説明

短パルス光発生装置および方法

【課題】パルス幅が200フェムト秒以下で、パルス繰り返し周波数が高い短パルス光の発生を可能とする。
【解決手段】短パルス光発生装置は、任意の中心光周波数をもつCW光源1と、CW光源1からの連続レーザー光を位相変調する位相変調手段2と、位相変調手段2からの光パルスを間引いてピークパワーを高める光ゲート5と、光ゲート5を通過した光パルスを増幅し、光増幅器6内での非線形効果によって光スペクトル帯域を拡大した広帯域光を発生させる光増幅器6と、光増幅器6によって増幅された光パルスを圧縮する分散付与手段7とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェムト秒の短パルス光を高い繰り返し周波数で発生する短パルス光発生装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
新しいレーザー材料と新しいパルス発生法が導入され、光の短パルス化に関する技術が著しく進展している。今日、電気信号では到達できないフェムト(10-15)秒の短パルスレーザーは基礎科学の分野のみならず、産業界で超微細加工を実現したりするなど、今日誰でもが使える道具の一つとして人類に様々な形で貢献してきた。近年、短パルス化に加えて、パルス繰り返し周波数の高速化が注目されている。光の短パルス化は、超高速現象計測の時間分解能の向上に寄与し、パルス繰り返し周波数の高速化は信号対雑音比の増大に寄与するため、10GHz以上の高繰り返し周波数でパルス幅がフェムト秒の短パルスレーザーは微弱な超高速現象の観測に適している。また、高繰り返し周波数の短パルスレーザーは超高速通信システム、精密計測、低位相雑音マイクロ波発生、光サンプリング、キャリアエンベロープオフセット制御光周波数コムなどへの応用にも期待されている。
【0003】
現在、フェムト秒の短パルスレーザー光源として、共振器装置を備えた受動モード同期レーザーが用いられている。受動モード同期レーザーは、通常、光を増幅する利得媒質と、共振器長がLの共振器を有する。この共振器の縦モードの共振周波数はc/2L(cは光速)の整数倍である。そして、レーザーが発振するレーザー光のスペクトルの幅は非常に狭いが、そのスペクトル幅よりも共振器の共振周波数の間が狭いと、共振器において複数のモード(周波数)で共振する。このとき、各モードの位相を揃える(モード同期)ことにより、パルス繰り返し周波数frep=c/(2L)でレーザー光が強められる。これにより、パルス繰り返し周波数frepのパルスレーザー光が生成される。そのため、受動モード同期レーザーの中心光周波数は共振器内に設置された利得媒質に依存する。
【0004】
例えば、利得媒質としてチタンサファイア結晶を使用した場合、発振可能な波長は650−1100nmの赤外領域から近赤外領域にかけてであるが、一番効率良く発振できる波長は800nmであり、レーザー中心光周波数が限定される。また、受動モード同期レーザーは、共振器内に設置する利得媒質と光学部品の空間配置等の制約から共振器長Lを短くすることができず、共振器長Lで決まるパルス繰り返し周波数は一般的に1GHz程度が上限となる。更に、パルス繰り返し周波数を変化させるための共振器長Lの調整範囲は光共振器の横モード安定性条件に制限される。したがって、パルス繰り返し周波数の可変範囲も小さい。更に、モードロックレーザーは外部環境の影響を受けやすいという問題点もあった。
【0005】
最近、CW(連続波)半導体レーザーを種光源にし、マッハツェンダー変調器と分散減少ファイバーとを用いたフェムト秒短パルスレーザー光源が開発された(非特許文献1,4参照)。この非特許文献1,4に開示された短パルスレーザー光源では、共振器を用いないため、パルス繰り返し周波数の制限は無くなる。しかし、この短パルスレーザー光源では、位相変調器の変調指数で決まる光スペクトル帯域の制限から200フェムト秒以下の短パルス光の発生は困難であった。
【0006】
また、最近、CW半導体レーザーを種光源にし、位相変調器と強度変調器で発生した光パルス列を光ゲートにより高繰り返しパルスにするフェムト秒短パルスレーザー光源が提案されている(特許文献1、非特許文献2,3参照)。特許文献1および非特許文献2,3に開示された短パルスレーザー光源では、光増幅器内での非線形効果を利用しないため、光増幅後のスペクトル帯域が広がらず、また光増幅後の光パルス圧縮手段に通常のコア径およそ10μmのシングルモードファイバーを利用しているため、パルス圧縮時の非線形プロセスの影響により、250フェムト秒より短いパルス光の発生は困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−209067号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】I.Morohashi,T.Sakamoto,H.Sotobayashi,T.Kawanishi,and I.Hosako,“Broadband wavelength-tunable ultrashort pulse source using a Mach-Zehnder modulator and dispersion-flattened dispersion-decreasing fiber”,Opt.Lett.,Vol.34,No.15,p.2297-2299,2009
【非特許文献2】A.Ishizawa,T.Nishikawa,A.Mizutori,H.Takara,S.Aozasa,A.Mori,H.Nakano,A.Takada,and M.Koga,“Octave-spanning frequency comb generated by 250 fs pulse train emitted from 25 GHz externally phase-modulated laser diode for carrier-envelope-offset-locking”,Electron.Lett.,Vol.46,No.19,p.1343,2010
【非特許文献3】T.Kobayashi,H.Yao,K.Amano,Y.Fukushima,A.Morimoto,and T.Sueta,“Optical Pulse Compression Using High-Frequency Electrooptic Phase Modulation”,IEEE J.Quantum Electron.,Vol.24,No.2,p.382-387,1988
【非特許文献4】M.Kourogi,B.Widiyatomoko,Y.Takeuchi,and M.Ohtsu,“Limit of Optical-Frequency Comb Generation Due to Material Dispersion”,IEEE J. Quantum Electron.,Vol.31,No.12,p.2120-2126,1995
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上のように、これまでの短パルスレーザー光源のうち、共振器装置を備えた受動モード同期レーザーをベースにしたものでは、200フェムト秒以下の光パルス幅が得られるが、中心光周波数とパルス繰り返し周波数の可変範囲が限定されるという問題点があり、1GHz以上のパルス繰り返し周波数を達成することも困難であった。
また、マッハツェンダー型の位相変調器でCW波長安定化光源に周波数変調をかけて光パルスを発生させる短パルスレーザー光源では、パルス繰り返し周波数を高くすることができる一方、位相変調器の変調指数の制限から200フェムト秒以下の短パルス化が難しいという問題点があった。
また、CW半導体レーザを種光源として、位相変調器と強度変調器で発生した光パルス列を光ゲートにより高繰り返しパルスにする短パルスレーザー光源では、パルス繰り返し周波数を高くすることができる一方、250フェムト秒以下の短パルス化が難しいという問題点があった。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、任意の中心光周波数に対して、パルス幅が200フェムト秒以下で、さらには、従来技術であるモード同期レーザーと比較して1桁以上パルス繰り返し周波数が高い短パルス光の発生を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の短パルス光発生装置は、任意の中心光周波数をもつ連続レーザー光源と、この連続レーザー光源からの連続レーザー光を位相変調する位相変調手段と、この位相変調手段からの光パルスを間引く光ゲートと、この光ゲートを通過した光パルスを増幅する光増幅手段と、この光増幅手段によって増幅された光パルスを圧縮する第1の分散付与手段とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の短パルス光発生装置の1構成例において、前記光ゲートは、複数段設けられることを特徴とするものである。
また、本発明の短パルス光発生装置の1構成例は、さらに、前記位相変調手段と前記光ゲートとの間に、前記位相変調手段からの光パルスを圧縮する第2の分散付与手段を備えることを特徴とするものである。
また、本発明の短パルス光発生装置の1構成例において、前記位相変調手段は、複数段設けられることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の短パルス光発生装置の1構成例は、さらに、前記連続レーザー光源と前記位相変調手段との間、または前記位相変調手段と前記光ゲートとの間に、前記位相変調手段からの光パルスを強度変調する強度変調手段を備えることを特徴とするものである。
また、本発明の短パルス光発生装置の1構成例は、さらに、前記連続レーザー光を変調する信号を前記位相変調手段に供給する基準周波数発生手段と、この基準周波数発生手段から出力される信号を分周した光ゲート駆動用の信号を、前記光ゲートに供給する周波数分周手段とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の短パルス光発生装置の1構成例は、さらに、光ゲート駆動用の信号を前記光ゲートに供給する基準周波数発生手段と、この基準周波数発生手段から出力される信号を逓倍した光パルス変調用の信号を、前記位相変調手段に供給する周波数逓倍手段とを備えることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の短パルス光発生方法は、任意の中心光周波数をもつ連続レーザー光源からの連続レーザー光を位相変調する位相変調ステップと、この位相変調ステップで得られた光パルスを間引く光ゲートステップと、この光ゲートステップで得られた光パルスを光増幅手段で増幅する光増幅ステップと、この光増幅ステップで得られた光パルスを圧縮するパルス圧縮ステップとを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、連続レーザー光源からの連続レーザー光を位相変調する位相変調手段を用いて光パルス列を発生させ、この光パルス列を光ゲートで間引いて光ピークパワーを高め、光増幅器内で非線形効果により光スペクトル帯域を拡大して、最終的に分散媒質でパルス圧縮することにより、非常に簡素化した光学構成で長期安定性に優れ、かつ、小型化で可搬可能なフェムト秒短パルスレーザー光源が実現可能であるという極めて優れた効果が得られる。また、従来技術ではパルス繰り返し周波数の上限が1GHz程度であったが、本発明を使用すれば、従来技術に比べて1桁以上高いパルス繰り返し周波数を持つフェムト秒短パルスレーザー光源も実現可能である。
【0015】
また、本発明では、光ゲートを複数段設けることにより、更にパルス幅の短いパルス光を発生することができる。
【0016】
また、本発明では、位相変調手段と光ゲートとの間に、位相変調手段からの光パルスを圧縮する第2の分散付与手段を設けることにより、光ゲートの光透過損失を少なくすることができる。
【0017】
また、本発明では、位相変調手段を複数段設けることにより、更にパルス幅の短いパルス光を発生することができる。
【0018】
また、本発明では、連続レーザー光源と位相変調手段との間、または位相変調手段と光ゲートとの間に、位相変調手段からの光パルスを強度変調する強度変調手段を設けることにより、パルス圧縮した際のペデスタル抑圧に寄与することができる。
【0019】
また、本発明では、連続レーザー光を変調する信号を位相変調手段に供給する基準周波数発生手段と、基準周波数発生手段から出力される信号を分周した光ゲート駆動用の信号を、光ゲートに供給する周波数分周手段とを設けることにより、位相変調手段と光ゲートとを完全に同期させることができ、光ゲートを通過する光パルスの強度の安定性を向上させることができる。
【0020】
また、本発明では、光ゲート駆動用の信号を光ゲートに供給する基準周波数発生手段と、基準周波数発生手段から出力される信号を逓倍した光パルス変調用の信号を、位相変調手段に供給する周波数逓倍手段とを設けることにより、位相変調手段と光ゲートとを完全に同期させることができ、光ゲートを通過する光パルスの強度の安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る短パルス光発生装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における光ゲート前での光パルス波形および光ゲート後での光パルス波形を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る短パルス光発生装置から光ゲートを除いた構成において分散付与手段を透過した後の光スペクトルおよび自己相関波形を示す図、並びに本発明の第1の実施の形態において分散付与手段を透過した後の光スペクトルおよび自己相関波形を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る短パルス光発生装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る短パルス光発生装置から光ゲートを除いた構成において分散付与手段を透過した後の光スペクトルおよび自己相関波形を示す図、並びに本発明の第2の実施の形態において分散付与手段を透過した後の光スペクトルおよび自己相関波形を示す図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る短パルス光発生装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態に係る短パルス光発生装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図8】本発明の第5の実施の形態に係る短パルス光発生装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図9】本発明の第6の実施の形態に係る短パルス光発生装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図10】本発明の第7の実施の形態に係る短パルス光発生装置の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[発明の原理]
本発明は上記目的を達成するために、任意の中心光周波数をもつ連続レーザー光源からの連続レーザー光を位相変調する位相変調ステップ(ステップS1)と、位相変調ステップで得られた光パルスを間引いて光ピークパワーを高める光ゲートステップ(ステップS2)と、光ゲートステップで得られた光パルスを光増幅器で増幅し、光増幅器内での非線形効果によって光スペクトル帯域を拡大した広帯域光を発生させる光増幅ステップ(ステップS3)と、パルス圧縮時の非線形効果の発生を抑えることが可能な分散媒質を用いて光パルスを圧縮するパルス圧縮ステップ(ステップS4)とを備えることを特徴とする。
【0023】
本発明は、分散補償方法にも特徴がある。従来のパルス圧縮方法では、自己位相変調効果によりスペクトル帯域を広げた正分散した光を負分散を持つ分散シフトファイバーあるいは回折格子対で圧縮している。これに対して、本発明では、位相変調器で生成した負分散を起こした光のスペクトル帯域をEDFA(Erbium Doped Fiber Amplifier)内の非線形効果で広げて正分散を持つシングルモードファイバーやガラスブロックで圧縮している。
【0024】
[第1の実施の形態]
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る短パルス光発生装置の構成の一例を示すブロック図である。
この短パルス光発生装置は、任意の中心光周波数およびパルス繰り返し周波数の制御が可能な短パルス光源であり、CW光源1と、CW光源1からのCW光を周波数frepで位相変調する位相変調手段2と、繰り返し周波数frepの信号を発生するマイクロ波基準周波数発生器3と、繰り返し周波数fmodの信号を発生する光ゲート用マイクロ波基準周波数発生器4と、位相変調手段2からの光パルスを一定間隔で間引いてピークパワーを高める光ゲート5と、光ゲート5を通過した光パルスを増幅する光増幅器6と、光増幅器6によって増幅された光パルスを圧縮する分散付与手段7(例えば、ガラスブロック、モードフィールド径の大きい光ファイバーなど)と、光ゲート用マイクロ波基準周波数発生器4から出力される繰り返し周波数fmodの信号からインパルス信号を発生する光ゲート用インパルス発生装置14とから構成される。
【0025】
以下、ステップS1について例を用いて説明する。ここで、CW光源1は、CW光を発生するCW半導体レーザーである。CW光源1が発生するCW光の中心光波長は任意に選択可能である。また、CW光源1として波長可変CW光源を用いることもできる。位相変調手段2は、CW光源1からのCW光を、マイクロ波基準周波数発生器3から出力される繰り返し周波数frepの信号に応じて位相変調する。こうして、周期的にアップチャープとダウンチャープを発生させることができる。
【0026】
CW光源1と位相変調手段2とからなるパルス光源部分として、非特許文献4に開示されているようにファブリペロー共振器内に電気光学変調器を設置した構成を用い、深い周波数変調をCW光にかけて、FM側帯波を発生させるようにしてもよい。この構成の場合、マイクロ波基準周波数発生器3から出力される信号は、電気光学変調器に供給される。また、位相変調手段2として、非特許文献1に開示されたマッハツェンダー型位相変調器と分散減少ファイバーとからなる構成を用いてもよい。この構成の場合、マイクロ波基準周波数発生器3から出力される信号は、マッハツェンダー型位相変調器に供給される。これらの位相変調手段2を用いて光パルス列を発生させる手法では、共振器長の制限を受けないために、最大100GHzのパルス繰り返し周波数の光パルス列の発生が実現可能となる。
【0027】
次に、ステップS2について例を用いて説明する。上記の位相変調手段2で発生した光パルス列は、パルス繰り返し周波数が高く、ASE(Amplified Spontaneous Emission)成分が重畳しているために、光増幅器内での自己位相変調効果等の非線形効果による広スペクトル帯域光発生に十分なピークパワーを得られない。そこで、本実施の形態では、光ゲート5を用いてパルス繰り返し周波数を低減(デュ−ティー比を低減)し、光ゲート5を通過した光パルスを光増幅器6で1〜2W程度まで光増幅することによって、光増幅器6の内部で自己位相変調効果等の非線形効果を起こして、光スペクトル帯域を拡大させ、パルス幅200フェムト秒以下の短パルス光発生に必要な広スペクトル帯域光の発生を実現している。
【0028】
光ゲート用インパルス発生装置14は、光ゲート5を駆動するために、ゲート周波数(繰り返し周波数)fmodのインパルス信号を発生する。光ゲート5は、このインパルス信号に応じて、位相変調手段2からの光パルスを通過または遮断するように動作し、インパルス信号が入力される度に光パルスを通過させる。光ゲート5の例としては、強度変調器、ファブリペロー干渉計、フィルタなどがある。
【0029】
パルス幅が200フェムト秒以下の短パルス光発生には、光増幅器6で1パルス当たりのエネルギーを0.2nJ以上まで増幅する必要がある。位相変調手段2から出力され光ゲート5に入力される前の光パルスは、図2(A)に示すようにパルス繰り返し周波数がfHz(f=frep、frepは例えば数GHz〜数10GHz)でデューティー比がパルス幅×fのパルス波形をしている。一方、光ゲート5を通過した光パルスは、図2(B)に示すようにパルス繰り返し周波数が(f/n)Hz(f/n=frep/n=fmod、fmodは例えば数MHz〜1GHz)でデューティー比がパルス幅×f/nのパルス波形となる(nは正の整数)。このステップS2で光パルスのパルス繰り返し周波数を低減することにより、後段の光増幅器6内での非線形効果の影響により光スペクトル帯域拡大の効果が得られる。
【0030】
次に、ステップS3について例を用いて説明する。光増幅器6は、光ゲート5を通過した光パルスを増幅する。このとき、光増幅器6内でレーザーピークパワーが増加しながら、徐々に光スペクトル帯域幅が拡大される。このステップS3で光パルス列の光増幅を行うことにより、光増幅器6内で起こる非線形効果により、短パルス化に必要となる広い光スペクトルが出力される。
【0031】
次にステップS4について例を用いて説明する。分散媒質からなる分散付与手段7は、光増幅器6によって増幅された光パルスを200フェムト秒以下のパルス幅までパルス圧縮する。分散媒質として、パルス圧縮時の非線形効果の発生を抑えることが可能な媒質を用いることにより、光パルスが分散媒質を伝搬する際に非線形効果を起こさずにパルス圧縮することができる。具体的には、伝搬するレーザー光のピークパワーが1010W/cm2以下となる分散媒質であればよい。分散媒質の例としては、ガラスブロックやモードフィールド径の大きい光ファイバーあるいは回折格子などがある。
【0032】
このとき、光パルス列発生用のマイクロ波基準周波数発生器3と光ゲート用マイクロ波基準周波数発生器4とは同期している。また、マイクロ波基準周波数発生器3と光ゲート用マイクロ波基準周波数発生器4間の位相調整は、マイクロ波基準周波数発生器3,4内に設けられる位相調整器、あるいはマイクロ波基準周波数発生器3,4の後段に設けられる位相調整器を用いて行われる。
【0033】
図3(A)は図1に示した本実施の形態の短パルス光発生装置から光ゲート5を除いた構成において分散付与手段7を透過した後の光スペクトルを示す図、図3(B)は光ゲート5を除いた構成において分散付与手段7を透過した後の自己相関波形を示す図、図3(C)は本実施の形態において分散付与手段7を透過した後の光スペクトルを示す図、図3(D)は本実施の形態において分散付与手段7を透過した後の自己相関波形を示す図である。ここで、本実施の形態の短パルス光発生装置から光ゲート5を除いた構成において分散付与手段7を透過した後の光パルス列の繰り返し周波数は25GHz(すなわち、frep=25GHz)である。一方、本実施の形態の短パルス光発生装置において分散付与手段7を透過した後の光パルス列の繰り返し周波数は1GHzである。図3(C)、図3(D)によると、光スペクトル帯域の拡大に伴ってパルス幅も圧縮されることが分かる。本実施の形態では、ステップS4で非線形効果を起こさない分散媒質を用いてパルス圧縮することにより、パルス幅を163フェムト秒まで圧縮することができる。
【0034】
以上述べたステップS1〜ステップS4を実行することによって、CW光源を種光源として、パルス幅200フェムト秒以下の短パルス光を発生することができる。その結果、本実施の形態では、任意の中心光周波数に対して、パルス幅200フェムト秒以下の短パルス光発生を可能とし、さらには、従来技術であるモード同期レーザーと比較して1桁以上パルス繰り返し周波数が高く、かつ、そのパルス繰り返し周波数が広範囲に可変な光源を実現することができる。
【0035】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図4は、本発明の第2の実施の形態に係る短パルス光発生装置の構成の一例を示すブロック図である。
本実施の形態の短パルス光発生装置は、任意の中心光周波数およびパルス繰り返し周波数の制御が可能な短パルス光源であり、CW光源1と、CW光源1からのCW光を位相変調する位相変調手段2と、繰り返し周波数frepの信号を発生するマイクロ波基準周波数発生器3と、繰り返し周波数frep/n(nは正の整数)の信号を発生する光ゲート用マイクロ波基準周波数発生器4と、位相変調手段2からの光パルスを一定間隔で間引く光ゲート5と、光ゲート5を通過した光パルスを増幅する光増幅器6と、光増幅器6によって増幅された光パルスを圧縮する分散付与手段7と、光ゲート5を通過した光パルスを一定間隔で間引く光ゲート10と、繰り返し周波数frep/n/m(n,mは正の整数)の信号を発生する光ゲート用マイクロ波基準周波数発生器13と、光ゲート用マイクロ波基準周波数発生器4から出力される繰り返し周波数frep/nの信号からインパルス信号を発生する光ゲート用インパルス発生装置14と、光ゲート用マイクロ波基準周波数発生器13から出力される繰り返し周波数frep/n/mの信号からインパルス信号を発生する光ゲート用インパルス発生装置15とから構成される。
【0036】
本実施の形態は、第1の実施の形態の光ゲート5と光増幅器6との間に新たな光ゲート10を加え、この光ゲート10の駆動のために光ゲート用マイクロ波基準周波数発生器13と光ゲート用インパルス発生装置15とを加えた多段構成光ゲートの例である。光ゲートの消光比が高くない場合、本実施の形態のように光ゲートを複数台用いることが有効である。例えば第1の実施の形態のように光ゲートを1台用いた構成では、ASE成分が十分に抑圧できず、パルス繰り返し周波数を低減しても、パルス幅163フェムト秒より短いパルス光の発生に必要となるピークパワーを得ることはできない(図3(C)、図3(D)参照)。
【0037】
したがって、十分なピークパワーを得るためには、2段以上の光ゲートを配置することが有効である。
光ゲート用インパルス発生装置14は、光ゲート5を駆動するために、ゲート周波数(繰り返し周波数)frep/n(nは正の整数)のインパルス信号を発生する。光ゲート5は、このゲート周波数frep/nのインパルス信号に応じて、位相変調手段2からの光パルスを通過または遮断するように動作し、インパルス信号が入力される度に光パルスを通過させる。
【0038】
光ゲート用インパルス発生装置15は、光ゲート10を駆動するために、ゲート周波数frep/n/m(n,mは正の整数)のインパルス信号を発生する。光ゲート10は、このゲート周波数frep/n/mのインパルス信号に応じて、ゲート5からの光パルスを通過または遮断するように動作し、インパルス信号が入力される度に光パルスを通過させる。
また、2段目の光ゲート10でASE成分を十分に抑圧できない場合、2段目のゲート周波数のm逓倍の周波数(frep/n)で動作する1段目の光ゲート5に消光比の高い光ゲートを用いることも有効である。
【0039】
本実施の形態では、1段目の光ゲート5のゲート周波数を1GHz(=frep/25GHz)とし、2段目の光ゲート10のゲート周波数も1GHz(=frep/25/1GHz)とした。
そして、第1の実施の形態と同様に、光ゲート10を通過した光パルスを光増幅器6で1〜2W程度まで光増幅することによって、光増幅器6の内部で自己位相変調効果等の非線形効果を起こして、光スペクトル帯域を拡大させ、光増幅器6によって増幅された光パルスを分散付与手段7で200フェムト秒以下のパルス幅までパルス圧縮する。第1の実施の形態と同様に、光パルス列発生用のマイクロ波基準周波数発生器3と光ゲート用マイクロ波基準周波数発生器4,13とは同期している。
【0040】
図5(A)は図4に示した本実施の形態の短パルス光発生装置から光ゲート5,10を除いた構成において分散付与手段7を透過した後の光スペクトルを示す図、図5(B)は光ゲート5,10を除いた構成において分散付与手段7を透過した後の自己相関波形を示す図、図5(C)は本実施の形態において分散付与手段7を透過した後の光スペクトルを示す図、図5(D)は本実施の形態において分散付与手段7を透過した後の自己相関波形を示す図である。ここで、本実施の形態の短パルス光発生装置から光ゲート5,10を除いた構成において分散付与手段7を透過した後の光パルス列の繰り返し周波数は25GHz(すなわち、frep=25GHz)である。一方、本実施の形態の短パルス光発生装置において分散付与手段7を透過した後の光パルス列の繰り返し周波数は1GHzである。
【0041】
本実施の形態のように、光ゲートを2段構成にすることにより、パルスピーク強度が大きくなり、光増幅器6内で光スペクトル帯域が拡大する。図5(C)、図5(D)によると、光スペクトル帯域の拡大に伴ってパルス幅も圧縮されることが分かる。本実施の形態では、パルス幅を90フェムト秒まで圧縮することができる。
【0042】
光ゲート周波数を更に低減すると、ピークパワーは更に増大し、よりパルス幅の短いパルス光の発生が可能となる。例えば1段目の光ゲート5のゲート周波数を1GHz(=frep/25GHz)、2段目の光ゲート10のゲート周波数を250MHz(=frep/25/4GHz)とする。このとき、光ゲート10を通過した光パルスを光増幅器6で増幅し、光増幅器6によって増幅された光パルスを分散付与手段7でパルス圧縮すると、パルス幅は70フェムト秒まで圧縮される。
以上のように、本実施の形態では、第1の実施の形態と比べてパルス幅の短いパルス光を発生することができる。
【0043】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図6は、本発明の第3の実施の形態に係る短パルス光発生装置の構成の一例を示すブロック図であり、図1と同一の構成には同一の符号を付してある。
本実施の形態の短パルス光発生装置は、任意の中心光周波数およびパルス繰り返し周波数の制御が可能な短パルス光源であり、CW光源1と、位相変調手段2と、マイクロ波基準周波数発生器3と、光ゲート用マイクロ波基準周波数発生器4と、光ゲート5と、光増幅器6と、分散付与手段7と、光ゲート用インパルス発生装置14と、位相変調手段2からの光パルスを圧縮する分散付与手段11とから構成される。
【0044】
本実施の形態は、第1の実施の形態の位相変調手段2と光ゲート5との間に分散付与手段11を挿入した例である。位相変調手段2から出力される繰り返し周波数frepの光パルスのパルス幅が光ゲート時間幅(光ゲート5がオンする時間幅)より大きい場合、光透過損失が発生する。そこで、本実施の形態のように光ゲート5の前に分散付与手段11を挿入し、位相変調手段2からの光パルスのパルス幅を光ゲート時間幅以下にすることにより、光ゲート5の光透過損失を少なくすることができる。分散付与手段11としては、光ファイバー、ファイバーグレイティングまたは平面型光波回路等を用いることができる。
【0045】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。図7は、本発明の第4の実施の形態に係る短パルス光発生装置の構成の一例を示すブロック図であり、図1と同一の構成には同一の符号を付してある。
本実施の形態の短パルス光発生装置は、任意の中心光周波数およびパルス繰り返し周波数の制御が可能な短パルス光源であり、CW光源1と、複数の位相変調手段2と、マイクロ波基準周波数発生器3と、光ゲート用マイクロ波基準周波数発生器4と、光ゲート5と、光増幅器6と、分散付与手段7と、光ゲート用インパルス発生装置14と、マイクロ波基準周波数発生器3から出力される繰り返し周波数frepの信号の位相を調整する位相調整器16,17とから構成される。
【0046】
本実施の形態は、第1の実施の形態の位相変調手段2を多段に構成した例である。各位相変調手段2の動作は、第1の実施の形態と同じである。位相調整器16は、マイクロ波基準周波数発生器3から出力される繰り返し周波数frepの信号の位相を調整することにより、2段目の位相変調手段2が初段の位相変調手段2と同期するようにタイミング調整を行う。同様に、位相調整器17は、マイクロ波基準周波数発生器3から出力される繰り返し周波数frepの信号の位相を調整することにより、終段の位相変調手段2が初段の位相変調手段2と同期するようにタイミング調整を行う。
【0047】
こうして、本実施の形態では、互いに同期した多段同期の位相変調手段2を用いることにより、非特許文献2に開示された短パルスレーザー光源よりも変調指数を大きくすることができるので、光スペクトル帯域を拡大することができ、非特許文献2に開示された短パルスレーザー光源および第1の実施の形態と比べてパルス幅の短いパルス光を発生することができる。この多段同期の位相変調手段2を用いる構成は、光増幅器6における光スペクトル帯域幅拡大に寄与するため、短パルス光発生にとって有効な手段である。
なお、本実施の形態を第2の実施の形態と組み合わせてもよいことは言うまでもない。
【0048】
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。図8は、本発明の第5の実施の形態に係る短パルス光発生装置の構成の一例を示すブロック図であり、図1と同一の構成には同一の符号を付してある。
本実施の形態の短パルス光発生装置は、任意の中心光周波数およびパルス繰り返し周波数の制御が可能な短パルス光源であり、CW光源1と、位相変調手段2と、マイクロ波基準周波数発生器3と、光ゲート用マイクロ波基準周波数発生器4と、光ゲート5と、光増幅器6と、分散付与手段7と、光ゲート用インパルス発生装置14と、位相変調手段2からの光パルスを強度変調する強度変調手段12とから構成される。
【0049】
本実施の形態は、第1の実施の形態の位相変調手段2と光ゲート5との間に強度変調手段12を挿入した例である。このように、本実施の形態では、強度変調手段12を配置することにより、位相変調手段2で発生した非線形チャープ部分を取り除くことができ、パルス圧縮した際のペデスタル抑圧に寄与することができる。
【0050】
[第6の実施の形態]
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。図9は、本発明の第6の実施の形態に係る短パルス光発生装置の構成の一例を示すブロック図であり、図1と同一の構成には同一の符号を付してある。
本実施の形態の短パルス光発生装置は、CW光源1と、位相変調手段2と、マイクロ波基準周波数発生器3と、光ゲート5と、光増幅器6と、分散付与手段7と、光ゲート用インパルス発生装置14と、マイクロ波基準周波数発生器3から出力される繰り返し周波数frepの信号を1/nに分周する周波数分周器9と、周波数分周器9から出力される繰り返し周波数frep/nの信号の位相を調整する位相調整器18とから構成される。
【0051】
本実施の形態は、第1〜第5の実施の形態で使用した2台のマイクロ波基準周波数発生器3,4を1台に簡素化できる形態であり、光ゲート用マイクロ波基準周波数発生器4の代わりに、周波数分周器9と位相調整器18とを用いている。
位相調整器18は、周波数分周器9から出力される繰り返し周波数frep/nの信号の位相を調整することにより、光ゲート5が位相変調手段2と同期するようにタイミング調整を行う。
【0052】
本実施の形態では、位相変調手段2と光ゲート5で共通のマイクロ波基準周波数発生器を用いるため、位相変調手段2と光ゲート5とを完全に同期させることができ、光ゲート5を通過する光パルスの強度の安定性が向上するという効果を期待できる。
【0053】
なお、第2の実施の形態のように多段構成光ゲートを用いる場合には、図9に示した構成に加えて、光ゲート用マイクロ波基準周波数発生器13の代わりに、マイクロ波基準周波数発生器3から出力される繰り返し周波数frepの信号を1/n/mに分周する周波数分周器と、この周波数分周器から出力される繰り返し周波数frep/n/mの信号の位相を調整するすることにより、光ゲート10が位相変調手段2と同期するようにタイミング調整を行う位相調整器とを用いればよい。
【0054】
[第7の実施の形態]
次に、本発明の第7の実施の形態について説明する。図10は、本発明の第7の実施の形態に係る短パルス光発生装置の構成の一例を示すブロック図であり、図1と同一の構成には同一の符号を付してある。
本実施の形態の短パルス光発生装置は、CW光源1と、位相変調手段2と、光ゲート用マイクロ波基準周波数発生器4と、光ゲート5と、光増幅器6と、分散付与手段7と、光ゲート用インパルス発生装置14と、光ゲート用マイクロ波基準周波数発生器4から出力される繰り返し周波数frep/nの信号の周波数をn倍する周波数逓倍器8と、周波数逓倍器8から出力される繰り返し周波数frepの信号の位相を調整する位相調整器19とから構成される。
【0055】
本実施の形態は、第1〜第5の実施の形態で使用した2台のマイクロ波基準周波数発生器3,4を1台に簡素化できる形態であり、マイクロ波基準周波数発生器3の代わりに、周波数逓倍器8と位相調整器19とを用いている。
位相調整器19は、周波数逓倍器8から出力される繰り返し周波数frepの信号の位相を調整することにより、位相変調手段2が光ゲート5と同期するようにタイミング調整を行う。
【0056】
本実施の形態では、位相変調手段2と光ゲート5で共通のマイクロ波基準周波数発生器を用いるため、位相変調手段2と光ゲート5とを完全に同期させることができ、光ゲート5を通過する光パルスの強度の安定性が向上するという効果を期待できる。
【0057】
なお、周波数逓倍器8の代わりに、コムジェネレータとRFバンドパスフィルターを用いてもよい。
また、第2の実施の形態のように多段構成光ゲートを用いる場合には、図10に示した構成に加えて、光ゲート用マイクロ波基準周波数発生器13の代わりに、光ゲート用マイクロ波基準周波数発生器4から出力される繰り返し周波数frep/nの信号を1/mに分周する周波数分周器と、この周波数分周器から出力される繰り返し周波数frep/n/mの信号の位相を調整するすることにより、光ゲート10が位相変調手段2と同期するようにタイミング調整を行う位相調整器とを用いればよい。
【0058】
以上のように、第1〜第7の実施の形態の短パルス光発生装置は任意の中心光周波数およびパルス繰り返し周波数を持ち、更に中心光周波数およびパルス繰り返し周波数を連続可変することも可能である。第1〜第7の実施の形態では、従来技術よりも1桁以上パルス繰り返し周波数が高い短パルス光の発生を、CW光源を種光源とした非常に簡素化した光学構成で実現できることから、フェムト秒短パルス光を利用した超精密加工、超高速光通信、超高速現象の分光、細胞操作やDNA観察などの発展に従来以上に寄与するものであり、本発明が従来技術よりも優れていることが分かる。
【0059】
以上、本発明の短パルス光発生装置の例について図面を参照して詳述したが、具体的な構成は第1〜第7の実施の形態に限られるものではなく、第1〜第7の実施の形態を適宜組み合わせてもよいし、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で設計の変更などがあっても本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、フェムト秒オーダーの短パルス光をGHzオーダーの高い繰り返し周波数で発生する技術に適用することができる。
【符号の説明】
【0061】
1…CW光源、2…位相変調手段、3…マイクロ波基準周波数発生器、4,13…光ゲート用マイクロ波基準周波数発生器、5,10…光ゲート、6…光増幅器、7,11…分散付与手段、8…周波数逓倍器、9…周波数分周器、12…強度変調手段、14,15…光ゲート用インパルス発生装置、16,17,18,19…位相調整器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の中心光周波数をもつ連続レーザー光源と、
この連続レーザー光源からの連続レーザー光を位相変調する位相変調手段と、
この位相変調手段からの光パルスを間引く光ゲートと、
この光ゲートを通過した光パルスを増幅する光増幅手段と、
この光増幅手段によって増幅された光パルスを圧縮する第1の分散付与手段とを備えることを特徴とする短パルス光発生装置。
【請求項2】
請求項1記載の短パルス光発生装置において、
前記光ゲートは、複数段設けられることを特徴とする短パルス光発生装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の短パルス光発生装置において、
さらに、前記位相変調手段と前記光ゲートとの間に、前記位相変調手段からの光パルスを圧縮する第2の分散付与手段を備えることを特徴とする短パルス光発生装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の短パルス光発生装置において、
前記位相変調手段は、複数段設けられることを特徴とする短パルス光発生装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の短パルス光発生装置において、
さらに、前記連続レーザー光源と前記位相変調手段との間、または前記位相変調手段と前記光ゲートとの間に、前記位相変調手段からの光パルスを強度変調する強度変調手段を備えることを特徴とする短パルス光発生装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の短パルス光発生装置において、
さらに、前記連続レーザー光を変調する信号を前記位相変調手段に供給する基準周波数発生手段と、
この基準周波数発生手段から出力される信号を分周した光ゲート駆動用の信号を、前記光ゲートに供給する周波数分周手段とを備えることを特徴とする短パルス光発生装置。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の短パルス光発生装置において、
さらに、光ゲート駆動用の信号を前記光ゲートに供給する基準周波数発生手段と、
この基準周波数発生手段から出力される信号を逓倍した光パルス変調用の信号を、前記位相変調手段に供給する周波数逓倍手段とを備えることを特徴とする短パルス光発生装置。
【請求項8】
任意の中心光周波数をもつ連続レーザー光源からの連続レーザー光を位相変調する位相変調ステップと、
この位相変調ステップで得られた光パルスを間引く光ゲートステップと、
この光ゲートステップで得られた光パルスを光増幅手段で増幅する光増幅ステップと、
この光増幅ステップで得られた光パルスを圧縮するパルス圧縮ステップとを備えることを特徴とする短パルス光発生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−25284(P2013−25284A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162949(P2011−162949)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(304028726)国立大学法人 大分大学 (181)
【Fターム(参考)】