説明

知育玩具

【課題】極めて単純な形状で且つ極めて単純な模様の複数個のピースを適宜に配設することにより、極めて複雑な図柄を形成できる知育玩具を提供する。
【解決手段】各々が同サイズの正三角柱形状を成す複数個のピース1の側面を、それぞれ隣接するピース1の側面と密接させて配設することにより、各ピースの端面の集合が形成するパターンを得る知育玩具。各ピース1は、中央線を境界として、一方の領域11と他方の領域16を相互に異なる色で彩色され、外表面を異色の2領域とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、知育玩具とケースに関する。詳しくは、極めて単純な形状で且つ極めて単純な模様のみを備えた複数個もしくは多数個のピースを、相互に密接させて配設することにより、各ピースの表裏の選択と位置の選択とに応じて決まる複雑なパターンを無数に創造し得る知育玩具とそのケースに関する。
【背景技術】
【0002】
ジグソーパズルは周知である。
ジグソーパズルでは、それぞれが複雑な輪郭形状を成す各ピースに、それぞれ一意に決められた模様が描かれており、各ピースを予め決められた所定の位置に正確に嵌め込むことにより、予め決められた絵柄が再現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】本願に類似する先行技術文献は発見されなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のように、ジグソーパズルでは、各ピースを予め決められた所定の位置に正確に嵌め込むことにより、予め決められた絵柄のみが再現される。
換言すれば、ジグソーパズルでは、自由自在に絵柄を創造することはできない。
【0005】
また、前述のように、ジグソーパズルの各ピースは各々異なる輪郭形状を有し、各々一意に決められた模様を備えている。このため、ピースを一つでも紛失すると当該ジグソーパズルの絵柄を再現できず、全体が無価値となってしまう。したがって、多数のピースを1つも紛失しないように管理することが困難な幼稚園/保育園や小学校等に於いて、創造性育成のために利用することには適していない。
しかし、幼稚園/保育園や小学校等では、じっくりと考えながらピースを組み合わせることにより所望の絵柄/図柄を創造することを通じて、独創性等を育成することについての強い需要がある。
【0006】
本発明は、複数個のピースを自由自在に組み合わせて配設することにより所望の絵柄や図柄を無数に創造でき、もって、園児や児童等の創造性の育成に寄与できる知育玩具を提供することを目的とする。
また、本発明は、各ピースに互換性を持たせることにより、個々のピースの紛失にあまり気を使うことなく、老若男女を問わず更には乳幼児や児童であっても気軽に利用できる知育玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の構成を、下記[1]〜[3]に記す。なお、この項([課題を解決するための手段])と次項([発明の効果])に於いて、符号は理解を容易にするために付したものであり、本発明を符号の構成に限定する趣旨ではない。
【0008】
[1]構成1
各々が同サイズの正三角柱形状を成す複数個のピース1の側面を、それぞれ隣接するピース1の側面と密接させて配設することにより、当該複数個のピースの端面の集合が形成するパターンを得る知育玩具であって、
前記各ピース1は、一方の端面の1の頂角から対向する辺へ下ろした垂線を当該正三角柱の軸線と平行に他方の端面へ向けて延設することにより構成される平面が当該正三角柱の外表面と交差することにより構成される線を境界線とする2領域11,16と成し、一方の領域11と他方の領域16を相互に異なる色と成すことにより、外表面を相互に異色の2領域とされた、
ことを特徴とする知育玩具。
【0009】
[2]構成2
各々が同サイズの正三角柱形状を成す複数個のピース1の各側面、及び、各々が前記正三角柱形状をその一方の端面の1の頂角から対向する辺へ下ろした垂線を当該正三角柱の軸線と平行に他方の端面へ向けて延設することにより構成される平面で切断して直角三角柱形状と成した複数個の補助ピース2の各側面(非切断面である側面)を、それぞれ隣接するピース1又は補助ピース2の側面と密接させて配設することにより、当該ピース1及び補助ピース2の端面の集合が形成するパターンを得る知育玩具であって、
前記各ピース1は、一方の端面の1の頂角から対向する辺へ下ろした垂線を当該正三角柱の軸線と平行に他方の端面へ向けて延設することにより構成される平面が当該正三角柱の外表面と交差することにより構成される線を境界線とする2領域11,16と成し、一方の領域11と他方の領域16を相互に異なる色と成すことにより、外表面を相互に異色の2領域とされ、
前記各補助ピースの表面は単色と成した、
ことを特徴とする知育玩具。
【0010】
[3]構成3
構成2の知育玩具の所定数個のピース1及び補助ピース2用のケースであって、
前記所定数個の各ピース1及び各補助ピース2の側面が、隣接するピース1又は補助ピース2の側面と密接するように、且つ、上面視の輪郭形状が方形となるように配設して成る集合体を密接に収容可能なケース3。
【発明の効果】
【0011】
構成1は、各々が同サイズの正三角柱形状を成す複数個のピース1の側面を、それぞれ隣接するピース1の側面と密接させて配設することにより、当該複数個のピースの端面の集合が形成するパターンを得る知育玩具であって、前記各ピース1は、一方の端面の1の頂角から対向する辺へ下ろした垂線を当該正三角柱の軸線と平行に他方の端面へ向けて延設することにより構成される平面が当該正三角柱の外表面と交差することにより構成される線を境界線とする2領域11,16と成し、一方の領域11と他方の領域16を相互に異なる色と成すことにより、外表面を相互に異色の2領域とされたことを特徴とする知育玩具であるため、各ピース1を自由自在に組み合わせて配設することにより所望の絵柄や図柄を無数に創造することができる。また、各ピースに互換性が有るため、個々のピースの紛失に過度に気を使うことなく、気軽に利用することができる。
【0012】
構成2は、各々が同サイズの正三角柱形状を成す複数個のピース1の各側面、及び、各々が前記正三角柱形状をその一方の端面の1の頂角から対向する辺へ下ろした垂線を当該正三角柱の軸線と平行に他方の端面へ向けて延設することにより構成される平面で切断して直角三角柱形状と成した複数個の補助ピース2の各側面(非切断面である側面)を、それぞれ隣接するピース1又は補助ピース2の側面と密接させて配設することにより、当該ピース1及び補助ピース2の端面の集合が形成するパターンを得る知育玩具であって、前記各ピース1は、一方の端面の1の頂角から対向する辺へ下ろした垂線を当該正三角柱の軸線と平行に他方の端面へ向けて延設することにより構成される平面が当該正三角柱の外表面と交差することにより構成される線を境界線とする2領域11,16と成し、一方の領域11と他方の領域16を相互に異なる色と成すことにより、外表面を相互に異色の2領域とされ、前記各補助ピースの表面は単色と成したことを特徴とする知育玩具であるため、各ピース1を更に自由自在に組み合わせて配設することができ、所望の絵柄や図柄を更に無数に創造することができる。
【0013】
構成3は、構成2の知育玩具の所定数個のピース1及び補助ピース2用のケースであって、前記所定数個の各ピース1及び各補助ピース2の側面が、隣接するピース1又は補助ピース2の側面と密接するように、且つ、上面視の輪郭形状が方形となるように配設して成る集合体を密接に収容可能なケース3であるため、当該ケースを収納する際や、当該ケースとともに販売等する際に、扱い易い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施の形態の知育玩具(1ピース)を示す6面図であり、(a)は背面図、(b)は平面図、(c)は正面図、(d)は左側面図、(e)は右側面図、(f)は底面図を、それぞれ示す。
【図2】第2の実施の形態の知育玩具(1ピース)を示す6面図であり、(a)は背面図、(b)は平面図、(c)は正面図、(d)は左側面図、(e)は右側面図、(f)は底面図を、それぞれ示す。
【図3】第3の実施の形態の知育玩具(1ピース)を示す6面図であり、(a)は背面図、(b)は平面図、(c)は正面図、(d)は左側面図、(e)は右側面図、(f)は底面図を、それぞれ示す。
【図4】6ピースの配設によって実現されるパターンを例示する説明図。
【図5】6ピースの配設によって実現されるパターンを例示する説明図。
【図6】多数個のピースの配設によって実現されるパターンを例示する説明図。
【図7】横断面が正三角形を成すピース1を6個と、横断面が直角三角形(内角が60°と30°と90°の直角三角形)を成すピース2を4個、上面視の輪郭形状が長方形となるようにして5層に長方形のケース3に収容した様子を示す説明図であり、(a)は上面図、(b)は(a)内のB−B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図1に於いて、11と16は、それぞれ異なる色彩領域を示す。なお、図では、11を白で、16を黒で表しているが、2色の組合せは任意であり、例えば需要の大きい色の組合せを採用してよい。また、1セットの知育玩具中に、色の組合せが異なるピースを混在させて、創造可能な絵柄/図柄を更に増やしてもよい。例えば、赤と青で2分割・彩色したピース100個、緑とピンクで2分割・彩色したピース100個、黄と紫で2分割・彩色したピース100個という、合計300個で1セットの知育玩具を構成してもよい。
【0016】
本知育玩具のピースは各々が同サイズの正三角柱形状を成し、図1に示すように、一方の端面の1の頂角から対向する辺へ下ろした垂線を当該正三角柱の軸線と平行に他方の端面へ向けて延設することにより構成される平面が当該正三角柱の外表面と交差することにより構成される線を境界線として、一方の領域11と他方の領域16を相互に異なる色と成すことにより、外表面を異色の2領域に分割されている。
【0017】
正三角柱の高さは、使用するときの扱いやすさ(安定性,手で持つ際の容易さ等)を考慮すると、正三角形を成す端面(上面/底面)の1辺の長さの1/2以下であることが望ましい。この望ましい高さ(厚さ)は材質によっても異なり、例えば、木製の場合は、積木と略同様であり、比較的厚い方が扱い易い。また、合成樹脂製の場合は、比較的薄い方が、軽快に扱うことができるため好ましい。また、紙製の場合は、更に薄くてもよい。
図1のピース1は標準的な厚さの場合を示し、図2のピース1aは比較的薄い場合を示す。また、図3のピース1bは比較的厚い場合を示す。
【0018】
本知育玩具を組み合わせて配設した例を、図4〜図6に上面視で示す。図4と図5は6個のピースを上面視の輪郭が正六角形となるように配設した場合であり、図6は多数のピースを配設した場合である。
図から分かるように、各ピースは各々上面視で正三角形状を成し、それぞれが1/2の異色領域に分割されているという極めて単純な形状・パターンであるにもかかわらず、その組合せから、極めて複雑なパターンを無数に構成可能である。
また、ピースの数を増やすことにより構成可能なパターン数も増えるため、使用者の所望のパターンを創造可能である。例えば、自然物(動植物)や人工物(乗り物等)に似せた絵柄/図柄を構成することも可能である。このため、幼児や児童の創造性の育成に寄与するところ大である。また、ピースに互換性があるため、個々のピースの紛失に過度に気をつかうことなく、気軽に利用することができる。
【0019】
なお、図示はしていないが、所定数個のピースについて、それぞれの側面が、隣接するピースの側面と密接するように配設したときに構成される一集合体の輪郭を成す側面に沿う内側面を有し、当該一集合体の底面に密接する平坦な内底面を有する当該所定数個のピース用のケースを提供すると、例えば、当該輪郭形状で組み合わせたときに或る絵柄/図柄を構成できる場合に、当該の絵柄/図柄を構成することを課題として教室で競わせる等の利用方法を提案できる。
例えば、6個のピースをピッタリと収容可能な上面視で正六角形の凹部を備えたケースを与え、「風車のようなパターンを構成せよ」と出題するような場合である。この場合の正解は、図5(e)のパターンである。なお、正六角形の凹部のケースは例示であり、輪郭形状を適宜に設定することにより、ケース形状に応じて、動植物や乗り物等の種々の課題を与えることも可能である。
【0020】
このように、本実施の形態によると、各ピースは極めて単純な形状で且つ極めて単純な模様を有しているのみであるにもかかわらず、創造可能なパターンが多い。このため、幼児や児童等の創造性の育成に寄与するところ大である。また、組み合わせるピース数を増加させたり、組み合わせるピースの色の組合せを異ならせることにより、創造可能なパターン数を更に増大させることができる。
【0021】
上記では、全てのピースが正三角柱形状で且つ表面を2色の領域に半分に分割して成るピースである場合を述べているが、このようなピースに加えて、さらに、横断面が上記正三角柱の温暖面の1/2の直角三角形(内角が30°,60°,90°の直角三角形)である三角柱形状で且つ単色のピース(補助ピース)を用いるようにしてもよい。
【0022】
そのようにすると、組合せた場合のパターンの自由度が更に増す。また、例えば、図7に例示するように、上面視で長方形のケース3内に、横断面が正三角形のピース1と、横断面が直角三角形のピース(補助ピース)2とを収容することができ、それらをセットで提供する場合の扱いが便利である。
【符号の説明】
【0023】
1,1a,1b ピース(横断面正三角形)
11 彩色した領域
16 11と異なる色で彩色した領域
2 ピース(横断面直角三角形)
3 ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が同サイズの正三角柱形状を成す複数個のピースの側面を、それぞれ隣接するピースの側面と密接させて配設することにより、当該複数個のピースの端面の集合が形成するパターンを得る知育玩具であって、
前記各ピースは、一方の端面の1の頂角から対向する辺へ下ろした垂線を当該正三角柱の軸線と平行に他方の端面へ向けて延設することにより構成される平面が当該正三角柱の外表面と交差することにより構成される線を境界線とする2領域と成し、一方の領域と他方の領域を相互に異なる色と成すことにより、外表面を相互に異色の2領域とされた、
ことを特徴とする知育玩具。
【請求項2】
各々が同サイズの正三角柱形状を成す複数個のピースの各側面、及び、各々が前記正三角柱形状をその一方の端面の1の頂角から対向する辺へ下ろした垂線を当該正三角柱の軸線と平行に他方の端面へ向けて延設することにより構成される平面で切断して直角三角柱形状と成した複数個の補助ピースの各側面を、それぞれ隣接するピース又は補助ピースの側面と密接させて配設することにより、当該ピース及び補助ピースの端面の集合が形成するパターンを得る知育玩具であって、
前記各ピースは、一方の端面の1の頂角から対向する辺へ下ろした垂線を当該正三角柱の軸線と平行に他方の端面へ向けて延設することにより構成される平面が当該正三角柱の外表面と交差することにより構成される線を境界線とする2領域と成し、一方の領域と他方の領域を相互に異なる色と成すことにより、外表面を相互に異色の2領域とされ、
前記各補助ピースの表面は単色と成した、
ことを特徴とする知育玩具。
【請求項3】
請求項2の知育玩具の所定数個のピース及び補助ピース用のケースであって、
前記所定数個の各ピース及び各補助ピースの側面が、隣接するピース又は補助ピースの側面と密接するように、且つ、上面視の輪郭形状が方形となるように配設して成る集合体を密接に収容可能なケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−72682(P2011−72682A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−229008(P2009−229008)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(509272964)
【出願人】(509272975)
【Fターム(参考)】