説明

砂分級機

【課題】土砂と水の混合物中の微砂を含む砂を簡単な構成で効率よく分離回収でき、消耗品が少なく、設備費用を低く抑えることができる湿式の砂分級機を提供する。
【解決手段】原料を貯留する槽体1を、回転バケット体2を備える主水槽3と、主水槽3の両側で側方に延出して、主水槽3の底部31に向かう傾斜底部41,51を有する第1及び第2の拡張槽4,5とよりなるものとし、傾斜底部41,51の上端部近傍で傾斜底部に向かって又は傾斜底部に沿って斜め下方に水を噴射する水噴射ノズル43,53を設け、第1の拡張槽4の上方に回転バケット体2で掻き上げられた砂を水切りして送出する篩い装置7を設け、第2の拡張槽5に、延出端側に排水口57を設けるとともに、槽内の上部で主水槽3側から排水口57方向への原料の流れを規制する流れ規制板58を、主水槽3側から排水口57側に向かって所要の間隔をおいて複数設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土砂と水との混合物から砂を分級し回収するための湿式の砂分級機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の湿式の砂分級機として、特許文献1の例のように、分級のための処理水槽を、掻き上げ用の回転バケット体を備える主水槽と、無端回動して沈殿した微砂を掻き寄せる手段を備える沈殿槽とに区分し、沈殿槽に沈殿する微砂を主水槽の側に掻き寄せ、こうして主水槽に集められる微砂を含む砂を回転バケット体により掻き上げ、槽外に排出するようにしたものが知られている。また、特許文献2の例のように、処理水槽に、掻き上げ用の回転バケット体と分級のためのスパイラル羽根車とを備える砂分級機も知られている。
【0003】
しかしながら、前記いずれの砂分級機においても、極細粒径(例えば、粒径が0.075mm前後)の微砂を分級するために、無端回動する掻き寄せ手段や回転するスパイラル羽根車等を用いており、装置構造が大型化し、また大きな動力源が必要になる上、運転による消耗部分も多く、コスト高になり、設備費用も多大なものとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−61346号公報
【特許文献2】特開平5−15808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題を解決して、簡単な構成でありながら、土砂と水との混合物から砂(微砂を含む)を効率よく分級し回収することができ、運転による消耗部分が少なく、動力源を少なくでき、運転コスト、設備費用を低く抑えることができる砂分級機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決する本発明は、土砂と水との混合物を原料として砂を洗砂分離し回収するための砂分級機であって、投入される原料を貯留する槽体を有し、前記槽体は、混合物中の沈砂を掻き上げる回転バケット体を備えた主水槽と、前記回転バケット体の軸方向で前記主水槽を中間にして両側に、それぞれ前記主水槽に連接されて側方に延出し、かつ、延出端側から前記主水槽の底部側に向かって傾斜した傾斜底部を有する第1及び第2の拡張槽とよりなり、前記第1及び第2の拡張槽には、それぞれ傾斜底部の上端部近傍において該傾斜底部に向かって又は該傾斜底部に沿って洗砂のための水を噴射する水噴射ノズルを備えており、前記第1の拡張槽の上方には、前記回転バケット体により掻き上げられた砂を水切りして送出する篩い装置が設けられ、前記第2の拡張槽には、延出端側の上部側壁に少なくとも一部が開口した溢水用の排水口が設けられるとともに、該第2の拡張槽内の上部において主水槽側から排水口方向への水流を規制する流れ規制板が間隔をおいて複数並設されてなることを特徴とする。
【0007】
この砂分級機によれば、投入される土砂と水との混合物である原料を貯留する第1及び第2の拡張槽内においては、前記水噴射ノズルからの水噴射により、水との比重差で傾斜底部上に沈降する砂を洗砂しながら主水槽の底部の側に押し流すとともに、槽内の原料に対して傾斜底部に近い下部では該傾斜底部に沿って高位から低位の方向(主水槽側)に、また水面に近い上部では主水槽側から延出端側への水流を生じさせることになり、これにより、原料が攪拌されながら水中に浮游する砂が沈降し、前記のように水噴射ノズルからの水噴射により傾斜底部に沿って洗砂されながら主水槽の底部上に集められる。
【0008】
特に、前記排水口を有する第2の拡張槽内においては、砂より細かいシルトや粘土等の不要分を含む濁水は、前記槽内の流れにより前記排水口からオーバーフローして排出されるが、該第2の拡張槽内の上部では、前記主水槽側から排水口方向への水流が流れ規制板により規制されるため、濁水中に浮游している極細粒径の微砂等の流れも規制されて、直ちに濁水と共に排水口から排出されることがなく、こうして槽内に滞留する間に水との比重差で沈降し、前記のように水噴射により洗砂されながら傾斜底部に沿って主水槽内の底部上に集められる。
【0009】
前記のようにして主水槽の底部上に集められた微砂を含む砂は、前記回転バケット体の回転により掻き上げられるとともに、回転バケット体の上部側で前記第1の拡張槽の上方に配置されている篩い装置上に排出され、該篩い装置で水切り脱水が行われた後、該篩い装置から排出され回収される。また、篩い装置を通過したシルトや粘土を含む水は、再び第1の拡張槽内に戻されて、投入される原料とともに混合攪拌されて前記同様の処理が行われる。
【0010】
前記の砂分級機において、前記第2の拡張槽内の流れ規制板が、前記排水口からの溢水による水面位置を上縁にして所要深さまでの排水口方向への水流を規制するように並列して配置されてなるものとするのが好ましい。また、前記第2の拡張槽内の流れ規制板が、前記主水槽側ほど前記上下方向幅が大きく形成されてなるものとすることができる。
【0011】
前記砂分級機において、前記篩い装置は、バイブレータを具備した振動篩い装置であって、送出側を低位とする傾斜状態で振動可能に支持されてなり、送出側端部の送出口より送出される砂を回収用の移送手段により受けるように設けられてなるものとすることができる。
【0012】
前記砂分級機において、前記回転バケット体は、外周部において周方向所定間隔に配された掻き上げ用のバケットを支持する内方支持部材が前記槽体上で水平に支承された回転軸に連結されて回転可能に支持されてなり、前記内方支持部材が前記第2の拡張槽側の側面部にあって前記第1の拡張槽側の側面に開口部を有し、該開口部に前記篩い装置の一部が挿入されて支持され、バケットから排出される砂を受けるように設けられてなるものが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
上記したように、本発明の砂分級機によれば、簡単な構成でありながら、土砂と水との混合物中の極細粒径の微砂を含む砂を、効率よく洗砂分離し回収することができて、しかも傾斜底部と水噴射、及び流れ規制板を利用して、粒径の細かい微砂を分離回収するので、消耗部分が少なく、動力源を少なくでき、運転コスト、設備費用を低く抑えることができることになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例を示す一部を切り欠いた略示平面図である。
【図2】同上の一部を切り欠いた正面図である。
【図3】排水口側の側面図である。
【図4】図1のIV−IV線の略示断面図である。
【図5】前図のV−V線の略示断面図である。
【図6】流れ規制板部分の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
本発明の砂分級機Aは、土砂と水との混合物を原料として砂を洗砂分離し回収するためのものであって、下記の構成を備えている。
【0017】
なお、前記原料は、通常、粒径が5mm前後以下になるように、振動篩い等を通して小石や砂利を除いて得られた土砂と水との混合物であり、ポンプを利用した搬送パイプやシュートにより搬送され砂分級機に投入される。
【0018】
図中の符号1は、本発明の砂分級機Aの主要部をなし、適宜投入される土砂と水との混合物である原料を貯留する槽体である。この槽体1は、沈降する前記原料中の砂を掻き上げる回転バケット体2を備える主水槽3と、前記回転バケット体2の軸方向で前記主水槽3を中間にして両側、すなわち前記回転バケット体2の軸方向の一方側と他方側とに、それぞれ該主水槽3に連接されて側方に延出し、かつ、それぞれ延出端側から前記主水槽3の底部31に向かって漸次低位となるように傾斜した傾斜底部41,51を有する第1及び第2の拡張槽4,5とよりなる。6は前記槽体1を支持する架台である。
【0019】
前記主水槽3は、回転バケット体2の回転を許容できるように、底部31及び両側部32が同じ曲率半径で連続して、前記回転バケット体2の回転軸心を中心とする断面半円形をなしている。また、前記第1及び第2の両拡張槽4,5は、前記傾斜底部41,51及び該傾斜底部に連続して断面において上拡がりのテーパ状に傾斜した両側部42,52は、それぞれ前記主水槽3の底部31及び両側部32よりやや内方位置で段差を有するように連接されており、前記底部31及び両側部32がピット状をなし、沈降する砂が主水槽部3の該底部31上に集まり易くなっている。
【0020】
前記第1及び第2の両拡張槽4,5は、それぞれ傾斜底部41,51の上端部近傍において、該傾斜底部41,51に向かって又は該傾斜底部41,51に沿って下方に洗砂のための水(主に清水)を噴射する水噴射ノズル43,53を備えている。
【0021】
例えば、前記第1の拡張槽4の水噴射ノズル43は、ノズル管44が槽上に略全幅に渡って横架されるとともに、該ノズル管44の長さ方向所要間隔毎に下方向きに突出する噴射口45を有し、該噴射口45が、第2の拡張槽4中の前記傾斜底部41の上端部近傍にまで延びて、外部のポンプ手段により供給される洗砂のための水を噴射するように設けられている。また、前記第2の拡張槽5の水噴射ノズル53は、傾斜底部51の略全幅に渡ってノズル管54が横向きに配設されて、その長さ方向の所要間隔毎に噴射口55が設けられ、槽外のポンプ手段により供給される水を噴射できるように設けられている。これらの水噴射により、各拡張槽4,5において、それぞれ沈降する砂を洗砂しながら主水槽3側に押し流すとともに、該拡張槽4,5内の原料に対して下部では主水槽3側へ、また上部では主水槽3側から延出端側への流れ、すなわち図面矢印方向の流れを生起させるように構成されている。前記水噴射ノズル43,53は、前記ポンプ手段により噴射水量を適宜調整できるように設けられており、これにより槽内の土砂濃度、濁水排出量を調整できるようになっている。
【0022】
そして、記第1の拡張槽4の上方には後述するように前篩い装置7が配置されている。また、前記第2の拡張槽5には、前記主水槽3側とは反対側の延出端側の上部側壁56に少なくとも一部が開口した溢水用の排水口57が設けられており、これにより、槽体1内の水面レベルLを略一定に保つことができるようになっている。すなわち、投入される原料及び水噴射ノズル43,53からの噴射水量に応じて、前記排水口57から原料中の濁水がオーバーフローして排出されることで、水面レベルLを略一定に保つことができるようになっている。
【0023】
本発明においては、前記第2の拡張槽5には、前記水噴射ノズル53の水噴射による槽内の原料上部での流れ、特には前記主水槽3側から前記排水口57を有する延出端側への流れを規制する流れ規制板58が、該主水槽3側から排水口57側に向かって所要の間隔をおいて複数設けられており、原料中に浮游する細かい砂、特には粒径が5mm以下の砂(例えば粒径が5〜0.075mmのもの、2〜1/16mmと規定される場合もある)のうち、粒径が0.075mm前後の微砂(極細粒砂)についても、水の流れに乗って排水口57側に流れて排出されるのを規制するように設けられている。
【0024】
すなわち、土砂と水との混合物である原料中の微砂等が、前記流れ規制板58に接触することにより流れが規制されることにより比重で下方に沈降し、これより細かい泥(シルトと粘土等)は濁水となって前記流れ規制板58を潜って、或いは該流れ規制板58を超えて排水口57側に流れて排出されるが、流れ規制により滞留する間に水との比重差で大部分の微砂が沈降することにより、他の粒径の大きい砂とともに、主水槽3の底部31上に集まり、回転バケット体2により掻き上げられて回収されるようになっている。
【0025】
前記の流れ規制板57としては、図のように第2の拡張槽5の傾斜底部51を横切る方向に全幅にわたって配設するものに限らず、流れ規制の効果が得られる他の配置による実施も可能であるが、実施上は図のように配置しておくのが、シルトや粘土等を含む濁水(泥水)に比べて比重の大きい微砂の流れを規制する効果を得る上で好ましい。
【0026】
また、前記流れ規制板58は、水槽1内の水面レベルLの高さ若しくは僅かに高い高さ位置を上端にして、所要の流れをある程度規制できるように所要の深さ、少なくとも200mm前後の深さ位置までの幅を有するものとするのがよい。特に、傾斜底部51が主水槽3側に向かって深くなるように傾斜していることから、図のように、主水槽3側ほど上下方向の幅が大きいものとして、排水口57側に向かって段階的に上下方向幅を小さくしておくのが、第2の拡張槽5内の原料の流れの変化に対応でき、水中に浮游する微砂の流れを規制して沈降させることができ、好ましい。
【0027】
前記主水槽3に備える前記回転バケット体2は、外周部において周方向所定間隔に配された掻き上げ用の複数のバケット21が内方支持部材22により支持され、該内方支持部材22が前記槽体上で水平に支承された回転軸23に連結されて回転可能に支持されてなる。前記内方支持部材22は、通常、前記第2の拡張槽5側の側面を形成する板状体で、原料が通過できる多数の開孔22aを有するパンチングメタル等の多孔板よりなり、該内方支持部材22の中央部のボス部22bにおいて前記回転軸23に固定されている。22cは前記ボス部22bから放射状に延びる補強リブである。
【0028】
前記回転軸23は、前記第2の拡張槽5の延出側端部と、第1の拡張槽4側から延設されたフレーム61上の軸受25により回転自在に支承されるとともに、槽体外部に備える駆動用モータMの出力軸26と、該出力軸26上のスプロケット27a、該回転軸23上のスプロケット27b、及び両スプロケット27a,27b間に架渡されたチェーン27c等の回転伝達部材27を介して連結されており、モータMの回転駆動により該回転軸23が回転し、前記回転バケット体2が回転するように設けられている。前記回転バケット体2は、前記の回転により主水槽3の底部31に溜まった砂を水と共に掻き上げることになる。
【0029】
前記回転バケット体2の前記内方支持部材22が前記第2の拡張槽5側の側面部にあって、前記第1の拡張槽4側の側面には開口部28を有し、該開口部28に前記第1の拡張槽4の上方に配置された篩い装置7の一部が挿入されて支持され、バケット21から排出され落下する砂を受けることができるように設けられている。
【0030】
また。前記篩い装置7は、バイブレータ71を具備した振動篩い装置であって、粒径が0.075mm前後の比較的細かい微砂も選別できるメッシュ状の網72を平面矩形の枠部材73に張設してなる平面矩形の篩い用の網体74が、前記拡張槽5の上部に配置されたフレーム61上に、前記回転バケット体2の開放口28への挿入側が高く、送出側になる他端側が低位となるように傾斜して、スプリング等のバネ手段75により振動可能に支持されており、前記バイブレータ71の作動により網体74に対して水切り脱水作用のための振動を付与することができるように設けられている。
【0031】
前記の篩い装置7の低位となる送出側端部には、前記の振動により水切り脱水されながら低位側へ順次移動する砂の送出口76が設けられている。通常、前記送出口76の下方に該送出口76から送出される砂を受けて移送するコンベア等の移送手段8が設けられ、送出される砂を回収できるように構成される。前記篩い装置7の網体74より落下する砂より細かい土を含む水は、下方の循環用水槽としての第1の拡張槽4に入り、再度原料として混合されて分級処理される。
【0032】
上記の構成による砂分級機Aによる分級動作について説明する。
【0033】
原料となる土砂と水との混合物、例えば粒径が5mm前後以下になるように、振動篩いを通した混合物をポンプを備える搬送パイプやシュートにより槽体1に投入して、第1及び第2の拡張槽4,5に備える水噴射ノズル43,53から水を噴射するとともに、回転バケット体2を回転させ、同時に篩い装置7を作動させて運転を行う。図1の一点鎖線9は、原料の投入口の位置を示す。
【0034】
前記砂分級機Aの運転において、前記原料中の砂が第1及び第2の拡張槽4,5内では、前記水噴射ノズル43,53による水噴射により、水との比重差で傾斜底部41,51上に沈降する砂を洗砂しながら主水槽3の底部31の側に押し流すとともに、同時に、槽内の原料に対して傾斜底部41,51に近い下部では該傾斜底部41,51に沿って高位から低位の方向(主水槽3側)に、また水面に近い上部では主水槽3側から延出端側への水流を生じさせることになり、これにより槽内の原料が攪拌されるとともに、水中に浮游する砂が沈降し、前記のように水噴射ノズル43,53からの水噴射により、傾斜底部41,51に沿って洗砂されながら押し流され、主水槽3の底部31上に集められる。
【0035】
特に、前記排水口57を有する第2の拡張槽5内においては、砂より細かいシルトや粘土等の不要分を含む濁水が前記排水口57からオーバーフローして排出されるが、該第2の拡張槽5内の上部では、前記主水槽3側から排水口57方向への原料の水流が前記流れ規制板58により規制されるため、濁水中に浮游している極細粒径の微砂等の流れも規制され、濁水が流れ規制板58を潜って排水口57側に流れ手排出されるとしても、水と比重差のある粒径が0.075mm前後の微砂等は直ちに濁水と共に排水口57から排出されることはなく、槽内に滞留する間に水との比重差で沈降することになって、前記の水噴射により洗砂されながら傾斜底部51に沿って主水槽3内の底部31上に効率よく集められる。
【0036】
また、主水槽3においては、底部31に沿って回転バケット体2が回転しており、前記底部31上に集められた砂は、該回転バケット体2のバケット21により水と共に掻き上げられるとともに、回転バケット体2の回転により上部側の位置にきたとき前記バケット21より排出されて、篩い装置7の網体74上に落下する。
【0037】
篩い装置7では、網体74に対しバイブレータ71 により振動が付与されており、該網体74上に落下した砂は、該網体74の振動により水切り脱水されながら低位側に移動し、送出口76から送出され、コンベア等の移送手段8により回収される。また、前記網体74を通過したシルトや粘土を含む水はそのまま第1の拡張槽4内に入って原料と攪拌されて再度処理される。
【0038】
回収する砂の粒径については、外部のポンプ手段により水噴射ノズル43,53からの噴射水量を調整して、槽内の土砂濃度、及び排水口57からの濁水排出量を調整することにより、調整可能である。例えば、噴射水量を多くして濁水排出量を多くすると、微砂の中でも比較的大きい粒径の砂も濁水ととも排出されることになるため、回収される砂の最小粒径が大きくなり、また、噴射水量を少なくして濁水排出量を少なくすると、比較的小さい粒径の微砂も濁水とともに排出されずに沈降することになるため、回収される砂の最小粒径が小さくなる。
【0039】
上記したように、本発明によれば、極めて極細粒径の微砂についても、簡単な構造でかつ効率よく確実に洗砂分離し回収することができる。また、流れ規制板により、溢水用の排水口への原料中の濁水等の流れを規制することで、該水中に浮游する微砂についても、流れ規制を利用して効率よく沈降させて分離回収できる。しかも、水噴射と固定配置した流れ規制板を利用することで、可動部分つまりは消耗品が少なくて済み、コスト安価に処理でき、設備費用を大幅に低減できる。
【0040】
なお、上記した実施例においては、第2の拡張槽5にのみ、溢水用の排水口57および流れ規制板58を設けた場合を示したが、第1の拡張槽4の側にも、上記同様の溢水用の排水口及び流れ規制板を第2の拡張槽と同様に設けて実施することもできる。
【符号の説明】
【0041】
A…砂分級機、1…槽体、2…回転バケット体、3…主水槽、4…第1の拡張槽、2…第2の拡張槽、6…架台、7…篩い装置、8…移送手段、21…バケット、22…内方支持部材、22a…開孔、22b…ボス部、23…回転軸、25…軸受、27…回転伝達部材、28…開口部、31…底部、32…側部、41,51…傾斜底部、42,52…側部、43,53…水噴射ノズル、44,54…ノズル管,45,55…噴射口、56…上部側壁、57…排水口、58…流れ規制板、61…フレーム、71…バイブレータ、72…網、74…網体、76…送出口、M…モータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土砂と水との混合物を原料として砂を洗砂分離し回収するための砂分級機であって、
投入される原料を貯留する槽体を有し、前記槽体は、混合物中の沈砂を掻き上げる回転バケット体を備えた主水槽と、前記回転バケット体の軸方向で前記主水槽を中間にして両側に、それぞれ前記主水槽に連接されて側方に延出し、かつ、延出端側から前記主水槽の底部側に向かって傾斜した傾斜底部を有する第1及び第2の拡張槽よりなり、
前記第1及び第2の拡張槽には、それぞれ傾斜底部の上端部近傍において該傾斜底部に向かって又は該傾斜底部に沿って洗砂のための水を噴射する水噴射ノズルを備えており、 前記第1の拡張槽の上方には、前記回転バケット体により掻き上げられた砂を水切りして送出する篩い装置が設けられ、前記第2の拡張槽には、延出端側の上部側壁に少なくとも一部が開口した溢水用の排水口が設けられるとともに、該第2の拡張槽内の上部において主水槽側から排水口方向への水流を規制する流れ規制板が間隔をおいて複数並設されてなることを特徴とする砂分級機。
【請求項2】
前記第2の拡張槽内の流れ規制板が、前記排水口からの溢水による水面位置を上縁にして所要深さまでの排水口方向への水流を規制するように並列して配置されてなる請求項1に記載の砂分級機。
【請求項3】
前記第2の拡張槽内の流れ規制板が、前記主水槽側ほど前記上下方向幅が大きく形成されてなる請求項2に記載の砂分級機。
【請求項4】
前記篩い装置は、バイブレータを具備した振動篩い装置であって、送出側を低位とする傾斜状態で振動可能に支持されてなり、送出側端部の送出口より送出される砂を回収用の移送手段により受けるように設けられてなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の砂分級機。
【請求項5】
前記回転バケット体は、外周部において周方向所定間隔に配された掻き上げ用のバケットを支持する内方支持部材が前記槽体上で水平に支承された回転軸に連結されて回転可能に支持されてなり、前記内方支持部材が前記第2の拡張槽側の側面部にあって前記第1の拡張槽側の側面に開口部を有し、該開口部に前記篩い装置の一部が挿入されて支持され、バケットから排出される砂を受けるように設けられてなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の砂分級機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−259995(P2010−259995A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−112103(P2009−112103)
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【出願人】(398003429)有限会社サンド・マシナリー (1)
【Fターム(参考)】