矢板壁セクションを計画する方法
本発明は、ユーザ指向ネットワーク、特にインターネットを介して、矢板壁セクションのレイアウトのための適切な構成要素の技術的特性及び/又は矢板壁セクション自体のレイアウトを少なくとも、ユーザのためにコンピューターシステムによって決定する、矢板壁セクションを計画するために使用される方法に関する。本発明の方法は、(a)矢板壁セクションのレイアウトのための構成要素のデータ、矢板壁セクションのためのレイアウトのデータ、構成要素及びレイアウトの技術的特性のデータが全て記憶されているコンピューターシステムに、ユーザ指向ネットワークを介して矢板壁セクションの少なくとも2つの構造パラメータを入力し、(b)入力した構造パラメータ及びデータベースに記憶されている技術的特性に基づいてコンピューターシステムによって少なくとも一つの適切な構成要素及び/又は少なくとも一つの適切なレイアウトを決定し、(c)ステップ(b)において決定された構成要素及び/又はレイアウトのデータと、決定された構成要素及び/又はレイアウトの技術的特性とを、ユーザ指向ネットワークを介してユーザに提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、矢板壁及び矢板壁壁セクションの構築のために、矢板壁セクションのための適切な構成要素及び/又はレイアウトを決定する、矢板壁セクションを計画するために使われる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、矢板壁、組合せ壁(互いに連結された矢板とビームとの組合せ)又は仮締切(cofferdam)のような矢板壁セクションの計画は、CADシステムによってされる。しかし、鋼矢板自体、鋼矢板を接続するためのコネクタ、ビームその他のような、矢板壁セクションの構築のために使われる矢板壁の適切な構成要素の決定は、手でなされる。このために、供給元は、様々な異なる構成要素及びそれらの技術的特性を一覧表で示しているパンフレット、リスト及びハンドブックを、矢板壁セクションの計画のために責任がある会社に提供する、
【0003】
しかし、多数の供給元、及びLarssen鋼矢板、Hoesch鋼矢板、平鋼鋼矢板、Tビーム、ダブルTビーム、Peinerビーム、ペイル、そして、様々な異なる種類の鋼矢板、ビームその他を接続するために使われるコネクタのような、矢板壁のための非常に多数の様々な異なる種類の構成要素があるために、矢板壁のための様々な異なる構成要素の信じられないくらい大きい数があることは明らかである。更に、各種類の鋼矢板及びビームは、各矢板壁が使用されるそれぞれの目的に応じて、広範囲の様々な異なる寸法で供給される。
【0004】
矢板壁構成要素が変化に富んでいるために、矢板壁セクションを計画しなければならない土木技師は、過去に使用できた2、3の構成要素しか見つけることができない。
【0005】
本発明によって解決すべき問題は、矢板壁セクションのレイアウトのための適切な構成要素及び/又は適切なレイアウトの決定が、適切な構成要素及びレイアウトを決定する上述した方法と比較して、非常に簡単できる方法を提供することである。
【0006】
上述した問題は、請求項1に記載される方法の特徴によって解決される。
【0007】
本発明によれば、ユーザ指向ネットワーク、特にインターネットが使われて、矢板壁構成要素及びレイアウトに関連した情報を、矢板壁セクションを計画しているユーザに提供することが提案される。1つの例は、土木技師に、矢板壁セクションのレイアウトのための多数の様々な異なる種類の構成要素及びそれらの寸法並びにそれらの様々な異なる供給元を提供することができることである。ユーザ指向ネットワークが使われるために、矢板壁セクションを計画するときに、ユーザは、必要とされる全ての情報を簡単に得ることが可能である。特に、コンピューターシステムの使用により、様々な異なる供給元によって提供される様々な異なる種類の構成要素及びそれらの様々な異なる寸法の全てをユーザに提供することができる。ユーザは、パスワードを使用することによってアクセスを制限することもできるユーザ指向ネットワークに入り、ユーザの構造パラメータを入力するだけである。例えば、ユーザは、矢板壁セクションに対する予想最大荷重、矢板壁セクションの長さ、構成要素の軸方向長さ、ユーザが計画している矢板壁セクションの他の特性を入力することができる。入力した構造パラメータ及び構成要素の記憶されている技術的特性に基づいて、コンピューターシステムは、矢板壁セクションの少なくとも一つの適切な構成要素及び/又は適切なレイアウトを決定して、少なくとも技術的特性及び必要な場合他の技術情報(例えば適切なレイアウト)をユーザに提供する。
【0008】
従って、本発明によれば、矢板壁設置を計画しているユーザは、どんな種類の構成要素又はレイアウトが、ユーザの具体的な構造仕様に適しているかを非常に簡単に確かめることできる。
【0009】
本発明の方法のその他の変形例及び実施例は、明細書、請求項及び図面から理解できる筈である。
【0010】
本発明の方法の好ましい実施例において、ステップ(b)において適切であるとした構成要素又はレイアウトが、データベースに記憶されている他の構成要素又はレイアウトと比較して、充分な強度を有する及び/又は最低総重量を有していることを確認することを提案する。運搬及び材料の価格並びに矢板壁を構築するために使われなければならない装置については、矢板壁の構成要素の重量は、構成要素の適切さの決定にとって重要である主な特性の内の1つである。
最も適切な構成要素は、最も軽い重量及びその寿命にわたる充分な断面係数(section mdulus)の両方を有する。
【0011】
ユーザはしばしば、どの種類の構成要素又はレイアウトがユーザのそれぞれの問題に適しているかを確認する際に様々な異なる前提条件を有するので、本発明の方法の別の実施例においては、ユーザが、構造パラメータを入れる前に、ステップ(a)において、様々な異なる決定ツールの中から選択できることが提案される。
【0012】
本発明の好ましい一実施例において、選択可能なツールの内の1つが、矢板壁セクションのために適切な鋼矢板構成要素を決定するための壁ツールであることを提案する。壁ツールを選んだ後に、ユーザは、ステップ(a)において、矢板壁セクションの長さ、使われる鋼矢板の軸方向長さ及び構成要素の最小断面係数(これらの全てが構造パラメータとして使われる)を入力する。その結果、ユーザは少なくとも一つの適切な構成要素のデータが提供される。
【0013】
この実施例の好ましい変形例において、データベースにおいて記憶されている構成要素から、どのような構成要素又は構成要素の組合せが、ステップ(a)で入力した所定の長さを有する矢板壁セクションの最も軽い総重量になるかを決定することにより、ステップ(b)の決定はなされる。
【0014】
壁ツールの別の結果として、地面に打ち込まれる又は設置される構成要素の数又は矢板壁セクションの総重量の両方が、ユーザに提供される。このデータに基づいて、ユーザは、計画された矢板壁セクションの最も効率的な配置又はレイアウトを設計することができる。
【0015】
更に、ステップ(c)でユーザに送った情報に、提案されている構成要素を使用した矢板壁セクションのレイアウトを補完することも提案される。
【0016】
選択可能なツールの他のものは、好ましくは、構成要素として鋼矢板及び鋼矢板コネクタを使用する適切な仮締切レイアウトを決定するためのレイアウトツールである。レイアウトツールを選んだ後に、ユーザは、ステップ(a)において仮締切レイアウトの長さ及び厚さ並びに構造パラメータとして使われる鋼矢板を入力しなければならないだけである。そして、コンピューターシステムは、仮締切のための少なくとも一つの適切なレイアウトを決定して、仮締切のための適切なレイアウトに関するデータを、ユーザにステップ(c)において提供する。
【0017】
レイアウトツールの決定は、ステップ(b)において、データベースにおいて技術的特性として記憶されている様々な異なる仮締切レイアウトのデータ間で決定して行うことが好ましい。最も適切な仮締切レイアウトは、他の仮締切レイアウトに比較して、充分な強度及び最も軽い総重量を有するレイアウトとして決定されることが好ましい。
【0018】
更に、ステップ(c)においても提供される解決案は更に、地面に打ち込まれる又は設置される鋼矢板及び鋼矢板コネクタの数、並びに仮締切の総重量を含んでいることが提案される。
【0019】
他の選択可能なツールは、矢板壁セクションを構築することに必要な構成要素の数を決定するための矢板工法指定ツールである。このツールにより、ユーザは、ユーザが使用したい構成要素の種類を既に知っている。矢板工法指定ツールを選ぶときに、ステップ(a)において、構造パラメータとして、使われる構成要素の種類、矢板壁セクションの長さ及びの構成要素の長さをユーザは入力しなければならないだけである。この結果、ステップ(c)において、ユーザは、選択した構成要素のデータ、矢板壁セクションを構築するに必要な構成要素の数、及び矢板壁セクションの総重量が提供される。
【0020】
更に、好ましい実施例において提案される選択可能なツールは、腐食ツールである。この腐食ツールを使用することによって、矢板壁レイアウトの腐食耐久性を決定することが可能である。腐食ツールを選ぶときに、以下の構造パラメータの内の少なくとも2つ、すなわち、設置環境に関する情報、及び/又は矢板壁の必要寿命、及び/又は最小断面係数、及び/又は使われる構成要素の種類の内の少なくとも2つを、ステップ(a)においてユーザは入力しなければならない。入力した構造パラメータに従い、少なくとも一つの適切な構成要素のデータ、及び/又は設置環境に関するデータ、及び/又は構成要素の寿命のデータがステップ(c)においてユーザに提供することができる:
【0021】
設置環境に関する腐食データ、矢板壁のための様々な異なる構成要素の腐食速度に関するデータ、そして、腐食によって生じる断面係数の現象に関するデータに基づいて決定することが好ましい。腐食ツールのステップ(a)のこの腐食データ及び構造パラメータの両方に基づいて適切な構成要素が決定される。
【0022】
更に、適切な構成要素の断面係数を知っていることは、ユーザには役に立つ。この目的のために、本発明の方法の別の好ましい実施例において、断面係数ツールは、適切な構成要素の断面係数を決定するために選択可能である。ステップ(a)において、このツールを選ぶとき、矢板壁セクションに作用する荷重、最大寿命及び/又は設置環境を構造パラメータとしてユーザは入力しなければならない。結果として、ステップ(c)において、ユーザは、少なくとも一つの適切な構成要素、その断面係数及びその技術的特性のデータが提供される。
【0023】
適切な構成要素の決定が、データベースにおいて記憶されている抵抗による構成要素の最大モーメント及び構成要素の材料の降伏点を含む技術的特性に基づくことが好ましい。断面係数は、以下の式によって計算される。
Smin=Mmax/0.65Fy
ここで、Sminは最小許容断面係数であり、Mmaxは抵抗による構成要素の最大モーメントであり、そして、Fyは構成要素の材料の降伏点である。
様々な異なる構成要素の様々な異なる断面係数値の計算の後、その構成要素は、他の構成要素と比較して、充分な最小許容断面係数及び最も軽い重量を有する適切な構成要素である決定される。
【0024】
ユーザが更に、どんな種類の装置を使用して、矢板壁セクションの構成要素を地面に打ち込み又は振動挿入することに関心がある場合もあるので、そのような装置の技術的特性及びデータをデータベースに記憶しておく。ステップ(b)において決定される構成要素又はレイアウトのデータ及び技術的特性に基づいて、上記した様々な異なる種類の(打ち込み又は振動挿入)装置の技術的特性及びデータに基づいて、少なくとも1つ装置が適切であると決定される。そして、その適切な装置の技術的特性及びデータがユーザに提供される。
【0025】
適切な装置を決定するために、構成要素又は設置されるレイアウトのデータが、設置環境、設置される個々の構成要素の重量及び構成要素の表面積に関してデータを含んでいることが好ましい。装置のデータは、個々の装置(例えば、振動ハンマー及びクランプ)の重量を含むべきである。適切な装置、特に、バイブレータを決定するために、クレーンフックでの牽引は、以下の式によって計算される。
PPull=(WV+WR)×9.81+0.1×(RM×F)
ここで、PPullはクレーンフックでの牽引であり、WVは装置の重量であり、WRは設置される構成要素の重量であり、RMは表面摩擦値であり、そして、Fは設置される構成要素の表面積である。最も低い牽引を有する装置が、適切な装置であると決定される。そして、ユーザは、販売又はレンタルのためにその決定した装置を提供する具体的な会社に(例えば、リンクを介して)直接連絡をとることができる。
【0026】
更に、本発明の方法において、少なくとも構成要素のCAD-データ(例えばDWG-ファイル又はDXF-ファイル)及び技術的特性が、ユーザ指向ネットワークを介したユーザによるダウンロードによって、提供されることを提案する。
【0027】
ステップ(c)における構成要素又はレイアウトの決定の後、本発明の方法の好ましい実施例において、ユーザは、製造元、在庫、圧延プラント及び/又は構成要素の実際の価格に関する情報を含む、適切な供給元についての情報データをユーザ指向ネットワークを介して得ることができることが提案される、
【0028】
製造元に係るデータは例えば、製品がどこで製造されているか、配送されるにどの程度の期間及び誤差かるに係る情報を含むこともできる。例えば、在庫に関するデータは、この特定の構成要素の在庫の量及び場所を含む。更に、ユーザは入手可能な構成要素の正確な長さを知らされることができ、実際にこの特定の在庫から注文するか、又は製品を購入するために確定的な申し込みをすることも可能である。圧延プラントに関するデータは、プラントの圧延スケジュールを有しており、及び実際に注文を入れて具体的な圧延から注文を予約することができる能力を有している。更に、使われる矢板壁構成要素に関する情報を得ることも可能である。
【0029】
本発明の方法は、上述の様々な異なるツールの全て又はその少しだけを使用して実現することができる。以下、添付図面を参照して本発明を説明する。
【0030】
図1は、本発明の方法の好ましい実施例に従って機能するプログラムのブロックダイヤグラムを示す。プログラムは、本発明の方法で使用される様々な異なるツールのサブルーチンを制御するメインルーチンを有する。プログラムは、コンピューターシステムのメモリに記憶されている。更に、コンピューターシステムのメモリはいくつかのデータベース部分に分けられており、矢板壁のための様々な異なる構成要素の技術的特性及び構成要素のデータが記憶されている。
【0031】
例えば、データベースは、様々な異なる寸法及び様々な異なる種類の鋼矢板(例えばLarssen鋼矢板、Hoesch鋼矢板又は平鋼鋼矢板)の技術的特性を含む。又、鋼矢板を互いを接続するための様々な異なる多数のコネクタの技術的特性、並びにダブルTビーム、Tビーム、ペイル又はPeinerビームのようなビームの技術データがデータベースに記憶されている。更に、仮締切のような矢板壁セクションのための様々な異なる基本的レイアウト、及びそれらの技術的特性も、データベースにお記憶されている
【0032】
コンピューターシステムは、ユーザ指向ネットワークに接続している。本実施例において、コンピューターネットワークはインターネットを介してアクセスされ、ユーザは、いかなる制限なしで、プログラムを入ることができる。しかし、プログラムは更に、ユーザのみにアクセスを制限しているイントラネットにおいて使用することもできる。
【0033】
プログラムが起動させられると、プログラムはメインルーチンを開き、そして、「sheet piling tool (矢板工法ツール)」と称する起動マスクが開かれる。その後、ユーザは、以下の5つの作業ツール、すなわち、壁ツール、レイアウトツール、矢板工法指定ツール、腐食ツール、及び断面係数ツールを定義している5つのサブルーチンの間で選択することができる。
【0034】
更に、ユーザが上述の5つの作業ツールの内の1つを動作させているとき、ユーザによって動作させることができる情報ツール及びヘルプツールが提示される。情報ツールは、それぞれの動作させているツールを介して受信される結果の具体的な構成要素又はレイアウトに関する更に別の情報も与える。ヘルプツールは、具体的な話題及び用語に関して付加情報を与える。
【0035】
5つの作業ツールの内の1つが起動させられたあと、結果はユーザに提示される。そして、ユーザは、動作させているツールの内の1つで受信される結果を、2つのサポートツール、すなわち、装置ツール及び供給元ツールにおいて使用する選択肢も有する。
【0036】
以下に、様々な異なるツールの機能を詳細に説明する。しかし、様々な異なるツールの構成及び機能は、本実施例に限定するするものではないことは強調しなければならない。
【0037】
最初に、ユーザは、ユーザがメートル法又はヤードポンド法の何れかを使用してプログラムを動作させたいかを決めなければならない。次に、ユーザは、様々な異なるツールの中から選択することが可能である。
【0038】
図2に、壁ツールの入力マスクが示されている。例えばクリック又はショートカットによってユーザが壁ツールを動かした場合、図2に示す壁ツールの入力マスクが、新しいウインドウとしてポップアップする。壁ツールの入力マスクにおいて、ユーザは、提案される矢板壁レイアウトの様々な構造パラメータをシステムに入力することが可能である。本実施例において、ユーザは、以下のデータ、全矢板壁セクションの壁の長さ、矢板壁の構成要素の軸方向長さ、すなわち、鋼矢板自体の軸方向長さ、そして、鋼矢板の断面係数のための最小値を入力する必要がある。
【0039】
その後、ユーザが、計算するボタン「CALCULATE」を作動させる。
壁ツールは、構成要素として適切な鋼矢板と、矢板壁セクションを構築する必要な鋼矢板の数とを決定する。その決定は、データベースに記憶されている様々な異なる鋼矢板構成要素の技術的特性、特に、断面係数及び構成要素の重量に基づく。次に、矢板壁に構築されるときに、最も軽い重量及び充分な断面係数を有する6つの鋼矢板が決定される。
【0040】
決定が完了されたあと、「壁ツール解決案」(1)と呼ばれる結果が、結果ウインドウに示される。図3に、そのような結果ウインドウが示されている。この結果ウインドウにおいて、重量に関して最も効率的な解決案である構成要素の名前が与えられる。構成要素のその他の技術的特性、例えば、構成要素の断面係数、壁の長さ及び重量も示される。更に、5つの別の代替構成要素の表が表示される。そして、ユーザは、構成要素の名前をクリックすることによって情報ツールを起動することが可能である。その結果、情報ウインドウがポップアップする。その例を図4に示す。
【0041】
この情報ウインドウにおいて、提案された矢板壁セクション解決案の全ての関連した技術的特性が示される。その全ての関連した技術的特性は、構成要素の名前、如何に多くの構成要素が使われなければならないか、必要な場合、どのような種類のコネクタが追加的に使用しなければならないか、提案された解決案の総重量を含む。図4に示す例の解決案においては、名前PZC-B 34の組合せ壁が提案されている。この組合せ壁は、通常のダブルTビーム(W30X108と呼ばれている)と2つの鋼矢板(PZC 13と名つけられている)との組合せである。ダブルTビームに鋼矢板を接続するために、BBS-M及びBBS-Fコネクタの使用が推奨される。
その他のデータのために、ユーザは、DWG-ファイルをダウンロードするか、解決案を印刷するか、電子メール・データシートを要請するか、工学的ヘルプを求めるか、価格表を要請するか又は更なる情報を要求することが可能である。これらの様々な異なる機能のためのボタンは、結果ウインドウに示されている。
【0042】
ユーザによって起動させることができる次のツールは、レイアウトツールである。ユーザがこのツールを起動すると、図5に示される入力マスクがポップアップする。その後、ユーザが、仮締切の明白な寸法、すなわち、x方向の仮締切の長さ及びy方向の仮締切の長さを構造パラメータとして入力しなければならない。更に、ユーザが少なくとも一つの適切な矢板工法指定、例えば、PZC 13、PZC 14その他を入力しなければならない。ユーザがどの種類の矢板工法指定を選ばなければならないかについてユーザがわからない場合、ユーザはそれぞれの矢板工法指定の名前をクリックして、図4に示す情報ウインドウと同様な情報ウインドウをポップアップさせることができる。
【0043】
様々な異なる構造パラメータ及び矢板工法指定が入力されたあと、レイアウトツールは、データベースに記憶されている様々な異なる鋼矢板及び基本レイアウトを比較することによって、重量的に最も効率的な解決案を決定する。決定が終了すると、提案された解決案を示す結果ウインドウがポップアップする。このような結果ウインドウは、図6に示される。提案された解決案は、使われるために鋼矢板及びコネクタの数を示し、更には、仮締切の基本レイアウトを示す。
【0044】
その後、ユーザは、それから解決案を印刷するか、価格表を要請するか又は工学的ヘルプを求めることが可能である。更に、ユーザは、鋼矢板又はコネクタの名前の内の1つをクリックすることによって情報ウインドウを起動させることができ、情報ウインドウはポップアップする。図7にそのような情報ウインドウが示されている。この情報ウインドウにおいて、構成要素の技術的特性の詳細な仕様、及び使用可能なコネクタ、例えばPZ 90、Colt、Cobra、PZ Tee、Joker、Bullhead又はCBFに関する情報が示される。更には、様々な異なる構成要素のDWG-ファイルは、ダウンロードすることができる。
【0045】
図8は、矢板工法指定ツールの入力マスクを示す。矢板工法指定ツールの入力マスクが起動させられると、ユーザは最初に、どの種類の矢板壁セクション又は組合せ矢板壁セクションをユーザが構築したいかを決めなければならない。従って、基本技術的特性が、ユーザの考察のためのテーブルに示される。選ばれた鋼矢板をクリックした後に、計算ウインドウはポップアップする。その計算ウインドウは図8に示される。計算ウインドウにおいて、選ばれた組合せ矢板壁セクションの技術的特性の詳細な仕様が示される。更に、計算領域が示され、ユーザは、壁の長さ、ビーム長さ、及び示された組合せ壁の構成要素の板の長さを入力しなければならない。計算ボタンを動かした後に、矢板工法指定ツールは、重量的に最も効率的な解決案を計算する。次に、図4に示される結果ウインドウに匹敵する結果ウインドウがポップアップする(図10参照)。
【0046】
時々、ユーザは具体的な用語が何を意味するかわからない場合がある。本当にわからない場合、ユーザは、特定の用語の定義を得るためにヘルプツールを動かす選択肢がある。例えば、図9に示される結果ウインドウの詳細な仕様において、ユーザが、それぞれの用語をクリックすることができる。本例の場合、「flexibility」をクリックすることができる。用語をクリックした後に、ヘルプウインドウがポップアップする(図11を参照)。用語「flexibility」の定義が与えられる。
【0047】
別のツールは、いわゆる腐食ツールである。
ユーザが、例えば、具体的な設置環境下において矢板壁がどれくらい寿命を有しているかを知りたい場合、ユーザは腐食ツールを動かすことによって知ることができる。ユーザがそうすると、腐食ツールの入力マスクはポップアップする。それは図12に示される。ユーザは、様々な異なる設置環境、例えば開放空気中、土壌、淡水又は塩水の中から選択することができる。ユーザは更に、それぞれの主要なグループにおいて区別をつけることもできる。図示の例では、ユーザは、特徴「soil in an industrial area(工業地帯の土壌)」を選択している。次に、ユーザは、壁の必要寿命及び/又は寿命の終わりでの断面係数の最最小値を定めることができる。
【0048】
以下において、表は、様々な異なる設置環境下での腐食と、具体的な鋼矢板の腐食による断面係数の損失との間の関係を示す。
【表1】
【0049】
コンピューターシステムのデータベースに記憶されている技術的特性及び腐食表(上記例を参照見る)に基づいて、(図13に示すような)結果ウインドウがポップアップする。そこには、5つの異なる可能な解決案が、断面係数のデフォルト値、10年後の侵食された断面係数及び残存重量と共に、示されている。更に、この結果ウインドウにおいて、他の結果ウインドウと同様に、ユーザは、リストの構成要素の名前を単にクリックすることによってそれぞれの構成要素に関するより多くの情報を受けることができる。
【0050】
いくつかの場合において、ユーザは、構成要素に作用する荷重、最大寿命及び設置環境に基づく必要な断面係数について何かを知りたくなる場合もある。このために、断面係数ツールが提供される。起動させられると、(図12に示すような)入力マスクがポップアップする。そこにおいて、ユーザは荷重及び最大寿命を入力することができる。ユーザは更に、設置環境を定義することができる。その後、抵抗による構成要素の最大モーメント及び材料のその降伏点を含んでいるデータベースに記憶されている技術的特性に基づいて、断面係数ツールは、適切な構成要素を決定する。
【0051】
従って、断面係数は、以下の式によって計算される。
Smin=Mmax/0.65Fy
ここで、Sminは最小許容断面係数であり、Mmaxは、抵抗による構成要素の最大モーメントであり、そして、Fyは構成要素の材料の降伏点である。
その構成要素が,他の鋼矢板構成要素と比較して、充分な最小の許容断面係数及び最も軽い重量を有する場合、その構成要素は適切であると決定される。
【0052】
適切な構成要素の決定の後、(図15に示されるように)結果ウインドウがポップアップする。そこにおいて、5つの解決案が示されている。更に、この結果ウインドウにおいて、ユーザはそれぞれの構成要素の名前をクリックすることによって別の情報を得ることができる。
【0053】
適切な構成要素を決定して、ユーザは矢板及びコネクタの供給元を捜すことが可能である。このために、ユーザは、供給元ツールを起動することができる。ユーザは、製造元又は供給元、在庫、圧延プラント、価格に関する情報を入手することができる、又は使われる矢板壁構成要素の入手可能性を確認するともできる。その後、ユーザは、決定した構成要素を直接注文することも可能である。
【0054】
ユーザが、適切な装置、例えば、矢板壁セクションを構築するためのバイブレータ又はラムについて何かを知りたい場合、ユーザは装置ツールを使用することができる。装置ツールが起動されると、(図17に示すような)入力マスクがポップアップする。この入力マスクにおいて、ユーザは矢板工法指定及び設置環境を入力する。これらの構造パラメータ、選択した構成要素の技術的特性(コンピューターシステムのデータベースに既に含まれている、設置される構成要素の重量及び表面積)、個々の装置の重量を含む装置のデータに基づいて、クレーンフックで最も低い牽引を有する装置が適切であると決定される。牽引は、以下の式によって計算される。
PPull=(WV+WR)×9.81+0.1×(RM×F)
ここで、PPullはクレーンフックでの牽引であり、WVは装置の重量であり、WRは設置される構成要素の重量であり、RMは表面摩擦値であり、そして、Fは設置される構成要素の表面積である。
【0055】
適切な装置の決定の後、装置の技術的特性を示す結果ウインドウがポップアップする。このような結果ウインドウは、図18に示される。ユーザは、販売又は貸し出しのために装置を提供する会社と直接連絡をとることができる。
【0056】
上記した方法は、好ましい実施例としてのみ示したものである。当然、プログラムはまた、例えばCAD-ツールのような別のツールによって補完することができる。
【0057】
本発明に基づく別の特徴は、鋼矢板構成要素(鋼矢板、ビーム、鋼矢板のためのコネクタ)及び矢板壁を構築するための及び装置の全ての主要な供給元及び製造元が、コンピューターシステムのデータベースへのデータとして、供給元及び製造元の製品の技術的特性を入力することである。この場合、ユーザは多種多様な可能な製品及び製造元を有する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の方法の好ましい実施例において使われる様々な異なるツールをブロックダイヤグラムで示す。
【図2】壁ツールウインドウの入力マスクを示す。
【図3】壁ツールの結果ウインドウを示す。
【図4】壁ツールによって決定される具体的な構成要素の情報ウインドウを示す。
【図5】レイアウトツールインドウの入力マスクを示す。
【図6】レイアウトツールの結果ウインドウを示す。
【図7】レイアウトツールの結果ウインドウに示されるレイアウトにおいて使われる具体的な鋼矢板の情報ウインドウを示す。
【図8】矢板工法指定ツールウインドウの入力マスクを示す。
【図9】板工法指定ツールの結果ウインドウを示す。
【図10】矢板工法指定ツールによって決定される具体的な鋼矢板の情報ウインドウを示す。
【図11】ユーザに具体的な技術的特性の定義を知らせるヘルプウインドウの例を示す。
【図12】腐食ツールウインドウの入力マスクを示す。
【図13】腐食ツールによって決定される結果を示している結果ウインドウを示す。
【図14】断面係数ツールウインドウの入力マスクを示す。
【図15】断面係数ツールによって決定される結果を示している結果ウインドウを示す。
【図16】供給元ツールの入力マスクを示す。
【図17】装置ツールの入力マスクを示す。
【図18】装置ツールの結果ウインドウを示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、矢板壁及び矢板壁壁セクションの構築のために、矢板壁セクションのための適切な構成要素及び/又はレイアウトを決定する、矢板壁セクションを計画するために使われる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、矢板壁、組合せ壁(互いに連結された矢板とビームとの組合せ)又は仮締切(cofferdam)のような矢板壁セクションの計画は、CADシステムによってされる。しかし、鋼矢板自体、鋼矢板を接続するためのコネクタ、ビームその他のような、矢板壁セクションの構築のために使われる矢板壁の適切な構成要素の決定は、手でなされる。このために、供給元は、様々な異なる構成要素及びそれらの技術的特性を一覧表で示しているパンフレット、リスト及びハンドブックを、矢板壁セクションの計画のために責任がある会社に提供する、
【0003】
しかし、多数の供給元、及びLarssen鋼矢板、Hoesch鋼矢板、平鋼鋼矢板、Tビーム、ダブルTビーム、Peinerビーム、ペイル、そして、様々な異なる種類の鋼矢板、ビームその他を接続するために使われるコネクタのような、矢板壁のための非常に多数の様々な異なる種類の構成要素があるために、矢板壁のための様々な異なる構成要素の信じられないくらい大きい数があることは明らかである。更に、各種類の鋼矢板及びビームは、各矢板壁が使用されるそれぞれの目的に応じて、広範囲の様々な異なる寸法で供給される。
【0004】
矢板壁構成要素が変化に富んでいるために、矢板壁セクションを計画しなければならない土木技師は、過去に使用できた2、3の構成要素しか見つけることができない。
【0005】
本発明によって解決すべき問題は、矢板壁セクションのレイアウトのための適切な構成要素及び/又は適切なレイアウトの決定が、適切な構成要素及びレイアウトを決定する上述した方法と比較して、非常に簡単できる方法を提供することである。
【0006】
上述した問題は、請求項1に記載される方法の特徴によって解決される。
【0007】
本発明によれば、ユーザ指向ネットワーク、特にインターネットが使われて、矢板壁構成要素及びレイアウトに関連した情報を、矢板壁セクションを計画しているユーザに提供することが提案される。1つの例は、土木技師に、矢板壁セクションのレイアウトのための多数の様々な異なる種類の構成要素及びそれらの寸法並びにそれらの様々な異なる供給元を提供することができることである。ユーザ指向ネットワークが使われるために、矢板壁セクションを計画するときに、ユーザは、必要とされる全ての情報を簡単に得ることが可能である。特に、コンピューターシステムの使用により、様々な異なる供給元によって提供される様々な異なる種類の構成要素及びそれらの様々な異なる寸法の全てをユーザに提供することができる。ユーザは、パスワードを使用することによってアクセスを制限することもできるユーザ指向ネットワークに入り、ユーザの構造パラメータを入力するだけである。例えば、ユーザは、矢板壁セクションに対する予想最大荷重、矢板壁セクションの長さ、構成要素の軸方向長さ、ユーザが計画している矢板壁セクションの他の特性を入力することができる。入力した構造パラメータ及び構成要素の記憶されている技術的特性に基づいて、コンピューターシステムは、矢板壁セクションの少なくとも一つの適切な構成要素及び/又は適切なレイアウトを決定して、少なくとも技術的特性及び必要な場合他の技術情報(例えば適切なレイアウト)をユーザに提供する。
【0008】
従って、本発明によれば、矢板壁設置を計画しているユーザは、どんな種類の構成要素又はレイアウトが、ユーザの具体的な構造仕様に適しているかを非常に簡単に確かめることできる。
【0009】
本発明の方法のその他の変形例及び実施例は、明細書、請求項及び図面から理解できる筈である。
【0010】
本発明の方法の好ましい実施例において、ステップ(b)において適切であるとした構成要素又はレイアウトが、データベースに記憶されている他の構成要素又はレイアウトと比較して、充分な強度を有する及び/又は最低総重量を有していることを確認することを提案する。運搬及び材料の価格並びに矢板壁を構築するために使われなければならない装置については、矢板壁の構成要素の重量は、構成要素の適切さの決定にとって重要である主な特性の内の1つである。
最も適切な構成要素は、最も軽い重量及びその寿命にわたる充分な断面係数(section mdulus)の両方を有する。
【0011】
ユーザはしばしば、どの種類の構成要素又はレイアウトがユーザのそれぞれの問題に適しているかを確認する際に様々な異なる前提条件を有するので、本発明の方法の別の実施例においては、ユーザが、構造パラメータを入れる前に、ステップ(a)において、様々な異なる決定ツールの中から選択できることが提案される。
【0012】
本発明の好ましい一実施例において、選択可能なツールの内の1つが、矢板壁セクションのために適切な鋼矢板構成要素を決定するための壁ツールであることを提案する。壁ツールを選んだ後に、ユーザは、ステップ(a)において、矢板壁セクションの長さ、使われる鋼矢板の軸方向長さ及び構成要素の最小断面係数(これらの全てが構造パラメータとして使われる)を入力する。その結果、ユーザは少なくとも一つの適切な構成要素のデータが提供される。
【0013】
この実施例の好ましい変形例において、データベースにおいて記憶されている構成要素から、どのような構成要素又は構成要素の組合せが、ステップ(a)で入力した所定の長さを有する矢板壁セクションの最も軽い総重量になるかを決定することにより、ステップ(b)の決定はなされる。
【0014】
壁ツールの別の結果として、地面に打ち込まれる又は設置される構成要素の数又は矢板壁セクションの総重量の両方が、ユーザに提供される。このデータに基づいて、ユーザは、計画された矢板壁セクションの最も効率的な配置又はレイアウトを設計することができる。
【0015】
更に、ステップ(c)でユーザに送った情報に、提案されている構成要素を使用した矢板壁セクションのレイアウトを補完することも提案される。
【0016】
選択可能なツールの他のものは、好ましくは、構成要素として鋼矢板及び鋼矢板コネクタを使用する適切な仮締切レイアウトを決定するためのレイアウトツールである。レイアウトツールを選んだ後に、ユーザは、ステップ(a)において仮締切レイアウトの長さ及び厚さ並びに構造パラメータとして使われる鋼矢板を入力しなければならないだけである。そして、コンピューターシステムは、仮締切のための少なくとも一つの適切なレイアウトを決定して、仮締切のための適切なレイアウトに関するデータを、ユーザにステップ(c)において提供する。
【0017】
レイアウトツールの決定は、ステップ(b)において、データベースにおいて技術的特性として記憶されている様々な異なる仮締切レイアウトのデータ間で決定して行うことが好ましい。最も適切な仮締切レイアウトは、他の仮締切レイアウトに比較して、充分な強度及び最も軽い総重量を有するレイアウトとして決定されることが好ましい。
【0018】
更に、ステップ(c)においても提供される解決案は更に、地面に打ち込まれる又は設置される鋼矢板及び鋼矢板コネクタの数、並びに仮締切の総重量を含んでいることが提案される。
【0019】
他の選択可能なツールは、矢板壁セクションを構築することに必要な構成要素の数を決定するための矢板工法指定ツールである。このツールにより、ユーザは、ユーザが使用したい構成要素の種類を既に知っている。矢板工法指定ツールを選ぶときに、ステップ(a)において、構造パラメータとして、使われる構成要素の種類、矢板壁セクションの長さ及びの構成要素の長さをユーザは入力しなければならないだけである。この結果、ステップ(c)において、ユーザは、選択した構成要素のデータ、矢板壁セクションを構築するに必要な構成要素の数、及び矢板壁セクションの総重量が提供される。
【0020】
更に、好ましい実施例において提案される選択可能なツールは、腐食ツールである。この腐食ツールを使用することによって、矢板壁レイアウトの腐食耐久性を決定することが可能である。腐食ツールを選ぶときに、以下の構造パラメータの内の少なくとも2つ、すなわち、設置環境に関する情報、及び/又は矢板壁の必要寿命、及び/又は最小断面係数、及び/又は使われる構成要素の種類の内の少なくとも2つを、ステップ(a)においてユーザは入力しなければならない。入力した構造パラメータに従い、少なくとも一つの適切な構成要素のデータ、及び/又は設置環境に関するデータ、及び/又は構成要素の寿命のデータがステップ(c)においてユーザに提供することができる:
【0021】
設置環境に関する腐食データ、矢板壁のための様々な異なる構成要素の腐食速度に関するデータ、そして、腐食によって生じる断面係数の現象に関するデータに基づいて決定することが好ましい。腐食ツールのステップ(a)のこの腐食データ及び構造パラメータの両方に基づいて適切な構成要素が決定される。
【0022】
更に、適切な構成要素の断面係数を知っていることは、ユーザには役に立つ。この目的のために、本発明の方法の別の好ましい実施例において、断面係数ツールは、適切な構成要素の断面係数を決定するために選択可能である。ステップ(a)において、このツールを選ぶとき、矢板壁セクションに作用する荷重、最大寿命及び/又は設置環境を構造パラメータとしてユーザは入力しなければならない。結果として、ステップ(c)において、ユーザは、少なくとも一つの適切な構成要素、その断面係数及びその技術的特性のデータが提供される。
【0023】
適切な構成要素の決定が、データベースにおいて記憶されている抵抗による構成要素の最大モーメント及び構成要素の材料の降伏点を含む技術的特性に基づくことが好ましい。断面係数は、以下の式によって計算される。
Smin=Mmax/0.65Fy
ここで、Sminは最小許容断面係数であり、Mmaxは抵抗による構成要素の最大モーメントであり、そして、Fyは構成要素の材料の降伏点である。
様々な異なる構成要素の様々な異なる断面係数値の計算の後、その構成要素は、他の構成要素と比較して、充分な最小許容断面係数及び最も軽い重量を有する適切な構成要素である決定される。
【0024】
ユーザが更に、どんな種類の装置を使用して、矢板壁セクションの構成要素を地面に打ち込み又は振動挿入することに関心がある場合もあるので、そのような装置の技術的特性及びデータをデータベースに記憶しておく。ステップ(b)において決定される構成要素又はレイアウトのデータ及び技術的特性に基づいて、上記した様々な異なる種類の(打ち込み又は振動挿入)装置の技術的特性及びデータに基づいて、少なくとも1つ装置が適切であると決定される。そして、その適切な装置の技術的特性及びデータがユーザに提供される。
【0025】
適切な装置を決定するために、構成要素又は設置されるレイアウトのデータが、設置環境、設置される個々の構成要素の重量及び構成要素の表面積に関してデータを含んでいることが好ましい。装置のデータは、個々の装置(例えば、振動ハンマー及びクランプ)の重量を含むべきである。適切な装置、特に、バイブレータを決定するために、クレーンフックでの牽引は、以下の式によって計算される。
PPull=(WV+WR)×9.81+0.1×(RM×F)
ここで、PPullはクレーンフックでの牽引であり、WVは装置の重量であり、WRは設置される構成要素の重量であり、RMは表面摩擦値であり、そして、Fは設置される構成要素の表面積である。最も低い牽引を有する装置が、適切な装置であると決定される。そして、ユーザは、販売又はレンタルのためにその決定した装置を提供する具体的な会社に(例えば、リンクを介して)直接連絡をとることができる。
【0026】
更に、本発明の方法において、少なくとも構成要素のCAD-データ(例えばDWG-ファイル又はDXF-ファイル)及び技術的特性が、ユーザ指向ネットワークを介したユーザによるダウンロードによって、提供されることを提案する。
【0027】
ステップ(c)における構成要素又はレイアウトの決定の後、本発明の方法の好ましい実施例において、ユーザは、製造元、在庫、圧延プラント及び/又は構成要素の実際の価格に関する情報を含む、適切な供給元についての情報データをユーザ指向ネットワークを介して得ることができることが提案される、
【0028】
製造元に係るデータは例えば、製品がどこで製造されているか、配送されるにどの程度の期間及び誤差かるに係る情報を含むこともできる。例えば、在庫に関するデータは、この特定の構成要素の在庫の量及び場所を含む。更に、ユーザは入手可能な構成要素の正確な長さを知らされることができ、実際にこの特定の在庫から注文するか、又は製品を購入するために確定的な申し込みをすることも可能である。圧延プラントに関するデータは、プラントの圧延スケジュールを有しており、及び実際に注文を入れて具体的な圧延から注文を予約することができる能力を有している。更に、使われる矢板壁構成要素に関する情報を得ることも可能である。
【0029】
本発明の方法は、上述の様々な異なるツールの全て又はその少しだけを使用して実現することができる。以下、添付図面を参照して本発明を説明する。
【0030】
図1は、本発明の方法の好ましい実施例に従って機能するプログラムのブロックダイヤグラムを示す。プログラムは、本発明の方法で使用される様々な異なるツールのサブルーチンを制御するメインルーチンを有する。プログラムは、コンピューターシステムのメモリに記憶されている。更に、コンピューターシステムのメモリはいくつかのデータベース部分に分けられており、矢板壁のための様々な異なる構成要素の技術的特性及び構成要素のデータが記憶されている。
【0031】
例えば、データベースは、様々な異なる寸法及び様々な異なる種類の鋼矢板(例えばLarssen鋼矢板、Hoesch鋼矢板又は平鋼鋼矢板)の技術的特性を含む。又、鋼矢板を互いを接続するための様々な異なる多数のコネクタの技術的特性、並びにダブルTビーム、Tビーム、ペイル又はPeinerビームのようなビームの技術データがデータベースに記憶されている。更に、仮締切のような矢板壁セクションのための様々な異なる基本的レイアウト、及びそれらの技術的特性も、データベースにお記憶されている
【0032】
コンピューターシステムは、ユーザ指向ネットワークに接続している。本実施例において、コンピューターネットワークはインターネットを介してアクセスされ、ユーザは、いかなる制限なしで、プログラムを入ることができる。しかし、プログラムは更に、ユーザのみにアクセスを制限しているイントラネットにおいて使用することもできる。
【0033】
プログラムが起動させられると、プログラムはメインルーチンを開き、そして、「sheet piling tool (矢板工法ツール)」と称する起動マスクが開かれる。その後、ユーザは、以下の5つの作業ツール、すなわち、壁ツール、レイアウトツール、矢板工法指定ツール、腐食ツール、及び断面係数ツールを定義している5つのサブルーチンの間で選択することができる。
【0034】
更に、ユーザが上述の5つの作業ツールの内の1つを動作させているとき、ユーザによって動作させることができる情報ツール及びヘルプツールが提示される。情報ツールは、それぞれの動作させているツールを介して受信される結果の具体的な構成要素又はレイアウトに関する更に別の情報も与える。ヘルプツールは、具体的な話題及び用語に関して付加情報を与える。
【0035】
5つの作業ツールの内の1つが起動させられたあと、結果はユーザに提示される。そして、ユーザは、動作させているツールの内の1つで受信される結果を、2つのサポートツール、すなわち、装置ツール及び供給元ツールにおいて使用する選択肢も有する。
【0036】
以下に、様々な異なるツールの機能を詳細に説明する。しかし、様々な異なるツールの構成及び機能は、本実施例に限定するするものではないことは強調しなければならない。
【0037】
最初に、ユーザは、ユーザがメートル法又はヤードポンド法の何れかを使用してプログラムを動作させたいかを決めなければならない。次に、ユーザは、様々な異なるツールの中から選択することが可能である。
【0038】
図2に、壁ツールの入力マスクが示されている。例えばクリック又はショートカットによってユーザが壁ツールを動かした場合、図2に示す壁ツールの入力マスクが、新しいウインドウとしてポップアップする。壁ツールの入力マスクにおいて、ユーザは、提案される矢板壁レイアウトの様々な構造パラメータをシステムに入力することが可能である。本実施例において、ユーザは、以下のデータ、全矢板壁セクションの壁の長さ、矢板壁の構成要素の軸方向長さ、すなわち、鋼矢板自体の軸方向長さ、そして、鋼矢板の断面係数のための最小値を入力する必要がある。
【0039】
その後、ユーザが、計算するボタン「CALCULATE」を作動させる。
壁ツールは、構成要素として適切な鋼矢板と、矢板壁セクションを構築する必要な鋼矢板の数とを決定する。その決定は、データベースに記憶されている様々な異なる鋼矢板構成要素の技術的特性、特に、断面係数及び構成要素の重量に基づく。次に、矢板壁に構築されるときに、最も軽い重量及び充分な断面係数を有する6つの鋼矢板が決定される。
【0040】
決定が完了されたあと、「壁ツール解決案」(1)と呼ばれる結果が、結果ウインドウに示される。図3に、そのような結果ウインドウが示されている。この結果ウインドウにおいて、重量に関して最も効率的な解決案である構成要素の名前が与えられる。構成要素のその他の技術的特性、例えば、構成要素の断面係数、壁の長さ及び重量も示される。更に、5つの別の代替構成要素の表が表示される。そして、ユーザは、構成要素の名前をクリックすることによって情報ツールを起動することが可能である。その結果、情報ウインドウがポップアップする。その例を図4に示す。
【0041】
この情報ウインドウにおいて、提案された矢板壁セクション解決案の全ての関連した技術的特性が示される。その全ての関連した技術的特性は、構成要素の名前、如何に多くの構成要素が使われなければならないか、必要な場合、どのような種類のコネクタが追加的に使用しなければならないか、提案された解決案の総重量を含む。図4に示す例の解決案においては、名前PZC-B 34の組合せ壁が提案されている。この組合せ壁は、通常のダブルTビーム(W30X108と呼ばれている)と2つの鋼矢板(PZC 13と名つけられている)との組合せである。ダブルTビームに鋼矢板を接続するために、BBS-M及びBBS-Fコネクタの使用が推奨される。
その他のデータのために、ユーザは、DWG-ファイルをダウンロードするか、解決案を印刷するか、電子メール・データシートを要請するか、工学的ヘルプを求めるか、価格表を要請するか又は更なる情報を要求することが可能である。これらの様々な異なる機能のためのボタンは、結果ウインドウに示されている。
【0042】
ユーザによって起動させることができる次のツールは、レイアウトツールである。ユーザがこのツールを起動すると、図5に示される入力マスクがポップアップする。その後、ユーザが、仮締切の明白な寸法、すなわち、x方向の仮締切の長さ及びy方向の仮締切の長さを構造パラメータとして入力しなければならない。更に、ユーザが少なくとも一つの適切な矢板工法指定、例えば、PZC 13、PZC 14その他を入力しなければならない。ユーザがどの種類の矢板工法指定を選ばなければならないかについてユーザがわからない場合、ユーザはそれぞれの矢板工法指定の名前をクリックして、図4に示す情報ウインドウと同様な情報ウインドウをポップアップさせることができる。
【0043】
様々な異なる構造パラメータ及び矢板工法指定が入力されたあと、レイアウトツールは、データベースに記憶されている様々な異なる鋼矢板及び基本レイアウトを比較することによって、重量的に最も効率的な解決案を決定する。決定が終了すると、提案された解決案を示す結果ウインドウがポップアップする。このような結果ウインドウは、図6に示される。提案された解決案は、使われるために鋼矢板及びコネクタの数を示し、更には、仮締切の基本レイアウトを示す。
【0044】
その後、ユーザは、それから解決案を印刷するか、価格表を要請するか又は工学的ヘルプを求めることが可能である。更に、ユーザは、鋼矢板又はコネクタの名前の内の1つをクリックすることによって情報ウインドウを起動させることができ、情報ウインドウはポップアップする。図7にそのような情報ウインドウが示されている。この情報ウインドウにおいて、構成要素の技術的特性の詳細な仕様、及び使用可能なコネクタ、例えばPZ 90、Colt、Cobra、PZ Tee、Joker、Bullhead又はCBFに関する情報が示される。更には、様々な異なる構成要素のDWG-ファイルは、ダウンロードすることができる。
【0045】
図8は、矢板工法指定ツールの入力マスクを示す。矢板工法指定ツールの入力マスクが起動させられると、ユーザは最初に、どの種類の矢板壁セクション又は組合せ矢板壁セクションをユーザが構築したいかを決めなければならない。従って、基本技術的特性が、ユーザの考察のためのテーブルに示される。選ばれた鋼矢板をクリックした後に、計算ウインドウはポップアップする。その計算ウインドウは図8に示される。計算ウインドウにおいて、選ばれた組合せ矢板壁セクションの技術的特性の詳細な仕様が示される。更に、計算領域が示され、ユーザは、壁の長さ、ビーム長さ、及び示された組合せ壁の構成要素の板の長さを入力しなければならない。計算ボタンを動かした後に、矢板工法指定ツールは、重量的に最も効率的な解決案を計算する。次に、図4に示される結果ウインドウに匹敵する結果ウインドウがポップアップする(図10参照)。
【0046】
時々、ユーザは具体的な用語が何を意味するかわからない場合がある。本当にわからない場合、ユーザは、特定の用語の定義を得るためにヘルプツールを動かす選択肢がある。例えば、図9に示される結果ウインドウの詳細な仕様において、ユーザが、それぞれの用語をクリックすることができる。本例の場合、「flexibility」をクリックすることができる。用語をクリックした後に、ヘルプウインドウがポップアップする(図11を参照)。用語「flexibility」の定義が与えられる。
【0047】
別のツールは、いわゆる腐食ツールである。
ユーザが、例えば、具体的な設置環境下において矢板壁がどれくらい寿命を有しているかを知りたい場合、ユーザは腐食ツールを動かすことによって知ることができる。ユーザがそうすると、腐食ツールの入力マスクはポップアップする。それは図12に示される。ユーザは、様々な異なる設置環境、例えば開放空気中、土壌、淡水又は塩水の中から選択することができる。ユーザは更に、それぞれの主要なグループにおいて区別をつけることもできる。図示の例では、ユーザは、特徴「soil in an industrial area(工業地帯の土壌)」を選択している。次に、ユーザは、壁の必要寿命及び/又は寿命の終わりでの断面係数の最最小値を定めることができる。
【0048】
以下において、表は、様々な異なる設置環境下での腐食と、具体的な鋼矢板の腐食による断面係数の損失との間の関係を示す。
【表1】
【0049】
コンピューターシステムのデータベースに記憶されている技術的特性及び腐食表(上記例を参照見る)に基づいて、(図13に示すような)結果ウインドウがポップアップする。そこには、5つの異なる可能な解決案が、断面係数のデフォルト値、10年後の侵食された断面係数及び残存重量と共に、示されている。更に、この結果ウインドウにおいて、他の結果ウインドウと同様に、ユーザは、リストの構成要素の名前を単にクリックすることによってそれぞれの構成要素に関するより多くの情報を受けることができる。
【0050】
いくつかの場合において、ユーザは、構成要素に作用する荷重、最大寿命及び設置環境に基づく必要な断面係数について何かを知りたくなる場合もある。このために、断面係数ツールが提供される。起動させられると、(図12に示すような)入力マスクがポップアップする。そこにおいて、ユーザは荷重及び最大寿命を入力することができる。ユーザは更に、設置環境を定義することができる。その後、抵抗による構成要素の最大モーメント及び材料のその降伏点を含んでいるデータベースに記憶されている技術的特性に基づいて、断面係数ツールは、適切な構成要素を決定する。
【0051】
従って、断面係数は、以下の式によって計算される。
Smin=Mmax/0.65Fy
ここで、Sminは最小許容断面係数であり、Mmaxは、抵抗による構成要素の最大モーメントであり、そして、Fyは構成要素の材料の降伏点である。
その構成要素が,他の鋼矢板構成要素と比較して、充分な最小の許容断面係数及び最も軽い重量を有する場合、その構成要素は適切であると決定される。
【0052】
適切な構成要素の決定の後、(図15に示されるように)結果ウインドウがポップアップする。そこにおいて、5つの解決案が示されている。更に、この結果ウインドウにおいて、ユーザはそれぞれの構成要素の名前をクリックすることによって別の情報を得ることができる。
【0053】
適切な構成要素を決定して、ユーザは矢板及びコネクタの供給元を捜すことが可能である。このために、ユーザは、供給元ツールを起動することができる。ユーザは、製造元又は供給元、在庫、圧延プラント、価格に関する情報を入手することができる、又は使われる矢板壁構成要素の入手可能性を確認するともできる。その後、ユーザは、決定した構成要素を直接注文することも可能である。
【0054】
ユーザが、適切な装置、例えば、矢板壁セクションを構築するためのバイブレータ又はラムについて何かを知りたい場合、ユーザは装置ツールを使用することができる。装置ツールが起動されると、(図17に示すような)入力マスクがポップアップする。この入力マスクにおいて、ユーザは矢板工法指定及び設置環境を入力する。これらの構造パラメータ、選択した構成要素の技術的特性(コンピューターシステムのデータベースに既に含まれている、設置される構成要素の重量及び表面積)、個々の装置の重量を含む装置のデータに基づいて、クレーンフックで最も低い牽引を有する装置が適切であると決定される。牽引は、以下の式によって計算される。
PPull=(WV+WR)×9.81+0.1×(RM×F)
ここで、PPullはクレーンフックでの牽引であり、WVは装置の重量であり、WRは設置される構成要素の重量であり、RMは表面摩擦値であり、そして、Fは設置される構成要素の表面積である。
【0055】
適切な装置の決定の後、装置の技術的特性を示す結果ウインドウがポップアップする。このような結果ウインドウは、図18に示される。ユーザは、販売又は貸し出しのために装置を提供する会社と直接連絡をとることができる。
【0056】
上記した方法は、好ましい実施例としてのみ示したものである。当然、プログラムはまた、例えばCAD-ツールのような別のツールによって補完することができる。
【0057】
本発明に基づく別の特徴は、鋼矢板構成要素(鋼矢板、ビーム、鋼矢板のためのコネクタ)及び矢板壁を構築するための及び装置の全ての主要な供給元及び製造元が、コンピューターシステムのデータベースへのデータとして、供給元及び製造元の製品の技術的特性を入力することである。この場合、ユーザは多種多様な可能な製品及び製造元を有する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の方法の好ましい実施例において使われる様々な異なるツールをブロックダイヤグラムで示す。
【図2】壁ツールウインドウの入力マスクを示す。
【図3】壁ツールの結果ウインドウを示す。
【図4】壁ツールによって決定される具体的な構成要素の情報ウインドウを示す。
【図5】レイアウトツールインドウの入力マスクを示す。
【図6】レイアウトツールの結果ウインドウを示す。
【図7】レイアウトツールの結果ウインドウに示されるレイアウトにおいて使われる具体的な鋼矢板の情報ウインドウを示す。
【図8】矢板工法指定ツールウインドウの入力マスクを示す。
【図9】板工法指定ツールの結果ウインドウを示す。
【図10】矢板工法指定ツールによって決定される具体的な鋼矢板の情報ウインドウを示す。
【図11】ユーザに具体的な技術的特性の定義を知らせるヘルプウインドウの例を示す。
【図12】腐食ツールウインドウの入力マスクを示す。
【図13】腐食ツールによって決定される結果を示している結果ウインドウを示す。
【図14】断面係数ツールウインドウの入力マスクを示す。
【図15】断面係数ツールによって決定される結果を示している結果ウインドウを示す。
【図16】供給元ツールの入力マスクを示す。
【図17】装置ツールの入力マスクを示す。
【図18】装置ツールの結果ウインドウを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ指向ネットワーク、特にインターネットを介して、矢板壁セクションのレイアウトのための適切な構成要素の技術的特性及び/又は矢板壁セクション自体のレイアウトを少なくとも、ユーザのためにコンピューターシステムによって決定する、矢板壁セクションを計画するために使用される方法にして、
(a)矢板壁セクションのレイアウトのための構成要素のデータ、矢板壁セクションのためのレイアウトのデータ、構成要素及びレイアウトの技術的特性のデータが全て記憶されているコンピューターシステムに、ユーザ指向ネットワークを介して矢板壁セクションの少なくとも2つの構造パラメータを入力し、
(b)入力した構造パラメータ及びデータベースに記憶されている技術的特性に基づいてコンピューターシステムによって少なくとも一つの適切な構成要素及び/又は少なくとも一つの適切なレイアウトを決定し、
(c)ステップ(b)において決定された構成要素及び/又はレイアウトのデータと、決定された構成要素及び/又はレイアウトの技術的特性とを、ユーザ指向ネットワークを介してユーザに提供する
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
ステップ(b)において、データベースに記憶されている他の構成要素又はレイアウトと比較して、充分な強度及び/又は最低の全重量を有する構成要素又はレイアウトを適切であると決定することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(a)において、構造パラメータを入力する前に、ユーザは、様々な異なる決定ツールの中から選択することができることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
選択可能なツールの内の1つが、矢板壁セクションのために適切な鋼矢板構成要素を決定するための壁ツールであり、前記壁ツールを選んだ後に、ユーザは、ステップ(a)において構造パラメータとして、矢板壁セクションの長さ、使われる鋼矢板の軸方向長さ及び使われる鋼矢板の最小断面係数を入力し、その結果、ステップ(c)において少なくとも一つの適切な構成要素のデータがユーザは提供されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(b)において壁ツールがデータベースに記憶されている構成要素から選択される場合、データベースに記憶されている他の構成要素と比較して、ステップ(a)において入力された前記所定の長さを有する矢板壁セクションが最も軽い総重量になる構成要素又は構成要素の組合せが適切であると決定することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(c)において、地面に打ち込まれる又は設置される構成要素の数及び矢板壁セクションの総重量がユーザに提供されることを特徴とする請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(c)において、矢板壁セクションのレイアウトがユーザに提供されることを特徴とする請求項4又は5又は6に記載の方法。
【請求項8】
選択可能なツールの内の1つは、構成要素及び鋼矢板コネクタで構成される適切な仮締切レイアウトを決定するためのレイアウトツールであり、ユーザがレイアウトツールを選んだ後、ユーザは、ステップ(a)において構造パラメータとして、仮締切レイアウトの長さ及び厚さ及び仮締切レイアウトのために使われる鋼矢板を入力しなければならず、結果としてステップ(c)において、仮締切のための少なくとも一つの適切なレイアウトのデータがユーザに提供されることを特徴とする請求項3から7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(b)において、技術的特性としてデータベースに記憶されている様々な異なる仮締切のデータからレイアウトツールが選択された場合、充分な強度と、他の仮締切レイアウトと比較して最も軽い総重量を有する、仮締切レイアウトのためのレイアウトを、適切であると決定することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(c)において、地面に打ち込まれる又は設置される鋼矢板及び鋼矢板コネクタの数及び仮締切の総重量の両方がユーザに提供されることを特徴とする請求項8又は9記載の方法。
【請求項11】
選択可能なツールの1つは、矢板壁セクションを構築することに必要な構成要素の数を決定するための矢板工法指定ツールであり、当該ツールを選択した場合、ユーザは、ステップ(a)において、構造パラメータとして、使われる構成要素の種類、矢板壁セクションの長さ及びの構成要素の長さをユーザは入力しなければならなず、その結果、ステップ(c)において、ユーザは、選択した構成要素のデータ、矢板壁セクションを構築するに必要な構成要素の数、及び矢板壁セクションの総重量がユーザに提供されることを特徴とする請求項3から10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
選択可能なツールの1つは、矢板壁レイアウトの腐食耐久性を決定するための腐食ツールであり、当該腐食ツールを選択した場合、以下の構造パラメータ、すなわち、設置環境に関する情報、及び/又は必要寿命、及び/又は最小断面係数、及び/又は使われる構成要素の種類の内の少なくとも2つを構造パラメータとしてステップ(a)においてユーザは入力しなければならず、ステップ(c)において、少なくとも一つの適切な構成要素のデータ、及び/又は設置環境に関するデータ、及び/又は構成要素の寿命のデータがユーザに提供されることを特徴とする請求項3から11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(b)において、設置環境に関するデータ、矢板壁のための様々な異なる構成要素の腐食速度に関するデータ及び腐食によって生じる断面係数の減少に関するデータからなる腐食データに基づいて、適切な構成要素、設置環境の前提条件、所与の断面係数のための最大寿命又は所定の寿命の間の最小の断面係数が決定されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
選択可能なツールの1つは、適切な構成要素の断面係数を決定するための断面係数ツールであり、当該断面係数ツールを選択した場合、ステップ(a)において、矢板壁セクションに作用する荷重、最大寿命及び/又は設置環境を構造パラメータとしてユーザは入力しなければならず、結果として、ステップ(c)において、少なくとも一つの適切な構成要素、その断面係数及びその技術的特性のデータがユーザに提供されることを特徴とする請求項3から13の何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
ステップ(b)において、抵抗による構成要素の最大モーメント及び構成要素の材料の降伏点を含む技術的特性に基づいて、適切な構成要素が決定され、
断面係数は、以下の式によって計算され、
Smin=Mmax/0.65Fy
ここで、Sminは最小許容断面係数であり、Mmaxは抵抗による構成要素の最大モーメントであり、そして、Fyは構成要素の材料の降伏点である。
他の構成要素と比較して、充分な最小許容断面係数及び最も軽い重量の両方を有する構成要素が、適切な構成要素であると決定されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
矢板壁の構成要素を地面に打ち込み又は振動挿入するための様々な装置の技術的特性及びデータがデータベースに記憶されており、ステップ(b)において決定される構成要素又はレイアウトのデータ及び技術的特性に基づいて、更に、上記した様々な装置の技術的特性及びデータに基づいて、少なくとも1つ装置が適切であると決定され、その適切な装置の技術的特性及びデータがユーザに提供されることを特徴とする請求項1から15の何れか一項に記載の方法。
【請求項17】
構成要素又は設置されるレイアウトのデータが、設置環境、設置される個々の構成要素の重量及び設置される構成要素の表面積に関してデータを含んでおり、装置のデータは、個々の装置の重量を含んでおり、クレーンフックでの牽引が最小な装置が、適切であると決定され、
クレーンフックでの牽引は、以下の式によって計算され、
PPull=(WV+WR)×9.81+0.1×(RM×F)
ここで、PPullはクレーンフックでの牽引であり、WVは装置の重量であり、WRは設置される構成要素の重量であり、RMは表面摩擦値であり、そして、Fは設置される構成要素の表面積であることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも構成要素のために、CAD−データ及び技術的特性が、ユーザ指向ネットワークを介したユーザによるダウンロードによって提供されることを特徴とする請求項1から17の何れか一項に記載の方法。
【請求項19】
ステップ(c)における構成要素又はレイアウトの決定の後の更なるステップにおいて、ユーザは、製造元、在庫、圧延プラント及び/又は構成要素の価格に関する情報を含む、適切な供給元についての情報データをユーザ指向ネットワークを介して得ることができることを特徴とする請求項1から18の何れか一項に記載の方法。
【請求項1】
ユーザ指向ネットワーク、特にインターネットを介して、矢板壁セクションのレイアウトのための適切な構成要素の技術的特性及び/又は矢板壁セクション自体のレイアウトを少なくとも、ユーザのためにコンピューターシステムによって決定する、矢板壁セクションを計画するために使用される方法にして、
(a)矢板壁セクションのレイアウトのための構成要素のデータ、矢板壁セクションのためのレイアウトのデータ、構成要素及びレイアウトの技術的特性のデータが全て記憶されているコンピューターシステムに、ユーザ指向ネットワークを介して矢板壁セクションの少なくとも2つの構造パラメータを入力し、
(b)入力した構造パラメータ及びデータベースに記憶されている技術的特性に基づいてコンピューターシステムによって少なくとも一つの適切な構成要素及び/又は少なくとも一つの適切なレイアウトを決定し、
(c)ステップ(b)において決定された構成要素及び/又はレイアウトのデータと、決定された構成要素及び/又はレイアウトの技術的特性とを、ユーザ指向ネットワークを介してユーザに提供する
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
ステップ(b)において、データベースに記憶されている他の構成要素又はレイアウトと比較して、充分な強度及び/又は最低の全重量を有する構成要素又はレイアウトを適切であると決定することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(a)において、構造パラメータを入力する前に、ユーザは、様々な異なる決定ツールの中から選択することができることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
選択可能なツールの内の1つが、矢板壁セクションのために適切な鋼矢板構成要素を決定するための壁ツールであり、前記壁ツールを選んだ後に、ユーザは、ステップ(a)において構造パラメータとして、矢板壁セクションの長さ、使われる鋼矢板の軸方向長さ及び使われる鋼矢板の最小断面係数を入力し、その結果、ステップ(c)において少なくとも一つの適切な構成要素のデータがユーザは提供されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(b)において壁ツールがデータベースに記憶されている構成要素から選択される場合、データベースに記憶されている他の構成要素と比較して、ステップ(a)において入力された前記所定の長さを有する矢板壁セクションが最も軽い総重量になる構成要素又は構成要素の組合せが適切であると決定することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(c)において、地面に打ち込まれる又は設置される構成要素の数及び矢板壁セクションの総重量がユーザに提供されることを特徴とする請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(c)において、矢板壁セクションのレイアウトがユーザに提供されることを特徴とする請求項4又は5又は6に記載の方法。
【請求項8】
選択可能なツールの内の1つは、構成要素及び鋼矢板コネクタで構成される適切な仮締切レイアウトを決定するためのレイアウトツールであり、ユーザがレイアウトツールを選んだ後、ユーザは、ステップ(a)において構造パラメータとして、仮締切レイアウトの長さ及び厚さ及び仮締切レイアウトのために使われる鋼矢板を入力しなければならず、結果としてステップ(c)において、仮締切のための少なくとも一つの適切なレイアウトのデータがユーザに提供されることを特徴とする請求項3から7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(b)において、技術的特性としてデータベースに記憶されている様々な異なる仮締切のデータからレイアウトツールが選択された場合、充分な強度と、他の仮締切レイアウトと比較して最も軽い総重量を有する、仮締切レイアウトのためのレイアウトを、適切であると決定することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(c)において、地面に打ち込まれる又は設置される鋼矢板及び鋼矢板コネクタの数及び仮締切の総重量の両方がユーザに提供されることを特徴とする請求項8又は9記載の方法。
【請求項11】
選択可能なツールの1つは、矢板壁セクションを構築することに必要な構成要素の数を決定するための矢板工法指定ツールであり、当該ツールを選択した場合、ユーザは、ステップ(a)において、構造パラメータとして、使われる構成要素の種類、矢板壁セクションの長さ及びの構成要素の長さをユーザは入力しなければならなず、その結果、ステップ(c)において、ユーザは、選択した構成要素のデータ、矢板壁セクションを構築するに必要な構成要素の数、及び矢板壁セクションの総重量がユーザに提供されることを特徴とする請求項3から10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
選択可能なツールの1つは、矢板壁レイアウトの腐食耐久性を決定するための腐食ツールであり、当該腐食ツールを選択した場合、以下の構造パラメータ、すなわち、設置環境に関する情報、及び/又は必要寿命、及び/又は最小断面係数、及び/又は使われる構成要素の種類の内の少なくとも2つを構造パラメータとしてステップ(a)においてユーザは入力しなければならず、ステップ(c)において、少なくとも一つの適切な構成要素のデータ、及び/又は設置環境に関するデータ、及び/又は構成要素の寿命のデータがユーザに提供されることを特徴とする請求項3から11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(b)において、設置環境に関するデータ、矢板壁のための様々な異なる構成要素の腐食速度に関するデータ及び腐食によって生じる断面係数の減少に関するデータからなる腐食データに基づいて、適切な構成要素、設置環境の前提条件、所与の断面係数のための最大寿命又は所定の寿命の間の最小の断面係数が決定されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
選択可能なツールの1つは、適切な構成要素の断面係数を決定するための断面係数ツールであり、当該断面係数ツールを選択した場合、ステップ(a)において、矢板壁セクションに作用する荷重、最大寿命及び/又は設置環境を構造パラメータとしてユーザは入力しなければならず、結果として、ステップ(c)において、少なくとも一つの適切な構成要素、その断面係数及びその技術的特性のデータがユーザに提供されることを特徴とする請求項3から13の何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
ステップ(b)において、抵抗による構成要素の最大モーメント及び構成要素の材料の降伏点を含む技術的特性に基づいて、適切な構成要素が決定され、
断面係数は、以下の式によって計算され、
Smin=Mmax/0.65Fy
ここで、Sminは最小許容断面係数であり、Mmaxは抵抗による構成要素の最大モーメントであり、そして、Fyは構成要素の材料の降伏点である。
他の構成要素と比較して、充分な最小許容断面係数及び最も軽い重量の両方を有する構成要素が、適切な構成要素であると決定されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
矢板壁の構成要素を地面に打ち込み又は振動挿入するための様々な装置の技術的特性及びデータがデータベースに記憶されており、ステップ(b)において決定される構成要素又はレイアウトのデータ及び技術的特性に基づいて、更に、上記した様々な装置の技術的特性及びデータに基づいて、少なくとも1つ装置が適切であると決定され、その適切な装置の技術的特性及びデータがユーザに提供されることを特徴とする請求項1から15の何れか一項に記載の方法。
【請求項17】
構成要素又は設置されるレイアウトのデータが、設置環境、設置される個々の構成要素の重量及び設置される構成要素の表面積に関してデータを含んでおり、装置のデータは、個々の装置の重量を含んでおり、クレーンフックでの牽引が最小な装置が、適切であると決定され、
クレーンフックでの牽引は、以下の式によって計算され、
PPull=(WV+WR)×9.81+0.1×(RM×F)
ここで、PPullはクレーンフックでの牽引であり、WVは装置の重量であり、WRは設置される構成要素の重量であり、RMは表面摩擦値であり、そして、Fは設置される構成要素の表面積であることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも構成要素のために、CAD−データ及び技術的特性が、ユーザ指向ネットワークを介したユーザによるダウンロードによって提供されることを特徴とする請求項1から17の何れか一項に記載の方法。
【請求項19】
ステップ(c)における構成要素又はレイアウトの決定の後の更なるステップにおいて、ユーザは、製造元、在庫、圧延プラント及び/又は構成要素の価格に関する情報を含む、適切な供給元についての情報データをユーザ指向ネットワークを介して得ることができることを特徴とする請求項1から18の何れか一項に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2009−528461(P2009−528461A)
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−556685(P2008−556685)
【出願日】平成19年2月18日(2007.2.18)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001389
【国際公開番号】WO2007/098866
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(504455230)パイルプロ リミテッド ライアビリティー カンパニー (7)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月18日(2007.2.18)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001389
【国際公開番号】WO2007/098866
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(504455230)パイルプロ リミテッド ライアビリティー カンパニー (7)
【Fターム(参考)】
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