説明

睡眠補助装置および方法、プログラム、並びに記録媒体

【課題】時間や場所にとらわれずに、短時間の睡眠を効率よくとることができるようにする。
【解決手段】ユーザの頭皮に接触するように、枕の表面に配置された電極と、前記電極を介して前記ユーザの脳波信号を取得する脳波信号取得部と、前記取得された脳波信号を解析する解析部と、前記解析の結果特定された、前記ユーザの眠りの深さを表す睡眠ステージに応じて、予め設定された処理の実行を制御する制御部と備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、睡眠補助装置および方法、プログラム、並びに記録媒体に関し、特に、時間や場所にとらわれずに、短時間の睡眠を効率よくとることができるようにする睡眠補助装置および方法、プログラム、並びに記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、昼寝による効能に注目が集まっており、例えば、15分乃至20分程度の睡眠で、午後の仕事や学習の効率が向上すると言われている。
【0003】
例えば、職場や学校で昼寝をする場合、今から何分後に起きると決めて目覚まし時計をセットしておく必要がある。
【0004】
また、例えば、睡眠をとっている人のレム睡眠状態を検出し、最終起床時刻より以前で、これに近い、睡眠が浅い時間帯にその人を起こすことにより、起床時の不快感を著しく軽減できるようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
さらに、体動によって睡眠のステージを検出することも行われている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
また、脳活動のデータを受信し、脳活動のデータから、睡眠のレベルを決定し、眠気のレベルが十分に高い場合、覚醒ポイントに達していると判断されたとき、アラームなどを鳴らすことも提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−27263号公報
【特許文献2】特開昭63−19588号公報
【特許文献3】US 7689274号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、寝付きの良し悪しは人によって異なる上に、心身状況や周囲の環境によっても変わってくる。その結果、例えば、なかなか寝つけなかった場合には、ごく短い睡眠時間で目覚ましが作動してしまうといった弊害が発生しうる。
【0009】
本技術はこのような状況に鑑みて開示するものであり、時間や場所にとらわれずに、短時間の睡眠を効率よくとることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本技術の一側面は、ユーザの頭皮に接触するように、枕の表面に配置された電極と、前記電極を介して前記ユーザの脳波信号を取得する脳波信号取得部と、前記取得された脳波信号を解析する解析部と、前記解析の結果特定された、前記ユーザの眠りの深さを表す睡眠ステージに応じて、予め設定された処理の実行を制御する制御部と備える睡眠補助装置である。
【0011】
前記制御部は、前記睡眠ステージが予め設定された睡眠ステージに達したと判定された場合に計時を開始し、予め設定された時間が経過したとき、前記ユーザを覚醒させるための刺激の発生を制御するようにすることができる。
【0012】
前記制御部は、前記睡眠ステージが予め設定された睡眠ステージに達していないと判定された場合、前記ユーザの入眠を促すための刺激の発生を制御するようにすることができる。
【0013】
前記電極が、前記ユーザが顔をうずめて眠るように構成された枕の表面に配置されるようにすることができる。
【0014】
前記枕は、抱き枕であり、前記抱き枕において、前記ユーザの額に接触する位置に前記電極が配置されるようにすることができる。
【0015】
前記枕が椅子の背もたれとして構成されているようにすることができる。
【0016】
本発明の一側面は、脳波信号取得部が、ユーザの頭皮に接触するように、枕の表面に配置された電極を介して前記ユーザの脳波信号を取得し、解析部が、前記取得された脳波信号を解析し、制御部が、前記解析の結果特定された、前記ユーザの眠りの深さを表す睡眠ステージに応じて、予め設定された処理の実行を制御するを含む睡眠補助方法である。
【0017】
本発明の一側面は、コンピュータを、ユーザの頭皮に接触するように、枕の表面に配置された電極と、前記電極を介して前記ユーザの脳波信号を取得する脳波信号取得部と、前記取得された脳波信号を解析する解析部と、前記解析の結果特定された、前記ユーザの眠りの深さを表す睡眠ステージに応じて、予め設定された処理の実行を制御する制御部と備える睡眠補助装置として機能させるプログラムである。
【0018】
本技術の一側面においては、ユーザの頭皮に接触するように、枕の表面に配置された電極を介して前記ユーザの脳波信号が取得され、前記取得された脳波信号が解析され、前記解析の結果特定された、前記ユーザの眠りの深さを表す睡眠ステージに応じて、予め設定された処理の実行が制御される。
【発明の効果】
【0019】
本技術によれば、時間や場所にとらわれずに、短時間の睡眠を効率よくとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本技術を用いた睡眠補助装置の一実施の形態に係る構成例を示すブロック図である。
【図2】図1の睡眠補助装置が取り付けられる枕の外観の例を示す図である。
【図3】図2の枕の使用例を説明する図である。
【図4】図2の電極がどのように枕に取り付けられるかを説明する図である。
【図5】睡眠補助処理の例を説明するフローチャートである。
【図6】本技術を用いた場合の仮眠の取り方を説明する図である。
【図7】図1の睡眠補助装置が取り付けられる枕の別の例を説明する図である。
【図8】パーソナルコンピュータの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、ここで開示する技術の実施の形態について説明する。
【0022】
図1は、本技術を用いた睡眠補助装置の一実施の形態に係る構成例を示すブロック図である。この睡眠補助装置10は、ユーザの脳波信号を計測することにより、睡眠のステージを判定するとともに、入眠後、所定の時間が経過したとき、アラームを鳴らすなどしてユーザを覚醒させるようになされている。この睡眠補助装置10は、例えば、枕の内部に取り付けられる。
【0023】
同図に示されるように、睡眠補助装置10は、電極21、脳波信号取得部22、睡眠解析部23、目覚まし設定部24、目覚ましデバイス制御部25、および目覚ましデバイス26を有する構成とされている。また、脳波情報を蓄積する脳波情報データベース31、睡眠解析情報を蓄積する睡眠解析情報データベース32、および目覚まし設定情報を蓄積する目覚まし設定情報データベース41が設けられている。なお、脳波情報データベース31、睡眠解析情報データベース32、および目覚まし設定情報データベース41は、例えば、外部の記録装置などに設けられるようにしてもよい。
【0024】
電極21は、ユーザの頭部の所定の位置(例えば、額)に接するように設けられており、脳波信号取得部22に接続される。
【0025】
睡眠補助装置10の電極21としては、いわゆるドライセンサ電極を用いることが望ましい。
【0026】
一般的に、脳波信号を測定する場合、頭皮に電極を添付するための導電粘着ゲルを使用することが多い。しかしながら、導電粘着ゲルを使用する場合、電極の装着などに係る長い準備時間が必要であり、また、導電粘着ゲルの粘性のために被験者に対して不愉快さ又は不快感を与える。ドライセンサ電極は、導電ゲルなどを使用せずに、脳波信号を計測するための電極とされる。
【0027】
また、精度の高い脳波信号を取得するためには、電極21は、ユーザの額などに圧着させる必要があるため、例えば、ユーザの不快感を低減させるように設けられる。なお、電極21の取り付け方式の例については後述する。
【0028】
脳波信号取得部22は、例えば、電極21の電位の変化に基づいて得られる信号を、ユーザの脳波信号として取得する。脳波信号取得部22は、取得した脳波信号を所定の時間単位にサンプリングするなどして脳波情報を生成し、脳波情報データベース31に記録する。
【0029】
睡眠解析部23は、脳波情報データベース31に蓄積された脳波情報を読み出してユーザの脳波信号を再生するとともに、必要に応じてフィルタ処理を施すなどして、脳波信号に含まれるノイズを除去する。睡眠解析部23は、例えば、ユーザの脳波信号に含まれるα波、δ波を検出するなどしてユーザの睡眠のステージを判定する。
【0030】
人の睡眠には周期があり、その周期はいくつかのステージに分類される。例えば、人の睡眠には、レム睡眠、および4種類のノンレム睡眠が存在し、合計5つのステージに分類され、これらの各ステージにおいて身体機能に微妙な変化が生じる。すなわち、上述した睡眠のステージを検出することにより人の眠りの深さを特定することが可能となる。
【0031】
睡眠解析部23は、各ステージを特定するために必要となる脳波信号の特徴量を検出してユーザの睡眠のステージを判定する。各ステージを特定するための特徴量としては、例えば、上述したように、脳波信号に含まれるα波、δ波などの強度などが用いられたり、特徴的な波形の形状が用いられる。
【0032】
睡眠解析部23は、解析結果として、例えば、ユーザ毎の睡眠のステージの遷移を時刻に対応づけた情報を生成する。そして、生成された情報が、睡眠解析情報として睡眠解析情報データベース32に記録される。
【0033】
目覚まし設定部24は、例えば、ユーザを覚醒させるべき時刻に関する設定を受け付けるようになされている。例えば、ユーザを覚醒させるべき時刻として、「ユーザの睡眠がステージ2に達してから10分後」のような情報が設定され、これが目覚まし設定情報とされる。目覚まし設定部24により設定が受け付けられた目覚まし設定情報は、目覚まし設定情報データベース41に記録される。
【0034】
目覚ましデバイス制御部25は、睡眠解析情報データベース32に蓄積された睡眠解析情報、および、目覚まし設定情報データベース41に蓄積された目覚まし設定情報に基づいて、目覚ましデバイス26を制御する。
【0035】
目覚ましデバイス26は、例えば、アラーム音を出力するスピーカ、光を照射するライト、振動を発生させるモータなどにより構成され、睡眠中のユーザを覚醒させるための刺激を与えるデバイスとされる。
【0036】
目覚ましデバイス制御部25は、目覚まし設定情報に基づいて、例えば、次のように動作する。例えば、目覚ましデバイス制御部25は、睡眠解析情報に基づいて、ユーザの睡眠がステージ2に達した時刻を特定し、その10分後に目覚ましデバイス26を動作させるように制御する。これにより、ユーザは、睡眠がステージ2に達してから10分後に覚醒することになる。
【0037】
日中に深い眠り(例えば、ステージ3、ステージ4など)に陥ってしまうと、夜眠れなくなったり、覚醒後に頭がボーっとするなどの不都合が生じやすい。これに対して、日中に適度な深さの睡眠(例えば、ステージ1、または、ステージ2)を短時間とると、疲労回復効果が高く、覚醒後の仕事や勉強などの効率が高まるといわれている。
【0038】
本技術によれば、上述したように、ユーザの脳波に基づいて睡眠のステージを特定してユーザを覚醒させるようにしたので、覚醒後の仕事や勉強などの効率を高めるような睡眠をとらせることができる。
【0039】
なお、例えば、睡眠解析部23による解析の結果、例えば、ユーザの睡眠が、ステージ1、ステージ2などに達していない場合、目覚ましデバイス制御部25は、ユーザの入眠を補助するように、目覚ましデバイス26を制御してもよい。例えば、スピーカからの心地のよい環境音の出力、リラクゼーション効果の高い香りなどの放出が目覚ましデバイス26によってなされるようにしてもよい。
【0040】
あるいはまた、目覚ましデバイス26を制御することで、ユーザが深い眠りに陥らないようにしてもよい。例えば、睡眠解析部23による解析の結果、ユーザの睡眠が、ステージ3などに達していた場合、目を覚まさせない程度に、柔らかい振動などの刺激が与えられて、ユーザを浅い眠り(ステージ1、ステージ2など)に移らせるようにしてもよい。
【0041】
図2は、睡眠補助装置10が取り付けられる枕の外観の例を示す図である。同図に示される枕51は、図中上側の面にユーザが額を載せ、枕51に顔をうずめるようにして眠るように構成されている。また、枕51の図中下側の面は、例えば、机などに接触させるように構成されている。
【0042】
枕51は、中央がややくぼんだ形状とされており、図中上側の面と図中下側の面はそれぞれ湾曲して構成されている。また、枕51の底面は、後述する図3に示されるように、別の方向にも湾曲して構成されている。さらに、例えば、枕51の図中上側の面を覆うようにクッションが設けられており、枕51の中央付近において電極21が、外部に露出するように設けられている。
【0043】
枕51は、図3に示されるように、例えば、机の上に配置して、ユーザが顔をうずめるように頭部61を載せて使うように構成されており、例えば、仕事や勉強の途中に短時間の仮眠をとる場合の利用に適した枕とされている。
【0044】
上述したように、枕51の底面は湾曲しており、ユーザは、眠りやすい姿勢を簡単に探すことができ、また、眠っている際に、枕51とともに、ユーザの頭部61がゆらゆらと揺れるようになり、心地よい眠りを得ることができるように構成されている。
【0045】
図4は、図2の電極21が実際にどのように枕51に取り付けられるかを説明する図である。図4Aは、枕51を横から見た図とされ、図4Bは、枕51を上から見た図とされる。なお、図4においては便宜上、本来湾曲して構成される枕51の各面が、直線的に描かれている。
【0046】
図4Aに示されるように、枕51は、クッションとなるやわらかな素材(例えば、ウレタンなど)により構成される表層51a、表層51aの素材と比して硬い素材で構成される中間層51b、および底層51cにより構成されている。
【0047】
電極21は、枕51の表層51aの表面より、図中やや高い位置に配置され、電極21の下には、バネ52が取り付けられている。ユーザが額を電極21に接触させると、電極21は、図中下側に沈むように構成されており、このようにすることで、電極21をユーザの額などに圧着させるとともに、ユーザの不快感を低減させることができる。
【0048】
また、図4Bに示されるように、電極21は、必ずしも1つのみ設けられるものではなく、複数設けられるようにしてもよい。図4Bの例では、枕51に6つの電極(電極21−1乃至電極21−6)が設けられている。図4Bの電極21−1乃至電極21−6のそれぞれが、図4Aを参照して上述したように取り付けられる。
【0049】
なお、図2乃至図4を参照して上述した例は、枕51と電極21の一例であり、これとは異なる構成の枕と電極が採用されるようにしてもよい。
【0050】
精度の高い脳波信号を取得するためには、電極21を、ユーザの頭皮の所定の位置において安定的に接触させておく必要がある。例えば、従来の技術では、電極21を、ユーザの頭皮の所定の位置において安定的に接触させておくために、ヘッドセットなどが利用されることが多かった。しかしながら、例えば、ヘッドセットを装着したままで仮眠をとることは不快である。また、仮眠をとる前に予めヘッドセットを装着することも煩わしく感じられる。
【0051】
図3に示されるような状態で仮眠をとった場合、ユーザの額は、電極21に押し付けられていることになり、電極21をユーザの頭皮の所定の位置において安定的に接触させておくことが可能となる。従って、仮眠中のユーザの脳波信号を精度高く取得することが可能となる。
【0052】
すなわち、本技術では、ユーザが睡眠時に頭部を載せる部分に電極を配置して睡眠中の脳波信号を取得できるようになされている。そして、取得した脳波信号に基づいて、ユーザを覚醒させるべき時刻が決定される。従って、ユーザは、何ら特別の準備などする必要はなく、時間や場所にとらわれずに、短時間の睡眠を効率よくとることができる。
【0053】
図5は、図1の睡眠補助装置10による睡眠補助処理の例を説明するフローチャートである。この処理は、例えば、ユーザが図2の枕51を利用して短時間の仮眠をとる場合に実行される。なお、ここでは、睡眠補助装置10が、図2の枕51の内部に取り付けられているものとする。
【0054】
ステップS21において、目覚まし設定部24は、目覚まし設定情報の入力を受け付ける。このとき、例えば、「睡眠がステージ2に達してから10分後に覚醒」のような情報が入力され、入力された目覚まし設定情報が、目覚まし設定情報データベース41に記録される。
【0055】
ステップS22において、脳波信号取得部22は、例えば、電極21の電位の変化に基づいて得られる信号を、ユーザの脳波信号として取得する。脳波信号取得部22は、取得した脳波信号を所定の時間単位にサンプリングするなどして脳波情報を生成し、脳波情報データベース31に記録する。
【0056】
ステップS23において、睡眠解析部23は、ステップS22の処理で取得された脳波信号を解析する。このとき、睡眠解析部23は、例えば、脳波情報データベース31に蓄積された脳波情報を読み出してユーザの脳波信号を再生するとともに、必要に応じてフィルタ処理を施すなどして、脳波信号に含まれるノイズを除去する。睡眠解析部23は、例えば、ユーザの脳波信号に含まれるα波、δ波を検出するなどしてユーザの睡眠のステージを判定する。
【0057】
そして、睡眠解析部23は、解析結果として、例えば、ユーザ毎の睡眠のステージの遷移を時刻に対応づけた情報を生成する。そして、生成された情報が、睡眠解析情報として睡眠解析情報データベース32に記録される。
【0058】
ステップS24において、目覚ましデバイス制御部25は、ユーザの睡眠が、目覚まし設定情報により設定されたステージに達したか否かを判定する。このとき、例えば、目覚ましデバイス制御部25は、目覚まし設定情報に基づいて、ユーザにより設定されたステージがステージ2であったことを特定する。そして、目覚ましデバイス制御部25は、睡眠解析情報に基づいて、ユーザの睡眠がステージ2に達したか否かを判定する。
【0059】
ステップS25において、目覚ましデバイス制御部25は、計時を行う。
【0060】
ステップS26において、目覚ましデバイス制御部25は、目覚まし設定情報により設定された時間が経過したか否かを判定する。
【0061】
ステップS26において、まだ設定された時間が経過していないと判定された場合、処理は、ステップS22に戻る。
【0062】
ステップS26において、設定された時間が経過したと判定された場合、処理は、ステップS27に進む。
【0063】
ステップS27において、目覚ましデバイス制御部25は、目覚ましデバイス26を動作させる。これにより、例えば、アラーム音が出力され、ユーザが覚醒させられる。
【0064】
このようにして、睡眠補助処理が実行される。
【0065】
このように、本技術によれば、睡眠のステージが判定され、所定の時間経過後にユーザが覚醒させられる。このようにすることで、例えば、特定の時刻にアラームをセットして仮眠をとる場合などと比較して、より快適な仮眠をとることが可能となる。例えば、図6に示されるように、ユーザが「眠ろうとし始めた」時刻からではなく、「寝入った」時刻から所定の時間が経過したとき、ユーザを「起こす」ようにすることが可能となる。従って、ユーザは、「取りたい睡眠時間」を確実に取ることができる。
【0066】
また、例えば、検出された睡眠のステージに対応して、スピーカから心地のよい環境音が出力されたり、リラクゼーション効果の高い香りなどが放出されたりするように、制御することも可能となる。このように、本技術によれば、時間や場所にとらわれずに、短時間の睡眠を効率よくとることができる。
【0067】
なお、図3を参照して上述した例においては、例えば、机上に配置され、ユーザが顔をうずめて仮眠をとるように構成された枕51に睡眠補助装置10が組み込まれる場合の例について説明したが、他の形状の枕に睡眠補助装置10が組み込まれるようにしてもよい。例えば、抱き枕などに睡眠補助装置10が組み込まれるようにしてもよい。
【0068】
図7は、本技術に係る睡眠補助装置10を抱き枕101に組み込んだ場合の例を説明する図である。同図に示される抱き枕101は、ユーザが抱え込んで仮眠をとるように構成されている。そして、抱き枕101において、ユーザが頭部61の額を当てる部分に電極21が配置されるように構成されている。
【0069】
このようにすることで、やはり、電極21をユーザの頭皮の所定の位置において安定的に接触させておくことが可能となる。従って、仮眠中のユーザの脳波信号を精度高く取得することが可能となる。
【0070】
あるいはまた、例えば、抱き枕101が椅子の背もたれとして構成されるようにしてもよい。例えば、オフィスで利用される椅子であって、背もたれが高い椅子を想定する。そして、その背もたれが抱き枕101として構成されている椅子を想定する。仮眠をとる場合、ユーザは、椅子の背もたれを抱くようにして座り、頭部61を抱き枕101の上側に接触させるようにする。
【0071】
このように、抱き枕101を椅子の背もたれとして構成するようにしてもよい。このようにすることで、やはり、電極21をユーザの頭皮の所定の位置において安定的に接触させておくことが可能となる。従って、仮眠中のユーザの脳波信号を精度高く取得することが可能となる。
【0072】
なお、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。上述した一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば図8に示されるような汎用のパーソナルコンピュータ700などに、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
【0073】
図8において、CPU(Central Processing Unit)701は、ROM(Read Only Memory)702に記憶されているプログラム、または記憶部708からRAM(Random Access Memory)703にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM703にはまた、CPU701が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0074】
CPU701、ROM702、およびRAM703は、バス704を介して相互に接続されている。このバス704にはまた、入出力インタフェース705も接続されている。
【0075】
入出力インタフェース705には、キーボード、マウスなどよりなる入力部706、LCD(Liquid Crystal display)などよりなるディスプレイ、並びにスピーカなどよりなる出力部707、ハードディスクなどより構成される記憶部708、モデム、LANカードなどのネットワークインタフェースカードなどより構成される通信部709が接続されている。通信部709は、インターネットを含むネットワークを介しての通信処理を行う。
【0076】
入出力インタフェース705にはまた、必要に応じてドライブ710が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア711が適宜装着され、それらから読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じて記憶部708にインストールされる。
【0077】
上述した一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、インターネットなどのネットワークや、リムーバブルメディア711などからなる記録媒体からインストールされる。
【0078】
なお、この記録媒体は、図8に示される、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを配信するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フロッピディスク(登録商標)を含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini-Disk)(登録商標)を含む)、もしくは半導体メモリなどよりなるリムーバブルメディア711により構成されるものだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに配信される、プログラムが記録されているROM702や、記憶部708に含まれるハードディスクなどで構成されるものも含む。
【0079】
なお、本明細書において上述した一連の処理は、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0080】
また、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0081】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
【0082】
(1) ユーザの頭皮に接触するように、枕の表面に配置された電極と、
前記電極を介して前記ユーザの脳波信号を取得する脳波信号取得部と、
前記取得された脳波信号を解析する解析部と、
前記解析の結果特定された、前記ユーザの眠りの深さを表す睡眠ステージに応じて、予め設定された処理の実行を制御する制御部と
備える睡眠補助装置。
(2) 前記制御部は、
前記睡眠ステージが予め設定された睡眠ステージに達したと判定された場合に計時を開始し、
予め設定された時間が経過したとき、前記ユーザを覚醒させるための刺激の発生を制御する
(1)に記載の睡眠補助装置。
(3) 前記制御部は、
前記睡眠ステージが予め設定された睡眠ステージに達していないと判定された場合、前記ユーザの入眠を促すための刺激の発生を制御する
(1)または(2)に記載の睡眠補助装置。
(4) 前記電極が、前記ユーザが顔をうずめて眠るように構成された枕の表面に配置される
(1)乃至(3)のいずれかに記載の睡眠補助装置。
(5) 前記枕は、抱き枕であり、
前記抱き枕において、前記ユーザの額に接触する位置に前記電極が配置される
(1)乃至(4)のいずれかに記載の睡眠補助装置。
(6) 前記枕が椅子の背もたれとして構成されている
(1)乃至(5)のいずれかに記載の睡眠補助装置。
(7) 脳波信号取得部が、ユーザの頭皮に接触するように、枕の表面に配置された電極を介して前記ユーザの脳波信号を取得し、
解析部が、前記取得された脳波信号を解析し、
制御部が、前記解析の結果特定された、前記ユーザの眠りの深さを表す睡眠ステージに応じて、予め設定された処理の実行を制御する
を含む睡眠補助方法。
(8) コンピュータを、
ユーザの頭皮に接触するように、枕の表面に配置された電極と、
前記電極を介して前記ユーザの脳波信号を取得する脳波信号取得部と、
前記取得された脳波信号を解析する解析部と、
前記解析の結果特定された、前記ユーザの眠りの深さを表す睡眠ステージに応じて、予め設定された処理の実行を制御する制御部と備える睡眠補助装置として機能させる
プログラム。
(9) (8)に記載のプログラムが記録されている記録媒体。
【符号の説明】
【0083】
10 睡眠補助装置, 21 電極, 22 脳波信号取得部, 23 睡眠解析部, 24 目覚まし設定部, 25 目覚ましデバイス制御部, 26 目覚ましデバイス, 31 脳波情報データベース, 32 睡眠解析情報データベース, 41 目覚まし設定情報データベース, 51 枕, 51a 表層, 51b 中間層, 52 バネ, 101 抱き枕

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの頭皮に接触するように、枕の表面に配置された電極と、
前記電極を介して前記ユーザの脳波信号を取得する脳波信号取得部と、
前記取得された脳波信号を解析する解析部と、
前記解析の結果特定された、前記ユーザの眠りの深さを表す睡眠ステージに応じて、予め設定された処理の実行を制御する制御部と
備える睡眠補助装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記睡眠ステージが予め設定された睡眠ステージに達したと判定された場合に計時を開始し、
予め設定された時間が経過したとき、前記ユーザを覚醒させるための刺激の発生を制御する
請求項1に記載の睡眠補助装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記睡眠ステージが予め設定された睡眠ステージに達していないと判定された場合、前記ユーザの入眠を促すための刺激の発生を制御する
請求項1に記載の睡眠補助装置。
【請求項4】
前記電極が、前記ユーザが顔をうずめて眠るように構成された枕の表面に配置される
請求項1に記載の睡眠補助装置。
【請求項5】
前記枕は、抱き枕であり、
前記抱き枕において、前記ユーザの額に接触する位置に前記電極が配置される
請求項1に記載の睡眠補助装置。
【請求項6】
前記枕が椅子の背もたれとして構成されている
請求項1に記載の睡眠補助装置。
【請求項7】
脳波信号取得部が、ユーザの頭皮に接触するように、枕の表面に配置された電極を介して前記ユーザの脳波信号を取得し、
解析部が、前記取得された脳波信号を解析し、
制御部が、前記解析の結果特定された、前記ユーザの眠りの深さを表す睡眠ステージに応じて、予め設定された処理の実行を制御する
を含む睡眠補助方法。
【請求項8】
コンピュータを、
ユーザの頭皮に接触するように、枕の表面に配置された電極と、
前記電極を介して前記ユーザの脳波信号を取得する脳波信号取得部と、
前記取得された脳波信号を解析する解析部と、
前記解析の結果特定された、前記ユーザの眠りの深さを表す睡眠ステージに応じて、予め設定された処理の実行を制御する制御部と備える睡眠補助装置として機能させる
プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムが記録されている記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−31542(P2013−31542A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168973(P2011−168973)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】