説明

石炭灰リサイクル装置及び方法

本発明は石炭灰リサイクル装置及び方法に関し、より詳細には、既存の火力発電プラント内に未燃分回収部及び軽量骨材製造部を含む石炭灰リサイクル装置を備え、これを利用して、火力発電プラントから発生する石炭灰全量を使用用途によりリサイクルする石炭灰リサイクル装置及び方法に関する。本発明によると、本発明に係る石炭灰リサイクル装置及び方法は、廃棄物をリサイクル工場まで移動する間に生じる周辺環境汚染を防止すると共に、運搬費を節減して、石炭灰全量を用途毎にリサイクルすることによって、石炭灰に含まれていた未燃炭素分を活用でき、使用基準が厳しいコンクリート混和剤などとしてもリサイクル可能で、廃棄物埋立による環境汚染防止と、廃棄物をリサイクルすることによって国土の損失と資源の浪費を解消することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は石炭灰リサイクル装置及び方法に関し、より詳細には、既存の火力発電プラント内に未燃分回収部及び軽量骨材製造部を含む石炭灰リサイクル装置を備え、これを利用して、火力発電プラントから発生する石炭灰全量を使用用途によりリサイクルする石炭灰リサイクル装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に石炭を原料として発電する火力発電プラントは、図1に示したように、石炭の燃焼効果を高めるため、石炭を所定のサイズに粉砕、即ち、微粉炭を製造して、ボイラーに供給し燃焼させると共に高温高圧の水蒸気を生産した後、生産された水蒸気を蒸気タービンへ供給することによって発電を行う。
【0003】
特に、石炭には、通常、2〜15%程度の不燃性灰分、即ち、石炭灰が含まれている。そこに微粉炭をボイラーに供給すると、微粉炭が20%程度含まれている石炭灰は高温の燃焼熱によって溶融し、多くの粒子が凝結されてボイラーの下部に排出され、微粉炭の80%は各粒子毎に燃焼して、燃焼ガスの流れにより飛散し、飛散された微粉炭に含まれていた石炭灰は電気集塵機などの集塵装置に捕集される。
【0004】
このような、ボイラーの下部に排出される石炭灰は、ボトムアッシュ(bottom ash、底灰)と呼ばれ、炉壁、過熱器、再熱器などに付着していて自重によってボイラーの底に落ち、粒径は1〜5mm程度でボイラー下部に集まって、粉砕機(grinder)で粉砕された後、アッシュ移送タンクに送られ、その多くはアッシュ埋立地に捨てられる。ボトムアッシュは粒子のサイズ及び分布が一定でなく、品質が良くないため、海に防波堤を構築した後、全量埋め立てている。
【0005】
一方、流動層ボイラーから飛散して、電気集塵機で捕集されて排出する石炭灰は、フライアッシュ(fly ash、飛灰)と呼ばれ、節炭器や空気予熱器下のホッパー、電気集塵機によって集塵されて、集塵機下部のホッパーに集まるアッシュを称し、節炭器や空気予熱器下にあるホッパーに集まるフライアッシュの粒径は0.3〜0.1μmと発生する石炭灰の約5%であり、電気集塵機によって集塵されて、集塵機下部ホッパーに集まるアッシュの粒径は炭種や燃焼条件により異なるが、発生する石炭灰の75〜80%程度であり多くはリサイクルされており、リサイクルされないフライアッシュはボトムアッシュと同様に移送タンクに送られて、アッシュ埋立地に捨てられる。
【0006】
このように埋立地に飛灰と底灰が不均質に混ざり合っている石炭灰を埋立灰といい、埋立場所と時期によって石炭灰の物性が大きく異なる。このような短所があるため、コンクリート骨材などに使うためには、灰処理場で埋立処理された埋立灰を粒度毎に選別して洗浄作業などを経て使っており、このようにリサイクルされても選別作業後に残る石炭灰を処理しなければならない問題がある。
【0007】
また、埋立灰をリサイクルするために追加された作業工程において、一部の埋立灰のみを使うことは、骨材製造単価の上昇を招くだけでなく、資源リサイクルの効率の面からも望ましくない。
【0008】
韓国における石炭灰は、2002年度を基準に1,100千トン程度排出され、石炭灰の埋立は、埋立地確保及び維持問題と埋立地から発生する飛散埃によって近隣住民の生活の不便さを招いたり、梅雨などによる流出で周辺環境を汚染させている。
【0009】
そこで、米国登録特許第5992336号では、底灰を発電燃料の石炭と混合して、燃焼させることによって燃料費節減と廃棄物を低減させたが、再燃焼後に発生する石炭灰を処理しなければならない問題がある。
【0010】
また、韓国登録特許第0447739号にはボトムアッシュを太い骨材と小骨材に分類して、コンクリート骨材代替材として活用するボトムアッシュを利用したコンクリート組成物及びその製造方法を開示し、韓国登録特許第0470676号はコンクリート配合骨材代替材としてのボトムアッシュを使用したコンクリート組成物を開示し、韓国登録特許第0668953号は埋立石炭灰を活用して、コンクリートを製造する埋立石炭灰活用コンクリートの精度、圧縮強度、及びスランプの補正方法などを開示している。
【0011】
しかし、前述したように埋立石炭灰またはボトムアッシュをコンクリート骨材代替材としてリサイクルする際に、埋立石炭灰とボトムアッシュは非精製フライアッシュが特定できない比で混在しており、粒度分布が非常に不規則で、ボトムアッシュが有している自体強度も粒度毎、性状毎に各々異なるため、コンクリート骨材使用時に粒度毎の含水率も異なって、コンクリートを製造した時、安定したスランプの確保問題や強度の問題にも悪影響を与える短所があって、埋立石炭灰をそのまま使ってコンクリートに実用化するには多くの困難がある。また、コンクリートを安定的に製造するためには、埋立灰やボトムアッシュを洗浄した後、太い骨材と小骨材で分類する作業が必須になってくるが、作業工程の追加及び粒度選別によって骨材製造単価の上昇を招き、資源リサイクルの効率の面からも望ましくなく、埋立石炭材の使用は経済的な側面と技術的側面から大きい成果を上げられない。
【0012】
そこで、本発明者らは前記従来技術の問題を改善しようと鋭意努力した結果、火力発電プラント内に未燃分回収部及び軽量骨材製造部を含む石炭灰リサイクル装置を備えた後、これを利用して、火力発電プラントから発生する石炭灰(飛灰、底灰、埋立灰など)を用途毎にリサイクルした場合、火力発電プラントから発生する石炭灰を各用途に限定して一部のみリサイクルしたものを、各用途により全量リサイクルする可能性を確認し、本発明を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、火力発電プラントで発生する石炭灰を各々の用途に限定してリサイクルしたものを、用途により全量リサイクルできる石炭灰リサイクル装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するために、本発明は一観点において、石炭を燃焼させて発電する火力発電プラントから発生する石炭灰から、2mm以上の粒径を有する未燃焼石炭灰を選別して回収する未燃分回収部、及び前記未燃分回収部で回収し切れなかった石炭灰を利用して骨材を製造する骨材製造部を含むことを特徴とする石炭灰リサイクル装置を提供する。
【0015】
また、本発明は他の観点において、前記石炭灰リサイクル装置を利用して、飛灰、底灰、埋立灰及びこれらの混合物で構成された群から選択される石炭灰を用途に合わせてリサイクルすることを特徴とする石炭灰リサイクル方法を提供する。
【0016】
また、本発明はまた他の観点において、(a)火力発電プラントで発生した石炭灰を多数のスクリーン(screen)を利用して、粒径により選別する篩分別器20、前記篩分別器20で選別された石炭灰を仕分けて保存する多数の第1供給サイロ21、前記第1供給サイロ21に保存された石炭灰を電磁石を利用して、燃焼又は未燃焼により選別する磁力選別器22、前記磁力選別器22で選別された石炭灰を仕分けて回収する多数の第2供給サイロ23、前記第2供給サイロ23で一定粒径以上の未燃焼石炭灰を回収して保存する未燃分サイロ24、及び前記第1供給サイロ21及び第2供給サイロ23で燃焼石炭灰または2mm未満の粒径を有する石炭灰を回収して保存する底灰サイロ25を含むことを特徴とする未燃分回収部を介して回収された燃焼石炭灰または2mm未満の粒径を有する石炭灰を粉砕する段階、(b)前記粉砕された石炭灰に骨材用原料を混合及び練り込んで骨材混合物を製造する段階、(c)前記製造された骨材混合物を骨材形態に成型して骨材成型物を製造する段階、及び(d)前記成型された骨材成型物を焼成して骨材を製造する段階を含む、軽量骨材の製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来の火力発電プラントにおいて石炭灰の発生過程を示した図である。
【図2】本発明に係る石炭灰リサイクル装置が備えられた火力発電プラントにおいての石炭灰がリサイクルされる過程を示した概略図である。
【0018】
<図面の主要部分に対する符号の説明>
I:従来火力発電プラント II:埋立灰回収部
III:未燃分回収部 IV:軽量骨材製造部
1:石炭バンカー 2:微粉砕機
3:ボイラー燃焼室 4:ホッパー
5:節炭器 6:フライアッシュ
7:空気予熱器 8:電気集塵機
9:飛灰 10:洗淨塔
11:煙突 12:底灰
13:アッシュ移送タンク 14:飛灰原粉保存槽
15:精製設備 16:精製アッシュサイロ
17:非精製アッシュ保存槽 18:灰処理場
19:洗浄器 20:篩分別器
21:第1供給サイロ 22:磁力選別器
23:前記第2供給サイロ 24:未燃分サイロ
25:底灰サイロ 26:粉砕機
27:第1石炭灰サイロ 28:第2石炭灰サイロ
29:計量供給機 30:粘土/浚渫土砂サイロ
31:乾燥器 32:ハイスピードミー
33:原料サイロ/計量供給機 34:混練機
35:真空圧出成型器 36:ペレタイザー
37:圧出成型体保管サイロ 38:圧出成型体保管サイロ
39:ロータリー乾燥室 40:乾燥体保管倉庫
41:ロータリーキルン 42:廃熱供給管
43:排気管 44:冷却器
45:骨材 100:成型部
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は一観点において、石炭を燃焼させて発電する火力発電プラントから発生する石炭灰から、2mm以上の粒径を有する未燃焼石炭灰を選別して回収する未燃分回収部、及び前記未燃分回収部で回収し切れなかった石炭灰を利用して骨材を製造する骨材製造部を含むことを特徴とする石炭灰リサイクル装置及びこれを利用する石炭灰リサイクル方法に関する。
本発明は他の観点において、前記石炭灰リサイクル装置を利用して、飛灰、底灰、埋立灰及びこれらの混合物で構成された群から選択される石炭灰を用途に合わせてリサイクルすることを特徴とする石炭灰リサイクル方法に関する。
本発明はまた他の観点において、(a)火力発電プラントで発生した石炭灰を多数のスクリーンを利用して、粒径により選別する篩分別器20、前記篩分別器20で選別された石炭灰を仕分けて保存する多数の第1供給サイロ21、前記第1供給サイロ21に保存された石炭灰を電磁石を利用して、燃焼又は未燃焼により選別する磁力選別器22、前記磁力選別器22で選別された石炭灰を仕分けて回収する多数の第2供給サイロ23、前記第2供給サイロ23で一定粒径以上の未燃焼石炭灰を回収して保存する未燃分サイロ24、及び前記第1供給サイロ21及び第2供給サイロ23で燃焼石炭灰または2mm未満の粒径を有する石炭灰を回収して保存する底灰サイロ25を含むことを特徴とする未燃分回収部を介して回収された燃焼石炭灰または2mm未満の粒径を有する石炭灰を粉砕する段階、(b)前記粉砕された石炭灰に骨材用原料を混合及び練り込んで骨材混合物を製造する段階、(c)前記製造された骨材混合物を骨材形態に成型して骨材成型物を製造する段階、及び(d)前記成型された骨材成型物を焼成して骨材を製造する段階を含む、軽量骨材の製造方法に関する。
以下、添付された図面を参照して本発明を詳細に説明する。
図1に示したように、従来の火力発電プラントは石炭バンカーから供給される石炭が粉砕機により粉砕された後にボイラー燃焼室に供給されて燃焼する。この過程において発生するフライアッシュ(飛灰)は電気集塵機によって集塵されて、原粉保存槽に保存された後に精製設備を経て精製され、精製された石炭灰の多くは、レミコン工場でコンクリート混和材として使われる。また、電気集塵機によって集塵されたフライアッシュの一部は、ボトムアッシュ(底灰)と共に灰処理場に転送されて埋め立て処理される。そこで、既存の火力発電プラントでリサイクルされる石炭灰は石炭灰の一部特性だけを選択的に採用するため、全量リサイクルできない問題がある。
【0020】
そこで、本発明においては図2に示したように、既存の火力発電プラントに石炭灰未燃分を回収して、燃料としてリサイクルできるように回収する未燃分回収部(III)、及びその他に残る石炭灰を骨材原料として使えるように骨材を製造する骨材製造部(IV)を含む石炭灰リサイクル装置を備え、これを利用して、火力発電プラントから発生する石炭灰を燃料、骨材などとのような用途で全量をリサイクルする。
【0021】
本発明に係る未燃分回収部(III)は石炭灰未燃分を回収して燃料としてリサイクルできるように回収する部分であり、火力発電プラントのボイラー3の下部から発生する石炭灰(底灰)及び電気集塵機8から発生する石炭灰(飛灰)を粒径毎に選別するために多数のスクリーン(図示せず)が装着された篩分別器20を利用して、石炭灰の粒度毎に分離することができる。ここで、石炭灰の粒度毎選別は望ましくは5mm以上、2〜5mm、2mm未満で選別でき、これは粒度分離後5mm以上は太い骨材で、2〜5mmは小骨材で分類して、道路基層材やコンクリート二次製品として求められる粒度に合わせて供給するために各々5mm以上、2〜5mmに粒度選別することができ、2mm以下の粒径を有する粒子は相当多量の微粉を含有していて、道路基層材などへのリサイクル方法に使い難いため、全量選別回収して軽量骨材としてリサイクルする。
【0022】
しかし、石炭灰の粒度別選別は前述した粒径に限定されずに多様に石炭灰の粒径を調節でき、前記方法で粒度毎に分離した石炭灰はまた磁気力を利用した磁力選別器22を利用して、未燃成分が含まれていた石炭灰と未燃成分が殆ど含まれていない石炭灰に各々分離した後、未燃成分が含まれた石炭灰は未燃分サイロ24に移送して、その後石炭燃料と混合して発電燃料として使える。一方、未燃分が殆ど含まれていない燃焼された石炭灰は底灰サイロ25に保存される。
【0023】
一方、本発明に係る未燃分回収部(III)は灰処理場に埋め立てられた石炭灰を回収して不純物を取除き、一定粒径以上の未燃焼石炭灰を選別する埋立灰回収部(II)をさらに含むことを特徴とする。前記一定粒径は望ましくは2mm以上であるが、これに限定されるのではない。
【0024】
本発明において、埋立灰回収部(II)は既に灰処理場18に埋め立てられている飛灰、底灰などを含む埋立灰を灰処理場で回収して、埋立灰に含まれている塩分、汚染物質、不純物などを取除いて、アッシュ移送タンク13に移送させる。この時、埋立灰に含まれている塩分、汚染物質、不純物などは洗浄器19を使って洗浄及び脱水させて取除くことができる。
【0025】
本発明に係る骨材製造部(IV)は、前記未燃分回収部(III)で発電燃料として回収し切れずに残った石炭灰をリサイクル用途毎に各々使用でき、特に軽量骨材原料としてリサイクルして軽量骨材を製造することができる。
【0026】
本発明において、骨材製造部(IV)は前記未燃分回収部(III)で発電燃料として回収し切れず残った石炭灰を粉砕機26を介して、300〜600μm以下程度のサイズに粉砕する。これは骨材を製造するに当たり、成型体を構成する粒子が均質でなかったり、大きくなりすぎると乾燥や焼成過程中にクラックが発生したり破損しやすく、最終骨材製品の強度や吸収率のような物性に悪影響を与える恐れがあるからである。前記のように粉砕された石炭灰は、第1石炭灰サイロ27に保存させ、火力発電プラントの電気集塵機8で集塵された石炭灰(飛灰)は精製設備15を介して第2石炭灰サイロ28に移送させた後、前記第1石炭灰サイロ27に保存された石炭灰と第2石炭灰サイロ28に移送された石炭灰を計量供給機29を利用して、使用用途の混合比に合わせて、その重量及び容量を計量することができる。
【0027】
一方、粘土または浚渫土砂は粘土/浚渫土砂サイロ30に保存させた後、成型体の可塑性を維持するために粘土または浚渫土砂に含まれていた水分を乾燥器31で乾燥させた後、ハイスピードミル32を利用して粉砕し、原料サイロ/計量供給機33を介して所定の混合比に合わせて、その重量及び容量を計量して保存できる。
【0028】
前記のように計量された石炭灰と粘土または浚渫土砂は、混練機34に移送されて、混合及び練り込んで骨材用原料とよく混合できるようにする。
【0029】
前記のような配合過程を経た石炭灰と添加物が混合された混合物は、真空圧出成型器35、ペレタイザー36等の成型部100を介して、骨材形態に成型することができるが、このような成型方法に限定されずに、多様な成型方法によって軽量骨材を成型することができる。前記真空圧出成型器35は骨材の高い比重と強度を要したり、建物の耐久力を必要とする所に使う骨材の成型に使用できて、ペレタイザー36は骨材の比重が軽くて、小さい粒子サイズを有する骨材の製造などの特殊な用途の骨材製品の製造に使える。
【0030】
このような成型方法で製造された骨材は、成型体サイロ37、38に保存して一定量だけロータリー乾燥室39に移送されて乾燥され、乾燥された前記乾燥骨材は乾燥体保管倉庫40に保存しておく。この時、ロータリー乾燥室39の熱源として火力発電後残熱42を利用することができる。前記のような成型過程後、乾燥体保管倉庫40に保存された乾燥骨材を焼成温度、焼成時間、用途などにより調節して、ロータリーキルン41で焼成して、骨材45を製造することができる。
【0031】
本発明に係る石炭灰リサイクル装置を利用して、飛灰、底灰、埋立灰及びこれらの混合物で構成された群から選択される石炭灰を用途に合わせてリサイクルできることを特徴とする石炭灰リサイクル方法は、従来のリサイクルのために廃棄物をリサイクル工場まで移動させることによって発生する周辺環境汚染を防止することと共に、運搬費を節減できて、火力発電プラントから発生する石炭灰を各々の用途に限定してリサイクルしたことを超えて全量リサイクルすることができる。
【0032】
本発明に係る軽量骨材の製造方法は、本発明に係る未燃分回収部(II)の底灰サイロ25に保存された燃焼された石炭灰及び2mm未満の粒径を有する石炭灰を回収して粉砕した後、前記粉砕された石炭灰に骨材用原料を混合及び練り込んだ骨材混合物を製造した後に前記製造された骨材混合物を骨材形態に成型して、骨材成型物を製造し、前記成型された骨材成型物を焼成して骨材を製造することができる。
本発明において、前記骨材用原料は粘土または浚渫土砂であることを特徴とする。
【実施例】
【0033】
以下、本発明を実施例を挙げて詳述する。これらの実施例は単に本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に制限されないことは当業界において通常の知識を持った者にとって自明である。
[実施例1]原料の化学成分及び有害物質湧出量測定
骨材を製造するために必要な赤粘土(牙山実業、韓国忠南洪城所在粘土)、浚渫土砂(霊興火力発電所)及び埋立灰(霊興火力発電所)の化学成分をKS L 4007(粘土の化学分析方法)の化学分析及び試験方法により測定し、これらが含有している有害物質の湧出量をICP−AES機器(JOVINYVON 138 ultima2c、オランダ)で測定した。
【0034】
その結果、表1に示したように、埋立灰には相当多量の未燃焼炭素成分が含まれていることが明らかになり、発電燃料としてリサイクルできる可能性を確認し、浚渫土砂は一般天然原料である赤粘土と類似する化学成分を有して埋立灰と混合された原料の成型性増進及び焼成強度を向上させる役割を果たし、軽量骨材を製造できる原料として使われるが、塩分を含有していて陸上処理の場合に外部搬出時の運搬費などの経費が発生したり発電所内に保管後に海洋投棄などの処理時の環境問題を引き起こす恐れがあるため、発電所自体内で軽量骨材製造元料として活用することによって原料費節減と浚渫土砂による環境汚染低減にも寄与できる。
【0035】
【表1】

【0036】
[実施例2]埋立灰の粒度選別及び強熱減量測定
実施例1の埋立灰を洗浄した後、スクリーンを利用して粒度選別を行い、これを昇温速度3.8℃/分、最高温度1150℃、維持時間1時間の条件で、電気炉で埋立灰を燃焼させて、粒径毎に埋立灰に含まれていた未燃成分の残存含有量程度を、強熱減量を測定して調べた。
【0037】
その結果、表2に示したように、5mm以上の粒径の埋立灰の強熱減量は24.6%と最も高いことが示され、その次には1.2〜2mmの粒径を有する埋立灰と2mm〜5mm粒径を有する埋立灰であることが示され、その以下の粒径を有する埋立灰の強熱減量は僅かな水準として示された。
【0038】
【表2】

【0039】
[実施例3]埋立灰の磁力選別及び強熱減量測定
実施例2において粒径毎に分離された埋立灰を希土類(Nd−Fe−B)合金で製造された10,000gaussの磁束密度を有する磁力選別器(International Process System Co, USA、Photo3−10のような永久磁石使用)を利用して磁力選別作業を行い、前記のように磁力選別された埋立灰の減熱減量を測定するために昇温速度3.8℃/分、最高温度1150℃、維持時間1時間の条件で電気炉で埋立灰を燃焼させた。
【0040】
その結果、表3に示したように、No.1の場合、磁力選別された石炭灰が炭素成分を主要成分として含有されていて黒い色を帯びることが示され、磁力選別されないNo.2の場合には色が灰色に近く粒子の形態が多孔性を形成していることが示された。
【0041】
また、表4に示したように、No.1の場合には主成分が炭素成分で形成されているため、磁力選別された埋立灰No.1の強熱減量がNo.2の場合より高いことが示された。
【0042】
【表3】

【0043】
【表4】

【0044】
[実施例4]人工軽量骨材製造及びこれの有害物質湧出量測定
図2の石炭灰処理処置が備えられた火力発電プラントの骨材製造部と同じ軽量骨材製造システムを使用して、実施例3に記載された表4の埋立灰の中に1と3を除いた埋立灰60重量%に粘土原料20重量%と浚渫土砂20重量%を混合して、真空圧出成型器とペレタイザーを利用して各々成型し、200℃以下の温度で含水率10%以下に乾燥した後、乾燥された成型体をロータリーキルンに投入して19℃/分の昇温速度で最高温度1150℃の温度で50分間焼成した後、150℃/分の速度で冷却して、250℃の温度で大気中に放出して、人工軽量骨材を製造して前記製造された人工軽量骨材の物性と有害物質湧出量を測定した。
【0045】
人工軽量骨材の物性中の表乾密度及び吸収率はKS F 2503(太い骨材の密度及び吸収率試験)で測定し、組立率はKS F 2526(コンクリート用骨材)で測定し、アルカリ潜在反応測定方法はKS F 2545(骨材のアルカリ潜在反応試験方法)で測定し、有害物質湧出量測定は廃棄物工程試験方法によって各々測定した。
【0046】
その結果、表5に示したように、ペレタイザーを利用して製造した軽量骨材1番の物性は吸収率が16.29%、表乾密度が1.45g/cm、組立率が6.87%であることが示され、有害物質は表6に示したように検出されなかった。
【0047】
一方、真空圧出成型器を利用して製造した軽量骨材2度の物性は、吸収率が15.26%、表乾密度が1.68g/cm、組立率が6.76%であることが示され、表6に示したように有害物質は検出されなかった。
【0048】
【表5】

【0049】
【表6】

【0050】
[実施例5]人工軽量骨材を利用したコンクリート圧縮強度測定
実施例4で製造された軽量骨材を使用してコンクリートを製作した後、圧縮強度を各々測定して比較した。下記表7の製造例2は表5の軽量骨材1番を使用して製作したコンクリートであり、表7の製造例1と製造例3は表5の軽量骨材2番を使用して製作したコンクリートである。コンクリートはコンクリートの強度試験用公示体製作方法であるKS F 2403により公示体を製作し、28日間養生した後、KS F 2405(コンクリート圧縮強度試験方法)により圧縮強度を測定した。
【0051】
一方、製造例に対する比較を行うために次のような骨材を利用してコンクリートを製作した。表7の比較例1は従来のコンクリートに使用されている一般の砕石骨材(忠南鉱泉所在骨材)であり、比較例2は国外輸入品である人工軽量骨材(ドイツLiapor社骨材)であり、比較例3と比較例4は国内火力発電所埋立灰(霊興火力発電所)であり、コンクリート製作方法と圧縮強度試験方法は製造例と同じ方法で行った。
【0052】
その結果、表7に示したように、比較例1の従来の砕石を利用したコンクリートと埋立灰が含まれた軽量骨材コンクリート製造例1、2、3を比較して見ると、比較例1の砕石骨材コンクリートの圧縮強度が23.0N/mmであるのに対して、製造例1と製造例2の埋立灰が含まれたエコー人工軽量骨材コンクリートは、各々20.0N/mm、19.8N/mmであって、従来の砕石コンクリートと似たような圧縮強度を示し、特に、製造例3の場合、26.6N/mmでありむしろ砕石コンクリートよりさらに高い圧縮強度を示した。また、比較例2は14.1N/mmの圧縮強度を示したが、製造例1、2、3の埋立灰が含まれた軽量骨材コンクリートに比べて随分低い強度を示して、コンクリート製造時シリカヒュームなどのような強度補強材を添加して製造することが必要であると判断される。比較例3、4は灰処理場から取得した埋立灰をコンクリート配合時にそのまま使用して製造したコンクリートであり、圧縮強度が7.2N/mm、9.1N/mmとコンクリートに使用するには相当不適合であり、コンクリートに使おうすると埋立灰の前処理が必須であると判断される。
【0053】
【表7】

【0054】
このようなコンクリートの圧縮強度結果から埋立灰が含まれた軽量骨材コンクリートは従来の砕石コンクリートと比較しても優れた圧縮強度を有することが分かり、埋立灰をそのまま使ったコンクリートが随分低い強度を有する問題があるため、コンクリート製品に適用し難い問題や、従来の軽量骨材を利用してコンクリートを製造する際に、軽量骨材の弱い強度によって高価な強度補強材を添加しなければならないなどの製造原価上昇などの問題も改善できる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上詳細に説明したように、本発明によると、本発明に係る石炭灰リサイクル装置及び方法は、廃棄物をリサイクル工場まで移動する間に生じる周辺環境汚染を防止すると共に、運搬費を節減して、石炭灰全量を用途毎にリサイクルすることによって、石炭灰に含まれていた未燃炭素分を活用でき、使用基準が厳しいコンクリート混和剤などとしてもリサイクル可能で、廃棄物埋立による環境汚染防止と、廃棄物をリサイクルすることによって国土の損失と資源の浪費を解消することができる。
【0056】
以上、本発明の内容の特定の部分を詳述したが、当業界における通常の知識を持った者にとって、このような具体的な記述は単なる好適な実施態様に過ぎず、これにより本発明の範囲が制限されることはないという点は明らかである。よって、本発明の実質的な範囲は特許請求の範囲とこれらの等価物により定義されると言える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
石炭を燃焼させて発電する火力発電プラントから発生する石炭灰から、2mm以上の粒径を有する未燃焼石炭灰を選別して回収する未燃分回収部、及び
前記未燃分回収部で回収し切れなかった石炭灰を利用して骨材を製造する骨材製造部を含むことを特徴とする石炭灰リサイクル装置。
【請求項2】
前記未燃分回収部は灰処理場に埋め立てられた石炭灰を回収して不純物を取除き、2mm以上の粒径を持つ未燃焼石炭灰を選別する手段をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の石炭灰リサイクル装置。
【請求項3】
前記未燃分回収部は粒度及び磁力選別過程を通じて2mm以上の粒径を持つ未燃焼石炭灰を回収して、これを火力発電プラントに移送する手段をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の石炭灰リサイクル装置。
【請求項4】
前記未燃分回収部は以下を含むことを特徴とする請求項1に記載の石炭灰リサイクル装置:
火力発電プラントで発生した石炭灰を多数のスクリーンを利用して、粒径により選別する篩分別器20;
前記篩分別器20で選別された石炭灰を仕分けて保存する多数の第1供給サイロ21;
前記第1供給サイロ21に保存された石炭灰を電磁石を利用して、燃焼又は未燃焼により選別する磁力選別器22;
前記磁力選別器22で選別された石炭灰を仕分けて回収する多数の第2供給サイロ23;
前記第2供給サイロ23で一定粒径以上の未燃焼石炭灰を回収して保存する未燃分サイロ24;及び
前記第1供給サイロ21及び第2供給サイロ23で一定粒径未満または燃焼石炭灰を回収して保存する底灰サイロ25。
【請求項5】
本発明に係る骨材製造部は、以下を含むことを特徴とする請求項1に記載の石炭灰リサイクル装置:
前記未燃分回収部の底灰サイロ25で保存された石炭灰を回収して粉砕する粉砕機26;
前記粉砕機26から粉砕された石炭灰を保存する第1石炭灰サイロ27;
前記火力発電プラント(I)から発生する石炭灰(飛灰)を保存する第2石炭灰サイロ28;
前記第1石炭灰サイロ27及び第2石炭灰サイロ28に保存された石炭灰を所定の混合比に合わせて、その重量及び容量を計量する計量供給機29;
前記計量供給機29で計量した石炭灰に骨材用原料を混合及び練り込む混練機34;
前記混練機34を通じて混合及び練り込んた混合物を骨材形態に成型する成型部100;
前記成型部100から骨材形態に成型された混合物を乾燥するロータリー乾燥室39;及び
前記ロータリー乾燥室39から乾燥された混合物を焼成して骨材を製造するロータリーキルン41。
【請求項6】
前記ロータリー乾燥室39は火力発電プラントと接続され火力発電プラントの残熱を利用することを特徴とする請求項5に記載の石炭灰リサイクル装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の石炭灰リサイクル装置を利用して、飛灰、底灰、埋立灰及びこれらの混合物で構成された群から選択される石炭灰を用途に合わせてリサイクルすることを特徴とする石炭灰リサイクル方法。
【請求項8】
次の段階を含む、軽量骨材の製造方法:
(a)火力発電プラントで発生した石炭灰を多数のスクリーンを利用して、粒径により選別する篩分別器20、前記篩分別器20で選別された石炭灰を仕分けて保存する多数の第1供給サイロ21、前記第1供給サイロ21に保存された石炭灰を電磁石を利用して、燃焼又は未燃焼により選別する磁力選別器22、前記磁力選別器22で選別された石炭灰を仕分けて回収する多数の第2供給サイロ23、前記第2供給サイロ23で一定粒径以上の未燃焼石炭灰を回収して保存する未燃分サイロ24、及び前記第1供給サイロ21及び第2供給サイロ23で燃焼石炭灰または2mm未満の粒径を有する石炭灰を回収して保存する底灰サイロ25を含むことを特徴とする未燃分回収部を介して回収された燃焼石炭灰または2mm未満の粒径を有する石炭灰を粉砕する段階、
(b)前記粉砕された石炭灰に骨材用原料を混合及び練り込んで骨材混合物を製造する段階、
(c)前記製造された骨材混合物を骨材形態に成型して骨材成型物を製造する段階、及び
(d)前記成型された骨材成型物を焼成して骨材を製造する段階。
【請求項9】
前記骨材用原料は粘土または浚渫土砂であることを特徴とする請求項8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−526827(P2011−526827A)
【公表日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516155(P2011−516155)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【国際出願番号】PCT/KR2009/003639
【国際公開番号】WO2010/002216
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(508322853)セラグリーン カンパニー リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】CERAGREEN CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】Sangsong−ri,687,Janggok−myeon,Hongseong−gun, Chungcheongnam−do,350−893 Republic of Korea
【Fターム(参考)】