睡眠評価装置
【課題】比較的安価に実現できる、睡眠時のいびきについての発生を検出することができる睡眠評価装置を提供する。
【解決手段】睡眠評価装置100は、マイクを備え、睡眠中に発生する音声を取得する。そして、睡眠評価装置100は、単位期間内の、所定音量以上の音声が発生した時間の長さに応じて、いびきのレベルを決定する。睡眠表示装置100は、決定されたいびきのレベルを表示することもできる。
【解決手段】睡眠評価装置100は、マイクを備え、睡眠中に発生する音声を取得する。そして、睡眠評価装置100は、単位期間内の、所定音量以上の音声が発生した時間の長さに応じて、いびきのレベルを決定する。睡眠表示装置100は、決定されたいびきのレベルを表示することもできる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は睡眠評価装置に関し、特に、非侵襲で被測定者の睡眠状態を評価する睡眠評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、睡眠を評価する装置に関し、種々の技術が開示されている。
たとえば、特許文献1(特開2006−014813号公報)には、不眠症状などの判別を目的とした技術であって、マット状圧センサにより呼吸、体動、心拍情報から睡眠状態を判定し、時系列で睡眠日誌を作成する技術が開示されている。
【0003】
また、睡眠について改善を求められる症状としては、上記した不眠のほかに、いびきがある。いびきについては、同室で眠る人間に不快感を与えるという問題のほか、睡眠時無呼吸症候群の発見など、重要な問題を含んでいると言える。
【0004】
このようないびきの発生の検出に関し、特許文献2(特開2006−167427号公報)には、睡眠中の呼吸音を取り込み、当該取り込んだ呼吸音について複数の周波数ブロックごとに物理量の判定値を検出し、そして、当該判定値に基づいて、睡眠中の人の呼吸音を寝息音、いびき音、爆音のうち少なくとも1種として識別する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−014813号公報
【特許文献2】特開2006−167427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載の技術のように、取り込まれた音声の周波数ブロックごとの解析等には高度な処理が必要とされるため、睡眠を評価する装置において比較的高性能の情報処理装置が必要とされ、これにより、装置のコストを上昇させるという問題がある。
【0007】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、比較的安価に実現できる、睡眠時のいびきについての発生を検出することができる睡眠評価装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の或る局面に従った睡眠評価装置は、音声を取得するための取得手段と、取得手段によって取得された音声についての、当該音声が発生した時間的な量に基づいて、いびきのレベルを決定するための決定手段とを備え、決定手段は、取得手段において音声が取得された累積時間の、取得手段において音声が取得された回数に対する比に基づいて、いびきのレベルを決定する。
【0009】
好ましくは、決定手段は、所定の期間ごとに、いびきのレベルを決定し、所定の期間において音声が取得された累積時間が、第1の時間より長い場合または第1の時間よりも短い第2の時間より短い場合には、いびきの発生がないと決定する。
【0010】
好ましくは、決定手段は、所定の期間ごとに、いびきのレベルを決定し、決定手段は、所定の期間における音声の取得された回数が、第1の回数以上である場合または第1の回数より少ない第2の回数未満である場合には、いびきの発生がないと決定する。
【0011】
好ましくは、被測定者の体動を検出するための検出手段と、表示装置に、検出手段によって検出された体動、および、決定手段によって決定されたいびきのレベルの時間変化を表示させるための表示制御手段とをさらに備える。
【0012】
本発明の他の局面に従った睡眠評価装置は、音声を取得するための取得手段と、取得手段によって取得された音声についての、音声が連続して発生した期間の長さおよび音声が連続して発生しなかった期間の長さに基づいて、睡眠時無呼吸症候群のいびきが発生したか否かを判定するための判定手段とを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、音声が発生した時間的な量に基づいて、いびきのレベルが決定される。これにより、睡眠評価装置に高度な処理を要求されず、比較的安価に実現できる。
【0014】
また、本発明によれば、音声が連続して発生した期間および音声が連続して発生しなかった期間の長さに基づいて、睡眠時無呼吸症候群のいびきが発生したか否かが判定される。これにより、睡眠評価装置に高度な処理を要求されず、比較的安価に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施の形態にかかる睡眠評価装置の外観の具体例を示す図である。
【図2】睡眠評価装置の側面を表わした概略図である。
【図3】睡眠評価装置を斜め上方から見た外観の概略図である。
【図4】睡眠評価装置のハードウェア構成の具体例を示すブロック図である。
【図5】睡眠評価装置の使用例を説明する図である。
【図6】睡眠評価装置の機能ブロックを説明するための図である。
【図7】いびきを録音した音の波形の一例を示す図である。
【図8】図7に示された音声波形を、所定の閾値に基づいて2値化した結果を示す図である。
【図9】いびき検出部において実行されるいびき検出のための処理のフローチャートである。
【図10】図9のいびき検出処理のサブルーチンのフローチャートである。
【図11】有音区間判定閾値の算出の具体例を説明するための図である。
【図12】いびき検出部に入力される音声データと、当該音声データが2値化されたモデルの一例とを示す図である。
【図13】出力信号の決定の態様を説明するための図である。
【図14】出力信号の決定の態様を説明するための図である。
【図15】SASいびき検出部において実行されるいびき検出のための処理のフローチャートである。
【図16】図15のいびき検出処理のサブルーチンのフローチャートである。
【図17】いびきが録音された波形の一例を示す図である。
【図18】図17においてAで示された区間を時間的に拡大した波形を示す図である。
【図19】SASいびき検出部によって生成される音声モデルの一例を示す図である。
【図20】OSASサイクルのメカニズムを説明するための図である。
【図21】いびきのレベルを表示する画面の一例を示す図である。
【図22】いびきのレベルを表示する画面の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
【0017】
<外観>
図1は、本実施の形態にかかる睡眠評価装置100の外観の具体例を示す図である。また、図2は睡眠評価装置100の側面を表わした概略図であり、図3は斜め上方から見た外観の概略図である。
【0018】
図1〜図3を参照して、睡眠評価装置100は、一例として、台座に対して直方体またはその角が丸みを帯びて処理された縦長の形状の筐体が立てられた外観を有する。
【0019】
図1を参照して、台座表面には操作用のボタン群10が配備されている。ボタン群10は、ボタン10A〜10Eを含む。また、当該筐体には、マイク(後述するマイク30)と制御部40と通信部50が内包される。また、当該台座に立てられた筐体の表面には、表示部20が備えられ、上記マイクに音声を取り込むためのマイク穴30Aが形成されている。
【0020】
通信部50は、無線または有線で他の機器との通信を行なう。通信部50は、一例として、筐体の、台座と逆側の端部寄りに設けられる。睡眠評価装置100は、通信部50を用いて、パーソナルコンピュータ(以下、PC)や携帯電話機などの表示装置(図示略)に接続され、当該表示装置に対して表示データを出力することができる。
【0021】
<ハードウェア構成>
図4は、睡眠評価装置100のハードウェア構成の具体例を示すブロック図である。
【0022】
図4を参照して、ボタン群10、マイク30、表示部20、および通信部50は、いずれも、制御部40に接続される。本実施の形態のマイク30は、体動センサを構成する。なお、体動センサとしては、ドップラーセンサや超音波センサが用いられてもよい。また、体動センサとして、カメラが採用され、制御部40において画像解析を行なうことで被験者の体動が検出されてもよい。
【0023】
ボタン群10のボタン10A〜10E(図1参照)のそれぞれは、操作されることを示す操作信号を制御部40に対して出力する。
【0024】
制御部40は、全体制御を行なうためのCPU(Central Processing Unit)41と、CPU41で実行されるプログラムなどを記憶するためのメモリ42とを含む。
【0025】
制御部40は、CPU41がメモリ42に記憶されている表示用のプログラムを実行し、入力された操作信号およびセンサ信号を用いて演算を実行することで、いびきのレベルを検出する。また、制御部40は、SAS(Sleep Apnea Syndrome:睡眠時無呼吸症候群)によるいびき(以下、適宜「SASいびき」ともいう)や、OSAS(Obstructive Sleep Apnea Syndrome:閉塞型睡眠時無呼吸症候群)によるいびき(以下、適宜「OSASいびき」ともいう)を、検出する。
【0026】
上記したレベル等を出力するための処理は、表示データを生成し、当該表示データに基づく画面表示を表示部20に行なうための表示制御を含む。なお、当該処理は、通信部50を介し、外部の表示装置に対して表示データを送信するための通信制御を含んでもよい。
【0027】
通信部50は、たとえば赤外線通信やBluetooth(登録商標)を利用した通信などの無線通信で、直接、表示装置と通信するものであってもよいし、インターネット接続機能を有して、インターネットを介して表示装置と通信するものであってもよい。
【0028】
さらに、通信部50は無線LAN(Local Area Network)のサーバ機能を有して、無線LAN接続でアクセスした表示装置に対して、たとえばHTML(Hyper Text Markup Language)などのマークアップ言語で表現された後述の表示データを送信するようにしてもよい。
【0029】
<使用例>
図5は、睡眠評価装置100の使用例を説明する図である。
【0030】
図5を参照して、睡眠評価装置100は、被測定者の近傍に配備されることで、音声センサであるマイク30で被測定者近傍の音声を検出する。音声信号は、センサ信号として、制御部40に出力される。
【0031】
制御部40は、音声信号から被測定者の「いびき」を検出し、その検出結果に基づいていびきの状態を判定する。
【0032】
<OSASの説明>
次に、OSASについて説明する。OSASとは、睡眠によって舌根や咽頭の筋肉が弛緩することで上気道が徐々に狭窄され、閉塞に至り、無呼吸・低呼吸に至る症状を指す。OSASは、脳血管障害の要因ともされている。その原因として、肥満や上気道筋肉の機能的な異常などが挙げられる。
【0033】
OSASの症状を有する患者は、睡眠時に、後述する周期性のある睡眠パターンを繰り返す。この睡眠パターンを「OSASサイクル」と称する。さらに、特有の音圧で構成される、特徴的ないびきを発する。以降の説明において、このいびきを「OSASいびき」とも称する。通常のいびきは規則的かつ一時的であるのに対して、OSASいびきは、上気道の狭窄により舌根や口蓋部が振動することで生じるものであるため、不規則である。
【0034】
図20は、OSASサイクルのメカニズムを説明するための図である。
図20(A)を参照して、OSASサイクルは大きくは3つの段階に分かれる。
【0035】
第1段階(#1)では、通常のいびきから上気道の狭窄に伴って徐々に大きないびきであるOSASいびきに変化していく。第2段階(#2)では、呼吸がきわめて小さくなる、またはなくなる。そして、第3段階(#3)では、体動が発生して破裂音または大きな溜息に似た音が発生し、覚醒状態となる。
【0036】
OSASの症状を有する患者は、睡眠時に、この特有の睡眠パターンである#1〜#3からなるOSASサイクルを周期的に繰り返す。
【0037】
図20(B)は、OSASサイクルに伴う上気道の状態を説明する図である。
図20(B)を参照して、#1では通常状態から上気道の狭窄が徐々に進む。#2では、さらに上気道の狭窄が進み、完全な閉塞に至る。#3では、上気道の状態が通常状態に回復する。その際、破裂音や溜息に似た音が検出される。
【0038】
<機能構成>
図6は、睡眠評価装置100の機能ブロックを説明するための図である。
【0039】
図6を参照して、睡眠評価装置100では、マイク30から入力された音声信号は、電子ボリューム調整部101において、そのボリュームを調整された後、A/D(Analog / digital)コンバータ102へ出力される。そして、上記音声信号は、A/Dコンバータ102においてデジタル信号に変換された後、音声サンプリング部111へ出力される。
【0040】
なお、A/Dコンバータ102は、自動ゲイン調整部113へも、上記変換後のデジタル信号を出力する。自動ゲイン調整部113は、入力された音声信号に基づいて、電子ボリューム調整部101に対する制御信号を生成し、電子ボリューム調整部101へ送信する。これに応じて、電子ボリューム調整部101では、マイク30から入力される音声信号のゲインを下げるなどの処理を適宜実行する。
【0041】
音声サンプリング部111は、A/Dコンバータ102から出力されたデジタル信号に対し、ノイズ除去処理を行なって、いびき検出部112へ出力する。
【0042】
いびき検出部112では、図9等を参照して説明する処理内容に基づいていびきの検出を行ない、当該検出結果を、解析処理部115へ出力する。
【0043】
また、いびき検出部112は、音声サンプリング部111から出力された、ノイズ除去後の信号を、SAS(Sleep Apnea Syndrome:睡眠時無呼吸症候群)いびき検出部114へ出力する。
【0044】
SASいびき検出部114は、いびき検出部112から出力されたノイズ除去後の信号に基づいて、図15等を参照して後述する処理内容に従っていびきの検出を行ない、その結果を解析処理部115へ出力する。
【0045】
いびき検出部112は、後述するように、有音区間判定閾値の設定を行なう。そして、音声サンプリング部111においてノイズを除去された後の音声信号において、上記した有音区間判定閾値に基づいて、いびきの発生の有無を検出する。具体的には、いびきが発生している区間(有音区間)と発生していない区間(無音区間)を特定する。そして、当該有音区間の期間中、特定の信号(fSIG)を自動ゲイン調整部113へ送信する。これにより、自動ゲイン調整部113は、A/Dコンバータ102から出力されるデジタル信号において、いびきが発生している期間のゲインを調整するために、制御信号を生成することができる。具体的には、いびき検出部112は、後述するように、fSIG=0またはfSIG=1の信号を出力する。「0」は無音区間を意味し、「1」は有音区間を意味する。そして、自動ゲイン調整部113は、有音区間に、つまり、fSIG=1を受けている期間に、ゲイン調整を行なう。
【0046】
また、いびき検出部112は、fSIG信号をSASいびき検出部114へも出力する。SASいびき検出部114は、fSIG信号の値に応じて処理を実行する。
【0047】
解析処理部115は、いびき検出部112およびSASいびき検出部114からの検出出力に基づいて、表示部20における検出結果の表示態様を制御するための制御信号を表示制御部120へ送信する。
【0048】
また、睡眠評価装置100には、マイク30において取得される音声を録音するための録音モジュール140と、当該録音モジュール140の動作を制御するための録音制御部130が備えられている。
【0049】
そして、解析処理部115は、SASいびき検出部114から出力される検出結果に基づいたタイミングで、録音モジュール140に録音動作を開始させるためのトリガ信号を、録音制御部130に対して出力する。
【0050】
睡眠評価装置100では、音声サンプリング部111、いびき検出部112、自動ゲイン調整部113、SASいびき検出部114、および、解析処理部115によって、いびきアルゴリズム110が構成されている。そして、いびきアルゴリズム110、電子ボリューム調整部101、A/Dコンバータ102、表示制御部120、および、録音制御部130は、制御部40によって実現される。制御部40は、これらを構成するハードウェア資源が含まれる。なお、特にいびきアルゴリズム110、表示制御部120、および/または、録音制御部130については、CPU41が、メモリ42(または、睡眠評価装置100本体に対して着脱可能な記憶媒体)に記憶されたプログラムを実行することによって実現されてもよい。また、録音モジュール140は、CPU41がメモリ42等に記憶されたプログラムを実行することにより、音声を記録する。音声は、メモリ42(または、睡眠評価装置100本体に対して着脱可能な記憶媒体)に記憶される。
【0051】
記憶媒体としては、CD−ROM(Compact Disk - Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disk - Read Only Memory)、USB(Universal Serial Bus)メモリ、メモリカード、FD(Flexible Disk)、ハードディスク、磁気テープ、カセットテープ、MO(Magnetic Optical Disk)、MD(Mini Disk)、IC(Integrated Circuit)カード(メモリカードを除く)、光カード、マスクROM、EPROM、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read-Only Memory)などの、不揮発的にプログラムを格納する媒体が挙げられる。
【0052】
なお、睡眠評価装置100では、スピーカがさらに備えられていてもよく、そして、CPU41は、ボタン群10を操作されることにより、録音モジュール140で記録された音声を再生することもできる。
【0053】
<いびき検出部112におけるいびきの検出>
(いびき検出の概要)
いびきは、一般的に、呼吸のリズムと同期し、特に呼気時に発生する。図7は、いびきを録音した音の波形の一例を示す図である。
【0054】
いびきは、図7から理解されるように、ある程度一定の間隔で間欠的に発生する音の連続であると言える。そして、本実施の形態では、いびきを「一定以上の有音区間と、同じく一定以上の無音区間が交互に連続する音声」であると仮定し、そして、有音区間を「音量(音の振幅)が、ある閾値を超えている区間」と定義し、また、音量が当該閾値以下の区間を無音区間と定義する。
【0055】
このような定義に基づくと、図7に示されたような波形に対し、図8に示されるような、二値化された単純な音声モデルを得ることができる。図8は、図7に示された音声波形を、所定の閾値に基づいて2値化した結果を示す図である。そして、図8では、音声モデルが一点鎖線で示され、有音区間の発生回数が「1」「2」等の数字で示されている。また、図8では、有音区間が「S」の文字とともにその発生回数を添え字として記載されて、示されている。
【0056】
図8に示されたようなモデル化には、音の振幅の絶対値が用いられている。つまり、本実施の形態では、いびき検出のためには、入力される音声信号の生波形が全波整流されたもの(負側を反転した波形)が使用される。なお、図7および図8には、全波整流前の波形が示されている。
【0057】
そして、本実施の形態のいびき検出部112では、図8に示されたようないびきの音声モデルから、いびきの発生を判断するための指標rが取得される。rは、次の式(1)に従って算出される。
【0058】
【数1】
【0059】
式(1)において、Sは、単位時間(たとえば、15秒〜30秒程度)あたりの全有音区間の長さの合計である。また、Nは、上記単位時間あたりの有音区間の発生回数である。図8に示された例についてrを検討すると、Sは、図8中のS1〜S5で示された区間の時間の長さの合計である。そして、Nは、5である。
【0060】
(いびき検出のための処理内容)
図9は、いびき検出部112において実行されるいびき検出のための処理のフローチャートである。
【0061】
図9を参照して、いびき検出部112は、まず、ステップS10で、いびき検出をスタートするための条件が成立したか否かを判断し、成立したと判断するとステップS20へ処理を進める。
【0062】
ここで、いびき検出をスタートするための条件としては、たとえば、ボタン群10の中の所定のボタンが操作されたことや、タイマ60によって計時される時刻が予め設定されたいびき検出を開始するための時刻に到達したことや、通信部50を介して外部の装置からいびき検出を開始するための指示が入力されたことなどが挙げられる。
【0063】
ステップS20では、いびき検出部112は、いびき検出処理を実行する。ステップS20における処理内容は、図10を参照して、後述する。なお、図10は、ステップS20におけるいびき検出処理のサブルーチンのフローチャートである。そして、ステップS20におけるいびき検出処理が終了すると、いびき検出部112は、ステップS30へ処理を進める。
【0064】
ステップS30では、いびき検出部112は、検出結果の出力要求があったか否かを判断し、そのような要求があったと判断するとステップS40へ処理を進める。
【0065】
ステップS40では、いびき検出部112は、解析処理部115に対して検出結果を出力して、処理を終了する。
【0066】
図10を参照して、ステップS20のいびき検出処理では、いびき検出部112は、まずステップS201で、上記した有音区間判定閾値を設定し、ステップS202へ処理を進める。
【0067】
ステップS201における有音区間判定閾値の設定について説明する。
有音区間判定閾値は、いびき検出処理開始後の所定時間に音声サンプリング部111から入力される音声データが利用されて、設定される。なお、利用される音声データは、音声サンプリング部111から入力された音声信号が、その生波形を全波整流されたものである。そして、このように全波整流された音声データの音量を「AD値」として、以下、説明を行なう。
【0068】
有音区間判定閾値は、たとえば、上記所定時間におけるAD値の最大値(以下、「最大AD値」ともいう)と最小値(以下、「最小AD値」ともいう)を利用して設定される。
【0069】
なお、最大AD値と最小AD値の組合せによっては、いびき判定ができないとされる場合もある。このような場合には、図10に示されたいびき検出処理を中止して(ステップS202へ処理が進められることなく)、図9に処理を戻す。この場合には、ステップS40(図9)では、いびき検出部112から解析処理部115に対して、いびき検出の検出結果の代わりに、当該検出が中止された旨の信号が出力される。
【0070】
ここで、最大AD値と最小AD値の組合せによっては、いびき判定ができないとされる場合としては、たとえば、最大AD値が最小AD値以下である場合、または、最大AD値が最小AD値以上であって最大AD値と最小AD値との差が所定の値以下である場合、などが挙げられる。
【0071】
また、最大AD値と最小AD値を利用した有音区間判定閾値の具体例としては、これらの差分を最小AD値に加えて得られる値が挙げられる。図11を参照して、この具体例を説明する。
【0072】
図11では、有音区間判定閾値が、値SHとして示されている。値SHの算出の際には、まず、最大AD値(図11中の「DH」)と最小AD値(図11中の「DL」)の差分が算出される。図11では、差分は「DIF」で示されている。次に、当該差分DIFに対する一定の割合(「1/4」「1/5」等)の値が算出される。「一定の割合」は、睡眠評価装置100が使用される環境ごとに適宜設定され得る。図11では、差分DIFの一定の割合の値が、「V1」で示されている。そして、最小AD値と値V1が、値SH、つまり、有音区間判定閾値とされる。
【0073】
図10に戻って、ステップS202では、いびき検出部112は、いびき測定処理を実行して、ステップS203へ処理を進める。いびき測定処理は、いびき検出部112が出力する信号fSIGの値(1または0)を決定するための処理である。当該処理の内容については、後述する。
【0074】
ステップS203では、ステップS202のいびき測定処理を開始してから上記した単位時間が経過したか否かを判断し、まだ経過していないと判断するとステップS202へ処理を戻し、経過したと判断するとステップS204へ処理を進める。
【0075】
ステップS204では、ステップS202におけるいびき測定処理の結果に基づいて、上記したSおよびNを算出して、ステップS205に処理を進める。
【0076】
ステップS205では、いびき検出を終了するための条件が成立したか否かを判断し、成立したと判断すると図9に処理を戻し、まだ成立していないと判断するとステップS203へ処理を戻す。
【0077】
ここで、いびき検出の終了のための条件としては、たとえば、ボタン群10の中の所定のボタンが操作されたこと、メモリ42において予め記憶された終了時刻が到来したこと、通信部50を介して外部の装置からいびき検出を終了する指示が入力されたことが挙げられる。
【0078】
以上図10を参照して説明された処理では、単位時間が経過するごとに、SおよびNの値の算出が実行されるが、これらの値を算出するタイミングは、これに限定されず、たとえば、後述する図21等に示されるような解析結果を表示するためのデータが作成されるときであっても良い。
【0079】
なお、ステップS202のいびき測定処理では、いびき検出部112は、たとえば、fSIGの値を初期値である「0」に設定し、また、所定時間ごとのAD値を取得し、そして、当該取得したAD値が一定回数以上連続して有音区間判定閾値を超えたことを条件として、fSIGの値を「1」へと更新する。
【0080】
なお、いびき検出部112は、fSIGの値を「1」に更新した後、特定回数以上連続してAD値が有音区間判定閾値を下回ったことを条件として、fSIGの値を「0」へと更新する。
【0081】
このようにfSIGの値が設定されることにより、図12に示されたような小刻みに判定結果が切り替わる部分を含むような音声モデルではなく、図14に示されるように、このような小刻みな切り替わりをノイズとして除去された音声モデルを生成することができる。
【0082】
図12は、いびき検出部112に入力される音声データと、当該音声データが2値化されたモデルの一例とを示す図である。なお、図12では、音声モデルは、一点鎖線で示されている。図12に示された音声モデルでは、AやBで示された部分において、比較的短時間でHigh(「fSIG=1」に対応する「いびき有り」の状態)とLow(「fSIG=0」に対応する「いびき無し」の状態)が切り替わっている。
【0083】
一方、図13は、上記したようないびき測定処理に従った出力信号の決定の態様を説明するための図である。図13では、図12等に示された音量波形が、時間軸(横軸)を拡大されて示されている。
【0084】
図13において一点鎖線で示された音声モデルは、時刻T1でLowからHighに切り替わり、また、時刻T2でHighからLowに切り替わっている。
【0085】
図13の例では、時刻T1の直前(図中左側)に、4個の丸印が示されている。これらは、4回連続して、有音区間判定閾値(SH)を超えた値が検出されたことを示している。この例では、上記「一定回数」の一例が「4」とされる。そして、図13に示された音声モデルでは、4回連続して有音区間判定閾値を超えた値が検出されたことに応じて、状態がLowからHighに切替えられている。
【0086】
また、図13の例では、時刻T2の直前に、4個の丸印が示されている。これらは、4回連続して、有音区間判定閾値(SH)を下回る値が検出されたことを示している。この例では、上記「特定回数」の一例が「4」とされる。そして、図13に示された音声モデルでは、4回連続して有音区間判定閾値を下回る値が検出されたことに応じて、状態がHighからLowに切替えられている。
【0087】
このように一定回数連続してSHを超えた/下回る値が検出されたことに応じて信号が切替えられることにより、音声モデルにおける、図12においてAやBで示されたような短時間での切り替わりがノイズとして除去されて、図14に示されるような音声モデルを生成できる。
【0088】
<解析結果の生成>
以上説明したいびき検出部112における検出の結果に基づいて、検出期間において、単位時間ごとにSおよびNの値が算出される。これに基づいて、解析処理部115は、上記した式(1)に従って、単位時間ごとのrの値を求めることができる。
【0089】
そして、解析処理部115は、単位時間ごとに、rの値に基づいて、いびきについてのレベルを決定する。
【0090】
なお、いびきのレベルは、たとえば、rの値が大きくなるほど、つまり、単位時間あたりのいびきの発生時間が長く、かつ、いびきの回数が多いほど、いびきのレベルとして高いレベルが設定される。ここで、レベルの高低とは、レベルが高いほど、頻度が高くいびきが発生していることを示す。
【0091】
また、rが特定の値を下回る場合、Sが一定の値を超える場合、または、Nが所定の値を超える場合については、いびきのレベルは「0」、つまり、いびきが発生していないと判定される。Sが一定の値を超えた場合は、当該結果が対応する単位時間中に検出された音声が、外を通る車両のサイレンの音などのいびき以外の継続的に発生した音声であったとして、いびきは発生していないと判断される。Nが所定の値を超えた場合は、当該結果が対応する単位時間中に検出された音声が、テレビやステレオから流れる音楽などのいびき以外の断続的に発生した音声であったとして、いびきは発生していないと判断される。なお、本実施の形態では、rが特定の値を下回ることが、所定の期間において音声が取得された累積時間が特定の時間より短い場合や、所定の期間における音声の取得された回数が特定の回数以下である場合に相当する。
【0092】
<解析結果の表示例>
図21は、上記したような解析結果であるいびきのレベルを表示する画面の例を示す図である。
【0093】
図21に示される画面では、2011年7月6日の17時から翌日の7月7日の0時までの検出結果が示されている。なお、この例では、睡眠評価装置100は、さらに、被測定者の睡眠深度および体動の大きさを検出できるように構成されている。そして、図21の画面では、「睡眠」として睡眠深度の変化が示され、「体動」として体動の大きさが示され、そして、「いびきレベル」として、上記したようにrの値やN,Sの値に基づいて求められる単位時間ごとのいびきのレベルの変化が示される。
【0094】
このような画面は、たとえば、ステップS30において出力要求があったことに基づいて、ステップS40で、検出結果として表示部20に表示される。なお、CPU41は、他の装置からの要求に応じて、図21に示されるような画面を表示するためのデータを他の装置に送信しても良い。
【0095】
なお、図21の「睡眠」のグラフでは、眠りが浅いと判定された(睡眠深度が所定の値よりも低いと判定された)期間が塗りつぶされて示されている。
【0096】
図22は、いびきのレベルを表示する画面の他の例を示す図である。図22に示される画面では、7月5日の火曜日から7月10日の日曜日までの各日の、24時間に対応する情報が表示されている。
【0097】
図22において、折れ線グラフは、睡眠深度を示している。また、図21の「睡眠」と同様に、眠りが浅いと判定された期間は塗りつぶされて示されている。なお、折れ線が示されていない期間は、睡眠深度等の睡眠に関する検出が行なわれていない期間である。
【0098】
また、図22では、部分的に丸印が示されている。この丸印は、上記したようにrの値やN,Sの値に基づいて求められたいびきのレベルが所定のレベル以上(たとえば、レベル3以上)であったことを示している。
【0099】
図21または図22に示したようないびきのレベルが表示されることにより、被測定者等に客観的にいびきの発生を報知することができる。
【0100】
<SASいびき検出部114におけるいびきの検出>
(SASいびき検出の概要)
OSASと診断されている患者のいびきには、以下の特徴がある。
【0101】
1)いびきが密に連続した区間と長い無音区間が交互に現れる
2)通常のいびきと異なり、吸気時にも音が発生する傾向が高い
図17は、OSASと診断された患者のいびきが録音された波形の一例を示す図である。そして、図18は、図17においてAで示された区間を時間的に拡大した波形を示す図である。図18では、図17に対して、13〜4倍程度、横軸を拡大している。なお、各図では、横軸に計測された時刻(時:分:秒)が示されている。たとえば「2:56:30」は、午前2時56分30秒を示している。
【0102】
さて、図18では、上記したような有音区間判定閾値を用いて生成される音声モデルが線L1で示されている。SASいびき検出部114では、線L1においてみられる一連の有音区間を、さらに、線L2で示されるように一つの音の塊とみなされて音声モデルが生成される。図19は、SASいびき検出部114によって生成される音声モデルの一例を示す図である。SASいびき検出部114によって生成される音声モデルでは、図18に線L2として示されたように一連の有音区間を一つの音の塊としてみなすことにより、図19にShとSlとして示されたように、比較的長いスパンを持つ有音区間と無音区間を形成できる。これにより、本実施の形態では、いびき音量の検出結果からOSASの特徴を見出すための指標を取得できる。
【0103】
なお、指標としては、各有音区間の長さ(図19のSh)と各無音区間の長さ(図19のSl)が挙げられる。そして、本実施の形態では、Slが次の式(2)の条件を満たし、かつ、Shが式(3)の条件を満たした場合に、SASいびき(OSASいびき)が発生したと判定される。
【0104】
【数2】
【0105】
式(2)において、SlminとSlmaxは、Slについての判定のために予め定められる値である。また、式(3)において、ShminとShmaxは、Shについての判定のために予め定められる値である。
【0106】
(OSASいびき検出のための処理内容)
図15は、SASいびき検出部114において実行されるいびき検出のための処理のフローチャートである。
【0107】
図15を参照して、SASいびき検出部114は、まず、ステップSB10で、いびき検出をスタートするための条件が成立したか否かを判断し、成立したと判断するとステップSB20へ処理を進める。ここで、いびき検出をスタートするための条件としては、たとえば、ボタン群10の中の所定のボタンが操作されたことや、タイマ60によって計時される時刻が予め設定されたいびき検出を開始するための時刻に到達したことや、通信部50を介して外部の装置からいびき検出を開始するための指示が入力されたことなどが挙げられる。
【0108】
ステップSB20では、SASいびき検出部114は、いびき検出処理を実行する。ステップSB20における処理内容は、図16を参照して後述する。なお、図16は、ステップSB20におけるいびき検出処理のサブルーチンのフローチャートである。そして、ステップSB20におけるいびき検出処理が終了すると、SASいびき検出部114は、ステップSB30へ処理を進める。
【0109】
ステップSB30では、SASいびき検出部114は、検出結果の出力要求があったか否かを判断し、そのような要求があったと判断するとステップSB40へ処理を進める。
【0110】
ステップSB40では、SASいびき検出部114は、解析処理部115に対して検出結果を出力して、処理を終了する。
【0111】
図16を参照して、ステップSB20のいびき検出処理では、SASいびき検出部114は、まずステップSB211で、上記した有音区間判定閾値を設定し、ステップSB212へ処理を進める。有音区間判定閾値は、たとえばステップS201において設定された値が利用される。
【0112】
ステップSB212では、SASいびき検出部114は、いびき測定処理を実行して、ステップSB213へ処理を進める。いびき検出を終了するための条件が成立したか否かを判断し、成立したと判断すると図15に処理を戻し、まだ成立していないと判断するとステップSB212へ処理を戻す。ここで、いびき検出の終了のための条件としては、たとえば、ボタン群10の中の所定のボタンが操作されたこと、メモリ42において予め記憶された終了時刻が到来したこと、通信部50を介して外部の装置からいびき検出を終了する指示が入力されたことが挙げられる。
【0113】
以上図16を参照して説明された処理では、いびき検出が終了するための条件が成立するまで、いびき測定処理が継続される。
【0114】
なお、SASいびき検出部114は、図16のステップSB212のいびき測定処理では、HighカウンタとLowカウンタを利用して、fGRP信号の値を設定する。そして、SASいびき検出部114は、このように値を設定したfGRP信号を、その時刻とともに記録する。これにより、SASいびき検出部114は、図19等を参照して説明したような音声モデルを生成できる。
【0115】
信号fGRPは、図18において線L2として示されたような、近接したいびきの発生区間をまとめて扱う音声モデルにおける、有音区間/無音区間を示すための信号でもある。「fGRP=1」は有音区間を示し、「fGRP=0」は無音区間を示す。
【0116】
SASいびき検出部114は、いびき測定処理において、前回の当該処理実行時から今回の当該処理実行時において、fSIGの値が「0」から「1」に切り替わったことを条件として、Highカウンタのカウント値を1加算更新し、また、fSIGの値が「1」から「0」に切り替わったことを条件として、Lowカウンタのカウント値を1加算更新する(ステップSC90)。そして、SASいびき検出部114は、HighカウンタまたはLowカウンタのカウント値が所定の閾値を上回ったことを条件として、いびきの有無の判定結果(fGRP=1/0)を切替える。つまり、Highカウンタの値が所定の閾値を上回れば、fGRPの値が1へと切替えられる。また、Lowカウンタの値が所定の閾値を上回れば、fGRPの値が0へと切替えられる。これにより、図19を参照して説明したような、SASいびきの特徴を特定できるような音声モデルを生成することができる。
【0117】
上記したように、fGRP信号は、その時刻とともに記録される。これにより、SASいびき検出部114は、図19等を参照して説明したような音声モデルを生成できる。そして、SASいびき検出部114は、ステップSB40において、当該音声モデルに基づいて、上記した指標であるShおよびSlを少なくとも1つずつ算出し、これらの値に基づき、式(2)および式(3)に従って、SASいびき(OSASいびき)の発生の有無を判断し、そして、その結果を解析処理部115へ出力する。
【0118】
[変形例等]
以上説明した本実施の形態では、解析処理部115は、たとえば図21や図22に示したように、いびき検出部112によって算出されたS値およびN値に基づいていびきのレベルを算出し、当該レベルを測定結果として表示させることができる。
【0119】
なお、解析処理部115は、SASいびき検出部114による検出結果に基づいてSASいびきが発生したと判定された時間帯を、測定結果として表示させることもできる。図21や図22では、測定結果が測定対象となった時刻とともに表示されるが、SASいびきの発生した時間帯は、たとえば、このような表示において発生した時間帯を着色表示させることによって、表示される。
【0120】
また、解析処理部115は、発生したいびきを客観的に非測定者等に伝えるために、いびき検出部112による検出結果によっていびきのレベルが所定のレベル以上となった判定された期間、または、SASいびき検出部114による検出結果によってSASいびきを発生したと判定された期間、録音制御部130に録音モジュール140を動作させることにより、マイク30で取得される音声を録音しても良い。解析処理部115は、いびき検出部112から、いびき測定中に逐次S値およびN値を取得し、逐次いびきのレベルを決定し、そして、決定されたレベルが所定のレベル以上であったことを条件として、録音制御部130に録音を指示する。また、解析処理部115は、逐次SASいびき検出部114から検出結果を取得し、そして、SASいびきの発生を条件として、録音制御部130に録音を指示する。
【0121】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0122】
10 ボタン群、10A〜10E ボタン、20 表示部、30 マイク、40 制御部、100 睡眠評価装置、112 いびき検出部、113 自動ゲイン調整部、114 SASいびき検出部、115 解析処理部。
【技術分野】
【0001】
この発明は睡眠評価装置に関し、特に、非侵襲で被測定者の睡眠状態を評価する睡眠評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、睡眠を評価する装置に関し、種々の技術が開示されている。
たとえば、特許文献1(特開2006−014813号公報)には、不眠症状などの判別を目的とした技術であって、マット状圧センサにより呼吸、体動、心拍情報から睡眠状態を判定し、時系列で睡眠日誌を作成する技術が開示されている。
【0003】
また、睡眠について改善を求められる症状としては、上記した不眠のほかに、いびきがある。いびきについては、同室で眠る人間に不快感を与えるという問題のほか、睡眠時無呼吸症候群の発見など、重要な問題を含んでいると言える。
【0004】
このようないびきの発生の検出に関し、特許文献2(特開2006−167427号公報)には、睡眠中の呼吸音を取り込み、当該取り込んだ呼吸音について複数の周波数ブロックごとに物理量の判定値を検出し、そして、当該判定値に基づいて、睡眠中の人の呼吸音を寝息音、いびき音、爆音のうち少なくとも1種として識別する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−014813号公報
【特許文献2】特開2006−167427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載の技術のように、取り込まれた音声の周波数ブロックごとの解析等には高度な処理が必要とされるため、睡眠を評価する装置において比較的高性能の情報処理装置が必要とされ、これにより、装置のコストを上昇させるという問題がある。
【0007】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、比較的安価に実現できる、睡眠時のいびきについての発生を検出することができる睡眠評価装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の或る局面に従った睡眠評価装置は、音声を取得するための取得手段と、取得手段によって取得された音声についての、当該音声が発生した時間的な量に基づいて、いびきのレベルを決定するための決定手段とを備え、決定手段は、取得手段において音声が取得された累積時間の、取得手段において音声が取得された回数に対する比に基づいて、いびきのレベルを決定する。
【0009】
好ましくは、決定手段は、所定の期間ごとに、いびきのレベルを決定し、所定の期間において音声が取得された累積時間が、第1の時間より長い場合または第1の時間よりも短い第2の時間より短い場合には、いびきの発生がないと決定する。
【0010】
好ましくは、決定手段は、所定の期間ごとに、いびきのレベルを決定し、決定手段は、所定の期間における音声の取得された回数が、第1の回数以上である場合または第1の回数より少ない第2の回数未満である場合には、いびきの発生がないと決定する。
【0011】
好ましくは、被測定者の体動を検出するための検出手段と、表示装置に、検出手段によって検出された体動、および、決定手段によって決定されたいびきのレベルの時間変化を表示させるための表示制御手段とをさらに備える。
【0012】
本発明の他の局面に従った睡眠評価装置は、音声を取得するための取得手段と、取得手段によって取得された音声についての、音声が連続して発生した期間の長さおよび音声が連続して発生しなかった期間の長さに基づいて、睡眠時無呼吸症候群のいびきが発生したか否かを判定するための判定手段とを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、音声が発生した時間的な量に基づいて、いびきのレベルが決定される。これにより、睡眠評価装置に高度な処理を要求されず、比較的安価に実現できる。
【0014】
また、本発明によれば、音声が連続して発生した期間および音声が連続して発生しなかった期間の長さに基づいて、睡眠時無呼吸症候群のいびきが発生したか否かが判定される。これにより、睡眠評価装置に高度な処理を要求されず、比較的安価に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施の形態にかかる睡眠評価装置の外観の具体例を示す図である。
【図2】睡眠評価装置の側面を表わした概略図である。
【図3】睡眠評価装置を斜め上方から見た外観の概略図である。
【図4】睡眠評価装置のハードウェア構成の具体例を示すブロック図である。
【図5】睡眠評価装置の使用例を説明する図である。
【図6】睡眠評価装置の機能ブロックを説明するための図である。
【図7】いびきを録音した音の波形の一例を示す図である。
【図8】図7に示された音声波形を、所定の閾値に基づいて2値化した結果を示す図である。
【図9】いびき検出部において実行されるいびき検出のための処理のフローチャートである。
【図10】図9のいびき検出処理のサブルーチンのフローチャートである。
【図11】有音区間判定閾値の算出の具体例を説明するための図である。
【図12】いびき検出部に入力される音声データと、当該音声データが2値化されたモデルの一例とを示す図である。
【図13】出力信号の決定の態様を説明するための図である。
【図14】出力信号の決定の態様を説明するための図である。
【図15】SASいびき検出部において実行されるいびき検出のための処理のフローチャートである。
【図16】図15のいびき検出処理のサブルーチンのフローチャートである。
【図17】いびきが録音された波形の一例を示す図である。
【図18】図17においてAで示された区間を時間的に拡大した波形を示す図である。
【図19】SASいびき検出部によって生成される音声モデルの一例を示す図である。
【図20】OSASサイクルのメカニズムを説明するための図である。
【図21】いびきのレベルを表示する画面の一例を示す図である。
【図22】いびきのレベルを表示する画面の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
【0017】
<外観>
図1は、本実施の形態にかかる睡眠評価装置100の外観の具体例を示す図である。また、図2は睡眠評価装置100の側面を表わした概略図であり、図3は斜め上方から見た外観の概略図である。
【0018】
図1〜図3を参照して、睡眠評価装置100は、一例として、台座に対して直方体またはその角が丸みを帯びて処理された縦長の形状の筐体が立てられた外観を有する。
【0019】
図1を参照して、台座表面には操作用のボタン群10が配備されている。ボタン群10は、ボタン10A〜10Eを含む。また、当該筐体には、マイク(後述するマイク30)と制御部40と通信部50が内包される。また、当該台座に立てられた筐体の表面には、表示部20が備えられ、上記マイクに音声を取り込むためのマイク穴30Aが形成されている。
【0020】
通信部50は、無線または有線で他の機器との通信を行なう。通信部50は、一例として、筐体の、台座と逆側の端部寄りに設けられる。睡眠評価装置100は、通信部50を用いて、パーソナルコンピュータ(以下、PC)や携帯電話機などの表示装置(図示略)に接続され、当該表示装置に対して表示データを出力することができる。
【0021】
<ハードウェア構成>
図4は、睡眠評価装置100のハードウェア構成の具体例を示すブロック図である。
【0022】
図4を参照して、ボタン群10、マイク30、表示部20、および通信部50は、いずれも、制御部40に接続される。本実施の形態のマイク30は、体動センサを構成する。なお、体動センサとしては、ドップラーセンサや超音波センサが用いられてもよい。また、体動センサとして、カメラが採用され、制御部40において画像解析を行なうことで被験者の体動が検出されてもよい。
【0023】
ボタン群10のボタン10A〜10E(図1参照)のそれぞれは、操作されることを示す操作信号を制御部40に対して出力する。
【0024】
制御部40は、全体制御を行なうためのCPU(Central Processing Unit)41と、CPU41で実行されるプログラムなどを記憶するためのメモリ42とを含む。
【0025】
制御部40は、CPU41がメモリ42に記憶されている表示用のプログラムを実行し、入力された操作信号およびセンサ信号を用いて演算を実行することで、いびきのレベルを検出する。また、制御部40は、SAS(Sleep Apnea Syndrome:睡眠時無呼吸症候群)によるいびき(以下、適宜「SASいびき」ともいう)や、OSAS(Obstructive Sleep Apnea Syndrome:閉塞型睡眠時無呼吸症候群)によるいびき(以下、適宜「OSASいびき」ともいう)を、検出する。
【0026】
上記したレベル等を出力するための処理は、表示データを生成し、当該表示データに基づく画面表示を表示部20に行なうための表示制御を含む。なお、当該処理は、通信部50を介し、外部の表示装置に対して表示データを送信するための通信制御を含んでもよい。
【0027】
通信部50は、たとえば赤外線通信やBluetooth(登録商標)を利用した通信などの無線通信で、直接、表示装置と通信するものであってもよいし、インターネット接続機能を有して、インターネットを介して表示装置と通信するものであってもよい。
【0028】
さらに、通信部50は無線LAN(Local Area Network)のサーバ機能を有して、無線LAN接続でアクセスした表示装置に対して、たとえばHTML(Hyper Text Markup Language)などのマークアップ言語で表現された後述の表示データを送信するようにしてもよい。
【0029】
<使用例>
図5は、睡眠評価装置100の使用例を説明する図である。
【0030】
図5を参照して、睡眠評価装置100は、被測定者の近傍に配備されることで、音声センサであるマイク30で被測定者近傍の音声を検出する。音声信号は、センサ信号として、制御部40に出力される。
【0031】
制御部40は、音声信号から被測定者の「いびき」を検出し、その検出結果に基づいていびきの状態を判定する。
【0032】
<OSASの説明>
次に、OSASについて説明する。OSASとは、睡眠によって舌根や咽頭の筋肉が弛緩することで上気道が徐々に狭窄され、閉塞に至り、無呼吸・低呼吸に至る症状を指す。OSASは、脳血管障害の要因ともされている。その原因として、肥満や上気道筋肉の機能的な異常などが挙げられる。
【0033】
OSASの症状を有する患者は、睡眠時に、後述する周期性のある睡眠パターンを繰り返す。この睡眠パターンを「OSASサイクル」と称する。さらに、特有の音圧で構成される、特徴的ないびきを発する。以降の説明において、このいびきを「OSASいびき」とも称する。通常のいびきは規則的かつ一時的であるのに対して、OSASいびきは、上気道の狭窄により舌根や口蓋部が振動することで生じるものであるため、不規則である。
【0034】
図20は、OSASサイクルのメカニズムを説明するための図である。
図20(A)を参照して、OSASサイクルは大きくは3つの段階に分かれる。
【0035】
第1段階(#1)では、通常のいびきから上気道の狭窄に伴って徐々に大きないびきであるOSASいびきに変化していく。第2段階(#2)では、呼吸がきわめて小さくなる、またはなくなる。そして、第3段階(#3)では、体動が発生して破裂音または大きな溜息に似た音が発生し、覚醒状態となる。
【0036】
OSASの症状を有する患者は、睡眠時に、この特有の睡眠パターンである#1〜#3からなるOSASサイクルを周期的に繰り返す。
【0037】
図20(B)は、OSASサイクルに伴う上気道の状態を説明する図である。
図20(B)を参照して、#1では通常状態から上気道の狭窄が徐々に進む。#2では、さらに上気道の狭窄が進み、完全な閉塞に至る。#3では、上気道の状態が通常状態に回復する。その際、破裂音や溜息に似た音が検出される。
【0038】
<機能構成>
図6は、睡眠評価装置100の機能ブロックを説明するための図である。
【0039】
図6を参照して、睡眠評価装置100では、マイク30から入力された音声信号は、電子ボリューム調整部101において、そのボリュームを調整された後、A/D(Analog / digital)コンバータ102へ出力される。そして、上記音声信号は、A/Dコンバータ102においてデジタル信号に変換された後、音声サンプリング部111へ出力される。
【0040】
なお、A/Dコンバータ102は、自動ゲイン調整部113へも、上記変換後のデジタル信号を出力する。自動ゲイン調整部113は、入力された音声信号に基づいて、電子ボリューム調整部101に対する制御信号を生成し、電子ボリューム調整部101へ送信する。これに応じて、電子ボリューム調整部101では、マイク30から入力される音声信号のゲインを下げるなどの処理を適宜実行する。
【0041】
音声サンプリング部111は、A/Dコンバータ102から出力されたデジタル信号に対し、ノイズ除去処理を行なって、いびき検出部112へ出力する。
【0042】
いびき検出部112では、図9等を参照して説明する処理内容に基づいていびきの検出を行ない、当該検出結果を、解析処理部115へ出力する。
【0043】
また、いびき検出部112は、音声サンプリング部111から出力された、ノイズ除去後の信号を、SAS(Sleep Apnea Syndrome:睡眠時無呼吸症候群)いびき検出部114へ出力する。
【0044】
SASいびき検出部114は、いびき検出部112から出力されたノイズ除去後の信号に基づいて、図15等を参照して後述する処理内容に従っていびきの検出を行ない、その結果を解析処理部115へ出力する。
【0045】
いびき検出部112は、後述するように、有音区間判定閾値の設定を行なう。そして、音声サンプリング部111においてノイズを除去された後の音声信号において、上記した有音区間判定閾値に基づいて、いびきの発生の有無を検出する。具体的には、いびきが発生している区間(有音区間)と発生していない区間(無音区間)を特定する。そして、当該有音区間の期間中、特定の信号(fSIG)を自動ゲイン調整部113へ送信する。これにより、自動ゲイン調整部113は、A/Dコンバータ102から出力されるデジタル信号において、いびきが発生している期間のゲインを調整するために、制御信号を生成することができる。具体的には、いびき検出部112は、後述するように、fSIG=0またはfSIG=1の信号を出力する。「0」は無音区間を意味し、「1」は有音区間を意味する。そして、自動ゲイン調整部113は、有音区間に、つまり、fSIG=1を受けている期間に、ゲイン調整を行なう。
【0046】
また、いびき検出部112は、fSIG信号をSASいびき検出部114へも出力する。SASいびき検出部114は、fSIG信号の値に応じて処理を実行する。
【0047】
解析処理部115は、いびき検出部112およびSASいびき検出部114からの検出出力に基づいて、表示部20における検出結果の表示態様を制御するための制御信号を表示制御部120へ送信する。
【0048】
また、睡眠評価装置100には、マイク30において取得される音声を録音するための録音モジュール140と、当該録音モジュール140の動作を制御するための録音制御部130が備えられている。
【0049】
そして、解析処理部115は、SASいびき検出部114から出力される検出結果に基づいたタイミングで、録音モジュール140に録音動作を開始させるためのトリガ信号を、録音制御部130に対して出力する。
【0050】
睡眠評価装置100では、音声サンプリング部111、いびき検出部112、自動ゲイン調整部113、SASいびき検出部114、および、解析処理部115によって、いびきアルゴリズム110が構成されている。そして、いびきアルゴリズム110、電子ボリューム調整部101、A/Dコンバータ102、表示制御部120、および、録音制御部130は、制御部40によって実現される。制御部40は、これらを構成するハードウェア資源が含まれる。なお、特にいびきアルゴリズム110、表示制御部120、および/または、録音制御部130については、CPU41が、メモリ42(または、睡眠評価装置100本体に対して着脱可能な記憶媒体)に記憶されたプログラムを実行することによって実現されてもよい。また、録音モジュール140は、CPU41がメモリ42等に記憶されたプログラムを実行することにより、音声を記録する。音声は、メモリ42(または、睡眠評価装置100本体に対して着脱可能な記憶媒体)に記憶される。
【0051】
記憶媒体としては、CD−ROM(Compact Disk - Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disk - Read Only Memory)、USB(Universal Serial Bus)メモリ、メモリカード、FD(Flexible Disk)、ハードディスク、磁気テープ、カセットテープ、MO(Magnetic Optical Disk)、MD(Mini Disk)、IC(Integrated Circuit)カード(メモリカードを除く)、光カード、マスクROM、EPROM、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read-Only Memory)などの、不揮発的にプログラムを格納する媒体が挙げられる。
【0052】
なお、睡眠評価装置100では、スピーカがさらに備えられていてもよく、そして、CPU41は、ボタン群10を操作されることにより、録音モジュール140で記録された音声を再生することもできる。
【0053】
<いびき検出部112におけるいびきの検出>
(いびき検出の概要)
いびきは、一般的に、呼吸のリズムと同期し、特に呼気時に発生する。図7は、いびきを録音した音の波形の一例を示す図である。
【0054】
いびきは、図7から理解されるように、ある程度一定の間隔で間欠的に発生する音の連続であると言える。そして、本実施の形態では、いびきを「一定以上の有音区間と、同じく一定以上の無音区間が交互に連続する音声」であると仮定し、そして、有音区間を「音量(音の振幅)が、ある閾値を超えている区間」と定義し、また、音量が当該閾値以下の区間を無音区間と定義する。
【0055】
このような定義に基づくと、図7に示されたような波形に対し、図8に示されるような、二値化された単純な音声モデルを得ることができる。図8は、図7に示された音声波形を、所定の閾値に基づいて2値化した結果を示す図である。そして、図8では、音声モデルが一点鎖線で示され、有音区間の発生回数が「1」「2」等の数字で示されている。また、図8では、有音区間が「S」の文字とともにその発生回数を添え字として記載されて、示されている。
【0056】
図8に示されたようなモデル化には、音の振幅の絶対値が用いられている。つまり、本実施の形態では、いびき検出のためには、入力される音声信号の生波形が全波整流されたもの(負側を反転した波形)が使用される。なお、図7および図8には、全波整流前の波形が示されている。
【0057】
そして、本実施の形態のいびき検出部112では、図8に示されたようないびきの音声モデルから、いびきの発生を判断するための指標rが取得される。rは、次の式(1)に従って算出される。
【0058】
【数1】
【0059】
式(1)において、Sは、単位時間(たとえば、15秒〜30秒程度)あたりの全有音区間の長さの合計である。また、Nは、上記単位時間あたりの有音区間の発生回数である。図8に示された例についてrを検討すると、Sは、図8中のS1〜S5で示された区間の時間の長さの合計である。そして、Nは、5である。
【0060】
(いびき検出のための処理内容)
図9は、いびき検出部112において実行されるいびき検出のための処理のフローチャートである。
【0061】
図9を参照して、いびき検出部112は、まず、ステップS10で、いびき検出をスタートするための条件が成立したか否かを判断し、成立したと判断するとステップS20へ処理を進める。
【0062】
ここで、いびき検出をスタートするための条件としては、たとえば、ボタン群10の中の所定のボタンが操作されたことや、タイマ60によって計時される時刻が予め設定されたいびき検出を開始するための時刻に到達したことや、通信部50を介して外部の装置からいびき検出を開始するための指示が入力されたことなどが挙げられる。
【0063】
ステップS20では、いびき検出部112は、いびき検出処理を実行する。ステップS20における処理内容は、図10を参照して、後述する。なお、図10は、ステップS20におけるいびき検出処理のサブルーチンのフローチャートである。そして、ステップS20におけるいびき検出処理が終了すると、いびき検出部112は、ステップS30へ処理を進める。
【0064】
ステップS30では、いびき検出部112は、検出結果の出力要求があったか否かを判断し、そのような要求があったと判断するとステップS40へ処理を進める。
【0065】
ステップS40では、いびき検出部112は、解析処理部115に対して検出結果を出力して、処理を終了する。
【0066】
図10を参照して、ステップS20のいびき検出処理では、いびき検出部112は、まずステップS201で、上記した有音区間判定閾値を設定し、ステップS202へ処理を進める。
【0067】
ステップS201における有音区間判定閾値の設定について説明する。
有音区間判定閾値は、いびき検出処理開始後の所定時間に音声サンプリング部111から入力される音声データが利用されて、設定される。なお、利用される音声データは、音声サンプリング部111から入力された音声信号が、その生波形を全波整流されたものである。そして、このように全波整流された音声データの音量を「AD値」として、以下、説明を行なう。
【0068】
有音区間判定閾値は、たとえば、上記所定時間におけるAD値の最大値(以下、「最大AD値」ともいう)と最小値(以下、「最小AD値」ともいう)を利用して設定される。
【0069】
なお、最大AD値と最小AD値の組合せによっては、いびき判定ができないとされる場合もある。このような場合には、図10に示されたいびき検出処理を中止して(ステップS202へ処理が進められることなく)、図9に処理を戻す。この場合には、ステップS40(図9)では、いびき検出部112から解析処理部115に対して、いびき検出の検出結果の代わりに、当該検出が中止された旨の信号が出力される。
【0070】
ここで、最大AD値と最小AD値の組合せによっては、いびき判定ができないとされる場合としては、たとえば、最大AD値が最小AD値以下である場合、または、最大AD値が最小AD値以上であって最大AD値と最小AD値との差が所定の値以下である場合、などが挙げられる。
【0071】
また、最大AD値と最小AD値を利用した有音区間判定閾値の具体例としては、これらの差分を最小AD値に加えて得られる値が挙げられる。図11を参照して、この具体例を説明する。
【0072】
図11では、有音区間判定閾値が、値SHとして示されている。値SHの算出の際には、まず、最大AD値(図11中の「DH」)と最小AD値(図11中の「DL」)の差分が算出される。図11では、差分は「DIF」で示されている。次に、当該差分DIFに対する一定の割合(「1/4」「1/5」等)の値が算出される。「一定の割合」は、睡眠評価装置100が使用される環境ごとに適宜設定され得る。図11では、差分DIFの一定の割合の値が、「V1」で示されている。そして、最小AD値と値V1が、値SH、つまり、有音区間判定閾値とされる。
【0073】
図10に戻って、ステップS202では、いびき検出部112は、いびき測定処理を実行して、ステップS203へ処理を進める。いびき測定処理は、いびき検出部112が出力する信号fSIGの値(1または0)を決定するための処理である。当該処理の内容については、後述する。
【0074】
ステップS203では、ステップS202のいびき測定処理を開始してから上記した単位時間が経過したか否かを判断し、まだ経過していないと判断するとステップS202へ処理を戻し、経過したと判断するとステップS204へ処理を進める。
【0075】
ステップS204では、ステップS202におけるいびき測定処理の結果に基づいて、上記したSおよびNを算出して、ステップS205に処理を進める。
【0076】
ステップS205では、いびき検出を終了するための条件が成立したか否かを判断し、成立したと判断すると図9に処理を戻し、まだ成立していないと判断するとステップS203へ処理を戻す。
【0077】
ここで、いびき検出の終了のための条件としては、たとえば、ボタン群10の中の所定のボタンが操作されたこと、メモリ42において予め記憶された終了時刻が到来したこと、通信部50を介して外部の装置からいびき検出を終了する指示が入力されたことが挙げられる。
【0078】
以上図10を参照して説明された処理では、単位時間が経過するごとに、SおよびNの値の算出が実行されるが、これらの値を算出するタイミングは、これに限定されず、たとえば、後述する図21等に示されるような解析結果を表示するためのデータが作成されるときであっても良い。
【0079】
なお、ステップS202のいびき測定処理では、いびき検出部112は、たとえば、fSIGの値を初期値である「0」に設定し、また、所定時間ごとのAD値を取得し、そして、当該取得したAD値が一定回数以上連続して有音区間判定閾値を超えたことを条件として、fSIGの値を「1」へと更新する。
【0080】
なお、いびき検出部112は、fSIGの値を「1」に更新した後、特定回数以上連続してAD値が有音区間判定閾値を下回ったことを条件として、fSIGの値を「0」へと更新する。
【0081】
このようにfSIGの値が設定されることにより、図12に示されたような小刻みに判定結果が切り替わる部分を含むような音声モデルではなく、図14に示されるように、このような小刻みな切り替わりをノイズとして除去された音声モデルを生成することができる。
【0082】
図12は、いびき検出部112に入力される音声データと、当該音声データが2値化されたモデルの一例とを示す図である。なお、図12では、音声モデルは、一点鎖線で示されている。図12に示された音声モデルでは、AやBで示された部分において、比較的短時間でHigh(「fSIG=1」に対応する「いびき有り」の状態)とLow(「fSIG=0」に対応する「いびき無し」の状態)が切り替わっている。
【0083】
一方、図13は、上記したようないびき測定処理に従った出力信号の決定の態様を説明するための図である。図13では、図12等に示された音量波形が、時間軸(横軸)を拡大されて示されている。
【0084】
図13において一点鎖線で示された音声モデルは、時刻T1でLowからHighに切り替わり、また、時刻T2でHighからLowに切り替わっている。
【0085】
図13の例では、時刻T1の直前(図中左側)に、4個の丸印が示されている。これらは、4回連続して、有音区間判定閾値(SH)を超えた値が検出されたことを示している。この例では、上記「一定回数」の一例が「4」とされる。そして、図13に示された音声モデルでは、4回連続して有音区間判定閾値を超えた値が検出されたことに応じて、状態がLowからHighに切替えられている。
【0086】
また、図13の例では、時刻T2の直前に、4個の丸印が示されている。これらは、4回連続して、有音区間判定閾値(SH)を下回る値が検出されたことを示している。この例では、上記「特定回数」の一例が「4」とされる。そして、図13に示された音声モデルでは、4回連続して有音区間判定閾値を下回る値が検出されたことに応じて、状態がHighからLowに切替えられている。
【0087】
このように一定回数連続してSHを超えた/下回る値が検出されたことに応じて信号が切替えられることにより、音声モデルにおける、図12においてAやBで示されたような短時間での切り替わりがノイズとして除去されて、図14に示されるような音声モデルを生成できる。
【0088】
<解析結果の生成>
以上説明したいびき検出部112における検出の結果に基づいて、検出期間において、単位時間ごとにSおよびNの値が算出される。これに基づいて、解析処理部115は、上記した式(1)に従って、単位時間ごとのrの値を求めることができる。
【0089】
そして、解析処理部115は、単位時間ごとに、rの値に基づいて、いびきについてのレベルを決定する。
【0090】
なお、いびきのレベルは、たとえば、rの値が大きくなるほど、つまり、単位時間あたりのいびきの発生時間が長く、かつ、いびきの回数が多いほど、いびきのレベルとして高いレベルが設定される。ここで、レベルの高低とは、レベルが高いほど、頻度が高くいびきが発生していることを示す。
【0091】
また、rが特定の値を下回る場合、Sが一定の値を超える場合、または、Nが所定の値を超える場合については、いびきのレベルは「0」、つまり、いびきが発生していないと判定される。Sが一定の値を超えた場合は、当該結果が対応する単位時間中に検出された音声が、外を通る車両のサイレンの音などのいびき以外の継続的に発生した音声であったとして、いびきは発生していないと判断される。Nが所定の値を超えた場合は、当該結果が対応する単位時間中に検出された音声が、テレビやステレオから流れる音楽などのいびき以外の断続的に発生した音声であったとして、いびきは発生していないと判断される。なお、本実施の形態では、rが特定の値を下回ることが、所定の期間において音声が取得された累積時間が特定の時間より短い場合や、所定の期間における音声の取得された回数が特定の回数以下である場合に相当する。
【0092】
<解析結果の表示例>
図21は、上記したような解析結果であるいびきのレベルを表示する画面の例を示す図である。
【0093】
図21に示される画面では、2011年7月6日の17時から翌日の7月7日の0時までの検出結果が示されている。なお、この例では、睡眠評価装置100は、さらに、被測定者の睡眠深度および体動の大きさを検出できるように構成されている。そして、図21の画面では、「睡眠」として睡眠深度の変化が示され、「体動」として体動の大きさが示され、そして、「いびきレベル」として、上記したようにrの値やN,Sの値に基づいて求められる単位時間ごとのいびきのレベルの変化が示される。
【0094】
このような画面は、たとえば、ステップS30において出力要求があったことに基づいて、ステップS40で、検出結果として表示部20に表示される。なお、CPU41は、他の装置からの要求に応じて、図21に示されるような画面を表示するためのデータを他の装置に送信しても良い。
【0095】
なお、図21の「睡眠」のグラフでは、眠りが浅いと判定された(睡眠深度が所定の値よりも低いと判定された)期間が塗りつぶされて示されている。
【0096】
図22は、いびきのレベルを表示する画面の他の例を示す図である。図22に示される画面では、7月5日の火曜日から7月10日の日曜日までの各日の、24時間に対応する情報が表示されている。
【0097】
図22において、折れ線グラフは、睡眠深度を示している。また、図21の「睡眠」と同様に、眠りが浅いと判定された期間は塗りつぶされて示されている。なお、折れ線が示されていない期間は、睡眠深度等の睡眠に関する検出が行なわれていない期間である。
【0098】
また、図22では、部分的に丸印が示されている。この丸印は、上記したようにrの値やN,Sの値に基づいて求められたいびきのレベルが所定のレベル以上(たとえば、レベル3以上)であったことを示している。
【0099】
図21または図22に示したようないびきのレベルが表示されることにより、被測定者等に客観的にいびきの発生を報知することができる。
【0100】
<SASいびき検出部114におけるいびきの検出>
(SASいびき検出の概要)
OSASと診断されている患者のいびきには、以下の特徴がある。
【0101】
1)いびきが密に連続した区間と長い無音区間が交互に現れる
2)通常のいびきと異なり、吸気時にも音が発生する傾向が高い
図17は、OSASと診断された患者のいびきが録音された波形の一例を示す図である。そして、図18は、図17においてAで示された区間を時間的に拡大した波形を示す図である。図18では、図17に対して、13〜4倍程度、横軸を拡大している。なお、各図では、横軸に計測された時刻(時:分:秒)が示されている。たとえば「2:56:30」は、午前2時56分30秒を示している。
【0102】
さて、図18では、上記したような有音区間判定閾値を用いて生成される音声モデルが線L1で示されている。SASいびき検出部114では、線L1においてみられる一連の有音区間を、さらに、線L2で示されるように一つの音の塊とみなされて音声モデルが生成される。図19は、SASいびき検出部114によって生成される音声モデルの一例を示す図である。SASいびき検出部114によって生成される音声モデルでは、図18に線L2として示されたように一連の有音区間を一つの音の塊としてみなすことにより、図19にShとSlとして示されたように、比較的長いスパンを持つ有音区間と無音区間を形成できる。これにより、本実施の形態では、いびき音量の検出結果からOSASの特徴を見出すための指標を取得できる。
【0103】
なお、指標としては、各有音区間の長さ(図19のSh)と各無音区間の長さ(図19のSl)が挙げられる。そして、本実施の形態では、Slが次の式(2)の条件を満たし、かつ、Shが式(3)の条件を満たした場合に、SASいびき(OSASいびき)が発生したと判定される。
【0104】
【数2】
【0105】
式(2)において、SlminとSlmaxは、Slについての判定のために予め定められる値である。また、式(3)において、ShminとShmaxは、Shについての判定のために予め定められる値である。
【0106】
(OSASいびき検出のための処理内容)
図15は、SASいびき検出部114において実行されるいびき検出のための処理のフローチャートである。
【0107】
図15を参照して、SASいびき検出部114は、まず、ステップSB10で、いびき検出をスタートするための条件が成立したか否かを判断し、成立したと判断するとステップSB20へ処理を進める。ここで、いびき検出をスタートするための条件としては、たとえば、ボタン群10の中の所定のボタンが操作されたことや、タイマ60によって計時される時刻が予め設定されたいびき検出を開始するための時刻に到達したことや、通信部50を介して外部の装置からいびき検出を開始するための指示が入力されたことなどが挙げられる。
【0108】
ステップSB20では、SASいびき検出部114は、いびき検出処理を実行する。ステップSB20における処理内容は、図16を参照して後述する。なお、図16は、ステップSB20におけるいびき検出処理のサブルーチンのフローチャートである。そして、ステップSB20におけるいびき検出処理が終了すると、SASいびき検出部114は、ステップSB30へ処理を進める。
【0109】
ステップSB30では、SASいびき検出部114は、検出結果の出力要求があったか否かを判断し、そのような要求があったと判断するとステップSB40へ処理を進める。
【0110】
ステップSB40では、SASいびき検出部114は、解析処理部115に対して検出結果を出力して、処理を終了する。
【0111】
図16を参照して、ステップSB20のいびき検出処理では、SASいびき検出部114は、まずステップSB211で、上記した有音区間判定閾値を設定し、ステップSB212へ処理を進める。有音区間判定閾値は、たとえばステップS201において設定された値が利用される。
【0112】
ステップSB212では、SASいびき検出部114は、いびき測定処理を実行して、ステップSB213へ処理を進める。いびき検出を終了するための条件が成立したか否かを判断し、成立したと判断すると図15に処理を戻し、まだ成立していないと判断するとステップSB212へ処理を戻す。ここで、いびき検出の終了のための条件としては、たとえば、ボタン群10の中の所定のボタンが操作されたこと、メモリ42において予め記憶された終了時刻が到来したこと、通信部50を介して外部の装置からいびき検出を終了する指示が入力されたことが挙げられる。
【0113】
以上図16を参照して説明された処理では、いびき検出が終了するための条件が成立するまで、いびき測定処理が継続される。
【0114】
なお、SASいびき検出部114は、図16のステップSB212のいびき測定処理では、HighカウンタとLowカウンタを利用して、fGRP信号の値を設定する。そして、SASいびき検出部114は、このように値を設定したfGRP信号を、その時刻とともに記録する。これにより、SASいびき検出部114は、図19等を参照して説明したような音声モデルを生成できる。
【0115】
信号fGRPは、図18において線L2として示されたような、近接したいびきの発生区間をまとめて扱う音声モデルにおける、有音区間/無音区間を示すための信号でもある。「fGRP=1」は有音区間を示し、「fGRP=0」は無音区間を示す。
【0116】
SASいびき検出部114は、いびき測定処理において、前回の当該処理実行時から今回の当該処理実行時において、fSIGの値が「0」から「1」に切り替わったことを条件として、Highカウンタのカウント値を1加算更新し、また、fSIGの値が「1」から「0」に切り替わったことを条件として、Lowカウンタのカウント値を1加算更新する(ステップSC90)。そして、SASいびき検出部114は、HighカウンタまたはLowカウンタのカウント値が所定の閾値を上回ったことを条件として、いびきの有無の判定結果(fGRP=1/0)を切替える。つまり、Highカウンタの値が所定の閾値を上回れば、fGRPの値が1へと切替えられる。また、Lowカウンタの値が所定の閾値を上回れば、fGRPの値が0へと切替えられる。これにより、図19を参照して説明したような、SASいびきの特徴を特定できるような音声モデルを生成することができる。
【0117】
上記したように、fGRP信号は、その時刻とともに記録される。これにより、SASいびき検出部114は、図19等を参照して説明したような音声モデルを生成できる。そして、SASいびき検出部114は、ステップSB40において、当該音声モデルに基づいて、上記した指標であるShおよびSlを少なくとも1つずつ算出し、これらの値に基づき、式(2)および式(3)に従って、SASいびき(OSASいびき)の発生の有無を判断し、そして、その結果を解析処理部115へ出力する。
【0118】
[変形例等]
以上説明した本実施の形態では、解析処理部115は、たとえば図21や図22に示したように、いびき検出部112によって算出されたS値およびN値に基づいていびきのレベルを算出し、当該レベルを測定結果として表示させることができる。
【0119】
なお、解析処理部115は、SASいびき検出部114による検出結果に基づいてSASいびきが発生したと判定された時間帯を、測定結果として表示させることもできる。図21や図22では、測定結果が測定対象となった時刻とともに表示されるが、SASいびきの発生した時間帯は、たとえば、このような表示において発生した時間帯を着色表示させることによって、表示される。
【0120】
また、解析処理部115は、発生したいびきを客観的に非測定者等に伝えるために、いびき検出部112による検出結果によっていびきのレベルが所定のレベル以上となった判定された期間、または、SASいびき検出部114による検出結果によってSASいびきを発生したと判定された期間、録音制御部130に録音モジュール140を動作させることにより、マイク30で取得される音声を録音しても良い。解析処理部115は、いびき検出部112から、いびき測定中に逐次S値およびN値を取得し、逐次いびきのレベルを決定し、そして、決定されたレベルが所定のレベル以上であったことを条件として、録音制御部130に録音を指示する。また、解析処理部115は、逐次SASいびき検出部114から検出結果を取得し、そして、SASいびきの発生を条件として、録音制御部130に録音を指示する。
【0121】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0122】
10 ボタン群、10A〜10E ボタン、20 表示部、30 マイク、40 制御部、100 睡眠評価装置、112 いびき検出部、113 自動ゲイン調整部、114 SASいびき検出部、115 解析処理部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声を取得するための取得手段と、
前記取得手段によって取得された音声についての、当該音声が発生した時間的な量に基づいて、いびきのレベルを決定するための決定手段とを備え、
前記決定手段は、前記取得手段において音声が取得された累積時間の、前記取得手段において音声が取得された回数に対する比に基づいて、前記いびきのレベルを決定する、睡眠評価装置。
【請求項2】
前記決定手段は、
所定の期間ごとに、前記いびきのレベルを決定し、
前記所定の期間において音声が取得された累積時間が、第1の時間より長い場合または前記第1の時間よりも短い第2の時間より短い場合には、いびきの発生がないと決定する、請求項1に記載の睡眠評価装置。
【請求項3】
前記決定手段は、
所定の期間ごとに、前記いびきのレベルを決定し、
前記決定手段は、前記所定の期間における音声の取得された回数が、第1の回数以上である場合または前記第1の回数より少ない第2の回数未満である場合には、いびきの発生がないと決定する、請求項2に記載の睡眠評価装置。
【請求項4】
被測定者の体動を検出するための検出手段と、
表示装置に、前記検出手段によって検出された体動、および、前記決定手段によって決定されたいびきのレベルの時間変化を表示させるための表示制御手段とをさらに備える、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の睡眠評価装置。
【請求項5】
音声を取得するための取得手段と、
前記取得手段によって取得された音声についての、音声が連続して発生した期間の長さおよび音声が連続して発生しなかった期間の長さに基づいて、睡眠時無呼吸症候群のいびきが発生したか否かを判定するための判定手段とを備える、睡眠評価装置。
【請求項1】
音声を取得するための取得手段と、
前記取得手段によって取得された音声についての、当該音声が発生した時間的な量に基づいて、いびきのレベルを決定するための決定手段とを備え、
前記決定手段は、前記取得手段において音声が取得された累積時間の、前記取得手段において音声が取得された回数に対する比に基づいて、前記いびきのレベルを決定する、睡眠評価装置。
【請求項2】
前記決定手段は、
所定の期間ごとに、前記いびきのレベルを決定し、
前記所定の期間において音声が取得された累積時間が、第1の時間より長い場合または前記第1の時間よりも短い第2の時間より短い場合には、いびきの発生がないと決定する、請求項1に記載の睡眠評価装置。
【請求項3】
前記決定手段は、
所定の期間ごとに、前記いびきのレベルを決定し、
前記決定手段は、前記所定の期間における音声の取得された回数が、第1の回数以上である場合または前記第1の回数より少ない第2の回数未満である場合には、いびきの発生がないと決定する、請求項2に記載の睡眠評価装置。
【請求項4】
被測定者の体動を検出するための検出手段と、
表示装置に、前記検出手段によって検出された体動、および、前記決定手段によって決定されたいびきのレベルの時間変化を表示させるための表示制御手段とをさらに備える、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の睡眠評価装置。
【請求項5】
音声を取得するための取得手段と、
前記取得手段によって取得された音声についての、音声が連続して発生した期間の長さおよび音声が連続して発生しなかった期間の長さに基づいて、睡眠時無呼吸症候群のいびきが発生したか否かを判定するための判定手段とを備える、睡眠評価装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図9】
【図10】
【図15】
【図16】
【図7】
【図8】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図9】
【図10】
【図15】
【図16】
【図7】
【図8】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2013−106906(P2013−106906A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256414(P2011−256414)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【出願人】(304020177)国立大学法人山口大学 (579)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【出願人】(304020177)国立大学法人山口大学 (579)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]