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短縮されたBAFFレセプター
説明

短縮されたBAFFレセプター

【課題】明確に特徴付けられ得、そしてBAFFに対する特異性および親和性を維持しながら真核細胞における凝集を避けるグリコシル化パターンを有する治療用途のためのBAFF−Rを提供すること。
【解決手段】本開示は、変化したO結合型グリコシル化パターンを生じる細胞外ドメインに欠失を有する、天然に存在しないBAFF−R糖タンパク質を提供する。本開示はまた、B細胞およびT細胞が媒介する障害を処置するための方法および薬学的組成物を提供する。本開示は、TNFファミリーのリガンドおよびレセプターならびにそれらのアンタゴニストおよびアゴニストならびに免疫応答の調節におけるそれらの使用に関する。本発明は、部分的に、ヒトBAFF−Rおよびその改変体のグリコシル化パターンの発見および特徴付けを基礎としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、本明細書で全体的に参考として援用されている、2003年3月28日に出願された米国出願番号第60/458,707号に基づく優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、TNFファミリーのリガンドおよびレセプターならびにそれらのアンタゴニストおよびアゴニストならびに免疫応答の調節におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
本発明は、TNFファミリーレセプタータンパク質のメンバーである、BAFFレセプター(「BAFF−R」、BR3およびZtnfe12としても公知)に関する。BAFF−Rは、国際特許出願公開公報WO02/24909に記載されている。
【0004】
BAFF−Rは、特異的に上記TNFファミリーリガンドBAFF(TALL−1、THANK、BLyS、ニューロカインα、TNS13BおよびzTNF4としても公知である)と結合し、国際特許出願公開公報WO00/43032に記載されている。BAFFは、インビトロでB細胞の生存率を高め(Battenら、(2000)J.Exp.Med.192(10):1453〜1466)、そしてインビボでは末梢B細胞集団の重要なレギュレータとして出現した。このリガンドの異常に高いレベルは、自己反応性のB細胞の生存率を高めることにより、自己免疫疾患の病因になり得ると考えられる(Battenら、(2000)J.Exp.Med.192(10):1453〜1466)。BAFF活性のアゴニストおよびアンタゴニストは、WO00/43032に記載されている。
【0005】
最近、BAFF特異的薬剤が、BAFF抗体も含め、自己免疫疾患や他の障害の処置のために開発されてきている(例えば、米国特許出願番号第09/911,777号;同第10/380,703号;同第10/045,574号;および同第60/512,880号を参照のこと);Kalledら、(2003)Expert.Opin.Ther.Tagets、7(1):115〜23)。
【0006】
BAFF−Rの発見に先立って、TNFレセプターファミリーの多くのメンバーは、発現配列タグ(EST)分析およびゲノム配列分析により発見されてきた。しかしながら、いくつかのファミリーメンバーは、BAFF−Rのように、それらの同定に発現クローニングが必要であった。
【0007】
TNFレセプターファミリーのメンバーであるBAFF−Rは、多くのファミリーメンバーとはかなり異なっている。特に、BAFF−Rは、4個のシステインを有するシステインリッチのドメインをただ一つしか含有せず、一方殆どのTNFレセプターファミリーのメンバーは、典型的に、それぞれ6個のシステインを有する2〜4個のドメインを含有する。正統なレセプターシステインリッチドメインのこの不存在が、配列ベースの探索によるBAFF−Rの同定を妨げた。BAFF−RがいかにしてBAFFに高親和性の結合を達成するか、そして正確にどのような配列が含まれているかについてもまた、正確には明確でなかった。
【0008】
BAFF−Rは、正統なTNFレセプターファミリーのメンバーとは明らかに異なるだけでなく、ヒトBAFF−R(hBAFF−R)は、マウスBAFF−R(mBAFF−R)と60%しか相同性がない。この差は、上記細胞外ドメインが真核細胞で発現する場合のhBAFF−Rの凝集(90%凝集)とmBAFF−Rの凝集(10%凝集)の差を反映している。しかしながら、hBAFF−Rの二つの点変異(配列番号1のV21NおよびL28P)が、凝集を10%未満に減少させる。hBAFF−Rのこの変異形態は、vBAFF−Rと呼ばれる。
【0009】
TNFファミリーのメンバーが、N結合型グリコシル化部位およびO結合型グリコシル化部位の両方を有することは公知である。N結合型グリコシル化は、異なる共通配列内のアスパラギン残基で起こる。O結合型グリコシル化は、セリン残基およびスレオニン残基で起こるが、タンパク質の集団内での配列モチーフの欠如および糖の不整合付加がタンパク質へO結合型グリカンの上記存在の予測を妨げる。さらに、O結合型グリコシル化部位はしばしば短いセリン/スレオニンリッチの配列に集約され、グリカンの正確な数および位置の決定を困難にしている。グリコシル化パターンが、特定のタンパク質に決定できる場合でも、O結合型グリコシル化は、組織依存性で、上記パターンは上記タンパク質が発現される細胞型によって変化する。
【0010】
1バッチのタンパク質生産物の任意の与えられた特徴を分析する能力は、薬学的用途のためのポリペプチドを生産するのに重要であり得る。O結合型グリコシル化の予測不可能性および不整合は、製造を困難にする。例えば、多くのO結合型グリカンは質量分析によりタンパク質製剤のバッチを特徴付けるのを不可能にしている。
【0011】
この問題の可能な解決方法は、グリコシル化装置を持っていない原核細胞におけるタンパク質の産生および化学合成によるタンパク質の生産を含む。しかしながら、グリコシル化タンパク質は、非グリコシル化タンパク質より利点を持ち得る。例えば、O結合型グリコシル化は、フォールディングおよび3次構造の維持を助け、安定性やタンパク質分解酵素に対する抵抗性を増加させ、そして他のタンパク質との相互作用を調節する。O結合型グリコシル化はまた、タンパク質の生物学的活性にも影響し得る。TNFαを含む、多くの細胞シグナル伝達分子の活性は、細胞表面のレセプターのグリコシル化により調節される(Van den Steenら、(1998)Crit.Rev.Biochem.Mol.Biol.33(3):151〜208)。さらに、製剤用途のための化学合成によるタンパク質の生産は、法外に費用がかかり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、明確に特徴付けられ得、そしてBAFFに対する特異性および親和性を維持しながら真核細胞における凝集を避けるグリコシル化パターンを有する治療用途のためのBAFF−Rを提供する需要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の要旨)
本発明は、部分的に、ヒトBAFF−Rおよびその改変体のグリコシル化パターンの発見および特徴付けを基礎としている。本発明は、部分的に、BAFF−R糖タンパク質の細胞外ドメイン(ECD)が、変化したグリコシル化パターンにもかかわらず、リガンド結合の実質的な損失なしで短縮され得るという上記発見および実証を、さらに基礎にしている。本開示は、変化したO結合型グリコシル化パターンを生じる上記ECDにおける欠失を有する、天然に存在しないBAFF−R糖タンパク質を提供する。BAFF−Rのそのような短縮された形態は、以降「ΔBAFF−R」または「ΔBAFF−Rポリペプチド」という。ΔBAFF−Rポリペプチドをコードする対応する核酸は、「ΔBAFF−R核酸」という。
【0014】
本開示は、少なくとも以下:変化したグリコシル化パターン、10−9M以下の見かけの解離定数でのBAFFとの結合能力および/または減少した凝集傾向の内の一つ以上を有する、遺伝子組換えで発現した可溶型のΔBAFF−Rを提供する。他の利点の中で、BAFF−Rのこれらの短縮された形態は、大スケールでの生産の間、上記タンパク質のより効率的な分析を可能とするグリコシル化パターンを有する。
【0015】
一つの局面では、本開示は、二つのO結合型グリコシル化部位を有するBAFF−Rの短縮された形態を提供する。特定の実施形態では、上記短縮されたBAFF−Rは、配列番号1のT18でグリコシル化されている。他の実施形態では、上記短縮されたBAFF−Rは、配列番号1のT41でグリコシル化されている。さらに他の実施形態では、ΔBAFF−Rは、配列番号1のT18およびT41の両方でグリコシル化されている。そのようなグリコシル化パターンは、BAFF−Rの上記完全長ECDよりも、大スケール生産の間、より効率的に分析され得る。
【0016】
特定の実施形態では、ΔBAFF−Rは、ヒト(hBAFF−R)である。いくつかの実施形態では、ΔBAFF−Rは、遺伝子組換え発現の間にhBAFF−Rの上記凝集傾向を減少させる点変異、例えば配列番号のV21NおよびL28P、を含有する。上記変異hBAFF−Rは「vBAFF−R」と呼ばれる。
【0017】
特定の実施形態では、ΔBAFF−Rは、配列番号1のアミノ酸13〜アミノ酸43を含む。いくつかの実施形態では、ΔBAFF−Rは、N末端アミノ酸が配列番号1のアミノ酸1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18または19であり、C末端のアミノ酸が配列番号1の43、44、45、46、47、48または49である、より長いアミノ酸配列を含む。例示的な実施形態では、ΔBAFF−Rは、配列番号1のアミノ酸1〜アミノ酸49を含む。
【0018】
さらなる実施形態では、第1アミノ酸配列は、配列番号1のS50、S51、T56またはS63に変異を含む完全長BAFF−Rを含み得、これらの部位にBAFF−R分子が、グリコシル化される上記能力を除いている。いくつかの実施形態では、配列番号1のS50、S51、およびT56は、グリコシル化部位を除くように変異されている。他の実施形態では、S50、S51、T56またはS63は、グリコシル化部位を除くように変異されている。
【0019】
特定の実施形態では、ΔBAFF−Rは、(a)ΔBAFF−Rポリペプチドをコードする第1アミノ酸配列ならびに(b)免疫グロブリンの定常領域由来の第2アミノ酸配列および、必要に応じて、これらの配列間のリンカーを含む、BAFF−R融合ポリペプチドの一部分である。
【0020】
上記融合ポリペプチドの特定の実施形態では、第1アミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸13〜アミノ酸43またはアミノ酸14〜アミノ酸43と実質的に同一である。他の実施形態では、ΔBAFF−Rは、N末端アミノ酸が配列番号1のアミノ酸1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18または19であり、C末端のアミノ酸が配列番号1の43、44、45、46、47、48または49である、より長いアミノ酸配列を含む。例示的な実施形態では、ΔBAFF−Rは、配列番号1のアミノ酸1〜アミノ酸49、配列番号1のアミノ酸8〜アミノ酸49、配列番号1のアミノ酸13〜アミノ酸49、または配列番号1のアミノ酸14〜アミノ酸49を含む。全ての実施形態で、上記第1アミノ酸配列は配列番号1のアミノ酸50〜アミノ酸56を含まない。いくつかの実施形態では、上記第1アミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸50〜アミノ酸63を含まない。
【0021】
上記第2アミノ酸配列は、Fc部のような免疫グロブリンの定常領域由来であり得る。特定の実施形態では、上記第2アミノ酸配列は、IgGのFc部由来である。関連する実施形態では、上記Fc部は、IgG、IgGまたは他のIgGアイソタイプ由来である。特定の実施形態では、第2アミノ酸配列は、配列番号4(ヒトIgG)のアミノ酸3〜アミノ酸227である。
【0022】
特定の実施形態では、第2アミノ酸配列は、上記第1アミノ酸配列の上記C末端または上記N末端とリンカーにより結合される。上記リンカーの正確な長さおよび配列ならびに上記結合された配列に関係するその配向は、変化し得る。上記リンカーは、タンパク様であり得、または非タンパク様であり得る。タンパク様リンカーの場合、配列番号1のアミノ酸50〜アミノ酸56を含まない。
【0023】
特定の実施形態では、ΔBAFF−R:Fc融合ポリペプチド(ΔBAFF−R:Fc)は、少なくとも配列番号4のアミノ酸3〜アミノ酸227に直接融合した配列番号1のアミノ酸1〜アミノ酸49、アミノ酸8〜アミノ酸49、アミノ酸14〜アミノ酸49、アミノ酸13〜アミノ酸43またはアミノ酸14〜アミノ酸43を含む。さらなる実施形態では、ΔBAFF−R:Fcは、少なくとも配列番号4のアミノ酸3〜アミノ酸227に間接的に(すなわちリンカーを介して)結合した(すなわちリンカーを介して)配列番号1のアミノ酸1〜アミノ酸49、アミノ酸8〜アミノ酸49、アミノ酸14〜アミノ酸49、アミノ酸13〜アミノ酸43またはアミノ酸14〜アミノ酸43を含む。いくつかの実施形態では、ΔBAFF−R:Fcは、N末端アミノ酸が配列番号1のアミノ酸1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18もしくは19であり、C末端のアミノ酸が配列番号1のアミノ酸43、44、45、46、47、48もしくは49である、より長いアミノ酸配列を包含し、これは配列番号4のアミノ酸3〜アミノ酸227と直接融合しているか、もしくはリンカーを介して結合している。
【0024】
本開示は、ΔBAFF−RポリペプチドをコードするΔBAFF−R核酸を提供する。いくつかの実施形態では、上記核酸は、少なくとも配列番号1のアミノ酸13〜アミノ酸43または少なくとも配列番号1のアミノ酸14〜アミノ酸43をコードする配列を含む。上記核酸は、N末端アミノ酸が配列番号1のアミノ酸1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18または19であり、C末端のアミノ酸が配列番号1のアミノ酸43、44、45、46、47、48または49である、ΔBAFF−Rのより長いフラグメントをコードし得る。他の実施形態では、上記核酸は、配列番号2のヌクレオチド1〜ヌクレオチド216または配列番号3のヌクレオチド1〜ヌクレオチド216を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、本発明は、免疫グロブリンの定常領域と直接またはリンカーを介して結合しているΔBAFF−RをコードするDNA構築物を提供する。特定の実施形態では、上記DNA構築物は、配列番号4のアミノ酸3〜アミノ酸227と結合している、N末端アミノ酸が配列番号1のアミノ酸1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18または19を有し、C末端のアミノ酸が配列番号1のアミノ酸43、44、45、46、47、48または49を有するΔBAFF−Rをコードする。他の特定の実施形態では、上記DNA構築物は、配列番号5のヌクレオチド7〜ヌクレオチド681と結合している、配列番号2または配列番号3のヌクレオチド1〜ヌクレオチド216を含む。
【0026】
本開示はまた、B−細胞およびT細胞が媒介する状態を処置する方法および薬学的組成物を提供する。本方法は、そのような処置が望まれる被験体に、上記被験体のBAFF関連状態を処置、予防もしくは遅延させるのに十分な量のΔBAFF−Rをコードする核酸またはΔBAFF−Rポリペプチドを投与する工程を含む。本発明の上記組成物および方法を用いて処置され得る障害は、制限されないが、本明細書で参考として援用しているWO02/24909に記載されている。これらの障害としては、制限されないが、免疫学的障害、自己免疫疾患、癌、腎臓病、ウイルス関連病、高血圧症、免疫抑制の必要な状態、炎症性疾患および非悪性増殖性障害が挙げられる。
本開示はまた、以下の項目を提供する。
(項目1)
変化したO結合型グリコシル化パターンを生じる細胞外ドメインの欠失を有するが、BAFFへの結合能力は保持している、天然に存在しないBAFF−R糖タンパク質。
(項目2)
少なくとも一つのO結合型グリカンを有する、項目1に記載のBAFF−R糖タンパク質。
(項目3)
前記O結合型グリカンが、配列番号1の18位のスレオニンまたは41位のスレオニンに相当するアミノ酸に結合している、項目1に記載のBAFF−R糖タンパク質。
(項目4)
前記O結合型グリカンが、配列番号1の18位のスレオニン、41位のスレオニンまたは8位のセリンに相当するアミノ酸に結合している、項目1に記載のBAFF−R糖タンパク質。
(項目5)
BAFF−R糖タンパク質がヒトである、項目1に記載のBAFF−R糖タンパク質。
(項目6)
前記欠失が、配列番号1のアミノ酸50〜アミノ酸56である、項目5に記載のBAFF−R糖タンパク質。
(項目7)
前記欠失が、配列番号1のアミノ酸50〜アミノ酸63である、項目5に記載のBAFF−R糖タンパク質。
(項目8)
前記欠失が、配列番号1のアミノ酸50〜アミノ酸72である、項目5に記載のBAFF−R糖タンパク質。
(項目9)
配列番号1のアミノ酸13〜アミノ酸43と実質的に同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、項目1に記載のBAFF−R糖タンパク質。
(項目10)
配列番号1のアミノ酸14〜アミノ酸43と実質的に同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、項目1に記載のBAFF−R糖タンパク質。
(項目11)
少なくとも2つのアミノ酸置換を有し、該置換アミノ酸が、配列番号1の21位のアミノ酸および28位のアミノ酸に対応する、項目5に記載のBAFF−R糖タンパク質。
(項目12)
以下のアミノ酸配列:
(a)配列番号1のアミノ酸13〜アミノ酸43;
(b)配列番号1のアミノ酸14〜アミノ酸43;
(c)配列番号1のアミノ酸1〜アミノ酸49;
(d)配列番号1のアミノ酸8〜アミノ酸49;
(e)配列番号1のアミノ酸13〜アミノ酸49;
(f)配列番号1のアミノ酸14〜アミノ酸49;または、
(g)配列番号7のアミノ酸1〜アミノ酸49
を有するポリペプチドを含む、項目1に記載のBAFF−R糖タンパク質。
(項目13)
配列番号1のアミノ酸1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18または19から、配列番号1のアミノ酸43、44、45、46、47、48または49までのアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、項目12に記載のBAFF−R糖タンパク質。
(項目14)
配列番号1の21位のアミノ酸がバリンであり、配列番号1の28位のアミノ酸がロイシンである、項目12に記載のBAFF−R糖タンパク質。
(項目15)
配列番号1の21位のアミノ酸が、アスパラギンであり、配列番号1の28位のアミノ酸がプロリンである、項目12に記載のBAFF−R糖タンパク質。
(項目16)
免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部分および、必要に応じて、前記ペプチドと免疫グロブリンの定常領域の前記部分とを結合するリンカーをさらに包含し、ここで該リンカーは、配列番号1のアミノ酸50〜アミノ酸56を含有しない、項目12に記載のBAFF−R糖タンパク質。
(項目17)
免疫グロブリンの前記部分が、IgG1またはIgG4である、項目16に記載の糖タンパク質。
(項目18)
前記免疫グロブリンの定常領域の前記部分が、配列番号4のアミノ酸3〜アミノ酸227を含む、項目17に記載の糖タンパク質。
(項目19)
項目1に記載の前記BAFF−R糖タンパク質をコードする核酸。
(項目20)
少なくとも以下の配列:
(a)配列番号1のアミノ酸13〜アミノ酸43;
(b)配列番号1のアミノ酸14〜アミノ酸43;
(c)配列番号1のアミノ酸1〜アミノ酸49;
(d)配列番号1のアミノ酸8〜アミノ酸49;
(e)配列番号1のアミノ酸13〜アミノ酸49;
(f)配列番号1のアミノ酸14〜アミノ酸49;または、
(g)配列番号7のアミノ酸1〜アミノ酸49
をコードすることを含む、項目19に記載の核酸。
(項目21)
配列番号2または3のヌクレオチド1〜ヌクレオチド216を含む、項目19に記載の核酸。
(項目22)
項目19〜20のいずれか一項に記載した核酸を含むベクター。
(項目23)
項目19〜21のいずれかに記載の核酸を含む、宿主細胞。
(項目24)
BAFF−R糖タンパク質を産生する方法であって、該方法が、以下の工程:
(a)項目22に記載の前記ベクターで、宿主細胞を形質転換する工程;
(b)前記タンパク質の産生を可能にする条件下で、該宿主細胞を培養する工程;および(c)前記宿主細胞からBAFF−R糖タンパク質を単離する工程を含む、方法。
(項目25)
BAFF−R融合ポリペプチドであって、以下:(a)第1ポリペプチドであって、該第1ポリペプチドが、配列番号1のアミノ酸13〜アミノ酸43または配列番号1のアミノ酸14〜アミノ酸43から実質的に始まるアミノ酸配列であって、該アミノ酸配列が(b)第2アミノ酸配列と融合し、該第2アミノ酸配列が、免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部を含む、アミノ酸配列、および必要に応じて(c)前記第1配列と第2配列を結合するリンカーを含有し、ここで該BAFF−R融合ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸50〜アミノ酸56を含まない、ポリペプチド。
(項目26)
前記リンカーが、タンパク様である、項目25に記載のBAFF−R融合ポリペプチド。
(項目27)
前記リンカーが、配列番号1のアミノ酸50〜アミノ酸56を含まない、項目25に記載のBAFF−R融合ポリペプチド。
(項目28)
前記第1ポリペプチドが、配列番号1のアミノ酸8〜アミノ酸49のアミノ酸配列を含む、項目25に記載のBAFF−R融合ポリペプチド。
(項目29)
項目25に記載のBAFF−R融合ポリペプチドであって、配列番号1のアミノ酸13〜アミノ酸43と実質的に同一であるアミノ酸配列を含む、ポリペプチド。
(項目30)
項目25に記載のBAFF−R融合ポリペプチドであって、配列番号1のアミノ酸14〜アミノ酸43と実質的に同一であるアミノ酸配列を含む、ポリペプチド。
(項目31)
項目25に記載のBAFF−R融合ポリペプチドであって、少なくとも二つのアミノ酸置換を有し、該置換アミノ酸は、配列番号1の21位のアミノ酸および28位のアミノ酸に対応する、ポリペプチド。
(項目32)
前記第1ポリペプチドが、以下のアミノ酸配列:
(a)配列番号1のアミノ酸13〜アミノ酸43;
(b)配列番号1のアミノ酸14〜アミノ酸43;
(c)配列番号1のアミノ酸1〜アミノ酸49;
(d)配列番号1のアミノ酸13〜アミノ酸49;
(e)配列番号1のアミノ酸14〜アミノ酸49;または、
(f)配列番号7のアミノ酸1〜アミノ酸49
を包含し、そして前記第2ポリペプチドが、配列番号4のアミノ酸3〜アミノ酸227を含む、項目25に記載のBAFF−R融合ポリペプチド。
(項目33)
前記第1ポリペプチドが、配列番号4のアミノ酸3〜アミノ酸227と融合する、配列番号1のアミノ酸1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18もしくは19から、配列番号1のアミノ酸43、44、45、46、47、48または49までを含む、項目25に記載のBAFF−R融合ポリペプチド。
(項目34)
項目25に記載のBAFF−R融合ポリペプチドをコードする核酸。
(項目35)
以下:
(a)配列番号1のアミノ酸13〜アミノ酸43;
(b)配列番号1のアミノ酸14〜アミノ酸43;
(c)配列番号1のアミノ酸1〜アミノ酸49;
(d)配列番号1のアミノ酸13〜アミノ酸49;
(e)配列番号1のアミノ酸14〜アミノ酸49;または、
(f)配列番号7のアミノ酸1〜アミノ酸49
と融合する、配列番号4のアミノ酸1〜アミノ酸227をコードするヌクレオチドを含む、項目34に記載の核酸。
(項目36)
(a)配列番号2もしくは配列番号3のヌクレオチド1〜ヌクレオチド216および(b)配列番号5のヌクレオチド7〜ヌクレオチド681を含む、項目34に記載の核酸。
(項目37)
項目33〜35に記載のいずれか一項の核酸を含む、ベクター。
(項目38)
項目33〜35に記載のいずれか一項の核酸を含む、宿主細胞。
(項目39)
項目1に記載のBAFF−R糖タンパク質を含む、薬学的組成物。
(項目40)
項目25に記載のBAFF−R融合ポリペプチドを含む、薬学的組成物。
(項目41)
項目19に記載の核酸を含む、薬学的組成物。
(項目42)
処置の必要な患者に項目39〜41のいずれか一項に記載されている治療有効量の前記薬学的組成物を投与する工程を包含し、それにより免疫学的障害を処置する、免疫学的障害を処置するための方法。
(項目43)
処置の必要な患者に項目39〜41のいずれか一項に記載されている治療有効量の前記薬学的組成物を投与する工程を含み、それにより免疫学的障害を処置する、免疫学的障害を処置するための方法。
(項目44)
ナノモル濃度範囲でBAFFに対する見掛けの親和性を有する、項目1に記載のBAFF−R糖タンパク質。
(項目45)
少なくとも10−1でBAFFに対する見掛けの親和性を有する、項目25に記載のBAFF−R融合ポリペプチド。
(項目46)
配列番号1のアミノ酸50、アミノ酸51およびアミノ酸56に変異を有する、配列番号1のアミノ酸14〜アミノ酸56を含む、BAFF−Rポリペプチドであって、ここでアミノ酸50が、セリンでもスレオニンでもなく、そしてアミノ酸56が、セリンでもなくスレオニンでもないポリペプチド。
(項目47)
配列番号1のアミノ酸14〜アミノ酸63をさらに包含し、配列番号1のアミノ酸63に変異を有し、ここでアミノ酸63は、セリンでもスレオニンでもない、項目46に記載のBAFF−Rポリペプチド。
【0027】
本発明のさらなる目的および利点は、以下の記述に部分的に示され、そしてその記述から明らかになり、または本発明の実施により分かり得る。本発明の目的および利点は、添付の特許請求の範囲で特に指摘される要素および組み合わせにより認識され、そして達成される。
上記一般的な記述および以下の詳細な説明は、ただ請求されるように、例示的で説明的であるが、本発明を制限するものではないことが理解される。
添付の図面は、本明細書で援用され、本明細書の一部分を構成し、本発明のいくつかの実施形態を記載ととも説明し、本発明の趣旨を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、種々のΔBAFF−R:FcとBAFFとの免疫共沈殿の結果を示す。レーン1は、配列番号1のアミノ酸A14〜アミノ酸A72を示す;レーン2は、配列番号1のアミノ酸R3〜アミノ酸S50を示す;レーン3は、配列番号1のアミノ酸R3〜アミノ酸Q59を示す;レーン4は、配列番号1のアミノ酸R3〜アミノ酸G67を示す;レーン5は、配列番号1のアミノ酸R3〜アミノ酸A72を示す;レーン6は、分子量標準を示す;レーン7は、配列番号1のアミノ酸R3〜アミノ酸A72を示す;レーン8およびレーン9は、配列番号1のアミノ酸R3〜アミノ酸R43を示す;レーン10は、配列番号1のアミノ酸R3〜アミノ酸T41を示す;およびレーン11は、配列番号1のアミノ酸R3〜アミノ酸C36を示す。
【図2】図2は、vBAFF−R(R3〜A49):FcまたはvBAFF−R(R3〜A72):FcおよびBAFFのkAPPの決定のための結合アッセイの結果を示す。白抜きおよび黒塗りの印は、2連の実験の結果を示す。
【図3】図3は、vBAFF−R(R3〜A49):FcまたはvBAFF−R(R3〜A72):FcおよびBAFFの推定kAPPの分析を示す。白抜きおよび黒塗りの印は、二連の実験の結果を示す。
【図4】図4は、vBAFF−R(R3〜A72):FcおよびvBAFF−R(R3〜A49):FcのCHO細胞表面に発現するヒトBAFF(hBAFF)への結合を示す。
【図5】図5は、種々の濃度のvBAFF−R(R3〜A72):FcまたはvBAFF−R(R3〜A49):Fcのビオチン化hBAFFのBJAB細胞への結合をブロックする結合アッセイの結果を示す。
【図6】図6A〜6Bは、マウスBAFF−R:Fc(配列番号6)のN結合型グリコシル化部位およびヒトvBAFF−R(R3〜A72)(配列番号1)のO結合型グリコシル化部位の位置を示す。
【図7】図7は、CHOクローンから単離されたvBAFF−R(R3〜A72):Fcの質量スペクトルを示し、これは各ピークと関連するO結合型グリコシル化形態の分子量を示す。
【図8A】図8A〜8Bは、種々のCHOクローンから単離されたvBAFF−R(R3〜A72):Fcの質量スペクトルを示す。図8G〜8Hは、293EBNA細胞により産生されたvBAFF−R(R3〜A72):FcおよびmBAFF−R:Fcの質量スペクトルを示し、これは各ピークと関連するO結合型グリコシル化形態の分子量を示す。
【図8B】図8A〜8Bは、種々のCHOクローンから単離されたvBAFF−R(R3〜A72):Fcの質量スペクトルを示す。図8G〜8Hは、293EBNA細胞により産生されたvBAFF−R(R3〜A72):FcおよびmBAFF−R:Fcの質量スペクトルを示し、これは各ピークと関連するO結合型グリコシル化形態の分子量を示す。
【図8C】図8A〜8Bは、種々のCHOクローンから単離されたvBAFF−R(R3〜A72):Fcの質量スペクトルを示す。図8G〜8Hは、293EBNA細胞により産生されたvBAFF−R(R3〜A72):FcおよびmBAFF−R:Fcの質量スペクトルを示し、これは各ピークと関連するO結合型グリコシル化形態の分子量を示す。
【図8D】図8A〜8Bは、種々のCHOクローンから単離されたvBAFF−R(R3〜A72):Fcの質量スペクトルを示す。図8G〜8Hは、293EBNA細胞により産生されたvBAFF−R(R3〜A72):FcおよびmBAFF−R:Fcの質量スペクトルを示し、これは各ピークと関連するO結合型グリコシル化形態の分子量を示す。
【図8E】図8A〜8Bは、種々のCHOクローンから単離されたvBAFF−R(R3〜A72):Fcの質量スペクトルを示す。図8G〜8Hは、293EBNA細胞により産生されたvBAFF−R(R3〜A72):FcおよびmBAFF−R:Fcの質量スペクトルを示し、これは各ピークと関連するO結合型グリコシル化形態の分子量を示す。
【図8F】図8A〜8Bは、種々のCHOクローンから単離されたvBAFF−R(R3〜A72):Fcの質量スペクトルを示す。図8G〜8Hは、293EBNA細胞により産生されたvBAFF−R(R3〜A72):FcおよびmBAFF−R:Fcの質量スペクトルを示し、これは各ピークと関連するO結合型グリコシル化形態の分子量を示す。
【図8G】図8A〜8Bは、種々のCHOクローンから単離されたvBAFF−R(R3〜A72):Fcの質量スペクトルを示す。図8G〜8Hは、293EBNA細胞により産生されたvBAFF−R(R3〜A72):FcおよびmBAFF−R:Fcの質量スペクトルを示し、これは各ピークと関連するO結合型グリコシル化形態の分子量を示す。
【図8H】図8A〜8Bは、種々のCHOクローンから単離されたvBAFF−R(R3〜A72):Fcの質量スペクトルを示す。図8G〜8Hは、293EBNA細胞により産生されたvBAFF−R(R3〜A72):FcおよびmBAFF−R:Fcの質量スペクトルを示し、これは各ピークと関連するO結合型グリコシル化形態の分子量を示す。
【図9】図9は、CHOクローンから単離されたvBAFF−R(R3〜A49):Fcの質量スペクトルを示し、これは各ピークと関連するO結合型グリコシル化形態の分子量を示す。
【図10】図10は、増殖培地中のvBAFF−R(R3〜A49):Fc濃度の増加の脾臓B細胞の[H]チミジン取り込み能に対する効果を示す。三角は、ヒトIgGをインヒビターとして処置された培養物を示し、四角は、vBAFF−R(R3〜A49):Fc処置を示し、そしてダイアモンドは、vBAFF−R(R3〜A72):Fc処置を示す。
【図11】図11は、vBAFF−R(R3〜A49):FcのCD19+脾臓B細胞の数に対する効果を示す。
【図12】図12Aは、hBAFFが固定され、vBAFF−R(R3〜A49):FcおよびvBAFF−R(R3〜A72):FcのBAFFへの結合の結合親和性をOD405で測定されたELISA捕獲実験の結果を示す。図12Bは、vBAFF−R(R3〜A49):FcおよびvBAFF−R(R3〜A72):Fcが固定され、FLAG−hBAFFの結合がOD405で測定された同様なELISA実験の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(実施形態の説明)
本発明が、より容易に理解されるために、特定の用語について本明細書に定義されている。さらなる定義が詳細な説明の至る所で示されている。
【0030】
用語「変化したグリコシル化パターン」は、完全長の細胞外ドメインを有するBAFF−Rと比較して、C末端において短縮された細胞外ドメインを有する、天然に存在しないBAFF−Rにおけるグリコシル化パターンをいい、それは野生型配列と異なってもよいし、異ならなくてもよい。ヒトBAFF−Rにとって、細胞外ドメインのC末端の短縮は、少なくとも一つのO結合型グリコシル化部位の除去を生じる。
【0031】
用語「BAFF」は、TNFファミリーのB細胞活性化因子をいい、単球、マクロファージ、末梢血リンパ球および樹状細胞による発現、ならびにB細胞生存因子としての役割で特徴付けられる。BAFFの特徴の要約は、Mackayら(2002)Nature Reviews:Immunology 2:465〜475により提供される。
【0032】
本明細書で使用されるように、用語「BAFF−R」は、ほかで記述されない限り、変異型または野生型ヒトBAFFレセプターおよびそれらの改変体をいい、配列番号7で示されるアミノ酸50で付加的アラニンを含有するスプライス改変体、BAFFと結合するTNFファミリーレセプタータンパク質を含み、WO02/24909で定義されるように、BCMAおよびTACIにより認識される他のリガンドは含まない。用語「ΔBAFF−R」は、N末端またはC末端のアミノ酸を欠損しているが、BAFFとの結合能力は維持しているBAFF−Rのいかなる形態をもいう。用語「hBAFF−R」は、ヒトBAFF−Rタンパク質またはその天然に存在する改変体をいう。用語「vBAFF−R」は、少なくとも配列番号1のアミノ酸21およびアミノ酸28、例えばV21NおよびL28Pに変異を有するヒトBAFF−Rの変異形態をいう。
【0033】
用語「BAFF−R:Fc」は、BAFF−Rおよび免疫グロブリン定常領域(Fc)配列を有する融合タンパク質をいう。用語「ΔBAFF−R:Fc」は、(1)少なくとも配列番号1のアミノ酸13〜アミノ酸43のアミノ酸またはその改変体を含むが、配列番号1のアミノ酸50〜アミノ酸56を含まないアミノ酸、ならびに(2)免疫グロブリンの定常領域、例えば、Fc由来のアミノ酸配列を含む任意の融合タンパク質をいう。同様に、用語「mBAFF−R:Fc」は、マウスBAFF−RおよびFc配列を含む融合タンパク質をいう。
【0034】
用語「対応する」およびその類縁は、アミノ酸残基またはその位置を参照して用いられる場合、第1配列および第2配列が最適に整列している場合、第2アミノ酸配列のアミノ酸に関する第1アミノ酸配列のアミノ酸の位置をいう。配列は、両方の配列における最大の可能な数のアミノ酸が一致する場合、最適に整列していると見なされる。
用語「生物学的活性」は、生物系において分子により、インビボまたはインビトロで達成される機能もしくは一連の機能(または上記機能に起因する効果)をいう。生物学的活性は、例えば、リンパ球の増殖、生存率および機能(例えば、サイトカイン分泌)に対する効果、一群の分化マーカーの発現、転写、翻訳もしくは翻訳後レベルにおける遺伝子発現または自己抗体産生に対する効果などで評価され得る。
【0035】
用語「BAFF−Rの細胞外ドメイン(ECD)」は、上記タンパク質を、特に配列番号1のアミノ酸1〜アミノ酸72を、発現する細胞の外部に存在するタンパク質の上記部分をいう。用語「ストーク(stalk)ドメイン」は、上記システインリッチドメインと上記膜貫通ドメインとの間のTNFレセプターファミリーメンバーのタンパク質の上記部分をいう。
【0036】
用語「免疫学的障害」は、免疫応答が異常である障害および状態をいう。上記異常な応答は、(a)免疫細胞、例えばT細胞もしくはB細胞など、の異常な増殖、異常な成熟、異常な生存率、異常な分化または異常な機能に起因し得る。そのような障害としては、限定されないが、慢性関節リウマチ(RA),若年性慢性関節炎、喘息、乾癬、脱髄障害、多発性硬化症(MS),炎症性腸疾患(IBD)、炎症性および線維性肺疾患、クローン病、全身性エリトマトーデス(SLE)、I型糖尿病、移植拒絶、対宿主性移植片病(GVHD)、過増殖免疫障害、自己免疫疾患、B細胞腫瘍、免疫調節、抗体媒介病理(例えば、ITP、重症筋無力症など)、腎臓疾患、間接的T細胞免疫応答、移植拒絶および対宿主性移植片病および免疫抑制障害が挙げられる。
【0037】
用語「単離された」は、実質的に天然の環境がない分子をいう。例えば単離されたタンパク質は、細胞物質または由来する細胞もしくは組織源からの他のタンパク質が実質的にない。用語「単離された」はまた、上記単離されたタンパク質が、薬学的組成物として投与するのに十分に純粋であり、または少なくとも70〜80%(w/w)の純度で、より好ましくは少なくとも80〜90%(w/w)の純度で、さらにより好ましくは90〜95%の純度で、もっとも好ましくは、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%または100%(w/w)の純度である。
【0038】
用語「調節する」およびその類縁は、BAFF−RまたはBAFFの生物学的活性、例えば、BAFFレセプターを発現するリンパ球に対して天然に発現したBAFF−RまたはBAFFにより発揮された効果と関連する活性などの、減少もしくは増大をいう。生物学的活性の減少または増大は、好ましくは少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくはそれ以上である。
本明細書で用いられるように、用語「治療化合物」および「治療剤」は、障害の臨床症状を改善できるかまたは望ましい生物学的結果を生じさせることができる任意の化合物を言う。
【0039】
用語「ポリヌクレオチド」「オリゴヌクレオチド」および「核酸」は、デオキシリボ核酸(DNA)といい、適切な場合、リボ核酸(RNA)またはペプチド核酸(PNA)という。上記用語はまた、ヌクレオチドアナログおよび一重鎖ポリヌクレオチドまたは二重鎖ポリヌクレオチドを含むことが理解される。ポリヌクレオチドの例としては、制限されないが、プラスミドのDNAもしくはそのフラグメント、ウイルスDNAもしくはウイルスRNA、アンチセンスRNA、siRNAなどが挙げられる。用語「プラスミドDNA」は、円形の二重鎖DNAをいう。
【0040】
本発明は、部分的に、ヒトBAFF−Rおよびその改変体のグリコシル化パターンの発見と特徴づけを、基礎にしている。特に、上記完全長ヒトBAFF−Rは、多数のO結合型グリコシル化部位を含み、上記タンパク質のマウスバージョンは、一つのN結合型グリコシル化部位を含有し、O結合型グリコシル化部位は有しない。ヒトBAFF−RのC末端に5つの潜在的グリコシル化部位があり、配列番号1のT41,S50、S51、T56、およびS63である。全ての5つの部位を含有するタンパク分解フラグメントは、一貫して、>80%グリコシル化されている(表2を参照のこと)。
【0041】
本開示は、変化したO結合型グリコシル化パターンを生じる上記ECDの欠失を有する、天然に存在しないBAFF−R糖タンパク質を提供する。hBAFF−R(R3〜A72):Fcのストーク領域の欠失分析は、残基44〜72の欠失が、結果として生じる融合タンパク質のBAFFと相互作用する能力を破壊しないことを示す。実施例に示されている上記融合タンパク質vBAFF−R(R3〜A49):Fcは、vBAFF−R(R3〜A72):Fcのストーク領域のアミノ酸残基50〜72の欠失により生じる(WO02/24909に記載されている)。
【0042】
タンパク質の正確な組成を決定することは、薬学的に受容可能なタンパク質ベースの治療剤を生産するのに必須の工程である。ポリペプチドの上記グリコシル化の変化は、結合親和性および溶解性などのような重要な特徴に変化を生じさせ得る。タンパク質治療剤を製造する場合、各バッチは、糖含量を含む多種の重要な特性を分析されなければならない。生産物を製造している間に、ヒトBAFF−Rのグリコシル化パターンを、分析および調節することは困難であり得る。さらに、潜在的なバッチからバッチへの変動がある場合、グリコシル化パターンの上記分析は、変動の原因を同定するために必要であり得る。従って、他の利点の中には、ここで開示されるBAFF−Rの短縮形態は、大スケールでの生産の間、より効率的な分析を可能にする。
【0043】
アミノ酸43でのBAFF−Rの上記C末端の短縮は、完全長BAFF−Rの上記BAFFとの結合能力を維持しながら、ちょうど二つのO結合型グリコシル化部位を有するポリペプチドを産生する。このΔBAFF−Rは、真核細胞で発現される場合、通常は、二つの部位(配列番号1のT18およびT41)のみでグリコシル化される。このように、本発明は、完全長タンパク質と比較すると変化したグリコシル化パターンを有する生物学的に活性なΔBAFF−Rを提供する。
【0044】
本発明は、部分的に、BAFF−RのBAFFへの結合は、BAFF−Rの細胞外ドメインのN末端領域および/またはC末端領域が欠失した場合でも起こるという発見を、さらに基礎としている。結合は、配列番号1のアミノ酸50〜アミノ酸72の欠失の後でも減少せず、そして配列番号1のアミノ酸43〜アミノ酸72の欠失の後にほんの部分的に減少する。
【0045】
最善には、ΔBAFF−R:Fcは、BAFFへ1nM未満の見かけの親和性(kAPP)で結合する。ΔBAFF−R(R3〜49):Fcは、BAFF発現細胞ならびに上記完全長形態に結合し、BAFF−R:Fcと類似の濃度で、内因性のBAFF−Rを発現する細胞に対するBAFFの結合を防止する。これらの発見は、短縮されたおよび完全長のBAFF−R:Fcポリペプチドは、BAFFに対する同様な結合親和性を有していること、およびこれらの親和性は、ナノモル濃度未満の範囲であるということを示している。これらの結果は、親和性成分を含む見かけの親和性として報告される。
【0046】
一つの局面では、本開示は、二つのO結合型グリコシル化部位を有するBAFF−Rの短縮された形態を提供する。特定の実施形態では、上記短縮されたBAFF−Rは、配列番号1のT18でグリコシル化される。他の実施形態では、上記短縮されたBAFF−Rは、配列番号1のT41でグリコシル化される。さらに他の実施形態では、ΔBAFF−Rは、配列番号1のT18とT41の両方でグリコシル化される。さらなる実施形態では、ΔBAFF−Rは、配列番号1のS8でグリコシル化される。そのようなグリコシル化パターンは、BAFF−Rの完全長ECDのグリコシル化パターンよりも、大スケール生産の間より効率的に分析され得る。
【0047】
特定の実施形態では、ΔBAFF−Rは、ヒト(hBAFF−R)である。いくつかの実施形態では、ΔBAFF−Rは、組換え発現の間にhBAFF−Rの凝集傾向を減少させる点変異(例えば、配列番号1のV21NおよびL28P)を含有する。上記変異hBAFF−Rは、vBAFF−Rと呼ばれる。
【0048】
特定の実施形態では、ΔBAFF−Rは、配列番号1のアミノ酸13〜アミノ酸43を含む。いくつかの実施形態では、ΔBAFF−Rは、N末端アミノ酸が、配列番号1のアミノ酸1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18または19であり、C末端のアミノ酸が、配列番号1の43、44、45、46、47、48または49である、より長いアミノ酸配列を含む。例示的な実施形態では、ΔBAFF−Rは、配列番号1のアミノ酸1〜アミノ酸49を含む。
【0049】
特定の実施形態では、ΔBAFF−Rは、(a)ΔBAFF−Rポリペプチドをコードする第1アミノ酸配列および(b)免疫グロブリンの定常領域由来の第2アミノ酸配列、そして必要に応じてこれらの配列の間にリンカーを含むBAFF−R融合ポリペプチドの一部分である。
【0050】
上記融合ポリペプチドの特定の実施形態では、第1アミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸13〜アミノ酸43または配列番号1のアミノ酸14〜アミノ酸43と実質的に同一である。他の実施形態では、ΔBAFF−Rは、N末端アミノ酸が、配列番号1のアミノ酸1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18または19であり、C末端のアミノ酸が、配列番号1のアミノ酸43、44、45、46、47、48または49である、より長いアミノ酸配列を含む。例示的な実施形態では、ΔBAFF−Rは、配列番号1のアミノ酸1〜アミノ酸49、配列番号1のアミノ酸8〜アミノ酸49、配列番号1のアミノ酸13〜アミノ酸49、または配列番号1のアミノ酸14〜アミノ酸49を含む。全ての実施形態で、第1アミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸50〜アミノ酸56を含まない。いくつかの実施形態では、第1アミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸50〜アミノ酸63を含まない。
【0051】
第2アミノ酸配列は、Fc部のような免疫グロブリンの定常領域由来であり得る。特定の実施形態では、上記第2アミノ酸配列は、IgGのFc部由来である。関連する実施形態では、上記Fc部は、IgG、IgGまたは別のIgGアイソタイプ由来である。特定の実施形態では、上記第2アミノ酸配列は、配列番号4(ヒトIgG)のアミノ酸3〜アミノ酸227である。
【0052】
特定の実施形態では、第2アミノ酸配列は、第1アミノ酸配列のC末端またはN末端とリンカーで結合されている。上記リンカー正確な長さおよび配列、ならびに結合された配列に関するその配向は、変化し得る。上記リンカーは、タンパク様または非タンパク様であり得る。タンパク様リンカーの場合、それは、配列番号1のアミノ酸50〜アミノ酸56を含まない。
【0053】
特定の実施形態では、ΔBAFF−R−Fc融合ポリペプチド(ΔBAFF−R:Fc)は、配列番号4のアミノ酸3〜アミノ酸227と直接融合する、少なくとも配列番号1のアミノ酸1〜アミノ酸49、アミノ酸8〜アミノ酸49、アミノ酸14〜アミノ酸49、アミノ酸13〜アミノ酸43、またはアミノ酸14〜アミノ酸43を含む。さらなる実施形態では、ΔBAFF−R:Fcは、配列番号4のアミノ酸3〜アミノ酸227と間接的(即ちリンカーを介して)に結合する、配列番号1のアミノ酸1〜アミノ酸49、アミノ酸8〜アミノ酸49、アミノ酸14〜アミノ酸49、アミノ酸13〜アミノ酸43またはアミノ酸14〜アミノ酸43を含む。いくつかの実施形態では、ΔBAFF−R:Fcは、N末端アミノ酸が配列番号1のアミノ酸1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18または19であり、C末端のアミノ酸が配列番号1のアミノ酸43、44、45、46、47、48または49である、より長いBAFF−R配列を包含し、これは配列番号4のアミノ酸3〜アミノ酸227と直接融合するかまたはリンカーにより結合される。
【0054】
本発明はまた、これらの部位でグリコシル化されるBAFF−R分子の能力を除去する、配列番号1のS50、S51、T56またはS63でのアミノ酸変異を含む完全長BAFF−R分子を提供する。いくつかの実施形態では、配列番号1のS50、S51およびT56は、上記グリコシル化部位を除去するよう変異されている。他の実施形態では、S50、S51、T56およびS63は、上記グリコシル化部位を除去するよう変異されている。
【0055】
本開示は、ΔBAFF−RポリペプチドをコードするBAFF−R核酸を提供する。いくつかの実施形態では、上記核酸は、少なくとも配列番号1のアミノ酸13〜アミノ酸43または少なくとも配列番号1のアミノ酸14〜アミノ酸43をコードする配列を含む。上記核酸は、配列番号1のアミノ酸1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18または19にN末端を、配列番号1のアミノ酸43、44、45、46、47、48または49にC末端を有し、より長いΔBAFF−Rのフラグメントをコードし得る。他の実施形態では、上記核酸は、配列番号2のヌクレオチド1〜ヌクレオチド216または配列番号3のヌクレオチド1〜ヌクレオチド216を含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、本発明は、免疫グロブリン定常領域に、直接またはリンカーを介してのいずれかで結合する、ΔBAFF−RをコードするDNA構築物を提供する。特定の実施形態では、上記DNA構築物は、配列番号1のアミノ酸1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18または19にN末端を、配列番号1のアミノ酸43、44、45、46、47、48または49にC末端を有し、配列番号4のアミノ酸3〜アミノ酸227に結合したΔBAFF−R:Fcをコードする。他の特定の実施形態では、上記DNA構築物は、配列番号5のヌクレオチド7〜ヌクレオチド681と結合した配列番号2もしくは配列番号3のヌクレオチド1〜ヌクレオチド216を含む。
【0057】
融合タンパク質構築物は、それらが1本のオープンリーディングフレームで翻訳されるようなインフレームで、二つの異なるポリペプチドをコードする配列を連結することにより作製され得る。いくつかの実施形態では、本発明は、抗体の定常領域と、直接または配列番号1のアミノ酸50〜アミノ酸56をコードする配列を含まないリンカーDNAを介してのいずれかで、融合するΔBAFF−Rを含むDNA構築物を提供する。特定の実施形態では、上記核酸は、配列番号1のアミノ酸1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18または19にN末端を有し、配列番号1のアミノ酸43、44、45、46、47、48または49に、C末端を有し、配列番号4のアミノ酸3〜アミノ酸227と結合しているΔBAFF−Rタンパク質をコードし得る。他の特定の実施形態では、上記核酸は、配列番号5のヌクレオチド7〜ヌクレオチド681と結合している配列番号2のヌクレオチド1〜216を含む。
【0058】
ΔBAFF−Rおよびそれがコードする核酸分子およびベクターは、任意の適切なクローニング方法を用いて作製され得る。種々の異なる宿主細胞における、ポリペプチドのクローニングおよび発現のシステムは、周知である。適切な宿主細胞は、細菌、哺乳動物および酵母ならびにバキュロウイルスの系を含む。異種のポリペプチドの発現のための当該分野で入手可能な哺乳動物細胞は、チャイニーズハムスター卵巣細胞,HeLa細胞、新生児ハムスター腎細胞,NS0マウス黒色腫細胞およびその他多くを含む。通常の細菌宿主はE.coliである。E.coliのような細菌細胞は、上記ポリペプチドへN結合型グリコシル化またはO結合型グリコシル化を付加しない。酵母およびバキュロウイルスは、N結合型グリコシル化修飾またはO結合型グリコシル化修飾を行なうが、上記糖鎖は、哺乳動物細胞を用いたときのものとこれらの細胞での組成は異なり得る。ΔBAFF−Rを生産する他の適切な細胞については、Gene Expression Systems、Fernandezら編(1999)Academic Pressを参照のこと。
【0059】
プロモータ配列、終止配列、ポリアデニル化配列、エンハンサー配列、マーカー遺伝子および適切な他の配列を含み、適切な制御配列を含有する、適切なベクターが、選択され得るかまたは構築され得る。ベクターはプラスミドまたはウイルス(例えば、適切なファージもしくはファージミド)であり得る。さらに詳細には、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Sambrookら(1989)第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照のこと。例えば、核酸構築物の調製、変異誘発、配列決定、細胞内へのDNA導入および遺伝子発現ならびにタンパク質の分析における、核酸を取り扱う多くの公知の技術およびプロトコルの詳細はCurrent Protocols in Molecular Biology、Ausbelら編、(1992)第2版、John Wiley &Sonsに記載されている。
【0060】
本発明の上記ΔBAFF−Rポリペプチドおよびそれらをコードする核酸は、投与に適切な薬学的組成物に組込まれ得る。そのような組成物は、代表的に上記核酸またはポリペプチドおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む。本明細書で用いられるように、「薬学的に受容可能なキャリア」は、任意の溶剤、分散媒、コーティング剤、抗細菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤、ならびに薬学的投与に適合するその他のものを含むことが意図されている。適切なキャリアは、WO02/24909に詳細が記載されている。
【0061】
本発明の薬学的組成物は、その意図された投与経路に適合するよう処方される。治療的に有効なΔBAFF−Rの量は、その体重1kgあたり0.001〜30mg、好ましくは0.01〜25mg、0.1〜20mgまたは1〜10mgの範囲である。投薬量は、必要に応じて、処置についての観察される効果に合わせて、調節され得る。ΔBAFF−Rは、ボーラス量で与えられ得る。連続注入はまた、上記ボーラス量の後に用いられ得る。適切な用量およびレジメンは、処置医による臨床適応に基づいて選択される。投与経路およびこれらの経路の各々について適切な組成物の例は、WO02/24909に詳細に記載されている。さらなる方法および治療レジメンは、米国出願番号第60/512,880号に詳細が記載されている。
【0062】
本発明の核酸は、ベクターに挿入され得、そして遺伝子治療ベクターとして使用され得るか、または裸のDNAとして送達され得る。遺伝子治療ベクターおよびその送達の例は、WO02/24909に見出され得る。
【0063】
本発明は、BAFF関連障害(例えばB細胞およびT細胞が媒介する状態のような異常なBAFFもしくはBAFF−Rの発現もしくは活性と関連する障害)のリスクのある(またはかかりやすい)被験体を処置する、予防および処置の両方の方法を提供する。BAFFの増加したレベルもしくは増加した生物学的活性により特徴づけられる疾患および障害は、BAFFもしくはBAFF−R活性と拮抗する治療剤で処置され得る。本方法は、そのような処置が望まれている被験体に上記被験体のBAFF関連状態を処置、予防もしくは遅延させるのに十分な量のΔBAFF−RまたはΔBAFF−Rポリペプチドをコードする核酸を投与する工程を包含する。本発明の組成物および方法を用いて処置され得る障害は、制限されないが、WO02/24909に記載されている障害を含む。
【0064】
上記ΔBAFF−R組成物を投与する工程は、BAFF−R活性に特徴的な症状が発現する前に、疾患または障害が予防されるか、もしくは代わりにその進行を遅延させるように、発生し得る。
【0065】
本発明の別の局面は、治療目的のために、BAFFまたはBAFF−R発現もしくは活性を調節する方法に関する。本発明の上記調節方法は、細胞を、その細胞と関連するBAFF活性の一つ以上の活性を調節するΔBAFF−RポリペプチドまたはΔBAFF−R核酸と接触させることを含んでいる。一つの実施形態では、上記BAFF−R組成物は、一以上のBAFF活性を阻害する。上記調節は、インビトロ(例えば、上記組成物とともに細胞を培養することにより)または代わりにインビボ(例えば、上記薬剤を被験体に投与することにより)で実施され得る。従って、本発明は、BAFF活性が関連する疾患または障害に苦しんでいる固体を、BAFF活性をブロックするΔBAFF−Rタンパク質もしくはΔBAFF−R核酸を投与することにより、処置する方法を提供する。
【0066】
本開示は、自己免疫疾患,B細胞癌、免疫調節、炎症性腸疾患および抗体媒介病理学的症状(例えばITP、重症筋無力症など)、腎疾患、間接的T細胞免疫応答、移植拒絶および対宿主性移植片病、を処置する方法および薬学的組成物を提供する。本発明の組成物は、免疫応答の間に、B細胞を特異的に調節するように標的化され得る。さらに、本発明の組成物は、B細胞の発生、他の細胞の発生、抗体産生およびサイトカイン産生を調節するのに使用され得る。本発明の組成物はまた、BAFFの増殖性効果を中和することにより、T細胞およびB細胞のコミュニケーションを調節し得る。
【0067】
上記ΔBAFF−R核酸およびΔBAFF−Rポリペプチドはまた、限定されないが、狼瘡およびリウマチ関節炎を含む、自己免疫疾患の処置に有用であり得る。BAFF活性を調節することにより、ΔBAFF−Rは、これらの疾患の症状を予防または減少し得る。これらの疾患の症状についてのΔBAFF−Rの媒介性の調節は、B細胞の発生、他の細胞の発生、抗体産生またはサイトカイン産生の減少により生じ得る。ΔBAFF−Rの狼瘡に対する効果は、自己抗体レベル、免疫複合体沈着合併症ならびに、腎不全、蛋白尿、巨脾腫症、神経痛症状および死を含む、全身性エリトマトーデスの症状を評価することにより測定され得る。リウマチ関節炎に対するΔBAFF−Rの効果は、自己抗体レベル、関節炎惹起免疫グロブリンの分泌、関節および異常な腫脹、またはサイトカインレベルを評価することにより測定され得る。さらにΔBAFF−Rは、重症筋無力症および若年性慢性関節炎のような他の自己免疫障害を処置するのに有用であり得る。
【0068】
ΔBAFF−R核酸およびΔBAFF−Rポリペプチドは、前BもしくはB細胞性白血病(例えば、形質細胞性白血病、慢性もしくは急性リンパ性白血病、骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫、形質細胞性骨髄腫、内皮性骨髄腫、および巨細胞骨髄腫)およびリンパ腫(例えば、非ホジキンリンパ腫))を処置するために、BAFFの効果を中和するのに有用であり得る。本明細書で記載されている分子により処置され得るB細胞性リンパ腫のさらなる例としては、バーキットリンパ腫、非バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、急性リンパ芽球性白血病、大細胞型リンパ腫(例えば、免疫芽球性リンパ腫)、辺縁層リンパ腫、外套細胞リンパ腫、小リンパ球性リンパ種および他のB細胞性リンパ腫を含む。
【0069】
本発明は、自己免疫疾患と関連してもしなくてもよい、末期の腎疾患と関連するB細胞の作用を選択的に遮断もしくは中和するために、ΔBAFF−RポリペプチドまたはΔBAFF−R核酸を用いる方法を提供する。そのような方法は、免疫学的腎疾患(例えば、膜性ニューロパチー,IgAニューロパシー、バージャー病),IgMニューロパチー、グッドパスチャーズ病、感染後糸球体腎炎、膜性増殖性疾患、慢性リンパ性白血病および微少変化ネフローゼ症候群のような疾患と関連する糸球体腎炎を、処置するのに有用である。そのような方法はまた、狼瘡、多発性動脈炎、ヘーノホ−シェーンライン病、水腫性硬化症,HIV関連疾患、アミロイドーシスもしくは溶血性尿毒症症候群のような疾患と関連する続発性糸球体腎炎もしくは脈管炎を処置する治療用途として役立つ。本発明の方法はまた、慢性腎盂腎炎、鎮痛剤の乱用、腎石灰沈着、他の薬剤によるニューロパシー、腎石症、または慢性もしくは急性間質性腎炎と関連する間質性腎炎あるいは腎盂腎炎を処置する治療用途の一部として有用である。本発明の方法はまた、腎動脈狭窄、もしくは閉塞およびコレステロール塞栓、または腎塞栓、腎新生物もしくは泌尿器系新生物、多発性骨髄腫、リンパ腫、軽鎖ニューロパシーもしくはアミロイドーシスを含む、高血圧疾患または主幹動脈疾患(large vessel disease)のΔBAFF−Rを含む組成物による処置における、ΔBAFF−R核酸およびΔBAFF−Rポリペプチドの使用を含む。
【0070】
本発明はまた、喘息ならびに、気管支炎および気腫のような、他の慢性気道疾患の処置のためにΔBAFF−Rを使用して活性化されたB細胞を遮断もしくは阻害する方法を提供する。
【0071】
ΔBAFF−Rポリペプチドを用いてエフェクターT細胞応答を、阻害するもしくは中和する方法もまた、提供される。これらの方法は、対宿主移植片病および移植拒絶のような、免疫抑制が要求される状態を処置するのに使用され得る。ΔBAFF−Rの組成物はまた、インスリン依存性糖尿病およびクローン病のような自己免疫疾患の処置に有用である。本発明の方法は、慢性炎症性疾患、特に関節痛(例えば、外傷もしくは骨関節炎における)、腫脹、貧血および他の関連症状を軽減するのに、ならびに敗血症ショックを処置するのに、さらなる治療的価値を有する。
【0072】
さらに、本発明は、腫瘍とはみなされない増殖性状態、即ち細胞性過増殖(過形成)(例えば、強皮症、リウマチ関節炎におけるパンヌス形成、術後瘢痕および肺線維症、肝線維症および子宮線維症など)の処置に有用である。
【実施例】
【0073】
(実施例1)
本実施例は、野生型hBAFF−R:Fcのレセプタードメイン内での種々のペプチド欠失の生成と分析を記載する。これらの欠失変異体のhBAFF結合能を分析した。
【0074】
hBAFF−R:FcのhBAFF−Rドメイン内に種々のインフレームペプチド欠失をコードする付着末端を有する2重鎖オリゴヌクレオチドカセットを設計し、そして合成した。上記オリゴヌクレオチドカセットを、相補的末端を有するベクターを含有するhBAFF−R:Fcと連結した。カセットをN末端からシステインリッチドメイン(CRD)またはC末端からストーク領域の上記CRDのいずれかの残基を除去するよう設計した。
【0075】
上記hBAFF−R:Fc欠失のコード配列を、293EBNA細胞での哺乳動物細胞発現のためのベクターにサブクローニングした。発現プラスミドを、LipofectamineTM(Invitrogen)を用いて、293EBNA細胞にトランスフェクトした。トランスフェクトした細胞上清を、トランスフェクト後48時間で採取した。
【0076】
発現を、非還元SDS−PAGEに引き続きPVDF膜へのウエスタン転写により評価した。膜をTBST(10mM Tris−Cl、150mM NaCl、0.05%Tween20TM)中で、5%脱脂粉乳で1時間ブロックし、HRP結合抗ヒトIgG抗体(Jackson ImmunoResearch)でプローブ化し、TBST中で3回洗浄し、そして化学蛍光基質(ECL、Amersham−Pharmacia)で検出した。
【0077】
hBAFF結合能を免疫共沈降法により分析した。これらの実験では、hBAFF−R:Fcもしくはその欠失を含有する100μlの条件培地を、100ng/mlの可溶性flag−hBAFFを含む1mlのDMEM−10%FBS中、4℃で3時間もしくは一晩インキュベートした。Protein A SepharoseTMビーズ(30μl)を加え、攪拌しながらさらに90分インキュベートを続けた。ビーズを簡単に遠心分離し、1mlの冷PBSで3回洗浄した。ビーズを還元Laemmli緩衝液に再懸濁し、煮沸し、SDS−PAGEを行なった。プローブとして用いられる5μg/mlの抗flag−HRP(Sigma Chemical)で、上述のごとくウエスタンブロットを、実施した。
【0078】
hBAFF−R:Fcの種々の欠失のコード配列を、種々の制限酵素消化およびDNA配列決定により検証した。全ての構築物は、中程度のレベルでFc融合タンパク質を発現したが、凝集は、hBAFF−R(R3〜A72):Fcと比較して減少しなかった。免疫共沈降法の結果を図1に示し、表1にまとめる。図1において、レーン1は、配列番号1のアミノ酸A14〜アミノ酸A72を示す;レーン2は、配列番号1のアミノ酸R3〜アミノ酸S50を示す;レーン3は、配列番号1のアミノ酸R3〜アミノ酸Q59を示す;レーン4は、配列番号1のアミノ酸R3〜アミノ酸G67を示す;レーン5は、配列番号1のアミノ酸R3〜アミノ酸A72を示す;レーン6は、分子量標準を示す;レーン7は、配列番号1のアミノ酸R3〜アミノ酸A72を示す;レーン8およびレーン9は、配列番号1のアミノ酸R3〜アミノ酸R43を示す;レーン10は、配列番号1のアミノ酸R3〜アミノ酸T41を示す;そしてレーン11は、配列番号1のアミノ酸R3〜アミノ酸C36を示す。N末端欠失hBAFF−R(A14〜A72):Fcは、BAFF結合能を維持し、一方hBAFF−R(C20〜A72):Fcは維持しない。これは、hBAFF−R CRDについてN末端にすぐの5つのアミノ酸残基の全てまたは部分集合が、hBAFF−R:FcのBAFF結合に必要であることを示している。BAFF結合は、C末端欠失hBAFF−R(R3〜C36):FcおよびhBAFF−R(R3〜T41):Fcで除去され、hBAFF−R(R3〜R43):Fcでは、大きく減少した。hBAFF−Rストークドメインにおいて、S50またはそれ以上を介してBAFF−Rをコードする試験された全ての他のhBAFF−R構築物は、完全なストーク改変体である、hBAFF−R(R3〜A72):Fcと同じように効果的に、hBAFFを免疫共沈降し得る。R43での短縮は、部分結合活性であり、S50での短縮は、全活性であるので、残基P44−A49またはその部分集合は、適切なリガンド結合が起こるのに必要であることは明らかである。
【0079】
【表1】

【0080】
(実施例2)
本実施例では、短縮されたBAFF−Rストークドメインを含有するvBAFF−R(R3〜A72):Fc改変体の設計、構築および配列決定を記載する。上記融合タンパク質vBAFF−R(R3〜A49):Fcを、配列番号1の残基S50、S51、T56およびS63に位置する4つの潜在的O結合型グリコシル化部位を除去するために、作製した。
付着末端を有する2重鎖オリゴヌクレオチドカセットを用いて、BAFF−Rアミノ酸残基C33〜A72をコードするヌクレオチドを、vBAFF−R(R3〜A72):Fcコード配列の同じ部位への連結により、アミノ酸残基C33〜A49をコードするヌクレオチドで置換した。これらのオリゴヌクレオチドの配列(baf−911およびbaf−912)を、配列番号8および配列番号9に示す。このオリゴヌクレオチド置換は、vBAFF−R(R3〜A72):Fcの残基S50〜A72の除去を生じる。
【0081】
上記vBAFF−R(R3〜A49):Fcコード配列を、哺乳動物細胞発現用ベクター(具体的には、293EBNA細胞またはCHO細胞)にサブクローニングした。発現プラスミドを、Lipofectamine(登録商標)(Invitrogen)を用いて,293EBNA細胞へトランスフェクトした。トランスフェクトした細胞上清を、トランスフェクト後96時間で採取した。上記融合タンパク質vBAFF−R(R3〜A49):Fcを、プロテインAアフィニティクロマトグラフィーおよびゲル濾過サイズ排除クロマトグラフィーにより精製した。
【0082】
(実施例3)
本実施例は、BIAcoreTMによる液相結合分析による、完全長vBAFF−R:Fcおよび短縮されたvBAFF−R:Fcの両方の、BAFFに対する見掛けの結合親和性の決定を例示する。
【0083】
全ての測定を、BIAcoreTM3000で行なった。BCMA−Fcを、CM5チップの1つの4分円に高密度に固定し、他の一つの四分円をバックグランドコントロールとして誘導体化せずに残した(underivitize)。
遊離BAFFの量についての標準曲線を、種々の濃度のBAFFを含有する連続的な試料をチップ表面上を走らせることにより作成した。結合の初速度(Vi)を、BAFF濃度の関数としてプロットした。用いた条件下では、Viは、溶液中の遊離BAFF量と比例的である。
【0084】
図2に示すように、溶液中のBAFF−R:Fcの各形態に対するBAFFの結合の平衡を、vBAFF−R(R3〜A72):FcまたはvBAFF−R(R3〜A49):Fcのいずれか一つの固定した量と、種々の濃度のBAFFとを予備混合し、これらの溶液を平衡に到達させることにより決定した。次いで、これらの溶液をBCMA−Fcチップ表面上で操作し、各溶液中の遊離BAFFの量を標準曲線との比較により、Viから決定した。結合の親和性および化学量論を、上記データを適切な2次方程式にあてはめることにより決定した。
【0085】
図3に示すように、溶液中のvBAFF−R(R3〜A72):Fcに対するBAFFの結合の平衡およびvBAFF−R(R3〜A49):Fcに対するBAFFの結合の平衡を、固定した量のBAFFと、改変体BAFF−R:Fcの種々の濃度の各形態を、予備混合し、これらの溶液を平衡に到達させることにより決定した。次いで、これらのvBAFF−R:Fc/BAFF混合物を、その後BCMA−Fcチップ上で操作し、各溶液中の遊離BAFF量をViから定量した。結合の親和性および化学量論を、上記データを適切な2次方程式にあてはめることにより決定した。
【0086】
図2および図3で示すように、BAFFに対する、vBAFF−R(R3〜A72):FcおよびvBAFF−R(R3〜A49):Fcの結合親和性は、これらの方法で同一である。vBAFF−R(R3〜A72):FcおよびvBAFF−R(R3〜A49):Fcは、溶液中でBAFFに対して、みかけK<200pMおよび1:1(BAFF:BAFF−R:Fc)化学量論で、結合する。
【0087】
(実施例4)
本実施例は、その表面(CHO:hBAFF)にヒトBAFFを安定に発現するCHO細胞株へのvBAFF−R(R3〜A49):Fcの結合能を例示する。
【0088】
精製したvBAFF−R(R3〜A72):FcまたはvBAFF−R(R3〜A49):Fcの3倍の連続希釈液(9μg/ml〜4ng/mlの範囲)を、CHO:hBAFF細胞(5×10細胞/ml)を含む氷上で1時間インキュベートした。細胞を、FACS緩衝液で洗浄し、ロバ抗ヒトIgG−PE(Jackson ImmunoResearch)で氷上で30分間染色した。細胞をFACS緩衝液で洗浄し、1%パラホルムアルデヒドで固定した。細胞を、FACSによりPE蛍光について分析し、そのヒストグラムの平均蛍光をプロットした。
【0089】
図4は、vBAFF−R(R3〜A72):FcおよびvBAFF−R(R3〜A49):FcのCHO:hBAFF細胞への結合曲線を示す。上記二つの曲線は、互いに殆ど重なり、CHO:hBAFF細胞への1/2最大結合(half−maximum binding)については同様な値を示す。
【0090】
(実施例5)
本実施例は、その表面にhBAFF−Rを発現するヒトB細胞株であるBJAB細胞へのhBAFFの結合を、vBAFF−R(R3〜A72):FcおよびvBAFF−R(R3〜A49):Fcが阻害する能力を例示する。
【0091】
ビオチン化myc−hBAFFを、FACSTM緩衝液または精製したvBAFF−R(R3〜A72):FcもしくはvBAFF−R(R3〜A49):Fcの3倍連続希釈液のいずれかと一緒に、同時に、BJAB細胞(5×10細胞/ml)に添加した。ビオチン化hBAFFの最終濃度は、200ng/mlであり、vBAFF−R:Fc分子の濃度は9μg/ml〜4ng/mlの範囲であった。上記細胞を、これらの溶液と氷上で1時間インキュベートした。細胞を、FACSTM緩衝液で洗浄し、30分間氷上でSAV−PEで染色し、再び洗浄して、1%パラホルムアルデヒドで固定した。上記細胞を、PE蛍光についてFACSTMにより分析し、そのヒストグラムの平均蛍光をプロットした。
【0092】
図5は、種々の濃度のvBAFF−R(R3〜A72):FcまたはvBAFF−R(R3〜A49):Fcが、BJAB細胞に対するビオチン化hBAFFの結合を阻害する能力についての曲線を示す。上記二つの曲線は、互いに殆ど正確に重なっている。vBAFF−R(R3〜A72):FcおよびvBAFF−R(R3〜A49):FcについてのBJABへのhBAFF結合の1/2最大阻害は類似している。
【0093】
(実施例6)
本実施例は、ヒトvBAFF−R(R3〜A72):FcおよびvBAFF−R(R3〜A49):Fcのグリコシル化パターンを実証する。マウスBAFF−R分子中のN結合型グリコシル化部位およびヒトBAFF−R分子中のO結合型グリコシル化部位を、図6Aおよび図6Bに示す。
【0094】
vBAFF−R(R3〜A72):FcおよびvBAFF−R(R3〜A49):Fcを発現し、Protein A SepharoseTMとのインキュベート、酸溶出およびゲル濾過クロマトグラフィーによりCHO細胞から精製した。N結合型グリカンを除去するためにPNGaseFで処理した後、上記タンパク質をDTTで還元し、分子質量をZMD質量分析器を用いて決定した。上記分子質量は、MasEnt 1プログラムで逆重畳積分により生成した。
【0095】
図7の質量スペクトル中の検出可能なピークは、vBAFF−R(R3〜A72):Fcタンパク質の多くのO結合型形態があることを示す。各検出可能なピークに関しては、上記分子に存在する6つの潜在的O結合型グリコシル化の中に多くの異なる潜在的グリコシル化パターンがある。これらの部位のいくつかの%占有率を表2に示す。図8A〜8Hは、異なるCHO細胞株(図8A〜F)および293細胞株(図8G)で発現されたvBAFF−R(R3〜A72):Fcタンパク質についての質量スペクトルを示す。図8Hは、mBAFF−R:hFcについての質量スペクトルを示す。
【0096】
表2は、vBAFF−R(R3〜A72):Fcタンパク質の特定の潜在的グリコシル化部位のグリコシル化を分析する一連の実験の概要を示す。T41、S50、S51、T56およびS63の近接は、どの部位が占有されているか決定することを妨げる。しかしながら、これらの5つの部位を有するタンパク分解フラグメントは、80%のグリコシル化されるチャンスを有し、一方、ただT18部位のみを含有するフラグメントは20〜40%しかグリコシル化されるチャンスはない。グリコシル化パターンが、予測不可能性、および任意の所与の糖タンパク質の由来を決定する不可能性が、上記タンパク質の大スケールでの生産に問題を生じる。
【0097】
【表2】

vBAFF−R(R3−A49)の質量スペクトルを、図9に示し、そして表3に要約する。
【0098】
【表3】

vBAFF−R(R3−A49):Fcポリペプチドの上記グリコシル化パターンは、完全長ECD BAFF−R、vBAFF−R(R3−A72):Fcよりずっと単純である。このより短いポリペプチドは、二つのみ潜在的O結合型グリコシル化部位(T18およびT41)を含有する。このスペクトルには、7つのピークしかなく、そのそれぞれは、わずかの可能なグリコシル化部位を表している。例えば、上記30572ピークは、T18またはT41のいずれかに結合している単核2糖(HexNAc)(Hex)を有するΔBAFF−R:Fcタンパク質を表している。最も多くグリコシル化されている種は、上記31810であり、そこでは、2核2糖のそれぞれが、二つのシアル酸(NeuAc)由来である。上記BAFF−Rの完全長細胞外ドメインと比較する場合、この変化したグリコシル化パターンは、BAFF−Rを含む薬学的組成物のバッチ間のバラツキを容易に特徴づけることを可能にしている。表4は、vBAFF−R(R3〜A49):Fc(Thr−18およびThr−41)の二つの潜在的グリコシル化部位のグリコシル化部位占有率およびO結合糖のプロフィールの分析の要約を表す。
【0099】
【表4】

(実施例7)
本実施例は、vBAFF−R(R3〜A72)およびvBAFF−R(R3〜A49):Fcが、マウス脾臓B細胞におけるhBAFFのB細胞生存活性を阻害する能力を例示している。BAFF誘導細胞増殖アッセイを、マウス脾臓B細胞を用いて実施した。マウスB細胞を、B細胞回収カラム(Cedarlane Labs)を用いて2匹の1ヶ月齢C57/black6マウスの脾臓から単離した。B細胞を、平底96穴プレート(10細胞/穴 100μl 10%FBS加RPMI中)に、5μg/mlヤギ抗マウスμ鎖抗体(Jackson ImmunoReseach)、75ng/ml myc−hBAFF、およびvBAFF−R(R3〜A49):Fcの連続希釈液、vBAFF−R(R3〜A72):Fcの連続希釈液もしくはヒトIgGの連続希釈液の存在下で、72時間インキュベートした。細胞を、[H]−チミジン(1μCi/穴)でさらに18時間パルスし、そして採取した。[H]−チミジン取込みを、液体シンチレーション計数により、モニタリングした。図10は、インビトロでvBAFF−R(R3〜A49):FcおよびvBAFF−R(R3〜A72)が、hIgGとインキュベートした細胞と比較する場合、減少した[H]−チミジン取込みにより示されるように、BAFF媒介のB細胞増殖を、同じようによく阻害することを示している。
【0100】
(実施例8)
本実施例は、インビボでvBAFF−R(R3〜A49):FcでのBAFF遮断が、B細胞生存を障害し、末梢B細胞の数を減少させ、B細胞表面マーカーであるCD21およびCD23の発現レベルの低下の原因となることを示している。
全部で37匹の雌性BALB/cマウスを、表5に示すように、8つの処置群に割当てた。全ての動物に、200μlのvBAFF−R(R3〜A49):FcまたはhIgGを腹腔内に(10ml/kg容量用量)投与した。投与後96時間で、マウスを安楽死させ、B細胞定量化のために脾臓を摘出した。
【0101】
【表5】

脾細胞を機械的破砕で調製した。組織片を、100μmの細胞ろ過器を通して除去した。赤血球を5mlのACK溶液(155mM 塩化アンモニウム、10mM重炭酸カリウム、0.1mM EDTA、pH7.3)中で溶解させ、10mlPBSで3回洗浄し、FACS緩衝液(0.5%FBS、0.01アジ化ナトリウム)に懸濁した。組織片を、100μmの細胞ろ過器を通して除去し、生存細胞をトリパンブルー排除により計数した。
【0102】
FACS染色:100μl容量の試料あたり、200万個の細胞を染色した。上記mAbsのFcドメインと脾細胞のFcgR(Fcγレセプター)とが、相互作用をするのを防ぎ、それによりバックグランド染色を最小化するために、細胞を、Block緩衝液(10μg/ml FcBlock、5%ラット血清を含有するFACSTM緩衝液)と氷上でインキュベートした。特定のmAbsカクテルを、添加しそして氷上で30分間インキュベートした。細胞をFACSTM緩衝液で洗浄し、その後ストレプトアビジン−PerCP(ストレプトアビジン−ペリジニン クロロフィルII−aタンパク質、ビオチン化CD23プローブを検出するのに用いられる蛍光タグ化したストレプトアビジン)を含有するFACSTM緩衝液に懸濁し、30分間氷上でインキュベートした。細胞をFACS緩衝液で洗浄し、FACSCaliberTMフローサイトメーターでの分析のために150μlのPBS中0.5%のパラフォルムアルデヒドに懸濁した。100,000事象を集め、CellQuestTMソフトウエアを用いて分析をした。統計的解析は、スチューデントt検定を用いて実施した。
【0103】
脾臓B細胞の数を、全脾細胞数およびCD19+細胞%を基礎にして計算した。図11でわかるように、vBAFF−R(R3〜A49):Fc処置マウスは、コントロールと比較した場合、脾臓B細胞の著しい損失を示した。B細胞損失は、0.25mg/kgの低い用量で観察され、%損失は、より高用量のvBAFF−R(R3〜A49):Fcで増加した。
【0104】
vBAFF−R(R3〜A49):Fcによる、脾臓成熟(IgMloIgDhi)ならびに辺縁領域(MZ)(IgMloIgDhi)B細胞CD21およびCD23発現について、BAFFの阻害の波及効果を試験した。CD21平均蛍光強度(MFI)は、hIgG処置コントロールと比較した場合、vBAFF−R(R3〜A49):Fcを受けた0.25mg/kg、0.5mg/kgおよび5mg/kg用量の群で試験された全てのB細胞サブセットにおいて有意に、減少した(表6)。
【0105】
【表6】

CD23発現は、5mg/kg用量のhIgG処置コントロールと比較した場合、vBAFF−R(R3〜49):Fc処置マウスからの成熟B細胞およびMZ B細胞において、有意に減少していた(表7)。
【0106】
【表7】

(実施例9)
本実施例において、二つのELISA型式における、flag−huBAFFとvBAFF−R(R3〜A49):FcまたはvBAFF−R(R3〜A72):Fcとの結合を例示する。ELISAプレートを、pH9.6の50mM 重炭酸ナトリウム中で、50μl/穴、5μg/mlの捕獲抗体で、4℃一晩で、被覆した。捕獲抗体は、抗ヒトIgG Fc(Jackson ImmunoResearch)またはM2抗FLAG(Sigma)であった。プレートを室温(RT)30分間、3%BSA−PBSでブロックし、250μlのPBS+0.05%Tween20TMで3回洗浄した。その後のインキュベーションを、全て室温で3%BSA−PBSで希釈された試薬で行なった。
【0107】
抗ヒトIgG Fc被覆プレート上で50μlvBAFF−R(R3〜A49):FcまたはvBAFF−R(R3〜A72):Fcを2μg/mlで、2時間で捕獲し、上記の如く洗浄した(図12A)。10μg/mlの50μlのFLAG−huBAFFから始まる連続10倍希釈液を加え、30分間インキュベートして、洗浄した。100μlの1μg/mlのM2抗FLAGを30分間加えて洗浄した。抗マウスIgGアルカリホスファターゼ結合体(Jackson ImmunoResearch)の1:3000希釈、100μl、30分間。
【0108】
上記抗FLAGコートプレート上で、50μlの10μg/mlのFLAG−huBAFFを添加し、2時間インキュベートし、そして上記のように洗浄した(図12B)。10μg/mlの50μlのvBAFF−R(R3〜A49):FcおよびvBAFF−R(R3〜A72):Fcから始まる連続10倍希釈液を加え、30分間インキュベートして、上記のように洗浄した。1:3000希釈の抗ヒトFcγアルカリホスファターゼ結合体(Jackson ImmunoResearch)(1:3000希釈)、100μl、30分間。
【0109】
洗浄後、両方のセットのプレートの検出を、十分な発色が観察されるまで、10%ジエタノ−ルアミン、pH9.0、1mM MgCl、1mM ZnCl中、100μlの2mg/mlpNpp(Pierce)と室温で、インキュベートして行なった。OD405を読み取った。
【0110】
図12Aおよび12Bに示されるように、両方のELISA型式のもとで、vBAFF−R(R3〜A49):FcおよびvBAFF−R(R3〜A72):Fcに対するリガンド結合のIC50は、リガンドまたはレセプターFc融合物が溶液中に存在するか否かに拘わらず、FLAG−huBAFFに対して同じ高機能親和性を示している。
【0111】
本明細書は、本明細書で引用されている参考文献の教示に鑑みて、ほぼ完全に理解され、それらの参考文献は、本明細書により参考として援用されている。本明細書内の実施形態は、本発明の実施形態の例示を提供するが、本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではない。当業者は、多くの他の実施形態が本発明により包含されることを、容易に認識する。引用された全ての刊行物および特許ならびに本開示中のアクセッション番号もしくはデータベース参照番号により同定された配列は、全体が参考として援用される。本明細書に対立するまたは一致しない参考文献に援用されている物質の範囲まで、本明細書はいかなるそのような物質にもとってかわる。本明細書のいずれの参考文献の引用も、そのような参考文献が、本発明に対する先行技術であるという承認を得るものでもない。
【0112】
他に示さなければ、請求項を含め、本明細書で用いられている成分、細胞培養物、処置条件、の量を表現している全ての数は、用語「約」により、全ての例で修飾されるものと理解される。従って、他に反対と示されない限り、数値パラメータは近似値であり、本発明により得ようとしている望ましい性質により依存して変化する。他に示さなければ、一連の要素の前に立つ用語「少なくとも」は、一連のいずれの要素をもいうと理解される。当業者は、本明細書で記述されている本発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を、単なる慣用的実験を用いて認識するか、またはこれらを確認することができる。そのような等価物は、以下の特許請求の範囲により包含されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図8G】
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【図8H】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−158254(P2010−158254A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85557(P2010−85557)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【分割の表示】特願2006−507141(P2006−507141)の分割
【原出願日】平成16年3月26日(2004.3.26)
【出願人】(592221528)バイオジェン・アイデック・エムエイ・インコーポレイテッド (224)
【Fターム(参考)】