説明

知識作成支援装置および表示方法

【課題】 ユーザが検査装置に最適な特徴量およびまたはパラメータの決定を効率良く行なうことができる知識作成支援装置を提供すること
【解決手段】 検査対象から取得した波形データに対し、設定された特徴量とパラメータの所定の組み合わせについて特徴量を演算して求められた演算結果を取得する。ついで、その取得した演算結果に基づき、設定された特徴量およびパラメータで縦軸、横軸をとったグラフを表示装置に表示する。グラフ上の各領域は、縦軸,横軸の組合せ毎に演算結果に対応した濃度で示される。濃度で示すことで、ユーザはより濃度の濃い領域を簡単に見つけることができ、その領域に対応する特徴量、パラメータの組み合わせを見ることにより、検査対象から取得した波形データにとって最適な特徴量およびパラメータの組み合わせなどの条件を容易に見つけることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、知識作成支援装置および表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車や家電製品などには、モータが組み込まれた回転機器が非常に多く用いられている。例えば自動車を例にとってみると、エンジン,パワーステアリング,パワーシート,ミッションその他の至る所に回転機器が実装されている。また、家電製品は、冷蔵庫,エアコン,洗濯機その他各種の製品がある。係る回転機器が実際に稼働した場合、モータ等の回転に伴って音が発生する。
【0003】
係る音は、正常な動作に伴い必然的に発生するものもあれば、不良に伴い発生する音もある。不良に伴う異常音の発生原因は、ベアリングの異常,内部の異常接触,アンバランス,異物混入などがある。例えば、ギヤ1回転について1度の頻度で異常音が発生する原因は、ギヤの欠け,異物のかみ込み,スポット傷,モータ内部の回転部と固定部が回転中の一瞬だけこすれ合うことなどがある。また、人が不快と感じる音は、例えば人間の可聴範囲である20Hzから20kHzの中で様々な音がある。不快と感じる音の周波数の一例としては、例えば約15kHz程度のものがある。従って、係る所定の周波数成分の音が発生している場合も異常音となる。もちろん、異常音はこの周波数(15kHz)に限らない。
【0004】
係る不良に伴う音は、不快であるばかりでなく、さらなる故障を発生させるおそれもある。そこで、それら各製品に対する品質保証を目的とし、生産工場においては、通常検査員による聴覚や触覚などの五感に頼った「官能検査」を行ない、異常音の有無の判断を行なっている。具体的には、耳で聞いたり、手で触って振動を確認したりすることによって行なっている。ここで官能検査とは、人間の感覚器官が感知できる属性を人間の感覚器官そのものによっておこなう検査のことである。
【0005】
ところで、数年前から自動車に対する音品質の要求が急速煮高くなってきている。すなわち、自動車業界では、エンジン,ミッション,パワーシートなどの車載駆動パーツの検査を定量的に自動検査するニーズが高まっており、従来から行なわれている検査員による上記の官能検査のように定性的で曖昧な検査ではそのニーズに応える品質を得ることができなくなってきている。
【0006】
そこで、係る問題を解決するため、定量的かつ明確な基準による安定した検査を目的とした異音検査装置が開発されている。この異音検査装置は、「官能検査」工程の自動化を目的とした装置であり、製品駆動部の振動や音をセンサで測定し、そのアナログ信号をFFTアルゴリズムなどを応用した周波数解析装置を使って周波数成分を調べて検査するものである(特許文献1)。アナログ信号の解析は、他にバンドパスフィルタを応用したものでもよい。
【0007】
この特許文献1に開示された技術を簡単に説明すると、FFTアルゴリズムを応用した周波数解析装置は、時間領域信号を高速フーリエ変換アルゴリズムにより、周波数領域の分析をすることができる。一方、異常音の周波数領域もある程度決まっている。従って、分析により抽出された周波数成分のうち、異常音の発生領域に該当する成分を抽出することができるので、係る抽出した成分の特徴量を求める。そして、特徴量から異常の有無やその原因などをファジィ推論などを用いて推定するようにしている。
【0008】
上記した異音検査システムでは、一度定めた基準に従った自動判定ができるとともに、検査した結果と、そのときの波形データを、異音検査システム内の記憶装置に保存することができる。
【0009】
上記のような異音検査システムは、検査を実行する際に使用する最適な特徴量の選択および特徴量演算用の諸パラメータの選択を行なう必要がある。しかし、係る特徴量とパラメータの選択処理は、人が勘と経験に頼って行なっているのが現状である。また、このような最適パラメータを探索する処理の自動化に対しては、例えば、特許文献2に示された「遺伝的アルゴリズムを用いた最適化処理方法および装置」がある。この特許文献2で開示されている階層化遺伝的アルゴリズムや並列遺伝的アルゴリズムは、遺伝的アルゴリズムの複雑な最適化問題における探索精度の向上に寄与すると考えられている。
【特許文献1】特開平11−173909号
【特許文献2】特開平9−44465号。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1等に開示された従来の異音検査システムでは、異常の有無に対応する特徴量を抽出することおよび、特徴量を演算するためのパラメータの選択は人が勘と経験に頼って行なっている。
【0011】
従って、数千件を超える異常判定結果のデータから異常の有無とそれに対応する特徴量および特徴量を演算するために用いるパラメータを選択することは、経験と勘が要求されるだけでなく、非常に大きな工数が必要であり、煩雑で時間と労力がかかる。
【0012】
すなわち、波形解析を行なう場合、各波形の特徴を表すために様々な方法で検査対象の波形を特徴量化する。そして、1つの特徴量の値を得る際には通常いくつかのパラメータがあり、これらの設定を変更することで特徴量の値は変化する。つまり、パラメータを適切に設定すると、波形解析時に、その波形の特徴が特徴量の値として、顕著に現れてくるため、これらのパラメータの調整作業を行なうことが重要である。
【0013】
ところが1つのパラメータだけでも設定パターンは多いため、設定を逐次変えながら特徴量の演算結果を比較することはなかなか難しく適切なパラメータの決定も困難である。また複数の特徴量のどれに最も特徴が現れているのかを確認するのもパラメータとの組み合わせが多く困難なため、非常に大きな時間および労力を要している。
【0014】
特に、製造業では新機種生産開始時から製造品質の垂直立上げが求められるため、異音検査システムにおける最適パラメータを早期に決定する必要があるが、人の経験と勘に基づく最適パラメータの決定では、時間がかかってしまうという問題がある。
【0015】
また、特許文献2に示すような階層型遺伝的アルゴリズムを異音検査システムの最適パラメータを特定するのに適用することを考えた場合、以下に示す問題を生じる。すなわち、階層構造を持たない遺伝的アルゴリズムでさえ、遺伝的アルゴリズムの動作を制御するパラメータの設定は試行錯誤的に行なう必要がある。そのようなパラメータを階層構造に積み上げた場合、所望の結果を得るためには、上記特徴量や演算パラメータを人手で選択することに匹敵する試行錯誤がさらに必要になる。
【0016】
さらに、遺伝的アルゴリズム自体の制御が複雑化するため、パラメータ間の影響度合いに応じた探索方法を組み込むことが困難になる。その結果、仮に特許文献2の方法を用いても、短期間で効率良く最適なパラメータを求めることは困難である。
【0017】
また、遺伝的アルゴリズムの場合、最終的に実際の異音検査システムに使用する特徴量やパラメータが決定されたとしても、それがどのような根拠に基づいて決定されたかを知ることはできず、最適な特徴量やパラメータとなっているか否かの確認ができない。そのため、仮に条件設定の最適化が十分に行なわれていないと、正確な良否判断が行なえないが、決定された特徴量やパラメータを信じて異音検査を行なわざるを得ない。
【0018】
この発明は、ユーザが最適な特徴量およびまたはパラメータを探し、決定することを効率良く行なうことができ、視覚により最適な特徴量等の条件を確認することができ、さらに、正常時波形と異常時波形とがどこがどう違うのかをユーザに視覚的に見せて理解させることのできる知識作成支援装置および表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記した目的を達成するため、本発明に係る支援装置は、検査対象から取得した波形データに対し、その波形データの特徴を表す特徴量を演算して得られた特徴量演算結果に基づいて、検査対象が正常か異常かの判断を行なう検査装置に設定する、前記判断に有効な特徴量およびその特徴量を演算するためのパラメータのうち少なくとも一方を求めるのを支援する支援装置を前提とする。
【0020】
そして、ひとつ以上の特徴量およびひとつ以上のパラメータを設定する設定手段と、
与えられた波形データに対し、前記設定手段により設定された特徴量とパラメータの所定の組み合わせについて特徴量を演算する特徴量演算手段と、前記特徴量演算手段で得られた前記所定の組み合わせについてのそれぞれの演算結果に基づき、前記設定された特徴量およびまたは前記設定されたパラメータで2つ以上の軸を構成したグラフを表示する演算結果表示手段を備えて構成した。前記グラフは、前記演算結果に対応した濃度、色、高さ、大きさのいずれかにより構成されるようにすることができる。
【0021】
前記波形データは、比較する2つの波形データからなり、前記特徴量演算手段は、その2つの波形データに対してそれぞれ前記所定の組合せについて特徴量演算をして演算結果を求めるとともに、その2つの波形データにおける同一の前記組み合わせについての演算結果同士を比較演算する機能を有し、前記演算結果表示手段は、その比較演算した結果に基づき、前記設定された特徴量およびまたは前記設定されたパラメータで2つ以上の軸を構成したグラフを表示することができる。
【0022】
前記グラフは、前記演算結果に対応した濃度、色、高さ、大きさのいずれかにより構成されるようにすることができる。
【0023】
前記波形データは、同一のグループに属する複数の波形データからなり、
前記特徴量演算手段は、その複数の波形データに対してそれぞれ前記所定の組合せについて特徴量演算をして演算結果を求めるとともに、その複数の波形データにおける同一の前記組み合わせについての演算結果に基づいて、前記判断に有効な特徴量およびその特徴量を演算するためのパラメータのうち少なくとも一方を求める機能を備えるようにすることができる。
【0024】
また、本発明に係る表示方法は、検査対象物から取得した波形データに対し、その波形データの特徴を表す特徴量を演算して得られた特徴量演算結果に基づいて、前記検査対象物が正常か異常かの判断を行なう検査装置に設定する、前記判断に有効な特徴量およびその特徴量を演算するためのパラメータのうち少なくとも一方を求めるのを支援する支援装置の表示方法であって、ひとつ以上の特徴量およびひとつ以上のパラメータを設定する工程と、前記波形データに対し、前記設定された特徴量とパラメータの所定の組み合わせについて特徴量を演算して求めた演算結果を取得する工程と、その取得した前記所定の組み合わせについてのそれぞれの演算結果に基づき、前記特徴量または前記パラメータで2つ以上の軸を構成したグラフを表示する工程とを含むことである。前記グラフは、前記演算結果に対応した濃度、色、高さ、大きさのいずれかにより表示する工程を備えることもできる。
【0025】
本発明によれば、特徴量およびまたはパラメータで2つ以上の軸を構成して、特徴量演算結果に応じたグラフを表示するようにしたため、どの特徴量、パラメータの組み合わせが有効かを視覚的に容易に理解できる。よって、波形データの特徴をすぐに捉えられることができ、複数波形の特徴の違いを視覚的にすぐに捉えることができる。
【0026】
本発明において、「パラメータ」とは、与えられた波形データの特徴量の演算結果に影響を与えうる演算処理上の設定項目である。このパラメータは、特徴量との関係において、以下に示す2種類がある。1つ目は、特徴量を演算する前に計測波形に対して実施する前処理のためのパラメータである。このパラメータを変更した場合、計測波形が同じでも特徴量演算を行なう処理部に入力する波形が変化する。この前処理のパラメータとしては、フィルタの定数等がある。つまり、周波数フィルタの上下限値などを変えることで、そのフィルタを通過する周波数成分が異なるため、特徴量を演算する演算処理部に入力する波形が異なる。また、この前処理のパラメータとしては、フィルタの定数以外にも、波形変換処理における包絡線処理の平滑化データ個数など各種のものがある。
【0027】
2つ目は、特徴量演算そのもののパラメータである。つまり、特徴量演算の実行に必要なパラメータで、これにより特徴量演算を行なう処理部に入力される波形が同じでも、特徴量の演算結果が変化する。例えば、特徴量の対象周波数範囲指定や、特徴量と比較するしきい値等のパラメータがある。
【発明の効果】
【0028】
本発明では、特徴量およびまたはパラメータで2つ以上の軸を構成して、特徴量演算結果を表示するようにしたため、どの特徴量、パラメータの組み合わせが有効かを視覚的に容易に理解できるので、ユーザは最適な特徴量またはパラメータを探し、決定することを効率良く行なうことができる。さらに、比較対象の2つあるいは2つのグループの波形データに対するそれぞれの特徴量演算結果の比較演算を求めるようにした場合には、例えば正常時波形と異常時波形とがどこがどう違うのかをユーザに視覚的に見せて理解させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
まず、本発明の実施形態で特徴量およびパラメータを設定する対象となる異音検査装置を簡単に説明する。異音検査装置は、振動センサまたは音声マイクなどで取得した波形データに対し前処理を行なった後、所定の複数の特徴量を演算し、演算結果から有効なものを用いて良品/不良品/不定の判断を行なうことを基本構成としている。その前処理としてのフィルタには、バンドパスフィルタ,ローパスフィルタ,ハイパスフィルタなど複数種類用意されるとともに、演算する特徴量も多数用意される。
【0030】
検査対象にとって良否判定をするのに有効な前処理,特徴量等はほぼ決まっていて、あまり有効でない特徴量を演算する処理は無駄となる場合がある。そこで、本実施形態では、検査対象に適した特徴量を決定するための情報を提供する機能を備えた。また、各特徴量は、演算方式は決定されているものの、パラメータを変えることで、演算の結果得られる特徴量の値ひいては判定結果も変わる。つまり、本来有効な特徴量であっても、設定するパラメータを誤ると、誤判定をするおそれがある。そこで、本実施形態の支援装置は、特徴量とパラメータの適した組み合わせを容易に見つけるための情報を提供する機能も備えている。それら提供する情報は、視覚的に容易に理解でき、表示装置等にカラー表示、3次元表示などを用いて表示し、さらに、正確に適否を判断するために具体的な数値も表示可能としている。
【0031】
すなわち、本実施形態の支援装置は、取得した1または複数のサンプルの波形データに対し、予め設定した特徴量,パラメータの条件に基づき特徴量を演算し、得られたそれぞれの特徴量演算結果或いはその特徴量演算結果を正規化した値(以降、評価値という)を求める。そして、支援装置は、得られた評価値に基づいた情報を、例えば支援装置の表示装置等に対して2軸の直交座標系上に表示するようにしている。すなわち、支援装置は、表示装置に表示するのに先立ち、縦軸と横軸に対し、それぞれ特徴量とパラメータのいずれかを割り付ける。支援装置は、縦軸と横軸のそれぞれの特徴量あるいはパラメータの組み合わせのもとで特徴量を演算し、得られた評価値に基づき座標上に表示をする。縦軸と横軸は、それぞれ特徴量とパラメータのいずれも設定可能であるため、特徴量とパラメータの場合と、特徴量同士の場合と、パラメータ同士の場合のいずれの組み合わせも可能である。そして、パラメータ同士の場合、算出する特徴量は別途設定する。
【0032】
図1は、本発明の好適な一実施の形態を示している。図1に示すように、支援装置10は、ユーザとの間の入力インタフェースとして、波形データ入力指示部11,演算モード切替部12,軸項目選択部13並びに選択軸パターン設定部14を備えている。また、支援装置10の出力インタフェースは、特徴量演算部20で求めた演算結果を表示する演算結果表示部15を備えている。それら入力インタフェース並びに出力インタフェースは、本実施の形態では、表示装置の表示画面上に所定のレイアウトの入出力画面を表示することにより実現している。
【0033】
さらに、支援装置10は、入力インタフェースからの指示に従い特徴量演算を行なう特徴量演算部20と、波形データ入力指示部11からの指示に従い所望の波形データを特徴量演算部20に与える波形データ入力部16と、波形データを記憶保持する記憶装置17と、波形データを取得するA/Dサンプリング部18とを備えている。A/Dサンプリング部18は、振動センサまたは音声マイクなどの波形信号検出手段に接続され、係る波形信号検出手段から与えられるアナログ波形信号をサンプリングし、デジタルの波形データを生成する。
【0034】
波形データ入力指示部11は、特徴量,パラメータ等の条件を決定するために特徴量演算部20に与える波形データを指定するものである。与える波形データとしては、記憶装置17に格納された既存の波形データと、実際にサンプリングして収集した波形データとがあり、どれを使うかを指示する。また、記憶装置17に格納された波形データを用いる場合には、どのファイルの波形データを使用するかを指示する。ここで指定する波形データは、1個の場合もあれば、複数個の場合もある。さらに、記憶装置17には、例えば良品のグループに属する波形データや、不良品のグループに属する波形データや、A製品についての波形データなど、波形データのグループも入力できるようになっている。
【0035】
波形データ入力部16は、受け取った指示に従い、指定された波形データを取得し、特徴量演算部20に渡す。つまり、波形データ入力部16は、ファイル名を受け取った場合には、記憶装置17にアクセスし、該当するファイル名の波形データを呼び出すとともに、特徴量演算部20に渡す。また、波形データのサンプリングが指定されたならば、ADサンプリング部18に対してサンプリング指示を与え、ADサンプリング部18から与えられるサンプリングデータを取得し、取得したサンプリングデータを波形データとして特徴量演算部20に与える。
【0036】
図2は、表示装置の画面上に表示される波形データ入力指示部11の入力指示画面の一例を示している。図示の例では、入力指示エリアを「波形入力1」と「波形入力2」との2カ所用意している。2つの入力指示エリアは、同じ機能であり、同一の波形入力エリアを用いて入力した波形データは、同一のグループを構成するようにしている。つまり、本実施の形態では、例えば良品と不良品のように2つのグループに属する波形データの特徴量の違いを容易に捉えることができるようにしている。これにより、「波形入力1」の入力指示エリアを用いて良品の波形データの取得を行なった場合は、グループ1に属し、「波形入力2」の入力指示エリアを用いて不良品の波形データの取得を行なった場合は、グループ2に属するというような使い方ができるようにしている。このように入力指示エリアの使い分けにより、波形データのグループの指示もできるようになっている。
【0037】
各入力指示エリアは、それぞれの指示を入力するためのボタンエリア11a、11b、11cが用意されている。具体的には、「データ収録」ボタン11aをクリックすると、波形データ入力部16に対して波形データのサンプリングを指示する。「ファイル読み込み」ボタン11bをクリックすると、図3(a)に示す波形データ読込画面を表示し、読み込むファイルの指定を促す。この波形データ読込画面にてファイル名が指定されると、保存先のアドレス・ファイル名が波形データ入力部16に渡される。
【0038】
入力指示エリアには、波形データ表示エリア11dが設けられている。この波形データ表示エリア11dには、波形データ入力部16が取得した波形データを表示する。つまり、A/Dサンプリング部18から取得し、サンプリングした波形データや、記憶装置17から読み出した波形データが表示される。この波形データ表示エリア11dに表示された波形データは、「ファイル保存」ボタン11cをクリックすることにより、記憶装置17に格納することができる。つまり、「ファイル保存」ボタン11cをクリックすると、図3(b)に示す波形データ保存画面が表示される。そこで、その保存画面の左欄を用いて保存先のホルダを指定するとともに、ファイル名を書き込む。その状態で、「保存」ボタンをクリックすることにより、波形データ表示エリア11dに表示されていた波形データが、該当する保存先に格納される。この機能は、通常サンプリングして収集した波形データを記憶装置17に格納することに用いられる。
【0039】
さらに、入力指示エリアには、波形データ表示エリア11dの右隣に、波形リスト表示エリア11eを有している。この波形リスト表示エリア11eには、各入力指示エリアを用いて入力した波形データのリストが表示される。このリスト表示された中から、不要な波形データを選択した状態で、削除ボタン11fをクリックすると、リストから削除される。
【0040】
具体的な使用方法は後述するが、この2つの入力指示エリアは、必ずしも全ての実施形態で使用するものではなく、複数の波形データを比較する場合に用いる。従って、1個の波形データ、或いはひとつのグループに属する複数の波形データに基づいて特徴量・パラメータ等の条件を求める場合には、一方の入力指示エリアのみ用いることになる。
【0041】
演算モード切替部12は、演算や表示をする内容を選択するものである。上述したように、演算対象の波形データは、2つのグループに分けられている。そして、特徴量演算部20に与える波形データは、いずれか一方のグループに属するもののみでもよいし、両方のグループに属するものでもよい。そして、両方のグループに属する波形データに基づいて特徴量を演算した場合、それらの演算結果をさらに比較演算することにより、複数波形の特徴の違いを容易に捉えられるようにしている。そのため、演算モード切替部12では、2つのグループに属する波形データを入力する場合には、比較演算の種類も指定する。選択された演算モードは、特徴量演算部20に与えられる。
【0042】
図4は、表示装置の表示画面上に表示される演算モード切替部12の演算モード選択画面の一例を示している。図示するように、「波形1」,「波形2」,「比較」の3つのモードを選択できるようになっている。ここで、「波形1」を選択すると、入力指示エリアにおける「波形入力1」を用いて入力された波形データに基づいて特徴量演算等を行なうモードとなる。同様に「波形2」を選択すると、入力指示エリアにおける「波形入力2」を用いて入力された波形データに基づいて特徴量演算等を行なうモードとなる。また、「比較」を選択すると、入力指示エリアにおける「波形入力1」と「波形入力2」をそれぞれ用いて、入力された2つのグループの波形データに基づいて特徴量演算等を行なうモードとなる。この場合は、「比較演算内容」をプルダウンメニュー方式で用意された比較演算のリストの中からいずれかを選択する。
【0043】
軸項目選択部13は、演算結果を表示する直交座標系のグラフの縦軸と横軸を設定するものである。図5は、表示装置の表示画面上に表示される軸項目選択部13の選択画面の一例を示している。縦軸と横軸は、それぞれ特徴量とパラメータが選択可能である。1つの特徴量に対してパラメータを横軸,縦軸両方にとる場合、1段目の「特徴量指定」の項目欄にその特徴量を指定する。この欄もプルダウンメニュー方式で用意されている中から、該当する特徴量を指定する。縦軸と横軸の少なくとも一方が特徴量に設定される場合には、この「特徴量指定」は図示するように「なし」が選択される。
【0044】
2段目では、縦軸と横軸のそれぞれについて、まず大項目にて「パラメータ」と「特徴量」のいずれにするかを選択する。詳細項目は大項目の選択項目に応じて、選択可能な項目がリストされ、選択できるようになる。さらに3段目では、横軸,縦軸がともにパラメータでしかも同種の詳細項目である場合に横軸,縦軸間で適用される演算式を、予め用意されたものの中から選択する。このようにして設定された軸項目は、特徴量演算部20に与えられるとともに、必要な情報が選択軸パターン設定部14に与えられる。
【0045】
選択軸パターン設定部14は、各軸に割り当てる具体的な情報を設定する。すなわち、特徴量であれば、選択可能な候補を全て表示し、演算する特徴量を選択する。選択された特徴量を該当する軸に割り当てる。
【0046】
この軸項目選択部13で指定された各軸の項目の情報は、特徴量演算部20に与えられるとともに、選択軸パターン設定部14にも与えられる。この選択軸パターン設定部14は、軸項目選択部13で選択した縦軸,横軸の項目である特徴量あるいはパラメータの具体的な内容を設定し、特徴量演算部20に与える。つまり、特徴量の軸の場合には、どの特徴量を使用するかを選択し、パラメータの軸の場合には、詳細項目で設定されたパラメータの具体的な数値等を設定する。
【0047】
図6乃至図8は、表示装置の表示画面上に表示される軸パターン設定部14の設定画面の一例を示している。図6は、特徴量についての設定を行なうもので、使用可能な特徴量を表示し、例えばポインティングデバイスを操作し、使用する特徴量の前に設けられた四角いチェック欄をクリックし、チェックマークを付けることにより設定する。用意した特徴量としては、例えば、RMS(実効値),最大振幅レベルなどがある。
【0048】
本実施の形態では、図6に示す特徴量設定画面にてチェックマークを付けることにより、特徴量演算部20で演算処理し、グラフに表示する特徴量を選択するようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、係る選択画面による選択を行なわず、全ての特徴量を演算対象にしても良い。
【0049】
図7は、パラメータとしてバンドパスフィルタを選択した場合の設定画面の一例であり、31種類の通過帯域をパラメータとして設定可能としている。図示するように、それぞれの通過帯域は、下限値と上限値を規定することにより特定する。この下限値と上限値は、初期状態で空欄とし、全てをユーザが入力するようにしてもよいが、特徴が現れやすい周波数領域はある程度わかっているため、それらを初期値のセットとして表示するようにしてもよい。また、図7では、31種類のパラメータの全てに対し、下限値と上限値を指定して一定の周波数範囲の通過帯域を設定するようにしたが、1つのパラメータを、0から無限大のように設定し、周波数に依存しない特徴量を求めるように設定することもできる。
【0050】
図8は、パラメータとしてデータ使用個数を選択した場合の設定画面であり、31種類のデータ使用個数を設定できる。この例でも、上記のバンドパスフィルタにおける通過帯域と同様に、初期値として適当な数値を各欄に表示し、必要に応じてユーザが修正できるようにしてもよい。このデータ使用個数(N)は、例えば、特徴量が最大振幅レベルの場合に、振幅の大きいものからN個分のデータを特徴量として抽出することなどに用いられる。
【0051】
さらに、図6乃至図8に示すように、「設定読込」ボタンと、「設定保存」ボタンを用意し、作成した特徴量やパラメータのパターンを保存したり、過去に作成し保存したパターンを読み出して利用することもできる。このパターンの記憶は、記憶装置17を利用してもよいし、別途の記憶装置でもよい。また、着脱可能な記録媒体を用い、その記録媒体にモデルとなる特徴量やパラメータのパターンを格納し、その格納されたパターンを読み出して利用することもできる。
【0052】
上記の各種の入力インタフェースにより設定された条件に従い、特徴量演算部20は、波形データ入力部16から与えられた波形データに対して演算処理をして特徴量等を求め、その演算結果を演算結果表示部15に渡す。なお、特徴量演算部20の具体的な構成および機能は後述する。
【0053】
演算結果表示部15は、特徴量演算部20から与えられた演算結果に基づき、結果表示グラフを含む演算結果表示画面を生成し、表示装置の所定エリアに表示する。図9は、その演算結果表示画面の一例を示す。演算結果表示グラフG1は、縦軸,横軸が、軸項目選択部13で選択された特徴量あるいはパラメータの組となり、各軸毎に軸パターン設定部14で設定された値あるいは項目が割り付けられた直交座標系のグラフとなる。グラフ上の各領域は、対応する縦軸,横軸にそれぞれ割り付けられた条件で特徴量が演算され、特徴量演算結果あるいは正規化された特徴量演算結果(以降、評価値という)の大きさに対応した濃淡で示される。図示の例では、評価値が大きいほど色が濃くなるように設定される。すなわち、評価値の最大から最小まで複数段階に分け、求めた評価値が最大の範囲に属する場合には、その領域は黒色となり、最小の範囲に属する場合には、その領域は白色となる。
【0054】
このように、評価値の大小を濃淡で示しているため、ユーザは濃度の濃い領域を簡単に見つけることができ、その領域に対応するそれぞれの縦軸と横軸の値の組み合わせを見ることにより、対象の波形データにとって有効な特徴量・パラメータの組み合わせなどの条件を容易に見つけることができる。
【0055】
また、縦軸および横軸に沿って平行移動するヘアカーソルC1,C2も用意される。このヘアカーソルC1,C2は、例えばポインティングデバイスを操作し、一方のヘアカーソル上にポインタを合わせドラッグした状態で移動することにより、単独で平行移動させることができ、2つのヘアカーソルの交点部分にポインタを併せるとともにドラッグした状態で移動することにより、2つのヘアカーソルを同時に平行移動させることができる。
【0056】
また、演算結果表示グラフG1の右隣および下方に、それぞれ縦軸グラフG2,横軸グラフG3を出力表示する。この縦軸グラフG2は、ヘアカーソルC1のカーソル位置のグラフを表示し、横軸グラフG3は、ヘアカーソルC2のカーソル位置の評価値をグラフ表示する。これらの縦軸,横軸グラフG2,G3は、演算結果表示グラフG1の各領域の濃度と対応させた濃度で表示するとともに、評価値の大小似合わせて高さも変えている。つまり、評価値が大きいものほど、グラフの高さを高くしている。高さを比べることにより、より簡単に大きな特徴量を見つけることができる。このときの各棒グラフの高さであるが、濃淡に合わせて、特徴量が同じ範囲に入るものは同じ高さにしてもよいし、同じ範囲であっても評価値に合わせて、高さに差を付けてもよい。後者にすると、例えば同一のカーソル上にある複数の領域の濃度が同じであっても、評価値が違えばその差が高さの差に現れるので、どちらがより良い評価値であるかを容易に認識できる。
【0057】
さらに、演算結果表示グラフG1の右下には、評価値の実際の値を表示する表示領域Rを用意している。この表示領域Rには、2つのヘアカーソルC1,C2の交点に該当する領域の評価値が表示される。これにより、濃淡の表示では同じであっても、評価値を見ることにより確実により高い評価値をとる特徴量およびパラメータの組み合わせを知ることができる。
【0058】
例えば、図9では、縦軸が特徴量で、横軸がパラメータの演算結果表示グラフとなっており、例えば、特徴量Dとパラメータ4の組み合わせの領域が大きな評価値となっている。そこで、係る組み合わせを、実際の異音検査システムにおいて特徴量演算をする際の条件として使用する候補として選ぶことができる。また、図9の例では、評価値が最大となる領域は、2つある。つまり、上述した特徴量Dとパラメータ4の組み合わせのものと、図9中2つのヘアカーソルC1,C2の交点で指摘されている領域が同じ濃度で表記されている。係る場合、図9,図10に示すように、2つのヘアカーソルC1,C2を適宜移動させることにより、評価値を比べることによりどちらがより高い評価値をとる組合せであるかを判断できる。
【0059】
なお、特徴量演算結果は正規化するとよい。すなわち、特徴量の種類により特徴量演算をして求めた値の最大値が異なること多々あり、異なる特徴量の評価値を比較するためには、正規化し同一のスケールに変換した状態で比較処理を行なったほうが、より正確な判断を行なるからである。
【0060】
なおまた、本実施の形態では、特徴量の評価値の大小を濃度で表したが、色の種類により表現しても良いし、円の半径の大小など寸法の差により表現しても良い。もちろん、各領域に各特徴量の評価値を数値で表記しても良い。要は、視覚的に簡単に評価値の高い組み合わせを認識できればよい。
【0061】
図11は、2つのグループに属する波形データに基づく特徴量演算結果を比較演算した場合の例を示している。図11(a),(b)に図示するように、各波形グループ毎に特徴量演算を行ない、演算結果表示グラフG1に相当するものを作成する。そして、例えば比較演算が差分を求めるものの場合、同一の領域の評価値の差分を演算することにより、最終的に、図11(c)に示すような演算結果表示グラフG1が求められる。これにより、グループ間で評価値の差が大きい組合せが一目でわかるため、グループを識別するための特徴量・パラメータ等として適したものを容易に求めることができる。つまり、図示の状態では、特徴量D,パラメータ4のものは、評価値としては大きな値を示すが、どちらのグループに属する波形データでも大きい値を示すので、両グループを識別する特徴量、パラメータ等の組合せとしては適さないことがわかる。
【0062】
図12は、支援装置10の表示装置に表示される表示画面の一例を示している。この表示画面は、上記した各入力インタフェース,出力インタフェースの個々の表示画面を統合したものに対応する。図12に示すように、上方部分に2つの波形データの入力指示エリアが形成されている。この例では、1つの入力指示エリアに2つの波形表示エリアを備えている。左側の波形表示エリアは波形全体を示しており、右側の波形表示エリアは左側の波形表示エリア中の一部を時間軸(横軸)方向に拡大して示している。また、図2に示す波形リスト等は表示していないが、適宜位置に表示するようにしてももちろん良い。
【0063】
図4に示す演算モード設定用の画面は、図12では中央に配置された「分析対象」の欄に対応し、図4の「比較」ボタンと「比較演算内容」が、図12では横一列に並べたレイアウトにしている。
【0064】
図12の下方右側に配置された「分析」,「BPF」の見出しが付されているシートのうち、「BPF」を選択すると、図7に示す選択軸パターン設定画面が表示される。この図12の例では、特徴量については用意したもの全てを求めるようにしたため、図8に示すような特徴量についての設定画面は用意されていないが、選択する場合は例えばこのシートに重ねて配置することができる。さらに、図12の下方左側には、演算結果表示グラフなどが表示されている。
【0065】
つぎに、特徴量演算部20の具体的な機能について説明する。図13は、特徴量演算部20の第1実施形態であり、軸項目選択部13により縦軸と横軸がそれぞれ特徴量とパラメータに設定され、演算モード切替部12では、「波形1」か「波形2」のいずれかが選択されるとともに、対応する入力指示エリアを用いて1つの波形データが取得され、波形データ入力部16を介してその1つの波形データが特徴量演算部20に与えられた場合である。特徴量演算部20は、与えられた波形データに対し、設定された条件に従い特徴量を順次求める特徴量順次演算部21を備えている。
【0066】
そして、この第1実施形態では、図14に示すフローチャートを実行する。すなわち、軸項目選択部13,選択軸パターン設定部14にて設定されたパラメータのセットと特徴量のセットを読み込む(S1)。一例としては、特徴量のセットとしては、RMS,最大振幅レベルなどがある。また、パラメータセットとしては、例えばバンドパスフィルタの上下限値の組み合わせがあり、13Hz−18Hz,20Hz−28Hz,25Hz−35Hzなどが与えられる。ついで、波形データ入力部16より、処理対象の波形データを読み込む(S2)。なお、このS1のステップとS2のステップは、実行順は、この逆でも良い。
【0067】
与えられた波形データに対し、S1の処理を実行して設定された全てのパラメータと、全ての特徴量との組み合わせについて、特徴量演算を行なう(S3)。例えば、パラメータが上述したように、バンドパスフィルタの通過帯域とすると、S2のステップを実行して読み込まれた波形データに対して、バンドパスフィルタをかけて通過した周波数成分に対して特徴量演算を行なう。特徴量毎に評価値の最大値で正規化する。これにより、各特徴量で有効なパラメータが見やすくなる。このように正規化をするのは、有効レンジの小さい特徴量の評価値を見易くするためでもある。
【0068】
特徴量演算部20は、S3のステップを実行して得られた評価値を演算結果表示部15に渡す。これにより、演算結果表示部15は、特徴量演算結果をまとめて表示する(S4)。一例としては、軸項目設定部13が、横軸をパラメータ,縦軸を特徴量に設定したとすると、図9などに示すように、パラメータを横軸、特徴量を縦軸に配置し、パラメータと特徴量の組み合わせて演算した評価値の大きさを濃度で表現して表示する。このグラフの表示形態としては、視覚により評価値の大きさがわかればよいので、評価値の大きさに合わせて色を変更するようにしても良いし、さらには、3次元グラフなど種々の表現をとることができる。係る表示形態をとることにより、読み込んだ波形データに対して特徴量毎にどの周波数帯にどういう評価値が出ているかが一目でわかる。
【0069】
S3のステップは、特徴量順次演算部21が行なう。具体的には、特徴量順次演算部21が、図15に示すフローチャートを実行する。すなわち、まず、パラメータのセットのうちの最初のものをパラメータに設定する(S11)。そして、特徴量のセットのうちの1つ目を特徴量に設定する(S12)。これにより、縦軸と横軸について、具体的な条件がそれぞれ1つずつ設定される。
【0070】
ついで、取得した波形データに対し、設定されているパラメータを用いて設定されている特徴量を演算する(S13)。この特徴量の演算は、通常の異音検査システムなどで行なわれるものと同様である。そして、特徴量のセットの中の最後の特徴量について演算したか否かを判断し(S14)、S13で演算処理したのが、最後の特徴量でない場合には、次の特徴量を設定し(S15)、S13に戻る。これにより、次の特徴量について演算することになる。
【0071】
一方、S14の分岐判断でYesとなった場合、S16の分岐判断に飛び、パラメータのセットの中での最後のパラメータについて演算したか否かを判断する(S16)。最後のパラメータでない場合には、次のパラメータを設定し(S17)、S12に戻る。これにより、次のパラメータに対し、特徴量のセットのうちの1つ目から順次特徴量を演算することになる。そして、S16の分岐判断でYesになるまで、上記の処理ステップを繰り返し実行する。特徴量とパラメータの全ての組み合わせについて特徴量の演算が実行されたならば、S16の分岐判断がYesとなるので、図14の特徴量演算処理(S3)が終了する。
【0072】
図16は、軸項目選択部13により縦軸と横軸がそれぞれパラメータに設定され、演算モード切替部12では、「波形1」か「波形2」のいずれかが選択されるとともに、対応する入力指示エリアを用いて1つの波形データが取得され、波形データ入力部16を介してその1つの波形データが特徴量演算部20に与えられた場合である。特徴量演算部20は、与えられた波形データに対し、設定された条件に従い特徴量を順次求める特徴量順次演算部21を備えている。また、軸項目選択部13を用いて、演算する特徴量が1つ選択される。
【0073】
このようにパラメータが2つ設定される場合、パラメータ1とパラメータ2はある特徴量を演算する場合に必要な異なる種類のパラメータである場合と、同じ種類のパラメータである場合がある。後者の場合、パラメータ1のセットとパラメータ2のセットの内容は、同じでも良いし異なっていても良い。
【0074】
第2実施形態として異なる種類のパラメータを2組設定される例を示す。
【0075】
例えば、パラメータ1のセットがデータ使用個数であり、パラメータ2のセットがバンドパスフィルタの上下限値の組み合わせの場合がある。そして、特徴量は、例えば最大振幅レベルとし、パラメータ1のセットのデータ使用個数Nは、振幅の大きいものからN個分を特徴量として抽出するように使用するものとする。
【0076】
係る場合、特徴量順次演算部21では、波形データを読み込むと、その読み込まれた波形データに対して、バンドパスフィルタ処理をしたのち最大振幅レベルの演算を行なう。係る演算は、パラメータ1とパラメータ2の組み合わせの数だけ実施する。
【0077】
演算結果表示部15では、パラメータ1を横軸、パラメータ2を縦軸に配置し、パラメータの組み合わせによる特徴量の評価値の大きさを濃度、色などに対応させて容易に理解できるように表現する。このようにすると、読み込んだ波形データに対してどの周波数帯でいくつのデータ使用個数の時に最大振幅レベルで表される特徴が大きく出ているかがわかる。
【0078】
この第2実施形態における全体の処理フローは、図14と基本的に同じであるが、S1の処理が、設定するパラメータのセットが2セットとなり、特徴量は1つとなる。そして、S3の特徴量演算処理が、図17に示すようになる。
【0079】
すなわち、パラメータ1のセットのうちの最初のパラメータをパラメータ1に設定し(S21)、パラメータ2のセットのうちの最初のパラメータをパラメータ2に設定する(S22)。そして、設定されているパラメータ1とパラメータ2を用いて所定の特徴量を演算する(S23)。
【0080】
ついで、上記のS23の演算が、パラメータ2のセットの中の最後のパラメータについて演算したものであるか否かを判断する(S24)。S23で演算処理したのが、パラメータ2のセットの最後のパラメータでない場合には、次のパラメータを新たなパラメータ2に設定し(S25)、S23に戻る。これにより、前回と同様のパラメータ1と新たに設定したパラメータ2の組み合わせに基づく特徴量演算が行なわれる。
【0081】
一方、S24の分岐判断でYesとなった場合、S26の分岐判断に飛び、パラメータ1のセットの中での最後のパラメータについて演算したか否かを判断する(S26)。最後のパラメータでない場合には、パラメータ1のセットの中の次のパラメータを新たなパラメータ1に設定し(S27)、S22に戻る。これにより、設定した次のパラメータ1に対し、パラメータ2のセットのうちの1つ目との組み合わせから順次特徴量を演算することになる。そして、S26の分岐判断でYesになるまで、上記の処理ステップを繰り返し実行する。パラメータ1とパラメータ2の全ての組み合わせについて所定の特徴量についての演算が実行されたならば、S26の分岐判断がYesとなるので、図17の特徴量演算処理(S3)が終了する。
【0082】
第3実施形態として同じ種類のパラメータが2組設定される場合を示す。
【0083】
例えば、パラメータ1,2のセットが、いずれもバンドパスフィルタの上下限値の組み合わせの場合がある。この場合の特徴量順次演算部21は、波形データを読み込み、その読み込まれた波形データに対して、各周波数上下限にて特定の特徴量演算を行ない、パラメータ1に基づいて求めた評価値と、パラメータ2に基づいて求めた評価値を用いて所定の比較演算をする。これにより、読み込んだ波形データに対してどの周波数帯の特徴量の比較演算で特徴が大きく出ているかがわかる。
【0084】
この第3実施形態における全体の処理フローは、図14と基本的に同じであるが、S1の処理で、設定するパラメータのセットが2セットとなり、特徴量は1つとなる。そして、S3の特徴量演算処理が、図18,図19に示すようになる。
【0085】
すなわち、まずパラメータ1のセットについて、最初のパラメータから順に呼び出してパラメータ1に設定し、その設定したパラメータ1を用いて特定の特徴量を演算する。係る処理を繰り返し行なうことにより、パラメータ1のセットの全てについて、与えられた波形データの特徴量演算を実行する(S31からS34)。パラメータセット2についても同様にして特徴量演算を実行する(S35からS38)。パラメータ1のセットとパラメータ2のセットは同じパラメータのセットであっても、異なるパラメータのセットであっても良い。
【0086】
ついで、パラメータ1のセットを用いて演算した評価値と、パラメータ2のセットを用いて求めた評価値の全ての組み合わせについて、予め定めた比較演算処理を行ない、最終的な演算結果を求める(S39からS45)。具体的には、まず、パラメータ1のセットで求めた評価値のうちの最初のものを特徴量演算結果1に設定する(S39)。また、パラメータのセット2で求めた評価値のうちの最初のものを特徴量演算結果2に設定する(S40)。そして、特徴量演算結果1と特徴量演算結果2とを比較演算して最終的な演算結果を求める(S41)。
【0087】
上記のS41の演算処理が、パラメータのセット2での最後の評価値を使用したか否かを判断し(S42)、最後でない場合には、パラメータのセット2での次の評価値を特徴量演算結果2に設定し(S43)、S41に戻る。これにより、前回と同じ特徴量演算結果1と新たに設定した特徴量演算結果2の組み合わせに基づく特徴量演算が行なわれる。そして、S42の分岐判断でYesになるまで、上記のS41からS43の処理ステップを繰り返し実行する。
【0088】
一方、S42の分岐判断でYesとなった場合、S44の分岐判断に飛び、パラメータ1のセットの中での最後の特徴量演算結果を使用したか否かを判断する(S44)。最後の評価値でない場合には、パラメータのセット1での次の評価値を特徴量演算結果1に設定し(S45)、S40に戻る。これにより、設定した次の特徴量演算結果1に対し、特徴量演算結果2のセットのうちの1つ目との組み合わせから順次評価値を比較演算することになる。そして、S44の分岐判断でYesになるまで、上記の処理ステップを繰り返し実行する。特徴量演算結果1と特徴量演算結果2の全ての組み合わせについて評価値の比較演算が実行されたならば、S44の分岐判断がYesとなるので、図14の特徴量演算処理(S3)が終了する。
【0089】
図20は、第4実施形態を示すもので、軸項目選択部13により縦軸と横軸がそれぞれ特徴量に設定される。演算モード切替部12では、「波形1」か「波形2」のいずれかが選択されるとともに、対応する入力指示エリアを用いて1つの波形データが取得され、波形データ入力部16を介してその1つの波形データが特徴量演算部20に与えられた場合である。
【0090】
特徴量演算部20(特徴量順次演算部21)では、与えられた特徴量1および特徴量2の両方を用いて演算を行なう。その演算の一例としては、第1実施の形態と同様に、特徴量1のセットを構成する各特徴量を求める。同様に、特徴量2のセットを構成する各特徴量を求める。そして、特徴量1のセットを構成する各特徴量の評価値と、特徴量2のセットを構成する各特徴量の評価値の全ての組み合わせについて予め定めた軸間演算を行なう。
【0091】
演算結果表示部15では、特徴量1を横軸,特徴量2を縦軸に配置し、特徴量の組み合わせの軸間演算結果の大きさを濃度,色等で表現したグラフで表示する。これにより、波形データに対して特徴量の比率の違いを比較するのに使用できる。
【0092】
図21は、第5実施形態を示している。上述した各実施形態は、いずれも1つの波形データに基づいて特徴量を求めたが、本実施形態では、2つの波形データを特徴量演算部20に与え、その2つの波形データを識別するために適した特徴量等の条件を求める比較機能を備えている。
【0093】
すなわち、波形データ入力部16からは、例えば良品と不良品のように比較対象の2つの波形データが与えられる。特徴量演算部20は、特徴量順次演算部21に加え、特徴量比較演算部22を備えている。特徴量順次演算部21は、それぞれの波形データに対し、設定された特徴量とパラメータの全ての組み合わせについて特徴量演算を行なうものである。特徴量比較演算部22は、特徴量順次演算部21が求めた2つの波形データの評価値のあいだで、特徴量とパラメータの組み合わせが同じもの同士を比較演算するものである。
【0094】
この第5実施形態における支援装置10は、図22に示すフローチャートを実行する機能を有する。すなわち、軸項目選択部13,選択軸パターン設定部14にて設定されたパラメータのセットと特徴量のセットを読み込む(S51)。ついで、波形データ入力部16より、処理対象の2つの波形データを読み込む(S52)。なお、このS51のステップとS52のステップは、実行順は、この逆でも良い。
【0095】
与えられた2つの波形データのそれぞれに対し、S51の処理を実行して設定された全てのパラメータと、全ての特徴量の組み合わせについて、特徴量演算を行なう(S53)。例えば、パラメータが上述したように、バンドパスフィルタの通過帯域とすると、S52のステップを実行して読み込まれた波形データに対して、バンドパスフィルタをかけて通過した周波数成分に対して特徴量演算を行なう。なお、このS53の処理ステップは、例えば、特徴量順次演算部21が、各波形データ毎に図15に示すフローチャートを実行することにより行なう。そして、特徴量順次演算部21は、求めた特徴量の評価値を次段の特徴量比較演算部22に渡す。
【0096】
S54の処理ステップは、特徴量比較演算部22が図23に示すフローチャートを実行することにより行なう。図21に示すように特徴量とパラメータがそれぞれセットされた場合を例に説明する。まず、パラメータのセットの中の最初のパラメータを特徴量比較演算部22に設定する(S61)。ついで、特徴量のセットの中の最初の特徴量を特徴量比較演算部22に設定する(S62)。
【0097】
ついで、設定されたパラメータと特徴量において2つの波形データについて求めた評価値の比較演算を行なう(S63)。この比較演算は、差を求めたり、比を求めるなど、差異のあるパラメータ,特徴量の組み合わせか否かを求めるのに適した演算であれば各種のものを用いることができる。なお、差をとる場合は、評価値の正規化を行なうことにより、最も差のある特徴が見つけやすくなる。
【0098】
1つのパラメータ,特徴量の組み合わせについての比較演算を終了すると、特徴量のセットの中の最後の特徴量について演算したか否かを判断する(S64)。そして、最後まで演算していない場合には、次の特徴量を設定し(S65)、S63に戻る。これにより、パラメータのセットの中の設定されたパラメータに対し、特徴量のセットの中の全ての特徴量の組み合わせで比較演算が実行され、2つの波形データの評価値の比較演算を行なうことができる。
【0099】
S64の分岐判断でYesとなると、S66に飛び、パラメータのセットの中の最後のパラメータについて演算したか否かを判断する(S66)。そして、最後まで演算していない場合には、次のパラメータを設定し(S67)、S62に戻る。これにより、次のパラメータに対し、特徴量のセットの最初の特徴量との組み合わせから順次評価値の比較演算をすることになる。そして、S66の分岐判断でYesになるまで、上記の処理ステップを繰り返し実行し、図22の比較演算処理(S54)が終了する。
【0100】
特徴量比較演算部22は、S54のステップを実行して得られた比較演算結果を演算結果表示部15に渡す。これにより、演算結果表示部15は、比較演算結果をまとめて表示する(S55)。一例としては、図11(c)などに示すように、2つの波形データのうち、同一のパラメータと特徴量の組み合わせの評価値の差の大きさを濃度で表現したグラフを表示する。このグラフの表示形態としては、視覚により比較演算結果数値の大きさがわかればよいので、数値の大きさに合わせて色を変更するようにしても良いし、さらには、3次元グラフとしてもよく、その他種々の表現をとることができる。係る表示形態をとることにより、読み込んだ2つの波形データを識別する特徴量とパラメータの組み合わせとして有効なものがどれかが一目でわかる。
【0101】
この第5実施形態では、第1実施形態と同様に、特徴量とパラメータを1セットずつ設定したが、第2から第4実施形態のように設定する項目は、各種の組み合わせが可能である。
【0102】
図24は、第6実施形態を示すものである。この例では、軸項目選択部13により縦軸と横軸がそれぞれ特徴量とパラメータに設定され、演算モード切替部12では、比較が選択されている。これにより、2つの入力指示エリアでそれぞれ指定された波形データが波形データ入力部16から与えられる。そして、上述した各実施形態は、1つ或いは比較する2つの波形データに基づいて演算処理をしたが、本実施形態では、2つのグループのうちの少なくとも1つのグループに属する波形データを複数個用い、そのグループについての特徴量を総合的に判断するようにしている。
【0103】
そこで、特徴量演算部20には、特徴量順次演算部21と特徴量比較演算部22とに加え、グループ代表特徴量値演算部23を設けた。特徴量順次演算部21は、各実施形態と同様に、与えられた個々の波形データに対し、設定された全ての特徴量とパラメータの組み合わせについて評価値を求める。従って、1つのグループに属する波形データが複数存在する場合には、波形毎に評価値が演算して求められるが、グループ代表特徴量値演算部23が、各特徴量とパラメータの組み合わせの個々について、グループを代表する代表評価値を求め、その代表評価値を特徴量比較部22に与える。よって、特徴量比較部22では、特徴量演算部20に与えられる波形データの数に関係なく、同一の特徴量とパラメータの組み合わせについての代表特徴量は、2つとなる。よって、上述した各実施の形態と同様に、比較演算を実行する。
【0104】
係る構成の本実施形態では、図25に示すフローチャートを実施する機能を有する。すなわち、軸項目選択部13,選択軸パターン設定部14にて設定されたパラメータのセットと特徴量のセットを読み込む(S71)。ついで、波形データ入力部16より、処理対象の2つのグループに属する波形データを読み込む(S72)。なお、このS71のステップとS72のステップは、実行順は、この逆でも良い。
【0105】
与えられた2つのグループに属する全ての波形データのそれぞれに対し、S71の処理を実行して設定された全てのパラメータと、全ての特徴量の組み合わせについて、特徴量演算を行なう(S73)。例えば、パラメータが上述したように、バンドパスフィルタの通過帯域とすると、S72のステップを実行して読み込まれた波形データに対して、バンドパスフィルタをかけて通過した周波数成分に対して特徴量演算を行なう。なお、このS73の処理ステップは、例えば、特徴量順次演算部21が、各波形データ毎に図15に示すフローチャートを実行することにより行なう。そして、特徴量順次演算部21は、求めた評価値を次段のグループ代表特徴量演算部23に渡す。
【0106】
ついで、各グループ毎に全特徴量について代表値を算出する(S74)。この処理は、グループ代表特徴量値演算部23が行ない、具体的には、図26に示すフローチャートを実行する。図24に示すように特徴量とパラメータがそれぞれセットされた場合を例に説明する。まず、パラメータのセットの中の最初のパラメータをグループ代表特徴量値演算部23に設定する(S81)。ついで、特徴量のセットの中の最初の特徴量をグループ代表特徴量値演算部23に設定する(S82)。
【0107】
ついで、設定された特徴量とパラメータの組合せにおいてグループ1に属する全ての波形データについて求めた評価値の代表値を演算する(S83)。同様に、設定された特徴量とパラメータの組合せ2においてグループ2に属する全ての波形データについて求めた評価値の代表値を演算する(S84)。
【0108】
各評価値の代表値は、各波形グループ毎に同一の特徴量とパラメータについて求めた各評価値についての平均値,中央値,最小値,最大値などを求めることにより算出する。例えば、不良データのグループについて求めた評価値が大きくなり、良品データのグループについて求めた評価値が小さくなるような特性を有する場合には、不良データのグループの代表値は評価値の中の最小値を選択し、良品データのグループの代表値は評価値の中の最大値を選択することにより、より確実に識別することのできる特徴量とパラメータの組み合わせを抽出することができる。
【0109】
1つの特徴量とパラメータの組み合わせについての代表値を求めたならば、特徴量のセットの中の最後の特徴量について代表値を演算したか否かを判断する(S85)。そして、最後まで代表値の演算をしていない場合には、次の特徴量を設定し(S86)、S83に戻る。これにより、パラメータのセットの中で設定されたパラメータに対し、特徴量のセットの中の全ての特徴量との組み合わせで代表値の演算を行なうことができる。
【0110】
S85の分岐判断でYesとなると、S87に飛び、パラメータのセットの中の最後のパラメータついて代表値を演算したか否かを判断する(S87)。そして、最後まで演算していない場合には、次のパラメータを設定し(S88)、S82に戻る。これにより、次のパラメータに対し、特徴量のセットの中の最初の特徴量との組み合わせから順次評価値の代表値を求めることになる。そして、S87の分岐判断でYesになるまで、上記の処理ステップを繰り返し実行し、図25の代表値演算処理(S74)が終了する。
【0111】
グループ代表特徴量演算部23は、各グループのそれぞれの特徴量の代表値が求められたならば、その結果を特徴量比較演算部22に渡す。すると、特徴量比較演算部22は、第5実施形態などと同様の比較演算処理を行なう(S75)。特徴量比較演算部22は、S75のステップを実行して得られた比較演算結果を演算結果表示部15に渡す。これにより、演算結果表示部15は、代表評価値の比較演算結果をまとめて表示する(S76)。
【0112】
図24では、第1実施形態を基本としているため、特徴量とパラメータをセットするようにしたが、他の実施形態のように、「パラメータ1,パラメータ2」を設定したり、「特徴量1,特徴量2」を設定したりすることもできる。また、いずれか1方のグループは、1つの波形データのみ入力するようにしても良い。また、このように代表値を求めるのは、第1実施形態をはじめ1つのグループのみの特徴量を求める場合にも適用できる。
【0113】
上述した2つの波形データあるいは2つのグループの波形データ相互の比較機能を備えた支援装置10における適切な特徴量・パラメータ等の条件の抽出・調整するためには、図27に示すフローチャートに従って処理を行なうと良い。図27は、不良品(NG)グループと良品(OK)グループ間で適切な特徴量等の条件を見つける場合について示しているが、良品、不良品以外にも異なるグループ間で識別するために適切な特徴量等の条件を見つける場合にも利用できるのはもちろんである。
【0114】
まず、NGグループとOKグループの波形データに対し共通のパラメータと特徴量の組み合わせで特徴量演算を実行し、それぞれの評価値間で比較演算を行ない、演算結果を表示する(S91)。この処理は、第5,第6実施形態の装置を稼働することにより実現する。
【0115】
次に、比較演算結果が大きな、あるいは大きく異なる、パラメータと特徴量の組み合わせを上位から所定数選択する(S92)。その選択したパラメータと特徴量の組合せを固定し、他のパラメータを変化させて再度NGグループ、OKグループの波形データに対して特徴量演算を実行し、それぞれの評価値間で比較演算し、演算結果を表示する(S93)。そして、組み合わせ毎に、最も比較演算値が大きくなるような他のパラメータを選択する(S94)。S94までの処理ステップを実行した結果、得られた最も比較演算結果が大きくなる組み合わせを選択し、それを異音検査装置における特徴量およびパラメータの条件として採用する(S95)。
【0116】
具体的には、まず一方の軸を特徴量に、他方の軸をパラメータにセットして、比較演算を実行した結果、評価値の高い組み合わせが特徴量aとパラメータのコード番号が23番、特徴量bとパラメータコード番号が27番および、特徴量bとパラメータコード番号が28番という3組抽出されたとする。次に特徴量=aとパラメータ=23を固定し、特徴量aに関する2種類のパラメータA,Bを特徴量演算部20に与え、パラメータA、Bをそれぞれ縦軸、横軸として特徴量aについてパラメータA,Bの全ての組み合わせについて評価値を求める(S93)。そして、その求めた評価値の中で最大のものを選択する(S94)。特徴量=b,共通パラメータ=27の組合せ、および特徴量b,共通パラメータ=28の組合せについても同様にパラメータA,Bの全ての組み合わせについての評価値を求め(S93)、評価値の中で最大のものを選択する。これら選択した候補のなかから実際に異音検査装置に使用する特徴量およびパラメータを決定する。
【0117】
不良品および良品のサンプルの波形データを上述した各実施形態の知識作成支援装置に与えることで、不良品の波形と良品の波形を識別するのに適した特徴量とパラメータが抽出され、検査装置における判定条件が決定される。これらの特徴量,パラメータ,および判定条件を、製造現場で製造されたワークの良否判定を行なう異音検査装置に登録する。この検査装置に対する登録処理は、例えば操作員が検査装置の入力装置を用いマニュアル操作で入力することで行なう。また、知識作成支援装置で作成され、記憶保持された判定条件を、検査装置に対してダウンロード等のデータ転送を実行することで行なうこともできる。上記の他、各種の方法で使用する特徴量とパラメータ等を検査装置に登録した後、実際の製造ラインで製造されたワークからの良否判定処理に移行する。つまり、マイクロホンや振動センサによりワークから発生する音や振動などの波形データを取得し、検査装置に入力する。検査装置に入力された波形データは、登録されたパラメータや特徴量等に基づき、演算処理をし、良否判定を行ない、その判定結果を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本発明の好適な一実施の形態を示すブロック図である。
【図2】波形データ入力指示部による表示画面の一例を示す図である。
【図3】波形データの読込画面,保存画面の一例を示す図である。
【図4】演算モード切替部による表示画面の一例を示す図である。
【図5】軸項目選択部による表示画面の一例を示す図である。
【図6】軸選択パタン設定部による表示画面の一例を示す図である。
【図7】軸選択パタン設定部による表示画面の一例を示す図である。
【図8】軸選択パタン設定部による表示画面の一例を示す図である。
【図9】演算結果表示部による表示画面の一例を示す図である。
【図10】演算結果表示部による表示画面の一例を示す図である。
【図11】特徴量演算部で行なわれる比較演算の原理を説明する図である。
【図12】表示画面の一例を示す図である。
【図13】本発明の第1実施形態の要部を示す機能ブロック図である。
【図14】その第1実施形態の機能を説明するフローチャートである。
【図15】その第1実施形態の機能を説明するフローチャートである。
【図16】本発明の第2実施形態の要部を示す機能ブロック図である。
【図17】その第2実施形態の機能を説明するフローチャートである。
【図18】本発明の第3実施形態の機能の要部を説明するフローチャートの一部である。
【図19】本発明の第3実施形態の機能を要部を説明するフローチャートの一部である。
【図20】本発明の第4実施形態の要部を示す機能ブロック図である。
【図21】本発明の第5実施形態の要部を示す機能ブロック図である。
【図22】その第5実施形態の機能を説明するフローチャートである。
【図23】その第5実施形態の機能を説明するフローチャートである。
【図24】本発明の第6実施形態の要部を示す機能ブロック図である。
【図25】その第6実施形態の機能を説明するフローチャートである。
【図26】その第6実施形態の機能を説明するフローチャートである。
【図27】本実施形態を用いた使用例を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0119】
10 支援装置
11 波形データ入力指示部
12 演算モード切替部
13 軸項目選択部
14 選択軸パタン設定部
15 演算結果表示部
16 波形データ入力部
17 記憶装置
18 A/Dサンプリング部
20 特徴量演算部
21 特徴量順次演算部
22 特徴量比較演算部
23 グループ代表特徴量値演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象から取得した波形データに対し、その波形データの特徴を表す特徴量を演算して得られた特徴量演算結果に基づいて、前記検査対象が正常か異常かの判断を行なう検査装置に設定する、前記判断に有効な特徴量およびその特徴量を演算するためのパラメータのうち少なくとも一方を求めるのを支援する支援装置であって、
ひとつ以上の特徴量およびひとつ以上のパラメータを設定する設定手段と、
与えられた波形データに対し、前記設定手段により設定された特徴量とパラメータの所定の組み合わせについて特徴量を演算する特徴量演算手段と、
前記特徴量演算手段で得られた前記所定の組み合わせについてのそれぞれの演算結果に基づき、前記設定された特徴量およびまたは前記設定されたパラメータで2つ以上の軸を構成したグラフを表示する演算結果表示手段と、
を備えたことを特徴とする支援装置。
【請求項2】
前記波形データは、比較する2つの波形データからなり、
前記特徴量演算手段は、その2つの波形データに対してそれぞれ前記所定の組合せについて特徴量演算をして演算結果を求めるとともに、その2つの波形データにおける同一の前記組み合わせについての演算結果同士を比較演算する機能を有し、
前記演算結果表示手段は、その比較演算した結果に基づき、前記設定された特徴量およびまたは前記設定されたパラメータで2つ以上の軸を構成したグラフを表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の支援装置。
【請求項3】
前記グラフは、前記演算結果に対応した濃度、色、高さ、大きさのいずれかにより構成されることを特徴とする請求項2に記載の支援装置。
【請求項4】
前記波形データは、同一のグループに属する複数の波形データからなり、
前記特徴量演算手段は、その複数の波形データに対してそれぞれ前記所定の組合せについて特徴量演算をして演算結果を求めるとともに、その複数の波形データにおける同一の前記組み合わせについての演算結果に基づいて、前記判断に有効な特徴量およびその特徴量を演算するためのパラメータのうち少なくとも一方を求める機能を備えたことを特徴とする請求得1に記載の支援装置。
【請求項5】
前記グラフは、前記演算結果に対応した濃度、色、高さ、大きさのいずれかにより構成されることを特徴とする請求項4に記載の支援装置。
【請求項6】
検査対象物から取得した波形データに対し、その波形データの特徴を表す特徴量を演算して得られた特徴量演算結果に基づいて、前記検査対象物が正常か異常かの判断を行なう検査装置に設定する、前記判断に有効な特徴量およびその特徴量を演算するためのパラメータのうち少なくとも一方を求めるのを支援する支援装置の表示方法であって、
ひとつ以上の特徴量およびひとつ以上のパラメータを設定する工程と、
前記波形データに対し、前記設定された特徴量とパラメータの所定の組み合わせについて特徴量を演算して求めた演算結果を取得する工程と、
その取得した前記所定の組み合わせについてのそれぞれの演算結果に基づき、前記特徴量または前記パラメータで2つ以上の軸を構成したグラフを表示する工程と、
を備えたことを特徴とする支援装置の表示方法。
【請求項7】
前記グラフは、前記演算結果に対応した濃度、色、高さ、大きさのいずれかにより表示する工程をさらに備えたことを特徴とする請求項6に記載の表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2006−3345(P2006−3345A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−143321(P2005−143321)
【出願日】平成17年5月16日(2005.5.16)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】