説明

研磨テープ、並びに該研磨テープを用いた研磨方法及び研磨装置

【課題】被研磨面へのダメージが少なく、鏡面に仕上げることができる研磨テープを提供する。
【解決手段】本発明に係る研磨テープは、基材テープ2と、基材テープ2の上に形成された研磨層3とを有する。基材テープ2は、液体透過構造を有している。研磨層3は、バインダ樹脂4と、バインダ樹脂4中に分散する平均直径0.02μm〜5μmの研磨粒子5とを有する。この研磨粒子5はシリカ粒子である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品、光学部品、半導体ウエハなどの被研磨物の研磨に使用される研磨テープに関し、特に基板の周縁部を研磨する研磨装置に使用される研磨テープ、並びに該研磨テープを用いた研磨方法及び研磨装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程では、ウエハ上の種々の材料が膜状に繰り返し形成され、積層構造を形成する。この積層構造は、ウエハの表面のみならず、ウエハの周縁部にも形成される。ウエハの周縁部は、本来製品には使用されない領域であり、周縁部に形成された膜は除去することが必要とされる。これは、ウエハの搬送工程で膜が剥離してウエハ上のデバイス形成領域に付着し、歩留まりを低下させてしまうからである。このようなウエハの周縁部上の膜を除去するために、研磨テープを用いた研磨装置が使用されている。
【0003】
研磨テープは、基材テープと、該基材テープ上に形成された研磨層とを有する。研磨装置は、研磨テープの研磨層とウエハの周縁部とを摺接させることによりウエハの周縁部を研磨する。研磨層は、研磨粒子がバインダ樹脂中に分散され、研磨粒子としてはダイヤモンド砥粒がある。
【0004】
ダイヤモンド砥粒を有する研磨テープは、高い除去レートでウエハの周縁部上の膜を除去することができる。しかしながら、ダイヤモンド砥粒は硬度が高いために、最終的に露出するウエハの表面(通常はシリコンウエハの表面)に傷をつけてしまうおそれがある。このようなウエハの表面へのダメージは、その後の工程に悪影響を与え、製品の歩留まりを低下させてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−239921号公報
【特許文献2】特開2002−254325号公報
【特許文献3】特開平10−71572号公報
【特許文献4】特表2004−526582号公報
【特許文献5】特開2006−142388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたもので、被研磨面へのダメージが少なく、鏡面に仕上げることができる研磨テープ、並びに該研磨テープを用いた研磨方法及び研磨装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、基材テープと、前記基材テープの上に形成された研磨層とを有し、前記基材テープは、液体透過構造を有し、前記研磨層は、バインダ樹脂と、前記バインダ樹脂中に分散する平均直径0.02μm〜5μmの研磨粒子とを有し、前記研磨粒子はシリカ粒子である。
【0008】
本発明に係るバインダ樹脂は、アルカリ水溶液に可溶であるのが好ましい。
本発明に係るバインダ樹脂は、有機溶剤に可溶であるのが好ましい。
本発明に係るバインダ樹脂は、純水に不溶であるのが好ましい。
本発明に係るバインダ樹脂は、酢酸ビニル重合体をベースとした樹脂であるのが好ましい。
【0009】
本発明の他の態様は、上記研磨テープと基板の周縁部とを摺接させて該周縁部を研磨する際、該研磨テープに液体を供給する研磨方法である。
この態様における研磨方法としては、前記研磨テープの裏面から該研磨テープに液体を供給するのが好ましい。
この態様におけるバインダ樹脂はアルカリ水溶液に可溶な素材であり、前記液体がアルカリ水溶液であるのが好ましい。
この態様における研磨方法としては、前記研磨テープをその長手方向に送りながら前記研磨テープと前記基板の周縁部とを摺接させるのが好ましい。
この態様における研磨方法としては、前記研磨テープと前記基板の周縁部との接触角度を研磨前又は研磨中に変化させるのが好ましい。
この態様における研磨方法としては、研磨中に前記基板を回転させながら該基板の中心部に研磨水を供給するのが好ましい。
前記研磨水は、純水又はアルカリ水溶液であるのが好ましい。
【0010】
本発明のさらに他の態様は、上記研磨テープと、基板を保持する基板保持機構と、前記研磨テープを前記基板の周縁部に摺接させる研磨ヘッドとを備えた研磨装置である。
この態様における研磨装置としては、前記研磨テープの裏面に液体を供給する液体供給部をさらに備えるのが好ましい。
この態様における研磨装置としては、前記研磨テープは請求項2記載の研磨テープであり、前記液体はアルカリ水溶液であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、研磨粒子として、ダイヤモンド粒子よりも軟らかいシリカ粒子を用いているので、被研磨面が研磨粒子により傷つくことを防止することができる。研磨層にアルカリ水溶液を供給することで、バインダ樹脂が溶解し、これにより研磨粒子は遊離砥粒となり被研磨面へのダメージをさらに防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1(a)及び図1(b)は、ウエハの周縁部を示す部分拡大断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る研磨テープを示す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る研磨テープを使用した研磨装置の一例を示す模式図である。
【図4】図3に示す研磨装置の平面図である。
【図5】研磨ヘッドの拡大図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る研磨テープを用いて研磨を行った実験結果を示すSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
本明細書では、基板の周縁部をベベル部とニアエッジ部を含む領域と定義する。図1(a)及び図1(b)は、基板の周縁部を示す部分拡大断面図であり、図1(a)はいわゆるストレート型の基板の断面図であり、図1(b)はいわゆるラウンド型の基板の断面図である。
【0014】
ベベル部とは、図1(a)の基板Wにおいては、基板Wの外周面に位置する上側傾斜部(上側ベベル部)P、下側傾斜部(下側ベベル部)Q、及び側部(アペックス)Rからなる部分Bを指し、図1(b)の基板Wにおいては、基板Wの外周面に位置する、断面が曲率を有する部分Bを指す。ニアエッジ部とは、ベベル部Bよりも径方向内側に位置する領域であって、かつデバイスが形成される領域Dよりも径方向外側に位置する平坦部E1,E2を指す。
【0015】
図2は、本発明の一実施形態に係る研磨テープ1を示す断面図である。図2に示すように、研磨テープ1は、基材テープ2と、基材テープ2の上に形成されている研磨層3とを有している。基材テープ2は、液体を透過させる構造を有している。液体を透過させる構造としては、不織布、メッシュ、孔が形成されたPET(Polyethylene terephthalate)基材、発泡ウレタン、又はこれらの組み合わせがある。研磨層3は、基板や、電子部品、光学部品などの研磨対象物に摺接され、これにより該研磨対象物を研磨する。基板としては膜が形成されたウエハがある。
【0016】
研磨層3は、基材テープ2の一方の表面を被覆するバインダ樹脂4と、バインダ樹脂4に保持された研磨粒子5とを有している。研磨粒子5は、平均直径0.02μm〜5μmのシリカ粒子がある。研磨粒子5はバインダ樹脂4中にほぼ均一に分散している。このバインダ樹脂4は、純水には溶けない一方、アルカリ水溶液又は各種有機溶剤に可溶な性質を有している。他の実施形態に係るバインダ樹脂4は、酢酸ビニル重合体をベースとした樹脂である。この酢酸ビニル重合体をベースとした樹脂は、純水には溶けず、アルカリ水溶液又は各種有機溶剤に可溶な性質を有している。このような樹脂としては、電気化学工業株式会社製デンカASR(登録商標)がある。
【0017】
本実施形態に係る研磨テープ1の作成方法について説明する。バインダ樹脂を、有機溶剤としてのメタノールで徐々に溶解させ、液状のバインダ樹脂を作成する。この液状のバインダ樹脂に研磨粒子としてのシリカ粒子を加え、このシリカ粒子がバインダ樹脂中に均一に分散するように攪拌する。そして、シリカ粒子を含むバインダ樹脂を、汎用のテープ用マルチコーターにより基材テープの片面に塗布し、乾燥させる。これにより研磨層3が形成された研磨テープ1が完成される。
【0018】
上記研磨テープ1を使用した研磨装置及び研磨方法について説明する。図3は、本発明の一実施形態に係る研磨テープ1を使用した研磨装置の一例を示す模式図であり、図4は図3に示す研磨装置の平面図である。この研磨装置は、基板としての膜が形成されたウエハの周縁部を研磨するのに好適に用いられる。図3及び図4に示すように、この研磨装置は、研磨対象物である基板Wを水平に保持し、回転させる基板保持機構13を備えている。基板保持機構13は、基板Wを真空吸着により保持する皿状の保持ステージ14と、保持ステージ14を回転させるモータ(図示せず)とを備えている。
【0019】
基板保持機構13に保持された基板Wの周縁部の近傍には研磨ヘッド組立体11が配置されている。研磨ヘッド組立体11の背面側にはテープ供給回収機構12が設けられている。研磨ヘッド組立体11とテープ供給回収機構12とは隔壁20によって隔離されている。隔壁20の内部空間は研磨室21を構成し、研磨ヘッド組立体11及び保持ステージ14は研磨室21内に配置されている。一方、テープ供給回収機構12は隔壁20の外側(すなわち、研磨室21の外)に配置されている。
【0020】
テープ供給回収機構12は、上述した研磨テープ1を研磨ヘッド組立体11に供給する供給リール24と、基板Wの研磨に使用された研磨テープ1を回収する回収リール25とを備えている。供給リール24と回収リール25は上下に配列されている。供給リール24及び回収リール25にはカップリング27を介してモータM2がそれぞれ連結されている(図4には供給リール24に連結されるカップリング27とモータM2のみを示す)。これらのモータM2によって研磨テープ1には所定のテンションが付与されている。
【0021】
研磨テープ1の一端は回収リール25に取り付けられている。研磨ヘッド組立体11に供給された研磨テープ1を回収リール25が巻き取ることで研磨テープ1が回収される。研磨ヘッド組立体11はテープ供給回収機構12から供給された研磨テープ1を基板Wの周縁部に当接させるための研磨ヘッド30を備えている。研磨テープ1は、その研磨層3(図2参照)が基板Wに向いた状態で研磨ヘッド30を通過する。
【0022】
図3に示すように、テープ供給回収機構12はガイドローラ31,32を有している。研磨ヘッド組立体11に供給され、研磨ヘッド組立体11から回収される研磨テープ1は、これらのガイドローラ31,32によってガイドされる。研磨テープ1は、隔壁20に設けられた開口部20aを通してテープ供給回収機構12の供給リール24から研磨ヘッド30へ供給され、使用された研磨テープ1は開口部20aを通って回収リール25に回収される。基板保持機構13の上方には、研磨水供給ノズル40が配置されている。この研磨水供給ノズル40からは、研磨水としての純水が基板Wの中心に供給されるようになっている。
【0023】
図5は研磨ヘッド30の拡大図である。この研磨ヘッド30は、研磨テープ1を供給リール24から回収リール25へ送るテープ送り機構42を備えている。このテープ送り機構42は、研磨テープ1を2つのローラで挟みつつ、一方のローラをモータM3により回転させることにより、研磨テープ1をその長手方向に移動させるように構成されている。さらに、研磨ヘッド30は複数のガイドローラ43,44,45,46,47,48,49を有しており、これらのガイドローラは基板Wの接線方向と直交する方向に研磨テープ1が進行するように研磨テープ1をガイドする。基板Wに接している研磨テープ1の進行方向は下向きである。
【0024】
研磨ヘッド30は、研磨ヘッド30の前面において上下に配置された2つのガイドローラ46,47の間に渡された研磨テープ1の裏面側に配置されたバックパッド(加圧パッド)50と、このバックパッド50を基板Wに向かって移動させるエアシリンダ(駆動機構)52とをさらに備えている。エアシリンダ52へ供給する空気圧によって、研磨テープ1を基板Wに対して押圧する圧力が制御される。
【0025】
バックパッド50には、研磨テープ1の裏面から該研磨テープ1に研磨水としてのアルカリ水溶液を供給するための液体供給部53が形成されている。この液体供給部53は、研磨テープ1の進行方向において、研磨点(研磨テープ1と基板Wとの接点)よりも上流側に位置している。液体供給部53はアルカリ水溶液供給源55に連通している。液体供給部53をバックパッド50に隣接して設けてもよい。研磨中は、アルカリ水溶液供給源55から液体供給部53を介してアルカリ水溶液が研磨テープ1の裏面に供給されるようになっている。アルカリ水溶液は、研磨テープ1の基材テープ2を透過して表側の研磨層3に到達する。
【0026】
図4に示すように、研磨ヘッド30はアーム60の一端に固定され、アーム60は、基板Wの接線に平行な軸Ctまわりに回転自在に構成されている。アーム60の他端はプーリーp1,p2及びベルトb1を介してモータM4に連結されている。モータが時計回り及び反時計回りに所定の角度だけ回転することで、アーム60が軸Ctまわりに所定の角度だけ回転する。本実施形態では、モータM4、アーム60、プーリーp1,p2、及びベルトb1によって、研磨ヘッド30を傾斜させるチルト機構が構成されている。このチルト機構により、研磨点(研磨テープ1と基板Wとの接点)を中心として研磨ヘッドを所定の角度だけ回転させることで、研磨テープ1と基板Wとの接触角度を変えることが可能となっている。研磨ヘッド30のチルト動作は、研磨前又は研磨中に行われる。このチルト動作により、研磨テープ1は、基板Wのベベル部のみならず、ニアエッジ部も研磨することができる。
【0027】
研磨ヘッド30はチルト機構を介して移動台61に連結されている。移動台61は、ガイド62及びレール63を介してベースプレート65に移動自在に連結されている。レール63は、基板保持機構13に保持された基板Wの半径方向に沿って直線的に延びており、移動台61は基板Wの半径方向に沿って直線的に移動可能となっている。移動台61にはベースプレート65を貫通する連結板66が取り付けられ、連結板66にはリニアアクチュエータ67がジョイント68を介して取り付けられている。リニアアクチュエータ67はベースプレート65に直接又は間接的に固定されている。
【0028】
リニアアクチュエータ67としては、エアシリンダや、モータとボールネジとの組み合わせなどを採用することができる。このリニアアクチュエータ67、レール63、ガイド62によって、研磨ヘッド30を基板Wの半径方向に沿って直線的に移動させる移動機構が構成されている。すなわち、移動機構はレール63に沿って研磨ヘッド30を基板Wへ近接及び離間させるように動作する。一方、テープ供給回収機構12はベースプレート65に固定されている。
【0029】
図5はリニアアクチュエータ67により研磨ヘッド30を前進させて研磨テープ1を基板Wの周縁部の端面に当接させている状態を示す。この状態で、基板保持機構13により基板Wを回転させることによって、研磨テープ1の研磨層3と基板Wの周縁部とを摺接させ、基板Wの周縁部を研磨する。研磨中は、テープ送り機構42により所定の速度で研磨テープ1が送られ、常に新しい研磨層3が研磨に使用される。
【0030】
研磨中は、研磨水供給ノズル40から基板Wの中心に純水が供給され、同時に、研磨テープ1の裏面から該研磨テープ1にアルカリ水溶液が所定の流量で供給される。アルカリ水溶液は基材テープ2を透過して研磨層3に達し、研磨層3のバインダ樹脂4を溶解する。その結果、研磨点に到達する直前の研磨粒子5が遊離して、遊離砥粒となり、この遊離砥粒により基板Wの周縁部が研磨される。アルカリ水溶液は、他の各種有機溶剤であってもよい。この場合も、バインダ樹脂4が溶解し、研磨粒子5は遊離砥粒となる。研磨粒子5として使用されているシリカ粒子は、優れた遊離砥粒作用を有しているとともに、ダイヤモンド粒子に比べて軟らかいので、基板Wの被研磨面に与える傷を低減させることができる。ダイヤモンド粒子を用いた研磨テープに比べて、コストが低いという利点がある。
【0031】
アルカリ水溶液はバインダ樹脂4を溶解させるだけではなく、シリカ粒子による研磨を促進する効果も有する。したがって、純水を用いた従来の研磨に比べて、高い除去レートで基板Wを研磨することができる。研磨水供給ノズル40から基板Wの中心に供給された純水は、基板Wの回転により広がって基板Wの表面全体を覆う。この純水の膜により、アルカリ水溶液や研磨粒子5が基板Wのデバイス形成領域に付着することが防止される。アルカリ水溶液や研磨粒子5の飛散を防止するためのカバーを基板Wの表面側に設ける必要がないので、研磨ヘッド30のチルト角度(研磨テープ1と基板Wとの接触角度)を大きくすることができる。さらに、純水が研磨層3に付着しても、バインダ樹脂4は純水によっては溶解せず、研磨粒子5は遊離しないので、研磨粒子5によって基板Wが汚染されることがない。アルカリ水溶液や研磨粒子5の飛散を防止するためのカバーを設け、又は研磨水流量を調節することによって、研磨水供給ノズル40から基板Wの中心に研磨水としてアルカリ水溶液を供給することもできる。
【0032】
上述の研磨テープ1を用いて基板を研磨したときの実験結果について説明する。本実験では、基材テープ2としてポリエステル不織布(厚さ520μm)を使用した。バインダ樹脂4としては、酢酸ビニル重合体をベースとした樹脂としての電気化学工業株式会社製デンカASR(登録商標)を使用し、研磨粒子として、平均粒径40nmのシリカ粒子を使用した。研磨層3は、上述の方法で作成した。デンカASR、シリカ粒子、メタノールの配合割合は、30g:25g:80gであった。
【0033】
基板の研磨は、粗研磨、中間仕上げ研磨、及び最終仕上げ研磨の三段階に分けて行った。粗研磨では、粒度#4000(粒径3μm)のダイヤモンド粒子を有する研磨テープを用い、中間仕上げ研磨では、粒度#10000(粒径0.5μm)のダイヤモンド粒子を有する研磨テープを用い、最終仕上げ研磨では、上述した本発明の一実施形態に係る研磨テープ1を用いた。最終仕上げ研磨の条件は以下の通りである。
基板:直径200mmのベアシリコンウエハ
アルカリ水溶液:アンモニア水溶液
アルカリ水溶液の濃度:3%
研磨時間:60秒
基板回転速度:1000rpm
研磨圧:12N
テープ送り速度:30mm/min
アルカリ水溶液の流量:0.1リットル/min
研磨ヘッドの水平面からの角度:45°
【0034】
図6は、上述の条件の下で行った実験結果を示すSEM画像である。図6の番号「1」は粗研磨を示し、図6の番号「2」は中間仕上げ研磨を示し、図6の番号「3」は最終仕上げ研磨を示している。図6から、最終仕上げ研磨では、基板の表面にほとんど傷がついていないことが分かった。このように、本発明の実施形態に係る研磨テープ及び研磨方法を用いることにより、基板の表面にダメージを与えることなく基板を鏡面に仕上げることができた。
【符号の説明】
【0035】
1 研磨テープ
2 基材テープ
3 研磨層
4 バインダ樹脂
5 研磨粒子
11 研磨ヘッド組立体
12 テープ供給回収機構
13 基板保持機構
14 保持ステージ
20 隔壁
21 研磨室
24 供給リール
25 回収リール
27 カップリング
30 研磨ヘッド
31,32 ガイドローラ
40 研磨水供給ノズル
42 テープ送り機構
43〜49 ガイドローラ
50 加圧パッド
52 エアシリンダ(駆動機構)
53 液体供給部
55 アルカリ水溶液供給源
60 アーム
61 移動台
62 ガイド
63 レール
65 ベースプレート
66 連結板
67 リニアアクチュエータ
68 ジョイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材テープと、
前記基材テープの上に形成された研磨層とを有し、
前記基材テープは、液体透過構造を有し、
前記研磨層は、
バインダ樹脂と、
前記バインダ樹脂中に分散する平均直径0.02μm〜5μmの研磨粒子とを有し、
前記研磨粒子はシリカ粒子である研磨テープ。
【請求項2】
前記バインダ樹脂がアルカリ水溶液に可溶な素材である請求項1記載の研磨テープ。
【請求項3】
前記バインダ樹脂が有機溶剤に可溶な素材である請求項1記載の研磨テープ。
【請求項4】
前記バインダ樹脂が純水に不溶な素材である請求項2又は3に記載の研磨テープ。
【請求項5】
前記バインダ樹脂が酢酸ビニル重合体をベースとした樹脂である請求項1記載の研磨テープ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の研磨テープと基板の周縁部とを摺接させて該周縁部を研磨する際、該研磨テープに液体を供給する研磨方法。
【請求項7】
前記研磨テープの裏面から該研磨テープに液体を供給する請求項6記載の研磨方法。
【請求項8】
前記バインダ樹脂がアルカリ水溶液に可溶な素材であり、
前記液体はアルカリ水溶液である請求項6又は7に記載の研磨方法。
【請求項9】
前記研磨テープをその長手方向に送りながら前記研磨テープと前記基板の周縁部とを摺接させる請求項6乃至8のいずれか一項に記載の研磨方法。
【請求項10】
前記研磨テープと前記基板の周縁部との接触角度を研磨前又は研磨中に変化させた請求項6乃至9のいずれか一項に記載の研磨方法。
【請求項11】
研磨中に前記基板を回転させながら該基板の中心部に研磨水を供給する請求項6乃至10のいずれか一項に記載の研磨方法。
【請求項12】
前記研磨水は純水又はアルカリ水溶液である請求項11記載の研磨方法。
【請求項13】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の研磨テープと、
基板を保持する基板保持機構と、
前記研磨テープを前記基板の周縁部に摺接させる研磨ヘッドとを備えた研磨装置。
【請求項14】
前記研磨テープの裏面に液体を供給する液体供給部をさらに備えた請求項13記載の研磨装置。
【請求項15】
前記研磨テープは請求項2記載の研磨テープであり、
前記液体はアルカリ水溶液である請求項14記載の研磨装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−179704(P2012−179704A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46042(P2011−46042)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【出願人】(000003296)電気化学工業株式会社 (1,539)
【Fターム(参考)】