説明

睫用化粧料

【課題】塗布時の垂れがなく、睫への密着性に優れるとともに、優れた延展性により自然なボリュームアップ効果が得られる睫用化粧料の提供。また、耐油・耐水性に優れ、化粧崩れしない睫用化粧料の提供。
【解決手段】(A)キサンタンガム、(B)下記(a)と(b)とからなる増粘性の共重合体および/又はクロスポリマー、(C)窒化ホウ素、並びに(D)アクリル酸系皮膜形成性共重合体を含有してなる睫用化粧料とする。
(a)(メタ)アクリル酸および/又は(メタ)アクリル酸アルキル
(b)(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、睫用化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
睫用化粧料には、目元を際立たせるために、特に「睫を太く見せる」「睫を上向きにカールさせる」「睫を長く見せる」などといった機能が求められている。中でも、睫を太く見せる手段としては、従来より、ワックス類を配合し、睫への密着性を高める試みがなされている。例えば、ワックスと、水溶性皮膜形成性ポリマーと、顔料とを含有する目のメーキャップ用化粧料組成物(例えば、特許文献1を参照);特定の融点のワックスと、皮膜形成性樹脂と、皮膜形成性ポリマーエマルションと、無水ケイ酸とを含有する睫用化粧料(例えば、特許文献2を参照)などが提案されている。
【0003】
しかしながら、これら試みに拠って、睫を太く見せて目元を際立たせることはできるものの、製剤の粘度が高くなり、睫上での延びに劣ることから、ダマになり易く、自然な仕上がり感が得られ難いといった問題がある。また、耐水性に優れるものの、皮脂分によりにじみ易くなり、瞬きによって目の周りの皮膚に睫用化粧料が付着するといった問題もある。
【0004】
近年では、上記問題を解決する試みとして、例えば、アクリル酸アルキルアミド・アクリル酸エステル共重合体を含有する睫用化粧料(例えば、特許文献3を参照);崩壊性球状窒化硼素粒子と、油溶性樹脂とを含有する睫用化粧料(例えば、特許文献4を参照);分岐型炭化水素と、水溶性高分子と、分岐型高級脂肪酸と、高級アルコールとを含有する睫毛用水中油型乳化組成物(例えば、特許文献5を参照)などが提案されている。
【0005】
しかしながら、これら試みに拠って、ある程度は睫を太く見せることはできるものの、塗布時に垂れが生じる恐れがあり、睫への密着性に劣るといった問題がある。また、これら試みに拠って、睫上での延展性は改善するものの、2度付け3度付けといった重ね付けにおいては、均一性に劣り、自然なボリュームアップ効果が得られ難いといった問題もある。加えて、これら試みは耐油・耐水性に劣り、汗、皮脂、涙によりにじみ易くなるといった問題もある。
【0006】
【特許文献1】特開平6−9341号公報
【特許文献2】特開平8−268841号公報
【特許文献3】特開2001−31526号公報
【特許文献4】特開2003−246710号公報
【特許文献5】特開2005−225798号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、塗布時の垂れがなく、睫への密着性に優れるとともに、優れた延展性により自然なボリュームアップ効果が得られる睫用化粧料を提供することを課題とする。また、耐油・耐水性に優れ、化粧崩れしない睫用化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明は、
〔1〕(A)キサンタンガム、(B)下記(a)と(b)とからなる増粘性の共重合体および/又はクロスポリマー、(C)窒化ホウ素、並びに(D)アクリル酸系皮膜形成性共重合体を含有してなる睫用化粧料、
(a)(メタ)アクリル酸および/又は(メタ)アクリル酸アルキル
(b)(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル
〔2〕(B)成分が、アクリル酸アルキル・メタクリル酸ポリオキシエチレンステアリルエーテル共重合体である前記〔1〕に記載の睫用化粧料、
〔3〕更に、(E)ロジン誘導体を含有してなる前記〔1〕又は〔2〕に記載の睫用化粧料、並びに、
〔4〕更に、(F)結晶セルロースを含有してなる前記〔1〕〜〔3〕の何れかに記載の睫用化粧料
に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の睫用化粧料は、塗布時の垂れがなく、睫への密着性に優れるという効果を奏する。また、滑らかな延展性を兼ね備えることから、重ね付けをしてもダマにならず、睫を太く濃く見せることが可能となり、自然なボリュームアップ効果を付与することができるという効果を奏する。加えて、皮脂などの油に対する耐油性に優れ、且つ、高いウォータープルーフ効果(耐水性)により、化粧崩れがなく、ボリュームアップ効果が持続するという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の睫用化粧料は、(A)キサンタンガム、(B)特定の増粘性の共重合体および/又はクロスポリマー、(C)窒化ホウ素、並びに(D)アクリル系皮膜形成性共重合体を含有する。
【0011】
本発明では、化粧料を増粘させるために(A)成分のキサンタンガムと、(B)成分の特定の増粘性の共重合体および/又はクロスポリマーを含有させることを特徴とする。両成分を併用することで、塗布時の垂れがなく、睫への密着性に優れるとともに、滑らかな延展性を兼ね備える睫用化粧料となることから、重ね付けをしてもダマにならず、睫を太く濃く見せることが可能となり、自然なボリュームアップ効果を付与することができる。
【0012】
(A)成分のキサンタンガムの含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、塗布時の垂れを抑制する観点から、化粧料中、0.1重量%以上が好ましく、より好ましくは0.5重量%以上である。また、延展性の観点から、5重量%以下が好ましく、より好ましくは3重量%以下である。これらの観点から、(A)成分の含有量は、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.5〜3重量%である。
【0013】
尚、本発明に用い得る(A)成分は、市販品をそのまま使用することができる。具体的には、例えば、ケルトール、エコーガム(商品名,何れも大日本住友製薬社製)などを例示することができる。
【0014】
(B)成分の共重合体又はクロスポリマーは、下記(a)と(b)とからなる増粘性の共重合体およびクロスポリマーである。
(a)(メタ)アクリル酸および/又は(メタ)アクリル酸アルキル
(b)(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル
【0015】
(B)成分の共重合体としは、例えば、(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル・(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル共重合体などが挙げられる。また、クロスポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル・(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルクロスポリマーなどが挙げられる。尚、重合される酸化エチレンの付加モル数は特に限定されない。また、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」および「メタクリル」の双方を意味する。
【0016】
具体的には、アクリル酸アルキル・メタクリル酸ポリオキシエチレンセチルエーテル共重合体、アクリル酸アルキル・メタクリル酸ポリオキシエチレンステアリルエーテル共重合体、アクリル酸アルキル・メタクリル酸ポリオキシエチレンべへネスエーテル共重合体、アクリル酸アルキル・メタクリル酸ポリオキシエチレンステアリルエーテルクロスポリマーなどを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。好適な(B)成分としては、睫からの垂れを抑制して、太く濃く見せることを可能とする観点から、アクリル酸アルキル/メタクリル酸ポリオキシエチレンステアリルエーテル共重合体を用いるのが好ましい。また、上記共重合体を水性媒体に分散したエマルションを用いてもよい。
【0017】
(B)成分は、通常、塩基性物質で中和することにより増粘性を示す。用いられる塩基性物質としては、例えば、トリエタノールアミン、モノエタノールアミンなどのアルカノールアミン類;アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基;アルギニンなどの塩基性アミノ酸;2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールなどを例示することができる。また、塩基性物質の添加量は、上記共重合体を中和するのに充分な量であり、これら成分の種類や使用量に応じて適宜配合すればよい。
【0018】
(B)成分の含有量は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、通常、睫からの垂れを抑制して、太く濃く見せることを可能とする観点から、化粧料中、0.01重量%以上が好ましく、より好ましくは0.05重量%以上である。また、ダマになることを抑制する観点から、2重量%以下が好ましく、より好ましくは1重量%以下である。これらの観点から、(B)成分の含有量は、好ましくは0.01〜2重量%、より好ましくは0.05〜1重量%である。
【0019】
尚、本発明に用い得る(B)成分は、市販品をそのまま使用することができる。具体的には、例えば、アキュリン22(商品名,ローム・アンド・ハース社製)などを例示することができる。
【0020】
(C)成分の窒化ホウ素とは、平均板径が1〜20μmの平面的な結晶構造を有する窒化ホウ素のことである。尚、平均板径とは、窒化ホウ素の長辺と短辺の平均値のことをいう。(C)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、塗布時の伸びを良好にする観点から、化粧料中、0.1重量%以上が好ましく、より好ましくは0.5重量%以上である。また、睫への付着性の観点から、7重量%以下が好ましく、より好ましくは4重量%以下である。これらの観点から、(C)成分の含有量は、好ましくは0.1〜7重量%、より好ましくは0.5〜4重量%である。
【0021】
尚、本発明に用い得る(C)成分は、市販品をそのまま使用することができる。具体的には、例えば、SHP−5(商品名,水島合金鉄社製)などを例示することができる。
【0022】
(D)成分のアクリル酸系皮膜形成性共重合体の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキル共重合体、(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体、アクリル樹脂アルカノールアミン、アクリル酸アルキル・ジアセトンアクリルアミド・アモジメチコン共重合体、アクリル酸アルキル・スチレン共重合体、アクリル酸アミド・スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸・アクリル酸2−エチルヘキシル・スチレン共重合体、アクリル酸アルキル・酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸・アクリル酸アミド・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体、アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体、(メタ)アクリル酸アルキル・(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル共重合体などを例示することができる。本発明においては、上記した共重合体のナトリウム塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール塩、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール塩などの共重合体の塩を用いてもよく、また、これら共重合体又はその塩を水性媒体に分散したエマルションを用いてもよい。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。尚、重合される酸化エチレンの付加モル数は特に限定されない。また、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」および「メタクリル」の双方を意味する。
【0023】
(D)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、耐油・耐水性の観点から、化粧料中、1重量%以上が好ましく、より好ましくは5重量%以上である。また、自然な仕上がりにする観点から、45重量%以下が好ましく、より好ましくは40重量%以下である。これらの観点から、(D)成分の含有量は、好ましくは1〜45重量%、より好ましくは5〜40重量%である。
【0024】
また、本発明の睫用化粧料には、密着性を更に向上させ、化粧崩れを抑制する観点から、(E)ロジン誘導体を含有させることができる。用いられる(E)成分の具体例としては、例えば、水素添加ロジン、水添ロジン酸グリセリル、水添ロジン酸ペンタエリスリチル、水添ロジン酸メチル、(水添ロジン・ジイソステアリン酸)グリセリル、ダイマージリノレイル水添ロジン縮合物、ロジン酸ペンタエリスリットなどを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。好適な(E)成分としては、上記観点から、水添ロジン酸グリセリル、水添ロジン酸ペンタエリスリチルを用いることが好ましく、中でも、水添ロジン酸グリセリルを用いることがより好ましい。
【0025】
(E)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、密着性を更に向上させる観点から、化粧料中、0.1重量%以上が好ましく、より好ましくは0.5重量%以上である。また、自然な仕上がりとする観点から、7重量%以下が好ましく、より好ましくは5重量%以下である。これらの観点から、(E)成分の含有量は、好ましくは0.1〜7重量%、より好ましくは0.5〜5重量%である。
【0026】
尚、本発明に用い得る(E)成分は、市販品をそのまま使用することができる。具体的には、例えば、エステルガムKE−311(商品名,荒川化学社製)などを例示することができる。
【0027】
更に、本発明の睫用化粧料には、自然なボリュームアップ効果をより優れたものとする観点から、(F)結晶セルロースを含有させることができる。(F)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、化粧料中、0.1重量%以上が好ましく、より好ましくは0.5重量%以上である。また、延展性の観点から、5重量%以下が好ましく、より好ましくは3重量%以下である。これらの観点から、(F)成分の含有量は、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.5〜3重量%である。
【0028】
尚、本発明に用い得る(F)成分は、市販品をそのまま使用することができる。具体的には、例えば、セオラスPH−F20JP(商品名,旭化成社製)などを例示することができる。
【0029】
本発明の睫用化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上記した成分の他に通常化粧品に用いられる成分を目的に応じて適宜配合することができる。例えば、無機顔料、有機顔料、パール顔料などの着色剤;ロウ類、油脂、シリコーン類、高級脂肪酸、高級アルコールなどの油性成分;非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤の各種界面活性剤;低級アルコール、多価アルコール、糖アルコール、ステロール類などのアルコール類;紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、動植物抽出物、保湿剤、精製水などを例示することができる。
【0030】
具体的な着色剤としては、例えば、タルク、カオリン、マイカ、セリサイト、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸、硫酸バリウム、ベンガラ、酸化鉄、黄酸化鉄、黒酸化鉄、群青、紺青、酸化クロム、酸化コバルト、亜鉛華、カーボンブラック、アルミナなどの無機顔料;青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、黄色4号、黄色5号、黄色203号、黄色403号、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色401号、緑色3号、緑色201号などの有機顔料;パール粉末、オキシ塩化ビスマス、雲母、金属酸化物被覆雲母(例えば、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母、酸化鉄被覆雲母チタン、黒酸化鉄被覆雲母、黒酸化鉄被覆雲母チタン、黄酸化鉄被覆雲母、酸化鉄・黒酸化鉄被覆雲母チタン、コンジョウ被覆雲母チタン、酸化鉄・コンジョウ被覆雲母チタン、カルミン被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタンなど)、金属酸化物被覆アルミナフレーク、金属酸化物被覆シリカフレーク、多層コートパール顔料(例えば、TiO−SiO−TiO−Micaなど)などのパール顔料などを例示することができる。
【0031】
油性成分としては、例えば、ホホバ油、キャンデリラロウ、カルナバロウ、コメヌカロウ、ミツロウ、サラシミツロウ、ラノリン、モンタンロウ、ライスワックス、水素添加ホホバ油などのロウ類;オリーブ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、アボカド油などの油脂;ジメチルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンなどのシリコーン類;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸などの高級脂肪酸;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、オレイルアルコールなどの高級アルコールなどを例示することができる。
【0032】
界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、およびこれらのアルキレンオキシド付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノール、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレンステロールおよびその誘導体、ポリオキシエチレンラノリンおよびその誘導体、ポリオキシエチレンミツロウ誘導体、シュガーエステル類などの非イオン界面活性剤;高級脂肪酸石鹸、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルエーテルリン酸エステル、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシルメチルタウリン塩、N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩、N−アシルグリシン塩、N−アシルグルタミン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルカルボン酸塩、アルキルフェニルエーテルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸およびその塩、N−アシルサルコシンおよびその塩、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸塩などの陰イオン界面活性剤;アルキルアミン塩、脂肪酸アミドアミン塩、エステル含有3級アミン塩などのアミン塩、モノアルキル型4級アンモニウム塩、ジアルキル型4級アンモニウム塩、トリアルキル型4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム型4級アンモニウム塩などのアルキル4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩などの環式4級アンモニウム塩、塩化ベンゼエトニウムなどの陽イオン界面活性剤;アルキルグリシン塩、カルボキシメチルグリシン塩、N−アシルアミノエチル−N−2−ヒドロキシエチルグリシン塩などのグリシン型両性界面活性剤、アルキルアミノプロピオン酸塩、アルキルイミノジプロピオン酸塩などのアミノプロピオン酸型両性界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤、アルキルヒドロキシスルホベタインなどのスルホベタイン型両性界面活性剤などの両性界面活性剤などを例示することができる。
【0033】
アルコール類としては、例えば、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどの低級アルコール;1,3−ブタンジオール,グリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオールなどの多価アルコール類;ソルビトール、マンニトール、グルコース、キシリトール、ラクトース、トレハロースなどの糖アルコール;コレステロール、フィトステロールなどのステロール類;パントテニルアルコールなどを例示ことができる。
【0034】
紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸モノグリセリンエステルなどの安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸メチル、ホモメンチル−N−アセチルアントラニレートなどのアントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸メチルなどのサリチル酸系紫外線吸収剤;パラメトキシケイ皮酸オクチル、エチル−4−イソプロピルシンナメートなどのケイ皮酸系紫外線吸収剤;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系紫外線吸収剤;アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ベンジルサリシレートなどのサリチル酸系紫外線吸収剤;ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルなどのウロカニン酸系紫外線吸収剤などを例示することができる。
【0035】
酸化防止剤としては、例えば、α−トコフェロールおよびその誘導体、アスコルビン酸およびその誘導体、エリソルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類、亜硫酸、重亜硫酸、チオ硫酸、チオ乳酸、チオグリコール酸、L−システイン、N−アセチル−L−システインなどを例示することができる。
【0036】
防腐剤としては、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベンなどのパラベン類、イソプロピルメチルフェノール、グルコン酸クロルヘキシジン液、トリクロロカルバニリド、フェノキシエタノール、石炭酸、ヘキサクロロフェンなどのフェノール類、安息香酸およびその塩、ウンデシレン酸、サリチル酸、ソルビン酸およびその塩、デヒドロ酢酸およびその塩、感光素101号、感光素201号、感光素401号、ヒノキチオール、トリクロサンなどを例示することができる。
【実施例】
【0037】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。尚、配合量は、特記しない限り「重量%」を表す。
【0038】
(試料の調製)
表1および表2に記した組成に従い、実施例1〜5および比較例1〜5の各睫用化粧料を常法に準じて調製し、下記評価に供した。結果をそれぞれ表1および表2に併記する。
尚、評価はすべて、23℃、湿度60%の恒温恒湿の一定条件下で実施し、下記評価基準により算出された平均点から下記判定基準にしたがって判定を行った。
【0039】
(試験例1:試料の評価1)
女性専門パネル20名により、各実施例および各比較例で得られた試料を実際にマスカラブラシを用いて使用してもらい、塗布時の「垂れ」、延展時の「伸び」に関し、以下の5段階の評価基準に従って官能評価した。「垂れ」の評価は、垂れが無く密着性に優れるものを「非常に良好」として評価した。また、「伸び」の評価は、滑らかに伸び広がるものを「非常に良好」として評価した。
【0040】
尚、上記女性専門パネル20名には、得られた試料にマスカラブラシを1回つけた後、左右の睫ごとに別試料を各10回づつ塗布してもらう使用方法により施していただいた。
【0041】
(試験例2:試料の評価2)
試験例1の評価後、直ちに、上記使用方法により再度塗布してもらい、「重ね付け」、「自然な仕上がり感」、「ボリュームアップ効果」に関し、以下の5段階の評価基準に従って官能評価した。尚、「重ね付け」は、重ね付けしてもダマが全く発生せずに、太く濃く見せることができるものを「非常に良好」として評価した。
【0042】
<評価基準>
5点:非常に良好
4点:良好
3点:普通
2点:不良
1点:非常に不良
【0043】
<判定基準>
◎:平均4.0点以上
○:平均3.0点以上4.0点未満
△:平均2.0点以上3.0点未満
×:平均2.0点未満
【0044】
(試験例3:耐油・耐水性の評価)
試験例2の評価後、スクワラン(皮脂の代替)又は30℃の温水に浸したコットンで、それぞれの睫を10秒間挟んだ後、睫からコットンを引き抜き、コットンに付着した資料の状態、並びに睫の状態を、以下の評価基準に従って目視評価した。
【0045】
<評価基準>
◎:コットンに全く付着しておらず、睫に残っている
○:コットンに僅かに付着しており、睫から僅かに剥がれ落ちている
△:コットンに明らかに付着しており、睫から明らかに剥がれ落ちている
×:睫から全て剥がれ落ちている
【0046】
【表1】

【0047】
【表2】

【0048】
表1および表2に示された結果から、各実施例の睫用化粧料は、各比較例のものと対比して、塗布時の垂れがなく、睫への密着性に優れていることが分かる。また、滑らかな延展性により重ね付けができ、重ね付けをしてもダマが発生せずに太く濃く見せることができ、自然なボリュームアップ効果が付与されていることも分かる。更には、優れた耐油・耐水性を有しており、化粧崩れしないことが分かる。
【0049】
以下、本発明に係る睫用化粧料の処方例を示す。尚、含有量は重量%である。
【0050】
(処方例1)
アクリル酸系皮膜形成性共重合体−※3) 20.0
キサンタンガム 0.7
アクリル酸アルキル・メタクリル酸ポリオキシエチレンステアリル
エーテル共重合体 0.1
窒化ホウ素 3.0
水添ロジン酸グリセリル 2.0
結晶セルロース 1.5
1,3−ブチレングリコール 5.0
ステアリン酸 2.5
キャンデリラロウ 5.0
親油型モノステアリン酸グリセリル 1.0
トリエタノールアミン 2.0
精製水 残 部
合 計 100.0
※3)アクリル酸アルキルコポリマーアンモニウム(商品名;ヨドゾールGH810F)
【0051】
(処方例2)
アクリル酸系皮膜形成性共重合体−※4) 15.0
キサンタンガム 1.0
アクリル酸アルキル・メタクリル酸ポリオキシエチレンステアリル
エーテルクロスポリマー 0.1
窒化ホウ素 3.0
水添ロジン酸ペンタエリスリチル 2.0
結晶セルロース 1.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
ステアリン酸 2.5
ライスワックス 5.0
親油型モノステアリン酸グリセリル 1.0
トリエタノールアミン 2.0
精製水 残 部
合 計 100.0
※4)アクリル酸アルキル共重合体(商品名;ヨドゾールGH800PF)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)キサンタンガム、(B)下記(a)と(b)とからなる増粘性の共重合体および/又はクロスポリマー、(C)窒化ホウ素、並びに(D)アクリル酸系皮膜形成性共重合体を含有してなる睫用化粧料。
(a)(メタ)アクリル酸および/又は(メタ)アクリル酸アルキル
(b)(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル
【請求項2】
(B)成分が、アクリル酸アルキル・メタクリル酸ポリオキシエチレンステアリルエーテル共重合体である請求項1に記載の睫用化粧料。
【請求項3】
更に、(E)ロジン誘導体を含有してなる請求項1又は2に記載の睫用化粧料。
【請求項4】
更に、(F)結晶セルロースを含有してなる請求項1〜3の何れかに記載の睫用化粧料。

【公開番号】特開2009−292772(P2009−292772A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−148057(P2008−148057)
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(390011442)株式会社マンダム (305)
【Fターム(参考)】