説明

知育装置

【課題】複数の模造体が乗る複数のスペースを設け、解答者が模造体を取り去るスペースを特定することで正誤判断が機能する知育装置において、複数のスペースを設ける必要があることから装置の占有面積が拡大してしまう懸念がある。
【解決手段】知育装置1に1つのスペース6と複数の模造体7を設け、複数の模造体7の中から解答として選択する模造体7を前記スペース6に乗せる様にする。前記スペース6に複数の光センサー8を設け、各々の光センサー8の反応により各々の光センサー8と対応関係にあるトランジスタスイッチを動作させる様にすることにより知育装置1の小型化をはかる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は正誤判断機能を備えた知育装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
正解を伝える音声回路と不正解を伝える音声回路を設け、正解を伝える音声回路と不正解を伝える音声回路の各々の動作電圧の供給の選択を担う、質問者が操作する複数の第1スイッチを設け、各々の第1スイッチと連結する第2スイッチを設け、第2スイッチは解答者が正解と思う模造体をスペースから取り去る行為により動作して第1スイッチに動作電圧を供給する様にした知育装置には特開2002−244541がある。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特開2002−244541のものは複数の模造体が乗る複数のスペースを設け、解答者が模造体を取り去るスペースを特定することで正誤判断が機能する知育装置である。この知育装置は複数のスペースを設ける必要があることから装置の占有面積が拡大してしまう懸念がある。本発明はこの様な第1スイッチと第2スイッチの連結により正誤判断が機能する知育装置の小型化を図るものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(イ) 知育装置1に正解を伝えるチャイム音回路2を設け、不正解を伝えるブザー3を設ける。
(ロ) 前記知育装置1に正解を伝える前記チャイム音回路2と不正解を伝える前記ブザー3の動作電圧の供給の選択を担う、質問者が操作する複数の第1スイッチ4を設ける。
(ハ) 前記知育装置1内の基板に各々の前記第1スイッチ4と連結するトランジスタスイッチ5を設ける。
(ニ) 前記知育装置1に1つのスペース6を設ける。
(ホ) 複数の模造体7を設け、複数の模造体7の中から解答として選択する模造体7を前記スペース6に乗せる様にする。
(ヘ) 前記スペース6に複数の光センサー8を設け、各々の光センサー8の反応により各々の光センサー8と対応関係にある前記トランジスタスイッチ5を動作させる様にする。
(ト) 複数の前記模造体7の各々に位置の異なる1つの穴9を設け、前記模造体7を前記スペース6に乗せた際に、位置の異なる1つの穴9は複数の前記光センサー8の中の対応関係にある1つの前記光センサー8と対面する様にする。
(チ) 複数の前記第1スイッチ4と正解を伝える前記チャイム音回路2の連結を解除すると共に、複数の前記第1スイッチ4と不正解を伝える前記ブザー3の連結を解除する2回路対応型の第2スイッチ10を設ける。
以上の様に構成する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
質問者は模造体7に関する質問をし、正解となる第1スイッチ4を操作し、学習者は解答として選択する模造体7を1つのスペース6に乗せ、正解を伝えるチャイム音回路2と不正解を伝えるブザー3の各々の動作電圧の供給の選択によりスペース6上の模造体7に対して正誤判断を行う知育装置1である。なお、チャイム音回路2は信号増幅回路とスピーカー部を含むものである。
質問者は多くの模造体7の中から質問の対象となる複数の模造体7を選出するが、図1においては模造体7をボード上に立体的に造作したものとし、又、模造体7の数を4個と決定している。説明上から選出する模造体7を犬、猫、兎、鳥と仮定するが、各々の模造体7には位置の異なる1つの穴9を設けると共に、基本的な情報である名称を添付する他、名称に隣接させて犬には1、猫には2、兎には3、鳥には4の番号を付与する。又、図1に示す様に名称をひらがな(カタカナ)表示にして学習者の対象範囲を拡大する様にする。なお、図1に示すものは平面図であるために模造体7を上方向から臨んでいるが、知育装置1は平置きて使用するものであり、実際には模造体7を主に横方向から観察する様になる。
又、図2に示す様に正解を導くために必要な第1スイッチ4の数は4個となるが、第1スイッチ4に説明上から表記(実際は表示無し)される1、2、3、4の番号を割り振ると共に、図1の事例に基づき1には犬、2には猫、3には兎、4には鳥を対応させる。この様に複数の模造体7を選出することで初期設定は完了するが、その後、質問者は知育装置1の電源を入れ、質問を行うと共に、正解となる第1スイッチ4の操作を行う様にする。その後において例えば図2に示す様に解答として選択した鳥の模造体7がスペース6に乗せられ様とする状況に至り、模造体7をスペース6の周囲に設ける枠12内に収める手段により乗せることになる。又、模造体7はスペース6に乗せたり、取り去ったりできるため、解答として選択する模造体7の数が複数あるものと思った場合は、正誤判断後の模造体7をスペース6から取り去り、続く模造体7をスペース6に乗せることで複数の模造体7に対して正誤判断が行われる。
図3に示す様に例えば正解が猫であるならば番号2の第1スイッチ4を操作して接点を切り替えておく。接点の切り替えにより番号2の第1スイッチ4と正解を伝えるチャイム音回路2が連結していることが理解できる。その後、質問に対して解答者は解答として選択する模造体7をスペース6に乗せることになる。又、スペース6に複数の光センサー8を設け、各々の光センサー8が複数の模造体7の各々に設ける位置の異なる1つの穴9に対応することになる。つまり、解答者が選択する模造体7をスペース6に乗せた際に、その模造体7が有する穴9は対応関係にある1つの光センサー8と対面することになる。そして、穴9を通過する光を受光した光センサー8の反応によりこの光センサー8と対応関係にあるトランジスタスイッチ5を動作させることになる。そして、トランジスタスイッチ5の動作によりこのトランジスタスイッチ5と連結する第1スイッチ4に動作電圧を供給することになる。動作電圧が供給される第1スイッチ4が質問者により操作された第1スイッチ4である場合はこの第1スイッチ4とチャイム音回路2が連結し、又、電圧供給される第1スイッチ4が接点切り替えが行われない第1スイッチ4である場合はこの第1スイッチ4とブザー3が連結することになる。但し、第1スイッチ4とチャイム音回路2の連結を解除すると共に、第1スイッチ4とブザー3の連結を解除する第2スイッチ10が設置されているためにチャイム音回路2又は、ブザー3には動作電圧は供給されない。つまり、解答者が第2スイッチ10を操作して導通させることでチャイム音回路2又は、ブザー3に動作電圧が供給され、正解又は、不正解が伝えられることになる。ちなみに、図3においては解答者が図2の事例に基づき鳥の模造体7を選択することで鳥の模造体7が有する穴9と対応関係にある1つの光センサー8が反応し、この光センサー8と対応関係にあるトランジスタスイッチ5を動作させ、このトランジスタスイッチ5と連結し、鳥の模造体7と対応している番号4の第1スイッチ4に動作電圧を供給することになる。図3においては質問者は番号4の第1スイッチ4の操作を行ってはいないため、番号4の第1スイッチ4とブザー3が連結し、この連結を解除する第2スイッチ10を操作することで連結状態にし、ブザー3を動作させて不正解を伝えることになる。
以上、模造体7が乗る1つのスペース6の構成により正誤判断機能が達成できることで知育装置1の小型化が可能になる。
【実施例】
【0006】
併せて、スペース6に凹み11を設け、複数の第1スイッチ4を凹み11に配置することで知育装置1の小型化の促進を図る様にする。
又、ブザー3はチャイム音回路2と同様に電子音化させる手段も可能である。
又、複数の第1スイッチ4を覆うための、蝶番により開閉する蓋13を設け、蓋13の閉鎖により第1スイッチ4の状況を覚られない様にする。なお、図2においては説明上から複数の第1スイッチ4が表記されているが、実際には第1スイッチ4は蓋13により隠蔽されるものである。又、蓋13面とスペース6面の段差を無くして模造体7とスペース6の密着性を高める様にする。
又、第1スイッチ4は操作することで接点の切り替えが持続し、再度操作することで接点の切り替えが解除するものを採用するが、プッシュ型の他にスライドスイッチ又は、トグルスイッチが代用できる。又、第2スイッチ10はタクトスイッチの様に押している間のみ接点の切り替えが行えるものを採用する。
又、スペース6に切れ込み14を設け、切れ込み14範囲内の模造体7の部位に手を支持させてスペース6に乗る模造体7の排出を円滑に行える様にする。
なお、解答者が模造体7をスペース6に乗せる行為又は、解答者が第2スイッチ10を操作する行為が困難である場合は質問者による代行が可能である。
又、質問の際に複数の模造体9は多くの模造体9から選出されるが、問題集冊子に沿って予め何群かに分類されたものの中の1組として模造体9を選出することで出題における正確性と能率性を高める様にする。なお、問題集冊子は正解集冊子を別冊にすることで問題集冊子を絵本の様に仕立てて質問者と解答者が一緒になって閲覧する手段も可能である。
又、鳥の体を支える細い足は補強する必要があることから図1と図2に示す様に足の周囲を充填する透明な樹脂体15を設ける。透明な樹脂体15は角や尻尾、その他様々の突起物による接触を回避する場合にも活用することができる。
又、図2においては第1スイッチ4を活用することで正解を教える機能を付加させている。知育装置1に2回路対応型の第1スイッチ4を設け、各々の第1スイッチ4を操作して接点を切り替えることで連結するLED点灯回路16を付加回路として設け、各々のLED点灯回路16により点灯するLED17を設け、複数の第1スイッチ4の付加回路側の全てと連結する第3スイッチ18を設け、第3スイッチ18を操作することで付加回路側の複数の第1スイッチ4に動作電圧を供給し、第1スイッチ4を操作して接点を切り替えることで連結するLED点灯回路16に動作電圧を供給し、対応するLED17の点灯により正解の模造体7を教えるものである。
つまり、第1スイッチ4を操作することで該当する第1スイッチ4と正解を伝えるチャイム音回路2が連結すると共に、該当する第1スイッチ4と対応するLED点灯回路16が連結することになる。又、LED点灯回路16はLED17に直列に抵抗を入れる簡素な構成でも機能は達成できる。なお、図2に示す様にLED17に隣接する番号を付与することで模造体7に付与される番号と照合できる様にする。
又、LED17はスペース6面以下に埋設配置することで模造体7とスペース6の密着性を高める様にする。
なお、模造体7をスペース6に乗せた状態で使用する第2スイッチ10はスペース6外に設置する必要があるが、第3スイッチ18の設置場所は特段に限定されるものでは無い。但し、学習者の使用の利便性を考慮して第2スイッチ10との併用が円滑に行える箇所に第3スイッチ18を設置すべきである。
なお、模造体7をスペース6に乗せない状況下において不用意に第2スイッチ10に接触した場合でも音声回路が動作しない様に光センサーをスペース6に増設し、増設される光センサーが模造体7の不在を受光することで検知して音声回路の動作を未然に防止する様にする。
又、図4に示す様に例えば、犬、猫、兎、鳥の様に複数から成るイラスト画又は、付与番号を含む名称、或いはイラスト画と名称を複合してあしらうことで横長形状となる1枚のパネル19を用意し、この様な模造体7に関する基本情報を備え、且つ、着脱可能な1枚のパネル19を蓋13の部位に配置するが、蓋13を閉鎖状態にして蓋13の表面にパネル19を装着する他、蓋13を開放状態にして蓋13の裏面からパネル19を装着する手段が考慮できる。又、問題集冊子に沿い、模造体7に基づいた多くのパネル19を用意しておく。又、図4に示す様にイラスト画を例えば顔の部位を描写する等、模造体7の特徴を捉える表現により学習者が明瞭に判別できる様にする。なお、図4のものは第1スイッチ4が蓋13により隠蔽されている実際の状況を示すものであり、図2に示される様な第1スイッチ4の表記は行われていない。
【発明の効果】
【0007】
(a) 特開2002−244541のものは模造体の特定の他に第1スイッチと対応関係にあるスペースを特定する必要があるが、本発明のものは模造体7の特定により正誤判断が可能であり、模造体7内に模造体7を特定する穴9を設ける構成により特定の精度が高められると共に、知育装置1の小型化が図られる。
(b) 質問者による第1スイッチ操作を解答者に覚られない様にする手段として、特開2002−244541のものは第1スイッチの部位をワイヤレスリモコン化して解答者の視線を回避する事が考慮できるがコスト高の懸念がある。これに対して本発明のものは1つのスペース6構成の他、簡素な回路構成及び、乾電池電源により知育装置1の小型化が達成でき、これにより知育装置1をワイヤレスリモコンの様に持ち上げて行う適切な第1スイッチ4操作が可能である。
(c) 複数の第1スイッチ4をスペース6内に配置すると共に、パネル19を蓋13の部位に配置することで知育装置1の小型化の促進を図ることができる。
(d) 正解を教える機能を付加する構成により知育装置1としての価値は高まり、又、正解を即座に教えたい時や複数の正解がある場合にはこの付加機能を活用するメリットがある。
(e) 第2スイッチ10と第3スイッチ18は押している間のみ接点の切り替えが行えるものを採用することで省電力効果と軽快感のある操作が可能である。
(f) 模造体7を枠12内に収める手段により模造体7が有する1つの穴9と光センサー8が正確な位置で対面することができる。
(g) パソコン学習の様にモニターを凝視する環境が無いため、これに起因する目の疲労感を伴うことが無い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 複数の模造体7を示す平面図
【図2】 知育装置1と解答者が選択する模造体7例を示す平面図
【図3】 本発明のブロック回路図
【図4】 パネル19を装着する蓋13を示す平面図
【符号の説明】
1 知育装置 2 チャイム音回路 3 ブザー
4 第1スイッチ 5 トランジスタスイッチ 6 スペース
7 模造体 8 光センサー 9 穴
10 第2スイッチ 11 凹み 12 枠
13 蓋 14 切れ込み 15 樹脂体
16 LED点灯回路 17 LED 18 第3スイッチ
19 パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ) 知育装置(1)に正解を伝えるチャイム音回路(2)を設け、不正解を伝えるブザー(3)を設ける。
(ロ) 前記知育装置(1)に正解を伝える前記チャイム音回路(2)と不正解を伝える前記ブザー(3)の動作電圧の供給の選択を担う、質問者が操作する複数の第1スイッチ(4)を設ける。
(ハ) 前記知育装置(1)内の基板に各々の前記第1スイッチ(4)と連結するトランジスタスイッチ(5)を設ける。
(ニ) 前記知育装置(1)に1つのスペース(6)を設ける。
(ホ) 複数の模造体(7)を設け、複数の模造体(7)の中から解答として選択する模造体(7)を前記スペース(6)に乗せる様にする。
(ヘ) 前記スペース(6)に複数の光センサー(8)を設け、各々の光センサー(8)の反応により各々の光センサー(8)と対応関係にある前記トランジスタスイッチ(5)を動作させる様にする。
(ト) 複数の前記模造体(7)の各々に位置の異なる1つの穴(9)を設け、前記模造体(7)を前記スペース(6)に乗せた際に、位置の異なる1つの穴(9)は複数の前記光センサー(8)の中の対応関係にある1つの前記光センサー(8)と対面する様にする。
(チ) 複数の前記第1スイッチ(4)と正解を伝える前記チャイム音回路(2)の連結を解除すると共に、複数の前記第1スイッチ(4)と不正解を伝える前記ブザー(3)の連結を解除する2回路対応型の第2スイッチ(10)を設ける。
以上の様に構成した知育装置。
【請求項2】
前記スペース(6)に凹み(11)を設け、複数の前記第1スイッチ(4)を凹み(11)に配置すると共に、複数の前記模造体(7)に関する基本情報を備え、且つ、着脱可能なパネル(19)を蓋(13)の部位に配置することで前記知育装置(1)の小型化の促進を図る様にした、請求項1に記載の知育装置。
【請求項3】
前記知育装置(1)に2回路対応型の複数の前記第1スイッチ(4)を設け、各々の前記第1スイッチ(4)を操作して接点を切り替えることで連結するLED点灯回路(16)を付加し、各々のLED点灯回路(16)により点灯するLED(17)を設け、複数の前記第1スイッチ(4)の付加回路側の全てと連結する第3スイッチ(18)を設けることで解答者が選択する前記模造体(7)に対する正誤判断機能の他に正解を教える機能を付加した、請求項1に記載の知育装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−176254(P2008−176254A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−35493(P2007−35493)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(594072856)