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睡眠障害の予防・治療剤
説明

睡眠障害の予防・治療剤

【課題】睡眠障害の予防や治療に有用なキサンチン誘導体の提供。
【解決手段】下記の式(I):


〔R1、R2、及びR3は水素原子、低級アルキル基などを示し;R4はシクロアルキル基、−(CH2n−R5(R5は置換若しくは非置換のアリール基などを示し;nは0〜4の整数を示す)などを示し;X1及びX2はO又はSを示す〕で表されるキサンチン誘導体〔例えば(E)−8−(3,4−ジメトキシスチリル)−1,3−ジエチル−7−メチルキサンチンなど〕又は薬理的に許容されるその塩を有効成分として含み、ナルコレプシー、反復性過眠症、概日リズム睡眠障害などの睡眠障害の予防や治療に有用な医薬。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、睡眠障害の予防及び/又は治療に有用な医薬の発明に関する。
【背景技術】
【0002】
睡眠障害は、内在因性睡眠障害、外在因性睡眠障害、概日リズム睡眠障害などの睡眠異常;覚醒障害、睡眠・覚醒移行障害などの睡眠随伴症;及び精神障害や神経学的障害などに関連する睡眠障害などに大別される疾患であり、約90種類にも達する多数の疾患に細分されている(睡眠障害の国際的診断分類:ICSD(International Classification of Sleep Disorders)1990)。このように多様な症状や病因をもつ睡眠障害に対しては、その症状や病因にあわせてバルビツール酸系、ベンゾジアゼピン系、向精神薬など種々の薬剤が用いられている。キサンチン誘導体としてはカフェイン、ペントキシフィリンなどの薬剤が用いられている。
【0003】
一方、アデノシンA2受容体拮抗作用、抗パーキンソン病作用、抗うつ作用、抗喘息作用、骨吸収抑制作用、又は中枢興奮作用を有するキサンチン誘導体が知られている(特許文献1〜7及び非特許文献1〜2)。しかしながら、上記刊行物には、これらのキサンチン誘導体が睡眠障害の予防や治療に有用であることは示唆ないし教示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭47−26516号公報
【特許文献2】WO92/06976号公報
【特許文献3】特開平6−211856号公報
【特許文献4】特開平6−239862号公報
【特許文献5】WO95/23165号公報
【特許文献6】特開平6−16559号公報
【特許文献7】WO94/01114号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.)、34巻、1431頁、1991年
【非特許文献2】ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.)、36巻、1333頁、1993年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、睡眠障害の予防及び/又は治療に有用な医薬を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行ったところ、上記の刊行物に開示されたキサンチン誘導体が睡眠時間の短縮作用や覚醒作用などの生理作用を有しており、睡眠障害の予防及び/又は治療のための医薬の有効成分として有用であることを見出した。本発明は上記の知見を基にして完成されたものである。
すなわち本発明は、下記の式(I):
【0008】
【化1】

【0009】
{式中、R1、R2、及びR3はそれぞれ独立に水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、又は低級アルキニル基を示し;R4はシクロアルキル基、−(CH2n−R5(式中、R5は置換若しくは非置換のアリール基、又は置換若しくは非置換の複素環基を示し、nは0〜4の整数を示す)、又は下記の式A:
【0010】
【化2】

【0011】
〔式中、Y1及びY2はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又は低級アルキル基を示し、Zは置換若しくは非置換のアリール基、下記の式B:
【0012】
【化3】

【0013】
(式中、R6は水素原子、ヒドロキシ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、又は置換若しくは非置換のアミノ基を表し、mは1〜3の整数を示す)で表される基、又は置換若しくは非置換の複素環基を示す〕で表される基を示し;X1及びX2はそれぞれ独立にO又はSを示す}で表されるキサンチン誘導体及び薬理的に許容されるその塩、並びにそれらの水和物及び溶媒和物からなる群から選ばれる物質を有効成分として含む睡眠障害の予防及び/又は治療剤を提供するものである。
【0014】
本発明の好ましい態様によれば、R4が式Aで表される基(ただしY1及びY2は共に水素原子である)であり、X1及びX2が共にOである上記式(I)で表されるキサンチン誘導体及び薬理的に許容されるその塩、並びにそれらの水和物及び溶媒和物からなる群から選ばれる物質を有効成分として含む上記の予防及び/又は治療剤;並びに、(E)−8−(3,4−ジメトキシスチリル)−1,3−ジエチル−7−メチルキサンチン及び薬理的に許容されるその塩、並びにそれらの水和物及び溶媒和物からなる群から選ばれる物質を有効成分として含む上記の予防及び/又は治療剤が提供される。
【0015】
別の観点からは、上記の予防及び/又は治療剤の製造のための上記式(I)で表されるキサンチン誘導体及び薬理的に許容されるその塩、並びにそれらの水和物及び溶媒和物からなる群から選ばれる物質の使用;並びに、睡眠障害の予防及び/又は治療方法であって、上記物質の有効量をヒトを含む哺乳類動物に投与する工程を含む方法が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の医薬は、ナルコレプシー、反復性過眠症、突発性過眠症、概日リズム睡眠障害などの睡眠障害の予防及び/又は治療に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書において、ある置換基について「低級」という場合には、特に言及しない限り、その置換基の炭素原子数が1ないし6個(不飽和結合を含む置換基については2ないし6個)、好ましくは1ないし4個(不飽和結合を含む置換基については2ないし4個)であることを意味している。また、本明細書において用いられる「低級アルキル基」という用語、又は1又は2個以上の低級アルキル基を構成要素として含む置換基(低級アルキルアミノ基や低級アルカノイル基など)における「低級アルキル」という用語又はその類義語は、炭素原子数1ないし6個、好ましくは炭素原子数1ないし4個の直鎖又は分枝鎖のアルキル基を意味している。具体的には、低級アルキル基として、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基などを用いることができる。
【0018】
上記式(I)において、R1、R2、及びR3はそれぞれ独立に水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、又は低級アルキニル基を示す。低級アルケニル基は直鎖又は分枝鎖のいずれでもよく、例えば、ビニル基、アリル基、メタクリル基、クロチル基、3−ブテニル基、2−ペンテニル基、4−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基などを用いることができる。アルケニル基に含まれる二重結合の数は特に限定されないが、1個又は2個、好ましくは1個である。低級アルキニル基は直鎖又は分枝鎖のいずれでもよく、例えば、エチニル基、プロパルギル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、2−ペンチニル基、4−ペンチニル基、2−ヘキシニル基、5−ヘキシニル基、4−メチル−2−ペンチニル基などを用いることができる。アルキニル基に含まれる三重結合の数は特に限定されないが、好ましくは1個である。
【0019】
4はシクロアルキル基、−(CH2n−R5(nは0〜4の整数を示す)、又は上記の式Aで表される基を示す。シクロアルキル基としては、3ないし8員環のシクロアルキル基を用いることができ、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などを好適に用いることができる。上記のシクロアルキル基の環上には1ないし2個以上の低級アルキル基が置換していてもよい。
【0020】
5は置換若しくは非置換のアリール基、 又は置換若しくは非置換の複素環基を示す。アリール基としては、例えば、フェニル基又はナフチル基などを好適に用いることができる。複素環基としては、例えば、5ないし10員環の単環性複素環基あるいは縮合複素環基を用いることができ、これらの複素環基は窒素原子、硫黄原子、酸素原子などから選ばれる同一又は異なるヘテロ原子を2個以上含んでいてもよい。より具体的には、複素環基として、フリル基、チェニル基、ピロリル基、ピラニル基、チオピラニル基、ピリジル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、ピリミジル基、トリアジニル基、インドリル基、キノリル基、プリニル基、ベンゾチアゾリル基などを用いることができる。
【0021】
本明細書において、ある置換基について置換若しくは非置換という場合には、その置換基が1個又は2個以上、好ましくは1ないし3個の官能基を有する場合があることを意味している。そのような官能基が2個以上存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。このような官能基としては、例えば、低級アルキル基、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基など)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子のいずれでもよい)、ニトロ基、アミノ基、低級アルキルアミノ基(メチルアミノ基、エチルアミノ基など)、ジ低級アルキルアミノ基(エチルメチルアミノ基、ジメチルアミノ基など)、ハロゲン化低級アルキル基(トリフルオロメチル基、2,2,2−トリクロロエチル基など)、ハロゲン化低級アルコキシ基(トリフルオロメトキシ基など)、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基など)、アラルキルオキシ基(ベンジルオキシ基など)、アリール基(フェニル基、ナフチル基など)、アリールオキシ基(フェノキシ基、ナフトキシ基など)、低級アルカノイル基(アセチル基、プロピオニル基など)、低級アルカノイルオキシ基(アセトキシ基など)、アロイル基(ベンゾイル基、ナフトイル基など)アロイルオキシ基(ベンゾイルオキシ基、ナフトイルオキシ基など)、カルボキシ基、低級アルコキシカルボニル基(エトキシカルボニル基など)、カルバモイル基、低級アルキルカルバモイル基、ジ低級アルキルカルバモイル基、スルホン酸基、低級アルコキシスルホニル基、低級アルキルスルファモイル基、ジ低級アルキルスルファモイル基などを挙げることができる。もっとも、官能基の種類はこれらに限定されることはなく、また、上記に具体的に示した官能基がさらに1個又は2個以上の官能基を有していてもよい。例えば、低級アルコキシに置換する官能基としては、例えば、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アジド基、カルボキシ基、低級アルコキシカルボニル基などを挙げることができる。
【0022】
上記の式Aで表される基において、Y1及びY2はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又は低級アルキル基を示す。式中、Y2及びZについての波線は、Y1及びY2が二重結合に関してシス又はトランス配置(あるいはE又はZ)のいずれかであるか、又は両者の異性体の混合物であることを示している。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子のいずれを用いてもよい。Y1及びY2がトランス配置であり、ともに水素原子であることが好ましい。Zは、置換若しくは非置換のアリール基、上記の式Bで表される基、又は置換若しくは非置換の複素環基を示す。アリール基又は複素環基としては上記に例示したものを用いることができる。
【0023】
上記の式Bで表される基において、R6は水素原子、ヒドロキシ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、又は置換若しくは非置換のアミノ基を表し、mは1〜3の整数を示す。低級アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基などを用いることができ、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子のいずれを用いてもよい。置換アミノ基としては、例えば、モノ低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、低級アルカノイルアミノ基(アセチルアミノ基など)、アラルキルアミノ基(ベンジルアミノ基など)などを挙げることができる。R6が水素原子以外の基である場合には、フェニル基上のR6の置換位置は特に限定されない。
1及びX2はそれぞれ独立にO又はSを示すが、両者が酸素原子であることが好ましい。
【0024】
本発明の医薬の有効成分としては、式(I)で表される化合物の薬理的に許容される塩を用いることができる。このような塩として、例えば、酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、又はアミノ酸付加塩などを挙げることができる。酸付加塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩などの無機酸塩、又は酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩などの有機酸塩を用いることができる。金属塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩等を用いることができる。アンモニウム塩としては、例えばアンモニウム、テトラメチルアンモニウムなどの塩を挙げることができ、有機アミン付加塩としては、モルホリン、ピペリジン等の付加塩を挙げることができる。また、アミノ酸付加塩としては、リジン、グリシン、フェニルアラニン等の付加塩があげられる。
【0025】
式(I)で表される化合物又は薬理的に許容されるその塩は、水和物又は各種溶媒との付加物(溶媒和物)の形態で存在することもあるが、本発明の医薬の有効成分として、任意の水和物、又は生理学的に許容される任意の溶媒和物を用いてもよい。溶媒和物を形成する有機溶媒は生理学的に許容されるものであれば特に制限されないが、例えば、エタノール、アセトンなどを用いることができる。式(I)で表される化合物は1個又は2個以上の不斉炭素を有する場合もあるが、純粋な形態の光学異性体若しくはジアステレオ異性体、又はこれらの異性体の任意の混合物、ラセミ体などを本発明の医薬の有効成分として用いてもよい。さらに、1個又は2個以上の二重結合に基づく幾何異性体が存在する場合があるが、純粋な形態の幾何異性体又は幾何異性体の任意の混合物を本発明の医薬の有効成分として用いてもよい。
【0026】
上記式(I)に包含される化合物は、特公昭47−26516号公報;ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.)、34巻、1431頁、1991年;ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.)、36巻、1333頁、1993年;WO92/06976号公報;特開平6−211856号公報;特開平6−239862号公報;WO95/23165号公報;特開平6−16559号公報;及びWO94/01114号公報などの刊行物に記載された方法に従って、又はそれらの方法に適宜の修飾や改変を加えることにより容易に製造することができる。塩の形態の物質は、例えば、遊離形態の式(I)の化合物から当業者に周知の方法に従って製造することができる。なお、本発明の医薬に特に好適な化合物として(E)−8−(3,4−ジメトキシスチリル)−1,3−ジエチル−7−メチルキサンチン(特開平6−211856号公報の実施例2に記載された化合物)を挙げることができるが、本発明の医薬の有効成分は上記化合物に限定されることはない。
【0027】
本発明の医薬は、睡眠障害の予防及び/又は治療に有用である。睡眠障害に関しては種々の分類が報告されており、多様な症状や病因が明らかにされている。例えば、睡眠障害の国際分類(ICSD,Diagnostic and Coding Manual,American Sleep Disorders Association,1990)に従えば、睡眠障害には(A)睡眠異常(内在因性睡眠障害、外在因性睡眠障害、及び概日リズム睡眠障害を含む)、(B)睡眠随伴症(覚醒障害、睡眠・覚醒移行障害、通常レム睡眠と関連する睡眠随伴症、その他の睡眠随伴症を含む)、(C)身体疾患・精神障害と関連する睡眠障害(精神障害と関連するもの、神経学的障害と関連するもの、他の身体疾患と関連するものを含む)、及び(D)提案検討中の睡眠障害(例えば、短時間睡眠者、長時間睡眠者、亜覚醒症候群などを含む)が包含される。本発明の医薬はこれらの睡眠障害のいずれにも適用可能であり、また、他の分類(例えば、アメリカ睡眠障害センター連合会のASDC;アメリカ精神医学会のDSM−III−R又はDSM−IV;国際疾病分類のICD−10など)に従って特定されるいずれの睡眠障害にも適用可能である(睡眠障害の分類については、菱川泰夫著、神経精神薬理、第18巻、第2号、第65〜72頁を参照のこと)。
【0028】
これらの睡眠障害のうち、本発明の医薬の好適な適用対象としては、例えば、ナルコレプシー(narcolepsy)、反復性過眠症(周期性傾眠症、recurrent hypersomnia)、突発性過眠症(idiopathic hypersomnia)、外傷性過眠症(posttraumatic hypersomnia)、概日リズム睡眠障害(circadian rhythm sleep disorders)などを挙げることができるが、本発明の医薬の適用対象はこれらに限定されることはない。なお、本発明の医薬は覚醒作用を有しているので、老年痴呆の予防及び/又は治療薬としても有用である。
【0029】
本発明の医薬としては、一般式(I)で表される化合物及び薬理的に許容されるその塩、並びにそれらの水和物及び溶媒和物からなる群から選ばれる物質を用いることができる。これらの群から選ばれる2以上の物質を適宜組み合わせて用いてもよい。これらの群から選ばれる物質自体を本発明の医薬として投与してもよいが、通常は、これらの群から選ばれる物質と製剤学的に許容される製剤用添加物とを含む医薬組成物の形態で投与することが望ましい。このような医薬組成物には、他の医薬の有効成分、例えば、睡眠障害の予防及び/又は治療に用いられる他の医薬の有効成分などの1種又は2種以上を適宜配合することが可能である。
【0030】
本発明の医薬の好ましい態様である医薬組成物は、上記の群から選ばれる有効成分である物質を製剤学的に許容される製剤用添加物の1種又は2種以上と混合し、製剤学の分野において汎用の製剤方法に従って容易に製造することができる。このような医薬組成物は単位投与形態の組成物とすることが望ましい。本発明の医薬の投与経路は特に限定されないが、予防及び/又は治療に際して最も効果的な経路を適宜選択することが望ましい。経口投与に適する医薬組成物としては、例えば、カプセル剤、散剤、錠剤、顆粒剤、細粒剤、シロップ剤、溶液剤、懸濁剤などを挙げることができ、非経口投与に適する医薬組成物としては、例えば、吸入剤、噴霧剤、直腸内投与剤、注射剤、点滴剤、軟膏、クリーム剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、テープ剤、貼付剤などを挙げることができる。もっとも、本発明の医薬の形態は上記に例示した製剤に限定されることはない。
【0031】
経口投与に適当な医薬組成物のうち、例えば乳剤及びシロップ剤などの液体製剤は、水;蔗糖、ソルビット、果糖等の糖類;ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;ごま油、オリーブ油、大豆油等の油類;p−ヒドロキシ安息香酸エステル類等の防腐剤;ストロベリーフレーバー、ペパーミント等のフレーバー類などの製剤用添加物を用いて製造することができる。カプセル剤、錠剤、散剤、及び顆粒剤などの固形製剤は、乳糖、ブドウ糖、蔗糖、マンニット等の賦形剤;澱粉、アルギン酸ソーダ等の崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤;ポリビニールアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン等の結合剤;脂肪酸エステル等の界面活性剤;グリセリン等の可塑剤等を用いて製造することができる。
【0032】
非経口投与に適する医薬組成物のうち、注射剤、点滴剤、点眼剤などの形態の液体製剤は、好ましくは滅菌された等張の液体製剤として調製することができる。例えば、注射剤は、塩溶液、ブドウ糖溶液、又は塩水とブドウ糖溶液との混合物からなる水性媒体を用いて調製することができる。直腸内投与剤は、例えばカカオ脂、水素化脂肪又は水素化カルボン酸等の担体を用いて、通常は座剤の形態として調製することができる。また、噴霧剤の調製には、有効成分である上記の物質を微細な粒子として分散させて吸収を容易にする非刺激性の担体を用いることができる。このような担体として、例えば、乳糖、グリセリン等を挙げることができ、製剤の形態としてはエアロゾルやドライパウダー等の形態を選択することが可能である。なお、非経口投与用の医薬組成物の製造においても、経口剤で例示した希釈剤、香料、防腐剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、界面活性剤、可塑剤等から選択される1種又は2種以上の製剤用添加物を適宜用いることができる。もっとも、本発明の医薬の製造に用いられる製剤用添加物は上記のものに限定されることはなく、当業者に利用可能なものであればいかなるものを用いてもよい。
【0033】
本発明の医薬の投与量及び投与回数は特に限定されないが、一般的には、成人一日当り1〜900mg/60kg、好ましくは1〜200mg/60kgが適当である。上記の投与量を1日1回ないし数回にわけて投与してもよい。上記の投与量及び投与回数は、投与経路、患者の年齢及び体重、治療及び/又は予防すべき疾患の種類、治療及び/又は予防の目的、症状及び重篤度などの因子を考慮して適宜増減することが望ましい。
【実施例】
【0034】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。実施例中、式(I)の化合物として、(E)−8−(3,4−ジメトキシスチリル)−1,3−ジエチル−7−メチルキサンチン(以下、「化合物1」という。)を用いた。
【0035】
例1:錠剤
常法により、次の組成からなる錠剤を調製した。化合物1(40g)、ラクトース(286.8g)及び馬鈴薯でんぷん(60g)を混合し、この混合物にヒドロキシプロピルセルロースの10%水溶液(120g)を加えた。この混合物を常法により練合し、造粒して乾燥させた後、整粒して打錠用顆粒とした。この顆粒にステアリン酸マグネシウム(1.2g)を加えて混合し、径8mmの杵を持った打錠機(菊水社製RT−15型)で打錠を行って、錠剤(1錠あたり活性成分20mgを含有する)を得た。
【0036】
<処方>
化合物1 20mg
ラクトース 143.4mg
馬鈴薯でんぷん 30mg
ヒドロキシプロピルセルロース 6mg
ステアリン酸マグネシウム 0.6mg
(合計) 200mg
【0037】
例2:カプセル剤
常法により、次の組成からなるカプセル剤を調製した。化合物1(200g)、アビセル(995g)及びステアリン酸マグネシウム(5g)を常法により混合した。この混合物をカプセル充填機(Zanasi社製、LZ−64型)により、ハードカプセル4号(1カプセルあたり120mg容量)に充填し、カプセル剤(1カプセルあたり活性成分20mgを含有する)を得た。
【0038】
<処方>
化合物1 20mg
アビセル 99.5mg
ステアリン酸マグネシウム 0.5mg
(合計) 120mg
【0039】
例3:注射剤
常法により、次の組成からなる注射剤を調製した。化合物1(1g)を精製ダイズ油(100g)に溶解させ、精製卵黄レシチン(12g)及び注射用グリセリン(25g)を加えた。この混合物を常法により注射用蒸留水で1,000mlとして練合・乳化した。得られた分散液を0.2μmのディスポーザブル型メンブランフィルターを用いて無菌濾過後、ガラスバイアルに2mlずつ無菌的に充填して、注射剤(1バイアルあたり活性成分2mgを含有する)を得た。
【0040】
<処方>
化合物1 2mg
精製ダイズ油 200mg
精製卵黄レシチン 24mg
注射用グリセリン 50mg
注射用蒸留水 1.72ml
(合計) 2.00ml
【0041】
例4:肛門坐剤
常法により、次の組成からなる直腸投与の製剤を調製した。ウィテプゾールTMH15(ダイナマイトノーベル社製,678.8g)及びウィテプゾールTME75(ダイナマイトノーベル社製,290.9g)を40〜50℃で溶融させた。これに化合物1(2.5g)、第一リン酸カリウム(13.6g)及び第二リン酸ナトリウム(14.2g)をそれぞれ均一に混合分散させた。ついで混合分散物をプラスチック製の坐剤の型に充填した後、徐々に冷却して肛門坐剤(1製剤あたり活性成分2.5mgを含有する)を得た。
【0042】
<処方>
化合物1 2.5mg
ウィテプゾールTMH15 678.8mg
ウィテプゾールTME75 290.9mg
第一リン酸カリウム 13.6mg
第二リン酸ナトリウム 14.2mg
(合計) 1,000mg
【0043】
例5:試験例(ペントバルビタールナトリウム誘発睡眠時間に対する本発明医薬の作用)
ペントパルビタールナトリウム誘発睡眠時間に及ぼす本発明の医薬の影響を文献記載の方法に従って評価した(医薬品の開発、第9巻、医薬品の探索I、「覚醒薬」、第220〜226頁、廣川書店)。
(1)実験材料
体重21〜23gのddY系雄性マウス(日本SLC)を実験に用いた。試験化合物は、Tween80(和光純薬工業株式会社製)を添加(≦0.5%濃度)した後、注射用蒸留水(大塚製薬(株))に懸濁して用いた。カフェイン(シグマ製)は注射用蒸留水に溶解して用いた。投与液量はマウスの体重10g当たり0.1mlとした。
【0044】
(2)実験方法
マウスを1群8〜10匹として用いた。試験化合物又はカフェインを経口投与し、その1時間後にペントバルビタールナトリウム(pentobarbital−Na)(大日本製薬株式会社製,30mg/kg)を静脈内投与し、その直後から正面反射を指標に正面反射の消失時間を測定して睡眠時間とした。試験結果を表1に示す。この結果から明らかなように、化合物1では有意な睡眠時間の短縮作用が認められた。対照に用いたカフェインも催眠時間の短縮傾向を認めたが、その程度は試験化合物に比べて明らかに弱いものであった。
【0045】
【表1】

【0046】
例6:急性毒性試験
dd系雄性マウス(体重20±1g)を1群3匹で用い、試験化合物を経口又は腹腔内投与した。投与後7日目の死亡状況を観察し、最小致死量(MLD)値を求めた。その結果、化合物1のMLDは経口投与で1,000mg/kg以上であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(E)−8−(3,4−ジメトキシスチリル)−1,3−ジエチル−7−メチルキサンチン及び薬理的に許容されるその塩、並びにそれらの水和物及び溶媒和物からなる群から選ばれる物質を有効成分として含む睡眠障害の予防及び/又は治療剤。

【公開番号】特開2009−143929(P2009−143929A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−21(P2009−21)
【出願日】平成21年1月5日(2009.1.5)
【分割の表示】特願2000−538697(P2000−538697)の分割
【原出願日】平成10年12月14日(1998.12.14)
【出願人】(000001029)協和発酵キリン株式会社 (276)
【Fターム(参考)】