説明

石目調内装材の製造方法

【課題】サイディング以上に本物の石材の凹凸を表現した石肌面を有し、その石肌面に凹凸に加えて、鉱物の結晶面を表す多数の微細な結晶面部9,9,…が出た質感を有する石目調内装材が後塗装や後加工によることなく実現できるようにする。
【解決手段】多数の鉱物の結晶を有する、火成岩又は変成岩からなる原石材をランダムに切削して、凹凸のある石肌面(割石面)が形成されかつ石肌面に結晶の一部が平滑面(平面)からなる結晶面として部分的に露出したマスター石材を形成する。そのマスター石材に溶融シリコン樹脂を押し当ててシリコン型を取り、そのシリコン型に発泡材(成形材料)を流し込んで発泡成形させて成形体を得、その成形体の表面を塗装する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石目調内装材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、表面に石目が形成された石目調の内装建材は広く知られている。このような擬似石調を表現する方法として、従来、基材にガラスや石粉等の、キラキラした粒状の粉等を吹き付ける方法や、別の塗料を粒状にして後塗装する製法がある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
すなわち、石材の内部には細かい鉱物の結晶が含まれており、その石材を割石にしたときに割石面には、結晶が微細な平滑面(平面)からなる結晶面として部分的に露出し、この結晶面が光の入射によりキラキラと反射して輝くが、この結晶面を表現する結晶面部を粒状の粉や塗料によって再現するようにしている。
【0004】
尚、特許文献2には、擬石として使用される成形体の製造方法として、熱可塑性樹脂発泡シートの表面を塗装して、その塗装面を凹凸模様を有する成形面に向けて金型に装着し、その発泡シートの裏面側に熱可塑性樹脂発泡粒子を充填して加熱発泡させ発泡シートに融着させる方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−263469号公報
【特許文献2】特開平10−152571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記特許文献1のものでは、キラキラと反射する結晶面部を表現するために後塗装や後加工が必要であり、その結晶面部を本物の石材に似せるのが困難であるという問題があった。
【0007】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、サイディング以上に本物の石材の凹凸を表現した石肌面を有し、その石肌面に凹凸に加えて、鉱物の結晶面を表す多数の微細な結晶面部が出た質感を有する石目調内装材が後塗装や後加工によることなく実現できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、この発明では、凹凸のある石肌面に鉱物の結晶が平滑面からなる結晶面として部分的に露出した石材を用いてシリコン型を取り、そのシリコン型に成形材料を流し込んで成形するようにした。
【0009】
具体的には、請求項1の発明の石目調内装材の製造方法では、多数の鉱物の結晶を有する、火成岩又は変成岩からなる原石材をランダムに切削することで、凹凸のある石肌面が形成されかつ該石肌面に上記結晶の一部が平滑面からなる結晶面として部分的に露出したマスター石材を用意する。次いで、そのマスター石材に溶融シリコン樹脂を押し当ててシリコン型を取る。さらに、そのシリコン型に成形材料を流し込んで成形して成形体を形成し、その成形体の表面を塗装することを特徴とする。
【0010】
この請求項1の発明では、多数の鉱物の結晶を有する、火成岩又は変成岩からなる原石材をランダムに切削してマスター石材が形成されるので、このマスター石材は、凹凸のある石肌面(割石面)が形成されているとともに、その石肌面に原石材の持っている結晶の一部が平滑面(平面)からなる結晶面として部分的に露出したものとなる。そして、このマスター石材に溶融シリコン樹脂が押し当てられてシリコン型が形成され、このシリコン型に成形材料が流し込まれて成形され、その成形体の表面が塗装されることによって石目調内装材が製造される。
【0011】
尚、原石材をランダムに切削するとは、その原石材を割石するか又はのみ等により表面を荒らすことであり、マスター石材において結晶面の露出した石肌面が容易に得られる。また、凹凸のある石肌面は、部分的にウォータージェットや磨き仕上げ等により加工された平面部分を含むものであっても良い。
【0012】
こうしてマスター石材の結晶面を含む石肌面がシリコン型の成形面に正確に転写されることとなり、そのシリコン型を利用した成形によって得られた石目調内装材は、その表面に凹凸の石肌面が形成されるとともに、それに加えて微細な平滑面(平面)の結晶面部がランダムに発現して、その結晶面部に光がキラキラと反射するようになり、成形品でも結晶面部が光沢を有するキラキラ面となって本物の石材に似たリアルな質感の内装材となる。
【0013】
しかも、この内装材はシリコン型により成形するだけで得られるので、後塗装や後加工は不要となる。
【0014】
また、原石材は、火成岩又は変成岩からなるので、上記ランダムに結晶面が発現するマスター石材となる原石材が容易に得られる。
【0015】
請求項2の発明では、上記シリコン型に溶剤系弾性樹脂塗料を均一に塗布し、その表面に成形材料として発泡材を流し込んで上記塗料と一体になるように発泡成形させることを特徴とする。
【0016】
この請求項2の発明では、シリコン型に発泡材が流し込まれて発泡成形され、その成形と同時に成形体の表面が塗膜で被覆されることによって石目調内装材が製造される。そのとき、塗膜表面がシリコン型と同一になるため、石目調内装材の石肌面表面の鋭い凹凸感、石肌面表面に現出する結晶面部のキラキラ感や質感を本物の石により一層似せてリアルに表現することができ、成形品でも本物の石材に似たリアルな質感の内装材が容易に得られる。また、発泡成形体の表面に気泡が開口したときでも、それは成形と同時に塗膜によって覆われて塞がれるようになり、美麗な石肌面が得られる。
【0017】
また、発泡成形体からなる内装材は軽量であるので、壁材等に用いたときに地震等で剥がれ難い内装材となる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明した如く、請求項1の発明によると、多数の鉱物の結晶を有する、火成岩又は変成岩からなる原石材をランダムに切削して、凹凸のある石肌面に平滑面からなる結晶面が部分的に露出したマスター石材を用意し、そのマスター石材に溶融シリコン樹脂を押し当ててシリコン型を取り、そのシリコン型に成形材料を流し込んで成形させ、その成形体の表面を塗装することにより、マスター石材の石肌面が正確に転写されたシリコン型による成形によって、表面に凹凸の石肌面が形成され、加えてランダムに発現した結晶面部に光がキラキラと反射する石目調内装材が得られ、よって成形品でも、後塗装や後加工を要することなく、本物の石材に似たリアルな質感の内装材が得られる。
【0019】
請求項2の発明によると、シリコン型に溶剤系弾性樹脂塗料を均一に塗布し、その表面に成形材料としての発泡材を流し込んで塗料と一体になるように発泡成形させたことにより、塗膜表面をシリコン型と同一にして、石目調内装材の石肌面表面の鋭い凹凸感、石肌面表面に現出する結晶面部のキラキラ感や質感を本物の石により一層似せてリアルに表現でき、美麗な石肌面を有しかつ本物の石材に似た軽量で壁材用途等に好適な内装材が容易に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は本発明の実施形態に係る石目調内装材の平面図である。
【図2】図2は石目調内装材を一部を切断して示す斜視図である。
【図3】図3は石目調内装材の表面の拡大図である。
【図4】図4は、石目調内装材の製造方法の工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0022】
(石目調内装材)
図1は本発明の実施形態に係る製造方法によって製造された石目調内装材Aを示す。この内装材Aは矩形板状のもので(図示例では455mm×910mm)、図2に拡大して示すように、発泡材からなる板状の基材1を有する。図2中、1aは基材1に発泡により生じた気泡である。
【0023】
上記基材1の発泡材は成形材料であり、例えば軟質発泡材、硬質発泡材又は半硬質発泡材からなる。軟質発泡材は、軟らかい発泡材からなっていて弾性を有し、例えばポリウレタン発泡材、メラミン発泡体、フェノール発泡体、ポリエチレン発泡体、ポリプロピレン発泡体等からなる。石目凹凸意匠の再現性や塗料選択巾の広さ、汎用性等を考慮すると、最も好適には、軟質ウレタン発泡体が用いられる。軟質ウレタン発泡体とは、ポリオールとポリイソシアネートを主成分として、発泡剤、整泡剤、触媒、着色剤等を混合し、樹脂化させながら発泡させたもので、気泡が連通し、柔らかくて復元性があるものを指す。ポリエーテルフォームやポリエステルフォーム等があるが、どちらでもよい。また、後述するシリコン型との離型性のために離型剤を使用してもよい。
【0024】
硬質発泡材は、独立気泡で復元性がなく、例えばポリウレタン発泡材等からなる。硬質ウレタン発泡体とは、硬質ウレタン発泡体と同様に、ポリオールとポリイソシアネートを主成分として、発泡剤、整泡剤、触媒、着色剤等を混合し、樹脂化させながら発泡させたもので、気泡が独立し、硬くて復元性がないものを指す。ポリエーテルフォームやポリエステルフォーム等があるが、どちらでもよい。また、シリコン型との離型性のために離型剤を使用してもよい。
【0025】
さらに、半硬質発泡材は軟質及び硬質発泡材の中間的な物性を有する。尚、ウレタン発泡体に限らず、シリコン型を使用して石目の逆エッジ等を再現できるならば、石膏、塩ビ等を成形材料として用いることができる。
【0026】
この基材1の表面には石目を表す複数の凹部3,3,…及び凸部4,4,…が成形によって形成されている。すなわち、これら凹部3,3,…及び凸部4,4,…は、複数の矩形状の石材が隙間なく不規則に積み重ねられた石積み意匠を有しており、凹部3の深さ、凸部4の高さ、凹部3及び凸部4の大きさや形状は任意でランダムになっている。また、凹部3及び凸部4は基本的に互いに隣接しており、場所によっては不規則に並んでいる。
【0027】
また、凹部3及び凸部4の境界には、基材1の表裏方向に沿った方向の直角エッジ5や、凸部4の先端側の大きさが基端側よりも大きくなるように基材1表裏方向に対し傾斜する逆エッジ(図示せず)が形成されている。この実施形態では凹部3及び凸部4間の高さの差は例えば5〜20mmとされている。
【0028】
そして、図3に拡大して示すように、凹部3や凸部4の表面は、石を削って得られる凹凸状の石肌面(割石面)となっている。
【0029】
以上により、基材1表面の複数の凹部3,3,…及び凸部4,4,…は、本物の石を割ったときに現れる割石面を表しており、図2及び図3に示すように、その表面には多数の結晶面部9,9,…が形成されている。この結晶面部9,9,…は、本物の石の割石面に現出する多数の鉱物の結晶面を表している。その結晶面は、割石面においてランダムな方向に向くように配置されていて反射によりキラキラと輝く微細な平滑面(平面)である。そして、この結晶面を上記結晶面部9,9,…が表している。
【0030】
尚、凹部3や凸部4の表面に凹凸状以外の石肌面を形成してもよい。また、基材1表面に石積み意匠以外の石目を表す凹凸部を形成してもよい。
【0031】
また、必要に応じて、著しく突出した部分や正寸加工を行うために、切削加工を行ってもよい。この場合、少なくとも1つの面が割石により表出した面となるのがよい。
【0032】
上記基材1の表面には塗装が施されていて塗膜層8が形成されている。成形材料が軟質発泡体の場合、表面が凹んだり変形したときに塗膜自身が密着性に優れ弾性又は靭性を有し、表面塗料が剥がれたり割れたりしないように配慮されている必要がある。このような塗料としては、水性のアクリル樹脂系塗料、シリコンアクリル樹脂系塗料、ビニルウレタン樹脂系塗料、ラテックスエマルジョン樹脂系塗料、アクリルエマルジョン樹脂系塗料やウレタンエマルジョン樹脂系塗料であったり、溶剤系のアクリル樹脂系塗料、シリコンアクリル樹脂系塗料やウレタンアクリル樹脂系塗料等が好適に使用される。
【0033】
このとき、塗料の塗布方法としては、例えば、後述するシリコン型の成形面に塗料を塗布し、上記塗料と一体になるように発泡樹脂を流し込んで一体化させる方法でも良いし、或いは、シリコン型に離型剤を塗布した後、ここに成形材料を流し込んで成形させ、その成形されたものの表面に塗料をスプレー等で塗布する方法がある。
【0034】
例えば、シリコン型に塗料を塗布する場合は、シリコン型と馴染み性の良い(剥がれ難い)溶剤系の塗料が好ましく、この溶剤系塗料を必要に応じて溶剤で希釈し、希釈した塗料をシリコン型内部に薄く均一に塗布した後、ジェットドライヤー、UVドライヤー等の乾燥機で乾燥又は半乾燥させ、然る後に上記乾燥させた塗料表面に成形材料を流し込むことにより、塗料と基材を一体的に成形する。塗料を塗布し、ここに成形材料を流し込んでマーブル模様を表現しても良いし、粘度の高い塗料を使用し、ここに成形材料を流し込むことにより、塗料と基材を一体的に成形しても良い。
【0035】
また、成形体の表面に塗料を塗布する場合は、必要に応じて水、酢酸エチル、シンナー等の溶剤で希釈し、表面に薄く均一に塗布し、溶剤を飛ばすことにより、肉持ち感をなくし鋭い凹凸感を損なわないようにするとともに、艶を低くし、割石面の表面に現出した結晶面部9,9,…のキラキラ感を強調するのが好ましい。このとき、艶は、グロスチェッカー等で測定する。例えば60度入射角で60度受光角のグロスチェッカーで測定し、そのグロス値が1〜50、好ましくは1〜20程度がよい。グロス値が50を越えると全体的にキラキラするため、割石面の表面に現出した結晶面のキラキラ感が強調されず、単なる凹凸意匠となるため、好ましくない。
【0036】
(石目調内装材の製造方法)
このような石目調内装材Aを製造するための、本発明の実施形態に係る製造方法について説明する。
【0037】
図4に示すように、まず、上記石目調内装材Aの石肌面のモデルとなるマスター石材を形成する。このマスター石材は、多数の微細な鉱物の結晶を有する原石材を自然な風合いを表現するようにランダムに切削することで、凹凸のある石肌面(割石面)が形成されかつその石肌面に結晶の一部が微細な平滑面からなる結晶面として部分的に露出したものである。
【0038】
原石材をランダムに切削するとは、石材を割石にする製法で、比較的大きな原石材を割石するか又は表面をのみ等で荒らすことであり、このようにして原石材をランダムに切削してマスター石材にする。
【0039】
上記キラキラ感を呈する結晶面を有する原石材は火成岩又は変成岩であり、花崗岩や大理石等がある。例えば花崗岩に含まれる粒状の鉱物の結晶がランダムに切断された際に、他の箇所の石目のざらついた感触とは異なり、細やかではあるがフラットな結晶面になり、これを有する石材を用いる。
【0040】
原石材の表面を加工する場合、バーナーやウォータージェット等を用いたり、表面を磨き仕上げしたりする手法が一般的であるが、これでは上記石肌面を再現することはできない。あくまでも、光の入射によって粒状にちりばめられた結晶面がキラキラと光る石肌面を有するものであり、これをモデルとして再現できるようにする。尚、石肌面の一部に部分的に、ウォータージェットや磨き仕上げ等により加工された平面部分を含むようにしても良い。
【0041】
また、花崗岩(本物)で壁面意匠とする場合、灰色や黒色、結晶がまだらな色を有する場合がある。これも成形時の塗装色の選択により、質感は十分に再現しつつ、内装衣装に合わせた、例えば白を基調とした調色とすることで、内装意匠として違和感なく表現することができる。
【0042】
次いで、上記マスター石材の石肌面に溶融シリコン樹脂を押し当ててシリコン型を形成する。
【0043】
さらに、このシリコン型に成形材料(軟質発泡材や硬質発泡材等)を流し込んで成形させ、その成形後に表面を塗装する。
【0044】
或いは、上記のように、シリコン型の表面(成形面)に塗料を薄く均一に塗布しておき、その表面に成形材料を流し込み、成形材料と塗膜を一体的に成形しても良い。
【0045】
このとき、好ましくは、塗料を半乾燥状態又は乾燥状態にし、この薄い均一な塗膜の表面に成形材料を流し込み成形材料と塗膜を一体的に成形するのが良い。
【0046】
また、石目表面意匠の再現性や耐久性、表面塗膜の密着性等を考慮すると、例えばシリコン型の表面にスプレー塗布可能な程度に溶剤希釈したポリウレタン系樹脂塗料を薄く均一に塗布し、ドライヤーで半乾燥させ、この半乾燥状態の塗料表面に2液型軟質ウレタン発泡樹脂を流し込み、比重0.2〜0.4程度に発泡させるのが最も好ましい。
【0047】
したがって、この実施形態において、多数の鉱物の結晶を有する原石材をランダムに切削して形成されたマスター石材は、凹凸のある石肌面(割石面)が形成されているとともに、その石肌面に原石材の持っている結晶の一部が多数の微細な平滑面(平面)からなる結晶面として部分的に露出したものとなる。そして、そのマスター石材に溶融シリコン樹脂が押し当てられてシリコン型が形成されると、そのシリコン型に、マスター石材の凹凸のある石肌面(割石面)や、その石肌面にランダムに分散して配置され、原石材の持っている結晶の一部が現れる多数の微細な結晶面が正確に反転して転写されることとなる。そして、このシリコン型に成形材料が流し込まれて成形されると、成形型に柔軟なシリコン型が使用されているため、その成形によって得られた石目調内装材Aは、その表面に凹凸の石肌面が形成され、石材を切断し又は割った際に得られる直角エッジ5や逆エッジ等は勿論のこと、それに加えて多数の微細な結晶面部9,9,…(平面)がランダムに分散しかつランダムな方向に向いた石肌面も表現することができる。この石肌面は、照明や自然光の入射によってその結晶面部9,9,…で光がキラキラと反射して部分的(点状)にキラキラした見た目を有するようになり、軽量な成形品であっても結晶面部9,9,…が光沢を有するキラキラ面となって本物の石材に似たリアルな質感の内装材Aが得られる。
【0048】
また、シリコン型の成形面に塗料を塗布し、その塗料と一体になるようにシリコン型に発泡樹脂を流し込んで発泡成形させると、成形と同時に成形体の表面が塗膜で被覆され、このことによって石目調内装材が製造される。そのとき、塗膜表面がシリコン型と同一になるため、石目調内装材の石肌面表面の鋭い凹凸感、石肌面表面に現出する結晶面部9,9,…のキラキラ感や質感を本物の石により一層似せてリアルに表現することができ、成形品でも本物の石材に似たリアルな質感の内装材Aが容易に得られる。また、発泡成形体の表面に気泡が開口したときでも、それは成形と同時に塗膜によって覆われて塞がれるようになり、よって美麗な石肌面が得られる。
【0049】
また、発泡成形体からなる内装材Aは軽量であるので、壁材等に用いたときに地震等で剥がれ難い内装材となる。
【0050】
そして、このリアルな質感の内装材は、シリコン型による成形によって得られるので、結晶面部9,9,…を表すための後塗装や後加工は不要となる。
【0051】
この実施形態の石目調内装材Aは、室内の壁面にデザインを目的に石目調の壁材として施工されるか、或いは音響室(リビングやオーディオルーム、音楽用防音室等)の壁面に吸音ないし音の拡散用の壁材として施工される。特に、内装材A表面の凹凸部3,4の高さの差が大きいので、ライトを当てれば、表面の陰影感が際立つこととなる。
【0052】
そして、石目調内装材Aを音響室の壁材に用いたとき、その内装材Aの表面に石目を示す複数の凹凸部3,4が形成されているので、音の拡散効果が得られ、音響室の音響特性を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、成形と同時に、石材を切断した際の直角エッジや逆エッジ、石目の切削面の微細な結晶面部まで表現できるので、壁材等で極めて有用で産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0054】
A 石目調内装材
1 基材
8 塗膜層
9 結晶面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の鉱物の結晶を有する、火成岩又は変成岩からなる原石材をランダムに切削することで、凹凸のある石肌面が形成されかつ該石肌面に上記結晶の一部が平滑面からなる結晶面として部分的に露出したマスター石材を用意し、
上記マスター石材に溶融シリコン樹脂を押し当ててシリコン型を取り、
上記シリコン型に成形材料を流し込んで成形して成形体を形成し、
上記成形体の表面を塗装することを特徴とする石目調内装材の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
シリコン型に溶剤系弾性樹脂塗料を均一に塗布し、その表面に成形材料として発泡材を流し込んで上記塗料と一体になるように発泡成形させることを特徴とする石目調内装材の製造方法。

【図2】
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【図4】
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【図1】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−28989(P2013−28989A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166805(P2011−166805)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000204985)大建工業株式会社 (419)
【Fターム(参考)】