説明

睫毛などのケラチン繊維用メイクアップ組成物

【課題】ケラチン繊維の化粧メイックアップ組成物を提供すること。
【解決手段】本発明の組成物は、非水性溶媒媒体、組成物の全重量に対して少なくとも3wt%の少なくとも1種のワックス、組成物の全重量に対して多くても20wt%の水および/または水溶性溶媒を含むことを特徴とする。前記組成物は、組成物の全重量に対して少なくとも45wt%の乾燥固形物を含み、平衡剛性率Gpが35,000Pa以下であるということによりさらに特徴づけられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン質、特にケラチン繊維、例えば、睫毛、眉毛および毛髪のメイクアップ、特に睫毛のメイクアップに関する。
【0002】
本発明による組成物は、マスカラ、睫毛用製品、アイライナーまたはヘアメイクアップ製品の形態であり得る。本発明はより特別にマスカラに関する。それは、特に、メイクアップ組成物、それぞれ「トップコート」または「ベースコート」としても知られている、メイクアップの上または下に付けられる組成物、あるいは別のものとして睫毛処理用の組成物であり得る。
【背景技術】
【0003】
一般に、ケラチン繊維、特に睫毛のメイクアップ組成物は、液体相に分散した、少なくとも1種のワックスもしくはワックス混合物からなる。組成物に対して望まれる用途毎の特異性、例えば、それらの流動性、それらの被覆力および/またはそれらのカーリング力、さらに組成物の増粘力(チャージング力(charging power)またはメイクアップ力としても知られている)が調節されるのは、主に、組成物の固形分含量により示される、ワックスと他の不揮発性成分の量によってである。
【0004】
実際には本質的に2つのタイプのマスカラ配合、すなわち、第1に、ワックス-イン-ウォーター(wax-in-water)エマルジョンの形態であり「クリームマスカラ」として知られている水系マスカラ、第2に、非水性溶媒中のワックス分散体の形態に配合され、「ウォータープルーフマスカラ」として知られている、無水マスカラ、あるいは、水および/または水溶性溶媒の含量が少ないマスカラがある。しかし、ワックス-イン-ウォーターのエマルジョンの形態の特定のマスカラもまた、「ウォータープルーフ」と名づけられていることに注意すべきである。それらの耐水性は、本質的に、これらの組成物中に大量のラテックスが存在することの結果である。それらはまた低固形分含量により特徴づけられるので、非常に僅かなメイクアップ力しかもたない。
【0005】
本発明は、より特定すると、水または水溶性溶媒を全く含まないか、あるいは、水および/または水溶性溶媒の含量が少なく、非水性溶媒中の(単数または複数の)ワックスの分散体の形態であり、「ウォータープルーフマスカラ」として知られている、ケラチン繊維メイクアップ組成物の分野に関する。
【0006】
従来、これらの組成物の固形分含量は、組成物の全重量に対して、ほぼ15重量%と45重量%の間である。
【0007】
すでに記載されたように、この固形分含量の範囲では、通常、メイクアップの結果の点で満足できるものではない。しかし、この固形分含量をこの範囲を超えて増やそうとすると、流動性の欠如の問題に直ちに直面する。メイクアップ組成物は、付けるには濃過ぎ、もはや睫毛の表面全体に均一に付けるのに必要とされる変形性をもたない。さらに、顕微鏡観察により、このタイプの組成物では、通常、ワックスの粒子が凝集体の形態であることが示される。
【非特許文献1】Mettlerにより支給される「LP16(登録商標)」付属文献
【非特許文献2】「Initiation a la rheologie(レオロジー入門)」(G.CouarrazeとJ.L.Grossiord、第2版、1991年、Lavoisier-Tec 1 Doc.による出版)
【特許文献1】EP-A-847 752
【非特許文献3】ISO規格11357-3;1999
【特許文献2】FR-A-2 792 190
【非特許文献4】「Study of morphological and mechanical properties of PP/PBT(PP/PBTの形態学的および力学的性質の研究)」(B. Boutevin et al., Polymer Bulletin, 34, 117-123 (1995))
【非特許文献5】「Morphology of semi-crystalline block copolymers of ethylene (ethylene-alt-propylene)(エチレン-(エチレン-交互-プロピレン)半結晶性ブロックコポリマーの形態学)」(P. Rangarajan et al., Macromolecules, 26, 4640-4645 (1993))
【非特許文献6】「Polymer aggregates with crystalline cores:the system poly(ethylene)-poly(ethylene-propylene)(結晶質コアをもつポリマー凝集体:ポリ(エチレン)-ポリ(エチレン-プロピレン)系)」(P. Richter et al., Macromolecules, 30, 1053-1068 (1997))
【非特許文献7】「Crystallization in block copolymers(ブロックコポリマーの結晶化)」(I.W. Hamley, Advances in Polymer Science, Vol. 148, 113-137 (1999))
【特許文献3】FR-A-2 232 303
【非特許文献8】CTFA(第6版、1995年)
【特許文献4】EP-A-6 921 217
【特許文献5】EP-A-686 858
【特許文献6】US-A-5 472 798
【非特許文献9】R. Pigeon and P. Allard, Chimie Macromoleculaire Appliquee, 40/41 (1974), pages 139-158 (No. 600)
【特許文献7】US-A-3 802 841
【特許文献8】FR-A-2 079 785
【特許文献9】EP-A1-0 360 728
【特許文献10】EP-A-0 549 494
【特許文献11】FR 94/00756
【特許文献12】FR 2701198
【特許文献13】FR 2605505
【特許文献14】EP 792603
【特許文献15】EP 663161
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、具体的には、従来の「ウォータープルーフ」組成物で得られるものより濃く太いメイクアップの結果を得ることを特に可能にし、同時に、意図されるメイクアップに使用することを妨げないコンシステンシを保ったままである、固形分含量が大きい、ケラチン繊維のメイクアップまたはケア組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
こうして、本発明の1つの主題は、非水性溶媒媒体、組成物の全重量に対して3重量%を超える含量の少なくとも1種のワックス、組成物の全重量に対して20重量%までの水および/または水溶性溶媒を含み、組成物の全重量に対して45重量%を超える固形分含量と、35,000Pa以下の平衡剛性率(plateau modulus of stiffness)Gpをもつ、ケラチン繊維メイクアップ用化粧組成物である。
【0010】
本発明の別の態様によれば、本発明の主題はまた、連続的に冷却しながら前記ワックスの融点を超える温度から室温まで移行することにより、少なくとも1種のワックスを連続ブレンドすることを少なくとも含む前記組成物の調製方法でもある。
【0011】
本発明の主題はまた、大きさが0.5μmから30μmの範囲、特に、1から20μmの範囲の粒子状のワックスの少なくとも1種を少なくとも1種の非水性溶媒中で分散させるという少なくとも1つのステップを含み、前記溶媒が粒子状の前記ワックスの融点より低い温度にある、前記組成物の調製方法である。
【0012】
本発明はまた、前記の、または前記方法の1つにより得られる組成物が前記ケラチン繊維、特に睫毛に付けられる、ケラチン繊維のメイクアップ方法にも関する。
【0013】
有利には、本発明の組成物はまた、標準的なウォータープルーフ組成物より乾燥速度が速く、このことにより、明らかに、メイクアップ作業を行うのに要する時間、および睫毛から隣接する瞼にメイクアップが移行する危険を減らすことが可能である。また、このことにより、適切であれば、納得のいく時間内に数層の前記組成物を付けることが可能であるため、これらの組成物で得られるメイクアップの増粘効果を増強することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
固形分の特性
本発明の目的では、「固形分含量」は、非揮発物質の含量を表す。
【0015】
本発明による組成物のこの固形分量は、一般に「乾燥抽出物」またはその短縮形でE.S.と呼ばれ、2μmから3.5μmの波長をもつ赤外線で試料を加熱することにより求められる。前記組成物に含まれる蒸気圧が大きい物質は、この放射の作用で蒸発する。試料の重量損失の測定により、組成物の「乾燥抽出物」を求めることが可能になる。これらの測定は、Mettlerが市販する赤外デシケータ「LP16(登録商標)」を用いて実施される。この方法は、Mettlerにより支給される装置付属文献に詳細に記載されている。
【0016】
測定手順は次の通りである:
【0017】
約1gの組成物を金属ルツボ上に塗り広げる。デシケータ内にルツボを入れた後、1時間120℃の指定温度下に置く。初期質量に相当する試料のウェット質量と、放射に曝した後の質量に相当する試料の乾燥質量を、精密天秤を用いて測定する。
【0018】
固形分含量を次の様にして計算する:
【0019】
乾燥抽出物 = 100 × (乾燥質量/ウェット質量)
【0020】
前記の手順を用いて測定された値は、対応する理論値と±1%だけ異なり得る。
【0021】
本発明による組成物は、組成物の全重量に対して、45重量%を超え、殊に46重量%から80重量%、特に48重量%から70重量%、より特定すると50重量%から65重量%の範囲の固形物含量により特に特徴づけられる。
【0022】
レオロジー特性
本発明による組成物は、その粘弾性挙動により、特に、様々なレオロジーパラメータを用いて、さらに特徴づけられる。
【0023】
一般に、物質は、剪断作用の下で、純粋な弾性物質の特性、すなわち、エネルギーを貯蔵できる特性と、純粋な粘性物質の特性、すなわち、エネルギーを散逸できる特性とを併せもつ場合に、粘弾性的であると言われる。
【0024】
より特定すると、本発明による組成物の粘弾性挙動を、その剛性率G、その弾性(elasticity)δおよびその流動閾値(flow threshold)τcにより特徴づけることができ、これらのパラメータは、特に、文献「Initiation a la rheologie(レオロジー入門)」(G.Couarraze とJ.L.Grossiord、第2版、 1991年、Lavoisier-Tec 1 Doc.による出版)に定義されている。
【0025】
これらのパラメータは、プレート/プレート構造をもつステンレス鋼ロータを装備した、ThermoRheo社のHaake RheoStress 600(登録商標)応力制御レオメータを用いて、25℃±0.5℃で実施される測定により求められ、プレートの直径は20mm、間隙(ステータプレートとして知られ、その上に組成物が置かれる下側プレートと、ロータプレートとして知られる上側プレートとの間の距離)は0.3mmである。2つのプレートには、滑り現象がプレートの壁面の間に限定されるように、溝が付けられている。
【0026】
動的測定は、調和振動する応力を加えることにより実施される。これらの実験では、物質の線形粘弾性領域の限界内にあるように、剪断、剪断速度および応力の大きさは小さい(静止している組成物のレオロジー特性を評価する条件)。
【0027】
線形粘弾性領域は、一般に、物質の応答(すなわち、歪み)が、如何なる瞬間でも、加えられた力(すなわち、応力)の大きさに正比例するということにより定義される。この領域では、加えられる応力は小さく、物質は、その微視的構造を変えることなく歪む。これらの条件の下で、物質は、「静止状態」で非破壊的に調べられる。
【0028】
組成物は、振動ω(ω=2πν、νは加えられる剪断の振動数)に従って正弦的に変化する応力τ(t)に応じて調和的に剪断を受ける。こうして、剪断を受ける組成物は応力τ(t)を受け、加えられた応力の関数として剛性率がほとんど変化しない微小歪みに相当する歪みγ(t)に従って応答する。
【0029】
応力τ(t)と歪みγ(t)は、それぞれ、次の関係により定められる:
τ(t)=τ0cos(ω・t) γ(t)=γ0cos(ω・t-δ)
τ0は応力の最大振幅であり、γ0は歪みの最大振幅である。δは応力と歪みの間の位相のずれを表す角度である。
【0030】
測定は1Hz(ν=1Hz)の振動数で実施される。
【0031】
こうして、加えられる応力τ(t)の関数として、剛性率G(τ0とγ0の比に相当する)と弾性δ(測定される歪みに対する、加えられる応力の位相のずれを表す角度に相当する)の変化が測定される。
【0032】
組成物の歪みは、特に、剛性率Gおよび弾性δの変化が7%未満である応力の領域(微小歪み域)で測定され、こうして、「平衡部」パラメータGpおよびδpが求められる。閾値応力τc(組成物を流動させるために必要な組成物に加えられる最小の力に相当する)は、曲線δ=f(τ)から求められ、δ(τc)=1.05δpとなるτの値に相当する。
【0033】
本発明による組成物の粘弾性挙動は、35,000Pa以下、殊に30,000Pa以下、特に28,000Pa以下、より特定すると25,000Pa、あるいは20,000Pa以下でさえある平衡剛性率Gpにより特徴づけられる。
【0034】
さらに、本発明による組成物は、10Paから200Paの範囲、特に20Paから100Paの範囲の流動閾値τcをもち得る。
【0035】
非水性溶媒媒体
本発明による組成物は、非水性溶媒媒体を含む。
【0036】
この媒体は、連続相を形成することができ、その名称が示すように、室温、大気圧で液体である通常は水不溶性揮発性化合物である少なくとも1種の非水性溶媒を含む。
【0037】
本発明では、「揮発性化合物」という用語は、室温、大気圧で、皮膚またはケラチン繊維との接触で1時間経たないうちに蒸発し得る化合物(あるいは非水媒体)を表す。揮発性化合物は、室温で液体であり、特に、室温、大気圧でゼロでない蒸気圧をもち、殊に、0.13Paから40,000Pa(10-3から300mmHg)の範囲、特に、1.3Paから13,000Pa(0.01から100mmHg)の範囲、より特定すると、1.3Paから1300Pa(0.01から10mmHg)の範囲の蒸気圧をもつ、揮発性の化粧品用化合物である。
【0038】
対照的に、「不揮発性化合物」という用語は、室温、大気圧で、皮膚またはケラチン繊維上に少なくとも数時間は留まり、特に、10-3mmHg(0.13Pa)未満の蒸気圧をもつ化合物を表す。
【0039】
揮発性化合物は、通常、非水性溶媒媒体の大部分を占める、すなわち、前記非水性溶媒媒体の50重量%より多くを占める。特に、それらは、前記非水性溶媒媒体の全重量に対して、少なくとも60重量%、より特定すると、少なくとも70重量%を占め、100重量%に達することもある。
【0040】
室温で液体である水不溶性揮発性化合物の含量は、通常、組成物の全重量に対して、55重量%未満であり、殊に、10から54重量%、特に、15重量%から52重量%の間、より特定すると、17.5重量%から50重量%の間である。
【0041】
室温で液体である水不溶性揮発性化合物は、特に、化粧品に許容され得るオイルまたは有機溶媒である。「化粧品に許容され得る」という用語は、ケラチン繊維および皮膚に付ける用途に適合性がある化合物を意味する。
【0042】
言うまでもなく、本発明による組成物の非水性溶媒媒体には、このような化合物の混合物が含まれ得る。
【0043】
揮発性オイルは、炭化水素系オイル、シリコーンオイルおよび/またはフルオロオイル、あるいはこれらの混合物であり得る。
【0044】
「炭化水素系オイル」という用語は、主に水素および炭素原子を、可能性として、酸素、窒素、硫黄およびリン原子を含むオイルを意味する。揮発性炭化水素系オイルは、8から16個の炭素原子を含む炭化水素系オイル、特に、C8〜C16分岐状アルカン、例えば、石油由来のC8〜C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られている)、具体例としては、イソドデカン(2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンとしても知られている)、イソデカン、イソヘキサデカンおよび例えば「Isopars(登録商標)」または「Permethyl(登録商標)」の商品名で販売されているオイル、分岐C8〜C16エステルおよびネオペンタン酸イソヘキシル、ならびにこれらの混合物から選択され得る。他の揮発性炭化水素系オイル、例えば石油蒸留物、特に、Shell社により「Shell Solt(登録商標)」の名称で販売されているものもまた使用され得る。
【0045】
揮発性オイルとして、揮発性シリコーン、例えば、揮発性の線状または環状シリコーンオイル、特に、粘度≦6センチストークス(6×10-6m2/s)で、特に2から10個のケイ素原子を含むもの(任意選択で、これらのシリコーンは、1から22個の炭素原子を含むアルキルまたはアルコキシ基を含む)もまた使用することができる。本発明で使用され得る揮発性シリコーンオイルとして、特に挙げることができるのは、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ペプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサンおよびドデカメチルペンタシロキサン、ならびにこれらの混合物である。
【0046】
特にフッ素化された揮発性有機溶媒、例えば、ノナフルオロメトキシブタンまたはペルフルオロメチルシクロペンタンもまた使用することができる。
【0047】
本発明による組成物の特定の一実施形態によれば、室温で液体である水不溶性揮発性化合物は、8から16個の炭素原子を揮発性炭化水素系オイル、ならびにそれらの混合物から選択される。
【0048】
非水性溶媒媒体は、室温で液体である水不溶性不揮発性化合物の少なくとも1種、特に、少なくとも1種の不揮発性オイル(これは、特に、不揮発性の炭化水素系オイルおよび/またはシリコーンオイルおよび/またはフルオロオイルから選択され得る)もまた含み得る。
【0049】
特に挙げることができる不揮発性炭化水素系オイルには以下が含まれる:
- 植物由来の炭化水素系オイル、例えば、グリセロールの脂肪酸エステルからなるトリグリセリド(それらの脂肪酸はC4からC24の範囲の鎖長をもち、これらの鎖は可能性として線状または分岐状で、飽和または不飽和である);これらのオイルは、特に、小麦麦芽油、ヒマワリ油、ブドウ種油、ゴマ油、トウモロコシ油、アプリコットオイル、ヒマシ油、シア油、アボカド油、オリーブ油、大豆油、スイートアーモンドオイル、パーム油、ナタネ油、綿実油、ヘーゼルナッツオイル、マカダミアオイル、ホホバ油、アルファルファ油、ポピーオイル、パンプキンオイル、マロー(marrow)オイル、クロフサスグリ油、マツヨイグサ油、粟(millet)油、オオムギ油、キノアオイル、ライムギ油、ベニバナ油、ククイ油、パッションフラワーオイルおよびマスクローズ(musk rose)オイルである;あるいは別のものとして、カプリル/カプリン酸トリグリセリド、例えば、Stearineries Dubois社により販売されているもの、または、Dynamit Nobel社により、「Miglyol 810(登録商標)」、「812(登録商標)」および「818(登録商標)」の名称で販売されているもの;
- 10から40個の炭素原子を含む合成エステル;
- 石油または合成起源の線状または分岐状炭化水素、例えば、石油ゼリー、ポリデセン、パールリーム(ParLeam)のような水添ポリイソブテン、およびスクワラン、ならびにこれらの混合物;
- 合成エステル、例えば、式R1COOR2のオイル(式中、R1は1から40個の炭素原子を含む線状または分岐状脂肪酸残基を表し、R2は1から40個の炭素原子を含む炭化水素系の鎖、特に分岐鎖を表し、R1+R2≧10という条件がある)、具体例として、パーセリン(PurCellin)オイル(オクタン酸セトステアリル)、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、C12からC15のアルキル安息香酸エステル、ラウリン酸ヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸イソステアリル、ならびにアルコールまたは多価アルコールのオクタン酸エステル、デカン酸エステルまたはリシノール酸エステル、例えばジオクタン酸プロピレングリコール;ヒドロキシル化エステル、例えば、乳酸イソステアリルまたはマレイン酸ジイソステアリル;ならびにペンタエリトリトールのエステル;
- 室温で液体の脂肪アルコールで、12から26個の炭素原子を含む分岐状および/または不飽和の炭化水素系の鎖をもつもの、例えば、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2-ヘキシルデカノール、2-ブチルオクタノールまたは2-ウンデシルペンタデカノール;
- 高級脂肪酸、例えば、オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸;
ならびにこれらの混合物。
【0050】
本発明による組成物に使用され得る不揮発性シリコーンオイルは、不揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS)、アルキルまたはアルコキシ基(ペンダント状である、および/または、シリコーン鎖の末端にあり、これらの基は、それぞれ、2から24個の炭素原子を含む)を含むポリジメチルシロキサン、フェニルシリコーン、例えば、フェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサンおよび2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケートであり得る。
【0051】
本発明の組成物に使用され得るフルオロオイルは、特に、フルオロシリコーンオイル、フルオロポリエーテルおよび文書EP-A-847 752に記載されるフルオロシリコーンである。
【0052】
室温で液体である水不溶性不揮発性化合物の含量は、通常、組成物の全重量に対して、0.01重量%から25重量%、特に0.1重量%から22重量%である。
【0053】
水および/または水溶性溶媒
本発明の第1の変形形態によれば、提案される組成物は水および水溶性溶媒を含まない。
【0054】
本発明の第2の変形形態によれば、提案される組成物は、水、および/または、少なくとも1種の水溶性溶媒を、組成物の全重量に対して20重量%以下の全含量で含む。
【0055】
「水溶性溶媒」という用語は、室温で液体であって、水と混和する(25℃、大気圧で、50重量%を超える水混和性)化合物を表す。
【0056】
本発明による組成物に任意選択で使用され得る水溶性溶媒はまた、通常、揮発性である。
【0057】
本発明による組成物に使用され得る水可能性溶媒の中で、特に挙げることができるのは、1から5個の炭素原子を含む低級モノアルコール、例えば、エタノールおよびイソプロパノール、2から8個の炭素原子を含むグリコール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールおよびジプロピレングリコール、C3およびC4のケトンと、C2〜C4のアルデヒドである。
【0058】
水および/または(単数または複数の)水溶性溶媒を、本発明による配合にそのものとして導入してもよいし、あるいは、前記組成物を構成する1種または複数の成分を通じてそれに組み入れてもよい。このように、水は、特に、ラテックスまたは擬ラテックス(pseudolatex)、すなわち、ポリマー粒子の水性分散体の導入を通じて組成物に導入され得る。
【0059】
前記組成物中に水および/または(単数または複数の)水溶性溶媒が存在することは、睫毛に対する組成物の付着性を増すので利点があり得る。具体的には、非水性溶媒の量が増える程、組成物の主として「オイル状」の性質のために、睫毛に付ける際により滑るようになる。水溶性溶媒で非水性溶媒の一部分を置き換えることにより、この効果を減らすことができるので、睫毛に対する付着性を増すことができる。この場合、得られるメイクアップの結果はより濃く太くなる。
【0060】
本発明のこの変形形態では、水および/または(単数または複数の)水溶性溶媒は、組成物の全重量に対して、殊に、0.5重量%以上、特に、1重量%から18重量%、より特定すると、2重量%から15重量%の範囲であり得る。
【0061】
ワックス
本発明による組成物は、ワックスまたはワックスの混合物を、組成物の全重量に対して3重量%を超える含量で含む。
【0062】
本発明に関連して考慮されるワックスは、一般に、固体/液体の可逆的な状態変化をする、室温(25℃)で固体である親油性化合物であり、30℃以上で200℃まで、特に120℃までであり得る融点をもつ。
【0063】
ワックスを液状にすること(融解)により、それをオイルと混和させ、微視的に均一な混合物とすることが可能であるが、混合物を室温まで冷却すると、混合物のオイル中でワックスの再結晶化が起こる。
【0064】
特に、本発明に適するワックスは、45℃以上、特に、55℃以上の融点をもち得る。
【0065】
本発明では、融点は、ISO規格11357-3;1999に記載される熱分析(DSC)により観察される最大吸熱ピークの温度に相当する。示差走査熱量計(DSC)、例えば、TA Instruments社により「MDSC 2920」の名称で販売されている熱量計を用いて、ワックスの融点を測定することができる。
【0066】
測定手順は次の通りである:
【0067】
ルツボに入れた5mgのワックス試料に、10℃/分の加熱速度で、-20℃から100℃の範囲の1回目の昇温を実施し、次に、それを、10℃/分の冷却速度で、10℃から-20℃まで冷却し、最後に、5℃/分の加熱速度で、-20℃から100℃の範囲の2回目の昇温を実施する。2回目の昇温中に、空のルツボとワックス試料の入ったルツボにより吸収されるパワーの差の変化が温度の関数として測定される。化合物の融点は、温度の関数として、吸収パワーの差の変化を表す曲線のピークの最大値に対応する温度の値である。
【0068】
本発明による組成物に使用され得るワックスは、動物、植物、石油または合成起源の、室温で固体であるワックス、あるいはこれらの混合物から選択される。
【0069】
本発明による組成物で使用され得るワックスは、通常、0.01MPaから15MPaの範囲で、殊に0.05MPaより大きく、特に0.1MPaより大きい硬度をもつ。
【0070】
硬度は圧縮力を測定することにより求められ、Rheo社により「TA-XT2i(登録商標)」の名称で販売されているテクスチュロメータ(texturometer)が、直径2mmのステンレス鋼円柱スピンドルを装備して用いられ、以下の操作の間に、20℃で力(圧縮力または伸張力)(F)の変化を時間の関数として測定することにより求められる:
【0071】
スピンドルを0.1mm/sの速度で移動させ、それから、0.3mmの侵入深さまでワックスに侵入させる。0.3mmの深さまでスピンドルがワックスに侵入したら、1秒間(緩和時間に相当する)スピンドルを静止させ、次に、0.1mm/sの速度で引き抜く。緩和時間の間、力(圧縮力)は、それがゼロになるまで大きく減少し、次に、スピンドルを引き抜いている間に、力(伸張力)は負になり、次に、再び値が0に向かって上昇する。硬度は、スピンドルの表面とワックスとの間でそれらが接触する瞬間に測定される最大圧縮力に相当する。この力の値はMPaで表される。
【0072】
硬度を測定するために、ワックスを、ワックスの融点+20℃に等しい温度で融解させる。融解したワックスを直径30mm、深さ20mmの容器に注ぐ。ワックスを24時間かけて室温(25℃)で再結晶させ、次に、硬度測定を実施する前に20℃で少なくとも1時間保管する。
【0073】
本発明に適するワックスの例として、特に挙げることができるのは、炭化水素系ワックス、例えば、蜜蝋、ラノリンワックス、イボタロウ、木ロウ、パラフィン、特定のポリエチレンワックスおよびワックス状コポリマー、ならびにこれらのエステルである。
【0074】
さらに挙げることができるのは、線状または分岐状のC8〜C32脂肪鎖を含む、動物もしくは植物オイルの接触水素化により得られるワックスである。これらのワックスの中で、特に挙げることができるのは、異性化ホホバ油、例えば、Desert Whale社により「Iso-Jojoba-50(登録商標)」の商品名で製造または販売されているトランス異性化部分水添ホホバ油、水素添加ヒマワリ油、水添ヒマシ油、水素添加ココナッツオイル、水添ラノリンオイル、ならびにHeterene社により「Hest 2T-4S(登録商標)」の名称で販売されているテトラステアリン酸ビス(1,1,1-トリメチロールプロパン)である。
【0075】
また、シリコーンワックスおよびフルオロワックスも挙げることができる。
【0076】
また、セチルアルコールでエステル化されたヒマシ油の水素化により得られ、Sophim社により「Phytowax ricin 16L64(登録商標)」および「22L73(登録商標)」の名称で販売されているワックスも使用することができる。このようなワックスは、特許出願FR-A-2 792 190に記載されている。
【0077】
特定の一実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種の「粘着性(tacky)」ワックス、すなわち、0.7N・s以上のタックと、3.5MPa以下の硬度をもつワックスを含み得る。
【0078】
粘着性ワックスを用いることにより、特に、ケラチン繊維に付き易く、ケラチン繊維によく付着し、一様で滑らかな濃く太いメイクアップの結果に導く化粧品組成物を得ることが可能になり得る。
【0079】
使用される粘着性ワックスのタックは、殊に0.7N・sから30N・sの範囲、特に1N・s以上、殊に1N・sから20N・sの範囲、特に2N・s以上、殊に2N・sから10N・sの範囲、特に2N・sから5N・sの範囲であり得る。
【0080】
ワックスのタックは、20℃で、時間の関数として、力(圧縮力または伸張力)の変化を測定することにより求められ、Rheo社により「TA-XT2i(登録商標)」の名称で販売されているテクスチュロメータが、45°の角度をなす円錐形のアクリルポリマー製スピンドルを装備して用いられる。
【0081】
測定手順は以下の通りである:
【0082】
ワックスを、ワックスの融点+10℃に等しい温度で融解させる。融解したワックスを、直径25mm、深さ20mmの容器に注ぐ。ワックスの表面が平坦で滑らかであるようにワックスを室温(25℃)で24時間かけて再結晶させ、次に、タックの測定の前にワックスを20℃で少なくとも1時間保管する。
【0083】
テクスチュロメータのスピンドルを0.5mm/sの速度で移動させ、それから、2mmの侵入深さまでワックスに侵入させる。スピンドルが2mmの深さまで侵入したら、1秒間(緩和時間に相当する)スピンドルを静止させ、次に、0.5mm/sの速度で引き抜く。
【0084】
緩和時間の間、力(圧縮力)は、それがゼロになるまで大きく減少し、次に、スピンドルを引き抜いている間に、力(伸張力)は負になり、次に、再び値が0になるまで上昇する。タックは、時間の関数としての力の曲線の、負の値の力(伸張力)に対応する曲線の部分の積分に相当する。タックの値はN・sで表される。
【0085】
使用され得る粘着性ワックスは、通常、3.5MPa以下、特に、0.01MPaから3.5MPaの範囲、殊に、0.05MPaから3MPaの範囲、あるいは0.1MPaから2.5MPaの範囲でさえある硬度をもつ。
【0086】
硬度はすでに記載された手順に従って測定される。
【0087】
使用され得る粘着性ワックスには、単独でまたは混合物として、C20〜C40アルキル(ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレート(アルキル基は20から40個の炭素原子を含む)、特に、式(I)の、C20〜C40アルキル12-(12'-ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレート(式中、mは18から38の範囲の整数である)、あるいは式(I)の化合物の混合物が含まれる:
【0088】
【化1】

【0089】
このようなワックスは、特に、Koster Keunen社により「Kester Wax K 82 P(登録商標)」および「Kester Wax K 80 P(登録商標)」の名称で販売されている。
【0090】
前記のワックスは、通常、45℃より低い融解開始温度をもつ。
【0091】
本発明による組成物の特定の一実施形態によれば、それらの組成物は、高い、すなわち通常45℃以上、特に50℃以上の融解開始温度、あるいは、非常に高い、すなわち、通常55℃以上、特に60℃以上でさえある融解開始温度をもつ少なくとも1種のワックスを含み得る。ワックスの融解開始温度は、示差走査熱量計(DSC)、例えば、TA Instruments社により「MDSC2920(登録商標)」名称で販売されている熱量計を用いて測定され得る。
【0092】
測定手順は融点測定について記載されたものと同じである。
【0093】
化合物の融解開始温度は、以下では縮約形「mpstart」により表され、融解熱の5%が費やされた時の測定温度に相当する。
【0094】
融解開始温度が高いが50℃未満であるワックスとして、特に挙げることができるのは、モンタンワックス(mpstart=47.9℃)、オゾケライト(mpstart=46.3℃)およびステアリルアルコールでエステル化されたオリーブ油の接触水素化により得られ、Sophim社により「Phytowax Olive 18L57(登録商標)」の名称で販売されているワックス(mpstart=47.4℃)である。
【0095】
融点が50℃以上で55℃未満のワックスとして、特に、米ぬかワックス(mpstart=51.4℃)、カンデリラワックス(mpstart=50℃)およびオーリクリーワックス(mpstart=51.4℃)を挙げることができる。
【0096】
本発明による組成物に使用され得る、融解開始温度が非常に高いワックスとして、特に挙げることができるのは、カルナバワックス(mpstart=63.5℃)、フィッシャー-トロプシュ合成により得られるワックス(mpstart=60.5℃)、特定のポリエチレンワックス、例えば、特に、New Phase Technologies社により「Performalene 655(登録商標)」、または、Honeywell社により「Polyethylene AC 540(登録商標)」、Petrolite社により「Polywax 2000 T-6(登録商標)」(mpstart=125℃)、または、Eastman Kodak社により「PED 191(登録商標)」および「Epolene N-14(登録商標)」(それぞれ、mpstart=120℃および106℃)の名称で販売されているもの、ならびに特定のモノクリスタリンワックス、例えば、Tisco社により「Tisco Wax 88(登録商標)」、または、Paramelt社により「Microwax HW(登録商標)」の名称で販売されているものである。
【0097】
融解開始温度が非常に高いワックスとして、さらに挙げることができるのは、線状または分岐状のC8〜C32脂肪鎖を含む、動物または植物オイルの接触水素化により得られるワックス、例えば、水添ホホバ油(mpstart=63.2℃)およびHeterene社により「Hest 2T-4B(登録商標)」の名称で販売されているテトラベヘン酸ビス(1,1,1-トリメチロールプロパン)である。
【0098】
融解開始温度が高い、あるいは、非常に高くさえあるワックスの、本発明による組成物での含量は、特に、大きくてもよく、殊に、20重量%以上であり得る。
【0099】
本発明では、大きさが、約0.5から30マイクロメートル、特に、1から20マイクロメートル、より特定すると、5から10マイクロメートルの小さな粒子状で供給され、以後「マイクロワックス」と呼ばれるワックスを使用することもまた可能である。区別するために、より大きなかけら(fragment)状で本発明により使用されるワックスは、以後、「通常のワックス」と呼ばれる。
【0100】
本発明による組成物に使用され得るマイクロワックスとして、カルナバマイクロワックス、例えば、Micro Powders社により「MicroCare 350(登録商標)」の名称で販売されている製品、合成マイクロワックス、例えば、Micro Powders社により「MicroEase 114S(登録商標)」の名称で販売されている製品、カルナバワックスとポリエチレンワックスとの混合物からなるマイクロワックス、例えば、Micro Powders社により「Micro Care 300(登録商標)」および「310(登録商標)」の名称で販売されている製品、カルナバワックスと合成ワックスとの混合物からなるマイクロワックス、例えば、Micro Powders社により「Micro Care 325(登録商標)」の名称で販売されている製品、ポリエチレンマイクロワックス、例えば、Micro Powders社により「Micropoly 200(登録商標)」、「220(登録商標)」、「220L(登録商標)」および「250S(登録商標)」の名称で販売されている製品、ならびにポリテトラフルオロエチレンのマイクロパウダー、例えば、Micro Powders社により「Microslip 519(登録商標)」および「519L(登録商標)」の名称で販売されている製品を挙げることができる。
【0101】
前記のマイクロワックスの中で、それらのいくつか、例えば、カルナバマイクロワックス、合成マイクロワックス「MicroEase 114S(登録商標)」、または、カルナバワックスと合成ワックスとの混合物からなるマイクロワックス「MicroCare 325(登録商標)」は、45℃以上の融解開始温度をもつ。
【0102】
本発明による組成物では、明らかに、ワックスの混合物を使用すること、殊に、1種または複数の通常のワックス、例えば、特に、粘着性ワックスおよび/または45℃以上の融解開始温度をもつワックス、また、1種または複数のマイクロワックスを使用することが可能である。
【0103】
本発明による組成物は、通常、10重量%から70重量%のワックスを含む。特に、それは、組成物の全重量に対して、15重量%から65重量%、より特定すると、20重量%から60重量%、あるいは25重量%から55重量%でさえある(単数または複数の)ワックスを含み得る。
【0104】
ワックスまたはワックス混合物は、本発明による組成物に、非水性溶媒媒体中の分散粒子の形態で存在する。
ワックス粒子は様々な形状であり得る。それらは、特に、実質的には球状であり得る。
室温での組成物の試料の顕微鏡観察により、前記媒体中にワックス粒子がよく分散していて、これらの粒子の凝集はほとんど、もしくは全く無いこと、あるいは、実に全ての方向で実質的に同じである粒子分布が示される。
【0105】
少なくとも1つの結晶性部分をもち、非水性溶媒媒体に可溶であるポリマー
特定の一実施形態によれば、本発明による組成物は、非水性溶媒媒体に可溶であり、少なくとも1つの結晶性部分をもつポリマーの少なくとも1種を含む。
【0106】
「前記非水性溶媒媒体に可溶であるポリマー」という表現は、通常約25℃である室温、大気圧(760mmHg、すなわち、105Pa)の下で、少なくとも0.01重量%より大きい固形物含量で、また望みの最終組成物に想定される量に相当する量で、前記非水性溶媒媒体に単独で導入された場合、可溶であるポリマーを意味する。
【0107】
本発明では、「ポリマー」という用語は、少なくとも2個の繰返し単位、殊に少なくとも3個の繰返し単位、特に少なくとも10個の繰返し単位、あるいは少なくとも15個でさえある繰返し単位を含む化合物を表す。本発明におけるポリマーは、通常、性質の異なる少なくとも2種の繰返し単位からなる(コポリマー)。本発明で使用されるポリマーは、通常、合成起源のものであり、200から1,000,000g/mol、特に、500から500,000g/mol、より特定すると、1000から300,000g/molの範囲のモル質量により特徴づけられる。
【0108】
より詳細には、本発明で使用されるポリマーは、室温の前記媒体に溶解し非晶質であり、Aで表される少なくとも1つの結晶性部分と、Bで表される少なくとも1つの「アモルファス」非結晶性部分を必ず含むコポリマーである。
【0109】
この特殊な構造の結果として、それらは、有利には、部分Aのおかげでワックスに対する親和性を、部分Bのおかげで溶媒に対する親和性を併せもつので、この点で、非水性溶媒媒体にワックスを分散させるのに有効に関与する。
【0110】
本発明に使用されるポリマーの結晶性部分は、それぞれのポリマーの全重量に対して、少なくとも5重量%、特に、少なくとも10重量%で50重量%まで、より特定すると、30重量%から50重量%を占める。
【0111】
本発明におけるコポリマーの結晶性部分Aは、前記ポリマーの骨格に結合したペンダント鎖、および/または、この骨格に直接組み入れられたブロック、および/または、少なくとも1つの末端鎖であるという特徴があり得る。これらのコポリマーは、ランダム、ブロックもしくはグラフトコポリマーおよび/またはデンドリマーのどの化学構造のものであってもよい。
【0112】
同様に、本発明におけるコポリマーのアモルファス部分は、前記ポリマーの骨格に結合したペンダント鎖、および/または、この骨格に直接組み入れられたブロック、および/または、少なくとも1つの末端鎖であるという特徴があり得る。
【0113】
本発明では、次の用語または表現は以下に与えられる意味をもつ:
- 「結晶性部分A」は、その繰返し単位に対応するホモポリマーを考えた場合、そのホモポリマーが30%を超える結晶化度により特徴づけられると推定されるようなものである繰返し単位の、少なくとも5個の連鎖を意味し、
- 「アモルファス部分B」は、その繰返し単位に対応するホモポリマーを考えた場合、そのホモポリマーが5%未満、あるいはゼロでさえある結晶化度により特徴づけられると推定されるようなものである繰返し単位の、少なくとも5個の連鎖を意味し、
- 「骨格に組み入れられたブロック」は、モノマー単位の繰返しからなり、そのポリマーの主鎖の一部分をなす、原子群を意味し、
- 「ペンダント鎖または側鎖」は、ポリマー骨格に枝を形成する原子群を意味し、また
- 「末端鎖」は、骨格の少なくとも1つの末端に位置する原子群を意味する。
【0114】
a)ランダムコポリマー
ランダムコポリマーは、好ましくは、結晶性ペンダント鎖をもつポリマーであり、このポリマーは、少なくとも2種のモノマー(少なくとも1種は式IIにより表すことができるXとして知られる結晶性疎水性側鎖をもつ)の重合により生ずる単位を含む:
【0115】
【化2】

【0116】
Mはポリマー骨格の原子を表し、Sはスペーサを表し、またCは結晶性の基を表す。
【0117】
結晶性の鎖である「-S-C」は、脂肪族または芳香族、線状、分岐状または環状で、任意選択で、フッ素化または全フッ素化されていてもよい。「S」は、特に、基(CH2)nまたは(CH2CH2O)nまたは(CH2O)を表し、これらは、線状または分岐状または環状であってよく、nは0から22の範囲の整数である。好ましくは、「S」は線状の基である。好ましくは、「S」および「C」は異なる。
【0118】
結晶性の鎖「-S-C」が炭化水素系脂肪族鎖である場合、それらは、少なくとも11個の炭素原子で、40個以下、さらに好ましくは24個以下の炭素原子を含む炭化水素系アルキル鎖である。それらは、殊に、少なくとも12個の炭素原子を含む脂肪族鎖またはアルキル鎖であり、それらは、特に、C12〜C24アルキル鎖である。それらがフルオロアルキルまたはペルフルオロアルキル鎖である場合、それらは、少なくとも6個のフッ素化された炭素原子を含み、特に、それらは、少なくとも11個の炭素原子(これらの少なくとも6個の炭素原子がフッ素化されている)を含む。
【0119】
(単数または複数の)結晶性ペンダント鎖を含むポリマーの例として、次のモノマーの1種または複数の重合により生じる単位を含むものを挙げることができる:アルキル基がC12〜C24の飽和アルキル(メタ)アクリレート、C12〜C15ペルフルオロアルキル基をもつペルフルオロアルキル(メタ)アクリレート、フッ素原子含有または非含有のアルキル基がC12からC24であるN-アルキル(メタ)アクリルアミド、アルキル基がC12からC24であるアルキルまたはペルフルオロ(アルキル)鎖(ペルフルオロアルキル鎖あたり少なくとも6個のフッ素原子をもつ)を含むビニルまたはアリルエステル、アルキル基がC12からC24であるアルキルまたはペルフルオロ(アルキル)鎖(ペルフルオロアルキル鎖あたり少なくとも6個のフッ素原子をもつ)を含むビニルエーテル、C12からC24のアルファ-オレフィン、例えば、オクタデセン、アルキル基が12から24個の炭素原子を含むパラ-アルキルスチレン、ならびにこれらの混合物。
【0120】
本発明に使用され得るこれらのポリマーの例として挙げることができるのは、結晶性部分Aを形成する、C12からC30の飽和線状アルキル(メタ)アクリレートと、アモルファス部分Bを構成する、線状のC4からC10の、あるいは分岐状または環状および/または不飽和のC4からC30のアルキル(メタ)アクリレートとのコポリマーである。
【0121】
結晶性部分Aを構成する、線状で飽和のC12からC30のアルキル基を含むビニルエステルと、結晶性部分Bを構成する、線状のC4からC10の、あるいは分岐状または環状および/または不飽和のC4からC30のアルキル基を含むビニルエステルとのコポリマーの中で、特に挙げることができるのは、酢酸ビニルとステアリン酸ビニルまたはステアリン酸アリルとのコポリマー、例えば、Chimex社により「Mexomer PQ(登録商標)」の名称で販売されている、ステアリン酸アリルと酢酸ビニルとのコポリマーである。
【0122】
重縮合によりポリマーが得られる場合は、前記の結晶性の炭化水素系および/またはフルオロ鎖を、価酸、ジオール、ジアミンまたはジイソシアネートであり得るモノマーが含んでいる。
【0123】
b)ブロックコポリマー
これらのコポリマーは、化学的性質が異なる少なくとも2つのタイプのブロックからなり、ブロックの1つは結晶性であり部分Aを構成する。ブロックコポリマーの場合には、アモルファスブロックBの少なくとも1つが媒体に可溶でなければならない。
【0124】
挙げることのできる例には以下が含まれる:
- 結晶性の鎖を含む、オレフィンまたはシクロオレフィンのブロックコポリマー、例えば、
- シクロブテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、ノルボルネン(すなわち、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン)、5-メチルノルボルネン、5-エチルノルボルネン、5,6-ジメチルノルボルネン、5,5,6-トリメチルノルボルネン、5-エチリデンノルボルネン、5-フェニルノルボルネン、5-ベンジルノルボルネン、5-ビニルノルボルネン、1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8a-オクタヒドロナフタレンまたはジシクロペンタジエン、あるいはこれらの混合物と、
- エチレン、プロピレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセンまたは1-エイコセン、あるいはこれらの混合物、
とのブロック重号により誘導されるもの、
- 論文「Study of morphological and mechanical properties of PP/PBT(PP/PBTの形態学的および力学的性質の研究)」(B. Boutevin et al., Polymer Bulletin, 34, 117-123 (1995))に引用されている、水素化された、ブロックまたはマルチブロックのポリ(ブチレンテレフタレート)-b-ポリ(イソプレン)ブロックコポリマー、
- 論文「Morphology of semi-crystalline block copolymers of ethylene (ethylene-alt-propylene)(エチレン-(エチレン-交互-プロピレン)半結晶性ブロックコポリマーの形態学)」(P. Rangarajan et al., Macromolecules, 26, 4640-4645 (1993))および「Polymer aggregates with crystalline cores:the system poly(ethylene)-poly(ethylene-propylene)(結晶質コアをもつポリマー凝集体:ポリ(エチレン)-ポリ(エチレン-プロピレン)系)」(P. Richter et al., Macromolecules, 30, 1053-1068 (1997))に引用されている、ポリ(エチレン)-b-コポリ(エチレン/プロピレン)ブロックコポリマー、ならびに
- 包括的論文「Crystallization in block copolymers(ブロックコポリマーの結晶化)」(I.W. Hamley, Advances in Polymer Science, Vol. 148, 113-137 (1999))に引用されている、ポリ(エチレン)-b-ポリ(エチルエチレン)ブロックコポリマー。
【0125】
これらのポリマーは、1つの結晶性ブロックまたは複数の結晶性ブロックをもち得る。後者の場合には、これらの結晶性ブロックの化学的性質は、同じであることも異なることもある。
【0126】
c)結晶性末端ブロックを含むコポリマー
この部類として挙げることができる例には、以下が含まれる:
- (α)2量体脂肪酸のような、少なくとも32個の炭素原子を含むジカルボン酸から選択される少なくとも1種の酸と、(β)アルキレンジアミン、特にエチレンジアミン、との間の縮合で得られるポリアミド型の重縮合体で、そのポリアミドポリマーが、線状飽和の12から30個の炭素原子を含む、モノアルコールまたはモノアミンの少なくとも1種でエステル化またはアミド化された少なくとも1つのカルボン酸末端基を含むもの、特に、エチレンジアミン/ジリノール酸ステアリルのコポリマー、例えば、Arizona Chemical社により「Uniclear 100 VG(登録商標)」の名称で販売されている製品;および
- 親油性ポリエステル重縮合体で、その末端が、飽和線状のC12からC30の炭素系の鎖からなる結晶性の酸またはアルコールでエステル化されたもの、特に、少なくとも1つの末端がステアリン酸でエステル化された12-ポリヒドロキシステアリン酸、例えば、Avecia社により販売されている「Solsperse 21000(登録商標)」。
【0127】
本発明に適するコポリマーのさらなる例として、特に挙げることができるのは、エチレン/酢酸ビニルのコポリマー、エチレン/無水マレイン酸のコポリマー、ブタジエン/イソプレンンの水添ブロックコポリマーおよびエチレン/無水マレイン酸/酢酸ビニルのターポリマーである。
【0128】
少なくとも1つの結晶性部分をもち、非水性溶媒媒体に可溶であるポリマー、あるいは、このようなポリマーの混合物は、組成物の全重量に対して、0.01重量%から30重量%、殊に、0.1重量%から20重量%、特に1重量%から10重量%の範囲の割合で、本発明の組成物に存在し得る。
【0129】
皮膜形成ポリマー
特定の一実施形態では、本発明による組成物は、少なくとも1種の皮膜形成ポリマーを含み得る。
【0130】
本発明では、「皮膜形成ポリマー」という用語は、それ自体で、あるいは皮膜形成補助剤の存在において、支持体、特にケラチン質に付着する連続皮膜を形成し得るポリマーを意味する。
【0131】
本発明では、30重量%未満の、本発明の定義による結晶性部分を含むポリマー、特に、全く含まないポリマーが、この部類に分類され、通常、脂溶性ポリマーである。
【0132】
本発明の組成物に使用され得る皮膜形成ポリマーの中で、挙げることができるのは、ラジカル型または重縮合体型の合成ポリマー、および天然由来のポリマー、ならびにこれらの混合物である。
【0133】
挙げることができる脂溶性ポリマーの例には、ビニルエステル(ビニル基はエステル基の酸素原子に直接結合しており、ビニルエステルは、エステル基のカルボニルに結合した、飽和で線状または分岐状で炭化水素系の1から24個の炭素原子の基を含む)と、(すでにあるビニルエステルとは異なる)ビニルエステル、アルキルビニルエーテル(このアルキル基は、2から24個の炭素原子を含む)、あるいはアリルエステルもしくはメタリルエステル(エステル基のカルボニルに結合した、飽和で線状または分岐状で炭化水素系の1から24個の炭素原子の基を含む)であり得る少なくとも1種の別のモノマーとのコポリマーが含まれる。これらのコポリマーは、テトラアリルオキシエタン、ジビニルベンゼン、オクタン二酸ジビニル、ドデカン二酸ジビニルおよびオクタデカン二酸ジビニルのような、ビニル型またはアリルもしくはメタリル型のいずれかであり得る架橋剤を用いて、架橋されていてもよい。
【0134】
挙げることができるこれらのコポリマーの例には、次のコポリマーが含まれる:酢酸ビニル/ラウリン酸ビニル、プロピオン酸ビニル/ラウリン酸アリル、プロピオン酸ビニル/ラウリン酸ビニル、および2,2-ジメチルペンタン酸アリル/ラウリン酸ビニル。
【0135】
やはり挙げることができる脂溶性皮膜形成ポリマーには、脂溶性ホモポリマー、特に、9から22個の炭素原子を含むビニルエステル、あるいは、アルキル基が2から24個の炭素原子を含むアルキルアクリレートもしくはアルキルメタクリレートの単独重合により得られるものが含まれる。
【0136】
特に挙げることができる脂溶性ホモポリマーの例には、ポリラウリン酸ビニルおよびポリラウリル(メタ)アクリレートが含まれ、これらのポリ(メタ)アクリレートは、可能性として、エチレングリコールジメタクリレートまたはテトラエチレングリコールジメタクリレートを用いて架橋されている。
【0137】
前記の脂溶性ホモポリマーおよびコポリマーは知られており、特に、特許出願FR-A-2 232 303に記載されており、それらは、2000から500,000、特に、4000から200,000の範囲の重量平均分子量をもち得る。
【0138】
本発明で使用され得る脂溶性皮膜形成ポリマーとして、さらに挙げることができるのは、ポリアルキレン、特にC2からC20のアルケンのコポリマー、例えばポリブテン、線状または分岐状で飽和または不飽和のC1からC8のアルキル基をもつアルキルセルロース、例えばエチルセルロースおよびプロピルセルロース、ビニルピロリドン(VP)コポリマー、特に、ビニルピロリドンと、C2からC40、殊にC3からC20のアルケンとのコポリマーである。本発明で使用され得るVPコポリマーの例として挙げることができるのは、VP/酢酸ビニル、VP/エチルメタクリレート、ブチル化ポリビニルピロリドン(PVP)、VP/エチルメタクリレート/メタクリル酸、VP/エイコセン、VP/ヘキサデセン、VP/トリアコンテン、VP/スチレンおよびVP/アクリル酸/ラウリルメタクリレートのコポリマーである。
【0139】
皮膜形成ポリマーはまた、水性相または非水性溶媒相に分散した粒子の形態(一般に、ラテックスまたは擬ラテックスとして知られている)でも、組成物中に存在し得る。これらの分散体を調製する方法はその分野の技術者によく知られている。
【0140】
使用され得る皮膜形成ポリマーの水性分散体には、Avecia-Neoresins社により「Neocryl XK-90(登録商標)」、「Neocryl A-1070(登録商標)」、「Neocryl A-1090(登録商標)」、「Neocryl BT-62(登録商標)」、「Neocryl A-1079(登録商標)」および「Neocryl A-523(登録商標)」、Dow Chemical社により「Dow Latex 432(登録商標)」、Daito Kasey Kogyo社(大東化成工業株式会社)により「Daitosol(ダイトゾール) 5000 AD(登録商標)」の名称で販売されているアクリル分散体;あるいは、Avecia-Neoresins社により「Neorez R-981(登録商標)」および「Neorez R-974(登録商標)」、Goodrich社により「Avalure UR-405(登録商標)」、「Avalure UR-410(登録商標)」、「Avalure UR-425(登録商標)」、「Avalure UR-450(登録商標)」、「Sancure 875(登録商標)」、「Sancure 861(登録商標)」、「Sancure 878(登録商標)」および「Sancure 2060(登録商標)」、Bayer社により「Impranil 85(登録商標)」、Hydromer社により「Aquamere H-1511(登録商標)」の名称で販売されているポリウレタン水性分散体;Eastman Chemical Products社により「Eastman AQ(登録商標)」の商標名で販売されているスルホポリエステル(sulfopolyester)、CHIMEX社による、ビニル分散体、例えば「Mexomer PAM」、さらに、イソデカン中のアクリル分散体、例えば「Mexomer PAP」が含まれる。
【0141】
皮膜形成ポリマーは、組成物の全重量に対して、0.1重量%から30重量%、特に0.5重量%から25重量%、より特定すると1重量%から20重量%の範囲の固形分含量で、本発明による組成物中に存在し得る。
【0142】
皮膜形成ポリマーによる皮膜の形成を促進するために、本発明による組成物は可塑剤を含み得る。このような可塑剤は、望まれる機能を果し得るものとして当業者に知られている化合物から選択され得る。
【0143】
色素
本発明による組成物はまた、少なくとも1種の色素、例えば、粉末染料、脂溶性染料および水溶性染料を含み得る。
【0144】
粉末色素は顔料および真珠層(nacre)から選択され得る。
【0145】
顔料は、白色または有色で、無機および/または有機で、被覆または無被覆であり得る。挙げることができる無機顔料の中には、任意選択で表面処理された二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛または酸化セリウム、さらに、酸化鉄または酸化クロム、マンガンバイレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物および鉄(III)ブルー(ferric blue)がある。挙げることができる有機顔料の中には、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料、ならびにコチニールカルミン、または、バリウム、ストロンチウム、カルシウムもしくはアルミニウムをベースとするレーキがある。
【0146】
ナクレは、白色ナクレ顔料、例えば、チタンまたはオキシ塩化ビスマスで被覆されたマイカ、着色ナクレ顔料、例えば、酸化鉄で被覆されたチタンマイカ、特に鉄(III)ブルーもしくは酸化クロムで被覆されたチタンマイカ、前記のタイプの有機顔料で被覆されたチタンマイカ、さらにオキシ塩化ビスマス系のナクレ顔料から選択され得る。
【0147】
脂溶性染料は、例えば、Sudan Red、D&C Red 17、D&C Green 6、β-カロテン、大豆油、Sudan Brown、D&C Yellow 11、D&C Violet 2、D&C Orange 5、キノリンイエローおよびアナトーである。
【0148】
これらの色素は、組成物の全重量に対して0.01重量%から30重量%の範囲の含量で存在し得る。
【0149】
フィラー
本発明による組成物はまた、少なくとも1種のフィラーを含み得る。
【0150】
フィラーは、当業者によく知られており、化粧品組成物に広く用いられるものから選択され得る。フィラーは無機または有機であり、層状または球状であり得る。挙げることができるのは、タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ポリアミドパウダー、例えば、Atochem社により「Orgasol(登録商標)」の商品名で販売されているNylon(登録商標)、ポリ-β-アラニンパウダーおよびポリエチレンパウダー、テトラフルオロエチレンポリマー、例えばテフロン(登録商標)のパウダー、ラウロイルリシン、デンプン、窒化ホウ素、ポリ塩化ビニリデン/アクリロニトリルのもののような、膨張させた中空ポリマーマイクロスフィア、例えば、Nobel Industrie社により「Expancel(登録商標)」の名称で販売されている製品、アクリルパウダー、例えば、Dow Corning社により「Polytrap(登録商標)」の名称で販売されているもの、ポリメチルメタクリレート粒子およびシリコーン樹脂マイクロビーズ(例えば、Toshiba(東芝)の「Tospearls(登録商標)」)、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムおよび炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカマイクロスフィア(Maprecosの「Silica Beads(登録商標)」)、ガラスまたはセラミックマイクロカプセル、8から22個の炭素原子、特に、12から18個の炭素原子を含む有機カルボン酸から誘導される金属石鹸、例えば、ステアリン酸の亜鉛、マグネシウムまたはリチウム塩、ラウリン酸亜鉛およびミリスチン酸マグネシウムである。
【0151】
フィラーは、組成物の全重量に対して、0.1重量%から25重量%、特に、1重量%から20重量%を占める。
【0152】
本発明の組成物はまた、化粧品に通常使用されるもの、例えば、酸化防止剤、防腐剤、香料、中和剤、可塑剤、増粘剤またはゲル化剤、繊維および美容活性剤、ならびにこれらの混合物から特に選択される化粧品に許容される添加剤を含み得る。
【0153】
本発明による組成物に使用され得るゲル化剤は、通常、親油性であり、有機または無機で、高分子または低分子であり得る。
【0154】
挙げることができる無機親油性ゲル化剤には、任意選択で変性されたクレー、例えば、C10からC22の脂肪酸アンモニウムクロリドで変性されたヘクトライト、例えば、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリドで変性されたヘクトライト、具体例として、Elementis社により「Bentone 38V(登録商標)」の名称で販売されている製品が含まれる。
【0155】
やはり挙げることができるのは、任意選択で疎水性表面処理された、粒径が1μm未満のフュームドシリカである。詳細には、シリカの表面に存在するシラノール基の数を減少させる化学反応により、シリカの表面を化学的に変性することが可能である。特に、疎水性の基でシラノールを置換することが可能であり、こうして疎水性シリカが得られる。疎水性の基は以下であり得る:
- トリメチルシロキシ基、これらは、特に、ヘキサメチルジシラザンの存在下にフュームドシリカを処理することにより得られる。このように処理されたシリカは、CTFA(第6版、1995年)により「シリル化シリカ」として知られている。それらは、例えば、Degussa社により「Aerosil R812(登録商標)」、Cabot社により「Cab-O-Sil TS-530(登録商標)」の呼称で販売されている;
- ジメチルシリルオキシまたはポリジメチルシロキサン基、これらは、特に、ポリジメチルシロキサンまたはジメチルジクロロシランの存在下にフュームドシリカを処理することにより得られる。このように処理されたシリカは、CTFA(第6版、1995年)により「ジメチルシリル化シリカ」として知られている。それらは、例えば、Degussa社により「Aerosil R972(登録商標)」および「Aerosil R974(登録商標)」、また、Cabot社により「Cab-O-Sil TS-610(登録商標)」および「Cab-O-Sil TS-720(登録商標)」の呼称で販売されている。
【0156】
疎水性フュームドシリカは、好ましくは、ナノメートルからマイクロメートル、例えば、約5から200nmの範囲であり得る粒径をもつ。
【0157】
有機親油性高分子ゲル化剤は、例えば、部分または完全架橋3次元構造体オルガノポリシロキサンエラストマー、例えば、Shin-Etsu(信越)からKSG6(登録商標)、KSG16(登録商標)およびKSG18(登録商標)、Dow CorningからTrefil E-505C(登録商標)またはTrefil E-506C(登録商標)、Grant IndustriesからGransil SR-CYC(登録商標)、SR DMF 10(登録商標)、SR-DC556(登録商標)、SR 5CYC gel(登録商標)、SR DMF 10 gel(登録商標)およびSR DC 556 gel(登録商標)、General ElectricからSF 1204(登録商標)およびJK 113(登録商標)の名称で販売されているもの;エチルセルロース、例えば、Dow ChemicalによりEthocelの名称で販売されているもの、さらに、サッカリドあたり1から6個、特に、2から4個のヒドロキシル基を含み、飽和または不飽和のアルキル鎖で置換されたガラクトマンナン、例えば、C1からC6、特に、C1からC3のアルキル鎖でアルキル化されたグアーガム、ならびにこれらの混合物である。「ジブロック」または「トリブロック」型のブロックコポリマーで、BASF社により「Luvitol HSB(登録商標)」の名称で販売されている製品のようなポリスチレン/ポリイソプレンまたはポリスチレン/ポリブタジエン型のもの、Shell Chemical Co.社により「Kraton(登録商標)」の名称で販売されている製品にようなポリスチレン/コポリ(エチレン-プロピレン)型のもの、あるいは、ポリスチレン/コポリ(エチレン-ブチレン)型のもの。
【0158】
本発明による組成物に使用され得るゲル化剤の中で、やはり挙げることができるのは、デキストリンの脂肪酸エステル、例えばパルミチン酸デキストリン、特に、Chiba Flour社により「Rheopearl TL(登録商標)」または「Rheopearl KL(登録商標)」の名称で販売されている製品である。
【0159】
本発明による組成物はまた、ロング効果(lengthening effect)を向上させることができる繊維を含み得る。
【0160】
「繊維」という用語は、LがD(繊維の横断面を囲む円の直径である)より非常に大きい、長さLと直径Dの対象を意味すると理解されるべきである。特に、比L/D(あるいは形状因子)は、3.5から2,500、好ましくは、5から500、特に、5から150の範囲で選択される。
【0161】
本発明の組成物に使用され得る繊維は、合成または天然由来の無機または有機の繊維であり得る。繊維は、短いことも長いこともあり、1本ずつであることも、構成されている、例えば組み編みされていることもあり、中空または中実であり得る。それらは、どのような形状でもよいが、特に、想定される具体的な用途に応じて、円形または多角形(四角形、6角形または8角形)の横断面をもち得る。特に、それらの末端は、けがを避けるために、尖っていない、および/または、滑らかになっている。
【0162】
特に、繊維は、1μmから10mm、好ましくは、0.1mmから5mm、さらに好ましくは、1mmから3.5mmの範囲の長さをもつ。それらの横断面は、2nmから500μmの範囲、好ましくは、100nmから100μm、さらに好ましくは、1μmから50μmの範囲の直径の円内にある。繊維の重さまたは番手(yarn count)は、デニールまたはデシテックスで与えられることが多く、ヤーン9kmあたりの重量(グラム)を表している。特に、本発明に適する繊維は、0.15から30デニール、さらに好ましくは、0.18から18デニールの範囲で選択される番手をもち得る。
【0163】
繊維は、布地の製造に使用されるもの、特に、シルク繊維、綿繊維、ウール繊維、アマ繊維、特に、木材、植物または藻類から抽出されたセルロース繊維、レーヨン繊維、ポリアミド(Nylon(登録商標))繊維、ビスコース繊維、アセテート繊維、特にレーヨンアセテート繊維、ポリ(p-フェニレンテレフタルアミド)(またはアラミド)繊維、特にKevlar(登録商標)繊維、アクリルポリマー繊維、特に、ポリメチルメタクリレート繊維またはポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)繊維、ポリオレフィン繊維、特に、ポリエチレンまたはポリプロピレン繊維、ガラス繊維、シリカ繊維、炭素繊維、特に、グラファイト型、ポリテトラフルオロエチレン(例えばTeflon(登録商標))繊維、不溶コラーゲン繊維、ポリエステル繊維、ポリ塩化ビニル繊維またはポリ塩化ビニリデン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアクリロニトリル繊維、キトサン繊維、ポリウレタン繊維、ポリエチレンフタレート繊維、ならびに前記のようなポリマーの混合物から生成する繊維、例えばポリアミド/ポリエステルの繊維であり得る。
【0164】
手術に使用される繊維、例えば、グリコール酸とカプロラクトンから調製される吸収性合成繊維(Johnson & JohnsonのMonocryl(登録商標));乳酸とグリコール酸とのコポリマータイプの吸収性合成繊維(Johnson & JohnsonのVicryl(登録商標));ポリテレフタル酸エステル繊維(Johnson & JohnsonのEthibond(登録商標))およびステンレス鋼の糸(Johnson & JohnsonのAcier(登録商標))を使用することもできる。
【0165】
さらに、繊維は、表面処理されていることも、されていないことも、被覆されていることも、されていないこともある。本発明で使用され得る被覆繊維として挙げることができるのは、帯電防止効果を付与するために硫化銅で被覆されたポリアミド繊維(例えば、RhodiaのR-STAT(登録商標))、あるいは、繊維の特別な組織化(特殊表面処理)または色彩/ホログラム効果を含む表面処理(例えば、SildorexのLurex(登録商標)繊維)を可能にする別のポリマーである。
【0166】
特に、合成起源の繊維、特に有機繊維、例えば手術に使用されるものが使用される。水不溶性繊維が有利に使用され得る。
【0167】
本発明による組成物に使用され得る繊維は、特に、ポリアミド繊維、セルロース繊維、ポリ(p-フェニレンテレフタルアミド)繊維またはポリエチレン繊維であり得る。それらの長さ(L)は、0.1mmから5mm、特に0.25mmから1.6mmの範囲であり、それらの平均直径は、1μmから50μmの範囲であり得る。特に、Etablissements P. Bonteにより「Polyamide 0.9 Dtex 3 mm(登録商標)」の名称で販売され、平均直径が6μm、番手が約0.9 dtex、長さが0.3mmから5mmの範囲であるポリアミド繊維を使用することができる。平均直径が50μm、長さが0.5mmから6mmの範囲のセルロース(またはレーヨン)繊維、例えば、Claremont Flock社により「Natural rayon flock fiber RC1BE - N003 - M04(登録商標)」の名称で販売されているものもまた使用することができる。ポリエチレン繊維、例えば、Mini Fibers社により「Shurt Stuff 13 099 F(登録商標)」の名称で販売されているものもまた使用され得る。
【0168】
本発明による組成物はまた、「硬い(rigid)」繊維を、硬い繊維ではない前記の繊維とは対照的なものとして、含み得る。
【0169】
硬い繊維は、最初は実質的にまっすぐであり、分散媒体に入れられた時、下で定義される角度条件により規定される形状が実質的に変わらず、依然として実質的にまっすぐで直線状と記述され得る形状を示す。この角度条件は、繊維の剛性を表しており、硬い繊維のように小さい対象では、別のパラメータにより剛性を表すことは困難である。
【0170】
繊維の剛性は、以下の角度条件により表される:0.8mmから5mmの範囲、特に、1mmから4mmの範囲、より特定すると1mmから3mm、あるいは2mmの範囲でさえある同じ繊維長さとして、有利には、少なくとも50%、特に少なくとも75%、より特定すると少なくとも90%の本数の繊維が、繊維の長手方向中心軸への接線と、該末端を繊維の長さの半分に相当する繊維の長手方向中心軸上の点に結ぶ直線との間をなす角度が15°未満であり、また、繊維に沿う中間点での繊維の長手方向中心軸への接線と、末端の一方を繊維の長さの半分に相当する繊維の長手方向中心軸上の点に結ぶ直線との間をなす角度が15°以下である。
【0171】
有利には、前記の角度は、繊維の2つの末端と繊維に沿う中間点で測られる;別の言い方をすると、この場合3つの測定が行われ、測定された角度の平均が15°以下である。
【0172】
接線は、特に、繊維の如何なる点でも、15°未満の角度をなす。
【0173】
本特許出願では、繊維上の点での接線のなす角は、繊維の前記点での繊維の長手方向中心軸への接線と、前記点に最も近い繊維末端を繊維の長さの半分に相当する繊維の長手方向中心軸上の点に結ぶ直線との間をなす角である。
【0174】
一般に、本発明による組成物に使用され得る硬い繊維の長さは、同じであるか、実質的に同じである。
【0175】
より詳細には、硬い繊維が1重量%の繊維濃度で分散された媒体を、2.5倍に拡大できる対物レンズをもつ全視野の顕微鏡で観察すると、硬い繊維の大多数、すなわち、硬い繊維の本数の少なくとも50%、好ましくは硬い繊維の本数の少なくとも75%、より好ましくは硬い繊維の本数の少なくとも90%は、前記の角度条件を満たしていなければならない。角度の値を得る測定は同じ長さの繊維で実施され、この長さは、0.8mmから5mm、特に、1から4mm、より特定すると1から3mm、あるいは2mmでさえある範囲にある。
【0176】
観察が行われる媒体は、硬い繊維を確実によく分散させる分散媒体、例えば、水あるいは、クレーまたは会合性ポリウレタンの水性ゲルである。硬い繊維を含む組成物の直接観察を実施することさえできる。調製された組成物または分散体の試料が、2.5倍に拡大できる対物レンズをもつ全視野の顕微鏡による観察のために、スライドとカバーガラスとの間に挟まれる。全視野により、複数の繊維を全体として見ることができるようになる。
【0177】
硬い繊維は、ポリエステル、ポリウレタン、アクリルポリマー、ポリオレフィン、ポリアミド、特に非芳香族ポリアミド、および芳香族ポリイミドアミドから選択される合成ポリマーの繊維から選択され得る。
【0178】
挙げることができる硬い繊維の例には以下が含まれる:
- ポリエステル繊維、例えば、Dupont de Nemours社により、Fiber 255-100-Rll-242T Taille 3 mm (eight-lobed cross section(8葉断面))(登録商標)、Fiber 265-34-Rll-56T Taille 3 mm (round cross section(丸い断面))(登録商標)およびFiber Coolmax 50-34-591 Taille 3 mm (four-lobed cross section(4葉断面))(登録商標)の名称で販売されている、ヤーンを細断することにより得られるもの;
- ポリアミド繊維、例えば、Cellusuede Products社によりTrilobal Nylon 0.120-1.8 DPF(登録商標)、Trilobal Nylon 0.120-18 DPF(登録商標)、Nylon 0.120-6 DPFの名称で販売されているもの;あるいは、Dupont de Nemours社によりFiber Nomex Brand 430 Taille 3 mm(登録商標)の名称で販売されている、ヤーンを細断することにより得られるもの;
- ポリイミドアミド繊維、例えば、RHODIA社により「Kermel(登録商標)」および「Kermel Tech(登録商標)」の名称で販売されているもの;
- ポリ(p-フェニレンテレフタルアミド)(あるいはアラミド)、特に、Dupont de Nemours社によりKevlar(登録商標)の名称で販売されているもの;
- ポリエステル、アクリルポリマーおよびポリアミドから選択されるポリマーが交互にくる層を含む多層構造の繊維、例えば、文書、EP-A-6 921 217、EP-A-686 858およびUS-A-5 472 798に記載されるもの。このような繊維は、Teijin(帝人)社により「Morphotex(登録商標)」および「Teijin Tetron Morphotex(登録商標)」の名称で販売されている。
【0179】
特に好ましい硬い繊は、芳香族ポリイミドアミド繊維である。
【0180】
本発明の組成物に使用され得るポリイミドアミドヤーンまたは繊維は、例えば、文書、R. Pigeon and P. Allard, Chimie Macromoleculaire Appliquee, 40/41 (1974), pages 139-158 (No. 600)に、あるいは文書、US-A-3 802 841、FR-A-2 079 785、EP-A1-0 360 728およびEP-A-0 549 494に記載されており、これらの文書を参照することができる。
【0181】
好ましい芳香族ポリイミドアミド繊維は、次の式の繰返し単位を含むポリイミドアミド繊維であり、トリレンジイソシアネートとトリメリト酸無水物との重縮合により得られる:
【0182】
【化3】

【0183】
繊維は、本発明による組成物に、組成物の全重量に対して、0.01重量%から10重量%、特に、0.1重量%から5重量%、より特定すると0.3重量%から3重量%の範囲の含量で存在し得る。
【0184】
本発明による組成物に使用され得る美容活性剤として特に挙げることができるのは、エモリエント、モイスチャライザー、ビタミンおよび遮蔽剤、特にサンスクリーンである。
【0185】
言うまでもなく、当業者は、本発明による組成物の利点のある性質が、想定される添加により悪影響を受けないか、実質的に受けないように、任意選択の追加の添加剤および/またはそれらの量を選択するのに注意を払うであろう。
【0186】
調製方法
本発明による組成物の調製方法は、特に、使用される(単数または複数の)ワックスの性質に依存する。それは、特に、ワックスが、上で定義された、通常のタイプのものであるか、マイクロワックスであるかどうかに依存する。通常のワックスでは、調製方法は、さらに、該ワックスの融解開始温度に依存する。
【0187】
第1の変形形態では、使用される(単数または複数の)ワックスは、通常のタイプのものであり、45℃未満の融解開始温度をもつ。
【0188】
このような場合には、ワックスを、それらが完全に融解するまで加熱し、次に、それらを揮発性非水性溶媒に導入することにより、標準的なやり方で本発明の組成物を調製することができる。こうして得られた混合物は、それが室温に冷却されるまで機械的に攪拌される。非水性溶媒媒体に可溶であり結晶性部分をもつポリマーを組成物が含む場合、そのポリマーは、通常、揮発性非水性溶媒と共に導入されるが、それの次に加えられてもよい。
【0189】
水および/または(単数または複数の)水溶性溶媒および任意選択の追加の成分は、出発材料に、あるいは任意選択で、冷却中に、または仕上がった組成物に導入される。
【0190】
第2の変形形態では、使用される(単数または複数の)ワックスは通常のタイプである。それらの融解開始温度は45℃未満であってもそれ以上であってもよい。
【0191】
このような変形形態では、ケラチン繊維メイクアップ組成物は、通常、ワックスまたはいくつかのワックス混合物を、それらが完全に融解するまで、最高の融点をもつワックスの融点を超える温度まで加熱し、続いてブレンドし室温まで連続的に冷却することにより得られる。
【0192】
ブレンド中、またはこの作業の前に、非水性溶媒を加えてもよい。
【0193】
通常の方法により組成物を攪拌する代わりに組成物をブレンドすることは、小さい粒子となる細かい結晶の形態にワックスが再結晶することを促進するようである。また、このブレンドにより、生成した凝集粒子が破壊されて、仕上がった組成物では、小さなワックス粒子が実質的に均一に分散するようである。
【0194】
ブレンド作業は、例えば、ペーストがその間に供給される2本の逆回転ロールを備えるロールミルで、あるいは、より有利には、極めて一定の品質のペーストが再現性よく得られる連続2軸スクリューブレンダで実施され得る。
【0195】
ブレンド作業が実施され得る条件は、特許出願FR 94/00756に記載されており、その内容は本特許出願で参考として援用される。
【0196】
組成物が、水および/または水溶性溶媒ならびに任意選択の追加成分を含む場合、これらは、出発材料に、あるいは任意選択で、冷却中にブレンドの途中で、または、仕上がった組成物に導入される。
【0197】
特に、非水性溶媒媒体に可溶であり結晶性部分をもつ少なくとも1種のポリマーを組成物が含む場合、このポリマーは、特に、ブレンド作業の前に、それだけで、あるいは非水性溶媒と一緒に導入される。
【0198】
組成物を調製するこの方法には、特に、その方法により熱に敏感な化合物の熱安定性に適合する温度でそれらを加えることができれば、ブレンダ内での短い滞留時間のおかげで、熱に敏感な化合物、例えば特定の活性剤を組み入れることができるという利点がある。
【0199】
第3の変形形態では、使用される(単数または複数の)ワックスは、前記のマイクロワックスである。
【0200】
それが粒子状で配合されることの結果として、このようなワックスは、その融点より低い温度で直ちに使用され得る。別の言い方では、本発明による組成物の調製のこの特定の実施形態では、マイクロワックス粒子は、連続層に、融解/再結晶のステップによりそこに粒子を生成させるのでなく、直接分散される。
【0201】
このワックス分散ステップは、特に、ワックスの融点より低い温度で、殊に、室温で実施され得るが、これには、言うまでもなく、調製工程の実施の容易さの点で利点がある。
【0202】
非水性溶媒は、前記のものから選択される。この特定の調製方法による実施形態では、前記の、水および/または(単数または複数の)水溶性溶媒および/または追加成分は、場合に応じて、出発材料または仕上がった組成物のいずれかに加えられ得る。
【0203】
本発明の第4の実施形態では、本発明の組成物の調製方法が、前記の、少なくとも1種の通常のワックスと、少なくとも1種のマイクロワックスの両方に関連する。このような場合には、通常のワックスまたは通常のワックスの混合物が、通常、非水性溶媒中に最初に導入され、融解されるが(適切な場合には、前記溶媒に可溶であり結晶性部分をもつ少なくとも1種のポリマーとの混合物として)、次に、こうして得られた混合物は、冷却しながら攪拌またはブレンドされる。マイクロワックスまたはマイクロワックスの混合物は、通常のワックスを含む混合物の温度が、前記マイクロワックスの融点より低いか、あるいは、マイクロワックス混合物で最低の融点をもつマイクロワックスの融転より低くなった時、殊に、室温で初めて加えられる。
【0204】
この場合にはまた、水および/または(単数または複数の)水溶性溶媒および追加成分は、場合に応じて、出発材料に、または、仕上がった組成物に、あるいは他に、組成物がブレンドされる場合、冷却作業中に加えられ得る。
【0205】
本発明の主題はまた、ケラチン繊維のメイクアップ方法であり、前記の組成物が前記ケラチン繊維、特に睫毛に付けられる。
【0206】
特に、ブラシまたは櫛を用いて、本発明の組成物を睫毛に付けることができる。
【0207】
本発明の組成物を用いるメイクアップの増粘効果は、最も格別には前記組成物を付ける道具を選択することにより、さらに増強される。
【0208】
本発明の場合には、睫毛のメイクアップの場合に、特許、FR 2701198、FR 2605505、EP 792603およびEP 663161に記載されるメイクアップブラシを用いて前記組成物を付けると特に利点がある。
【0209】
以下の実施例は、本発明の非限定的な例示として記載される。
【0210】
組成物の調製手順
a. ミクロ粒子状のワックスだけを含む組成物の調製方法
少なくとも1種の非水性溶媒に、色素およびゲル化剤を攪拌して分散させる(任意選択で、前記非水性溶媒に可溶であり少なくとも1つの結晶性部分をもつ少なくとも1種のポリマーとの混合物として(このような場合には、この混合物は、45℃の温度に前もって加熱され、次に室温まで冷却された))。次に、ミクロ粒子状のワックスと、適切であれば組成物の残りの成分とを、攪拌しながら加える。
【0211】
水および/または(単数または複数の)水溶性溶媒を、特に、攪拌しながら徐々に分散させる。
【0212】
b. 通常のワックスとミクロ粒子状のワックスとの両方を含む組成物の調製
少なくとも1種の非水性溶媒に、色素およびゲル化剤を攪拌して分散させ(任意選択で、前記非水性溶媒に可溶であり少なくとも1つの結晶性部分をもつ少なくとも1種のポリマーとの混合物として)、45℃の温度に加熱し、次に室温まで冷却する。次に、得られた混合物を45℃に加熱して、その後、前もって完全に融解するまで加熱された通常のワックスの混合物を徐々に加える。こうして得られた混合物を攪拌しながら室温まで冷却させる。次に、ミクロ粒子状のワックスと、適切であれば組成物の残りの成分を加える。
【0213】
水および/または(単数または複数の)水溶性溶媒を、特に、攪拌しながら徐々に分散させる。
【0214】
c. 連続2軸スクリューブレンダを用いての組成物調製
Clextral社の「BC-21」型のような連続2軸スクリューブレンダで調製が実施され、次の条件で行われる:
- 入口温度:100℃
- 出口温度:20℃
- 流量=3kg/h
- スクリュー回転数:600rpm
【0215】
予め融解させたワックスを、非水性溶媒および他の成分と同時にブレンダの上部に導入し、それから、連続2軸スクリューでブレンドしながら混合物を出口温度まで冷却する。
【0216】
物理的特性の測定
固形分含量の測定は、すでに記載された手順に従って実施される。
【0217】
レオロジー測定は、次の条件の下で、「Haake RheoStress 600(登録商標)」応力制御レオメータを用いて、すでに記載された手順に従って実施された:
- 測定温度:25℃
- 測定開始前に25℃で180秒間の安定化段階
- 1から10,000Paの応力掃引
- 測定周波数:1Hz
【実施例】
【0218】
(実施例1、2および3)
下の表Iに与えられる組成をもつウォータープルーフマスカラを、b)に記載された方法に従って調製した(この表では、示された量は重量パーセントであり、組成物の全重量に対するものである):
【0219】
【表1】

【0220】
すでに記載された手順に従って、これらの組成物の様々な特性をin vitroで調べた。
【0221】
結果が下の表IIに与えられている:
【0222】
【表2】

【0223】
こうして得られた組成物は、特に高い固形分含量と、十分に小さいので満足できる状態で組成物を使用できる平衡剛性率とを併せもっていた。
【0224】
(実施例4)
下の組成をもつウォータープルーフマスカラを、b)の方法に従って調製した:
- 蜜蝋 8.67g
- カルナバマイクロワックス(Micro Powdersの「MicroCare 350(登録商標)」) 24.20g
- 合成マイクロワックス(Micro Powdersの「MicroEase 114S(登録商標)」) 2.02g
- ポリラウリン酸ビニル(Chimexの「Mexomer PP(登録商標)」) 0.66g
- 防腐剤 0.20g
- 染料 5.70g
- ベントナイト 3.60g
- 炭酸プロピレン 1.18g
- ステアリン酸アリル/酢酸ビニルのコポリマー
(Chimexの「Mexomer PQ(登録商標)」) 6.50g
- イソドデカン 47.27g
【0225】
すでに記載された手順に従って、これらの組成物の様々な特性をin vitroで調べた。結果が下の表IIIに与えられている:
【0226】
【表3】

【0227】
こうして得られた組成物は、特に高い固形分含量(50%を超える)をもち、特に小さい剛性率(1000Pa)をもつ。
【0228】
(実施例5および6)
それぞれ下の表IVに与えられた組成物をもつ2つのウォータープルーフマスカラを、方法a)に従って調製した(この表では、示された量は重量パーセントであり、組成物の全重量に対するものである):
【0229】
【表4】

【0230】
すでに記載された手順に従って、これらの組成物の様々な特性をin vitroで調べた。
【0231】
結果が下の表Vに与えられている:
【0232】
【表5】

【0233】
得られた組成物は、60%を超える高い固形分含量をもち、同時に、小さい剛性率の値をもつので満足できる柔軟性をもつことが分かる。
【0234】
これらの組成物は、睫毛に特によく付き、睫毛をかなり濃く太くするメイクアップの結果を与える。
【0235】
(実施例7から10)
b)に記載された方法に従って、それぞれ下の表VIに与えられた成分を一緒に混合することにより、4つのウォータープルーフマスカラを調製した(この表では、示された量は重量パーセントであり、組成物の全重量に対するものである)。
【0236】
【表6】

【0237】
実施例7および8の組成物は、組成物の全重量に対して、それぞれ、6.5重量%と2.1重量%の含量で水を含んでおり、この水は、使用されるラテックス、すなわち、Chimex社の「Mexomer PAM(登録商標)」と、Daito社の「Daitosol 5000 AD(登録商標)」に由来する。
【0238】
すでに記載された手順に従って、これらの組成物の様々なin vitroの特性を調べた。
【0239】
結果が下の表VIIに与えられている。
【0240】
【表7】

【0241】
(実施例11)
下の組成物をもつウォータープルーフマスカラを、c)に記載された方法に従って調製した:
- 粘着性ワックス(Koster Keunen社の「Kester Wax K 82 P(登録商標)」) 32g
- パルミチン酸デキストリン(Chiba Flourの「Rheopearl KL(登録商標)」) 5.32g
- 酢酸ビニル/ステアリン酸アリルのコポリマー(65/35)(Chimexの「Mexomer PQ(登録商標)」) 2.2g
- ポリラウリン酸ビニル(ChimexのMexomer PP(登録商標)) 0.75g
- 12-ヒドロキシステアリン酸オリゴマーのステアリン酸エステル(AveciaのSolsperse 21000(登録商標)) 0.10g
- シリカ 10g
- タルク 0.84g
- 顔料 4.62g
- 防腐剤 十分量
- 無変性96°エチルアルコール 3g
- イソドデカン 40.96g
【0242】
すでに記載された手順に従って、これらの組成物の様々なin vitroの特性を調べた。
【0243】
結果が下の表VIIIに与えられている。
【0244】
【表8】

【0245】
こうして得られた組成物もまた、満足できる状態でそれを使用し得るのに十分な小さい剛性率と併せて、特に大きな固形分含量をもつ。
【0246】
このマスカラは容易に睫毛に付き、濃く太く非粘着性のメイクアップの結果が睫毛で得られる:厚毛は1本ずつよく分離している。
【0247】
(実施例12)
下の組成をもつウォータープルーフマスカラを、b)に記載された方法に従って調製した;
- マイクロクリスタリンワックス(Parameltの「Microwax HW(登録商標)」) 30g
- 顔料 9.24g
- 米デンプン 1.68g
- 酢酸ビニル/ステアリン酸アリルのコポリマー
(Chimexの「Mexomer PQ(登録商標)」) 4.42g
- ポリラウリン酸ビニル(Chimexの「Mexomer PP(登録商標)」) 1.5g
- 変性ヘクトライト(Elementisの「Bentone 38V(登録商標)」) 0.63g
- 炭酸プロピレン 0.21g
- エチルアルコール 3.0g
- 12-ヒドロキシステアリン酸オリゴマーのステアリン酸エステル
(Aveciaの「Solsperse 21000(登録商標)」) 0.2g
- 防腐剤 0.4g
- イソドデカン 48.72g
【0248】
この組成物は、組成物の全重量に対して、48.28重量%の固形分顔料をもつ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非水性溶媒媒体、組成物の全重量に対して3重量%を超える含量の少なくとも1種のワックス、組成物の全重量に対して20重量%までの水および/または水溶性溶媒を含み、組成物の全重量に対して45重量%を超える固形分含量と、35,000Pa以下の平衡剛性率Gpをもつことを特徴とする、ケラチン繊維メイクアップ用化粧組成物。
【請求項2】
前記固形分含量が、前記組成物の全重量に対して、46重量%から80重量%、特に48重量%から70重量%、より特定すると50重量%から65重量%であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記平衡剛性率Gpが、30,000Pa以下、特に28,000Pa以下、より特定すると25,000Paまたは20,000Pa以下でさえあることを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記非水性溶媒媒体が、室温で液体である水不溶性揮発性化合物の少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記揮発性化合物が、前記非水性溶媒媒体の50重量%より多くを占めることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記水不溶性揮発性化合物が、炭化水素系オイル、シリコーンオイルおよび/またはフルオロオイル、および有機溶媒、ならびにこれらの混合物から、特に、8から16個の炭素原子を含む炭化水素系オイルとこれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項4および5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記水不溶性揮発性化合物が、前記組成物の全重量に対して、55重量%未満、殊に、10重量%と54重量%の間、特に、15重量%と52重量%の間、より特定すると、17.5重量%から50重量%の間の含量で組成物中に存在することを特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記非水性溶媒媒体が、少なくとも1種の不揮発性オイルもまた含むことを特徴とする請求項4から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、水および水溶性溶媒を含まないことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記の水および/または水溶性溶媒の全含量が、前記組成物の全重量に対して、0.5重量%以上、特に、1重量%から18重量%、より特定すると、2重量%から15重量%であることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記水溶性溶媒が、1から5個の炭素原子を含む低級モノアルコール、2から8個の炭素原子を含むグリコール、C3およびC4のケトン、ならびにC2〜C4のアルデヒドから選択されることを特徴とする請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記ワックスが、室温では固体で硬く、30℃以上、特に45℃以上、殊に55℃以上の融点をもつワックスから選択されることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記ワックスが、炭化水素系ワックス、例えば、蜜蝋、ラノリンワックス、イボタロウ、木ロウ、パラフィン、ポリエチレンワックス、ワックス状コポリマー、およびこれらのエステル; 線状または分岐状のC8〜C32脂肪鎖を含む、動物もしくは植物オイルの接触水素化により得られるワックス、例えば、トランス異性化部分水添ホホバ油、水素添加ヒマワリ油、水添ヒマシ油、水素添加ココナッツオイル、水添ラノリンオイル、ならびにテトラステアリン酸ビス(1,1,1-トリメチロールプロパン)およびセチルアルコールでエステル化されたヒマシ油の水素化により得られるワックスから選択されることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記ワックスが、0.7N・s以上、特に1N・s以上のタックと、3.5MPa以下の硬度をもつワックスから選択されることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記ワックスが、C20〜C40アルキル(ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレートから選択されることを特徴とする請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記ワックスが、45℃以上、殊に50℃以上、特に55℃以上、より特定すると60℃以上の融解開始温度をもつワックスから選択されることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記ワックスが、カルナバワックス、米ぬかワックス、カンデリラワックス、オーリクリーワックス、モンタンワックス、オゾケライト、フィッシャー-トロプシュ合成により得られるワックス、水添ホホバ油、テトラベヘン酸ビス(1,1,1-トリメチロールプロパン)、ステアリルアルコールでエステル化されたオリーブ油の接触水素化により得られるワックス、マイクロクリスタリンワックスおよびポリエチレンワックスから選択されることを特徴とする請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記ワックスの全含量が、前記組成物の全重量に対して、10重量%から70重量%、殊に、15重量%から65重量%、特に、20重量%から60重量%、さらに特定すれば、25重量%から55重量%であることを特徴とする請求項1から17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記非水性溶媒媒体に可溶であり少なくとも1つの結晶性部分をもつポリマーの少なくとも1種をさらに含むことを特徴とする請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記ポリマーが、200から1,000,000g/mol、特に、500から500,000g/mol、より特定すると、1000から300,000g/molの範囲のモル質量をもつことを特徴とする請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記結晶性部分が、前記ポリマーの全重量に対して、少なくとも5重量%、特に、少なくとも10重量%で50重量%以下、より特定すると、30重量%から50重量%を占めることを特徴とする請求項19および20のいずれかに記載の組成物。
【請求項22】
前記ポリマーが、線状で飽和のC12からC30のアルキル(メタ)アクリレートと、線状のC4からC10の、あるいは分岐状、環状および/または不飽和のC4からC30のアルキル(メタ)アクリレートとのコポリマー、線状で飽和のC12からC30のアルキル基を含むビニルエステルと、線状のC4からC10の、あるいは分岐状、環状および/または不飽和のC4からC30のアルキル基を含むビニルエステルとのコポリマー、(α)少なくとも32個の炭素原子を含むジカルボン酸から選択される少なくとも1種の酸と(β)アルキレンジアミンとの間の縮合で得られるポリアミド型の重縮合体で、前記重縮合体が、線状飽和の12から30個の炭素原子を含む、モノアルコールまたはモノアミンの少なくとも1種でエステル化またはアミド化された少なくとも1つのカルボン酸末端基を含むもの、ならびに親油性ポリエステル重縮合体で、その末端が飽和線状のC12からC30の炭素系の鎖からなる結晶性の酸またはアルコールでエステル化されたものから選択されることを特徴とする請求項19から21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
前記ポリマーが、酢酸ビニル/ステアリン酸ビニル、酢酸ビニル/ステアリン酸アリル、酢酸ビニル/エチレン、およびエチレンジアミン/ジリノール酸ステアリルのコポリマー、水添されたブタジエン/イソプレンのブロックコポリマー、ならびにその末端の1つがステアリン酸でエステル化されたポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)から選択されることを特徴とする請求項19から22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
前記ポリマーが、前記組成物の全重量に対して、0.01重量%から30重量%、殊に、0.1重量%から20重量%、特に1重量%から10重量%の範囲の含量で存在することを特徴とする請求項19から23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
少なくとも1種の皮膜形成ポリマーもまた含むことを特徴とする請求項1から24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
少なくとも1種の色素もまた含むことを特徴とする請求項1から25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
少なくとも1種のフィラーもまた含むことを特徴とする請求項1から26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
酸化防止剤、防腐剤、香料、中和剤、可塑剤、繊維、ゲル化剤および美容活性剤、ならびにこれらの混合物から選択される化粧品に許容される添加剤の少なくとも1種もまた含むことを特徴とする請求項1から27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
振動レオロジーにより測定される(γ=1Hz)、10Paから200Paの範囲、特に20Paから100Paの範囲の、流動閾値τcをもつことを特徴とする請求項1から28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
連続的に冷却しながら前記ワックスの融点を超える温度から室温まで移行することにより、少なくとも1種のワックスを連続ブレンドすることを少なくとも含むことを特徴とする請求項1から29のいずれか一項に記載の組成物の調製方法。
【請求項31】
連続2軸スクリューブレンダを使用することを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
少なくとも1種の非水性溶媒が、前記ブレンドの前に、または前記ブレンドの途中で加えられることを特徴とする請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
請求項19から24のいずれか一項に記載される、非水性溶媒に可溶であり結晶性部分をもつポリマーの少なくとも1種が、前記ブレンドの前に加えられることを特徴とする請求項30から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
直径が0.5μmから30μmの間の粒子状のワックスの少なくとも1種を少なくとも1種の非水性溶媒中で分散させる少なくとも1つのステップを含み、前記溶媒が粒子状の前記ワックスの融点より低い温度であることを特徴とする、請求項1から29のいずれか一項に記載の組成物の調製方法。
【請求項35】
前記分散が室温で実施されることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記の大きさが1から20μm、特に5から10μmであることを特徴とする請求項34または35に記載の方法。
【請求項37】
前記ワックスが、カルナバワックス、合成ワックス、カルナバワックスとポリエチレンワックスの混合物からなるワックス、カルナバワックスと合成ワックスの混合物からなるワックス、ポリエチレンワックスおよびポリテトラフルオロエチレンワックスから選択されることを特徴とする請求項34から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
請求項12から17のいずれか一項に記載のワックスの少なくとも1種が前記溶媒に融解状態で前もって導入され、次に、こうして得られた混合物が攪拌しながら冷却されるか、または、前記混合物が、少なくとも、粒状の前記ワックスの融点より低い温度になるまでブレンドされることを特徴とする請求項34から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記非水性溶媒が、請求項4から8のいずれか一項に記載のものであることを特徴とする請求項32から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記非水性溶媒が、前記非水性溶媒に可溶であり少なくとも1つの結晶性部分をもつ、請求項19から24のいずれか一項に記載の少なくとも1種のポリマーとの混合物であることを特徴とする請求項34から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
請求項1から29のいずれか一項に記載の組成物、または、請求項30から40のいずれか一項に記載の方法により得られる組成物が、前記ケラチン繊維、特に睫毛に付けられることを特徴とする、ケラチン繊維のメイクアップ方法。

【公開番号】特開2008−50370(P2008−50370A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−290123(P2007−290123)
【出願日】平成19年11月7日(2007.11.7)
【分割の表示】特願2004−533549(P2004−533549)の分割
【原出願日】平成15年8月6日(2003.8.6)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】