睡眠深度推定装置及び睡眠深度推定方法
【課題】睡眠深度の推定の労力を低減し、且つ睡眠深度の推定の精度を向上させることが可能な睡眠深度推定装置及び睡眠深度推定方法を提供する。
【解決手段】睡眠装置1の特徴量算出部31は、ユーザの脳波に含まれる1つ又は2つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、覚醒方法決定部33は、これらの波により睡眠深度を推定する。したがって、脳波に含まれる1つ又は2つの特定周波数成分の波を検出するだけで、睡眠深度の推定が可能であり、睡眠深度の推定の労力を低減することができる。覚醒方法決定部33は、特徴量算出部31が検出した特定周波数成分の波の出現のパターンに基づいて睡眠深度を推定する。このため、睡眠深度の推定の精度を向上させることが可能となる。
【解決手段】睡眠装置1の特徴量算出部31は、ユーザの脳波に含まれる1つ又は2つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、覚醒方法決定部33は、これらの波により睡眠深度を推定する。したがって、脳波に含まれる1つ又は2つの特定周波数成分の波を検出するだけで、睡眠深度の推定が可能であり、睡眠深度の推定の労力を低減することができる。覚醒方法決定部33は、特徴量算出部31が検出した特定周波数成分の波の出現のパターンに基づいて睡眠深度を推定する。このため、睡眠深度の推定の精度を向上させることが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、睡眠深度推定装置及び睡眠深度推定方法に関し、特に、睡眠の深さを脳波に基づいて推定する睡眠深度推定装置及び睡眠深度推定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人間の睡眠の深さを脳波、脈拍及び眼球運動等に基づいて推定する装置や、推定された睡眠の深さに基づいて、睡眠の深さや時間を制御する装置が提案されている。例えば、特許文献1には、睡眠中における脳波をα波、紡錘波及びδ波といった複数の周波数帯域に分離して観測し、周波数帯域ごとにパワーを求めることによって睡眠深度を識別する睡眠状態の判定方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−150054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような技術においては、脳波に含まれる複数の周波数成分の波の全てを分離し、その全ての周波数について観測を行なう必要がある。そのため、睡眠深度の算出に労力を要するという問題がある。
【0005】
また、一般に短時間の仮眠においては、眠りが深い状態から目覚めると、睡眠慣性の影響により、覚醒度が低い状態となることが知られている。一方、国際基準における睡眠段階2程度の睡眠深度から目覚めると、覚醒度が高い状態になることが知られている。したがって、作業途中に仮眠を取得するような場合では、作業に支障をきたさぬよう睡眠深度を精度良く制御しつつ、仮眠を取らせる必要がある。ところが、上記のような技術で判定される睡眠深度の精度は不十分であり、改善が望まれている。
【0006】
本発明は、このような実情に考慮してなされたものであり、その目的は、睡眠深度の推定の労力を低減し、且つ睡眠深度の推定の精度を向上させることが可能な睡眠深度推定装置及び睡眠深度推定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ユーザの脳波に含まれる1つ又は2つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出する特徴波検出手段と、特徴波検出手段が検出した特定周波数成分の波の出現のパターンに基づいて睡眠深度を推定する推定手段とを備えた睡眠深度推定装置である。
【0008】
この構成によれば、特徴波検出手段は、ユーザの脳波に含まれる1つ又は2つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、推定手段はこれらの波により睡眠深度を推定する。したがって、脳波に含まれる1つ又は2つの特定周波数成分の波を検出するだけで、睡眠深度の推定が可能であり、睡眠深度の推定の労力を低減することができる。また、推定手段は、特徴波検出手段が検出した特定周波数成分の波の出現のパターンに基づいて睡眠深度を推定する。このため、睡眠深度の推定の精度を向上させることが可能となる。
【0009】
この場合、特徴波検出手段は、1つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、推定手段は、所定期間内における1つの特定周波数成分の波の出現回数に基づいて睡眠深度を推定することが好適である。
【0010】
1つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現のパターンは、睡眠深度に密接に関係している。そのため、この構成では、特徴波検出手段は、1つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、推定手段は、所定期間内における1つの特定周波数成分の波の出現回数に基づいて睡眠深度を推定することにより、睡眠深度の推定の労力を低減し、且つ精度を向上させることが可能となる。
【0011】
この場合、特徴波検出手段は、大徐波の睡眠時における出現を検出し、推定手段は、所定期間内における大徐波の出現回数に基づいて睡眠深度を推定することが好適である。
【0012】
この構成によれば、特徴波検出手段は、睡眠時における検出が容易な大徐波を検出し、推定手段は、検出が容易な所定期間内における大徐波の出現回数に基づいて睡眠深度を推定するため、さらに容易に精度良く睡眠深度を推定することが可能となる。なお、本発明において、「大徐波」とは、脳波に含まれる周波数0.5〜2Hzの波であって、特には振幅75μV以上の波を意味する。
【0013】
また、特徴波検出手段は、2つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、推定手段は、2つの特定周波数成分の波の脳波全体に対する含有率が等しくなる時点に基づいて睡眠深度を推定することが好適である。
【0014】
この構成によれば、特徴波検出手段は、2つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、推定手段はこれらに基づいて睡眠深度を推定するため、睡眠深度の推定の労力を軽減することができる。2つの特定周波数成分の波の脳波全体に対する含有率が等しくなる時点は睡眠深度と密接に関係し、検出も容易である。したがって、推定手段が、2つの特定周波数成分の波の脳波全体に対する含有率が等しくなる時点に基づいて睡眠深度を推定することにより、さらに容易に精度良く睡眠深度を推定することが可能となる。
【0015】
この場合、特徴波検出手段は、σ波及びβ波の睡眠時における出現を検出し、推定手段は、σ波及びβ波の脳波全体に対する含有率が等しくなる時点に基づいて睡眠深度を推定することが好適である。
【0016】
σ波及びβ波の脳波全体に対する含有率が等しくなる時点は、睡眠段階2の状態に密接に関連している。したがって、この構成によれば、特徴波検出手段は、σ波及びβ波の睡眠時における出現を検出し、推定手段は、σ波及びβ波の脳波全体に対する含有率が等しくなる時点に基づいて睡眠深度を推定することにより、さらに容易に精度良く睡眠深度を推定することが可能となる。なお、本発明においては、σ波とは、脳波に含まれる周波数12〜16Hzの波を意味する。また、本発明においては、β波とは、脳波に含まれる周波数14〜30Hzの波を意味する。
【0017】
また、特徴波検出手段は、1つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、推定手段は、1つの特定周波数成分の波の変動に基づいて睡眠深度を推定することが好適である。
【0018】
1つの特定周波数成分の波の変動は睡眠深度に密接に関連している。したがって、この構成によれば、特徴波検出手段は、1つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、推定手段は、1つの特定周波数成分の波の変動に基づいて睡眠深度を推定することにより、さらに容易に精度良く睡眠深度を推定することが可能となる。
【0019】
この場合、特徴波検出手段は、δ波の睡眠時における出現を検出し、推定手段は、δ波のパワーの極大値に基づいて睡眠深度を推定することが好適である。
【0020】
δ波のパワーの極大値となる時点は、睡眠段階2の状態に密接に関連している。したがって、この構成によれば、特徴波検出手段は、δ波の睡眠時における出現を検出し、推定手段は、δ波のパワーの極大値に基づいて睡眠深度を推定することにより、さらに容易に精度良く睡眠深度を推定することが可能となる。なお、本発明において、δ波とは、脳波に含まれる周波数0.5〜4Hzの波を意味する。
【0021】
また、特徴波検出手段は、大徐波の睡眠時における出現を検出し、推定手段は、大徐波の出現間隔の変動の周波数成分に基づいて睡眠深度を推定することが好適である。
【0022】
大徐波の出現間隔の変動(ゆらぎ)の周波数成分は、睡眠深度に密接に関連している。したがって、この構成によれば、特徴波検出手段は、大徐波の睡眠時における出現を検出し、推定手段は、大徐波の出現間隔の変動の周波数成分に基づいて睡眠深度を推定することにより、さらに容易に精度良く睡眠深度を推定することが可能となる。
【0023】
また、推定手段が推定した睡眠深度に基づいてユーザに覚醒刺激を与える覚醒刺激付与手段をさらに備えることが好適である。
【0024】
本発明の睡眠深度の推定によれば、さらに高精度で睡眠深度を推定することが可能であるため、覚醒刺激付与手段が、推定手段が推定した睡眠深度に基づいてユーザに覚醒刺激を与えることにより、さらに好ましい睡眠深度でユーザを覚醒させることが可能となる。
【0025】
さらに、推定手段は、ユーザごとに蓄積された特定周波数成分の波の出現のパターンの学習結果に基づいて睡眠深度を推定することが好適である。
【0026】
この構成によれば、推定手段は、ユーザごとに蓄積された特定周波数成分の波の出現のパターンの学習結果に基づいて睡眠深度を推定するため、ユーザ個人の特性を加味して睡眠深度の推定を行うことができ、ユーザごとに精度の高い推定が可能となる。
【0027】
また、本発明は、ユーザの脳波に含まれる1つ又は2つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出する特徴波検出工程と、特徴波検出工程で検出した特定周波数成分の波の出現のパターンに基づいて睡眠深度を推定する推定工程とを含む睡眠深度推定方法である。
【0028】
この場合、特徴波検出工程では、1つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、推定工程では、所定期間内における1つの特定周波数成分の波の出現回数に基づいて睡眠深度を推定することが好適である。
【0029】
また、この場合、特徴波検出工程では、大徐波の睡眠時における出現を検出し、推定工程では、所定期間内における大徐波の出現回数に基づいて睡眠深度を推定することが好適である。
【0030】
また、特徴波検出工程では、2つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、推定工程では、2つの特定周波数成分の波の脳波全体に対する含有率が等しくなる時点に基づいて睡眠深度を推定することが好適である。
【0031】
この場合、特徴波検出工程では、σ波及びβ波の睡眠時における出現を検出し、推定工程では、σ波及びβ波の脳波全体に対する含有率が等しくなる時点に基づいて睡眠深度を推定することが好適である。
【0032】
また、特徴波検出工程では、1つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、推定工程では、1つの特定周波数成分の波の変動に基づいて睡眠深度を推定することが好適である。
【0033】
この場合、特徴波検出工程では、δ波の睡眠時における出現を検出し、推定工程では、δ波のパワーの極大値に基づいて睡眠深度を推定することが好適である。
【0034】
また、特徴波検出工程では、大徐波の睡眠時における出現を検出し、推定工程では、大徐波の出現間隔の変動の周波数成分に基づいて睡眠深度を推定することが好適である。
【0035】
また、推定工程で推定した睡眠深度に基づいてユーザに覚醒刺激を与える覚醒刺激付与工程をさらに含むことが好適である。
【0036】
さらに、推定工程では、ユーザごとに蓄積された特定周波数成分の波の出現のパターンの学習結果に基づいて睡眠深度を推定することが好適である。
【発明の効果】
【0037】
本発明の睡眠深度推定装置及び睡眠深度推定方法によれば、睡眠深度の推定の労力を低減し、且つ睡眠深度の推定の精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】第1実施形態に係る睡眠装置の構成を示す図である。
【図2】第1実施形態に係る睡眠装置の仮眠開始から睡眠段階の決定までの動作を示すフローチャートである。
【図3】大徐波が存在する5秒区間の累積区間数により睡眠深度を推定する動作を示すフローチャートである。
【図4】初発の紡錘波からの経過時間と各種の脳波が存在する1分間当たりの5秒区間数との関係を示すグラフである。
【図5】大徐波が存在する5秒区間の累積区間数と眠りの深さとの関係を示すグラフである。
【図6】初発の紡錘波からの経過時間と大徐波が存在する5秒区間の累積区間数との関係を示すグラフである。
【図7】σ波とβ波との周波数成分含有率の交差点から睡眠深度を推定する動作を示すフローチャートである。
【図8】ノンレム睡眠時間割合とσ波及びβ波の周波数成分含有率との関係を示すグラフである。
【図9】特徴波のパワーの変化点又は変動から睡眠深度を推定する動作を示すフローチャートである。
【図10】ノンレム睡眠時間割合と正規化されたσ波のパワーとの関係を示すグラフである。
【図11】時間と脳波の振幅、特には特徴量及び特徴量間隔との関係を示すグラフである。
【図12】図11の時間と特徴量間隔との関係を示すグラフである。
【図13】図12の時間と特徴量間隔との周波数成分を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る睡眠深度推定装置を利用した睡眠装置を説明する。
【0040】
図1に示す本実施形態の睡眠装置1は、自動車及び電車などの車両、飛行機並びに船舶等の移動体に装備される。睡眠装置1は、自動車の後席や助手席等で移動中の車内で仮眠を取るための装置である。仮眠の開始方法は、仮眠取得者の生態情報から仮眠開始を検出する方法が考えられる。あるいは、仮眠の開始方法は、仮眠取得者のボタン操作等により、仮眠を開始しても良い。また、睡眠装置1は、車両の運転者(ユーザ)が運転中に眠気を感じた際、車両を所定の場所に駐車した後、運転席において運転者の眠気度に応じた適切な睡眠を支援する装置である。さらに、睡眠装置1は、通常のベッドでの仮眠において仮眠取得者の睡眠を支援する装置である。仮眠の開始方法は、カメラ、ベッド上に配置された体圧センサ(圧電素子)で、仮眠取得者のベッドへの接地を確認し、仮眠を開始する方法が考えられる。睡眠装置1は、生体情報検出部2、ECU3及び刺激提示部4を備えている。
【0041】
生体情報検出部2は、運転者等の仮眠を取る者の情報を取得するためのものである。生体情報検出部2は、仮眠を取る者それぞれを識別するための情報を取得する。生体情報検出部2は、仮眠を取る者を識別するために、その者の運転免許証、暗証番号、指紋及び虹彩等の情報を取得する。
【0042】
生体情報検出部2は、睡眠深度の推定に必要な生体情報を取得する。生体情報検出部2は、睡眠深度の推定に必要な生体情報として、脳波、心拍、血圧、呼吸、皮膚電位、筋電位、体温及び眼球運動等の生理指標を検出する。生体情報検出部2は、睡眠深度の推定に必要な生体情報を接触及び非接触のいずれの方法であっても取得することができる。生体情報検出部2は、ステアリングや車両シート等に埋め込まれた生理計測装置や圧電素子等から、睡眠深度の推定に必要な生体情報を取得することができる。生体情報検出部2は、仮眠を取る者が着用した脳波測定用のヘッドバンドから、仮眠を取る者の脳波に関する情報を取得することができる。
【0043】
生体情報検出部2は、仮眠を取る者が運転者の場合は、車両が停止しているか否かに関する情報を取得する。生体情報検出部2は、車両が停止しているか否かに関する情報として、サイドブレーキが引かれていることを検出する。生体情報検出部2は、車両が停止しているか否かに関する情報として、オートマチックトランスミッションの車両であれば、シフトレンジが「P」であることを検出し、マニュアルトランスミッションの車両であれば、シフトレンジが「N」であることを検出する。
【0044】
ECU3は、睡眠装置1全体の制御を行なう。ECU3は、生体情報検出部2が検出した情報から、仮眠を取る者の睡眠の深さを推定する。ECU3は、特徴量算出部31、睡眠段階決定部32及び覚醒方法決定部33を有している。
【0045】
特徴量算出部31は、仮眠を取る者の脳波を取得し、当該脳波を整流後、任意の区間ごと、例えば5秒ごとに波形認識を行い、後述する方法で睡眠深度を判定するための1つ又は2つの特定の周波数帯域の脳波を分類する。特徴量算出部31は、背景脳波として、周波数4〜8Hzのθ波、周波数0.5〜4Hzのδ波、及びθ波にもδ波にも該当しない場合の平坦波のいずれかを分類することができる。特徴量算出部31は、特徴脳波として、周波数0.5〜2Hzで振幅75μV以上の大徐波、周波数12〜16Hzで振幅10μV以上の糸巻状の波である紡錘波、及び振幅200μV以上のK複合のいずれかを分類することができる。あるいは、特徴量算出部31は、周波数512〜1024Hzの波であるσ波や、周波数14〜30Hzの波であるβ波を分類することができる。
【0046】
特徴量算出部31は、背景脳波については、任意の区間で半分以上、例えば2.5秒以上存在する場合に特徴量として計上する。特徴量算出部31は、特徴脳波については、任意の区間内に存在する場合に特徴量として計上する。
【0047】
特徴量算出部31は、特徴量として計上されたものから、累積数、変化率、及び一定区間の数を算出する。ここで、累積数は、特徴量として計上されたものの合計数である。変化率とは、前の特徴量との差分及び前の一定区間の数との差分である。一定区間の数とは、任意の区間で特徴量の計上された数を合計したものである。一定区間の数とは、例えば、1分間当たりの特徴量の数である。また、特徴量算出部31は、特徴量について、脳波全体における含有率を算出することもできる。また、特徴量算出部31は、特徴量について、出現間隔の変動(ゆらぎ)を検出することもできる。
【0048】
睡眠段階決定部32は、生体情報検出部2により得られた生理指標から国際基準である睡眠段階を判定する。睡眠段階決定部32は、仮眠を取る者の脳波を用いて国際判定基準から睡眠段階を判定することができる。また、睡眠段階決定部32は、心拍、血圧、呼吸、皮膚電位、筋電位、体温及び眼球運動等から睡眠段階を判定することができる。
【0049】
覚醒方法決定部33は、特徴量算出部31が算出した特徴量の累積数、変化率、一定区間の数及び出現間隔のゆらぎの少なくとも一つを利用して睡眠の深さを推定する。覚醒方法決定部33は、仮眠を取る者ごとのデータを記録したデータベースを用いて、睡眠の深さの推定を行うことができる。また、覚醒方法決定部33は、特徴量の組合せからなり、睡眠深度を従属変数とした関数式を用いて、睡眠の深さの推定を行うことができる。
【0050】
後述するように、本実施形態では、覚醒方式決定部33は、仮眠を取る者ごとのデータを記録したデータベースを用い、特徴量を大徐波の累積数として、睡眠の深さの推定を行う。本実施形態では、大徐波の累積数と眠りの深さとは、仮眠を取る者ごとにデータベース内のデータに対応付けて記録されている。本実施形態では、仮眠効果の高い累積数を例えば4と設定している。覚醒方式決定部33は、特徴量算出部31が算出した大徐波の累積数が4に達した場合、刺激提示装置4に仮眠を取る者を覚醒させる指令信号を送出する。
【0051】
刺激提示部4は、仮眠を取る者が覚醒可能な刺激を仮眠取得者に提示する。あるいは、刺激提示部4は、仮眠取得者の寝覚めが良くなるように、浅い眠りを維持するための刺激を仮眠取得者に提示する。刺激提示部4が提示する刺激は、知覚可能な刺激であれば良い。刺激提示部4が提示する刺激は、音楽等の音声、匂い、熱、冷風、マッサージ、ツボへの刺激、光及び振動等の物理的刺激とすることができる。刺激提示部4は、少なくとも1種類以上の刺激を仮眠取得者に提示する。
【0052】
以下、本実施形態の睡眠装置1の動作について説明する。本実施形態の睡眠装置1では、仮眠を取る者が覚醒した際の覚醒度をより高めるため、まず、仮眠を取る者が国際基準における睡眠段階2に到達したことを検出する。上述のように睡眠段階2から仮眠取得者を覚醒させることにより、仮眠取得者が覚醒した際の覚醒度を高めることが可能となる。また、睡眠深度を推定する睡眠段階を限定することにより、睡眠深度の推定が容易となり、睡眠深度の推定の精度を高めることができる。
【0053】
図2に示すように、仮眠を取る者が仮眠を開始し、睡眠装置1が動作を開始する(S11)。睡眠装置1の生体情報検出部2は、仮眠を取る者の脳波、心拍、血圧、呼吸、皮膚電位、筋電位、体温及び眼球運動等の生理指標を検出する(S12)。併せて、生体情報検出部2は、運転免許証、暗証番号、指紋及び虹彩等の情報を検出しつつ、仮眠を取る者の個人認証を行なう。さらに、生体情報検出部2は、サイドブレーキが引かれているか否かやトランスミッションのシフトレンジにより、車両が停止しているか否かを検出する。
【0054】
睡眠装置1の睡眠段階決定部32は、生体情報検出部2により得られた脳波等の生理指標から国際基準である睡眠段階を判定する(S3)。睡眠段階が2である場合は(S4)、睡眠装置1は、以下の3通りの睡眠深度を推定する方法のいずれかを実行する。
【0055】
以下、大徐波が存在する5秒区間の累積区間数により睡眠深度を推定する方法について説明する。図3に示すように、睡眠段階が2である場合、睡眠装置1の生体情報検出部2は、仮眠を取る者の脳波を検出する(S21)。特徴量算出部31は、脳波の波形を認識する(S22)。特徴量算出部31は、判定の対象となる特徴波、この場合は大徐波であるか否かを判定する(S23)。特徴量算出部31は、例えば5秒ごとに大徐波の有無を確認する(S23)。
【0056】
この場合、図4に示すように、1分間当りの大徐波が存在する5秒区間の数は、初発の紡錘波からの経過時間とともに増加する。図5に示すように、大徐波が存在する5秒区間の累積数が多いほど、眠りの深さは深い。そこで、睡眠装置1の覚醒方法決定部33は、大徐波が存在する5秒区間の累積数を算出する(S24)。この場合、1分間当りの大徐波が存在する5秒区間の数の変化率を、睡眠の深さを推定するための指標としても良い。
【0057】
睡眠装置1の覚醒方法決定部33は、図6に示すように、大徐波が存在する五秒区間の累積数が例えば4を超えたときは(S25)、刺激提示部4に指令信号を送出し、刺激提示部に仮眠取得者を覚醒させるための刺激を提示させる(S26)。これにより、仮眠取得者の仮眠は終了する(S27)。
【0058】
以下、σ波とβ波との周波数成分含有率の交差点から睡眠深度を推定する方法について説明する。図7に示すように、睡眠段階が2である場合、睡眠装置1の生体情報検出部2は、仮眠を取る者の脳波を検出する(S31)。特徴量算出部31は、脳波の周波数解析を行なう(S32)。覚醒方法決定部33は、任意の2つの周波数帯域の波、この場合はσ波及びβ波の脳波全体における含有率を算出する(S33)。
【0059】
図8に示すように、睡眠中にσ波とβ波との脳波全体における含有率が等しくなる場合、ノンレム睡眠時間割合が20%を超えた状態となり、確実に睡眠段階2の状態となることが判る。このため、特徴量算出部31は、σ波とβ波との脳波全体における含有率が等しくなった時点や、あるいはσ波とβ波との脳波全体における含有率が等しくなった時点からの経過時間等により、睡眠深度を推定する(S33)。
【0060】
覚醒方法決定部33は、σ波とβ波との脳波全体における含有率が等しくなった時点や、あるいはσ波とβ波との脳波全体における含有率が等しくなった時点からの経過時間が規定時間経過したときは(S34)、刺激提示部4に指令信号を送出し、刺激提示部に仮眠取得者を覚醒させるための刺激を提示させる(S35)。これにより、仮眠取得者の仮眠は終了する(S36)。
【0061】
以下、脳波に含まれる1つの特定周波数成分の波の変動に基づいて睡眠深度を推定する方法について説明する。図9に示すように、睡眠段階が2である場合、睡眠装置1の生体情報検出部2は、仮眠を取る者の脳波を検出する(S41)。特徴量算出部31は、脳波の波形を認識する(S42)。特徴量算出部31は、判定の対象となる特徴波であるか否かを判定する(S43)。もし、判定の対象となる特徴波でない場合、睡眠装置1は、図2に示すS12〜S14の工程を再度実行する。
【0062】
まず、判定の対象となる特徴波をδ波とする場合について説明する。図10に示すように、睡眠がレム睡眠からノンレム睡眠へと深くなっていく段階において、δ波の2つ目の極大値の状態では、ノンレム睡眠時間割合が20%を超えた状態となり、確実に睡眠段階2の状態となることが判る。このため、覚醒方法決定部33は、睡眠中のδ波の2つ目の極大値の時点や、あるいは睡眠中のδ波の2つ目の極大値の時点からの経過時間等により、睡眠深度を推定する(S44)。
【0063】
一方、判定の対象となる特徴波を大徐波とする場合について説明する。この場合、覚醒方法決定部33は、図11に示すように、大徐波を確認した時刻T2と一つ前の大徐波を確認した時刻T1との時刻の差分Tδ1を算出する。同様に覚醒方法決定部33は、大徐波を確認した時刻と一つ前の大徐波を確認した時刻T2との時刻の差分Tδ2を算出する。このようにして、覚醒方法決定部33は、大徐波を確認した時刻Tnと一つ前の大徐波を確認した時刻Tn−1との時刻の差分Tδn−1を順次算出する。
【0064】
覚醒方法決定部33は、図12に示すような時刻T1,T2等における大徐波が現れる間隔である差分Tδ1,Tδ2等について周波数解析を行なう。覚醒方法決定部33は、図13に示すように、周波数成分ごとのパワーを算出する。この場合、覚醒方法決定部33は、例えば、パワーが最大となる周波数であるピーク周波数fP、及びパワースペクトルの重心となる重心周波数fGを算出する。
【0065】
睡眠装置1の覚醒方法決定部33は、図13に示すように、例えば、ピーク周波数fPが所定の閾値fthを超えたときは(S45)、刺激提示部4に指令信号を送出し、刺激提示部に仮眠取得者を覚醒させるための刺激を提示させる(S46)。これにより、仮眠取得者の仮眠は終了する(S47)。
【0066】
なお、上記3つの方法による睡眠深度の判定の基準値や閾値は、ユーザごとの学習結果から算出された値をデータベースに蓄積し、当該学習結果に基づいて算出された基準値や閾値を用いて睡眠深度の推定を行っても良い。
【0067】
本実施形態によれば、睡眠装置1の特徴量算出部31は、ユーザの脳波に含まれる1つ又は2つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、覚醒方法決定部33は、これらの波により睡眠深度を推定する。したがって、脳波に含まれる1つ又は2つの特定周波数成分の波を検出するだけで、睡眠深度の推定が可能であり、睡眠深度の推定の労力を低減することができる。また、覚醒方法決定部33は、特徴量算出部31が検出した特定周波数成分の波の出現のパターンに基づいて睡眠深度を推定する。このため、睡眠深度の推定の精度を向上させることが可能となる。さらに、睡眠の深さを推定する基準が身体の動きや目の動きと異なる脳波の周波数であるため、測定誤差による影響を低減させつつ睡眠の深さを推定することができる。
【0068】
1つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現のパターンは、睡眠深度に密接に関係している。そのため、本実施形態では、特徴量算出部31は、1つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、覚醒方法決定部33は、所定期間内における1つの特定周波数成分の波の出現回数に基づいて睡眠深度を推定することにより、睡眠深度の推定の労力を低減し、且つ精度を向上させることが可能となる。
【0069】
特に、特徴量算出部31は、睡眠時における検出が容易な大徐波を検出し、覚醒方法決定部33は、検出が容易な所定期間内における大徐波の出現回数に基づいて睡眠深度を推定するため、さらに容易に精度良く睡眠深度を推定することが可能となる。
【0070】
一方、本実施形態では、特徴量算出部31は、2つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、覚醒方法決定部33は、これらに基づいて睡眠深度を推定するため、睡眠深度の推定の労力を軽減することができる。2つの特定周波数成分の波の脳波全体に対する含有率が等しくなる時点は睡眠深度と密接に関係し、検出も容易である。したがって、覚醒方法決定部33が、2つの特定周波数成分の波の脳波全体に対する含有率が等しくなる時点に基づいて睡眠深度を推定することにより、さらに容易に精度良く睡眠深度を推定することが可能となる。
【0071】
σ波及びβ波の脳波全体に対する含有率が等しくなる時点は、睡眠段階2の状態に密接に関連している。したがって、本実施形態では、特徴量算出部31は、σ波及びβ波の睡眠時における出現を検出し、覚醒方法決定部33は、σ波及びβ波の脳波全体に対する含有率が等しくなる時点に基づいて睡眠深度を推定することにより、さらに容易に精度良く睡眠深度を推定することが可能となる。
【0072】
一方、1つの特定周波数成分の波の変動は睡眠深度に密接に関連している。したがって、本実施形態では、特徴量算出部31は、1つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、覚醒方法決定部33は、1つの特定周波数成分の波の変動に基づいて睡眠深度を推定することにより、さらに容易に精度良く睡眠深度を推定することが可能となる。
【0073】
特にδ波のパワーの極大値となる時点は、睡眠段階2の状態に密接に関連している。したがって、本実施形態では、特徴量算出部31は、δ波の睡眠時における出現を検出し、覚醒方法決定部33は、δ波のパワーの極大値に基づいて睡眠深度を推定することにより、さらに容易に精度良く睡眠深度を推定することが可能となる。
【0074】
あるいは、大徐波の出現間隔のゆらぎの周波数成分は、睡眠深度に密接に関連している。したがって、本実施形態では、特徴量算出部31は、大徐波の睡眠時における出現を検出し、覚醒方法決定部33は、大徐波の出現間隔のゆらぎの周波数成分に基づいて睡眠深度を推定することにより、さらに容易に精度良く睡眠深度を推定することが可能となる。
【0075】
また、本実施形態の睡眠深度の推定によれば、従来より高精度で睡眠深度を推定することが可能であるため、刺激提示部4が、覚醒方法決定部33が推定した睡眠深度に基づいてユーザに覚醒刺激を与えることにより、さらに好ましい睡眠深度でユーザを覚醒させることが可能となる。
【0076】
さらに、覚醒方法決定部33は、ユーザごとに蓄積された特定周波数成分の波の出現のパターンの学習結果に基づいて睡眠深度を推定するため、ユーザ個人の特性を加味して睡眠深度の推定を行うことができ、ユーザごとに精度の高い推定が可能となる。
【0077】
以下、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態においては、図3のS21〜S27の工程で実行される大徐波が存在する5秒区間の累積区間数により睡眠深度を推定する方法において、θ波の区間数を数えることで眠りの深さを推定する点が上記第1実施形態と異なる。睡眠段階が2である場合、特徴量算出部31は、脳波の波形を認識する(S22)。特徴量算出部31は、推定の対象となる特徴波、この場合はθ波であるか否かを判定する(S23)。特徴量算出部31は、例えば5秒ごとにθ波の有無を確認する。この場合のθ波の抽出は、波形認識法でも時間周波数解析でも良い。
【0078】
特徴量算出部31は、5秒区間において2.5秒以上θ波が出現している場合は、1つと数え、1分間当りのθ波が存在する5秒区間の数を算出する。覚醒方法決定部33は、1分間当りのθ波が存在する5秒区間の数が、直前の1分間当りのθ波が存在する5秒区間の数の1.5倍以上に増加したときは(S25)、刺激提示部4に指令信号を送出し、刺激提示部4に仮眠取得者を覚醒させるための刺激を提示させる(S26)。これにより、仮眠取得者の仮眠は終了する(S27)。
【0079】
θ波は睡眠段階2の間に一様に出現するため、本実施形態では、θ波が出現する区間数を累積することで、睡眠段階2からの経過時間を容易に推定し、睡眠深度を推定することが可能である。
【0080】
以下、本発明の第3実施形態について説明する。
本実施形態においては、図3のS21〜S27の工程で実行される生体情報の特徴波形から眠りの深さを推定する方法において、紡錘波の区間数を数えることで眠りの深さを推定する点が上記第1実施形態と異なる。睡眠段階が2である場合、特徴量算出部31は、脳波の波形を認識する(S22)。特徴量算出部31は、推定の対象となる特徴波、この場合は紡錘波であるか否かを判定する(S23)。特徴量算出部31は、例えば5秒ごとに紡錘波の有無を確認する。この場合のθ波の抽出は、波形認識法でも時間周波数解析でも良い。
【0081】
特徴量算出部31は、5秒区間において2.5秒以上紡錘波が出現している場合は、1つと数え、1分間当りの紡錘波が存在する5秒区間の数を算出する。覚醒方法決定部33は、1分間当りの紡錘波が存在する5秒区間の数が、直前の1分間当りの紡錘波が存在する5秒区間の数の1.5倍以上に増加したときは(S25)、刺激提示部4に指令信号を送出し、刺激提示部に仮眠取得者を覚醒させるための刺激を提示させる(S26)。これにより、仮眠取得者の仮眠は終了する(S27)。
【0082】
紡錘波は変化点を捉え易く、浅い眠りの際に出現しやすい波であるため、本実施形態によれば、紡錘波が出現する区間数を累積することで、睡眠段階2からの経過時間を容易に推定し、睡眠深度を推定することが可能である。
【0083】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。上記実施形態では、本発明に係る睡眠深度推定装置を車両の睡眠装置に適用させた形態について主に説明したが、本発明に係る睡眠深度推定装置を車両以外のベッドや安楽イスなどに適用させて、通常の仕事におけるリフレッシュ用途に用いたり、警察や消防といった長時間の仮眠がとれない仕事における仮眠用途に用いたりしてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1…睡眠装置、2…生体情報検出部、3…ECU、4…刺激提示部、31…特徴量算出部、32…睡眠段階決定部、33…覚醒方法決定部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、睡眠深度推定装置及び睡眠深度推定方法に関し、特に、睡眠の深さを脳波に基づいて推定する睡眠深度推定装置及び睡眠深度推定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人間の睡眠の深さを脳波、脈拍及び眼球運動等に基づいて推定する装置や、推定された睡眠の深さに基づいて、睡眠の深さや時間を制御する装置が提案されている。例えば、特許文献1には、睡眠中における脳波をα波、紡錘波及びδ波といった複数の周波数帯域に分離して観測し、周波数帯域ごとにパワーを求めることによって睡眠深度を識別する睡眠状態の判定方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−150054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような技術においては、脳波に含まれる複数の周波数成分の波の全てを分離し、その全ての周波数について観測を行なう必要がある。そのため、睡眠深度の算出に労力を要するという問題がある。
【0005】
また、一般に短時間の仮眠においては、眠りが深い状態から目覚めると、睡眠慣性の影響により、覚醒度が低い状態となることが知られている。一方、国際基準における睡眠段階2程度の睡眠深度から目覚めると、覚醒度が高い状態になることが知られている。したがって、作業途中に仮眠を取得するような場合では、作業に支障をきたさぬよう睡眠深度を精度良く制御しつつ、仮眠を取らせる必要がある。ところが、上記のような技術で判定される睡眠深度の精度は不十分であり、改善が望まれている。
【0006】
本発明は、このような実情に考慮してなされたものであり、その目的は、睡眠深度の推定の労力を低減し、且つ睡眠深度の推定の精度を向上させることが可能な睡眠深度推定装置及び睡眠深度推定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ユーザの脳波に含まれる1つ又は2つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出する特徴波検出手段と、特徴波検出手段が検出した特定周波数成分の波の出現のパターンに基づいて睡眠深度を推定する推定手段とを備えた睡眠深度推定装置である。
【0008】
この構成によれば、特徴波検出手段は、ユーザの脳波に含まれる1つ又は2つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、推定手段はこれらの波により睡眠深度を推定する。したがって、脳波に含まれる1つ又は2つの特定周波数成分の波を検出するだけで、睡眠深度の推定が可能であり、睡眠深度の推定の労力を低減することができる。また、推定手段は、特徴波検出手段が検出した特定周波数成分の波の出現のパターンに基づいて睡眠深度を推定する。このため、睡眠深度の推定の精度を向上させることが可能となる。
【0009】
この場合、特徴波検出手段は、1つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、推定手段は、所定期間内における1つの特定周波数成分の波の出現回数に基づいて睡眠深度を推定することが好適である。
【0010】
1つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現のパターンは、睡眠深度に密接に関係している。そのため、この構成では、特徴波検出手段は、1つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、推定手段は、所定期間内における1つの特定周波数成分の波の出現回数に基づいて睡眠深度を推定することにより、睡眠深度の推定の労力を低減し、且つ精度を向上させることが可能となる。
【0011】
この場合、特徴波検出手段は、大徐波の睡眠時における出現を検出し、推定手段は、所定期間内における大徐波の出現回数に基づいて睡眠深度を推定することが好適である。
【0012】
この構成によれば、特徴波検出手段は、睡眠時における検出が容易な大徐波を検出し、推定手段は、検出が容易な所定期間内における大徐波の出現回数に基づいて睡眠深度を推定するため、さらに容易に精度良く睡眠深度を推定することが可能となる。なお、本発明において、「大徐波」とは、脳波に含まれる周波数0.5〜2Hzの波であって、特には振幅75μV以上の波を意味する。
【0013】
また、特徴波検出手段は、2つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、推定手段は、2つの特定周波数成分の波の脳波全体に対する含有率が等しくなる時点に基づいて睡眠深度を推定することが好適である。
【0014】
この構成によれば、特徴波検出手段は、2つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、推定手段はこれらに基づいて睡眠深度を推定するため、睡眠深度の推定の労力を軽減することができる。2つの特定周波数成分の波の脳波全体に対する含有率が等しくなる時点は睡眠深度と密接に関係し、検出も容易である。したがって、推定手段が、2つの特定周波数成分の波の脳波全体に対する含有率が等しくなる時点に基づいて睡眠深度を推定することにより、さらに容易に精度良く睡眠深度を推定することが可能となる。
【0015】
この場合、特徴波検出手段は、σ波及びβ波の睡眠時における出現を検出し、推定手段は、σ波及びβ波の脳波全体に対する含有率が等しくなる時点に基づいて睡眠深度を推定することが好適である。
【0016】
σ波及びβ波の脳波全体に対する含有率が等しくなる時点は、睡眠段階2の状態に密接に関連している。したがって、この構成によれば、特徴波検出手段は、σ波及びβ波の睡眠時における出現を検出し、推定手段は、σ波及びβ波の脳波全体に対する含有率が等しくなる時点に基づいて睡眠深度を推定することにより、さらに容易に精度良く睡眠深度を推定することが可能となる。なお、本発明においては、σ波とは、脳波に含まれる周波数12〜16Hzの波を意味する。また、本発明においては、β波とは、脳波に含まれる周波数14〜30Hzの波を意味する。
【0017】
また、特徴波検出手段は、1つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、推定手段は、1つの特定周波数成分の波の変動に基づいて睡眠深度を推定することが好適である。
【0018】
1つの特定周波数成分の波の変動は睡眠深度に密接に関連している。したがって、この構成によれば、特徴波検出手段は、1つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、推定手段は、1つの特定周波数成分の波の変動に基づいて睡眠深度を推定することにより、さらに容易に精度良く睡眠深度を推定することが可能となる。
【0019】
この場合、特徴波検出手段は、δ波の睡眠時における出現を検出し、推定手段は、δ波のパワーの極大値に基づいて睡眠深度を推定することが好適である。
【0020】
δ波のパワーの極大値となる時点は、睡眠段階2の状態に密接に関連している。したがって、この構成によれば、特徴波検出手段は、δ波の睡眠時における出現を検出し、推定手段は、δ波のパワーの極大値に基づいて睡眠深度を推定することにより、さらに容易に精度良く睡眠深度を推定することが可能となる。なお、本発明において、δ波とは、脳波に含まれる周波数0.5〜4Hzの波を意味する。
【0021】
また、特徴波検出手段は、大徐波の睡眠時における出現を検出し、推定手段は、大徐波の出現間隔の変動の周波数成分に基づいて睡眠深度を推定することが好適である。
【0022】
大徐波の出現間隔の変動(ゆらぎ)の周波数成分は、睡眠深度に密接に関連している。したがって、この構成によれば、特徴波検出手段は、大徐波の睡眠時における出現を検出し、推定手段は、大徐波の出現間隔の変動の周波数成分に基づいて睡眠深度を推定することにより、さらに容易に精度良く睡眠深度を推定することが可能となる。
【0023】
また、推定手段が推定した睡眠深度に基づいてユーザに覚醒刺激を与える覚醒刺激付与手段をさらに備えることが好適である。
【0024】
本発明の睡眠深度の推定によれば、さらに高精度で睡眠深度を推定することが可能であるため、覚醒刺激付与手段が、推定手段が推定した睡眠深度に基づいてユーザに覚醒刺激を与えることにより、さらに好ましい睡眠深度でユーザを覚醒させることが可能となる。
【0025】
さらに、推定手段は、ユーザごとに蓄積された特定周波数成分の波の出現のパターンの学習結果に基づいて睡眠深度を推定することが好適である。
【0026】
この構成によれば、推定手段は、ユーザごとに蓄積された特定周波数成分の波の出現のパターンの学習結果に基づいて睡眠深度を推定するため、ユーザ個人の特性を加味して睡眠深度の推定を行うことができ、ユーザごとに精度の高い推定が可能となる。
【0027】
また、本発明は、ユーザの脳波に含まれる1つ又は2つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出する特徴波検出工程と、特徴波検出工程で検出した特定周波数成分の波の出現のパターンに基づいて睡眠深度を推定する推定工程とを含む睡眠深度推定方法である。
【0028】
この場合、特徴波検出工程では、1つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、推定工程では、所定期間内における1つの特定周波数成分の波の出現回数に基づいて睡眠深度を推定することが好適である。
【0029】
また、この場合、特徴波検出工程では、大徐波の睡眠時における出現を検出し、推定工程では、所定期間内における大徐波の出現回数に基づいて睡眠深度を推定することが好適である。
【0030】
また、特徴波検出工程では、2つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、推定工程では、2つの特定周波数成分の波の脳波全体に対する含有率が等しくなる時点に基づいて睡眠深度を推定することが好適である。
【0031】
この場合、特徴波検出工程では、σ波及びβ波の睡眠時における出現を検出し、推定工程では、σ波及びβ波の脳波全体に対する含有率が等しくなる時点に基づいて睡眠深度を推定することが好適である。
【0032】
また、特徴波検出工程では、1つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、推定工程では、1つの特定周波数成分の波の変動に基づいて睡眠深度を推定することが好適である。
【0033】
この場合、特徴波検出工程では、δ波の睡眠時における出現を検出し、推定工程では、δ波のパワーの極大値に基づいて睡眠深度を推定することが好適である。
【0034】
また、特徴波検出工程では、大徐波の睡眠時における出現を検出し、推定工程では、大徐波の出現間隔の変動の周波数成分に基づいて睡眠深度を推定することが好適である。
【0035】
また、推定工程で推定した睡眠深度に基づいてユーザに覚醒刺激を与える覚醒刺激付与工程をさらに含むことが好適である。
【0036】
さらに、推定工程では、ユーザごとに蓄積された特定周波数成分の波の出現のパターンの学習結果に基づいて睡眠深度を推定することが好適である。
【発明の効果】
【0037】
本発明の睡眠深度推定装置及び睡眠深度推定方法によれば、睡眠深度の推定の労力を低減し、且つ睡眠深度の推定の精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】第1実施形態に係る睡眠装置の構成を示す図である。
【図2】第1実施形態に係る睡眠装置の仮眠開始から睡眠段階の決定までの動作を示すフローチャートである。
【図3】大徐波が存在する5秒区間の累積区間数により睡眠深度を推定する動作を示すフローチャートである。
【図4】初発の紡錘波からの経過時間と各種の脳波が存在する1分間当たりの5秒区間数との関係を示すグラフである。
【図5】大徐波が存在する5秒区間の累積区間数と眠りの深さとの関係を示すグラフである。
【図6】初発の紡錘波からの経過時間と大徐波が存在する5秒区間の累積区間数との関係を示すグラフである。
【図7】σ波とβ波との周波数成分含有率の交差点から睡眠深度を推定する動作を示すフローチャートである。
【図8】ノンレム睡眠時間割合とσ波及びβ波の周波数成分含有率との関係を示すグラフである。
【図9】特徴波のパワーの変化点又は変動から睡眠深度を推定する動作を示すフローチャートである。
【図10】ノンレム睡眠時間割合と正規化されたσ波のパワーとの関係を示すグラフである。
【図11】時間と脳波の振幅、特には特徴量及び特徴量間隔との関係を示すグラフである。
【図12】図11の時間と特徴量間隔との関係を示すグラフである。
【図13】図12の時間と特徴量間隔との周波数成分を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る睡眠深度推定装置を利用した睡眠装置を説明する。
【0040】
図1に示す本実施形態の睡眠装置1は、自動車及び電車などの車両、飛行機並びに船舶等の移動体に装備される。睡眠装置1は、自動車の後席や助手席等で移動中の車内で仮眠を取るための装置である。仮眠の開始方法は、仮眠取得者の生態情報から仮眠開始を検出する方法が考えられる。あるいは、仮眠の開始方法は、仮眠取得者のボタン操作等により、仮眠を開始しても良い。また、睡眠装置1は、車両の運転者(ユーザ)が運転中に眠気を感じた際、車両を所定の場所に駐車した後、運転席において運転者の眠気度に応じた適切な睡眠を支援する装置である。さらに、睡眠装置1は、通常のベッドでの仮眠において仮眠取得者の睡眠を支援する装置である。仮眠の開始方法は、カメラ、ベッド上に配置された体圧センサ(圧電素子)で、仮眠取得者のベッドへの接地を確認し、仮眠を開始する方法が考えられる。睡眠装置1は、生体情報検出部2、ECU3及び刺激提示部4を備えている。
【0041】
生体情報検出部2は、運転者等の仮眠を取る者の情報を取得するためのものである。生体情報検出部2は、仮眠を取る者それぞれを識別するための情報を取得する。生体情報検出部2は、仮眠を取る者を識別するために、その者の運転免許証、暗証番号、指紋及び虹彩等の情報を取得する。
【0042】
生体情報検出部2は、睡眠深度の推定に必要な生体情報を取得する。生体情報検出部2は、睡眠深度の推定に必要な生体情報として、脳波、心拍、血圧、呼吸、皮膚電位、筋電位、体温及び眼球運動等の生理指標を検出する。生体情報検出部2は、睡眠深度の推定に必要な生体情報を接触及び非接触のいずれの方法であっても取得することができる。生体情報検出部2は、ステアリングや車両シート等に埋め込まれた生理計測装置や圧電素子等から、睡眠深度の推定に必要な生体情報を取得することができる。生体情報検出部2は、仮眠を取る者が着用した脳波測定用のヘッドバンドから、仮眠を取る者の脳波に関する情報を取得することができる。
【0043】
生体情報検出部2は、仮眠を取る者が運転者の場合は、車両が停止しているか否かに関する情報を取得する。生体情報検出部2は、車両が停止しているか否かに関する情報として、サイドブレーキが引かれていることを検出する。生体情報検出部2は、車両が停止しているか否かに関する情報として、オートマチックトランスミッションの車両であれば、シフトレンジが「P」であることを検出し、マニュアルトランスミッションの車両であれば、シフトレンジが「N」であることを検出する。
【0044】
ECU3は、睡眠装置1全体の制御を行なう。ECU3は、生体情報検出部2が検出した情報から、仮眠を取る者の睡眠の深さを推定する。ECU3は、特徴量算出部31、睡眠段階決定部32及び覚醒方法決定部33を有している。
【0045】
特徴量算出部31は、仮眠を取る者の脳波を取得し、当該脳波を整流後、任意の区間ごと、例えば5秒ごとに波形認識を行い、後述する方法で睡眠深度を判定するための1つ又は2つの特定の周波数帯域の脳波を分類する。特徴量算出部31は、背景脳波として、周波数4〜8Hzのθ波、周波数0.5〜4Hzのδ波、及びθ波にもδ波にも該当しない場合の平坦波のいずれかを分類することができる。特徴量算出部31は、特徴脳波として、周波数0.5〜2Hzで振幅75μV以上の大徐波、周波数12〜16Hzで振幅10μV以上の糸巻状の波である紡錘波、及び振幅200μV以上のK複合のいずれかを分類することができる。あるいは、特徴量算出部31は、周波数512〜1024Hzの波であるσ波や、周波数14〜30Hzの波であるβ波を分類することができる。
【0046】
特徴量算出部31は、背景脳波については、任意の区間で半分以上、例えば2.5秒以上存在する場合に特徴量として計上する。特徴量算出部31は、特徴脳波については、任意の区間内に存在する場合に特徴量として計上する。
【0047】
特徴量算出部31は、特徴量として計上されたものから、累積数、変化率、及び一定区間の数を算出する。ここで、累積数は、特徴量として計上されたものの合計数である。変化率とは、前の特徴量との差分及び前の一定区間の数との差分である。一定区間の数とは、任意の区間で特徴量の計上された数を合計したものである。一定区間の数とは、例えば、1分間当たりの特徴量の数である。また、特徴量算出部31は、特徴量について、脳波全体における含有率を算出することもできる。また、特徴量算出部31は、特徴量について、出現間隔の変動(ゆらぎ)を検出することもできる。
【0048】
睡眠段階決定部32は、生体情報検出部2により得られた生理指標から国際基準である睡眠段階を判定する。睡眠段階決定部32は、仮眠を取る者の脳波を用いて国際判定基準から睡眠段階を判定することができる。また、睡眠段階決定部32は、心拍、血圧、呼吸、皮膚電位、筋電位、体温及び眼球運動等から睡眠段階を判定することができる。
【0049】
覚醒方法決定部33は、特徴量算出部31が算出した特徴量の累積数、変化率、一定区間の数及び出現間隔のゆらぎの少なくとも一つを利用して睡眠の深さを推定する。覚醒方法決定部33は、仮眠を取る者ごとのデータを記録したデータベースを用いて、睡眠の深さの推定を行うことができる。また、覚醒方法決定部33は、特徴量の組合せからなり、睡眠深度を従属変数とした関数式を用いて、睡眠の深さの推定を行うことができる。
【0050】
後述するように、本実施形態では、覚醒方式決定部33は、仮眠を取る者ごとのデータを記録したデータベースを用い、特徴量を大徐波の累積数として、睡眠の深さの推定を行う。本実施形態では、大徐波の累積数と眠りの深さとは、仮眠を取る者ごとにデータベース内のデータに対応付けて記録されている。本実施形態では、仮眠効果の高い累積数を例えば4と設定している。覚醒方式決定部33は、特徴量算出部31が算出した大徐波の累積数が4に達した場合、刺激提示装置4に仮眠を取る者を覚醒させる指令信号を送出する。
【0051】
刺激提示部4は、仮眠を取る者が覚醒可能な刺激を仮眠取得者に提示する。あるいは、刺激提示部4は、仮眠取得者の寝覚めが良くなるように、浅い眠りを維持するための刺激を仮眠取得者に提示する。刺激提示部4が提示する刺激は、知覚可能な刺激であれば良い。刺激提示部4が提示する刺激は、音楽等の音声、匂い、熱、冷風、マッサージ、ツボへの刺激、光及び振動等の物理的刺激とすることができる。刺激提示部4は、少なくとも1種類以上の刺激を仮眠取得者に提示する。
【0052】
以下、本実施形態の睡眠装置1の動作について説明する。本実施形態の睡眠装置1では、仮眠を取る者が覚醒した際の覚醒度をより高めるため、まず、仮眠を取る者が国際基準における睡眠段階2に到達したことを検出する。上述のように睡眠段階2から仮眠取得者を覚醒させることにより、仮眠取得者が覚醒した際の覚醒度を高めることが可能となる。また、睡眠深度を推定する睡眠段階を限定することにより、睡眠深度の推定が容易となり、睡眠深度の推定の精度を高めることができる。
【0053】
図2に示すように、仮眠を取る者が仮眠を開始し、睡眠装置1が動作を開始する(S11)。睡眠装置1の生体情報検出部2は、仮眠を取る者の脳波、心拍、血圧、呼吸、皮膚電位、筋電位、体温及び眼球運動等の生理指標を検出する(S12)。併せて、生体情報検出部2は、運転免許証、暗証番号、指紋及び虹彩等の情報を検出しつつ、仮眠を取る者の個人認証を行なう。さらに、生体情報検出部2は、サイドブレーキが引かれているか否かやトランスミッションのシフトレンジにより、車両が停止しているか否かを検出する。
【0054】
睡眠装置1の睡眠段階決定部32は、生体情報検出部2により得られた脳波等の生理指標から国際基準である睡眠段階を判定する(S3)。睡眠段階が2である場合は(S4)、睡眠装置1は、以下の3通りの睡眠深度を推定する方法のいずれかを実行する。
【0055】
以下、大徐波が存在する5秒区間の累積区間数により睡眠深度を推定する方法について説明する。図3に示すように、睡眠段階が2である場合、睡眠装置1の生体情報検出部2は、仮眠を取る者の脳波を検出する(S21)。特徴量算出部31は、脳波の波形を認識する(S22)。特徴量算出部31は、判定の対象となる特徴波、この場合は大徐波であるか否かを判定する(S23)。特徴量算出部31は、例えば5秒ごとに大徐波の有無を確認する(S23)。
【0056】
この場合、図4に示すように、1分間当りの大徐波が存在する5秒区間の数は、初発の紡錘波からの経過時間とともに増加する。図5に示すように、大徐波が存在する5秒区間の累積数が多いほど、眠りの深さは深い。そこで、睡眠装置1の覚醒方法決定部33は、大徐波が存在する5秒区間の累積数を算出する(S24)。この場合、1分間当りの大徐波が存在する5秒区間の数の変化率を、睡眠の深さを推定するための指標としても良い。
【0057】
睡眠装置1の覚醒方法決定部33は、図6に示すように、大徐波が存在する五秒区間の累積数が例えば4を超えたときは(S25)、刺激提示部4に指令信号を送出し、刺激提示部に仮眠取得者を覚醒させるための刺激を提示させる(S26)。これにより、仮眠取得者の仮眠は終了する(S27)。
【0058】
以下、σ波とβ波との周波数成分含有率の交差点から睡眠深度を推定する方法について説明する。図7に示すように、睡眠段階が2である場合、睡眠装置1の生体情報検出部2は、仮眠を取る者の脳波を検出する(S31)。特徴量算出部31は、脳波の周波数解析を行なう(S32)。覚醒方法決定部33は、任意の2つの周波数帯域の波、この場合はσ波及びβ波の脳波全体における含有率を算出する(S33)。
【0059】
図8に示すように、睡眠中にσ波とβ波との脳波全体における含有率が等しくなる場合、ノンレム睡眠時間割合が20%を超えた状態となり、確実に睡眠段階2の状態となることが判る。このため、特徴量算出部31は、σ波とβ波との脳波全体における含有率が等しくなった時点や、あるいはσ波とβ波との脳波全体における含有率が等しくなった時点からの経過時間等により、睡眠深度を推定する(S33)。
【0060】
覚醒方法決定部33は、σ波とβ波との脳波全体における含有率が等しくなった時点や、あるいはσ波とβ波との脳波全体における含有率が等しくなった時点からの経過時間が規定時間経過したときは(S34)、刺激提示部4に指令信号を送出し、刺激提示部に仮眠取得者を覚醒させるための刺激を提示させる(S35)。これにより、仮眠取得者の仮眠は終了する(S36)。
【0061】
以下、脳波に含まれる1つの特定周波数成分の波の変動に基づいて睡眠深度を推定する方法について説明する。図9に示すように、睡眠段階が2である場合、睡眠装置1の生体情報検出部2は、仮眠を取る者の脳波を検出する(S41)。特徴量算出部31は、脳波の波形を認識する(S42)。特徴量算出部31は、判定の対象となる特徴波であるか否かを判定する(S43)。もし、判定の対象となる特徴波でない場合、睡眠装置1は、図2に示すS12〜S14の工程を再度実行する。
【0062】
まず、判定の対象となる特徴波をδ波とする場合について説明する。図10に示すように、睡眠がレム睡眠からノンレム睡眠へと深くなっていく段階において、δ波の2つ目の極大値の状態では、ノンレム睡眠時間割合が20%を超えた状態となり、確実に睡眠段階2の状態となることが判る。このため、覚醒方法決定部33は、睡眠中のδ波の2つ目の極大値の時点や、あるいは睡眠中のδ波の2つ目の極大値の時点からの経過時間等により、睡眠深度を推定する(S44)。
【0063】
一方、判定の対象となる特徴波を大徐波とする場合について説明する。この場合、覚醒方法決定部33は、図11に示すように、大徐波を確認した時刻T2と一つ前の大徐波を確認した時刻T1との時刻の差分Tδ1を算出する。同様に覚醒方法決定部33は、大徐波を確認した時刻と一つ前の大徐波を確認した時刻T2との時刻の差分Tδ2を算出する。このようにして、覚醒方法決定部33は、大徐波を確認した時刻Tnと一つ前の大徐波を確認した時刻Tn−1との時刻の差分Tδn−1を順次算出する。
【0064】
覚醒方法決定部33は、図12に示すような時刻T1,T2等における大徐波が現れる間隔である差分Tδ1,Tδ2等について周波数解析を行なう。覚醒方法決定部33は、図13に示すように、周波数成分ごとのパワーを算出する。この場合、覚醒方法決定部33は、例えば、パワーが最大となる周波数であるピーク周波数fP、及びパワースペクトルの重心となる重心周波数fGを算出する。
【0065】
睡眠装置1の覚醒方法決定部33は、図13に示すように、例えば、ピーク周波数fPが所定の閾値fthを超えたときは(S45)、刺激提示部4に指令信号を送出し、刺激提示部に仮眠取得者を覚醒させるための刺激を提示させる(S46)。これにより、仮眠取得者の仮眠は終了する(S47)。
【0066】
なお、上記3つの方法による睡眠深度の判定の基準値や閾値は、ユーザごとの学習結果から算出された値をデータベースに蓄積し、当該学習結果に基づいて算出された基準値や閾値を用いて睡眠深度の推定を行っても良い。
【0067】
本実施形態によれば、睡眠装置1の特徴量算出部31は、ユーザの脳波に含まれる1つ又は2つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、覚醒方法決定部33は、これらの波により睡眠深度を推定する。したがって、脳波に含まれる1つ又は2つの特定周波数成分の波を検出するだけで、睡眠深度の推定が可能であり、睡眠深度の推定の労力を低減することができる。また、覚醒方法決定部33は、特徴量算出部31が検出した特定周波数成分の波の出現のパターンに基づいて睡眠深度を推定する。このため、睡眠深度の推定の精度を向上させることが可能となる。さらに、睡眠の深さを推定する基準が身体の動きや目の動きと異なる脳波の周波数であるため、測定誤差による影響を低減させつつ睡眠の深さを推定することができる。
【0068】
1つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現のパターンは、睡眠深度に密接に関係している。そのため、本実施形態では、特徴量算出部31は、1つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、覚醒方法決定部33は、所定期間内における1つの特定周波数成分の波の出現回数に基づいて睡眠深度を推定することにより、睡眠深度の推定の労力を低減し、且つ精度を向上させることが可能となる。
【0069】
特に、特徴量算出部31は、睡眠時における検出が容易な大徐波を検出し、覚醒方法決定部33は、検出が容易な所定期間内における大徐波の出現回数に基づいて睡眠深度を推定するため、さらに容易に精度良く睡眠深度を推定することが可能となる。
【0070】
一方、本実施形態では、特徴量算出部31は、2つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、覚醒方法決定部33は、これらに基づいて睡眠深度を推定するため、睡眠深度の推定の労力を軽減することができる。2つの特定周波数成分の波の脳波全体に対する含有率が等しくなる時点は睡眠深度と密接に関係し、検出も容易である。したがって、覚醒方法決定部33が、2つの特定周波数成分の波の脳波全体に対する含有率が等しくなる時点に基づいて睡眠深度を推定することにより、さらに容易に精度良く睡眠深度を推定することが可能となる。
【0071】
σ波及びβ波の脳波全体に対する含有率が等しくなる時点は、睡眠段階2の状態に密接に関連している。したがって、本実施形態では、特徴量算出部31は、σ波及びβ波の睡眠時における出現を検出し、覚醒方法決定部33は、σ波及びβ波の脳波全体に対する含有率が等しくなる時点に基づいて睡眠深度を推定することにより、さらに容易に精度良く睡眠深度を推定することが可能となる。
【0072】
一方、1つの特定周波数成分の波の変動は睡眠深度に密接に関連している。したがって、本実施形態では、特徴量算出部31は、1つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、覚醒方法決定部33は、1つの特定周波数成分の波の変動に基づいて睡眠深度を推定することにより、さらに容易に精度良く睡眠深度を推定することが可能となる。
【0073】
特にδ波のパワーの極大値となる時点は、睡眠段階2の状態に密接に関連している。したがって、本実施形態では、特徴量算出部31は、δ波の睡眠時における出現を検出し、覚醒方法決定部33は、δ波のパワーの極大値に基づいて睡眠深度を推定することにより、さらに容易に精度良く睡眠深度を推定することが可能となる。
【0074】
あるいは、大徐波の出現間隔のゆらぎの周波数成分は、睡眠深度に密接に関連している。したがって、本実施形態では、特徴量算出部31は、大徐波の睡眠時における出現を検出し、覚醒方法決定部33は、大徐波の出現間隔のゆらぎの周波数成分に基づいて睡眠深度を推定することにより、さらに容易に精度良く睡眠深度を推定することが可能となる。
【0075】
また、本実施形態の睡眠深度の推定によれば、従来より高精度で睡眠深度を推定することが可能であるため、刺激提示部4が、覚醒方法決定部33が推定した睡眠深度に基づいてユーザに覚醒刺激を与えることにより、さらに好ましい睡眠深度でユーザを覚醒させることが可能となる。
【0076】
さらに、覚醒方法決定部33は、ユーザごとに蓄積された特定周波数成分の波の出現のパターンの学習結果に基づいて睡眠深度を推定するため、ユーザ個人の特性を加味して睡眠深度の推定を行うことができ、ユーザごとに精度の高い推定が可能となる。
【0077】
以下、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態においては、図3のS21〜S27の工程で実行される大徐波が存在する5秒区間の累積区間数により睡眠深度を推定する方法において、θ波の区間数を数えることで眠りの深さを推定する点が上記第1実施形態と異なる。睡眠段階が2である場合、特徴量算出部31は、脳波の波形を認識する(S22)。特徴量算出部31は、推定の対象となる特徴波、この場合はθ波であるか否かを判定する(S23)。特徴量算出部31は、例えば5秒ごとにθ波の有無を確認する。この場合のθ波の抽出は、波形認識法でも時間周波数解析でも良い。
【0078】
特徴量算出部31は、5秒区間において2.5秒以上θ波が出現している場合は、1つと数え、1分間当りのθ波が存在する5秒区間の数を算出する。覚醒方法決定部33は、1分間当りのθ波が存在する5秒区間の数が、直前の1分間当りのθ波が存在する5秒区間の数の1.5倍以上に増加したときは(S25)、刺激提示部4に指令信号を送出し、刺激提示部4に仮眠取得者を覚醒させるための刺激を提示させる(S26)。これにより、仮眠取得者の仮眠は終了する(S27)。
【0079】
θ波は睡眠段階2の間に一様に出現するため、本実施形態では、θ波が出現する区間数を累積することで、睡眠段階2からの経過時間を容易に推定し、睡眠深度を推定することが可能である。
【0080】
以下、本発明の第3実施形態について説明する。
本実施形態においては、図3のS21〜S27の工程で実行される生体情報の特徴波形から眠りの深さを推定する方法において、紡錘波の区間数を数えることで眠りの深さを推定する点が上記第1実施形態と異なる。睡眠段階が2である場合、特徴量算出部31は、脳波の波形を認識する(S22)。特徴量算出部31は、推定の対象となる特徴波、この場合は紡錘波であるか否かを判定する(S23)。特徴量算出部31は、例えば5秒ごとに紡錘波の有無を確認する。この場合のθ波の抽出は、波形認識法でも時間周波数解析でも良い。
【0081】
特徴量算出部31は、5秒区間において2.5秒以上紡錘波が出現している場合は、1つと数え、1分間当りの紡錘波が存在する5秒区間の数を算出する。覚醒方法決定部33は、1分間当りの紡錘波が存在する5秒区間の数が、直前の1分間当りの紡錘波が存在する5秒区間の数の1.5倍以上に増加したときは(S25)、刺激提示部4に指令信号を送出し、刺激提示部に仮眠取得者を覚醒させるための刺激を提示させる(S26)。これにより、仮眠取得者の仮眠は終了する(S27)。
【0082】
紡錘波は変化点を捉え易く、浅い眠りの際に出現しやすい波であるため、本実施形態によれば、紡錘波が出現する区間数を累積することで、睡眠段階2からの経過時間を容易に推定し、睡眠深度を推定することが可能である。
【0083】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。上記実施形態では、本発明に係る睡眠深度推定装置を車両の睡眠装置に適用させた形態について主に説明したが、本発明に係る睡眠深度推定装置を車両以外のベッドや安楽イスなどに適用させて、通常の仕事におけるリフレッシュ用途に用いたり、警察や消防といった長時間の仮眠がとれない仕事における仮眠用途に用いたりしてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1…睡眠装置、2…生体情報検出部、3…ECU、4…刺激提示部、31…特徴量算出部、32…睡眠段階決定部、33…覚醒方法決定部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの脳波に含まれる1つ又は2つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出する特徴波検出手段と、
前記特徴波検出手段が検出した前記特定周波数成分の波の出現のパターンに基づいて睡眠深度を推定する推定手段と、
を備えた睡眠深度推定装置。
【請求項2】
前記特徴波検出手段は、1つの前記特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、
前記推定手段は、所定期間内における1つの前記特定周波数成分の波の出現回数に基づいて睡眠深度を推定する、請求項1に記載の睡眠深度推定装置。
【請求項3】
前記特徴波検出手段は、大徐波の睡眠時における出現を検出し、
前記推定手段は、所定期間内における前記大徐波の出現回数に基づいて睡眠深度を推定する、請求項2に記載の睡眠深度推定装置。
【請求項4】
前記特徴波検出手段は、2つの前記特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、
前記推定手段は、2つの前記特定周波数成分の波の脳波全体に対する含有率が等しくなる時点に基づいて睡眠深度を推定する、請求項1に記載の睡眠深度推定装置。
【請求項5】
前記特徴波検出手段は、σ波及びβ波の睡眠時における出現を検出し、
前記推定手段は、前記σ波及び前記β波の脳波全体に対する含有率が等しくなる時点に基づいて睡眠深度を推定する、請求項4に記載の睡眠深度推定装置。
【請求項6】
前記特徴波検出手段は、1つの前記特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、
前記推定手段は、1つの前記特定周波数成分の波の変動に基づいて睡眠深度を推定する、請求項1に記載の睡眠深度推定装置。
【請求項7】
前記特徴波検出手段は、δ波の睡眠時における出現を検出し、
前記推定手段は、前記δ波のパワーの極大値に基づいて睡眠深度を推定する、請求項6に記載の睡眠深度推定装置。
【請求項8】
前記特徴波検出手段は、大徐波の睡眠時における出現を検出し、
前記推定手段は、前記大徐波の出現間隔の変動の周波数成分に基づいて睡眠深度を推定する、請求項6に記載の睡眠深度推定装置。
【請求項9】
前記推定手段が推定した睡眠深度に基づいて前記ユーザに覚醒刺激を与える覚醒刺激付与手段をさらに備えた、請求項1〜8のいずれか1項に記載の睡眠深度推定装置。
【請求項10】
前記推定手段は、前記ユーザごとに蓄積された前記特定周波数成分の波の出現のパターンの学習結果に基づいて睡眠深度を推定する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の睡眠深度推定装置。
【請求項11】
ユーザの脳波に含まれる1つ又は2つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出する特徴波検出工程と、
前記特徴波検出工程で検出した前記特定周波数成分の波の出現のパターンに基づいて睡眠深度を推定する推定工程と、
を含む睡眠深度推定方法。
【請求項12】
前記特徴波検出工程では、1つの前記特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、
前記推定工程では、所定期間内における1つの前記特定周波数成分の波の出現回数に基づいて睡眠深度を推定する、請求項11に記載の睡眠深度推定方法。
【請求項13】
前記特徴波検出工程では、大徐波の睡眠時における出現を検出し、
前記推定工程では、所定期間内における前記大徐波の出現回数に基づいて睡眠深度を推定する、請求項12に記載の睡眠深度推定方法。
【請求項14】
前記特徴波検出工程では、2つの前記特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、
前記推定工程では、2つの前記特定周波数成分の波の脳波全体に対する含有率が等しくなる時点に基づいて睡眠深度を推定する、請求項11に記載の睡眠深度推定方法。
【請求項15】
前記特徴波検出工程では、σ波及びβ波の睡眠時における出現を検出し、
前記推定工程では、前記σ波及び前記β波の脳波全体に対する含有率が等しくなる時点に基づいて睡眠深度を推定する、請求項14に記載の睡眠深度推定方法。
【請求項16】
前記特徴波検出工程では、1つの前記特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、
前記推定工程では、1つの前記特定周波数成分の波の変動に基づいて睡眠深度を推定する、請求項11に記載の睡眠深度推定方法。
【請求項17】
前記特徴波検出工程では、δ波の睡眠時における出現を検出し、
前記推定工程では、前記δ波のパワーの極大値に基づいて睡眠深度を推定する、請求項16に記載の睡眠深度推定方法。
【請求項18】
前記特徴波検出工程では、大徐波の睡眠時における出現を検出し、
前記推定工程では、前記大徐波の出現間隔の変動の周波数成分に基づいて睡眠深度を推定する、請求項16に記載の睡眠深度推定方法。
【請求項19】
前記推定工程で推定した睡眠深度に基づいて前記ユーザに覚醒刺激を与える覚醒刺激付与工程をさらに含む、請求項11〜18のいずれか1項に記載の睡眠深度推定方法。
【請求項20】
前記推定工程では、前記ユーザごとに蓄積された前記特定周波数成分の波の出現のパターンの学習結果に基づいて睡眠深度を推定する、請求項11〜19のいずれか1項に記載の睡眠深度推定方法。
【請求項1】
ユーザの脳波に含まれる1つ又は2つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出する特徴波検出手段と、
前記特徴波検出手段が検出した前記特定周波数成分の波の出現のパターンに基づいて睡眠深度を推定する推定手段と、
を備えた睡眠深度推定装置。
【請求項2】
前記特徴波検出手段は、1つの前記特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、
前記推定手段は、所定期間内における1つの前記特定周波数成分の波の出現回数に基づいて睡眠深度を推定する、請求項1に記載の睡眠深度推定装置。
【請求項3】
前記特徴波検出手段は、大徐波の睡眠時における出現を検出し、
前記推定手段は、所定期間内における前記大徐波の出現回数に基づいて睡眠深度を推定する、請求項2に記載の睡眠深度推定装置。
【請求項4】
前記特徴波検出手段は、2つの前記特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、
前記推定手段は、2つの前記特定周波数成分の波の脳波全体に対する含有率が等しくなる時点に基づいて睡眠深度を推定する、請求項1に記載の睡眠深度推定装置。
【請求項5】
前記特徴波検出手段は、σ波及びβ波の睡眠時における出現を検出し、
前記推定手段は、前記σ波及び前記β波の脳波全体に対する含有率が等しくなる時点に基づいて睡眠深度を推定する、請求項4に記載の睡眠深度推定装置。
【請求項6】
前記特徴波検出手段は、1つの前記特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、
前記推定手段は、1つの前記特定周波数成分の波の変動に基づいて睡眠深度を推定する、請求項1に記載の睡眠深度推定装置。
【請求項7】
前記特徴波検出手段は、δ波の睡眠時における出現を検出し、
前記推定手段は、前記δ波のパワーの極大値に基づいて睡眠深度を推定する、請求項6に記載の睡眠深度推定装置。
【請求項8】
前記特徴波検出手段は、大徐波の睡眠時における出現を検出し、
前記推定手段は、前記大徐波の出現間隔の変動の周波数成分に基づいて睡眠深度を推定する、請求項6に記載の睡眠深度推定装置。
【請求項9】
前記推定手段が推定した睡眠深度に基づいて前記ユーザに覚醒刺激を与える覚醒刺激付与手段をさらに備えた、請求項1〜8のいずれか1項に記載の睡眠深度推定装置。
【請求項10】
前記推定手段は、前記ユーザごとに蓄積された前記特定周波数成分の波の出現のパターンの学習結果に基づいて睡眠深度を推定する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の睡眠深度推定装置。
【請求項11】
ユーザの脳波に含まれる1つ又は2つの特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出する特徴波検出工程と、
前記特徴波検出工程で検出した前記特定周波数成分の波の出現のパターンに基づいて睡眠深度を推定する推定工程と、
を含む睡眠深度推定方法。
【請求項12】
前記特徴波検出工程では、1つの前記特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、
前記推定工程では、所定期間内における1つの前記特定周波数成分の波の出現回数に基づいて睡眠深度を推定する、請求項11に記載の睡眠深度推定方法。
【請求項13】
前記特徴波検出工程では、大徐波の睡眠時における出現を検出し、
前記推定工程では、所定期間内における前記大徐波の出現回数に基づいて睡眠深度を推定する、請求項12に記載の睡眠深度推定方法。
【請求項14】
前記特徴波検出工程では、2つの前記特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、
前記推定工程では、2つの前記特定周波数成分の波の脳波全体に対する含有率が等しくなる時点に基づいて睡眠深度を推定する、請求項11に記載の睡眠深度推定方法。
【請求項15】
前記特徴波検出工程では、σ波及びβ波の睡眠時における出現を検出し、
前記推定工程では、前記σ波及び前記β波の脳波全体に対する含有率が等しくなる時点に基づいて睡眠深度を推定する、請求項14に記載の睡眠深度推定方法。
【請求項16】
前記特徴波検出工程では、1つの前記特定周波数成分の波の睡眠時における出現を検出し、
前記推定工程では、1つの前記特定周波数成分の波の変動に基づいて睡眠深度を推定する、請求項11に記載の睡眠深度推定方法。
【請求項17】
前記特徴波検出工程では、δ波の睡眠時における出現を検出し、
前記推定工程では、前記δ波のパワーの極大値に基づいて睡眠深度を推定する、請求項16に記載の睡眠深度推定方法。
【請求項18】
前記特徴波検出工程では、大徐波の睡眠時における出現を検出し、
前記推定工程では、前記大徐波の出現間隔の変動の周波数成分に基づいて睡眠深度を推定する、請求項16に記載の睡眠深度推定方法。
【請求項19】
前記推定工程で推定した睡眠深度に基づいて前記ユーザに覚醒刺激を与える覚醒刺激付与工程をさらに含む、請求項11〜18のいずれか1項に記載の睡眠深度推定方法。
【請求項20】
前記推定工程では、前記ユーザごとに蓄積された前記特定周波数成分の波の出現のパターンの学習結果に基づいて睡眠深度を推定する、請求項11〜19のいずれか1項に記載の睡眠深度推定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−83474(P2011−83474A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−239319(P2009−239319)
【出願日】平成21年10月16日(2009.10.16)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(504136568)国立大学法人広島大学 (924)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月16日(2009.10.16)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(504136568)国立大学法人広島大学 (924)
【Fターム(参考)】
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