説明

短時間高温処理によって抗炎症性プロファイルを有する微生物調製物が生じる

本発明は一般に、細菌の分野に関する。特に、本発明は、「短時間高温」処理されたプロバイオティクス及び/又は乳製品スターター培養物、並びにこれらの細菌の用途に関する。本発明の一実施形態は、「短時間高温」処理されたプロバイオティクス及び/又は乳製品スターター培養物、並びに炎症性障害を治療又は予防する組成物を調製するための、「短時間高温」処理されたプロバイオティクス及び/又は乳製品スターター培養物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、微生物の分野に関する。特に、本発明は、高温処理された微生物、例えば、プロバイオティクス及び乳製品スターター(dairy starter)、並びにこれらの細菌の用途に関する。本発明の一実施形態は、高温処理された微生物、例えば、プロバイオティクス及び乳製品スターター、並びに炎症性障害を治療又は予防する組成物を調製するためのそれらの使用に関する。
【0002】
プロバイオティクスは、「適当量で投与されたときに健康上の利益を宿主に与える生きた微生物」(FAO/WHOガイドライン)として定義されることが多い。したがって、既刊文献の大部分は、生きたプロバイオティクスについて論じている。しかし、いくつかの研究は非複製細菌によって実現される健康上の利益を調査したが、例えば熱処理によるプロバイオティクスの不活性化は、それらの健康上の利益と称されるものの損失をもたらすことをこれらの研究の大部分は示した(Rachmilewitz,D.ら、2004、Gastroenterology 126:520〜528;Castagliuoloら、2005、FEMS Immunol.Med.Microbiol.43:197〜204;Gill,H.S.及びK.J.Rutherfurd、2001、Br.J.Nutr.86:285〜289;Kaila,M.ら、1995、Arch.Dis.Child 72:51〜53)。しかしながら、いくつかの研究は、死んだプロバイオティクスがいくらかの健康への影響を保持し得ることを示した(Rachmilewitz,D.ら、2004、Gastroenterology 126:520〜528;Gill,H.S.及びK.J.Rutherfurd、2001、Br.J.Nutr.86:285〜289)。
【0003】
炎症性腸疾患を治療又は予防する戦略としてのプロバイオティクスの使用は、文献に報告されてきており、最近Dotanらによって概説された(Dotan,I.及びD.Rachmilewitz、2005;Curr.Opin.Gastroenterol.21:426〜430)。例えば、8種の生きたプロバイオティクス細菌の高濃縮のカクテル(VSL#3)は、ヒトにおける再発性又は難治性の回腸嚢炎の予防(Gionchetti,P.ら、2003、Gastroenterology 124:1202〜1209)及び治療において有効であることが示された(Gionchetti,P.ら、2000、Gastroenterology 119:305〜309;Mimura,T.ら、2004、Gut 53:108〜114)。興味深いことにDSSが誘発する大腸炎のマウスモデルを使用して、Rachmilewitzら(Rachmilewitz,D.ら、2004、Gastroenterology 126:520〜528)は、生存しておりγ線照射したVSL#3による処理は大腸炎から保護したが、加熱殺菌したVSL#3による処理では大腸炎から保護しないことを報告した。同様に加熱殺菌したラクトバチルス・クリスパタス(L.crispatus)は、DSSが誘発する大腸炎から保護することがなかったが、一方その生存している対応物は、体重の減少及び消化管内のMPO活性を明らかに減少させた(Castagliuoloら、2005、FEMS Immunol.Med.Microbiol.43:197〜204)。これらの研究は、プロバイオティクスが、消化管炎症との関連で、非複製の対応物より生きていてより有効であることを示唆する。
【0004】
不活性化されたラクトバチルス・ロイテリ(L.reuteri)(加熱殺菌及びγ線照射)は、T84細胞によるTNFαが誘発するIL−8産生を減少させることができないことが見出され、一方その生きた対応物は有意に有益な作用を示した(Ma,D.ら、2004、Infect.Immun.72:5308〜5314)。
【0005】
明らかに、不活性化されたプロバイオティクスは、例えば食品産業において、取り扱い、及び/又は保存するのがずっと容易である。したがって、不活性化されたプロバイオティクスも消費者に有利な作用を有し得ることがわかることは有望であり、一方同時に、これらの作用が生存しているプロバイオティクスと比較して減少又は消滅さえすることが通常見出されることがわかるのは不本意である。
【0006】
プロバイオティクス菌株を非複製にする文献に記載されている技術は通常、熱処理、γ照射、UV光又は化学試剤(ホルマリン、パラホルムアルデヒド)である。このように得られた非複製細菌の生物学的機能に対する異なる不活性化方法の作用を比較した研究はほとんどない。上記で引用したRachmilewitzの研究に加えて、1つのこのような研究は、熱処理及びγ照射した細菌が、上皮細胞による異なるレベルのサイトカイン分泌をインビトロで誘発したことを報告した(Wong,C.及びZ.Ustunol.2006、J.Food Prot.69:2285〜2288)。
【0007】
しかし、プロバイオティクス菌株を非複製にする文献において記載及び試験された技術は一般に、特に食品産業における産業環境において適用されないか、又は実行することが容易でない。
【0008】
プロバイオティクスを含有する今日市場にある大部分の製品は、生産の間に熱処理される。したがって、プロバイオティクスがそれらの有益な特性を保持若しくは改善し、又は消費者のために新規で有益な特性を得る一方で、生産される製品と一緒に又は少なくとも同様の方法で、プロバイオティクスを熱処理できることは好都合であろう。
【0009】
しかし、文献において細菌を不活性化するために使用される熱処理は一般に、工業規模で実行することが容易ではない、40〜100℃で変化する温度での長期間処理(20分から1時間以上まで)である。さらに、このような熱処理は一般に当技術分野で、プロバイオティクス活性の少なくとも部分的な喪失をもたらした。
【0010】
工業規模において、長期間熱処理は使用されないが、一般にUHT様熱処理などの短期間熱処理が使用される。この種の熱処理は細菌負荷を減少させ、処理時間を減少させ、それによって栄養素が損なわれることを減少させる。
【0011】
したがって、製品が典型的には製造工程の間に熱処理されるのと同様に熱処理することができ、炎症性障害の予防及び/若しくは治療などの健康上の利益を生じさせ又は改善する、生存している微生物、例えば、プロバイオティクス細菌又は乳製品スターターから得られる微生物細胞調製物を利用可能とすることが望ましい。
【0012】
工業的に熱処理して生存している細菌細胞を減少させることができ、この熱処理の結果として健康上の利益を生じさせ又は改善する微生物、例えば、プロバイオティクス細菌又は乳製品スターターを含む組成物を当技術分野に提供することは結果的に本発明の1つの目的であった。
【0013】
独立請求項の主題によって本発明の目的を達成できたことを本発明者らが見出したのは驚きであった。従属請求項は、本発明をさらに発展させる。
【0014】
短時間高温によって熱処理された微生物、例えば、プロバイオティクス菌株又は乳製品スターターは、当初の特性に関わらず抗炎症性免疫プロファイルを示すことを、本発明者らは初めて示す。特に新規な抗炎症性プロファイルが開発されるか、又は存在する抗炎症性プロファイルがこの熱処理によって増強される。
【0015】
したがって、たとえ生きた対応物が抗炎症性菌株でなくても、典型的な工業上利用可能な熱処理に相当する特定の熱処理パラメーターを使用することによって、抗炎症性免疫プロファイルを有する非複製微生物を生じさせることは今や可能である。
【0016】
この作用は、例えば、いくつかの微生物、例えば、ラクトバチルス及びビフィドバクテリウムに代表されるプロバイオティクス、並びにまた乳製品スターター培養物について観察されてきた。
【0017】
非複製プロバイオティクス微生物は、生きた対応物よりも取り扱うことが非常に簡単であるという利点を有する。さらに、非複製プロバイオティクス微生物は、非常により保存安定性があり、より厳密な包装条件を必要としない。
【0018】
非複製プロバイオティクス微生物によって、生きたプロバイオティクスを保護するさらなる手段なしでは、本来では生きたプロバイオティクスを加えることが可能とならない、多種多様の製品の開発が可能となる。これは、例えば、シリアルバー、果汁、UHT飲料、保存安定性のある飲料などの供給において役割を果たす。
【0019】
さらに例えば、重症の免疫不全の顧客において、生きたプロバイオティクスの使用は、菌血症が発生する潜在的な危険性によって、例外的な場合に限定されることがある。ここで本発明者らは、当初の免疫プロファイルに関わらず、抗炎症性プロファイルを有する生存していない細菌を生じさせる方法を提示する。
【0020】
さらに、非複製プロバイオティクス微生物を提供することは、消費者である患者についての健康上の利益を保持する一方で、例えば、粉末状の栄養組成物の高温の再構成を可能にする。
【0021】
本発明者の知る限り、抗炎症性プロファイルを有する非複製細菌を生じさせるための短時間の高温処理の使用は、まだ報告されてこなかった。
【0022】
結果的に、本発明の一実施形態は、微生物を含む組成物であり、微生物は、少なくとも71.5℃の高温処理に少なくとも1秒間供された。
【0023】
微生物は、好ましくは食物グレードの微生物である。微生物は、ヒト又は動物の消費のために承認されている場合、食物グレードである。
【0024】
一実施形態において、微生物は、プロバイオティクスでもよい。
【0025】
プロバイオティクスは、本発明の目的のために、「宿主の健康又は満足な状態に対して有益な作用を有する微生物細胞調製物又は微生物細胞の成分」と定義される(Salminen S、Ouwehand A.、Benno Y.ら「Probiotics:how should they be defined」Trends Food Sci.Technol.1999:10 107〜10)。
【0026】
さらなる実施形態において、微生物は、乳製品スターター培養物でもよい。
【0027】
好ましくは、微生物は、約71.5〜150℃の高温処理に約1〜120秒の短期間供された。
【0028】
より好ましくは、微生物は、約90〜140℃、例えば、90°〜120℃の高温処理に約1〜30秒の短期間供された。
【0029】
本発明の一実施形態において、この高温処理は、微生物を少なくとも部分的に非複製にする。
【0030】
「非複製」微生物には、熱処理された、例えば、プロバイオティクス細菌及び乳製品スターター培養物といった微生物が含まれる。これには、不活性化された、死んだ、生存していない、並びに/又はフラグメント(DNA、代謝物、細胞質化合物、及び/若しくは細胞壁材料など)として存在する微生物が含まれる。
【0031】
「非複製」とは、古典的なプレーティング法によって生存細胞及び/又はコロニー形成単位を検出することができないことを意味する。このような古典的なプレーティング法は、微生物学の書籍:James Monroe Jay、Martin J.Loessner、David A.Golden.2005、Modern food microbiology、第7版、Springer Science、New York、N.Y.790頁に要約されている。典型的には、生存細胞が存在しないことは、下記のように示すことができる。異なる濃度の細菌調製物(「非複製」試料)の播種、並びに適切な条件(少なくとも24時間の好気性及び/又は嫌気性雰囲気)下でのインキュベーション後に、寒天プレート上で目に見えるコロニーがない、又は液体増殖培地の混濁度の増加がない。
【0032】
高温処理は通常の大気圧で行い得るが、また高圧下で行い得る。典型的な圧力範囲は、1〜50バール、好ましくは1〜10バール、さらにより好ましくは2〜5バールである。明らかに、熱が加えられるとき、プロバイオティクスは、液体又は固体である培地中で熱処理されることが好ましい。したがって、加えられる理想的な圧力は、微生物がその中に供給される組成物の性質及び使用される温度によって決まる。
【0033】
高温処理は、約71.5〜150℃、好ましくは約90〜120℃、さらにより好ましくは約120〜140℃の温度範囲で行い得る。
【0034】
高温処理は、約1〜120秒、好ましくは、約1〜30秒、さらにより好ましくは約5〜15秒の短期間で行い得る。
【0035】
この所与の時間枠は、微生物、例えば、プロバイオティクス及び乳製品スターター培養物が所与の温度に供される時間を意味する。微生物がその中に供給される組成物の性質及び量によって、及び使用する加熱装置の構造によって、熱を加える時間は変化し得ることに留意されたい。
【0036】
しかし典型的には、本発明の組成物及び/又は微生物を、高温短時間(HTST)処理、瞬間殺菌又は超高温(UHT)処理によって処理する。
【0037】
UHT処理は、組成物を短時間、概ね1〜10秒間、乳中の細菌胞子を殺すのに必要とされる温度である135℃(275°F)を超える温度で加熱することによる組成物の少なくとも部分殺菌を伴う、超高温加工又は超熱処理(両方とも、UHTと省略)である。例えば、135℃を超える温度を使用してこのように乳を加工することは、必要な保持時間(2〜5秒まで)で細菌負荷の減少を可能にし、それによって連続流れ操作が可能となる。
【0038】
2つの主要なタイプのUHTシステム(直接及び間接システム)がある。直接システムにおいては、製品を水蒸気圧入又は水蒸気注入によって処理し、間接システムにおいては、製品を、プレート熱交換器、チューブ式熱交換器又はかき取り式表面熱交換器を使用して熱処理する。UHTシステムの組合せは、製品調製の工程において、任意のステップで又は複数のステップで適用し得る。
【0039】
HTST処理は、下記のように定義される(高温/短時間):乳中の生存している微生物の数の99.9999%を殺す、5−logの減少を達成するように設計される低温殺菌(パスチャライゼーション)法。これはほぼ全ての酵母、カビ及び一般の腐敗細菌を破壊するのに適当であると考えられ、一般の耐熱性の病原生物の適当な破壊をまた確実なものとする。HTST工程において、乳を71.7℃(161°F)に15〜20秒間加熱する。
【0040】
瞬間殺菌(フラッシュパスチャライゼーション)は、果汁及び野菜汁、ビール及び乳製品などの腐敗しやすい飲料の熱パスチャライゼーションの方法である。腐敗微生物を殺し、製品をより安全なものとし、それらの保存寿命を延ばすために、瞬間殺菌は容器への充填の前に行う。液体は、71.5℃(160°F)〜74℃(165°F)の温度に約15〜30秒間供される間、制御された連続流れに流入する。
【0041】
本発明の目的のために、「短時間高温処理」という用語には、例えば、高温短時間(HTST)処理、UHT処理、及び瞬間殺菌が含まれる。
【0042】
短時間高温処理によって非複製にされると、このように得られた非複製プロバイオティクスは、上記のような改善された又は新規な利点を示す。
【0043】
任意の量の上記のような非複製微生物は、有効である。しかし、プロバイオティクスの少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも98%、最も好ましくは少なくとも99%、理想的には少なくとも99.9%、最も理想的には全てが非複製である場合が、一般に好ましい。
【0044】
本発明の一実施形態において、全ての微生物は、非複製である。
【0045】
全ての微生物を、本発明の枠組みにおいて使用し得る。好ましくは、微生物は、食物グレードである。典型的な食物グレードの微生物は、プロバイオティクスである。
【0046】
好ましくは、プロバイオティクスが使用され、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、カンジダ属(Candida)、又はこれらの混合物からなる群から選択し得る。
【0047】
例えば、プロバイオティクスは、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、及び/又はこれらの混合物からなる群から選択し得る。
【0048】
乳製品スターター培養物は、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)属、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ラクトコッカス・ジアセチラクティス(Lactococcus diacetylactis)、ラクトコッカス・クレモリス(Lactococcus cremoris)、ラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・デルブレッキー(Lactobacillus delbrueckii)、及びこれらの混合物からなる群から選択し得る。
【0049】
例えば、約71.5〜150℃での約1〜120秒の短時間の高温処理が行われることが必須である。この処理は、生存している及び/又は生存していないプロバイオティクスに適用し得る。
【0050】
例えば、約71.5〜150℃での約1〜120秒の短時間の、複数の高温処理を行い得る。
【0051】
本発明の一実施形態において、プロバイオティクスは、ビフィドバクテリウム属、ラクトバチルス属及びエシェリキア属(Escherichia)又はこれらの組合せからなる群から選択される。
【0052】
ビフィドバクテリウム属の典型的な例は、ビフィドバクテリウム・ロンガム、ビフィドバクテリウム・ブレーベ又はビフィドバクテリウム・ラクティスである。ラクトバチルス属の典型的な例は、ラクトバチルス・パラカゼイ、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・アシドフィルス又はラクトバチルス・ラムノサスである。エシェリキア属の典型的な例は、健康上の利益と称されるものを有するエシェリキア・コリ(Escherichia coli)菌株である。
【0053】
本発明の一実施形態において、乳製品スターター培養物は、ストレプトコッカス・サーモフィルス、ラクトバチルス・ヘルベティカス、ラクトバチルス・デルブレッキー及びラクトコッカス・ラクティスである。
【0054】
さらに、例えば、プロバイオティクスは、ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC3001、ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC2705、ビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950、ビフィドバクテリウム・ラクティスNCC2818、ラクトバチルス・パラカゼイNCC2461、ラクトバチルス・カゼイNCC4006、ラクトバチルス・カゼイACA−DC6002(NCC1825)、ラクトバチルス・ラムノサスNCC4007、ラクトバチルス・アシドフィルスNCC3009、エシェリキア・コリNissle1917、又はこれらの組合せからなる群から選択し得る。
【0055】
さらに、例えば、乳製品スターターは、ストレプトコッカス・サーモフィルスNCC2019、ストレプトコッカス・サーモフィルスNCC2059、ラクトバチルス・デルブレッキー・ブルガリクス亜種(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)NCC15及びラクトコッカス・ラクティスNCC2287からなる群から選択し得る。
【0056】
全ての菌株を、ブダペスト条約の元で下記のように寄託した。
ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC3001:ATCC BAA−999
ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC2705:CNCM I−2618
ビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950 CNCM I−3865
ビフィドバクテリウム・ラクティスNCC2818:CNCM I−3446
ラクトバチルス・パラカゼイNCC2461:CNCM I−2116
ラクトバチルス・ラムノサスNCC4007:CGMCC1.3724
ストレプトコッカス・サーモフィルスNCC2019:CNCM I−1422
ストレプトコッカス・サーモフィルスNCC2059:CNCM I−4153
ラクトコッカス・ラクティスNCC2287:CNCM I−4154
ラクトバチルス・カゼイNCC4006:CNCM I−1518
ラクトバチルス・カゼイNCC1825:ACA−DC6002
ラクトバチルス・アシドフィルスNCC3009:ATCC700396
ラクトバチルス・ブルガリカスNCC15:CNCM I−1198
エシェリキア・コリNissle1917:DSM6601
【0057】
本発明の組成物は、炎症性障害及び/又はそれらの合併症を少なくとも部分的に治療するのに十分な量の、短時間高温処理された微生物を含む。これを達成するのに適当な量は、「治療有効用量」と定義される。この目的のために有効な量は、疾患の重症度並びに消費者の体重及び身体全体の健康状態などの当業者には公知のいくつかの要因、並びに食品マトリックスの作用によって決まる。
【0058】
予防的用途において、本発明による組成物を、炎症性障害の影響を受けやすい又はそうでなければ炎症性障害の危険性がある消費者に、炎症性障害が発生する危険性を少なくとも部分的に減少させるのに十分な量で投与する。このような量は、「予防有効用量」であると定義される。ここでまた、正確な量は、患者の健康状態及び体重などのいくつかの患者特有の要因、並びに食品マトリックスの作用によって決まる。
【0059】
当業者であれば、治療有効用量及び/又は予防有効用量を適切に調節することができる。
【0060】
一般に、本発明の組成物は、「短時間高温」処理された微生物を治療有効用量及び/又は予防有効用量で含有する。
【0061】
典型的には、治療有効用量及び/又は予防有効用量は、1日用量当たり約0,005mg〜1000mgの範囲の非複製の「短時間高温」処理された微生物である。
【0062】
数値量に関して、「短時間高温」処理された非複製微生物は、組成物中に10〜1012当量cfu/g乾燥組成物に相当する量で存在し得る。明らかに、非複製微生物は、コロニーを形成しない。結果的に、この用語は、10〜1012cfu/gの複製細菌から得られる非複製微生物の量と理解される。これには、不活性化された、生存していない、又は死んだ、又はフラグメント(DNA若しくは細胞壁若しくは細胞質化合物など)として存在する微生物が含まれる。すなわち、組成物が含有する微生物の量は、微生物が実際は不活性化された、又は死んだ、断片化された、又はこれらの状態の任意若しくは全ての混合物などの非複製であろうとなかろうとに関わりなく、全ての微生物が生きているかのように、微生物の量のコロニー形成能(cfu)に関して表される。
【0063】
好ましくは、微生物は、10〜10cfu/g乾燥組成物に相当する量で、よりさらに好ましくは10〜10cfu/g乾燥組成物に相当する量で存在する。
【0064】
本発明の組成物は、任意の種類の組成物でもよい。組成物は、例えば、経口的、経腸的、非経口的(皮下又は筋肉内)、膣内、直腸内、局所的又は目に投与し得る。例えば、組成物は、医薬組成物、栄養補助食品、食品添加物、化粧用組成物、ペットフード、食品、又は飲料でもよい。
【0065】
本発明による食料製品には、例えば、乳製品(発酵乳製品、例えば、ヨーグルト、バターミルクなど);アイスクリーム;濃縮乳;乳;生クリーム;香味付け乳飲料;ホエイをベースとする飲料;トッピング;コーヒークリーマー;チョコレート;チーズをベースとする製品;スープ;ソース;ピューレ;ドレッシング;プディング;カスタード;ベビーフード;例えば、乳幼児、小児、ティーンエイジャー、成人、高齢者又は重症者のための、完全栄養のためのものなどの栄養調製乳;シリアル及びシリアルバーが含まれる。
【0066】
飲料には、例えば、乳又はヨーグルトをベースとする飲料、発酵乳、タンパク質飲料、コーヒー、茶、エネルギー飲料、大豆飲料、果物及び/又は野菜飲料、果物及び/又は野菜ジュースが含まれる。
【0067】
化粧用組成物には、例えば、ローション、シャンプー、点眼薬、クリームが含まれてもよい。
【0068】
食品添加物又は医薬品は、例えば、錠剤;カプセル剤;トローチ;サシェ剤;ゲル剤;又は液剤、例えば、栄養溶液の形態でもよい。
【0069】
組成物は、保護親水コロイド(ガム、タンパク質、加工デンプンなど)、結合剤、フィルム形成剤、カプセル化剤/材料、壁/殻材料、マトリックス化合物、コーティング、乳化剤、表面活性剤、可溶化剤(油、脂肪、ワックス、レシチンなど)、吸着剤、担体、充填剤、共化合物、分散化剤、湿潤剤、加工助剤(溶媒)、流動剤、矯味剤、増量剤、ゼリー化剤、ゲル形成剤、抗酸化剤及び抗菌剤をさらに含有し得る。組成物はまた、これらに限定されないが、水、任意の起源のゼラチン、植物ガム、リグニンスルホネート、タルク、糖、デンプン、アラビアゴム、植物油、ポリアルキレングリコール、香味剤、保存剤、安定剤、乳化剤、緩衝液、滑沢剤、着色剤、湿潤剤、充填剤などを含めた、通常の医薬品添加物及びアジュバント、賦形剤及び希釈剤を含有し得る。
【0070】
さらに、組成物は、経口又は経腸投与に適した有機又は無機担体材料、並びにビタミン、ミネラルの微量元素、及びUSRDAなどの政府機関省庁の推奨に従った他の微量栄養素を含有し得る。
【0071】
本発明の組成物は、組成物の使用目的によって他の薬剤をさらに含み得る。例えば、疼痛又は熱軽減剤を使用して、炎症性障害によってもたらされる不快感を最小化するのを助け得る。
【0072】
安定化剤を加えて、組成物及びその構成要素を安定化し得る。
【0073】
香味剤及び/又は着色剤を加えて、フレーバーを調節し、同定することが容易で、及び/又は好ましいと受け取られる色を組成物に与え得る。
【0074】
プレバイオティクスを加えてもよい。プレバイオティクスは、プロバイオティクスを非複製にする前に、プロバイオティクスの増殖をサポートし得る。プレバイオティクスはまた、組成物中に存在し、及び/又は加えられてもよい、生存しているプロバイオティクス細菌と相乗的に作用し得る。
【0075】
「プレバイオティクス」とは、腸内の健康に有益な微生物及び/又はプロバイオティクスの増殖を促進する、消化できない食品を意味する。プレバイオティクスは、プレバイオティクスを摂取した人の胃及び/若しくは腸上部で分解、又は消化管内で吸収されないが、プレバイオティクスは、胃腸の微生物叢及び/又はプロバイオティクスによって発酵する。プレバイオティクスは、例えば、Glenn R.Gibson及びMarcel B.Roberfroid、Dietary Modulation of the Human Colonic Microbiota:Introducing the Concept of Prebiotics、J.Nutr.1995 125:1401〜1412によって定義されている。
【0076】
本発明によって使用し得るプレバイオティクスは特に限定されず、腸内でプロバイオティクス又は健康に有益な微生物の増殖を促進する全ての食品が含まれる。好ましくは、プレバイオティクスは、フルクトース、ガラクトース、マンノースを任意選択で含有するオリゴ糖;食物繊維、特に、可溶性繊維、大豆繊維;イヌリン;又はこれらの混合物からなる群から選択し得る。好ましいプレバイオティクスは、フルクトオリゴ糖(FOS)、ガラクトオリゴ糖(GOS)、イソマルトオリゴ糖(IMO)、キシロオリゴ糖(XOS)、アラビノキシロオリゴ糖(AXOS)、マンナンオリゴ糖(MOS)、大豆オリゴ糖、グリコシルスクロース(GS)、ラクトスクロース(LS)、ラクツロース(LA)、パラチノースオリゴ糖(PAO)、マルトオリゴ糖、ガム及び/又はその水解物、ペクチン及び/又はその水解物である。
【0077】
さらなるプロバイオティクスを、組成物に加えてもよい。全てのプロバイオティクス微生物を、さらに加えてもよい。好ましくは、プロバイオティクスは、この目的のために、ビフィドバクテリウム属、ラクトバチルス属、ラクトコッカス属、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ストレプトコッカス属、クリベロマイセス属(Kluyveromyces)、サッカロマイセス属(Saccharomyces)、カンジダ属、エシェリキア属、特にビフィドバクテリウム・ロンガム、ビフィドバクテリウム・ラクティス、ビフィドバクテリウム・アニマリス、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、ビフィドバクテリウム・インファンティス、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・パラカゼイ、ラクトバチルス・サリバリウス、ラクトバチルス・ラクチス(Lactobacillus lactis)、ラクトバチルス・ロイテリ、ラクトバチルス・ラムノサス、ラクトバチルス・ジョンソニイ、ラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・サリバリウス、ラクトコッカス・ラクティス、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロマイセス・ブラウディ(Saccharomyces boulardii)、エシェリキア・コリ又はこれらの混合物からなる群から選択されるもの、好ましくはビフィドバクテリウム・ロンガムNCC3001(ATCC BAA−999)、ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC2705(CNCM I−2618)、ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC490(CNCM I−2170)、ビフィドバクテリウム・ラクティスNCC2818(CNCM I−3446)、ビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950(CNCM I−3865)、ラクトバチルス・パラカゼイNCC 2461(CNCM I−2116)、ラクトバチルス・ジョンソニイNCC533(CNCM I−1225)、ラクトバチルス・ラムノサスGG(ATCC53103)、ラクトバチルス・ラムノサスNCC4007(CGMCC1.3724)、エンテロコッカス・フェシウムSF68(NCC2768;NCIMB10415)、及びこれらの混合物からなる群から選択されるもの、からなる群から選択し得る。
【0078】
本発明の組成物は、任意の哺乳動物を対象とし得るが、好ましくはヒト又はペットを対象とする。
【0079】
組成物はまた、毎日の食事において必須であると理解される全てのビタミン及びミネラルを栄養的に有意な量で含有し得る。必要最小限は、特定のビタミン及びミネラルについて確立されてきた。組成物中に任意選択で存在するミネラル、ビタミン及び他の栄養素の例には、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンC、ビタミンD、葉酸、イノシトール、ナイアシン、ビオチン、パントテン酸、コリン、カルシウム、リン、ヨウ素、鉄、マグネシウム、銅、亜鉛、マンガン、塩化物、カリウム、ナトリウム、セレン、クロム、モリブデン、タウリン、及びL−カルニチンが含まれる。ミネラルは通常塩の形態で加えられる。特定のミネラル及び他のビタミンの存在及び量は、意図される消費者によって変化する。
【0080】
本発明の組成物は、少なくとも1種のタンパク質源、少なくとも1種の炭水化物源及び少なくとも1種の脂質源を含有し得る。
【0081】
任意の適切な食物タンパク質、例えば、動物性タンパク質(乳タンパク質、肉タンパク質及び卵タンパク質など);植物性タンパク質(大豆タンパク質、小麦タンパク質、米タンパク質、及びエンドウ豆タンパク質など);遊離アミノ酸の混合物;又はこれらの組合せを使用し得る。
【0082】
乳タンパク質(カゼイン及びホエイなど)、並びに大豆タンパク質が特に好ましい。ホエイタンパク質に関する限り、タンパク質源は、酸ホエイ又はスイートホエイ又はこれらの混合物をベースとしてもよく、所望の割合でα−ラクトアルブミン及びβ−ラクトグロブリンが含まれてもよい。
【0083】
しかし、好ましくは、特に組成物が乳幼児用補給調製乳である場合、タンパク質源は加工スイートホエイをベースとする。スイートホエイは、容易に利用できるチーズ作製の副産物であり、牛乳をベースとする乳幼児用調製乳の製造において使用されることが多い。
【0084】
タンパク質は、そのままの、又は加水分解された、又はそのままのタンパク質と加水分解されたタンパク質の混合物でもよい。部分的に加水分解されたタンパク質(2〜20%の加水分解の程度)を供給することが望ましいことがある。
【0085】
加水分解されたタンパク質が必要な場合、加水分解工程は、所望のように、当技術分野において公知のように行い得る。例えば、ホエイタンパク質加水分解物は、1つ又は複数のステップにおいてホエイ画分を酵素的に加水分解することによって調製し得る。
【0086】
本発明の組成物がタンパク質源を含有する場合、組成物中のタンパク質又はタンパク質同等物の量は典型的には、1.6〜7.5g/100kcal組成物の範囲である。
【0087】
特に栄養調製乳について、必須アミノ酸含量の必要最小限が満たされるタンパク質源を供給すべきである。
【0088】
組成物が炭水化物源を含有する場合、使用される炭水化物の種類は、特に限定されない。任意の適切な炭水化物、例えば、スクロース、ラクトース、グルコース、フルクトース、コーンシロップ固形物、マルトデキストリン、デンプン及びこれらの混合物を使用し得る。異なる炭水化物源の組合せを使用し得る。炭水化物は、組成物のエネルギーの30%〜80%を好ましくは供給し得る。例えば、組成物は、9〜18g/100kcal組成物の量の炭水化物源を含み得る。
【0089】
組成物が脂質源を含有する場合、使用される脂質の種類は、特に限定されない。組成物が脂質源を含む場合、脂質源は、組成物のエネルギーの5%〜70%を供給し得る。長鎖n−3及び/又はn−6多価不飽和脂肪酸(DHA、ARA及び/又はEPAなど)を加え得る。適切な脂肪プロファイルは、菜種油、トウモロコシ油、高オレイン酸ヒマワリ油及び中鎖トリグリセリド油のブレンドを使用して得てもよい。組成物は、1.5〜7g/100kcal組成物の量の脂質源を含み得る。
【0090】
食物繊維もまた加えてもよい。食物繊維は可溶性又は不溶性でよく、一般に2つのタイプのブレンドが好ましい。食物繊維の適切な源には、大豆、エンドウ豆、オートムギ、ペクチン、グアーガム、アラビアゴム、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、シアリル−ラクトース及び動物乳由来のオリゴ糖が含まれる。好ましい繊維ブレンドは、イヌリンとより短鎖のフラクトオリゴ糖との混合物である。
【0091】
本発明の組成物は、当技術分野において公知の任意の態様によって調製し得る。例えば、組成物が乳幼児用補給調製乳などの栄養調製乳である場合、組成物は、タンパク質源、炭水化物源、及び脂肪源を適切な割合で一緒にブレンドすることによって調製し得る。使用される場合、乳化剤をブレンド中に含み得る。ビタミン及びミネラルはこの時点で加えてもよいが、熱劣化を避けるために通常後で加えられる。任意の親油性ビタミン、乳化剤などを、ブレンドする前に、脂肪源に溶解してもよい。次いで、水、好ましくは逆浸透に供した水を混入し、液体混合物を形成し得る。
【0092】
次いで、液体混合物を熱処理して、細菌負荷を減少させ得る。例えば、液体混合物は、約120℃〜約140℃の範囲の温度に約5秒〜約30秒間急速に加熱し得る。加熱は、蒸気圧入によって、又は熱交換器、例えば、プレート熱交換器によって行い得る。
【0093】
次いで、液体混合物は、例えば、フラッシュ冷却によって約60℃〜約85℃に冷却し得る。次いで、液体混合物は、例えば、2段階(第1の段階で約7MPa〜約40MPa及び第2の段階で約2MPa〜約14MPa)でホモジナイズし得る。次いで、ホモジナイズされた混合物をさらに冷却して、ビタミン及びミネラルなどの任意の熱に弱い成分に加え得る。
【0094】
ホモジナイズされた混合物のpH及び固形分は、この時点で好都合に標準化される。ホモジナイズされた混合物を、適切な乾燥装置(噴霧乾燥機又は凍結乾燥機など)に移し、粉末に変える。粉末は、約5重量%未満の含水率を有するべきである。
【0095】
プロバイオティクスを任意の適切な方法によって培養し、栄養組成物に加えるために、例えば、凍結乾燥又は噴霧乾燥によって調製し得る。次いで、プロバイオティクスを組成物に加え、その後組成物を熱処理して、細菌負荷を減少させ得る。これによって、プロバイオティクスを自動的に少なくとも部分的に非複製にする。
【0096】
代わりに、当然ながら、プロバイオティクスはまた、個々に短時間高温処理され、次いで組成物に、例えば、液体又は粉末形態で非複製プロバイオティクスとして加え得る。
【0097】
選択したプロバイオティクス(複数可)を任意の適切な方法によって培養し、組成物に加えるために、例えば、凍結乾燥又は噴霧乾燥によって調製し得る。代わりに、細菌調製物は、食料製品に加えるために適切な形態で既に調製されて、専門の供給業者から購入することができる。
【0098】
生菌及び「短時間高温」処理されたプロバイオティクス細菌調製物の免疫プロファイルを分析することによって、本発明者らは、ヒト血液細胞から特定のサイトカインの分泌を誘発するプロバイオティクスの能力を評価した。
【0099】
生存しているプロバイオティクスの免疫プロファイルを、「短時間高温」処理された細胞の免疫プロファイルと比較した。「短時間高温」処理されたプロバイオティクスは、生きた対応物よりも異なるレベルのサイトカイン分泌を誘発することが見出された。
【0100】
「短時間高温」処理されたプロバイオティクスは、生きた対応物と比較してより多くのIL−10分泌を維持又は誘発する一方で、炎症促進性サイトカイン(TNF−α、IFN−γ、IL−12p40)をより誘発しなかった。このように得られたIL−12p40/IL−10比は、生細胞と比較して、任意の「短時間高温」処理されたプロバイオティクスについてより低かった。対照的に、85℃で20分間熱処理された細菌は、生細胞より多くの炎症促進性サイトカイン及びより少ないIL−10を誘発し、より高いIL−12p40/IL−10比をもたらし、その種類の熱処理が本発明に必須であることを示した。
【0101】
PBMCをプロバイオティクスとインビトロでインキュベートすることによって得たIL−12p40/IL−10比は、インビボの抗炎症作用を予測する(Foligne,B.ら、2007、World J.Gastroenterol.13:236〜243)。
【0102】
本発明はまた、炎症性障害を治療又は予防するための本発明の組成物に関する。
【0103】
結果的に、一実施形態は、炎症性障害を治療又は予防する製品の調製のための、本発明の組成物の使用である。
【0104】
本発明の使用によって調製される組成物によって治療又は予防することができる抗炎症性障害は、特に限定されない。
【0105】
例えば、本発明の組成物によって治療又は予防することができる抗炎症性障害は、急性炎症(敗血症など);火傷;及び慢性炎症(炎症性腸疾患、例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、嚢炎など);壊死性腸炎;皮膚炎(UV又は化学物質が誘発する皮膚炎、湿疹、反応性皮膚など);過敏性腸症候群;眼炎;アレルギー、喘息;肥満が関連する炎症;年齢が関連する軽度の炎症、及びこれらの組合せからなる群から選択し得る。
【0106】
本発明はまた、微生物を少なくとも71.5℃の高温処理に少なくとも1秒間の短時間、例えば、約71.5〜150℃の高温処理に約1〜120秒の短期間供するステップを含む、抗炎症作用を有する微生物、例えば、プロバイオティクス及び/若しくは乳製品スターター培養物、特に生存しているプロバイオティクス及び/若しくは生存している乳製品スターター培養物を提供する方法、又は微生物、特に、生存しているプロバイオティクス及び/若しくは生存している乳製品スターター培養物の抗炎症作用を改善する方法に及ぶ。
【0107】
生存しているプロバイオティクス及び/又は乳製品スターター培養物がこの方法において使用される場合、「短時間高温」処理は、プロバイオティクス及び/又は乳製品スターター培養物の少なくとも一部を非複製にすることをもたらす。
【0108】
「短時間高温」処理は、プロバイオティクスの少なくとも90%、好ましくは、少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも98%、最も好ましくは少なくとも99%、理想的には少なくとも99.9%、最も理想的には全てを非複製にすることをもたらし得る。
【0109】
本発明の好ましい実施形態において、方法は、生存しているプロバイオティクスを組成物に加えるステップと、プロバイオティクス含有組成物を「短時間高温」処理に供するステップとを含む。
【0110】
微生物はまた、製品への補充の前に熱処理し得る。
【0111】
組成物は任意の組成物でよいが、例えば、プロバイオティクスが補充された食物又は栄養製品又は飲料である。
【0112】
これに従って、本発明はまた、微生物を少なくとも71.5℃の高温処理に少なくとも1秒間、例えば、約71.5〜150℃の高温処理に約1〜120秒の短期間供するステップを含む、抗炎症性特性を有する微生物、例えば、プロバイオティクス及び/若しくは乳製品スターター培養物、好ましくは生存しているプロバイオティクス及び/若しくは生存している乳製品スターター培養物を含む組成物を提供する方法、又はその存在する抗炎症性特性を改善する方法に及ぶ。
【0113】
「短時間高温」処理ステップは、工業施設において好都合に行うことができるが、例えば、スチーマーを使用して家庭で行うこともまたできる。このように、消費の直前に抗炎症効果を製品に与えることができる。
【0114】
本明細書に記載されている本発明の全ての特徴を、開示されているような本発明の範囲から逸脱することなく自由に組み合わせることができることを、当業者であれば理解するであろう。特に、本発明の使用及び方法について記載される特徴は、組成物及び本発明の方法に適用し得る(逆の場合も同じ)。
【0115】
本発明のさらなる利点及び特徴は、下記の実施例及び図から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1A】「短時間高温」で処理されたプロバイオティクスの抗炎症性免疫プロファイルの増強を示す。
【図1B】「短時間高温」で処理されたプロバイオティクスの抗炎症性免疫プロファイルの増強を示す。
【図2】「短時間高温」で処理された後、抗炎症性となる、すなわちインビトロで明白な抗炎症性免疫プロファイルを示す、非抗炎症性プロバイオティクス菌株を示す。
【図3A】「短時間高温」で処理された後、インビトロで増強した又は新規な抗炎症性免疫プロファイルを示す、市販の製品中で使用されているプロバイオティクス菌株を示す。
【図3B】「短時間高温」で処理された後、インビトロで増強した又は新規な抗炎症性免疫プロファイルを示す、市販の製品中で使用されているプロバイオティクス菌株を示す。
【図4A】高温での熱処理によって、インビトロで増強した又は新規な抗炎症性免疫プロファイルを示す、乳製品スターター菌株(すなわち、Lc1スターター菌株)を示す。
【図4B】高温での熱処理によって、インビトロで増強した又は新規な抗炎症性免疫プロファイルを示す、乳製品スターター菌株(すなわち、Lc1スターター菌株)を示す。
【図5】HTST処理で処理された後に、インビトロで抗炎症性免疫プロファイルを示す、非抗炎症性プロバイオティクス菌株を示す。
【図6】生菌及び熱処理された(140℃、15秒間)形態の、プロバイオティクス及び乳製品スターター菌株によって生じた、PBMCデータ上の主成分分析(IL−12p40、IFN−γ、TNF−α、IL−10)。各点は、そのNCC番号又は名称によって同定される、生菌又は熱処理された1つの菌株を表す。
【図7】生菌株及び熱処理された(85℃、20分)菌株のIL−12p40/IL−10比を示す。全体的に、85℃での20分間の熱処理は、本発明の「短時間高温」処理とは対照的に、IL−12p40/IL−10比の増加をもたらす(図1、2、3、4及び5)。
【実施例】
【0117】
方法
細菌調製物:
生きたプロバイオティクスによってもたらされる宿主の免疫系に対する健康上の利益は一般に、菌株特異的であると考えられる。高レベルのIL−10及び/又は低レベルの炎症促進性サイトカインをインビトロで誘発するプロバイオティクス(PBMCアッセイ)は、インビボで強力な抗炎症性菌株であることが示されてきた(Foligne,B.ら、2007、World J.Gastroenterol.13:236〜243)。
【0118】
いくつかのプロバイオティクス菌株を使用して、熱処理されたプロバイオティクスの抗炎症性特性を調査した。これらは、ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC3001、ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC2705、ビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950、ビフィドバクテリウム・ラクティスNCC2818、ラクトバチルス・パラカゼイNCC2461、ラクトバチルス・ラムノサスNCC4007、ラクトバチルス・カゼイNCC4006、ラクトバチルス・アシドフィルスNCC3009、ラクトバチルス・カゼイACA−DC6002(NCC1825)、及びエシェリキア・コリNissleであった。Nestle Lc1発酵製品を生産するために商業的に使用されるいくつかの菌株を含めたいくつかのスターター培養菌株(ストレプトコッカス・サーモフィルスNCC2019、ストレプトコッカス・サーモフィルスNCC2059、ラクトバチルス・ブルガリカスNCC15及びラクトコッカス・ラクティスNCC2287)もまた試験した。
【0119】
細菌細胞は、5〜15Lのバイオリアクター中で各菌株について最適化した条件で培養した。全ての典型的な細菌増殖培地が使用可能である。このような培地は、当業者には公知である。pHを5.5に調節したとき、30%塩基溶液(NaOH又はCa(OH))を連続的に加えた。適当であるとき、ヘッドスペースをCOでガス処理することによって嫌気性条件を維持した。E.コリを、標準的な好気条件下で培養した。
【0120】
細菌細胞を、遠心分離(5,000×g、4℃)によって集め、概ね10〜1010cfu/mlの最終濃度に達するように、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)に適当な容量で再懸濁させた。調製物の一部を、−80℃で15%グリセロールと共に冷凍した。別の部分の細胞を、以下によって熱処理した。
超高温:140℃、15秒間;間接蒸気圧入による。
高温短時間(HTST):74℃、90℃及び120℃、15秒間、間接蒸気圧入による。
ウォーターバス中で長時間低温(85℃、20分)。
【0121】
熱処理した上で、試料を使用するまで−80℃で冷凍して保持した。
【0122】
細菌調製物のインビトロ免疫プロファイリング:
生細菌調製物及び熱処理された細菌調製物の免疫プロファイル(すなわち、インビトロでヒト血液細胞からの特定のサイトカインの分泌を誘発する能力)を評価した。ヒト末梢血単核球細胞(PBMC)を、血液フィルターから単離した。細胞密度勾配による分離の後、単核細胞を集め、ハンクス平衡塩類溶液で2度洗浄した。次いで、細胞を、10%ウシ胎仔血清(Bioconcept、Paris、france)、1%L−グルタミン(Sigma)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Sigma)及び0.1%ゲンタマイシン(Sigma)を補充したIscoveの改変ダルベッコ培地(IMDM、Sigma)に再懸濁させた。次いで、PBMC(7×10細胞/ウェル)を、生細菌及び熱処理された細菌(7×10当量cfu/ウェル)と共に48ウェルプレート中で36時間インキュベートした。生細菌及び熱処理された細菌の効果を、2つの別々の実験に分割した8人の個々のドナーからのPBMC上で試験した。36時間のインキュベーション後、培養プレートを冷凍し、サイトカイン測定まで−20℃で保持した。サイトカインプロファイリングは、生細菌及びそれらの熱処理された対応物について平行(すなわち、PBMCの同じバッチ上の同じ実験で)で行った。
【0123】
36時間のインキュベーション後の細胞培養上清中のサイトカイン(IFN−γ、IL−12p40、TNF−α及びIL−10)のレベルは、製造者の指示に従ってELISA(R&D DuoSet Human IL−10、BD OptEIA Human IL12p40、BD OptEIA Human TNFα、BD OptEIA Human IFN−γ)によって決定した。IFN−γ、IL−12p40及びTNF−αは、炎症促進性サイトカインであり、一方、IL−10は、強力な抗炎症メディエーターである。結果は、4人の個々のドナーの平均(pg/ml)+/−SEMとして表すが、各々4人のドナーで行う2つの個々の実験の代表である。比IL−12p40/IL−10は、各菌株についてインビボの抗炎症効果の予測値として計算する(Foligne,B.ら、2007、World J.Gastroenterol.13:236〜243)。
【0124】
各菌株についてのELISA(上記を参照されたい)によって決定したサイトカインの数値(pg/ml)を、BioNumerics v5.10ソフトウェア(Applied Maths、Sint−Martens−Latem、Belgium)に移した。主成分分析(PCA、ディメンショニング技術)を、このセットのデータで行った。文字についての平均の引き算、及び文字についての分散値による割り算を、この分析に含めた。
【0125】
結果
超高温(UHT)/高温短時間(HTST)様処理によって生じた抗炎症性プロファイル
調査中のプロバイオティクス菌株を、一連の熱処理(超高温(UHT)、高温短時間(HTST)及び85℃、20分間)に供し、それらの免疫プロファイルを、インビトロでの生細胞の免疫プロファイルと比較した。生きた微生物(プロバイオティクス及び/又は乳製品スターター培養物)は、ヒトPBMCと共にインキュベートしたとき、異なるレベルのサイトカイン産生を誘発した(図1、2、3、4及び5)。これらの微生物の熱処理は、温度依存的態様でPBMCによって産生されたサイトカインのレベルを変更させた。「短時間高温」処理(120℃又は140℃、15秒間)は、抗炎症性免疫プロファイルを有する非複製細菌を生じさせた(図1、2、3及び4)。実際に、UHT様処理した菌株(140℃、15秒間)は、さらなるIL−10産生を維持又は誘発する一方で、より少ない炎症促進性サイトカイン(TNF−α、IFN−γ、IL−12p40)を誘発した(生きた対応物と比較して)。このように得られたIL−12p40/IL−10比は、生細胞と比較して、任意のUHT様処理した菌株についてより低かった(図1、2、3及び4)。この観察はまた、HTST様処理によって処理された、すなわち120℃に15秒間(図1、2、3及び4)、又は74℃及び90℃に15秒間(図5)供された細菌について有効であった。熱処理(UHT様又はHTST様処理)は、プロバイオティクス菌株(図1、2、3及び5)及び乳製品スターター培養物(図4)のインビトロの免疫プロファイルに対して同様の作用を有した。生きたプロバイオティクス及び熱処理された(140℃、15秒間)プロバイオティクス並びに乳製品スターター菌株によって産生されたPBMCデータ上の主成分分析によって、生菌株はx軸に沿って至る所に分布することが明らかになったが、これは菌株が非常に異なる免疫プロファイルをインビトロで示すことを例示する(低(左側)から高(右側)までの炎症促進性サイトカインの誘発物質)。熱処理された菌株はグラフの左側上に集まり、炎症促進性サイトカインは熱処理された菌株によってより少なく誘発されることが示される(図6)。対照的に、20分間85℃で熱処理された細菌は、生細胞よりもより多く炎症促進性サイトカインを、及びより少なくIL−10を誘発し、その結果、より高いIL−12p40/IL−10比がもたらされた(図7)。
【0126】
抗炎症性プロファイルは、UHT様及びHTST様処理によって増強又は生じる。
【0127】
UHT及びHTST処理された菌株は、それらの各々の当初の免疫プロファイル(生細胞)に関わらず、抗炎症性プロファイルを示す。インビボで抗炎症性であることが公知であり、インビトロで抗炎症性プロファイルを示すプロバイオティクス菌株(B.ロンガムNCC3001、B.ロンガムNCC2705、B.ブレーベNCC2950、B.ラクティスNCC2818)は、「短時間高温」処理後に、増強された抗炎症性プロファイルをインビトロで示すことが示された。図1に示すように、UHT様処理されたビフィドバクテリウム属菌株のIL−12p40/IL−10比は、生きた対応物のそれより低く、したがって、UHT様処理された試料の改善された抗炎症性プロファイルが示された。より顕著には、UHT様及びHTST様処理によって抗炎症性プロファイルが生じたことは、非抗炎症性の生菌株についても確認された。生菌のL.ラムノサスNCC4007及びL.パラカゼイNCC2461の両方は、高いIL−12p40/IL−10比をインビトロで示す(図2及び5)。2つの生菌株は、マウスにおいてTNBSが誘発する大腸炎に対して保護性でないことが示された。L.ラムノサスNCC4007及びL.パラカゼイNCC2461によって誘発されたIL−12p40/IL−10比は、「短時間高温」処理(UHT又はHTST)後に劇的に減少し、ビフィドバクテリウム属菌株で得られたものと同じぐらい低いレベルに達した。これらの低いIL−12p40/IL−10比は、IL−10分泌についての変化なし(L.ラムノサスNCC4007)又は劇的な誘発(L.パラカゼイNCC2461)と合わせて、低レベルのIL−12p40産生によるものである(図2)。
【0128】
結果として、
生きた微生物の抗炎症性プロファイルは、UHT様及びHTST様熱処理によって増強させることができ(例えば、B.ロンガムNCC2705、B.ロンガムNCC3001、B.ブレーベNCC2950、B.ラクティスNCC2818)、
抗炎症性プロファイルは、非抗炎症性の生きた微生物(例えば、L.ラムノサスNCC4007、L.パラカゼイNCC2461、乳製品スターターであるS.サーモフィルスNCC2019)からUHT様及びHTST様熱処理によって生じさせることができ、
抗炎症性プロファイルは、プロバイオティクスのE.コリ菌株を含めた市販の製品から単離した菌株についても示された(図3A及びB)。
【0129】
UHT/HTST様処理の影響は、全ての試験したプロバイオティクス及び乳製品スターター、例えば、ラクトバチルス属、ビフィドバクテリウム属及びストレプトコッカス属について同様であった。
【0130】
UHT/HTST様処理を、異なるインビトロの免疫プロファイルを示すいくつかのラクトバチルス属、ビフィドバクテリウム属及びストレプトコッカス属に適用した。全ての菌株は、UHT/HTST様処理後に、生きた対応物より低い炎症促進性サイトカインを誘発した(図1、2、3、4、5及び6)が、これはこのように得られた非複製細菌の免疫特性に対するUHT/HTST様処理の効果が、全てのプロバイオティクス、特にラクトバチルス属及びビフィドバクテリウム属及び特定のE.コリ菌株、及び全ての乳製品スターター培養物、特にストレプトコッカス属、ラクトコッカス属及びラクトバチルス属に一般化することができることを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物を含む抗炎症性組成物であって、前記微生物が少なくとも71.5℃で少なくとも1秒間の高温処理に供された、抗炎症性組成物。
【請求項2】
前記微生物が、食物グレードの微生物、例えば、プロバイオティクス、乳製品スターター培養物又はこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記高温処理が、約1〜120秒間の短時間の約71.5〜150℃の高温処理であり、好ましくは高温/短時間(HTST)処理又は超高温(UHT)処理である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記プロバイオティクスの少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも98%、最も好ましくは少なくとも99%、理想的には少なくとも99.9%、最も理想的には全てが非複製である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記プロバイオティクス及び/又は前記乳製品スターターが、ビフィドバクテリウム属(bifidobacteria)、ラクトバチルス属(lacrobacilli)、プロピオニバクテリウム属(propionibacteria)、又はこれらの組合せ、例えば、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacteriumlactis)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacteriuminfantis)、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス(Bifidobacteriumadolescentis)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillusparacasei)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillusrhamnosus)、ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillusfermentum)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcuslactis)、ラクトコッカス・ジアセチラクティス(Lactococcus diacetylactis)、ラクトコッカス・クレモリス(Lactococcus cremoris)、ラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillusbulgaricus)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・デルブレッキー(Lactobacillus delbrueckii)、エシェリキア・コリ(Escherichiacoli)、及び/又はこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記プロバイオティクス及び/又は前記乳製品スターターが、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)NCC3001、ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC2705、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)NCC2950、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)NCC2818、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)NCC2461、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)NCC4007、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)NCC2019、ストレプトコッカス・サーモフィルスNCC2059、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)NCC4006、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillusacidophilus)NCC3009、ラクトバチルス・カゼイACA−DC6002(NCC1825)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)Nissle、ラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillusbulgaricus)NCC15、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)NCC2287、又はこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
例えば、経口的、経腸的、非経口的、例えば、皮下又は筋肉内、膣内、直腸内、局所的又は目に投与し得る、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
ヒト又はペットを対象とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
1日用量当たり約0.005mg〜1000mgの非複製微生物を含有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
炎症性障害を治療又は予防する製品を調製するための、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項11】
炎症性障害が、敗血症などの急性炎症;火傷;及び、例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、嚢炎といった炎症性腸疾患などの慢性炎症;壊死性腸炎;過敏性腸症候群;UV又は化学物質が誘発する皮膚炎、湿疹、反応性皮膚、などの皮膚炎;眼炎;アレルギー、喘息;肥満が関連する炎症;年齢が関連する軽度の炎症、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
抗炎症作用を有する、微生物、例えば、プロバイオティクス及び/若しくは乳製品スターター培養物を供給する方法又は微生物、例えば、プロバイオティクス及び/若しくは乳製品スターター培養物の抗炎症作用を改善する方法であって、前記微生物を少なくとも71.5℃で少なくとも1秒間の高温処理に供するステップを含む、方法。
【請求項13】
「短時間高温」処理が、前記プロバイオティクス及び/又は前記乳製品スターター培養物の少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも98%、最も好ましくは少なくとも99%、理想的には少なくとも99.9%、最も理想的には全てを非複製にすることをもたらす、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
生存している微生物を組成物に加えるステップと、微生物を含有する組成物を「短時間高温」処理に供するステップとを含む、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
抗炎症性特性を有する、微生物、例えば、プロバイオティクス及び/若しくは乳製品スターター培養物を含む組成物を提供する方法又はその存在する抗炎症性特性を改善する方法であって、前記微生物を少なくとも71.5℃で少なくとも1秒間の短時間の高温処理に供するステップを含む、方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−526748(P2012−526748A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510233(P2012−510233)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【国際出願番号】PCT/EP2010/056284
【国際公開番号】WO2010/130659
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】