説明

石灰、セメント質組成物及びポリマーを含有する硬化性混合物

本発明は、(i) 吸水性組成物及び(ii) 有機ポリマーの水性エマルション又は(iii) 分散性有機ポリマーを有し、その際、前記吸水性組成物(i)は水と反応することができる無機成分を含有し、かつ前記吸水性組成物(i)は石灰少なくとも13質量%とセメント質組成物少なくとも5質量%を含有し、前記セメント質組成物の成分は水の吸収の間にエトリンジャイトを形成し、かつ(i)に対する有機ポリマーの水性エマルション(ii)の量は、ポリマー固体の合わせた質量対水と反応することができる成分の合わせた質量の比0.5:1〜10:1、有利に1:1〜4:1が提供される量であり、(i)に対する分散性有機ポリマー(iii)の量は、ポリマーの合わせた質量対水と反応することができる成分の合わせた質量の比0.5:1〜10:1、有利に1:1〜4:1が提供される量である、硬化性混合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性混合物、被覆を適用する方法、被覆及び被覆の使用に関する。
【0002】
鉱山の岩盤面に、有機ポリマーの水性エマルションを吹き付け、前記エマルションを凝固させて前記岩盤面上に被膜又は皮膜の形の柔軟な被覆を製造することにより被覆を適用することは既に提案されている。この目的で開示されたポリマーにはポリウレタン及びポリクロロプレンが含まれる。後者は南アフリカ特許番号8203384に記載されている。最近では、WO 98/58886に2つの成分を有する組成物が記載されている。一方は、有機ポリマー、例えばエチレンと酢酸ビニルとのコポリマーの水性エマルションである。他方の成分は、少なくとも前記成分の自重と同じ量の水を吸収することができるセメント質組成物である。記載された前記セメント組成物は、エトリンジャイト形成組成物であり、高アルミナセメント、通常のポートランドセメント及び硬石膏を含有する。使用においてこの2つの成分を鉱山の岩盤面に吹き付けて、被覆を形成させる。前記特許は、セメント質組成物から形成される固体と乾燥したポリマーエマルションとの乾燥混合物も開示しており、この混合物に鉱山において水が添加される。
【0003】
上述のWO 98/58886に記載された組成物は、十分な初期強度に達するまでに、一般に24時間より短くないかなりの時間がかかる。前記被覆がその強度を高めている間に、安全性の理由で人員は処理した地域に立ち入れず、従って鉱山のこの部分は生産性ではない。従って、前記被覆において十分な初期強度に高めるために時間を短縮することが望ましい。
【0004】
最近では、WO 01/28955に、前記のものよりもアルミン酸カルシウムがより豊富でかつより高い初期強度が生じるエトリンジャイト形成セメント質組成物を提供することによる前記問題の解決策が記載されている。このエトリンジャイト形成セメント質組成物は、アルミン酸カルシウム25〜59質量%、石灰0〜10質量%、硫酸カルシウム0〜50質量%を有する。
【0005】
上述のWO 01/28955に記載された組成物は十分な初期強度に達するまでに改善された(より短い)時間でよいが、さらに硬化時間を短縮しかつさらに初期強度を改善することが望ましい。
【0006】
従って、本発明の課題は、表面に適用される相応する被覆の初期強度を改善することである。
【0007】
前記課題の解決策は、(i) 吸水性組成物及び
(ii) 有機ポリマーの水性エマルション又は
(iii) 分散性有機ポリマー
を有し、
その際、前記吸水性組成物(i)は水と反応することができる無機成分を含有し、かつ前記吸水性組成物(i)は石灰少なくとも13質量%とセメント質組成物少なくとも5質量%を含有し、前記セメント質組成物の成分は水の吸収の間にエトリンジャイトを形成し、かつ
その際、(i)に対する有機ポリマーの水性エマルション(ii)の量は、ポリマー固体の合わせた質量対水と反応することができる成分の合わせた質量の比0.5:1〜10:1、有利に1:1〜4:1が提供される量であり、
その際、(i)に対する分散性有機ポリマー(iii)の量は、ポリマーの合わせた質量対水と反応することができる成分の合わせた質量の比0.5:1〜10:1、有利に1:1〜4:1が提供される量である、硬化性混合物である。
【0008】
「水と反応することができる成分」の用語は、一方で水とだけ反応する成分(例えばCaOの水和)と、他方で水と他の成分との反応において反応する成分(例えば多様なセメント質成分、これは水とのセメント質反応において反応する)とが含まれることを意図している。本発明の場合には、一般に「水と反応することができる成分」はセメント質成分及び生石灰(CaO)であり、その際、本発明において、セメント質組成物中でしばしば使用される充填剤は「水と反応することができる成分」ではない。
【0009】
前記石灰は生石灰(CaO)であることができるか、又は水和において石灰を放出する通常のポートランドセメントにより提供することができる。一般に、石灰はセメント質組成物により提供されていてもよい。
【0010】
時にはこの分野においてポリマーラテックスエマルションともいわれる有機ポリマーの水性エマルションは、ポリマーとして1種又は数種の広範囲のホモポリマー又はコポリマーを含有することができる。この例には、スチレン、スチレンブタジエンコポリマー、ジビニルスチレン、メチルメタクリラート、スチレンとメチルメタクリラート又は無水マレイン酸とのコポリマー、アクリル酸及びアクリル酸エステル樹脂、酢酸ビニル及びこれらとエチレン及び他のオレフィンとのコポリマー(例えばエチレン酢酸ビニル)、可塑化した塩化ビニルコポリマーが含まれる。ポリマー又はコポリマーの混合物を使用してもよい。−50℃〜+50℃のガラス転移温度を有するポリマーを使用するのが有利である。可塑剤、例えばCereclor(塩素化されたパラフィン)、ジブチルフタラート及びジエチレングリコールを柔軟性の改善のために添加することができる。エマルションの適当なポリマー固体含有量は、エマルションの質量に対して、5〜80質量%、有利に少なくとも25質量%、例えば30〜70質量%、さらに有利に45〜65質量%である。分散性有機ポリマーは、通常では、水性ポリマーエマルションの乾燥、例えば噴霧乾燥により得られる。乾燥したポリマーは市販されている。
【0011】
石灰の高い含有量(吸水性組成物(i)の少なくとも13質量%)は、水和熱(Ca(OH)2が生成)の著しい発生を引き起こす。その結果、硬化時間は短縮されかつ初期強度は改善される。
【0012】
本発明の場合には、前記吸水性組成物(i)は、水を吸収する間に有利にエトリンジャイトを形成するセメント質組成物を少なくとも5質量%含有する。
【0013】
エトリンジャイトは23個の結晶水を有するトリスルホアルミン酸カルシウムであり、式3CaO.Al23.3CaSO4.32H2Oを有する。エトリンジャイトはアルミン酸カルシウムと硫酸カルシウムとを含有するセメント質材料の水和によって製造される。この文脈が他のことを必要としない限り、本願明細書中のエトリンジャイトの用語はエトリンジャイト類似体を含むことを意味する。これはH. F. W. Taylor著Cement Chemistry 2nd edition 1997(Thomas Telfordにより出版)に定義されている。
【0014】
通常では、石灰の質量とセメント質組成物の質量との合計は、吸水性組成物(i)の全質量の67〜100%、有利に90〜100%さらに有利に100%である。「ほぼ100%」とは、この文脈で、(i)は石灰とセメント質組成物とだけを有するだけでなく、他の成分に起因する不純物も含有してもよいことを意味する。
【0015】
大抵は前記吸水性組成物(i)は、石灰少なくとも25質量%、有利に少なくとも65質量%を含有する。
【0016】
セメント質組成物がアルミン酸カルシウム及び硫酸カルシウムを含有するのが有利である。
【0017】
アルミン酸カルシウムの用語には、セメント表記においてCAとしてしばしば記載されるアルミン酸カルシウムの形だけでなく、CA2、CA3、C127、C4AF及びC117CaF2として記載される他のアルミン酸塩含有セメント及び付加的にスルホアルミン酸カルシウム及びフェロアルミン酸カルシウム及びそれらの類似体も含まれる。アルミン酸カルシウムは、しばしばCiment Fonduといわれる高アルミナセメントにより提供され、これは通常ではアルミン酸カルシウム相約40〜80質量%(又はアルミン酸カルシウム(CA)40〜50質量%)を含有する。
【0018】
硫酸カルシウムは硫酸カルシウムを含有する材料、例えばベータ−硬石膏、石膏又はプラスター・オブ・パリス(plaster of Paris)により提供される。本願明細書中のスルホアルミン酸カルシウムついての言及は、式C43*[式中、CはCaO又はCa(OH)2であり、AはAl2O3であり、S*はSO3である]の純粋なスルホアルミン酸カルシウムに関している。これは、しばしばクラインス・コンパウンド(Klein's compound)として公知であり、3CaO.3Al2O3.CaSO4としても記載される。
【0019】
エトリンジャイトの形成に関して、吸水性組成物(i)は、しばしば化学量論的過剰量の石灰を含有する。「化学量論的過剰量の石灰」の表現は、原料として使用される石灰の少なくとも一部がセメント質エトリンジャイト反応に関与できない−つまり水和する生石灰の残りが存在することを意味する。
【0020】
さらに、本発明は、前記に定義されたように吸水性組成物(i)と水性エマルション(ii)との硬化性混合物を形成させ、前記混合物を前記表面に設けて有利に少なくとも2mmの厚さの被覆を形成させ、かつ前記被覆を凝固させることにより、表面に被覆を適用する方法に関する。
【0021】
有機ポリマーエマルション(ii)を使用する場合、この水は前記エマルション(ii)中にすでに存在する水であることができ、従って、この水性エマルションの水は、吸水性組成物(i)の成分を水和するために使用される。必要な場合又は有利な場合にさらに水を添加してもよい。
【0022】
本発明は、前記に定義されたように吸水性組成物(i)と分散性有機ポリマー(iii)との硬化性混合物を形成させ、前記硬化性混合物を水と合わせ、前記混合物を前記表面に設けて有利に少なくとも2mmの厚さの被覆を形成させかつ前記被覆を凝固させることにより、表面に被覆を適用する他の方法も提供する。乾燥したポリマーエマルション(iii)が吸水性組成物(i)と共に使用される場合に、吸水性組成物の成分(i)の水和のために水の添加が必要である。
【0023】
乾燥したポリマーエマルションのエマルションを使用するかに関係なく、水の質量は通常では、吸水性組成物(i)の全ての成分が水と反応により変換される量である。通常、前記被覆は混合物を表面に吹き付けることにより適用される。吹き付けの前に、他のセメント促進剤又は抑制剤を添加してもよい。硬化を開始させるか又は硬化速度をさらに高めることが望ましい場合には、これはアルカリの添加によって行うことができる。本発明は、前記に定義された方法により製造可能な被覆にも関する。
【0024】
さらに、本発明は岩盤支保手段としての前記の被覆の使用を提供する。厚さ約4mm(例えば3〜7mm)の被覆がスポーリングを抑制しかつ緩んだ岩盤が鉱山において崩落することを抑制するために使用されるワイヤーメッシュの代替品として使用できることが見出された。前記被覆は、「硬岩鉱山」として公知の鉱山、例えばニッケル鉱山又は金鉱山でも炭鉱において使用することができる。
【0025】
前記被覆は、例えば柱房式により採炭する場合に、支持を提供する柱のサイズを縮小でき、それにより,より多くの石炭が回収される。これは、前記被覆を前記柱の下に吹き付けて、それにより前記柱の支持力を増大させることにより達成される。前記被覆は、残柱の安定化のために使用することもできる。前記被覆は、鉱山において新たに露出した岩盤面の空気による腐食である風化作用を低減又は抑制するため、又はウラン鉱山におけるラドンガスの抑制のため、又は例えば採石場において築堤の安定化のため、坑道などの天盤を安定化のために使用することもできる。
【0026】
本発明は、さらに防水手段としての前記した被覆の使用に関する。従って、前記被覆は少なくとも部分的にオーバーハングする表面に適用される。鉱山及び坑道の防水はしばしば極めて重要である、それというのも水が鉱山又は坑道中へ通じる経路を見つけた場合にその作業活動が妨げられてしまうためである。本発明は、Construction Industryにおいて内壁及び外壁、床及び天井を含む建物の処理のために適用されている。
【0027】
本発明は頻繁に、相応する被覆の初期強度(この初期強度は1時間の硬化時間の後で適用された被覆の強度として定義される)を改善することを目的とするだけでなく、相応する被覆の破断点伸び、最終強度及び価格をも改善する。
【0028】
特に、前記被覆が防水手段として使用される場合に、高い破断点伸びが望ましい、この場合、破断点伸びは少なくとも70%、有利に110%であるのが好ましい。
【0029】
相応する被覆が岩盤支保手段として使用される場合に、最終強度のパラメータが極めて重要であり、この場合に、最終強度(本願発明による最終強度は28日の硬化時間の後の引張強さとして定義される)は少なくとも3MPa、有利に3.5MPaであるのが好ましい。
【0030】
一般に、1時間の硬化時間の後の引張強さ(初期強度)は少なくとも0.4、有利に少なくとも0.5、さらに有利に少なくとも0.75MPaであるのが有利である。
【0031】
この引張強さ及び破断点伸びは、規格DIN53504:S2の標準測定法(その際、S2は検査試料である)によって測定された。
【0032】
さらに、この硬化性混合物の価格を低下させるとする一般的な意向が存在する。
【0033】
初期強度、破断点伸び、最終強度及び価格の特性の最適化は、「吸水性組成物(i)中の石灰の含有量」のパラメータの適切な変更によって可能であることが見出された。
【0034】
「高い初期強度」の特性の最適化
前記吸水性組成物(i)は、セメント質組成物少なくとも5%、石灰少なくとも13%、有利に少なくとも25%、さらに有利に少なくとも62%を含有する。従って、石灰の質量とセメント質組成物の質量との合計は、吸水性組成物(i)の全質量の67〜100%、有利に90〜100%、さらに有利にほぼ100%である。
【0035】
「初期強度と破断点伸び」の特性の最適化
前記吸水性組成物(i)は、セメント質組成物5質量%及び石灰25〜92質量%、有利に62〜83質量%を含有する。従って、石灰の質量とセメント質組成物の質量との合計は、吸水性組成物(i)の全質量の67〜100%、有利に90〜100%、さらに有利にほぼ100%である。
【0036】
「初期強度と最終強度」の特性の最適化
前記吸水性組成物(i)は、セメント質組成物少なくとも5質量%及び石灰13〜63質量%、有利に25〜32質量%を含有する。従って、石灰の質量とセメント質組成物の質量との合計は、吸水性組成物(i)の全質量の67〜100%、有利に90〜100%、さらに有利にほぼ100%である。
【0037】
「高い初期強度と、破断点伸びと、最終強度」の特性の最適化
前記吸水性組成物(i)は、セメント質組成物少なくとも5質量%及び石灰25〜63質量%、有利に25〜50質量%を含有する。従って、石灰の質量とセメント質組成物の質量との合計は、吸水性組成物(i)の全質量の67〜100%、有利に90〜100%、さらに有利にほぼ100%である。
【0038】
「高い初期強度と、破断点伸びと、最終強度と低価格」の特性の最適化
前記吸水性組成物は、セメント質組成物少なくとも5質量%及び石灰25〜92質量%、有利に30〜50質量%を含有する。従って、石灰の質量とセメント質組成物の質量との合計は、吸水性組成物(i)の全質量の67〜100%、有利に90〜100%、さらに有利にほぼ100%である。
【0039】
次に本発明をさらに図面により記載する。
【0040】
図1では、本発明による被覆の初期強度を吸水性組成物(i)中の石灰の含有量に対してプロットしたグラフが示されている。
【0041】
図2では、異なる硬化時間を有する本発明による被覆の引張強度を吸水性組成物(i)中の石灰の含有量に対してプロットしたグラフが示されている。
【0042】
図3では、異なる硬化時間を有する本発明による被覆の破断点伸びを吸水性組成物(i)中の石灰の含有量に対してプロットしたグラフが示されている。
【0043】
前記図面中に示された特徴の被覆は、吸水性組成物(i)40質量%と分散性有機ポリマー(iii)60質量%とからなる硬化性混合物をベースとしている。吸水性組成物(i)のベースは、CSA結合剤3質量部(4CaO・3Al23・SO4(Yeelimit)ほぼ75質量%及びNa2SO4(Thenardite;テナルド石)10質量%を有するセメント)及びCSA膨張剤2質量部(CaSO4(硬石膏)ほぼ63質量%、CaO(Stabilite/石灰)ほぼ28質量%及び4CaO・3Al23・SO4(Yeelimit)8質量%)である。石灰の含有量は、それぞれ前記のCSA結合剤とCSA膨張剤との混合物に対してCaO及びCaSO4(硬石膏)の添加により変化する。前記分散性有機ポリマー(iii)は、VINAPAS(R) RE 5044 Nからなり、これは主に酢酸ビニルとエチレンとのコポリマーからなる粉末である。
【0044】
図1の図において、X(縦軸)は「初期強度」[MPa]を表し、n(横軸)は「吸水性組成物(i)中のCaOの質量%」を表す。吸水性混合物(i)が石灰少なくとも約13%を含有する場合、0.4MPaの初期強度が達成される。少なくとも0.4MPaの初期強度は、十分な「被覆技術」を提供するために必要であると考えられる。しかしながら、被覆の初期強度が少なくとも0.5MPaであるのが有利である。石灰6質量%未満を含有する吸水性組成物(i)をベースとする被覆の初期強度は測定できなかった点に留意することが重要である。
【0045】
図2の図において、X(縦軸)は「引張強度」[MPa]を表し、n(横軸)は「吸水性組成物(i)中のCaOの質量%」を表す。hは「時間で示す硬化時間」を表し、dは「日で示す硬化時間」を表す。この図は、吸水性組成物(i)中の石灰の含有量13〜32質量%を使用することにより、最適な最終強度(28日で)が達成されることを示す。63質量%より少ない石灰含有量も少なくとも3MPaの十分な最終強度を提供する。
【0046】
図3の図において、Y(縦軸)は「破断点伸び[%]」を表し、n(横軸)は「吸水性組成物(i)中のCaOの質量%」を表す。dは「日で示す硬化時間」を表す。重要であるのは、「28日の被覆」に関する破断点伸びが、吸水性組成物(i)中の22質量%より多い石灰含有量を使用することにより十分に改善されたことである。この被覆を防水手段として使用する場合、破断点伸びの「28日値」は少なくとも70%である。
【0047】
本発明はさらに、次に制限のない実施例に関して記載する。
【0048】
実施例1
硬化性混合物は吸水性組成物45質量%と、VINNAPAS(R) RE 5044 N(酢酸ビニル−エチレンコポリマー)55質量%とからなる。前記吸水性組成物は、CSA結合剤48.00質量%(4CaO・3Al23・SO4(Yeelimit)ほぼ75質量%及びNa2SO4(Thenardite;テナルド石)10質量%を有するセメント)、CSA膨張剤32.00質量%(CaSO4(硬石膏)ほぼ63質量%、CaO(Stabilite/石灰)ほぼ28質量%及び4CaO・3Al23・SO4(Yeelimit)8質量%)及びCaO 20.00質量%を含有するため、吸水性組成物(i)中のCaOの全体の量は約30質量%である。製造された相応する被覆は次の特性を有する:
− 初期強度(1時間の硬化時間に対応する引張強度)>0.5MPa
− 破断点伸び(28日の硬化時間で) >45%
− 最終強度(28日の硬化時間に対応する引張強度)>3.5MPa。
【0049】
実施例2
硬化性混合物は、Arconal(R) 430 P(ポリアクリラート含有粉末)70質量%、Scatto(R)-セメント(緑礬30〜35質量%、石灰及びヤコブサイトのような酸化物25〜30質量%、ドロマイト、菱鉄鋼及び方解石のような炭酸塩19〜20質量%及びケイ酸塩12〜13質量%を含有)24.00質量%及びCaO 6質量%からなる。この硬化性混合物の吸水性組成物(i)はCaOほぼ42質量%を含有する。
【0050】
結果:
− 初期強度 >0.5MPa
− 破断点伸び>100%
− 最終強度(28d) 約2.5MPa。
【0051】
実施例3
硬化性混合物は、VINNAPAS(R) RE 5044 N60.00、Blue Circe Rockfast(R) A(高アルミン酸セメント)14.00及びCaO 26.00質量%からなる。この吸水性組成物(i)はCaOほぼ69質量%を含有する。
【0052】
結果:
− 初期強度 >0.5MPa
− 破断点伸び(28日の硬化時間で) >100%
− 最終強度(28d) 約2.5MPa
上記実施例の結果は、セメントの種類、ポリマーの種類及びポリマーと吸水性組成物(i)との割合のような他のパラメータが変化する場合に、初期強度、破断点伸び及び最終強度の特性の許容できる値が達成できることを示した。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明による被覆の初期強度を吸水性組成物(i)中の石灰の含有量に対してプロットしたグラフ。
【図2】異なる硬化時間を有する本発明による被覆の引張強度を吸水性組成物(i)中の石灰の含有量に対してプロットしたグラフ。
【図3】異なる硬化時間を有する本発明による被覆の破断点伸びを吸水性組成物(i)中の石灰の含有量に対してプロットしたグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i) 吸水性組成物及び
(ii) 有機ポリマーの水性エマルション又は
(iii) 分散性有機ポリマー
を有し、
その際、前記吸水性組成物(i)は水と反応することができる無機成分を含有し、かつ前記吸水性組成物(i)は石灰少なくとも13質量%とセメント質組成物少なくとも5質量%を含有し、前記セメント質組成物の成分は水の吸収の間にエトリンジャイトを形成し、かつ
その際、(i)に対する有機ポリマーの水性エマルション(ii)の量は、ポリマー固体の合わせた質量対水と反応することができる成分の合わせた質量の比0.5:1〜10:1、有利に1:1〜4:1が提供される量であり、
その際、(i)に対する分散性有機ポリマー(iii)の量は、ポリマーの合わせた質量対水と反応することができる成分の合わせた質量の比0.5:1〜10:1、有利に1:1〜4:1が提供される量である、硬化性混合物。
【請求項2】
石灰の質量とセメント質組成物の質量との合計は、吸水性組成物(i)の全質量の67〜100%、有利に90〜100%、さらに有利にほぼ100%である、請求項1記載の硬化性混合物。
【請求項3】
吸水性組成物(i)が石灰少なくとも25質量%、有利に少なくとも62質量%を含有する、請求項1又は2記載の硬化性混合物。
【請求項4】
セメント質組成物がアルミン酸カルシウム及び硫酸カルシウムを含有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の硬化性混合物。
【請求項5】
エトリンジャイトの形成に関して、吸水性組成物(i)は化学量論的過剰量の石灰を含有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の硬化性混合物。
【請求項6】
吸水性組成物(i)と有機ポリマーの水性エマルション(ii)とを有する請求項1から5までのいずれか1項記載の硬化性混合物を形成さる工程と、前記硬化性混合物を表面に設けて有利に少なくとも2mmの厚さの被覆を形成させる工程とを有する、表面に被覆を適用する方法。
【請求項7】
吸水性組成物(i)と分散性有機ポリマー(iii)とを有する請求項1から5までのいずれか1項記載の硬化性混合物を形成さる工程と、前記硬化性混合物と水とを合わせる工程と、前記混合物を表面に設けて有利に少なくとも2mmの厚さの被覆を形成させる工程とを有する、表面に被覆を適用する方法。
【請求項8】
請求項6又は7記載の方法により製造できる被覆。
【請求項9】
岩盤支保手段としての請求項8記載の被覆の使用。
【請求項10】
防水手段としての請求項8記載の被覆の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−523032(P2007−523032A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−549899(P2006−549899)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013737
【国際公開番号】WO2005/070849
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(503343336)コンストラクション リサーチ アンド テクノロジー ゲーエムベーハー (139)
【氏名又は名称原語表記】Construction Research & Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Dr.−Albert−Frank−Strasse 32, D−83308 Trostberg, Germany
【Fターム(参考)】