説明

短鎖フッ素化アクリレートまたはメタクリレートのフルオロポリマーおよびそれをベースとする撥油性および撥水性組成物

本発明は、(i)一般式:Rf−X−OC(O)−C(R)=CH2(式中、Rfは、炭素原子3または4個を有する過フッ素化脂肪族基を表し、Xは、二価有機結合基であり、Rは、水素、または炭素原子1〜4個を有する低級アルキル基を表す)によるモノマーからなる群から選択される1種または複数種のフッ素化モノマー;(ii)1種または複数種の非フッ素化コモノマー;から誘導される反復単位を含むフルオロポリマーをベースとする組成物に関する。このフルオロポリマーは、3000〜55000の重量平均分子量を有する。組成物は溶剤系(solvent born)または水性系(aqueous born)であることができ、基材に良好な撥油性および/または撥水性を付与するのに特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、短鎖フッ素化アルキルアクリレートおよび/またはメタクリレートのフルオロポリマーに関する。特に、本発明は、かかるフルオロポリマーを含有する組成物、および基材に撥性を付与するための、かかるフルオロポリマーでの織物などの基材の処理に関する。
【背景技術】
【0002】
基材、特に織物などの繊維基材を撥油性および撥水性にするための組成物は当技術分野で長い間知られている。フルオロケミカル化合物は、基材、特に織物基材に撥油性および撥水性を付与するのに非常に有効であることがよく知られている。市販のフルオロケミカル組成物は低レベルで適用することができ、一般にこれらの低いレベルで所望の撥油性および撥水性特性を付与するのに有効である。フルオロケミカル化合物のコストだけでなく、処理基材がその特性を維持し、その結果その外観および感触の乱れができる限り抑えられることが保証されることから、かかる高効率が望まれる。望ましい効率のために、一般に使用されているフルオロケミカル組成物は通常、一般に炭素原子8個以上を有する長鎖フッ素化アルキル基を有する化合物をベースとするか、または長鎖フッ素化アルキル基を有するモノマーから誘導されたポリマーをベースとする。
【0003】
アクリル酸またはメタクリル酸のフッ素化アルキルエステルから誘導されるポリマーは、米国特許第3,660,360号明細書、米国特許第5,284,902号明細書、米国特許第4,742,140号明細書、米国特許第6,121,372号明細書および米国特許第6,126,849号明細書に記載されている。これらの特許の教示に従って、アクリル酸またはメタクリル酸のフッ素化アルキルエステルを、塩化ビニルおよび塩化ビニリデンなどのモノマーを含有するアルキルアクリレートまたは塩素などの炭化水素モノマーを含む種々のコモノマーと共重合することができる。これらの教示において、これらのポリマーを用いて、有利な撥性特性が得られるが、通常、これらの特性は、フッ素化モノマーの(過)フッ素化アルキルにおいて炭素原子8個以上を有するアクリル酸またはメタクリル酸のフッ素化アルキルエステルから誘導されるポリマーで達成されることが示されている。
【0004】
EP 1 225 187号明細書およびEP 1 225 188号明細書には、ガラスおよびセラミックスなどの基材の処理に用いられる種々のフルオロケミカルオリゴマーが記載されている。これらの基材上に耐久性撥性コーティングを形成するために、フルオロケミカルオリゴマーが基材の表面と反応することができるように、フルオロケミカルオリゴマーは、加水分解基を有するシリル基を相当な量含有する。
【0005】
環境面から、現在、長鎖フッ素化アルキル基を有する化合物の使用は避けることが望ましいだろう。かかる化合物が、次にフルオロケミカル組成物において使用される高分子に重合されるとしても、長鎖フッ素化アルキル基を有する残りの低分子量化合物を排除するのは難しいことが判明している。後者の化合物が、非常に少量で存在する場合でさえ、最近では環境面から反対されているため、その使用を完全に避けるのが望ましいだろう。
【0006】
フッ素化アルキルアクリレートから誘導されるフルオロポリマーにおいて、アクリレートモノマーにおけるパーフルオロアルキル基の鎖長が短くなるにしたがって、動的後退水接触角が減少し、表面エネルギーが増加し、したがってかかる短鎖フッ素化アルキルアクリレートをベースとするフルオロポリマーが低い撥性性能を示すことはさらに公知である。これは例えば、クボ・モトノブ(Motonobu Kubo)による「Surface characteristics of fluoroalkyl acrylate copolymers and their applications」という題名の1995年の出版物第33巻,p185およびF.アウデナート(Audenaert)らの1999年の出版物、The Journal of the Textile Institute、第90巻p.76−94に教示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現在、基材、特に織物基材に撥水性および/または撥油性を付与し、環境面から反対されているフッ素化化合物の使用を実質的または完全に避けるための代替の処理を見出すことが望まれている。その組成物は対費用効果が高く、容易に製造することができ、さまざまな溶媒または水性系において良好な安定性を有することが望ましい。特に、ドライクリーニング装置におけるドライクリーニング中、またはドライクリーニングの終わりに組成物の適用を行うことができるように、好ましくは炭化水素または塩素化溶媒から適用することができ、かつ織物のドライクリーニングと適合性であるフルオロケミカル組成物を提供することが望まれる。イソプロピルアルコールなどの環境に優しい溶媒から適用することができ、かつ処理後に熱硬化する必要がないフルオロケミカル組成物を提供することがさらに望まれる。かかる組成物は、二次市場の用途、つまり、例えば基材上に組成物を吹付けることによって、消費者が織物などの基材に組成物を適用する用途において有用性が見出される。水性媒体から適用することができ、織物基材に良好な撥油性および動的撥水性を提供することができ、その結果、衣料品、または雨着および外套類における有用性が見出される織物基材を提供することができる、フルオロケミカル組成物がさらに望まれる。望ましくは、この処理は、非常に有効であり、今まで使用されているフルオロケミカル組成物に匹敵する、またはより良い性能を達成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様において、本発明は、(i)一般式:
f−X−OC(O)−C(R)=CH2
(式中、Rfは、炭素原子3または4個を有する過フッ素化脂肪族基を表し、Xは、二価有機結合基であり、Rは、水素、または炭素原子1〜4個を有する低級アルキル基を表す)によるモノマーからなる群から選択される1種または複数種のフッ素化モノマー;および(ii)1種または複数種の非フッ素化コモノマー;から誘導される反復単位を含むフルオロポリマーであって、前記フルオロポリマーが、シリル基を含まず、かつ重量平均分子量3000〜55000を有し、ただし、前記フルオロポリマーが、塩化ビニリデン、塩化ビニルおよびその混合物からなる群から選択される塩素含有コモノマーから誘導される反復単位3〜75モル%を含む場合に、前記フルオロポリマーが少なくとも6000の重量平均分子量を有することを条件とする、フルオロポリマーに関する。
【0009】
他の態様において、本発明は前述のフルオロポリマーを製造する方法に関する。
【0010】
第3の態様において、本発明は、(i)一般式:
f−X−OC(O)−C(R)=CH2
(式中、Rfは、炭素原子3または4個を有する過フッ素化脂肪族基を表し、Xは、二価有機結合基であり、Rは、水素、または炭素原子1〜4個を有する低級アルキル基を表す)によるモノマーからなる群から選択される1種または複数種のフッ素化モノマー;および(ii)1種または複数種の非フッ素化コモノマー;から誘導される単位を含むフルオロポリマーの有機溶媒中の溶液を含むフルオロポリマー組成物であって、前記フルオロポリマーが重量平均分子量3000〜55000を有し、かつ有機溶媒が、炭化水素溶媒、塩素化溶媒およびアルコールからなる群から選択される少なくとも1種類の溶媒を含む、フルオロポリマー組成物に関する。
【0011】
第4の態様において、本発明は、(i)一般式:
f−X−OC(O)−C(R)=CH2
(式中、Rfは、炭素原子3または4個を有する過フッ素化脂肪族基を表し、Xは、二価有機結合基であり、Rは、水素、または炭素原子1〜4個を有する低級アルキル基を表す)によるモノマーからなる群から選択される1種または複数種のフッ素化モノマー;および(ii)1種または複数種の非フッ素化コモノマー;から誘導される単位を含むフルオロポリマーの水性エマルジョンまたは分散体を含むフルオロポリマー組成物であって、前記フルオロポリマーが重量平均分子量10000〜55000を有する、フルオロポリマー組成物に関する。
【0012】
他の態様において、本発明は、基材、特に繊維基材を前述の組成物で処理して、基材に撥水性および/または撥油性を付与する方法に関する。
【0013】
このフルオロポリマーおよびフルオロポリマー組成物は、基材、特に織物基材に撥油性および撥水性を提供し、組成物を低いレベルで適用したとしても、長鎖アルキル基含有フルオロケミカルに一般的に付随する撥水性に近づけることが見出されている。特に、ポリマーの重量平均分子量が55000を超えない場合には、良好ないし優れた撥性が得られることが見出されている。良好な撥性を達成するポリマーの最低分子量は、フルオロポリマーを溶解または分散するために使用される媒質の性質によって異なる。
【0014】
本発明のフルオロケミカル化合物は様々な溶媒または溶媒混合物と相溶性であり、かつそれに溶解することができることがさらに見出されている。この組成物は、ドライクリーニング用途において織物基材のドライクリーニングの終わりに、またはドライクリーニング後に適用することができる。さらに、フルオロケミカル組成物は、熱硬化の必要なく、その組成物で処理された織物に良好な撥油性および撥水性を提供し、そのことから、エアロゾル用途に特に有用である。本発明のさらに他の態様において、フルオロケミカル化合物は水性組成物から適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明で使用されるフルオロポリマー組成物は、フッ素化モノマーおよび少なくとも1つの非フッ素化コモノマーから誘導される単位を含み、連鎖移動剤の存在下にてラジカル重合によって製造することができる。フッ素化モノマーは一般に、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸のエステルであり、フルオロ脂肪族基を含有する。そのフッ素化モノマーは、一般式
f−X−OC(O)−C(R)=CH2(I)
(式中、Rfは、炭素原子3または4個を有する過フッ素化脂肪族基を表し、Xは、二価有機結合基であり、Rは、水素、または炭素原子1〜4個を有する低級アルキル基を表す)によって表すことができる。
【0016】
過フッ素化脂肪族基Rfは、炭素原子3または4個を含有する、過フッ素化、安定性、不活性、好ましくは飽和、非極性、一価脂肪族ラジカルである。それは、直鎖または分枝鎖である。特に適しているフッ素化モノマーは、式中のRf基が式C49−のモノマーである。
【0017】
結合基Xは、パーフルオロ脂肪族基Rfをラジカル重合性基に結合させる。結合基Xは一般に、非フッ素化であり、好ましくは炭素原子1〜約20個を含有する。Xは任意に、酸素、窒素、または硫黄含有基、またはその組み合わせを含み、Xは、ラジカル重合を実質的に妨げる官能基(例えば、重合性オレフィン性二重結合、チオール、および当業者に公知のこのような他の官能基)を含有しない。適切な結合基Xの例としては、直鎖、分枝鎖または環状アルキレン、アリーレン、アラルキレン、スルホニル、スルホキシ、スルホンアミド、カルボンアミド、カルボニルオキシ、ウレタニレン、ウレイレン、およびスルホンアミドアルキレンなどのその組み合わせが挙げられる。
【0018】
フッ素化モノマーの具体的な例としては:
CF3CF2CF2CF2CH2CH2OCOCR1=CH2
CF3(CF23CH2OCOCR1=CH2
CF3(CF23SO2N(CH3)CH2CH2OCOCR1=CH2
CF3(CF23SO2N(C25)CH2CH2OCOCR1=CH2
CF3(CF23SO2N(CH3)CH2CH(CH3)OCOCR1=CH2
(CF32CFCF2SO2N(CH3)CH2CH2OCOCR1=CH2
(式中、R1は水素またはメチルである)が挙げられる。
【0019】
フッ素化モノマーまたはその混合物は通常、ポリマーにおけるその相当する単位の量が20〜80モル%、好ましくは30〜80モル%、さらに好ましくは40〜75モル%であるような量で使用される。
【0020】
非フッ素化コモノマーは例えば、次式:
h−L−Z(II)
(式中、Rhは、炭素原子4〜30個を有する置換または非置換脂肪族基を表し、Lは、二価有機結合基を表し、Zは、エチレン性不飽和基を表す)によって表すことができるモノマーなどの炭化水素基含有モノマーである。
【0021】
その炭化水素基は、例えば、オキシアルキレン基、ヒドロキシ基、アミノ基または塩素などのハロゲンなどの置換基で置換してもよいし、置換しなくてもよい、直鎖状、分枝鎖または環状アルキル基、アラルキル基、アルキルアリール基およびアリール基からなる群から選択されることが好ましい。
【0022】
非フッ素化コモノマーの例としては、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の炭化水素エステルが挙げられる。その例としては、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、3,3−ジメチルブチル(メタ)アクリレート、(2,2−ジメチル−1−メチル)プロピル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、4−エチル−シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチルメタクリレートおよびテトラヒドロピラニルアクリレートが挙げられる。他の非フッ素化コモノマーとしては、酢酸アリルおよびヘプタン酸アリルなどのアリルエステル;セチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテルまたはアルキルアリルエーテル;不飽和酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−クロロアクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸およびその無水物およびそのエステル、例えばビニル、アリル、メチル、ブチル、イソブチル、ヘキシル、ヘプチル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシル、ラウリル、ステアリル、イソボルニルまたはアルコキシエチルアクリレートおよびメタクリレート;α−β不飽和ニトリル、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、2−クロロアクリロニトリル、2−シアノエチルアクリレート、アルキルシアノアクリレート;α,β−不飽和カルボン酸誘導体、例えばアリルアルコール、アリルグリコレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、n−ジイソプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アミノアルキル(メタ)アクリレート、例えばN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N−t−ブチルアミノエチルメタクリレート;式X−R3+−Ra−OC(O)−CR1=CH2(式中、X-は、例えば塩素アニオンなどのアニオンを表し、Rは、水素またはアルキル基を表し、各Rは同一または異なり、Raは、アルキレンを表し、R1は、水素またはメチルを表す)の(メタ)アクリレートなどの、アンモニウム基を有するアルキル(メタ)アクリレート;スチレンおよびその誘導体、例えばビニルトルエン、α−メチルスチレン、α−シアノメチルスチレン;ハロゲンを含有することができる低級オレフィン系炭化水素、例えばエチレン、プロピレン、イソブテン、3−クロロ−1−イソブテン、ブタジエン、イソプレン、クロロおよびジクロロブタジエンおよび2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエン、(ポリ)オキシアルキレン基を含有する炭化水素モノマー、例えばポリエチレングリコールの(メタ)アクリレート、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーの(メタ)アクリレート、アミノもしくはジアミノ末端ポリエーテルの(メタ)アクリレート、およびメトキシポリエチレングリコールの(メタ)アクリレート、およびヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよびヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを含む、ヒドロキシル基を含有する炭化水素モノマーが挙げられる。非フッ素化コモノマーの他の例としては、塩化ビニルおよび塩化ビニリデンなどの塩素含有コモノマーが挙げられる。
【0023】
本発明の特定の実施形態において、フルオロポリマーは、1つまたは複数の硬化部位を有する単位を含む。これらの単位は一般に、1つまたは複数の硬化部位を含む相当するコモノマーから誘導されるだろう。「硬化部位」という用語は、処理される基材との反応に関与することができる官能基を意味する。硬化部位の例としては、カルボン酸基などの酸性基、ヒドロキシ基、アミノ基およびイソシアネート基またはブロックイソシアネート基が挙げられる。硬化部位単位がそれから誘導されるコモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アリルメタクリレート、ヒドロキシブチルビニルエーテル、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−イソブトキシメチルアクリルアミド、グリシジルメタクリレートおよびm−イソプロペニルα,αジメチルベンジルイソシアネートが挙げられる。他の例としては、イソシアネートブロック剤と重合性モノイソシアネートとの反応によって、またはジもしくはポリイソシアネートおよびヒドロキシもしくはアミノ官能化アクリレートまたはメタクリレートとイソシアネートブロック剤との反応によって得ることができる重合性ウレタンが挙げられる。イソシアネートブロック剤は、イソシアネート基と反応させると、通常室温でイソシアネートと反応する化合物と室温では非反応性である基であるが、高温にてイソシアネート反応性化合物と反応する基をもたらす化合物である。一般に、高温にて、ブロック基は、ブロック(ポリ)イソシアネート化合物から遊離され、その結果、再びイソシアネート基が生成されて、次いでその基はイソシアネート反応性基と反応することができる。ブロック剤およびそのメカニズムが、ダグラス・ウィックス(Douglas Wicks)およびゼノ.W.ウィックス(Zeno W.Wicks)によるBlocked isocyanates III.:Part.A, Mechanisms and chemistry,Progress in Organic Coatings,36(1999),p.14−172に詳細に記述されている。
【0024】
ブロックイソシアネートは、芳香族、脂肪族、環状または非環式であることができ、一般にブロックジもしくはトリイソシアネートまたはその混合物であり、イソシアネート基と反応することができる少なくとも1つの官能基を有するブロック剤とイソシアネートを反応させることによって得ることができる。好ましいブロックイソシアネートは、好ましくは高温でのブロック剤の脱ブロック化によって、150℃未満の温度でイソシアネート反応性基と反応することができるブロックポリイソシアネートである。好ましいブロック剤としては、フェノールなどのアリールアルコール、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタムなどのラクタム、ホルムアルドキシム、アセトアルドキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトフェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム、2−ブタノンオキシムまたはジエチルグリオキシムなどのオキシムが挙げられる。硬化部位としてブロックイソシアネート基を有するコモノマーの特定の例としては、ジイソシアネート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよび2−ブタノンオキシムの反応生成物、またはジイソシアネート、ポリエチレングリコールのモノ(メタ)アクリレートおよび2−ブタノンオキシムの反応生成物、トリイソシアネート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート1当量および2−ブタノンオキシム2当量の反応生成物、およびα,α−ジメチルm−イソプロペニルベンジルイソシアネートと2−ブタノンオキシムとの反応生成物が挙げられる。
【0025】
フッ素化モノマーと共重合することができる好ましい非フッ素化コモノマーとしては、イソブチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メチルメタクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、および上記のウレタン(メタ)アクリレート型モノマーから選択されるコモノマーが挙げられる。
【0026】
ポリマーにおける相当する単位の量が20〜80モル%、好ましくは20〜70モル%であるような量で、非フッ素化コモノマーを使用することができる。特に塩化ビニルおよび塩化ビニリデンなどの塩素含有コモノマーも使用してもよいが、これは一般に好ましくない。一般に、塩化ビニルおよび/または塩化ビニリデンの量は低いほうがよく、好ましくは60モル%以下、さらに好ましくは20モル%以下である。特にフルオロポリマーの平均分子量が低い、例えば10000以下の場合には、塩化ビニルおよび/または塩化ビニリデンの量は一般に、5モル%以下、好ましくは3モル%未満である。また、イソプロパノールなどのアルコール溶媒をベースとする組成物では、ポリマーに塩化ビニルおよび/または塩化ビニリデンから誘導される単位が存在することによって、かかる溶媒におけるフルオロポリマーの溶解性が実質的に低下する。
【0027】
処理方法で使用されるフルオロポリマーは通常、溶媒中でのラジカル重合によって製造される。適切な溶媒の例としては、脂肪族および脂環式炭化水素(例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン)、芳香族溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル、グリム、ジグライム、ジイソプロピルエーテル)、エステル(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド)およびアミド(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド)が挙げられる。反応物は、適切ないずれかの濃度、例えば反応混合物の全重量を基準にして約5〜約90重量%で溶媒中に存在することができる。炭化水素溶媒および任意の共溶媒で、またはアルコールで、使用する反応溶媒を蒸発させて、または蒸発させることなく、重合後に反応混合物をさらに希釈することができる。代替方法としては、フルオロポリマーは、乳化重合によって製造することができる。アニオン性、カチオン性、非イオン性または両性界面活性剤などの様々な界面活性剤を使用することができる。それらは単独で、または組み合わせて使用することができる。例えばアセトンなどの任意の極性共溶媒を20重量%まで使用することができる。
【0028】
重合は、ラジカル開始剤の存在下で行われる熱または光化学重合であることができる。有用なラジカル開始剤は当技術分野で公知であり、アゾ化合物、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2−メチル−ブチロニトリル)(V−59)、アゾビスバレロニトリルおよびアゾビス(2−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩等、ヒドロペルオキシド、例えばクメン、t−ブチル、およびt−アミルヒドロペルオキシド、ジアルキル過酸化物、例えばジ−t−ブチルおよびジクミルペルオキシド、ペルオキシエステル、例えば過安息香酸t−ブチルおよびフタル酸ジ−t−ブチルパーオキシ、ジアシル過酸化物、例えば過酸化ベンゾイルおよび過酸化ラウロイルが挙げられる。
【0029】
所望の分子量を得るために、重合は好都合なことに、連鎖移動剤または連鎖停止剤の存在下で行われる。適切な連鎖移動剤または連鎖停止剤としては、アルキルメルカプタンなどのメルカプト化合物が挙げられる。具体的な例としては、ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、2−メルカプトエチルエーテル、2−メルカプトイミダゾール、オクタデシル−3−メルカプトプロピオネートおよびトリメトキシシリルプロパンチオールが挙げられる。後者の連鎖移動剤はシリル基を含有し、そのため、シリル基を含有するフルオロポリマーを生じるだろう。本発明の特定の実施形態において、フルオロポリマーはシリル基を含有せず、したがって、かかる実施形態では、連鎖移動剤はシリル基を含有すべきではない。フッ素化メルカプト化合物などのフッ素化連鎖移動剤も使用することができる。フッ素化連鎖移動剤の例としては、次式:
(Rf1n−Q−SH(III)
(式中、R1fは、炭素原子3または4個を有する過フッ素化脂肪族基であり、nは1または2であり、Qは、上記の式(I)に関してXについて記載の有機結合基などの有機結合基である)の連鎖移動剤が挙げられる。
【0030】
式(III)による化合物の例としては:C49SO2N(Me)CH2CH2OCOCH2CH2−SH、C49SO2N(Me)CH2CH2SHおよびC49SO2N(Me)CH2CH2OCOCH2CH(SH)−COO−CH2CH2N(Me)O2SC49が挙げられる。使用される連鎖移動剤の量は、ポリマーの所望の分子量が得られるように選択すべきであり、一般に、使用される連鎖移動剤および重合条件の性質に依存するだろう。連鎖移動剤は通常、使用されるフッ素化および非フッ素化モノマーを基準にして0.25〜25モル%の量で使用されるだろう。通常、本発明のフルオロケミカルコポリマーは、重量平均分子量3000〜55000を有する。最適な分子量は一般に、基材の処理に使用される組成物の意図される用途および性質に依存するだろう。例えば、組成物が水性組成物である場合には、重量平均分子量は一般に、10000〜55000、好ましくは10000〜50000である。一方、アルコール溶媒、特にイソプロパノールをベースとする組成物では、重量平均分子量3000〜8000を有するフルオロポリマーが使用されることが好ましい。炭化水素溶媒および/または塩素化溶媒をベースとする組成物は、重量平均分子量約6000〜55000を有するフルオロポリマーを含むことが好ましい。「〜をベースとする」という表現は、特定の溶媒が組成物における主要な溶媒であること、つまり、組成物における溶媒の全重量を基準にして少なくとも40重量%の量で存在することを意味する。一般に、分子量分布(重量平均分子量と数平均分子との比)が低く、例えば7以下、好ましくは5以下、最も好ましくは3以下であることも好ましいだろう。分子量分布の一般的な範囲は1.5〜5である。
【0031】
フルオロケミカル組成物は、従来の塗布方法を用いて適用することができ、そのフルオロポリマーが有機溶媒または溶媒の混合物に溶解される組成物を含む。したがって、上述のように溶媒中で重合した後に得られるフルオロポリマー溶液は、有機溶媒で希釈することができる。適切な有機溶媒としては、炭化水素溶媒、塩素化溶媒およびアルコールが挙げられる。適切な炭化水素溶媒としては、イサン(ISANE)(登録商標)IP−175(トータルフィナ社(Total Fina))またはアイソパー(ISOPAR)(登録商標)L(エクソン社(Exxon))として市販されているイソパラフィンが挙げられる。溶媒混合物を使用することもできる。例えば、炭化水素溶媒または塩素化溶媒を極性溶媒、つまり炭化水素溶媒または塩素化溶媒よりも高い極性の溶媒と混合してもよい。極性共溶媒の例としては、例えば酢酸エチル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(EGMBA)、[2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチルヘキシルアセテートなどのエステル、例えば、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル、アセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンなどのケトンが挙げられる。適切な塩素化溶媒の例としては、パークロロエチレン、テトラクロロエチレンおよびトリクロロエタンが挙げられる。アルコールの例としては、エタノール、イソプロピルアルコール、メトキシプロパノール、t−ブタノールおよびジプロピレングリコールモノメチルエーテルが挙げられる。
【0032】
フルオロケミカル組成物は、水性エマルジョンまたは分散体の形で使用することもできる。水性エマルジョンは一般に、水と、エマルジョンで処理される基材に撥性を付与するのに有効な量のフルオロケミカル組成物と、エマルジョンを安定化するのに有効な量の界面活性剤と、任意にアセトンなどの共溶媒とを含有するだろう。界面活性剤は好ましくは、フルオロケミカル組成物100重量部を基準にして約1〜約25重量部、好ましくは約2〜約10重量部の量で存在する。従来のカチオン性、アニオン性、非イオン性および両性イオン界面活性剤が適している。
【0033】
水にフルオロポリマーを分散させてエマルジョンまたは分散体を形成する能力を改善するために、フルオロポリマーは、水可溶化(water solubilizing)基を含む1種または複数種のモノマーから誘導される反復単位を含み得る。好ましくは、かかるモノマーは、水可溶化基を有するアクリレートまたはメタクリレートモノマーである。水可溶化基はイオン性または非イオン性である。非イオン性の水可溶化基の代表的な例としては、ポリ(オキシアルキレン)基が挙げられる。ポリ(オキシアルキレン)基が水溶性または水分散性のままである限り、−OCH2−CH2−、−OCH2−CH2−CH2−、および−OCH(CH3)CH2−などの、ポリ(オキシアルキレン)基中のオキシアルキレン単位は好ましくは、炭素原子2または3個を有し、ポリ(オキシアルキレン)基中のオキシアルキレン単位は、ポリ(オキシエチレン)における単位と同じであるか、混合物として、直鎖もしくは分枝鎖で存在するか、またはランダムに分布したオキシエチレンおよびオキシプロピレン単位であるか、またはオキシエチレン単位のブロックおよびオキシプロピレン単位のブロックの直鎖または分枝鎖として存在する。特に好ましいポリ(オキシアルキレン)基は、約1500までの分子量を有するポリオキシエチレンおよびアルコキシポリオキシエチレンである。ポリ(オキシアルキレン)中のオキシアルキレンの数は、好ましくは2〜120、さらに好ましくは2〜48である。イオン性水可溶化基としては、アニオン性、カチオン性、両性イオン基が挙げられる。イオン性水可溶化基の具体的な例としては、−OCH2CH2+(CH33-、−OCH2CH2+(CH32CH2CH2CH2SO3-および−OCH2CH2+(CH33Cl-が挙げられる。このように、一実施形態において、このフルオロポリマーは、上述のように水可溶化基を有するアクリレートまたはメタクリレートから誘導される1種または複数種の単位を含み得る。しかしながら、存在する場合には、その量は、基材にフルオロケミカル組成物によって付与することができる撥水性に悪影響を及ぼさないようにするために、低く維持すべきである。一般に、水可溶化基含有モノマーから誘導される単位の量は、5モル%を超えず、好ましくは3モル%以下、最も好ましくは1モル%以下であるべきである。
【0034】
フルオロケミカル組成物は、緩衝剤、防火性または帯電防止性を付与する薬剤、殺菌剤、蛍光増白剤、金属イオン封鎖剤、鉱物塩、可塑剤および浸透を促進する膨潤剤などの他の添加剤を含有することができる。フルオロポリマー以外であり、フルオロケミカル組成物で処理された撥油性および/または撥水性をさらに向上させることができる、1種または複数種の補助成分を含むことが特に好ましい。「さらに向上させる」とは、組成物に添加した場合に、補助成分が、補助成分を添加していない組成物と比べて、撥油性および撥水性のうち少なくとも1つを高めることを意味する。補助成分は、撥性の耐久性を向上させることができることが好ましい。補助成分は一般に、非フッ素化有機化合物であり、増量剤(extender)とも呼ばれる。撥油性および/または撥水性を向上させることができる適切な増量剤としては、例えば、金属エステルまたはアルコラート、例えばジルコニウムもしくはチタンエステルまたはアルコラートが挙げられる。例としては、酪酸ジルコニウム、ジルコニウムプロピレート、チタン酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。他の増量剤としては、芳香族および脂肪族ブロックイソシアネートを含むブロックイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、および芳香族または脂肪族ポリカルボジイミドを含む芳香族または脂肪族カルボジイミドが挙げられる。更なる補助成分としては、カルナウバろうおよびカンデリラろう、蜜ろうまたは動物由来のろうなどのパラフィンろうが挙げられる。合成ロウの例としては、石油ろう、例えばパラフィンろうおよび微結晶性ワックスまたは半結晶性ワックスおよびメラミン−パラフィンろうが挙げられる。市販の例は、セロール(Cerol)EWL(クラリアント社(Clariant))、フリーペル(Freepel)1225(BFグッドリッチ社(BF Goodrich))である。他の増量剤としては、ポリ水素メチルシロキサン、例えばバイエル社(Bayer)からの真珠岩(Perlite)Si−SWおよびOSiスペシャルティ社(OSi Specialties)からのL−31またはロッタ社(Rotta)からのロタール(Rotal)Si−420が挙げられる。
【0035】
増量剤は、処理用組成物に存在するフルオロポリマー100重量部当たり、2〜300重量部、好ましくは5〜200重量部、さらに好ましくは10〜100重量部の量で使用される。フルオロケミカル処理用組成物は通常、フルオロポリマーを0.01〜20重量%含有するだろう。
【0036】
本発明に従って、基材に適用される処理用組成物の量は、基材表面に十分に高い撥性が付与されるように選択され、前記の量は通常、基材の重量を基準にして0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜3.0重量%、さらに好ましくは0.1〜1.0重量%のフルオロケミカル組成物が処理基材上に存在するような量である。
【0037】
本発明の方法を用いてフルオロケミカル組成物により処理された基材は特に制限されないが、通常、織物、不織布などの繊維基材、カーペット、革である。フルオロケミカル組成物は、ドライクリーニング用途において処理される織物基材に撥性を付与するのに、かつ衣料品、外套類および雨着に特に有用である。組成物をドライクリーニング用途において適用する場合、例えば最後のドライクリーニングサイクルのうちの1つにおいて、ドライクリーニング装置によるドライクリーニングで、組成物を直接適用することができる。任意に極性共溶媒と合わせられる炭化水素溶媒または塩素化溶媒中のフルオロポリマーの溶液を含有する組成物が、ドライクリーニング中の適用に特に有用である。
【0038】
基材の処理に変化をもたらすために、フルオロケミカルポリマーおよび任意の添加剤を含有する、希釈溶媒組成物またはエマルジョンに基材を浸漬することができる。次いで、飽和した基材をパッダ/ローラーを通して、余分な組成物を除去し、硬化した処理基材を提供するのに十分な温度および時間にてオーブン内で乾燥させ、硬化させることができる。乾燥プロセスは通常、室温、または約50〜約70℃の温度で行われる。一般に、約60℃の温度で、約10〜60分間、好ましくは30分間の時間が適している。処理基材の硬化は、使用される特定の基材に応じて、約50〜約190℃の温度で達成することができる。一般に、約120〜170°C、特に約130〜約150°Cの温度、約20秒〜10分、好ましくは2〜5分の時間が適している。
【0039】
代替方法としては、組成物を基材に吹付け、続いて室温または高温で乾燥させる。後者の適用方法は一般に、組成物が消費者により適用される場合、および組成物をスプレー缶に収容するのが都合が良いような場合に使用される。吹付け用途、例えばスプレー缶で使用するのに特に適している組成物は、例えばイソプロパノールなどのアルコール溶媒にフルオロポリマーが溶解された組成物である。
【0040】
以下の実施例は、本発明をそれに限定する意図なく、本発明をさらに説明する。
【実施例】
【0041】
配合物および処理手順
パッド塗布
規定量のフルオロケミカル処理剤を含有する処理浴を配合した。固形分0.3%の濃度(布の重量に対する濃度であり、SOF(布上の固形分)と示される)が得られるように、パジングによって試験基材に処理を適用した。処理布を60℃で30分間乾燥させ、150℃で15秒間アイロン掛けした。その処理基材を撥性について試験した。
【0042】
吹付け塗布
噴霧式スプレーガン(1クロス)で、通常ポリマー固形分2%の希釈フルオロポリマー処理用組成物を基材に吹付けた。平均で、1平方メートル当たりフルオロポリマー固形分約5gとなるように基材に吹付けた。処理基材を一晩、空気乾燥させた。その空気乾燥された処理基材で撥性を試験した。
【0043】
本発明の処理を評価するために使用される機材は市販のものであり、以下に記載される:
PES/CO:ベルギー、ロンセ(Ronse,Belgium)のウテクスベルN.V.(Utexbel N.V.)社から入手されたグレー(Grey)ポリエステル/綿65/35、形式番号2681.4
PAμ:ベルギーのソフィナル(Sofinal)社から入手されたポリアミド超極細繊維、形式番号7819.4
PESμ:ベルギーのソフィナル(Sofinal)社から入手されたポリエステル超極細繊維、形式番号6145.3。
【0044】
以下の実施例および比較例において示される撥水性および撥油性の各データは、以下の測定方法および評価基準に基づく。
【0045】
吹付け等級(SR)
処理基材の吹付け等級は、処理基材上に衝突する水に対する処理基材の動的撥性を示す値である。その撥性は、米国繊維化学技術・染色技術協会(American Association of Textile Chemists and Colorists)(AATCC)の「Technical Manual and Yearbook」で1985年に公開されている標準試験番号22によって測定し、処理基材の「吹付け等級」によって表した。吹付け等級は、高さ15cmから基材上に水250mlを吹付けることによって得られた。湿潤パターンは視覚的に、0〜100のスケールを用いて評価した。0は完全な湿潤を意味し、100は全く湿潤していないことを意味する。
【0046】
撥油性(OR)
米国繊維化学技術・染色技術協会(American Association of Textile Chemists and Colorists)(AATCC)標準試験法No.118−1983によって処理基材の撥油性を測定した。その試験は、様々な表面張力の油による浸透に対する処理基材の耐性に基づく。ヌジョール(Nujol)(登録商標)鉱油(試験油の中で最も低い浸透)のみに耐性の処理基材を1と評価したのに対して、ヘプタン(試験油の中で最も高い浸透)に対して耐性の処理基材を8と評価した。他の中間値は、以下の表に示すように、他の純粋な油または油の混合物を使用することによって決定した。
【0047】
【表1】

【0048】
撥水性試験(WR)
一連の水−イソプロピルアルコール試験液を使用して、基材の撥水性(WR)を測定し、処理基材の「WR」等級によって表した。WR等級は、15秒さらした後に、基材表面に浸透しない、または湿潤しない最も浸透する試験液に相当する。最も浸透しない試験液、水100%(イソプロピルアルコール0%)によって浸透された、またはそれらに対してのみ耐性のある基材を等級0とし、最も浸透する試験液、イソプロピルアルコール100%(水0%)に耐性のある基材を等級10とした。他の中間等級は、試験液中のイソプロピルアルコールの%を10で除算することによって計算し、例えば70%/30%イソプロピルアルコール/水のブレンドに耐性であるが、80%/20%のブレンドには耐性でない処理基材は等級7とされるだろう。
【0049】
分子量の決定
試料の平均分子量および多分散性をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析によって決定した。試料15mgをテトラヒドロフラン(THF)3mLに溶解して混合物を形成した。0.45ミクロンのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シリンジフィルターを使用して、その混合物を濾過した。次いで、ウォーターズ(Waters)717オートサンプラーおよびウォーターズ(Waters)600ポンプも有するGPCシステムの一部である、Plゲル・ミックストB(Pl gel−Mixed B)カラム(3カラム,300mm×7.5mm)(英国のポリマー・ラボラトリー社(Polymer Laboratories Ltd,UK)から市販されている)に、濾過した溶液約150マイクロリットル(μL)を注入した。流量約1.0mL/分で移動するTHF溶離剤を用いて、システムは40℃で動作した。ウォーターズ(Waters)410屈折率検出器を使用して濃度の変化を検出した。数平均分子量および重量平均分子量(それぞれMnおよびMw)および多分散性(Mw/Mn)の計算は、分子量1000〜7.3×106の範囲の狭い多分散性ポリスチレン対照を使用した較正モードに基づく。実際の計算はウォーターズ社(Waters)から市販のミレニアム・ソフトウェア(Millennium software)で行った。
【0050】
略語
イサン(ISANE)(登録商標)IP−175:トータルフィナ社(Total Fina)から市販のイソパラフィン
EGMBA:エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
MeFBSE(M)A:N−メチルパーフルオロ−ブチルスルホンアミドエチル(メタ)アクリレート
MeFOSE(M)A:N−メチルパーフルオロ−オクチルスルホンアミドエチル(メタ)アクリレート
ODMA:オクタデシルメタクリレート
FC:フルオロケミカル
VCl2:塩化ビニリデン
MPEG350MA:BPケミカルズ社(BP Chemicals)から市販のメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(Mw350)
タージトール(Tergitol)(登録商標)15−S−30:ダウ社(DOW)から市販の非イオン性界面活性剤
タージトール(Tergitol)(登録商標)TMN−6:ダウ社(DOW)から市販の非イオン性界面活性剤
エソカード(Ethoquad)(登録商標)C−12:アクゾノベル社(Akzo Nobel)から市販の第4級アンモニウム乳化剤
V−50:和光社(Wako)から市販の2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩
V−59:和光社(Wako)から市販の2,2’−アゾビス(2−メチル−ブチロニトリル)
IPA:イソプロピルアルコール
FC−メルカプタン:MeFBSEを3−メルカプトプロピオン酸でエステル化することにより製造されるC49SO2N(Me)CH2CH2OCOCH2CH2−SH
n−OctSH:n−オクチルメルカプタン
MeFBSE:N−メチルパーフルオロ−ブチルスルホンアミドエチルアルコール
タイザー(Tyzor)TiOT:デュポン・ドゥ・ヌムール社(Du Pont de Nemours)から市販のチタンテトラ−イソオクタノレート(isooctanolate)
タイザー(Tyzor)TPT:デュポン・ドゥ・ヌムール社(Du Pont de Nemours)から市販のチタンテトラ−イソプロパノレート(isopropanolate)
タイザー(Tyzor)NBZ:デュポン・ドゥ・ヌムール社(Du Pont de Nemours)から市販のジルコニウムテトラ−ブタノレート(butanolate)
DOA:アジピン酸ジオクチル
DCC:アルドリッチ社(Aldrich)から市販の1,3ジシクロヘキシルカルボジイミド
L−31:OSiスペシャルティ社(OSi Specialties)から市販のポリメチル水素シロキサン
mTMI:ダイノ・シアナミド社(Dyno Cyanamid)から市販のメタイソプロペニルα,α−ジメチルベンジルイソシアネート
【0051】
フルオロポリマーFC−1〜FC−9および比較用フルオロポリマーC−FC−1およびC−FC−2の合成
オクタデシル−3−メルカプトプロピオネート(FC−7)6.5モル%(5.95phr)を用いて、MeFBSEMA/ODMA(73.3/26.7)の合成について記載の手順に従って、表1に示されるフルオロポリマーFC−1〜FC−9および比較用フルオロポリマーC−FC−1およびC−FC−2を製造した。
【0052】
凝縮器、温度制御、および乾燥N2入口を備えた500mlガラス瓶にMeFBSEMA77.5g(0.182モル)を装入し、続いて、ODMA22.5g(0.066モル)およびオクタデシル−3−メルカプトプロピオネート5.95g(0.017モル)を装入した。EGMBA70.6gを添加し、反応混合物を乾燥N2を用いて真空下にて3回ガス抜きした。V−59触媒を添加し(固形で2%)、反応温度を75℃に上げた。乾燥N2下で反応を20時間行った。30℃に冷却した後、さらにV−59 0.25%を添加し、反応混合物を75℃に加熱した。反応を3〜4時間続けた。反応混合物を25℃に冷却し、EGMBA3.54gおよびイサン(ISANE)(登録商標)IP−175 173.05gを添加した。混合物を均一になるまで攪拌した。上記で製造された混合物14gをイサン(ISANE)(登録商標)IP−175 1000gで希釈することによって、処理溶液を調製した。
【0053】
GPC分析を用いて、その数平均分子量および重量平均分子量について、フルオロケミカルポリマーを評価した。その結果を表4に示す。
【0054】
【表2】

【0055】
フルオロポリマーFC−10〜FC−15および比較用フルオロポリマーC−CF−3〜C−FC−4の合成
フルオロポリマーFC−10:MeFBSEMA/VCl2/ODMA/MPEG350MA(23.4/57.1/19.0/0.51)の合成について示される手順に本質的に従って、表2に示されるフルオロポリマーFC−10〜FC−13および比較用フルオロポリマーC−CF−3〜C−CF−4を製造した。
【0056】
250mlガラス瓶に、MeFBSEA18g、ODMA11.6g、MPEG350MA0.4g、水80.6gおよびアセトン19.8gを装入した。2%(モノマー固形分に対する乳化剤固形分%)エソカード(Ethoquad)(登録商標)C/12と、2%タージトール(Tergitol)(登録商標)15−S−30と、3.6%タージトール(Tergitol)(登録商標)TMN−6との混合物を乳化剤系として添加した。V−50開始剤(固形分で0.5%)0.2gを添加した後、瓶を脱気し、窒素でパージした。VCl210gを添加し、反応混合物上に速い窒素流を通過させた。その瓶を密閉し、ラウンダーOメーター(Launder−O−meter)(アトラス社(Atlas)から入手可能なAATCC標準装置)に温度72℃で16時間入れておいた。重合後、減圧下でアセトンを時折除去し、固形分33%のエマルジョンを得た。そのフルオロポリマーを分子量について評価した。その結果を表4に示す。次いで、そのフルオロポリマーエマルジョンを使用して、パジング後に0.3%SOFが得られる一般的な浴濃度で、上記のパッド塗布によって基材を処理した。
【0057】
異なる量の乳化剤:2%(固形分を基準にして)エソカード(Ethoquad)(登録商標)C/12、3%タージトール(Tergitol)(登録商標)15−S−30、および5.4%タージトール(Tergitol)(登録商標)TMN−6を使用したが、本質的に同じ手順に従って、フルオロポリマーFC−14およびFC−15を製造した。
【0058】
【表3】

【0059】
フルオロポリマーFC−16〜FC−19の合成
表3に示されるフルオロポリマーFC−16〜FC−19を以下の一般的な手順に従って製造した:フルオロポリマーは、酢酸エチル中で固形分40%で製造した。モノマー、連鎖移動剤および酢酸エチルを重合ボトルに装入し、脱ガスし、V−59開始剤1%(固形分で)の存在下にて65℃で窒素雰囲気下で反応させた。反応を16時間行った。次いで、V−59開始剤1%をさらに添加し、反応を65℃でさらに6時間行った。そのフルオロポリマーを以下のようにイソプロピルアルコール中でのその溶解性について評価した:上記で調製された濃縮混合物から出発して、1%フルオロポリマー溶液をIPA中で調製した。透明な溶液を得た。
【0060】
【表4】

【0061】
【表5】

【0062】
実施例1〜4および比較例C−1およびC−2
実施例1〜4において、SOF0.3%の含浸量レベルが得られるように、パッド塗布によってフルオロケミカルコポリマーFC−4〜FC−7のイサン(ISANE)(登録商標)IP−176溶液で、表5に示されるいくつかの基材を処理した。比較例C−1およびC−2は、比較用フルオロポリマーC−FC−1およびC−FC−2で基材を処理することによって製造された。処理した基材を60℃で30分間乾燥させ、150℃で15秒間アイロン掛けした。ORおよびSRの結果を表5に示す。
【0063】
【表6】

【0064】
この結果から、処理された基材は、少なくともいくつかの用途で許容可能される良好な撥油性および撥水性等級を有することが示された。C−1を実施例1〜4と比較すると、フルオロポリマーの分子量を低減することによって、撥油性を増加することができることが分かる。
【0065】
実施例5〜8
実施例5〜8において、表6に示すように、フルオロポリマーのイサン(ISANE)(登録商標)IP−175溶液で、0.3%SOFが得られるようにパッド塗布によって基材を処理した。長鎖フルオロアルキルアクリレートポリマーで比較例C−3を製造した。処理後、基材を60℃で30分間乾燥させ、150℃で15秒間アイロン掛けした。この撥性を表6に示す。
【0066】
【表7】

【0067】
この結果から分かるように、モノマー範囲70/30〜77.5/22.5におけるMeFBSEMA/ODMAコポリマーで処理した基材に関しては、良好な全体的性能レベルが得られ、MeFBSEMA/ODMAモノマー範囲75/25〜77.5/22.5については性能が最高であった。驚くべきことに、低分子量短鎖フルオロアルキル(メタ)アクリレートコポリマーで処理された基材は、高分子量の長鎖フルオロアルキルアクリレートコポリマーで処理された基材と同じ範囲内で機能を果たした。
【0068】
実施例9〜12
実施例9〜12において、パッド塗布(0.3%SOF)によって、フルオロケミカルコポリマーFC−6およびFC−7と、表7に示される異なるレベル(FC固形分を基準にした%)のチタン酸エチルヘキシルとのイサン(ISANE)(登録商標)IP−175溶液で処理した。処理基材をその撥油性および撥水性について試験した。その結果を表7に示す。
【0069】
【表8】

【0070】
この結果から、フルオロケミカルコポリマーで処理された基材の撥油性および動的撥水性を、炭化水素増量剤を使用することによって向上することができることが示された。高い動的撥水性を得ることができた。
【0071】
実施例13および14
実施例13および14において、35%アルカン酸ジルコニウム(FC固形分を基準にして)と組み合わせて、フルオロケミカルFC−6およびFC−7それぞれのイサン(ISANE)(登録商標)IP−175溶液を用いて、同じ種類の実験を繰り返した。撥性の結果を表8に示す。
【0072】
【表9】

【0073】
この結果から、フルオロケミカルコポリマーとアルカン酸ジルコニウムとの混合物で処理した場合に、高い動的撥水性を有する基材を製造することができることが示された。
【0074】
実施例15
実施例15において、チタン酸エチルヘキシル35%(FC固形分を基準にして)とFC−9とのイサン(ISANE)(登録商標)IP−175混合物で、パッド塗布によって、表9に示す異なる基材を処理した。基材を60℃で30分間乾燥させ、150℃で15秒間アイロン掛けした。撥性の結果を表9に示す。
【0075】
【表10】

【0076】
この結果から、良好な性能の結果が得られることが示された。
【0077】
実施例16〜19および比較例C−4
実施例16〜19において、0.3%SOFが得られるように、パッド塗布によって、水性フルオロケミカル組成物FC−10〜FC−13でPESおよびPA基材を処理した。比較例C−4は、比較用フルオロケミカルエマルジョンC−FC−3を用いて製造した。処理布を160℃で1.5分間乾燥させ、硬化させ、その撥油性および撥水性について試験した。その結果を表10に示す。
【0078】
【表11】

【0079】
表の結果から、連鎖移動剤を用いて製造されたフルオロケミカルコポリマーで処理された基材の撥油性が向上したことが示されている。
【0080】
実施例20〜22
実施例20〜22において、表12に示す異なる基材に、フルオロケミカルコポリマーFC−17〜FC−19の2%IPA溶液を吹付けた。基材を室温で一晩乾燥させ、その撥性について試験した。その結果を表11に示す。
【0081】
【表12】

【0082】
この結果から、本発明のフルオロポリマーで処理した基材は、空気乾燥条件下でさえ、良好な全体的撥性を有することが示されている。
【0083】
実施例23〜29
実施例23〜28において、フルオロポリマー濃縮物FC−18 5gを、表13に示す炭化水素増量剤または可塑剤0.5g、酢酸エチル0.8gおよびIPA93.8gとブレンドした。添加剤を含有しないフルオロポリマーFC−18で実施例29を製造した。その組成物を使用して、吹付け塗布によって様々な基材を処理した。処理された基材を室温で一晩乾燥させ、その撥性について試験した。その結果を表12に示す。
【0084】
【表13】

【0085】
表の結果から分かるように、チタネート、ジルコネート、ポリカルボジイミドまたはシリコーンなどの増量剤を添加することによって、特にPESおよびPES/CO上の静的(WR)および動的(SR)撥水性を高めることができる。可塑剤DOAの添加は、撥油性に良い影響を与える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)一般式:
f−X−OC(O)−C(R)=CH2
(式中、Rfは、炭素原子3または4個を有する過フッ素化脂肪族基を表し、Xは、二価有機結合基であり、Rは、水素、または炭素原子1〜4個を有する低級アルキル基を表す)によるモノマーからなる群から選択される1種または複数種のフッ素化モノマー;および(ii)1種または複数種の非フッ素化コモノマー;から誘導される反復単位を含むフルオロポリマーであって、前記フルオロポリマーが、シリル基を含まず、かつ重量平均分子量3000〜55000を有し、ただし、前記フルオロポリマーが、塩化ビニリデン、塩化ビニルおよびその混合物からなる群から選択される塩素含有コモノマーから誘導される反復単位3〜75モル%を含む場合に、前記フルオロポリマーが少なくとも6000の重量平均分子量を有することを条件とする、フルオロポリマー。
【請求項2】
前記フルオロポリマーが、フルオロポリマーにおける反復単位の総量を基準にして、前記フッ素化モノマーから誘導される反復単位20〜80モル%を含む、請求項1に記載のフルオロポリマー。
【請求項3】
前記非フッ素化コモノマーの前記の少なくとも1つが、次式:
h−L−Z
(式中、Rhは、炭素原子4〜30個を有する脂肪族基を表し、Lは、二価有機結合基を表し、Zは、エチレン性不飽和基を表す)の炭化水素コモノマーである、請求項1に記載のフルオロポリマー。
【請求項4】
前記フルオロポリマーが1つまたは複数の硬化部位を含有する、請求項1に記載のフルオロポリマー。
【請求項5】
前記フルオロポリマーが、フルオロポリマーにおける反復単位の総量を基準にして20〜80モル%の量で、前記炭化水素コモノマーから誘導される反復単位を含む、請求項3に記載のフルオロポリマー。
【請求項6】
連鎖移動剤から誘導される末端基をさらに含む、請求項1に記載のフルオロポリマー。
【請求項7】
(i)一般式:
f−X−OC(O)−C(R)=CH2
(式中、Rfは、炭素原子3または4個を有する過フッ素化脂肪族基を表し、Xは、二価有機結合基であり、Rは、水素、または炭素原子1〜4個を有する低級アルキル基を表す)によるモノマーからなる群から選択される1種または複数種のフッ素化モノマー;および(ii)1種または複数種の非フッ素化コモノマー;から誘導される単位を含むフルオロポリマーの有機溶媒中の溶液を含む、フルオロポリマー組成物であって、前記フルオロポリマーが重量平均分子量3000〜55000を有し、かつ前記有機溶媒が、炭化水素溶媒、塩素化溶媒およびアルコールからなる群から選択される少なくとも1種類の溶媒を含む、フルオロポリマー組成物。
【請求項8】
前記組成物が、炭化水素溶媒と、極性共溶媒との混合物を含む、請求項7に記載のフルオロポリマー組成物。
【請求項9】
前記フルオロポリマーが少なくとも6000の重量平均分子量を有する、請求項7に記載のフルオロポリマー組成物。
【請求項10】
前記組成物が、ジルコニウムエステル、チタンエステル、シリコーンおよびカルボジイミドからなる群から選択される増量剤をさらに含む、請求項7に記載のフルオロポリマー組成物。
【請求項11】
前記有機溶媒がアルコールを含み、かつ前記フルオロポリマーが重量平均分子量3000〜8000を有する、請求項7に記載のフルオロポリマー組成物。
【請求項12】
前記組成物が、炭化水素溶媒または塩素化溶媒を含み、かつ前記フルオロポリマーが少なくとも6000の分子量を有する、請求項7に記載のフルオロポリマー組成物。
【請求項13】
(i)一般式:
f−X−OC(O)−C(R)=CH2
(式中、Rfは、炭素原子3または4個を有する過フッ素化脂肪族基を表し、Xは、二価有機結合基であり、Rは、水素、または炭素原子1〜4個を有する低級アルキル基を表す)によるモノマーからなる群から選択される1種または複数種のフッ素化モノマー;および(ii)1種または複数種の非フッ素化コモノマー;から誘導される単位を含むフルオロポリマーの水性エマルジョンまたは分散体を含むフルオロポリマー組成物であって、前記フルオロポリマーが10000〜55000の重量平均分子量を有する、フルオロポリマー組成物。
【請求項14】
前記フルオロポリマーが、連鎖移動剤から誘導される末端基をさらに含む、請求項13に記載のフルオロポリマー組成物。
【請求項15】
請求項7〜14のいずれか一項に記載のフルオロポリマー組成物と基材を接触させることを含む、処理方法。
【請求項16】
前記基材が繊維基材を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
(i)一般式:
f−X−OC(O)−C(R)=CH2
(式中、Rfは、炭素原子3または4個を有する過フッ素化脂肪族基を表し、Xは、二価有機結合基であり、Rは、水素、または炭素原子1〜4個を有する低級アルキル基を表す)によるモノマーからなる群から選択される1種または複数種のフッ素化モノマー;および(ii)1種または複数種の非フッ素化コモノマー;のラジカル重合を含む、請求項1に記載のフルオロポリマーを製造する方法。
【請求項18】
前記重合が、有機溶媒中での乳化重合または溶液重合である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記重合が、連鎖移動剤の存在下で行われる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記連鎖移動剤がメルカプト化合物を含む、請求項19に記載の方法。

【公表番号】特表2007−520583(P2007−520583A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518653(P2006−518653)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【国際出願番号】PCT/US2004/019263
【国際公開番号】WO2005/105872
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】