説明

研磨ブラシ

【課題】十分な研磨力を有しつつも、研磨時の相手部材への傷付きを抑制でき、無機微粒子の脱落による影響のない研磨ブラシを提供すること。
【解決手段】高破断伸度かつ低弾性率のパラ型芳香族コポリアミド繊維により、研磨ブラシを得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パラ型全芳香族ポリアミド繊維からなる研磨ブラシに関する。さらに詳しくは、十分な研磨力を有しつつも、研磨時の相手部材の傷つきを抑制できるパラ型全芳香族ポリアミド繊維からなる研磨ブラシである。
【背景技術】
【0002】
従来、研磨用ブラシのブラシ材としては、ガラス繊維等の繊維が用いられており、ガラス繊維からなる研磨ブラシは、精密機械等の研磨において相手部材を傷つけるため、製品品質を著しく低下させるという問題があった。
【0003】
また、合成繊維からなる研磨ブラシの場合には、一般に、研磨剤として無機微粒子が配合されているため、研磨時に無機微粒子による相手部材の傷つきが発生したり、さらには、無機部微粒子の脱落によるコンタミネーションを抑制するため、無機微粒子を除去するための除去工程を設ける必要があった。
したがって、研磨ブラシの業界においては、研磨時に必要以上に相手部材を傷つけることなく、また、コンタミネーション等の影響の少ないブラシが求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、かかる従来技術を背景になされたものであり、その目的とするところは、十分な研磨力を有しつつも、研磨時の相手部材の傷つきを抑制でき、無機微粒子の脱落による影響のない研磨ブラシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行った。その結果、高破断伸度、低初期弾性率のパラ型全方向族ポリアミド繊維を研磨ブラシとして用いることで、上記問題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、破断伸度が10.0%以上、初期弾性率が150cN/dtex以下であるパラ型全芳香族ポリアミド繊維からなる研磨ブラシである。
【発明の効果】
【0006】
本発明のパラ型全芳香族ポリアミド繊維からなる研磨ブラシは、無機微粒子を含有しない研磨ブラシとなる。このため、無機微粒子の脱落によるコンタミネーションが発生しない。
また、本発明のパラ型全芳香族ポリアミド繊維からなる研磨ブラシは、高破断伸度、かる低初期弾性率のパラ型全芳香族ポリアミド繊維を用いる。このため、研磨時に必要以上に相手部材を傷つけることのない、研磨ブラシを実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<研磨ブラシ>
本発明の研磨ブラシは、後記する破断伸度が10.0%以上、初期弾性率が150cN/dtex以下であるパラ型全芳香族ポリアミド繊維からなる研磨ブラシである。
【0008】
[ブラシ]
研磨ブラシの形状は、特に限定されるものではないが、パラ型全芳香族ポリアミド繊維を円形に束ねてブラシを形成することが好ましい。束ねるフィラメント数については特に限定されるものではなく、研磨する相手部材のサイズ及び形状によって、繊維本数を適宜選択することが望ましい。例えば、精密機械等の研磨に用いるブラシをする場合には、束ねるフィラメント数が多い場合には研磨性が低下するため、少ないフィラメント数のブラシを形成することが望ましい。
【0009】
[ブラシの用途]
本発明の研磨ブラシが用いられる分野は、特に限定されるものではないが、十分な研磨力を有しつつも、研磨時の相手部材の傷つきを抑制でき、無機微粒子の脱落による影響のない研磨ブラシであることから、精密機械等の研磨材として用いることが特に好ましい。
【0010】
[相手部材の傷つけ性]
精密機械等の表面の平滑性を求められる部材の精密な研磨においては、必要以上の研磨性を有する研磨ブラシを用いると相手部材を傷つけるため、得られる部材の品質を著しく低下させる。この問題に対応するため、本発明の研磨ブラシは、パラ型全芳香族ポリアミド繊維とアルミニウム部材とを、24時間、面圧0.49MPa下にて、接触面積を2.0cmとして15cm/secの速度で摺動させるスラスト磨耗試験を実施したときの、試験前後のアルミニウム部材の磨耗量が、1.0×10mm/N・km以下であるパラ型全芳香族ポリアミド繊維を用いることが好ましい。さらには、0.5×10mm/N・km以下であることがより好ましい。
【0011】
<パラ型全芳香族コポリアミド繊維>
本発明のパラ型全芳香族ポリアミド繊維は、パラ型全芳香族ポリアミドを主成分とするものである。繊維中に含まれるパラ型全芳香族ポリアミドは、繊維質量全体に対して、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、100%であることが最も好ましい。
【0012】
本発明の繊維を構成するパラ型全芳香族ポリアミドとは、1種または2種以上の2価の芳香族基が、パラ位にてアミド結合により直接連結されたポリマーである。このとき、該芳香族基は、複数個の芳香環が、酸素、硫黄、または、アルキレン基等を介して結合されたものであってもよい。さらに、これらの2価の芳香族基には、メチル基やエチル基などの低級アルキル基、メトキシ基、クロル基などのハロゲン基等が含まれていても、あるいは、複素環等が結合されたものであってもよく、その置換基の種類や置換基の数は特に限定されるものではない。
【0013】
<パラ型全芳香族ポリアミド繊維の物性>
本発明のパラ型全芳香族コポリアミド繊維は、単糸の破断伸度が10.0%以上、初期弾性率が150cN/dtex以下の繊維である。破断伸度が10.0%以上、かつ、初期弾性率が150cN/dtex以下であれば、研磨用ブラシに用いた場合に、相手部材を傷つける等の問題が発生するおそれがない。
【0014】
[破断伸度]
本発明のパラ型全芳香族ポリアミド繊維の破断伸度は、13%以上であることが好ましく、15%以上であることがさらに好ましい。
【0015】
[初期弾性率]
本発明のパラ型全芳香族ポリアミド繊維の初期弾性率は、130cN/dtex以下であることが好ましく、110cN/dtex以下であることがさらに好ましい。
【0016】
<パラ型全芳香族ポリアミドの製造方法>
本発明の繊維を構成するパラ型全芳香族ポリアミドは、従来公知の方法にしたがって製造することができる。例えば、アミド系極性溶媒中で、芳香族ジカルボン酸クロライド成分と、芳香族ジアミン成分とを反応せしめることにより、芳香族ポリアミドのポリマー溶液を得ることができる。
【0017】
[パラ型全芳香族コポリアミドの原料]
(芳香族ジカルボン酸ジクロライド成分)
パラ型全芳香族ポリアミドの原料となる芳香族ジカルボン酸ジクロライド成分は、特に限定されるものではなく、一般的に公知なものを用いることができる。例えば、テレフタル酸ジクロライド、2−クロロテレフタル酸ジクロライド、3−メチルテレフタル酸ジクロライド、4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジクロライド、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジクロライド、イソフタル酸ジクロライド等を挙げることができる。これらのなかでは、汎用性や繊維の機械的物性等の観点から、テレフタル酸ジクロライドを用いることが最も好ましい。
また、これらの芳香族ジカルボン酸ジクロライドは、1種類のみならず2種類以上を用いることもでき、その組成比は特に限定されるものではない。
【0018】
(芳香族ジアミン成分)
パラ型全芳香族ポリアミドの原料となる芳香族ジアミン成分としては、例えば、パラフェニレンジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、パラビフェニレンジアミン、5−アミノ−2−(4−アミノフェニレン)ベンズイミダゾール、1,4−ジクロロパラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。芳香族環に置換基が存在していても、その他複素環等が存在していても差し支えない。
【0019】
パラ型全芳香族ポリアミドの原料となる芳香族ジアミン成分としては、これらの内、2種類以上を用いることが好ましい。その組み合わせとしては、汎用性や繊維の機械的物性等の観点から、パラフェニレンジアミンと3,4’−ジアミノジフェニルエーテルとの組み合わせが最も好ましい。
【0020】
また、パラフェニレンジアミンと3,4’−ジアミノジフェニルエーテルとを組み合わせて用いる場合には、その組成比は特に限定されるものではないが、芳香族ジアミン成分の全量に対して、それぞれ30〜70モル%、70〜30モル%とすることが好ましく、さらに好ましくは、それぞれ40〜60モル%、60〜40モル%、最も好ましくは、それぞれ45〜55モル%、55〜45モル%の範囲とする。
【0021】
[原料組成比]
芳香族ポリアミドの原料となる上記の芳香族ジカルボン酸クロライド成分と芳香族ジアミン成分との比は、芳香族ジアミン成分に対する芳香族ジカルボン酸クロライド成分のモル比として、0.90以上1.10以下の範囲とすることが好ましく、0.95以上1.05以下の範囲とすることがより好ましい。芳香族ジカルボン酸クロライド成分のモル比が0.90未満または1.10を超える場合には、芳香族ジアミン成分との反応が十分に進まず、高い重合度が得られないため好ましくない。
【0022】
[反応条件]
芳香族ジカルボン酸クロライド成分と芳香族ジアミン成分との反応条件は、特に限定されるものではない。酸クロライドとジアミンとの反応は一般に急速であり、反応温度としては、例えば、−25℃以上100℃以下の範囲とすることが好ましく、−10℃以上80℃以下の範囲とすることがさらに好ましい。
【0023】
[重合溶媒]
パラ型全芳香族ポリアミドの製造に用いられるアミド系溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPともいう)、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルイミダゾリジノン等が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独であっても、また、2種以上の混合溶媒として用いることも可能である。なお、用いられる溶媒は、脱水されていることが望ましい。
パラ型全芳香族ポリアミドの製造においては、汎用性、有害性、取り扱い性、パラ型芳香族コポリアミドポリマーに対する溶解性等の観点から、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いることが最も好ましい。
【0024】
[中和反応]
反応終了後には、必要に応じて、塩基性の無機化合物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム等を添加して、中和反応を実施することが好ましい。
【0025】
[重合後処理等]
重合して得られる芳香族ポリアミドは、アルコール、水などの非溶媒に投入して沈殿せしめ、パルプ状にして取り出すことができる。取り出された芳香族ポリアミドを再度他の溶媒に溶解し、その後に繊維の成形に供することもできるが、重合反応によって得られたポリマー溶液を、そのまま紡糸用溶液(ドープ)に調整して用いることも可能である。一度取り出してから再度溶解させる際に用いる溶媒としては、芳香族ポリアミドを溶解するものであれば特に限定されるものではないが、上記した芳香族コポリアミドの重合に用いられる溶媒とすることが、上記の理由から好ましい。
【0026】
<パラ型全芳香族コポリアミド繊維の製造方法>
本発明に用いるパラ型全芳香族ポリアミド繊維を得るにあたっては、水洗工程で溶媒を除去した後に乾燥し、その後の工程において延伸することなく最終的な繊維を得ることが重要である。
本発明のパラ型全芳香族ポリアミド繊維の製造においては、先ず、パラ型全芳香族コポリアミドと溶媒とを含む紡糸用溶液(ポリマードープ)を、紡糸口金から吐出する。
【0027】
[紡糸用溶液(ポリマードープ)の調製]
パラ型全芳香族コポリアミドおよび溶媒を含む紡糸用溶液(ドープ)を調製する方法は、特に限定されるものではない。また、紡糸用溶液(ドープ)の調製に用いられる溶媒としては、上記したパラ型全芳香族ポリアミドの重合に用いられる溶媒を使用することが好ましい。なお、用いられる溶媒は1種単独であっても、2種以上の溶媒を混合した混合溶媒であってもよい。本発明の製造方法においては、パラ型全芳香族コポリアミドの製造によって得られたポリマー溶液から当該ポリマーを単離することなく、そのまま用いることも可能である。
【0028】
さらに、パラ型全芳香族ポリアミドの溶媒への溶解性を高める目的で、溶解助剤として無機塩を用いることもできる。無機塩としては、例えば、塩化カルシウム、塩化リチウム等が挙げられる。ポリマードープに対する無機塩の添加量としては特に限定されるものではないが、ポリマー溶解性向上の効果や、無機塩の溶媒への溶解度等の観点から、ポリマードープ質量に対して1〜10質量%とすることが好ましい。
【0029】
また、繊維に機能性等を付与する目的で、本発明の要旨を超えない範囲において添加剤等のその他の任意成分を配合してもよい。添加剤等を配合する場合には、ドープの調製において導入することができる。導入の方法は特に限定されるものではなく、例えば、ドープに対して、ルーダーやミキサ等を使用して導入することができる。
【0030】
なお、紡糸用溶液(ドープ)におけるポリマー濃度、すなわちパラ型全芳香族コポリアミドの濃度は、0.5質量%以上30質量%以下の範囲とすることが好ましい。紡糸用溶液(ドープ)におけるポリマー濃度が0.5質量%未満の場合には、ポリマーの絡み合いが少ないため紡糸に必要な粘度を得ることができず、紡糸時の吐出安定性が低下してしまう。一方で、ポリマー濃度が30質量%を超える場合には、ドープの粘性が急激に増加することから紡糸時の吐出安定性が低下し、紡糸パック内の急激な圧上昇により安定した紡糸が困難となりやすい。
【0031】
[紡糸・凝固工程]
紡糸・凝固工程においては、湿式法、半乾半湿式法などにより繊維を成形する。例えば半乾半湿式法においては、紡糸用溶液(ドープ)を紡糸口金から吐出し、貧溶媒からなる凝固浴中で凝固させて未延伸糸を得る。
紡糸口金を通過する際のポリマードープの温度、および紡糸口金の温度は、特に限定されるものではないが、曵糸性やポリマードープの吐出圧の観点から、80〜120℃とすることが好ましい。
【0032】
次に、紡糸口金から吐出したポリマードープを、凝固液中で凝固する。このとき、紡糸口金と凝固液との温度が大きく異なる場合には、紡糸口金と凝固液とが接触するとそれぞれの温度が変化し、その結果、紡糸工程の制御が困難となる。そこで、紡糸口金と凝固液との温度が大きく異なる場合には、エアギャップを設けた半乾半湿式紡糸を行うことが好ましい。エアギャップの長さは、特に限定されるものではないが、温度の制御性、曵糸性等の観点から、5〜15mmの範囲とすることが好ましい。
ここで用いる凝固液は、例えば、NMP水溶液であり、その温度や濃度は、特に限定されるものではない。形成された糸の凝固状態や後の工程通過性等に問題がない範囲で、適宜調整することができる。
【0033】
[水洗工程]
次に、上記で得られた凝固糸を水洗する。水洗工程は、水を用いて糸中に含まれるNMP等の溶媒を拡散させ、糸中から溶媒を除去することを目的とする。
【0034】
[乾燥工程]
次に、乾燥工程において、水洗工程を実施した繊維を乾燥する。乾燥条件は特に限定されるものではなく、繊維に付着した水分を十分に除去できる条件であれば問題はないが、作業性や繊維の熱による劣化を考慮すると、150〜250℃の範囲とすることが好ましい。また、乾燥は、ローラー等の接触型の乾燥装置や、乾燥炉中に繊維を通過させる等といった非接触型の乾燥装置のいずれを用いることもできる。
【0035】
[油剤付与・巻き取り工程]
その後、必要に応じて、繊維に対して帯電抑制や潤滑性を付与する目的で油剤を付与し、最後にワインダーで巻き取る。付与する油剤の種類や付与する量等は、特に限定されるものではなく、公知の方法をそのまま適用することができる。また、ワインダーでの巻き取り方法については、公知のワインダーを用い、適宜巻き取り条件を調整して巻き取ることができる。
【実施例】
【0036】
以下、本発明を実施例等によりさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、これらに何等限定されるものではない。
【0037】
<測定・評価方法>
実施例および比較例においては、下記の項目について、下記の方法によって測定・評価を行った。
【0038】
(1)繊維の繊度
得られた繊維を、公知の検尺機を用いて100m巻き取り、その質量を測定した。得られた質量に100を乗じて10000mあたりの質量を算出し、当該値を繊度(dtex)として算出した。
【0039】
(2)破断伸度、初期弾性率
引張試験機(INSTRON社製、商品名:INSTRON、型式:5565型)により、糸試験用チャックを用いて、ASTM D885の手順に基づき、以下の条件で測定を実施した。
[測定条件]
温度 :室温
試験片 :75cm
試験速度 :250mm/分
チャック間距離 :500m
【0040】
(3)スラスト磨耗試験
得られた全芳香族ポリアミド繊維とアルミニウム部材とを、24時間、面圧0.49MPa下にて、接触面積を2.0cmとして15cm/secの速度で摺動させ、アルミニウム部材の磨耗量を算出した。
【0041】
<実施例1>
[パラ型全芳香族ポリアミドの製造]
パラフェニレンジアミン50質量部と3,4’−ジアミノジフェニルエーテル50質量部とをNMPに溶解し、これに、テレフタル酸ジクロライド100質量部を添加し、重縮合反応を行い、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミドのポリマー溶液(ドープ)を得た。このときのポリマー濃度は6質量%、ポリマーの極限粘度(IV)は3.38であった。
【0042】
[パラ型全芳香族ポリアミド繊維の製造]
穴径0.3mm、穴数が25の紡糸口金を105℃に加熱した後、105℃に加熱した上記で得られたポリマー溶液(ドープ)を吐出し、10mmのエアギャップを介して、NMP濃度30質量%の50℃の水溶液で満たされた凝固浴を通過させることにより、ポリマーが凝固した繊維束を得た。
次いで、50℃に調整した水洗浴に、凝固後の繊維束を通過させて水洗を行った後に、200℃の乾燥ローラーにて乾燥後、ワインダーで紙管に巻き取って、フィラメント数が25のパラ型全芳香族コポリアミド繊維を得た。
得られたパラ型全芳香族ポリアミド繊維の繊度、破断強度、破断伸度、およびスラスト磨耗試験の結果を、表1に示す。
【0043】
<比較例1>
旭グラスファイバー(株)社製のガラス繊維を使用し、スラスト磨耗試験実施した。結果を、比較例1に示す。
【0044】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明のパラ型全芳香族ポリアミド繊維からなる研磨ブラシは、無機微粒子を含まない高破断伸度かつ低弾性率の繊維からなる研磨ブラシである。このため、本発明の研磨ブラシは、十分な研磨力を有しつつも、研磨時の相手部材への傷付きを抑制でき、無機微粒子の脱落による影響のないブラシとなる。このため、様々な産業資材として有用であり、とりわけ、精密機械用の研磨ブラシとして特に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
破断伸度が10.0%以上、初期弾性率が150cN/dtex以下であるパラ型全芳香族ポリアミド繊維からなる研磨ブラシ。
【請求項2】
前記パラ型全芳香族ポリアミド繊維とアルミニウム部材とを、24時間、面圧0.49MPa下にて、接触面積を2.0cmとして15cm/secの速度で摺動させるスラスト磨耗試験を実施したときの、試験前後のアルミニウム部材の磨耗量が、1.0×10mm/N・km以下である請求項1記載のパラ型全芳香族ポリアミド繊維からなる研磨ブラシ。
【請求項3】
前記パラ型全芳香族ポリアミドが、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミドである請求項1または2記載のパラ型全芳香族ポリアミド繊維からなる研磨ブラシ。

【公開番号】特開2011−200969(P2011−200969A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70182(P2010−70182)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(303013268)帝人テクノプロダクツ株式会社 (504)
【Fターム(参考)】