説明

石鹸泡立て具およびその製造方法

【課題】全体にボリューム感があり、泡立て効果に優れた石鹸泡立て具を提供する。
【解決手段】細い合成繊維フィラメント糸を材料として筒状に編成された本体ネット1と、合成樹脂を材料として一体成形により筒状に周方向が伸縮自在に作られた補強用ネット2からなり、長さ方向中間部で折り返して2重構造となった本体ネット1で補強用ネット2を包んだ状態で本体ネット1の遊端部側開口部に吊り紐3の団子状の結び部3aが位置するように吊り紐3を2重構造の本体ネット1内に差し込み、本体ネット1の遊端部側開口部を絞るように閉じて、吊り紐3を本体ネット1の折り返し端部側から引っ張り、本体ネット1で補強用ネット2を包んだ状態で全体を裏返してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗面所や手洗い所などにおいて使用される石鹸を擦りつけ泡立てて使用するようにした石鹸泡立て具およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種石鹸泡立て具として、例えば特許文献1に開示されているような洗顔用泡立て具が知られている。この特許文献1に開示されている洗顔用泡立て具は、筒形のネット素材を一端から内外を反転させつつ折り返して、折り返し端部に開口部を備え、他端部を閉じた多重ネット袋を形成し、この多重ネット袋を洗顔料とともに湿潤して外側から揉んで細かな泡を立てられるようにしたものである。
【特許文献1】特開2000−245649号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に開示されているものでは、前記開口部より固形の石鹸を入れるか、多重ネット袋に液状の洗顔料を含ませるかして洗顔用泡立て具に適度の水をかけた状態で揉むことにより泡立て、この泡は洗顔用泡立て具の他端部側から一端部側に搾り出されて掌で受けて使用するものであるが、洗顔用泡立て具は多重ネット構造になっているものの搾り出し時において紐状に延びるようなものであってボリューム感がなく、泡立て効果に劣るという問題があった。
【0004】
本発明の目的は、このような課題を解決するものであり、全体にボリューム感があり、泡立て効果に優れた石鹸泡立て具およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に記載の石鹸泡立て具は、細い合成繊維フィラメント糸を材料として筒状に編成された本体ネットと、合成樹脂を材料として一体成形により筒状に周方向が伸縮自在に作られた補強用ネットからなり、長さ方向中間部で折り返して2重構造となった本体ネットで補強用ネットを包んだ状態で本体ネットの遊端部側開口部に吊り紐の団子状の結び部が位置するように吊り紐を2重構造の本体ネット内に差し込み、本体ネットの遊端部側開口部を絞るように閉じて、吊り紐を本体ネットの折り返し端部側から引っ張り、本体ネットで補強用ネットを包んだ状態で全体を裏返してなることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の石鹸泡立て具の製造方法は、細い合成繊維フィラメント糸を材料として筒状に編成された本体ネットと、合成樹脂を材料として一体成形により筒状に周方向が伸縮自在に作られた補強用ネットを用い、補強用ネットを多重に折り返した状態で本体ネットの長さ方向中間部に被せ、かかる状態で本体ネットで補強用ネットを包むように本体ネットを長さ方向中間部で折り返して2重構造とし、本体ネットで補強用ネットを包んだ状態で、本体ネットの遊端部同士を揃え、この状態で本体ネットの遊端部側開口部に吊り紐の団子状の結び部が位置するように吊り紐を2重構造の本体ネット内に差し込み、かかる状態で本体ネットの遊端部側開口部を絞るように閉じて、吊り紐を本体ネットの折り返し端部側から引っ張っても団子状の結び部が絞り部で止まって抜けないように構成され、吊り紐を本体ネットの折り返し端部側から引っ張り、本体ネットで補強用ネットを包んだ状態で全体を裏返すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
以上のように、本発明の石鹸泡立て具およびその製造方法は、2重構造の本体ネットで補強用ネットを包んでいるので、全体にボリューム感のある石鹸泡立て具が得られ、泡立て効果に優れ、石鹸泡立て具に適量の水をかけて固形石鹸を擦りつけるか液状の洗顔料を含ませた状態で全体を揉むことにより泡立て、この泡を石鹸泡立て具から搾り取って掌で受けて手の洗浄や洗顔などに使用することができる。特に、本体ネットの中に補強用ネットが包まれて存在するので、石鹸泡立て具の保形効果が得られ、しかも泡立て効果の向上を図ることができる。また、本発明の石鹸泡立て具の製造方法によれば、縫製などのための器具類を用いることなく、ボリューム感のある石鹸泡立て具を簡単に作ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施の形態を、図1〜図5に基づいて説明する。
図において、1は細い合成繊維フィラメント糸を材料として円形編機により筒状に編成された柔軟性に富み周方向が伸縮自在に作られた本体ネット、2は合成樹脂を材料として一体成形により筒状に周方向が伸縮自在に作られた補強用ネットで、この補強用ネット2も柔軟性はあるが、前記本体ネット1よりも多少硬さが存在するように作られている。
【0009】
なお、前記本体ネット1の原長さは約23cmであり、補強用ネット2の原長さは約45cmである。
前記補強用ネット2は長さ方向中間部で折り返して2重構造とし、かかる状態の長さ方向中間部で折り返して4重構造とし、この4重構造の補強用ネット2を前記本体ネット1の長さ方向中間部に被せる。かかる状態で本体ネット1で補強用ネット2を包むように本体ネット1を長さ方向中間部で折り返して2重構造とする。これにより4重構造の補強用ネット2も長さ方向中間部で折り返されて8重構造となる。
【0010】
このように2重構造の本体ネット1で8重構造の補強用ネット2を包んだ状態で、前述のように折り返された本体ネット1の遊端部同士を揃え、この状態で本体ネット1の遊端部側開口部に吊り紐3を差し込む。吊り紐3は両端が団子状に結ばれており、本体ネット1の遊端部側開口部に吊り紐3を差し込む際、団子状の結び部3aが本体ネット1の遊端部から外に僅かに突出するように差し込む。かかる状態で面状ファスナー4により本体ネット1の遊端部側開口部を絞るように閉じ、吊り紐3を本体ネット1の折り返し端部側から引っ張っても団子状の結び部3aが面状ファスナー4による絞り部で止まって抜けないように構成される。上記のように本体ネット1の遊端部側開口部が面状ファスナー4により絞られた後、吊り紐3を本体ネット1の折り返し端部側から引っ張り、本体ネット1で補強用ネット2を包んだ状態で全体を裏返すことにより、ボリューム感のある石鹸泡立て具が完成する。なお、前記団子状の結び部3aは内部に隠れた状態で、吊り紐3を引っ張っても抜け外れないものである。
【0011】
ところで、前記石鹸泡立て具を構成する補強用ネット2は目が粗いが、本体ネット1は目が細かく、水を通すことができる程度に細かいメッシュ状に編まれている。
以上の構成の石鹸泡立て具を使用する場合、手洗い所や洗面所などにおいて吊り紐3がフック5などに引っ掛けられた状態から吊り紐3をフック5などから外し、石鹸泡立て具に適量の水をかけて固形石鹸を擦りつけるか液状の洗顔料を含ませた状態で全体を揉むことにより泡立て、この泡を石鹸泡立て具から搾り取って掌で受けて手の洗浄や洗顔などに使用するものである。本石鹸泡立て具は本体ネット1の中に補強用ネット2が包まれているので、石鹸泡立て具をボリュームのある形に保ち、泡立て効果も優れたものとなる。
【0012】
ところで、本石鹸泡立て具で泡立てられる石鹸とは固形石鹸は勿論、液状の洗顔料などを含むものである。
また、前記本体ネット1の遊端部側開口部を絞るように閉じるために面状ファスナー4を用いているが、粘着テープや結束バンドなどを用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態における石鹸泡立て具の本体ネットおよび補強用ネットの斜視図である。
【図2】(a)〜(e)は石鹸泡立て具の製造手順を示す斜視図である。
【図3】同完成された石鹸泡立て具の斜視図である。
【図4】同完成された石鹸泡立て具の断面図である。
【図5】同石鹸泡立て具をフックに吊り下げた状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0014】
1 本体ネット
2 補強用ネット
3 吊り紐
3a 結び部
4 面状ファスナー
5 フック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細い合成繊維フィラメント糸を材料として筒状に編成された本体ネットと、合成樹脂を材料として一体成形により筒状に周方向が伸縮自在に作られた補強用ネットからなり、長さ方向中間部で折り返して2重構造となった本体ネットで補強用ネットを包んだ状態で本体ネットの遊端部側開口部に吊り紐の団子状の結び部が位置するように吊り紐を2重構造の本体ネット内に差し込み、本体ネットの遊端部側開口部を絞るように閉じて、吊り紐を本体ネットの折り返し端部側から引っ張り、本体ネットで補強用ネットを包んだ状態で全体を裏返してなることを特徴とする石鹸泡立て具。
【請求項2】
細い合成繊維フィラメント糸を材料として筒状に編成された本体ネットと、合成樹脂を材料として一体成形により筒状に周方向が伸縮自在に作られた補強用ネットを用い、補強用ネットを多重に折り返した状態で本体ネットの長さ方向中間部に被せ、かかる状態で本体ネットで補強用ネットを包むように本体ネットを長さ方向中間部で折り返して2重構造とし、本体ネットで補強用ネットを包んだ状態で、本体ネットの遊端部同士を揃え、この状態で本体ネットの遊端部側開口部に吊り紐の団子状の結び部が位置するように吊り紐を2重構造の本体ネット内に差し込み、かかる状態で本体ネットの遊端部側開口部を絞るように閉じて、吊り紐を本体ネットの折り返し端部側から引っ張っても団子状の結び部が絞り部で止まって抜けないように構成され、吊り紐を本体ネットの折り返し端部側から引っ張り、本体ネットで補強用ネットを包んだ状態で全体を裏返すことを特徴とする石鹸泡立て具の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−61129(P2009−61129A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−232111(P2007−232111)
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(593014484)有限会社アーネス (4)