説明

睡眠障害呼吸の加圧治療を行なうための装置を使用する心臓の監視及び治療

CPAP装置を使用して患者の空気流量における心原性振動を感知するとともに患者の心臓の状態を監視して治療する方法。装置は、不整脈又は他の心臓異常の存在などの心臓の病的状態を診断するとともに、心臓の1回拍出量に影響を与えてこれを最適化する。また、装置は、パルス通過時間、心臓の前駆出期の変化、心周期の持続時間を監視する。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
[0001]本出願は、2004年2月25日に提出された米国仮出願第60/547,812号の優先権を主張する。本発明は、CPAP患者の空気流量における心臓信号を検出するとともに、当該信号を使用して心臓の状態を監視して治療する方法及び装置に関する。
【発明の背景】
【0002】
[0002]睡眠中の10秒を超える呼吸の停止は、血液酸化の低下及び睡眠の中断をもたらす「無呼吸」と呼ばれている。従来から、無呼吸は、呼吸努力が存在しない中枢性無呼吸と、呼吸努力が存在するが気道が塞がれている閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSA)とに分類されている。純粋な中枢性無呼吸の場合、気道は開いている(又は、開放されている)が、患者は呼吸をしようとしない。他の中枢性無呼吸及び閉塞型無呼吸においては、気道が開かれていない(すなわち、気道が閉塞されている)。この閉塞は、通常、舌又は軟口蓋の高さにある。
【0003】
[0003]無呼吸の一般的な治療形態は、連続的な或いは可変のプラスの気道圧力を与えること(本明細書では、CPAPと称される)である。CPAP治療を行なう装置は、参照として本明細書に組み入れられる米国特許第5,704,345号、第6,532,957号、第6,575,163号、第6,484,719号、第6,688,307号、第6,532,959号に記載されている。CPAP治療を施すための手続きは、技術文献及び特許文献の両方に十分に解説されている。簡単に述べると、CPAP治療は、一般に4〜20cm HOの範囲の陽圧を与えることにより気道の空気圧スプリントとしての機能を果たす。空気はモータ駆動のブロワにより気道へと供給され、ブロワの排気口は、供給チューブ又はホースを介して、患者の顔面にシール係合された鼻(及び/又は口)マスクへと空気を送る。排気ポートは、マスクに最も近い供給チューブに設けられている。二相性CPAP及び自動判定CPAPなどのCPAPのより精巧な形態は、米国特許第5,148,802号及び第5,245,995号にそれぞれ記載されている
【0004】
[0004]また、CPAP治療は、例えば鬱血性心不全などの一部の心臓病変にとって有益なことでも知られている。胸腔内圧を高めることにより、CPAPは、例えば、静脈還流を妨げ(前負荷を低下させ)、左心室がそれに逆らって拍動しなければならない収縮期圧勾配を減少させ(後負荷を減少させ)、左心室壁内圧を減少させる(収縮効率を向上させる)など、心不全において様々な(可能な)直接的利点を与える。また、CPAPは、例えば、肺水腫に対抗したり、肺容量を高めたり(チェーン・ストークス呼吸における換気安定性を助ける場合がある)、また、閉塞型無呼吸を起こしやすい体質の患者にあっては反復性OSAを予防することにより交感神経の活性化を低減するなどの間接的利点を心不全患者に対して与える場合もある。
【0005】
[0005]閉塞型呼吸を示す異常な呼吸パターンを検出するための様々な技術が知られている。例えば、米国特許第5,245,995号は、睡眠中に吸気圧及び呼気圧を測定することにより、いびき及び異常な呼吸パターンを検出でき、それにより閉塞前発作又は他の形態の呼吸障害の兆候を早期に得られる方法について記載している。呼吸パラメータのパターンが監視されるとともに、所定のパターンの検出時にCPAP圧力が上昇され、それにより、高い気道圧力が供給されて、閉塞性発作及び他の形態の呼吸障害の発生が妨げられる。
【0006】
[0006]中枢性無呼吸は、気道の閉塞を伴う必要がなく、多くの場合、非常に浅い睡眠中において生じ、また、上気道の状態に関与しない様々な心臓状態、脳血管状態、内分泌状態を伴う患者において生じる。気道の閉塞を伴うことなく無呼吸が生じる場合には、閉塞型無呼吸とは異なり、CPAP圧力を増大することにあまり利点がない可能性がある。
【0007】
[0007]中枢性無呼吸と閉塞型無呼吸とを区別するため、参照として本明細書に組み入れられる米国特許第6,029,665号は、無呼吸事象中に拍動空気流を監視するCPAPシステムを教示している。心臓の各拍動においては、68ml程度の血液が約0.3秒にわたって胸部から駆出され、それにより、0.22l/秒ピーク流量程度の拍動血流が胸部から流出する。胸壁が硬かった場合には、これにより、胸腔内に部分的な真空が形成され、また、上気道が開放されその流量抵抗がゼロであった場合には、同様の量の空気が気管を通じて吸引される。実際には、胸壁は全体的に硬質ではなく、気道は限られた空気流抵抗を有している。その結果、心臓の各拍動において測定できる空気流量(又は心原性振動)は0.02〜0.1l/秒程度である。
【0008】
[0008]気道が開放された中枢性無呼吸が存在する場合、‘665特許の装置は、空気圧力における心原性振動を感知するとともに、非閉塞型中枢性無呼吸事象が生じたことを決定する。逆に、気道が閉じられている場合、圧力波形は目立った心原性振動を全く有さず、また、‘665特許の装置は、無呼吸事象が閉塞型の事象であったことを決定する。
【0009】
[0009]‘665特許の装置及び方法を実施すると、中枢性無呼吸中においてスプリントなCPAP空気圧の不適当な増加が防止され、それにより、さもなければ反射的に呼吸を妨げて呼吸障害を更に悪化させる虞がある不必要な圧力の増加が防止される。また、装置は、顔面マスクの代わりに鼻カニューレを使用する診断モードで使用される。この場合、無呼吸、開通性、部分的閉塞の測定値は記録されるが、CPAP治療は行なわれない。データは、OSAや上気道抵抗症候群などの状態を診断できる能力を医師に与える。
【0010】
[0010]‘665特許も他の従来技術も、CPAP患者の空気流量における心原性振動の測定値を利用して心臓の健康状態に関連する状態を監視し或いは治療しない。
【発明の目的及び概要】
【0011】
[0011]本発明の目的は、睡眠障害呼吸(SDB)を治療する装置を心臓治療装置としても使用して、患者の空気流量における心臓信号を監視することにより心臓の健康状態を決定することである。
【0012】
[0012]より具体的には、本発明の目的は、心臓信号を監視し、不整脈の存在などの心臓の病的状態を選別して診断するとともに、心臓の1回拍出量に影響を与えてこれを最適化することである。
【0013】
[0013]更なる目的は、パルス通過時間、心臓の前駆出期の変化、心周期の持続時間を監視することである。
【0014】
[0014]以上の目的を満たすために、患者の空気流量における心原性振動を感知するとともに心原性振動から患者の心臓の状態を監視する方法が開示されている。装置は、不整脈又は他の心臓異常の存在などの心臓の病的状態を診断するとともに、心臓の1回拍出量に影響を与えてこれを最適化する。また、装置は、パルス通過時間、心臓の前駆出期の変化、心周期の持続時間を監視する。
【0015】
[0015]列挙された目的を更に満たすため、本発明の範囲を限定することを意図していない添付図面を参照しながら、本発明の典型的な実施形態について詳細に説明する。
【発明の詳細説明】
【0016】
[0018]図1を参照すると、睡眠中にSDBを治療するための装置が開示されている。この装置は、本発明の機能を果たすことができ(例えばCPAP装置)、空気圧/空気流量の読み取り値における心原性振動を感知して、無呼吸事象が中枢性であるか或いは閉塞型であるのかを決定することを含んでいる。マスク流量は、呼吸気流計及び差圧トランスデューサ又は同様の装置を用いて流量センサ4f及び/又は圧力センサ4pにより測定される。流量信号F(t)が得られ、また、圧力信号Pmask(t)を得るために圧力トランスデューサを使用して圧力タップでマスク圧力が測定される。圧力センサ4p及び流量センサ4fは、図1では単に象徴的にのみ示されている。これは、当業者であれば流量及び圧力の測定方法を理解できるからである。
【0017】
[0019]流量F(t)信号及び圧力Pmask(t)信号はコントローラ又はマイクロプロセッサ6に対して送られ、その後、コントローラ6はブロワの調整方法を決定する。コントローラ6は、集積回路、メモリ及び/又は他の命令又はデータ記憶媒体を含んでいてもよい。制御方法論を伴うプログラム学習が、装置(例えばファームウェア)のメモリ中の集積チップにおいてコード化され、あるいは、ソフトウェアとしてロードされてもよい。
【0018】
[0020]圧力供給装置は、インペラであることが好ましいブロワ8を含んでいる。インペラ8は、サーボ10によって制御され、吸気口12を通じて外気を受けるとともに、空気供給管路16と排気穴20を一体に有するマスク18とによって画成される排気口14を通じて加圧空気を供給する。インペラ、モータ、及びコントローラアセンブリは、ブロワアセンブリを画成するとともに、ブロワハウジング22内に配置されている。ブロワハウジングには様々なスイッチ24及びディスプレイ26が設けられている。特に、いびき28、モータ速度30、モータ電流32を監視するため、ブロワ内には多数のセンサが設けられている。当分野で既知の様々なデバイスがこれらのタイプのセンサとしての機能を果たすことができる。通信インタフェース34は、コンピュータやコントローラ等の外部装置と装置との間でデータを転送することができる。
【0019】
[0021]心原性振動が無呼吸事象中において患者のマスク内の圧力に反映されない場合には、患者が呼吸努力を伴う閉塞型中枢性無呼吸事象又は閉塞型無呼吸事象に陥っている場合がある。前記測定技術は、それ単独で、2つの状態を区別することができ、それにより、呼吸努力の指標が必要とされる。1つのタイプの既知の検出器は、頚切痕における皮膚が内側に吸引される時期(吸気中)及び皮膚が外側に膨らむ時期(呼出努力中)を検出する。そのような装置は、参照として本明細書に組み入れられる米国特許第6,445,942号に教示されており、中枢性無呼吸の発生を確認するために使用できる。
【0020】
[0022]図2は、適当な機器によって記録されてもよいトレースを示している。トレース42は患者の心電図(ECG)を示しており、また、トレース44はCPAP患者の空気流量であり、トレース46は患者の空気圧力であり、これらはCPAP治療装置を使用して測定される(空気流量及び圧力の一方又は両方が監視されてもよい)。数字47の近傍において呼吸流量はゼロ前後であり、これは無呼吸事象を表わしている。空気圧力トレース46には、開放気道(閉塞されていない)中枢性無呼吸事象を示す心原性振動48が依然として見られる。
【0021】
[0023]空気圧力46を監視する場合には、帯域フィルタが使用されてもよい。適したフィルタは30Hz以下の信号を退ける(すなわち、一般に患者の呼吸及び物理的動きに関連する信号を退ける)とともに、60Hzよりも高い信号も退ける(すなわち、一般に心原性事象を代表するものではなくシステムノイズに関連する信号を退ける)。
【0022】
[0024]心原性情報を掌握すると、その情報は、二相性CPAP人工呼吸器のための従来のトリガ回路(一般的には吸気流量及び呼気流量に応じて人工呼吸器を調整する)を良好に管理するために使用できる。これは、心原性振動に起因する空気流量測定値のひずみを無視できるからである。特に興味深いのは、呼気の最後に発生する心原性流量振動(すなわち、適用できる治療アルゴリズムにしたがって呼気から吸気へと非常に正確に循環させることが人工呼吸器において望ましい場合に呼吸相の一部で生じる心原性振動信号)の識別及びフィルタ除去である。
【0023】
[0025]心原性振動の存在を詳しく調べ、また、心原性振動が存在する場合には、空気流量信号の共存という面倒な事態を伴うことなく開放型無呼吸事象中に数秒間にわたって心原性振動の振幅及び周波数を調べると、患者の心臓の状態に関する情報が得られる。医師は、中枢性無呼吸と心臓の病的状態との既知の関連性を考えて、患者の心臓の状態及び治療の必要性を判断することができる。
【0024】
[0026]患者の呼吸サイクルの任意の一部にわたって心原性空気流量が検出されてもよいが、心原性振動48の最良の分解能は、患者の呼吸の呼気部分49の中期から最後にわたって生じる。この比較的小さなウインドウにおいてのみ信号を監視すると、必要な信号分解能を得るために必要な処理が簡略化される。実際に、一部の用途においては、呼吸サイクルのその部分、すなわち、1呼吸当たりの全心拍よりもかなり少ない呼吸サイクル部分にわたってのみ心原性振動を監視するだけで十分な場合がある。
【0025】
[0027]呼気の中期から最後の部分を見つけるため、コントローラは、新たな呼気サイクルの開始を検出する(ゼロ線移行部を検出する閾値検出器を用いて)とともに、呼吸サイクルの最近の平均経過時間に基づいて呼気の最後を特定する。あるいは、前述した‘957特許に開示されるように、患者の呼吸の連続的な相監視により、呼気の後期部分が分離されてもよい。
【0026】
[0028]心原性振動48の長期間の監視により、心拍信号の力又はリズムの不規則性を検出することができ、それにより、不整脈の決定を行なうことができる。基準からの任意の偏りを決定するため、信号の振幅及び/又は周波数が、患者における予期される或いは以前の平均心拍力及び/又はリズムを表わす閾値と比較されてもよい。同様に、不整脈の存在又は正常な心臓機能の欠如を検出するために、不整脈又は正常な心臓力/心調律を示す他のパターンがテンプレートとして記憶されて信号と比較されてもよい。
【0027】
[0029]不整脈が検出される場合、装置は、患者、介添え人又は医師に対して所定の信号を送ってもよく、あるいは、後の観察のために事象を記録してもよい。患者への信号は警報音の形態を成していてもよい。介添え人又は医師への信号は、既知の電話回路及び携帯電話プロバイダへの加入による自動テキストメッセージシステムの形態を成していてもよい。これにより、心臓の病気及びSDB等の呼吸器疾患を伴う周知の併存疾患に照らして特に有用な迅速な処置及び治療が可能になる。
【0028】
[0030]心臓のタイミングの決定は、50及び52などの心原性振動間の平均時間を監視することにより可能である。このタイミングから、平均心拍数、変動、及び不整脈などの心拍パラメータを推定することができる。心臓状態に関する全ての情報は、適当なディスプレイによってリアルタイムで観察され、送信され或いは記録されてもよい。例えば右心房充填(血圧低下)、左心室駆出(血圧上昇)、及び心臓潅流(心臓拡張早期における血圧上昇)などを支援するために心周期にしたがってCPAP治療圧力が変更される場合には、心臓の機能を助けるように換気支援が修正されてもよい。
【0029】
[0031]心臓の1回拍出量が心原性振動の振幅に影響を与え、また、CPAP治療が1回拍出量に影響を与えることが分かった。そのため、本発明にしたがって心原性振動を監視することにより、CPAP治療を判定して、心臓の1回拍出量に影響を与えることができ、好ましくは心臓の1回拍出量を最適化することができる。これは、心拍の連続的監視を伴うことなく達成されてもよい。むしろ、それは、1呼吸当たり1〜2拍のみを監視して、すなわち、呼吸サイクルの一部にわたってのみ、好ましくは呼気部分の中期から最後にわたってのみ監視することにより達成されてもよい。例えば、心原性振動を検査し、それに応じて加圧治療をサーボ制御することにより、1回拍出量が最大にされてもよい。
【0030】
[0032]パルス通過時間(PTT)が呼吸努力及び喚起を推測する非侵襲的手段としての機能を果たしてもよいことが提案された。PTTは、パルス波が動脈樹形の長さを伝播する時間であり、心室筋の半分が脱分極されたときに始まり且つ血液が所定のパーセンテージ(患者の年齢及び健康状態に応じたパーセンテージ)の酸素ヘモグロビン(SpO)で飽和される際に終わる時間間隔により測定される。前者は、R波がECG QRS複合体で感知される際に生じ(心室の脱分極にかかる全時間)、及び後者は、一般的なフィンガパルスオキシメータがフォトピエシスモグラフィック(photopiethysmographic)(パルス)波形を感知する際に生じる。
【0031】
[0033]PPTの一般的な測定の欠点は、測定される遅延に前駆出期(PEP)が含まれているという点である。本発明によれば、パルス通過時間のより正確な測定(すなわち、前駆出期成分を伴わないパルス通過時間の測定)を行なうことができる。パルス酸素測定と同時に心原性振動の連続的な監視を行なうことによりPTTが評価されてもよい。本発明の利点は、心臓のタイミングを測定するために心原性振動を使用するという点である。心原性振動は、心臓の電気的な収縮期事象ではなく機械的な収縮期事象に関連しており、そのため、PEPが含まれない。
【0032】
[0034]心臓のPEPの変化は、ECGトレース42に対する心原性振動を同時に監視して、電気的な収縮期事象と機械的な収縮期事象との間の時間的な遅れをたどることにより評価することもできる。PEPの変化は、左心室の駆出能力(機械的な収縮期事象を行なう能力)を反映するとともに、心臓の健康状態、血圧、末梢血管抵抗及び患者の管理において重要な他の心臓循環状態のもう1つの表示である。
【0033】
[0035]要約すると、装置は、患者がマスクを装着している間、以下のことを行なうように、すなわち、空気流量を測定し、空気流量からの心原性信号を識別して分離し、中枢性無呼吸を識別し、心原性信号から心拍数を計算し、心拍数の異常(例えば不整脈)を決定し、異常が決定される場合には、警告又は選択された個人に連絡する他の手段を含む通知を生成し、心臓のタイミングを監視して心臓機能を支援し、呼吸努力をより正確に決定し、PTT及びPEPを監視するように構成され或いはプログラムされていてもよい。
【0034】
[0036]本発明は、本発明の精神又は必須の特徴から逸脱することなく他の特定の形態で具現化されてもよい。前述した実施形態は、あらゆる点で、単なる例示として見なされるべきであり、限定的に見なされるべきではない。したがって、本発明の範囲は、全体的に或いは部分的に添付の請求項及びそれらの組み合わせによって表わされるものであり、前述した説明によって表わされるものではない。請求項と等価な範囲及び意味に含まれる全ての変更は、請求項の範囲内に包含されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】睡眠中に睡眠障害呼吸を治療するとともに、CPAP患者の空気流量における心臓信号を監視して心臓の健康状態を支援し且つ心臓の状態を治療する装置の図である。
【図2】空気流量、ECG、及びマスク空気圧力を選択された時間にわたって示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
睡眠障害呼吸を治療するためにCPAP装置を使用することにより患者の心臓の状態を決定する方法であって、
患者の心原性の圧力又は流量の振動を感知するステップと、
感知された心原性振動を使用して患者の心臓の状態を決定するステップと、
を備える方法。
【請求項2】
中枢性無呼吸事象の発生が、空気流が無い期間中に心原性振動の発生を決定することにより確認され、患者の心臓の状態が、中枢性無呼吸と心臓の病的状態との既知の関連性に基づいて決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
患者の心臓の状態を決定するために、呼気の中期から後期の部分のみにおける心原性振動が使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
呼気の中期から後期の部分が、前回の呼吸サイクルの最近の平均経過時間を監視するとともに、そのような経過時間を呼吸サイクルの開始の検出と併せて使用することにより決定される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
不整脈事象の存在を決定する際、患者、介添え人又は医師に対して信号を送り、又は、その後の観察のために不整脈事象を記録するステップを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
心原性振動間の時間から心臓のタイミングを決定するステップを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
心原性振動の振幅を検査し、それにしたがってCPAP治療圧力を調整することにより、患者の1回拍出量を調整するステップを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
心原性振動を解析して患者のパルス通過時間を決定するステップを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ECG波形に対して心原性振動を解析して患者の前駆出期の変化を決定するステップを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
決定された心臓の状態にしたがってCPAP治療圧力を調整して右心房充填、左心室駆出又は心臓潅流を支援することにより心臓の機能を助けるステップを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
CPAP治療圧力を調整して右心房充填、左心室駆出又は心臓潅流又は動脈(大動脈)のトーンを支援することにより心臓の機能を助けるステップを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
心原性振動情報を使用して二相性CPAP装置のトリガを管理するステップを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
睡眠障害呼吸を治療するためにCPAP装置を使用することにより患者の心臓の状態を決定して心臓の治療を行なう方法であって、
患者の心原性の圧力又は流量の振動を感知するステップと、
感知された心原性振動を使用して、患者の心臓の状態を決定するとともに、CPAP装置により供給される圧力を調整して患者の心臓の状態を治療するステップと、
を備える方法。
【請求項14】
中枢性無呼吸事象の発生が、空気流が無い期間中に心原性振動の発生を決定することにより確認され、患者の心臓の状態が、中枢性無呼吸と心臓の病的状態との既知の関連性に基づいて決定される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
患者の心臓の状態を決定するために、呼気の中期から後期の部分のみにおける心原性振動が使用される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
呼気の中期から後期の部分が、前回の呼吸サイクルの最近の平均経過時間を監視するとともに、そのような経過時間を呼吸サイクルの開始の検出と併せて使用することにより決定される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
不整脈事象の存在を決定する際、患者、介添え人又は医師に対して信号を送り、又は、その後の観察のために不整脈事象を記録するステップを更に備える、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
心原性振動間の時間から心臓のタイミングを決定するステップを更に備える、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
心原性振動の振幅を検査し、それにしたがってCPAP治療圧力を調整することにより、患者の1回拍出量を調整するステップを更に備える、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
心原性振動を解析して患者のパルス通過時間を決定するステップを更に備える、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
ECG波形に対して心原性振動を解析して患者の前駆出期の変化を決定するステップを更に備える、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
決定された心臓の状態にしたがってCPAP治療圧力を調整して右心房充填、左心室駆出又は心臓潅流を支援することにより心臓の機能を助けるステップを更に備える、請求項13に記載の方法。
【請求項23】
CPAP治療圧力を調整して右心房充填、左心室駆出又は心臓潅流を支援することにより心臓の機能を助けるステップを更に備える、請求項13に記載の方法。
【請求項24】
心原性振動情報を使用して二相性CPAP装置のトリガを管理するステップを更に備える、請求項13に記載の方法。
【請求項25】
CPAP治療を行なうとともに、患者の心臓の状態を決定するCPAP装置であって、コントローラと、患者のCPAPマスク内の圧力を検出するためのセンサとを備えるCPAP装置において、コントローラが、
患者の心原性圧力振動を感知するとともに、
感知された心原性振動を使用して患者の心臓の状態を決定する、CPAP装置。
【請求項26】
コントローラが、
空気流が無い期間中に心原性振動の発生を決定することにより中枢性無呼吸事象を特定し、
中枢性無呼吸と心臓の病的状態との既知の関連性に基づいて患者の心臓の状態を決定する、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
コントローラが、呼気の中期から後期の部分のみにおける心原性振動を使用して患者の心臓の状態を決定する、請求項25に記載の装置。
【請求項28】
コントローラが、前回の呼吸サイクルの最近の平均経過時間を監視するとともに、そのような経過時間を呼吸サイクルの開始の検出と併せて使用することにより、呼気の中期から後期の部分を決定する、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
コントローラが、不整脈事象の存在を決定する際、患者、介添え人又は医師に対して信号を送り、又は、その後の観察のために不整脈事象を記録する、請求項25に記載の装置。
【請求項30】
コントローラが、心原性振動間の時間から心臓のタイミングを決定する、請求項25に記載の装置。
【請求項31】
コントローラが、心原性振動の振幅を検査し、それにしたがってCPAP治療圧力を調整することにより、患者の1回拍出量を調整する、請求項25に記載の装置。
【請求項32】
コントローラが、心原性振動を解析して患者のパルス通過時間を決定する、請求項25に記載の装置。
【請求項33】
コントローラが、ECG波形に対して心原性振動を解析して患者の前駆出期の変化を決定する、請求項25に記載の装置。
【請求項34】
コントローラが、決定された心臓の状態にしたがってCPAP治療圧力を調整して右心房充填、左心室駆出又は心臓潅流を支援することにより心臓の機能を助ける、請求項25に記載の装置。
【請求項35】
コントローラが、CPAP治療圧力を調整して右心房充填、左心室駆出又は心臓潅流を支援することにより心臓の機能を助ける、請求項25に記載の装置。
【請求項36】
コントローラが、心原性振動情報を使用してCPAP装置のトリガを管理する、請求項25に記載の装置。
【請求項37】
CPAP治療を行なうとともに、患者の心臓の状態を決定して心臓の治療を行なうCPAP装置であって、コントローラと、患者のCPAPマスク内の圧力を検出するためのセンサとを備えるCPAP装置において、コントローラが、
患者の心原性圧力振動を感知するとともに、
感知された心原性振動を使用して患者の心臓の状態を決定する、CPAP装置。
【請求項38】
コントローラが、
空気流が無い期間中に心原性振動の発生を決定することにより中枢性無呼吸事象の発生を特定し、
中枢性無呼吸と心臓の病的状態との既知の関連性に基づいて患者の心臓の状態を決定する、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
コントローラが、呼気の中期から後期の部分のみにおける心原性振動を使用して患者の心臓の状態を決定する、請求項37に記載の装置。
【請求項40】
コントローラが、前回の呼吸サイクルの最近の平均経過時間を監視するとともに、そのような経過時間を呼吸サイクルの開始の検出と併せて使用することにより、呼気の中期から後期の部分を決定する、請求項39に記載の装置。
【請求項41】
コントローラが、不整脈事象の存在を決定する際、患者、介添え人又は医師に対して信号を送り、又は、その後の観察のために不整脈事象を記録する、請求項37に記載の装置。
【請求項42】
コントローラが、心原性振動間の時間から心臓のタイミングを決定する、請求項37に記載の装置。
【請求項43】
コントローラが、心原性振動の振幅を検査し、それにしたがってCPAP治療圧力を調整することにより、患者の1回拍出量を調整する、請求項37に記載の装置。
【請求項44】
コントローラが、心原性振動を解析して患者のパルス通過時間を決定する、請求項37に記載の装置。
【請求項45】
コントローラが、ECG波形に対して心原性振動を解析して患者の前駆出期の変化を決定する、請求項37に記載の装置。
【請求項46】
コントローラが、決定された心臓の状態にしたがってCPAP治療圧力を調整して右心房充填、左心室駆出又は心臓潅流を支援することにより心臓の機能を助ける、請求項37に記載の装置。
【請求項47】
コントローラが、CPAP治療圧力を調整して右心房充填、左心室駆出又は心臓潅流を支援することにより心臓の機能を助ける、請求項37に記載の装置。
【請求項48】
コントローラが、心原性振動情報を使用して二相性CPAP装置のトリガを管理する、請求項37に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−525267(P2007−525267A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500006(P2007−500006)
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【国際出願番号】PCT/AU2005/000248
【国際公開番号】WO2005/079897
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(500046450)レスメド リミテッド (192)
【Fターム(参考)】