い。そこで本実施例の医療機関13は例えば、雑誌、新聞、放送などのマスコミ媒体、ウェブなどに広告を掲示し、SAS簡易診断検査の受診者を募集する。
検診への応募を企図した被験者(以下、利用者11ともいう)は、広告の記載に従って検診申し込み書を作成し(ステップS1)、例えば郵送によりこの検診申し込み書を医療機関13へ送る(ステップS2)。尚、輸送手段12としては先に説明したように郵送に限らず、宅配便システム、コンビニエンスストアの自社内デリバリシステムなど様々な態様が考えられる。更にインターネット公衆回線など電気通信手段を利用した電磁気的情報の送信として検診申し込みを行っても良い。これらの態様は以下においても同様であるので一々断らないこととする。
輸送される検診申し込み書には、例えば利用者11の氏名、住所、年齢、性別、検診受診の動機などが記載される。検診申し込み書を受け取った医療機関13では、この検診申し込み書に基づいて利用者11のカルテを作成し、また利用者11に対してパルスオキシメータと問診票とを送るための伝票類、たとえば宅配便システムにおける送り状を作成する(ステップS3)。そして、既述のパルスオキシメータと、睡眠時無呼吸症候群患者を抽出するための質問を羅列した問診票とが一緒に、あるいは個別に梱包され、梱包に対して上記の送り状が貼付されて利用者11側へ輸送される。
上記の問診票は本実施例において特に検討された新たなフォーマットを有するものでも良いし、あるいは既に知られている睡眠時無呼吸症候群患者スクリーニング用問診票のフォーマットを有するものでも良い。上記の既に知られたフォーマットとして、例えば、本願出願時点において公衆よりアクセスが可能に配置されたウェブ上のコンテンツであるhttp://www.m−junkanki.com/kennsinn/kennsinn_apnea.htmlには、睡眠評価方法ESS(Epworth Sleepness Scale)に基づく問診票が掲示されている。この問診票においては、「質問1:座って読書しているとき眠くなりますか?」、「質問2:テレビを見ているとき眠くなりますか?」、「質問3:人がたくさんいる場所で座って何もしてないとき眠くなりますか?」など11項目の質問が羅列されてあり、各質問には、「ならない(0点)」、「まれに(1点)」など4段階で回答者が回答できるようにチェックボックスが配置されている。そして回答された点数の合計が0点から10点を正常群、11点から15点を注意群、16点以上を危険群として評価するよう設計がなされている。
上記例の問診票のように、問診票を電磁気的情報の形態で構成して、医療機関13から利用者11への問診票の輸送、利用者11による問診票への回答記入、回答済み問診票の医療機関13への輸送を電磁気的あるいは電気通信伝送によって実現することも勿論可能である。
さて、説明を宅配便システムによるパルスオキシメータ及び問診票の輸送に戻すと、輸送されたパルスオキシメータ及び問診票を受け取った利用者11は、問診票の質問に対する回答を記入するとともに、既述の手順に従いパルスオキシメータを用いて睡眠中の血中酸素飽和度を連続的に記録する作業を行う(ステップS6、S7)。そして記入済みの問診票と、血中酸素飽和度データを内部に記録したパルスオキシメータとは、例えば宅配便システムを利用して医療機関13へ輸送される(ステップS8)。
問診票及びデータ記録済みパルスオキシメータを受け取った医療機関13では、医師等の医療従事者がこれらデータに基づいて利用者11の状態を診断し、診断結果をカルテに記入するとともにこの診断結果に基づいてPSGのような更なる精密検査受診が必要か否かの情報を含んだ検診レポートを作成する(ステップS9、S10)。
これらカルテへの記入や検診レポートの作成は、医療従事者自身が行っても勿論良いが、あるいは問診票の回答データや血中酸素飽和度データに基づき所定の解析システムが所定の解析手順に従ってカルテやレポートの草案を自動的に作成し、作成されたこれら草案の内容を医療従事者が点検して正式なカルテ、レポートとして承認してもよい。
作成された検診レポートは利用者11のもとへ宅配便システムなどを利用して輸送され(ステップS11)、利用者11はレポートを受領して精密検査の要否を知ることができる(ステップS12)。
上記のように本実施例の方法によれば、血中酸素飽和度の測定データばかりでなく、睡眠時無呼吸症候群スクリーニング用に特に構成した問診票への回答データを用いることによって、被験者から遠隔に位置する医療従事者によったとしても精度良く睡眠時無呼吸症候群患者のスクリーニング抽出が行えるので、被験者側の負担減、効率向上によるコスト低減、及び被験者からの信頼度向上が更に可能となる。
【発明の効果】
本発明は、睡眠時無呼吸症候群の罹患の有無を確認必要な被験者の受診障壁を極めて小さなものとして容易に受診が行えるようにすることによって、睡眠時無呼吸症候群の患者の健康確保、更には睡眠時無呼吸症候群に起因する不慮の事故防止等に寄与する診療支援方法、診療支援システムを提供することが出来る。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
睡眠時無呼吸症候群の診療支援を行うシステムであって、
(1) 公衆通信網上で、睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検査に関する情報の閲覧を提供する閲覧提供手段と、
(2) 公衆通信網経由で、申込者の居所情報とともに前記スクリーニング検査の申し込みを受け付ける受け付け手段と、
(3) 前記居所情報に基づき、血中酸素飽和度を測定するためにこの申込者側へ送達される検査装置と、
(4) 前記送達され、申込者の睡眠中の血中酸素飽和度を測定記録した後に返送された前記検査装置の測定データの解析結果を申込者側へ送付する解析結果送付手段と、
を有する診療支援システム。
【請求項2】
該閲覧提供手段が、インターネット通信網を介して閲覧可能な閲覧データ領域を備えたサーバ手段であり、睡眠時無呼吸症候群の疾患説明データ、治療方法説明データ、診断手順説明データの少なくとも一つを備えることを特徴とする請求項1記載の診断支援システム。
【請求項3】
該受け付け手段が、インターネット通信網を介して申込者を特定する個人情報と共にスクリーニング検査を受け付ける手段であり、該受付情報に基づいて検査装置を申込者に送達する為の送付情報を出力する出力手段を備えることを特徴とする請求項1記載の診断支援システム。
【請求項4】
該個人情報が申込者氏名および居所情報を備え、該出力手段が該個人情報に基づいて該検査装置を送達する為の送り状を印刷するプリンタまたは該検査装置の送達を行う事業者へ該申込者氏名および居所情報を送信する手段であることを特徴とする請求項3記載の診断支援システム。
【請求項5】
該検査装置が、血中酸素飽和度および心拍数を測定可能なパルスオキシメータであり、測定した血中酸素飽和度を記憶するメモリを内蔵していることを特徴とする請求項1記載の診断支援システム。
【請求項6】
前記送達され、申込者の睡眠中の血中酸素飽和度を測定記録した後に返送された前記検査装置の測定データの解析手段を備え、メモリに記憶された被検者の血中酸素飽和度および心拍数に関する情報に基づき、血中酸素飽和度の平均値、中央値、最低値、90%以下の領域時間、血中酸素飽和度の値に対する検出頻度、心拍数とのトレンドグラフ、平均dip回数から選ばれる情報を解析する手段であることを特徴とする請求項1記載の診断支援システム。
【請求項7】
該解析結果送付手段が、該解析結果のデータを公衆通信網経由で送信する送信手段、または、該解析結果のデータを印刷した紙媒体あるいはデータを記録した電子媒体を送付する送付手段であることを特徴とする請求項1記載の診断支援システム。
【請求項8】
該解析結果送付手段が、該測定データの解析結果と共に、次のステップの検診を受診するための情報を申込者側へ送付する手段であることを特徴とする請求項1記載の診療支援システム。
【請求項9】
前記検査装置の貸し出し保証金の払い込み及び払い戻しの情報を、前記申し込みの受け付け側と前記申込者側との間で送受信する手段を有する、請求項1に記載の診療支援システム。
【請求項10】
睡眠時無呼吸症候群の診療支援を行うシステムであって、
(1)公衆通信網上に配置された睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検査に関する情報を閲覧した申込者側から、この申込者の居所情報とともに前記スクリーニング検査の申し込みを公衆通信網経由で受け付ける受け付け手段と、
(2)前記居所情報に基づき、血中酸素飽和度を測定するためにこの申込者側へ送達される検査装置と、
(3)前記送達され、申込者の睡眠中の血中酸素飽和度を測定記録した後に返送された前記検査装置の測定データの解析結果を申込者側へ送付する解析結果送付手段と、
を有する診療支援システム。
【請求項11】
該受け付け手段が、インターネット通信網を介して申込者を特定する個人情報と共にスクリーニング検査を受け付ける手段であり、該受付情報に基づいて検査装置を申込者に送達する為の送付情報を出力する出力手段を備えることを特徴とする請求項10記載の診断支援システム。
【請求項12】
該個人情報が申込者氏名および居所情報を備え、該出力手段が該個人情報に基づいて該検査装置を送達する為の送り状を印刷するプリンタまたは該検査装置の送達を行う事業者へ該申込者氏名および居所情報を送信する手段であることを特徴とする請求項11記載の診断支援システム。
【請求項13】
該検査装置が、血中酸素飽和度および心拍数を測定可能なパルスオキシメータであり、測定した血中酸素飽和度を記憶するメモリを内蔵していることを特徴とする請求項10記載の診断支援システム。
【請求項14】
前記送達され、申込者の睡眠中の血中酸素飽和度を測定記録した後に返送された前記検査装置の測定データの解析手段を備え、メモリに記憶された被検者の血中酸素飽和度および心拍数に関する情報に基づき、血中酸素飽和度の平均値、中央値、最低値、90%以下の領域時間、血中酸素飽和度の値に対する検出頻度、心拍数とのトレンドグラフ、平均dip回数から選ばれる情報を解析する手段であることを特徴とする請求項10記載の診断支援システム。
【請求項15】
該解析結果送付手段が、該解析結果のデータを公衆通信網経由で送信する送信手段、または、該解析結果のデータを印刷した紙媒体あるいはデータを記録した電子媒体を送付する送付手段であることを特徴とする請求項10記載の診断支援システム。
【請求項16】
該解析結果送付手段が、該測定データの解析結果と共に、次のステップの検診を受診するための情報を申込者側へ送付する手段であることを特徴とする請求項10記載の診療支援システム。
【請求項17】
前記検査装置の貸し出し保証金の払い込み及び払い戻しの情報を、前記申し込みの受け付け側と前記申込者側との間で送受信する手段を有する、請求項10記載の診療支援システム。
【請求項18】
睡眠時無呼吸症候群患者を被験者母集団中からスクリーニング抽出するために実行される診療支援方法であって、
(1) 被験者側から、スクリーニング抽出検査受診申し込みの情報が医療機関側へ輸送される工程、
(2) 被験者の血中酸素飽和度を測定するための測定手段と、前記患者を抽出するための質問を羅列した問診票とが被験者側へ輸送される工程、
(3) 被験者側で前記質問への回答が記入された問診票と、前記測定手段を用いて睡眠時に連続的に記録された被験者の血中酸素飽和度データとが医療機関側へ輸送される工程、及び、
(4) 前記回答と前記データとに基づいてなされた診断の結果を反映した睡眠時無呼吸症候群判定検査の受診必要性の有無を知らせる情報が、被験者側へ輸送される工程、
を有する診療支援方法。
【請求項19】
インターネット上のサーバが睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検診の申し込み受け付けを行い、申し込み者側へ血中酸素飽和度測定装置が送付され、測定後に申し込み者側から返送された前記装置の測定データの解析結果と次のステップの検診受診のための情報とが前記申し込み者側へ送信される診療支援方法。

【国際公開番号】WO2004/100034
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【発行日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−506009(P2005−506009)
【国際出願番号】PCT/JP2004/006269
【国際出願日】平成16年4月30日(2004.4.30)
【出願人】(503369495)帝人ファーマ株式会社 (159)
【Fターム(参考)】