睡眠評価装置および睡眠評価用プログラム
【課題】より正確に被験者の睡眠傾向を把握することができる睡眠評価装置および睡眠評価用プログラムを提供する。
【解決手段】体動検出装置100では、被測定者の体動が検出される。当該検出の結果がサーバ500へ送信される。そして、サーバ500では、検出結果に基づいて、睡眠についての6種類のパターン(「寝つき困難」「早すぎる目覚め」「夜中の目覚め」「睡眠不足」「睡眠リズムの乱れ」「ぐっすり睡眠」)についての判定がなされる。
【解決手段】体動検出装置100では、被測定者の体動が検出される。当該検出の結果がサーバ500へ送信される。そして、サーバ500では、検出結果に基づいて、睡眠についての6種類のパターン(「寝つき困難」「早すぎる目覚め」「夜中の目覚め」「睡眠不足」「睡眠リズムの乱れ」「ぐっすり睡眠」)についての判定がなされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は睡眠評価装置および睡眠評価用プログラムに関し、特に、非侵襲で被測定者の睡眠状態を評価する睡眠評価装置および睡眠評価用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、睡眠を評価する装置に関し、種々の技術が開示されている。
たとえば、特許文献1(特開2005−209143号公報)には、コンピュータが、ユーザから、快眠度の良否に関する質問、睡眠過程の良否に関する質問および起床後から起床時までの行動に関する質問の回答の入力を受け付け、これらの入力結果を解析することにより、快眠度に影響を与えている睡眠過程因子と行動因子の抽出を行ない、睡眠の改善に関するアドバイスを行なうための技術が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された技術は、ユーザによって入力される回答に基づいた内容に基づく解析結果を表示するものである。このような技術によれば、ユーザが自覚する症状を解析結果に反映させることができる。なお、客観的なデータに基づいた技術についても種々提案がなされている。
【0004】
たとえば、特許文献2(特開2007−319238号公報)では、計測した睡眠状態の睡眠評価項目(総睡眠時間、ノンレム睡眠、レム睡眠、中途覚醒など)を、健常者の母集団データの平均値、標準偏差と比較することにより、被験者の睡眠の良否を2段以上のレベルで表し、それに応じて睡眠改善アドバイスを提示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−209143号公報
【特許文献2】特開2007−319238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
なお、睡眠改善のアドバイスの提示にあたり、取得されたデータ等から、より正確に被験者の睡眠傾向を把握することが常にもとめられる。
【0007】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、より正確に被験者の睡眠傾向を把握することができる睡眠評価装置および睡眠評価用プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある局面に従った睡眠評価装置は、寝床上の被測定者の身体の動きについての検出結果を取得するための取得手段と、検出結果に基づいて、1日ごとの被測定者の睡眠状態を判別するための第1の判定手段と、第1の判定手段による複数日についての判別結果に基づいて、被測定者の睡眠状態の傾向を判別するための第2の判定手段とを備える。
【0009】
本発明の他の局面に従った睡眠評価装置は、寝床上の被測定者の身体の動きを検出するための体動検出手段と、体動検出手段の検出結果に基づいて、1日ごとの被測定者の睡眠状態を判別するための第1の判定手段と、第1の判定手段による複数日についての判別結果に基づいて、被測定者の睡眠状態の傾向を判別するための第2の判定手段とを備える。
【0010】
好ましくは、第2の判定手段は、複数の項目について、被測定者の睡眠状態の傾向を判別し、複数の項目は、判別に要する期間が互いに異なる項目を含む。
【0011】
好ましくは、第2の判定手段は、第1の判定手段が判定を開始してから、複数の項目のすべての項目についての判定に要する期間が満了したことを条件として、被測定者の睡眠状態の傾向を報知する。
【0012】
好ましくは、第2の判定手段によって傾向を判別される項目は、睡眠時間に対する、検出結果において身体が動かなかったことを検出された時間の割合に基づく項目を含む。
【0013】
本発明に従った睡眠評価用プログラムは、被測定者の睡眠を評価するためのコンピュータにおいて実行されるプログラムであって、コンピュータに、体動検出手段において検出される、寝床上の被測定者の身体の動きについての検出結果を取得するためのステップと、体動検出手段の検出結果に基づいて、1日ごとの被測定者の睡眠状態を判別するステップと、睡眠状態の複数日についての判別結果に基づいて、被測定者の睡眠状態の傾向を判別するステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、1日ごとに被測定者の睡眠状態が判別され、さらに、複数日分の当該判別結果に基づいて、被測定者の睡眠状態の傾向を判別することができる。
【0015】
これにより、被測定者に対して、複数日の睡眠状態に基づいた睡眠状態の傾向を提供できるため、より正確に、被測定者の睡眠傾向を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態にかかる睡眠評価システムの構成の具体例を示す図である。
【図2】体動検出装置の側面を表わした概略図である。
【図3】体動検出装置を斜め上方から見た外観の概略図である。
【図4】体動検出装置のハードウェア構成の具体例を示すブロック図である。
【図5】体動検出装置の使用例を説明するための図である。
【図6】体動検出装置において睡眠のレベルを判別するための機能構成の具体例を示すブロック図である。
【図7】体動検出装置における体動センサからのセンサ信号の具体例を示す図である。
【図8】図7に表わされた波形から分離された呼吸波形および体動波形の具体例を示す図である。
【図9】体動検出装置における判別結果の具体例を示す図である。
【図10】サーバのハードウェア構成の一例を模式的に示す図である。
【図11】サーバの機能構成の一例を示す図である。
【図12】サーバにおける、所定期間ごとの睡眠レベルの決定の態様を説明するための図である。
【図13】サーバにおいて判定されるパターンの名称と判定基準の定義の一例を示す図である。
【図14】起床時刻の標準偏差の算出方法の一例を説明するための図である。
【図15】睡眠評価システムにおいて、1日ごとの結果に対して実行される処理の内容を説明するための図である。
【図16】測定2日目から最終日の前日(本実施の形態では13日目)までの、各日の処理内容を説明するための図である。
【図17】被測定者に対して最終的な判定結果を提供する期間である複数日(一定期間)についての、睡眠の傾向を判定するための処理の内容を説明するための図である。
【図18】睡眠の傾向の判定結果を表示するための画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
【0018】
<睡眠評価システム>
図1は、本実施の形態にかかる睡眠評価システムの構成の具体例を示す図である。
【0019】
図1を参照して、本実施の形態にかかる睡眠評価システムは、体動検出装置100と、サーバ500と、ユーザ端末200とを含み、これらがLAN(Local Area Network)などのネットワークで接続されている。なお、ネットワークは有線であっても無線であってもよい。
【0020】
本実施の形態における睡眠評価システムでは、体動検出装置100は、被測定者の睡眠時の体動に関する物理量の測定を行ない、測定結果をサーバ500へ送信する。サーバ500は、当該測定結果を処理することにより、被測定者の睡眠の傾向に関する指標を算出する。ユーザ端末200は、サーバ500にアクセスすることにより、当該指標を表示するためのデータを取得する。これにより、被測定者は、ユーザ端末200を操作することにより、自己の睡眠の状態についての情報を取得する。
【0021】
<体動検出装置>
(外観)
以下、図2および図3をさらに参照して、体動検出装置100の外観について説明する。図2は、体動検出装置100の側面を表わした概略図であり、図3は、斜め上方から見た外観の概略図である。
【0022】
図1〜図3を参照して、体動検出装置100は、台座に対して直方体またはその角が丸みを帯びて処理された縦長の形状の筐体が立てられた外観を有する。なお、体動検出装置100の外観は、これに限定されるものではない。
【0023】
上記台座の表面には、操作用のボタン群10が配備される。また、上記台座に立てられた筐体の表面には、表示部20が配備される。また、当該筐体には、センサ30と制御部40とが内包される。ボタン群10は、削除ボタン10Aと、入床ボタン10Bと、おやすみボタン10Cと、中断ボタン10Dと、データ処理ボタン10Eとを含む。なお、以降の説明において、筐体の表示部20が設けられた面を体動検出装置100の正面とも称する。
【0024】
体動検出装置100は、無線または有線での通信を行なうための通信部50を有する。通信部50は、筐体の、台座と逆側の端部よりに設けられる。体動検出装置100は、通信部50を介して、サーバ500や携帯電話機などのユーザ端末200と通信する。
【0025】
(ハードウェア構成)
図4は、体動検出装置100のハードウェア構成の具体例を示すブロック図である。
【0026】
図4を参照して、体動検出装置100は、当該体動検出装置100の動作を全体的に制御する制御部40を含む。ボタン群10、センサ30、表示部20、および通信部50は、いずれも、制御部40に接続される。
【0027】
ボタン群10は、被測定者に操作されることによって発生する操作信号を、制御部40に対して出力する。
【0028】
センサ30は、体動センサ31を含み、当該体動センサ31において発生した信号(以下、「センサ信号」ともいう)を、制御部40に対して出力する。体動センサ31は、たとえばドップラーセンサによって実現される。以降の説明は、体動センサ31がドップラーセンサであるものとして、なされる。なお、体動センサ31の他の例としては、超音波センサが挙げられる。
【0029】
ドップラーセンサである体動センサ31は、図示しない、測定用の電波を出力するための出力部と、受信部とを有する。受信部は、出力部から出力した電波のうち被測定体表面から反射した電波を受信し、出力した電波からの周波数の変化に応じたセンサ信号を出力する。
【0030】
なお、体動検出装置100において、被測定者の体動は、体動センサ31の代わりにカメラによって検出されても良い。この場合、体動検出装置100には体動センサ31の代わりにカメラが備えられ、制御部40において、当該カメラによって撮影された画像の解析が行なわれる。体動の検出は、当該解析の結果に基づいて実現される。
【0031】
制御部40は、全体制御を行なうためのCPU41と、CPU41で実行されるプログラムなどを記憶するためのメモリ42とを含む。
【0032】
制御部40は、CPU41がメモリ42に記憶されているプログラムを実行し、入力された操作信号およびセンサ信号を用いて演算を実行することで、後述する睡眠状態の判別等の処理を実行する。
【0033】
メモリ42は、体動検出装置100に対して、固定されていても良いし、着脱可能な記憶媒体によって実現されても良い。記憶媒体としては、CD−ROM(Compact Disc - Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disk - Read Only Memory)、USB(Universal Serial Bus)メモリ、メモリカード、FD(Flexible Disk)、ハードディスク、磁気テープ、カセットテープ、MO(Magnetic Optical Disc)、MD(Mini Disc)、IC(Integrated Circuit)カード(メモリカードを除く)、光カード、マスクROM、EPROM、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read-Only Memory)などの、不揮発的にプログラムを格納する媒体が挙げられる。
【0034】
通信部50は、たとえばLANカードによって実現される。通信部50が実行する通信の態様としては、たとえば赤外線通信やBluetooth(登録商標)を利用した通信などの無線通信で、直接、ユーザ端末200と通信するものであってもよいし、インターネット接続機能を有して、インターネットを介してユーザ端末200と通信するものであってもよい。
【0035】
さらに、通信部50は無線LAN(Local Area Network)のサーバ機能を有し、無線LAN接続でアクセスしてきたユーザ端末200に対して、たとえばHTML(Hyper Text Markup Language)などのマークアップ言語で表現された後述の表示データを送信するようにしてもよい。
【0036】
また、体動検出装置100には、タイマ60が備えられている。タイマ60は、制御部40に接続されている。CPU41は、タイマ60から時刻情報を取得して、後述する入床時刻等の各時刻を特定し、メモリ41に記憶する。
【0037】
(使用例)
図5は、体動検出装置100の使用例を説明するための図である。
【0038】
図5を参照して、体動検出装置100は、一例として就寝中の被測定者の近傍(たとえば枕元)に設置される。その状態で測定動作が行なわれることで、ドップラーセンサである体動センサ31から電波が出力される。
【0039】
体動センサ31から出力された電波は就寝中の被測定者の主に胸元、肩、などの辺りに到達し、そこからの反射波の周波数の変化がセンサ信号として制御部40に出力される。制御部40は、この周波数の変化に基づいて、就寝中の被測定者の胸の動きや寝返りなどの体動を検出し、その検出結果に基づいて、睡眠のレベルを判別する。
【0040】
(機能構成)
図6は、体動検出装置100において睡眠のレベルを判別するための機能構成の具体例を示すブロック図である。図6に表わされる各機能は、主に、CPU41がメモリ42に記憶されるプログラムを実行することによってCPU41上に形成されるものであるが、少なくとも一部が電気回路などのハードウェア構成によって形成されてもよい。
【0041】
図6を参照して、体動検出装置100は、センサ30からのセンサ信号の入力を受付けるための入力部401と、そのセンサ信号に基づいて単位期間の睡眠状態を判別するための睡眠状態計測部402と、メモリ42から表示データを読み出すための読出部406と、読み出された表示データを表示部20に表示させる処理を実行するための表示制御部407と、通信部50でユーザ端末200に対して送信する処理を実行するための通信制御部408とを含む。
【0042】
また、体動検出装置100は、ボタン群10に含まれる各種ボタンからの入力情報を処理するための入力情報処理部410を含む。
【0043】
図6の例では、入力部401が、センサ30からのセンサ信号を直接受け取るものとしているが、センサ信号はメモリ42の所定領域に一時的に記憶され、入力部401は表示のための動作を行なう際にそこから読み出すようにしてもよい。
【0044】
(睡眠状態の判別)
睡眠状態計測部402での睡眠状態の判別方法について説明する。
【0045】
図7は、ドップラーセンサである体動センサ31からのセンサ信号の具体例を示す図である。なお、図7には、体動センサからの搬送波と被測定者の表面からの反射波との位相の変位量に関係する電圧値の時間変化が示されている。
【0046】
図7を参照して、センサ信号で表わされる波形は、被測定者の呼吸に伴う体動(胸の動き)を表わす波形(以下、呼吸波形とも称する)と、寝返りなどの呼吸以外の体動(身体の動き)を表わす波形(以下、体動波形とも称する)とを含む合成波である。
【0047】
図8は、図7に表わされた波形から分離された呼吸波形および体動波形の具体例を示す図である。
【0048】
安定した「睡眠」であるときのヒトの呼吸波形は周期性を有する。したがって、呼吸波形の周期性が所定範囲内である場合、すなわち、その周期のばらつきが所定範囲内であるときには、概ね、安定した「睡眠」であると言える。
【0049】
また、安定した「睡眠」であるとき、寝返りなどの呼吸以外の体動は生じ難い。したがって、体動波形の振幅が所定範囲内であるときには概ね安定した「睡眠」であると言え、所定範囲以上となった場合には体動が生じているために安定した「睡眠」ではないと言える。
【0050】
したがって、ある期間については、その期間における呼吸波形の周期性や呼吸以外の体動の大きさに基づいて被測定者が安定した「睡眠」にあるか否かを判別することができる。なお、この例では、呼吸波形と体動波形との両波形を用いて判別するものとしているが、少なくとも一方の波形のみを用いてもよい。
【0051】
図6に示されるように、睡眠状態計測部402は、判別部4021と補正部4022とを含む。
【0052】
判別部4021は、図7に示された入力されたセンサ信号に基づく波形を、図8(A)および図8(B)に示される呼吸波形と体動波形とに分離する。そして、それぞれの波形に基づいて、予め規定された単位期間(図7の期間t1,t2,t3,t4,t5)ごとに、被測定者が安定した「睡眠」にあるか否かを判別する。ここでの単位期間は、たとえば30秒や1分程度が挙げられる。すなわち、呼吸波形の単位期間t1における周期のばらつきが予め設定されているしきい値よりも小さい場合には、単位期間t1における呼吸波形に周期性が見られると判断する。また、体動波形の単位期間t1における振幅が予め設定されているしきい値よりも大きいか小さいかを判断する。
【0053】
そして、判別部4021は、単位期間t1における呼吸波形に周期性があり、かつ体動波形の振幅がしきい値よりも小さい場合に、単位期間t1の当該被測定者の睡眠状態を「睡眠」(S)であると判別する。一方、判別部4021は、単位期間t1における呼吸波形に周期性がなく、かつ体動波形の振幅がしきい値よりも大きい場合に、単位期間t1の当該被測定者の睡眠状態を「覚醒」(W)であると判別する。なお、いずれか一方の条件のみが満たされている場合、つまり、単位期間t1における呼吸波形に周期性があるか、または、体動波形の振幅がしきい値よりも小さい場合に、「覚醒」と判別するようにしてもよい。
【0054】
また、判別部4021は、体動センサ31から出力された電波が届く範囲における被測定者の有無を判別しても良い。
【0055】
このような判別は、たとえば、センサ信号に基づく波形を上記したように呼吸波形と体動波形に分離した後、呼吸波形または体動波形のいずれかにおいて、当該波形の振幅が特定の値よりも小さい状態が特定の時間(たとえば、30秒間)継続した場合に、判別部4021は、上記範囲に被測定者が存在しないと判断する。そして、それ以外の場合には、上記範囲に被測定者が存在していると判断する。なお、判別部4021は、被測定者の有無の状態を、被測定者が存在すると判断した場合には状態(E)と判別し、被測定者が存在しない(離床した)と判断した場合には状態(A)と判別する。
【0056】
図9は、判別部4021での判別結果の具体例を示す図である。図9に示されるように、判別部4021は、入力されたセンサ信号に基づく波形の単位期間ごとに、睡眠の状態が「睡眠」であるか「覚醒」であるかを判別する。
【0057】
睡眠状態計測部402は、上記のように単位期間ごとの睡眠の状態を判別した後、その結果をメモリ42に格納する。
【0058】
読出部406は、格納された単位期間ごとの判別を結果を読み出し、通信制御部408に送信する。
【0059】
通信制御部408は、通信部50に、当該判別結果をサーバ500へ送信させる。
これにより、サーバ500は、単位期間ごとの睡眠状態の判別結果を取得する。
【0060】
<サーバ>
(ハードウェア構成)
図10を参照して、サーバ500は、当該サーバ500の動作を全体的に制御する制御部540を含む。サーバ500は、さらに、操作部510、表示部520、および通信部550を含む。これらは、いずれも、制御部40に接続される。
【0061】
サーバ500は、たとえば汎用のパーソナルコンピュータによって実現され得る。
操作部510は、キーボードやマウス等の操作用デバイスによって実現され得る。そして、操作部510は、外部からの操作によって発生する操作信号を、制御部540に対して出力する。
【0062】
制御部540は、全体制御を行なうためのCPU541と、CPU541で実行されるプログラムなどを記憶するためのメモリ542とを含む。
【0063】
なお、制御部540は、CPU541がメモリ542に記憶されているプログラムを実行し、入力された操作信号およびセンサ信号を用いて演算を実行することで、後述する睡眠のレベルの判別等の処理を実行する。
【0064】
メモリ542は、サーバ500に対して、固定されていても良いし、着脱可能な記憶媒体によって実現されても良い。記憶媒体としては、CD−ROM、DVD−ROM、USBメモリ、メモリカード、FD、ハードディスク、磁気テープ、カセットテープ、MO、MD、ICカード(メモリカードを除く)、光カード、マスクROM、EPROM、EEPROMなどの、不揮発的にプログラムを格納する媒体が挙げられる。
【0065】
通信部550は、たとえばLANカードによって実現される。サーバ500は、通信部550を介して、体動検出装置100およびユーザ端末200と通信する。
【0066】
(機能構成)
図11は、サーバ500の機能構成の一例を示す図である。
【0067】
本実施の形態では、体動検出装置100では、睡眠状態計測部402で、単位期間ごとの睡眠の状態が検出される。そして、当該検出結果は、データ転送部51によって、サーバ500へと送信される。データ転送部51とは、読出部406、通信制御部408、および、通信部50を含む。
【0068】
サーバ500は、その機能として、睡眠状態記憶部501、睡眠パターン指標算出部502、睡眠パターン指標データベース操作部503、睡眠パターン指標データベース504、および、睡眠パターン判定部505を含む。
【0069】
睡眠パターン指標算出部502、睡眠パターン指標データベース操作部503、および、睡眠パターン判定部505は、たとえばCPU541がプログラムを実行することによって実現される。なお、これらの少なくとも一部が、専用のハードウェア部品によって実現されても良い。睡眠状態記憶部501および睡眠パターン指標データベース504は、メモリ542によって実現される。
【0070】
睡眠状態記憶部501は、体動検出装置100から受信した睡眠状態の検出結果等を記憶する。睡眠パターン指標算出部502は、受信した検出結果についての、1日ごとの結果についての処理を行なう(後述する図15参照)。睡眠パターン指標データベース操作部503は、上記した1日ごとの処理結果を、睡眠パターン指標データベース504に格納する。睡眠パターン判定部505は、睡眠パターン指標データベース504に格納された2週間分の検出結果やその処理結果に基づいて、被測定者の睡眠パターンについての判定を行なう(後述する図17参照)。
【0071】
なお、本実施の形態では、サーバ500では、1日ごとに睡眠状態についてのデータが処理されるとともに、複数日分(一定期間分)のデータも処理される。本実施の形態において、「複数日」の一例として「2週間」が挙げられているが、「複数日」の長さはこれに限定されない。これより長い場合も短い場合もあり得る。なお、本明細書では、測定が行なわれる「複数日」が、「一定期間」と表現される場合もある。
【0072】
また、本実施の形態では、測定として、人の睡眠に関する測定が行なわれる。したがって、「各日」等の日は、厳密には当該計測対象となる時刻が属する日に対応しない場合がある。たとえば、平成23年1月1日の睡眠として、1月1日の午後11時から1月2日の午前6時まで被測定者が睡眠をとった場合、この測定結果は、その後半が1月2日に含まれる場合でも、1月1日の結果として扱われる。本実施の形態では、上記したように、複数日分の測定結果として2週間分の測定結果が用いられる。ここで、厳密には、1月1日から2週間分の測定結果を取得するためには、測定は、1月1日の夜から、その2週間後の1月15日の朝まで、つまり、2週間に1日を加えた期間にかけて行なわれる場合が有り得る。
【0073】
睡眠パターン判定部505による判定結果は、たとえばユーザ端末200からの要求に応じて、ユーザ端末200へ送信される。ユーザ端末200では、当該判定結果が表示される。
【0074】
<睡眠のレベルの決定>
上記したように、サーバ500は、体動検出装置100から、単位期間ごとの睡眠状態の判別結果を受信する。そして、制御部540は、上記した睡眠状態の判別結果に基づいて、睡眠のレベルを決定する。
【0075】
なお、睡眠のレベルの決定の前に、制御部540は、隣接する単位期間の判別結果に応じて、当該単位期間の判別結果を補正する。このような補正は、実際には、被験者が床に存在していながら寝返りをする等により一定期間体動検出装置100の受信信号が弱まり、単位期間あたりの判別結果が「不明」となることを考慮したものである。また、このような補正は、一連の覚醒状態中に、実際に、一定期間離床して計測範囲外に存在している場合に単位期間の判別結果に「覚醒」と「不明」が混在することを考慮したものでもあり得る。
【0076】
図12(A)〜図12(C)は、サーバ500における、睡眠状態の判別結果の補正および睡眠のレベルの決定を説明するための図である。
【0077】
図12(A)には、体動検出装置100から送信された睡眠状態の判別結果が示されている。
【0078】
図12(A)および図12(B)を参照して、制御部540は、体動検出装置100から受信したデータを、判別結果が連続して同一である単位期間ごとにブロックとして分割する。
【0079】
そして、ブロックを構成する単位期間の判定がある状態であり、かつ、当該ブロックに対してその前後に隣接するブロックが特定の状態でかつ同一な場合に、当該ブロックの判定を隣接するブロックの判別結果となるように補正する。また、当該ブロックの数および隣接するブロックの状態によっては補正を行なわない場合があっても良い。
【0080】
そして、サーバ500では、上記単位期間が連続してなる所定期間について、各単位期間の判別結果に基づいて、睡眠のレベルが判別される。
【0081】
本実施の形態では、所定期間としては、たとえば5分や10分程度が挙げられる。
ここで、睡眠のレベルとは、「睡眠」「覚醒」「離床」の各状態と、呼吸の安定具合と、上記各状態における体動の有無、連続性とから定義される。具体例として、次にレベル1〜5が挙げられる。
【0082】
レベル1:体動がなく、呼吸が安定している「睡眠」
レベル2:単発的な体動がある「睡眠」
レベル3:単発的な「覚醒」を伴う「睡眠」
レベル4:連続的な体動がある「覚醒」
レベル5:一定期間以上被験者が計測範囲外に存在する「離床」
図12(C)は、各所定期間ごとの睡眠のレベルの判別結果の具体例を表わす図である。
【0083】
図12(C)では、所定期間の例として、T1,T2,T3が示されている。
CPU541は、就寝・起床時刻などの時刻情報、単位期間当たりの判別結果または上記した各所定期間ごとの睡眠のレベルを用いて、被測定者についての睡眠の傾向についての判定を行なう。
【0084】
<睡眠パターンの種類と判定基準>
本実施の形態では、サーバ500は、就寝・起床時刻などの時刻情報、単位期間当たりの判別結果または上記のように判別された睡眠のレベルに基づいて、被測定者の睡眠に関する複数のパターンについての判定がなされる。図13は、サーバ500において判定されるパターンの名称と判定基準の定義の一例を示す図である。
【0085】
図13を参照して、サーバ500において判定されるパターンは、「寝つき困難」「早すぎる目覚め」「夜中の目覚め」「睡眠不足」「睡眠リズムの乱れ」および「ぐっすり睡眠」の6種類である。
【0086】
これらのうち、「寝つき困難」「早すぎる目覚め」「夜中の目覚め」については、1日ごとに一時的な判定がなされ、各日の判定結果に基づいて複数日についての最終的な判定がなされる。
【0087】
(寝つき困難)
「寝つき困難」の各日の判定基準は、「計測開始後40分間に『体動のない睡眠』判定が存在しない」というものである。具体的には、CPU541は、「計測開始(後述する睡眠期間の開始)から40分の間に上記したレベル1の判別結果が存在しない」という状況が生じたか否かを判断し、このような状況が生じた場合には、この日の被測定者が当該パターンに該当すると判定する。一方、そのような状況が生じていない場合には、被測定者は当該パターンには該当しないと判定する。
【0088】
また、「寝つき困難」の複数日の判定基準は、各日の判定において「寝つき困難」のパターンに該当した日が7日以上生じたか否かである。CPU541は、当該パターンに該当した日が7日以上生じた場合に、最終的な判定結果として、被測定者が「寝つき困難」のパターンに該当すると判定する。一方、そのような状況が生じていない場合には、被測定者は当該パターンには該当しないと判定する。なお、上記したように本実施の形態では、「複数日」の一例として2週間が設定されている。ただし、このパターンについては、最短で、測定開始から7日間で、最終的な判定結果が得られる。
【0089】
(早すぎる目覚め)
「早すぎる目覚め」の各日の判定基準は、「計測終了前60分間の総覚醒時間が30分以上」というものである。具体的には、CPU541は、「計測終了(後述する睡眠期間の終了)までの60分の間に単位時間の判定が「睡眠」以外であると判定された時間の合計が30分以上であった」という状況が生じたか否かを判断し、このような状況が生じた場合には、この日の被測定者が当該パターンに該当すると判定する。一方、そのような状況が生じていない場合には、被測定者は当該パターンには該当しないと判定する。
【0090】
また、「早すぎる目覚め」の複数日の判定基準は、各日の判定において上記のような総覚醒時間についての閾値を超えた日が7日以上生じたか否かである。CPU541は、当該パターンに該当した日が7日以上生じた場合に、最終的な判定結果として、被測定者が「早すぎる目覚め」のパターンに該当すると判定する。一方、そのような状況が生じていない場合には、被測定者は当該パターンには該当しないと判定する。なお、上記したように本実施の形態では、「複数日」の一例として2週間が設定されている。ただし、このパターンについては、最短で、測定開始から7日間で、最終的な判定結果が得られる。
【0091】
(夜中の目覚め)
「夜中の目覚め」の各日の判定基準は、「中途覚醒回数が3回以上」というものである。具体的には、CPU541は、「後述する睡眠期間中、上記したレベル4が生じた区間が3区間以上であった」という状況が生じたか否かを判断し、このような状況が生じた場合には、この日の被測定者が当該パターンに該当すると判定する。一方、そのような状況が生じていない場合には、被測定者は当該パターンには該当しないと判定する。ここで、「区間」とは、レベル4以外からレベル4となり再度レベル4以外に戻ることによって生じる。そして、このような区間の発生が、本実施の形態では「中途覚醒」の発生に相当する。そして、このパターンについての判定において、CPU541は、連続する睡眠のレベルの判定結果において、レベル4以外からレベル4となり再度レベル4以外に戻るような変化の態様が3回以上出現したか否かを判断する。
【0092】
また、「夜中の目覚め」の複数日の判定基準は、各日の判定において上記のような中途覚醒の発生回数についての閾値を超えた日が7日以上生じたか否かである。CPU541は、当該パターンに該当した日が7日以上生じた場合に、最終的な判定結果として、被測定者が「夜中の目覚め」のパターンに該当すると判定する。一方、そのような状況が生じていない場合には、被測定者は当該パターンには該当しないと判定する。なお、上記したように本実施の形態では、「複数日」の一例として2週間が設定されている。ただし、このパターンについては、最短で、測定開始から7日間で、最終的な判定結果が得られる。
【0093】
(睡眠不足)
サーバ500では、さらに、「睡眠不足」「睡眠リズムの乱れ」および「ぐっすり睡眠」という名称のパターンについての判定がなされる。
【0094】
「睡眠不足」の判定基準は、「2週間の総就床時間の平均値が6時間未満」というものである。具体的には、CPU541は、「各日についての後述する睡眠期間の長さに関し、複数日について平均値を算出し、当該平均値が6時間未満である」という状況が生じたか否かを判断し、そのような状況が生じたと判断すると、被測定者が「睡眠不足」のパターンに該当すると判定する。一方、そのような状況が生じていない場合には、被測定者は当該パターンには該当しないと判定する。
【0095】
(睡眠リズムの乱れ)
「睡眠リズムの乱れ」の判定基準は、「『2週間分の就寝時刻の標準偏差が2時間以上』または『2週間分の起床時刻の標準偏差が2時間以上』」というものである。具体的には、CPU541は、複数日についての就寝時刻(後述する睡眠期間の開始時刻)の標準偏差と起床時刻(後述する睡眠期間の終了時刻)の標準偏差とを求め、これらの少なくとも一方が2時間以上であるという状況が生じたか否かを判断する。そして、そのような状況が生じたと判断すると、被測定者が「睡眠リズムの乱れ」のパターンに該当すると判定する。一方、そのような状況が生じていない場合には、被測定者は当該パターンには該当しないと判定する。
【0096】
ここで、標準偏差の算出について説明する。
図14は、本実施の形態における起床時刻の標準偏差の算出方法を説明するための図である。
【0097】
図14には、2週間分の起床時刻の標準偏差を算出するための式(1)が示されている。本実施の形態では、各日についての起床時刻の平均値からのずれ、および、平均値に基づいて、睡眠リズムの乱れ指標である標準偏差が算出される。なお、標準偏差の算出結果は、適宜四捨五入される場合もある。
【0098】
また、就寝時刻の標準偏差についても、上記した起床時刻の標準偏差と同様の態様で算出される。
【0099】
(ぐっすり睡眠)
「ぐっすり睡眠」の判定基準は、「1日の睡眠に占める『体動のない睡眠』判定の割合の2週間の平均値が一定割合以上」というものである。具体的には、CPU541は、複数日の各日について、睡眠期間の長さに対する、上記したレベル1と判別された所定期間の合計の長さの割合を算出し、複数日における当該割合の平均値を算出し、当該平均値がxx%(予め設定された値)以上であるという状況が生じたか否かを判断する。そして、そのような状況が生じたと判断すると、被測定者が「ぐっすり睡眠」のパターンに該当すると判定する。一方、そのような状況が生じていない場合には、被測定者は当該パターンには該当しないと判定する。
【0100】
<1日ごとの睡眠の傾向の判定処理>
図15は、本実施の形態の睡眠評価システムにおいて、1日ごとの結果に対して実行される処理の内容を説明するための図である。
【0101】
図15を参照して、睡眠評価システムでは、体動検出装置100は、各日の少なくとも睡眠期間中の単位期間ごとの睡眠状態を検出し、サーバ500へ送信する。
【0102】
本実施の形態において、睡眠期間とは、被測定者が寝ている期間をいう。睡眠期間は、被測定者の就寝によって開始され、起床によって終了する。体動検出装置100では、CPU41は、たとえば、おやすみボタン10Cが操作されたタイミングで就寝時刻を特定し、再度おやすみボタン10Cが操作されたタイミングで起床時刻を特定する。つまり、このシステムでは、被測定者は、寝床に行き、読書等を行なった後、「さぁ、寝よう。」というタイミングでおやすみボタン10Cを操作する。そして、眠る。そして目が覚めたときに、再度おやすみボタン10Cを操作する。
【0103】
そして、サーバ500では、体動検出装置100から受信した睡眠状態の判別結果に基づいて、1日ごとに、「寝つき困難」「早すぎる目覚め」および「夜中の目覚め」についてのパターンの判定を行なう。判別結果には、上記したように、単位期間ごとの判別結果であり、「睡眠」(S)、「覚醒」(W)、および、「離床」(A)が含まれ、さらに、これらのいずれにも判別されなかった単位期間についての「不明」(U)も含まれる。
【0104】
なお、睡眠評価システムでは、図15に示されるように、体動検出装置100からサーバ500に、さらに、体動の大きさについてのデータ(たとえば、図8(B)に示されたような体動波形)が送信されても良い。この場合、サーバ500では、当該体動波形をさらに用いて、被測定者に関するパターンの判定が行なわれる。
【0105】
また、サーバ500では、被測定者についての各日における睡眠期間の睡眠状態の判別結果に基づいて、「睡眠不足」「睡眠リズムの乱れ」および「ぐっすり睡眠」についての指標が抽出される。
【0106】
「睡眠不足」についての各日の指標とは、総就床時間である。就床時間とは、睡眠期間の長さである。CPU541は、睡眠期間の開始時刻と終了時刻の差を算出することにより、各日の就床時間を算出する。
【0107】
「睡眠リズムの乱れ」についての各日の指標とは、就寝時刻の標準偏差と起床時刻の標準偏差である。就寝時刻の一例としては、睡眠期間の開始時刻が挙げられる。起床時刻の一例としては、睡眠期間の終了時刻が挙げられる。
【0108】
「ぐっすり睡眠」についての各日の指標とは、睡眠期間の長さに対する、レベル1と判別された「所定期間」の長さの総和の比である。たとえば、ある日の判別結果として、睡眠期間の長さが6時間であり、所定期間が5分とされ、レベル1と判別された所定期間が36個あるような結果が得られた場合を考える。この場合、レベル1と判別された所定期間の長さの総和は、5分の36倍、つまり、180分(3時間)である。よって、上記した比は、50%である。なお、レベル1と判別された「所定時間」の長さとは、体動検出手段において身体が動かなかったことを検出された時間の長さに相当する。
【0109】
図16は、測定2日目から最終日の前日(本実施の形態では13日目)までの、各日の処理内容を説明するための図である。
【0110】
上記したように、本実施の形態では、各日の睡眠状態の判別結果等に基づいて、「寝つき困難」「早すぎる目覚め」および「夜中の目覚め」については、各日の結果が各パターンに該当するか否かが判定可能であり、さらに、2日目〜最終日前日では、各パターンについて、最終的な結果を導出するための判定も可能である。つまり、2日目〜最終日前日では、それまでの各日の判定結果に基づいて、図13を参照して説明した「複数日の判定基準」に該当するか否かの判定がなされる。
【0111】
<複数日の睡眠の傾向の判定処理>
図17は、被測定者に対して最終的な判定結果を提供する期間である複数日(一定期間)についての、睡眠の傾向を判定するための処理の内容を説明するための図である。
【0112】
各パターンについての最終的な判定結果は、たとえば測定期間の最終日(本実施の形態では、14日目)に実行される。
【0113】
サーバ500では、複数日についての測定結果に基づいて、上記した6種類のパターンについての最終的な判定を行なう。
【0114】
具体的には、「寝つき困難」「早すぎる目覚め」および「夜中の目覚め」の各パターンについては、複数日分の「一日ごとの判定結果」に基づいて、最終的なパターンの判定を行なう。
【0115】
なお、これらのパターンについては、1日ごとに、その日までの「一日ごとの判定結果」に基づいて、最終的な判定が行なわれても良い。このように判定が行なわれた場合、上記したように、複数日の満了前である、最短4日間で、最終的な判定が完了する場合も有り得る。
【0116】
「睡眠不足」「睡眠リズムの乱れ」および「ぐっすり睡眠」については、各日の検出結果から取得される指標に基づいて、最終的なパターンの判定が行なわれる。
【0117】
図17には、6種類のパターンのそれぞれについて、最終的な判定結果の一例が示されている。
【0118】
CPU541は、出力処理として、判定用の結果を表示するためのデータの作成等を行なう。そして、このように作成されたデータ等を、判定結果としてユーザ端末200へ送信する。
【0119】
なお、CPU541は、上記した一定期間(複数日)が満了したことを条件として、ユーザ端末200等の外部の装置へ判定結果を出力することが好ましい。つまり、本実施の形態では、「寝つき困難」「早すぎる目覚め」および「夜中の目覚め」については、一定期間の満了を待たずに、パターンの最終的な判定結果が確定する場合も有り得る。しかしながら、一部のパターンについて最終的な判定結果が確定したことを条件としてユーザ端末200に提供された場合、ユーザによって、提供される時期が異なる等の不都合が生じる。したがって、一律に、サーバ500は、すべてのパターンについての最終的な判定結果が確定したことを条件として、または、一定期間が満了したことを条件として、判定結果が出力されることが好ましい。
【0120】
<判定結果の出力>
図18は、上記した判定結果を表示するための画面の一例を示す図である。
【0121】
図18の画面900には、各パターンについて、被測定者の自覚の有無を表示するための欄901と、判定結果を表示するための欄902と、各パターンについての数値をグラフ化して表示するための欄903と、数値を直接的に表示するための欄904とを含む。
【0122】
欄901は、各パターンについてのチェックボックスを含む。また、当該チェックボックス内にはチェック印を表示させることができる。
【0123】
なお、図18において、「寝つき困難」というパターンは「寝つき」で示され、「早すぎる目覚め」というパターンは「朝早く目覚める」で示され、「夜中の目覚め」というパターンは「夜中の目覚め」で示され、「睡眠不足」というパターンは「睡眠不足」で示され、「睡眠リズムの乱れ」というパターンは「リズム」で示され、そして、「ぐっすり睡眠」というパターンは「ぐっすり睡眠」で示されている。
【0124】
サーバ500のCPU541は、ユーザ端末200から、判定結果の要求とともに、各パターンについての自覚の有無を申告する情報の入力を受付ける。そして、CPU541は、自覚が有ると申告されたパターンについては、対応するチェックボックスにチェック印を表示させ、自覚が無いと申告されたパターンについては、このようなチェック印は表示させない。
【0125】
本実施の形態では、画面900が欄901を含むように、体動検出装置100における検出結果が、被測定者からの自己申請された内容とともに表示される。これにより、被測定者に、各自の自己の睡眠に関する印象とともに計測結果を提供できるため、計測結果を被測定者自身の印象に残る形態で提供することができる。また、このような計測結果が被測定者を担当する医師に提供された場合には、当該医師は、被測定者の睡眠に関する治療方針をより的確に作成することができる。
【0126】
なお、サーバ500からユーザ端末200には、各チェックボックスを表示させる情報のみが送信されても良い。この場合、たとえば、ユーザ端末200において、各パターンについての自覚の有無の申告の受付および各チェックボックスにチェック印を表示させるか否かの決定がなされる。
【0127】
欄902は、各パターンについての、該当する/しないを表示する。欄902の各パターンに対応する部分には、笑顔または泣き顔が表示されている。具体的には、図18において、欄902の「朝早く目覚める」に対応する部分等に表示されているのが「笑顔」であり、欄902の「寝つき」に対応する部分等に表示されているのが「泣き顔」である。図18において、「ぐっすり睡眠」以外のパターンについては、パターンに該当する場合に泣き顔が表示され、該当しない場合には笑顔が表示される。これらのパターンは、該当しない方が好ましい睡眠といえるからである。一方、「ぐっすり睡眠」については、パターンに該当する場合には笑顔が表示され、該当しない場合には泣き顔が表示される。このパターンは、該当する方が好ましいパターンだからである。
【0128】
欄904の各パターンに対応する部分の表示内容について説明する。
「寝つき」の部分には、各日の判別結果における、計測開始からレベル1の判別結果が初めて出現するまでの時間の平均値が示される。
【0129】
「朝早く目覚める」の部分には、各日の判別結果における、計測終了までの60分の間に単位期間の判別結果として「睡眠」以外と判定された時間の合計の平均値が表示される。
【0130】
「夜中の目覚め」の部分には、各日の判別結果における、中途覚醒について上記した「区間」が発生した回数の平均値が表示される。
【0131】
「睡眠不足」の部分には、各日の判別結果における、睡眠期間の長さの平均値が表示去れる。
【0132】
「リズム」の部分には、各日の判別結果における、図14に記載された起床時刻の平均値からのずれの平均値(または、就寝時刻の平均値からのずれ)が表示される。
【0133】
「ぐっすり睡眠」の部分には、図15を参照して説明したような「ぐっすり睡眠」についての各日の指標の平均値が表示される。
【0134】
<その他の変形例等>
以上説明した本実施の形態では、体動検出装置100において被測定者の体動が検出され、当該検出の結果がサーバ500へ送信され、そして、サーバ500において、睡眠についての6種類のパターンについての判定がなされた。この場合、サーバ500によって、睡眠評価装置が実現される。また、たとえばサーバ500の通信部550によって、取得手段が構成される。
【0135】
なお、体動検出装置100がサーバ500の機能を備え、体動検出装置100自体が、このようなパターンについての判定を行なっても良い。そして、この場合、体動検出装置100から、直接、ユーザ端末200に対して、図18に示されたような判定結果を表示するための情報が送信される。この場合、体動検出装置100によって、睡眠評価装置が構成される。
【0136】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0137】
30 センサ、31 体動センサ、40,540 制御部、41,42,542 メモリ、50,550 通信部、51 データ転送部、60 タイマ、100 体動検出装置、200 ユーザ端末、401 入力部、402 睡眠状態計測部、406 読出部、407 表示制御部、408 通信制御部、410 入力情報処理部、500 サーバ、501 睡眠状態記憶部、502 睡眠パターン指標算出部、503 睡眠パターン指標データベース操作部、504 睡眠パターン指標データベース、505 睡眠パターン判定部、510 操作部。
【技術分野】
【0001】
この発明は睡眠評価装置および睡眠評価用プログラムに関し、特に、非侵襲で被測定者の睡眠状態を評価する睡眠評価装置および睡眠評価用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、睡眠を評価する装置に関し、種々の技術が開示されている。
たとえば、特許文献1(特開2005−209143号公報)には、コンピュータが、ユーザから、快眠度の良否に関する質問、睡眠過程の良否に関する質問および起床後から起床時までの行動に関する質問の回答の入力を受け付け、これらの入力結果を解析することにより、快眠度に影響を与えている睡眠過程因子と行動因子の抽出を行ない、睡眠の改善に関するアドバイスを行なうための技術が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された技術は、ユーザによって入力される回答に基づいた内容に基づく解析結果を表示するものである。このような技術によれば、ユーザが自覚する症状を解析結果に反映させることができる。なお、客観的なデータに基づいた技術についても種々提案がなされている。
【0004】
たとえば、特許文献2(特開2007−319238号公報)では、計測した睡眠状態の睡眠評価項目(総睡眠時間、ノンレム睡眠、レム睡眠、中途覚醒など)を、健常者の母集団データの平均値、標準偏差と比較することにより、被験者の睡眠の良否を2段以上のレベルで表し、それに応じて睡眠改善アドバイスを提示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−209143号公報
【特許文献2】特開2007−319238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
なお、睡眠改善のアドバイスの提示にあたり、取得されたデータ等から、より正確に被験者の睡眠傾向を把握することが常にもとめられる。
【0007】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、より正確に被験者の睡眠傾向を把握することができる睡眠評価装置および睡眠評価用プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある局面に従った睡眠評価装置は、寝床上の被測定者の身体の動きについての検出結果を取得するための取得手段と、検出結果に基づいて、1日ごとの被測定者の睡眠状態を判別するための第1の判定手段と、第1の判定手段による複数日についての判別結果に基づいて、被測定者の睡眠状態の傾向を判別するための第2の判定手段とを備える。
【0009】
本発明の他の局面に従った睡眠評価装置は、寝床上の被測定者の身体の動きを検出するための体動検出手段と、体動検出手段の検出結果に基づいて、1日ごとの被測定者の睡眠状態を判別するための第1の判定手段と、第1の判定手段による複数日についての判別結果に基づいて、被測定者の睡眠状態の傾向を判別するための第2の判定手段とを備える。
【0010】
好ましくは、第2の判定手段は、複数の項目について、被測定者の睡眠状態の傾向を判別し、複数の項目は、判別に要する期間が互いに異なる項目を含む。
【0011】
好ましくは、第2の判定手段は、第1の判定手段が判定を開始してから、複数の項目のすべての項目についての判定に要する期間が満了したことを条件として、被測定者の睡眠状態の傾向を報知する。
【0012】
好ましくは、第2の判定手段によって傾向を判別される項目は、睡眠時間に対する、検出結果において身体が動かなかったことを検出された時間の割合に基づく項目を含む。
【0013】
本発明に従った睡眠評価用プログラムは、被測定者の睡眠を評価するためのコンピュータにおいて実行されるプログラムであって、コンピュータに、体動検出手段において検出される、寝床上の被測定者の身体の動きについての検出結果を取得するためのステップと、体動検出手段の検出結果に基づいて、1日ごとの被測定者の睡眠状態を判別するステップと、睡眠状態の複数日についての判別結果に基づいて、被測定者の睡眠状態の傾向を判別するステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、1日ごとに被測定者の睡眠状態が判別され、さらに、複数日分の当該判別結果に基づいて、被測定者の睡眠状態の傾向を判別することができる。
【0015】
これにより、被測定者に対して、複数日の睡眠状態に基づいた睡眠状態の傾向を提供できるため、より正確に、被測定者の睡眠傾向を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態にかかる睡眠評価システムの構成の具体例を示す図である。
【図2】体動検出装置の側面を表わした概略図である。
【図3】体動検出装置を斜め上方から見た外観の概略図である。
【図4】体動検出装置のハードウェア構成の具体例を示すブロック図である。
【図5】体動検出装置の使用例を説明するための図である。
【図6】体動検出装置において睡眠のレベルを判別するための機能構成の具体例を示すブロック図である。
【図7】体動検出装置における体動センサからのセンサ信号の具体例を示す図である。
【図8】図7に表わされた波形から分離された呼吸波形および体動波形の具体例を示す図である。
【図9】体動検出装置における判別結果の具体例を示す図である。
【図10】サーバのハードウェア構成の一例を模式的に示す図である。
【図11】サーバの機能構成の一例を示す図である。
【図12】サーバにおける、所定期間ごとの睡眠レベルの決定の態様を説明するための図である。
【図13】サーバにおいて判定されるパターンの名称と判定基準の定義の一例を示す図である。
【図14】起床時刻の標準偏差の算出方法の一例を説明するための図である。
【図15】睡眠評価システムにおいて、1日ごとの結果に対して実行される処理の内容を説明するための図である。
【図16】測定2日目から最終日の前日(本実施の形態では13日目)までの、各日の処理内容を説明するための図である。
【図17】被測定者に対して最終的な判定結果を提供する期間である複数日(一定期間)についての、睡眠の傾向を判定するための処理の内容を説明するための図である。
【図18】睡眠の傾向の判定結果を表示するための画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
【0018】
<睡眠評価システム>
図1は、本実施の形態にかかる睡眠評価システムの構成の具体例を示す図である。
【0019】
図1を参照して、本実施の形態にかかる睡眠評価システムは、体動検出装置100と、サーバ500と、ユーザ端末200とを含み、これらがLAN(Local Area Network)などのネットワークで接続されている。なお、ネットワークは有線であっても無線であってもよい。
【0020】
本実施の形態における睡眠評価システムでは、体動検出装置100は、被測定者の睡眠時の体動に関する物理量の測定を行ない、測定結果をサーバ500へ送信する。サーバ500は、当該測定結果を処理することにより、被測定者の睡眠の傾向に関する指標を算出する。ユーザ端末200は、サーバ500にアクセスすることにより、当該指標を表示するためのデータを取得する。これにより、被測定者は、ユーザ端末200を操作することにより、自己の睡眠の状態についての情報を取得する。
【0021】
<体動検出装置>
(外観)
以下、図2および図3をさらに参照して、体動検出装置100の外観について説明する。図2は、体動検出装置100の側面を表わした概略図であり、図3は、斜め上方から見た外観の概略図である。
【0022】
図1〜図3を参照して、体動検出装置100は、台座に対して直方体またはその角が丸みを帯びて処理された縦長の形状の筐体が立てられた外観を有する。なお、体動検出装置100の外観は、これに限定されるものではない。
【0023】
上記台座の表面には、操作用のボタン群10が配備される。また、上記台座に立てられた筐体の表面には、表示部20が配備される。また、当該筐体には、センサ30と制御部40とが内包される。ボタン群10は、削除ボタン10Aと、入床ボタン10Bと、おやすみボタン10Cと、中断ボタン10Dと、データ処理ボタン10Eとを含む。なお、以降の説明において、筐体の表示部20が設けられた面を体動検出装置100の正面とも称する。
【0024】
体動検出装置100は、無線または有線での通信を行なうための通信部50を有する。通信部50は、筐体の、台座と逆側の端部よりに設けられる。体動検出装置100は、通信部50を介して、サーバ500や携帯電話機などのユーザ端末200と通信する。
【0025】
(ハードウェア構成)
図4は、体動検出装置100のハードウェア構成の具体例を示すブロック図である。
【0026】
図4を参照して、体動検出装置100は、当該体動検出装置100の動作を全体的に制御する制御部40を含む。ボタン群10、センサ30、表示部20、および通信部50は、いずれも、制御部40に接続される。
【0027】
ボタン群10は、被測定者に操作されることによって発生する操作信号を、制御部40に対して出力する。
【0028】
センサ30は、体動センサ31を含み、当該体動センサ31において発生した信号(以下、「センサ信号」ともいう)を、制御部40に対して出力する。体動センサ31は、たとえばドップラーセンサによって実現される。以降の説明は、体動センサ31がドップラーセンサであるものとして、なされる。なお、体動センサ31の他の例としては、超音波センサが挙げられる。
【0029】
ドップラーセンサである体動センサ31は、図示しない、測定用の電波を出力するための出力部と、受信部とを有する。受信部は、出力部から出力した電波のうち被測定体表面から反射した電波を受信し、出力した電波からの周波数の変化に応じたセンサ信号を出力する。
【0030】
なお、体動検出装置100において、被測定者の体動は、体動センサ31の代わりにカメラによって検出されても良い。この場合、体動検出装置100には体動センサ31の代わりにカメラが備えられ、制御部40において、当該カメラによって撮影された画像の解析が行なわれる。体動の検出は、当該解析の結果に基づいて実現される。
【0031】
制御部40は、全体制御を行なうためのCPU41と、CPU41で実行されるプログラムなどを記憶するためのメモリ42とを含む。
【0032】
制御部40は、CPU41がメモリ42に記憶されているプログラムを実行し、入力された操作信号およびセンサ信号を用いて演算を実行することで、後述する睡眠状態の判別等の処理を実行する。
【0033】
メモリ42は、体動検出装置100に対して、固定されていても良いし、着脱可能な記憶媒体によって実現されても良い。記憶媒体としては、CD−ROM(Compact Disc - Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disk - Read Only Memory)、USB(Universal Serial Bus)メモリ、メモリカード、FD(Flexible Disk)、ハードディスク、磁気テープ、カセットテープ、MO(Magnetic Optical Disc)、MD(Mini Disc)、IC(Integrated Circuit)カード(メモリカードを除く)、光カード、マスクROM、EPROM、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read-Only Memory)などの、不揮発的にプログラムを格納する媒体が挙げられる。
【0034】
通信部50は、たとえばLANカードによって実現される。通信部50が実行する通信の態様としては、たとえば赤外線通信やBluetooth(登録商標)を利用した通信などの無線通信で、直接、ユーザ端末200と通信するものであってもよいし、インターネット接続機能を有して、インターネットを介してユーザ端末200と通信するものであってもよい。
【0035】
さらに、通信部50は無線LAN(Local Area Network)のサーバ機能を有し、無線LAN接続でアクセスしてきたユーザ端末200に対して、たとえばHTML(Hyper Text Markup Language)などのマークアップ言語で表現された後述の表示データを送信するようにしてもよい。
【0036】
また、体動検出装置100には、タイマ60が備えられている。タイマ60は、制御部40に接続されている。CPU41は、タイマ60から時刻情報を取得して、後述する入床時刻等の各時刻を特定し、メモリ41に記憶する。
【0037】
(使用例)
図5は、体動検出装置100の使用例を説明するための図である。
【0038】
図5を参照して、体動検出装置100は、一例として就寝中の被測定者の近傍(たとえば枕元)に設置される。その状態で測定動作が行なわれることで、ドップラーセンサである体動センサ31から電波が出力される。
【0039】
体動センサ31から出力された電波は就寝中の被測定者の主に胸元、肩、などの辺りに到達し、そこからの反射波の周波数の変化がセンサ信号として制御部40に出力される。制御部40は、この周波数の変化に基づいて、就寝中の被測定者の胸の動きや寝返りなどの体動を検出し、その検出結果に基づいて、睡眠のレベルを判別する。
【0040】
(機能構成)
図6は、体動検出装置100において睡眠のレベルを判別するための機能構成の具体例を示すブロック図である。図6に表わされる各機能は、主に、CPU41がメモリ42に記憶されるプログラムを実行することによってCPU41上に形成されるものであるが、少なくとも一部が電気回路などのハードウェア構成によって形成されてもよい。
【0041】
図6を参照して、体動検出装置100は、センサ30からのセンサ信号の入力を受付けるための入力部401と、そのセンサ信号に基づいて単位期間の睡眠状態を判別するための睡眠状態計測部402と、メモリ42から表示データを読み出すための読出部406と、読み出された表示データを表示部20に表示させる処理を実行するための表示制御部407と、通信部50でユーザ端末200に対して送信する処理を実行するための通信制御部408とを含む。
【0042】
また、体動検出装置100は、ボタン群10に含まれる各種ボタンからの入力情報を処理するための入力情報処理部410を含む。
【0043】
図6の例では、入力部401が、センサ30からのセンサ信号を直接受け取るものとしているが、センサ信号はメモリ42の所定領域に一時的に記憶され、入力部401は表示のための動作を行なう際にそこから読み出すようにしてもよい。
【0044】
(睡眠状態の判別)
睡眠状態計測部402での睡眠状態の判別方法について説明する。
【0045】
図7は、ドップラーセンサである体動センサ31からのセンサ信号の具体例を示す図である。なお、図7には、体動センサからの搬送波と被測定者の表面からの反射波との位相の変位量に関係する電圧値の時間変化が示されている。
【0046】
図7を参照して、センサ信号で表わされる波形は、被測定者の呼吸に伴う体動(胸の動き)を表わす波形(以下、呼吸波形とも称する)と、寝返りなどの呼吸以外の体動(身体の動き)を表わす波形(以下、体動波形とも称する)とを含む合成波である。
【0047】
図8は、図7に表わされた波形から分離された呼吸波形および体動波形の具体例を示す図である。
【0048】
安定した「睡眠」であるときのヒトの呼吸波形は周期性を有する。したがって、呼吸波形の周期性が所定範囲内である場合、すなわち、その周期のばらつきが所定範囲内であるときには、概ね、安定した「睡眠」であると言える。
【0049】
また、安定した「睡眠」であるとき、寝返りなどの呼吸以外の体動は生じ難い。したがって、体動波形の振幅が所定範囲内であるときには概ね安定した「睡眠」であると言え、所定範囲以上となった場合には体動が生じているために安定した「睡眠」ではないと言える。
【0050】
したがって、ある期間については、その期間における呼吸波形の周期性や呼吸以外の体動の大きさに基づいて被測定者が安定した「睡眠」にあるか否かを判別することができる。なお、この例では、呼吸波形と体動波形との両波形を用いて判別するものとしているが、少なくとも一方の波形のみを用いてもよい。
【0051】
図6に示されるように、睡眠状態計測部402は、判別部4021と補正部4022とを含む。
【0052】
判別部4021は、図7に示された入力されたセンサ信号に基づく波形を、図8(A)および図8(B)に示される呼吸波形と体動波形とに分離する。そして、それぞれの波形に基づいて、予め規定された単位期間(図7の期間t1,t2,t3,t4,t5)ごとに、被測定者が安定した「睡眠」にあるか否かを判別する。ここでの単位期間は、たとえば30秒や1分程度が挙げられる。すなわち、呼吸波形の単位期間t1における周期のばらつきが予め設定されているしきい値よりも小さい場合には、単位期間t1における呼吸波形に周期性が見られると判断する。また、体動波形の単位期間t1における振幅が予め設定されているしきい値よりも大きいか小さいかを判断する。
【0053】
そして、判別部4021は、単位期間t1における呼吸波形に周期性があり、かつ体動波形の振幅がしきい値よりも小さい場合に、単位期間t1の当該被測定者の睡眠状態を「睡眠」(S)であると判別する。一方、判別部4021は、単位期間t1における呼吸波形に周期性がなく、かつ体動波形の振幅がしきい値よりも大きい場合に、単位期間t1の当該被測定者の睡眠状態を「覚醒」(W)であると判別する。なお、いずれか一方の条件のみが満たされている場合、つまり、単位期間t1における呼吸波形に周期性があるか、または、体動波形の振幅がしきい値よりも小さい場合に、「覚醒」と判別するようにしてもよい。
【0054】
また、判別部4021は、体動センサ31から出力された電波が届く範囲における被測定者の有無を判別しても良い。
【0055】
このような判別は、たとえば、センサ信号に基づく波形を上記したように呼吸波形と体動波形に分離した後、呼吸波形または体動波形のいずれかにおいて、当該波形の振幅が特定の値よりも小さい状態が特定の時間(たとえば、30秒間)継続した場合に、判別部4021は、上記範囲に被測定者が存在しないと判断する。そして、それ以外の場合には、上記範囲に被測定者が存在していると判断する。なお、判別部4021は、被測定者の有無の状態を、被測定者が存在すると判断した場合には状態(E)と判別し、被測定者が存在しない(離床した)と判断した場合には状態(A)と判別する。
【0056】
図9は、判別部4021での判別結果の具体例を示す図である。図9に示されるように、判別部4021は、入力されたセンサ信号に基づく波形の単位期間ごとに、睡眠の状態が「睡眠」であるか「覚醒」であるかを判別する。
【0057】
睡眠状態計測部402は、上記のように単位期間ごとの睡眠の状態を判別した後、その結果をメモリ42に格納する。
【0058】
読出部406は、格納された単位期間ごとの判別を結果を読み出し、通信制御部408に送信する。
【0059】
通信制御部408は、通信部50に、当該判別結果をサーバ500へ送信させる。
これにより、サーバ500は、単位期間ごとの睡眠状態の判別結果を取得する。
【0060】
<サーバ>
(ハードウェア構成)
図10を参照して、サーバ500は、当該サーバ500の動作を全体的に制御する制御部540を含む。サーバ500は、さらに、操作部510、表示部520、および通信部550を含む。これらは、いずれも、制御部40に接続される。
【0061】
サーバ500は、たとえば汎用のパーソナルコンピュータによって実現され得る。
操作部510は、キーボードやマウス等の操作用デバイスによって実現され得る。そして、操作部510は、外部からの操作によって発生する操作信号を、制御部540に対して出力する。
【0062】
制御部540は、全体制御を行なうためのCPU541と、CPU541で実行されるプログラムなどを記憶するためのメモリ542とを含む。
【0063】
なお、制御部540は、CPU541がメモリ542に記憶されているプログラムを実行し、入力された操作信号およびセンサ信号を用いて演算を実行することで、後述する睡眠のレベルの判別等の処理を実行する。
【0064】
メモリ542は、サーバ500に対して、固定されていても良いし、着脱可能な記憶媒体によって実現されても良い。記憶媒体としては、CD−ROM、DVD−ROM、USBメモリ、メモリカード、FD、ハードディスク、磁気テープ、カセットテープ、MO、MD、ICカード(メモリカードを除く)、光カード、マスクROM、EPROM、EEPROMなどの、不揮発的にプログラムを格納する媒体が挙げられる。
【0065】
通信部550は、たとえばLANカードによって実現される。サーバ500は、通信部550を介して、体動検出装置100およびユーザ端末200と通信する。
【0066】
(機能構成)
図11は、サーバ500の機能構成の一例を示す図である。
【0067】
本実施の形態では、体動検出装置100では、睡眠状態計測部402で、単位期間ごとの睡眠の状態が検出される。そして、当該検出結果は、データ転送部51によって、サーバ500へと送信される。データ転送部51とは、読出部406、通信制御部408、および、通信部50を含む。
【0068】
サーバ500は、その機能として、睡眠状態記憶部501、睡眠パターン指標算出部502、睡眠パターン指標データベース操作部503、睡眠パターン指標データベース504、および、睡眠パターン判定部505を含む。
【0069】
睡眠パターン指標算出部502、睡眠パターン指標データベース操作部503、および、睡眠パターン判定部505は、たとえばCPU541がプログラムを実行することによって実現される。なお、これらの少なくとも一部が、専用のハードウェア部品によって実現されても良い。睡眠状態記憶部501および睡眠パターン指標データベース504は、メモリ542によって実現される。
【0070】
睡眠状態記憶部501は、体動検出装置100から受信した睡眠状態の検出結果等を記憶する。睡眠パターン指標算出部502は、受信した検出結果についての、1日ごとの結果についての処理を行なう(後述する図15参照)。睡眠パターン指標データベース操作部503は、上記した1日ごとの処理結果を、睡眠パターン指標データベース504に格納する。睡眠パターン判定部505は、睡眠パターン指標データベース504に格納された2週間分の検出結果やその処理結果に基づいて、被測定者の睡眠パターンについての判定を行なう(後述する図17参照)。
【0071】
なお、本実施の形態では、サーバ500では、1日ごとに睡眠状態についてのデータが処理されるとともに、複数日分(一定期間分)のデータも処理される。本実施の形態において、「複数日」の一例として「2週間」が挙げられているが、「複数日」の長さはこれに限定されない。これより長い場合も短い場合もあり得る。なお、本明細書では、測定が行なわれる「複数日」が、「一定期間」と表現される場合もある。
【0072】
また、本実施の形態では、測定として、人の睡眠に関する測定が行なわれる。したがって、「各日」等の日は、厳密には当該計測対象となる時刻が属する日に対応しない場合がある。たとえば、平成23年1月1日の睡眠として、1月1日の午後11時から1月2日の午前6時まで被測定者が睡眠をとった場合、この測定結果は、その後半が1月2日に含まれる場合でも、1月1日の結果として扱われる。本実施の形態では、上記したように、複数日分の測定結果として2週間分の測定結果が用いられる。ここで、厳密には、1月1日から2週間分の測定結果を取得するためには、測定は、1月1日の夜から、その2週間後の1月15日の朝まで、つまり、2週間に1日を加えた期間にかけて行なわれる場合が有り得る。
【0073】
睡眠パターン判定部505による判定結果は、たとえばユーザ端末200からの要求に応じて、ユーザ端末200へ送信される。ユーザ端末200では、当該判定結果が表示される。
【0074】
<睡眠のレベルの決定>
上記したように、サーバ500は、体動検出装置100から、単位期間ごとの睡眠状態の判別結果を受信する。そして、制御部540は、上記した睡眠状態の判別結果に基づいて、睡眠のレベルを決定する。
【0075】
なお、睡眠のレベルの決定の前に、制御部540は、隣接する単位期間の判別結果に応じて、当該単位期間の判別結果を補正する。このような補正は、実際には、被験者が床に存在していながら寝返りをする等により一定期間体動検出装置100の受信信号が弱まり、単位期間あたりの判別結果が「不明」となることを考慮したものである。また、このような補正は、一連の覚醒状態中に、実際に、一定期間離床して計測範囲外に存在している場合に単位期間の判別結果に「覚醒」と「不明」が混在することを考慮したものでもあり得る。
【0076】
図12(A)〜図12(C)は、サーバ500における、睡眠状態の判別結果の補正および睡眠のレベルの決定を説明するための図である。
【0077】
図12(A)には、体動検出装置100から送信された睡眠状態の判別結果が示されている。
【0078】
図12(A)および図12(B)を参照して、制御部540は、体動検出装置100から受信したデータを、判別結果が連続して同一である単位期間ごとにブロックとして分割する。
【0079】
そして、ブロックを構成する単位期間の判定がある状態であり、かつ、当該ブロックに対してその前後に隣接するブロックが特定の状態でかつ同一な場合に、当該ブロックの判定を隣接するブロックの判別結果となるように補正する。また、当該ブロックの数および隣接するブロックの状態によっては補正を行なわない場合があっても良い。
【0080】
そして、サーバ500では、上記単位期間が連続してなる所定期間について、各単位期間の判別結果に基づいて、睡眠のレベルが判別される。
【0081】
本実施の形態では、所定期間としては、たとえば5分や10分程度が挙げられる。
ここで、睡眠のレベルとは、「睡眠」「覚醒」「離床」の各状態と、呼吸の安定具合と、上記各状態における体動の有無、連続性とから定義される。具体例として、次にレベル1〜5が挙げられる。
【0082】
レベル1:体動がなく、呼吸が安定している「睡眠」
レベル2:単発的な体動がある「睡眠」
レベル3:単発的な「覚醒」を伴う「睡眠」
レベル4:連続的な体動がある「覚醒」
レベル5:一定期間以上被験者が計測範囲外に存在する「離床」
図12(C)は、各所定期間ごとの睡眠のレベルの判別結果の具体例を表わす図である。
【0083】
図12(C)では、所定期間の例として、T1,T2,T3が示されている。
CPU541は、就寝・起床時刻などの時刻情報、単位期間当たりの判別結果または上記した各所定期間ごとの睡眠のレベルを用いて、被測定者についての睡眠の傾向についての判定を行なう。
【0084】
<睡眠パターンの種類と判定基準>
本実施の形態では、サーバ500は、就寝・起床時刻などの時刻情報、単位期間当たりの判別結果または上記のように判別された睡眠のレベルに基づいて、被測定者の睡眠に関する複数のパターンについての判定がなされる。図13は、サーバ500において判定されるパターンの名称と判定基準の定義の一例を示す図である。
【0085】
図13を参照して、サーバ500において判定されるパターンは、「寝つき困難」「早すぎる目覚め」「夜中の目覚め」「睡眠不足」「睡眠リズムの乱れ」および「ぐっすり睡眠」の6種類である。
【0086】
これらのうち、「寝つき困難」「早すぎる目覚め」「夜中の目覚め」については、1日ごとに一時的な判定がなされ、各日の判定結果に基づいて複数日についての最終的な判定がなされる。
【0087】
(寝つき困難)
「寝つき困難」の各日の判定基準は、「計測開始後40分間に『体動のない睡眠』判定が存在しない」というものである。具体的には、CPU541は、「計測開始(後述する睡眠期間の開始)から40分の間に上記したレベル1の判別結果が存在しない」という状況が生じたか否かを判断し、このような状況が生じた場合には、この日の被測定者が当該パターンに該当すると判定する。一方、そのような状況が生じていない場合には、被測定者は当該パターンには該当しないと判定する。
【0088】
また、「寝つき困難」の複数日の判定基準は、各日の判定において「寝つき困難」のパターンに該当した日が7日以上生じたか否かである。CPU541は、当該パターンに該当した日が7日以上生じた場合に、最終的な判定結果として、被測定者が「寝つき困難」のパターンに該当すると判定する。一方、そのような状況が生じていない場合には、被測定者は当該パターンには該当しないと判定する。なお、上記したように本実施の形態では、「複数日」の一例として2週間が設定されている。ただし、このパターンについては、最短で、測定開始から7日間で、最終的な判定結果が得られる。
【0089】
(早すぎる目覚め)
「早すぎる目覚め」の各日の判定基準は、「計測終了前60分間の総覚醒時間が30分以上」というものである。具体的には、CPU541は、「計測終了(後述する睡眠期間の終了)までの60分の間に単位時間の判定が「睡眠」以外であると判定された時間の合計が30分以上であった」という状況が生じたか否かを判断し、このような状況が生じた場合には、この日の被測定者が当該パターンに該当すると判定する。一方、そのような状況が生じていない場合には、被測定者は当該パターンには該当しないと判定する。
【0090】
また、「早すぎる目覚め」の複数日の判定基準は、各日の判定において上記のような総覚醒時間についての閾値を超えた日が7日以上生じたか否かである。CPU541は、当該パターンに該当した日が7日以上生じた場合に、最終的な判定結果として、被測定者が「早すぎる目覚め」のパターンに該当すると判定する。一方、そのような状況が生じていない場合には、被測定者は当該パターンには該当しないと判定する。なお、上記したように本実施の形態では、「複数日」の一例として2週間が設定されている。ただし、このパターンについては、最短で、測定開始から7日間で、最終的な判定結果が得られる。
【0091】
(夜中の目覚め)
「夜中の目覚め」の各日の判定基準は、「中途覚醒回数が3回以上」というものである。具体的には、CPU541は、「後述する睡眠期間中、上記したレベル4が生じた区間が3区間以上であった」という状況が生じたか否かを判断し、このような状況が生じた場合には、この日の被測定者が当該パターンに該当すると判定する。一方、そのような状況が生じていない場合には、被測定者は当該パターンには該当しないと判定する。ここで、「区間」とは、レベル4以外からレベル4となり再度レベル4以外に戻ることによって生じる。そして、このような区間の発生が、本実施の形態では「中途覚醒」の発生に相当する。そして、このパターンについての判定において、CPU541は、連続する睡眠のレベルの判定結果において、レベル4以外からレベル4となり再度レベル4以外に戻るような変化の態様が3回以上出現したか否かを判断する。
【0092】
また、「夜中の目覚め」の複数日の判定基準は、各日の判定において上記のような中途覚醒の発生回数についての閾値を超えた日が7日以上生じたか否かである。CPU541は、当該パターンに該当した日が7日以上生じた場合に、最終的な判定結果として、被測定者が「夜中の目覚め」のパターンに該当すると判定する。一方、そのような状況が生じていない場合には、被測定者は当該パターンには該当しないと判定する。なお、上記したように本実施の形態では、「複数日」の一例として2週間が設定されている。ただし、このパターンについては、最短で、測定開始から7日間で、最終的な判定結果が得られる。
【0093】
(睡眠不足)
サーバ500では、さらに、「睡眠不足」「睡眠リズムの乱れ」および「ぐっすり睡眠」という名称のパターンについての判定がなされる。
【0094】
「睡眠不足」の判定基準は、「2週間の総就床時間の平均値が6時間未満」というものである。具体的には、CPU541は、「各日についての後述する睡眠期間の長さに関し、複数日について平均値を算出し、当該平均値が6時間未満である」という状況が生じたか否かを判断し、そのような状況が生じたと判断すると、被測定者が「睡眠不足」のパターンに該当すると判定する。一方、そのような状況が生じていない場合には、被測定者は当該パターンには該当しないと判定する。
【0095】
(睡眠リズムの乱れ)
「睡眠リズムの乱れ」の判定基準は、「『2週間分の就寝時刻の標準偏差が2時間以上』または『2週間分の起床時刻の標準偏差が2時間以上』」というものである。具体的には、CPU541は、複数日についての就寝時刻(後述する睡眠期間の開始時刻)の標準偏差と起床時刻(後述する睡眠期間の終了時刻)の標準偏差とを求め、これらの少なくとも一方が2時間以上であるという状況が生じたか否かを判断する。そして、そのような状況が生じたと判断すると、被測定者が「睡眠リズムの乱れ」のパターンに該当すると判定する。一方、そのような状況が生じていない場合には、被測定者は当該パターンには該当しないと判定する。
【0096】
ここで、標準偏差の算出について説明する。
図14は、本実施の形態における起床時刻の標準偏差の算出方法を説明するための図である。
【0097】
図14には、2週間分の起床時刻の標準偏差を算出するための式(1)が示されている。本実施の形態では、各日についての起床時刻の平均値からのずれ、および、平均値に基づいて、睡眠リズムの乱れ指標である標準偏差が算出される。なお、標準偏差の算出結果は、適宜四捨五入される場合もある。
【0098】
また、就寝時刻の標準偏差についても、上記した起床時刻の標準偏差と同様の態様で算出される。
【0099】
(ぐっすり睡眠)
「ぐっすり睡眠」の判定基準は、「1日の睡眠に占める『体動のない睡眠』判定の割合の2週間の平均値が一定割合以上」というものである。具体的には、CPU541は、複数日の各日について、睡眠期間の長さに対する、上記したレベル1と判別された所定期間の合計の長さの割合を算出し、複数日における当該割合の平均値を算出し、当該平均値がxx%(予め設定された値)以上であるという状況が生じたか否かを判断する。そして、そのような状況が生じたと判断すると、被測定者が「ぐっすり睡眠」のパターンに該当すると判定する。一方、そのような状況が生じていない場合には、被測定者は当該パターンには該当しないと判定する。
【0100】
<1日ごとの睡眠の傾向の判定処理>
図15は、本実施の形態の睡眠評価システムにおいて、1日ごとの結果に対して実行される処理の内容を説明するための図である。
【0101】
図15を参照して、睡眠評価システムでは、体動検出装置100は、各日の少なくとも睡眠期間中の単位期間ごとの睡眠状態を検出し、サーバ500へ送信する。
【0102】
本実施の形態において、睡眠期間とは、被測定者が寝ている期間をいう。睡眠期間は、被測定者の就寝によって開始され、起床によって終了する。体動検出装置100では、CPU41は、たとえば、おやすみボタン10Cが操作されたタイミングで就寝時刻を特定し、再度おやすみボタン10Cが操作されたタイミングで起床時刻を特定する。つまり、このシステムでは、被測定者は、寝床に行き、読書等を行なった後、「さぁ、寝よう。」というタイミングでおやすみボタン10Cを操作する。そして、眠る。そして目が覚めたときに、再度おやすみボタン10Cを操作する。
【0103】
そして、サーバ500では、体動検出装置100から受信した睡眠状態の判別結果に基づいて、1日ごとに、「寝つき困難」「早すぎる目覚め」および「夜中の目覚め」についてのパターンの判定を行なう。判別結果には、上記したように、単位期間ごとの判別結果であり、「睡眠」(S)、「覚醒」(W)、および、「離床」(A)が含まれ、さらに、これらのいずれにも判別されなかった単位期間についての「不明」(U)も含まれる。
【0104】
なお、睡眠評価システムでは、図15に示されるように、体動検出装置100からサーバ500に、さらに、体動の大きさについてのデータ(たとえば、図8(B)に示されたような体動波形)が送信されても良い。この場合、サーバ500では、当該体動波形をさらに用いて、被測定者に関するパターンの判定が行なわれる。
【0105】
また、サーバ500では、被測定者についての各日における睡眠期間の睡眠状態の判別結果に基づいて、「睡眠不足」「睡眠リズムの乱れ」および「ぐっすり睡眠」についての指標が抽出される。
【0106】
「睡眠不足」についての各日の指標とは、総就床時間である。就床時間とは、睡眠期間の長さである。CPU541は、睡眠期間の開始時刻と終了時刻の差を算出することにより、各日の就床時間を算出する。
【0107】
「睡眠リズムの乱れ」についての各日の指標とは、就寝時刻の標準偏差と起床時刻の標準偏差である。就寝時刻の一例としては、睡眠期間の開始時刻が挙げられる。起床時刻の一例としては、睡眠期間の終了時刻が挙げられる。
【0108】
「ぐっすり睡眠」についての各日の指標とは、睡眠期間の長さに対する、レベル1と判別された「所定期間」の長さの総和の比である。たとえば、ある日の判別結果として、睡眠期間の長さが6時間であり、所定期間が5分とされ、レベル1と判別された所定期間が36個あるような結果が得られた場合を考える。この場合、レベル1と判別された所定期間の長さの総和は、5分の36倍、つまり、180分(3時間)である。よって、上記した比は、50%である。なお、レベル1と判別された「所定時間」の長さとは、体動検出手段において身体が動かなかったことを検出された時間の長さに相当する。
【0109】
図16は、測定2日目から最終日の前日(本実施の形態では13日目)までの、各日の処理内容を説明するための図である。
【0110】
上記したように、本実施の形態では、各日の睡眠状態の判別結果等に基づいて、「寝つき困難」「早すぎる目覚め」および「夜中の目覚め」については、各日の結果が各パターンに該当するか否かが判定可能であり、さらに、2日目〜最終日前日では、各パターンについて、最終的な結果を導出するための判定も可能である。つまり、2日目〜最終日前日では、それまでの各日の判定結果に基づいて、図13を参照して説明した「複数日の判定基準」に該当するか否かの判定がなされる。
【0111】
<複数日の睡眠の傾向の判定処理>
図17は、被測定者に対して最終的な判定結果を提供する期間である複数日(一定期間)についての、睡眠の傾向を判定するための処理の内容を説明するための図である。
【0112】
各パターンについての最終的な判定結果は、たとえば測定期間の最終日(本実施の形態では、14日目)に実行される。
【0113】
サーバ500では、複数日についての測定結果に基づいて、上記した6種類のパターンについての最終的な判定を行なう。
【0114】
具体的には、「寝つき困難」「早すぎる目覚め」および「夜中の目覚め」の各パターンについては、複数日分の「一日ごとの判定結果」に基づいて、最終的なパターンの判定を行なう。
【0115】
なお、これらのパターンについては、1日ごとに、その日までの「一日ごとの判定結果」に基づいて、最終的な判定が行なわれても良い。このように判定が行なわれた場合、上記したように、複数日の満了前である、最短4日間で、最終的な判定が完了する場合も有り得る。
【0116】
「睡眠不足」「睡眠リズムの乱れ」および「ぐっすり睡眠」については、各日の検出結果から取得される指標に基づいて、最終的なパターンの判定が行なわれる。
【0117】
図17には、6種類のパターンのそれぞれについて、最終的な判定結果の一例が示されている。
【0118】
CPU541は、出力処理として、判定用の結果を表示するためのデータの作成等を行なう。そして、このように作成されたデータ等を、判定結果としてユーザ端末200へ送信する。
【0119】
なお、CPU541は、上記した一定期間(複数日)が満了したことを条件として、ユーザ端末200等の外部の装置へ判定結果を出力することが好ましい。つまり、本実施の形態では、「寝つき困難」「早すぎる目覚め」および「夜中の目覚め」については、一定期間の満了を待たずに、パターンの最終的な判定結果が確定する場合も有り得る。しかしながら、一部のパターンについて最終的な判定結果が確定したことを条件としてユーザ端末200に提供された場合、ユーザによって、提供される時期が異なる等の不都合が生じる。したがって、一律に、サーバ500は、すべてのパターンについての最終的な判定結果が確定したことを条件として、または、一定期間が満了したことを条件として、判定結果が出力されることが好ましい。
【0120】
<判定結果の出力>
図18は、上記した判定結果を表示するための画面の一例を示す図である。
【0121】
図18の画面900には、各パターンについて、被測定者の自覚の有無を表示するための欄901と、判定結果を表示するための欄902と、各パターンについての数値をグラフ化して表示するための欄903と、数値を直接的に表示するための欄904とを含む。
【0122】
欄901は、各パターンについてのチェックボックスを含む。また、当該チェックボックス内にはチェック印を表示させることができる。
【0123】
なお、図18において、「寝つき困難」というパターンは「寝つき」で示され、「早すぎる目覚め」というパターンは「朝早く目覚める」で示され、「夜中の目覚め」というパターンは「夜中の目覚め」で示され、「睡眠不足」というパターンは「睡眠不足」で示され、「睡眠リズムの乱れ」というパターンは「リズム」で示され、そして、「ぐっすり睡眠」というパターンは「ぐっすり睡眠」で示されている。
【0124】
サーバ500のCPU541は、ユーザ端末200から、判定結果の要求とともに、各パターンについての自覚の有無を申告する情報の入力を受付ける。そして、CPU541は、自覚が有ると申告されたパターンについては、対応するチェックボックスにチェック印を表示させ、自覚が無いと申告されたパターンについては、このようなチェック印は表示させない。
【0125】
本実施の形態では、画面900が欄901を含むように、体動検出装置100における検出結果が、被測定者からの自己申請された内容とともに表示される。これにより、被測定者に、各自の自己の睡眠に関する印象とともに計測結果を提供できるため、計測結果を被測定者自身の印象に残る形態で提供することができる。また、このような計測結果が被測定者を担当する医師に提供された場合には、当該医師は、被測定者の睡眠に関する治療方針をより的確に作成することができる。
【0126】
なお、サーバ500からユーザ端末200には、各チェックボックスを表示させる情報のみが送信されても良い。この場合、たとえば、ユーザ端末200において、各パターンについての自覚の有無の申告の受付および各チェックボックスにチェック印を表示させるか否かの決定がなされる。
【0127】
欄902は、各パターンについての、該当する/しないを表示する。欄902の各パターンに対応する部分には、笑顔または泣き顔が表示されている。具体的には、図18において、欄902の「朝早く目覚める」に対応する部分等に表示されているのが「笑顔」であり、欄902の「寝つき」に対応する部分等に表示されているのが「泣き顔」である。図18において、「ぐっすり睡眠」以外のパターンについては、パターンに該当する場合に泣き顔が表示され、該当しない場合には笑顔が表示される。これらのパターンは、該当しない方が好ましい睡眠といえるからである。一方、「ぐっすり睡眠」については、パターンに該当する場合には笑顔が表示され、該当しない場合には泣き顔が表示される。このパターンは、該当する方が好ましいパターンだからである。
【0128】
欄904の各パターンに対応する部分の表示内容について説明する。
「寝つき」の部分には、各日の判別結果における、計測開始からレベル1の判別結果が初めて出現するまでの時間の平均値が示される。
【0129】
「朝早く目覚める」の部分には、各日の判別結果における、計測終了までの60分の間に単位期間の判別結果として「睡眠」以外と判定された時間の合計の平均値が表示される。
【0130】
「夜中の目覚め」の部分には、各日の判別結果における、中途覚醒について上記した「区間」が発生した回数の平均値が表示される。
【0131】
「睡眠不足」の部分には、各日の判別結果における、睡眠期間の長さの平均値が表示去れる。
【0132】
「リズム」の部分には、各日の判別結果における、図14に記載された起床時刻の平均値からのずれの平均値(または、就寝時刻の平均値からのずれ)が表示される。
【0133】
「ぐっすり睡眠」の部分には、図15を参照して説明したような「ぐっすり睡眠」についての各日の指標の平均値が表示される。
【0134】
<その他の変形例等>
以上説明した本実施の形態では、体動検出装置100において被測定者の体動が検出され、当該検出の結果がサーバ500へ送信され、そして、サーバ500において、睡眠についての6種類のパターンについての判定がなされた。この場合、サーバ500によって、睡眠評価装置が実現される。また、たとえばサーバ500の通信部550によって、取得手段が構成される。
【0135】
なお、体動検出装置100がサーバ500の機能を備え、体動検出装置100自体が、このようなパターンについての判定を行なっても良い。そして、この場合、体動検出装置100から、直接、ユーザ端末200に対して、図18に示されたような判定結果を表示するための情報が送信される。この場合、体動検出装置100によって、睡眠評価装置が構成される。
【0136】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0137】
30 センサ、31 体動センサ、40,540 制御部、41,42,542 メモリ、50,550 通信部、51 データ転送部、60 タイマ、100 体動検出装置、200 ユーザ端末、401 入力部、402 睡眠状態計測部、406 読出部、407 表示制御部、408 通信制御部、410 入力情報処理部、500 サーバ、501 睡眠状態記憶部、502 睡眠パターン指標算出部、503 睡眠パターン指標データベース操作部、504 睡眠パターン指標データベース、505 睡眠パターン判定部、510 操作部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
寝床上の被測定者の身体の動きについての検出結果を取得するための取得手段と、
前記検出結果に基づいて、1日ごとの被測定者の睡眠状態を判定するための第1の判定手段と、
前記第1の判定手段による複数日についての判定結果に基づいて、前記被測定者の睡眠状態の傾向を判定するための第2の判定手段とを備える、睡眠評価装置。
【請求項2】
寝床上の被測定者の身体の動きを検出するための体動検出手段と、
前記体動検出手段の検出結果に基づいて、1日ごとの被測定者の睡眠状態を判定するための第1の判定手段と、
前記第1の判定手段による複数日についての判定結果に基づいて、前記被測定者の睡眠状態の傾向を判定するための第2の判定手段とを備える、睡眠評価装置。
【請求項3】
前記第2の判定手段は、複数の項目について、前記被測定者の睡眠状態の傾向を判定し、
前記複数の項目は、判定に要する期間が互いに異なる項目を含む、請求項1または請求項2に記載の睡眠評価装置。
【請求項4】
前記第2の判定手段は、前記第1の判定手段が判定を開始してから、前記複数の項目のすべての項目についての判定に要する期間が満了したことを条件として、前記被測定者の睡眠状態の傾向を報知する、請求項3に記載の睡眠評価装置。
【請求項5】
前記第2の判定手段によって前記傾向を判定される項目は、睡眠時間に対する、前記検出結果において身体が動かなかったことを検出された時間の割合に基づく項目を含む、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の睡眠評価装置。
【請求項6】
被測定者の睡眠を評価するためのコンピュータにおいて実行されるプログラムであって、前記コンピュータに、
体動検出手段において検出される、寝床上の被測定者の身体の動きについての検出結果を取得するためのステップと、
前記体動検出手段の検出結果に基づいて、1日ごとの被測定者の睡眠状態を判定するステップと、
前記睡眠状態の複数日についての判定結果に基づいて、前記被測定者の睡眠状態の傾向を判定するステップとを実行させる、睡眠評価用プログラム。
【請求項1】
寝床上の被測定者の身体の動きについての検出結果を取得するための取得手段と、
前記検出結果に基づいて、1日ごとの被測定者の睡眠状態を判定するための第1の判定手段と、
前記第1の判定手段による複数日についての判定結果に基づいて、前記被測定者の睡眠状態の傾向を判定するための第2の判定手段とを備える、睡眠評価装置。
【請求項2】
寝床上の被測定者の身体の動きを検出するための体動検出手段と、
前記体動検出手段の検出結果に基づいて、1日ごとの被測定者の睡眠状態を判定するための第1の判定手段と、
前記第1の判定手段による複数日についての判定結果に基づいて、前記被測定者の睡眠状態の傾向を判定するための第2の判定手段とを備える、睡眠評価装置。
【請求項3】
前記第2の判定手段は、複数の項目について、前記被測定者の睡眠状態の傾向を判定し、
前記複数の項目は、判定に要する期間が互いに異なる項目を含む、請求項1または請求項2に記載の睡眠評価装置。
【請求項4】
前記第2の判定手段は、前記第1の判定手段が判定を開始してから、前記複数の項目のすべての項目についての判定に要する期間が満了したことを条件として、前記被測定者の睡眠状態の傾向を報知する、請求項3に記載の睡眠評価装置。
【請求項5】
前記第2の判定手段によって前記傾向を判定される項目は、睡眠時間に対する、前記検出結果において身体が動かなかったことを検出された時間の割合に基づく項目を含む、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の睡眠評価装置。
【請求項6】
被測定者の睡眠を評価するためのコンピュータにおいて実行されるプログラムであって、前記コンピュータに、
体動検出手段において検出される、寝床上の被測定者の身体の動きについての検出結果を取得するためのステップと、
前記体動検出手段の検出結果に基づいて、1日ごとの被測定者の睡眠状態を判定するステップと、
前記睡眠状態の複数日についての判定結果に基づいて、前記被測定者の睡眠状態の傾向を判定するステップとを実行させる、睡眠評価用プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−94340(P2013−94340A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238571(P2011−238571)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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